JP5827519B2 - ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤 - Google Patents

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Description

本発明は、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤、及びこれを含む飲食品、医療品、化粧品、飼料、ペットフード等の各種製品に関する。
ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(以下、PPARと略す。)は、ほとんどの脊椎動物に発現している核内受容体であり、種々の遺伝子の発現や制御を通じて様々な生体反応をコントロールしている。PPARにはα、β/δ、γのサブタイプが存在し、それぞれに発現している組織や制御している遺伝子系が異なっている。例えばPPAR−αは筋肉や肝臓で高発現し、エネルギー代謝に関与している。これに対しPPAR−γの発現は脂肪細胞に特異的であり、その他の組織ではほとんど発現せず、脂肪細胞の分化・成熟や各種のサイトカイン産生に関与している(例えば、非特許文献1参照。)
PPARの重要性は、PPARの活性化等により、インスリン抵抗性の改善や血清脂質低下作用といったメタボリックシンドロームP関連症状が緩和されることが見いだされたことにある。例えばピオグリタゾンに代表されるチアゾリジン誘導体は、インスリン抵抗性を高める作用を有することから糖尿病の治療薬として用いられているが、この作用はPPAR−γの活性化、すなわちPPAR−γのアゴニスト作用によるものであることが明らかとなっている(例えば、非特許文献2参照)。またPPAR−αアゴニストであるフェノフィブラートは強いコレステロール及び中性脂肪低下作用を有することから、高脂血症薬として臨床応用されている(例えば、非特許文献3参照)。
これまでにPPARには複数のサブタイプ、PPARα、PPARβ、PPARγが同定されている。これらはいずれもレチノイド受容体(Retinoid X receptor、RXR)とヘテロダイマーを形成し、特徴的な1bpのスペーサーを含むダイレクトリピート(DP1)を有する標的遺伝子のエンハンサー領域であるPPAR response element(PPRE)に結合することによって当該遺伝子の転写を制御することが知られている。PPARの活性化には自身のアゴニストがリガンド結合ドメイン(LBD)に結合することが必要であることも報告(非特許文献4)がなされている。
従来、PPARについては、精力的な研究が進められており、種々の生体内機能が解明されている。例えば、PPARαについては、中性脂肪の分解促進、脂肪代謝の活性化、角化細胞への分化誘導(非特許文献5−6等)、メラノサイトへの分化抑制(非特許文献5−6等)、抗炎症(非特許文献7−8等)、生体リズムの調節遺伝子Bmal1の発現促進(非特許文献9等)等の機能が知られている。また、PPARβについては、耐糖能の維持やインスリン抵抗性の改善(非特許文献10−11等)、抗炎症(非特許文献12等)、動脈硬化の改善(非特許文献13等)、創傷治癒促進(非特許文献15等)、抗肥満や中性脂肪の低減(非特許文献16等)等の機能が知られている。更に、PPARγについては、インスリン抵抗性の改善(非特許文献17等)、脂肪細胞の肥大化抑制(非特許文献20等)、中性脂肪及び遊離脂肪酸の低減、抗炎症(非特許文献21−22等)、アミロイドβの脳内蓄積の抑制(非特許文献23等)、脳梗塞部位の縮小(非特許文献24等)等の機能が知られている。このように、PPARは、肥満、糖尿病、動脈硬化、脳梗塞等の種々の疾患に関与する重要なレセプターの一つであるばかりでなく、それ以外にも角化細胞への分化促進作用等が知られている。よってこのPPARを活性化することにより各種疾患の改善効果だけではなく、皮膚の状態の改善効果を奏するものと期待されている。
これまでに、脂肪酸、エイコサノイド、カルバプロスタサイクリン、非ステロイド抗炎症剤等を含む数多くの物質が、PPARを活性化に関与することが知られている。またPPARsは合成セラミドによって活性化されることが報告されている(非特許文献25)。
一方、8位に二重結合を有するスフィンゴイドは、脂肪酸と結合することで、植物に見られるセラミドとなるセラミド前駆体である。植物セラミドはその保湿効果から多くの飲食品、化粧品、入浴剤等に使用されているが、8位に二重結合を持つスフィンゴイド、なかでも4,8−スフィンガジエニンや4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニンの機能については十分に解明されていない。
また、フィトスフィンゴシン骨格を有するセラミドにPPAR作用を有すること報告されている(特許文献1)が、4,8−スフィンガジエニンと4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン等の8位に二重結合を持つスフィンゴイドのPPAR活性化作用は報告されていなかった。セラミドは、スフィンゴイドに長鎖脂肪酸がアミド結合している物質であり、スフィンゴイドとは物性や分子量、生体内での主な分布や機能が全く異なる分子である。
特開2010−132622
Endocrinology.,137,354(1996) J.Biol.Chem.,270,p12953−12956(1995) New Current,7(6),9−19(1996) 生活習慣病とPPARs ライフサイエンス出版 J.Invest Dermatol. 1998;110:368−375 Lipids 2004;39:1093−1099 Nature 1998;399:790−793 J.Biol.Chem. 2000;275:36703−36707 Mol.Endocrinol. 2006;20:1715−1727 Diabetes. 2005;54:2460−2470 Proc.Natl.Acad.USA. 2003;100:15924−15929 Science 2003;302:453−457 Atherosclerosis. 2005;181:29−37 J.Invest Dermatol. 2004;122:971−983 Mol.Cell.Biol. 2007;27:7161−7175 Cell 2003;113:159−170 BMC Pharmacol. 2004;4:23 J.Invest.Dermatol. 2004;123:305−312 J.Invest.Dermatol. 2004;122:130−139 Folia Pharmacol Jpn. 2003;122:294−300 J.Exp.Med. 2003;198:411−421 J.Clin Invest. 1999;104:383−389 J.Neurosci. 2004;24:10908−10917 FASEB J. 2006;20:1162−1175 Genes Dev. 2001;15:3263−3277
本発明は、PPARに対して優れた活性化作用を有するPPAR活性化剤を提供することを目的とする。更に、本発明は、該PPAR活性化剤を含有する飲食品、化粧品、医薬品、ペットフード等の各種製品を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討した結果、意外にも、8位に二重結合を有するスフィンゴイドが、PPARに対して優れた活性化作用を示すことを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成するに至った。
すなわち本発明は下記の通りである。
(1) 8位に二重結合を有するスフィンゴイドを有効成分とする、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤。
(2) 前記スフィンゴイドが3位及び4位の少なくも一方に水酸基が置換されている、(1)に記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤。
(3) 前記スフィンゴイドの炭素数が16〜22である、(1)又は(2)に記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤。
(4) 前記スフィンゴイドが、植物及び/又は菌類由来のスフィンゴ脂質を加水分解して得られるものである、(1)〜(3)いずれかに記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤。
(5) 前記スフィンゴイドが、4,8−スフィンガジエニン及び/又は4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニンである、(1)〜(4)のいずれかに記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤。
(6) メタボリックシンドローム、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症、又は動脈硬化の予防又は治療に使用される、(1)〜(5)のいずれかに記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤。
本発明によれば、安価かつ効果的にPPARを活性化させることができ、PPARが関与する疾患を予防又は改善することが可能になる。また、本発明によれば、PPARを活性化することにより、メタボリックシンドローム、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症、又は動脈硬化などを効果的に予防又は治療を行なうこともできる。
また、本発明のPPAR活性化剤は、飲食品、化粧品、医薬品、ペットフード等の各種製品に配合して使用できるので、PPAR活性化作用を含有する各種製品を提供できる。
以下本発明について説明する。本発明のPPAR活性化剤は、8位に二重結合を有するスフィンゴイドを有効成分とすることを特徴とする。以下、本発明のPPAR活性化剤について詳述する。
8位に二重結合を有するスフィンゴイド
8位に二重結合を有するスフィンゴイドについて、以下に述べる。
本発明に用いられる8位に二重結合を有するスフィンゴイドとは、炭化水素鎖の1位に水酸基及び2位にアミノ基が結合している長鎖アミノアルコールであって、8位に二重結合(即ち、8位の炭素原子と9位の炭素原子の二重結合)を有する化合物である。該スフィンゴイドは、直鎖又は分岐鎖のいずれであってもよい。
8位に二重結合を有するスフィンゴイドの炭素数として、好ましくは16〜22、更に好ましくは18〜20が挙げられる。更に、該スフィンゴイドは、8位以外の位置にも、1又は2以上の二重結合を有してもよい。該スフィンゴイドにおいて、8位以外にも二重結合を有する場合、該二重結合の位置の好適な例としては4位(即ち、4位の炭素原子と5位の炭素原子の二重結合)が挙げられる。本発明に用いられるスフィンゴイドの好適な一例として、8位のみに二重結合を有するスフィンゴイド、4位と8位に二重結合を有するスフィンゴイドが挙げられる。
また、8位に二重結合を有するスフィンゴイドは、1位の水酸基及び2位のアミノ基以外に、水酸基、アミノ基、メチル基等の置換基が結合していてもよい。PPAR活性化作用を一層向上させるという観点から、好ましくは、3位及び4位の少なくも一方に水酸基が置換されているスフィンゴイド;更に好ましくは、3位に水酸基が置換されているスフィンゴイド、並びに3位及び4位の双方に水酸基が置換されているスフィンゴイドが挙げられる。
8位に二重結合を有するスフィンゴイドとして、具体的には、4,8−スフィンガジエニン、4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン、8−スフィンゲニン等が挙げられる。4,8−スフィンガジエニンとしては、d18:2(4t,8t)、d18:2(4c,8t)、d18:2(4t,8c)、及びd18:2(4c,8c)の中から、1種を単独で使用してもよく、またこれらの中の2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニンとしては、t18:1(8t)及びt18:1(8c)の中から、1種を単独で使用してもよく、またこれら組み合わせて使用してもよい。また、8−スフィンゲニンとしては、d18:1(8t)及びd18:1(8c)の中から、1種を単独で使用してもよく、またこれら組み合わせて使用してもよい。ここで、表記「d18:2」は4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニンを示し、その後ろに示す括弧内の「4t」は4位がトランス体、「4c」は4位がシス体、「8t」は8位がトランス体、及び「8c」は8位がシス体であることを示す。また、表記「t18:1」は4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニンを示し、その後ろに示す括弧内の「8t」は8位がトランス体、「8c」は8位がシス体を示す。また、表記「d18:1」は8−スフィンゲニンを示し、その後ろに示す括弧内の「8t」は8位がトランス体、「8c」は8位がシス体を示す。
本発明のPPAR活性化剤において、8位に二重結合を有するスフィンゴイドは、1種単独で使用しても、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
8位に二重結合を有するスフィンゴイドは、スフィンゴ脂質の加水分解、化学合成、酵素合成等の公知の製法により得ることができる。本発明のPPAR活性化剤において、8位に二重結合を有するスフィンゴイドとして、スフィンゴ脂質の加水分解により得られるものが好適に使用される。
スフィンゴ脂質を加水分解して8位に二重結合を有するスフィンゴイドを得る方法については、特に制限されないが、例えば、スフィンゴ脂質を酸又はアルカリで加水分解する方法が挙げられる。
スフィンゴ脂質を酸で加水分解する方法としては、具体的には、酸を用いてpH1〜3程度に調整した酸性溶液にスフィンゴ脂質を入れて、60〜80℃程度で2〜24時間インキュベートする方法が挙げられる。スフィンゴ脂質の加水分解に使用される酸の種類については、特に制限されるものではなく、有機酸、無機酸のいずれであってもよい。また、スフィンゴ脂質の加水分解に使用される酸性溶液の組成についても、特に制限されないが、一例として、含水アルコールに塩酸を添加した溶液が挙げられる。
また、スフィンゴ脂質をアルカリで加水分解する方法としては、具体的には、アルカリを用いてpH12〜14程度に調整したアルカリ性溶液にスフィンゴ脂質を入れて、30〜150℃程度で2〜24時間インキュベートする方法が挙げられる。スフィンゴ脂質の加水分解に使用されるアルカリの種類やアルカリ性溶液の組成については、特に制限されない。
斯してスフィンゴ脂質を加水分解することにより生成したスフィンゴイドを、カラムクロマトグラフィーや分取型HPLC等の精製処理に供することにより、8位に二重結合を有するスフィンゴイドが回収される。本発明のPPAR活性化剤に使用される8位に二重結合を有するスフィンゴイドは、高度に精製されたものでなく粗精製物であってもよいが、PPAR活性化作用の観点から、スフィンゴイドの総量に対する8位に二重結合を有するスフィンゴイド(特に、4,8−スフィンガジエニン及び/又は4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン)の割合が50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましい。
また、スフィンゴイドの製造原料として使用されるスフィンゴ脂質は、例えば、8位に二重結合を有するスフィンゴイド塩基が結合したスフィンゴ脂質を含む天然素材から抽出することにより得られる。スフィンゴ脂質を含む天然素材としては、例えば、植物、動物、菌類等が挙げられ、好ましくは植物及び菌類が使用される。
スフィンゴ脂質の抽出原料として使用される植物については、8位に二重結合を有するスフィンゴイド塩基が結合したスフィンゴ脂質を含む限り、特に制限されない。このような植物としては、例えば、アーモンド、アオサ、アオノリ、アカザ、アカシア、アカネ、アカブドウ、アカマツ(松ヤニ、琥珀、コーパルを含む)、アガリクス、アキノノゲシ、アケビ、アサガオ、アザレア、アジサイ、アシタバ、アズキ、アスパラガス、アセロラ、アセンヤク、アニス、アボガド、アマチャ、アマチャヅル、アマリリス、アルテア、アルニカ、アロエ、アンジェリカ、アンズ、アンソッコウ、イグサ、イザヨイバラ、イチイ、イチジク、イチョウ、イランイラン、ウイキョウ、ウーロン茶、ウコン、ウスベニアオイ、ウツボグサ、ウド、ウメ、ウラジロガシ、温州ミカン、エイジツ、エシャロット、エゾウコギ、エニシダ、エノキタケ、エルダーフラワー、エンドウ、オーキッド、オオバコ、オオヒレアザミ、オオムギ、オケラ、オスマンサス、オトギリソウ、オドリコソウ、オニドコロ、オリーブ、オレガノ、オレンジ(オレンジピールを含む)、カーネーション、カカオ、カキ、カキドオシ、カッコン、カシワ、カタクリ、カボチャ、カミツレ、カムカム、カモミール、カラスウリ、カラマツ、カリン、ガルシニア、カルダモン、キイチゴ、キウイ、キキョウ、キャベツ(ケールを含む)、キャラウェイ、キュウリ、キンカン、ギンナン、グァバ、クコ、クズ、クチナシ、クミン、クランベリー、クルミ、グレープフルーツ、クローブ、クロマツ、クロマメ、クロレラ、ケツメイシ、ゲンノショウコ、コケモモ、コショウ、コスモス、ゴボウ、コムギ(小麦胚芽を含む)、ゴマ、コマツナ、コメ(米糠を含む)、コリアンダー、コンニャク芋(コンニャクトビ粉を含む)、コンブ、サーモンベリー、サイプレス、ザクロ、サツマ芋、サト芋、サトウキビ、サトウダイコン、サフラン、ザボン、サンザシ、サンショウ、シイタケ、シクラメン、シソ、シメジ、ジャガ芋、シャクヤク、ジャスミン、ジュズダマ、シュンギク、ショウガ、ショウブ、シラカシ、ジンチョウゲ、シンナモン、スイカ、スイトピー、スギナ、スターアニス、スターアップル、スダチ、ステビア、スモモ、セージ(サルビア)、ゼニアオイ、セロリ、センキュウ、センブリ、ソバ、ソラマメ、ダイコン、ダイズ(おからを含む)、ダイダイ、タイム、タケノコ、タマネギ、タラゴン、タロイモ、タンジン、タンポポ、チコリ、ツキミソウ、ツクシ、ツバキ、ツボクサ、ツメクサ、ツルクサ、ツルナ、ツワブキ、ディル、テンジクアオイ(ゼラニウム)、トウガ、トウガラシ、トウキ、トウチュウカソウ、トウモロコシ、ドクダミ、トコン、トチュウ、トネリコ、ナガイモ、ナズナ、ナツメグ、ナンテン、ニガウリ、ニガヨモギ、ニラ、ニンジン、ニンニク、ネギ、ノコギリソウ、ノコギリヤシ、ノビル、バーベナ、パーム、パイナップル、ハイビスカス、ハコベ、バジル、パセリ、ハダカムギ、ハッカ、ハトムギ、バナナ、バナバ、バニラ、パプリカ、ハマメリス、ビート、ピーマン、ヒガンバナ、ヒシ、ヒジキ、ピスタチオ、ヒソップ(ヤナギハッカ)、ヒナギク、ヒナゲシ、ヒノキ、ヒバ、ヒマシ、ヒマワリ、ビワ、ファレノプシス、フェネグリーク、フキノトウ、ブラックベリー、プラム、ブルーベリー(ビルベリーを含む)、プルーン、ヘチマ、ベニバナ、ベラドンナ、ベルガモット、ホウセンカ、ホウレンソウ、ホオズキ、ボダイジュ、ボタン、ホップ、ホホバ、マイタケ、マオウ、マカ、マカデミアンナッツ、マタタビ、マリーゴールド、マンゴー、ミツバ、ミモザ、ミョウガ、ミルラ、ムラサキ、メース、メリッサ、メリロート、メロン、メン(綿実油粕を含む)、モヤシ、ヤグルマソウ、ヤマ芋、ヤマユリ、ヤマヨモギ、ユーカリ、ユキノシタ、ユズ、ユリ、ヨクイニン、ヨメナ(アスター)、ヨモギ、ライム、ライムギ、ライラック、ラズベリー、ラッカセイ、ラッキョウ、リンゴ(アップルファイバーを含む)、リンドウ、レイシ、レタス、レモン、レンゲソウ、レンコン、ローズヒップ、ローズマリー、ローリエ、ワケギ、ワサビ(セイヨウワサビを含む)等が挙げられる。これらの植物の中でも、含有量と経済性の観点から、コンニャク芋(コンニャクトビ粉を含む)、及び温州ミカンが好ましい。スフィンゴ脂質の抽出原料として使用される植物の部位については、植物の種類に応じて適宜設定される。
スフィンゴ脂質の抽出原料として使用される菌類については、8位に二重結合を有するスフィンゴイド塩基が結合したスフィンゴ脂質を含む限り、特に制限されない。このような菌類としては、例えば、酵母、糸状菌(カビ)、担子菌(キノコ)類等の真菌類が挙げられる。スフィンゴ脂質の抽出原料として使用される菌類の部位については、菌類の種類に応じて適宜設定される。
スフィンゴ脂質の抽出原料として使用される酵母としては、例えば、サッカロマイセス・クルイヴェリ(Saccharomyces kluyveri)等のサッカロマイセス属;クルイヴェロマイセス・ラクティス( Kluyveromyce lactis)、クルイヴェロマイセス・サーモトレランス(Kluyveromyces thermotolerans)、クルイヴェロマイセス・ワルティ(Kluyveromyces waltii)、クルイヴェロマイセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)、クルイヴェロマイセス・ウィッケルハミ(Kluyveromyces wickerhamii)等のクルイヴェロマイセス;チゴサッカロマイセス・シドリ(Zygoxaccharomyces cidri)、チゴサッカロマイセス・フェルメンタティ(Zygosacharomyces fermentati)等のチゴサッカロマイセス属等が挙げられる。
スフィンゴ脂質の抽出原料として使用されるカビとしては、例えば、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)等のアスペルギルス属;リゾープス・オリゼ(Rhizopus oryzae)等のリゾープス属;ペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roqueforti)等のペニシリウム属;モナスクス・アンカ(Monascus anka)等のモナスクス属等が挙げられる。
スフィンゴ脂質の抽出原料として使用される担子菌類としては、子実体、菌糸体のいずれも使用することができ、食用できるものが望ましい。例えば、グリフォラ属、レンチナス属、プルーロタス属、フラムリナ属、フォリオタ属、アガリスク属、ハナビラタケ属に属する担子菌が広範に使用でき、具体的には、マイタケ(Grifola frondosa)、シイタケ(Lentinus edodes)、ヒラタケ(Pleurotus ostreatus)、エリンギ(Pleurotus eryngii)、タモギタケ(Pluerotus cornucopiae)、エノキダケ(Flammulina velutipes)、ナメコ(Pholiota nameko)、ツクリタケ(Agaricus bisporus)、ハナビラタケ(Sparassis crispa)等が挙げられる。
スフィンゴ脂質の抽出に使用される抽出溶媒については、スフィンゴ脂質を抽出可能であることを限度として、水、有機溶媒、これらの混合物のいずれを使用してもよい。有機溶媒としては、特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;ヘキサン、ペンタン等の脂肪族炭化水素類;トルエン等の芳香族炭化水素類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;ピリジン類等が挙げられる。これらの有機溶媒は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの有機溶媒の中でも、本発明のPPAR活性化剤を食品分野で使用する場合には、安全性の観点から、水、エタノール、及び/又はヘキサンを使用することが望ましい。
また、スフィンゴ脂質の抽出効率を高めるために、必要に応じて、酵素、界面活性剤等の添加剤を抽出溶媒に加えてもよい。
上記天然素材からスフィンゴ脂質を抽出するには、公知の抽出処理を用いればよく、超臨界抽出法を使用することも可能である。また、必要に応じて、複数回の抽出処理を行ってもよく、これにより天然素材から抽出されるスフィンゴ脂質量を高めることもできる。
斯して得られた抽出液は、そのままスフィンゴイドの加水分解に使用してもよいが、濃縮処理に供してスフィンゴ脂質を濃縮しておくことが望ましい。濃縮処理としては、例えば、エバポレーターのような減圧濃縮装置を用いる方法、加熱する方法等が挙げられる。また、斯して得られた濃縮物は、必要に応じて更に精製処理に供してもよい。精製処理としては、例えば、アルカリ処理、溶媒分画、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等が挙げられる。これらの精製処理は、同一処理を複数回繰り返して実施してもよく、2以上の異なる処理を組み合わせて実施してもよい。
PPAR活性化剤の用途・用法
本発明のPPAR活性化剤は、生体内でPPARα、β、及び/又はγを活性化することにより、PPARが関与する生体機能を正常化又は向上させることができる。従って、本発明のPPAR活性化剤は、PPARが関与する生体機能の正常化又は向上によってもたらされる用途、例えば、中性脂肪分解促進、脂肪代謝活性化、抗炎症、耐糖能の維持、インスリン抵抗性の改善、動脈硬化の改善、創傷治癒促進、脂肪細胞の肥大化抑制、アミロイドβの脳内蓄積の抑制、アミロイドβの脳内蓄積の抑制、メラノサイトへの分化抑制、角化細胞への分化誘導等に使用することができる。本発明のPPAR活性化剤の好適な用途として、湿疹・皮膚炎、蕁麻疹、紅斑・紅皮症、水疱症、そばかす等の皮膚症状・疾患の予防又は治療;メタボリックシンドローム、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化等の生活習慣病の予防又は治療が例示される。
本発明のPPAR活性化剤は、経口、経腸、経粘膜、注射等の任意の投与形態で使用できるので、飲食品、化粧品、医薬品、ペットフード、飼料等の製品に配合して使用される。
また、本発明のPPAR活性化剤の剤型は、固形状、半固形状、液状等のいずれであってもよく、配合される製品の形態に応じて適宜設定される。本発明のPPAR活性化剤が配合される製品には、その形態等に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内で、水、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類、植物抽出エキス類、水溶性高分子、界面活性剤、金属石鹸、アルコール、多価アルコール、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、香料、粉体、増粘剤、色素、キレート剤等の添加剤を含有してもよい。また、本発明のPPARs活性化剤が配合される製品には、その形態や用途等に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、機能性成分を含有してもよい。機能性成分としては、例えば、ビタミンC、コラーゲン、スクワラン、ナイアシン、ナイアシンアミド、ヒアルロン酸、プラセンタエキス、ソルビトール、キチン、キトサン、各種植物抽出物等が挙げられる。これらの配合量については、本発明の効果を損なわない限り限定されない。
本発明のPPAR活性化剤を飲食品に使用する場合、本発明のPPAR活性化剤を単独で又は他の食品素材や添加成分と組み合わせて所望の形態に調製して、PPAR活性化用の飲食品として提供される。このような飲食品としては、一般の飲食品の他、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品、病者用食品等が挙げられる。これらの飲食品の形態として、特に制限されないが、具体的には、パン類、麺類等の主菜;チーズ、ハム、ウィンナー、魚介加工品等の副菜;果汁飲料、炭酸飲料、乳飲料等の飲料;クッキー、ケーキ、ゼリー、プリン、キャンディー、ヨーグルト等の嗜好品;錠剤、顆粒、粉剤、カプセル、ソフトカプセル、栄養ドリンク等のサプリメント等が例示される。なお、病者用食品については、PPAR活性低下に起因する疾病患者やPPARの活性化により症状の改善が見込まれる疾患の患者用の食事として使用することができる。
更に、本発明のPPAR活性化剤を飲食品に使用する場合、本発明のPPAR活性化剤を単独で又は他の成分と組み合わせて、PPAR活性化用の食品添加剤として提供することもできる。
本発明のPPAR活性化剤を飲食品に使用する場合、飲食品に対する該剤の配合割合(8位に二重結合を有するスフィンゴイドの配合割合)については、飲食品の形態等に応じて異なるが、例えば、0.0001〜10質量%、好ましくは0.001〜5質量%、更に好ましくは0.01〜1質量%が挙げられる。
また、本発明のPPAR活性化剤を化粧品に使用する場合、本発明のPPAR活性化剤を香粧学的に許容される基材や添加成分と組み合わせて所望の形態に調製して、PPAR活性化用の化粧品として提供される。このような化粧品の形態としては、特に制限されないが、具体的には、乳液、クリーム、化粧水(ローション)、パック、美容液、洗浄剤、メーキャップ化粧料等が挙げられる。
本発明のPPAR活性化剤を化粧料に使用する場合、化粧料に対する該剤の配合割合(8位に二重結合を有するスフィンゴイドの配合割合)については、化粧料の形態等に応じて異なるが、例えば、0.0001〜10質量%、好ましくは0.001〜5質量%、更に好ましくは0.01〜1質量%が挙げられる。
また、本発明のPPAR活性化剤を医薬品に使用する場合、本発明のPPAR活性化剤を単独で、又は他の薬理活性成分、薬学的に許容される基材や添加成分等と組み合わせて所望の形態に調製して、PPAR活性化用の医薬品として提供される。このような医薬品の形態としては、特に制限されないが、具体的には、錠剤、顆粒剤、粉剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤、シロップ剤等の経口投与製剤;外用剤、吸入剤、坐剤等の経皮又は経粘膜投与製剤;注射剤等が挙げられる。
本発明のPPAR活性化剤を医薬品として使用する場合、医薬品に対する該剤の配合割合(8位に二重結合を有するスフィンゴイドの配合割合)については、医薬品の形態等に応じて異なるが、例えば、0.0001〜10質量%、好ましくは0.001〜5質量%、更に好ましくは0.01〜1質量%が挙げられる。
本発明のPPAR活性化剤を飼料又はペットフードに使用する場合、本発明のPPAR活性化剤を単独で又は他の飼料成分と組み合わせて所望の形態に調製して、PPAR活性化用の飼料又はペットフードとして提供される。該飼料又はペットフードに使用される飼料成分としては、例えば、トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦等の穀類;ふすま、米ぬか等のぬか類;コーングルテンミール、コーンジャムミール等の粕類;脱脂粉乳、ホエー、魚粉、骨粉等の動物性飼料類;ビール酵母等の酵母類;リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウム類;ビタミン類;油脂類;アミノ酸類;糖類等が挙げられる。
本発明のPPAR活性化剤を飼料又はペットフードに使用する場合、飼料又はペットフードに対する該剤の配合割合(8位に二重結合を有するスフィンゴイドの配合割合)については、飼料又はペットフードの形態等に応じて異なるが、例えば、0.0001〜10質量%、好ましくは0.001〜5質量%、更に好ましくは0.01〜1質量%が挙げられる。
本発明のPPAR活性化剤の投与又は摂取量については、該剤の投与形態、投与対象者の年齢、期待される効果等に応じて、PPAR活性化に有効な量を適宜設定すればよい。例えば、経口投与又は摂取される場合であれば、8位に二重結合を有するスフィンゴイドとして成人1日あたりの投与又は摂取量を、通常0.01〜1000mg程度、好ましくは0.1〜100mg程度、更に好ましくは0.1〜30mg程度に設定すればよい。このような投与又は摂取量を充足することにより、生体内でPPAR活性化効果を有効に奏させることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
調製例1(コンニャクからの8位に二重結合を有するスフィンゴイドの調製)
コンニャクとび粉1kgを撹拌糟に仕込み、そこにエタノール2Lを加え、常温で2時間撹拌して混合物を得た。得られた混合物をろ過し、抽出物(抽出溶液)と残渣とに分離した。抽出溶液をエバポレーターにより濃縮し、茶褐色の蝋状濃縮物を約10g得た。
得られた濃縮物10gを、0.4NのKOH水溶液500mlにより25℃にて2時間弱アルカリ分解した後、混合溶媒(クロロホルム/メタノール/水=8/4/3、体積比)で再抽出を行った。クロロホルム相を減圧下濃縮乾固して、脂質8.6gを得た。
続いて、この脂質を4倍量のアセトンで2回洗浄した後、20倍量のエタノール、0.2倍量の活性炭を加え脱色処理し、黄白色固体1.4gを得た。この黄白色固体うち、1gをシリカゲルカラムに供給し、混合溶媒(酢酸エチル:エタノール=95:5(容量比)で共雑物を除き、90:10(容量比)で溶出)を用いてグルコシルセラミドを精製し、白色のグルコシルセラミド粉末0.6gを得た。得られたグルコシルセラミド粉末を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(島津製作所製、「CLASS−VP/LC−10」)と薄層クロマトグラフィー(TLC)(Merck社製 「Silica gel 60」)を用いて検出を行ったところ、他のピークやスポット等がほとんど見られなかった。共離ピークから純度を求めた結果、98%以上であった。
続いて、このグルコシルセラミド粉末を、1N含水メタノール性塩酸(メタノール濃度83質量%)中で、70℃で18時間加熱した。次いで、ヘキサンで脂肪酸メチルエステルを抽出除去後、4NのNaOHで中和し、さらにクロロホルム、メタノールを添加して、混合溶媒(クロロホルム/メタノール/水=1/1/1、体積比)として抽出することによってスフィンゴイド類を調製した。得られたスフィンゴイド類を、トリメチルシリル化剤(東京化成工業社製、「C0306」)を用いてトリメチルシリル化した。次いで、分析装置(Agilent社製、「6890N、5975C」)を用いてGC−MS分析を行ったところ、得られたスフィンゴイド類は、4,8‐スフィンガジエニン(54質量%)、4−ヒドロキシ‐8‐スフィンゲニン(40質量%)、及び8−スフィンゲニン等その他の微量スフィンゴイド(6質量%)の混合物であることが確認された。このスフィンゴイド類をさらにTLCにて分取することで、4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニンと4、8−スフィンガジエニンを得た(純度95%以上)
調製例2(酵母からの8位に二重結合を有するスフィンゴイドの調製)
サッカロマイセス クルイベリ(Saccharomyces kluyveri、NBRC 1685)を培養終了後、1000rpmで10分間遠心分離を行った。分離した菌体をPBSにて洗浄した後、1000rpmで10分間遠心分離を行った。遠心分離後の湿菌体を凍結乾燥機(International MI−SS社製FTS Dura−Stop MP and Dura Dry System)にて乾燥させた。約100gの乾燥菌体を共栓付遠沈管に採取し、秤量後、1200mlのメタノールを添加した。氷冷しながら10分の超音波ホモジナイザー(BRANSON製SONIFIER)処理を行い、次いで2400mlのクロロホルムを添加し氷冷しながら10分の超音波ホモジナイザー処理を行った。3000rpmで10分間の遠心分離後、上清を別の試験管に移した(A)。残さにクロロホルム:メタノールが2:1(容量比)混合液を1200ml添加し、氷冷しながら10分の超音波ホモジナイザー処理を行ない、3000rpmで10分間の遠心分離後、上清をAと同じ試験管に移した。残さに、クロロホルム:メタノールが1:2(容量比)混合液を1200ml添加し、氷冷しながら10分の超音波ホモジナイザー処理を行い、3000rpmで10分間の遠心分離後、上清をAと同じ試験管に移した。これをエバポレーターで乾燥させたところ3gの脂質画分を得た。
この脂質を用いて調製例1と同様に精製を行ったところ、8位に二重結合を有する9−メチル−4,8−スフィンガジエニンを得た。(純度95%以上)
実施例1(正常ヒト表皮角化細胞を用いたPPAR産生促進作用の効果の評価)
正常ヒト表皮角化細胞(クラボウ社製、「NHEK」)を、2.5×10細胞/ウェルとなるように、24ウェルプレート(IWAKI社製)に播種した。その後、37℃、5%COの環境下で、インキュベーター(ESPEC社製)を用いて培養を行った。3日に一度培地(商品名:Humedia−KG2、クラボウ社製)交換を行いながら、80%コンフレントな状態になるまで培養を継続した。
調製例1で得た4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン又は4,8−スフィンガジエニンを1mg/ml、5mg/ml、10mg/mlの濃度となるようにエタノール(ナカライテスク社製)に溶解した溶液を、培地(商品名:Humedia−KG2)(増殖添加剤不含有)で1000倍に希釈することにより試験培地を調製した。この試験培地(500μl/ウエル)を80%コンフレントな状態の細胞に培地交換して作用させた。
対照群として3種類の試験培地を用いた。即ち、溶媒であるエタノール、および動物由来のスフィンゴイドであって8位に二重結合を有さない4−スフィンゲニン(AVANTI POLAR LIPID社製)、すでにPPAR活性が報告されているフィトセラミド(Doosan Biotech社製のセラミド3をTLCにて精製後、純度95%以上にして利用)を用いて、上記と同条件で試験を行った。
培地を交換した直後から、37℃、5%COの環境下で24時間培養を行なった。24時間経過後、該培地をプレートから除去し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で細胞を洗浄した後、核酸抽出試薬であるISOGEN(ニッポンジーン社製)を各ウェル500μlずつ添加し懸濁することで細胞中のRNAを溶解させ、RNAを抽出した。次いで、逆転写酵素(タカラバイオ社製、RR037A)をRNA1000ngあたり1μl添加し、cDNAを得た。
得られたcDNAを用い、リアルタイムPCR(アプライドシステムズジャパン社製)を使用して、各PPAR遺伝子量の半定量を行った。その定量結果を表1に示す。なお、表1は、エタノールを単独で含む試験培地(スフィンゴイド及びフィトセラミド不含有)を用いた場合の各PPAR遺伝子の発現量を基準値(100)として、各PPAR遺伝子の発現量の相対値を算出した結果である。
表1から明らかなように、4−スフィンゲニンではPPARの産生促進が殆ど認められなかったのに対して、4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン及び4,8−スフィンガジエニンでは、陽性コントロールであるフィトセラミドを遥かに凌ぐPPAR産生促進が認められた。この結果から、8位に二重結合を有するスフィンゴイドには、強いPPARの産生促進作用があることが明らかとなった。
Figure 0005827519
実施例2(マウス繊維芽細胞を用いたPPAR活性化作用の評価)
小腸上皮細胞株IEC−6又は肝細胞株HepG2を12wellプレートに播種しDMEM(和光純薬製、5%FBS(Invitrogen社製))中で一日培養した。これらの細胞に対して、PPAR応答配列であるAGGTCA−N−AGGTCA(Nは任意の塩基)(配列番号1)を含むDNA鎖、SV40プロモーター遺伝子、及び蛍ルシフェラーゼ遺伝子を含むPPARレポータープラスミド(PPAR−Luc)を0.5μg/wellとなるようにリポフェクタミン2000(Invitorgen社製)を用いて形質転換を行った。別途、調製例1で得た4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン又は4,8−スフィンガジエニンを1mg/ml、5mg/ml、10mg/mlの濃度となるようにエタノール(ナカライテスク社製)に溶解した溶液を、DMEM培地(FBS不含有、250μMのBSA添加)で1000倍に希釈することにより試験培地を調製した。この試験培地(1ml/ウエル)を、上記で得られた形質転換体に培地交換して作用させた。培地交換から24時間培養後に、形質転換体をPBS(和光純薬製)で洗浄を行いルシフェラーゼ定量システム(Promega社製)のプロトコールに基づいて細胞の回収と発光を測定して、PPAR活性化作用を数値化した。
対照群として3種類の試験培地を用いた。即ち、溶媒であるエタノール、8位に二重結合を有さない4−スフィンゲニン(AVANTI POLAR LIPID社製)、すでにPPAR活性が報告されているフィトセラミド(Doosan Biotech社製のセラミド3をTLCにて精製後、純度95%以上にして利用)を用いて、上記と同条件で試験を行った。
得られた結果を表2に示す。表2は、エタノールを単独で含む試験培地(スフィンゴイド及びフィトセラミド不含有)を用いた場合の細胞の蛍光強度を基準値(100)として、各細胞の蛍光強度の相対値を算出した結果である。
表2から明らかなように、4−スフィンゲニンではPPARの活性化作用が殆ど認められなかったのに対して、4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニン及び4,8−スフィンガジエニンでは、陽性コントロールであるフィトセラミドを遥かに凌ぐPPAR活性化が認められた。この結果から、8位に二重結合を有するスフィンゴイドには、PPARの産生量を増やすだけでなく、その活性の上昇させることが明らかとなった。
Figure 0005827519

Claims (4)

  1. 炭素数が16〜22であり、3位及び4位の少なくも一方に水酸基が置換されており、8位に二重結合を有するスフィンゴイドを有効成分とする、経口用ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤(ただし、コラーゲン産生促進用途を除く。)
  2. 前記スフィンゴイドが、植物及び/又は菌類由来のスフィンゴ脂質を加水分解して得られるものである、請求項1に記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤。
  3. 前記スフィンゴイドが、4,8−スフィンガジエニン及び/又は4−ヒドロキシ−8−スフィンゲニンである、請求項1又は2に記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤。
  4. メタボリックシンドローム、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症、又は動脈硬化の予防又は治療に使用される、請求項1〜のいずれかに記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤。
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