JP5828065B2 - 光源装置および照明装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス組成物をパッケージ材として備える光源装置および照明装置に関する。
従来から、半導体発光素子などの電子部品を封止する材料(封止材)として、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂のような透明樹脂材料が汎用されている。しかし、これらの樹脂材料は、耐湿性および耐熱性の低さが懸念される。また、例えば、発光素子のパッケージ材料として使用すると、発光素子から放出される紫外線によって樹脂が経時劣化し、光透過率が低下するという問題を抱える。さらに、発光素子のパッケージ材料としては、高い光取出し効率を実現させるために、高屈折率が強く望まれるものの、樹脂材料の場合は、高くても1.5前後の屈折率を示す材料が多いために、さらなる改善が期待されている。なお、本説明では、半導体発光素子を、単に発光素子あるいは素子と称することもある。
このような背景を受けて、近年、発光素子のパッケージ材料としては、耐湿性、耐熱性および光透過率の高さなどの観点から、ガラス組成物が検討されている。例えば、P、ZnO、SnOを主成分とするP−ZnO−SnO系のガラス組成物が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開2005−011933号公報 特開2008−300536号公報
しかしながら、特許文献1,2で開示されたガラス組成物は、発光素子のパッケージ用として使用した場合、ガラス中に結晶核が生じやすい。そうすると、当該ガラス組成物を加熱すれば、ガラスの表面またはその内部に結晶が析出し、不透明な箇所が生じやすいため、結果として失透が懸念される。このように失透が生じたガラス組成物では、パッケージの透過率が低下し、結果として高光束を得ることが難しい。また、発光素子のパッケージ材料として使用することを想定すると、高屈折率であることが望まれるが、本点に関しても要求を十分に満足できているとは言いがたい。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、加熱時における失透を抑制しながら、耐湿性、耐熱性および高い屈折率を示すと共に、仮に、発光素子のパッケージ材料として使用した場合、その発光素子から放出される紫外線によっても劣化することなく、高い光透過率が実現できるようなガラス組成物をパッケージ材として備える光源装置および照明装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、P−ZnO−SnO系のガラス組成物において、組合せ元素の最適化およびPとZnOとの比率に着目し、本発明を見出すにいたった。
すなわち、本発明の光源装置は、基板と、ガラス組成物で封止された状態で前記基板上に実装された半導体発光素子とを有し、前記ガラス組成物は、P 2 5 −ZnO−SnO−Al 2 3 系であり、Sbを不含有とするガラス組成物であって、[1]酸化物基準のモル%で、(a)30%以上50%以下のP25と、(b)25%以上65%以下のZnOと、(c)%以上10%以下のAl23と、(d)0%以上50%以下のLi2Oと、(e)0%以上50%以下のNa2Oと、(f)0%以上50%以下のK2Oと、(g)0%以上20%以下のMgOと、(h)0%以上20%以下のCaOと、(i)0%以上20%以下のSrOと、(j)0%以上20%以下のBaOと、(k)0%を超え20%以下のSnOと、(l)0%以上5%以下のB23と、を含み、かつ、(d)Li2O、(e)Na2O、(f)K2Oのうちの少なくとも1つは0%を超え、(a)と(b)との比率(a)/(b)が0.2以上2.0以下である、ことを特徴とする。
また、本発明の光源装置は、[2](a)と(b)との合計量がモル%で90%以下である、ことが好ましい。
また、光源装置を構成する基板は銅製であることが好ましい。この場合、ガラス組成物の熱膨張係数が10ppm/℃以上14ppm/℃以下であることが好ましい。さらに、光源装置を構成する基板はアルミ製であることが好ましい。この場合、ガラス組成物の熱膨張係数が12ppm/℃以上16ppm/℃以下である、ことが好ましい。
また、基板の種類に関わらず、光源装置を構成するガラス組成物は蛍光物質を含むことが好ましい。
また、本発明の照明装置は、上記いずれかひとつに記載の光源装置と、光源装置が内部に配置された筐体と、筐体に取り付けられた口金と、を備えることを特徴とする。さらに、筐体は、透光性の部材で形成されている、ことが好ましい。
本発明のガラス組成物は、P−ZnO−SnO系のガラス組成物において、添加元素としてAlを使用し、本元素の添加量を適正な範囲で制御しながら組み合わせるとともに、PとZnOとの比率に着目し、これらの比率を最適な範囲内で制御するようにしたので、高い屈折率を実現しながら、耐湿性および耐熱性に優れる、かつ発光素子から放出される紫外線によっても経時劣化することなく、高い光透過率を実現することができる。そのため、当該ガラス組成物は、発光素子のパッケージ材料として有用であるほか、加熱時においても失透が生じにくいので、発光素子のパッケージ用材料として非常に有用である。
本発明のガラス組成物をパッケージ材料として使用した光源装置の断面図である。 本発明のガラス組成物をパッケージ材料として使用した光源装置を採用した電球形LEDランプの斜視図である。 (a)本発明のガラス組成物をパッケージ材料として使用した光源装置の平面図であり、(b)は、同光源装置の断面図である。 本発明のガラス組成物をパッケージ材料として使用した光源装置を採用した直管形LEDランプの斜視図である。
以下、図面を示しながら、本発明の最良な実施形態について説明する。本発明において、数字範囲を示す「〜」という符号は、その両端の数値を含む。また、各図面において、構成部品および構成部品間の縮尺は実際のものとは異なる。なお、以下の説明では、モル%を単に%と表示することもある。
[ガラス組成物]
本発明に係るガラス組成物は、酸化物基準のモル%で、(a)30%以上50%以下のPと、(b)25%以上65%以下のZnOと、(c)0.1%以上10%以下のAlと、(d)0%以上50%以下のLiOと、(e)0%以上50%以下のNaOと、(f)0%以上50%以下のKOと、(g)0%以上20%以下のMgOと、(h)0%以上20%以下のCaOと、(i)0%以上20%以下のSrOと、(j)0%以上20%以下のBaOと、(k)0%以上20%以下のSnOと、(l)0%以上5%以下のBと、を含み、かつ、(d)LiO、(e)NaO、(f)KOのうちの少なくとも1つは0%を超え、(a)と(b)との比率(a)/(b)が0.2以上2.0以下である、ことを特徴とする。
(a)成分であるPは、ガラスの骨格を構成するための必須成分である。ここで、Pが30%未満、または50%を超えると、ガラス中で結晶核を生じやすくなるので、失透性が著しく高くなる。そのため、Pの添加量は、30%以上50%以下であることが好ましく、35%以上45%以下であることがより好ましい。
(b)成分であるZnOは、ガラス溶融時の粘度を下げて溶融を容易にするなどの効果が得られるため、Pと共にガラスの骨格を構成するための必須成分である。ここで、ZnOが25%未満であれば、ガラスの屈折率が低くなるおそれがあるほか、ガラスの溶融粘度が低下せず、500℃程度の屈伏点しか得られない。屈伏点(Deformation Point)とは、熱膨張曲線において曲線が最大のピークを示す温度、すなわち、見かけ上、ガラスの膨張が止まり、次に収縮が始まる温度をいう。そうすると、ZnOを25%未満しか添加せず、屈伏点が500℃程度となったガラス組成物は、450℃程度で加熱処理されれば容易に劣化してしまうおそれがある。一方、(b)成分であるZnOが65%を超えると、ガラス組成物の熱膨張係数が20ppm/℃以上となるので、アルミ製のような基板と組み合わせて使用すれば、各部材間での熱膨張係数差が大きくなってしまうので、特にこれらの異種材料界面においてクラックが生じやすい。よって、高い屈折率であって、所望とする熱膨張係数を実現するなどの観点から、ZnOの添加量は、25%以上65%以下であることが好ましい。
この中でも、ZnOの添加量が40〜65の範囲内で制御されたガラス組成物は、熱膨張係数が10〜14の範囲内に制御できるので、通常、熱膨張係数が11ppm/℃〜13ppm/℃程度の銅製基板と組み合わせて使用すると、熱膨張係数差を小さく抑えることができるので、クラックの発生が抑制された光源装置を得ることができる。一方、ZnOの添加量を25〜40%程度の範囲にすれば、熱膨張係数が12〜16ppm/℃程度の範囲内に制御できるので、通常、熱膨張係数が13ppm/℃〜15ppm/℃程度であるアルミ製基板と組み合わせて使用されるパッケージ材料として有用なガラス組成物が得られる。
(c)成分であるAlは、中間酸化物として作用し、化学物質に対するガラスの耐久性を向上させるほか、加熱時における結晶化を抑制し、失透を防ぐという効果が得られるため、本願発明のガラス組成物では必須成分である。ところが、Alが0.1%未満とすれば、ガラス中で、中間酸化物として作用することが出来ないために、ガラスが失透しやすくなるので、加熱封着されるようなパッケージ材料としては不向きである。一方、Alが10%を超えると、ガラスの溶融時に気泡、脈理が発生しやすいので、封着時において形状が不揃いになるほか、ガラス組成物の透過率が低下するおそれがある。よって、失透性を低く抑えながら、脈理などの発生も抑えるという観点からは、Alの添加量は、0.1%以上10%以下であることが好ましく、3%以上7%以下であることがより好ましい。
LiO、NaO、およびKOは、いずれも必須成分ではないが、溶融時のガラス粘度を下げて溶融を容易にするなどの観点から、適宜添加してよい。ただし、いずれも添加量が50%を超えると、ガラスの熱膨張係数が12ppm/℃程度となるので、仮に、セラミックス製の基板と組み合わせて光源装置を作成すれば、各部材間の熱膨張係数差が大きくなるため、クラックが発生しやすいおそれがある。さらに、所望の屈折率を得るという観点からは、これらの合計量を5〜25%とすることが好ましい。
MgO、CaO、SrO、およびBaOは、いずれも必須成分ではないが、化学物質に対するガラスの耐久性および溶融時のガラス粘度を低下させるという観点から、適宜添加してよい。ただし、いずれも添加量が20%を超えると、ガラスの粘度が低下しないので封止材として所望とする屈伏点を得ることができない。また、ガラスの熱膨張係数が12ppm/℃程度となるので、例えば、セラミックス製の基板と組み合わせて光源装置を作成すれば、各部材間の熱膨張係数差が大きくなるため、クラックを発生させやすい。さらに、所望の屈折率を得るという観点からは、これらの合計量を5〜25%とすることが好ましい。
(k)成分であるSnOは、必ずしも必須成分ではないが、溶融時におけるガラス粘度を低下させるなどの効果が得られるので含有させてもよい。ただし、添加量が20%を超えると、ガラスの粘度が低下しないので封止材として所望とする屈伏点を得ることができない。また、ガラスの熱膨張係数が12ppm/℃程度となるので、例えば、セラミックス製の基板と組み合わせて光源装置を作成すれば、各部材間の熱膨張係数差が大きくなるため、クラックを発生させやすい。
(l)成分であるBは、必ずしも必須成分ではないが、溶融時におけるガラス粘度を低下させるなどの効果が得られるので含有させてもよい。ただし、添加量が5%を超えると、ガラスの粘度が低下しないので封止材として所望とする屈伏点を得ることができない。また、ガラスの熱膨張係数が12ppm/℃程度となるので、例えば、セラミックス製の基板と組み合わせて光源装置を作成すれば、各部材間の熱膨張係数差が大きくなるため、クラックを発生させやすい。
本発明のガラス組成物は、上述したように、各元素の組合せ、添加量などを適宜調整することにより、熱膨張係数を容易に制御することができる。本発明のガラス組成物における熱膨張係数は、例えば、サイズが直径5mm、長さ12mmの円筒形サンプルを準備し、TMA(熱機械分析装置)装置((株)リガク製)を用いて容易に測定することができる。
本発明のガラス組成物は、上記(a)〜(l)の構成元素の種類、組合せ、特に、P、SnO、ZnO、Alの量を適正な範囲内で調整することにより、加熱時において、結晶化が起こりにくいから、失透が生じにくい。そのため、当該ガラス組成物を発光素子のパッケージ材料として使用すれば、耐湿性/耐熱性の両立に加えて、光透過率が高く、かつ高い光束が実現できる。なお、本発明のガラス組成物における失透性は、例えば、サイズが10mm程度のサンプルを準備し、温度勾配炉((株)モトヤマ製)を用いて測定される失透時間の長さから容易に評価することができる。
本発明のガラス組成物は、200〜380℃程度のガラス転移温度を示す。ガラス転移温度(Tg)とは、ガラスが弾性体から粘弾性体へと変化する温度をいい、本温度を境にして、熱膨張係数が大きく変化する。通常、半導体発光素子は、50〜150℃程度の範囲の中で製造・使用されるが、当該温度範囲にパッケージ材料などのガラス転移温度が存在すると、素子とパッケージ材料との界面などにおいてクラックが発生しやすい。その点、本発明のガラス組成物は、200〜380℃の温度範囲にガラス転移温度が入るために、半導体発光素子の実使用中に熱的変動が生じにくいから、結果として、クラックの発生などを抑えることができる。
本発明のガラス組成物は屈伏点が400℃以下を示す。その理由として、本発明のガラス組成物は、P,ZnO,SnO,およびSnOを添加することにより、その内部構造が緩和されることから、結果として屈伏点が低くなるため、と思われる。かつ、LiO、NaO、KOのうちの少なくとも1つが0%を超える量添加されていることから、結果として屈伏点が低くなるため、とも思われる。なお、屈伏点を下げるためには、BaO、MgOが添加されていないことがより好ましい。
通常、半導体発光素子を封止する際には、高温で長時間加熱すると半導体素子が熱劣化するために、封着温度を400℃以下とすることが好ましいが、その点、本発明のガラス組成物は、屈伏点が400℃以下となり、封着時温度を下げることができるので、素子の熱劣化を招くおそれが軽減される。なお、本発明のガラス組成物における屈伏点は、例えば、サイズが直径5mm、長さ12mmの円筒形程度のサンプルを準備し、TMA(熱機械分析装置)装置((株)リガク製)を用いて容易に測定することができる。
本発明のガラス組成物は、所定量のSnO、ZnO、アルカリ金属元素、およびアルカリ土類金属元素を含有しているので、1.65以上というように高い屈折率を示す。このように高屈折率のガラス組成物によれば、従来のP−ZnO−SnO系ガラスと比べて、光の取出し効率が高いために、半導体発光素子のような光学材料を保護するためのパッケージ材料として有用である。なお、当該ガラス組成物の屈折率は、ガラス組成物の屈折率測定装置として汎用のものを用いて容易に測定することができるが、例えば、サイズが10mm程度のサンプルを準備し、分光エリプソメトリー装置を用いて容易に測定することができる。
また、本発明のガラス組成物は、上記(a)〜(l)の各成分を適正な範囲で含有していることを前提とし、さらに(a)成分であるPと(b)成分であるZnOとの比率(a)/(b)が0.2以上2.0以下である、ことを特徴とする。PとZnOとの比率が2.0を超えたり、0.2未満となったりする場合には、結晶核が生じやすいために、結晶化が容易に起こり、失透しやすい。そうするとガラス組成物の光透過率が低下してしまうので、結果として光束が低下してしまう。なお、失透を防ぎ、高い光束を実現するという観点からは、ガラス組成物におけるPとZnOとの比率、すなわちP/ZnOは0.2〜2.0であることが好ましく0.5〜1.5がより好ましい。
また、本発明のガラス組成物は、(a)成分であるPと(b)成分であるZnOとの合計量がモル%で90%以下である、ことが好ましい。これら成分の合計量が90%を超えると、ガラス構造の緩和が著しく起こることにより熱膨張係数が著しく増加するという問題が懸念されるが、上記範囲内となるように成分合計量を制御することによって、所望の熱膨張係数を実現することができる。なお、当該合計量は、所望の熱膨張係数が実現できる範囲であれば、下限値は問わないが、失透を抑制するという観点からは、当該合計量はモル%で60%以上であることがより好ましい。
次に、半導体発光素子のパッケージ材料として、本発明のガラス組成物を使用した光学装置について、図面を示しながら説明する。
[光源装置]
図1に示すように、本発明に係る光源装置10の一例は、基板11と、半導体発光素子12と、この半導体発光素子12を被覆するガラス組成物13と、半導体発光素子12の表面を覆うように形成された蛍光体層14と、を有する。
基板11は、光源装置を構成する部材のうち、光源である発光素子が実装された土台となりうる部材である。また基板11には、発光素子に電流を供給するための配線15および電極(図示しない)などが形成されている。基板の種類は特に限定されるものではないが、本発明では、銅製またはアルミ製であることが好ましい。なぜならば、前述の通り、本発明特有のガラス組成において、ZnOの添加量などを適宜制御することにより、本発明のガラス組成物は10ppm/℃〜16ppm/℃の範囲の熱膨張係数を示す。そのため、上記各金属基板との熱膨張係数差を出来る限り小さく抑えることができるから、最終的に、加熱時においても、特にその界面付近でのクラックの発生が抑制された光源装置を得ることができるためである。
半導体発光素子12は、励起光源としての部材である。本発明の半導体発光素子として有用なもののとしては、例えば、波長が360〜480nmの紫外光または青色光を放出するようなLED、すなわち、InGaNを発光層とする公知の単一または多重量子構造の青色LED、およびAlINGaN、GaNまたはAlGaNを発光層とする公知の単一または多重量子井戸構造を示す近紫外LEDなどが含まれるが、特に限定されない。
また、半導体発光素子12の表面を覆う蛍光体層14は、バインダー樹脂により固着された蛍光物質を含む層をいい、発光素子から放出された可視光や紫外光の一部を吸収し、その吸収した光の波長と異なる波長を有する光を発光するものである。なお、蛍光体層14は、蛍光物質などのほかにも、発光素子をパッケージに固定するための絶縁性接着剤(例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、硝子のような透光性無機部材)のような添加剤を含んでいてもよい。
本発明の蛍光物質としては、少なくとも半導体発光素子から発光された光によって励起され、波長変換した光を発光する蛍光体をいい、該蛍光体を固着させる結着剤などと併せて波長変換部材として使用されるものをいう。本発明における蛍光物質の例には、RGB蛍光体、アルミニウム・ガーネット系蛍光体、YAG系蛍光体が含まれるが、特に限定されるものでない。
また、蛍光体層14の形状は、光の取り出し効率に着目すると、例えば、図1に示すような滑らかな凸状であることが好ましい。なぜならば、蛍光体層14の外形が凸状であると、この表面に入射する光の入射角が小さくなるので、全反射することなく光が取り出せるからである。ただし、本発明では、半導体発光素子12の外形と平行な形状で設けられていてもよい。
また、本実施形態では、半導体発光素子12の表面を被覆するように設けられた層状の発光体層を示したが、蛍光体層は、本発明のガラス組成物に含有させた状態で、直接的に半導体発光素子12を被覆するパッケージ部材として設けられてもよいし、パッケージ部材の表面あるいは発光素子から間隔をあけて、パッケージ部材にシート状の蛍光体層として設けてもよい。
光源装置10の構成要素のひとつであるガラス組成物13は、半導体発光素子12を被覆する封止材としての機能を果たすが、本光源装置10を後述するような、電球形LEDランプなどの照明装置に採用する場合、ガラス組成物13の厚みdは、被覆対象となる部材の厚みD(図1では、基板11から蛍光体層14上部表面までの最短距離)よりも大きく、20mm以下であることが好ましい。このような適正な範囲内にガラス組成物13の厚みを調整すると、ガラス組成物としての高光束を発揮できるから、結果として、高光束のランプを得ることができる。一方で、ガラス組成物13の厚みdが被覆対象となる部材の厚みD未満の場合は、発光源となりうる半導体発光素子12などの表面を十分に被覆できていないおそれが高いため、結果として光源装置10として、あるいは、ランプとして高光束が得られない。また、当該厚みdが、20mmを超えて大きくなると、光源装置10の光取出し効率が低下する、あるいは、ランプとしての高光束化が難しくなるおそれがある。その理由として、通常、ガラス組成物13中には、Fe2+やFe3+のような金属成分が存在するものの、厚みdが増すほど、これら金属成分の含有量が多くなる。しかしながら、ガラス組成物13中のFe2+やFe3+は、透過率が低下する要因となるので、結果として上記のような光源装置10における光取出し効率の低下などを引き起こしうるためである。
ガラス組成物13の形状は、その厚み方向で切断した断面形状が半円形状となるなど、曲率を有することが好ましい。その理由として、半導体発光素子12から発せられた光は、ガラス組成物13を通じて大気のような外気中へ出射される。ただし、ガラス組成物13と外気との界面が水平であるなど、曲率を有さない場合、当該界面での全反射率が高くなってしまうので、光取出し効率が低下するおそれが高くなるためである。
次に、本発明に係る光源装置10を採用した、電球形LEDランプについて説明する。図2に示すように、本発明の実施形態に係る電球形LEDランプ100は、LEDを有するLEDモジュール(光源装置)101と、LEDモジュール101を収納するグローブ102と、グローブ102の開口部に取り付けられた口金103と、を備える。また、電球形LEDランプ100は、ステム104、2本のリード線105および点灯回路(図示しない)を備える。
[グローブ]
グローブ102は、LEDモジュール101である光源装置が内部に配置された筐体であって、ランプの外形を構成する部材である。ランプの構成部材であるという観点から、グローブ102は、透光性の材料で形成されていることが好ましく、具体的には、アクリル樹脂を代表とする樹脂または、シリカガラスを代表とするガラス組成物などが用いられる。本実施形態では、可視光に対して透明なシリカガラス製の中空部材を使用する。このように、可視光に対して透明なシリカガラス製のグローブ102を採用すると、本グローブ102内に収納されたLEDモジュール101をグローブ102の外側から視認することができるため、白熱電球の外観性と類似する電球形LEDランプを得ることができるほか、LEDモジュール101から発せられた光がグローブ102によって損失することが抑制されるので、結果として光束の高い電球形LEDランプを得ることができる。また、樹脂ではなくガラス製(シリカガラスを含む)のグローブ102を採用すれば、高い耐熱性を有するので、非常灯用などにも有用である。
グローブ102の形状は、特に限定されるものではないが、従来の白熱電球や電球形蛍光灯の代替ランプを得る場合には、一端が球状に閉塞され、他端(口金側)に開口部を有する形状を採用すればよい。言い換えると、グローブ102の形状は、中空の球の一部が、球の中心部から遠ざかる方向に伸びながら狭まったような形状である。本実施形態では、グローブ102の形状は、一般的な白熱電球と同様のA形(JIS C7710)である。また、グローブ102には、球の中心部から遠ざかった位置に開口部が形成されている。
ただし、グローブ102の形状は、必ずしもA形である必要はない。例えば、グローブ102の形状は、G形又はE形等であってもよい。
[ステム]
ステム104は、グローブ102の開口部からグローブ102内に向かって延びるように設けられている。具体的には、ステム104の一端には、LEDモジュール101の近傍までZ軸方向に延びる棒状の延伸部が形成されている。つまり、本実施形態に係るステム104は、一般的な白熱電球に用いられるステムがグローブ102の内方に延伸されたような部材である。なお、ステム104は、一般的な白熱電球に用いられるステムであっても構わない。
ステム104の口金側の端部は、開口部の形状と一致するようにフレア状に形成されていることが好ましい。フレア状に形成されたステム104の端部は、グローブ102の開口を塞ぐように、グローブ102の開口部に接合されている。また、ステム104内には、2本のリード線105それぞれの一部が封着されている。その結果、グローブ102内の気密性が保たれた状態で、グローブ102内にあるLEDモジュール101にグローブ102外から電力を供給することが可能となる。したがって、電球形LEDランプ100は、長期間にわたり、水あるいは水蒸気などがグローブ102内に浸入することを防ぐことができ、水分によるLEDモジュール101の劣化およびLEDモジュール101とリード線105との接続部分の劣化を抑制することができる。
また、ステム104は、可視光に対して透明な軟質ガラスからなる。これにより、電球形LEDランプ100は、LEDモジュール101で生じた光がステム104によって損失することを抑制することができる。また、電球形LEDランプ100は、ステム104によって影が形成されることが防ぐこともできる。また、LEDモジュール101が発した白色光によってステム104が光り輝くので、電球形LEDランプ100は、視覚的に優れた美観を発揮することも可能となる。なお、ステム104は、必ずしもグローブ102の開口を塞ぐ必要はなく、開口部の一部に取り付けられてもよい。
[LEDモジュール]
本発明でいう、光源装置として機能するLEDモジュール101は、電力供給用部材として機能する2本のリード線105によってグローブ102内部の空中に位置するように支持された状態で、グローブ102の内部に収納されている。また、LEDモジュール101は、複数の半導体発光素子108が実装された面をグローブ102の頂部に(Z方向の正の向きに)向けて配置される。点灯時には、2本のリード線105からLEDモジュール101に対して電力が供給され、LEDモジュール101の各半導体発光素子が発光する。
LEDモジュール101を配置する位置は、特に限定されるものではないが、白熱電球のような従来の電球形ランプに代替するLEDランプを得るという観点からは、グローブ102によって形成される球形状の中心位置に配置することが好ましい。具体的には、例えば、グローブ102の内径が大きい径大部分の内部とすればよい。このようにグローブ102の中心位置にLEDモジュール101を配置すれば、点灯時に従来のフィラメントコイルを用いた一般白熱電球と近似した全方位配光特性を実現しうる電球形LEDランプ100を得ることができる。
図3(a)、(b)に示すように、本実施形態に係るLEDモジュール101は、矩形状の基板106と、ワイヤ107によって接続される複数の半導体発光素子108と、封止材109と、を有する。封止材109は、本発明に係るガラス組成物を用いて、複数の半導体発光素子108の外周を被覆する部材である。
なお、LEDモジュール101を構成する各部材の詳細について、図1を用いて上述した説明と同じである説明は省略し、ここでは、本実施形態のように可視光に対して透明の電球形LEDランプ(クリアLED電球とも称する)に採用する場合、特筆して好ましいと考えうる構成のみを説明する。
クリアLED電球に本LEDモジュール101を適用する場合、LEDモジュール101を構成する基板106は、封止材109から放出される光に対して透光性を有する部材で構成することが好ましい。本構成を採用することにより、基板106の裏面方向、すなわち、半導体発光素子108の実装面とは異なる面方向からも、半導体発光素子108から発せられる光の一部は出射されるので、発光領域を広角に広げることができる。このような基板106の例には、セラミックス粒子からなる透光性のセラミックス基板が含まれる。本実施形態では、アルミナ(酸化アルミニウム:Al23)粒子からなる長尺状のアルミナ基板を用いた例を記載している。
また、本発明に係るガラス組成物は、図3で示したような、基板の上において直接的に半導体発光素子が実装されたCOBタイプの封止材として好適に利用できるほか、樹脂製などのキャビティ内に半導体発光素子が実装されたSMDタイプの封止材としても応用可能である。
上記実施形態では、本発明に係る光源装置を従来の白熱電球に代替するような電球形LEDランプに応用する形態を示したが、ランプ種類は本形態に限定されず、例えば、直管形蛍光灯などの代替として期待される、直管形LEDランプへの応用も可能である。
図4に示すように、直管形LEDランプ200とは、電極コイルを用いた従来の一般直管蛍光灯と略同形のLEDランプをいう。
直管形LEDランプ200は、長尺筒状の筐体201と、筐体201内方に配置された複数のLEDモジュール202と、これらLEDモジュールを配置するための基台203と、筐体201の両端部に設けられた第一の口金204および第二の口金205と、を有する。LEDモジュール202は、筐体201の長尺方向に伸びる基台203の表面に対して載置される。
筐体201は、LEDモジュール202および基台203を収納するための部材であり、両端部に開口を有する長尺筒体である。筐体201の材質もまた特に限定されるものではないが、透光性材料であることが好ましく、例えば、ガラスまたはプラスチックのような樹脂等が挙げられる。
筐体201の横断面形状は特に限定されず、円環状であってもよいし、角状であってもよい。より具体的には、横断面の外周縁の形状が角形状や半円形状であり、内周縁の形状が円形状、半円形状または角形状などが挙げられる。例えば、本実施の形態に係る筐体201の内周縁の形状が半円形状である場合(第一の筐体と称する)、アルミ板などで形成された第二の筐体を準備し、第一および第二の筐体を組み合せることで、筐体201としてもよい。この場合、第二の筐体は、後述の基台203として作用する部材を使用することもできる。
基台203は、LEDモジュール202の熱を放熱するための放熱体(ヒートシンク)としても機能するものであることが好ましい。従って、基台203は、金属等の高熱伝導性材料によって構成することが好ましく、本実施の形態では、アルミニウムからなる長尺状のアルミニウム基台である。また、本実施の形態の基台203は、その両端が第一の口金204および第二の口金205の近傍にまで延びて構成されており、その全長は、筐体201の長さと略同等である。
また、基台203は、第一の口金204および第二の口金205に対して、伝熱するよう接触することが好ましい。第一の口金204および第二の口金205は、外部の照明器具に直管形LEDランプ200を取り付ける際、照明器具と接触し、保持部として作用するため、第一の口金204および第二の口金205に対して基台203を接触させれば、LEDモジュール202からの発熱が基台203を通じて直接的に照明器具まで伝熱するので、よりいっそうの放熱効果が期待できるためである。
第一の口金204および第二の口金205は、筐体201の各両端部に設けられ、照明器具側のソケットに着脱可能に取り付けられる口金である。
本実施のように、第一の口金204および第二の口金205の形状を、互いに異なるように形成(本実施形態では、各口金に取り付けられているピンの本数および形状を異なるように形成)すると、既存の蛍光灯が取り付けられている照明器具に対して、直管形LEDランプ200を取り付ける際の、誤挿入防止などの効果が得られるので好ましい。また、1本のピンを備える第一の口金204において、アース用のアースピンを使用し、2本のピンを備える第二の口金205では、電力を受電する給電用ピンを採用すれば、筐体201の一方の端部である第二の口金205のみから給電を受ける片側給電である直管形LEDランプ200を得ることができるので、仮に、適合を間違えて照明器具に取り付けた場合にも、感電防止などの効果が得られる。
本発明のガラス組成物を光源装置に応用した実施例および比較例について、説明する。
実施例および比較例では、表1,表2に示すように、酸化物基準のモル%でガラス原料を混合した後、1000℃で1時間溶融した。そして、溶融した生成物を除冷したものをサンプル用ガラス片として準備した。
Figure 0005828065
Figure 0005828065
準備した各サンプルにおいて、(1)失透性、(2)熱膨張係数、(3)450℃での失透時間、(4)ガラス転移点、(5)屈伏点、(6)屈折率、(7)可視光透過率、(8)酸素ガス透過性、(9)紫外線透過率、を測定・評価した。なお、(1)〜(6)は前述した測定方法を採用し、(7)〜(9)の測定方法については、下記の通りである。
測定用サンプルは直径φ10mm、板厚2mmのガラス板を用いて行った。可視光透過率の測定は、日本分光(株)製JASDCO FP−6500を用いて測定した。そして、400nm〜750nmまでの波長領域で測定し、その平均透過率を可視光透過率として算出した。
ガス透過性の測定はJIS法に定められている、JIS K 7127感湿センサー法を用いておこなった。
耐紫外線性評価は、作製したガラスサンプルにUV−Bを162W/mの強さで150時間照射し、その後の可視光透過率を測定した。
表1に示す結果から明らかなように、所定の組成範囲の中で配合量が調整された本発明のガラス組成物によれば、熱膨張係数が10.7〜14.2程度というように、CuまたはAlのような金属基板(熱膨張係数Cu;10〜14ppm/℃、Al;12〜16ppm/℃)に対して熱膨張係数が極めて近いガラス組成物が得られることは明らかである。そうすると、当該ガラス組成物と各金属基板との熱膨張係数差が小さく抑えられることから、ガラスを封着する際に各部材間での熱膨張係数差によるクラックの発生を抑えることができる。また、通常、ガラス組成物はそのガラス転移点を境に、熱膨張係数が大きく変化することから、封止温度のような実使用の温度範囲にガラス転移点があると、実使用時にクラックが発生しやすい。その点、本発明に係るガラス組成物は、いずれもガラス転移点が350〜400℃程度となり、実使用時の250℃よりも高い範囲にガラス転移点があることから、封着時であっても、熱膨張係数に変化が生じにくいので、結果としてクラックの発生を抑制することができる。
また、450℃におけるガラス失透時間を見ると、本発明に係るガラス組成物はいずれも80時間程度である。通常、金属基板は45時間程度以上であるから、本発明のガラス組成物は金属基板に対して1.5倍程度も長くなっている。このことから、本発明に係るガラス組成物は、封着時においても容易に結晶化が起こりにくい。
さらに、本発明のガラス組成物によれば、高くても403℃程度であり、いずれも屈伏点が400℃近傍よりも低いことが分かる。通常、発光素子は400℃より高い温度で長時間加熱されると、熱によって劣化してしまうので、光束が低下するという問題を抱える。したがって、発光素子の封着時温度は400℃以下が好ましいため、ガラス組成物に対しても400℃以下で軟化することが求められる。その点、本発明のガラス組成物は、発光素子の封止用として有用であることが分かる。
さらに、ガラスの透過率が低下すると発光素子からの光の取出効率が低下してしまうので、光の取出効率を高めるという観点から、通常、ガラス組成物に対しては、1.55以上の高屈折率が求められる。その点、本発明のガラス組成物によれば、いずれも1.65以上であり、透過率が高いガラス組成物が得られていることは明らかである。
また、ガラス組成物の酸素ガス透過量が多いと、光源装置を構成する発光素子やAgメッキなどの劣化を引き起こすおそれがあるので、発光素子封止用ガラス組成物に対しては、100(ml/mday)ほどの酸素ガス透過率が必要となる。その点、本発明のガラス組成物によれば、酸素ガス透過率がいずれも100(ml/mday)程度となり、発光素子などの劣化も解消されうる。
また、ガラス組成物の紫外線透過率が低いと、発光素子などの封止用として使用している際に、着色劣化(低寿命)などが発生しやすい。そのため、当該ガラス組成物に対しては耐紫外線透過性が70%以上あることが求められるが、その点、本発明のガラス組成物によれば、いずれも88%程度と非常に高いことが明らかである。
本発明のガラス組成物は、半導体発光素子のような光学部材を被覆するパッケージ材料として有用である。また、このガラス組成物を半導体発光素子のパッケージ材料として使用した光源装置は、液晶表示パネルのバックライト光源、一般照明、および車載用途の照明装置などに用いられる光源装置として利用可能である。
10 光源装置
11 基板
12 半導体発光素子
13 ガラス組成物
14 蛍光体層
15 配線
100 ランプ
101 モジュール
102 グローブ
103 口金
104 ステム
105 リード線
106 基板
107 ワイヤ
108 半導体発光素子
109 封止材
200 ランプ
201 筐体
202 モジュール
203 基台
204,205 口金

Claims (7)

  1. 基板と、ガラス組成物で封止された状態で前記基板上に実装された半導体発光素子とを有し、
    前記ガラス組成物は、25−ZnO−SnO−Al23系であり、Sbを不含有とするガラス組成物であって、
    酸化物基準のモル%で、(a)30%以上50%以下のP25と、(b)25%以上65%以下のZnOと、(c)5%以上10%以下のAl23と、(d)0%以上50%以下のLi2Oと、(e)0%以上50%以下のNa2Oと、(f)0%以上50%以下のK2Oと、(g)0%以上20%以下のMgOと、(h)0%以上20%以下のCaOと、(i)0%以上20%以下のSrOと、(j)0%以上20%以下のBaOと、(k)0%を超え20%以下のSnOと、(l)0%以上5%以下のB23と、を含み、かつ、
    (d)Li2O、(e)Na2O、(f)K2Oのうちの少なくとも1つは0%を超え、
    前記(a)と(b)との比率(a)/(b)が0.2以上2.0以下である、
    ことを特徴とする光源装置
  2. 前記(a)と(b)との合計量がモル%で90%以下である、ことを特徴とする、請求項1に記載の光源装置
  3. 前記基板が銅製である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の光源装置。
  4. 前記基板がアルミ製である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の光源装置。
  5. 前記ガラス組成物が蛍光物質を含む、ことを特徴とする請求項3または4に記載の光源装置。
  6. 請求項のいずれかひとつに記載の光源装置と、
    前記光源装置が内部に配置された筐体と、
    前記筐体に取り付けられた口金と、
    を備えることを特徴とする照明装置。
  7. 前記筐体が、透光性の部材で形成されている、
    ことを特徴とする請求項に記載の照明装置。
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