JP2012102362A - 硼化物サーメット系溶射用粉末 - Google Patents

硼化物サーメット系溶射用粉末 Download PDF

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Abstract

【課題】 高硬度で耐摩耗性、耐食性、耐熱性に優れ、耐熱衝撃性および靭性よりも、メッキ浴として使用される亜鉛やアルミニウム等の溶融金属に対する耐食性をさらに向上させたサーメット溶射被膜を形成しうる溶射用粉末を提供する。
【解決手段】 重量比にて、B:8.0〜10.0%、Co:8.0〜12.0%、Cr:2.0〜10.0%、W:0.5〜7.0%を含み、残部Moと不可避的不純物から構成され、かつ、MoとBとの合計量が重量比にて75.0〜85.0%、CoとCrとWとの合計量が重量比にて10.5〜25.0%である複合粉末組成物からなることを特徴とする硼化物系サーメット溶射用粉末。
【選択図】なし

Description

本発明は、代表的な溶射用サーメット材料であるタングステンカーバイド・コバルト(WC−Co)系溶射被覆層に匹敵する硬さおよび耐摩耗性と、クロムカーバイド・ニッケルクロム(Cr−NiCr)系溶射被覆層を凌駕する耐熱性を有し、しかも前記WC−Co系およびCr−NiCr系溶射被覆層には見られない耐溶融金属に対する耐食性を有するサーメット溶射被膜を生成するための溶射用粉末に関するものである。
近年、産業の発展に伴って産業用機械等の高性能化、高精度化、多様化およびエネルギーコストの低廉化が進むにつれて、溶射材料に金属とセラミックスを成分とする材料を用いてサーメット皮膜を形成するサーメット溶射被覆層に対する要求性能は、ますます厳しくなり、以前にも増して優れた性能が必要とされるようになっている。
従来、サーメット溶射被覆層(以下、単に被覆層または溶射被膜ともいう。)として施されているものは、使用温度によって異なり、その代表的なものとして、例えば常温から500℃程度までの温度範囲では、WC−Co系やWC−Ni系のものが、またこれより高い900℃までの高温域ではCr−NiCr系やCr−Ni系のものがあり、これらの被膜層はそれぞれ目的に応じた硬度と、耐熱性、耐摩耗性などを有している。
しかし、上記したように最近の産業の発展に伴って、サーメットの使用環境が多様化するにつれて、より一層これらの特性が優れたものが望まれており、上記した特性に、さらに耐熱衝撃性、靭性、耐溶融金属腐食性を兼ね備えた被膜材料の開発が望まれている。
例えば、自動車用等の表面処理鋼板を製造するための高温の溶融亜鉛メッキ浴(450〜500℃)や溶融アルミニウム(700〜800℃)中に浸漬されて、連続的に通過する鋼板を支持し、案内して該鋼板の表面に均一な亜鉛メッキを被着させるために用いられるシンクロール、サポートロール等を被覆するための被膜層には、単に高い硬度や耐熱性、耐摩耗性を有するのみならず、耐熱衝撃性、靭性や溶融金属に対する耐食性が求められる。
しかしながら、前記した従来型のサーメット溶射被膜のうち、WC−Co系のものは、500℃までの乾燥雰囲気中では、硬度や耐摩耗性は優れているものの、耐食性や耐熱性が低く、特に500℃以上の酸化性雰囲気における耐熱性や耐食性に問題がある。また、Cr−NiCr系のものは、900℃の高温域まで、耐食性や耐熱性は維持されるものの硬度や耐摩耗性が劣る。さらに、これらの被膜は一般に耐熱衝撃性が低く、靭性および溶融金属に対する腐食性が劣っており、上述した自動車鋼板用のシンクロール、サポートロール等の被膜層としては剥離しやすく寿命が短いという問題がある。
以上のように、従来用いられている被膜層は、高硬度で耐摩耗性が優れていても耐食性や耐熱性が劣っていたり、耐熱性や耐食性が優れていても耐摩耗性や硬度が不十分であったりする上に、いずれも耐熱衝撃性が低くまた靭性が劣っていたが、これらすべての要求特性を同時に満足することができるサーメット溶射被膜を形成する溶射用粉末としては、特許文献1記載の、重量比にて、B:5.0〜8.0%、Co:15.0〜30.0%、Cr:5.0〜15.0%、W:3.0〜9.0%を含み、残部Moと不可回避的不純物から構成された複合粉末組成物からなる硼化物系サーメット溶射用粉末が開示されている。
しかし、この従来公知の硼化物系サーメット溶射用粉末は、上述の溶融金属メッキ浴中で使用されるシンクロールやサポートロール等の被膜層として、硬度、耐摩耗性、耐熱衝撃性、靭性については従来のサーメット溶射被膜を凌駕する十分な性能を有しているものの、溶融金属に対する耐食性不足が短命化の要因となっており、耐溶融金属腐食性の更なる向上が望まれている。
特許第3134767号公報
本発明は、従来のサーメット溶射被膜における上記の問題点に鑑みてなされたものであって、高硬度で耐摩耗性、耐食性、耐熱性に優れ、耐熱衝撃性および靭性よりも、メッキ浴として使用される亜鉛やアルミニウム等の溶融金属に対する耐食性をさらに向上させたサーメット溶射被膜を形成しうる溶射用粉末を提供することを目的とするものである。
本発明の硼化物系サーメット溶射用粉末は、重量比にてB:8.0〜10.0%、Co:8.0〜12.0%、Cr:2.0〜10.0%、W:0.5〜7.0%を含み、残部Moと不可避的不純物から構成される複合粉末組成物からなることを特徴とする。
また、重量比にてB:8.0〜10.0%、Co:8.0〜12.0%、Cr:2.0〜10.0%、W:0.5〜7.0%を含み、残部Moと不可避的不純物から構成された複合粉末組成物からなる硼化物系サーメット溶射用粉末であって、複合粉末組成物は、重量比でMoとBとの合計が75.0〜85.0%、CoとCrとWとの合計が10.0〜25.0%の範囲から構成される複合粉末組成物からなることを特徴とする。
そして、前記溶射用粉末を構成する粉末の好ましい粒度は溶射方法によって異なるが、大気または減圧プラズマ溶射法を採用する場合には15〜53μm、15〜45μmの範囲が適当であり、また高速ガス炎溶射法による場合には5〜45μm、5〜30μm、5〜38μm、15〜45μm、15〜53μmの範囲であることが好ましい。
本発明のサーメット溶射用粉末により、WC−Co系サーメット溶射皮膜に匹敵する硬度および耐磨耗性を備え、また、Cr−NiCr系サーメット溶射皮膜を凌駕する耐熱性を有し、かつ、公知のMoB−CoCrW系サーメット溶射皮膜より高い耐溶融金属腐食性を有するサーメット溶射皮膜を得られる。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、MoB一次粒子の金属結合相であり、CoやCrなどの融点が2000℃以下と低い元素からなるCo−Cr−W系合金相の比率を減らし、これに対して融点が2600℃以下と高いMoを多く含むMoB一次粒子の比率を増やすことにより、溶射被膜と溶融金属との融点差を広げ、溶融金属との濡れ性を低下させることによって、溶融金属が溶射被膜に容易に付着することを防ぐことができ、耐食性が向上することを見出した。
本発明による硼化物系サーメット溶射被覆層を得るためのサーメット溶射用粉末の構成成分は上記した如くであるが、以下にそれぞれの成分限定理由について説明する。
Bは、MoおよびCoと結合して複硼化物相を形成するために必要な元素であるが、サーメット溶射用粉末中のBの含有量が8.0重量%未満では、溶射被覆時の熱影響と酸化により溶射被覆層中のB量が5.0重量%未満にまで低下するため、得られた溶射被覆層に十分な硬度と耐摩耗性が得られない。一方、10.0重量%を超えると、硬度は高くなるが、溶射被覆層の強度(靭性と耐熱衝撃性)は著しく低下する。従って、溶射用粉末中のB含有量は、8.0〜10.0重量%の範囲が適当である。
Moは、Bと同様に複硼化物相を形成するために必要な元素である。この複硼化物相はMoCoBで表されるが、サーメット溶射粉末中のMoの含有量が65.0重量%未満では複硼化物相の形成が不十分で、形成した溶射被覆層は所望の硬度と耐摩耗性が得られない。一方、80.0重量%を超えると硬度、耐摩耗性および溶融亜鉛や溶融アルミニウムに対する耐食性は向上するが、靭性や耐熱衝撃性、さらに粉末の溶射付着効率(溶射時の歩留り)が著しく低下する。従って、溶射用粉末中のMoの含有量は、65.0〜80.0重量%の範囲が適当である。
Coは、金属結合相形成の主体となる元素であるが、一方において複硼化物相の形成にも欠かせない元素であり、得られた溶射被覆層に高温強度を付与する効果を有する。
Coの含有量が8.0重量%未満では、形成される金属結合相と複硼化物相との相互固溶量が少なくなるためにその結合力が低下し、かつ気孔等の欠陥が発生し易くなる。一方、12.0重量%を超えると、金属結合相における耐食性を低下させるとともに、複硼化物中において脆弱なCoB等の硼化物が多量に形成するようになるので溶射被覆層の靭性が低下してしまう。従って、溶射用粉末中のCo含有量は、8.0〜12.0重量%の範囲が適当である。
Crは、耐食性、耐熱性に寄与する元素であり、Coと結合して金属結合相を形成し靭性を向上させる効果を有する。
Crの含有量が2.0重量%未満では、上記した効果が十分に得られず、また、10.0重量%を超えると、得られた溶射被覆層における耐食性、耐熱性および耐酸化性をさらに向上させるものの、靭性を低下させるので好ましくない。従って、溶射用粉末中のCr含有量は、2.0〜10.0重量%の範囲が適当である。
Wは、金属結合相を形成するCoとCrと結合して、該金属結合相の耐食性と強度とを一層高め、さらにWCoBで表される複硼化物を形成するために必要な元素である。
Wの含有量が0.5重量%未満では前記した効果は得られず、また7.0重量%を超えると金属結合相の強度が却って低下してしまう。従って、溶射用粉末中のW含有量は、0.5〜7.0重量%の範囲が適当である。
さらに、本発明の溶射用粉末組成物においては、MoとBの合計量を75.0〜85.0重量%に、Co、Cr、Wの合計量を10.5〜25.0重量%に規制することにより、得られた溶射被覆層の脆化や剥離現象を抑制することができる。
また、上記した本発明の溶射用粉末を製造する場合には、Co、CrおよびWをそれぞれ単体金属粉末として用いることが肝要である。これは、これらの元素を合金粉末の形態、例えばステライト合金粉末等の形態で用いた場合には、合金粉末中のCoはMoB等の硼化物と結合し難く、MoCoB複硼化物が形成されにくいからである。
本発明の溶射用粉末を用いて基板上にサーメット溶射被覆する方法としては、常法つまり溶射ガンを使用した大気または減圧プラズマ溶射法もしくは高速ガス炎溶射法が適用される。通常、プラズマ溶射法には15〜53μm、15〜45μmの粒径の溶射用粉末が、また高速ガス炎溶射法には5〜30μm、5〜38μm、5〜45μmもしくは15〜45μm、15〜53μmの粒径の溶射粉末が使用される。
これらの粉末が、上記した粒度範囲よりも粗い場合には、緻密な溶射被覆層を形成させることが困難となり、かつ加熱不足による溶射粉末の付着歩留りが低下する。従って、低硬度および低付着歩留りの溶射被覆層しか得られず、品質低下やコスト高を招く。
また、上記範囲よりも粒度が微細である場合には、粉末の流動性が低下するとともに、受熱効率の高い微細粉末が溶融して、溶射ガンのノズル内面に堆積するために溶射作業性が著しく損なわれる。
以下に本発明を実施例を用いて、より詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
Bを10.1重量%含有するMoB粉末、Co粉末、Cr粉末およびW粉末をそれぞれ80.0重量%、10.0重量%、5.0重量%および5.0重量%採取し、ステンレス鋼製容器に入れて振動ボールミル内で、24時間湿式にて粉砕混合した。その容器から取り出したスラリーを非酸化性雰囲気中において噴霧乾燥して造粒した後、真空中で焼結し得られた粉末を回収し、これを空気分級機によって5〜45μmの粉末に整粒して溶射用粉末を調製した。
得られた溶射用粉末の化学組成、分級粒度範囲を表1に示す。
次に、調整した粉末を使用して、高速ガス炎溶射法(燃料:水素−酸素)により、SS400製基板上に厚み0.4mmの溶射被覆層を形成した。その後、機械加工および表面研磨により、その溶射被覆層表面の凹凸を取り除き、算術平均粗さ(Ra)が1.0a以下の試験片を得た。
基板表面に形成された溶射被覆層を、Cu−καX線回折法により同定した結果、主としてMoCoBの三元系複硼化物相が認められ、EPMA定量分析による被覆層の組成分析を行った結果を表2に示す。
[特性評価]
試験片表面のビッカース硬度(荷重:0.3kgf)は1580であった。
摩耗減量は、往復運動摩耗試験機を用い、JIS H 8503 第9項に規定された試験方法に従って、相手材にSiC研磨紙320番を使用し、試験荷重を3.0kgf、往復荷重回数を1600回として試験片の耐摩耗性試験を行った。その結果、摩耗減量は、0.26mg/cmであった。
耐熱衝撃性は、試験片を600℃の電気炉中に30分間保持した後、水中で急冷する熱サイクルを繰り返し30回行い、1回毎に被覆層に生ずる亀裂や剥離の有無を目視およびカラーチェックにより観察して耐熱衝撃性の評価を行った。その結果、熱サイクル中に異常が認められた時の反復回数は29回であり、高い耐熱衝撃性を有することが分かった。
次に、900℃の高温下で測定した試験片表面のビッカース硬度(荷重:0.3kgf)を測定した。その硬さは790であった。
耐溶融金属に対する腐食性は、470℃の溶融Zn−0.15%Al中へ120時間(5日間)の浸漬試験を行い、その腐食減量を測定した。その腐食減量は103mg/cmであり、被膜残存率は89.7%となり、高い耐溶融金属腐食性を有していた。
以上の諸特性試験結果を表3に示す。
実施例1と同様の原料粉末を用い、混合する粉末の添加量を表1に示すように変えた以外は実施例1と同様にして溶射用粉末を得た。
得られた溶射用粉末を用いて実施例1と同様にして、SS400製基板上に高速ガス炎溶射法による溶射被覆層を形成した試験片を作製した。その試験片について実施例1と同じく溶射被覆層の組成分析および特性試験を行った。その結果を、それぞれ表2および表3に示す。
実施例1と同様の原料粉末を用い、混合する粉末の添加量を表1に示すように変えた以外は実施例1と同様にして溶射用粉末を得た。
得られた溶射用粉末を用いて実施例1と同様にして、SS400製基板上に高速ガス炎溶射法による溶射被覆層を形成した試験片を作製した。その試験片について実施例1と同じく溶射被覆層の組成分析および特性試験を行った。その結果を、それぞれ表2および表3に示す。
実施例1と同様の原料粉末を用い、混合する粉末の添加量を表1に示すように変えた以外は実施例1と同様にして溶射用粉末を得た。
得られた溶射用粉末を用いて実施例1と同様にして、SS400製基板上に高速ガス炎溶射法による溶射被覆層を形成した試験片を作製した。その試験片について実施例1と同じく溶射被覆層の組成分析および特性試験を行った。その結果を、それぞれ表2および表3に示す。
実施例1と同様の原料粉末を用い、混合する粉末の添加量および分級粒度範囲を表1に示すように変えた以外は実施例1と同様にして溶射用粉末を得た。
得られた溶射用粉末を用いて実施例1と同様にして、SS400製基板上に高速ガス炎溶射法による溶射被覆層を形成した試験片を作製した。その試験片について実施例1と同じく溶射被覆層の組成分析および特性試験を行った。その結果を、それぞれ表2および表3に示す。
(比較例1)
実施例1と同様の原料粉末を用い、混合する粉末の添加量を表1に示すように変えた以外は実施例1と同様にして溶射用粉末を得た。
得られた溶射用粉末を用いて実施例1と同様にして、SS400製基板上に高速ガス炎溶射法による溶射被覆層を形成した試験片を作製した。その試験片について実施例1と同じく溶射被覆層の組成分析および特性試験を行った。その結果を、それぞれ表2および表3に示す。
(比較例2)
実施例1と同様の原料粉末を用い、混合する粉末の添加量を表1に示すように変えた以外は実施例1と同様にして比較例2の溶射用粉末を得た。
得られた溶射用粉末を用いて実施例1と同様にして、SS400製基板上に高速ガス炎溶射法による溶射被覆層を形成した試験片を作製した。その試験片について実施例1と同じく溶射被覆層の組成分析および特性試験を行った。その結果を、それぞれ表2および表3に示す。
(比較例3)
実施例1と同様の原料粉末を用い、混合する粉末の添加量を表1に示すように変えた以外は実施例1と同様にして溶射用粉末を得た。
得られた溶射用粉末を用いて実施例1と同様にして、SS400製基板上に高速ガス炎溶射法による溶射被覆層を形成した試験片を作製した。その試験片について実施例1と同じく溶射被覆層の組成分析および特性試験を行った。その結果を、それぞれ表2および表3に示す。
(比較例4)
実施例1と同様の原料粉末を用い、混合する粉末の添加量を表1に示すように変えた以外は実施例1と同様にして溶射用粉末を得た。
得られた溶射用粉末を用いて実施例1と同様にして、SS400製基板上に高速ガス炎溶射法による溶射被覆層を形成した試験片を作製した。その試験片について実施例1と同じく溶射被覆層の組成分析および特性試験を行った。その結果を、それぞれ表2および表3に示す。
(従来例1)
所定量のW粉末、およびCo粉末を用いて、従来法によるWC−Co系サーメット溶射被膜形成用粉末を作製した。これらの粉末組成物の化学組成を表1に示す。
この作製した粉末を用いて、実施例1と同様にSS400製基板上に高速ガス炎溶射法による溶射被覆層を形成した試験片を作製した。その試験片について実施例1と同じく溶射被覆層の組成分析および特性試験を行った。その結果を、それぞれ表2および表3に示す。
(従来例2)
所定量のW粉末、およびCo粉末を用いて、従来法によるWC−Co系サーメット溶射被膜形成用粉末(従来例2)を作製した。これらの粉末組成物の化学組成を表1に示す。
この作製した粉末を用いて、実施例1と同様にSS400製基板上に高速ガス炎溶射法による溶射被覆層を形成した試験片を作製した。その試験片について実施例1と同じく溶射被覆層の組成分析および特性試験を行った。その結果を、それぞれ表2および表3に示す。
(従来例3)
所定量のCr粉末、Ni粉末およびC粉末を用いて、従来法によるCr−NiCr系サーメット溶射被膜形成用粉末(従来例3)を作製した。これらの粉末組成物の化学組成を表1に併せて示す。
この作製した粉末を用いて、実施例1と同様にSS400製基板上に高速ガス炎溶射法による溶射被覆層を形成した試験片を作製した。その試験片について実施例1と同じく溶射被覆層の組成分析および特性試験を行った。その結果を、それぞれ表2および表3に示す。
Figure 2012102362
Figure 2012102362
Figure 2012102362
表1から表3によれば、本発明による溶射用粉末を使用して得られた硼化物系サーメット溶射被膜(実施例1から5)は、従来使用されてきたWC−Co系サーメット溶射被膜に匹敵する硬度と耐摩耗性を有し、またCr−NiCr系サーメット溶射被膜を凌駕する耐熱性を備えると共に、これら従来のサーメット溶射被膜に比べて著しく高い耐熱衝撃性を有することは明らかである。さらに、特許文献1に記載の公知組成によるMoB−CoCrW系サーメット溶射用粉末による溶射皮膜(比較例1)よりも、MoとBの合計量を増加させ、Co量を減らすことにより、高い耐溶融金属腐食性が得られ、より優れた特性が得られた。

Claims (3)

  1. 重量比にて、B:8.0〜10.0%、Co:8.0〜12.0%、Cr:2.0〜10.0%、W:0.5〜7.0%を含み、残部Moと不可避的不純物から構成される複合粉末組成物からなることを特徴とする硼化物系サーメット溶射用粉末。
  2. 重量比にて、B:8.0〜10.0%、Co:8.0〜12.0%、Cr:2.0〜10.0%、W:0.5〜7.0%を含み、残部Moと不可避的不純物から構成され、かつ、MoとBとの合計量が重量比にて75.0〜85.0%、CoとCrとWとの合計量が重量比にて10.5〜25.0%である複合粉末組成物からなることを特徴とする硼化物系サーメット溶射用粉末。
  3. 5〜30μm、5〜38μm、5〜45μm、15〜45μm、15〜53μmのいずれかから選択される粒度範囲に整粒したことを特徴とする請求項1又は2に記載の硼化物系サーメット溶射用粉末。
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