JP5843291B2 - 複合溶射皮膜 - Google Patents
複合溶射皮膜 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5843291B2 JP5843291B2 JP2013054664A JP2013054664A JP5843291B2 JP 5843291 B2 JP5843291 B2 JP 5843291B2 JP 2013054664 A JP2013054664 A JP 2013054664A JP 2013054664 A JP2013054664 A JP 2013054664A JP 5843291 B2 JP5843291 B2 JP 5843291B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- composite
- sprayed coating
- powder
- boride
- alloy
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Powder Metallurgy (AREA)
- Coating By Spraying Or Casting (AREA)
Description
(1)溶融ガラスとの摩擦係数が小さく、滑り性が良好であること。
(2)耐高温摩耗性に優れ、初期の性能を長期間維持できること。
(3)汚れが付着しにくく、また溶融ガラスを汚染しないこと。
(4)保守点検が容易で再生が可能であること。
(5)経済的であること
(1)特許文献1〜5には、成形用プランジャーの表面やガラス塊搬送部材の表面に、自溶合金、炭化物(Cr3C2)や酸化物の粒子を用いたサーメット溶射皮膜を被覆する方法、特許文献6〜7には、溶融ガラス塊の供給用治具の表面に、窒化物や炭化物、酸化膜などを被覆形成する方法などが開示されている。
(2)また、特許文献8には、CVD法あるいはPVD法によるTiNやTiCN、TiB2、SiCなどの薄膜を被覆する技術が開示されている。
(3)さらに、特許文献9には、板ガラスの成形用ロールに耐熱、耐食性合金の皮膜を被覆する方法が開示されている。
(1)前記金属硼化物粉末は、粒径5〜60μmのTiB2、ZrB2、HfB2、VB、TaB、NbB、W2B5、CrB2、NiBおよびMoBら選ばれるいずれか一種以上からなること、
(2)前記耐熱金属・合金粉末は、粒径5〜60μmのNiもしくはCr含有量が50mass%以下のNi−Cr合金であること、
(3)前記プラスチック粉末は、粒径1〜60μmの熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂から選ばれる一種類以上からなること、
(4)前記複合粒子は、金属硼化物:20〜90mass%、残部が耐熱金属・合金からなる混合比率のサーメット混合体を含むものであること、
(5)前記複合粒子は、金属硼化物と耐熱金属・合金とからなるサーメット混合体に対して、容量で0.5〜10%のプラスチック粉末を含むものであること、
(6)Ni−Cr合金を含む前記硼化物系サーメットの多孔質溶射皮膜は、この皮膜中の開気孔内のCrの少なくとも一部が炭化クロム化合物であること、
(7)前記複合粒子は、粒径10〜120μmの大きさで一体化した硼化物系サーメットの複合粒子であること、
などの構成にすることがより好ましい実施の形態になると考えられる。
本発明で用いる溶射皮膜形成用複合粉末材料は、セラミック質の金属硼化物粉末(A)、金属質の耐熱金属・合金の粉末(B)、有機高分子質のプラスチック粉末(C)の3成分によって構成される。
(A)金属硼化物粉(セラミック質):TiB2、ZrB2、、HfB2、VB、TaB、NbB、W2B5、CrB2、NiB、MoB(なお、硼化物の分子式は、製造条件によって変化するので絶対的なものではない。ここでは、市販品の表示に従ったものを記載した)
(B)耐熱金属・耐熱合金(金属質):
a.耐熱金属:金属Ni(単独または、Ni−Cr合金との混合使用も可)
b.耐熱合金:Crを50mass%未満含有するNi−Cr合金
(C)プラスチック(有機高分子質):
a.熱硬化性樹脂樹脂:フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂など
b.熱可塑性樹脂樹脂:ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネイトなど
そもそも前記の3成分(金属硼化物、耐熱金属・合金、プラスチック)は、それぞれの物理化学的性質だけでなく、溶射皮膜形成用複合粉末材料を製造するプロセスにおいて重要な役割を果す密度がかなり異なるものどうしである。従って、これらの異質な成分を単純に混合しただけでは、均一に混合した一体化した溶射皮膜形成用複合粉末材料とすることはできない。例えば、これらの各成分の代表的な密度を比較すると、下記のとおりであり、3成分間の種類はもとより、とくに金属硼化物においては、金属硼化物自体の種類によっても、密度に大きな相違が見られる。
(A)金属硼化物:TaB2(12.38) W2B5(11.0) ZrB2(6.17) CrB2(5.22)
(B)金属 :Cr(7.19) Ni(8.9)
(C)プラスチック:フェノール樹脂(1.21〜1.30) メラミン樹脂(1.48) エポキシ樹脂(1.10〜1.40) ポリイミド樹脂(1.43〜1.51) ポリエチレン樹脂(0.94〜0.96) アクリル樹脂(1.17〜1.20) ポリアミド樹脂(1.12〜1.14)
上記( )内の数字は密度(g/cm3)を示す。
以下にその工程の詳細について説明する。
前述した硼化物系サーメットからなる複合溶射皮膜を被成する対象となる金型等の基材としては、鋳鉄や鋳鋼、炭素鋼、工具鋼、低合金鋼などの鋼鉄製のものが好適である。その他、Alおよびその合金、Tiおよびその合金、Mg合金などの非鉄金属をはじめ、セラミック焼結体や焼結炭素、粉末焼結材なども用いることができる
溶射法によって形成された上述した3成分からなる硼化物系サーメットの多孔質複合溶射皮膜には、通常、溶射皮膜特有の気孔が存在する。この溶射皮膜の気孔率は、溶射法や溶射条件によって変動するが、発明者らの知見によると、大体10〜45%(皮膜の断面を画像解析装置によって測定した面積率)程度である。
硼化物系サーメットなどの多孔質複合溶射皮膜の開気孔部内へ注入するカーボン微粒子としては、次のような性状のものが推奨される。即ち、カーボンの種類としては、天然のグラファイト、石油や石炭などの化石燃料から得られるカーボン、植物油の燃焼、炭化処理によって得られる煤、高分子材料の焼成処理によって得られる炭素などが好適である。また、カーボンの微粒子の粒径としては、0.1nm〜10μm程度のものを用い、その微粉末を水スラリ、オイルスラリ状にして溶射皮膜に吹き付けたり、それらの中に溶射皮膜を浸漬することによって開気孔の内部へカーボンの粒子を供給して含浸させる。その他の供給方法としては、カーボンの粒子をグリースやワセリンなどの粘稠な油脂類中に混入し、これを多孔質複合溶射皮膜の表面に塗布することによっても含浸させることができる。なお、グリースやワセリンは含浸後の加熱工程において、それ自体が熱分解してカーボン源となってカーボン粒子の含浸効果を向上させる利点がある。
カーボン微粒子を含浸させた硼化物系サーメットの複合溶射皮膜は、その表面を機械加工によって研削・研磨加工を施すことが好ましい。カーボン微粒子を含浸させた溶射皮膜の表面は、Ra:5〜10μm程度、Rz:15〜25μm程度と非常に粗く、このままではガラスの成形面にその粗さがそのまま直接転写され、品質低下の原因となる。そこで本発明では、Ra:5μm未満程度、Rz:15μm未満程度の平滑面に仕上げることが好ましい。なお、溶射皮膜の表面を研削・研磨すると、前記カーボン微粒子の含浸処理時には閉気孔として存在していた気孔部が開気孔に変化するものがある。このため、研磨後の溶射皮膜は再度カーボン粒子の含浸充填処理を繰返すことが推奨される。
多孔質複合溶射皮膜の開気孔中にカーボン微粒子を含浸させて得られるカーボン粒子充填構造を有する複合溶射皮膜については、この皮膜表面に少なくともカーボンの一部が露出状態で存在しているため、例えば、成形用溶融ガラスと直接接触しても、優れた潤滑性と離型性とを発揮することになる。加えて、溶射皮膜の表面を被覆したり、開気孔内に充填されているカーボン微粒子と接触する皮膜成分の耐熱合金粒子(Cr)とが反応することで、カーボンと同等の潤滑性および離型性を有する無害なクロム炭化物を合金粒子の表面に生成させる効果もある。
この実施例では、金属硼化物と耐熱合金とからなる金属硼化物サーメット材料に添加するプラスチック粉末の添加量を変化させた溶射皮膜形成用複合粉末材料を用いて形成した多孔質複合溶射皮膜の気孔率とその気孔部にカーボン粒子を含浸させた複合溶射皮膜の溶融ガラス塊との剥離性を調査した。
(2)供試皮膜:金属硼化物としてMoBを用いこれにNi−20mass%Cr耐熱合金粉末を質量で50%含むサーメット粉末材料にポリエチレン粉末を容量で0.5〜20%の割合いで変化させた三成分系の溶射皮膜形成用複合粉末材料を調整した後、大気プラズマ溶射法によって、基材の片面に150μm厚さの溶射皮膜を形成した。
(3)溶射皮膜の気孔率測定:供試皮膜の気孔率は皮膜の断面を平滑に研磨した後、任意の3カ所について、画像解析装置を用い、観察視野の面積に占める気孔部面積の割合を算出した。
(4)カーボン微粒子の含浸処理:すべての供試皮膜について、オイルスラリ状のカーボン粒子の含浸処理を5回繰返し実施した。
(5)溶融ガラス塊の圧着試験:溶融ガラスとの密着性試験方法:供試皮膜の表面に1200℃の溶融ガラス塊を圧着させた後、室温まで放冷し、皮膜表面に固着したガラス塊を木製のハンマーによって叩き落とすことによって、ガラス塊の密着性を定性的に調べた。
(6)試験結果:試験結果を表1に要約した。この結果から明らかなように溶射皮膜の気孔率はプラスチック粉末の添加率が多くなるほど高くなるとともに気孔そのものの寸法も大きくなる傾向が見られた。具体的にはプラスチック粉末を添加しない金属硼化物と耐熱合金から成る皮膜(No.l)の気孔率は8〜10%程度で、そのすべての気孔は、硼化物粒子と合金粒子との融合不良に伴う比較的幅の狭い隙間形状を示しているのに対し、プラスチック粉末を添加した皮膜(No.2〜7)では、隙間形状に加え、丸い形状の気孔部が増加して気孔率を向上させていることが確認された。その一方でプラスチック粉末を15〜20%添加した皮膜(No.6、7)では、気孔が過多となって、溶射皮膜を形成している硼化物粒子と合金粒子の相互結合力が十分でなく、皮膜としての強度も弱くなっている傾向が見られた。また、供試皮膜の溶融ガラス塊との離形性はすべて良好であったが、プラスチック粉末を多量に添加した皮膜(No.6、7)では、気孔部面積の過大による皮膜表面の平滑性の低下によって、ガラス塊の表面性状が悪くなっていることが認められ実用性に欠ける傾向が顕著であった。
この実施例では、金属硼化物、耐熱合金およびプラスチックの3成分からなるサーメット溶射皮膜の密着性を熱衝撃試験法により調査した。
(2)溶射材料:金属硼化物として、CrB2、MoB、ZrB2を用い、それぞれの金属硼化物粒子に、NiまたはNi−20mass%Cr合金を50mass%配合してなる金属硼化物サーメット材料を準備し、このサーメット材料に粒径2〜10μmのポリエチレンを容量で3%の割合で添加した硼化物系サーメットの溶射皮膜形成用複合粉末材料を調整した。そして、この硼化物系サーメットの溶射皮膜形成用複合皮膜形成用複合粉末材料を大気プラズマ溶射法によって基材の片面に溶射して150μm厚さの溶射皮膜を形成した。また、比較例の溶射皮膜として、金属硼化物サーメット材料のみの溶射皮膜とNi−Cr合金のみの溶射皮膜を大気プラズマ溶射法によってそれぞれ150μm厚さに形成した。
(3)カーボン微粒子の含浸:すべての供試溶射皮膜に対し、本発明に係るオイルスラリ状のカーボン微粒子の含浸処理を行ない、含浸処理をしない供試皮膜との耐熱衝撃性を比較した。
(4)試験方法:上記溶射皮膜被覆試験片を、電気炉中で650℃×15分間加熱した後、これを炉外に取り出し、送風機の空気を流しながら、80℃以下の温度に冷却させる操作を1サイクルとし、合計10サイクルの試験を繰り返した。なお、1サイクルの試験毎に、溶射皮膜の表面を拡大鏡(×8)によって観察し、“ひび割れ”や局部剥離の有無を調べた。
(5)試験結果:試験結果を表2に示した。この試験結果から明らかなように、金属硼化物サーメット材料にプラスチック粉末を添加した本発明に適合す3成分系の硼化物系サーメット溶射皮膜形成用複合粉末材料を用いて形成した溶射皮膜(No.l、5、9)は、カーボン微粒子の含浸の有無に拘らず、優れた密着性を示した。即ち、一般的に広く利用されている比較例のサーメット溶射皮膜(No.2〜4、6〜8、10〜12)および金属皮膜(No.13、14)と比べると、同等の耐熱衝撃性を示し、昇温・降温が繰り返し行われる環境下において優れた密着性を発揮することが確認できた。
この実施例では、金属硼化物、Ni、Ni−Cr耐熱合金、プラスチックの3成分を含有する硼化物系サーメットの溶射皮膜形成用複合粉末材料のNi、Ni−Cr耐熱合金中のCr含有量の相違による6価クロム化合物生成の有無と溶融ガラス塊との密着性について調査した。
(2)溶射材料:金属硼化物としてMoBを用い、これに添加するNi−Cr耐熱合金中のCr含有量を5〜55.5mass%の範囲で変化させた合金を用いて、金属硼化物サーメット材料を調製した後、粒径10〜30μmのポリエチン粉末を容量で5%添加し3成分系の溶射皮膜形成用複合粉末材料をつくり、これを大気プラズマ溶射法によって、膜厚150μmの複合溶射皮膜とした。なお、金属硼化物と耐熱合金成分との割合は、50/50(mass%)とした。
(3)6価クロムの生成試験:この試験は、供試溶射皮膜を、電気炉中で980℃、100時間加熱した後、溶射皮膜表面に生成している金属酸化物を採取し、化学分析によって、酸化物中に含まれている6価クロム化合物の有無を定性的に調べた。
(4)溶融ガラスとの密着性試験方法:供試皮膜の表面に1200℃の溶融ガラス塊を圧着させた後、室温まで放冷し、皮膜表面に固着したガラス塊を木製のハンマーによって叩き落とすことによって、ガラス塊の密着性を定性的に調べた。
(5)試験結果:試験結果を表3に示した。この結果から明らかなように、Ni−Cr合金中のCr含有量が増加するほど、6価クロム化合物を生成する傾向が大きくなることが判明した。しかし、カーボン微粒子を含浸させたサーメット溶射皮膜では、Crを28mass%以上含むNi−Cr合金(No.7、9、11、13、15)でも、6価クロム化合物の生成は認められず環境汚染の原因とならないことが判明した。この原因はカーボン粒子を含浸させた溶射皮膜ではNi−Cr合金粒子の表面が、カーボン微粒子と反応して炭化クロム化合物(Cr3C2、Cr23C6)を生成して、Ni−Cr合金と空気(酸素ガス)と接触を妨げ酸化反応より炭化反応が優先し、6価クロム酸化物の生成を抑制したものと推定される。さらに、N−Cr合金粒子の表面に膜状に生成する炭化クロム化合物は、耐高温環境性に優れるため、一旦合金の表面に生成をすると長時間にわたって耐高温酸化性を発揮して6価クロム化合物(例えばCrO3)を生成を防止したものと考えられる。これらの結果からカーボン粒子の含浸処理は、環境汚染原因は6価クロム化合物の生成を抑制するのみならず、サーメット溶射皮膜の形成に必要な耐熱合金組成の選択範囲の拡大にも貢献することがうかがえる。
この実施例では、プラスチック粉末を添加するための金属硼化物と耐熱合金とからなるサーメット材料における耐熱合金の含有量を変化させた際の溶射皮膜の密着性および溶融ガラス塊との剥離性に対するカーボン微粒子の含浸効果について調査した。
(2)供試皮膜:金属硼化物としてMoBを用い、Ni−50mass%Cr合金粒子を質量添加率で10〜90%の割合で変化させた金属硼化物サーメット材料に粒径5〜30μmのポリエステル粉末を容量で3%添加した溶射皮膜形成用複合粉末材料を大気プラズマ溶射法によって、基材の片面に150〃mの厚さに形成させた。また、比較例の皮膜としては、カーボン微粒子の含浸処理をしていない皮膜を用いた。
(3)カーボン微粒子の含浸:オイルスラリ状のカーボン粒子を含浸(含浸・焼成サイクルをr3回繰り返し)させたサーメット複合溶射皮膜を発明例として調査した。
(4)試験方法‥皮膜の密着性は、実施例に開示した熱衝撃試験方法、溶融ガラス塊との剥離性は実施例2で採用した試験方法によって実施した。
(5)試験結果:試験結果を表4に示した。この試験結果から明らかなように、皮膜の密着性は、耐熱合金粒子の含有量が多いほど良好であり、MoBのみの皮膜(No.1、2)では、カーボン粒子含浸処理の有無に関係なく、皮膜にクラックが発生するとともに、皮膜の一部に剥離現象が認められた。また、耐熱合金粒子を10mass%以上含むサーメット溶射皮膜(No.3〜14)では、10サイクルの熱衝撃試験後でも、全く異常はなく良好な状態を維持しており、カーボン粒子の含浸処理は、溶射皮膜の密着性に影響を与えないことが確認された。
この実施例では、製びん用金型の表面に、本発明に適合する3成分含有硼化物系サーメットの複合粉末材料を用いて形成した多孔質複合溶射皮膜にカーボン粒子を含浸させた硼化物系サーメットの複合溶射皮膜を含む、各種の溶射皮膜や従来技術の黒鉛塗布などについて、実際の作業条件下における製びん作業性について調べた。
本発明に適合する複合溶射皮膜として、MoB、W2B5に対して、Ni−40mass%Cr合金を50mass%混合した金属硼化物サーメット材料に、粒径1〜5μmのポリエチレン粉末を8%(容量)添加した複合粉末材料を大気プラズマ溶射法によって250〜300μmの厚さの多孔質複合溶射皮膜を形成した。
その後、得られた溶射皮膜の開気孔部に、カーボン粉末を含むオイルスラリーを使ってカーボン粒子の充填処理を施した。また、比較例の皮膜としてAl2O3、ZrO2、8Y2O3などの酸化物に対し、Ni−20mass%Cr合金を50mass%混合した金属酸化物サーメット溶射皮膜を大気プラズマ溶射法によって250〜300μmの厚さに形成したものと、金属の表面に黒鉛粉末を直接塗布する方法を供試した。また、これらの供試皮膜の表面は機械加工によって、Ra:5μm以下、Rz:15μm以下の粗さに仕上げた。
(2)試験:実作業中の製びんプラントにおける供試皮膜の試験項目は、溶融ガラス塊の金型内部への挿入状況の観察と試験表面の観察(ひび割れ、局部剥離などの有無)である。
(3)試験結果:試験結果を表5に示した。この試験結果から明らかなように比較例のAl2O3サーメット皮膜は(No.3)は溶融ガラス塊の金型内部への挿入抵抗が大きくたびたび黒鉛粉末の塗布作業が必要となった。また、試験終了後の溶射皮膜にはクラックが発生しており、耐熱衝撃性にも劣っていることが認められた。そこで、ZrO2・8Y2O3サーメット溶射皮膜は熱衝撃には強い抵抗力を発揮し、皮膜の表面には大きなクラックの発生は見られなかったが、溶融ガラス塊の金属内部への挿入抵抗が大きく実用性に乏しいことが判明した。
2 ガラス溶解炉
3 作業室
4 フィーダー
5 オリフイス
6 ガラス切断機
7 ガラス塊
8 フアンネル
9 スクープ
10 トラフ
11 デフレクター
12 製びん用金型
13 成形されたびん
14 溶射皮膜
31 基材
32 アンダーコート
33 複合溶射皮膜
34 閉気孔
35 開気孔
36 貫通気孔部
37 溶射皮膜表面を被覆したカーボン微粒子
38 カーボン微粒子堆積層
Claims (8)
- 膜厚が50〜1000μm、気孔率が10〜45%の、セラミック質の金属硼化物粉末、金属質の耐熱金属・合金粉末および有機高分子質のプラスチック粉末の複合粒子からなる硼化物系サーメットの溶射皮膜であって、この溶射皮膜は、開気孔内にカーボン粒子が充填されているカーボン粒子充填構造を有するものであることを特徴とする複合溶射皮膜。
- 前記金属硼化物粉末は、粒径5〜60μmのTiB2、ZrB2、HfB2、VB、TaB、NbB、W2B5、CrB2、NiBおよびMoBら選ばれるいずれか一種以上からなることを特徴とする請求項1に記載の複合溶射皮膜。
- 前記耐熱金属・合金粉末は、粒径5〜60μmのNiもしくはCr含有量が50mass%以下のNi−Cr合金であることを特徴とする請求項1または2に記載の複合溶射皮膜。
- 前記プラスチック粉末は、粒径1〜60μmの熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂から選ばれる一種類以上からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の複合溶射皮膜。
- 前記複合粒子は、金属硼化物:20〜90mass%、残部が耐熱金属・合金からなる混合比率のサーメット混合体を含むものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の複合溶射皮膜。
- 前記複合粒子は、金属硼化物と耐熱金属・合金とからなるサーメット混合体に対して、容量で0.5〜10%のプラスチック粉末を含むものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の複合溶射皮膜。
- Ni−Cr合金を含む前記硼化物系サーメットの多孔質溶射皮膜は、この皮膜中の開気孔内のCrの少なくとも一部が炭化クロム化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の複合溶射皮膜。
- 前記複合粒子は、粒径10〜120μmの大きさで一体化した硼化物系サーメットの複合粒子であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1に記載の複合溶射皮膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013054664A JP5843291B2 (ja) | 2013-03-18 | 2013-03-18 | 複合溶射皮膜 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013054664A JP5843291B2 (ja) | 2013-03-18 | 2013-03-18 | 複合溶射皮膜 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014181348A JP2014181348A (ja) | 2014-09-29 |
JP5843291B2 true JP5843291B2 (ja) | 2016-01-13 |
Family
ID=51700366
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013054664A Active JP5843291B2 (ja) | 2013-03-18 | 2013-03-18 | 複合溶射皮膜 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5843291B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6630047B2 (ja) * | 2015-02-27 | 2020-01-15 | 日立造船株式会社 | 溶射材料の製造方法、および、溶射方法 |
JP6639806B2 (ja) * | 2015-05-19 | 2020-02-05 | 日本コーティング工業株式会社 | 皮膜および該皮膜の形成方法 |
JP7162829B2 (ja) * | 2016-10-05 | 2022-10-31 | 島根県 | 電磁波シールド材及びその製造方法 |
WO2021060005A1 (ja) * | 2019-09-27 | 2021-04-01 | 株式会社フジミインコーポレーテッド | 溶射用粉末材および溶射皮膜の製造方法 |
CN114129060B (zh) * | 2021-12-17 | 2023-05-16 | 武汉苏泊尔炊具有限公司 | 炊具及其制造方法 |
CN116144878B (zh) * | 2022-12-28 | 2024-06-25 | 吉林大学 | 一种微纳米陶瓷颗粒增强模具钢制备方法 |
CN116237542B (zh) * | 2023-03-15 | 2024-08-13 | 山东大学 | 一种gh3230的增强相原位生成与非原添加方法、材料及应用 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2944904B2 (ja) * | 1994-12-27 | 1999-09-06 | 川崎製鉄株式会社 | 高温鋼材搬送用ロール |
JPH11172233A (ja) * | 1997-12-08 | 1999-06-29 | Neos Co Ltd | 溶射被膜の封孔処理剤及び封孔処理方法 |
JP2003105518A (ja) * | 2001-09-25 | 2003-04-09 | Nippon Steel Hardfacing Co Ltd | 内燃機関用摺動部材およびその形成方法 |
DE102005041003A1 (de) * | 2005-08-29 | 2007-03-01 | Man Turbo Ag | Wellendichtung für einen Getriebeexpander oder -kompressor |
US20100124616A1 (en) * | 2008-11-19 | 2010-05-20 | General Electric Company | Method of forming an abradable coating |
-
2013
- 2013-03-18 JP JP2013054664A patent/JP5843291B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2014181348A (ja) | 2014-09-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5843291B2 (ja) | 複合溶射皮膜 | |
KR101345044B1 (ko) | 내마모성 저마찰성 코팅 조성물, 코팅된 구성요소 및 그의 코팅 방법 | |
Guilemany et al. | Role of heat treatments in the improvement of the sliding wear properties of Cr3C2–NiCr coatings | |
CN105377474A (zh) | 新型粉末 | |
EP2933535A1 (en) | Piston ring sprayed coating, piston ring, and method for producing piston ring sprayed coating | |
JP6741076B2 (ja) | 耐摩耗被膜を備えた摺動部品及び耐摩耗被膜の形成方法 | |
CN104911586A (zh) | 一种在金属基材表面熔覆碳化钨覆层的方法 | |
Tailor et al. | A review on plasma sprayed Al-SiC composite coatings | |
JP5292588B2 (ja) | 高温用途材被覆用サーメット溶射粉末材料およびその製造方法 | |
JP5719399B2 (ja) | 溶融ガラス塊成形用金型およびその製造方法 | |
US20090223756A1 (en) | Method for producing friction surfaces or friction layers of a carbon-ceramic brake disk as well as a carbon-ceramic brake disk provided with such friction surfaces or friction layers | |
JP2005520052A (ja) | 金属間化合物を含有するコーティングの製造方法及び該コーティング | |
JP5808060B2 (ja) | 溶融ガラス塊成形用金型およびその製造方法 | |
JP5853307B2 (ja) | ブレーキ用ディスクロータとその製造方法 | |
JP5326121B2 (ja) | 溶融ガラス塊成形用金型およびその製造方法 | |
JP2012102362A (ja) | 硼化物サーメット系溶射用粉末 | |
JP2012112012A (ja) | Hvaf溶射用粉末及び溶射皮膜の形成方法 | |
JP2011026666A (ja) | 硼化物系サーメット溶射用粉末 | |
JP5303725B2 (ja) | 溶融ガラス塊成形用金型およびその製造方法 | |
JP4615099B2 (ja) | 溶融ガラス塊の搬送用部材およびその製造方法 | |
JPS58147552A (ja) | 複合治工具材料およびその製造方法 | |
JP5352835B2 (ja) | 耐熱合金溶射粉末材料の製造方法 | |
JP6550227B2 (ja) | 溶射用粉末、溶射皮膜の製造方法、溶射皮膜、及びロール | |
JP2979102B2 (ja) | 摺動部品の製造方法 | |
JP2002020126A (ja) | 溶融ガラス塊の搬送用部材およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20150220 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150310 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150422 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150715 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150824 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20151111 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20151111 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5843291 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |