JP5842811B2 - 競合プライマーによる標的塩基配列の検出方法 - Google Patents
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Description
本願は、2010年3月24日に、日本に出願された特願2010−68490号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
したがって、SNPの解析は、創薬ターゲットの探索または副作用の予見などの医薬品の開発において、極めて有効であると考えられる。このため、SNPの解析は世界的な巨大プロジェクトとして押し進められている。
そこで、あらかじめ患者の遺伝子を解析することによって、最適な薬剤を選択し患者に投与する方法が考えられている。さらに、単一遺伝子疾患のみならず多因子疾患についても、遺伝子診断の意義が急速に高まりつつある。
しかしながら、実用レベルでの検出を行うためには、低コスト、方法の簡便性、検出時間の短さ、検出結果の正確さなどの点がいずれも優れていることが要求される。しかしながら、現在までのところ、上記要求を満たす方法は知られていない。
しかしながら、この方法では、SNP解析の際に擬陽性が出る可能性がある。これは、標的核酸中の一塩基変異にのみ着目して競合プライマーの設計を行っているため、ミスマッチ塩基の数が多い競合プライマーからの伸長を抑制する能力が不十分であるためと考えられる。
(1)多型塩基を有する標的塩基配列を検出する方法であって、(a)標的塩基配列を含む塩基配列からなる標的核酸を有する核酸試料に、前記標的塩基配列に本質的に相補的な少なくとも1種の検出用プライマーと、前記標的塩基配列に本質的に相補的であり、かつ前記標的核酸に対して前記検出用プライマーと競合的にアニールする少なくとも1種の競合プライマーと、少なくとも1種の共通プライマーと、を添加する工程と、(b)前記核酸試料中の多型塩基を有する標的塩基配列を鋳型として用い、前記標的核酸に、前記検出用プライマーと前記競合プライマーとを競合的にアニールさせ、伸長反応を行い、伸長産物Aを合成する工程と、(c)前記工程(b)または後記工程(d)で得られた前記伸長産物Aと前記共通プライマーをアニールさせ、伸長反応を行い、伸長産物Bを合成する工程と、(d)前記工程(c)で得られた伸長産物Bと前記検出用プライマーまたは前記競合プライマーをアニールさせ、伸長産物Aを合成する工程と、(e)前記伸長産物AまたはBを検出する工程と、を有し、前記検出用プライマーは、3’末端又は3’末端から2塩基目に多型塩基に相補的なマッチ塩基と、前記標的配列に対して多型塩基以外の塩基に非相補的な1又は2つの第1又は第1及び第2のミスマッチ塩基とを有し、前記競合プライマーは、3’末端又は3’末端から2塩基目に多型塩基に非相補的なミスマッチ塩基と、前記標的配列に対して多型塩基以外の塩基に非相補的な1又は2つの第1又は第1及び第2のミスマッチ塩基とを有し、前記検出用プライマーが有する前記第1のミスマッチ塩基が、多型塩基に相補的なマッチ塩基から2塩基以内に位置し、前記競合プライマーが有する前記第1のミスマッチ塩基が、多型塩基に非相補的なミスマッチ塩基から17塩基以内に位置し、前記検出用プライマー及び前記競合プライマーが有する前記第2のミスマッチ塩基は、プライマーの中心付近に配置し、かつ3’末端から7〜15塩基目に位置し、前記検出用プライマーが有する前記第1のミスマッチ塩基の位置が、前記競合プライマーが有する多型塩基以外の塩基に非相補的な前記第1のミスマッチ塩基の位置とは異なり、前記競合プライマーと前記検出用プライマーの鎖長の差は1塩基以内であり、前記共通プライマーは、前記検出用プライマー又は前記競合プライマーと対になって前記標的核酸を増幅しうるものであることを特徴とする標的塩基配列の検出方法。
(2)前記(1)の標的塩基配列の検出方法において、前記検出用プライマー及び前記競合プライマーが有する前記第2のミスマッチ塩基の位置が同じであってもよい。
(3)前記(1)又は(2)の標的塩基配列の検出方法において、前記工程(b)〜(d)が、PCR、LAMP、NASBA、ICAN、TRC、SDA、TMA、SMAP、RPA、HDAよりなる群から選ばれる1つにより行われる工程であってもよい。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかの標的塩基配列の検出方法において、前記検出用プライマー、前記競合プライマー、または前記共通プライマーの少なくとも1つが標識されていてもよい。
(6)前記(4)又は(5)に記載の標的塩基配列の検出方法において、前記検出用プライマーと、前記競合プライマーとを、異なる種類の標識物質でそれぞれ標識し、前記工程(e)が、前記検出用プライマーからの伸長産物と、前記競合プライマーからの伸長産物とを別個に検出する工程であってもよい。
(7)前記(4)〜(6)のいずれかの標的塩基配列の検出方法において、前記工程(e)は、前記工程(b)〜(d)と同時に行われる工程であって、標識されたプライマーからの伸長産物が、2本鎖を形成している状態を検出する工程であってもよい。
(8)前記(4)〜(6)のいずれかの標的塩基配列の検出方法において、前記工程(e)は、前記工程(d)後に行われる工程であって、前記伸長産物の融解曲線または増幅曲線を用いて検出する工程であってもよい。
(9)前記(4)〜(8)のいずれかの標的塩基配列の検出方法において、前記工程(e)は、QP(Quenching Probe/Primer)法、を用いて検出する工程であってもよい。
(10)多型塩基を有する標的塩基配列を検出する方法に用いるキットであって、前記標的塩基配列に本質的に相補的な少なくとも1種の検出用プライマーと、前記標的塩基配列に本質的に相補的であり、かつ前記標的核酸に対して前記検出用プライマーと競合的にアニールする少なくとも1種の競合プライマーと、少なくとも1種の共通プライマーと、を含み、前記検出用プライマーは、3’末端又は3’末端から2塩基目に多型塩基に相補的なマッチ塩基と、前記標的配列に対して多型塩基以外の塩基に非相補的な1又は2つの第1又は第1及び第2のミスマッチ塩基とを有し、前記競合プライマーは、3’末端又は3’末端から2塩基目に多型塩基に非相補的なミスマッチ塩基と、前記標的配列に対して多型塩基以外の塩基に非相補的な1又は2つの第1又は第1及び第2のミスマッチ塩基とを有し、前記検出用プライマーが有する前記第1のミスマッチ塩基が、多型塩基に相補的なマッチ塩基から2塩基以内に位置し、前記競合プライマーが有する前記第1のミスマッチ塩基が、多型塩基に非相補的なミスマッチ塩基から17塩基以内に位置し、前記検出用プライマー及び前記競合プライマーが有する前記第2のミスマッチ塩基は、プライマーの中心付近に配置し、かつ3’末端から7〜15塩基目に位置し、前記検出用プライマーが有する前記第1のミスマッチ塩基の位置が、前記競合プライマーが有する多型塩基以外の塩基に非相補的な前記第1のミスマッチ塩基の位置とは異なり、前記競合プライマーと前記検出用プライマーの鎖長の差は1塩基以内であり、前記共通プライマーは、前記検出用プライマー又は前記競合プライマーと対になって前記標的核酸を増幅しうるものであり、前記方法は、(a)標的核酸を有する核酸試料に、前記検出用プライマーと前記競合プライマーとを添加する工程と、(b)前記核酸試料中の多型塩基を有する標的塩基配列を鋳型として用い、前記標的核酸に、前記検出用プライマーと前記競合プライマーとを競合的にアニールさせ、伸長反応を行い、伸長産物Aを合成する工程と、(c)前記工程(b)または後記工程(d)で得られた前記伸長産物Aと前記共通プライマーをアニールさせ、伸長反応を行い、伸長産物Bを合成する工程と、(d)前記工程(c)で得られた伸長産物Bと前記検出用プライマーまたは前記競合プライマーをアニールさせ、伸長産物Aを合成する工程と、(e)前記伸長産物AまたはBを検出する工程と、を有している。
また、本発明の標的塩基配列検出キットによれば、本発明の標的塩基配列の検出方法をより簡便に行うことをできる。
本発明において、標的塩基配列を検出するとは、核酸試料中に含まれている核酸の塩基配列が、既知の塩基配列と同一の塩基配列であるか否かを検出することをいう。
標的核酸は、多型塩基を含有する塩基配列からなり、前記標的核酸とアニール可能なプライマーを設計できる程度に塩基配列が明らかにされているものであれば、特に限定されるものではない。
SNP(一塩基多型)とは、同一生物種の個体間のゲノム塩基配列中に一塩基の違いがあり、その変異が集団内で1%以上の頻度で見られるものと定義されている。
一方、体細胞変異とは同一固体内において後天的に生じた遺伝子の細胞間での違いを意味する。また、変異部位とは、配列中における塩基の相違する部位を意味する。塩基配列中の変異は一塩基置換のみならず複数の塩基が置換、欠失あるいは挿入されている場合がある。
検出用プライマーは、多型塩基に相補的なマッチ塩基と、前記標的塩基配列に対して、多型塩基以外に少なくとも1つのミスマッチ塩基とを有する。
検出用プライマーが有するミスマッチ塩基の数は、1つでもよく、2つ以上でもよい。好ましくは、1〜5であり、より好ましくは、1〜3であり、特に好ましくは1又は2である。
競合プライマーが有するミスマッチ塩基の数は、1つでもよく、2つ以上でもよい。好ましくは、1〜5であり、より好ましくは、1〜3であり、特に好ましくは1又は2である。
ここで、ミスマッチ塩基の位置とは、鋳型とプライマーが2本鎖を形成したときに、プライマー中において多型塩基に対応する塩基を基準とした位置をいう。
標的核酸に対して両者を競合的にアニールさせることにより、多型塩基検出精度を向上させることができる。これは、検出したいアレル(本発明における標的核酸)と異なるアレルが存在するとき、目的のアレルを検出できるプライマーを検出用プライマーとし、異なるアレルを検出できるプライマーを競合プライマーとして用いた場合には、当該異なるアレルに競合プライマーが優先的に結合することにより、検出用プライマーの非特異反応を抑えるためである。また、3’末端付近の安定性の違いから競合プライマーからの伸長が効率よく進むことで、伸長反応に必要な材料が消費されるため、検出用プライマーからの非特異増幅を抑えることもできる。
更に、検出用プライマーの第1のミスマッチ塩基の位置が、前記競合プライマーが有する第1のミスマッチ塩基の位置とは異なっていることが好ましい。
つまり、同じ位置の場合には、塩基種が異なっていてもよい。
本発明において、「前記検出用プライマーの第2のミスマッチ塩基と前記競合プライマーの第2のミスマッチ塩基が互いに異なる」とは、具体的には、両者の位置が異なる場合、又は、両者の位置が同じであり、かつ塩基種が異なる場合を意味する。
本発明において、検出プライマーと競合プライマーにおける、第2のミスマッチ塩基の位置が同じであってもよい。
また、第2のミスマッチ塩基は、プライマーの中央付近に配置することが、検出プライマーからの増幅反応の効率を上げることができる点で好ましい。例えば、20〜25塩基のプライマーを用いた場合には、第2のミスマッチ塩基は、3’末端から7〜15塩基目に位置していることが好ましく、9〜15塩基目に位置していることがより好ましい。
例えば、鎖長に差があり競合プライマーの鎖長が長い場合には、競合プライマーが、検出用プライマーよりも優先してアニールし、検出プライマーのアニールが阻害される場合がある。逆に、検出プライマーの鎖長が長い場合には、検出プライマーが、競合プライマーよりも優先してアニールし、競合プライマーのアニールが阻害される場合がある。このため、検出プライマーと競合プライマーの鎖長は同程度であることが好ましい。
図1には反応組成物の一部として、遺伝子多型(C>T)を有する鋳型S、検出用プライマー(プライマーA:フォワードプライマーに相当)、競合プライマー(プライマーB:フォワードプライマーに相当)及び共通プライマー(リバースプライマーに相当)が挙げられている。
検出用プライマー及び競合プライマーがアニールした鋳型Sとのミスマッチ部位に下線を付した。
プライマーAは、検出用プライマーであり、プライマーAにおいて、3’末端に多型塩基を検出する塩基としてグアニン、3’末端から2塩基目に多型塩基以外の塩基に非相補的なミスマッチ塩基としてチミンが導入されている。
また、プライマーBは、競合プライマーであり、プライマーBにおいて、3’末端に多型塩基に非相補的なミスマッチ塩基としてアデニン、3’末端から2塩基目に多型塩基以外の塩基に非相補的なミスマッチ塩基としてチミンが導入されている。
ここで、プライマーA及びBに導入された変異の塩基及び導入位置は同じである。
鋳型Sに、4種類のデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)、DNAポリメラーゼ及び共通プライマーと共に2種類のプライマー(プライマーA及びB)を同時に作用させることで、検出用プライマー又は競合プライマーと、共通プライマーとの間で遺伝子が増幅される。
しかし、低頻度ながらも非特異的伸長反応によって生じた伸長産物は、次のサイクルで共通プライマーの鋳型(鋳型b)となって複製され、プライマーBの配列に相補的な配列を含むDNA(鋳型b’)が合成される。鋳型a’あるいは鋳型b’は、それぞれプライマーAあるいはプライマーBと完全に相補的であり、次のRoundからはいずれも効率よく伸長される。
さらに、次のRoundにおいて、プライマーBの多型塩基以外の塩基に非相補的なミスマッチ塩基は、鋳型a’に対してはマッチとなる。このため、プライマーBは、鋳型a’と2本鎖を形成し、伸長反応する。このため2nd Round以降は、プライマーAとプライマーBの特異性を高めるために導入したミスマッチ塩基の効果がなくなってしまう。鋳型a’はRoundを繰り返すごとに指数関数的に増加するため、特異的伸長反応に比べて効率は低いものの鋳型aおよびa’の増加に伴ってbおよびb’が増加する。
従って、当該方法は、鋳型に対してプライマーAとプライマーBの伸長効率の差をいかに大きくするという点で改良の余地を残している。
ここで、プライマーA及びBに導入された変異の導入位置は同じであるが、塩基は異なる。図1と比較すると、鋳型a’に対する非特異的伸長反応は3’末端が2塩基のミスマッチとなり、多型塩基を検出するための位置以外に導入したミスマッチ塩基の効果が持続し非特異的反応は抑制される。
しかしながら、鋳型a’は増幅の過程で増え続けるため、より効果的な非特異伸長反応の抑制が必要である。
一般的なSNPにおいてはアレルの種類は2種類であることが多いが、まれには3種類の場合がある。さらに、がん遺伝であるK−rasにおいては一箇所で可能性のある変異がすべて見出されている。このような場合、それぞれ4種類の塩基に対応する4種類のプライマーを競合させることが好ましい。
プライマーAはシトシン塩基を検出するもので、3’末端は鋳型Sとマッチであり、3’末端から2塩基目に鋳型Sとミスマッチな塩基としてチミンを導入している。
プライマーBはチミン塩基を検出するもので、3’末端は鋳型Sとミスマッチであり、さらに3’末端から3塩基目に鋳型Sとミスマッチな塩基としてチミンを導入している。
プライマーCはグアニン塩基を検出するもので、3’末端は鋳型Sとミスマッチであり、さらに3’末端から4塩基目に鋳型Sとミスマッチな塩基としてチミンを導入している。
同様にプライマーDはアデニン塩基を検出するもので、3’末端は鋳型Sとミスマッチであり、さらに3’末端から5塩基目に鋳型Sとミスマッチな塩基としてチミンを導入している。
この場合、プライマーB、CおよびDそれぞれは鋳型a’と3塩基ミスマッチになり、各プライマーからの非特異伸長反応が効果的に抑制される。
よって、本発明では競合する2種以上のアレル特異的なプライマーを競合させる場合においても、変異を識別する塩基以外に導入する変異の位置をそれぞれのプライマーで変えることにより、非特異伸長反応を実用的レベルで抑制することが可能となる。
プライマー[2]はTアレル検出用であり、3’末端がアデニンで3’末端から2塩基目はプライマー[1]と同様、鋳型とミスマッチなチミンである。
プライマー[3]はプライマー[2]と同様Tアレル検出用だが、3’末端から2塩基目に導入したミスマッチになる塩基がシトシンであり、プライマー[1]とは異なる。
プライマー[4]はTアレル検出用であり、プライマー[1]のミスマッチ塩基を導入した位置とは異なるように3’末端から3塩基目にミスマッチ塩基としてチミンを入れたものである。
・ 初期の鋳型濃度(鋳型S)を1とする。
・ 鋳型Sあるいは伸長産物(鋳型a’、鋳型b’)がそれぞれのプライマーと2本鎖を形成する割合を同等とする。
・ 共通プライマーからの伸長効率は1とする。
尚、プライマーにおいて、鋳型とミスマッチな塩基に下線を付した。
また、各Roundでプライマーから伸長される産物量を表すグラフを図7A〜9Bに示した。図7Aはプライマー[1]から伸長される伸長産物の鋳型の内訳を示し、図7Bはプライマー[2]から伸長される伸長産物の鋳型の内訳を示している。
以下、各工程について説明する。
本発明において、プライマーとは、鋳型と2本鎖状態になり、DNAポリメラーゼや逆転写酵素が DNAを合成する際に3’水酸基を供給する役割をもつ短い核酸の断片である。
DNAポリメラーゼとはプライマーがアニールした鋳型DNAと相補的な塩基配列を持つDNA鎖を合成する酵素の総称である。
本発明に用いられるDNAポリメラーゼとしては、特に限定されないが、Taq DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、Vent DNAポリメラーゼ等の熱安定性DNAポリメラーゼを用いることが好ましく、試験開始前の伸長を防ぐためにホットスタート機能を持つDNAポリメラーゼを使用することがより好ましい。さらに、本発明においては、プライマーの3’末端近傍で塩基を識別するため、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を持たないDNAポリメラーゼを使用するのが特に好ましい。
また、この伸長反応を行う際の反応条件等の具体的な方法については、実験医学第8巻第9号(羊土社、(1990))、PCRテクノロジー・ストックトン・プレス(PCR Technology Stockton press)(1989)等の文献に記載された公知の方法に従い行うことができる。
工程(e)におけるプライマーからの伸長産物の検出方法は、特に限定するものではなく、蛍光色素等によるプライマーの標識、電気泳動、高速液体クロマトグラフィーやマススペクトル、融解曲線分析、増殖曲線分析など、核酸を分析できるあらゆる方法が挙げられる。
一方、2本鎖を形成している場合、インターカレーターでもあるアクリジンは2本鎖核酸に結合するため、フルオロセインとの距離が離れフルオロセインからの蛍光を吸収することができなくなる。よってプライマー伸長反応が生じたプライマーのみ蛍光を発光することになる(図10参照。)。
従って、検出用プライマー及び競合プライマーの蛍光色素を異なるものにすることにより、いずれのプライマーからの伸長生成物であるかを判断することができる。
よって例えば、本発明の検出方法において、野生型と変異型の2種類からなる多型のうち、変異型アレルを検出するプライマーを検出用プライマーとし、野生型アレルを検出し得るプライマーを競合プライマーとして用い、かつ、検出用プライマーと競合プライマーをそれぞれ異なる蛍光色素で標識し、各プライマーの伸長産物をそれぞれ検出することにより、試料中の1つの多型の有無を検出することができるだけでなく、試料中の複数の多型を検出することができる。
また、アクリジンの代わりにピレンを用いてもよい。ピレンもまたエネルギー吸収性を有し、2本鎖に結合できるため、アクリジンと同様に2本鎖形成反応を調べることができる。
このほか、2つ以上のアレル特異的プライマーのどれから伸長が起こったかを検出する方法としては、LUX(商標名)プライマー(invitrogen社)やAmplifluor(商標名)UNIプライマー(商標名)(CHEMICON社)など、プライマーの1本鎖状態と2本鎖状態を判別することができる方法があり(Ranasingheら、Chem.Commun、第44巻、第5487〜5502頁、2005年)、いずれの方法も適用可能である。
本発明の検出用プライマーを、グアニン塩基との近接により消光する蛍光色素で標識することにより、検出用プライマーと、標的核酸との近接の有無を検出することができる。該グアニン塩基を有するのは、標的核酸であっても、検出用プライマーであってもよいが、検出用プライマーであることが好ましい。
電気泳動による検出に用いる試薬としては二本鎖DNAに結合して蛍光を発するので、臭化エチジウムやサイバーグリーンがより好ましい。
また、質量分析法を利用する場合は二つのプライマーからの伸長生成物の長さが異なるようにしてもよいし、プライマーを質量が異なる物質で標識してもよい。後者の場合、特異性に与える影響が少なく好ましい。
また、プライマーからの伸長産物は2本鎖を形成する温度下で蛍光測定してもよい。この方法では、競合するプライマーから伸長した産物だけを検出することができるので、さらに高精度に識別が可能である。
その他、試料前処理用の細胞破壊試薬や、標識物質の標識を検出するための試薬等を組み合わせてもよい。
このように、本発明の標的塩基配列の検出方法に必要な試薬等をキット化することにより、より簡便かつ短時間で一塩基多型の識別をすることができる。
表9に示されるように、VKORC1の上記遺伝子多型を検出する2種類の検出用プライマー(VK1Wat−Acridine及びVK1Mtg−Acridine)及び共通プライマー(VK1R2)を作製した。検出用プライマーとしては、5’末端にアクリジンホスホロアミダイト(グレンリサーチ社)を用いてアクリジンを導入し、さらにその5’末端に6−フルオロセイン(グレンリサーチ社)を導入したものを日本バイオサービス社から購入した。表9に示される4種の競合プライマー(VK1Mtg、VK1Mat、VK1Mac、VK1Wat)および共通プライマー(VK1R2)については、常法の合成方法で合成したものをグライナージャパンから購入した。鋳型となるゲノムDNAとしてはCoriell社から購入したものを用いた。
表9中、1173位及び多型塩基認識部位を太字で示し、ミスマッチ塩基導入部位に下線を付した。また、「Acridine」はアクリジンを、「6−FAM」は6−フルオロセイン標識を、右欄の数字は配列表中に示した標識前の配列に対応する配列番号を、それぞれ示す。
鋳型として、VK1ORC1の遺伝子多型であるCアレル、またはTアレルを、検出用プライマーとしてVK1Wat−Acridine及び競合プライマーとしてVK1Matを、共通プライマーとしてVK1R2を混合した反応液を表10記載の組成となるように調製した。上記反応液をリアルタイムPCRシステム(Roche製、「LightCycler」)にセットし、95℃で1分間保持し、DNAポリメラーゼの抗体を変性させた後、62℃20秒、95℃5秒の2ステップPCRを55サイクル行い、95℃から40℃まで融解曲線解析を行った。なお、鋳型に蒸留水(D.W.)を用いたものをネガティブコントロールとした。結果を図11に示す。
検出用プライマー(VK1Wat−Acridine)が、2本鎖を形成すると、エネルギー吸収物質であるアクリジンが2本鎖核酸にインターカレートし、アクリジンによるエネルギー吸収量が小さくなるため、6−フルオロセインからの蛍光強度が大きくなる。
融解曲線とは、温度を低温から徐々に上げることにより、PCR法により増幅された2本鎖核酸が1本鎖状態に変性するまでの蛍光強度を測定して得られる曲線をいう。融解曲線の負の一次微分曲線は温度変化に対する蛍光変化量を示すもので、変化量が最大のところが2本鎖DNAのTmとなる。
比較例1において、VK1Wat−Acridineからの伸長産物は、83℃から86℃の範囲で1本鎖状態と2本鎖状態の変化量が最も多いことが既に分かっている。よって、融解曲線の負の一次微分曲線において83℃から86℃の範囲でピークが見られる場合には、VK1Wat−Acridineから伸長反応が起きたと判断することができる。
比較例1の検出用プライマー及び競合プライマーのセットを用いた場合には、Cアレル、またはTアレルのどちらを鋳型として用いても同様の結果が得られた。これは、上記プライマーセットでは、伸長反応がCアレル特異的でないことを示唆している。
検出用プライマーとしてVK1Wat−Acridine及び競合プライマーとしてVK1Macを用いた以外は、比較例1と同様の反応及び同様の解析を行った。結果を図12に示す。
比較例2の検出用プライマー及び競合プライマーのセットを用いた場合には、Cアレルを鋳型として用いたときのVK1Wat−Acridineからの増幅が優位に観察された。しかしながら、Tアレルを鋳型として用いたときにわずかなピークが見られる。これは、TアレルをサンプルとしたときVK1Wat−Acridineからの伸長抑制は十分ではないことを示唆している。
検出用プライマーとしてVK1Wat−Acridine及び競合プライマーとしてVK1Mtgを用いた以外は、比較例1と同様の反応及び同様の解析を行った。結果を図13に示す。
実施例1の検出用プライマー及び競合プライマーのセットを用いた場合には、Cアレルを鋳型として用いたときのVK1Wat−Acridineからの増幅が優位に観察された。さらに、比較例2の結果に比べTアレルを鋳型として用いたときのVK1Wat−Acridineからの増幅が抑えられていることから、上記プライマーセットでは、Cアレル特異性がより優れていることを示唆している。
検出用プライマーとしてVK1Mtg−Acridine及び競合プライマーとしてVK1Watを用いた以外は、比較例1と同様の反応及び同様の解析を行った。結果を図14に示す。
実施例2において、VK1Mtg−Acridineからの伸長産物は、83℃から86℃の範囲で1本鎖状態と2本鎖状態の変化量が最も多いことが既に分かっている。よって、融解曲線の負の一次微分曲線において83℃から86℃の範囲でピークが見られる場合には、蛍光標識されたVK1Mtg−Acridineから伸長反応が起きたと判断することができる。
実施例2の検出用プライマー及び競合プライマーのセットを用いた場合には、Tアレルを鋳型として用いたときのVK1Mtg−Acridineからの増幅が優位に観察された。これは、上記プライマーセットでは、伸長反応がTアレル特異的であることを示唆している。
従って、VK1Wat及びVK1Mtgに互いに蛍光波長の異なる蛍光色素を導入することにより、各蛍光標識プライマーからの伸長反応を同時に測定することができる。
表11に示されるように、新たにVKORC1の遺伝子多型を識別する検出用プライマー(VK1Mtg−pyren)を作製した。検出用プライマーとしては、5’末端から2塩基目のアデニンにAmino−modifer C6 dA(グレンリサーチ社)を導入し、さらにその5’末端に6−フルオロセイン(グレンリサーチ社)を導入したものを日本バイオサービス社から購入し、1−ピレンブタノイックアシッドサクシンイミジルエステル(インビトロジェン社)を用いてアミノ基へピレン修飾を行ったものを用いた。
競合プライマーおよび共通プライマーとしては、常法の合成方法で合成したものをグライナージャパンから購入したものを用いた。競合プライマーについては、ミスマッチ塩基の導入位置を変えたものを複数作製した。他は、比較例1の記載と同様である。
表11中、多型塩基認識部位を太字で示し、ミスマッチ塩基導入部位に下線を付し、ピレン修飾した塩基は二重下線を付した。また、「pyrene」はピレンを、「6−FAM」は6−FAM標識を、右欄の数字は配列表中に示した標識前の配列に対応する配列番号を、それぞれ示す。尚、用いたテンプレートは表9記載の配列と同様のものである。
鋳型として、VK1ORC1の遺伝子多型であるCアレルまたは、Tアレルを、検出用プライマーとしてVK1Wat−pyrene及び競合プライマーとしてVK1M4tを、共通プライマーとしてVK1R2を混合した反応液を表12記載の組成となるように調製した。上記反応液をリアルタイムPCRシステム(Roche製、「LightCycler」)にセットし、95℃で1分間保持し、DNAポリメラーゼの抗体を変性させた後、58℃20秒、95℃5秒の2ステップPCRを55サイクル行い、95℃から40℃まで融解曲線解析を行った。なお、鋳型に蒸留水(D.W.)を用いたものをネガティブコントロールとした。結果を図15に示す。
実施例3の検出用プライマー及び競合プライマーのセットを用いた場合には、実施例1と同様の結果が得られた。したがって競合プライマーのミスマッチ塩基が3’末端から4塩基目に位置する場合でも実施例1の3’末端から3塩基目に位置する場合と同様に、Cアレル特異性がより優れていることが示唆された。
競合プライマーとしてVK1M5tを用いた以外は、実施例3と同様の反応及び同様の解析を行った。結果を図16に示す。
実施例4の検出用プライマー及び競合プライマーのセットを用いた場合には、実施例3と同様の結果が得られた。したがって競合プライマーのミスマッチ塩基が3’末端から5塩基目に位置する場合でも実施例1の3’末端から3塩基目に位置する場合と同様に、Cアレル特異性がより優れていることが示唆された。
競合プライマーとしてVK1M8tを用いた以外は、実施例3と同様の反応及び同様の解析を行った。結果を図17に示す。
実施例5の検出用プライマー及び競合プライマーのセットを用いた場合には、実施例3と同様の結果が得られた。したがって競合プライマーのミスマッチ塩基が3’末端から8塩基目に位置する場合でも実施例1の3’末端から3塩基目に位置する場合と同様に、Cアレル特異性がより優れていることが示唆された。
検出用プライマーとしてVK1Mtg−pyrene及び競合プライマーとしてVK1W4tを用いた以外は、実施例3と同様の反応及び同様の解析を行った。結果を図18に示す。
実施例6の検出用プライマー及び競合プライマーのセットを用いた場合には、実施例2と同様の結果が得られた。したがって変異を検出するプライマーセットにおいて競合プライマーの3’末端から4塩基目にミスマッチ塩基を導入しても、Tアレル特異性がより優れていることが示唆された。
競合プライマーとしてVK1W5tを用いた以外は、実施例6と同様の反応及び同様の解析を行った。結果を図19に示す。
実施例7の検出用プライマー及び競合プライマーのセットを用いた場合には、実施例6と同様の結果が得られた。したがって変異を検出するプライマーセットにおいて競合プライマーの3’末端から5塩基目に変異を導入してもTアレル特異性がより優れていることが示唆された。
競合プライマーとしてVK1W8tを用いた以外は、実施例7と同様の反応及び同様の解析を行った。結果を図20に示す。
実施例8の検出用プライマー及び競合プライマーのセットを用いた場合には、実施例6と同様の結果が得られた。したがって変異を検出するプライマーセットにおいて競合プライマーの3’末端から8塩基目に変異を導入してもTアレル特異性がより優れていることが示唆された。
鋳型として、VK1ORC1の遺伝子多型であるCアレル、またはTアレルを、プライマーとして、表13に示す検出用プライマー及び競合プライマーのセットを、共通プライマーとしてVK1R2を混合した反応液を表11記載の組成となるように調製した。上記反応液をリアルタイムPCRシステム(Roche製、「LightCycler」)にセットし、95℃で1分間保持し、DNAポリメラーゼの抗体を変性させた後、62℃20秒、95℃5秒の2ステップPCRを55サイクル行い、95℃から40℃まで融解曲線解析を行った。なお、鋳型に蒸留水(D.W.)を用いたものをネガティブコントロールとした。結果を図21〜30に示す。
実施例9〜13の検出用プライマー及び競合プライマーのセットを用いた場合には、実施例3と同様の結果が、実施例14〜18の検出用プライマー及び競合プライマーのセットを用いた場合には、実施例6と同様の結果が得られた。
また、実施例3〜8から、アニール温度が低い条件下においても8塩基以内に位置する場合には精度良く検出できることが確認された。
表14に示されるように、新たにVKORC1の遺伝子多型を識別する検出用プライマー(VK1Wat−P−FAM1)を作製した。検出用プライマーとしては、5’末端から4塩基目のシトシンにAmino−modifer C6 dC(グレンリサーチ社)を導入し、さらに5’末端から6塩基目のチミンにフルオロセインdT(グレンリサーチ社)を導入したものを日本バイオサービス社から購入し、1−ピレンブタノイックアシッドサクシンイミジルエステル(インビトロジェン社)を用いてアミノ基へピレン修飾を行ったものを用いた。
表14に示される競合プライマーおよび共通プライマーとしては、常法の合成方法で合成したものをグライナージャパンから購入したものを用いた。競合プライマーについては、鎖長を変えたものを複数作製した。
表14中、1173位及び多型塩基認識部位を太字で示し、ミスマッチ塩基導入部位に下線を付した。また、「FAMdT」はフルオロセインdTを、「PyrendC」はピレン標識を行ったAmino−modifer C6 dCを、右欄の数字は配列表中に示した標識前の配列に対応する配列番号を、それぞれ示す。尚、用いたテンプレートは表9記載の配列と同様のものである。
鋳型として、VKORC1の遺伝子多型であるCアレル、またはTアレルを、プライマーとして、表15に示す検出用プライマー及び競合プライマーのセットを、共通プライマーとしてVK1R2を混合した反応液を表10記載の組成となるように調製した。上記反応液をリアルタイムPCRシステム(Roche製、「LightCycler480」)にセットし、95℃で1分間保持し、DNAポリメラーゼの抗体を変性させた後、64℃30秒、95℃5秒の2ステップPCRを60サイクル行った。鋳型としてCアレルを用いて反応させて得られた結果を図31に示す。
検出用プライマーよりも2塩基〜16塩基長い競合プライマーを用いた実施例21〜26は、検出プライマーより20塩基長い競合プライマーを用いた実施例27よりも反応性に優れていることが確認された。
更に、検出用プライマーと同じ鎖長、または1塩基長い競合プライマーを用いた実施例19及び実施例20は、検出用プライマーよりも2塩基〜16塩基長い競合プライマーを用いた実施例21〜26よりも反応性に優れていることが確認された。
表16に示されるように、新たにVKORC1の遺伝子多型を識別する検出用プライマー(VK1Wat−P−FAM2〜8)を作製した。検出用プライマーとしては、5’末端から4塩基目のシトシンにAmino−modifer C6 dC(グレンリサーチ社)を導入し、さらに5’末端から6塩基目のチミンにフルオロセインdT(グレンリサーチ社)を導入したものを日本バイオサービス社から購入し、1−ピレンブタノイックアシッドサクシンイミジルエステル(インビトロジェン社)を用いてアミノ基へピレン修飾を行ったものを用いた。
表16に示される競合プライマーおよび共通プライマーとしては、常法の合成方法で合成したものをグライナージャパンから購入したものを用いた。競合プライマーについては、第2のミスマッチ塩基の導入位置を変えたものを複数作製した。
表16中、1173位及び多型塩基認識部位を太字で示し、ミスマッチ塩基導入部位に下線を付した。また、「FAMdT」はフルオロセインdTを、「PyrendC」はピレン標識を行ったAmino−modifer C6 dCを、右欄の数字は配列表中に示した標識前の配列に対応する配列番号を、それぞれ示す。尚、用いたテンプレートは表9記載の配列と同様のものである。
鋳型として、VKORC1の遺伝子多型であるCアレル、またはTアレルを、プライマーとして、表17に示す検出用プライマー及び競合プライマーのセットを、共通プライマーとしてVK1R2を混合した反応液を表10記載の組成となるように調製した。上記反応液をリアルタイムPCRシステム(Roche製、「LightCycler480」)にセットし、95℃で1分間保持し、DNAポリメラーゼの抗体を変性させた後、64℃30秒、95℃5秒の2ステップPCRを60サイクル行った。鋳型としてCアレルを用いて反応させて得られた結果を図32に示す。
第2のミスマッチ塩基が、3’末端から7塩基以上離れている検出プライマー及び競合プライマーのセットを用いた実施例29〜35は、第2のミスマッチ塩基が導入されていない実施例28よりも反応性に優れていることが確認された。
中でも第2のミスマッチ塩基が、3’末端から9塩基以上離れている検出プライマー及び競合プライマーのセットを用いた実施例29〜34は、特に反応性に優れていることが確認された。
Claims (10)
- 多型塩基を有する標的塩基配列を検出する方法であって、
(a)標的塩基配列を含む塩基配列からなる標的核酸を有する核酸試料に、
前記標的塩基配列に本質的に相補的な少なくとも1種の検出用プライマーと、
前記標的塩基配列に本質的に相補的であり、かつ前記標的核酸に対して前記検出用プライマーと競合的にアニールする少なくとも1種の競合プライマーと、
少なくとも1種の共通プライマーと、を添加する工程と、
(b)前記核酸試料中の多型塩基を有する標的塩基配列を鋳型として用い、前記標的核酸に、前記検出用プライマーと前記競合プライマーとを競合的にアニールさせ、伸長反応を行い、伸長産物Aを合成する工程と、
(c)前記工程(b)または後記工程(d)で得られた前記伸長産物Aと前記共通プライマーをアニールさせ、伸長反応を行い、伸長産物Bを合成する工程と、
(d)前記工程(c)で得られた伸長産物Bと前記検出用プライマーまたは前記競合プライマーをアニールさせ、伸長産物Aを合成する工程と、
(e)前記伸長産物AまたはBを検出する工程と、を有し、
前記検出用プライマーは、3’末端又は3’末端から2塩基目に多型塩基に相補的なマッチ塩基と、前記標的配列に対して多型塩基以外の塩基に非相補的な1又は2つの第1又は第1及び第2のミスマッチ塩基とを有し、
前記競合プライマーは、3’末端又は3’末端から2塩基目に多型塩基に非相補的なミスマッチ塩基と、前記標的配列に対して多型塩基以外の塩基に非相補的な1又は2つの第1又は第1及び第2のミスマッチ塩基とを有し、
前記検出用プライマーが有する前記第1のミスマッチ塩基が、多型塩基に相補的なマッチ塩基から2塩基以内に位置し、
前記競合プライマーが有する前記第1のミスマッチ塩基が、多型塩基に非相補的なミスマッチ塩基から17塩基以内に位置し、
前記検出用プライマー及び前記競合プライマーが有する前記第2のミスマッチ塩基は、プライマーの中心付近に配置し、かつ3’末端から7〜15塩基目に位置し、
前記検出用プライマーが有する前記第1のミスマッチ塩基の位置が、前記競合プライマーが有する多型塩基以外の塩基に非相補的な前記第1のミスマッチ塩基の位置とは異なり、
前記競合プライマーと前記検出用プライマーの鎖長の差は1塩基以内であり、
前記共通プライマーは、前記検出用プライマー又は前記競合プライマーと対になって前記標的核酸を増幅しうるものであることを特徴とする標的塩基配列の検出方法。 - 前記検出用プライマー及び前記競合プライマーが有する前記第2のミスマッチ塩基の位置が同じであることを特徴とする請求項1に記載の標的塩基配列の検出方法。
- 前記工程(b)〜(d)が、PCR、LAMP、NASBA、ICAN、TRC、SDA、TMA、SMAP、RPA、HDAよりなる群から選ばれる1つにより行われる工程であることを特徴とする請求項1又は2に記載の標的塩基配列の検出方法。
- 前記検出用プライマー、前記競合プライマー、または前記共通プライマーの少なくとも1つが標識されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の標的塩基配列の検出方法。
- 前記標識に用いられる標識物質が、蛍光色素及びエネルギー吸収性物質からなる群より選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項4に記載の標的塩基配列の検出方法。
- 前記検出用プライマーと、前記競合プライマーとを、異なる種類の標識物質でそれぞれ標識し、前記工程(e)が、前記検出用プライマーからの伸長産物と、前記競合プライマーからの伸長産物とを別個に検出する工程であることを特徴とする請求項4又は5に記載の標的塩基配列の検出方法。
- 前記工程(e)は、前記工程(b)〜(d)と同時に行われる工程であって、標識されたプライマーからの伸長産物が、2本鎖を形成している状態を検出する工程であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の標的塩基配列の検出方法。
- 前記工程(e)は、前記工程(d)後に行われる工程であって、前記伸長産物の融解曲線または増幅曲線を用いて検出する工程であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の標的塩基配列の検出方法。
- 前記工程(e)は、QP(Quenching Probe/Primer)法、を用いて検出する工程であることを特徴とする請求項4〜8のいずれか一項に記載の標的塩基配列の検出方法。
- 多型塩基を有する標的塩基配列を検出する方法に用いるキットであって、
前記標的塩基配列に本質的に相補的な少なくとも1種の検出用プライマーと、
前記標的塩基配列に本質的に相補的であり、かつ前記標的核酸に対して前記検出用プライマーと競合的にアニールする少なくとも1種の競合プライマーと、
少なくとも1種の共通プライマーと、を含み、
前記検出用プライマーは、3’末端又は3’末端から2塩基目に多型塩基に相補的なマッチ塩基と、前記標的配列に対して多型塩基以外の塩基に非相補的な1又は2つの第1又は第1及び第2のミスマッチ塩基とを有し、
前記競合プライマーは、3’末端又は3’末端から2塩基目に多型塩基に非相補的なミスマッチ塩基と、前記標的配列に対して多型塩基以外の塩基に非相補的な1又は2つの第1又は第1及び第2のミスマッチ塩基とを有し、
前記検出用プライマーが有する前記第1のミスマッチ塩基が、多型塩基に相補的なマッチ塩基から2塩基以内に位置し、
前記競合プライマーが有する前記第1のミスマッチ塩基が、多型塩基に非相補的なミスマッチ塩基から17塩基以内に位置し、
前記検出用プライマー及び前記競合プライマーが有する前記第2のミスマッチ塩基は、プライマーの中心付近に配置し、かつ3’末端から7〜15塩基目に位置し、
前記検出用プライマーが有する前記第1のミスマッチ塩基の位置が、前記競合プライマーが有する多型塩基以外の塩基に非相補的な前記第1のミスマッチ塩基の位置とは異なり、
前記競合プライマーと前記検出用プライマーの鎖長の差は1塩基以内であり、
前記共通プライマーは、前記検出用プライマー又は前記競合プライマーと対になって前記標的核酸を増幅しうるものであり、
前記方法は、
(a)標的核酸を有する核酸試料に、前記検出用プライマーと前記競合プライマーとを添加する工程と、
(b)前記核酸試料中の多型塩基を有する標的塩基配列を鋳型として用い、前記標的核酸に、前記検出用プライマーと前記競合プライマーとを競合的にアニールさせ、伸長反応を行い、伸長産物Aを合成する工程と、
(c)前記工程(b)または後記工程(d)で得られた前記伸長産物Aと前記共通プライマーをアニールさせ、伸長反応を行い、伸長産物Bを合成する工程と、
(d)前記工程(c)で得られた伸長産物Bと前記検出用プライマーまたは前記競合プライマーをアニールさせ、伸長産物Aを合成する工程と、
(e)前記伸長産物AまたはBを検出する工程と、を有していることを特徴とする標的塩基配列検出キット。
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