JP5726451B2 - 竜田揚げの製造方法 - Google Patents
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Description
一般的な竜田揚げの製造方法は、次の通りである。まず、具材、例えば、鶏肉、豚肉、白身魚、赤身魚等を、醤油、酒、おろし生姜等からなる調味液に漬けて下味をつけた後、片栗粉を付着させて油ちょうすることにより、竜田揚げが得られる。
中でも、比較的長期保存が可能であり、かつ、最終工程である解凍加熱処理を行うことにより手軽に喫食することが可能な半調理済み冷凍食品の需要が急増している。特に、油ちょうの手間を省略することができる油ちょう調理済み冷凍食品は好まれており、上記竜田揚げの油ちょう調理済み冷凍食品も広く用いられている。消費者は、このような油ちょう調理済み冷凍竜田揚げを、電子レンジ等の家庭用マイクロ波装置を用いて加熱解凍して喫食しており、例えばお弁当用惣菜として広く利用している。
また、近年では、調理済みの惣菜を外で購入し、家庭で食べる中食という食事の形態も拡がりつつある。
最近では、上記問題に鑑みて、竜田揚げの粉吹き感や不均一感を長時間維持することのできる竜田揚げとして、膨潤抑制馬鈴薯澱粉を用いた竜田揚げが開示されている(特許文献1参照)。
(1)1次油ちょう後の具材の表面に、澱粉を付着させた後に、該澱粉を付着させた面にさらに水を付着させ、2次油ちょうすることを特徴とする竜田揚げの製造方法。
(2)付着させる澱粉の量が、1次油ちょう後の具材100質量部に対して、1〜15質量部であることを特徴とする(1)の竜田揚げの製造方法。
(3)付着させる水の量が、澱粉付着後の具材100質量部に対して、0.01〜2質量部であることを特徴とする(1)又は(2)の竜田揚げの製造方法。
(4)前記澱粉が、馬鈴薯澱粉であることを特徴とする(1)〜(3)いずれかの竜田揚げの製造方法。
また、具材は予め前処理を施されていてもよい。前処理としては、例えば、具材を適切な大きさにカットする、具材に醤油、酒、みりん、おろし生姜等で下味をつける等の処理が挙げられる。
ブレッダーとしては、一般的に油ちょう食品のブレッダーとして用いられるものを適宜用いることができ、例えば、澱粉、小麦粉等を含有するものを用いることができる。ここで澱粉としては、後述する1次油ちょう後の澱粉と同様のものが挙げられる。
また、具材にブレッダーを付着させる前に、予め打ち粉やバッターを付着させておくことも好ましい。打ち粉としては、澱粉、小麦粉等を有する上記ブレッダーと同様のものが挙げられる。バッターとしては、一般的に油ちょう食品のバッターとして用いられるものを適宜用いることができ、例えば、澱粉、植物タンパク、油脂等を含有するものが挙げられる。
打ち粉、バッター、ブレッダーの付着量は特に限定されるものではなく、適宜決定することができる。また、打ち粉、バッター、ブレッダーを具材に付着させる方法は、特に限定されるものではなく、常法により行うことができ、例えば、後述する1次油ちょう後の具材の表面に澱粉を付着させる方法と同様の方法により行うことができる。
なお、本発明では、1次油ちょうと2次油ちょうとの2回の油ちょう加熱を行うため、1次油ちょうの温度及び時間は、2次油ちょうの温度及び時間に応じて適宜決定することが好ましい。
また、1次油ちょう具材の表面に付着させる澱粉は、上記のような澱粉のみからなるものであってもよく、澱粉と他の成分とからなるものであってもよい。ここで他の成分としては、小麦粉等が挙げられる。
本発明において澱粉を1次油ちょう具材の表面に付着させる方法は、特に限定されるものではないが、例えば、1次油ちょう具材に澱粉をふりかける、1次油ちょう具材を澱粉に軽く押し付ける、1次油ちょう具材を澱粉中に埋没後引き上げる等の方法により行うことができる。
澱粉の付着量は特に限定されるものではないが、1次油ちょう具材100質量部に対して、1〜15質量部であることが好ましく、2〜10質量部であることがより好ましく、4〜8質量部であることがさらに好ましい。上記範囲内とすることにより、竜田揚げに長時間維持することのできる粉吹き感を好適に付与することができる。また、澱粉付着量が少なすぎる場合は、粉吹き感が得られないおそれがあり、澱粉付着量が多すぎる場合は、衣が粉っぽくなるおそれがあり、澱粉付着量が多すぎ、且つ、該澱粉に水を付着させた場合、衣が硬くなりすぎるおそれがあるため、上記範囲内で澱粉付着量を調整することが好ましい。
なお、澱粉は、1次油ちょう具材の表面の全部に付着させてもよく、表面の一部のみに付着させてもよい。一部のみに付着させる場合、上記好ましい澱粉の付着量は、具材の総表面積あたりの澱粉を付着させる表面積からその好ましい付着量を算出し、適宜変更することが好ましい。
水を付着させる方法としては、例えば、澱粉被覆具材に水を噴霧する、澱粉被覆具材に水を滴下する、澱粉被覆具材に刷毛等で水を塗布する、澱粉被覆具材を高湿度下に置き表面を結露させる等の方法により行うことができる。澱粉被覆部材が、表面の一部のみ澱粉が付着されたものである場合、該澱粉被覆具材の澱粉が被覆した面のみに水を付着させることが好ましい。
冷凍又は冷蔵の方法は特に限定されるものではなく、常法により行うことができる。例えば冷凍保存の場合、エアーブラスト式凍結法、セミエアーブラスト式凍結法、コンタクト式凍結法等の凍結法に基づくフリーザーを用いて油ちょう用加工食品を凍結した後に、−18℃以下で保存する方法や、液化窒素や液化炭酸を噴霧して油ちょう用加工食品を凍結した後に、−18℃以下で保存する方法を用いることができる。
また、本発明の竜田揚げの製造方法による竜田揚げでは、粉吹き感を出すために過剰量の澱粉等を付着させる必要がないため、該過剰量の澱粉等が竜田揚げの表面に付着したままとなり、喫食の際の衣が粉っぽくなるおそれがない。また、過剰量の澱粉等を用いないことにより、製造コストを低減することも可能となる。
粉吹き感に対する水の影響について、竜田揚げを製造して検討した。
1個あたり18〜19gにカットした鶏もも肉に対し、真空タンブラー(竹内食品機械社製)調味液(醤油、酒、みりん、おろし生姜、水の混合液)による下味をつけた。具体的には、真空タンブラーを、15分間運転(15rpm)の後、5分間停止し、再度15分間運転(15rpm)の後、5分間停止し、最後に15分間運転(15rpm)することにより、下味を付加した。このとき、最終的に得られた鶏もも肉は、下味付加前に対して118質量%であった。
次に、下味をつけた鶏もも肉100質量部に澱粉を含む打ち粉5質量部、澱粉、水を含むバッター12質量部、澱粉を含むブレッダー14質量部を順にそれぞれ付着させ、パーム油を用いて170℃で1分間1次油ちょうを行った。
得られた1次油ちょう後の鶏もも肉の全面に、1次油ちょう後の鶏もも肉100質量部に対して8質量部の馬鈴薯澱粉を付着させた。その後、1−1については、1次油ちょう後の鶏もも肉の全面に対し、澱粉付着後の鶏もも肉100質量部に対して1質量部の水を噴霧した。1−2については、水の噴霧は行わなかった。
その後、3分間静置した後、パーム油を用いて、フライヤーを用いて、180℃で2分間2次油ちょうを行い、竜田揚げを製造した。2次油ちょう中に鶏もも肉から剥離した馬鈴薯澱粉をフライヤー内から回収し、1個あたりの馬鈴薯澱粉剥離量を求めた結果を表1に示す。また、馬鈴薯澱粉剥離量から求めた歩留を併せて表1に示す。
粉吹き感及び衣の食感に対する澱粉量及び水量の影響について、冷凍竜田揚げを製造して検討した。
実施例1と同様にして得られた1次油ちょう後の鶏もも肉の全面において、表2に示す量の馬鈴薯澱粉を付着させた。その後、2−2〜2−10では、1次油ちょう後の鶏もも肉において、表2に示す量の水を噴霧した。
その後、表2に示す時間静置した後、パーム油を用いて、180℃で2分間2次油ちょうを行った。
その後、急速凍結庫にて凍結し、−18℃で冷凍保存して冷凍竜田揚げを製造した。
3ヶ月冷凍保存した後、8個ずつ皿に載せてラップをせずに、電子レンジを用いて500Wで180秒間加熱調理を行った後、官能試験を行った。結果を表2に示す。
<外観>
5:粉吹き感が強すぎる。
4:粉吹き感がやや強い。
3:適度な粉吹き感で好ましい。
2:粉吹き感がやや弱い。
1:粉吹き感が弱すぎる。
<衣の食感>
5:硬すぎる。
4:やや硬い。
3:適度な食感で好ましい。
2:やや軟らかい。
1:軟らかすぎる。
−:粉ふき感がなく評価できない。
粉吹き感に対する水付着の影響について、製造ラインで冷凍竜田揚げを製造して検討した。
製造ラインで行ったこと以外は実施例1と同様にして、下味をつけた鶏もも肉100質量部に澱粉を含む打ち粉6質量部、澱粉、水を含むバッター8〜12質量部、澱粉を含むブレッダー6〜10質量部を順にそれぞれ付着させ、パーム油を用いて170℃で1分間1次油ちょうを行った。
得られた1次油ちょう後の鶏もも肉の全面において、1次油ちょう後の鶏もも肉100質量部に対して6〜8質量部の馬鈴薯澱粉を付着させた。3−1については、澱粉付着後の鶏もも肉100質量部に対して0.5質量部の水を噴霧した。
その後、パーム油を用いて180℃で100秒間2次油ちょうを行い、竜田揚げを製造した。その後、急速凍結庫にて凍結し、−18℃で冷凍保存して冷凍竜田揚げを製造した。
1日冷凍保存した後、8個ずつ皿に載せてラップをせずに、電子レンジを用いて500Wで180秒間加熱調理を行った後、上記実施例2と同様の基準により粉吹き感に関する官能試験を行った。官能評価の平均値及び標準偏差(SD)を表3に示す。
また、水を付着させた場合と付着させなかった場合との、製造ラインにおける馬鈴薯澱粉使用割合(馬鈴薯澱粉使用質量/鶏もも肉使用質量)を表3に示す。
また、3−1の竜田揚げでは、製造の際に用いる馬鈴薯澱粉の量を低減することができた。
Claims (4)
- 1次油ちょう後の具材の表面に、澱粉を付着させた後に、該澱粉を付着させた面にさらに水を付着させ、2次油ちょうすることを特徴とする竜田揚げの製造方法。
- 付着させる澱粉の量が、1次油ちょう後の具材100質量部に対して、1〜15質量部であることを特徴とする請求項1に記載の竜田揚げの製造方法。
- 付着させる水の量が、澱粉付着後の具材100質量部に対して、0.01〜2質量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の竜田揚げの製造方法。
- 前記澱粉が、馬鈴薯澱粉であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の竜田揚げの製造方法。
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