JP2014118380A - ベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体含有錠剤組成物 - Google Patents
ベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体含有錠剤組成物 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】
ベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体含有錠剤組成物において、錠剤中で前記薬効成分が安定であること、25℃及び75%相対湿度条件下に無包装で3ヶ月間保存した際の錠剤硬度低下率が初期硬度の40%以下であること、更に適度な溶出速度を示すこと、を兼ね備える錠剤組成物を提供すること。
【解決手段】
薬効成分としてベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体を含有する錠剤組成物であって、ステアリン酸及びスプレードライ加工したD−マンニトールを含み流動層造粒法を組み合わせることを特徴とする。
【選択図】 なし
ベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体含有錠剤組成物において、錠剤中で前記薬効成分が安定であること、25℃及び75%相対湿度条件下に無包装で3ヶ月間保存した際の錠剤硬度低下率が初期硬度の40%以下であること、更に適度な溶出速度を示すこと、を兼ね備える錠剤組成物を提供すること。
【解決手段】
薬効成分としてベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体を含有する錠剤組成物であって、ステアリン酸及びスプレードライ加工したD−マンニトールを含み流動層造粒法を組み合わせることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、錠剤中の薬効成分の安定性及び経時的な錠剤硬度低下の抑制、更に適度な溶出速度を兼ね備えるベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体含有錠剤組成物に関する。
アンジオテンシンII受容体拮抗作用を有するベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体は、単独の固体状態では安定である。しかし、当該薬効成分に賦形剤等を配合して錠剤とする場合には、製造工程中の打錠圧力、摩擦、熱等の外部因子の影響を受けて、錠剤中で前記薬効成分の分解が加速されることが知られている(特許文献1)。錠剤中でのベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体の品質確保を優先するために打錠圧力を低く抑えると、硬度が低い柔らかい錠剤となり、保存中の更なる硬度低下と相まって取扱い性が悪化するという別の問題が発生する。また、市販のカンデサルタンシレキセチル製剤は、無包装状態で25℃及び相対湿度75%条件下に3ヵ月間保存後、錠剤硬度が約50%低下し、柔らかくなることが知られている(非特許文献1)。
保存時の硬度確保をする方法の1つとして、保存環境の影響を受け難いように包材に工夫を施す例がある。この手法では、開封前の最終包装形態における硬度低下を抑制することはできる。しかし、近年、外来患者の利便性向上を目的にした複数製剤の一包化を実施する病院又は調剤薬局が増加傾向にある。このような場合は、開封後の硬度低下を担保することはできない。医療現場等では、無包装状態での高い安定性を確保した錠剤をはじめとする各種製剤の潜在的なニーズがある。
保存時の硬度確保をする別の方法として、製造直後の錠剤硬度を高く設定し保存後の硬度を確保する手法も考えられる。ベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体においては、加圧成型の際に加えられる圧力、摩擦、熱等により経時的な含量低下が懸念されるため、単純に錠剤硬度を高くすることでは解決することができない。また、錠剤硬度を高くすることで、製剤からの薬物溶出遅延が起きる場合がある。
一方で、ベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体の製剤中の経時的分解を抑制する方法としては、前記薬効成分の分解抑制を目的として、ステアリン酸等の低融点油脂状物質を配合する方法が知られている(特許文献1)。
このように、ベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体含有製剤の様々な課題に対応する解決手段がいくつか知られてはいるものの、無包装保存時の錠剤硬度低下を抑制する方法については知られていない。以上のように、市販製剤の物性と医療現場等のニーズがマッチしておらず、無包装状態で保存しても錠剤硬度が低下しない、薬物及び製剤の物理化学的安定性が担保されたカンデサルタン製剤の開発が望まれている。
錠剤・カプセル剤の無包装状態での安定性情報改訂6版
本発明は、ベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体含有錠剤組成物において、前記薬効成分が錠剤中で安定であり、錠剤硬度も適度で安定であり、更に適度な溶出速度を兼ね備える錠剤組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体含有錠剤組成物中にステアリン酸及びスプレードライ加工したD−マンニトールを配合し流動層造粒法を組み合わせて錠剤化することにより、前記薬効成分の錠剤中での高い安定性、適度な硬度とその安定性、及び適度な溶出速度を達成することに成功し、本発明を完成した。本発明の好ましい実施形態においては、25℃及び相対湿度75%条件下に無包装で3ヵ月間保存後の錠剤硬度低下率40%以下を達成することに成功した。即ち、本発明の主な構成は次のとおりである。
(1)(A)薬効成分、(B)ステアリン酸、及び(C)スプレードライ加工されたD−マンニトールを含む錠剤組成物であって、前記(A)薬効成分が
一般式(I)
(式中、Xはテトラゾリル基又は5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾリル基を示し、Yはカルボン酸、その薬理学的に許容される塩又はエステルを示す。)
で示されるベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体である錠剤組成物。
(2)25℃及び75%相対湿度条件下に無包装で3ヶ月間保存した際の錠剤硬度低下率が初期硬度の40%以下であることを特徴とする、(1)に記載の錠剤組成物。
一般式(I)
で示されるベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体である錠剤組成物。
(2)25℃及び75%相対湿度条件下に無包装で3ヶ月間保存した際の錠剤硬度低下率が初期硬度の40%以下であることを特徴とする、(1)に記載の錠剤組成物。
(3)前記錠剤組成物が、少なくとも前記(A)薬効成分を含む粉体を流動層造粒法により造粒した後に全ての含有成分を圧縮成型することにより製造される、(1)又は(2)に記載の錠剤組成物。
(4)前記(A)薬効成分の含有量が錠剤組成物に対して0.5〜20質量%である、(1)〜(3)のいずれかに記載の錠剤組成物。
(5)前記(B)ステアリン酸の含有量が錠剤組成物に対して1〜20質量%である、(1)〜(4)のいずれかに記載の錠剤組成物。
(4)前記(A)薬効成分の含有量が錠剤組成物に対して0.5〜20質量%である、(1)〜(3)のいずれかに記載の錠剤組成物。
(5)前記(B)ステアリン酸の含有量が錠剤組成物に対して1〜20質量%である、(1)〜(4)のいずれかに記載の錠剤組成物。
(6)前記(C)スプレードライ加工されたD−マンニトールの含有量が錠剤組成物に対して5〜70質量%である、(1)〜(5)のいずれかに記載の錠剤組成物。
(7)前記(A)薬効成分の含有量が錠剤組成物に対して1〜15質量%、前記(B)ステアリン酸の含有量が錠剤組成物に対して2〜17質量%、及び前記(C)スプレードライ加工されたD−マンニトールの含有量が錠剤組成物に対して10〜65質量%である、(1)〜(6)のいずれかに記載の錠剤組成物。
(8)前記一般式(I)で示されるベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体が、カンデサルタンシレキセチルである、(1)〜(7)のいずれかに記載の錠剤組成物。
(7)前記(A)薬効成分の含有量が錠剤組成物に対して1〜15質量%、前記(B)ステアリン酸の含有量が錠剤組成物に対して2〜17質量%、及び前記(C)スプレードライ加工されたD−マンニトールの含有量が錠剤組成物に対して10〜65質量%である、(1)〜(6)のいずれかに記載の錠剤組成物。
(8)前記一般式(I)で示されるベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体が、カンデサルタンシレキセチルである、(1)〜(7)のいずれかに記載の錠剤組成物。
(9)前記一般式(I)で示されるベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体が、アジルサルタンである、(1)〜(7)のいずれかに記載の錠剤組成物。
(10)薬効成分として、一般式(I)
(式中、Xはテトラゾリル基又は5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾリル基を示し、Yはカルボン酸、その薬理学的に許容される塩又はエステルを示す。)
で示されるベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体、ステアリン酸、及びスプレードライ加工されたD−マンニトールを含む錠剤組成物の製造方法であって、少なくとも前記薬効成分を含む粉体を流動層造粒法により造粒した後に、全ての含有成分を圧縮成型して錠剤化する、錠剤組成物の製造方法。
(10)薬効成分として、一般式(I)
で示されるベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体、ステアリン酸、及びスプレードライ加工されたD−マンニトールを含む錠剤組成物の製造方法であって、少なくとも前記薬効成分を含む粉体を流動層造粒法により造粒した後に、全ての含有成分を圧縮成型して錠剤化する、錠剤組成物の製造方法。
本発明によれば、薬効成分であるベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体を含有する製剤において、ステアリン酸及びスプレードライ加工したD−マンニトールを含有させ、流動層造粒法と組み合わせて錠剤化することにより、前記薬効成分の錠剤中での高い安定性、適度な硬度とその安定性、及び適度な溶出速度を有する錠剤組成物を提供することができる。また、本発明の好ましい実施形態においては、無包装状態で25℃及び相対湿度75%条件下に3ヵ月間保存した際の錠剤硬度低下率が初期硬度の40%以下の錠剤組成物を提供することができる。これらの本発明の効果により、医療現場等において多様化する錠剤の取り扱いに対し、その要望に応えることが可能となる。
以下に、本発明を更に詳細に説明する。
本発明において、薬効成分であるベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体としては、カンデサルタン、カンデサルタンシレキセチル、及びアジルサルタン等を例示することができる。これら薬効成分は、本発明錠剤組成物中の0.5〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは1~15質量%である。
本発明において、薬効成分であるベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体としては、カンデサルタン、カンデサルタンシレキセチル、及びアジルサルタン等を例示することができる。これら薬効成分は、本発明錠剤組成物中の0.5〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは1~15質量%である。
ベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体の錠剤中での安定化をする方法の一つとして、本発明においては、ステアリン酸を使用する(特許文献1参照)。
ステアリン酸の含有量は、ベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体の錠剤中での安定性を確保できれば制限はないが、本発明錠剤組成物中の1〜20質量%であることが好ましく、2〜17質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが更に好ましい。
ステアリン酸の含有量は、ベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体の錠剤中での安定性を確保できれば制限はないが、本発明錠剤組成物中の1〜20質量%であることが好ましく、2〜17質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが更に好ましい。
本発明で用いるD−マンニトールは、スプレードライ加工品であることが必要である。今回、発明者らは、ベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体を含有する錠剤組成物を流動層造粒法により製造するにおいて、スプレードライ加工したD−マンニトールを配合した場合には、通常のD−マンニトールを配合した場合と比較して、同じ打錠圧でも、より高い硬度の錠剤が製造できることを見出した。スプレードライ加工したD−マンニトールは、市販品として入手可能である。例えば、ROQUETTE社製PEARLITOL(登録商標)100SD、PEARLITOL(登録商標)200SD等が好ましい。
スプレードライ加工したD−マンニトールの本発明錠剤組成物中の含有量は、5〜70質量%であることが好ましく、10〜65質量%であることがより好ましく、20〜60質量%であることが更に好ましい。
スプレードライ加工したD−マンニトールの本発明錠剤組成物中の含有量は、5〜70質量%であることが好ましく、10〜65質量%であることがより好ましく、20〜60質量%であることが更に好ましい。
本発明では、ステアリン酸及びスプレードライ加工したD−マンニトール以外に、通常経口投与製剤に使用可能な医薬品添加剤を用いることができる。例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤以外にも、界面活性剤や着色剤等を配合することが可能である。
賦形剤としては、D−マンニトール、乳糖水和物、ショ糖、白糖、ブドウ糖、結晶セルロース、リン酸水素カルシウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
結合剤としては、水溶性の高分子、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール類等が挙げられる。
賦形剤としては、D−マンニトール、乳糖水和物、ショ糖、白糖、ブドウ糖、結晶セルロース、リン酸水素カルシウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
結合剤としては、水溶性の高分子、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール類等が挙げられる。
崩壊剤としては、コーンスターチ、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ等のスターチ類、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース等が挙げられる。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸等が挙げられる。
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート80等が挙げられ、着色剤としては食用黄色5号、三二酸化鉄等が挙げられる。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸等が挙げられる。
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート80等が挙げられ、着色剤としては食用黄色5号、三二酸化鉄等が挙げられる。
本発明の錠剤は、流動層造粒法にて製錠する。すなわち、少なくとも薬効成分であるベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体を含む粉体を流動層造粒法により造粒した後に、全ての含有成分を圧縮成型して製造する。ここで、スプレードライ加工したD−マンニトールの添加時期は特に限定されるものではなく、流動層造粒の前後、いずれの時点で添加しても同じ効果を得ることができる。
本発明の錠剤の製造方法の一例を記載する。ベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体、ステアリン酸、スプレードライ加工したD−マンニトール、崩壊剤、賦形剤等を流動層造粒機に入れ、混合した後、結合剤溶液を噴霧しながら造粒し、造粒物を乾燥した後、滑沢剤等を混合し、打錠機を用いて製錠する。
本発明の錠剤の製造方法の一例を記載する。ベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体、ステアリン酸、スプレードライ加工したD−マンニトール、崩壊剤、賦形剤等を流動層造粒機に入れ、混合した後、結合剤溶液を噴霧しながら造粒し、造粒物を乾燥した後、滑沢剤等を混合し、打錠機を用いて製錠する。
錠剤の製造条件においては、一般的に打錠圧力の違いが錠剤硬度に影響する。打錠圧力を高く設定すれば製造直後の錠剤硬度は高い値を示すが、保存時の硬度低下との間に相関はない。ベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体は、製造工程中の圧力、摩擦、熱等により分解が加速されることから、打錠圧力を比較的低く抑える必要がある。本発明においては、低い打錠圧力で高い錠剤硬度を得ることができるため、ベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体の製造工程中における分解を回避することができる。本発明における好ましい打錠圧力は、錠剤の直径が6mm〜8mm程度の場合には、5kN〜10kNである。このように、本発明では低い打錠圧力で打錠を行うことから、初期硬度は概ね45N〜110Nとなる。ここで、硬度を高くし過ぎると、薬効成分の溶出特性が悪くなるので、好ましくない。尚、初期硬度とは、ポータブルチェッカーPC-30(岡田精工株式会社製)を用いて測定した製造直後の錠剤の硬度を示す。
一方、複数製剤の一包化等、医療現場において多様化する錠剤の取り扱いに対し、その要望に応えるためには、無包装状態での製剤の物理的安定性を確保する必要がある。本発明においては、ステアリン酸及びスプレードライ加工したD−マンニトールを含有させること、及び、流動層造粒法を組み合わせた方法により製造することにより、保存時も含めた錠剤の物理的安定性を高めている。即ち、錠剤の適度な硬度とその高い安定性を確保している。例えば、本発明の好ましい錠剤においては、無包装で25℃及び相対湿度75%条件下で3ヶ月間保存後でも、錠剤の硬度低下率が初期硬度の40%以下となっている。このように、本発明の錠剤は、医療現場で多様化する錠剤の取り扱いに対応可能な錠剤硬度を維持している。
本発明は、以下の実施例によって、更に詳しく説明されるが、これらは本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
試験例1(スプレードライ加工したD−マンニトールの効果)
カンデサルタンシレキセチルを含有する錠剤(実施例1〜3及び比較例1〜3)を表1に示した処方に基づいて、流動層造粒時にスプレードライ加工したD−マンニトールを添加して製造した。錠剤硬度は、ポータブルチェッカーPC-30(岡田精工株式会社製)を用いて測定した。
カンデサルタンシレキセチルを含有する錠剤(実施例1〜3及び比較例1〜3)を表1に示した処方に基づいて、流動層造粒時にスプレードライ加工したD−マンニトールを添加して製造した。錠剤硬度は、ポータブルチェッカーPC-30(岡田精工株式会社製)を用いて測定した。
表1の結果から、実施例1の初期錠剤硬度は比較例1〜3に比べ約2倍高くなり、流動層造粒法とスプレードライ加工したD−マンニトールを組み合わせることで初期錠剤硬度が高められる特異的な性質を見出した。
試験例2(添加時期の違いによる初期錠剤硬度への影響)
表2に示した処方に基づいて、カンデサルタンシレキセチルを含有する錠剤(実施例4〜6)を流動層造粒法にて製造した。
実施例4は、流動層造粒時にスプレードライ加工したD−マンニトールを添加し、その造粒物にステアリン酸マグネシウムを混合した後、打錠機を用いて製錠した。
実施例5は、造粒物にスプレードライ加工したD−マンニトール及びステアリン酸マグネシウムを混合した後、打錠機を用いて製錠した。
実施例6は、造粒物にスプレードライ加工したD−マンニトール、部分アルファー化デンプン及びステアリン酸マグネシウムを混合した後、打錠機を用いて製錠した。
各錠剤の初期硬度は、ポータブルチェッカーPC-30(岡田精工株式会社製)を用いて測定した。
表2に示した処方に基づいて、カンデサルタンシレキセチルを含有する錠剤(実施例4〜6)を流動層造粒法にて製造した。
実施例4は、流動層造粒時にスプレードライ加工したD−マンニトールを添加し、その造粒物にステアリン酸マグネシウムを混合した後、打錠機を用いて製錠した。
実施例5は、造粒物にスプレードライ加工したD−マンニトール及びステアリン酸マグネシウムを混合した後、打錠機を用いて製錠した。
実施例6は、造粒物にスプレードライ加工したD−マンニトール、部分アルファー化デンプン及びステアリン酸マグネシウムを混合した後、打錠機を用いて製錠した。
各錠剤の初期硬度は、ポータブルチェッカーPC-30(岡田精工株式会社製)を用いて測定した。
表2の結果(実施例4〜6)から、流動層造粒法とスプレードライ加工したD−マンニトールの組み合せによる錠剤の高硬度化は、スプレードライ加工したD−マンニトールの添加時期に依存するものではないということを確認することができた。
試験例3(薬効成分含量違いによる初期錠剤硬度)
カンデサルタンシレキセチルを2.0mg〜12.0mg含有する錠剤(実施例7〜10)を表3に示した処方に基づいて、流動層造粒時にスプレードライ加工したD−マンニトールを添加して製造した。錠剤硬度は、ポータブルチェッカーPC-30(岡田精工株式会社製)を用いて測定した。
カンデサルタンシレキセチルを2.0mg〜12.0mg含有する錠剤(実施例7〜10)を表3に示した処方に基づいて、流動層造粒時にスプレードライ加工したD−マンニトールを添加して製造した。錠剤硬度は、ポータブルチェッカーPC-30(岡田精工株式会社製)を用いて測定した。
表3の結果から、薬効成分の含量違いにより、初期錠剤硬度に大きな差は認められず、いずれの含量についても硬度の高い錠剤を得ることができた。
試験例4(カンデサルタンシレキセチル安定性)
前記実施例7、8、及び後述の比較例4、5の各錠剤について、無包装状態で60℃及び相対湿度75%条件下に保存した。保存開始から7日及び21日経過後、各錠剤をアセトニトリル/水(3:2)混液に溶解した。各錠剤中の分解物を高速液体クロマトグラフィーにより測定し、総分解物増加量(面積百分率)を算出した。総分解物増加量(面積百分率)とは、保存後の総分解物量(面積百分率)から開始時の総分解物量(面積百分率)を引いた値を表す。
前記実施例7、8、及び後述の比較例4、5の各錠剤について、無包装状態で60℃及び相対湿度75%条件下に保存した。保存開始から7日及び21日経過後、各錠剤をアセトニトリル/水(3:2)混液に溶解した。各錠剤中の分解物を高速液体クロマトグラフィーにより測定し、総分解物増加量(面積百分率)を算出した。総分解物増加量(面積百分率)とは、保存後の総分解物量(面積百分率)から開始時の総分解物量(面積百分率)を引いた値を表す。
表4の結果から、実施例7、8の錠剤における、60℃及び相対湿度75%条件下に無包装で7日間又は21日間保存した際の薬効成分の安定性は、市販製剤である比較例4、5より優れていた。
試験例5(錠剤硬度変化)
前記実施例7、8及び比較例4、5の各錠剤について、無包装状態で25℃及び相対湿度75%条件下に3ヵ月間供し、その錠剤硬度変化をポータブルチェッカーPC-30(岡田精工株式会社製)を用いて測定した。
前記実施例7、8及び比較例4、5の各錠剤について、無包装状態で25℃及び相対湿度75%条件下に3ヵ月間供し、その錠剤硬度変化をポータブルチェッカーPC-30(岡田精工株式会社製)を用いて測定した。
表5の結果から、実施例7、8の錠剤は、25℃及び相対湿度75%条件下に無包装で3ヵ月間保存しても錠剤硬度低下率は初期硬度の40%以下であった。一方、市販製剤である比較例4、5は、錠剤硬度低下率が各々49%、45%であった。
表6の配合成分比較より、実施例7、8の錠剤中の薬効成分の安定性及び錠剤硬度低下率緩和には、ステアリン酸及びスプレードライ加工したD−マンニトールを含有した錠剤組成、及び、流動層造粒法を組み合わせた方法により製造していることが寄与していると考えられる。
試験例6(溶出性試験)
実施例7、8及び比較例4、5の各錠剤の溶出性について、試験液に1%ポリソルベート20水溶液900 mLを用い、パドル回転数50 rpmの条件にて、溶出試験を行った。45分経過後にサンプリングした溶液中のカンデサルタンシレキセチルを高速液体クロマトグラフィーにより測定した。その結果から、標準溶液の面積に対する試料溶液の面積を比較することで、それぞれの錠剤のカンデサルタンシレキセチル溶出率(%)を算出した。尚、測定方法は、日本薬局方「カンデサルタンシレキセチル錠」に記載の溶出性の条件に準じた。
実施例7、8及び比較例4、5の各錠剤の溶出性について、試験液に1%ポリソルベート20水溶液900 mLを用い、パドル回転数50 rpmの条件にて、溶出試験を行った。45分経過後にサンプリングした溶液中のカンデサルタンシレキセチルを高速液体クロマトグラフィーにより測定した。その結果から、標準溶液の面積に対する試料溶液の面積を比較することで、それぞれの錠剤のカンデサルタンシレキセチル溶出率(%)を算出した。尚、測定方法は、日本薬局方「カンデサルタンシレキセチル錠」に記載の溶出性の条件に準じた。
表7の結果から、実施例7、8の錠剤は、市販製剤である比較例4、5の錠剤と同等の溶出率を示した。
Claims (10)
- 25℃及び75%相対湿度条件下に無包装で3ヶ月間保存した際の錠剤硬度低下率が初期硬度の40%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の錠剤組成物。
- 前記錠剤組成物が、少なくとも前記(A)薬効成分を含む粉体を流動層造粒法により造粒した後に全ての含有成分を圧縮成型することにより製造される、請求項1又は2に記載の錠剤組成物。
- 前記(A)薬効成分の含有量が錠剤組成物に対して0.5〜20質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の錠剤組成物。
- 前記(B)ステアリン酸の含有量が錠剤組成物に対して1〜20質量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の錠剤組成物。
- 前記(C)スプレードライ加工されたD−マンニトールの含有量が錠剤組成物に対して5〜70質量%である、請求項1〜5のいずれかに記載の錠剤組成物。
- 前記(A)薬効成分の含有量が錠剤組成物に対して1〜15質量%、前記(B)ステアリン酸の含有量が錠剤組成物に対して2〜17質量%、及び前記(C)スプレードライ加工されたD−マンニトールの含有量が錠剤組成物に対して10〜65質量%である、請求項1〜6のいずれかに記載の錠剤組成物。
- 前記一般式(I)で示されるベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体が、カンデサルタンシレキセチルである、請求項1〜7のいずれかに記載の錠剤組成物。
- 前記一般式(I)で示されるベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体が、アジルサルタンである、請求項1〜7のいずれかに記載の錠剤組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012274302A JP2014118380A (ja) | 2012-12-17 | 2012-12-17 | ベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体含有錠剤組成物 |
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JP2016013992A (ja) * | 2014-07-03 | 2016-01-28 | 東和薬品株式会社 | 安定なモンテルカストナトリウム含有経口固形医薬組成物、その製造方法、およびモンテルカストナトリウムの類縁物質生成抑制方法 |
JP2018154596A (ja) * | 2017-03-17 | 2018-10-04 | 東和薬品株式会社 | アジルサルタン含有固形医薬組成物 |
JP2020075869A (ja) * | 2018-11-05 | 2020-05-21 | 日本ケミファ株式会社 | カルシウム拮抗剤及びアンジオテンシンii受容体拮抗剤を有効成分として含有する錠剤 |
JP2020090470A (ja) * | 2018-12-07 | 2020-06-11 | ニプロ株式会社 | アジルサルタン及びアムロジピンを含有する医薬組成物及びその製造方法 |
-
2012
- 2012-12-17 JP JP2012274302A patent/JP2014118380A/ja active Pending
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JP2016013992A (ja) * | 2014-07-03 | 2016-01-28 | 東和薬品株式会社 | 安定なモンテルカストナトリウム含有経口固形医薬組成物、その製造方法、およびモンテルカストナトリウムの類縁物質生成抑制方法 |
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