JP5828677B2 - 冷凍油ちょう食品の製造方法 - Google Patents

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本発明は、良好な食感を有する油ちょう食品の製造方法、及び該製造方法を用いて製造された油ちょう食品に関する。
近年、共稼ぎ世帯や一人世帯の増加という生活スタイルの変化に伴い、家庭内での調理の手間を省略し、より簡便に喫食することが可能な惣菜類や弁当類が好まれている。なかでも、比較的長期保存が可能であり、かつ、最終工程である解凍加熱処理を行うことにより手軽に喫食することが可能な半調理済み食品の需要が急増している。特に、春巻やコロッケ、メンチカツ等の加工食材の中具を皮又は衣で被覆して油ちょうしてなる油ちょう食品は、子供から大人まで多くの人々に好まれる食品であり、このような油ちょう加熱調理済食品は、業務用の惣菜としても広く用いられている。
例えば、一般的な春巻の製造方法は、次の通りである。まず、中具の材料、例えば、鶏豚肉、野菜、油、調味料等を炒め加熱し、澱粉等の糊料でトロミを持たせ、冷却し、成型可能な性状にする。定量成型した中具を、春巻用皮に載せ、直方体状に巻いて成形する。なお、春巻用皮は、小麦粉、澱粉・糖類等に、水・油脂を加えて液状にし、得られた液状物を加熱したドラム上でシート状に焼成し、正方形状に裁断することにより製造することができる。この成形した春巻を油ちょうすることにより油ちょう済の春巻が得られ、また、油ちょう後に凍結することにより、冷凍春巻が得られる。消費者は、冷凍春巻を電子レンジ等の家庭用マイクロ波装置を用いて加熱解凍して喫食しており、例えばお弁当惣菜として広く利用している。
しかしながら、これら半調理済油ちょう食品において、油ちょう後に時間が経過した際や、油ちょう済の食品を凍結保存した後、解凍加熱処理を行った際には、油ちょう食品が本来有する本来の外層皮・衣のサクサクとしたクリスピー感が再現できないという問題がある。これは、製造後の保存中に、水分比率の高い中具から、水分比率の低い皮や衣などの外層に水分が移行し、且つ、油ちょう時に中具や皮の内側に保持された油分が皮や衣表面に移行するためであると考えられている。
また、中具から皮や衣に水分が移行することにより、皮や衣の中具と接する層が過度のヒキを有するようになり、喫食時に噛み切り難くなるという問題もある。
上記のような食感の問題は、凍結保存した場合に特に顕著となる。これは、凍結時に中具と外皮の接触部分において非凍結水分が移動することに加えて、中具の非接触部分(外皮と接触していない部分)においても、包装材料内の密封空間の空気を介在した中具からの水分昇華と皮部での吸湿とが、並行して進行していることによると考えられる。
このため、凍結保存した場合にも、凍結保存前と同様に、油ちょう食品特有のパリパリとしたクリスピー感を保持し、且つ、過度のヒキによる噛み切り難さが低減された油ちょう食品の製造方法の開発が行われている。
例えば、特許文献1には、中具材を皮で巻いて油ちょうした後に凍結する冷凍春巻の製造方法であって、皮原料に膨張材を含んでおり、かつ、油ちょう後の春巻の皮表面に液状油脂を付着させた後に凍結する冷凍春巻の製造方法が記載され、該方法によってクリスピー感の保存安定性に優れる春巻が得られることが開示されている。
特開2010−187561号公報
しかしながら、上記のような油ちょう食品の製造方法においても、クリスピー感の保持と、過度のヒキの低減との両立には未だ改良の余地があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、クリスピー感のある皮や衣の食感を有し、且つ、過度のヒキによる噛み切り難さが低減された油ちょう食品の製造方法、及び該製造方法を用いて製造された油ちょう食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、加工食材を中具とし、該中具を皮又は衣で被覆して油ちょうした後に、過熱水蒸気で処理を行うことにより、製造後に時間が経過した場合や凍結保存後に加熱解凍した場合であっても、油ちょう食品特有のサクサクとしたクリスピー感が保持され、且つ、過度のヒキによる噛み切り難さが低減されることにより、食感が良好となることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記の特徴を有する冷凍油ちょう食品の製造方法を提供するものである。
(1)加工食材を中具とし、前記中具を皮又は衣で被覆して油ちょうし、油ちょう食品を得る工程1と、
前記油ちょう食品の表面に食用油脂を付着させる工程2と、
その後、過熱水蒸気で処理を行う工程3と、
過熱水蒸気で処理された油ちょう食品を凍結させる工程4と、
を有することを特徴とする冷凍油ちょう食品の製造方法。
(2)前記過熱水蒸気の処理を、150〜250℃の過熱水蒸気中で1〜3分間行う(1)に記載の冷凍油ちょう食品の製造方法。
(3)製造される冷凍油ちょう食品が冷凍春巻である(1)又は(2)に記載の冷凍油ちょう食品の製造方法
本発明の油ちょう食品の製造方法によれば、油ちょうした後に過熱水蒸気で処理を行うことによって、油ちょう食品特有のサクサクとしたクリスピー感が保持され、且つ、過度のヒキによる噛み切り難さが低減され、食感に優れる油ちょう食品を、簡便且つ効果的に得ることができる。該油ちょう食品の製造方法により得られた油ちょう食品は、油ちょう食品特有のサクサクとしたクリスピー感が保持され、且つ、過度のヒキによる噛み切り難さが低減され、食感に優れたものである。
油ちょう食品とは一般に、油ちょうして得られる食品全般をいうが、本発明における油ちょう食品は、加工食材の中具を皮又は衣で被覆して油ちょうすることにより得られる食品である。このような油ちょう食品としては、加工食材の中具を皮又は衣で被覆して油ちょうしてなるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、野菜や肉等の食材を調理して得られる中具を皮に包んだ後、油ちょうして得られる春巻、餃子、小龍包、ワンタン、シュウマイ;野菜や肉等の食材を調理して得られる中具に衣を付着させた後、油ちょうして得られるコロッケ、メンチカツ等が挙げられる。
なかでも、本発明の製造方法によれば皮又は衣のクリスピー感に優れる油ちょう食品を得ることができるため、本発明における油ちょう食品としては、皮や衣のクリスピー感が特に要求される油ちょう食品であることが好ましく、春巻であることが特に好ましい。
本発明において、クリスピー感とは、皮又は衣の外側の層のサクサクとしたサク感、パリパリとしたパリ感を有する食感をいう。ここでサク感とは、歯で噛んだ際に抵抗が少ない状態でもろく砕ける状態をいい、パリ感とは、歯で噛んだ際にある程度の歯応えを有しつつパリパリと折れたり割れたりする状態をいう。
本発明において、ヒキとは、皮や衣の中具と接する内側の層の噛み切り難さをいい、一般にヒキがなく、容易に噛み切れるものが好ましい。
本発明の油ちょう食品の製造方法は、加工食材の中具を皮又は衣で被覆して油ちょうした後に、過熱水蒸気で処理を行うことを特徴とする。本発明の製造方法により得られる油ちょう食品は、油ちょう後時間が経過した場合や、油ちょうの後凍結保存し、さらに加熱解凍した場合であっても、油ちょう直後の油ちょう食品が有する皮又は衣のサクサクとした軽いクリスピー感が損なわれ難い。また、本発明により製造される油ちょう食品は、ヒキが強すぎず、皮又は衣の内層を容易に噛み切ることができる。上記のような良好な食感が得られる理由は明らかではないが、油ちょう後に過熱水蒸気で処理を行うことにより、中具等に保持された水分や油分が適度に油ちょう食品から抜け、その結果として油ちょう後に常温・冷凍保存した場合であっても、皮や衣に水分や油分が移行することがなく、外層のサク感の保持と、内層のヒキの低減が達成されると考えられる。
本発明において加工食材とは、食材そのものではなく、天然の食材に加工を加えた食品をいい、具体的には、複数の食材を混合し、味を整えて得られる食品や、天然の食材を発酵させて得られる発酵食品が挙げられ、一種の天然の食材のみをそのまま、若しくは細断して得られるものは含まない。
本発明の製造方法に用いられる加工食材の中具は、皮又は衣で被覆して油ちょうすることにより油ちょう食品となり得るものであれば特に限定されるものではなく、製造する油ちょう食品に一般的に用いられる加工食材を用いることができる。
例えば、餡(フィリング)を中具とする春巻を製造する場合であれば、牛肉、豚肉、鶏肉等の肉類;エビ、タコ、イカ、貝等の魚介類;モヤシ、ニンジン、ニラ、キャベツ、タマネギ、ピーマン、シイタケ、ショウガ、ニンニク等の野菜やキノコ類;塩、胡椒、砂糖、酒、酢、オイスターソース、出汁、香辛料等の調味料;ラード、大豆油、菜種油、胡麻油等の油脂類;植物性タンパク質、デンプン類、乳化剤等の添加剤等からなる材料を、必要に応じて細断した後、炒める等の加熱処理を行い、冷却したものが挙げられる。また、チーズ、カレー等の予め調理又は加工された食品を春巻の中具として用いることもできる。
また、餡を中具とする餃子、小龍包、ワンタン、シュウマイ等を製造する場合の中具としては、春巻と同様の材料を必要に応じて細断し、混捏したものが挙げられる。
例えば、餡を中具とするコロッケ、メンチカツ等を製造する場合の中具としては、細断、茹でる、蒸す、炒める等の処理を行ったジャガイモ、カボチャ、タマネギ、ニンジン等の野菜、牛肉、豚肉、鶏肉等の肉類のミンチ、魚介類、クリーム、上記同様の調味料、添加剤等とを混捏したものが挙げられる。
上記の様な中具は、皮又は衣で被覆される。皮又は衣のいずれを用いるかは、製造する油ちょう食品の種類に応じて適宜選択できる。また、皮、衣はいずれも常法により製造したものを用いることができる。
例えば、餡を中具とする春巻を製造する場合、皮は、原料である小麦粉、植物性タンパク質、デンプン類、糖類、油脂、膨張剤等を混合することにより液状物とし、この液状物を、100〜180℃に熱したドラム上に薄く塗布し、シート状に連続焼成した後、正方形等の任意の形状に裁断することによって製造することができる。ドラム焼成の条件は、成型に適するシート状の皮が得られる範囲内であれば、特に限定されるものではない。また、具材を包むシート状のものであれば、小麦粉以外の穀物粉、例えば米粉、そば粉等を原料として含有する皮であってもよく、副原料として卵、品質改良剤等を含有する皮であってもよい。また、皮の厚さは特に限定されるものではないが、0.2〜2mm程度であることが好ましい。定量成型した中具を皮で被覆して成型することにより、油ちょう前の油ちょう食品(以下、「油ちょう前食品」ということがある。)である油ちょう前春巻を得ることができる。油ちょう前食品の形状は、中具の一部又は全部が皮で被覆された形状であれば特に限定されるものではなく、一般的な春巻の形状である直方体状等、適宜決定することができる。
また、例えば餡を中具とする餃子、シュウマイ、ワンタンを製造する場合であれば、皮は、原料である小麦粉に、植物性タンパク質、デンプン類、糖類、油脂、膨張剤、塩、水等を添加して混捏して、得られた生地に対して圧延と熟成とを繰り返してシート状にした後、正方形、円形等の任意の形状に打ち抜くことによって製造することができる。また、具材を包むシート状のものであれば、小麦粉以外の穀物粉、例えば米粉、そば粉等を原料として含有する皮であってもよく、副原料として卵、品質改良剤等を含有する皮であってもよい。また、皮の厚さは特に限定されるものではないが、0.2〜2mm程度であることが好ましい。定量成型した中具を皮で被覆して成型することにより、油ちょう前食品である油ちょう前の餃子、シュウマイ、ワンタンを得ることができる。これら油ちょう前食品の形状は、中具の一部又は全部が皮で被覆された形状であれば特に限定されるものではなく、ギョウザであれば半円状、シュウマイであれば円柱状、ワンタンであれば三角形状等、適宜決定することができる。
また、コロッケ、メンチカツ等の衣に被覆された油ちょう食品を製造する場合であれば、衣として常法により製造されたパン粉又は市販のパン粉を用いることができる。定量成型した中具を衣で被覆して成型することにより、油ちょう前食品を得ることができる。油ちょう前食品の形状は、中具の一部又は全部が皮で被覆された形状であれば特に限定されるものではなく、小判型、俵型、円形状等、適宜決定することができる。また、衣で被覆する前に、小麦粉、植物性タンパク質、澱粉等の液状物からなるバッターや、溶き卵等を成型した中具に付着させておいてもよい。
得られた油ちょう前食品は、常法により油ちょうされる。
油ちょうの温度、時間は特に限定されるものではなく、例えば、140〜190℃の食用油脂中で60〜240秒間油ちょう加熱することができる。また、油ちょうを数回に分けて行ってもよい。
油ちょうに用いられる油としては、パーム油等の、一般的に油ちょう処理を行う場合に用いられる食用油脂であれば、特に限定されるものではない。
次いで、油ちょう加熱後の油ちょう食品(以下、「油ちょう済食品」ということがある。)を、過熱水蒸気で処理する。
過熱水蒸気処理の方法は、直接的又は間接的に熱されて100℃以上となった過熱水蒸気と、油ちょう済食品とが接触し得るものであれば特に限定されるものではないが、例えば、水蒸気発生部と、水蒸気加熱部とを備えたウォーターオーブン、又は、水蒸気発生部と、オーブン加熱部(コンベクションオーブン部)とを備えたスチームコンベクションオーブンの庫内に油ちょう済食品を置き、100℃以上の温度で一定時間処理することにより行うことができる。ウォーターオーブン、スチームコンベクションオーブンとしては通常加熱調理に用いられるものを使用することができる。特に、150℃以上、さらに好ましくは160℃を超えた温度においては、皮が水蒸気に起因するとおもわれるしっとりした状態から、サクサクした食感を持つ状態に変化するため、好ましい。
そのため、過熱水蒸気処理の温度は、100℃以上であれば特に限定されるものではないが、150〜250℃であることが好ましく、160〜250℃であることがより好ましく、200〜220℃であることがさらに好ましい。
過熱水蒸気処理の時間は特に限定されるものではなく、油ちょう済食品の種類、大きさ等を考慮して適宜決定することができるが、10秒〜10分間であることが好ましく、1〜3分間であることがより好ましい。過熱水蒸気処理を比較的高温且つ短時間で行うことにより、油ちょう食品外層のサクサクとしたクリスピー感を好適に保持させることができる。
過熱水蒸気の流量、オーブン庫内の過熱水蒸気による湿度等は特に限定されるものではなく、適宜決定することができる。
本発明の油ちょう食品の製造方法では、油ちょう前食品を油ちょうして油ちょう済食品を得た後、該油ちょう済食品の表面に油を付着させ、その後上記過熱水蒸気処理を行ってもよい。過熱水蒸気処理前に表面に油を付着させることにより、皮又は衣内に油が滲入し、保存期間中の皮の吸湿を効果的に抑制することができる。また、皮又は衣内に油が滲入することにより、電子レンジ等の家庭用マイクロ波装置による加熱解凍後に、皮又は衣表面が硬くなってガリガリとした食感となることを防ぎ、油ちょう食品の本来の食感に近い軽いサクサクとしたクリスピー感を特に良好に保持させることが可能となる。また、油を付着させた後に過熱水蒸気処理を行うことで、皮又は衣内に滲入しなかった余分な油は過熱水蒸気により脱油されるため、皮や衣がベタベタとした油っぽい食感になることなく、良好なクリスピー感を得ることができる。
付着させる油としては食用油脂であればよく、植物性油脂、動物性油脂、及びそれらの加工油脂のいずれであってもよい。また、油ちょう済食品の表面に付着させる際に液状である液状油であることが好ましく、常温で固体である固形脂を加熱して用いてもよく、常温で液体である液油を用いてもよい。このような油としては、例えば、バター、マーガリン、ショートニング、オリーブ油、米油、ゴマ油、コーン油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、紅花油、パーム油、ピーナッツ油、ヤシ油、カカオ脂、牛脂、ラード等が挙げられ、ショートニング又はパーム油であることが好ましく、ショートニングが特に好ましい。
油ちょう済食品の皮又は衣の表面に付着させる油の温度は特に限定されるものではないが、20〜120℃であることが好ましい。油の温度が極端に低すぎる場合には、油の流動性が低く、付着方法によっては、余分な油が皮表面に残ってしまい、適量の油を付着させることが困難である。一方、油の温度が高すぎる場合には、油ちょう済食品の上方の皮表面の油が抜け易く、やはり、油を皮表面全体に均等に付着させることが困難となる。なかでも、30〜60℃に加熱した食用油脂を、油ちょう済食品の皮又は衣表面に付着させることがより好ましい。
油ちょう済食品の表面に付着させる油の量は特に限定されるものではなく、用いる油の種類、製造する油ちょう食品の種類、皮や衣の種類等を考慮して適宜決定することができる。本発明では油を付着させた後の過熱水蒸気処理中に脱油するため、過熱水蒸気処理を行わない通常の油ちょう済食品の表面に油を付着させる場合と比べて、保存後や解凍加熱後の油っぽさがはるかに低減され、且つ、クリスピー感を兼ね備えた油ちょう食品を製造することができる。例えば、油としてパーム油を用いて春巻を製造する場合には、油ちょう済春巻の皮表面に、製品(油ちょう済春巻)100重量部に対して1〜30重量部、好ましくは3〜20重量部、より好ましくは5〜10重量部の油を付着することができる。
油ちょう済食品の皮又は衣表面への油の付着方法は、特に限定されるものではなく、刷毛やローラー等を用いて塗布してもよく、スプレー等で噴霧してもよく、食用油脂の油浴中に浸漬させてもよい。油は油ちょう済食品の皮又は衣の表面全体に付着させることが好ましいが、一部分に付着させるものであってもよい。油を部分的に付着させた場合には、該油が付着された部分の皮又は衣において、上述したような食感効果が得られる。
油ちょう後に、必要に応じて油を付着させ、さらに過熱水蒸気処理を施された油ちょう食品は、そのまま喫食してもよく、常温で保存してもよく、凍結させて冷凍油ちょう食品を得ることもできる。油ちょう食品の凍結は常法により行うことができる。例えば、エアーブラスト式凍結法、セミエアーブラスト式凍結法、コンタクト式凍結法等の凍結法に基づくフリーザーに設置して凍結してもよく、液化窒素や液化炭酸を噴霧して凍結させてもよい。
冷凍された油ちょう食品は、電子レンジ等の家庭用マイクロ波装置、オーブントースター、蒸し器等を用いて加熱解凍することにより喫食することができる。なかでも、本発明の製造方法により製造された油ちょう食品は、凍結及び冷凍保存後に家庭用マイクロ波装置を用いて加熱解凍された場合であっても、油ちょう食品特有のサクサクとしたクリスピー感が保持され、且つ、過度のヒキによる噛み切り難さが低減され、良好な食感を保持できるため、冷凍して保存されることが好ましい。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例中、官能試験は各項目について5段階で評価を行い、4人のパネラーの平均値を各試験の結果とした。また、組成に関して特に記載がない場合には、「部」は「質量部」を意味する。以下において、実施例1〜2は、参考例1〜2とする。
[実施例1]
冷凍春巻を製造し、各工程における物性、並びに、過熱水蒸気処理の有無による食感の違いについて検討した。
まず、表1記載の皮原料を6分間混合した後、105〜125℃の温度でドラム焼成を行い、約16cm×約16cmの春巻用皮を製造した。また、中具として、表2記載の中具原料を炒めた後、20℃以下に冷却した。
冷却した中具を、春巻用皮に載せて直方体状に巻き、1個あたり25g程度の油ちょう前春巻を得た。油ちょう前春巻における質量割合は、皮40質量部、中具60質量部である。この油ちょう前春巻を、180〜190℃のパーム油で3分間油ちょうして油ちょう済春巻を得た。
得られた油ちょう済春巻の一部を、ウォーターオーブンを用いて230℃の過熱水蒸気で1.5分間処理し、本発明の油ちょう春巻を得た。得られた油ちょう春巻は−32℃〜−40℃で急速冷凍した後、冷凍春巻を得た。その後、−10℃で3日間保存し、保存試験とした。
Figure 0005828677
Figure 0005828677
上記の様にして製造した春巻において、製造中の各工程における重量、水分量、及び粗脂肪量を測定した。水分量及び粗脂肪量は、各工程の6本の春巻をフードプロセッサを用いて1分間粉砕してサンプルを得、該サンプルのうち10gを用いて分析を行い、1本あたりの水分量及び粗脂肪量を算出した。春巻1本あたりの重量、水分量、及び粗脂肪量の結果を表3に示す。
Figure 0005828677
表3の結果から、水分量は、油ちょう処理及び過熱水蒸気処理を経るに従って徐々に減少することが分かった。また、油ちょうによって増加した粗脂肪は、過熱水蒸気処理によって脱油され、減少することが分かった。
次いで、冷凍直後の冷凍春巻、冷凍後、−10℃で3日間保存した冷凍春巻のそれぞれにおいて、春巻皮の表層から1〜2層目の皮の食感である「外層食感」、春巻皮の表層から1〜2層目よりも内側の皮の食感である「内層食感」、皮の外層のクリスピー性である「パリ感・サク感」、皮の内層の噛み切りにくさである「ヒキ」、春巻を喫食した際の「油っぽさ」、及び春巻としての総合的な好ましさである「総合評価」を、「1」を最も悪い、「5」を最も良いとする5段階で評価を行った。なお、冷凍春巻は、官能試験前に6個ずつ皿に載せてラップをせずに、電子レンジを用いて500Wで120秒間加熱解凍を行った。官能試験の結果を表4に示す。
Figure 0005828677
表4の結果から、過熱水蒸気処理を行った場合、冷凍保存の有無に関わらず、良好な食感、特に良好な外層のパリ感及びサク感を有することが明らかである。
過熱水蒸気処理を行わない場合、冷凍保存することで、内層食感、パリ感・サク感、ヒキ、油っぽさの項目において顕著に劣化が認められ、結果として総合評価が低下しているが、一方、過熱水蒸気処理を行った場合は、内層食感及びヒキの劣化が低減され、冷凍保存後においても好ましい外層食感やパリ感・サク感を有するため、総合評価として好ましい春巻となることが確認できた。
[実施例2]
上記実施例1と同様にして、油ちょう済春巻を得た。この油ちょう済春巻の一部に対し、油(ユニショートEF、不二製油社製)を表面に塗布した。油の塗布量は1個あたり2〜2.5gとした。
その後、得られた油ちょう済春巻の一部を、ウォーターオーブンを用いて200℃の過熱水蒸気で2分間又は3分間処理し、本発明の油ちょう春巻を得た。得られた油ちょう春巻の一部は、−32〜−40℃で急速冷凍した後、−10℃で3日間保存し、冷凍春巻を得た。
得られた冷凍春巻を上記同様に加熱解凍した後、「サク感・パリ感」、「ヒキ」、「油っぽさ」、「総合評価」について実施例1と同様に5段階で評価を行った。結果を表5に示す。また、油の付着を行った例については、油付着後の増加質量(g)、及び過熱水蒸気処理後の減少質量(g)を併せて表5に示す。
Figure 0005828677
表5の結果から、過熱水蒸気処理を行うことにより冷凍保存後の食感が良好となり、且つ、過熱水蒸気処理前に油の塗布を行うことにより冷凍保存後の食感が特に良好となり得ることが確認できた。
[実施例3]
上記実施例2と同様にして、油ちょう済春巻を得、油を表面に塗布した。油の塗布量は1個あたり2〜2.5gとした。
その後、得られた油ちょう済春巻の一部を、ウォーターオーブンを用いて表6に示す温度及び時間で処理し、本発明の油ちょう春巻を得た。得られた油ちょう春巻の一部は、−32〜−40℃で急速冷凍した後、−10℃で3日間保存し、冷凍春巻を得た。
得られた冷凍春巻を上記同様に加熱解凍した。加熱解凍後の春巻1本あたりの重量(g)、全体に対する皮(衣)重量の割合(%)、全体に対する中具重量の割合(%)、衣100質量部あたりの粗脂肪割合(部)、衣水分割合(%)、並びに中具水分割合(%)を表6に示す。
また、得られた春巻の「サク感・パリ感」、「ヒキ」、「総合評価」について実施例1と同様に5段階で官能評価を行った結果を表7に示す。
Figure 0005828677
Figure 0005828677
表6の結果から、油の塗布及び過熱水蒸気処理を行うことにより衣の脂質量が増加し、中具及び衣の水分割合が減少することが確認できた。また、表7の結果から、油の塗布及び過熱水蒸気処理を行うことにより、食感が良好となることが確認できた。
[実施例4]
上記実施例2と同様にして、油ちょう済春巻を得、表8に示す油を表面に塗布した。表8中、「ショートニング」は不二製油社製のユニショートEF(商品名)である。春巻1本あたりに付着した油脂量を表8に示す。
その後、得られた油ちょう済春巻の一部を、ウォーターオーブン又は水蒸気なしの通常のオーブンを用いて表8に示す時間、200℃で処理し、本発明の油ちょう春巻を得た。オーブン処理により脱油された脱油脂量(春巻1本あたり)を表8に示す。得られた油ちょう春巻の一部は、−32〜−40℃で急速冷凍した後、−10℃で3日間保存し、冷凍春巻を得た。
得られた冷凍春巻の皮部の水分値を表8に示す。皮部の水分値は各春巻きの一番外側の表面部にある皮を採り、その水分値を測定した。
また、加熱解凍後の春巻を喫食した際のコメントを表8中に記載する。
Figure 0005828677
表8の結果から、過熱水蒸気を伴わない通常のオーブン処理では、脱油は達成されるものの、何れの例においても春巻の皮表面が硬くなり、食感に劣るものとなった。一方、本願発明のウォーターオーブン処理では、春巻の皮表面はサク感を備え、わずかに硬く感じるものの良好な食感を保持していた。特に、ウォーターオーブンで1.5分間処理を行った場合、食感が特に良好であった。
また、油ちょう後の春巻に付着させる油はショートニングであってもパーム油であっても大差はないことが分かった。さらに、過熱水蒸気処理の時間が長くなるほど、脱油量及び脱水割合が増加する傾向が認められた。
なお、本実施例の一部の例では、大きな表皮水分値が測定されている。当該実施例では、皮が破損して外部まで飛び出してしまった個体が散見された。そのため、過度の加熱により皮が破損して表皮付近まで水分が多い中具が到達し、中具の水分が水蒸気となって該水分が表皮に付着したために水分の分析値が上昇してしまったと考えられる。このような春巻は外観としても好ましくないものとなっていた。
本発明の油ちょう食品の製造方法は、麺皮を用いた食品の製造分野で好適に利用可能である。

Claims (3)

  1. 加工食材を中具とし、前記中具を皮又は衣で被覆して油ちょうし、油ちょう食品を得る工程1と、
    前記油ちょう食品の表面に食用油脂を付着させる工程2と、
    その後、過熱水蒸気で処理を行う工程3と、
    過熱水蒸気で処理された油ちょう食品を凍結させる工程4と、
    を有することを特徴とする冷凍油ちょう食品の製造方法。
  2. 前記過熱水蒸気の処理を、150〜250℃の過熱水蒸気中で1〜3分間行う請求項1に記載の冷凍油ちょう食品の製造方法。
  3. 製造される冷凍油ちょう食品が冷凍春巻である請求項1又は2に記載の冷凍油ちょう食品の製造方法。
JP2011118237A 2011-05-26 2011-05-26 冷凍油ちょう食品の製造方法 Active JP5828677B2 (ja)

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