JP5710301B2 - 口腔内崩壊型錠及びその製造方法 - Google Patents
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Description
口腔内速崩壊型錠には、口腔内における速やかな溶解又は崩壊性が求められており種々の技術が提案されている。例えば、特許文献3には、グルコノラクトン又はプルランから選らばれる化合物を添加してなる速崩壊性の圧縮成型製剤が開示されている。
即ち、本発明の目的は、酸性条件下で溶解性が高く且つ中性条件下での溶解性が低い活性薬剤を含みながらも、中性条件下での水溶性が高く、口腔内における優れた崩壊性を有する口腔内崩壊型錠、及び、該口腔内崩壊型錠の製造方法を提供することにある。
<1> pH6.8の中性水に対する37℃における溶解度が0.01mg/mL未満であり、且つ、pH4.0の酸性水に対する37℃における溶解度が0.1mg/mL以上である活性薬剤、ラクトン構造を有する化合物、及びフマル酸ステアリルナトリウムを含有する口腔内崩壊型錠であって、
前記活性薬剤がベニジピン塩酸塩であり、前記ラクトン構造を有する化合物がグルコノラクトンである、口腔内崩壊型錠。
<2> 前記活性薬剤と前記ラクトン構造を有する化合物とを含む造粒物を含む<1>に記載の口腔内崩壊型錠。
<3> 更に、糖アルコールを含有する<1>又は<2>に記載の口腔内崩壊型錠。
<4> pH6.8の中性水に対する37℃における溶解度が0.01mg/mL未満であり、且つ、pH4.0の酸性水に対する37℃における溶解度が0.1mg/mL以上である活性薬剤を含む造粒物を得ること、及び、
前記造粒物及びフマル酸ステアリルナトリウムを少なくとも含む打錠末を得た後、該打錠末を打錠することを含み、
前記造粒物又は前記打錠末が、ラクトン構造を有する化合物を含む口腔内崩壊型錠の製造方法であって、
前記活性薬剤がベニジピン塩酸塩であり、前記ラクトン構造を有する化合物がグルコノラクトンである、口腔内崩壊型錠の製造方法。
<5> 前記造粒物が前記ラクトン構造を有する化合物を含む<4>に記載の口腔内崩壊型錠の製造方法。
<6> 前記造粒物及び前記打錠末が糖アルコールを含む<4>又は<5>に記載の口腔内崩壊型錠の製造方法。
本発明において、組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本発明の口腔内崩壊型錠は、pH6.8の中性水に対する37℃における溶解度が0.01mg/mL未満であり、且つ、pH4.0の酸性水に対する37℃における溶解度が0.1mg/mL以上である活性薬剤(以下、適宜、「特定活性薬剤」と称する。)、ラクトン構造を有する化合物、及びフマル酸ステアリルナトリウムを含有する。
本発明の口腔内崩壊型錠は、pH6.8の中性水に対する37℃における溶解度が0.01mg/mL未満であり、且つ、pH4.0の酸性水に対する37℃における溶解度が0.1mg/mL以上である活性薬剤(特定活性薬剤)を含有する。
本発明における特定活性薬剤の例としては、ベニジピン塩酸塩(37℃、pH6.8の溶解度=1.7×10−4mg/mL、pH4.0の溶解度=0.25mg/mL)であることが特に好ましい。
本発明の口腔内崩壊型錠は、ラクトン構造を有する化合物を含有する。
該ラクトン構造を有する化合物を含有することで、本発明の口腔内崩壊型錠は、口腔内における優れた崩壊性を示すと共に、中性条件下(pH6.8)においても速やかに水に対して溶解することができる。
本発明の口腔内崩壊型錠は、フマル酸ステアリルナトリウムを含有する。該フマル酸ステアリルナトリウムは、滑沢剤として機能しうる成分である。
本発明の口腔内崩壊型錠は、特定活性薬剤及びラクトン構造を有する化合物と共に、フマル酸ステアリルナトリウムを選択的に含有することにより、酸性条件下で溶解性が高く且つ中性条件下での溶解性が低い活性薬剤を含みながらも、崩壊性に特に優れた口腔内崩壊型錠とすることができる。
本発明の口腔内崩壊型錠は、必須成分である、特定活性薬剤、ラクトン構造を有する化合物、及びフマル酸ステアリルナトリウムと共に、他の成分を含有することが好ましい。
本発明の口腔内崩壊型錠は、崩壊剤を含有することが好ましい。
崩壊剤としては、例えば、コーンスターチやバレイショデンプンなどのデンプン、部分アルファー化澱粉、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルアルコール、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルスターチなどが例示される。
これら崩壊剤の中でも、崩壊性の点からは、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースがより好ましい。
本発明の口腔内崩壊型錠は、糖アルコール及びその他の糖類を含有することが好ましい。該糖アルコール及びその他の糖類は、賦形剤として機能しうる成分として添加されることが好ましい。
本発明の口腔内崩壊型錠は、結合剤を含有することが好ましい。
結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、カルメロースナトリウム、アルファー化澱粉、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム末、ゼラチン、プルランなどが挙げられる。
これらの結合剤の中でも、結合性が高いという点からは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースがより好ましい。
本発明の口腔内崩壊型錠は、他の添加剤を含有してもよい。
他の添加剤としては、例えば、アスパルテームのような甘味剤、香料、着色剤、安定化剤などが挙げられる。
本発明の口腔内崩壊型錠の製造方法は、前述した本発明の口腔内崩壊型錠の好適な製造方法であり、pH6.8の中性水に対する37℃における溶解度が0.01mg/mL未満であり、且つ、pH4.0の酸性水に対する37℃における溶解度が0.1mg/mL以上である活性薬剤(特定活性薬剤)を得ること(以下、第1の工程と称する。)、及び、前記造粒物及びフマル酸ステアリルナトリウムを少なくとも含む打錠末を得た後、該打錠末を圧打錠すること(以下、第2の工程と称する。)を含み、前記造粒物又は前記打錠末が、ラクトン構造を有する化合物を含む口腔内崩壊型錠の製造方法である。
本発明の製造方法では、必要に応じて更に他の工程を含んでもよい。
第1の工程では、特定活性薬剤及びラクトン構造を有する化合物を含む造粒物を得る。
造粒物は、特定活性薬剤を含む混合物と、別途調製した結合液と、を用いて湿式造粒法によって調製されることが好ましい。
本発明に適用しうる湿式造粒法としては、例えば、特許第446177号明細書、等に記載の方法を参照することができる。
結合剤としては、本発明の口腔内崩壊型錠が含有しうる結合剤の例として挙げたものが好ましく、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
結合液に含まれる溶媒としては、水又はエタノールを含む水が使用されることが好ましい。
結合液における結合剤の含有量は、0.1質量%〜10質量%が好ましい。
第2の工程では、第1の工程にて選られた造粒物及びフマル酸ステアリルナトリウムを少なくとも含む打錠末を得た後、該打錠末を打錠する。
打錠末は、更に、糖アルコール、崩壊剤、を添加することが好ましい。打錠末に含まれる糖アルコールとしては、D−マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトールなどが好ましい。
糖アルコールのうち、エリスリトールは、水に速やかに溶け、清涼感があるなどの観点から、本工程における打錠末の調製の際に後添加されることが特に好ましい。
打錠末は、更に、口腔内崩壊型錠が含有しうる他の成分(甘味料、香料などを含むものであってもよい。
第2工程に適用される打錠方法としては、この目的で一般に適用されている方法をそのまま適用すればよく、特に制限はない。
・ベニジピン塩酸塩(37℃、pH6.8の溶解度=1.7×10−4mg/mL、pH4.0の溶解度=0.25mg/mL)
・D−マンニトール(商品名:マンニット−P、三菱フードテック(株)製)
・グルコノラクトン(扶桑化学工業(株)製)
・ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業(株)製)
・クロスポビドン(ISP社製)
・F−Melt(富士化学工業(株)製)
・エリスリトール(物産フードサイエンス(株)製)
・フマル酸ステアリルNa(JRS PHARMA製)
・ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株)製)
・流動層造粒機(製品名:FD−MP−01、パウレック(株)製)
・ロータリー打錠機(製品名:HT−P18A、(株)畑鉄工所製)
<造粒物の調製>
ベニジピン塩酸塩 5.1部、D−マンニトール 150部、及びグルコノラクトン 7.2部を混合して、混合物を得た。
別途、ヒドロキシプロピルセルロースを水に溶解して、5%のヒドロキシプロピルセルロース水溶液を準備した。
上記で得た混合物、及び、ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を、流動層造粒機FD−MP−01に仕込み、混合物162.3部に対し、ヒドロキシプロピルセルロースを5.1部含有するように、該流動層造粒機にて造粒し、造粒物を得た。
得られた造粒物100部に、クロスポビドン18部、F−Melt 23部、エリスリトール 36部、及びフマル酸ステアリルNa 1.8部を混合して、打錠末を調製した。
得られた打錠末120mgを、ロータリー打錠機HT−P18Aで、打錠圧500kgf(5kN)で打錠し、実施例1の口腔内崩壊型錠を得た。
<造粒物の調製>
ベニジピン塩酸塩 6.8部、D−マンニトール 120部、及びグルコノラクトン 9.6部を混合して、混合物を得た。
別途、ヒドロキシプロピルセルロースを水に溶解して、5%のヒドロキシプロピルセルロース水溶液を準備した。
上記で得た混合物、及び、ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を、流動層造粒機FD−MP−01に仕込み、混合物136.4部に対し、ヒドロキシプロピルセルロースを6.9部含有するように、該流動層造粒機にて造粒して、造粒物を得た。
得られた造粒物 64部に、クロスポビドン 18部、F−Melt 23部、D−マンニトール 36部、エリスリトール 36部、及びフマル酸ステアリルNa 1.8部を混合して、打錠末を調製した。
得られた打錠末120mgを、ロータリー打錠機HT−P18Aで、打錠圧 500kgf(5kN)で打錠し、実施例2の口腔内崩壊型錠を得た。
<造粒物の調製>
ベニジピン塩酸塩 6.8部、D−マンニトール 120部、及びグルコノラクトン 9.6部を混合して、混合物を得た。
別途、ヒドロキシプロピルセルロースを水に溶解して、5%のヒドロキシプロピルセルロース水溶液を準備した。
上記で得た混合物、及び、ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を、流動層造粒機FD−MP−01に仕込み、混合物136.4部に対し、ヒドロキシプロピルセルロースを6.9部含有するように、該流動層造粒機にて造粒して、造粒物を得た。
得られた造粒物 59.7部に、クロスポビドン 18部、F−Melt 23部、エリスリトール 72部、及びフマル酸ステアリルNa 1.8部を混合して、打錠末を調製した。
得られた打錠末120mgを、ロータリー打錠機HT−P18Aで、打錠圧 500kgf(5kN)で打錠し、実施例3の口腔内崩壊型錠を得た。
<造粒物の調製>
ベニジピン塩酸塩 6.8部と、D−マンニトール120部とを混合して、混合物を得た。
別途、ヒドロキシプロピルセルロースを水に溶解して、5%のヒドロキシプロピルセルロース水溶液を準備した。
上記で得た混合物、及び、ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を、流動層造粒機(FD−MP−01に仕込み、混合物126.8部に対し、ヒドロキシプロピルセルロースを6.9部含有するように、該流動層造粒機にて造粒して、造粒物を得た。
得られた造粒物 59.7部に、クロスポビドン 18部、F−Melt 23部、エリスリトール 36部、D−マンニトール 36部、グルコノラクトン 4.3部、及びびフマル酸ステアリルNa 1.8部を混合して、打錠末を調製した。
得られた打錠末120mgをロータリー打錠機HT−P18Aで、打錠圧 500kgf(5kN)で打錠し、実施例3の口腔内崩壊型錠を得た。
実施例1において用いたフマル酸ステアリルNaを、ステアリン酸マグネシウムに変更し、更に、打錠圧 900kgf(9kN)で打錠した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の口腔内崩壊型錠を得た。
実施例4において用いたフマル酸ステアリルNaを、ステアリン酸マグネシウムに変更し、更に、打錠圧 900kgf(9kN)で打錠した以外は、実施例4と同様にして比較例2の口腔内崩壊型錠を得た。
実施例及び比較例にて得られた口腔内崩壊型錠について、硬度、厚み、直径、崩壊時間を測定した。測定方法の詳細は以下の通りである。結果を下記表1に示す。
岡田精工(株)製の錠剤硬度計PC−30(製品名)を用いて、各口腔内崩壊型錠の硬度を測定した。
各口腔内崩壊型錠の厚み及び直径を、デジタル厚さ計を用いて測定した。
各口腔内崩壊型錠の崩壊時間(秒)を、岡田精工(株)製の口腔内崩壊錠試験装置 トリコープテスタ(製品名)を用いて測定した。
また、実施例1〜3と実施例4との対比からは、造粒物に特定活性薬剤及びラクトン構造を有する化合物を含有させた場合において、よりは崩壊性に優れた口腔内崩壊型錠が得られることが分かる。
更に、実施例及び比較例にて得られた口腔内崩壊型錠について、溶出試験機DT−810(製品名、日本分光(株)製)により、溶出性を評価した。その結果、実施例の各口腔内崩壊型錠は、いずれも優れた溶出性を示すものであることが確認された。
Claims (6)
- pH6.8の中性水に対する37℃における溶解度が0.01mg/mL未満であり、且つ、pH4.0の酸性水に対する37℃における溶解度が0.1mg/mL以上である活性薬剤、ラクトン構造を有する化合物、及びフマル酸ステアリルナトリウムを含有する口腔内崩壊型錠であって、
前記活性薬剤がベニジピン塩酸塩であり、前記ラクトン構造を有する化合物がグルコノラクトンである、口腔内崩壊型錠。 - 前記活性薬剤と前記ラクトン構造を有する化合物とを含む造粒物を含む請求項1記載の口腔内崩壊型錠。
- 更に、糖アルコールを含有する請求項1又は請求項2に記載の口腔内崩壊型錠。
- pH6.8の中性水に対する37℃における溶解度が0.01mg/mL未満であり、且つ、pH4.0の酸性水に対する37℃における溶解度が0.1mg/mL以上である活性薬剤を含む造粒物を得ること、及び、
前記造粒物及びフマル酸ステアリルナトリウムを少なくとも含む打錠末を得た後、該打錠末を打錠することを含み、
前記造粒物又は前記打錠末が、ラクトン構造を有する化合物を含む口腔内崩壊型錠の製造方法であって、
前記活性薬剤がベニジピン塩酸塩であり、前記ラクトン構造を有する化合物がグルコノラクトンである、口腔内崩壊型錠の製造方法。 - 前記造粒物が、前記ラクトン構造を有する化合物を含む請求項4に記載の口腔内崩壊型錠の製造方法。
- 前記造粒物及び前記打錠末が、糖アルコールを含む請求項4又は請求項5に記載の口腔内崩壊型錠の製造方法。
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