JP2018178187A - 溶射用粉末およびこれを用いた溶射皮膜の成膜方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温環境下であっても、溶射皮膜の被削性の低下を抑えることができる溶射用粉末と、これを用いた溶射皮膜の成膜方法を提供する。【解決手段】溶射用粉末10は、アブレーダブル特性を有した溶射皮膜10Aを成膜するための溶射用粉末である。溶射用粉末10は、NiCr系合金粒子11と、h−BN粒子12と、を有し、NiCr系合金粒子11のNiCr系合金は、Siを2〜10質量%含有しており、溶射用粉末10は、h−BN粒子12を4〜8質量%含有する。【選択図】図1

Description

本発明は、アブレーダブル特性を有した溶射皮膜を成膜するに好適な溶射用粉末およびこれを用いた溶射皮膜の成膜方法に関する。
従来、アブレーダブル特性を有した溶射皮膜(アブレーダブル溶射皮膜)では、航空機エンジンなどの規格に基づいて、一定の仕様の材料が用いられてきた。ここで、アブレーダブル特性とは、自身を摩耗させて相手材を保護する特性のことである。近年では、例えば、ガスタービン、ジェットエンジンに、例えば耐熱温度が500℃を超すような耐熱性を有したアブレーダブル溶射皮膜の開発がされてきた。
例えば、このような溶射用粉末として、特許文献1には、約30〜80重量%のニッケルクロムからなる硬質カーバイド材料と、この硬質カーバイド材料に混合される、約20〜70重量%の窒化硼素からなる潤滑性材料と、を有した溶射用粉末が提案されている。この溶射用粉末を用いれば、窒化硼素からなる潤滑性材料により、溶射皮膜のアブレーダブル特性を高めることができる。
特開2007−247063号公報
しかしながら、特許文献1に示す溶射用粉末を用いて溶射皮膜を成膜したとしても、常温時には、溶射皮膜の被削性が良好であるが、たとえば、800℃程度の高温環境下では、溶射皮膜の被削性が著しく低下することがあった。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、高温環境下であっても、溶射皮膜の被削性の低下を抑えることができる溶射用粉末と、これを用いた溶射皮膜の成膜方法を提供することにある。
前記課題を鑑みて、本発明に係る溶射用粉末は、アブレーダブル特性を有した溶射皮膜を成膜するための溶射用粉末であって、前記溶射用粉末は、NiCr系合金粒子と、h−BN粒子と、を有し、前記NiCr系合金粒子のNiCr系合金は、Siを2〜10質量%含有しており、前記溶射用粉末は、h−BN粒子を4〜8質量%含有することを特徴とする。
本発明によれば、NiCr系合金粒子のNiCr系合金に、Siを2〜10質量%させることより、溶射皮膜を構成するNiCr系合金粒子の表面に、SiOの酸化物層を形成することができる。
SiOの酸化物層は、溶射時にh−BN粒子と濡れ性が高い。このため、溶射用粉末に、h−BN粒子を4〜8質量%含有させれば、溶射皮膜のNiCr系合金粒子の間に、これまでよりもより多くのh−BN粒子を介在させることができる。
このような結果、高温時であっても、固体潤滑性を有したh−BN粒子により、溶射皮膜のNiCr系合金粒子の凝着摩耗を抑制することができ、溶射皮膜の被削性の低下を抑えることができる。なお、Siの含有量およびh−BN粒子の含有量の根拠は、以下の実施形態等において後述する。
本発明の実施形態の溶射用粉末とこれにより成膜された溶射皮膜の一部の模式的断面図である。 実施例1の溶射用粉末のNiCr系合金粒子の融点を熱重量・示差熱装置で測定した結果を示したグラフである。 実施例1および2の溶射用粉末の写真である。 比較例1〜3の溶射用粉末の写真である。 実施例1の溶射用粉末の断面写真と、この断面写真におけるNi、Si、Al、N、およびBの分布を示した写真である。 被削性試験装置の模式図である。 実施例1、2および比較例1〜3の溶射試験片に対して、試験温度が室温および800℃となる条件で被削性試験1を行ったときの溶射皮膜の削れ深さと相手材摩耗量の関係を示したグラフである。 実施例1、2および比較例1〜3の溶射試験片に対して、試験温度が室温および800℃となる条件で被削性試験1を行った後の溶射皮膜の写真である。 実施例1、2および比較例1〜3の溶射皮膜の断面写真である。 実施例1および比較例3の溶射皮膜のX線電子分光分析の結果を示したグラフである。 実施例1、2および比較例3の溶射皮膜のオージェ分光分析の結果を示したグラフである。 実施例1および比較例3の溶射皮膜に対して、NiCr系合金粒子間におけるEPMAライン分析の結果を示したグラフである。 写真に示す実施例1の溶射皮膜の断面における、NiCr系合金粒子間におけるB、Si、N、Cr、O、およびNiの超高解像度EPMAライン分析の結果を示したグラフである。 図12Aのグラフの拡大図である。 実施例1および比較例3に対して、室温、800℃、850℃、および900℃における溶射皮膜の断面における組織写真である。 実施例1および比較例3の溶射試験片に対して、保持温度が、室温、800℃、850℃、および900℃における溶射皮膜の削れ深さと相手材摩耗量の関係を示したグラフである。 実施例1および比較例3の試験片を850℃の加熱条件で300時間加熱したときの溶射皮膜の断面の写真である。 実施例1および比較例3の試験片を850℃の加熱条件で300時間加熱したときの溶射皮膜の酸化物のビッカース硬さを示したグラフである。 実施例1、2および比較例1〜3の溶射用粉末の付着効率を測定した結果を示すグラフである。 実施例3−1〜3−6、実施例4−1、4−2、比較例4−1〜4−4、および比較例5−1、5−2における溶射皮膜の削れ深さと溶射皮膜の引張強度との結果を示したグラフである。 参考例1〜5における溶射皮膜の削れ深さと溶射皮膜の引張強度との結果を示したグラフである。 溶射用粉末の供給量を110g/分および60g/分にして成膜した実施例5〜7の溶射皮膜のロックウェルスーパーフィシャル硬さ(HR15Y)の結果を示したグラフである。 溶射用粉末の供給量を110g/分および60g/分にして成膜した実施例5〜7の溶射皮膜の引張強度の結果を示したグラフである。
以下に本発明の実施形態を図1を参照しながら説明する。
1.溶射用粉末10について
図1は、本発明の実施形態の溶射用粉末10とこの溶射用粉末10で成膜された溶射皮膜10Aとの模式的概念図である。
図1に示すように、本実施形態の溶射用粉末10は、アブレーダブル特性を有した溶射皮膜(以下、溶射皮膜という)を成膜するための溶射用粉末である。溶射用粉末10は、NiCr系合金粒子11とh−BN粒子12とからなる粉末であり、必要に応じて後述するAl粒子13をさらに含有している。本実施形態では、溶射用粉末10は、NiCr系合金粒子11からなる粉末とh−BN粒子12からなる粉末とを混合し、これらを、樹脂などの結合剤で造粒した粒子からなる粉末である。
溶射用粉末10を溶射する際に、NiCr系合金粒子11とh−BN粒子12とが混合された状態で、基材20に溶射することができるのであれば、溶射用粉末10は、NiCr系合金粒子11とh−BN粒子12とを混合した粉末であってもよい。また、溶射用粉末10は、NiCr系合金粒子11とh−BN粒子12とから造粒された造粒粉末の代わりに、クラッド法等により圧粉成形されたものであってもよい。なお、図1に示すように、溶射用粉末10では、NiCr系合金粒子11の表面全体に、h−BN粒子12が被覆されていることがより好ましい。
1−1.NiCr系合金粒子11について
NiCr系合金粒子11は、NiCr系合金からなる粒子であり、Crの含有量は特に限定されないが、NiCr系合金粒子に、粒子全体の質量(すなわちNiCr合金)に対して7〜25質量%の範囲でCrを含有していることが好ましい。これにより、NiCr系合金粒子11の耐酸化性を向上させることができる。ここで、Crの含有量が7質量%未満である場合には、NiCr系合金の耐酸化性が損なわれるおそれがある。一方、Crの含有量が25質量%を超えた場合には、NiCr系合金が硬くなり過ぎて、溶射皮膜10Aの被削性が低下してしまうおそれがある。
本実施形態では、NiCr系合金粒子11を構成するNiCr系合金は、NiCr系合金の全体に対して、Si(珪素)を2〜10質量%含有している。これにより、溶射皮膜10Aを構成するNiCr系合金粒子11Aの表面に、SiO(二酸化珪素)の酸化物層11Bを形成することができる。この酸化物層11Bは、h−BN粒子12Aと濡れ性が高いので、溶射皮膜10AのNiCr系合金粒子11Aの間に、より多くのh−BN粒子12Aを介在させることができる。
ここで、Siの含有量が、NiCr系合金に対して2質量%未満である場合、NiCr系合金粒子11Aの表面に、十分な厚みのSiO(二酸化珪素)の酸化物層11Bを形成することができない。これにより、h−BN粒子12に対する濡れ性が低下してしまい、溶射皮膜10AのNiCr系合金粒子11Aの間に、十分な量のh−BN粒子12Aを介在させることができない。一方、Siの含有量が、NiCr系合金に対して10質量%を超えた場合、NiCr系合金が脆くなるおそれがある。
NiCr系合金粒子11のNiCr系合金は、NiCr系合金の全体に対して、B(硼素)を4質量%以下さらに含有していてもよい。これにより、溶射皮膜10Aを構成するNiCr系合金粒子11Aの表面に、SiOとB(酸化硼素)が混合した酸化物層11Bを形成することができる。酸化物層11BにBを含有することにより、この酸化物層11Bは、h−BN粒子12Aとの濡れ性をさらに高めることができる。これにより、溶射皮膜10AのNiCr系合金粒子11Aの間に、さらに多くのh−BN粒子12Aを介在させることができる。
さらに、SiおよびBは、NiCr系合金粒子のNiCr系合金の融点が、940℃〜1200℃となるように、これらの含有量が調整されていることが好ましい。NiCr系合金の融点がこのような範囲を満たすことにより、溶射時に、溶射皮膜10AのNiCr系合金粒子11Aに、SiおよびBの酸化物層11Bを形成しつつ、溶射皮膜10AのNiCr系合金粒子11Aの間に、より多くのh−BN粒子12Aを介在させ易い。
ここで、NiCr系合金の融点が940℃未満である場合には、NiCr系合金自体が酸化し易くなるとともに、高温環境下において、溶射皮膜のNiCr系合金粒子が軟化するため、溶射皮膜が凝着摩耗し易くなる。一方、NiCr系合金の融点が1200℃を超えた場合には、溶射皮膜のNiCr系合金粒子が溶融し難いため、基材に対する溶射用粉末の付着効率が低下してしまう。
また、後述する特性の溶射皮膜を成膜することができるのであれば、NiCr系合金粒子11の粒径は、特に限定されるものではないが、NiCr系合金粒子11の粒径は、たとえば、38〜150μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは、45〜125μmである。
なお、本明細書でいう「粒径」とは、レーザ回折式粒度分布測定法で測定された粒径のことをいい、このような粒径は、たとえば、JIS Z 2510に準拠した分級により得ることができる。なお、NiCr系合金粒子11の表面全体に、h−BN粒子12が被覆されていることがより好ましく、この場合、h−BN粒子12の粒径は、NiCr系合金粒子11の粒径よりも小さい。
1−2.h−BN粒子12について
図1に示す溶射用粉末10は、h−BN粒子12を含有している。h−BN粒子12は、六方晶系の窒化硼素からなる粒子である。本実施形態では、その好ましい態様として、h−BN粒子12は、NiCr系合金粒子11の表面全体に被覆されている。溶射用粉末10は、溶射用粉末10の全体に対して、h−BN粒子12を4〜8質量%含有している。h−BNは、グラファイトのように、固体潤滑性を有する材料であるので、このような範囲でh−BN粒子12を含有することにより、溶射皮膜10Aの凝着摩耗を抑えるとともに、アブレーダブル特性をさらに向上させることができる。
ここで、溶射用粉末10の全体に対して、h−BN粒子12の含有量が4質量%未満である場合、h−BNによる固体潤滑性を充分発現できず、溶射皮膜10Aの凝着摩耗が生じ易くなる。これに加えて、溶射皮膜10AのNiCr系合金粒子11Aの間に介在するh−BN粒子12Aが少なくなるため、NiCr系合金粒子11A同士の金属結合が増加するので、溶射皮膜10Aの硬度が上昇し、溶射皮膜10Aの被削性が低下することがある。一方、溶射用粉末10の全体に対して、h−BN粒子12の含有量が8質量%を超えた場合、h−BN粒子12の増加により溶射皮膜10Aが脆くなる。たとえば、このような溶射皮膜10Aをタービン翼に適用した場合には、ガス流により、溶射皮膜10Aのエリージョン摩耗が生じたり、溶射皮膜10Aが部分的に脱落したりするおそれがある。
後述する特性の溶射皮膜10Aを成膜することができるのであれば、溶射用粉末10のh−BN粒子12Aの粒径は、特に限定されるものではない。しかしながら、上述した含有量で、NiCr系合金粒子11の表面全体を、h−BN粒子12でより均一に覆うには、h−BN粒子12の粒径は、3〜30μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは、3〜10μmの範囲にある。
1−3.Al粒子13について
図1に示す溶射用粉末10には、Al粒子13をさらに含んでいてもよい。Al粒子13は、アルミニウムからなる粒子であり、溶射用粉末10は、溶射用粉末10の全体に対して、Al粒子13を3〜5質量%含有していることが好ましい。Alは、NiCr系合金粒子とh−BN粒子とに対して濡れ性が高いため、溶射用粉末10が、Al粒子13をこのような範囲で含有することにより、成膜時にNiCr系合金粒子11とh−BN粒子12との分離を抑制することができる。
ここで、溶射用粉末10の全体に対して、Al粒子13が3質量%未満である場合、溶射皮膜10Aにおいて、Al粒子13AによるNiCr系合金粒子11Aとh−BN粒子12Aの濡れ性の効果を充分期待することができない。一方、溶射用粉末10の全体に対して、Al粒子13が5質量%を超えた場合には、溶射皮膜10Aの被削性が低下してしまう。
本実施形態では、Al粒子13は、溶射用粉末10を造粒する際に、NiCr系合金粒子11およびh−BN粒子12と共に結合剤を介して結合されている。溶射用粉末10を溶射する際に、NiCr系合金粒子11およびh−BN粒子12と共に、Al粒子13が均一に混合された状態で、基材20に溶射することができるのであれば、溶射用粉末10は、NiCr系合金粒子11、h−BN粒子12、およびAl粒子13を混合した粉末であってもよい。また、溶射用粉末10は、NiCr系合金粒子11、h−BN粒子12、および、Al粒子13から造粒した造粒粉末の代わりに、クラッド法等により圧粉成形されたものであってもよい。後述する特性の溶射皮膜を成膜することができるのであれば、Al粒子13の粒径は、特に限定されるものではないが、Al粒子13の粒径は、たとえば、3〜30μmの範囲にあることが好ましい。
2.溶射皮膜10Aの成膜方法について
本実施形態では、図1に示す溶射用粉末10を溶射装置(図示せず)に投入し、溶射用粉末10を用いて、ターボチャージャのターボハウジングなどの基材20の表面に溶射皮膜10Aを成膜する。
溶射方法としては、溶射皮膜10Aを成膜することができるのであれば、特にその方法は限定されるものではない。好ましい溶射方法としては、プラズマ溶射等の他の溶射に比べて、低温で溶射用粉末10を基材20に溶射することができるガスフレーム溶射法である。ガスフレーム溶射法で、溶射用粉末10を溶射することにより、成膜時には、溶射皮膜10Aを成膜する際に、h−BN粒子12AがNiCr系合金粒子11Aを覆うように、NiCr系合金粒子11A同士の間にh−BN粒子12Aをより多く介在させることができる。これにより、NiCr系合金粒子11A同士の金属結合を低減し、溶射皮膜10Aの被削性を高めることができる。
ここで、基材に溶射皮膜10Aが成膜された溶射部材(例えば、ターボチャージャのターボハウジング)に対して、相手材(例えば、タービンホイール翼)が接触した際には、溶射皮膜10Aが相手材に削られる。
このようにして、本実施形態では、NiCr系合金粒子11のNiCr系合金に、Siを2〜10質量%させることより、溶射皮膜10Aを構成するNiCr系合金粒子11Aの表面に、SiOの酸化物層11Bを形成することができる。
SiOの酸化物層11Bは、溶射時にh−BN粒子12Aと濡れ性が高い。このため、溶射用粉末10にh−BN粒子12を4〜8質量%含有させれば、溶射皮膜10AのNiCr系合金粒子11A、11Aの間に、これまでよりもより多くのh−BN粒子12Aを介在させることができる。
このような結果、高温時であっても、固体潤滑性を有したh−BN粒子12Aにより、溶射皮膜10AのNiCr系合金粒子11Aの凝着摩耗を抑制することができ、溶射皮膜10Aの被削性の低下を抑えることができる。
以下に本発明を実施例により説明する。
〔実施例1〕
ガスアトマイズ粉からなるNiCr系合金粒子を準備した。NiCr系合金粒子のNiCr系合金は、表1に示すように、Ni:82.5質量%、Cr:10質量%、珪素:2.5質量%、硼素:3質量%、および鉄:2質量%からなる。この粉末の融点を熱重量・示差熱装置(TG−DTA装置)で測定した。この結果を図2および表1に示す。図2は、実施例1の溶射用粉末のNiCr系合金粒子の融点を熱重量・示差熱装置で測定した結果を示したグラフである。図2に示すように、NiCr系合金粒子の融点は、1035℃であった。
Figure 2018178187
次に、粒径3〜10μmのh−BN粒子と、粒径20μm以下のAl粒子と、を準備し、溶射用粉末の全体に対して、h−BN粒子:5.5質量%、Al粒子:4.0質量%、NiCr系合金粒子:残部となるように混合し、NiCr系合金粒子の周りにh−BN粒子およびAl粒子をバインダ樹脂を介して付着させ、溶射用粉末を造粒により作製した。この溶射用粉末を走査電子顕微鏡(SEM)により観察した。この結果を図3Aに示す。
次に、実施例1の溶射用粉末を樹脂に埋め込み、樹脂を切断することにより露出した溶射用粉末の断面の元素をEPMA分析により測定した。この結果を、図4に示す。図4は、実施例1の溶射用粉末の断面写真と、この断面写真におけるNi、Si、Al、N、およびBの分布を示した写真である。図4および図3Aに示すように、NiCr系合金粒子の表面全体には、h−BN粒子が均一に被覆されていることがわかる。
次に、実施例1の溶射用粉末により基材の表面に溶射皮膜を成膜した溶射試験片を作製した。具体的には、ガスフレーム溶射装置を用いて、溶射用粉末を、幅25mm、長さ50mm、厚さ6mmの基材(ニッケル合金(インコネル600))の表面に溶射し、溶射皮膜を成膜した。溶射ガンに供給するガスのガス圧を、酸素ガス:32psi、水素ガス(燃料ガス):28psi、および空気:60psiとして、供給ガスのガス流量を、酸素ガス:32NLPM、水素ガス:155.8NLPM、空気:102.3NLPMとした。成膜時の溶射ガンに供給する溶射用粉末の供給量を90g/分として、溶射ガンの先端から基材までの距離を230mmとし、溶射ガンの移動速度を30m/分、ピッチ6mmとした。
〔実施例2〕
ガスアトマイズ粉からなるNiCr系合金粒子を準備した。NiCr系合金粒子のNiCr系合金は、表1に示すように、Ni:71質量%、Cr:19質量%、Si:10質量%からなる。この粉末の融点を実施例1と同様に、熱重量・示差熱装置で測定した。この結果を表1に示す。
次に、実施例1と同様に、NiCr系合金粒子の周りに、同じ割合のh−BN粒子およびAl粒子をバインダ樹脂を介して付着させ、溶射用粉末を造粒により作製した。この溶射用粉末をSEMにより観察した。この結果を図3Aに示す。この溶射用粉末を用いて、実施例1と同じ条件で、基材の表面に溶射皮膜を成膜した溶射試験片を作製した。
〔比較例1〕
粒径38μm〜150μmのガスアトマイズ粉からなるNiCr系合金粒子を準備した。NiCr系合金粒子のNiCr系合金は、表1に示すように、Ni:80質量%、Cr:20質量%からなり、珪素等を含有していない。この粉末の融点を実施例1と同様に、熱重量・示差熱装置で測定した。この結果を表1に示す。
次に、実施例1と同様に、NiCr系合金粒子の周りに、同じ割合のh−BN粒子およびAl粒子をバインダ樹脂を介して付着させ、溶射用粉末を造粒により作製した。この溶射用粉末をSEMにより観察した。この結果を図3Bに示す。この溶射用粉末を用いて、実施例1と同じ条件で、基材の表面に溶射皮膜を成膜した溶射試験片を作製した。
〔比較例2〕
粒径38μm〜150μmの水アトマイズ粉からなるNiCr系合金粒子を準備した。NiCr系合金粒子のNiCr系合金は、表1に示すように、Ni:80質量%、Cr:20質量%からなり、珪素等を含有していない。この粉末の融点を実施例1と同様に、熱重量・示差熱装置で測定した。この結果を表1に示す。
次に、実施例1と同様に、NiCr系合金粒子の周りに、同じ割合のh−BN粒子およびAl粒子をバインダ樹脂を介して付着させ、溶射用粉末を造粒により作製した。この溶射用粉末をSEMにより観察した。この結果を図3Bに示す。この溶射用粉末を用いて、実施例1と同じ条件で、基材の表面に溶射皮膜を成膜した溶射試験片を作製した。
〔比較例3〕
市販の溶射用粉末を準備した。具体的には、NiCr系合金粒子のNiCr系合金は、表1に示すように、Ni:75質量%、Cr:16質量%、Fe:9質量%からなり、珪素等を含有していない。この粉末の融点を実施例1と同様に、熱重量・示差熱装置で測定した。この結果を表1に示す。
また、この溶射用粉末は、溶射用粉末の全体に対して、h−BN粒子:6.5質量%、Al粒子:3.5質量%、NiCr系合金粒子:残部となるように混合し、NiCr系合金粒子の周りにh−BN粒子およびAl粒子をバインダ樹脂を介して付着させ、造粒により作製したものである。この溶射用粉末をSEMにより観察した。この結果を図3Bに示す。この溶射用粉末を用いて、実施例1と同じ条件で、基材の表面に溶射皮膜を成膜した溶射試験片を作製した。
[被削性試験1]
実施例1、2および比較例1〜3の溶射試験片に対して、図5に示す被削性試験装置を用いて、被削性試験を行った。具体的には、相手材として、自動車のターボチャージャのタービンホイールと同じ材料(ニッケル合金(インコネル713))のチップ型試験片51を準備し、これをロータ53に2枚取付けた。次に、可動装置54に取付けた溶射試験片55を、チップ型試験片51に当接させた状態で、溶射試験片55の位置を固定した。ロータ53を回転速度1200rpmで回転させ、チップ型試験片51の送り速度を25μm/秒で押し当てて、押し付け荷重が30Nになった時点で、ロータ53の回転を停止した。
なお、各溶射試験片に対して、この試験温度を、室温の条件と、移動式ヒータ56で加熱炉52内を加熱した800℃の条件で、被削性試験1を行った。この結果を図6に示す。図6は、実施例1、2および比較例1〜3の溶射試験片に対して、試験温度が室温および800℃となる条件で被削性試験1を行ったときの溶射皮膜の削れ深さと相手材摩耗量の関係を示したグラフである。なお、相手材摩耗量とは、チップ型試験片51の摩耗量のことである。
さらに、実施例1、2および比較例1〜3の溶射試験片に対して、試験温度が室温および800℃となる条件で被削性試験1を行った後の溶射皮膜を観察した。図7は、これらの溶射皮膜の写真である。
〔結果1〕
図6に示すように、試験温度が室温である場合には、実施例1、2および比較例1〜3の溶射皮膜の削れ深さは、いずれも目標値を上回り、実施例1、2の溶射皮膜の削れ深さは、比較例1〜3のものよりも大きかった。さらに、実施例1、2および比較例1〜3の相手材摩耗量は、いずれも目標値を下回り、実施例1、2の相手材摩耗量は、比較例1〜3のものよりも少なかった。
しかしながら、試験温度が800℃である場合には、実施例1、2の溶射皮膜の削れ深さは、目標値を上回っていたが、比較例1〜3の溶射皮膜の削れ深さは、室温のときに比べて大幅に低下し、目標値を下回った。実施例1、2の相手材摩耗量は、目標値を下回っていたが、比較例1〜3の相手材摩耗量は、室温のときに比べて大幅に上昇し、目標値を上回っていた。
さらに、図7に示すように、試験温度が室温である場合には、実施例1、2および比較例1〜3の溶射皮膜には、通常のアブレッシブ摩耗が確認できた。しかしながら、試験温度が800℃である場合には、実施例1、2の溶射皮膜には、通常のアブレッシブ摩耗が確認できたが、比較例1〜3の溶射皮膜には、凝着摩耗が確認できた。この結果から、試験温度が800℃である場合、比較例1〜3の溶射皮膜は、相手材が凝着したことにより、実施例1、2のものに比べて被削性が低下し、相手材摩耗量も増加したと考えられる。この原因を調査すべく、以下のことを確認した。
[顕微鏡観察]
実施例1、2および比較例1〜3の溶射皮膜の断面をSEMにより観察した。この結果を、図8に示す。図8は、実施例1、2および比較例1〜3の溶射皮膜の断面写真である。図8に示すように、実施例1、2および比較例1〜3の溶射皮膜は、気孔を含む多孔質の組織となっており、大きな差異は認められなかった。
[X線電子分光分析(XPS)]
実施例1および比較例3の溶射皮膜の表面の1400μm×500μmの範囲に対して、X線電子分光分析装置(アルバックファイ社製:Quantrea SXM)を用いて、X線電子分光分析(XPS)を行った。この結果を図9に示す。図9は、実施例1および比較例3の溶射皮膜のX線電子分光分析の結果を示したグラフである。なお、図9の結果から算出した溶射皮膜の主要元素の割合を表2に示す。図9および表2に示すように、実施例1の溶射皮膜の最表面は、比較例3に比べてBNがより豊富に存在していることがわかった。
Figure 2018178187
[オージェ分光分析(AES)]
実施例1、2および比較例3の溶射皮膜に対して、オージェ分光分析(AES)を行った。この結果を図10に示す。図10は、実施例1、2および比較例3の溶射皮膜のオージェ分光分析(AES)の結果を示したグラフである。図10に示すように、実施例1および2では、溶射皮膜を構成する溶射粒子には、比較例3のものよりも、より厚い酸化物層が形成されていた。
[EPMAライン分析]
実施例1および比較例3の溶射皮膜に対して、NiCr系合金粒子間におけるEPMAライン分析を行った。この結果を図11に示す。図11は、実施例1および比較例3の溶射皮膜に対して、NiCr系合金粒子間におけるEPMAライン分析の結果を示したグラフである。この結果から、実施例1の溶射皮膜のNiCr系合金粒子間では、B(硼素)が比較例3のものに比べて、より大きなピークで観察された。
[超高解像度EPMAライン分析]
そこで、実施例1の溶射皮膜の断面の任意のNiCr系合金粒子間において、超高解像度EPMAライン分析を行った。この結果を図12A、図12Bに示す。図12Aは、写真に示す実施例1の溶射皮膜の断面における、NiCr系合金粒子間におけるB、Si、N、Cr、O、およびNiの超高解像度EPMAライン分析の結果を示したグラフであり、図12Bは、図12Aの拡大図である。
図12Aに示すように、NiCr系合金粒子間には、B(硼素)とN(窒素)のピークが検出された。つまり、NiCr系合金粒子間には、h−BN粒子が存在し、h−BN粒子が、NiCr系合金粒子の表面全体を覆っている可能性が高いと考えられる。さらに、図12Bに示すように、BおよびNのピークと、O(酸素)のピークとには、若干のずれがあり、この結果から、NiCr系合金粒子の酸化物層の表面にh−BN粒子が付着していると考えられる。
ここで、NiCr系合金粒子の酸化物層は、Si(珪素)およびB(硼素)の酸化物からなる層であると考えられる。Siの酸化物の融点(SiO:1600℃)およびBの酸化物の融点(B:480℃)は、Crの酸化物の融点(Cr:2435℃)およびNiの酸化物の融点(NiO:1984℃)に比べて、低融点であり、酸化物の標準生成自由エネルギが低い。このため、Si、Bの酸化物は、Cr、Niの酸化物に比べて生成され易い。
以上のことから、実施例1、2の溶射皮膜は、比較例1〜3のものに比べて、高温被削性が高かった。最表面には、より多くのBNが存在していた。また、実施例1、2の溶射皮膜のNiCr系合金粒子には、SiおよびBの酸化物層が、比較例1〜3に比べてより厚く形成されていた。比較例1〜3の溶射皮膜のNiCr系合金粒子間には、BNはほとんど存在していなかったが、実施例1、2の溶射皮膜のNiCr系合金粒子間には、BNが概ね存在していた。
実施例1、2の溶射用粉末を溶射した際には、h−BNよりも熱伝導性の高いNiCr系合金が溶融する。すると、NiCr系合金粒子の表面に、液相状態のSiOおよびBの酸化物層が形成され、この液相状態の酸化物層は濡れ性が高いため、h−BN粒子を保持すると考えられる。この結果、溶射中であっても、NiCr系合金粒子を覆うh−BN粒子は飛散し難く、基材に衝突しNiCr系合金粒子が変形したとしても、h−BN粒子は、NiCr系合金粒子に付着した状態で保持されると考えられる。したがって、実施例1、2の溶射皮膜は、比較例1〜3のものに比べて、溶射皮膜の表面および溶射皮膜のNiCr系合金粒子間に、h−BN粒子がより多く残存したと考えられる。このようにして、実施例1、2の溶射皮膜は、比較例1〜3のものに比べて、高温においても凝着摩耗することなく、被削性が高くなったと考えられる。ここで、BNは、長時間、高温に晒されると、酸化して、固体潤滑性が損なわれると一般的に考えられている。そこで、以下の被削性試験2をさらに行った。
[被削性試験2]
実施例1および比較例3の溶射試験片をさらに準備し、それぞれの溶射試験片毎に、大気中(酸素雰囲気下)で、保持温度800℃、850℃、および900℃で300時間加熱した。図13に、実施例1および比較例3に対して、室温、800℃、850℃、および900℃における溶射皮膜の断面における組織写真を示す。次に、実施例1および3の各溶射試験片に対して、上述した被削性試験2と同じ試験を行った。この結果を図14に示す。図14は、実施例1および比較例3の溶射試験片に対して、保持温度が、室温、800℃、850℃、および900℃における溶射皮膜の削れ深さと相手材摩耗量の関係を示したグラフである。
図13に示すように、保持温度900℃では、比較例3の溶射皮膜は、酸化により溶射皮膜の一部が脱落していた。一方、実施例1の溶射皮膜では、NiCr系合金粒子の粒界の酸化物層が厚くなっているものの、溶射皮膜は基材に保持されていた。これは、実施例1の溶射皮膜にはSiが含まれているため、850℃以上においても、溶射皮膜の耐酸化性を向上することができたと考えられる。
さらに、900℃の被削性試験2の後であっても、実施例1の溶射皮膜は、保持されていた。また、図14に示すように、比較例3の溶射皮膜は、800℃以上の高温で保持した場合には、実施例1のものに比べて、削れ深さが小さく被削性が低下し、相手材摩耗量も多いことが分かる。
この理由を確認するために、実施例1および比較例3の溶射試験片を850℃で300時間保持したときの溶射皮膜の断面をSEMで観察し、それぞれの溶射皮膜の酸化物のビッカース硬さを5カ所測定した。この結果を図15および図16に示す。図15は、実施例1および比較例3の試験片を850℃の加熱条件で300時間加熱したときの溶射皮膜の断面の写真であり、図16は、実施例1および比較例3の試験片を850℃の加熱条件で300時間加熱したときの溶射皮膜の酸化物のビッカース硬さを示したグラフである。なお、図16の◆は、各測定箇所におけるビッカース硬さであり、○は、これらの平均値である。
図15に示すように、実施例1の溶射皮膜では、高温保持により形成されたNiCr系合金粒子を覆う酸化物層により、NiCr系合金粒子の母材となる金属部分が、明確に分断されていることが分かる。これに対して、比較例3の溶射皮膜では、高温保持により、NiCr系合金粒子全体が酸化し、隣接するNiCr系合金粒子同士が酸化物を介して密着していることがわかる。
図16に示すように、実施例1の溶射皮膜の酸化物のビッカース硬さは、比較例3のものに比べて小さく、実施例1の溶射皮膜の酸化物は、比較例3のものよりも柔らかかった。比較例3の場合には、この酸化物の生成とともに、NiCr系合金粒子の焼結が進み、この結果、比較例3の溶射皮膜は、実施例1のものに比べて被削性が低くなったと考えられる。一方、実施例1の場合には、比較例3に比べてより多く介在するh−BN粒子の存在により比較例3に比べてNiCr系合金粒子の焼結が進み難く、さらには、溶射皮膜の酸化物も軟質である。このため、実施例1の溶射皮膜は、比較例3のものに比べて、被削性が高くなったと考えられる。
[付着量確認試験]
実施例1、2および比較例1〜3の溶射用粉末に対して、溶射用粉末の供給量を90g/分、60g/分の条件で、基材の表面に溶射皮膜を成膜し、供給量(質量)と、溶射用粉末の付着量(溶射皮膜の質量)との関係から、付着効率を測定した。この結果を、図17に示す。図17は、実施例1、2および比較例1〜3の溶射用粉末の付着効率を測定した結果を示すグラフである。
図17に示すように、実施例1、2の溶射用粉末は、比較例1〜3のものよりも付着効率が高かった。これは、表1に示すように、実施例1、2の溶射用粉末を構成するNiCr系合金粒子の融点は、比較例1よりも低いので、実施例1、2の溶射用粉末は、比較例1〜3のものよりも溶射時に溶融し易いため、溶射用粉末の濡れ性が向上したことによると考えられる。
上述した如く、SiおよびBは、Ni、Crよりも酸化し易く、これらの元素は、NiCr系合金粒子のNiCr系合金の融点を低下させることができる。このため、実施例1、2の如く、SiおよびBを含有するNiCr系合金粒子を用いれば、NiCr系合金粒子の表面は、SiおよびBの酸化物により濡れ性が向上する。これにより、溶射用粉末の付着性効率を高めるとともに、溶射皮膜のNiCr系合金粒子同士の間に、h−BN粒子をより多く介在させることができる。
これに加えて、溶射皮膜を高い温度で長時間使用したとしても、溶射皮膜の形状を維持しつつ、焼結の進行を防止する軟質の酸化物層が新たに形成されるため、溶射皮膜の被削性は、従来のものに比べて良好なものとなる。
<実施例3−1〜3−6:h−BN粒子の最適量>
実施例1と同じように溶射試験片を作製した。実施例3−1と実施例1とは同じ条件で溶射試験片を作製した。実施例3−2〜実施例3−6の溶射試験片が、実施例1のものと相違する点は、溶射用粉末全体に対するh−BN粒子の含有量を、順次、4.0質量%、4.5質量%、5.5質量%、6.5質量%、7.0質量%、8.0質量%にした点である。なお、実施例3−2では、同じ溶射試験片を3つ作製した。
<実施例4−1、4−2>
実施例1と同じように溶射試験片を作製した。実施例4−1、4−2が実施例1のものと相違する点は、溶射用粉末全体に対するh−BN粒子の含有量を、順次、4.5質量%、5.5質量%にした点と、溶射用粉末の供給量を60g/分にした点である。なお、実施例4−1では、同じ溶射試験片を2つ作製した。
<比較例4−1〜4−4>
実施例1と同じように溶射試験片を作製した。比較例4−1〜4−4の溶射試験片が、実施例1のものと相違する点は、溶射用粉末全体に対するh−BN粒子の含有量を、順次、3.5質量%、8.5質量%、10.2質量%、15.0質量%にした点である。なお、実施例4−3では、同じ溶射試験片を2つ作製した。
<比較例5−1、5−2>
実施例1と同じように溶射試験片を作製した。比較例5−1、5−2が実施例1のものと相違する点は、溶射用粉末全体に対するh−BN粒子の含有量を、順次、8.5質量%、10.2質量%にした点と、溶射用粉末の供給量を60g/分にした点である。
実施例3−1〜3−6、実施例4−1、4−2、比較例4−1〜4−4、および比較例5−1、5−2の溶射試験片に対して、800℃の条件で上述した被削性試験1を行った。さらに、各溶射試験片の各溶射皮膜の引張強度を測定した。具体的には、各溶射試験片の溶射皮膜に、円柱の冶具を接着剤で接着し、円柱の冶具が固定された周りの溶射皮膜を押えつつ、溶射皮膜を基材の表面に対して垂直方向に沿って治具を引張り、溶射皮膜が基材から剥離したときの圧力を引張強度とした。これらの結果を図18に示す。図18は、実施例3−1〜3−6、実施例4−1、4−2、比較例4−1〜4−4、および比較例5−1、5−2における溶射皮膜の削れ深さと溶射皮膜の引張強度との結果を示したグラフである。
図18に示すように、実施例3−1〜3−6および実施例4−1、4−2の溶射皮膜の削れ深さは、比較例4−1のものよりも大きかった。これは、実施例3−1〜3−6および実施例4−1、4−2の溶射皮膜は、h−BN粒子の含有量が、4質量%以上であるため、溶射皮膜に含有するh−BN粒子により、溶射皮膜の被削性が向上したからであると考えられる。
一方、図18に示すように、実施例3−1〜3−6および実施例4−1、4−2の溶射皮膜の引張強度は、比較例4−2〜4−4および比較例5−1、5−2のものよりも高かった。これは、比較例4−2〜4−4および比較例5−1、5−2の溶射皮膜は、h−BN粒子の含有量が8質量%を超えているため、基材と溶射皮膜の間に介在するh−BN粒子および溶射皮膜のNiCr系合金粒子の間に介在するh−BN粒子が過多となったためであると考えられる。
<参考例1〜5:好ましい溶射方法>
実施例1と同じように、溶射試験片を作製した。参考例1〜5が実施例1と相違する点は、h−BN粒子の含有量を10.2質量%にした点である。
参考例2が、実施例1とさらに相違する点は、溶射用粉末の供給量を60g/分にした点である。
参考例3が、実施例1とさらに相違する点は、溶射用粉末の供給量を80g/分にした点と、燃料ガスに、アセチレン(C)ガスを用い、アセチレンガスのガス圧を15psiにし、供給ガスのガス流量を、酸素ガス:43NLPM、アセチレンガス:26NLPMとした点である。
参考例4が、実施例1とさらに相違する点は、プラズマ溶射により溶射皮膜を成膜した点であり、電流:450A、アルゴンガスの流量:150L/分、溶射用粉末の供給量:60g/分、溶射ガンの先端から基材までの距離:150mmとした点である。
参考例5が、実施例1とさらに相違する点は、プラズマ溶射により溶射皮膜を成膜した点であり、電流:450A、アルゴンガス流量:100L/分、溶射用粉末の供給量:60g/分、溶射ガンの先端から基材までの距離:150mmとした点である。
参考例1〜5の溶射試験片に対して、800℃の条件で上述した被削性試験1を行った。さらに、各溶射試験片の各溶射皮膜の引張強度を測定した。この結果を、図19に示す。図19は、参考例1〜参考例5における溶射皮膜の削れ深さと溶射皮膜の引張強度との結果を示したグラフである。
図19に示すように、プラズマ溶射により成膜した参考例4および5の溶射皮膜の削れ深さは、ガスフレーム溶射により成膜した参考例1〜3における溶射皮膜のものよりも、小さかった。さらに、プラズマ溶射により成膜した参考例4および5の溶射皮膜の引張強度は、ガスフレーム溶射により成膜した参考例1〜3における溶射皮膜のものよりも大きかった。
これは、参考例4および5では、参考例1〜3のガスフレームの温度に比べて、プラズマフレームの温度が高いため、溶射皮膜にNiCr系合金粒子同士による強い結合が形成されたからであると考えられる。したがって、溶射用粉末を用いた溶射皮膜の成膜を、ガスフレーム溶射により行うことにより、より被削性の高い溶射皮膜を得ることができると考えられる。
<実施例5〜7:NiCr系合金粒子の最適粒径>
実施例1と同じように溶射試験片を作製した。実施例5〜7が、実施例1のものと相違する点は、溶射用粉末のNiCr系合金粒子の粒径を、順次、38μm未満、150μm超え、38〜150μmにした点である。実施例5〜7の溶射用粉末に対して、実施例1と同じようにして、溶射用粉末の供給量:110g/分、60g/分の条件で、溶射皮膜を成膜した。
得られた溶射皮膜に対して、基準荷重を3kgfで、試験荷重を15kgfとして、ロックウェルスーパーフィシャル硬さを測定した。この結果を、図20に示す。図20は、溶射用粉末の供給量を110g/分および60g/分にして成膜した実施例5〜7の溶射皮膜のロックウェルスーパーフィシャル硬さ(HR15Y)の結果を示したグラフである。
さらに、得られた溶射皮膜に対して、上述した溶射皮膜の引張強度を測定した。この結果を、図21に示す。なお、図21は、溶射用粉末の供給量を110g/分および60g/分にして成膜した実施例5〜7の溶射皮膜の引張強度の結果を示したグラフである。
図20に示すように、実施例6では、溶射用粉末の供給量を110g/分および60g/分にして成膜した溶射皮膜のロックウェルスーパーフィシャル硬さのばらつきが、他のものに比べて大きい。一方、図21に示すように、実施例5では、溶射用粉末の供給量を110g/分および60g/分にして成膜した溶射皮膜の引張強度のばらつきが大きい。これは、ガスフレームから粉末一粒(一粒子)あたりに受けるエネルギ量が、その粒径の大きさにより異なるからである。さらに、溶射用粉末の供給量を110g/分にして成膜した場合は、溶射用粉末の供給量を60g/分にして成膜した場合に比べて、供給量が多いため、溶射時にNiCr系合金粒子の温度は上昇し難い。
なお、図21に示すように、供給量が60g/分である場合の実施例5では、NiCr系合金粒子の粒径が小さく、その供給量が少ないため、NiCr系合金粒子同士の接触面積が大きくなり、溶射皮膜の引張強度が高かったと考えられる。さらに、供給量が110g/分である場合の実施例5では、NiCr系合金粒子の粒径が小さく、その供給量が多いので、堆積する溶射用粉末の接触面積が小さくなり、溶射皮膜の引張強度が低かったと考えられる。
図21に示すように、供給量が60g/分である場合の実施例6では、NiCr系合金粒子の粒径が大きく、その供給量が少ないため、NiCr系合金粒子同士が扁平して絡み合うように接触し、溶射皮膜の引張強度が高かったと考えられる。さらに、供給量が110g/分である場合の実施例6では、NiCr系合金粒子の粒径が大きく、その供給量が多いが、溶射皮膜の引張強度が適度の範囲になっていた。
そして、実施例7の如く、NiCr系合金粒子の粒径が38〜150μmの範囲の溶射用粉末を用いれば、その供給量に拘わらず、溶射皮膜の硬さおよび引張強度のばらつきを安定させることができると考えられる。
以上、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本発明に含まれるものである。
10:溶射用粉末,10A:溶射皮膜,11、11A:NiCr系合金粒子,11B:酸化物層,12、12A:h−BN粒子,13、13A:Al粒子,20:基材

Claims (7)

  1. アブレーダブル特性を有した溶射皮膜を成膜するための溶射用粉末であって、
    前記溶射用粉末は、NiCr系合金粒子と、h−BN粒子と、を有し、
    前記NiCr系合金粒子のNiCr系合金は、Siを2〜10質量%含有しており、
    前記溶射用粉末は、h−BN粒子を4〜8質量%含有することを特徴とする溶射用粉末。
  2. 前記NiCr系合金粒子の表面全体には、前記h−BN粒子が被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の溶射用粉末。
  3. 前記NiCr系合金粒子のNiCr系合金は、Bを4質量%以下含有していることを特徴とする請求項1または2に記載の溶射用粉末。
  4. 前記溶射用粉末は、Al粒子を3〜5質量%含有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶射用粉末。
  5. 前記NiCr系合金粒子の粒径は、38〜150μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の溶射用粉末。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の溶射用粉末を用いて、溶射皮膜を成膜する溶射皮膜の成膜方法。
  7. 前記溶射用粉末を用いた前記溶射皮膜の成膜を、ガスフレーム溶射により行うことを特徴とする請求項6に記載の溶射皮膜の成膜方法。
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