JP4406366B2 - 多型配列部位を有する核酸の識別方法 - Google Patents

多型配列部位を有する核酸の識別方法 Download PDF

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Description

[発明の背景]
発明の分野
本発明は、核酸配列の違い、例えば核酸配列中の1塩基の違い、を高い精度で検出可能な核酸の識別方法に関する。
関連技術
近時、世界的なヒトゲノム解析により、その約31億個の塩基対の配列が明らかにされる一方、遺伝子の数も約3〜4万個であることが明らかとなった。
ヒトには個体間で塩基配列の違いが存在し、特定の集団人口の1%以上の頻度で存在するものを遺伝子多型と呼んでいる。その中でも遺伝子の塩基配列が1塩基だけ異なっているSNP(Single Nucleotide Polymorphism)は、種々の疾患と関連性があることが示唆されている。例えば、ヒトの遺伝子病は、一つの遺伝子中の1塩基の違いが病気の原因となると考えられている。また、生活習慣病やガンなどは、複数の遺伝子のいくつかにおける1塩基の違いが影響していると考えられている。したがって、SNPの解析は、創薬ターゲットの探索または副作用の予見などのような医薬品の開発において、極めて有効であると考えられる。このため、SNPの解析は世界的な巨大プロジェクトとして押し進められている。
薬物の効果やその副作用についての個人差は、個々人の薬物代謝に関わる酵素群の違いによるものであって、その違いも遺伝子上のわずかな違いによるものであることが最近明らかにされつつある。また、病原細菌やウィルスへの薬物の効き目や、病原細菌やウィルスの薬物耐性は、それらの個体毎に異なることがあり、これらは個体毎の遺伝子の微細な違いによることが多い。
そこで、あらかじめ患者の遺伝子を解析することによって、最適な薬剤を選択し患者に投与することが考えられている。また、単一遺伝子疾患のみならず多因子疾患についても、遺伝子診断の意義が急速に高まりつつある。さらに、外来因子である病原細菌やウイルスの遺伝子診断も、今後は検査対象が確実に増加することが予想される。
このようにポストゲノム時代の医療においては、ヒトや病原微生物の遺伝子の微細な違い、とりわけ1塩基の違い、を検出できることは、重要であり、今後も重要性が増すと予想される。
これまでに、塩基配列における微細な違い、とりわけ1塩基の違いを検出する方法が種々検討されている(Landegren,Laboratory protocols for mutation detection,Oxford university press,(1996)、Ahmadian et.al.,Biotechniques 32,1122−1137(2002))。
しかしながら、実用レベルでの検出を行うためには、低コストであって、方法の簡便性、検出時間の短さ、検出結果の正確さなどの点がいずれも優れていることが要求される。本発明者の知る限り、現在までのところ、実際の使用に耐えうる方法は知られていない。
遺伝子の微細な違い、とりわけその1塩基の違いを検出する場合、一般的に、目的とする遺伝子断片は試料中にわずかしか含まれていない。この場合、目的とする遺伝子を、何らかの方法によって予め増幅させておくことが必要となる。このような遺伝子増幅法としては、例えば、PCR(Polymerase Chain Reaction)法が挙げられる。
一般的に、目的の遺伝子の1塩基の違いを検出するためには、遺伝子増幅の段階と、増幅させた遺伝子の1塩基の違いを調べる段階との2段階の工程を必要とする(Ahmadian et.al.,Biotechniques 32,1122−1137(2002))。しかしながら、2段階の工程を必要とする方法は、工程が複数あるため、処理が煩雑となる。
このような2段階の工程の煩雑さを改善するため、例えば、蛍光色素とクエンチャーがついたプローブを用いるTaqman法(Livak et.al.,PCR Methods Appl.5,357−362(1995))、または、質量分析計によるDNAの質量分析を利用したMALDI−TOF/MS法(Griffin et.al.,Trends Biotechnol.18,77−84(2000))などが報告されている。また、遺伝子の増幅を必要としない方法として、DNAの構造を認識して切断する酵素を用いるInvader法(Ryan et.al.,Molecular diagnosis 4,135−144(1999))も報告されている。しかしながら、これらの方法は依然として実施するコストが高く、またプローブの設計も複雑である。
一方で、遺伝子の増幅と1塩基の識別とを同時に行う方法が考案されている(Newton et.al.,Nucleic Acids Res.17,2503−2516(1989)、Okayama et.al.,J.Lab.Clin.Med.114,1053−113(1989))。この方法は、DNAポリメラーゼの伸長反応において、プライマーの3’末端が鋳型と相補的であるか否かによって、伸長反応が起こったり起こらなかったりすることを利用するものである。すなわち、PCR反応において一方のプライマーの3’末端に1塩基の識別を行う塩基が来るようにプライマーを設計しておくと、鋳型がプライマーと完全に相補的である場合には、伸長反応が起こり、もう一方のプライマーとの間で増幅反応が引き起こされる。ところが、プライマーの3’末端に鋳型との間で1塩基のミスマッチがある場合には、そのプライマーからの伸長反応は起こらず、もう一方のプライマーとの間での増幅反応も起こらない。このようにして増幅反応が起きたか起きなかったかによって、1塩基の識別を行うことができる。この方法は、増幅反応後にさらに操作を行って1塩基を識別する必要がない。
しかしながら、この方法は、反応条件、例えば、鋳型の量、温度、プライマーの量、または反応基質であるdNTPの濃度などにより、反応が影響を受けやすい。このため、常に再現性のあるデータを得ることは容易でない。また、識別する塩基の種類、すなわちプライマーの3’末端の塩基またはそのまわりの塩基の種類によって、この方法の識別性能が大きく影響を受け(Ayyadevara et.al.,Anal.Biochem.284,11−18(2000))、配列によっては識別が困難となることもある。
さらに別の方法として、例えば、プライマーの3’末端付近に人工的な変異(鋳型と相補的でない塩基)を導入する方法が検討されている(Newton et.al.,Nucleic Acids Res.17,2503(1989))。しかしながら、この方法でも、プライマーの最適化に一定の労力を必要とし、識別精度も試料の品質によって影響を受けることがある。
さらにこの問題を解決するために、非天然型の核酸をプライマーに導入する方法が考案されているが(米国特許第6,316,198号明細書)、依然として改良の余地のあるものであった。また、二つのアリルに特異的なプライマーを共存させ、競合反応により1塩基の識別を行う方法も開発されている(McClay,Anal.Biochem.,301,2000−2006(2002))。しかしながら、この方法も充分満足のできるものではなかった。
したがって、遺伝子の微細な違い、とりわけ1塩基の違い、を迅速かつ簡便に検出できる方法であって、識別精度と汎用性の高い方法が、依然として望まれている。
[発明の概要]
本発明者は、今般、3’末端部分に多型配列を識別できるように塩基配列を配置したプライマーを用いて鎖置換型プライマーの伸長反応を行って、標的核酸中の1塩基の識別をする場合において、該プライマーに加えてさらに、プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドを用いることによって、多型部位の1塩基を識別する能力を飛躍的に高めることができることを見出した。本発明はかかる知見に基づくものである。
よって、本発明は、多型配列部位を有する核酸の識別方法であって、検体が微量であってもそこに含まれる核酸の1塩基の違いを迅速かつ簡便に検出することができ、かつ検出精度に優れた方法の提供をその目的とする。
そして本発明による多型配列部位を有する核酸の識別方法は、多型配列部位を有する核酸において多型配列部位が所望の塩基配列を有するか否かを識別する方法であって、
下記(1)および(2)を、多型配列部位を有する標的核酸にハイブリダイズさせ、これらをプライマー鎖置換伸長反応が進行し得る反応条件下に置くことを含んでなる、方法である:
(1) 識別プライマー(ここでこの識別プライマーは、その3’末端部分に多型配列識別用の塩基配列を有する)、および
(2) プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチド(ここでこのオリゴヌクレオチドは、前記識別プライマーよりも、標的核酸における5’側の領域に対して全部もしくは一部が相補的である)。
本発明による多型配列部位を有する核酸の識別用キットは、多型配列部位を有する核酸において多型配列部位が所望の塩基配列を有するか否かを識別するためのキットであって、下記(A)および(B)を含んでなるものである:
(A) 識別プライマー(ここでこの識別プライマーは、その3’末端部分に多型配列識別用の塩基配列を有する)、および
(B) プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチド(ここでこのオリゴヌクレオチドは、前記識別プライマーよりも、標的核酸における5’側の領域に対して全部もしくは一部が相補的である)。
本発明の方法またはキットによれば、目的とする核酸が、ある多型配列においていずれの型であるか否かを、迅速かつ簡便に識別することができる。この方法またはキットは、3’末端に多型配列識別用の塩基配列を有するプライマーのみを用いる従来の方法に比べて、多型の識別精度が格段に優れている。
図1は、本発明における、識別プライマーと、プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドとの位置関係を模式的に示した図である。図中、(a)、(d)および(e)は識別プライマーと該オリゴヌクレオチドとの配列が重なり合う場合であり、(b)は識別プライマーと該オリゴヌクレオチドとの配列が連続した配置にある場合であり、また(c)は識別プライマーと該オリゴヌクレオチドとの配列が離れて配置されている場合である。
図2は、実施例における、識別プライマーと該オリゴヌクレオチドとの互いの位置関係を示した図である。
図3は、例1の結果を示す図である。図中、鋳型の欄にあるAおよびTは、鋳型配列上の多型配列部位の塩基の種類を表す。またプライマーの欄は、使用したプライマーの種類を表し、DEOの欄は使用したプライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドの種類を表す。
図4は、例2の結果を示す図である。図中、鋳型の欄にあるAおよびTは、鋳型配列上の多型配列部位の塩基の種類を表す。またプライマーの欄は、使用したプライマーの種類を表し、DEOの欄は使用したプライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドの種類を表す。
図5は、例3の結果を示す図である。図中、鋳型の欄にあるAおよびTは、鋳型配列上の多型配列部位の塩基の種類を表す。またプライマーの欄は、使用したプライマーの種類を表し、DEOの欄は使用したプライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドの種類を表す。
図6は、例4の結果を示す図である。図中、鋳型の欄にあるAおよびTは、鋳型配列上の多型配列部位の塩基の種類を表す。またプライマーの欄は、使用したプライマーの種類を表し、DEOの欄は使用したプライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドの種類を表す。
[発明の具体的説明]
核酸の識別方法
本発明は、多型配列部位を有する核酸において、多型配列部位が所望の塩基配列を有するか否かを識別する方法である。
本明細書において「核酸」は、DNAまたはRNAのいずれであってもよく、また一本鎖であっても2本鎖であってもよい。また本発明の方法により識別することができる核酸は、その由来によって制限されるものではなく、従って本発明は、真核生物、原核生物、ウイルス由来の核酸、さらには合成されたものに対しても適用可能である。
本明細書において「標的核酸」は、本発明の方法による識別を希望する目的核酸自体であっても、その目的核酸の相補鎖であってもよい。
本明細書において「多型配列部位」は、核酸間に存在する配列上の相違部分の塩基配列、または点突然変異により生じた核酸配列上の変異部分の塩基配列、が存在し得る部分を意味する。すなわち、「多型配列部位」は、基準とする塩基配列に対して1塩基または複数の塩基の置換、欠失、または挿入が生じている部位を意味する。したがって、本発明の識別方法によれば、このような多型部位が所望の塩基配列である核酸と、多型部位がそのような塩基配列でない核酸とを識別することができる。
ここで「所望の塩基配列」とは、核酸配列に存在しうる多型配列部位に相当する塩基配列のことをであって、本発明の識別方法が識別するための標的とする塩基配列のことをいう。このような塩基配列は、識別目的、例えば識別を希望する疾患、または、識別対象の動物種類等に応じて適宜選択することができる。
本発明による多型配列部位を有する核酸の識別方法は、前記したように、識別プライマーと、プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドとを少なくとも用いるものであり、これらを標的核酸とハイブリダイズさせ、ハイブリダイズさせたこれらのものをプライマー鎖置換伸長反応が進行し得る反応条件下に置くことを含んでなる。
識別プライマー
本発明において「識別プライマー」は、標的核酸に対するプライマー能を有するものであって、その3’末端部分に、多型配列識別用の塩基配列を少なくとも有するものである。このとき、識別プライマーにおける「3’末端部分」とは、必ずしもプライマーの3’の最末端のみを意味するものではなく、その3’最末端から数塩基程度、該プライマーの上流位置にあってもよい。好ましくはその3’最末端から塩基の数は、最末端塩基を含めて、1〜5塩基の範囲であり、より好ましくは1〜3塩基の範囲であり、最も好ましくは1〜2塩基である。
ここで「多型配列識別用の塩基配列」とは、標的とする核酸中に存在する多型配列部位を識別することができる、識別プライマー中に存在する塩基配列のことをいう。「多型配列識別用の塩基配列」は、標的核酸中の多型配列部位が所望の塩基配列であるとき、この部位と相補的または非相補的であることができる。
識別プライマー中に存在する多型配列識別用の塩基の数は、2〜数個であることができるが、1個であってもよい。一般的に、該塩基の数が2個以上の場合は、プライマーによる多型配列の識別は極めて容易であるが、該塩基の数が1個の場合は、識別は容易でない。本発明によれば、該塩基の数が1個の場合であっても、多型配列の識別を容易に行うことができる。
本発明による識別プライマーは、識別プライマーの多型配列識別用の塩基が標的核酸の多型配列部位の塩基配列と相補的である場合には、プライマー鎖置換伸長反応によりプライマーの伸長が起こり、かつ、その多型配列識別用の塩基配列が標的核酸の多型配列部位の塩基配列と相補的でない場合には、プライマー鎖置換伸長反応が起こらないように設計されてなるものである。
このように多型配列識別用の塩基配列が、標的核酸の多型配列部位の塩基配列と相補的であると、この識別プライマーによるプライマー鎖置換伸長反応が起こって、プライマーが伸長し、伸長反応生成物、すなわち、標的核酸に相補的な核酸を形成することができる。
しかしながら、多型配列識別用の塩基配列が、標的核酸の多型配列部位の塩基配列と相補的でないと、このプライマーによる鎖置換伸長反応が阻害されて、プライマーの伸長はほとんど起こらなくなる。このため、伸長反応生成物もほとんど生じない。ただし、従来方法の場合には、このような状況にあっても、プライマーの伸長反応が進行してしまうことがわずかにあった。このため、従来の識別方法の精度は必ずしも高いものではなかった。本発明においては、この識別プライマーの下流にさらに、プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドを用いることにより、伸長反応の進行の可否の精度を飛躍的に高めることに成功したのである。
すなわち、識別プライマーにおいて、多型配列識別用の塩基配列と、標的核酸の多型配列部位の塩基配列とがマッチングして、識別プライマーが標的核酸と完全に相補的であると、該プライマーの下流に結合しているプライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドを押しのけて、プライマー伸長反応を進行することができる。これに対し、識別プライマーにおいて、多型配列識別用の塩基配列と、標的核酸の多型配列部位の塩基配列との間にミスマッチがあると、プライマー伸長反応がほとんど起きなくなる。このとき、該プライマーの下流にプライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドがさらに存在すると、プライマー伸長反応の進行をほぼ完全に抑えることができる。本発明は、このような現象を利用するものであり、得られる伸長生成物を検出することによって、極めて高い精度で多型配列部位を有する核酸を識別することを可能にしている。
本発明の識別プライマーは、標的核酸の多型配列部位から標的核酸の3’末端方向の領域全体に対して相補的であってもよいが、多型配列部位を含み、かつ前記領域全体よりも短い領域に対して相補的であってもよい。
本発明の識別プライマーの鎖長は、適用する標的核酸の鎖長に応じて適宜選択することができるが、典型的は6〜100塩基であり、好ましくは10〜50塩基であり、さらに好ましくは15〜30塩基である。
本発明による識別プライマーは、慣用の方法にしたがって合成することができる。例えば、本発明による識別プライマーは、標的核酸における多型配列部位よりも標的核酸の3’側の領域に対して相補的であるように選択して得ることできる。また識別プライマー中に存在する多型配列識別用の塩基配列も、識別を希望する塩基配列に応じて適宜選択することができる。
プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチド
本発明において「プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチド」は、識別プライマーよりも、標的核酸の5’側の領域に対して相補的であることが必要である。換言すると、該オリゴヌクレオチドは、識別プライマーよりも下流の領域において、標的核酸と相補的である。
ここで「プライマー機能を有さない」とは、このオリゴヌクレオチドを標的核酸にハイブリダイズさせて、これをプライマー伸長反応の反応条件に置いたとしてしても、このオリゴヌクレオチドから伸長反応が起こらないような状態をいう。
本発明において、プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドが標的核酸と相補的である位置は、識別プライマーが標的核酸に相補的である位置よりも下流であれば特に制限はされない。このため、
(a) 該オリゴヌクレオチドの5’末端部分が、識別プライマーの3’末端部分と重なりあう(または、互いに重複する)配置を、標的核酸に対してとり得るような配列を有していてもよく(図1(a)参照)、
(b) 該オリゴヌクレオチドの5’末端部分が、識別プライマーの3’末端部分に連続して位置する配置を、標的核酸に対してとり得るような配列を有していてもよく(図1(b)参照)、さらには、
(c) 該オリゴヌクレオチドの5’末端部分が、識別プライマーの3’末端部分と離れて位置する配置を、標的核酸に対してとり得るような配列を有していてもよい(図1(c)参照)。
ここでプライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドの5’末端部分が、識別プライマーの3’末端部分と「重なりあう」(オーバーラップする)とは、識別プライマーと、プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドとが、標的核酸と相補鎖を形成する場合において、プライマーの3’末端部分と、該オリゴヌクレオチドの5’末端部分とが、標的核酸上の同一配列もしくは同一塩基に対して、同時に相補的である配列もしくは塩基を有している状態をいう。
また、この場合、該オリゴヌクレオチドの5’末端部分の「重なりあう」部分は、標的核酸に対して必ずしも完全に相補的でなくともよく、このような状態にある場合も、「重なりあう」に包含されるものとする。よって本発明の別の好ましい態様によれば、プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドは、その5’末端部分に標的核酸と非相補的な塩基を有していてもよい。この場合、該プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドの5’末端部分に存在し得る標的核酸と非相補的な塩基の塩基数は、例えば1〜15個、好ましくは1〜5個である。
同様に、識別プライマーの3’末端部分の「重なりあう」部分は、標的核酸に対して必ずしも完全に相補的でなくともよく、このような状態にある場合も、「重なりあう」に包含されるものとする。よって本発明の別の好ましい態様によれば、識別プライマーは、その3’末端部分に標的核酸と非相補的な塩基を有していてもよい。
また、識別プライマーの3’末端部分の「重なり合う」部分は、多型配列識別用の塩基配列を含んでいてもよく、また含んでいなくてもよい。このとき、識別プライマーの3’末端部分の「重なり合う」部分において、多型配列識別用の塩基配列は、該3’末端の最末端塩基でなくともよい。したがって、プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドの5’末端部分は、識別プライマーにおいて多型配列識別用の塩基配列よりも3’末端側の領域にある塩基配列とのみ重複してもよいが、多型配列識別用の塩基配列とさらにそれより5’側の領域の塩基配列とを含む配列と重複してもよい。
このように「重なり合う」には、識別プライマーの3’末端部分と、プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドの5’末端部分とが、標的核酸に対して両方とも相補的である場合、いずれか一方または両方が標的核酸に対して相補的でなく、かつ本来相補的な塩基がある位置に非相補的な塩基が存在する場合のいずれの場合も包含される。
「重なり合う」場合の例としては、前記した(a)の場合の他に、下記(d)および(e)のような場合も例示することができる:
(d) プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドの5’末端部分が、識別プライマーの3’末端部分と重なり合う配置を、標的核酸に対してとり得るような配列を有している場合であって、該オリゴヌクレオチドの5’末端部分が標的核酸に相補的である場合(図1(d)参照)。このとき、識別プライマーの3’末端部分は、標的核酸に相補的でなくともよい。
(e) プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドの5’末端部分が、識別プライマーの3’末端部分と重なり合う配置を、標的核酸に対してとり得るような配列を有していなくてもよい場合であって、該オリゴヌクレオチドの5’末端部分が標的核酸に相補的である場合(図1(e)参照)。このとき、識別プライマーの3’末端部分は、標的核酸に相補的でなくともよい。
本発明の好ましい態様によれば、該オリゴヌクレオチドの5’末端部分は、識別プライマーの3’末端部分と重なりあう(または、互いに重複する)配置を、標的核酸に対してとり得るような配列を有するか、または、該オリゴヌクレオチドの5’末端部分が、識別プライマーの3’末端部分に連続して位置する配置を、標的核酸に対してとり得るような配列を有する。
プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドが、識別プライマーと「重なりあう」ような配列を有する場合、重なりあう部分の塩基の数は、1〜5個であることが望ましく、より好ましくは1〜3個である。
本発明において、プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドは、それを構成する塩基全てが、標的核酸に対して完全に相補的である必要はなく、一部の塩基が相補的でないものであってもよい。そのような場合、該オリゴヌクレオチドに含まれる標的核酸と相補的でない塩基の割合は、該オリゴヌクレオチドが標的核酸に特異的に結合し、本発明の鎖置換型伸長反応において標的核酸との結合を維持できる程度であることが望ましい。
本発明において「プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチド」は、プライマーとしての機能を有さないものであれば特に制限はなく、デオキシリボオリゴヌクレオチドであっても、リボオリゴヌクレオチドであってもよく、また、それらのキメラ体であってもよい。また、このオリゴヌクレオチドは、修飾塩基を含むものであっても、非天然型の核酸構造(例えば、非天然型の修飾塩基、非天然型の糖部構造)を含むものであってもよい。さらには、このオリゴヌクレオチドとして、異なるバックボーンをもつPNAなども使用することができる。
本発明の好ましい態様によれば、プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドは、プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドと標的核酸との間の結合の融解温度が、識別プライマーと標的核酸との間の結合の融解温度よりも高いものである。例えば、プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドと標的核酸との間の結合の融解温度は、識別プライマーと標的核酸との間の結合の融解温度より1〜15℃程度高いことができる。該オリゴヌクレオチドがこのような融解温度を有するものであると、識別プライマーによる伸長反応が起こるときには、プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドは確実に標的核酸と結合していることとなる。これにより、識別プライマーの3’末端部分の多型配列識別用の塩基配列と標的核酸の多型配列部位との間にミスマッチがある場合に、プライマーの伸長反応がより確実に阻害されることとなる。
本発明において、プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドは、識別を希望する目的核酸の配列に応じて適宜選択することができる。プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドは、例えば、慣用の方法にしたがって合成してもよく、また、識別を希望する核酸配列を別途用意してこれを任意に切断することにより得てもよい。
また、該オリゴヌクレオチドがプライマー機能を持たないようにするには、該オリゴヌクレオチドに、慣用の方法(例えば、米国特許第5,849,497号明細書に記載の方法)を適用することによって行うことができる。また、合成等により得られたオリゴヌクレオチドの3’末端のヌクレオシドの水酸基を任意の保護基(例えば、リン酸基)で修飾したり、または、該3’末端部分に標的核酸と相補的でない塩基を導入したりしても、オリゴヌクレオチドがプライマー機能を持たないようにすることができる。
よって、本発明の別の好ましい態様によれば、プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドが、その3’末端のヌクレオシドの水酸基がリン酸基で修飾されたものであってもよい。
また、本発明のさらに別の好ましい態様によれば、プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドは、その3’末端部分に標的核酸と非相補的な塩基を有するものであることができる。この場合、該プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドの3’末端部分に存在し得る標的核酸と非相補的な塩基の塩基数は、例えば1〜30個、好ましくは3〜10個である。
本発明において、プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドの鎖長は、適用する標的核酸の鎖長に応じて適宜選択することができるが、少なくとも10塩基以上からなることが望ましく、好ましくは15〜50塩基であり、さらに好ましくは25〜35塩基である。
本発明において用いられるプライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドの量は、標的核酸の量に応じて適宜選択することができるが、識別プライマーが標的核酸に完全に相補的である場合には、そのプライマーの伸長反応を阻害しない程度の量であって、かつ伸長反応における全ての標的核酸に結合することができる程度の量であることが望ましい。この場合、該オリゴヌクレオチドの量は、標的核酸の量よりも少なくとも過剰量存在する。
本発明のより好ましい態様によれば、該オリゴヌクレオチドの量は、識別プライマーの量に対して、0.1〜5当量であり、さらに好ましくは1〜3当量、さらにより好ましくは1〜1.5当量である。
その他
本発明において、識別プライマーと、プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドとを、標的核酸とハイブリダイズさせるには、慣用の方法によって、例えば、これらを一緒にして温度条件を適宜設定することによって、容易に行うことができる。
本明細書において「プライマー鎖置換伸長反応が進行し得る反応条件下に置く」とは、プライマー鎖置換伸長反応を進行させることができる反応条件、例えば、所定の酵素存在下、温度条件下、および/または基質存在下に、ハイブリダイズさせたプライマー等を置くことをいう。このような反応条件の典型例は、当業者に公知のものであるが、本発明においては、標的核酸、プライマー等に応じて、好適な条件を適宜変更することができる。例えば、使用する酵素に応じて温度条件等を適宜設定するしてもよい。
ここで使用される酵素としては、相補鎖置換型の鋳型依存性核酸合成酵素が好ましい。このような酵素としては、標的核酸がRNAであれば逆転写酵素を使用することができ、また、標的核酸がDNAであればDNAポリメラーゼを使用することができる。このとき使用可能なDNAまたはRNAポリメラーゼは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性および3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を持たないものであって、かつ、鎖置換活性は持つものであることが重要である。
そのようなRNAポリメラーゼとしては、例えばM−MLV逆転写酵素などが挙げられる。
また、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性および3’→5’エキソヌクレアーゼ活性をもつ天然の酵素から、これらの活性を人工的に取り除くことができる。したがって、DNAポリメラーゼとしては、そのような活性を取り除いたものも使用可能である。本発明において使用可能な酵素としては、例えば、Bst DNA polymerase large fragment(New England Biolabs社製)、Stoffel fragment DNA polymerase(アプライドバイオシステムズ社製)などが挙げられる。
本発明による方法は、1回の伸長反応によって1塩基識別を行う方法に好適に適用することができる。そのような方法としては、例えば1塩基伸長法(SBE法)(Syvanen,et.al.,Genomics,8,684−692(1990))が挙げられる。この方法は、PCR法により増幅したDNAに対してプライマー伸長反応を行う方法である。すなわち、この方法は、プライマーの3’末端と、PCRによって増幅して得られた標的核酸とが完全に相補的であるか、または相補的でないかによって、伸長反応が進行するか否かとなることを利用するものである。本発明による方法を用いることによって、SBE法の識別能を向上させ、また条件設定の手間を短縮することができる。SBE法は広く普及している方法であるが、本発明と組み合わせることによりさらに優れた検出方法を構築することができると考えられる。
本発明の一つの好ましい態様によれば、本発明による方法は、SBE法と組み合わせて実施することができる。
本発明は公知の遺伝子増幅法と組みあわせて指数関数的な増幅を行うと、伸長生成物の検出が容易になるのでさらに効果的である。そのような増幅法としては、例えば、PCR法(Polfs et.al.,PCR:Clinical Diagnostics and Research,Springer−Verlag(1992))、NASBA法(Gabrielle et.al.,J.General.Microbiol.139,2423−2429(1993))、TMA法(Kacian et.al.,米国特許第5,399,491号)、SDA法(Walker et.al.,Nucleic Acids Res.20,1691−1696(1992))、LAMP法(Notomi et.al.,Nucleic Acids Res.28,e63(2000))、またはICAN法(Mukai et.al.,国際出願WO00/56877号)が挙げられる。本発明による方法は、非等温、等温にかかわらずあらゆるプライマー伸長反応を利用する方法と組み合わせることができる。
したがって、本発明の好ましい態様によれば、本発明による方法は、プライマー鎖置換伸長反応による伸長反応生成物を増幅させる工程をさらに含んでなる。この増幅法としては、上記したようなPCR法、NASBA法、TMA法、SDA法、LAMP法、またはICAN法から選択される核酸増幅法を選択することできる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明の方法は、プライマー鎖置換伸長反応により生じ得る伸長反応生成物の存在を検出する工程をさらに含んでなる。したがって、例えば、伸長反応生成物が検出されると、多型配列部位が所望の塩基配列であったと判断することができる。
伸長反応生成物の存在は、一般的な核酸の検出法を適用することにより検出することができる。
したがって、例えば、本発明を前記したSBE法と組み合わせる場合には、蛍光標識したモノヌクレオチド三リン酸を使用して、取り込まれたモノヌクレオチドを特定することによって、1塩基の違いを検出することができる(Syvanen,et.al.,Genomics,8,684−692(1990))。また、本発明をPCR法と組み合わせる場合には、例えば、増幅物が得られると蛍光を発するような物質に加えておくことにより、蛍光を発するか否かによって1塩基の違いを容易に検出することができる。これらの検出方法は、その他の場合においても適用することが可能であり(Foy et.al.,Clinical Chem.47,990−1000(2002))、これにより、試料中の核酸配列の微細な違い(例えば数塩基の違い)、または1塩基の違いを非常に容易に検出することが可能になる。
本発明の別の態様によれば、下記(A)および(B)を含んでなる、多型配列部位を有する核酸において多型配列部位が所望の塩基配列を有するか否かを識別するためのキットが提供される:
(A) 識別プライマー(ここでこの識別プライマーは、その3’末端部分に多型配列識別用の塩基配列を有する)、および
(B) プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチド(ここでこのオリゴヌクレオチドは、前記識別プライマーよりも、標的核酸における5’側の領域に対して全部もしくは一部が相補的である)。
本発明の好ましい態様によれば、このキットは、下記(C)をさらに含んでなる:
(C) 相補鎖置換型の鋳型依存性核酸合成酵素。
本発明の別の好ましい態様によれば、前記キットは、伸長反応の基質であるモノヌクレオチド三リン酸類、および/または、前記酵素の酵素反応に適する緩衝液をさらに含んでなる。
ここで、伸長反応の基質であるモノヌクレオチド三リン酸類としては、通常、4種のデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)であり、また、前記酵素の酵素反応に適する緩衝液としては、使用する酵素に応じて公知の緩衝液から適宜選択することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
本実施例において用いられるオリゴヌクレオチドは、ABI 392 DNA自動合成機(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて合成した。オリゴヌクレオチドの3’末端ヘリン酸を導入する場合は、3’リン酸化CPG(グレンリサーチ社製)を使用した。
合成したオリゴヌクレオチドは、脱保護後、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により精製し、これを使用した。
増幅の鋳型としては、それぞれAアリルまたはTアリルをもつβ−グロビン遺伝子のPst I断片を含むプラスミド(それぞれpBR322−β、pBR322−β(Ikuta et.al.,Nucleic Acids Res.15,797−811))を使用した。
プライマー伸長反応は、PCR法を実施することにより行った。ここではDNAポリメラーゼとして、Stoffel fragment DNA Polymerase(アプライドバイオシステムズ社製)を使用し、反応装置はThermal Cycler 9700(Roche Diagnostics社製)を使用した。増幅反応生成物は、反応液について3%アガロース電気泳動を実施し、これを臭化エチヂウムにより染色することによって確認した。
使用したオリゴヌクレオチド、すなわちプライマーおよびプライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドは以下に示す通りであった。下記において、下線部分はA−アリルまたはT−アリルの位置に対応する塩基を表し、また、3’末端のpはリン酸を表す。
Figure 0004406366
Figure 0004406366
これらプライマーと、プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドとの互いの位置関係は図2に示した通りである。
例1
プライマーbGT(0.5μM)と、プライマーASP6(0.5μM)と、プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチド(0.5μM)と、鋳型としてのプラスミドpBR322−β(Aアリル、300pg)またはプラスミドpBR322−β(Tアリル、300pg)とを用いて増幅反応を行った。前記各成分を含む反応液には、A、G、TおよびCに対応する4種のデオキシヌクレオチド三リン酸(各200μM)と、反応バッファー(Stoffel fragment DNAポリメラーゼ用緩衝液(アプライドバイオシステムズ社製))とを加え、さらに、DNAポリメラーゼ(Stoffel fragment DNA polymerase)(1.5ユニット)(アプライドバイオシステムズ社製)を加えて、反応液の総量を50μLとした。この反応液を所定の温度条件に付し、増幅反応させた。温度条件の1サイクルは順に94℃(15秒)、55℃(15秒)、72℃(30秒)とし、反応の際にはこのサイクルを40サイクル行った。
得られた反応液10μLは、3%アガロース電気泳動を実施することにより分析した。
結果は図3に示される通りであった。
プライマーbGTの多型配列識別部位と、鋳型中の多型配列部位とがマッチングする場合には、核酸が特異的に増幅した。一方で、プライマーbGTの多型配列識別部位と、鋳型中の多型配列部位とがミスマッチする場合には、核酸の増幅はほとんど見られなかった。これにより、所望する多型配列部位を有する核酸を識別することが可能であることが明らかとなった。
DEO−3AまたはDEO−3Tを使用した場合は、識別能が特に優れていた。
例2
増幅反応を実施する際の温度条件の1サイクルを、94℃(15秒)、50℃(15秒)、72℃(30秒)とした以外は、例1と同様にして反応および分析を行った。
なおこの例は、プライマーの特異性が低下するようにアニーリング温度を意図的に下げたものである。
結果は図4に示される通りであった。
アニーリング温度を下げたため、全体的にプライマーの特異性は低下したものの、DEO−3AまたはDEO−3Tを使用した場合は、所望する核酸の識別能が特に優れていた。
例3
プライマーbGTの代わりにプライマーbGAを使用した以外は、例1と同様にして反応および分析を行った。
結果は図5に示される通りであった。
いずれのプライマー機能を有さなオリゴヌクレオチドを使用した場合についても優れた識別効果が見られた。
例4
プライマーbGTの代わりにプライマーbGAを使用し、かつ、増幅反応を実施する際の温度条件の1サイクルを、94℃(15秒)、50℃(15秒)、72℃(30秒)とした以外は、例1と同様にして反応および分析を行った。
なおこの例は、プライマーの特異性が低下するようにアニーリング温度を意図的に下げたものである。
結果は図6に示される通りであった。
いずれのプライマー機能を有さなオリゴヌクレオチドを使用した場合についても優れた識別効果が見られた。

Claims (23)

  1. 多型配列部位を有する核酸において多型配列部位が所望の塩基配列を有するか否かを識別する方法であって、
    下記(1)および(2)を、多型配列部位を有する標的核酸にハイブリダイズさせ、これらをプライマー鎖置換伸長反応が進行し得る反応条件下に置くことを含んでなり、
    ここで、前記プライマー鎖置換伸長反応は、相補鎖置換型の鋳型依存性核酸合成酵素による反応である、方法:
    (1) 識別プライマー(ここでこの識別プライマーは、その3’末端部分に多型配列識別用の塩基配列を有し、かつ、鎖長が10〜50塩基である)、および
    (2) プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチド(ここでこのオリゴヌクレオチドは、前記識別プライマーよりも、標的核酸における5’側の領域に対して全部もしくは一部が相補的であり、かつ、鎖長が15〜50塩基である)。
  2. 識別プライマーの多型配列識別用の塩基配列が標的核酸の多型配列部位の塩基配列と相補的である場合には、プライマー鎖置換伸長反応によりプライマーの伸長が起こり、かつ、その多型配列識別用の塩基配列が標的核酸の多型配列部位の塩基配列と相補的でない場合には、プライマー鎖置換伸長反応が起こらないように、識別プライマーが設計されている、請求項1に記載の方法。
  3. 識別プライマーにおける多型配列識別用の塩基配列の塩基数が1個である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記標的核酸が、目的核酸の相補鎖である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. プライマー鎖置換伸長反応により生じる伸長反応生成物を増幅させる工程をさらに含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 伸長反応生成物の増幅を、PCR法、NASBA法、TMA法、SDA法、LAMP法、またはICAN法から選択される核酸増幅方法により行う、請求項5に記載の方法。
  7. プライマー鎖置換伸長反応により生ずる伸長反応生成物の存在を検出する工程をさらに含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. プライマー鎖置換伸長反応により生じ得る伸長反応生成物を増幅させる工程の後に、該伸長反応生成物の存在を検出する工程をさらに含んでなる、請求項5に記載の方法。
  9. プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドの5’末端部分が、識別プライマーの3’末端部分と重なりあう配置を、標的核酸に対してとり得るような配列を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドの5’末端部分と、識別プライマーの3’末端部分とが重なりあう部分の塩基数が、1〜5個である、請求項9に記載の方法。
  11. プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドの5’末端部分が、識別プライマーの3’末端部分に連続して位置する配置を、標的核酸に対してとり得るような配列を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  12. プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドが、その5’末端部分に標的核酸と非相補的な塩基を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドの3’末端のヌクレオシドの水酸基が、リン酸基により修飾されてなる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  14. プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドが、その3’末端部分に標的核酸と非相補性の塩基を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  15. プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドが、その配列中に、修飾塩基または非天然型の核酸構造を含んでなる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドと標的核酸との間の結合の融解温度が、識別プライマーと標的核酸との間の結合の融解温度よりも高い、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 鋳型依存性核酸合成酵素がDNAポリメラーゼである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 鋳型依存性核酸合成酵素が逆転写酵素である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  19. 識別プライマーの鎖長が、15〜30塩基である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドの鎖長が、25〜35塩基である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 下記(A)および(B)を含んでなる、多型配列部位を有する核酸において多型配列部位が所望の塩基配列を有するか否かを識別するためのキット:
    (A) 識別プライマー(ここでこの識別プライマーは、その3’末端部分に多型配列識別用の塩基配列を有し、かつ、鎖長が10〜50塩基である)、および
    (B) プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチド(ここでこのオリゴヌクレオチドは、前記識別プライマーよりも、標的核酸における5’側の領域に対して全部もしくは一部が相補的であり、かつ、鎖長が15〜50塩基である)。
  22. 識別プライマーの鎖長が、15〜30塩基である、請求項21に記載のキット。
  23. プライマー機能を有さないオリゴヌクレオチドの鎖長が、25〜35塩基である、請求項21または22に記載のキット。
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