JP5830378B2 - (メタ)アクリル酸の製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、晶析操作を有する(メタ)アクリル酸の製造方法に関する。
従来、(メタ)アクリル酸を工業的に合成する方法として、(メタ)アクリル酸製造原料を接触気相酸化する方法が知られている。(メタ)アクリル酸製造原料を接触気相酸化反応に付すことにより生成した(メタ)アクリル酸含有ガスは、例えば、液媒体で捕集または凝縮され、粗(メタ)アクリル酸溶液として回収され、さらに、蒸留、放散、抽出や晶析等の方法により精製される。
例えば、特許文献1には、晶析を複数回繰り返して粗アクリル酸を精製する方法が開示されている。特許文献1に開示された方法では、k番目の貯留タンク内の液体原料を結晶化および融解し、未結晶残留母液をk−1番目の貯留タンクに移送し、融解液をk+1番目の貯留タンクに移送し、次いでk+1番目の貯留タンク内の液体原料の晶析を行っている。
特開平9−155101号公報
しかし、特許文献1に開示された方法では、k番目の貯留タンク内の液体原料を晶析することにより得られた融解液を、全量k+1番目の貯留タンクに移送し、次いでk+1番目の貯留タンク内の液体原料の晶析を行っているため、融解液や液体原料の移送量が多く、非効率的である。また、特許文献1には、k番目の貯留タンク内の液体原料を晶析するに当たり、晶析器に供給するk番目の貯留タンク内の液体原料を一定量とすることについては開示されていない。従って、得られる融解液の品質や回収量がばらつくおそれがある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、精製(メタ)アクリル酸を効率良く得ることができる(メタ)アクリル酸の製造方法を提供することにある。
前記課題を解決することができた本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法とは、(メタ)アクリル酸含有溶液を結晶化および融解して(メタ)アクリル酸融解液を得る晶析操作をn回(ただし、nは2以上の整数)繰り返し、粗(メタ)アクリル酸から精製(メタ)アクリル酸を製造し;k回目(ただし、kは1以上n−1以下の整数)の晶析操作に供する(メタ)アクリル酸含有溶液を一定量Akとし;k回目の晶析操作で得られた(メタ)アクリル酸融解液を、下記(1)または(2)の規則に従い、晶析器から排出せずにk+1回目の晶析操作の(メタ)アクリル酸含有溶液として用いるか、あるいは、前記晶析器から、k+1回目の晶析操作で用いる(メタ)アクリル酸含有溶液を貯留する第k+1貯留タンクに移送するところに特徴を有する。
(1)k回目の晶析操作で得られる(メタ)アクリル酸融解液の量がBkであり、第k+1貯留タンクに貯留されている(メタ)アクリル酸含有溶液がAk+1−Bk以上の量である場合は、k回目の晶析操作で得られた(メタ)アクリル酸融解液を前記晶析器から排出せず、当該(メタ)アクリル酸融解液に第k+1貯留タンクから(メタ)アクリル酸含有溶液を加え、k+1回目の晶析操作の(メタ)アクリル酸含有溶液として用いる。
(2)第k+1貯留タンクに貯留されている(メタ)アクリル酸含有溶液がAk+1−Bk未満の量である場合は、k回目の晶析操作で得られた(メタ)アクリル酸融解液を前記晶析器から第k+1貯留タンクに移送する。
本発明の製造方法は、k回目の晶析操作に供する(メタ)アクリル酸含有溶液を一定量Akとし、操作条件を一定化することによって、晶析操作を安定して行いやすくなる。このため、各ステージで得られる(メタ)アクリル酸融解液の純度や回収量が一定化し、最終的に得られる精製(メタ)アクリル酸の純度を効率良く制御することが容易となる。
さらに、上記規則(1)または(2)に従うことで、k回目の晶析操作に供する(メタ)アクリル酸含有溶液を一定量Akとすることを、効率的に行うことができるようになる。すなわち、(メタ)アクリル酸融解液の晶析器と貯留タンク間の移送を必要最小限の量に抑えることができ、その結果、(メタ)アクリル酸融解液の移送に係るポンプ動力等のエネルギーを抑えることができる。また、(メタ)アクリル酸融解液の移送量を必要最小限の量に抑えることで、(メタ)アクリル酸融解液の移送時間短縮による生産量の増加を可能とし、(メタ)アクリル酸融解液への不用意な不純物の混入を防ぎやすくなる。従って、晶析操作により精製(メタ)アクリル酸が効率的に得られるようになり、得られる精製(メタ)アクリル酸の純度も高めやすくなる。
第k+1貯留タンクに貯留されている(メタ)アクリル酸含有溶液がAk+1−Bk未満の量である場合は、k回目の晶析操作で得られた(メタ)アクリル酸融解液を前記晶析器から第k+1貯留タンクに移送した後、前記晶析器でk回目以下の晶析操作を行うことが好ましい。前記構成により、第k+2回目以降の晶析操作に供される(メタ)アクリル酸含有溶液が、晶析器内に残留した第k回目の晶析操作で得られた(メタ)アクリル酸融解液により汚染されることがなくなり、効率的に精製(メタ)アクリル酸を製造することができる。
第k+1貯留タンクに貯留されている(メタ)アクリル酸含有溶液がAk+1−Bk以上の量である場合は、k回目の晶析操作で得られた(メタ)アクリル酸融解液を前記晶析器から排出せず、当該(メタ)アクリル酸融解液に第k+1貯留タンクから(メタ)アクリル酸含有溶液をAk+1−Bkの量加えることが好ましい。前記構成により、上記規則(1)に従う場合に、k+1回目の晶析操作に供する(メタ)アクリル酸含有溶液を、効率的に一定量Ak+1とすることができる。
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法によれば、精製(メタ)アクリル酸を効率良く得ることができる。
本発明の製造方法に用いられる晶析装置の例を表す。
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法は、(メタ)アクリル酸含有溶液を結晶化および融解して(メタ)アクリル酸融解液を得る晶析操作をn回(ただし、nは2以上の整数)繰り返し、粗(メタ)アクリル酸から精製(メタ)アクリル酸を製造するものである。
各晶析操作では、(メタ)アクリル酸含有溶液を結晶化および融解して(メタ)アクリル酸融解液を得る。本発明では、1回目の晶析操作に供する(メタ)アクリル酸含有溶液に粗(メタ)アクリル酸を使用し、n回目の晶析操作で得られる(メタ)アクリル酸融解液を精製(メタ)アクリル酸として回収する。
粗(メタ)アクリル酸としては、(メタ)アクリル酸とそれ以外の不純物を含むものであれば特に限定されない。前記不純物としては、未反応の(メタ)アクリル酸製造原料、水、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、アセトン、アクロレイン、フルフラール、ホルムアルデヒド、凝集液媒体等が含まれる。粗(メタ)アクリル酸は、(メタ)アクリル酸濃度が80質量%以上であることが好ましい。
各晶析操作では、(メタ)アクリル酸含有溶液が結晶化および融解され、(メタ)アクリル酸融解液が得られる。詳細には、晶析操作は、(メタ)アクリル酸含有溶液を結晶化して(メタ)アクリル酸結晶化物を得る結晶化工程と、前記(メタ)アクリル酸結晶化物を融解して(メタ)アクリル酸融解液を得る融解工程とを含む。また、得られる(メタ)アクリル酸融解液の純度を上げることを目的に、(メタ)アクリル酸結晶化物をまず部分的に融解し、結晶間や結晶表面に存在する不純物を洗い流す発汗工程を行ってもよい。
晶析操作は、晶析器を用いて行えばよい。晶析器としては、(メタ)アクリル酸含有溶液を結晶化および融解して(メタ)アクリル酸融解液が得られるものであれば特に限定されない。晶析器としては、例えば、伝熱面を有し、伝熱面での熱交換によって(メタ)アクリル酸含有溶液を結晶化および融解する晶析器が挙げられる。この場合、結晶化工程では、伝熱面を介した熱交換によって(メタ)アクリル酸含有溶液から(メタ)アクリル酸が結晶化し、(メタ)アクリル酸結晶化物が得られる。融解工程では、伝熱面を介した熱交換によって(メタ)アクリル酸結晶化物が融解して、(メタ)アクリル酸融解液が得られる。
伝熱面を有する晶析器としては、一般に熱交換器として用いられる装置を採用することができる。例えば、一枚のプレートが配置され、または複数枚のプレートが間隔を隔てて積層され、熱媒存在部と結晶化物存在部とがプレートを介して交互に配置されたプレート式熱交換器;複数本の管が容器内に配列され、管の内外で熱交換を行う多管式(シェル・アンド・チューブ式)熱交換器;外管の中に内管が配置され、内管の内外で熱交換を行う二重管式熱交換器;一本の管がコイル状に容器内に配置され、管の内外で熱交換を行うコイル式熱交換器;断面が二分された中心管に2枚の伝熱板を渦巻き状に巻き、2つの渦巻き状の流路が形成されたスパイラル式熱交換器等を採用することができる。なお、多管式熱交換器、二重管式熱交換器、コイル式熱交換器、スパイラル式熱交換器で用いられる管の断面形状は特に限定されない。
伝熱面を有する晶析器を用いて晶析操作を行う場合、例えば、結晶化工程では、晶析器に冷熱媒を供給して(メタ)アクリル酸含有溶液を冷却し、発汗工程と融解工程では、晶析器に温熱媒を供給して(メタ)アクリル酸結晶化物を加熱すればよい。冷熱媒の冷却や温熱媒の加熱は、従来公知の熱源機を用いて行えばよく、熱源機としては、例えば、熱源として蒸気や液化ガスが用いられる多管式熱交換器を用いればよい。また熱源機として、冷熱媒と温熱媒の両方を供給できる冷凍機(吸収式冷凍機、圧縮式冷凍機、吸着式冷凍機等)を用いてもよい。冷熱媒と温熱媒としては、エチレングリコール水溶液、グリセリン水溶液、メタノール水溶液等が使用できる。
結晶化工程における伝熱面の温度(冷熱媒を使用する場合は、冷熱媒の温度)は、(メタ)アクリル酸含有溶液の凝固点未満であれば特に限定されないが、効率的に(メタ)アクリル酸含有溶液を結晶化するために、前記温度は0℃以下が好ましく、−5℃以下が好ましい。なお、前記温度の下限は特に限定されない。
発汗工程と融解工程における伝熱面の温度(温熱媒を使用する場合は、温熱媒の温度)は、(メタ)アクリル酸結晶化物の融点超であれば特に限定されないが、効率的に(メタ)アクリル酸結晶化物を融解するために、前記温度は20℃以上が好ましく、25℃以上がより好ましい。一方、前記温度の上限については、(メタ)アクリル酸の重合反応を抑制し、得られる(メタ)アクリル酸融解液の純度や収率を高める点から、45℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましい。
本発明の製造方法では、晶析操作をn回(ただし、nは2以上の整数)繰り返し、粗(メタ)アクリル酸から精製(メタ)アクリル酸を製造する。晶析操作を複数回繰り返すことにより、より高純度の精製(メタ)アクリル酸を得ることができる。晶析操作の繰り返し回数は、得られる精製(メタ)アクリル酸の製造効率や純度等を考慮して、3回以上が好ましい。
本発明の製造方法では、k回目(ただし、kは1以上n−1以下の整数)の晶析操作で得られた(メタ)アクリル酸融解液を、k+1回目の晶析操作に供する(メタ)アクリル酸含有溶液として用いる。なお、1回目の晶析操作に供する(メタ)アクリル酸含有溶液には粗(メタ)アクリル酸を使用し、n回目の晶析操作で得られた(メタ)アクリル酸融解液は精製(メタ)アクリル酸として回収する。以下の説明においては、k回目の晶析操作を「第kステージ」と称する場合がある。
本発明の製造方法では、k回目の晶析操作に供する(メタ)アクリル酸含有溶液を、一定量Akとする。具体的には、例えば、1回目の晶析操作に供する(メタ)アクリル酸含有溶液の量は常に一定量A1となり、2回目の晶析操作に供する(メタ)アクリル酸含有溶液の量は常に一定量A2となる。A1とA2は同一であっても、異なっていてもよい。k回目の晶析操作に供する(メタ)アクリル酸含有溶液を一定量Akとすることで、各ステージの晶析操作の操作条件が一定化され、各ステージの晶析操作を安定して行いやすくなる。このため、各ステージで得られる(メタ)アクリル酸融解液の純度や回収量が一定化し、最終的に得られる精製(メタ)アクリル酸の純度を効率良く制御することが容易となる。
例えば、1つの晶析器を用いて晶析操作を3回繰り返して、粗(メタ)アクリル酸から精製(メタ)アクリル酸を製造する場合を想定する。この場合、晶析操作に供する(メタ)アクリル酸含有溶液は、ステージ数が上がるに従い、純度が高くなり、含有する不純物量が減る。各ステージの晶析操作条件は、晶析操作に要する時間やエネルギー、晶析器能力の最大活用、得られる(メタ)アクリル酸融解液の純度や回収量等の要因を総合的に勘案して、適宜設定される。従って、晶析操作を3回繰り返す本ケースでは、A1とA2とA3とは必ずしも同一とはならず、むしろ、互いに異なる場合の方が多い。粗(メタ)アクリル酸から精製(メタ)アクリル酸の製造を何回も行う場合についても同様に、1回目の晶析操作に供する(メタ)アクリル酸含有溶液は常に一定量A1とし、2回目および3回目の晶析操作に供する(メタ)アクリル酸含有溶液も、各々常に一定量A2および一定量A3とする。その結果、粗(メタ)アクリル酸から精製(メタ)アクリル酸の製造を何回も行っても、得られる精製(メタ)アクリル酸の純度や回収量を高く維持することが容易となる。また、各ステージの晶析操作を安定して行いやすくなる。
本発明の製造方法では、上記説明したように、k回目の晶析操作に供する(メタ)アクリル酸含有溶液を一定量Akとし、k+1回目の晶析操作に供する(メタ)アクリル酸含有溶液を一定量Ak+1としているが、k回目の晶析操作で得られる(メタ)アクリル酸融解液の量BkがAk+1になるとは限らない。晶析器能力を最大活用して、効率良く精製(メタ)アクリル酸を得るためには、むしろ、BkはAk+1よりも少なくなる。例えば、結晶化工程では、未結晶残留溶液(以下、「残留母液」と称する場合がある)を(メタ)アクリル酸結晶化物から分離して晶析器から排出するため、排出された残留母液の量だけ(メタ)アクリル酸融解液の量が減る。また、発汗工程では、(メタ)アクリル酸結晶化物の一部を融解し、得られた融解液を、後段の融解工程で得られる(メタ)アクリル酸融解液とは分離して晶析器から排出するため、発汗工程で得られた融解液の量だけ(メタ)アクリル酸融解液の量が減る。従って、晶析器能力を最大活用することを考慮すれば、k回目の晶析操作で得られる(メタ)アクリル酸融解液の量Bkは、k+1回目の晶析操作に供する(メタ)アクリル酸含有溶液の量Ak+1に対し、残留母液および発汗工程における融解液の分だけ不十分な量となりやすい。
複数回晶析操作を繰り返し、粗(メタ)アクリル酸から精製(メタ)アクリル酸を得る場合、1つの晶析器で異なるステージの晶析操作を行うことが、設備面から見て効率的である。しかし、このような場合、前記Bkは、前記Ak+1に対し基本的に不十分な量となる。従って、第kステージで得られた(メタ)アクリル酸融解液のみを使用して、第k+1ステージを効率良く行うことは難しい。
そこで、本発明では、晶析操作の回数に応じて貯留タンクを設け、k+1回目の晶析操作で用いる(メタ)アクリル酸含有溶液を第k+1貯留タンクに貯留する。kは1以上n−1以下の整数であるため、貯留タンクは、第2貯留タンクから第n貯留タンクまで、全部でn−1個の貯留タンクが設けられる。第k+1貯留タンクには、k回目の晶析操作で得られた(メタ)アクリル酸融解液が移送され、当該(メタ)アクリル酸融解液は、k+1回目の晶析操作の(メタ)アクリル酸含有溶液として用いられる。
第k+1貯留タンクとしては、第kステージの(メタ)アクリル酸融解液等が移送される供給口と、第k+1ステージ用の(メタ)アクリル酸含有溶液を排出する排出口とを有しているものが好ましい。前記排出口は、前記供給口を兼ねるものであってもよい。好ましくは、前記供給口は貯留タンクの上部に設けられ、前記排出口は貯留タンクの下部に設けられる。
本発明の製造方法では、第k+1貯留タンクを用いて、次のように、第kステージから第k+1ステージにかけての晶析操作を行う。すなわち、k回目の晶析操作で得られた(メタ)アクリル酸融解液を、下記(1)または(2)の規則に従い、晶析器から排出せずにk+1回目の晶析操作の(メタ)アクリル酸含有溶液として用いるか、あるいは、前記晶析器から第k+1貯留タンクに移送する。
(1)第k+1貯留タンクに貯留されている(メタ)アクリル酸含有溶液がAk+1−Bk以上の量である場合は、k回目の晶析操作で得られた(メタ)アクリル酸融解液を晶析器から排出せず、当該(メタ)アクリル酸融解液に第k+1貯留タンクから(メタ)アクリル酸含有溶液を加え、k+1回目の晶析操作の(メタ)アクリル酸含有溶液として用いる。この場合、第k+1貯留タンク内の(メタ)アクリル酸含有溶液が、第k+1貯留タンクから晶析器に移送されることとなる。
(2)第k+1貯留タンクに貯留されている(メタ)アクリル酸含有溶液がAk+1−Bk未満の量である場合は、k回目の晶析操作で得られた(メタ)アクリル酸融解液を晶析器から第k+1貯留タンクに移送する。
上記規則(1)は、貯留タンクに十分量の(メタ)アクリル酸含有溶液が貯留されている場合に採用される。第k+1貯留タンクに十分量、すなわちAk+1−Bk以上の量の(メタ)アクリル酸含有溶液が貯留されていれば、第kステージで得られた(メタ)アクリル酸融解液を晶析器から排出することなく、当該(メタ)アクリル酸融解液に、第k+1貯留タンクから(メタ)アクリル酸含有溶液をAk+1−Bkの量加える。その結果、当該晶析器には(メタ)アクリル酸融解液がAk+1の量だけ存在することとなり、これを第k+1ステージ用の(メタ)アクリル酸含有溶液として用い、第k+1回目の晶析操作を行う。
上記規則(2)は、貯留タンクに十分量の(メタ)アクリル酸含有溶液が貯留されていない場合に採用される。第k+1貯留タンクの(メタ)アクリル酸含有溶液量がAk+1−Bk未満であれば、これを全量、第kステージで得られた(メタ)アクリル酸融解液に加えても、第k+1ステージに必要な(メタ)アクリル酸含有溶液の量Ak+1には届かないため、以降のステージを安定して行うことが困難となったり、得られる精製(メタ)アクリル酸の品質や回収率に影響を及ぼすおそれがある。従ってこの場合、第kステージで得られた(メタ)アクリル酸融解液は第k+1貯留タンクに移送され、他の第k+1ステージの晶析操作に供されることとなる。
規則(2)に従う場合、第kステージで得られた(メタ)アクリル酸融解液は晶析器から第k+1貯留タンクに移送されるため、当該晶析器では、次に第k+1ステージ以外のステージが行われることとなる。好ましくは第kステージ以前のステージが行われる。つまり、k回目の晶析操作で得られた(メタ)アクリル酸融解液を晶析器から第k+1貯留タンクに移送した後、当該晶析器でk回目以下の晶析操作を行うことが好ましい。
第kステージ後には、第kステージで得られた(メタ)アクリル酸融解液、つまり第k+1ステージに供される(メタ)アクリル酸含有溶液が、晶析器内に不可避的に一部残る。この場合、同じ晶析器で第k+2ステージ以降のステージを行うと、第k+2ステージ以降に供される(メタ)アクリル酸含有溶液が、晶析器内に残留した第kステージの(メタ)アクリル酸融解液により汚染されることとなり、精製効率上好ましくない。従って、規則(2)に従う場合、第kステージを行った晶析器では、次にk回目以下の晶析操作を行うことが好ましく、その結果、第k+2ステージに供される(メタ)アクリル酸含有溶液が、晶析器内に残留した第kステージで得られた(メタ)アクリル酸融解液により汚染されることがなくなり、効率的に精製(メタ)アクリル酸を製造することができる。より好ましくは、k回目以下でより後段の(つまり、k回目に近い)晶析操作を行うことが、晶析器内に残留した第kステージの(メタ)アクリル酸融解液の有効活用の点から、好ましい。
なお、上記規則では言及していないが、k回目の晶析操作で得られる(メタ)アクリル酸融解液の量BkがAk+1以上の場合は、k回目の晶析操作で得られた(メタ)アクリル酸融解液をBk−Ak+1の量だけ第k+1貯留タンクに移送し、残りのAk+1の量の(メタ)アクリル酸融解液を晶析器から排出せず、k+1回目の晶析操作の(メタ)アクリル酸含有溶液として用い、当該晶析器で第k+1ステージを行えばよい。k回目の晶析操作で得られる(メタ)アクリル酸融解液の量BkがAk+1である場合は、全量を晶析器から排出せず、そのまま当該晶析器で第k+1ステージを行えばよい。しかし、本発明においては、基本的にBkはAk+1未満となる。
本発明の製造方法は、上記規則に従うことで、k回目の晶析操作に供する(メタ)アクリル酸含有溶液を一定量Akとすることを、効率的に行うことができるようになる。すなわち、(メタ)アクリル酸融解液の晶析器と貯留タンク間の移送を必要最小限の量に抑えることができ、その結果、(メタ)アクリル酸融解液の移送に係るポンプ動力等のエネルギーを抑えることができる。また、(メタ)アクリル酸融解液の移送量を必要最小限の量に抑えることで、(メタ)アクリル酸融解液への不用意な不純物の混入を防ぎやすくなり、さらに(メタ)アクリル酸融解液の移送時間の短縮による生産量増加も見込める。従って、晶析操作により精製(メタ)アクリル酸が効率的に得られるようになり、得られる精製(メタ)アクリル酸の純度も制御しやすくなる。
上記規則(1)および(2)において、貯留タンクに貯留されている(メタ)アクリル酸含有溶液の量(以下、「貯留量」と称する場合がある)とは、貯留タンクから配管を通じて排出可能な量であり、かつ、一般的な操作条件で(メタ)アクリル酸含有溶液を排出できる量を意味する。一般的な操作条件とは、(メタ)アクリル酸をポンプ等により排出する場合は、例えば、貯留タンク内の液面が多少上下しても、ポンプが空気を巻き込むことなく、(メタ)アクリル酸含有溶液を排出できる条件として規定される。ポンプ移送においては、ポンプ保護の点から、空気を巻き込んで(メタ)アクリル酸含有溶液を移送しないことが好ましいためである。(メタ)アクリル酸含有溶液を自然流下により排出する場合は、例えば、一定以上の流量で(メタ)アクリル酸含有溶液を排出できる条件として規定され、この場合、貯留タンク内の(メタ)アクリル酸含有溶液が最低量になっても十分位置エネルギーが確保される量が貯留量として規定される。具体的には、前記貯留量とは、例えば次のように定められる。なお、下記の例においては、貯留タンクは円柱形等の柱形を想定する。
排出口が貯留タンクの底面に設けられる場合は、貯留タンクの底面を基準として、それより上方に貯留された(メタ)アクリル酸含有溶液の量を貯留量とする。あるいは、底面からの(メタ)アクリル酸含有溶液の排出がスムーズに行われ、かつ空気の巻き込みを防ぐために、貯留タンクの底面よりいくらか上の位置を基準として、それより上方に貯留された(メタ)アクリル酸含有溶液の量を貯留量とする。
排出口が貯留タンクの側面に設けられ、(メタ)アクリル酸含有溶液を貯留タンクからポンプで晶析器に移送する場合は、貯留タンク側面の排出口の上端を基準として、それより上方に貯留された(メタ)アクリル酸含有溶液の量を貯留量とする。あるいは、貯留タンク内の液面が多少上下しても、ポンプが空気を巻き込ないようにするために、排出口の上端よりいくらか上の位置を基準として、それより上方に貯留された(メタ)アクリル酸含有溶液の量を貯留量とする。
排出口が貯留タンクの側面に設けられ、(メタ)アクリル酸含有溶液を貯留タンクから自然流下で晶析器に移送する場合は、貯留タンク側面の排出口の下端を基準として、それより上方に貯留された(メタ)アクリル酸含有溶液の量を貯留量とする。あるいは、(メタ)アクリル酸含有溶液が一定以上の流量で貯留タンクから排出されるようにするために、排出口の下端よりいくらか上の位置を基準として、それより上方に貯留された(メタ)アクリル酸含有溶液の量を貯留量とする。
貯留タンクの内部に下方開口を有する排出口が設けられる場合は、排出口の上端かそれよりいくらか上の位置を基準として、それより上方に貯留された(メタ)アクリル酸含有溶液の量を貯留量とする。例えば、貯留タンク内に水中ポンプを設置する場合が、本ケースに相当する。
なお、晶析操作では、精製された(メタ)アクリル酸融解液が得られる一方、低純度(メタ)アクリル酸が前記(メタ)アクリル酸融解液とは別に得られる。例えば、結晶化工程において、(メタ)アクリル酸含有溶液が結晶化しきらずに残った残留母液が、当該低純度(メタ)アクリル酸に相当する。また、発汗工程において、結晶間や結晶表面に存在する不純物が洗い流されて得られた融解液についても、当該低純度(メタ)アクリル酸に相当する。このような低純度(メタ)アクリル酸は、次のように処理することが好ましい。すなわち、第kステージで得られた低純度(メタ)アクリル酸は、第kステージに供する(メタ)アクリル酸含有溶液よりも(メタ)アクリル酸含有量が少ないため、第k貯留タンク、あるいはより低純度の(メタ)アクリル酸を扱う第k−1以前の貯留タンクに移送する。好ましくは、第kステージで得られた低純度(メタ)アクリル酸は第k−1以前の貯留タンクに移送し、より好ましくは、第k−1貯留タンクに移送する。なお、第1ステージで得られた低純度(メタ)アクリル酸は、晶析より前段の任意の工程に返送することが好ましい。
次に、本発明の製造方法について、図1を参照して説明する。図1には、1つの晶析器を用いて、3回の晶析操作を繰り返して粗(メタ)アクリル酸から精製(メタ)アクリル酸を製造する方法を示す。なお、本発明の製造方法は、下記実施態様に限定されるものではない。
晶析操作を行う晶析器1は、伝熱面2を有している。晶析器1には、晶析器の入口3から(メタ)アクリル酸含有溶液が供給される。結晶化工程では、(メタ)アクリル酸含有溶液が伝熱面2を介して冷却され、(メタ)アクリル酸結晶化物が生成する。融解工程では、(メタ)アクリル酸結晶化物が伝熱面2を介して加熱され、(メタ)アクリル酸融解液が得られる。(メタ)アクリル酸融解液は、晶析器の出口4を通って、晶析器1から排出される。
貯留タンクとしては、2回目の晶析操作で用いる(メタ)アクリル酸含有溶液を貯留する第2貯留タンク12と、3回目の晶析操作で用いる(メタ)アクリル酸含有溶液を貯留する第3貯留タンク13の、2つの貯留タンクが設けられる。1回目の晶析操作で用いる(メタ)アクリル酸含有溶液、すなわち粗(メタ)アクリル酸は、原料タンク11に貯留される。
各晶析操作では、原料タンク11、第2貯留タンク12、または第3貯留タンク13から(メタ)アクリル酸含有溶液を晶析器1に供給し、(メタ)アクリル酸含有溶液を結晶化および融解して(メタ)アクリル酸融解液を得る。1回目の晶析操作で得られた(メタ)アクリル酸融解液は、第2貯留タンク12の(メタ)アクリル酸含有溶液の貯留量に応じて、晶析器1から排出せずに2回目の晶析操作の(メタ)アクリル酸含有溶液として用いるか、第2貯留タンク12に移送する。2回目の晶析操作で得られた(メタ)アクリル酸融解液は、第3貯留タンク13の(メタ)アクリル酸含有溶液の貯留量に応じて、晶析器1から排出せずに3回目の晶析操作の(メタ)アクリル酸含有溶液として用いるか、第3貯留タンク13に移送する。3回目の晶析操作で得られた(メタ)アクリル酸融解液は、流路14を通って系外に排出され、精製(メタ)アクリル酸として回収される。
ここで、2回目の晶析操作、すなわち第2ステージを例にとって、本発明の製造方法を詳細に説明する。第2ステージでは、晶析器1において、A2の量の(メタ)アクリル酸含有溶液を結晶化および融解して、B2の量の(メタ)アクリル酸融解液を得る。第2ステージの結晶化工程で発生した残留母液や発汗工程で発生した融解液は、融解工程より前に晶析器1から排出され、例えば原料タンク11に移送される。
第3ステージに供する(メタ)アクリル酸含有液の量はA3である。これに対し、第3貯留タンク13に貯留されている(メタ)アクリル酸含有溶液の量がA3−B2以上である場合は、第2ステージで得られた(メタ)アクリル酸融解液を晶析器1から排出せず、当該(メタ)アクリル酸融解液に第3貯留タンク13に貯留されている(メタ)アクリル酸含有溶液をA3−B2の量加え、第3ステージの(メタ)アクリル酸含有溶液として用いる。
第3貯留タンク13に貯留されている(メタ)アクリル酸含有溶液の量がA3−B2未満である場合は、第2ステージで得られた(メタ)アクリル酸融解液を晶析器1から第3貯留タンク13に移送する。この場合、第2ステージで得られた(メタ)アクリル酸融解液を晶析器1から第3貯留タンク13に移送した後、晶析器1では、第2ステージが実施可能であれば、第2ステージを行う。つまり、第2貯留タンク12に(メタ)アクリル酸含有溶液がA2の量以上貯留されている場合は、当該(メタ)アクリル酸含有溶液をA2の量晶析器1に移送し、晶析器1で第2ステージを行う。第2貯留タンク12に貯留されている(メタ)アクリル酸含有溶液の量がA2未満である場合は、晶析器1では第1ステージを行う。
本発明の製造方法は、晶析器が1基設けられる場合であっても、2基以上設けられる場合であっても、いずれも適用できる。晶析器が複数設けられる場合は、複数の晶析器が1つの各貯留タンクを共有すればよい。つまり、貯留タンクの数は、晶析器の数に依存するのではなく、晶析操作の回数に依存する。
晶析器を複数設ける場合は、いずれの晶析器でも、第kステージに供する(メタ)アクリル酸含有溶液を一定量Akとすることが好ましい。全ての晶析器で各ステージの操作条件を揃えることで、いずれの晶析器で各ステージを行っても、一定品質のステージ毎の(メタ)アクリル酸融解液を得ることが容易になる。さらに、全ての晶析器で各貯留タンクを共有することで、晶析器能力を最大限活用しながら、粗(メタ)アクリル酸から精製(メタ)アクリル酸の製造を効率良く行うことができるようになる。
晶析器を複数設ける場合は、晶析操作の終了時期を互いにずらして晶析操作を行うことが好ましい。2つの晶析器を使用する場合を想定すると、例えば、一方の晶析器で結晶化工程を行っている間に、他方の晶析器で発汗工程と融解工程とを行うようにすることが好ましい。晶析操作の終了時期を互いにずらして晶析操作を行うことにより、貯留タンクの容量を過度に大きくしなくて済む。例えば、2つの晶析器が同時に晶析操作を終了する場合は、2つの晶析器から1つの貯留タンクに同時に(メタ)アクリル酸融解液を移送する状況が生じ得るため、2つの晶析器で得られた(メタ)アクリル酸融解液を受け入れるだけの大きさの貯留タンクを最低限設置する必要がある。しかし、2つの晶析器が時期をずらして晶析操作を終了する場合は、1つの晶析器で得られた(メタ)アクリル酸融解液を受け入れるだけの大きさの貯留タンクを最低限設置すればよい。
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法は、さらに、粗(メタ)アクリル酸を得る工程を有することが好ましい。粗(メタ)アクリル酸を得る工程は、(メタ)アクリル酸製造原料から接触気相酸化反応により(メタ)アクリル酸含有ガスを得る接触気相酸化反応工程と、前記(メタ)アクリル酸含有ガスを液媒体で捕集する捕集工程とを有していることが好ましい。また、前記捕集工程の代わりに、前記(メタ)アクリル酸含有ガスを凝縮して捕集する凝縮工程を有していてもよい。さらに、前記捕集工程や凝縮工程で得られた(メタ)アクリル酸溶液の(メタ)アクリル酸含有率を上げることを目的に、前記捕集工程または凝縮工程の後段に精製工程を設けてもよい。
接触気相酸化反応工程では、(メタ)アクリル酸製造原料としてプロパン、プロピレン、(メタ)アクロレイン、またはイソブチレン等を用い、これを分子状酸素により接触気相酸化させ、(メタ)アクリル酸含有ガスを得る。接触気相酸化反応は、従来公知の酸化触媒を用いて行うことが好ましい。
捕集工程では、前記接触気相酸化反応工程で得られた(メタ)アクリル酸含有ガスを、捕集塔において液媒体で捕集し、(メタ)アクリル酸溶液を得る。前記液媒体としては、水、(メタ)アクリル酸含有水、または高沸点溶剤(ジフェニルエーテルやジフェニル等)等を用いることができる。本発明では、捕集工程で得られた(メタ)アクリル酸溶液を、粗(メタ)アクリル酸として晶析操作に供してもよい。また、前記(メタ)アクリル酸含有ガスを凝縮して得られた(メタ)アクリル酸溶液を、粗(メタ)アクリル酸として晶析操作に供してもよい。
以下に、実施例を示すことにより本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
製造例1
アクリル酸含有溶液を結晶化および融解してアクリル酸融解液を得る晶析操作を3回繰り返し、粗アクリル酸から精製アクリル酸を製造した。晶析操作は1基の晶析器を用いて行い、さらに、原料タンク、第2貯留タンク、および第3貯留タンクが設置されていた。各晶析操作に供するアクリル酸含有溶液の量は、1回目の晶析操作(第1ステージ)では5.5t(=A1)、2回目の晶析操作(第2ステージ)では6.8t(=A2)、3回目の晶析操作(第3ステージ)では7.1t(=A3)であった。各晶析操作では、アクリル酸含有溶液を結晶化してアクリル酸結晶化物を得る結晶化工程と、前記アクリル酸結晶化物を部分的に融解し発汗融解液を得る発汗工程と、前記アクリル酸結晶化物を融解しアクリル酸融解液を得る融解工程とを、この順番で行った。
晶析開始前には、第2貯留タンクには3.0tのアクリル酸含有溶液が貯留されており、第3貯留タンクにも3.0tのアクリル酸含有溶液が貯留されていた。なお、原料タンクには30.0tの粗アクリル酸が貯留されていた。
第1ステージでは、アクリル酸含有溶液として粗アクリル酸5.5tを晶析器に供給し、結晶化工程、発汗工程、および融解工程とを行い、アクリル酸融解液3.8t(=B1)を得た。第1ステージでは、結晶化工程で発生した残留母液と、発汗工程で発生した発汗融解液との合計量は1.7tであり、これらは晶析より前段の工程に移送した。
第2貯留タンクにはアクリル酸含有溶液が3.0t貯留されており、この量はA2−B1=3.0tと等しかった。従って、第1ステージで得られたアクリル酸融解液は晶析器から排出せず、当該アクリル酸融解液に第2貯留タンクからアクリル酸含有溶液3.0tを加え、6.8tのアクリル酸含有溶液を用いて第2ステージを行った。第2ステージでは、結晶化工程、発汗工程、および融解工程とを行い、アクリル酸融解液4.7t(=B2)を得た。第2ステージでは、結晶化工程で発生した残留母液と、発汗工程で発生した発汗融解液との合計量は2.1tであり、これらは原料タンクに移送した。
第3貯留タンクにはアクリル酸含有溶液が3.0t貯留されており、この量はA3−B2=2.4t以上であった。従って、第2ステージで得られたアクリル酸融解液は晶析器から排出せず、当該アクリル酸融解液に第3貯留タンクからアクリル酸含有溶液2.4tを加え、7.1tのアクリル酸含有溶液を用いて第3ステージを行った。第3ステージでは、結晶化工程、発汗工程、および融解工程とを行い、アクリル酸融解液4.6t(=B3)を得て、これを精製アクリル酸として製品タンクに移送した。第3ステージでは、結晶化工程で発生した残留母液と、発汗工程で発生した発汗融解液との合計量は2.5tであり、これらは第2貯留タンクに移送した。
上記晶析を行ったことで、原料タンクの粗アクリル酸の貯留量は26.6tとなり、第2貯留タンクのアクリル酸含有溶液の貯留量は2.5tとなり、第3貯留タンクのアクリル酸含有溶液の貯留量は0.6tとなった。第3貯留タンクのアクリル酸含有溶液の貯留量は、第3ステージのアクリル酸含有液の供給量の7.1t(=A3)未満であり、また第2貯留タンクのアクリル酸含有溶液の貯留量は、第2ステージのアクリル酸含有液の供給量の6.8t(=A2)未満であったため、次に晶析器では第1ステージを行った。
2回目の第1ステージでは、原料タンクから粗アクリル酸5.5tを晶析器に供給し、結晶化工程、発汗工程、および融解工程とを行い、アクリル酸融解液3.8t(=B1)を得た。第2貯留タンクにはアクリル酸含有溶液が2.5t貯留されており、この量はA2−B1=3.0t未満であったため、2回目の第1ステージで得られたアクリル酸融解液を、晶析器から第2貯留タンクに移送した。晶析器では、引き続き、3回目の第1ステージを行った。
以上のように晶析操作を繰り返した結果、1回目の第1および第2ステージでは、結晶化工程から融解工程に至る晶析操作に要した時間は、各々105分であった。一方、1回目の第3ステージおよび2回目の第1ステージでは、アクリル酸融解液の晶析器からの排出時間が長くかかった結果、結晶化工程から融解工程に至る晶析操作に要した時間は、各々110分であった。
製造例2
晶析開始前の第3貯留タンクに10.0tのアクリル酸含有溶液が貯留されていた以外の要件は製造例1と同様にして、1回目の第1ステージから第3ステージを晶析器で行った。上記晶析を行ったことで、原料タンクの粗アクリル酸の貯留量は26.6tとなり、第2貯留タンクのアクリル酸含有溶液の貯留量は2.5tとなり、第3貯留タンクのアクリル酸含有溶液の貯留量は7.6tとなった。次いで、下記の通り2回目の第1ステージ以降を行った。
2回目の第1ステージでは、原料タンクから粗アクリル酸5.5tを晶析器に供給し、結晶化工程、発汗工程、および融解工程とを行い、アクリル酸融解液3.8t(=B1)を得た。第2貯留タンクにはアクリル酸含有溶液が2.5t貯留されており、この量はA2−B1=3.0t未満であったため、2回目の第1ステージで得られたアクリル酸融解液を、晶析器から第2貯留タンクに移送した。
次に、第3貯留タンクから7.1tのアクリル酸含有溶液を晶析器に移送して、2回目の第3ステージを行った。第3ステージでは、結晶化工程、発汗工程、および融解工程とを行い、アクリル酸融解液4.6t(=B3)を得て、これを精製アクリル酸として製品タンクに移送した。第3ステージでは、結晶化工程で発生した残留母液と、発汗工程で発生した発汗融解液との合計量は2.5tであり、これらは第2貯留タンクに移送した。
以上のように晶析操作を繰り返した結果、1回目の第1および第2ステージでは、結晶化工程から融解工程に至る晶析操作に要した時間は、各々105分であった。一方、1回目および2回目の第3ステージおよび2回目の第1ステージでは、アクリル酸融解液の晶析器からの排出時間が長くかかった結果、結晶化工程から融解工程に至る晶析操作に要した時間は、各々110分であった。1回目の第3ステージの製品と2回目の第3ステージの製品とを比較すると、2回目の第3ステージの製品の方がわずかに不純物を多く含んでいた。
製造例3
各ステージで得られたアクリル酸融解液を全量、対応する貯留タンクに移送した後、各ステージの規定量の(メタ)アクリル酸含有溶液を貯留タンクから晶析器に移送して、次のステージの晶析操作を行った以外は、製造例1と同様に粗アクリル酸から精製アクリル酸を製造した。具体的には、下記の通り各ステージの晶析操作を行った。
第1ステージでは、アクリル酸含有溶液として粗アクリル酸5.5tを晶析器に供給し、結晶化工程、発汗工程、および融解工程とを行い、アクリル酸融解液3.8t(=B1)を得た。第1ステージで得られたアクリル酸融解液は、全量を第2貯留タンクに移送した。第2貯留タンクには、もともとアクリル酸含有溶液が3.0t貯留されていたため、晶析器から移送されたアクリル酸融解液と合わさって、第2貯留タンクのアクリル酸含有溶液の貯留量は6.8tとなった。結晶化工程で発生した残留母液と、発汗工程で発生した発汗融解液との合計量1.7tは、晶析より前段の工程に移送した。
第2ステージでは、第2貯留タンクから6.8tのアクリル酸含有溶液を晶析器に供給し、結晶化工程、発汗工程、および融解工程とを行い、アクリル酸融解液4.7t(=B2)を得た。第2ステージで得られたアクリル酸融解液は、全量を第3貯留タンクに移送した。第3貯留タンクには、もともとアクリル酸含有溶液が3.0t貯留されていたため、晶析器から移送されたアクリル酸融解液と合わさって、第3貯留タンクのアクリル酸含有溶液の貯留量は7.7tとなった。結晶化工程で発生した残留母液と、発汗工程で発生した発汗融解液との合計量は2.1tであり、これらは原料タンクに移送した。
第3ステージでは、第3貯留タンクから7.1tのアクリル酸含有溶液を晶析器に供給し、結晶化工程、発汗工程、および融解工程とを行い、アクリル酸融解液4.6t(=B3)を得て、これを精製アクリル酸として製品タンクに移送した。結晶化工程で発生した残留母液と、発汗工程で発生した発汗融解液との合計量は2.5tであり、これらは第2貯留タンクに移送した。
上記晶析を行ったことで、第2および第3貯留タンクには、各ステージに必要な量のアクリル酸含有溶液が貯留されていなかったため、次に晶析器では第1ステージを行った。
2回目の第1ステージでは、原料タンクから粗アクリル酸5.5tを晶析器に供給し、結晶化工程、発汗工程、および融解工程とを行い、アクリル酸融解液3.8t(=B1)を得た。2回目の第1ステージで得られたアクリル酸融解液は、全量を第2貯留タンクに移送した。晶析器では、引き続き、3回目の第1ステージを行った。
以上のように晶析操作を繰り返した結果、製造例3では、いずれのステージでも、アクリル酸融解液の晶析器からの排出時間が長くかかり、結晶化工程から融解工程に至る晶析操作に要した時間は各々110分であった。製造例3では、製造例1と比較してアクリル酸融解液とアクリル酸含有溶液の移送量が増加し、ポンプの稼動時間が長くなった。
本発明は、晶析操作を有する(メタ)アクリル酸の製造方法に用いることができる。
1: 晶析器
11: 原料タンク
12: 第2貯留タンク
13: 第3貯留タンク

Claims (2)

  1. (メタ)アクリル酸の製造方法であって;
    (メタ)アクリル酸含有溶液を結晶化および融解して(メタ)アクリル酸融解液を得る晶析操作をn回(ただし、nは2以上の整数)繰り返し、粗(メタ)アクリル酸から精製(メタ)アクリル酸を製造し;
    k回目(ただし、kは1以上n−1以下の整数)の晶析操作に供する(メタ)アクリル酸含有溶液を一定量Akとし;
    k回目の晶析操作で得られた(メタ)アクリル酸融解液を、下記(1)および(2)の規則に従い、晶析器から排出せずにk+1回目の晶析操作の(メタ)アクリル酸含有溶液として用い、k+1回目の晶析操作を行うか、あるいは、前記晶析器から、k+1回目の晶析操作で用いる(メタ)アクリル酸含有溶液を貯留する第k+1貯留タンクに移送し、前記晶析器でk回目以下の晶析操作を行うことを特徴とする(メタ)アクリル酸の製造方法。
    (1)k回目の晶析操作で得られる(メタ)アクリル酸融解液の量がBkであり、第k+1貯留タンクに貯留されている(メタ)アクリル酸含有溶液がAk+1−Bk以上の量である場合は、k回目の晶析操作で得られた(メタ)アクリル酸融解液を前記晶析器から排出せず、当該(メタ)アクリル酸融解液に第k+1貯留タンクから(メタ)アクリル酸含有溶液を加え、k+1回目の晶析操作の(メタ)アクリル酸含有溶液として用い、k+1回目の晶析操作を行う
    (2)第k+1貯留タンクに貯留されている(メタ)アクリル酸含有溶液がAk+1−Bk未満の量である場合は、k回目の晶析操作で得られた(メタ)アクリル酸融解液を前記晶析器から第k+1貯留タンクに移送し、前記晶析器でk回目以下の晶析操作を行う
  2. 第k+1貯留タンクに貯留されている(メタ)アクリル酸含有溶液がAk+1−Bk以上の量である場合は、k回目の晶析操作で得られた(メタ)アクリル酸融解液を前記晶析器から排出せず、当該(メタ)アクリル酸融解液に第k+1貯留タンクから(メタ)アクリル酸含有溶液をAk+1−Bkの量加える請求項1に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
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