JP5828759B2 - ゴルフクラブシャフト - Google Patents
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Description
裁断工程では、プリプレグシートが所望の形状に裁断される。この工程により、図2に示された各シートが切り出される。
貼り合わせ工程では、複数のシートが貼り合わされる。本実施形態では、シートs2とシートs3とが貼り合わされ、シートs4とシートs5とが貼り合わされ、シートs6とシートs7とが貼り合わされる。このように、本実施形態では、バイアス層ペアを構成するシート同士が貼り合わされる。
巻回工程では、マンドレルが用意される。典型的なマンドレルは、金属製である。このマンドレルに、離型剤が塗布される。更に、このマンドレルに、粘着性を有する樹脂が塗布される。この樹脂は、タッキングレジンとも称される。このマンドレルに、裁断されたシートが巻回される。このタッキングレジンにより、シート端部をマンドレルに貼り付けることが容易とされている。
テープラッピング工程では、上記巻回体の外周面にテープが巻き付けられる。このテープは、ラッピングテープとも称される。このラッピングテープは、張力を付与されつつ巻き付けられる。このラッピングテープにより、巻回体に圧力が加えられる。この圧力はボイドを低減させる。
硬化工程では、テープラッピングがなされた後の巻回体が加熱される。この加熱により、マトリクス樹脂が硬化する。この硬化の課程で、マトリクス樹脂が一時的に流動化する。このマトリクス樹脂の流動化により、シート間又はシート内の空気が排出されうる。ラッピングテープの圧力(締め付け力)により、この空気の排出が促進されている。この硬化により、硬化積層体が得られる。
硬化工程の後、マンドレルの引き抜き工程とラッピングテープの除去工程とがなされる。ラッピングテープの除去工程の能率を向上させる観点から、マンドレルの引き抜き工程の後にラッピングテープの除去工程がなされるのが好ましい。
この工程では、硬化積層体の両端部がカットされる。このカットにより、先端Tpの端面及び後端Btの端面が平坦とされる。なお、本願の展開図は、便宜上、両端カット工程でカットされる部分が除かれて描かれている。実際には、上記裁断工程では、両端カット工程でカットされる部分も含んだ寸法のシートが裁断される。
この工程では、硬化積層体の表面が研磨される。硬化積層体の表面には、ラッピングテープの跡として残された螺旋状の凹凸が存在する。研磨により、このラッピングテープの跡としての凹凸が消滅し、表面が平滑とされる。
研磨工程後の硬化積層体に塗装が施される。
シャフト軸方向において、先端側部分バイアス層stが存在する区域が、本願において区域Tと称される。図3では、区域Tが符号T1で示されている。
シャフト軸方向において、後端側部分バイアス層sbが存在する区域が、本願において区域Bと称される。図3では、区域Bが符号B1で示されている。
シャフト軸方向において、ヘッドのホーゼルに挿入されるシャフト区域が区域Hとされる。図3では、区域Hが符号H1で示されている。図3において符号Phで示されるのは、ホーゼル端面の位置である。
シャフト軸方向において、シャフト先端Tpから上記先端位置Pb2までの区域が区域Sとされる。この区域Sの軸方向距離はL2である(図3参照)。
上記区域Tと上記区域Bとが重複する軸方向区域が、重複区域TBである。図3では、この重複区域TBが符号TB1で示されている。重複区域TBは、後端側部分バイアス層sbの先端位置Pb2から、先端側部分バイアス層stの後端位置Pt2までの区域である。
図2において両矢印L1で示されているのは、重複区域TBの軸方向長さ(重複長さともいう)である。重複区域TBによる重心移動効果を高める観点から、重複長さL1は、長すぎても短すぎても好ましくない。この観点から、重複長さL1は、下限としては、50mm以上が好ましく、70mm以上がより好ましく、100mm以上がより好ましく、上限としては、300mm以下が好ましく、250mm以下がより好ましく、200mm以下がより好ましい。
Lg/Lsが小さくされることで、スイングウェイトを適正な値に設定しつつ、ヘッド重量を軽くすることができる。ヘッド重量の軽量化は、トウダウン量を減少させうる。トウダウンを抑制する観点から、Lg/Lsは、0.515以下が好ましく、0.510以下がより好ましい。
シャフト全長Lsは限定されない。トウダウンを抑制する観点から、シャフト全長Lsは短くされるのが好ましい。また、一般に、ゴルフクラブセットにおいて、短いクラブでは打球の方向安定性及び打球感が特に重視される傾向にある。これらの観点から、シャフト全長Lsは、37インチ以下が好ましく、36インチ以下がより好ましく、35.5インチ以下が更に好ましい。通常のゴルフクラブでは、シャフト全長Lsは33インチ以上であり、パタークラブを除くと35インチ以上である。好ましい番手の例は、いわゆるウエッジである。好ましいクラブの例は、リアルロフト角が45°以上70°以下である。もちろん、飛距離の観点をも考慮すると、シャフト全長Lsが長いクラブにも本発明は有効である。
(X)上記後端側部分バイアス層sbの幅wbが、シャフト後端側からシャフト先端側に向かうにつれて大きくなっている。
(Y)上記後端側部分バイアス層sbの巻回数Nbが、シャフト後端側からシャフト先端側に向かうにつれて大きくなっている。
この構成(Y)によって、シャフト全体として、捻れ剛性が効果的に高められている。よって打球の方向安定性が向上しうる。なお、上記斜辺hpが存在する部分は、巻回数Nbの算定から除外される。
本願において、シャフト先端Tpから80mmまでの区域が特定先端部と定義される。トウダウンを抑制する観点から、上記特定先端部における上記ストレート層の質量比率Rsは、33%以上が好ましく、40%以上がより好ましい。先端側部分バイアス層stを設けつつシャフト先端径を過大としない観点から、比率Rsは、45%以下が好ましく、42%以下がより好ましい。
先端側部分バイアス層及び後端側部分バイアス層を設け、更に重複区域TBを設ける場合、これらのバイアス層の重量の合計は比較的大きい。また、シャフト重量Wsが大きい場合、ヘッドスピードは低下しやすい反面、スイングは安定しやすい傾向となる。飛距離よりも打球方向の安定性を重視する場合、シャフト重量Wsはある程度大きい方が好ましい。これらの観点から、シャフト重量Wsは、70g以上が好ましく、80g以上がより好ましく、90g以上がより好ましく、100g以上が更に好ましい。振りやすさの観点から、シャフト重量Wsは、130g以下が好ましく、120g以下がより好ましい。
硬すぎる打球フィーリングを抑制する観点から、シャフトトルクは、1.0°以上が好ましく、1.2°以上がより好ましく、1.5°以上が更に好ましい。打球の方向安定性の観点から、シャフトトルクは、3.0°以下が好ましく、2.6°以下がより好ましく、2.0°以下が更に好ましい。
前述の通り、クラブバランスが適切に設定された場合に、上記実施形態の効果が高められうる。即ち上記実施形態では、クラブバランスが通常とされた場合において、ヘッド重量を抑制することができる。この趣旨から、クラブバランスは、下限としてはC9以上、更にはD0以上が好ましく、上限としては、D6以下、更にはD5以下がより好ましい。
図2で示される積層構成を有するシャフトを作製した。シャフトの製造方法は前述の通りである。シャフト全長Lsは940mmとされた。用いられたプリプレグが下記の表1に示される。この実施例1の仕様が下記の表4に示される。重複長さL1は200mmとされた。このシャフトにヘッド及びグリップを装着した。ヘッドの番手はアプローチウェッジであり、ヘッド重量は298gであり、クラブバランスはD4とされた。この実施例1の評価結果が下記の表5に示される。
実施例1と同様に、図2で示される積層構成を採用したが、重複長さL1が100mmとされた。その他は実施例1と同様にして、実施例2に係るシャフト及びクラブを得た。この実施例2で用いられたプリプレグが下記の表1に示される。この実施例2の仕様が下記の表4に示される。この実施例2の評価結果が下記の表5に示される。
図4は、実施例3の積層構成を示す。図4が示すように、この実施例3では、先端部分ストレートシートが2枚用いられた。重複長さL1は200mmとされた。この実施例3で用いられたプリプレグが下記の表3に示される。その他は実施例1と同様にして、実施例3に係るシャフト及びクラブを得た。この実施例3の仕様が下記の表4に示される。この実施例3の評価結果が下記の表5に示される。
図5は、比較例1の積層構成を示す。図5が示すように、この比較例1の積層構成は、重複長さL1は0mmとされている他は、実施例1と同じである。この比較例1では、上記先端位置Pb2が、上記後端位置Pt2と同じである。この比較例1で用いられたプリプレグが下記の表1に示される。その他は実施例1と同様にして、比較例1に係るシャフト及びクラブを得た。この比較例1の仕様が下記の表4に示される。この比較例1の評価結果が下記の表5に示される。
比較例2でも、図5の積層構成が採用された。この比較例2でも、重複長さL1は0mmである。上記先端位置Pb2が、上記後端位置Pt2と同じである。この比較例2で用いられたプリプレグが下記の表2に示される。この表2が示すように、比較例2の先端側部分バイアス層st(層s4、s5)には、繊維弾性率が高いプリプレグが採用された。その他は比較例1と同様にして、比較例2に係るシャフト及びクラブを得た。この比較例2の仕様が下記の表4に示される。この比較例2の評価結果が下記の表5に示される。
実施例1:298g
実施例2:299g
実施例3:298g
比較例1:300.5g
比較例2:300.5g
評価方法は以下の通りである。
DAININ社製の商品名「BANCER−14」を用いて、14インチ方式のクラブバランスを測定した。
シャフト先端Tpから40mmまでの部分を先端治具で回転不能に固定するとともに、シャフトの後端側に位置する軸方向長さ50mmの部分をトルク付与が可能な後端治具で把持した。そして、この後端治具に13.9kgf・cmのトルクTrを作用させた。このトルク作用位置でのシャフトの捻れ角(度)が、シャフトトルクとされた。後端治具と先端治具との間の軸方向長さは825mmとされた。先端治具又は後端治具の把持によってシャフトが変形する場合、シャフトの内部に芯材などを入れて測定を行った。この測定値が上記表4に示される。
図6(a)は、順式フレックスの測定方法を示す。図6(a)が示すように、後端Btから50mmの位置に、第一支持点32が設定される。更に、後端Btから190mmの位置に、第二支持点36が設定される。第一支持点32には、シャフト6をを上方から支持する支持体34が設けられる。第二支持点36には、シャフト6を下方から支持する支持体38が設けられる。荷重のない状態において、シャフト6のシャフト軸線は略水平とされる。後端BtからF1mm隔てた荷重点m1に、2.7kgの荷重を鉛直下向きに作用させる。距離F1は875mmとされた。荷重のない状態から、荷重をかけた状態までの荷重点m1の移動距離(mm)が、順式フレックスである。この移動距離は、鉛直方向に沿った移動距離である。
逆式フレックスの測定方法が、図6(b)で示される。第一支持点32が先端Tpから12mm隔てた点とされ、第二支持点36が先端Tpから152mm隔てた点とされ、荷重点m2が先端TpからF2mm隔てた点とされ、荷重が1.3kgとされた他は順式フレックスと同様にして、逆式フレックスが測定された。距離F2は748mmとされた。
図7は、地点Pmにおける捻れ剛性値GIの測定方法を示している。第一位置が治具M1にて固定され、この治具M1から100mm隔てた第二位置が治具M2にて保持された。地点Pmは、上記第一位置と上記第二位置との中点である。この治具M2に1.363(N・m)のトルクTrを与えたときのシャフト6の捩れ角度A(°)が測定された。捻れ剛性値GIは次式にて算出された。
GI(N・m2)=M×Tr/A
ただし、Mは測定スパン(m)であり、Trはトルク(N・m)であり、Aは捩れ角度(rad)である。測定スパンMは0.1mであり、トルクTrは1.363(N・m)である。
5名のテスター(テスターA、B、C、D及びE)により官能評価が実施された。打球の方向安定性について、1点から5点まで5段階で評価された。点数が高いほど方向安定性が良好である。5名の評価点の平均値が、上記表5に示される。
上記5名のテスターにより官能評価が実施された。飛距離の安定性について、1点から5点まで5段階で評価された。点数が高いほど飛距離のバラツキが少ない。5名の評価点の平均値が、上記表5に示される。
上記5名のテスターにより官能評価が実施された。フィーリング(打球感)について、1点から5点まで5段階で評価された。点数が高いほどフィーリングが良好である。5名の評価点の平均値が、上記表5に示される。
4・・・ヘッド
6・・・シャフト
8・・・グリップ
s1〜s10・・・シート(層)
st・・・先端側部分バイアス層
sb・・・後端側部分バイアス層
Pb2・・・後端側部分バイアス層の先端位置
Pt2・・・先端側部分バイアス層の後端位置
Tp・・・シャフトの先端
Bt・・・シャフトの後端
Claims (9)
- ストレート層と先端側部分バイアス層と後端側部分バイアス層とを有しており、
シャフト軸方向において、上記先端側部分バイアス層が存在する区域が区域Tとされ、
シャフト軸方向において、上記後端側部分バイアス層が存在する区域が区域Bとされ、
シャフト軸方向において、ヘッドのホーゼルに挿入されるシャフト区域が区域Hとされるとき、
上記区域Tの一部が上記区域Hと重複しており、
上記区域Tと上記区域Bとが重複する重複区域TBが存在しており、
上記重複区域TBの全体が、上記区域Hよりもシャフト後端側に位置しており、
上記重複区域TBの軸方向中心位置Pxが、シャフト軸方向中心位置Pcよりもシャフト先端側に位置しており、
上記重複区域TBの少なくとも一部が、シャフト先端から40mm以上200mm以下の区域に存在しているゴルフクラブシャフト。 - ストレート層と先端側部分バイアス層と後端側部分バイアス層とを有しており、
シャフト軸方向において、上記先端側部分バイアス層が存在する区域が区域Tとされ、
シャフト軸方向において、上記後端側部分バイアス層が存在する区域が区域Bとされ、
シャフト軸方向において、ヘッドのホーゼルに挿入されるシャフト区域が区域Hとされるとき、
上記区域Tの一部が上記区域Hと重複しており、
上記区域Tと上記区域Bとが重複する重複区域TBが存在しており、
上記重複区域TBの全体が、上記区域Hよりもシャフト後端側に位置しており、
上記重複区域TBの軸方向中心位置Pxが、シャフト軸方向中心位置Pcよりもシャフト先端側に位置しており、
上記後端側部分バイアス層の先端が、シャフト先端から40mm以上190mm以下の区域に位置しているゴルフクラブシャフト。 - 捻れ剛性の分布が、上記重複区域TBにおいて極大値を有している請求項1又は2に記載のゴルフクラブシャフト。
- 上記後端側部分バイアス層の後端幅がw1とされ、上記後端側部分バイアス層の先端幅がw2とされるとき、
w2/w1が1よりも大きい請求項1から3のいずれかに記載のゴルフクラブシャフト。 - 上記後端側部分バイアス層の幅wbが、シャフト後端側からシャフト先端側に向かうにつれて大きくなっている請求項1から4のいずれかに記載のゴルフクラブシャフト。
- 上記先端側部分バイアス層のプリプレグ目付量が、上記後端側部分バイアス層のプリプレグ目付量よりも小さい請求項1から5のいずれかに記載のゴルフクラブシャフト。
- シャフト先端から80mmまでの区域が特定先端部とされるとき、
上記特定先端部における上記ストレート層の質量比率Rsが33%以上45%以下である請求項1から6のいずれかに記載のゴルフクラブシャフト。 - 上記比率Rsが40%以上42%以下である請求項7に記載のゴルフクラブシャフト。
- 請求項1から8のいずれかに記載のシャフトと、ヘッドと、グリップとを備えたゴルフクラブ。
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