JP2009247230A - Vkorc1フォワードプライマー、vkorc1リバースプライマー、cyp2c9フォワードプライマー、及びcyp2c9リバースプライマー - Google Patents

Vkorc1フォワードプライマー、vkorc1リバースプライマー、cyp2c9フォワードプライマー、及びcyp2c9リバースプライマー Download PDF

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Abstract

【課題】ワルファリン代謝能の個人差予測に有効な一塩基多型であるVKORC1(1173C>T)及びCYP2C9(1075A>C)を検出するためのプライマーの提供。
【解決手段】ヒトVKORC1遺伝子の、開始コドン(ATG)のAを1位としたときの1173位の塩基におけるVKORC1(1173C>T)を検出するためのプライマーであって、3’末端の塩基がVKORC1遺伝子の1172位の塩基Cと相補的な塩基Gであり、3’末端から2番目の塩基がVKORC1遺伝子の1173位の塩基に対応する塩基であり、3’末端から3番目の塩基がVKORC1遺伝子の1174位の塩基Cと非相補的な塩基TであるVKORC1(1173C>T)フォワードプライマー、VKORC1(1173C>T)リバースプライマー、CYP2C9(1075A>C)フォワードプライマー、及びCYP2C9(1075A>C)リバースプライマー。
【選択図】なし

Description

本発明は、ワルファリンカリウム代謝能の個人差の一因である遺伝子多型を検出するためのプライマー、及び該プライマーを用いた多型検出方法に関する。
ワルファリンカリウム(以下、ワルファリンと略記する。)は、国際的にも最も広く使用されている経口抗凝固薬である。しかし、ワルファリン代謝能は非常に個人差が大きく、適正な治療域INR(International Normalized Ratio、国際標準比)を得るために必要とされるワルファリン投与量は0.5〜7.0mg/日と、患者間で10倍以上もの差がある。各患者における有効でかつ安全なワルファリン投与量を迅速に設定することは、臨床上非常に重要であり、ワルファリン代謝能の個人差を解明するために、ワルファリンの薬物動態(pharmacokinetics:PK)や薬力学(pharmacodynamics:PD)における個人差要因の研究が精力的に行われている。
現在では、ワルファリン代謝能の個人差には、遺伝子変異が大きく影響しており、特に、PKにおける個人差要因として肝薬物代謝酵素チトクロームP450(cytochromeP450:CYP)2C9分子種の遺伝子変異が、PDにおける個人差要因としてビタミンKエポキシド還元酵素複合体(vitamin K epoxide reductase complex:VKORC)のサブユニット1(VKORC1)の遺伝子変異が、それぞれ大きく影響していることが明らかにされてきている。
CYP2C9には、多くの一塩基多型が報告されているが、ワルファリン代謝能には、特に、CYP2C9遺伝子の開始コドン(ATG)のAを1位としたときの1075位の塩基における一塩基多型CYP2C9(1075A>C)(SNP ID:rs1057910)が大きく影響していることがわかっている。ここで、CYP2C9(1075A>C)とは、野生型アレルではCYP2C9遺伝子の1075位の塩基はA(アデニン)であるが、変異型アレルではC(シトシン)であることを意味する。
CYP2C9変異型アレルの出現頻度には人種差が認められ、白人では7%と比較的変異型アレルの頻度が高いが、アフリカ系アメリカ人では1.5%、アジア人(日本人を含む)では1.8%であり、変異型アレルの頻度が非常に低い。CYP2C9(1075A>C)を検出することが、ワルファリン代謝能の個人差を特定するために重要であると考えられるが、変異型アレルの検出頻度が非常に低い場合には、該変異型アレルの検出は臨床上あまり効果は期待できない。このため、アジア人に対するワルファリン応答性検査としてCYP2C9(1075A>C)の検出のみを単独で行うことは、費用対効果の観点から好ましくない(例えば、非特許文献1及び2参照。)。
一方で、ワルファリンの標的分子であるVKORCのサブユニットであるVKORC1遺伝子の開始コドン(ATG)のAを1位としたときの1173位の塩基における一塩基多型VKORC1(1173C>T)(SNP ID:rs9934438)が大きく影響していることが、2004年頃から報告されてきている(例えば、非特許文献3参照。)。ここで、VKORC1(1173C>T)とは、野生型アレルではVKORC1遺伝子の1173位の塩基はCであるが、変異型アレルではT(チミン)であることを意味する。VKORC1の1173位の塩基がTに変異することにより、ワルファリン応答性が高くなる(例えば、非特許文献4参照。)。
VKORC1変異型アレルの出現頻度にも人種差が認められ、日本人を含むアジア人では約90%と非常に高いが、白人では約40%、アフリカ系アメリカ人では約10%程度である。従来から経験的に、アジア人の平均的ワルファリン投与量が、白人やアフリカ系アメリカ人よりも低いことが知られているが、これは、ワルファリン応答性の高いVKORC1変異型アレルの出現頻度が、白人等に比べてアジア人において非常に高いためと考えられる(例えば、非特許文献1及び2参照。)。
このように、VKORC1(1173C>T)を検出することにより、ワルファリン代謝能の個人差を予測することができる。特に、CYP2C9(1075A>C)のみの検出ではほとんど予測することができなかったアジア人の予測に、非常に有用であることが期待できる。さらに、VKORC1(1173C>T)とCYP2C9(1075A>C)の両方を検出することにより、従来に無く高精度に、ワルファリン代謝能の個人差を予測することが可能となる。
これらの学術的研究においては、通常、VKORC1(1173C>T)やCYP2C9(1075A>C)のような一塩基多型の検出は、変異部位のみを直接検出する方法ではなく、シークエンサー等を用いて、該変異部位を含む特定領域の配列情報を全て解析し、該解析結果を元に変異の型を決定する核酸配列決定(シークエンシング)法がとられている。該方法では、全ての配列情報を解析するため、信頼性の高い結果を得ることができる反面、解析の処理速度が遅く、かつ費用も高いため、実際の臨床検査として行うことは、検出の迅速性及び経済性の観点から好ましくない。また、シークエンシング法では、原理上、2箇所以上の離れた領域を、1のサンプルで同時に解析することは不可能である。このため、VKORC1(1173C>T)とCYP2C9(1075A>C)を検出しようとする場合には、それぞれ解析を行う必要があるため、解析処理時間がさらに長期化し、費用もさらにかさむことになり、臨床現場での実用化からさらに遠のいていた。
塩基多型検出方法として、シークエンシング法以外に、PCR(Polymerase Chain Reaction)等の塩基配列増幅法を利用した検出方法がある。該方法は、野生型アレルにのみ完全に相補的な野生型プライマーと、変異型アレルにのみ完全に相補的な変異型プライマーを、それぞれ別個に用いてPCRを行う方法である。例えば、変異型アレルのホモ接合体である遺伝子を含む核酸試料を鋳型とし、各プライマーを用いてそれぞれPCRを行うと、野生型プライマーを用いた場合にはPCR増幅が検出されず、変異型プライマーを用いた場合にPCR増幅が検出される。つまり、各プライマーによりPCR増幅が検出されるか否かによって、該核酸試料中の遺伝子多型を確認できる。該方法は、シークエンシング法よりも、所要時間が短く済み、また、簡便であるため、臨床検査に好適に用いることができる。
越前宏俊著、「個別化されたワルファリン療法確立への道」、2006年、血栓止血誌、17(4)、p430〜433 高橋晴美著、「ワルファリン応答の個人差」、2006年、THROMBOSIS and Circulation、14(3)、p18(198)〜22(202) Rieder et al. 2005年、The New England Journal of Medicine、352(22)、p2285〜2293 D'Andrea et al. 2005年、Blood、105(2)、p645〜649
ワルファリンは、安全な投与量域が非常に狭く、投与量が不十分な場合には必要な抗凝固効果が得られず、投与量が過剰である場合には失血等の重篤な副作用が引き起こされるおそれがある。したがって、ワルファリン代謝能の個人差をより正確に予測することが非常に重要である。しかしながら、上記PCR法を利用した検出方法では、プライマーの設計が不適切であると、非特異的なPCR増幅が起こり、多型の診断を誤るおそれがある。このため、非特異的なPCR増幅を抑え、目的の多型アレルのみを特異的に増幅することができる、VKORC1(1173C>T)やCYP2C9(1075A>C)の検出に用いられるプライマーの開発が強く望まれている。にもかかわらず、VKORC1(1173C>T)やCYP2C9(1075A>C)の多型検出用プライマー、特にVKORC1(1173C>T)の多型検出用プライマーであって、臨床検査にも好適な精度のよいプライマーは知られていなかった。
本発明は、ワルファリン代謝能の個人差予測に有効な一塩基多型である、VKORC1(1173C>T)及びCYP2C9(1075A>C)を、迅速かつ簡便に、精度よく検出するためのプライマー、及び該プライマーを用いた検出方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、非特異的なPCR増幅がなされることなく、VKORC1(1173C>T)及びCYP2C9(1075A>C)をそれぞれ特異的に検出することができる新規なプライマーの設計に成功し、これらのプライマーを用いることにより、一度のPCRにより、従来に無く高精度かつ簡便に、VKORC1(1173C>T)及びCYP2C9(1075A>C)を検出し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、ヒトのビタミンKエポキシド還元酵素複合体(vitamin K epoxide reductase complex:VKORC)のサブユニット1(VKORC1)遺伝子の、開始コドン(ATG)のAを1位としたときの1173位の塩基における一塩基多型VKORC1(1173C>T)を検出するためのプライマーであって、3’末端の塩基が、VKORC1遺伝子の1172位の塩基Cと相補的な塩基Gであり、3’末端から2番目の塩基が、VKORC1遺伝子の1173位の塩基に対応する塩基Gであり、3’末端から3番目の塩基が、VKORC1遺伝子の1174位の塩基Cと非相補的な塩基Tであること、を特徴とする、VKORC1(1173C)フォワードプライマーを提供するものである。
また、本発明は、VKORC1遺伝子の、開始コドン(ATG)のAを1位としたときの1173位の塩基における一塩基多型VKORC1(1173C>T)を検出するためのプライマーであって、3’末端の塩基が、VKORC1遺伝子の1172位の塩基Cと相補的な塩基Gであり、3’末端から2番目の塩基が、VKORC1遺伝子の1173位の塩基に対応する塩基Aであり、3’末端から3番目の塩基が、VKORC1遺伝子の1174位の塩基Cと非相補的な塩基Tであること、を特徴とする、VKORC1(1173T)フォワードプライマーを提供するものである。
また、本発明は、VKORC1遺伝子の塩基配列領域をPCR(Polymerase Chain Reaction)増幅して検出するために用いられるプライマーであって、前記記載のVKORC1(1173C)フォワードプライマー又は前記記載のVKORC1(1173A)フォワードプライマーをフォワードプライマーとした場合に、リバースプライマーとして用いることができ、かつ、3’末端の塩基が、VKORC1遺伝子の1130位の塩基Tと相同的な塩基Tであることを特徴とする、VKORC1(1173C>T)リバースプライマーを提供するものである。
また、本発明は、VKORC1遺伝子の塩基配列領域をPCR増幅して検出するために用いられるプライマーであって、前記記載のVKORC1(1173C)フォワードプライマー又は前記記載のVKORC1(1173A)フォワードプライマーをフォワードプライマーとした場合に、リバースプライマーとして用いることができ、かつ、3’末端の塩基が、VKORC1遺伝子の1070位の塩基Gと相同的な塩基Gであることを特徴とする、VKORC1(1173C>T)リバースプライマーを提供するものである。
また、本発明は、VKORC1遺伝子の塩基配列領域をPCR増幅して検出するために用いられるプライマーであって、前記記載のVKORC1(1173C)フォワードプライマー又は前記記載のVKORC1(1173A)フォワードプライマーをフォワードプライマーとした場合に、リバースプライマーとして用いることができ、かつ、3’末端の塩基が、VKORC1遺伝子の1068位の塩基Aと相同的な塩基Aであることを特徴とする、VKORC1(1173C>T)リバースプライマーを提供するものである。
また、本発明は、VKORC1遺伝子の塩基配列領域をPCR増幅して検出するために用いられるプライマーであって、前記記載のVKORC1(1173C)フォワードプライマー又は前記記載のVKORC1(1173A)フォワードプライマーをフォワードプライマーとした場合に、リバースプライマーとして用いることができ、かつ、3’末端の塩基が、VKORC1遺伝子の1062位の塩基Gと相同的な塩基Gであることを特徴とする、VKORC1(1173C>T)リバースプライマーを提供するものである。
また、本発明は、VKORC1遺伝子の塩基配列領域をPCR増幅して検出するために用いられるプライマーであって、前記記載のVKORC1(1173C)フォワードプライマー又は前記記載のVKORC1(1173A)フォワードプライマーをフォワードプライマーとした場合に、リバースプライマーとして用いることができ、かつ、3’末端の塩基が、VKORC1遺伝子の1061位の塩基Aと相同的な塩基Aであることを特徴とする、VKORC1(1173C>T)リバースプライマーを提供するものである。
また、本発明は、VKORC1遺伝子の塩基配列領域をPCR増幅して検出するために用いられるプライマーであって、前記記載のVKORC1(1173C)フォワードプライマー又は前記記載のVKORC1(1173A)フォワードプライマーをフォワードプライマーとした場合に、リバースプライマーとして用いることができ、かつ、3’末端の塩基が、VKORC1遺伝子の1060位の塩基Cと相同的な塩基Cであることを特徴とする、VKORC1(1173C>T)リバースプライマーを提供するものである。
また、本発明は、VKORC1(1173C>T)を検出するためのプライマーセットであって、前記記載のVKORC1(1173C)フォワードプライマー及び前記記載のVKORC1(1173A)フォワードプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーと、前記記載のVKORC1(1173C>T)リバースプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーと、を有することを特徴とする、VKORC1(1173C>T)の多型検出用プライマーセットを提供するものである。
また、本発明は、VKORC1(1173C>T)を検出するための多型検出方法であって、前記記載のVKORC1(1173C)フォワードプライマー及び前記記載のVKORC1(1173A)フォワードプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーを用いてPCR増幅をすることを特徴とする、多型検出方法を提供するものである。
また、本発明は、VKORC1(1173C>T)を検出するための多型検出方法であって、前記記載のVKORC1(1173C>T)の多型検出用プライマーセットを用いてPCR増幅をすることを特徴とする、多型検出方法を提供するものである。
また、本発明は、ヒトの肝チトクロームP450(cytochromeP450:CYP)2C9遺伝子の、開始コドン(ATG)のAを1位としたときの1075位の塩基における一塩基多型CYP2C9(1075A>C)を検出するためのプライマーであって、3’末端の塩基が、CYP2C9遺伝子の1076位の塩基Tと相同的な塩基Tであり、3’末端から2番目の塩基が、CYP2C9遺伝子の1075位の塩基に対応する塩基Aであり、3’末端から3番目の塩基が、CYP2C9遺伝子の1074位の塩基Cと非相同的な塩基Aであること、を特徴とする、CYP2C9(1075A)フォワードプライマーを提供するものである。
また、本発明は、CYP2C9遺伝子の、開始コドン(ATG)のAを1位としたときの1075位の塩基における一塩基多型CYP2C9(1075A>C)を検出するためのプライマーであって、3’末端の塩基が、CYP2C9遺伝子の1076位の塩基Tと相同的な塩基Tであり、3’末端から2番目の塩基が、CYP2C9遺伝子の1075位の塩基に対応する塩基Cであり、3’末端から3番目の塩基が、CYP2C9遺伝子の1074位の塩基Cと非相同的な塩基Aであること、を特徴とする、CYP2C9(1075C)フォワードプライマーを提供するものである。
また、本発明は、CYP2C9遺伝子の塩基配列領域をPCR増幅して検出するために用いられるプライマーであって、前記記載のCYP2C9(1075A)フォワードプライマー又は前記記載のCYP2C9(1075C)フォワードプライマーをフォワードプライマーとした場合に、リバースプライマーとして用いることができ、かつ、3’末端の塩基が、CYP2C9遺伝子の1107位の塩基Aと相補的な塩基Tであることを特徴とする、CYP2C9(1075A>C)リバースプライマーを提供するものである。
また、本発明は、CYP2C9(1075A>C)を検出するためのプライマーセットであって、前記記載のCYP2C9(1075A)フォワードプライマー及び前記記載のCYP2C9(1075C)フォワードプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーと、前記記載のCYP2C9(1075A>C)リバースプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーと、を有することを特徴とする、CYP2C9(1075A>C)の多型検出用プライマーセットを提供するものである。
また、本発明は、CYP2C9(1075A>C)を検出するための多型検出方法であって、前記記載のCYP2C9(1075A)フォワードプライマー及び前記記載のCYP2C9(1075C)フォワードプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーを用いてPCR増幅をすることを特徴とする、多型検出方法を提供するものである。
また、本発明は、CYP2C9(1075A>C)を検出するための多型検出方法であって、前記記載のCYP2C9(1075A>C)の多型検出用プライマーセットを用いてPCR増幅をすることを特徴とする、多型検出方法を提供するものである。
また、本発明は、VKORC1(1173C>T)とCYP2C9(1075A>C)を検出するための多型検出方法であって、前記記載のVKORC1(1173C>T)の多型検出用プライマーセットと、前記記載のCYP2C9(1075A>C)の多型検出用プライマーセットとを、1の反応溶液に同時に用いて、PCR増幅を行うことを特徴とする、多型検出方法を提供するものである。
また、本発明は、VKORC1(1173C>T)とCYP2C9(1075A>C)を検出するための多型検出方法であって、前記記載のVKORC1(1173C)フォワードプライマー及び/又は前記記載のVKORC1(1173T)フォワードプライマーと、前記記載のVKORC1(1173C>T)リバースプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーと、前記記載のCYP2C9(1075A)フォワードプライマー及び/又は前記記載のCYP2C9(1075C)フォワードプライマーと、前記記載のCYP2C9(1075A>C)リバースプライマーとを、1の反応溶液に同時に用いてPCR増幅をすることを特徴とする、多型検出方法を提供するものである。
また、本発明は、電気泳動法、クロマトグラフィー法、質量分析法、FCS(蛍光自己相関関数、Fluorescence Correlation Spectroscopy)解析法、及び免疫比濁法からなる群より選ばれる1以上の方法を用いることを特徴とする、前記いずれかに記載の多型検出方法を提供するものである。
また、本発明は、リガンドを用いて修飾された少なくとも1のプライマーを用いることを特徴とする、前記いずれかに記載の多型検出方法を提供するものである。
本発明のプライマーを用いることにより、一度のPCRにより簡便かつ迅速に、VKORC1(1173C>T)やCYP2C9(1075A>C)を検出することができる。このため、従来に無く高精度に、ワルファリン代謝能の個人差を予測することが可能となる。また、本発明の多型検出用プライマーセットを構成する各プライマーは、互いに干渉することがないため、1の反応溶液に用いて一度にPCR増幅をすることができる。したがって、本発明の多型検出用プライマーセットを用いることにより、VKORC1(1173C>T)やCYP2C9(1075A>C)の検出の迅速化が達成されるだけではなく、省資源化によるコストダウンにもつながる。
さらに、本発明の多型検出方法、すなわち、本発明のプライマーを用いた検出方法により、臨床検査で求められる精度を満たしつつ、簡便かつ迅速に、VKORC1(1173C>T)やCYP2C9(1075A>C)を検出することができる。
本発明において、「X位」とは、ある遺伝子の開始コドン(ATG)のA(以下、翻訳開始点という。)を1位としたときの遺伝子上の位置を表している。つまり、「X位の塩基」とは、遺伝子上で、翻訳開始点を1位としたときのX位の塩基、すなわち、翻訳開始点からX番目の塩基を表している。
本発明において、プライマーの設計は、当該技術分野においてよく知られている方法のいずれを用いても行うことができる。例えば、公知のゲノム配列データと汎用されているプライマー設計ツールを用いて、簡便にプライマーを設計することができる。該プライマー設計ツールとして、例えば、Web上で利用可能なPrimer3等がある。また、公知のゲノム配列データは、通常、国際的な塩基配列データベースである、NCBI(National center for Biotechnology Information)や、DDBJ(DNA Data Bank of Japan)等において入手することができる。
本発明のVKORC1(1173C)フォワードプライマーと、本発明のVKORC1(1173T)フォワードプライマーは、いずれもヒトのVKORC1遺伝子の1173位の塩基における一塩基多型VKORC1(1173C>T)を検出するためのプライマーである。ヒトのVKORC1遺伝子は、16番染色体上にある遺伝子であり、複数の一塩基多型が報告されている。VKORC1(1173C>T)は、VKORC1遺伝子のイントロン1上に存在する一塩基多型である。なお、「VKORC1(1173C>T)フォワードプライマー」は、VKORC1(1173C)フォワードプライマーとVKORC1(1173T)フォワードプライマーの両方を意味する。
具体的には、本発明のVKORC1(1173C>T)フォワードプライマーは、3’末端の塩基が、VKORC1遺伝子の1172位の塩基Cと相補的な塩基G(グアニン)であり、3’末端から2番目の塩基が、VKORC1遺伝子の1173位の塩基に対応する塩基、すなわち、塩基C又はTと相補的な塩基G又はAであり、3’末端から3番目の塩基が、VKORC1遺伝子の1174位の塩基Cと非相補的な塩基Tであること、を特徴とする。3’末端から2番目の塩基がGであるVKORC1(1173C)フォワードプライマーを用いることにより、VKORC1の野生型アレルを検出することができ、3’末端から2番目の塩基がAであるVKORC1(1173T)フォワードプライマーを用いることにより、VKORC1の変異型アレルを検出することができる。プライマー中に、検出すべき多型部位と相補的な塩基配列を有することにより、直接多型部位を識別することができるため、プライマーの伸長反応やPCR増幅が行われたか否かを検出するだけで、多型を識別することが可能である。
ここで、本発明のVKORC1(1173C>T)フォワードプライマーは、3’末端の塩基ではなく、3’末端から2番目の塩基が、検出対象である一塩基多型(1173C>T)に対応する塩基である。これにより、3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを用いた場合であっても、VKORC1(1173C)フォワードプライマーは野生型アレルのみを、VKORC1(1173T)フォワードプライマーは変異型アレルのみを、それぞれ特異的に検出することができる。
さらに、本発明のVKORC1(1173C>T)フォワードプライマーは、それぞれのアレルに完全に相補的なプライマーではなく、3’末端から3番目の塩基が、VKORC1遺伝子の1174位の塩基Cと非相補的な塩基である。1塩基のみが非相補的なプライマーの場合には、反応条件等を厳格に設定し制御しない限り、ミス伸長が起こり、PCR増幅がなされる場合が多い。このため、例えば、野生型アレルにのみ完全に相補的なプライマーを用いた場合には、本来であれば、野生型アレルを含有する核酸試料を用いた場合にのみPCR増幅が検出されるべきであるが、変異型アレルを含有する核酸試料を用いた場合にもPCR増幅が検出されてしまうため、変異型アレルを含有する核酸試料であるにもかかわらず、野生型アレルを含有する核酸試料と誤診されるおそれがある。
これに対し、3’末端から3番目の塩基に人為的ミスマッチ塩基を配することにより、検出対象である型のアレルではミスマッチが1塩基のみであるのに対し、検出対象とは異なる型のアレルではミスマッチが連続する2塩基となる。2塩基以上のミスマッチが生じている場合には、ミス伸長が生ずる可能性は非常に小さいため、本発明のVKORC1(1173C>T)フォワードプライマーにより、反応条件等を厳格に設定することなく、特異性の高いPCR増幅が可能となる。この結果、核酸試料中の遺伝子型の誤診を効果的に防止できることが期待できる。
本発明のVKORC1(1173C>T)フォワードプライマーの3’末端から3番目の塩基は、VKORC1遺伝子の1174位の塩基Cと非相補的な塩基Tである。3’末端から3番目の塩基がAである場合に比べて、ミス伸長による非特異的なPCR増幅を効果的に抑制することができるためである。
本発明のVKORC1(1173C>T)フォワードプライマーの塩基長は、特に限定されるものではなく、多型検出において使用するポリメラーゼの種類や、塩濃度等の反応条件等を考慮して、適宜決定することができる。
一般に、プライマーのTm値は、PCR増幅における特異性と効率を良好に保つため、50〜75℃程度の温度範囲にあることが好ましい。適当なTm値を有する点から、VKORC1(1173C)フォワードプライマーの塩基長は、16〜35merであることが好ましく、VKORC1(1173T)フォワードプライマーの塩基長は、18〜27merであることが好ましい。後記の表1及び表2に示されるように、塩基長がこれらの範囲である場合には、計算方法により多少の変動はあるものの、プライマーのTmが50〜75℃程度の温度範囲にあるためである。
VKORC1(1173C>T)を検出するためのプライマーと、CYP2C9(1075A>C)を検出するためのプライマーを、1の反応溶液に添加してPCRを行うmultiplex PCRにより、VKORC1(1173C>T)とCYP2C9(1075A>C)を同時に検出することができる。multiplex PCRを行う場合には、各プライマーのTm値が近似していることが好ましい。この観点から、VKORC1(1173C)フォワードプライマーは、配列番号1の塩基配列を有するプライマーであることが特に好ましく、VKORC1(1173T)フォワードプライマーは、配列番号2の塩基配列を有するプライマーであることが特に好ましい。Tm値が約68℃であり、後記表9及び表10記載のCYP2C9(1075A>C)フォワードプライマーのTm値を考慮すると、CYP2C9(1075A>C)とのmultiplex PCRに好適であるためである。
VKORC1(1173C>T)の検出をPCR増幅により行う場合に用いられるVKORC1(1173C>T)リバースプライマーは、VKORC1(1173C>T)を含むVKORC1遺伝子上の塩基配列領域を鋳型とし、本発明のVKORC1(1173C>T)フォワードプライマーをフォワードプライマーとした場合に、リバースプライマーとして用いることができるプライマーであれば、特に限定されるものではなく、使用するDNAポリメラーゼ等を考慮して、適宜設計することができる。得られるPCR産物の塩基対が1000bp程度までであれば、市販されている酵素KODplus(東洋紡社製)を用いれば、十分にPCR増幅することが可能であるが、PCR産物の塩基対が長すぎる場合には、PCR増幅効率が低下するおそれがある。このため、PCR産物の塩基対が20〜1000bp程度になるように、VKORC1(1173C>T)リバースプライマーを設計することが好ましい。VKORC1(1173C>T)リバースプライマーは、PCR産物の塩基対が20〜500bpとなるように設計することがより好ましく、20〜250bpとなるように設計することがさらに好ましく、20〜100bpとなるように設計することが特に好ましい。
VKORC1(1173C>T)リバースプライマーは、例えば、3’末端の塩基が、VKORC1遺伝子の1130位の塩基Tと相同的な塩基Tであるプライマー(以下、VKORC1リバースプライマー(1130T)という。)であることが好ましい。得られるPCR産物が約100bpであり、PCR増幅効率に優れているため、VKORC1(1173C>T)をより高感度に検出することができるためである。後記の表3に示されるように、プライマーのTmを50〜75℃程度の温度範囲にすることができるため、VKORC1リバースプライマー(1130T)の塩基長は、17〜29merであることが好ましく、配列番号3の塩基配列を有するプライマーであることが特に好ましい。
VKORC1(1173C>T)リバースプライマーは、3’末端の塩基が、VKORC1遺伝子の1070位の塩基Gと相同的な塩基Gであるプライマー(以下、VKORC1リバースプライマー(1070G)という。)であってもよく、3’末端の塩基が、VKORC1遺伝子の1068位の塩基Aと相同的な塩基Aであるプライマー(以下、VKORC1リバースプライマー(1068A)という。)であってもよく、3’末端の塩基が、VKORC1遺伝子の1062位の塩基Gと相同的な塩基Gであるプライマー(以下、VKORC1リバースプライマー(1062G)という。)であってもよく、3’末端の塩基が、VKORC1遺伝子の1061位の塩基Aと相同的な塩基Aであるプライマー(以下、VKORC1リバースプライマー(1061A)という。)であってもよく、3’末端の塩基が、VKORC1遺伝子の1060位の塩基Cと相同的な塩基Cであるプライマー(以下、VKORC1リバースプライマー(1060C)という。)であってもよい。これらの5種類のVKORC1(1173C>T)リバースプライマーは、前記のVKORC1(1173C>T)フォワードプライマー、後記のCYP2C9(1075A>C)フォワードプライマー及びCYP2C9(1075A>C)リバースプライマーの、それぞれの3’末端から5塩基部分の塩基配列と相同的な配列や相補的な配列を含まないため、これらのプライマーとプライマーダイマーを形成する可能性が非常に低く、CYP2C9(1075A>C)とのmultiplex PCRにも好適である。
適当なTm値を有する点から、VKORC1リバースプライマー(1070G)の塩基長は、12〜26merであることが好ましく、VKORC1リバースプライマー(1068A)の塩基長は、14〜32merであることが好ましく、VKORC1リバースプライマー(1062G)の塩基長は、19〜41merであることが好ましく、VKORC1リバースプライマー(1061A)の塩基長は、18〜41merであることが好ましく、VKORC1リバースプライマー(1060C)の塩基長は、18〜43merであることが好ましい。後記の表4〜8に示されるように、塩基長がこれらの範囲である場合には、計算方法により多少の変動はあるものの、プライマーのTm値が50〜70℃程度の温度範囲にあるためである。なお、好ましいTm値の温度範囲が、VKORC1(1173C>T)フォワードプライマーの場合よりも若干低いのは、VKORC1(1173C>T)フォワードプライマーとは異なり、VKORC1リバースプライマーには人為的ミスマッチが入らないためである。
VKORC1リバースプライマー(1070G)は、配列番号4の塩基配列を有するプライマーであることが特に好ましく、VKORC1リバースプライマー(1068A)は、配列番号5の塩基配列を有するプライマーであることが特に好ましく、VKORC1リバースプライマー(1062G)は、配列番号6の塩基配列を有するプライマーであることが特に好ましく、VKORC1リバースプライマー(1061A)は、配列番号7の塩基配列を有するプライマーであることが特に好ましく、VKORC1リバースプライマー(1060C)は、配列番号8の塩基配列を有するプライマーであることが特に好ましい。CYP2C9(1075A>C)とのmultiplex PCRに好適であるためである。
本発明のVKORC1(1173C>T)フォワードプライマー及びVKORC1(1173C>T)リバースプライマーは、具体的には、以下のようにして得ることができる。
まず、VKORC1遺伝子の塩基配列を有する塩基配列データ(NCBI RefSeq ID:NT_010393.15.fas)をプライマー設計のための背景配列とし、Primer3(http://frodo.wi.mit.edu/cgi-bin/primer3/primer3_www.cgi)を用いて、VKORC1(1173C>T)フォワードプライマーの設計を行った。それぞれのプライマーのTm値の計算は、シグマジェノシス株式会社のWeb Siteで公開されているTm計算エンジンを用いて行った。
Figure 2009247230
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表1は、設計されたVKORC1(1173C)フォワードプライマーを、表2は、設計されたVKORC1(1173T)フォワードプライマーを、それぞれ示した表である。表中、プライマーの塩基配列(Sequence)の左端は5’末端であり、右端は3’末端である。また、表中、「LEN」はプライマーの塩基長(mer)を、「Tm」はTm値(℃)を、「GC」はプライマーのGC含有比(%)を、「2ndary」はプライマーの二次構造のとり易さを「primer dimer」は、プライマーが理論上ホモダイマーを形成するか否かを、それぞれ示している。
また、同様にして、VKORC1(1173C>T)リバースプライマーの設計を行った。表3は設計されたVKORC1リバースプライマー(1130T)を、表4はVKORC1リバースプライマー(1070G)を、表5は設計されたVKORC1リバースプライマー(1068A)を、表6は設計されたVKORC1リバースプライマー(1062G)を、表7は設計されたVKORC1リバースプライマー(1061A)を、表8は設計されたVKORC1リバースプライマー(1060C)を、それぞれ示した表である。表中の記載は、表1と同様である。
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図1は、VKORC1(1173C>T)近隣のVKORC1遺伝子の塩基配列を示した図である。枠で囲まれた塩基Cが検出対象である1173位の塩基である。また、大文字TがVKORC1リバースプライマー(1130T)の3’末端から3番目の塩基Tであり、大文字GがVKORC1リバースプライマー(1070G)の3’末端から3番目の塩基Gであり、大文字AがVKORC1リバースプライマー(1068A)の3’末端から3番目の塩基Aであり、大文字GがVKORC1リバースプライマー(1062G)の3’末端から3番目の塩基Gであり、大文字AがVKORC1リバースプライマー(1061A)の3’末端から3番目の塩基Aであり、大文字CがVKORC1リバースプライマー(1060C)の3’末端から3番目の塩基Cである。
本発明のCYP2C9(1075A)フォワードプライマーと、本発明のCYP2C9(1075C)フォワードプライマーは、いずれもヒトのCYP2C9遺伝子の1075位の塩基における一塩基多型CYP2C9(1075A>C)を検出するためのプライマーである。ヒトのCYP2C9遺伝子は、10番染色体上にある遺伝子であり、複数の一塩基多型が報告されている。CYP2C9(1075A>C)は、CYP2C9遺伝子のエキソン7上に存在する一塩基多型である。なお、「CYP2C9(1075A>C)フォワードプライマー」は、CYP2C9(1075A)フォワードプライマーとCYP2C9(1075C)フォワードプライマーの両方を意味する。
具体的には、本発明のCYP2C9(1075A>C)フォワードプライマーは、3’末端の塩基が、CYP2C9遺伝子の1076位の塩基Tと相同的な塩基Tであり、3’末端から2番目の塩基が、CYP2C9遺伝子の1075位の塩基に対応する塩基、すなわち、塩基A又はCと相同的な塩基A又はCであり、3’末端から3番目の塩基が、CYP2C9遺伝子の1074位の塩基Cと非相同的な塩基Aであること、を特徴とする。3’末端から2番目の塩基がAであるCYP2C9(1075A)フォワードプライマーを用いることにより、CYP2C9の野生型アレルを検出することができ、3’末端から2番目の塩基がAであるCYP2C9(1075C)フォワードプライマーを用いることにより、CYP2C9の変異型アレルを検出することができる。
CYP2C9遺伝子は、CYP2C17遺伝子等の他のCYP2Cサブファミリー以外にも、類似の塩基配列を有する偽遺伝子が多数報告されており、CYP2C9(1075A>C)のみを検出するためには、特異性の高いプライマーを設計することが非常に重要である。本発明のCYP2C9(1075A>C)フォワードプライマーは、3’末端から3番目の塩基に人為的ミスマッチ塩基を配しているため、CYP2C9(1075A>C)の検出に好適である。
本発明のCYP2C9(1075A>C)フォワードプライマーの3’末端から3番目の塩基は、CYP2C9遺伝子の1074位の塩基Cと非相同的な塩基Aである。3’末端から3番目の塩基がTである場合に比べて、他の遺伝子等の塩基配列との類似性が低く、かつ、反応条件の設定が容易であるためである。
本発明のCYP2C9(1075A>C)フォワードプライマーの塩基長は、特に限定されるものではなく、多型検出において使用するポリメラーゼの種類や、塩濃度等の反応条件等を考慮して、適宜決定することができる。適当なTm値を有する点から、CYP2C9(1075A)フォワードプライマーの塩基長は、18〜28merであることが好ましく、CYP2C9(1075C)フォワードプライマーの塩基長も、18〜28merであることが好ましい。後記の表9及び表10に示されるように、塩基長がこれらの範囲である場合には、計算方法により多少の変動はあるものの、プライマーのTmが50〜75℃程度の温度範囲にあるためである。
CYP2C9(1075A)フォワードプライマーは、配列番号9の塩基配列を有するプライマーであることが特に好ましく、CYP2C9(1075C)フォワードプライマーは、配列番号10の塩基配列を有するプライマーであることが特に好ましい。前記の配列番号1の塩基配列を有するVKORC1(1173C)フォワードプライマーや、配列番号2の塩基配列を有するVKORC1(1173C)フォワードプライマーと、Tm値が近似しているため、VKORC1(1173C>T)とのmultiplex PCRに好適であるためである。
CYP2C9(1075A>C)の検出をPCR増幅により行う場合に用いられるCYP2C9(1075A>C)リバースプライマーは、CYP2C9(1075A>C)を含むCYP2C9遺伝子上の塩基配列領域を鋳型とし、本発明のCYP2C9(1075A>C)フォワードプライマーをフォワードプライマーとした場合に、リバースプライマーとして用いることができるプライマーであれば、特に限定されるものではなく、VKORC1(1173C>T)リバースプライマーと同様に設計することができる。
CYP2C9(1075A>C)リバースプライマーは、3’末端の塩基が、CYP2C9遺伝子の1107位の塩基Aと相補的な塩基Tであるプライマー(以下、CYP2C9リバースプライマー(1107A)という。)であることが好ましい。他の遺伝子等の塩基配列との類似性が低く、より特異的にCYP2C9(1075A>C)を検出することができるためである。
後記の表11に示されるように、プライマーのTmを50〜70℃程度の温度範囲にすることができるため、CYP2C9リバースプライマー(1107A)の塩基長は、18〜40merであることが好ましい。VKORC1(1173C>T)とのmultiplex PCRに好適であるため、CYP2C9リバースプライマー(1107A)は、配列番号11の塩基配列を有するプライマーであることが特に好ましい。
本発明のCYP2C9(1075A>C)フォワードプライマー及びCYP2C9(1075A>C)リバースプライマーは、VKORC1(1173C>T)フォワードプライマー等と同様にして得ることができる。具体的には、CYP2C9遺伝子の塩基配列を有する塩基配列データ(NCBI RefSeq ID:NT_030059.12.fas)をプライマー設計のための背景配列とし、Primer3を用いてプライマーの設計を行った。
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図2は、CYP2C9(1075A>C)近隣のCYP2C9遺伝子の塩基配列を示した図である。枠で囲まれた塩基Aが検出対象である1075位の塩基である。また、大文字Aが、1107位の塩基Aである。
このようにして設計したプライマーは、当該技術分野においてよく知られている方法のいずれを用いても合成することができる。例えば、オリゴ合成メーカーに合成をされ依頼してもよく、市販の合成機を用いて独自に合成してもよい。また、各プライマーは、検出対象の遺伝子の塩基配列と相補的又は相同的な配列以外にも、PCRによる増幅を阻害しない程度において、付加的な配列を有することができる。
本発明のVKORC1(1173C>T)フォワードプライマーや、CYP2C9(1075A>C)フォワードプライマーを用いて、プライマーの伸長やプライマーを用いた核酸増幅等のために通常行われている方法を行うことにより、VKORC1(1173C>T)やCYP2C9(1075A>C)を、従来になく高精度かつ簡便に検出することができる。多型検出方法として、特に、VKORC1(1173C>T)フォワードプライマーを用いてPCR増幅をする方法や、CYP2C9(1075A>C)フォワードプライマーを用いてPCR増幅をする方法であることが好ましい。PCRは汎用されている方法であり、かつ、検出感度が良好であるためである。
例えば、1のVKORC1(1173C>T)フォワードプライマーと、VKORC1リバースプライマー(1130T)、VKORC1リバースプライマー(1070G)、VKORC1リバースプライマー(1068A)、VKORC1リバースプライマー(1062G)、VKORC1リバースプライマー(1061A)、及びVKORC1リバースプライマー(1060C)からなる群より選ばれる1のプライマーとを有するVKORC1(1173C>T)の多型検出用プライマーセットを用いてPCR増幅をすることにより、VKORC1(1173C>T)を検出することができる。フォワードプライマーとして、VKORC1(1173C)フォワードプライマーとVKORC1(1173T)フォワードプライマーのいずれか一方のプライマーを用いるため、単にPCR産物が得られたか否かを検出することにより、簡便に多型を検出することができる。
また、1のVKORC1(1173C)フォワードプライマーと、1のVKORC1(1173T)フォワードプライマーと、VKORC1リバースプライマー(1130T)、VKORC1リバースプライマー(1070G)、VKORC1リバースプライマー(1068A)、VKORC1リバースプライマー(1062G)、VKORC1リバースプライマー(1061A)、及びVKORC1リバースプライマー(1060C)からなる群より選ばれる1のプライマーとを有するVKORC1(1173C>T)の多型検出用プライマーセットを用いてもよい。該多型検出用プライマーセットを、1の反応溶液に同時に用いてPCR増幅をすることにより、VKORC1の野生型アレルと変異型アレルの両方を同時に検出することができる。配列番号1の塩基配列を有するVKORC1(1173C)フォワードプライマーと、配列番号2の塩基配列を有するVKORC1(1173T)フォワードプライマーと、配列番号3、4、5、6、7、及び8の塩基配列を有するVKORC1(1173C>T)リバースプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーとを有するVKORC1(1173C>T)の多型検出用プライマーセットを用いてPCR増幅をすることが、特に好ましい。
さらに、1のVKORC1(1173C>T)フォワードプライマーと、VKORC1リバースプライマー(1070G)、VKORC1リバースプライマー(1068A)、VKORC1リバースプライマー(1062G)、VKORC1リバースプライマー(1061A)、及びVKORC1リバースプライマー(1060C)からなる群より選ばれる1のプライマーとを有するVKORC1(1173C>T)の多型検出用プライマーセットや、1のVKORC1(1173C)フォワードプライマーと、1のVKORC1(1173T)フォワードプライマーと、VKORC1リバースプライマー(1070G)、VKORC1リバースプライマー(1068A)、VKORC1リバースプライマー(1062G)、VKORC1リバースプライマー(1061A)、及びVKORC1リバースプライマー(1060C)からなる群より選ばれる1のプライマーとを有するVKORC1(1173C>T)の多型検出用プライマーセットを用いてもよい。本発明のCYP2C9(1075A>C)フォワードプライマー及びCYP2C9(1075A>C)リバースプライマーと相同性や相補性が低く、互いに干渉し難いため、VKORC1(1173C>T)とCYP2C9(1075A>C)のmultiplex PCRに好適であるためである。特に、配列番号1の塩基配列を有するVKORC1(1173C)フォワードプライマーと、配列番号2の塩基配列を有するVKORC1(1173T)フォワードプライマーと、配列番号4、5、6、7、及び8の塩基配列を有するVKORC1(1173C>T)リバースプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーとを有するVKORC1(1173C>T)の多型検出用プライマーセットを用いることが好ましい。
一方、1のCYP2C9(1075A>C)フォワードプライマーと、1のCYP2C9(1075A>C)リバースプライマーとを有するCYP2C9(1075A>C)の多型検出用プライマーセットを用いてPCR増幅をすることにより、CYP2C9(1075A>C)を検出することができる。フォワードプライマーとして、CYP2C9(1075A)フォワードプライマーとCYP2C9(1075C)フォワードプライマーのいずれか一方のプライマーを用いるため、単にPCR産物が得られたか否かを検出することにより、簡便に多型を検出することができる。
また、1のCYP2C9(1075A)フォワードプライマーと、1のCYP2C9(1075C)フォワードプライマーと、1のCYP2C9(1075A>C)リバースプライマーとを有するCYP2C9(1075A>C)の多型検出用プライマーセットを用いてもよい。該多型検出用プライマーセットを、1の反応溶液に同時に用いてPCR増幅をすることにより、CYP2C9の野生型アレルと変異型アレルの両方を同時に検出することができる。VKORC1(1173C>T)とCYP2C9(1075A>C)のmultiplex PCRに好適であるため、配列番号9の塩基配列を有するCYP2C9(1075A)フォワードプライマーと、配列番号10の塩基配列を有するCYP2C9(1075C)フォワードプライマーと、配列番号11の塩基配列を有するCYP2C9(1075A>C)リバースプライマーとを有するCYP2C9(1075A>C)の多型検出用プライマーセットであることが特に好ましい。
本発明のVKORC1(1173C>T)の多型検出用プライマーセットと、本発明のCYP2C9(1075A>C)の多型検出用プライマーセットとを、1の反応溶液に同時に用いて、PCR増幅をすることにより、VKORC1(1173C>T)とCYP2C9(1075A>C)を、高精度かつ迅速に検出することができる。1の反応溶液で、VKORC1(1173C>T)とCYP2C9(1075A>C)の検出が可能であるため、臨床検査等のように核酸試料が少量である場合にも多型検出が可能であり、かつ省資源化によるコストダウンも期待することができる。
特に、配列番号1の塩基配列を有するVKORC1(1173C)フォワードプライマー及び/又は配列番号2の塩基配列を有するVKORC1(1173T)フォワードプライマーと、配列番号4、5、6、7、及び8の塩基配列を有するVKORC1(1173C>T)リバースプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーと、配列番号9の塩基配列を有するCYP2C9(1075A)フォワードプライマー及び/又は配列番号10の塩基配列を有するCYP2C9(1075C)フォワードプライマーと、配列番号11の塩基配列を有するCYP2C9(1075A>C)リバースプライマーを、1の反応溶液に同時に用いてPCR増幅をすることが好ましい。これらのプライマーは、互いに干渉し難く、かつTm値も調整されているため、一度のPCRによって、それぞれのPCR産物が特異的かつ効率的に増幅され検出することが可能であるためである。
本発明の多型検出方法では、各多型に特異的なプライマーを用いてPCRを行い、PCR増幅の有無や得られたPCR産物の量により、多型を検出する。PCR増幅により得られたPCR産物の検出や定量の方法は、特に限定されるものではなく、通常PCR産物の検出等に用いられているいかなる方法を用いてもよい。
例えば、VKORC1(1173C>T)とCYP2C9(1075A>C)の両方を検出するmultiplex PCRのように、複数のPCR産物が得られる場合には、それぞれのプライマーセットによって増幅されるPCR産物の塩基対長を異なるものとし、得られたPCR産物の塩基対長を検出することにより、どの多型に特異的なプライマーにより増幅されたPCR産物であるかを識別し、各多型を検出することができる。塩基対長の異なるPCR産物の識別及び検出は、電気泳動法、クロマトグラフィー法、質量分析法等を用いて行うことができる。
また、塩基対長が同一である複数のPCR産物が得られる場合であっても、リガンドを用いて修飾されたプライマーを用いることにより、どの多型に特異的なプライマーにより増幅されたPCR産物であるかを識別し、各多型を検出することができる。例えば、1のVKORC1(1173C)フォワードプライマーと、1のVKORC1(1173T)フォワードプライマーと、1のVKORC1(1173C>T)リバースプライマーを用いた場合には、野生型アレル由来のPCR産物と変異型アレル由来PCR産物の塩基対長は同一であるが、予めそれぞれのフォワードプライマーを、別種のリガンドを用いて修飾しておくことにより、PCR産物を該リガンドで標識することができるため、該リガンドを検出することにより、それぞれのPCR産物を区別して検出することが可能である。
プライマーの修飾に用いるリガンドは、核酸の標識に用いることができるものであれば、特に限定されるものではなく、通常タンパク質等の標識に用いられるものであってもよい。また、該リガンドは、核酸への標識を簡便にするために、核酸に対するリンカーを結合した化合物であってもよい。さらに、PCRに用いる全てのプライマーをリガンドで修飾してもよく、一部のプライマーのみを修飾してもよい。
該リガンドとして、例えば、蛍光物質、Quantum Dot、DNP(dinitorophenol)等の色素、ビオチン(biotin)、グルタチオン(Glutathione)、ジゴキシゲニン(digoxigenin:DIG)、ジゴキシン(digoxin)等がある。その他、Hisタグ、HA(hem agglutinin)タグ、Mycタグ、及びFlagタグ等の汎用タグであってもよい。検出が簡便であるため、該リガンドは、蛍光物質、Quantum Dot、色素等の光学的に区別可能なリガンドであることが好ましい。検出感度が高いため、該リガンドは、蛍光物質やQuantum Dotであることが特に好ましい。該蛍光物質として、例えば、FITC(フルオレセインイソチオシアナート)、フルオレセイン、ローダミン(Rhodamine)、TAMRA、NBD、TMR(テトラメチルローダミン)等がある。
光学的に区別可能なリガンドを用いてプライマーを修飾した場合には、リガンドを直接検出することにより、リガンド標識されたPCR産物を識別して検出することができる。該リガンドとして蛍光物質やQuantum Dotを用いた場合には、単に蛍光強度を測定することによっても検出することができるが、定量性に優れているため、FCS解析法(例えば、特開2001−272404号公報参照。)により検出することが好ましい。その他、PCR産物を電気泳動等により分離した後、蛍光を調べることによっても、リガンドを検出することができる。
また、受容体等のリガンドと特異的に結合する物質を用いて、免疫学的手法により、リガンドを検出することもできる。該免疫学的手法として、例えば、免疫比濁法やELISA法等がある。定量性に優れているため、免疫比濁法を用いてリガンドを検出することが好ましい。
例えば、受容体等のリガンドに特異的に結合する物質を結合させた分散性微粒子と、リガンド標識されたPCR産物を反応させ、分散性微粒子の凝集度を測定することにより、該リガンド標識されたPCR産物の量を定量することができる。通常、粒径300nm以下の分散性微粒子が凝集すると、該凝集塊により、近赤外光の散乱が亢進されるため、近赤外入力光に対して透過光の光度を光度計で測定することにより、分散性微粒子の凝集度を測定することができる。リガンド標識されたPCR産物の量が多ければ多いほど、凝集塊の量が多くなるため、近赤外波長における吸光度は大きくなる。
その他、リガンド標識によりPCR産物の大きさが変化するため、別種のリガンドで標識することにより、同一の塩基対長のPCR産物であっても、電気泳動法により区別して検出することが可能である。
本発明の多型検出法において、PCRの鋳型として用いる核酸試料は、ヒト由来であって、VKORC1(1173C>T)やCYP2C9(1075A>C)の検出が望まれるDNAであれば、特に限定されるものではない。例えば、血液や体液等の生体試料から、通常用いられる方法により抽出されたDNA等がある。なお、PCRにおいて用いられる核酸試料やプライマーの量は、通常用いられる量であれば、特に限定されるものではない。
ポリメラーゼ、ヌクレオチド、反応バッファー等の、PCRに用いられる試薬は、特に限定されるものではなく、通常PCRを行う場合に用いられるものを、通常用いられる量で用いることができる。ポリメラーゼは、多種多様な酵素が市販されているが、KODplus(東洋紡社製)であることが特に好ましい。PCR増幅の効率と精度が非常に優れているためである。また、PCRの反応条件は、用いるポリメラーゼの種類等を考慮して、適宜決定することができる。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、プライマーは、シグマアルドリッチジャパン株式会社ライフサイエンス事業部に依頼して合成されたものを使用した。
[ヒトゲノム検体の遺伝子型の確認]
VKORC1(1173C>T)やCYP2C9(1075A>C)の検出に用いるため、表12に示すヒトゲノム検体を、財団法人ヒューマンサイエンス振興財団が提供しているヒューマンサイエンス研修資源バンクより非連結匿名化された状態で入手した。これらのヒトゲノム検体の塩基配列を、シークエンサーを用いて読み取り、遺伝子型を確認した。確認した遺伝子型を表12に示した。
Figure 2009247230
[プライマーの修飾]
まず、配列番号1の塩基配列を有するVKORC1(1173C)フォワードプライマーと、配列番号2の塩基配列を有するVKORC1(1173T)フォワードプライマーを、それぞれリガンドで修飾することにより、5’末端にDIGを結合させた5’DIG化VKORC1(1173C)フォワードプライマーと、5’末端にDNPを結合させた5’DNP化VKORC1(1173T)フォワードプライマーを作製した。
次に、配列番号3の塩基配列を有するVKORC1リバースプライマー(1130T)と、配列番号4の塩基配列を有するVKORC1リバースプライマー(1070G)と、配列番号5の塩基配列を有するVKORC1リバースプライマー(1068A)と、配列番号6の塩基配列を有するVKORC1リバースプライマー(1062G)と、配列番号7の塩基配列を有するVKORC1リバースプライマー(1061A)と、配列番号8の塩基配列を有するVKORC1リバースプライマー(1060C)を、それぞれリガンドで修飾することにより、5’末端にFITCを結合させた5’FITC化VKORC1リバースプライマー(1130T)、5’FITC化VKORC1リバースプライマー(1070G)、5’FITC化VKORC1リバースプライマー(1068A)、5’FITC化VKORC1リバースプライマー(1062G)、5’FITC化VKORC1リバースプライマー(1061A)、5’FITC化VKORC1リバースプライマー(1060C)を作製した。
さらに同様にして、配列番号9の塩基配列を有するCYP2C9(1075A)フォワードプライマーと、配列番号10の塩基配列を有するCYP2C9(1075C)フォワードプライマーと、配列番号11の塩基配列を有するCYP2C9(1075A>C)リバースプライマーを、それぞれリガンドで修飾することにより、5’FITC化CYP2C9(1075A)フォワードプライマーと、5’DNP化CYP2C9(1075C)フォワードプライマーと、5’ビオチン化CYP2C9(1075A>C)リバースプライマーを作製した。
[受容体結合分散性微粒子]
DIGと特異的に結合するヤギ抗DIG抗体(GeneTex,Inc.社製)を結合させた分散性微粒子(以下、抗DIG分散性微粒子)、FITCと特異的に結合するヤギ抗FITC抗体(BETHYL Laboratories,Inc.社製)を結合させた分散性微粒子(以下、抗FITC分散性微粒子)、DNPと特異的に結合するヤギ抗DNP抗体(BETHYL Laboratories,Inc.社製)を結合させた分散性微粒子(以下、抗DNP分散性微粒子)、及びビオチンと特異的に結合するヤギ抗ビオチン抗体(BETHYL Laboratories,Inc.社製)を結合させた分散性微粒子(以下、抗ビオチン分散性微粒子)を調製した。
各受容体結合分散性微粒子は、具体的には、以下のようにして調製した。まず、1mLのMES(Wako社製)緩衝液(500mM、pH6.1)に、水を加えて9mLに調製した溶液を50mL容チューブに入れ、1mLの10%CM−MP(300nmカルボキシタイプラテックス粒子、Ceradyn社製)スラリーを加えた後、8mLの1mg/mLの各抗体リン酸緩衝溶液を加えた。該50mL容チューブを、ボルテックスミキサー(VORTEXGENIE2、Scientific Industries社製)の中間回転強度にて5秒間混合した後、さらに1mLの1.152g/LのEDAC(MW=191.7、Sigma社製)MES緩衝液(50mM、pH6.1)を加え、直ちにボルテックスミキサーの中間回転強度にて5秒間混合した。その後、該50mL容チューブを、ローテーター(MTR−103、アズワン社製)にセットし、室温で1時間混合したものを、4℃、15,000xgで5分間遠心し、遠心分離したCM−MPが上清側に舞い上がることを防止するために、最低減速条件で遠心を停止させた。上清を除去した後、10mLのMES緩衝液(50mM、pH6.1)を加え、室温で、ソニケーター(VC−130、Sonics社製)の30amplitudeの強度で3〜4秒間超音波処理を行うことにより、CM−MPの塊を分散させた。再度同様に、該50mL容チューブを遠心後、10mLのMES緩衝液を加え、CM−MPの塊を分散させた。その後、4℃で16時間静置後、目視にて沈渣が無いことを確認した。このようにして得たMES緩衝液中に分散したCM−MPを、1%の受容体結合分散性微粒子スラリーとした。
[実施例1]
5’DIG化VKORC1(1173C)フォワードプライマー、5’DNP化VKORC1(1173T)フォワードプライマー、及び5’FITC化VKORC1リバースプライマー(1130T)を用いて、3種類のヒトゲノム検体(PSCDA0206、0182、0009)のVKORC1(1173C>T)を検出した。
まず、29.7μLのmilliQ水に、6μLの10×Buffer(東洋紡社製)、6μLのdNTP(2mM)、2.4μLの硫酸マグネシウム(25mM)、10μLのヒトゲノム検体(20ng/μL)、1.7μLの5’DIG化VKORC1(1173C)フォワードプライマー、1.8μLの5’DNP化VKORC1(1173T)フォワードプライマー、1.2μLの5’FITC化VKORC1リバースプライマー(1130T)、及び1.2μLのKODplus(東洋紡社製)を加え、反応溶液を調製した。該反応溶液を、94℃で5分間の変性工程、次に94℃で30秒間、64℃で30秒間、68℃で30秒間を35サイクルの増幅工程、68℃で2分間の伸長工程、からなる反応条件によりPCRを行った。ヒトゲノム検体に代えて、等量のmilliQ水を用いたものを、ネガティブコントロールとした。
その後、受容体結合分散性微粒子を用いた免疫比濁法により、PCR増幅の有無を調べた。
まず、各PCR済反応溶液中の、5’DIG化VKORC1(1173C)フォワードプライマーによるPCR増幅の有無を調べた。各2μLのPCR済反応溶液に、それぞれ1μLの1%抗DIG分散性微粒子スラリーと、1μLの1%抗FITC分散性微粒子スラリーを加え、ボルテックスミキサーを用いて混合した後、室温で5分間放置した。分光高度計(SPECTRA max PLUS384、Molecular Device社製)を用いて、該PCR済反応溶液の分散性微粒子添加前と凝集塊生成後の、それぞれの800nmの吸光度(A800)を測定し、分散性微粒子の添加による該PCR済反応溶液のA800の変化を測定した。
次に、各PCR済反応溶液中の、5’DNP化VKORC1(1173T)フォワードプライマーによるPCR増幅の有無を調べるため、各2μLの該PCR済反応溶液に、それぞれ1μLの1%抗DNP分散性微粒子スラリーと、1μLの1%抗FITC分散性微粒子スラリーを加え、同様にして、分散性微粒子の添加による該PCR済反応溶液のA800の変化を測定した。
図3は、VKORC1(1173C>T)の検出結果を表したクラスター図である。縦軸を抗DIG分散性微粒子と抗FITC分散性微粒子を加えた時の各PCR済反応溶液のA800の変化とし、横軸を抗DNP分散性微粒子と抗FITC分散性微粒子を加えた時の各PCR済反応溶液のA800の変化とした。●はPSCDA0182の結果を、○はPSCDA0206の結果を、▲はPSCDA0009の結果を、×はネガティブコントロールの結果を、それぞれ示している。
3種全てのヒトゲノム検体において、抗DNP分散性微粒子を加えた場合にA800が大きくなった。一方、抗DIG分散性微粒子を加えた場合には、PSCDA0182ではA800が大きくなっていたが、他の2種のヒトゲノム検体ではA800はあまり変化しなかった。さらに、ネガティブコントロールでは、いずれの場合でもA800の変化はほとんど観察されなかった。すなわち、5’DNP化VKORC1(1173T)フォワードプライマーによるPCR増幅は、3種全てのヒトゲノム検体においてなされたが、5’DIG化VKORC1(1173C)フォワードプライマーによるPCR増幅は、PSCDA0182においてのみなされたことが分かった。つまり、PSCDA0182はVKORC1(1173C/T)、PSCDA0206及び0009はVKORC1(1173T/T)であるという結果が得られた。該結果は、シークエンス解析による多型判定の結果と一致しており、本発明のVKORC1(1173C)フォワードプライマー、VKORC1(1173T)フォワードプライマー、及びVKORC1リバースプライマー(1130T)を用いることにより、VKORC1(1173C>T)を検出できることが明らかである。
[実施例2]
5’FITC化CYP2C9(1075A)フォワードプライマー、5’DNP化CYP2C9(1075C)フォワードプライマー、及び5’ビオチン化CYP2C9(1075A>C)リバースプライマーを用いて、3種類のヒトゲノム検体(PSCDA0206、0182、0009)のCYP2C9(1075A>C)を検出した。
まず、28.4μLのmilliQ水に、6μLの10×Buffer(東洋紡社製)、6μLのdNTP(2mM)、2.4μLの硫酸マグネシウム(25mM)、10μLのヒトゲノム検体(20ng/μL)、1.8μLの5’FITC化CYP2C9(1075A)フォワードプライマー、1.8μLの5’DNP化CYP2C9(1075C)フォワードプライマー、2.4μLの5’ビオチン化CYP2C9(1075A>C)リバースプライマー、及び1.2μLのKODplus(東洋紡社製)を加え、反応溶液を調製した。該反応溶液を、94℃で5分間の変性工程、次に94℃で30秒間、64℃で30秒間、68℃で30秒間を35サイクルの増幅工程、68℃で2分間の伸長工程、からなる反応条件によりPCRを行った。ヒトゲノム検体に代えて、等量のmilliQ水を用いたものを、ネガティブコントロールとした。
その後、各2μLの該PCR済反応溶液に、それぞれ1μLの1%抗FITC分散性微粒子スラリーと、1μLの1%抗ビオチン分散性微粒子スラリーを加え、実施例1と同様にして、分散性微粒子の添加による該PCR済反応溶液のA800の変化を測定し、5’ FITC化CYP2C9(1075A)フォワードプライマーによるPCR増幅の有無を調べた。
次に、各PCR済反応溶液中の、5’DNP化CYP2C9(1075C)フォワードプライマーによるPCR増幅の有無を調べるため、各2μLの該PCR済反応溶液に、それぞれ1μLの1%抗DNP分散性微粒子スラリーと、1μLの1%抗ビオチン分散性微粒子スラリーを加え、同様にして、分散性微粒子の添加による該PCR済反応溶液のA800の変化を測定した。
図4は、CYP2C9(1075A>C)の検出結果を表したクラスター図である。縦軸を抗FITC分散性微粒子と抗ビオチン分散性微粒子を加えた時の各PCR済反応溶液のA800の変化とし、横軸を抗DNP分散性微粒子と抗ビオチン分散性微粒子を加えた時の各PCR済反応溶液のA800の変化とした。●はPSCDA0182の結果を、○はPSCDA0206の結果を、▲はPSCDA0009の結果を、×はネガティブコントロールの結果を、それぞれ示している。
3種全てのヒトゲノム検体において、抗FITC分散性微粒子を加えた場合にA800が大きくなった。一方、抗DNP分散性微粒子を加えた場合には、PSCDA0206ではA800が大きくなっていたが、他の2種のヒトゲノム検体ではA800はあまり変化しなかった。さらに、ネガティブコントロールでは、いずれの場合でもA800の変化はほとんど観察されなかった。すなわち、5’ FITC化CYP2C9(1075A)フォワードプライマーによるPCR増幅は、3種全てのヒトゲノム検体においてなされたが、5’ DNP化CYP2C9(1075C)フォワードプライマーによるPCR増幅は、PSCDA0206においてのみなされたことが分かった。つまり、PSCDA0206はCYP2C9(1075A/C)、PSCDA0182及び0009はCYP2C9(1075A/A)であるという結果が得られた。該結果は、シークエンス解析による多型判定の結果と一致しており、本発明のCYP2C9(1075A)フォワードプライマー、CYP2C9(1075C)フォワードプライマー、及びCYP2C9(1075A>C)リバースプライマーを用いることにより、CYP2C9(1075A>C)を検出できることが明らかである。
[実施例3]
5’DIG化VKORC1(1173C)フォワードプライマー、5’DNP化VKORC1(1173T)フォワードプライマー、5’FITC化VKORC1リバースプライマー(1070G)、5’FITC化CYP2C9(1075A)フォワードプライマー、5’DNP化CYP2C9(1075C)フォワードプライマー、及び5’ビオチン化CYP2C9(1075A>C)リバースプライマーを用いて、6種類のヒトゲノム検体(PSCDA0206、0532、0182、0194、0015、0029)のVKORC1(1173C>T)とCYP2C9(1075A>C)を検出した。
まず、23.7μLのmilliQ水に、6μLの10×Buffer(東洋紡社製)、6μLのdNTP(2mM)、2.4μLの硫酸マグネシウム(25mM)、10μLのヒトゲノム検体(20ng/μL)、1.7μLの5’DIG化VKORC1(1173C)フォワードプライマー、1.8μLの5’DNP化VKORC1(1173T)フォワードプライマー、1.2μLの5’FITC化VKORC1リバースプライマー(1070G)、1.8μLの5’FITC化CYP2C9(1075A)フォワードプライマー、1.8μLの5’DNP化CYP2C9(1075C)フォワードプライマー、2.4μLの5’ビオチン化CYP2C9(1075A>C)リバースプライマー、及び1.2μLのKODplus(東洋紡社製)を加え、反応溶液を調製した。該反応溶液を、94℃で5分間の変性工程、次に94℃で30秒間、64℃で30秒間、68℃で30秒間を35サイクルの増幅工程、68℃で2分間の伸長工程、からなる反応条件によりPCRを行った。ヒトゲノム検体に代えて、等量のmilliQ水を用いたものを、ネガティブコントロールとした。
その後、実施例1と同様にして、各PCR済反応溶液における5’DIG化VKORC1(1173C)フォワードプライマーによるPCR増幅の有無、及び5’DNP化VKORC1(1173T)フォワードプライマーによるPCR増幅の有無を、それぞれ調べた。また、実施例2と同様にして、各PCR済反応溶液における5’FITC化CYP2C9(1075A)フォワードプライマーによるPCR増幅の有無、及び5’DNP化CYP2C9(1075C)フォワードプライマーによるPCR増幅の有無を、それぞれ調べた。
図5は、各PCR済反応溶液のA800の変化の測定結果を表したクラスター図である。(a)は、VKORC1(1173C>T)の検出結果を表したクラスター図である。縦軸を抗DIG分散性微粒子と抗FITC分散性微粒子を加えた時の各PCR済反応溶液のA800の変化とし、横軸を抗DNP分散性微粒子と抗FITC分散性微粒子を加えた時の各PCR済反応溶液のA800の変化とした。(b)は、CYP2C9(1075A>C)の検出結果を表したクラスター図である。縦軸を抗FITC分散性微粒子と抗ビオチン分散性微粒子を加えた時の各PCR済反応溶液のA800の変化とし、横軸を抗DNP分散性微粒子と抗ビオチン分散性微粒子を加えた時の各PCR済反応溶液のA800の変化とした。●はPSCDA0182の結果を、▲はPSCDA0194の結果を、○はPSCDA0206の結果を、△はPSCDA0532の結果を、▽はPSCDA0015の結果を、▼はPSCDA0029の結果を、×はネガティブコントロールの結果を、それぞれ示している。
6種全てのヒトゲノム検体において、抗DNP分散性微粒子と抗FITC分散性微粒子を加えた場合にA800が大きくなった。これに対して、抗DIG分散性微粒子と抗FITC分散性微粒子を加えた場合には、PSCDA0182と0194ではA800が大きくなっていたが、他の4種のヒトゲノム検体ではA800はあまり変化しなかった。
一方、6種全てのヒトゲノム検体において、抗FITC分散性微粒子と抗ビオチン分散性微粒子を加えた場合にA800が大きくなった。これに対して、抗DNP分散性微粒子と抗ビオチン分散性微粒子を加えた場合には、PSCDA0206と0532ではA800が大きくなっていたが、他の4種のヒトゲノム検体ではA800はあまり変化しなかった。
さらに、ネガティブコントロールでは、いずれの場合でもA800の変化はほとんど観察されなかった。
つまり、PSCDA0206と0532はVKORC1(1173CT/T)かつCYP2C9(1075A/C)であり、PSCDA0182及び0194はVKORC1(1173C/T)かつCYP2C9(1075A/A)であり、PSCDA0015及び0029はVKORC1(1173T/T)かつCYP2C9(1075A/A)であるという結果が得られた。該結果は、シークエンス解析による多型判定の結果と一致しており、本発明のVKORC1(1173C)フォワードプライマー、VKORC1(1173T)フォワードプライマー、VKORC1リバースプライマー(1070G)、CYP2C9(1075A)フォワードプライマー、CYP2C9(1075C)フォワードプライマー、及びCYP2C9(1075A>C)リバースプライマーを、1の反応溶液に同時に用いてPCR増幅をすることにより、VKORC1(1173C>T)とCYP2C9(1075A>C)を検出できることが明らかである。
[実施例4]
5’FITC化VKORC1リバースプライマー(1070G)に代えて5’FITC化VKORC1リバースプライマー(1068A)を用いた以外は、実施例3と同様にして、3種類のヒトゲノム検体(PSCDA0206、0182、0009)のVKORC1(1173C>T)とCYP2C9(1075A>C)を検出した。
図6は、各PCR済反応溶液のA800の変化の測定結果を表したクラスター図である。(a)は、VKORC1(1173C>T)の検出結果を表したクラスター図である。縦軸を抗DIG分散性微粒子と抗FITC分散性微粒子を加えた時の各PCR済反応溶液のA800の変化とし、横軸を抗DNP分散性微粒子と抗FITC分散性微粒子を加えた時の各PCR済反応溶液のA800の変化とした。(b)は、CYP2C9(1075A>C)の検出結果を表したクラスター図である。縦軸を抗FITC分散性微粒子と抗ビオチン分散性微粒子を加えた時の各PCR済反応溶液のA800の変化とし、横軸を抗DNP分散性微粒子と抗ビオチン分散性微粒子を加えた時の各PCR済反応溶液のA800の変化とした。●はPSCDA0182の結果を、○はPSCDA0206の結果を、▲はPSCDA0009の結果を、×はネガティブコントロールの結果を、それぞれ示している。
3種全てのヒトゲノム検体において、抗DNP分散性微粒子と抗FITC分散性微粒子を加えた場合にA800が大きくなった。これに対して、抗DIG分散性微粒子と抗FITC分散性微粒子を加えた場合には、PSCDA0182ではA800が大きくなっていたが、他の2種のヒトゲノム検体ではA800はあまり変化しなかった。
一方、3種全てのヒトゲノム検体において、抗FITC分散性微粒子と抗ビオチン分散性微粒子を加えた場合にA800が大きくなった。これに対して、抗DNP分散性微粒子と抗ビオチン分散性微粒子を加えた場合には、PSCDA0206ではA800が大きくなっていたが、他の2種のヒトゲノム検体ではA800はあまり変化しなかった。
さらに、ネガティブコントロールでは、いずれの場合でもA800の変化はほとんど観察されなかった。
つまり、PSCDA0206はVKORC1(1173T/T)かつCYP2C9(1075A/C)であり、PSCDA0182はVKORC1(1173C/T)かつCYP2C9(1075A/A)であり、PSCDA0009はVKORC1(1173T/T)かつCYP2C9(1075A/A)であるという結果が得られた。該結果は、シークエンス解析による多型判定の結果と一致しており、VKORC1リバースプライマー(1070G)に代えてVKORC1リバースプライマー(1068A)を用いた場合であっても、VKORC1(1173C>T)とCYP2C9(1075A>C)を検出できることが明らかである。
[実施例5]
5’FITC化VKORC1リバースプライマー(1070G)に代えて5’FITC化VKORC1リバースプライマー(1062G)を用いた以外は、実施例3と同様にして、3種類のヒトゲノム検体(PSCDA0206、0182、0009)のVKORC1(1173C>T)とCYP2C9(1075A>C)を検出した。
実施例4の結果と同様に、3種全てのヒトゲノム検体において、抗DNP分散性微粒子と抗FITC分散性微粒子を加えた場合にA800が大きくなった。これに対して、抗DIG分散性微粒子と抗FITC分散性微粒子を加えた場合には、PSCDA0182ではA800が大きくなっていたが、他の2種のヒトゲノム検体ではA800はあまり変化しなかった。
一方、3種全てのヒトゲノム検体において、抗FITC分散性微粒子と抗ビオチン分散性微粒子を加えた場合にA800が大きくなった。これに対して、抗DNP分散性微粒子と抗ビオチン分散性微粒子を加えた場合には、PSCDA0206ではA800が大きくなっていたが、他の2種のヒトゲノム検体ではA800はあまり変化しなかった。
さらに、ネガティブコントロールでは、いずれの場合でもA800の変化はほとんど観察されなかった。
したがって、VKORC1リバースプライマー(1070G)に代えてVKORC1リバースプライマー(1062G)を用いた場合であっても、VKORC1(1173C>T)とCYP2C9(1075A>C)を検出できることが明らかである。
[実施例6]
5’FITC化VKORC1リバースプライマー(1070G)に代えて5’FITC化VKORC1リバースプライマー(1061A)を用いた以外は、実施例3と同様にして、3種類のヒトゲノム検体(PSCDA0206、0182、0009)のVKORC1(1173C>T)とCYP2C9(1075A>C)を検出した。
実施例4の結果と同様に、3種全てのヒトゲノム検体において、抗DNP分散性微粒子と抗FITC分散性微粒子を加えた場合にA800が大きくなった。これに対して、抗DIG分散性微粒子と抗FITC分散性微粒子を加えた場合には、PSCDA0182ではA800が大きくなっていたが、他の2種のヒトゲノム検体ではA800はあまり変化しなかった。
一方、3種全てのヒトゲノム検体において、抗FITC分散性微粒子と抗ビオチン分散性微粒子を加えた場合にA800が大きくなった。これに対して、抗DNP分散性微粒子と抗ビオチン分散性微粒子を加えた場合には、PSCDA0206ではA800が大きくなっていたが、他の2種のヒトゲノム検体ではA800はあまり変化しなかった。
さらに、ネガティブコントロールでは、いずれの場合でもA800の変化はほとんど観察されなかった。
したがって、VKORC1リバースプライマー(1070G)に代えてVKORC1リバースプライマー(1061A)を用いた場合であっても、VKORC1(1173C>T)とCYP2C9(1075A>C)を検出できることが明らかである。
[実施例7]
5’FITC化VKORC1リバースプライマー(1070G)に代えて5’FITC化VKORC1リバースプライマー(1060C)を用いた以外は、実施例3と同様にして、3種類のヒトゲノム検体(PSCDA0206、0182、0009)のVKORC1(1173C>T)とCYP2C9(1075A>C)を検出した。
実施例4の結果と同様に、3種全てのヒトゲノム検体において、抗DNP分散性微粒子と抗FITC分散性微粒子を加えた場合にA800が大きくなった。これに対して、抗DIG分散性微粒子と抗FITC分散性微粒子を加えた場合には、PSCDA0182ではA800が大きくなっていたが、他の2種のヒトゲノム検体ではA800はあまり変化しなかった。
一方、3種全てのヒトゲノム検体において、抗FITC分散性微粒子と抗ビオチン分散性微粒子を加えた場合にA800が大きくなった。これに対して、抗DNP分散性微粒子と抗ビオチン分散性微粒子を加えた場合には、PSCDA0206ではA800が大きくなっていたが、他の2種のヒトゲノム検体ではA800はあまり変化しなかった。
さらに、ネガティブコントロールでは、いずれの場合でもA800の変化はほとんど観察されなかった。
したがって、VKORC1リバースプライマー(1070G)に代えてVKORC1リバースプライマー(1060C)を用いた場合であっても、VKORC1(1173C>T)とCYP2C9(1075A>C)を検出できることが明らかである。
[実施例8]
フォワードプライマーとして、配列番号1の塩基配列を有するプライマー{VKORC1(1173C)フォワードプライマー(T)}又は配列番号12の塩基配列を有するプライマー{VKORC1(1173C)フォワードプライマー(A)}を、リバースプライマーとしてVKORC1リバースプライマー(1130T)を、鋳型として2種類のヒトゲノム検体(PSCDA0210及び0532)を、それぞれ用いてPCRを行った。なお、配列番号12の塩基配列を有するVKORC1(1173C)フォワードプライマー(A)は、3’末端から3番目の塩基がAであること以外は、全て配列番号1の塩基配列を有するVKORC1(1173C)フォワードプライマー(T)と同一のプライマーである。
まず、31μLのmilliQ水に、6μLの5×Buffer(東洋紡社製)、5μLのdNTP(2mM)、2μLの硫酸マグネシウム(25mM)、1μLのヒトゲノム検体(20ng/μL)、2.5μLのフォワードプライマー、2.5μLのリバースプライマー、及び1μLのKODplus(東洋紡社製)を加え、反応溶液を調製した。該反応溶液を、94℃で5分間の変性工程、次に94℃で30秒間、64℃で30秒間、68℃で30秒間を35サイクルの増幅工程、68℃で2分間の伸長工程、からなる反応条件によりPCRを行った。アガロース電気泳動により、得られたPCR産物を分離した後、Agilent2100 BIOANALYZER(DNA1000kit、Agilent Technology社製)を用いてバンドパターンを確認した。
得られたバンドパターンを図7に示す。(a)はVKORC1(1173C)フォワードプライマー(T)とPSCDA0210を用いて得たPCR産物のバンドパターンであり、(b)はVKORC1(1173C)フォワードプライマー(T)とPSCDA0532を用いて得たPCR産物のバンドパターンであり、(c)はVKORC1(1173C)フォワードプライマー(A)とPSCDA0210を用いて得たPCR産物のバンドパターンであり、(d)はVKORC1(1173C)フォワードプライマー(A)とPSCDA0532を用いて得たPCR産物のバンドパターンである。矢印アがPCR産物のバンドであり、矢印イとウはマーカーのバンドである。(a)、(c)、及び(d)において、PCR産物のバンドが検出された。
シークエンス解析の結果から、PSCDA0210はVKORC1(1173C/T)であり、PSCDA0532はVKORC1(1173T/T)であった。実際に、VKORC1(1173C)フォワードプライマー(T)により、PSCDA0210ではPCR産物が検出されたが、PSCDA0532では検出されなかった。一方、VKORC1(1173C)フォワードプライマー(A)により、PSCDA0210とPSCDA0532の両方でPCR産物が検出された。つまり、VKORC1(1173C)フォワードプライマー(A)では、ミス伸長による非特異的なPCR増幅が起こっていた。
この結果から、3’末端から3番目の塩基がTであることにより、本発明のVKORC1(1173C>T)フォワードプライマーが、非常に特異性に優れていることが明らかである。
本発明のプライマーを用いることにより、高精度かつ簡便にVKORC1(1173C>T)やCYP2C9(1075A>C)を検出することができるため、ワルファリン投与量予測のために重要なワルファリン代謝能の個人差を迅速に予測することが可能となり、医療機関等における検体の遺伝子解析等の分野において利用が可能である。
VKORC1(1173C>T)近隣のVKORC1遺伝子の塩基配列を示した図である。枠で囲まれた塩基Cが検出対象である1173位の塩基である。また、大文字TがVKORC1リバースプライマー(1130T)の3’末端から3番目の塩基Tであり、大文字GがVKORC1リバースプライマー(1070G)の3’末端から3番目の塩基Gであり、大文字AがVKORC1リバースプライマー(1068A)の3’末端から3番目の塩基Aであり、大文字GがVKORC1リバースプライマー(1062G)の3’末端から3番目の塩基Gであり、大文字AがVKORC1リバースプライマー(1061A)の3’末端から3番目の塩基Aであり、大文字CがVKORC1リバースプライマー(1060C)の3’末端から3番目の塩基Cである。 CYP2C9(1075A>C)近隣のCYP2C9遺伝子の塩基配列を示した図である。枠で囲まれた塩基Aが検出対象である1075位の塩基である。また、大文字Aが、1107位の塩基Aである。 実施例1において、VKORC1(1173C>T)の検出結果を表したクラスター図である。縦軸を抗DIG分散性微粒子と抗FITC分散性微粒子を加えた時の各PCR済反応溶液のA800の変化とし、横軸を抗DNP分散性微粒子と抗FITC分散性微粒子を加えた時の各PCR済反応溶液のA800の変化とした。●はPSCDA0182の結果を、○はPSCDA0206の結果を、▲はPSCDA0009の結果を、×はネガティブコントロールの結果を、それぞれ示している。 実施例2において、CYP2C9(1075A>C)の検出結果を表したクラスター図である。縦軸を抗FITC分散性微粒子と抗ビオチン分散性微粒子を加えた時の各PCR済反応溶液のA800の変化とし、横軸を抗DNP分散性微粒子と抗ビオチン分散性微粒子を加えた時の各PCR済反応溶液のA800の変化とした。●はPSCDA0182の結果を、○はPSCDA0206の結果を、▲はPSCDA0009の結果を、×はネガティブコントロールの結果を、それぞれ示している。 実施例3において、各PCR済反応溶液のA800の変化の測定結果を表したクラスター図である。(a)は、VKORC1(1173C>T)の検出結果を表したクラスター図である。縦軸を抗DIG分散性微粒子と抗FITC分散性微粒子を加えた時の各PCR済反応溶液のA800の変化とし、横軸を抗DNP分散性微粒子と抗FITC分散性微粒子を加えた時の各PCR済反応溶液のA800の変化とした。(b)は、CYP2C9(1075A>C)の検出結果を表したクラスター図である。縦軸を抗FITC分散性微粒子と抗ビオチン分散性微粒子を加えた時の各PCR済反応溶液のA800の変化とし、横軸を抗DNP分散性微粒子と抗ビオチン分散性微粒子を加えた時の各PCR済反応溶液のA800の変化とした。●はPSCDA0182の結果を、▲はPSCDA0194の結果を、○はPSCDA0206の結果を、△はPSCDA0532の結果を、▽はPSCDA0015の結果を、▼はPSCDA0029の結果を、×はネガティブコントロールの結果を、それぞれ示している。 実施例4において、各PCR済反応溶液のA800の変化の測定結果を表したクラスター図である。(a)は、VKORC1(1173C>T)の検出結果を表したクラスター図である。縦軸を抗DIG分散性微粒子と抗FITC分散性微粒子を加えた時の各PCR済反応溶液のA800の変化とし、横軸を抗DNP分散性微粒子と抗FITC分散性微粒子を加えた時の各PCR済反応溶液のA800の変化とした。(b)は、CYP2C9(1075A>C)の検出結果を表したクラスター図である。縦軸を抗FITC分散性微粒子と抗ビオチン分散性微粒子を加えた時の各PCR済反応溶液のA800の変化とし、横軸を抗DNP分散性微粒子と抗ビオチン分散性微粒子を加えた時の各PCR済反応溶液のA800の変化とした。●はPSCDA0182の結果を、○はPSCDA0206の結果を、▲はPSCDA0009の結果を、×はネガティブコントロールの結果を、それぞれ示している。 実施例8において、得られたバンドパターンを示した図である。(a)はVKORC1(1173C)フォワードプライマー(T)とPSCDA0210を用いて得たPCR産物のバンドパターンであり、(b)はVKORC1(1173C)フォワードプライマー(T)とPSCDA0532を用いて得たPCR産物のバンドパターンであり、(c)はVKORC1(1173C)フォワードプライマー(A)とPSCDA0210を用いて得たPCR産物のバンドパターンであり、(d)はVKORC1(1173C)フォワードプライマー(A)とPSCDA0532を用いて得たPCR産物のバンドパターンである。矢印アがPCR産物のバンドであり、矢印イとウはマーカーのバンドである。

Claims (50)

  1. ヒトのビタミンKエポキシド還元酵素複合体(vitamin K epoxide reductase complex:VKORC)のサブユニット1(VKORC1)遺伝子の、開始コドン(ATG)のAを1位としたときの1173位の塩基における一塩基多型VKORC1(1173C>T)を検出するためのプライマーであって、
    3’末端の塩基が、VKORC1遺伝子の1172位の塩基Cと相補的な塩基Gであり、
    3’末端から2番目の塩基が、VKORC1遺伝子の1173位の塩基に対応する塩基Gであり、
    3’末端から3番目の塩基が、VKORC1遺伝子の1174位の塩基Cと非相補的な塩基Tであること、
    を特徴とする、VKORC1(1173C)フォワードプライマー。
  2. プライマーの塩基長が16〜35merであることを特徴とする、請求項1記載のVKORC1(1173C)フォワードプライマー。
  3. 配列番号1の塩基配列を有するプライマーであることを特徴とする、請求項1又は2記載のVKORC1(1173C)フォワードプライマー。
  4. VKORC1遺伝子の、開始コドン(ATG)のAを1位としたときの1173位の塩基における一塩基多型VKORC1(1173C>T)を検出するためのプライマーであって、
    3’末端の塩基が、VKORC1遺伝子の1172位の塩基Cと相補的な塩基Gであり、
    3’末端から2番目の塩基が、VKORC1遺伝子の1173位の塩基に対応する塩基Aであり、
    3’末端から3番目の塩基が、VKORC1遺伝子の1174位の塩基Cと非相補的な塩基Tであること、
    を特徴とする、VKORC1(1173T)フォワードプライマー。
  5. プライマーの塩基長が18〜27merであることを特徴とする、請求項4記載のVKORC1(1173T)フォワードプライマー。
  6. 配列番号2の塩基配列を有するプライマーであることを特徴とする、請求項4又は5記載のVKORC1(1173T)フォワードプライマー。
  7. VKORC1遺伝子の塩基配列領域をPCR(Polymerase Chain Reaction)増幅して検出するために用いられるプライマーであって、
    請求項1〜3に記載のVKORC1(1173C)フォワードプライマー又は請求項4〜6に記載のVKORC1(1173T)フォワードプライマーをフォワードプライマーとした場合に、リバースプライマーとして用いることができ、かつ、3’末端の塩基が、VKORC1遺伝子の1130位の塩基Tと相同的な塩基Tであることを特徴とする、VKORC1(1173C>T)リバースプライマー。
  8. プライマーの塩基長が17〜29merであることを特徴とする、請求項7記載のVKORC1(1173C>T)リバースプライマー。
  9. 配列番号3の塩基配列を有するプライマーであることを特徴とする、請求項7又は8記載のVKORC1(1173C>T)リバースプライマー。
  10. VKORC1遺伝子の塩基配列領域をPCR増幅して検出するために用いられるプライマーであって、
    請求項1〜3に記載のVKORC1(1173C)フォワードプライマー又は請求項4〜6に記載のVKORC1(1173T)フォワードプライマーをフォワードプライマーとした場合に、リバースプライマーとして用いることができ、かつ、3’末端の塩基が、VKORC1遺伝子の1070位の塩基Gと相同的な塩基Gであることを特徴とする、VKORC1(1173C>T)リバースプライマー。
  11. プライマーの塩基長が12〜26merであることを特徴とする、請求項10記載のVKORC1(1173C>T)リバースプライマー。
  12. 配列番号4の塩基配列を有するプライマーであることを特徴とする、請求項10又は11記載のVKORC1(1173C>T)リバースプライマー。
  13. VKORC1遺伝子の塩基配列領域をPCR増幅して検出するために用いられるプライマーであって、
    請求項1〜3に記載のVKORC1(1173C)フォワードプライマー又は請求項4〜6に記載のVKORC1(1173T)フォワードプライマーをフォワードプライマーとした場合に、リバースプライマーとして用いることができ、かつ、3’末端の塩基が、VKORC1遺伝子の1068位の塩基Aと相同的な塩基Aであることを特徴とする、VKORC1(1173C>T)リバースプライマー。
  14. プライマーの塩基長が14〜32merであることを特徴とする、請求項13記載のVKORC1(1173C>T)リバースプライマー。
  15. 配列番号5の塩基配列を有するプライマーであることを特徴とする、請求項13又は14記載のVKORC1(1173C>T)リバースプライマー。
  16. VKORC1遺伝子の塩基配列領域をPCR増幅して検出するために用いられるプライマーであって、
    請求項1〜3に記載のVKORC1(1173C)フォワードプライマー又は請求項4〜6に記載のVKORC1(1173T)フォワードプライマーをフォワードプライマーとした場合に、リバースプライマーとして用いることができ、かつ、3’末端の塩基が、VKORC1遺伝子の1062位の塩基Gと相同的な塩基Gであることを特徴とする、VKORC1(1173C>T)リバースプライマー。
  17. プライマーの塩基長が19〜41merであることを特徴とする、請求項16記載のVKORC1(1173C>T)リバースプライマー。
  18. 配列番号6の塩基配列を有するプライマーであることを特徴とする、請求項16又は17記載のVKORC1(1173C>T)リバースプライマー。
  19. VKORC1遺伝子の塩基配列領域をPCR増幅して検出するために用いられるプライマーであって、
    請求項1〜3に記載のVKORC1(1173C)フォワードプライマー又は請求項4〜6に記載のVKORC1(1173T)フォワードプライマーをフォワードプライマーとした場合に、リバースプライマーとして用いることができ、かつ、3’末端の塩基が、VKORC1遺伝子の1061位の塩基Aと相同的な塩基Aであることを特徴とする、VKORC1(1173C>T)リバースプライマー。
  20. プライマーの塩基長が18〜41merであることを特徴とする、請求項19記載のVKORC1(1173C>T)リバースプライマー。
  21. 配列番号7の塩基配列を有するプライマーであることを特徴とする、請求項19又は20記載のVKORC1(1173C>T)リバースプライマー。
  22. VKORC1遺伝子の塩基配列領域をPCR増幅して検出するために用いられるプライマーであって、
    請求項1〜3に記載のVKORC1(1173C)フォワードプライマー又は請求項4〜6に記載のVKORC1(1173T)フォワードプライマーをフォワードプライマーとした場合に、リバースプライマーとして用いることができ、かつ、3’末端の塩基が、VKORC1遺伝子の1060位の塩基Cと相同的な塩基Cであることを特徴とする、VKORC1(1173C>T)リバースプライマー。
  23. プライマーの塩基長が18〜43merであることを特徴とする、請求項22記載のVKORC1(1173C>T)リバースプライマー。
  24. 配列番号8の塩基配列を有するプライマーであることを特徴とする、請求項22又は23記載のVKORC1(1173C>T)リバースプライマー。
  25. VKORC1(1173C>T)を検出するためのプライマーセットであって、
    請求項1〜3に記載のVKORC1(1173C)フォワードプライマー及び請求項4〜6に記載のVKORC1(1173T)フォワードプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーと、
    請求項7〜24に記載のVKORC1(1173C>T)リバースプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーと、
    を有することを特徴とする、VKORC1(1173C>T)の多型検出用プライマーセット。
  26. VKORC1(1173C>T)を検出するためのプライマーセットであって、
    請求項1〜3に記載のVKORC1(1173C)フォワードプライマー及び請求項4〜6に記載のVKORC1(1173T)フォワードプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーと、
    請求項10〜24に記載のVKORC1(1173C>T)リバースプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーと、
    を有することを特徴とする、VKORC1(1173C>T)の多型検出用プライマーセット。
  27. VKORC1(1173C>T)を検出するためのプライマーセットであって、
    請求項1〜3に記載のVKORC1(1173C)フォワードプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーと、
    請求項4〜6に記載のVKORC1(1173T)フォワードプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーと、
    請求項7〜24に記載のVKORC1(1173C>T)リバースプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーと、
    を有することを特徴とする、VKORC1(1173C>T)の多型検出用プライマーセット。
  28. VKORC1(1173C>T)を検出するためのプライマーセットであって、
    請求項1〜3に記載のVKORC1(1173C)フォワードプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーと、
    請求項4〜6に記載のVKORC1(1173T)フォワードプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーと、
    請求項10〜24に記載のVKORC1(1173C>T)リバースプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーと、
    を有することを特徴とする、VKORC1(1173C>T)の多型検出用プライマーセット。
  29. VKORC1(1173C>T)を検出するための多型検出方法であって、
    請求項1〜3に記載のVKORC1(1173C)フォワードプライマー及び請求項4〜6に記載のVKORC1(1173T)フォワードプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーを用いてPCR増幅をすることを特徴とする、多型検出方法。
  30. VKORC1(1173C>T)を検出するための多型検出方法であって、
    請求項3記載のVKORC1(1173C)フォワードプライマー及び/又は請求項6記載のVKORC1(1173T)フォワードプライマーと、
    請求項9、12、15、18、21、及び24に記載のVKORC1(1173C>T)リバースプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーと
    を、1の反応溶液に同時に用いてPCR増幅をすることを特徴とする、多型検出方法。
  31. VKORC1(1173C>T)を検出するための多型検出方法であって、
    請求項25〜28のいずれか記載のVKORC1(1173C>T)の多型検出用プライマーセットを用いてPCR増幅をすることを特徴とする、多型検出方法。
  32. ヒトの肝チトクロームP450(cytochromeP450:CYP)2C9遺伝子の、開始コドン(ATG)のAを1位としたときの1075位の塩基における一塩基多型CYP2C9(1075A>C)を検出するためのプライマーであって、
    3’末端の塩基が、CYP2C9遺伝子の1076位の塩基Tと相同的な塩基Tであり、
    3’末端から2番目の塩基が、CYP2C9遺伝子の1075位の塩基に対応する塩基Aであり、
    3’末端から3番目の塩基が、CYP2C9遺伝子の1074位の塩基Cと非相同的な塩基Aであること、
    を特徴とする、CYP2C9(1075A)フォワードプライマー。
  33. プライマーの塩基長が18〜28merであることを特徴とする、請求項32記載のCYP2C9(1075A)フォワードプライマー。
  34. 配列番号9の塩基配列を有するプライマーであることを特徴とする、請求項32又は33記載のCYP2C9(1075A)フォワードプライマー。
  35. CYP2C9遺伝子の、開始コドン(ATG)のAを1位としたときの1075位の塩基における一塩基多型CYP2C9(1075A>C)を検出するためのプライマーであって、
    3’末端の塩基が、CYP2C9遺伝子の1076位の塩基Tと相同的な塩基Tであり、
    3’末端から2番目の塩基が、CYP2C9遺伝子の1075位の塩基に対応する塩基Cであり、
    3’末端から3番目の塩基が、CYP2C9遺伝子の1074位の塩基Cと非相同的な塩基Aであること、
    を特徴とする、CYP2C9(1075C)フォワードプライマー。
  36. プライマーの塩基長が18〜28merであることを特徴とする、請求項35記載のCYP2C9(1075C)フォワードプライマー。
  37. 配列番号10の塩基配列を有するプライマーであることを特徴とする、請求項35又は36記載のCYP2C9(1075C)フォワードプライマー。
  38. CYP2C9遺伝子の塩基配列領域をPCR増幅して検出するために用いられるプライマーであって、
    請求項32〜34に記載のCYP2C9(1075A)フォワードプライマー又は請求項35〜37に記載のCYP2C9(1173C)フォワードプライマーをフォワードプライマーとした場合に、リバースプライマーとして用いることができ、かつ、3’末端の塩基が、CYP2C9遺伝子の1107位の塩基Aと相補的な塩基Tであることを特徴とする、CYP2C9(1075A>C)リバースプライマー。
  39. プライマーの塩基長が18〜40merであることを特徴とする、請求項38記載のCYP2C9(1075A>C)リバースプライマー。
  40. 配列番号11の塩基配列を有するプライマーであることを特徴とする、請求項38又は39記載のCYP2C9(1075A>C)リバースプライマー。
  41. CYP2C9(1075A>C)を検出するためのプライマーセットであって、
    請求項32〜34に記載のCYP2C9(1075A)フォワードプライマー及び請求項35〜37に記載のCYP2C9(1173C)フォワードプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーと、
    請求項38〜40に記載のCYP2C9(1075A>C)リバースプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーと、
    を有することを特徴とする、CYP2C9(1075A>C)の多型検出用プライマーセット。
  42. CYP2C9(1075A>C)を検出するためのプライマーセットであって、
    請求項32〜34に記載のCYP2C9(1075A)フォワードプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーと、
    請求項35〜37に記載のCYP2C9(1173C)フォワードプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーと、
    請求項38〜40に記載のCYP2C9(1075A>C)リバースプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーと、
    を有することを特徴とする、CYP2C9(1075A>C)の多型検出用プライマーセット。
  43. CYP2C9(1075A>C)を検出するための多型検出方法であって、
    請求項32〜34に記載のCYP2C9(1075A)フォワードプライマー及び請求項35〜37に記載のCYP2C9(1173C)フォワードプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーを用いてPCR増幅をすることを特徴とする、多型検出方法。
  44. CYP2C9(1075A>C)を検出するための多型検出方法であって、
    請求項34記載のCYP2C9(1075A)フォワードプライマー及び/又は請求項37記載のCYP2C9(1173C)フォワードプライマーと、
    請求項40記載のCYP2C9(1075A>C)リバースプライマーと
    を、1の反応溶液に同時に用いてPCR増幅をすることを特徴とする、多型検出方法。
  45. CYP2C9(1075A>C)を検出するための多型検出方法であって、
    請求項41又は42記載のCYP2C9(1075A>C)の多型検出用プライマーセットを用いてPCR増幅をすることを特徴とする、多型検出方法。
  46. VKORC1(1173C>T)とCYP2C9(1075A>C)を検出するための多型検出方法であって、
    請求項26記載のVKORC1(1173C>T)の多型検出用プライマーセット又は請求項28記載のVKORC1(1173C>T)の多型検出用プライマーセットと、
    請求項41記載のCYP2C9(1075A>C)の多型検出用プライマーセット又は請求項42記載のCYP2C9(1075A>C)の多型検出用プライマーセットと
    を、1の反応溶液に同時に用いて、PCR増幅を行うことを特徴とする、多型検出方法。
  47. VKORC1(1173C>T)とCYP2C9(1075A>C)を検出するための多型検出方法であって、
    請求項3記載のVKORC1(1173C)フォワードプライマー及び/又は請求項6記載のVKORC1(1173T)フォワードプライマーと、
    請求項12、15、18、21、及び24に記載のVKORC1(1173C>T)リバースプライマーからなる群より選ばれる1のプライマーと、
    請求項34記載のCYP2C9(1075A)フォワードプライマー及び/又は請求項37記載のCYP2C9(1075C)フォワードプライマーと、
    請求項40記載のCYP2C9(1075A>C)リバースプライマーと
    を、1の反応溶液に同時に用いてPCR増幅をすることを特徴とする、多型検出方法。
  48. 電気泳動法、クロマトグラフィー法、質量分析法、FCS(蛍光自己相関関数、Fluorescence Correlation Spectroscopy)解析法、及び免疫比濁法からなる群より選ばれる1以上の方法を用いることを特徴とする、請求項29〜31、43〜47のいずれかに記載の多型検出方法。
  49. リガンドを用いて修飾された少なくとも1のプライマーを用いることを特徴とする、請求項29〜31、43〜48のいずれかに記載の多型検出方法。
  50. 前記リガンドが、光学的に区別可能なリガンドであることを特徴とする、請求項49記載の多型検出方法。
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