JP5843467B2 - 斜面落下物防護ネット構造 - Google Patents

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Description

本発明は斜面落下物防護ネット構造、特に、岩石や倒木あるいは雪等(以下、まとめて「斜面落下物」と称す)の落下のおそれがある法面や沢地等に設置され、斜面落下物を受け止める斜面落下物防護ネット構造に関する。
従来、落石防護ネット構造には、覆い式とポケット式に大別されるものの、比較的小規模に構築することができることからポケット式が多用されている。そして、施工性と共に、落石防護性能、信頼性及び耐久性を向上しコスト節減した防護ネットの工法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第2916633号公報(第3−4頁、図1)
特許文献1に開示された防護ネットは、金網の両側縁に組み込まれた側部縦主ロープと上端部に組み込まれた上端部横主ロープによって補強し、法面や沢地等(以下、まとめて「斜面」と総称する)に設けた支柱アンカーに支柱をヒンジ連結して斜面の上下方向の傾動を可能に建て込み、斜面にアンカーした吊りロープ及びサイドロープの上端部を支柱の上部に接続して支保し、側部縦主ロープの上端部を支柱の上部に接続するとともに、両端部をアンカーした上端部横主ロープを支柱の上部でスライド可能に支持し、金網の上半部分を落石エネルギーを緩衝して吸収するポケット部に構成したものである。
すなわち、支柱は吊りロープとサイドロープと側部縦主ロープとによって支保され、側部縦主ロープは金網の左右の両側縁に組み込まれて、金網を補強するものである。このため、金網が落石を受け止めた際、落石エネルギーによって金網は膨出するから、金網を補強している上端部横主ロープや側部縦主ロープは内側に引き込まれながら引き延ばされる。このとき、側部縦主ロープの上端部は支柱の上部に連結されているから、支柱には側部縦主ロープを経由して落石エネルギーの一部が伝達されることになる。
そうすると、支柱には、支柱を金網側(受け止めて落石側)に倒そうとする偏荷重や、支柱を支柱アンカーから引き離そうとする力が作用し、サイドロープ(特に、金網から遠い側に配置されたサイドロープ)には引張力が作用したり、支柱と支柱アンカーとを連結するヒンジにはヒンジを構成する傾動機構部(ヒンジ軸およびガイド部材)を折り曲げようとする力が作用したり、さらには、支柱アンカーを斜面から引き抜こうとする力が作用したりするという問題があった。
このため、サイドロープが破断したり、サイドロープの端部を斜面に固定するためのアンカーが浮き上がったり、さらには、支柱アンカーが破損したり不安定になったりしていた(一時的に斜面から浮き上がった後、斜面に押し付けられる)。
また、引き延ばされた上端部横主ロープは支柱の上部で摺動しようとするものの、支柱には側部縦主ロープの上端部が接続されているから、金網の上端(上端部横主ロープが組み込まれている)に近い範囲と金網の側縁部(縦ロープが組み込まれている)に近い範囲とが重なった範囲(金網の上端部の両方の角部に同じ)が、支柱が倒れない限り、引き裂かれるという問題があった。すなわち、上端部横ロープをスライド自在に支持しようとする機能が実質的に実現され難い構造になっていた。
本発明は、このような問題を解決するものであって、金網を確実に支持する支柱でありながら、金網が落石を受け止めた際、支柱を倒そうとする偏荷重や支柱を支柱アンカーから引き離そうとする力を抑えることができる斜面落下物防護ネット構造を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る斜面落下物防護ネット構造は、斜面に固定された一対の支柱アンカー手段に下端部が傾動可能に接続された一対のヒンジ支柱と、
前記ヒンジ支柱の上端部の前記斜面の上流側になる面に一方の端部が接続され、前記斜面に固定された吊りロープ固定手段に他方の端部が接続された吊りロープと、
前記ヒンジ支柱の上端部の前記斜面の左右方向の面に一方の端部が接続され、前記斜面に固定されたサイドロープ固定手段に他方の端部が接続されたサイドロープと、
前記一対のヒンジ支柱の間に配置された防護ネットと、
該防護ネットの両方の側部に設置された側部縦主ロープと、
前記斜面に固定された上端部横主ロープ固定手段に両方の端部が接続され、前記防護ネットの上端部が接続された上端部横主ロープと、
前記ヒンジ支柱の上端部に設置され、前記上端部横主ロープの前記防護ネットが設置された範囲を除く範囲の一部を回転支持する上端部横主ロープ支持手段と、
を有し、
前記側部縦主ロープの上端部が前記上端部横主ロープに接続され
前記上端部横主ロープ支持手段が、一対の案内板と、該一対の案内板の間に回転自在に配置された3本の回転ローラと、を具備し、
前記3本の回転ローラは、側面視で三角形の頂点に相当する位置に配置される1本の上回転ローラと、側面視で三角形の底辺の両端に相当する位置にそれぞれ配置される2本の下回転ローラと、からなり、
前記上端部横主ロープの前記側部縦主ロープが接続されて前記防護ネットが設置された範囲を除く範囲の一部が、前記一対の案内板と前記1本の上回転ローラと前記2本の下回転ローラとによって包囲された間を通過自在であることを特徴とする。
(2)また、両方の端部がそれぞれ前記斜面に固定された横主ロープ固定手段に接続され、前記側部縦主ロープと交差すると共に、該交差部において互いに接続されている横主ロープを有することを特徴とする
)また、前記一対の案内板によって、平面視において、中央範囲に互いに略平行な側板平行部と、該側板平行部から端部に向かって徐々に互いの間隔が増大する側板拡大部とが、形成されていることを特徴とする
(i)本発明に係る斜面落下物防護ネット構造は、防護ネット自体と防護ネットを補強する側部縦主ロープとが上端部横主ロープに接続され、側部縦主ロープはヒンジ支柱に接続されたものではないから、防護ネットが落石等の斜面落下物を受け止めた際、防護ネットは膨出し、側部縦主ロープおよび上端部横主ロープは内側(落石の方向)に引き込まれて伸ばされるものの、落石の衝撃エネルギー(衝撃力)は上端部横主ロープに伝達され、ヒンジ支柱に直接伝達されることがない。
したがって、ヒンジ支柱に作用する、ヒンジ支柱を倒そうとする偏荷重やヒンジ支柱を支柱アンカーから引き離そうとする力を抑えることができるから、サイドロープが破断したり、サイドロープ固定手段が破損したり浮き上がったり、あるいは、支柱アンカー手段が不安定になったりすることを防止することができる。
また、上端部横主ロープは上端部横主ロープ支持手段に回転支持または摺動支持され、しかも、側部縦主ロープはヒンジ支柱に接続されていないから、防護ネットが落石を受け止めた際、側部縦主ロープおよび上端部横主ロープはヒンジ支柱に拘束されることなく、内側(斜面落下物を受け止めた位置の方向)に引き込まれて伸ばされるから、防護ネットが膨出する変形性能が向上する。すなわち、落石の衝突エネルギーに対して、防護ネット、側部縦主ロープおよび上端部横主ロープそれぞれの変形によるエネルギー吸収が促進されることになる。
(ii)また、横主ロープを有するから、防護ネットを補強し、斜面落下物の衝突エネルギーの吸収を促進する。さらに、斜面の上下方向で横主ロープの長さを変更することによって、例えば、防護ネットの上寄りの範囲を斜面から離して、斜面落下物を受け止める捕捉部(ポケット部)にし、一方、防護ネットの下寄りの範囲を斜面に近づけて、捕捉した斜面落下物を貯蔵する貯蔵部にすることができる。
(iii)さらに、上端部横主ロープの一部が一対の案内板と複数の回転ローラとによって包囲されるから、上端部横主ロープの一部は主に回転支持されることになる。したがって、防護ネットが落石を受け止めた際の衝撃による伸びや、昼夜ないし季節の温度変動による伸びに対し、上端部横主ロープはこれを支持する当接体との間で摺動がない(正確には、案内板との間で摺動したり、回転ローラとの間で僅かに摺動したりすることがある)から、局部的な摩耗が抑えられる。
また、上端部横主ロープと上端部横主ロープ支持手段との間の摩擦が低減するから、防護ネットが斜面落下物を受け止めた際、上端部横主ロープは内側(斜面落下物を受け止めた位置の方向)に引き込まれるものの、ヒンジ支柱にはヒンジ支柱を倒そうとする力が伝達され難くなる。すなわち、ヒンジ支柱には軸方向の力が作用するものの、曲げようとする力や倒そうとする力が抑えられるから、ヒンジ支柱および支柱アンカー手段の耐久性が向上する。さらに、該耐久性の向上分を軽量化に反映することも可能になる。
本発明の実施の形態1に係る斜面落下物防護ネット構造を説明する正面図。 図1に示す斜面落下物防護ネット構造を示す側面図。 図1に示す斜面落下物防護ネット構造の一部(支柱アンカー手段)を示す正面図および側面図。 図1に示す斜面落下物防護ネット構造の一部(上端部横主ロープ支持手段)を示す平面図、正面図および側面図。 図1に示す斜面落下物防護ネット構造の作用を説明する正面図および比較材の作用を説明する正面図。
[実施の形態1:斜面落下物防護ネット構造]
図1〜図5は本発明の実施の形態1に係る斜面落下物防護ネット構造を説明するものであって、図1は正面図、図2は側面図、図3の(a)および(b)は一部(支柱アンカー手段)を示す正面図および側面図、図4の(a)、(b)および(c)は一部(上端部横主ロープ支持手段)を示す平面図、正面図および側面図、図5の(a)および(b)は作用を説明する正面図および比較材の作用を説明する正面図である。なお、各図は模式的に示すものであって、本発明は図示された形態に限定されるものではない。
図1および図2において、斜面落下物防護ネット構造1は、下端部12a、12bが斜面9に固定された支柱アンカー手段20a、20bにそれぞれ傾動可能に接続されたヒンジ支柱10a、10bと、
一方の端部31a、31bがヒンジ支柱10a、10bの上端部11a、11bにそれぞれ接続され、他方の端部32a、32bが斜面9に固定された吊りロープ固定手段39a、39bにそれぞれ接続された吊りロープ30a、30bと、
一方の端部41aがヒンジ支柱10aの上端部11aにそれぞれ接続され、他方の端部42aが斜面9に固定されたサイドロープ固定手段49aにそれぞれ接続された一対のサイドロープ40aと、
一方の端部41bがヒンジ支柱10bの上端部11bにそれぞれ接続され、他方の端部42bが斜面9に固定されたサイドロープ固定手段49bにそれぞれ接続された一対のサイドロープ40bと、を有している。
すなわち、支柱アンカー手段20a、20bはそれぞれ、吊りロープ30a、30bと一対のサイドロープ40a、40bとによって支承されている。
さらに、斜面落下物防護ネット構造1は、両方の側部に側部縦主ロープ50a、50bがそれぞれ設置された防護ネット60と、
両方の端部71a、71bがそれぞれ斜面9に固定された上端部横主ロープ固定手段79a、79bに接続され、防護ネット60の上端部(図中、C−Dの範囲)が設置されると共に、側部縦主ロープ50a、50bの上端部51a、51bが吊り金物72を介して接続された上端部横主ロープ70と、
ヒンジ支柱10a、10bの上端部11a、11bに設置され、上端部横主ロープ70の防護ネット60が設置された範囲を除く範囲(図中、A−Cの範囲およびB−Dの範囲)の一部を回転支持する上端部横主ロープ支持手段80a、80bと、
側部縦主ロープ50a、50bに交差し、交差部95a、95bにおいて側部縦主ロープ50a、50bにそれぞれ接続され、両方の端部91a、91bがそれぞれ斜面9に固定された横主ロープ固定手段99a、99bに接続された複数の横主ロープ90を有している。
なお、以下の説明において、共通する内容については符号の添え字「a、b」の記載を省略する。
(防護ネット)
また、防護ネット60は所定の目開きを具備するネット面部61と、ネット面部61を補強する複数の縦補強ロープ62および複数の横補強ロープ63とを具備している。
このとき、縦補強ロープ62の上端部は吊り金物72を介して上端部横主ロープ70に接続され、下端部は、最下方に配置された横主ロープ90に接続されている。また、横補強ロープ63の両方の端部は側部縦主ロープ50a、50bにそれぞれ接続されている。そして、縦補強ロープ62と横補強ロープ63とは交差部において互いに接続されている。
横主ロープ90は防護ネット60の高さ方向の位置に応じて長さが相違し、例えば、図2に示す例では、防護ネット60の上部分が鉛直に垂下するようにして、落石を付け止める落石捕捉部(ポケット部に同じ)2を形成し、防護ネット60の下部分は斜面9に沿うようにして(部分的に斜面9に当接または部分的に斜面9から浮き上がっている)、捕捉した落石を保管する落石保管部3を形成している。
(支柱アンカー手段)
図3において、ヒンジ支柱10の下端部12には、下方に突出するように支柱ヒンジ板15が設置され、支柱ヒンジ板15にはヒンジ孔16が形成されている。
支柱アンカー手段20は、ヒンジ孔16を貫通自在なヒンジ軸26と、ヒンジ軸26を支持するアンカーヒンジ板25と、アンカーヒンジ板25が固定されたアンカーベース24と、を有し、アンカーベース24は斜面9に固定されているベース固定アンカー29によって、設置されている。
そして、ヒンジ軸26は防護ネット60の面と略平行になるように設置されている。すなわち、支柱ヒンジ板15は上下方向の面(鉛直面)と略平行な面内で傾動自在になっている(正確には、ヒンジ支柱10を支承する前記ロープが伸びた際あるいは緩んだ際に傾動する)。
(上端部横主ロープ支持手段)
図4において、上端部横主ロープ支持手段(以下、「ロープ支持手段」と称す)80は、ヒンジ支柱10の上端部11に設置された支持基板81と、支持基板81に上端部横主ロープ70が通過自在な間隔を空けて設置された一対の案内板82と、一対の案内板82の間に回転自在に配置された1本の上回転ローラ83および2本の下回転ローラ84と、を具備している。
このとき、側面視において、上回転ローラ83は三角形の頂点の位置に、2本の下回転ローラ84はそれぞれ三角形の底辺の両端の位置に配置され、上回転ローラ83と2本の下回転ローラ84との間(三角形の斜辺に相当する範囲)は、上端部横主ロープ70が通過自在な間隔になっている。また、一対の案内板82は、平面視において左右方向の両側縁に近い範囲が外になる程拡大するハ字状を呈し、左右方向の中央範囲が略平行になっている。
したがって、上端部横主ロープ70は一対の案内板82、1本の上回転ローラ83および2本の下回転ローラ84によって包囲されるから、防護ネット60が落石を受け止めた際の衝撃によって上端部横主ロープ70が踊った(振れたり飛び跳ねたりした)場合でも、上端部横主ロープ70がヒンジ支柱10の上端部11から外れることがない。
また、上端部横主ロープ70は2本の下回転ローラ84に回転支持されるから、防護ネット60が落石を受け止めた際の衝撃力による伸びや、昼夜ないし季節の温度変動による伸びに対し、表面が擦られることがない(正確には、案内板82との間で摺動したり、下回転ローラ84との間で僅かに摺動したりすることがある)から、局部的な摩擦や摩耗が抑えられ、グリース塗布等の保全作業の負担を軽減することができる。
なお、本発明は下回転ローラ84の本数を2本に限定するものではなく、1本でも3本以上であってもよい。同様に、上回転ローラ83の本数を1本に限定するものではない。
また、一対の案内板82は平面視で対称な形状であるものに限定するものではなく、非対称であってもよいし、平面視で略円弧状であってもよい。
さらに、回転自在な上回転ローラ83または下回転ローラ84に替えて、回転不能な円筒体や断面略円弧状部材にしてもよい。このとき、上端部横主ロープ70は摺動支持されることになり、前記回転支持ほどの顕著な効果は得られないものの、後記する上端部横主ロープ70に側部縦主ロープ50の上端部が接続されていることの効果が得られる。
また、図4の(c)では、側部縦主ロープ50の上端部51が上端部横主ロープ70に直接接続された例を示しているが、図1に示すように、吊り金物72を介して接続するようにしてもよい。
(ヒンジボルト)
図4において、ヒンジ支柱10の上端部11で、斜面9の上流側になる面に、吊りヒンジ板13が設置され、吊りヒンジ板13に形成されたヒンジ孔(図示しない)を貫通するヒンジボルト33によって、吊りロープ30に端部32がヒンジ支柱10に接続されている。また、ヒンジ支柱10の上端部11で、左右方向の面に、サイドヒンジ板14が設置され、サイドヒンジ板14に形成されたヒンジ孔(図示しない)を貫通するヒンジボルト43によって、サイドロープ40の端部42がヒンジ支柱10に接続されている。
なお、吊りロープ固定手段39、サイドロープ固定手段49、上端部横主ロープ固定手段79、横主ロープ固定手段99は、支柱アンカー手段20に準じた構造であって、支柱アンカー手段20におけるヒンジ軸26をヒンジボルトに変更したものに相当するから、説明を省略する。
(作用)
図5は本発明の斜面落下物防護ネット構造1の作用を模式的に説明するものであって、(a)は落石を受け止めたときの正面図、(b)は比較のための特許文献1に記載された従来の防護ネットが落石を受け止めたときの正面図である。
なお、理解を容易にするため、特許文献1に記載された防護ネットにおいて、本発明の斜面落下物防護ネット構造と同一または相当する部材については同じ名称とし、同じ符号を付す。
図5の(a)において、前記のようにヒンジ支柱10は、吊りロープ30とサイドロープ40との二部材によって、支承され、防護ネット60の両方の側縁に設置された側部縦主ロープ50の上端部51は上端部横主ロープ70に接続されている。このため、防護ネット60が落石Rを受け止めた際、防護ネット60は斜面9から離れる方向に膨出し、側部縦主ロープ50および上端部横主ロープ70は何れも伸ばされる。
このとき、防護ネット60の両方の側縁は正面視で互いに近づく(それぞれヒンジ支柱10から離れる方向に移動する)から、防護ネット60、側部縦主ロープ50および上端部横主ロープ70の何れも変形性能が向上し、落石衝突時のエネルギーに対するそれぞれの変形によるエネルギー吸収が円滑になるという効果が得られる。
また、前記のように、ヒンジ支柱10を倒そうとする偏荷重が作用していないから、サイドロープ40や支柱アンカー手段20の破損が防止され、支柱転倒に対する信頼性が向上するという効果が得られる。
一方、図5の(b)において、比較のための特許文献1に記載された従来の落石防護ネット(以下、「従来落石防護ネット4」と称す)は、本発明の斜面落下物防護ネット構造1と同じ部分または相当する部分に同じ名称および同じ符号を付して説明すると、ヒンジ支柱10は、吊りロープ30とサイドロープ40と側部縦主ロープ50の三部材によって支承されている。
すなわち、従来落石防護ネット4では、防護ネット60の両方の側縁に設置された側部縦主ロープ50の上端部51はヒンジ支柱10の上端部11に接続されているため、防護ネット60が落石Rを受け止めた際、防護ネット60は斜面9から離れる方向に膨出し、側部縦主ロープ50および上端部横主ロープ70は何れも伸ばされる。このとき、正面視で、側部縦主ロープ50は湾曲して、ヒンジ支柱10には上端部11が近づく方向に倒そうとする偏荷重が作用するから、支柱転倒に対する信頼性が悪化していた。
なお、以上は、斜面落下物として「落石」を受け止めた場合を例にして説明しているが、本発明はこれに限定するものではなく、斜面落下物とは、法面や沢地等の斜面に設置され、斜面を落下する(転がり落ちる、あるいは滑り落ちる)倒木、雪、あるいは工事現場等に一時的に設置される機材や家屋等、を含むものである。
本発明は以上の構成であるから、斜面に設置されて落石を受け止めるだけでなく、各種斜面を落下する諸々の物を受け止める落下防止手段等として、広く利用することができる。
1 斜面落下物防護ネット構造
2 落石捕捉部
3 落石保管部
4 従来落石防護ネット
9 斜面
10 ヒンジ支柱
11 上端部
12 下端部
13 吊りヒンジ板
14 サイドヒンジ板
15 支柱ヒンジ板
16 ヒンジ孔
20 支柱アンカー手段
24 アンカーベース
25 アンカーヒンジ板
26 ヒンジ軸
29 ベース固定アンカー
30 吊りロープ
31 端部
32 端部
33 ヒンジボルト
39 吊りロープ固定手段
40 サイドロープ
41 端部
42 端部
43 ヒンジボルト
49 サイドロープ固定手段
50 側部縦主ロープ
51 上端部
60 防護ネット
61 ネット面部
62 縦補強ロープ
63 横補強ロープ
70 上端部横主ロープ
71 端部
72 吊り金物
79 上端部横主ロープ固定手段
80 上端部横主ロープ支持手段
81 支持基板
82 案内板
83 上回転ローラ
84 下回転ローラ
90 横主ロープ
91 端部
95 交差部
99 横主ロープ固定手段
R 落石

Claims (3)

  1. 斜面に固定された一対の支柱アンカー手段に下端部が傾動可能に接続された一対のヒンジ支柱と、
    前記ヒンジ支柱の上端部の前記斜面の上流側になる面に一方の端部が接続され、前記斜面に固定された吊りロープ固定手段に他方の端部が接続された吊りロープと、
    前記ヒンジ支柱の上端部の前記斜面の左右方向の面に一方の端部が接続され、前記斜面に固定されたサイドロープ固定手段に他方の端部が接続されたサイドロープと、
    前記一対のヒンジ支柱の間に配置された防護ネットと、
    該防護ネットの両方の側部に設置された側部縦主ロープと、
    前記斜面に固定された上端部横主ロープ固定手段に両方の端部が接続され、前記防護ネットの上端部が接続された上端部横主ロープと、
    前記ヒンジ支柱の上端部に設置され、前記上端部横主ロープの前記防護ネットが設置された範囲を除く範囲の一部を回転支持する上端部横主ロープ支持手段と、
    を有し、
    前記側部縦主ロープの上端部が前記上端部横主ロープに接続され
    前記上端部横主ロープ支持手段が、一対の案内板と、該一対の案内板の間に回転自在に配置された3本の回転ローラと、を具備し、
    前記3本の回転ローラは、側面視で三角形の頂点に相当する位置に配置される1本の上回転ローラと、側面視で三角形の底辺の両端に相当する位置にそれぞれ配置される2本の下回転ローラと、からなり、
    前記上端部横主ロープの前記側部縦主ロープが接続されて前記防護ネットが設置された範囲を除く範囲の一部が、前記一対の案内板と前記1本の上回転ローラと前記2本の下回転ローラとによって包囲された間を通過自在であることを特徴とする斜面落下物防護ネット構造。
  2. 両方の端部がそれぞれ前記斜面に固定された横主ロープ固定手段に接続され、前記側部縦主ロープと交差すると共に、該交差部において互いに接続されている横主ロープを有することを特徴とする請求項1記載の斜面落下物防護ネット構造。
  3. 前記一対の案内板によって、平面視において、中央範囲に互いに略平行な側板平行部と、該側板平行部から端部に向かって徐々に互いの間隔が増大する側板拡大部とが、形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の斜面落下物防護ネット構造。
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