JP5827131B2 - L−グルタミンまたはl−グルタミン酸の製造法 - Google Patents

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    • C12P13/14Glutamic acid; Glutamine

Description

本発明は、L−グルタミンまたはL−グルタミン酸の効率的な生産のために用いる微生物、および該微生物を培地に培養することを特徴とするL−グルタミンまたはL−グルタミン酸の効率的な製造法に関する。
発酵法によるL−グルタミンの製造方法としてはアザセリン耐性を付与したコリネ型細菌を用いる方法(特許文献1)、6−ジアゾ−5−オキソ−ノルロイシン耐性を付与したコリネ型細菌を用いる方法(特許文献2)などアミノ酸アナログ耐性を付与した変異株を用いる方法、L−グルタミンの合成に関わるグルタミンシンテターゼ活性を増強する方法などがあげられる。L−グルタミンの合成に関わるグルタミンシンテターゼ活性を増強する方法の具体例としては、アデニリル化による制御を行なうグルタミンシンテターゼ・アデニリルトランスフェラーゼの活性低下(非特許文献1、特許文献3)、アデニリル化を受けるグルタミンシンテターゼの405番目のアミノ酸残基の置換(非特許文献1、特許文献4)およびPIIタンパク質の活性低下(非特許文献2、特許文献3)などが知られている。
発酵法によるL−グルタミン酸の製造方法としてはコリネ型細菌およびその変異株をビオチン制限条件下で培養する方法、あるいはペニシリンや界面活性剤を添加して培養する方法が知られている(非特許文献3)。
細菌において染色体DNAの超らせん構造がリボソーマルRNAやトランスファーRNAの合成を制御する上で重要な役割を果たしていることが明らかにされている。II型DNAトポイソメラーゼの一種であるDNAジャイレースは、二本鎖DNAを切断、再結合する活性を有し、ATPの存在下で正の超らせんDNAまたは緩和型DNAを負の超らせんDNAに変換する。エシェリヒア・コリのDNAジャイレース変異株ではL−ヒスチジン合成に関与するオペロンの発現量が上昇すること、His-tRNAを含むいくつかのtRNAの発現が低下していることが知られている(非特許文献4)。一方、I型DNAトポイソメラーゼはDNAの片鎖を切断する活性を有し、超らせんDNAを緩和する。
エシェリヒア・コリはI型DNAトポイソメラーゼを欠損するとHis-tRNA、Tyr-tRNAの発現が向上することが知られている(非特許文献5)。さらにこの効果はI型もしくはIV型DNAトポイソメラーゼのサブユニットをコードする遺伝子がクローニングされたプラスミドを導入することで、補完されることが知られている(非特許文献5)。
L−ヒスチジン生産能を有するエシェリヒア・コリにDNAジャイレース阻害剤に対する耐性を付与することでL−ヒスチジン生産性が向上することが知られている(特許文献5)。しかし、DNAトポロジーに関わる酵素がL−ヒスチジン以外のアミノ酸の生産性向上に関わっていることおよびDNAトポロジーに関わる酵素の改変により、L−グルタミン、L−グルタミン酸などL−ヒスチジン以外のL−アミノ酸の生産性を向上させることができることはこれまで全く知られていない。
特開昭55-148094号公報 特開平3-232497号公報 特開2002-300887号公報 特開2003-164297号公報 特開2001-157596号公報
FEMS Microbiology Letters, 201, 91(2001) FEMS Microbiology Letters, 173, 303(1999) アミノ酸発酵 195-215(学会出版センター、1986) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84,517(1987) Molecular Microbiology, 14, 151(1994)
微生物を用いた効率的なL−グルタミン又はL−グルタミン酸の製造法を提供する。
本発明は以下の(1)〜(4)に関する。
(1)L-グルタミン又はL-グルタミン酸を生産する能力を有し、かつ二本鎖DNAの超らせんの形成能が親株に比べて低下した微生物を培地に培養し、該培地中にL−グルタミン又はL-グルタミン酸を生成、蓄積せしめ、該培地中からL−グルタミン又はL−グルタミン酸を採取することを特徴とする、L−グルタミン又はL-グルタミン酸の製造法。
(2)微生物が、親株に比べてDNAジャイレース活性が低下した微生物である、(1)のL-グルタミン又はL-グルタミン酸の製造法。
(3)親株に比べてDNAジャイレース活性が低下した微生物が、親株に比べてDNAジャイレース阻害蛋白質の活性が向上した微生物である、(2)のL-グルタミン又はL-グルタミン酸の製造法。
(4)微生物が、親株に比べてトポイソメラーゼ活性が向上した微生物である、(1)のL-グルタミン又はL-グルタミン酸の製造法。
本発明により、微生物を用いた効率的なL−グルタミンまたはL−グルタミン酸の製造法を提供することができる。
1.本発明の製造法で用いる微生物
本発明の製造法で用いる、L−グルタミン又はL−グルタミン酸を生産する能力を有し、かつ二本鎖DNAの超らせんの形成能が親株に比べて低下した微生物とは、当該微生物の細胞内に存在するDNAのうち、超らせん構造をとるDNAの割合が親株に比べて低下している微生物をいう。
具体的には(1)親株に比べてDNAジャイレース活性が低下した微生物または(2)親株に比べてDNAトポイソメラーゼ活性が向上した微生物をあげることができる。
本発明においてDNAジャイレース活性とは、II型DNAトポイソメラーゼとして知られるDNAジャイレースの有する活性をいい、ATPの存在下で正の超らせんDNAまたは弛緩型のDNAに負の超らせんを導入する活性をいう。
本発明においてDNAトポイソメラーゼ活性とは、I型またはIV型のDNAトポイソメラーゼが有する活性をいい、DNAの超らせんを解消する活性をいう。
微生物の有するDNAジャイレース活性はAshiuchiらの方法(The Journal of Biological Chemistry, 277 (42), 39070-39073, 2002)により測定することができる。また、DNAジャイレース活性又はDNAトポイソメラーゼ活性は、微生物細胞中のプラスミドDNAにおける超らせんDNAの割合を、Mizushimaらの方法(Molecular Microbiology 23:381-386,1997)で解析することにより測定することができる。
ここで、本明細書中における親株とは、二本鎖DNAの超らせん形成能を低下させる元となる株であり、野生株であってもよいし、該野生株から人工的に育種された株でもよく、また親株はL−グルタミン又はL−グルタミン酸を生成する能力を有していてもよいし、有していなくてもよい。親株が有するL−グルタミン又はL−グルタミン酸を生成する能力は、該親株が元来有するものであっても良いし、後述する方法によって人工的に付与されるものであっても良い。親株がL−グルタミン又はL−グルタミン酸を生成する能力を有していない場合、該親株のDNAの超らせん形成能を低下させた後、後述する方法によってL−グルタミン又はL−グルタミン酸を生成する能力を人工的に付与することにより、本発明の方法で用いられる微生物を取得することができる。
親株としては、例えば、Neidhardt, F.C.らにより記載されている細菌(Escherichia coli and Salmonella, Editor in Chief: F.C. Neidhardt, ASM Press, Wachington D.C., 1996, (1201ページ、Table 1)をあげることができる。好ましくは、例えば、エシェリヒア属、セラチア属、バチルス属、ブレビバクテリウム属、コリネバクテリウム属、シュードモナス属又はストレプトマイセス属等に属する細菌を挙げることができ、より好ましい細菌としてはエシェリヒア・コリ、コリネバクテリウム・グルタミクム、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス、コリネバクテリウム・ラクトファーメンタム、コリネバクテリウム・フラバム、コリネバクテリウム・エフィシェンス、バチルス・サチルス、バチルス・メガテリウム、セラチア・マルセッセンス、シュードモナス・プチダ、シュードモナス・エルギノーサ、ストレプトマイセス・セリカラー又はストレプトミセス・リビダンスを挙げることができ、特に好ましくはエシェリヒア・コリおよびコリネバクテリウム・グルタミカムを挙げることができる。
微生物にL−グルタミン又はL−グルタミン酸を生成する能力を人工的に付与する方法としては、
(a)L-グルタミン又はL-グルタミン酸の生合成を制御する機構の少なくとも1つを緩和又は解除する方法、
(b)L-グルタミン又はL-グルタミン酸の生合成に関与する酵素の少なくとも1つを発現強化する方法、
(c)L-グルタミン又はL-グルタミン酸の生合成に関与する酵素遺伝子の少なくとも1つのコピー数を増加させる方法、
(d)L-グルタミン又はL-グルタミン酸の生合成経路から該アミノ酸以外の代謝産物へ分岐する代謝経路の少なくとも1つを弱化又は遮断する方法、及び
(e)野生型株に比べ、L-グルタミン又はL-グルタミン酸のアナログに対する耐性度が高い細胞株を選択する方法、
などをあげることができ、上記公知の方法は単独又は組み合わせて用いることができる。
上記(a)〜(e)のいずれか、又は組み合わせた方法によるL-グルタミン又はL−グルタミン酸を生産する能力を有する微生物の調製方法については、Biotechnology 2nd ed., Vol.6, Products of Primary Metabolism (VCH Verlagsgesellschaft mbH, Weinheim, 1996) section 14a, 14bやAdvances in Biochemical Engineering/ Biotechnology, 79, 1-35 (2003)、Agric. Biol. Chem., 51, 2089-2094(1987)、アミノ酸発酵、学会出版センター、相田 浩ら(1986)に多くの例が記載されており、また上記以外にも具体的なアミノ酸を生産する能力を有する微生物の調製方法は、特開2003-164297、Agric. Biol. Chem., 39, 153-160 (1975)、Agric. Biol. Chem., 39, 1149-1153(1975)、特開昭58-13599、J. Gen. Appl. Microbiol., 4, 272-283(1958)、特開昭63-94985、Agric. Biol. Chem., 37, 2013-2023(1973)、WO97/15673、特開昭56-18596、特開昭56-144092、特表2003-511086およびWO2006/001380など数多くの報告があり、上記文献等を参照することによりL-グルタミン又はL−グルタミン酸を生産する能力を有する微生物を調製することができる。
上記方法によって調製することができるL-グルタミン又はL−グルタミン酸を生産する能力を有する微生物としては、例えばL-グルタミン生産菌としてエシェリヒア・コリ JGLE1およびエシェリヒア・コリ JGLBE1(WO2006/001379)、コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032株、GLA2株、GS2株、ATCC13032/pGlnA2(WO2006/001380 )、FERM P-4806およびATCC14751株など、L-グルタミン酸生産菌としてFERM BP-5807およびATCC13032をあげることができる。
上記したL-グルタミン又はL-グルタミン酸を生産する能力を有する微生物の調製に用いることができる微生物としては、上記(a)〜(e)の方法を適用することができる微生物又は上記遺伝的形質を有する微生物であればいずれの微生物であってもよく、好ましくは上記の本発明の製造法で用いる微生物の親株として用いることができる微生物をあげることができる。
(1)親株に比べてDNAジャイレース活性が低下した微生物
親株に比べてDNAジャイレース活性が低下した微生物とは、(A)染色体DNA上のDNAジャイレースをコードする遺伝子の内部またはその発現調節領域の変異により、親株に比べて細胞内のDNAジャイレース活性が低下した微生物、又は(B)染色体DNA上のDNAジャイレースを阻害する活性を有するタンパク質(以下、DNAジャイレース阻害タンパク質)をコードする遺伝子の内部若しくはその調節領域の変異により、又はDNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNAで形質転換されることによりDNAジャイレース阻害タンパク質の発現量が増加し、親株に比べて細胞内のDNAジャイレース活性が低下した微生物をいう。
また、本発明において親株に比べてDNAジャイレース活性が低下した微生物とは、親株に比べてDNAジャイレースの活性が低くなった微生物であればいかなる微生物でもよいが、好ましくはDNAジャイレースの活性が親株に比べて20%、好ましくは30%、より好ましくは50%低下した微生物をいう。
本発明においてDNAジャイレースとは、配列番号44で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質(以下、GyrAタンパク質ともいう)および配列番号46で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質(以下、GyrBタンパク質ともいう)からなる複合体タンパク質、又はGyrAタンパク質およびGyrBタンパク質の、それぞれの相同タンパク質からなる複合体タンパク質をいう。
配列番号44若しくは46で表されるアミノ酸配列の相同タンパク質としては、それらアミノ酸配列のいずれかと80%以上の相同性を有するアミノ酸配列とは、例えば、配列番号44若しくは46に示されるアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%、特に98%又は最も好ましくは99%以上の相同性を有するアミノ酸配列をあげることができる。
アミノ酸配列の相同性は、Karlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST[Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 5873(1993)]やFASTA[Methods Enzymol., 183, 63 (1990)]を用いて決定することができる。このアルゴリズムBLASTに基づいて、BLASTNやBLASTXとよばれるプログラムが開発されている[J. Mol. Biol., 215, 403(1990)]。BLASTに基づいてBLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメータは例えばscore=50、wordlength=3とすることができる。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いることができる。
(A)染色体DNA上のDNAジャイレースをコードする遺伝子の内部またはその調節領域の変異により、親株に比べて細胞内のDNAジャイレース活性が低下した微生物
本発明における染色体DNA上のDNAジャイレースをコードする遺伝子の内部またはその発現調節領域の変異には、DNAジャイレースの発現量を低下させる変異およびDNAジャイレース1分子あたりの活性を低下させる変異を含む。
DNAジャイレースをコードするDNAとしては例えば、Entrez Gene ID NO: 946614で特定される塩基配列を有する、Escherichia coligyrA遺伝子の塩基配列を有するDNA又はEntrez Gene ID NO: 948211で特定される塩基配列を有する、Escherichia coligyrB遺伝子の塩基配列を有するDNA、およびそれらの遺伝子のホモログ遺伝子の塩基配列を有するDNAをあげることができる。
ホモログ遺伝子の塩基配列を有するDNAとしては、配列番号43若しくは45で表される塩基配列と少なくとも80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の相同性を有するDNAをあげることができる。
塩基配列の相同性は、Karlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST[Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 5873(1993)]やFASTA[Methods Enzymol., 183, 63 (1990)]を用いて決定することができる。BLASTに基づいてBLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメータは例えばScore=100、wordlength=12とし得る。
DNAジャイレースをコードするDNAは、公知のDNAジャイレースをコードするDNAの塩基配列情報に基づいて、親株よりPCR法等により取得することができる。
親株に比べてDNAジャイレース活性が低下した微生物は、例えば、DNAジャイレース阻害剤に耐性を有する微生物として取得することができる。
DNAジャイレース阻害剤に耐性を有する微生物とは、自発的な変異導入、もしくは紫外線照射やN−メチル−N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)などの突然変異誘発剤による通常の変異処理を施し、該変異株を親株が生育できないか、または生育が不良となる濃度のDNAジャイレース阻害剤を含む寒天平板培地上で通常の条件下で培養し、生じたコロニーのうちで親株よりも生育が速いか大きなコロニーを生ずる株を選択することにより、DNAジャイレース阻害剤に対する耐性の付与された株として取得することができる。
このようなDNAジャイレース活性が低下した微生物の調製に用いることができるDNAジャイレース阻害剤は、DNAジャイレースを阻害する物質であればいずれでも用いることができ、例えば、ナリジクス酸(nalidixic acid)、オキソリン酸(oxolinic acid)、クーママイシン(coumermycin)、ノボビオシン(novobiocin)またはこれらのアルカリ金属塩などが用いられる。DNAジャイレース阻害剤としては、好ましくはナリジクス酸を用いることができる。
また、DNAジャイレース阻害剤耐性株としては、好ましくは5mg/Lのナリジクス酸を含む培地上で生育可能な微生物を用いることができ、該微生物としてはエシェリヒア・コリをあげることができる。
DNAジャイレース阻害剤耐性株として取得することができる、本発明の製造法で用いることができる微生物としては、例えば、ナリジクス酸耐性株であるエシェリヒア・コリNAR01株、NAR02およびNAR03株ならびにコリネバクテリウム・グルタミカムGNA1株およびGNA2株があげられる。
また、親株に比べてDNAジャイレース活性が低下した微生物は、該親株のDNAジャイレースをコードする遺伝子の内部またはその発現調節領域に人為的かつ部位特異的に、DNAジャイレースの活性を低下させるような変異を導入することにより取得することもできる。
そのようなDNAジャイレースをコードする遺伝子の発現調節領域に導入する変異としては、該遺伝子のプロモーターをより効率の低いものに置換することなどがあげられる。
DNAジャイレースをコードする遺伝子の内部またはその発現調節領域への部位得意的な変異の導入は、公知の方法によりDNAジャイレースをコードする遺伝子の内部またはその発現調節領域に目的とする変異を導入したDNA断片を作製し、親株の染色体DNA上の目的の領域と置換することにより行うことができる。
部位特異的な変異を導入する方法としては、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)(以下、モレキュラー・クローニング第2版と略す)、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1987-1997)(以下、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジーと略す)、Nucleic Acids Research, 10, 6487 (1982)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409(1982)、Gene, 34, 315 (1985)、Nucleic Acids Research, 13, 4431 (1985)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488 (1985)等に記載の方法をあげることができる。
変異を有するDNA断片を親株へ導入する方法としては、例えば、ファージ由来のλ Redリコンビナーゼを用いる方法[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97, 6640 (2000), Mol. Microbiol., 55, 137(2005), Biosci. Biotechnol. Biochem., 71, 2905 (2007)]をあげることができる。
さらに、変異体DNAと共に染色体上に組み込まれた枯草菌レバンシュークラーゼによって大腸菌がシュークロース感受性となることを利用した選択法や、ストレプトマイシン耐性の変異rpsL遺伝子を有する大腸菌に野生型rpsL遺伝子を組み込むことによって大腸菌がストレプトマイシン感受性となることを利用した選択法[Mol. Microbiol., 55, 137(2005), Biosci. Biotechnol. Biochem., 71, 2905 (2007)]等を用いて、親株の染色体上のDNAが変異体DNAに置換された株を取得することができる。
また上記の方法に限らず、微生物の染色体上の遺伝子を置換できる方法であれば他の遺伝子置換法も用いることができる。
親株のDNAジャイレースをコードする遺伝子の内部に部位特異的に変異を導入することによって取得することができる、本発明の製造法で用いることができる微生物としては、例えば、gyrA遺伝子の変異株であるエシェリヒア・コリGYR1株およびGYR2株、gyrB遺伝子の変異株であるエシェリヒア・コリGYR3株をあげることができる。
(B)染色体DNA上のDNAジャイレース阻害タンパク質をコードする遺伝子の内部若しくはその調節領域の変異により、又はDNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNAで形質転換されることにより親株よりDNAジャイレース阻害タンパク質の活性が向上し、親株に比べて細胞内のDNAジャイレース活性が低下した微生物
本発明で用いる親株に比べて細胞内のDNAジャイレース活性が低下した微生物としては、(I)親株の染色体DNA上のDNAジャイレース阻害タンパク質をコードする遺伝子の内部若しくはその調節領域に変異を導入することにより、又は(II)親株をDNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNAで形質転換することにより、親株に比べてDNAジャイレース活性が低下した微生物も用いることができる。
DNAジャイレース阻害タンパク質としては、配列番号20で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質およびそのホモログタンパク質をあげることができる。ホモログタンパク質としては、DNAジャイレース阻害活性を有し、かつ配列番号20で表されるアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質をあげることができる。
アミノ酸配列や塩基配列の相同性は、Karlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST[Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 5873(1993)]やFASTA[Methods Enzymol., 183, 63 (1990)]を用いて決定することができる。このアルゴリズムBLASTに基づいて、BLASTNやBLASTXとよばれるプログラムが開発されている[J. Mol. Biol., 215, 403(1990)]。BLASTに基づいてBLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメータは例えばScore=100、wordlength=12とする。また、BLASTに基づいてBLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメータは例えばscore=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法はよく知られている。
DNAジャイレース阻害活性は、例えばDNAジャイレース阻害タンパク質を強発現する微生物の有するDNAジャイレース活性をMizushimaらの方法により測定することができる。
(I)親株の染色体DNA上にあるDNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNAを改変することにより得られる、親株に比べDNAジャイレース活性が低下した微生物
DNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNAとしては例えば、Entrez Gene ID NO: 948467で特定される塩基配列を有する、murI遺伝子の塩基配列を有するDNAおよびそのホモログ遺伝子の塩基配列を有するDNAをあげることができる。murI遺伝子の塩基配列を有するDNAとしては、配列番号19で表される塩基配列を有するDNAをあげることができる。
ホモログ遺伝子をコードするDNAとしては、配列番号19で表される塩基配列からなるDNAと少なくとも90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の相同性を有するDNAをあげることができる。
塩基配列の相同性は、Karlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST[Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 5873(1993)]やFASTA[Methods Enzymol., 183, 63 (1990)]を用いて決定することができる。BLASTに基づいてBLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメータは例えばScore=100、wordlength=12とし得る。
DNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNAは、公知のDNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNAの塩基配列情報に基づいて、親株よりPCR法等により取得することができる。
親株の染色体DNA上の、DNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNAの改変により得られる、親株より該タンパク質の比活性が向上した微生物としては、親株が有する該タンパク質のアミノ酸配列において1アミノ酸以上、好ましくは1〜10アミノ酸、より好ましくは1〜5アミノ酸、さらに好ましくは1〜3アミノ酸が置換しているアミノ酸配列を有するタンパク質を有しているため、親株のDNAジャイレース阻害タンパク質と比較して、その活性が向上した変異型タンパク質を有する微生物をあげることができる。
親株の染色体DNA上の、DNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNAの改変により得られる、親株よりDNAジャイレース阻害タンパク質の生産量が向上した微生物としては、親株の染色体DNA上に存在する該タンパク質をコードする遺伝子の転写調節領域又はプロモーター領域の塩基配列において1塩基以上、好ましくは1〜10塩基、より好ましくは1〜5塩基、さらに好ましくは1〜3塩基の塩基が置換しているプロモーター領域を有しているため、親株のDNAジャイレース阻害タンパク質の生産量と比較して、該タンパク質の生産量が向上している微生物をあげることができる。
DNAジャイレース阻害タンパク質の活性が親株より高い微生物のうち、比活性が親株のDNAジャイレース阻害タンパク質より高い微生物は、DNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNAをin vitroにおける変異剤を用いた変異処理、又はエラープローンPCRなどに供することにより該DNAに変異を導入した後、該変異DNAを親株の染色体DNA上に存在する変異導入前のDNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNAと公知の方法[Proc. Natl. Acad. Sci. U S A., 97, 6640 (2000)]を用いて置換することにより該変異DNAを発現する改変体を作成し、上記した方法により親株と改変体のDNAジャイレース活性を比較することにより取得することができる。
また、DNAジャイレース阻害タンパク質の活性が親株より高い微生物のうち、該タンパク質の生産量が親株の生産量より向上している微生物は、親株が有するDNAジャイレース阻害タンパク質をコードする遺伝子の転写調節領域及びプロモーター領域、例えば該遺伝子の開始コドンの上流側200bp、好ましくは100bpの塩基配列を有するDNAをin vitroにおける変異処理、又はエラープローンPCRなどに供することにより該DNAに変異を導入した後、該変異DNAを親株の染色体DNA上に存在する変異導入前のDNAジャイレース阻害タンパク質をコードする遺伝子の転写調節領域及びプロモーター領域と公知の方法[Proc. Natl. Acad. Sci. U S A., 97, 6640 (2000)]を用いて置換することにより変異型の転写調節領域又はプロモーター領域を有する改変体を作成し、RT−PCR又はノーザンハイブリダイゼーションなどにより、親株と改変体のDNAジャイレース阻害タンパク質をコードする遺伝子の転写量を比較する方法、又はSDS−PAGEなどにより親株と改変体のDNAジャイレース阻害タンパク質の生産量を比較する方法により確認することができる。
また、親株のDNAジャイレース阻害タンパク質をコードする遺伝子のプロモーター領域を公知の強力なプロモーター配列と置換することによっても、親株よりDNAジャイレース阻害タンパク質の生産量が向上した微生物を取得することもできる。
そのようなプロモーターとしては、E. coliで機能するtrpプロモーター(Ptrp)、lacプロモーター(Plac)、PLプロモーター、PRプロモーター、PSEプロモーター等の、エシェリヒア・コリやファージ等に由来するプロモーター、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター等をあげることができる。またPtrpを2つ直列させたプロモーター、tacプロモーター、lacT7プロモーター、let Iプロモーターなどの人為的に造成したプロモーターもあげることができる。
さらにBacillus属に属する微生物中で発現させるためのxylAプロモーター[Appl. Microbiol. Biotechnol., 35, 594-599 (1991)]やCorynebacterium属に属する微生物中で発現させるためのP54-6プロモーター[Appl. Microbiol. Biotechnol., 53, 674-679 (2000)]なども用いることができる。
DNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNAは、例えば配列番号20で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNAの塩基配列に基づき設計することができるプローブDNAを用いた、E. coliなどの微生物の染色体DNAライブラリーに対するサザンハイブリダイゼーション、又は該塩基配列に基づき設計することができるプライマーDNAを用いた、微生物、好ましくはE. coliの染色体DNAを鋳型としたPCR[PCR Protocols, Academic Press (1990)]により取得することができる。
また、各種の遺伝子配列データベースに対して配列番号20で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNAの塩基配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の相同性を有する配列を検索し、該検索によって得られた塩基配列に基づき、該塩基配列を有する微生物の染色体DNA、cDNAライブラリー等から上記した方法によりDNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNAを取得することもできる。
取得したDNAをそのまま、あるいは適当な制限酵素などで切断し、常法によりベクターに組み込み、得られた組換え体DNAを宿主細胞に導入した後、通常用いられる塩基配列解析方法、例えばジデオキシ法 [Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 74, 5463 (1977)]又は3700 DNAアナライザー(アプライドバイオシステムズ社製)等の塩基配列分析装置を用いて分析することにより、該DNAの塩基配列を決定することができる。
上記のベクターとしては、pBluescriptII KS(+)(ストラタジーン社製)、pDIRECT[Nucleic Acids Res., 18, 6069 (1990)]、pCR-Script Amp SK(+)(ストラタジーン社製)、pT7Blue(ノバジェン社製)、pCR II(インビトロジェン社製)及びpCR-TRAP(ジーンハンター社製)などをあげることができる。
宿主細胞としては、Escherichia属に属する微生物などをあげることができる。Escherichia属に属する微生物としては、例えば、E. coli XL1-Blue、E. coli XL2-Blue、E. coliDH1、E. coli MC1000、E. coli ATCC 12435、E. coliW1485、E. coli JM109、E. coli HB101、E. coliNo.49、E. coli W3110、E. coli NY49、E. coliMP347、E. coli NM522、E. coli BL21、E. coliME8415等をあげることができる。
組換え体DNAの導入方法としては、上記宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、カルシウムイオンを用いる方法[Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 69, 2110 (1972)]、プロトプラスト法(特開昭63-248394)、エレクトロポレーション法[Nucleic Acids Res., 16, 6127 (1988)]等をあげることができる。
塩基配列を決定した結果、取得されたDNAが部分長であった場合は、該部分長DNAをプローブに用いた、染色体DNAライブラリーに対するサザンハイブリダイゼーション法等により、全長DNAを取得することができる。
更に、決定されたDNAの塩基配列に基づいて、パーセプティブ・バイオシステムズ社製8905型DNA合成装置等を用いて化学合成することにより目的とするDNAを調製することもできる。
上記のようにして取得されるDNAとして、例えば、配列番号20で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA、及び配列番号19で表される塩基配列を有するDNAをあげることができる。
(II)DNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNAで形質転換して得られる微生物
親株をDNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNAで形質転換して得られる微生物としては:
[1]配列番号20で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質またはそのホモログタンパク質、並びに
[2]配列番号19で表される塩基配列を有するDNAまたはmurI遺伝子のホモログ遺伝子の塩基配列を有するDNA;
を用いて親株を形質転換して得られる微生物をあげることができる。
該微生物としては、外来のDNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNAを(i)染色体DNA上に有する微生物、及び(ii)染色体外に有する微生物をあげることができる。すなわち、(i)の微生物は、親株がDNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNAを保有していない場合は、新たに導入された該DNAを1つ又は2つ以上、染色体DNA上に有する微生物であり、親株がDNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNAを元来保有する場合には、新たに導入された該DNAを含む2つ以上のDNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNAを染色体DNA上に有する微生物である。(ii)の微生物は、DNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNAをプラスミドDNA上に有する微生物である。
該微生物は以下のようにして調製することができる。
DNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNAをもとにして、必要に応じて、DNAジャイレース阻害タンパク質をコードする部分を含む適当な長さのDNA断片を調製する。また、DNAジャイレース阻害タンパク質をコードする部分の塩基配列を、宿主細胞での発現に最適なコドンとなるように塩基を置換することにより、転写効率が良いDNA断片を調製することができる。
該DNA断片を適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入することにより、組換え体DNAを作製する。
該組換え体DNAを、該発現ベクターに適合した宿主細胞に導入することにより、DNAジャイレース阻害タンパク質の活性が宿主細胞、すなわち親株より向上した形質転換体を得ることができる。
発現ベクターとしては、上記宿主細胞において自律複製可能又は染色体中への組込みが可能で、DNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNAを転写できる位置にプロモーターを含有しているものが用いられる。
原核生物を宿主細胞として用いる場合は、DNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNAを有する組換え体DNAは、原核生物中で自律複製可能であると同時に、プロモーター、リボソーム結合配列、DNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNA、転写終結配列より構成された組換え体DNAであることが好ましい。プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
発現ベクターとしては、pColdI(タカラバイオ社製)、pCDF-1b、pRSF-1b(いずれもノバジェン社製)、pMAL-c2x(ニューイングランドバイオラブス社製)、pGEX-4T-1(ジーイーヘルスケアバイオサイエンス社製)、pTrcHis(インビトロジェン社製)、pSE280(インビトロジェン社製)、pGEMEX-1(プロメガ社製)、pQE-30(キアゲン社製)、pET-3(ノバジェン社製)、pKYP10(特開昭58-110600)、pKYP200[Agric. Biol. Chem., 48, 669 (1984)]、pLSA1[Agric. Biol. Chem., 53, 277 (1989)]、pGEL1[Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 82, 4306 (1985)]、pBluescriptII SK(+)、pBluescript II KS(-)(ストラタジーン社製)、pTrS30 [エシェリヒア・コリ JM109/pTrS30(FERM BP-5407)より調製]、pTrS32 [エシェリヒア・コリJM109/pTrS32(FERM BP-5408)より調製]、pPAC31 (WO98/12343)、pUC19 [Gene, 33, 103 (1985)]、pSTV28(タカラバイオ社製)、pUC118(タカラバイオ社製)、pPA1(特開昭63-233798)等を例示することができる。
プロモーターとしては、E. coli等の宿主細胞中で機能するものであればいかなるものでもよい。例えば、trpプロモーター(Ptrp)、lacプロモーター(Plac)、PLプロモーター、PRプロモーター、PSEプロモーター等の、E. coliやファージ等に由来するプロモーター、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター等をあげることができる。またPtrpを2つ直列させたプロモーター、tacプロモーター、lacT7プロモーター、let Iプロモーターのように人為的に設計改変されたプロモーター等も用いることができる。
さらにBacillus属に属する微生物中で発現させるためのxylAプロモーター[Appl. Microbiol. Biotechnol., 35, 594-599 (1991)]やCorynebacterium属に属する微生物中で発現させるためのP54-6プロモーター[Appl. Microbiol. Biotechnol., 53, 674-679 (2000)]なども用いることができる。
リボソーム結合配列であるシャイン−ダルガノ(Shine-Dalgarno)配列と開始コドンとの間を適当な距離(例えば6〜18塩基)に調節したプラスミドを用いることが好ましい。
DNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNAを発現ベクターに結合させた組換え体DNAにおいては、転写終結配列は必ずしも必要ではないが、構造遺伝子の直下に転写終結配列を配置することが好ましい。
このような組換え体DNAとしては、例えばプラスミドpSMurIをあげることができる。
該組換え体DNAの宿主としては、本発明で用いる微生物の親株を用いることができる。
本発明の製造法で用いることができる、DNAジャイレース阻害タンパク質をコードするDNAで形質転換して得られる微生物としては、エシェリヒア・コリJP/pTyeiG/pSMurIをあげることができる。
(2)親株に比べてDNAトポイソメラーゼ活性が向上した微生物
本発明における親株に比べDNAトポイソメラーゼ活性が向上した微生物としては、(A)親株の染色体DNA上にあるI型又はIV型のDNAトポイソメラーゼをコードするDNAを改変することにより得られる、(I)親株より該酵素の比活性が向上した微生物、および(II)親株よりI型又はIV型のDNAトポイソメラーゼの生産量が向上した微生物、ならびに(B)親株をI型又はIV型のDNAトポイソメラーゼをコードするDNAで形質転換して得られる微生物をあげることができる。
I型又はIV型のDNAトポイソメラーゼとしては、以下の[3]または[4]記載のタンパク質、
[3]配列番号24、36および40のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するタンパク質またはそれらのホモログタンパク質、並びに
[4]配列番号28で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質および配列番号32で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質からなる複合体タンパク質またはそれらのホモログタンパク質からなる複合体タンパク質;
をあげることができる。
また、ホモログタンパク質としては、配列番号24、28、32、36および40のいずれかで表されるアミノ酸配列との相同性が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質であり、かつDNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質をあげることができる。
アミノ酸配列や塩基配列の相同性は、Karlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST[Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 5873(1993)]やFASTA[Methods Enzymol., 183, 63 (1990)]を用いて決定することができる。このアルゴリズムBLASTに基づいて、BLASTNやBLASTXとよばれるプログラムが開発されている[J. Mol. Biol., 215, 403(1990)]。BLASTに基づいてBLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメータは例えばScore=100、wordlength=12とする。また、BLASTに基づいてBLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメータは例えばscore=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法はよく知られている。
DNAトポイソメラーゼ活性は、例えば該タンパク質をコードするDNAで微生物を形質転換し、該形質転換体の有するDNAトポイソメラーゼ活性をMizushimaらの方法により測定することができる。
(A)親株の染色体DNA上にあるI型又はIV型のDNAトポイソメラーゼをコードするDNAを改変することにより得られる、親株に比べDNAトポイソメラーゼ活性が向上した微生物
DNAトポイソメラーゼをコードするDNAとしては例えば、Entrez Gene ID NO: 945862で特定される塩基配列を有する、Escherichia colitopA遺伝子の塩基配列を有するDNA、Entrez Gene ID NO: 947499および947501で特定される塩基配列を有する、Escherichia coliparCE遺伝子の塩基配列を有するDNA、Entrez Gene ID NO: 1021373で特定される塩基配列を有する、Corynebacterium glutamicumのNCBI Accession No. NCgl0304で特定される塩基配列を有するDNA又はEntrez Gene ID NO: 1019801で特定される塩基配列を有する、NCBI Accession No. NCgl1769で特定される塩基配列を有するDNAおよびそれらのホモログ遺伝子の塩基配列を有するDNAをあげることができる。
上記遺伝子の塩基配列を有するDNAとしては、配列番号23、27、31、35および39のいずれかで表される塩基配列を有するDNAをあげることができる。
ホモログ遺伝子の塩基配列を有するDNAとしては、例えば上記したBLASTやFASTA等を用いて上記したパラメータ等に基づいて計算したときに、配列番号23、27、31、35及び39のいずれかで表される塩基配列からなるDNAと少なくとも90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の相同性を有するDNAをあげることができる。
塩基配列の相同性は、Karlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST[Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 5873(1993)]やFASTA[Methods Enzymol., 183, 63 (1990)]を用いて決定することができる。BLASTに基づいてBLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメータは例えばScore=100、wordlength=12とし得る。
DNAトポイソメラーゼをコードするDNAは、公知のDNAトポイソメラーゼをコードするDNAの塩基配列情報に基づいて、親株よりPCR法等により取得することができる。
DNAトポイソメラーゼをコードするDNAに1以上の塩基の置換、欠失、又は付加を導入する方法としては、例えば、モレキュラー・クローニング第3版、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー、等に記載されている部位特異的変異導入法に準ずる方法をあげることができる。
親株の染色体DNA上の、DNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAの改変により得られる、親株より該タンパク質の比活性が向上した微生物としては、親株が有する該タンパク質のアミノ酸配列において1アミノ酸以上、好ましくは1〜10アミノ酸、より好ましくは1〜5アミノ酸、さらに好ましくは1〜3アミノ酸が置換しているアミノ酸配列を有するタンパク質を有しているため、親株のDNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質と比較して、その活性が向上した変異型タンパク質を有する微生物をあげることができる。
DNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質の比活性が親株のDNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質より高い微生物は、DNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAをin vitroにおける変異剤を用いた変異処理、又はエラープローンPCRなどに供することにより該DNAに変異を導入した後、該変異DNAを親株の染色体DNA上に存在する変異導入前のDNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAと公知の方法[Proc. Natl. Acad. Sci. U S A., 97, 6640 (2000)]を用いて置換することにより該変異DNAを発現する改変体を作成し、上記した方法により親株と改変体のDNAトポイソメラーゼ活性を比較することにより取得することができる。
上記(A)の(II)の、親株の染色体DNA上の、DNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAの改変により得られる、親株よりDNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質の生産量が向上した微生物としては、親株の染色体DNA上に存在する該タンパク質をコードする遺伝子の転写調節領域又はプロモーター領域の塩基配列において1塩基以上、好ましくは1〜10塩基、より好ましくは1〜5塩基、さらに好ましくは1〜3塩基の塩基が置換しているプロモーター領域を有しているため、親株のDNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質の生産量と比較して、該タンパク質の生産量が向上している微生物をあげることができる。
また、DNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質の生産量が親株の生産量より向上している微生物は、親株が有するDNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の転写調節領域及びプロモーター領域、例えば該タンパク質の開始コドンの上流側200bp、好ましくは100bpの塩基配列を有するDNAをin vitroにおける変異処理、又はエラープローンPCRなどに供することにより該DNAに変異を導入した後、該変異DNAを親株の染色体DNA上に存在する変異導入前のDNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の転写調節領域及びプロモーター領域と公知の方法[Proc. Natl. Acad. Sci. U S A., 97, 6640 (2000)]を用いて置換することにより変異型の転写調節領域又はプロモーター領域を有する改変体を作成し、RT−PCR又はノーザンハイブリダイゼーションなどにより、親株と改変体のDNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の転写量を比較する方法、又はSDS−PAGEなどにより親株と改変体のDNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質の生産量を比較する方法により確認することができる。
また、親株のDNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子のプロモーター領域を公知の強力なプロモーター配列と置換することによっても、親株よりDNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質の生産量が向上した微生物を取得することもできる。
そのようなプロモーターとしては、E. coliで機能するtrpプロモーター(Ptrp)、lacプロモーター(Plac)、PLプロモーター、PRプロモーター、PSEプロモーター等の、エシェリヒア・コリやファージ等に由来するプロモーター、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター等をあげることができる。またPtrpを2つ直列させたプロモーター、tacプロモーター、lacT7プロモーター、let Iプロモーターなどの人為的に造成したプロモーターもあげることができる。
さらにBacillus属に属する微生物中で発現させるためのxylAプロモーター[Appl. Microbiol. Biotechnol., 35, 594-599 (1991)]やCorynebacterium属に属する微生物中で発現させるためのP54-6プロモーター[Appl. Microbiol. Biotechnol., 53, 674-679 (2000)]なども用いることができる。
DNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAは、例えば配列番号24、28、32、36及び40のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNAの塩基配列に基づき設計することができるプローブDNAを用いた、E. coliなどの微生物の染色体DNAライブラリーに対するサザンハイブリダイゼーション、又は該塩基配列に基づき設計することができるプライマーDNAを用いた、微生物、好ましくはE. coliの染色体DNAを鋳型としたPCR[PCR Protocols, Academic Press (1990)]により取得することができる。
また、各種の遺伝子配列データベースに対して配列番号24、28、32、36及び40のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNAの塩基配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の相同性を有する配列を検索し、該検索によって得られた塩基配列に基づき、該塩基配列を有する微生物の染色体DNA、cDNAライブラリー等から上記した方法によりDNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAを取得することもできる。
取得したDNAをそのまま、あるいは適当な制限酵素などで切断し、常法によりベクターに組み込み、得られた組換え体DNAを宿主細胞に導入した後、通常用いられる塩基配列解析方法、例えばジデオキシ法 [Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 74, 5463 (1977)]又は3700 DNAアナライザー(アプライドバイオシステムズ社製)等の塩基配列分析装置を用いて分析することにより、該DNAの塩基配列を決定することができる。
上記のベクターとしては、pBluescriptII KS(+)(ストラタジーン社製)、pDIRECT[Nucleic Acids Res., 18, 6069 (1990)]、pCR-Script Amp SK(+)(ストラタジーン社製)、pT7Blue(ノバジェン社製)、pCR II(インビトロジェン社製)及びpCR-TRAP(ジーンハンター社製)などをあげることができる。
宿主細胞としては、Escherichia属に属する微生物などをあげることができる。Escherichia属に属する微生物としては、例えば、E. coli XL1-Blue、E. coli XL2-Blue、E. coliDH1、E. coli MC1000、E. coli ATCC 12435、E. coliW1485、E. coli JM109、E. coli HB101、E. coliNo.49、E. coli W3110、E. coli NY49、E. coliMP347、E. coli NM522、E. coli BL21、E. coliME8415等をあげることができる。
組換え体DNAの導入方法としては、上記宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、カルシウムイオンを用いる方法[Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 69, 2110 (1972)]、プロトプラスト法(特開昭63-248394)、エレクトロポレーション法[Nucleic Acids Res., 16, 6127 (1988)]等をあげることができる。
塩基配列を決定した結果、取得されたDNAが部分長であった場合は、該部分長DNAをプローブに用いた、染色体DNAライブラリーに対するサザンハイブリダイゼーション法等により、全長DNAを取得することができる。
更に、決定されたDNAの塩基配列に基づいて、パーセプティブ・バイオシステムズ社製8905型DNA合成装置等を用いて化学合成することにより目的とするDNAを調製することもできる。
上記のようにして取得されるDNAとして、例えば、配列番号24、28、32、36及び40のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA、及び配列番号23、27、31、35及び39のいずかで表される塩基配列を有するDNAをあげることができる。
(B)I型又はIV型のDNAトポイソメラーゼをコードするDNAで形質転換して得られる微生物
親株をDNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAで形質転換して得られる微生物としては:
[5]上記[3]または[4]のいずれかに記載のタンパク質をコードするDNA;
[6]配列番号23、35及び39のいずれかで表される塩基配列を有するDNAまたは、topA遺伝子、NCgl0304若しくはNCgl1769のホモログ遺伝子の塩基配列を有するDNA;
[7]配列番号27で表される塩基配列を有するDNA、配列番号31で表される塩基配列を有するDNAまたはparCE遺伝子のホモログ遺伝子の塩基配列を有するDNA;
を用いて親株を形質転換して得られる微生物をあげることができる。
該微生物としては、外来のDNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAを(i)染色体DNA上に有する微生物、及び(ii)染色体外に有する微生物をあげることができる。すなわち、(i)の微生物は、親株がDNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAを保有していない場合は、新たに導入された該DNAを1つ又は2つ以上、染色体DNA上に有する微生物であり、親株がDNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAを元来保有する場合には、新たに導入された該DNAを含む2つ以上のDNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAを染色体DNA上に有する微生物である。(ii)の微生物は、DNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAをプラスミドDNA上に有する微生物である。
ホモログ遺伝子の塩基配列を有するDNAとしては、例えば上記したBLASTやFASTA等を用いて上記したパラメータ等に基づいて計算したときに、配列番号23、27、31、35及び39のいずれかで表される塩基配列からなるDNAと少なくとも90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の相同性を有するDNAをあげることができる。
DNAトポイソメラーゼをコードするDNAで形質転換された微生物は、以下のようにして調製することができる。
DNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAをもとにして、必要に応じて、DNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードする部分を含む適当な長さのDNA断片を調製する。また、DNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードする部分の塩基配列を、宿主細胞での発現に最適なコドンとなるように塩基を置換することにより、転写効率が良いDNA断片を調製することができる。
該DNA断片を適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入することにより、組換え体DNAを作製する。
該組換え体DNAを、該発現ベクターに適合した宿主細胞に導入することにより、DNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質の活性が宿主細胞、すなわち親株より向上した形質転換体を得ることができる。
発現ベクターとしては、上記宿主細胞において自律複製可能又は染色体中への組込みが可能で、DNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAを転写できる位置にプロモーターを含有しているものが用いられる。
原核生物を宿主細胞として用いる場合は、DNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAを有する組換え体DNAは、原核生物中で自律複製可能であると同時に、プロモーター、リボソーム結合配列、DNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA、転写終結配列より構成された組換え体DNAであることが好ましい。プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
発現ベクターとしては、pColdI(タカラバイオ社製)、pCDF-1b、pRSF-1b(いずれもノバジェン社製)、pMAL-c2x(ニューイングランドバイオラブス社製)、pGEX-4T-1(ジーイーヘルスケアバイオサイエンス社製)、pTrcHis(インビトロジェン社製)、pSE280(インビトロジェン社製)、pGEMEX-1(プロメガ社製)、pQE-30(キアゲン社製)、pET-3(ノバジェン社製)、pKYP10(特開昭58-110600)、pKYP200[Agric. Biol. Chem., 48, 669 (1984)]、pLSA1[Agric. Biol. Chem., 53, 277 (1989)]、pGEL1[Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 82, 4306 (1985)]、pBluescriptII SK(+)、pBluescript II KS(-)(ストラタジーン社製)、pTrS30 [エシェリヒア・コリ JM109/pTrS30(FERM BP-5407)より調製]、pTrS32 [エシェリヒア・コリJM109/pTrS32(FERM BP-5408)より調製]、pPAC31 (WO98/12343)、pUC19 [Gene, 33, 103 (1985)]、pSTV28(タカラバイオ社製)、pUC118(タカラバイオ社製)、pPA1(特開昭63-233798)等を例示することができる。
プロモーターとしては、E. coli等の宿主細胞中で機能するものであればいかなるものでもよい。例えば、trpプロモーター(Ptrp)、lacプロモーター(Plac)、PLプロモーター、PRプロモーター、PSEプロモーター等の、E. coliやファージ等に由来するプロモーター、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター等をあげることができる。またPtrpを2つ直列させたプロモーター、tacプロモーター、lacT7プロモーター、let Iプロモーターのように人為的に設計改変されたプロモーター等も用いることができる。
さらにBacillus属に属する微生物中で発現させるためのxylAプロモーター[Appl. Microbiol. Biotechnol., 35, 594-599 (1991)]やCorynebacterium属に属する微生物中で発現させるためのP54-6プロモーター[Appl. Microbiol. Biotechnol., 53, 674-679 (2000)]なども用いることができる。
リボソーム結合配列であるシャイン−ダルガノ(Shine-Dalgarno)配列と開始コドンとの間を適当な距離(例えば6〜18塩基)に調節したプラスミドを用いることが好ましい。
DNAトポイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAを発現ベクターに結合させた組換え体DNAにおいては、転写終結配列は必ずしも必要ではないが、構造遺伝子の直下に転写終結配列を配置することが好ましい。
このような組換え体DNAとしては、例えば後述するpStopA、pSparCE、pCG0304及びpCG1769をあげることができる。
該組換え体DNAの宿主としては、本発明で用いる微生物の親株を用いることができる。

2.本発明のL‐グルタミン又はL-グルタミン酸の製造法
上記1の方法で調製することができる微生物を培地に培養し、培養物中にL−グルタミン又はL-グルタミン酸を生成、蓄積させ、該培養物からL−グルタミン又はL-グルタミン酸を採取することにより、L−グルタミン又はL-グルタミン酸を製造することができる。
本発明の製造法で用いられる培地は、炭素源、窒素源、無機塩など本発明の微生物の増殖、およびL−グルタミン又はL-グルタミン酸の生合成に必要な栄養素を含む限り、合成培地、天然培地のいずれでもよい。
炭素源としては、使用する微生物の資化できる炭素源であればいずれでもよく、例えばグルコース、糖蜜、フラクトース、シュークロース、マルトース、でんぷん加水分解物等の糖類、エタノール、グリセロールのようなアルコール類、酢酸、乳酸、コハク酸等の有機酸類などをあげることができる。
窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウムなどの各種無機および有機アンモニウム塩類、尿素、アミン等の窒素化合物、ならびに肉エキス、酵母エキス、コーン・スティープ・リカー、ペプトン、大豆加水分解物等の窒素含有有機物を用いることができる。
無機塩としては、リン酸第一水素カリウム、リン酸第二水素カリウム、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、炭酸カルシウム等を用いることができる。
その他、必要に応じて、ビオチン、チアミン、ニコチンアミド、ニコチン酸等の微量栄養源を加えることができる。これら微量栄養源は、肉エキス、コーン・スティープ・リカー、カザミノ酸等の培地添加物で代用することもできる。
さらに必要に応じて本発明の微生物が生育に要求する物質(例えばアミノ酸要求性の微生物であれば要求アミノ酸)を添加することができる。
培養は、振とう培養や深部通気攪拌培養のような好気的条件で行う。培養温度は20〜50℃、好ましくは20〜42℃、より好ましくは28〜38℃である。培地のpHは5〜11の範囲で、好ましくは6〜9の中性付近の範囲に維持して培養を行う。培地のpHの調整は、無機あるいは有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニア、pH緩衝液などを用いて行う。
培養時間は、5時間〜6日間、好ましくは16時間〜3日間である。
培養物中に蓄積したL−グルタミン又はL-グルタミン酸は、通常の精製方法によって採取することができる。例えばL−グルタミン又はL-グルタミン酸は、培養後、遠心分離などで菌体や固形物を除いたあと、活性炭処理、イオン交換樹脂処理、濃縮、結晶分別等の公知の方法を併用することによって採取することができる。
以下に本願発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
L−グルタミン、L−グルタミン酸生産能を有するエシェリヒア・コリの作製
(1)yeiG遺伝子発現プラスミドの造成
以下の方法でyeiG遺伝子発現プラスミドを造成した。
エシェリヒア・コリ JM101株をLB培地[10g/l バクトトリプトン(ディフコ社製)、5g/l イーストエキス(ディフコ社製)、5g/l 塩化ナトリウム]に植菌し30℃で一晩培養した。培養後、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジーに記載の飽和フェノールを用いる方法により、該微生物の染色体DNAを単離精製した。
配列番号1で表される塩基配列に基づき、yeiG遺伝子増幅用のプライマーDNAとして配列番号3および4で表される塩基配列からなるDNAを合成し、該合成DNAをプライマーセットとして用いてPCRを行った。
PCRは、鋳型として0.1μgの染色体DNA、0.5μmol/Lの各プライマー、2.5 unitsのPyrobest DNAポリメラーゼ(タカラバイオ製)、5μLのPyrobestDNAポリメラーゼ用×10緩衝液(タカラバイオ製)、各200μmol/LのdNTP(dATP、dGTP、dCTPおよびdTTP)を含む反応液50μLを調製し、96℃で15秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間の工程を30回繰り返すことにより行った。
約0.8kbのDNA断片が増幅したことを確認し、該DNA断片を常法に従って精製した。
該DNA断片およびtrpプロモーターを含む発現ベクターpTrS30[エシェリヒア・コリ JM109/pTrS30(FERM BP-5407)より調製]をそれぞれHindIII、SacIで切断し、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離した後、ジーンクリーンIIキット(GENECLEAN II kit、BIO 101 社製)を用いて、制限酵素消化DNA断片をそれぞれ回収した。
上記で得られたyeiG遺伝子を含む0.8kb断片、pTrs30の制限酵素消化断片をDNA ligation Kit Ver.2(タカラバイオ社製)を用いて連結した。
得られた連結体DNAを用いてエシェリヒア・コリ DH5α株(タカラバイオ製)を形質転換し、アンピシリン耐性を指標に形質転換体を選択した。選択した形質転換体のコロニーより公知の方法に従ってプラスミドを抽出し、制限酵素を用いてその構造を解析することにより、trpプロモーター下流にyeiG遺伝子が連結された発現ベクターであるpTyeiGが取得されていることを確認した。
(2)proBA遺伝子欠損エシェリヒア・コリJM101の作製
(a)遺伝子欠損用マーカー遺伝子の構築
相同組換えを用いたエシェリヒア・コリの遺伝子欠損および遺伝子置換のためのマーカー遺伝子として用いるcat遺伝子およびsacB遺伝子を以下の方法で単離した。クローニングベクターpHSG396(タカラバイオ社製)上のcat遺伝子の上流約200bpから下流約60bpまでを増幅するプライマーとして配列番号5および6で表わされる塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを、バチルス・ズブチリス168株のsacB遺伝子の上流約300bpから下流約20bpまでを増幅するプライマーとして配列番号7および8で表わされる塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを合成した。なお、配列番号5および7で表わされる塩基配列からなるオリゴヌクレオチドにはSalI認識サイトを付与した。
配列番号5および6で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーセットとして用い、pHSG396を鋳型としてPCRを行い、cat遺伝子を含むDNA断片を得た。PCRはPyrobestDNA polymerase(タカラバイオ社製)を用いて、添付説明書にしたがって行なった。また配列番号7および8で表わされる塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーセットとして用い、常法により調製したバチルス・ズブチリス168株の野生株のゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、sacB遺伝子を含むDNA断片を得た。
cat遺伝子を含むDNA断片、sacB遺伝子を含むDNA断片をそれぞれ精製した後、SalIで切断した。フェノール/クロロホルム処理、およびエタノール沈殿を行い、両者を等モルの比率で混合してDNA ligation Kit Ver.2(タカラバイオ社製)を用いて連結した。該連結反応液をフェノール/クロロホルム処理、およびエタノール沈殿にて精製したものを鋳型とし、配列番号6および8で表わされる塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーセットとして用いてPCRを行い、得られた増幅DNAをQiaquick PCR purification kit(キアゲン社製)を用いて精製し、cat遺伝子およびsacB遺伝子を含むDNA断片(cat-sacB断片)を取得した。
(b)proBA遺伝子欠損株の作成
配列番号9および10で表わされる塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、並びに配列番号12および14で表わされる塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをそれぞれプライマーセットとして用い、常法により調製したエシェリヒア・コリJM101株のゲノムDNAを鋳型として1回目のPCRを行い、増幅産物を取得した。
Qiaquick PCR purification kit(キアゲン社製)を用いて精製した増幅産物と、cat-sacB断片を等モルの比率で混合したものを鋳型として2回目のPCRを行い、増幅産物を取得し、再びQiaquick PCR purification kit(キアゲン社製)を用いて精製した。精製したDNA断片をアガロース電気泳動に供してcatB-sacB断片が挿入されたproBA周辺領域を含む約4.6kbのDNA断片が増幅されことを確認した。
また配列番号9および11で表わされる塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、ならびに配列番号13および14で表わされるオリゴヌクレオチドをそれぞれプライマーセットとして用い、JM101株のゲノムDNAを鋳型として1回目のPCRを行い、増幅産物を得た。
Qiaquick PCR purification kit(キアゲン社製)を用いて精製した増幅産物を等モルの比率で混合したものを鋳型として2回目のPCRを行い、増幅産物を取得し、再びQiaquick PCR purification kit(キアゲン社製)を用いて精製した。精製したDNA断片をアガロース電気泳動に供してproBA遺伝子が欠失したproBA周辺領域を含む約2kbのDNA断片が増幅されたことを確認した。
次にエシェリヒア・コリJM101株をpKD46で形質転換した後、100mg/Lのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布して、30℃で培養することでpKD46を保持するエシェリヒア・コリJM101株(以下、エシェリヒア・コリ JM101/pKD46と称す)を選択した。
10mmol/LのL−アラビノースと50μg/mlのアンピシリンの存在下で培養して得られたエシェリヒア・コリ JM101/pKD46に、電気パルス法により上記で取得したcat-sacB断片の挿入されたproBA遺伝子周辺領域を含むDNA断片を導入した。
得られた形質転換体を、25μg/mlのクロラムフェニコールおよび50μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地(LB+クロラムフェニコール+アンピシリン)に塗布して培養し、クロラムフェニコール耐性コロニーを選択した。相同組換えが生じた株はクロラムフェニコール耐性かつシュクロース感受性を示すので、選択したコロニーを10%シュクロース、25μg/mlのクロラムフェニコールおよび50μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地(LB+シュクロース+クロラムフェニコール+アンピシリン)およびLB+クロラムフェニコール+アンピシリンにレプリカし、クロラムフェニコール耐性、かつシュクロース感受性を示した株を選択した。
選択した株について配列番号7および9で表わされる塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーセットに用いてコロニーPCRを行い、proBA遺伝子の位置にcat-sacB断片が挿入されていることを確認した。proBA遺伝子の位置にcat-sacB断片が挿入された株を上記と同様に培養してコンピテントセルを調製し、上記で得られたproBA遺伝子が欠失したproBA周辺領域を含むDNA断片を電気パルス法により導入した。
得られた形質転換体をLB+シュクロース寒天培地で培養し、シュクロース耐性コロニーを選択した。相同組換えを起こした株はcat-sacB断片は含まず、よってクロラムフェニコール感受性かつシュクロース耐性を示すため、選択したコロニーをLB+クロラムフェニコール寒天培地およびLB+シュクロース寒天培地にレプリカし、クロラムフェニコール感受性かつシュクロース耐性を示した株を選択した。
選択した株の中からアンピシリン感受性を示す株、すなわちpKD46が脱落した株を選択し、その株について配列番号9および14で表わされる塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーセットに用いてコロニーPCRを行い、proBA遺伝子が欠損していることを確認した。
上記のようにしてproBA遺伝子が欠損した株を取得し、エシェリヒア・コリJP株と命名した。得られたJP株に(1)で得られたpTyeiGを形質転換してpTyeiGを保有する形質転換体を取得し、JP/pTyeiGと命名した。
DNAジャイレース阻害剤に対する耐性を有するエシェリヒア・コリL−グルタミン生産変異株の取得
(1)ナリジクス酸耐性変異株の取得
実施例1で得られたJP/pTyeiGをLB+アンピシリン培地が入った太型試験管に接種し、対数増殖期まで培養した後、ナリジクス酸を5 mg/L含むM9寒天平板培地(0.6% リン酸二ナトリウム、0.3% リン酸一カリウム、0.05% 塩化ナトリウム、0.1% 、0.2%グルコース、0.00147% 塩化カルシウム二水和物、0.05% 硫酸マグネシウム七水和物、0.001% ビタミンB1、1.6% バクトアガー)に塗布した。該寒天平板培地を30℃で3〜5日間培養し、生育してきたコロニーを釣菌分離し、ナリジクス酸に対する耐性を有する変異株を得た。
上記で得られた変異株85株をそれぞれ50μg/mlのアンピシリンを含む8mlのLB培地が入った太型試験管に接種し、30℃で17時間培養した。該培養液を100μg/mlのアンピシリンを含む培地[16g/L リン酸水素二カリウム、14g/L リン酸二水素カリウム、5g/L 硫酸アンモニウム、1g/L クエン酸(無水)、5g/L カザミノ酸(ディフコ社製)、10g/L グルコース、10mg/L ビタミンB1、25mg/L 硫酸マグネシウム・7水和物、50mg/L 硫酸鉄・7水和物、100mg/L L−プロリン、pH7.2に10mol/Lの水酸化ナトリウムで調整、グルコース、ビタミンB1、硫酸マグネシウム・7水和物、硫酸鉄・7水和物は別個に加圧滅菌後添加した]が8ml入っている試験管に1%接種し、30℃で24 時間培養した後、該培養液を遠心分離して培養上清を取得した。該培養上清中のL-グルタミンおよびL-グルタミン酸の蓄積量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量し、L-グルタミンおよびL-グルタミン酸生産性を評価した。
その結果、85株の変異株中、50株がJP/pTyeiG株よりも高いL-グルタミンおよびL-グルタミン酸生産性を示した。また、特に高いL-グルタミンまたはL-グルタミン酸生産性を示した株を3株選択し、それぞれNAR01、NAR02、NAR03株と命名した。
表1にNAR01株、NAR02株及びNAR03株の培養上清中のL-グルタミンおよびL-グルタミン酸の蓄積量を測定した結果を示した。表1に示した通り、ナリジクス酸耐性を有するNAR01、NAR02、NAR02株はナリジクス酸耐性を有さないJP/pTyeiG株に比べL-グルタミンおよびL-グルタミン酸の蓄積量が顕著に向上していた。
Figure 0005827131
(2)DNAジャイレースをコードする遺伝子に導入された変異の同定
NAR01、NAR02、NAR03株から染色体DNAを調製し、配列番号15および16で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、および配列番号17および18で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーセットとしてPCRを行い、各々の変異株のgyrAを含む2.8 kbのDNA断片、gyrB を含む2.6 kbのDNA断片を得た。これらのDNA断片の塩基配列を常法に従い決定したところ、NAR01株のgyrA遺伝子のコードするポリペプチドには821番目のGly残基(ggc)がSer残基(agc)に置換される変異および830番目のAsp残基(gat)がAsn残基(aat)に置換される変異(以下、G821S D830Nと称す)が見出された。同様にNAR02株のgyrB遺伝子のコードするポリペプチドの466番目にGlu残基(gag)が挿入される変異(以下、466Eと称す)が、NAR03株のgyrA遺伝子のコードするポリペプチドには84番目のAla残基(gcg)がGlu残基(gag)に置換される変異(以下、A84Eと称す)が見出された。
(1)DNAジャイレース阻害剤耐性変異を導入したエシェリヒア・コリの作製
実施例2にて見出されたDNAジャイレースをコードする遺伝子(gyrA又はgyrB)上の変異を実施例1において取得したJP株に以下の方法で導入した。NAR01、NAR03株の染色体DNAを鋳型として配列番号15および16で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーセットとしてPCRを行い、gyrAにG821S D830N変異を含む2.8 kbのDNA断片、およびgyrAにA84E変異を含む2.8 kbのDNA断片を増幅し、Qiaquick PCR purification kit(キアゲン社製)を用いて精製した。同様にNAR02株の染色体DNAを鋳型として配列番号17および18で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーセットとしてPCRを行い、gyrBに466E変異を含む2.6 kbのDNA断片を増幅し、Qiaquick PCR purification kit(キアゲン社製)を用いて精製した。
JP株をpKD46で形質転換した後、100mg/Lのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布して、30℃で培養することでpKD46を保持するエシェリヒア・コリJP株(以下、JP/pKD46と称す)を選択した。10mmol/LのL−アラビノースと50μg/mlのアンピシリンの存在下で培養して得られたJP/pKD46に、電気パルス法により上記で取得した変異型gyrAgyrBを含むDNA断片を導入した。
得られた形質転換体をナリジクス酸5 mg/Lを含むM9寒天平板培地に塗布して培養し、ナリジクス酸耐性株を選択した。選択したコロニーからgyrA G821S D830N変異については配列番号15および16で表わされる塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーセットに用いてコロニーPCRを行い、gyrAを含む断片を増幅した。このDNA断片の塩基配列を常法に従い決定し、gyrA遺伝子の821番目のGly残基(ggc)がSer残基(agc)に置換されていること、第830番目のAsp残基(gat)がAsn残基(aat)に置換されていることを確認した。同様にgyrA A84E変異について配列番号15および16で表わされる塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーセットに用いてコロニーPCRによりgyrAを含む断片を増幅して塩基配列を決定し、gyrA遺伝子の第84番目のAla残基(gcg)がGlu残基(gag)に置換された株を選択した。さらにgyrB 466E変異については配列番号17および18で表わされる塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーセットに用いてコロニーPCRを行い、gyrB遺伝子の第466番目にGlu残基(gag)が挿入された株を選択した。
上記のようにしてgyrA遺伝子のコードするポリペプチドの第821番目のGly残基(ggc)がSer残基(agc)に置換され、なおかつ第830番目のAsp残基(gat)がAsn残基(aat)に置換された株を取得し、エシェリヒア・コリGYR1株と命名した。gyrA遺伝子のコードするポリペプチドの84番目のAla残基(gcg)がGlu残基(gag)に置換された株はエシェリヒア・コリGYR2株と命名した。gyrB遺伝子のコードするポリペプチドの466番目にGlu残基(gag)が挿入された株を取得し、エシェリヒア・コリGYR3株と命名した。
(2)DNAジャイレース変異導入株のDNAジャイレース活性の確認
(1)で得たGYR1株、GYR2株、GYR3株、およびJP株をpBR322で形質転換した後、100mg/Lのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布して、30℃で培養することでpBR322を保持するエシェリヒア・コリGYR1株(以下、GYR1/pBR322と称す)、pBR322を保持するエシェリヒア・コリGYR2株(以下、GYR2/pBR322と称す)、pBR322を保持するエシェリヒア・コリGYR3株(以下、GYR3/pBR322と称す)、およびpBR322を保持するエシェリヒア・コリJP株(以下、JP/pBR322と称す)を選択した。これらの形質転換体を実施例2(1)に記載の条件で2本ずつ培養し、一方には培養を停止する10分前に200mg/Lの濃度になるようにナリジクス酸を添加した。培養停止後、各培養物からQIAspin miniprep kit(キアゲン社製)でpBR322を抽出した。文献(Molecular Microbiology 23:381-386,1997)で報告されている方法に基づき、それぞれの菌体から抽出したpBR322をクロロキン2.5 mg/L、もしくは25 mg/L添加条件で電気泳動を行うことで超らせん構造を比較した。
JP株ではナリジクス酸処理でDNAジャイレースの活性を阻害しpBR322の超らせんが減少した場合、クロロキン 2.5 mg/Lの電気泳動ではDNAのバンドが上側にシフトし、クロロキン 25 mg/Lの電気泳動ではDNAのバンドが下側にシフトしていた。一方、DNAジャイレースの変異株であるGYR1、GYR2、GYR3から抽出したpBR322はナリジクス酸未処理の条件でもJP株をナリジクス酸処理した場合と類似した電気泳動のパターンを示した。以上の結果からGYR1、GYR2、GYR3ではDNAジャイレースに導入された変異によって細胞内のDNAのうち、超らせん構造をとるDNAの割合が親株より低下していることが明らかになった。
また、このことからGYR1、GYR2、およびGYR3のDNAジャイレース活性が親株より低下していることも明らかとなった。
エシェリヒア・コリDNAジャイレース変異株のL−グルタミン生産試験
実施例3(1)で得られたGYR1、GYR2、GYR3株にpTyeiGおよび、pTrs30を形質転換した後、100mg/Lのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布して、30℃で培養することでpTyeiGもしくはpTrs30を保持するエシェリヒア・コリGYR1株(以下、GYR1/pTyeiG、GYR1/pTrs30と称す)、pTyeiGもしくはpTrs30を保持するエシェリヒア・コリGYR2株(以下、GYR2/pTyeiG、GYR2/pTrs30と称す)、およびpTyeiGもしくはpTrs30を保持するエシェリヒア・コリGYR3株(以下、GYR3/pTyeiG、GYR3/pTrs30と称す)を選択した。これらの菌株を実施例3と同様の条件で培養し、培養上清中の培養生成物の蓄積量をHPLCにより定量した。結果を表2に示す。表2に示した通り、DNAジャイレースの活性を低下させる変異を導入することで、L−グルタミン、L−グルタミン酸の蓄積量は顕著に向上した。
Figure 0005827131
(1)エシェリヒア・コリDNAジャイレース阻害タンパク質発現株の造成
エシェリヒア・コリにおいてグルタミン酸ラセマーゼ(遺伝子名 murI)を強制的に発現させると、プラスミドの複製効率の低下やDNAジャイレース活性の低下が認められることが報告されている(The Journal of Biological chemistry 277:39070-39073, 2002)。
配列番号21および22で表される塩基配列からなる合成DNAをプライマーセットとして用いてPCRを行った。
PCRはプライマーDNAとして上記プライマーセットを用いる以外、実施例1(1)と同様の条件で行った。PCRで得られた増幅DNA断片、およびpSTV28をそれぞれEcoRIおよびSalIで消化した後、実施例1(1)と同様に両DNAを連結し、連結体DNAを用いてエシェリヒア・コリ DH5α株を形質転換した。以上の方法でlacプロモーター下流にmurI遺伝子が連結された発現ベクターを造成し、pSmurIと命名した。
実施例2(1)で取得したJP/pTyeiG株にpSTV28および、pSmurIを形質転換した後、100mg/Lのアンピシリンおよび25 mg/Lのクロラムフェニコールを含むLB寒天培地に塗布して、30℃で培養することでpSTV28もしくはpSmurIを保持するエシェリヒア・コリJP/pTyeiG株(以下、JP/pTyeiG/pSTV28、JP/pTyeiG/pSmurIと称す)を選択した。
(2)エシェリヒア・コリDNAジャイレース阻害タンパク質発現株のL−グルタミン生産試験
上記(1)で得たJP/pTyeiG/pSTV28、JP/pTyeiG/pSmurIを実施例2(1)に記載の条件で培養し、培養上清中の培養生成物の蓄積量をHPLCにより定量した。結果を表3に示す。表3に示した通り、DNAジャイレースの活性を低下させる活性を有するタンパク質を発現させることで、L−グルタミンの蓄積量は顕著に向上した。
Figure 0005827131
(1)エシェリヒア・コリDNAトポイソメラーゼ発現株の造成
エシェリヒア・コリのI型DNAトポイソメラーゼ(遺伝子名 topA)を発現するプラスミド、およびIV型DNAトポイソメラーゼ(遺伝子名parCparE)を発現するプラスミドを以下の方法で造成した。
配列番号25および26で表される塩基配列からなる合成DNAをプライマーセットとして用いてPCRを行った。PCRはプライマーDNAとして上記プライマーセットを用いる以外、実施例1(1)と同様の条件で行った。PCRで得られた2.8 kbpのDNA断片、およびpSTV28をそれぞれSacIおよびSalIで消化した後、実施例1(1)と同様に両DNAを連結し、連結体DNAを用いてエシェリヒア・コリ DH5α株を形質転換した。以上の方法でlacプロモーター下流にtopA遺伝子が連結された発現ベクターを造成し、pStopAと命名した。
次に、配列番号29および30で表される塩基配列からなる合成DNAをプライマーセットとして用いてPCRを行い、2.3 kbpのDNA断片を増幅した。
同様に配列番号33および34で表される塩基配列からなる合成DNAをプライマーセットとして用いてPCRを行い、1.9 kbpのDNA断片を得た。PCRはプライマーDNAとして上記プライマーセットを用いる以外、実施例1(1)と同様の条件で行った。Qiaquick PCR purification kit(キアゲン社製)を用いて精製した増幅産物を等モルの比率で混合したものを鋳型として2回目のPCRを行い、増幅産物を取得し、再びQiaquick PCR purification kit(キアゲン社製)を用いて精製した。PCRで得られた増幅DNA断片、およびpSTV28をそれぞれEcoRIおよびSalIで消化した後、実施例1(1)と同様に両DNAを連結し、連結体DNAを用いてエシェリヒア・コリ DH5α株を形質転換した。以上の方法でlacプロモーター下流にparCparE遺伝子が連結された発現ベクターを造成し、pSparCEと命名した。
実施例2(1)で取得したJP/pTyeiG株にpSTV28、pStopA、およびpSparCEを形質転換した後、100 mg/Lのアンピシリンおよび25 mg/Lのクロラムフェニコールを含むLB寒天培地に塗布して、30℃で培養することでpSTV28もしくはpStopAもしくはpSparCEを保持するエシェリヒア・コリJP/pTyeiG株(以下、JP/pTyeiG/pSTV28、JP/pTyeiG/pStopA、JP/pTyeiG/pSparCEと称す)を選択した。
(2)エシェリヒア・コリDNAトポイソメラーゼ発現株のL−グルタミン生産試験
上記(1)で得たJP/pTyeiG/pSTV28、JP/pTyeiG/pStopA、JP/pTyeiG/pSparCEを実施例3に記載の条件で培養し、培養上清中の培養生成物の蓄積量をHPLCにより定量した。結果を表4に示す。表4に示した通り、I型、IV型DNAトポイソメラーゼを過剰発現させることで、L−グルタミンの蓄積量は顕著に向上した。
Figure 0005827131
(1)コリネバクテリウム・グルタミカムDNAトポイソメラーゼ過剰発現株の造成
コリネバクテリウム・グルタミカムの野生株ATCC13032株の染色体DNAを、斉藤らの方法[Biochim. Biophys. Acta, 72, 619(1963)]により調製した。
配列番号37および38で表される塩基配列からなる合成DNA、または配列番号41および42で表される塩基配列からなる合成DNAをそれぞれプライマーセットとして用い、PCRを行った。PCRは鋳型としてコリネバクテリウム・グルタミカムの野生型ATCC13032株の染色体DNAを用いること、プライマーとして上記プライマーセットを用いること以外、実施例1(1)と同様の条件で行い、NCgl0304とその上流を含む約3.2 kbpの断片とNCgl1769とその上流を含む約2.5 kbpの断片を増幅した。これらの断片をQiaquick PCR purification kit(キアゲン社製)を用いて精製した後、BamHI(タカラバイオ社製)で切断した。
pCS299P(国際公開第2000/63388号パンフレット)をBamHI(タカラバイオ社製)で切断後、アルカリフォスファターゼ(タカラバイオ社製)処理を行ない、アガロースゲル電気泳動し、GENECLEAN Kit(BIO 101社製)を用いてpCS299P断片を抽出、精製した。
このpCS299P断片に上記で得られたBamHI処理したNCgl0304を含む約3.2 kbpのDNA断片、およびNCgl1769を含む約2.5 kbpのDNA断片を実施例1(1)と同様の方法でクローン化した。
制限酵素切断解析を行い、pCS299Pに上記で得られたNCgl0304を含む約3.2 kbpのDNA断片が挿入された構造を有するプラスミドであることを確認し、このプラスミドをpCG0304と命名した。同様にpCS299Pに上記で得られたNCgl1769を含む約2.5 kbpのDNA断片が挿入された構造を有するプラスミドであることを確認し、このプラスミドをpCG1769と命名した。これらのプラスミドを用い、レストらの方法[Appl. Microbiol. Biotech., 52, 541 (1999)]に従って電気穿孔法にてGLA2株(国際公開第2007/074857号パンフレット)を形質転換した後、25 mg/Lのカナマイシンを含むBY寒天培地[ブイヨン20g、酵母エキス(ディフコ社製)5g、バクトアガー(ディフコ社製)18gを水1Lに含みpH7.0に調整した培地]に塗布して、30℃で培養することでpCG0304もしくはpCG1769を保持するコリネバクテリウム・グルタミカムGLA2株(以下、GLA2/pCG0304、GLA2/pCG1769と称す)を選択した。
(2)コリネバクテリウム・グルタミカムDNAトポイソメラーゼ過剰発現株のL−グルタミン生産試験
上記(1)で取得したGLA2/pCG0304、GLA2/pCG1769株およびコントロールとしてpCS299PをGLA2株に導入した株(以下GLA2/pCS299Pと称す)を、カナマイシンを25 mg/Lになるように添加したBYG寒天培地〔グルコース10g、肉エキス7g、ペプトン10g、塩化ナトリウム3g、酵母エキス(ディフコ社製)5g、バクトアガー(ディフコ社製)18gを水1Lに含みpH7.2に調整した培地〕を用い30℃で24時間培養し、各菌株をそれぞれカナマイシンを200 mg/Lになるように添加した種培地〔グルコース50g、ブイヨン20g、硫酸アンモニウム5g、尿素5g、リン酸二水素カリウム2g、硫酸マグネシウム7水和物0.5g、硫酸鉄7水和物1mg、硫酸銅5水和物0.4mg、硫酸亜鉛7水和物0.9mg、塩化マンガン4水和物0.07mg、4ホウ酸2ナトリウム10水和物0.01mg、7モリブデン酸6アンモニウム4水和物0.04mg、チアミン塩酸塩0.5mg、ビオチン0.1mgを水1Lに含みpH7.2に調整後、炭酸カルシウムを10g加えた培地〕6mlを含む試験管に植菌し、30℃で12時間〜16時間培養した。
得られた種培養液を、それぞれカナマイシンを200 mg/Lになるように添加した本培養培地〔グルコース50g、尿素2g、硫酸アンモニウム20g、リン酸二水素カリウム0.5g、リン酸水素二カリウム0.5g、硫酸マグネシウム7水和物0.5g、硫酸鉄7水和物2mg、硫酸マンガン5水和物2.5mg、チアミン塩酸塩0.5mg、ビオチン0.1mgまたは0.001mgを水1Lに含みpH7.0に調整後、炭酸カルシウムを20g加えた培地〕30mlを含むバッフルつき300ml三角フラスコに10%植菌し、30℃、220rpm条件下で、糖を完全に消費しきらないように16〜18時間培養した。
培養終了後、遠心分離により培養物から菌体を除去し、上清中のL−グルタミンおよびL−グルタミン酸の蓄積量をそれぞれHPLCにより定量した。結果を表5に示す。表5に示したとおり、コリネバクテリウム・グルタミカムにおいてもI型DNAトポイソメラーゼを過剰発現することでL−グルタミン、L−グルタミン酸の蓄積量は顕著に向上した。
Figure 0005827131
(1)DNAジャイレース阻害剤に対する耐性を有するコリネバクテリウム・グルタミカムL−グルタミンおよびL−グルタミン酸生産変異株の取得
GS2株(国際公開第2007/074857号パンフレット)をBY培地〔肉エキス7g、ペプトン10g、塩化ナトリウム3g、酵母エキス(ディフコ社製)5g、を水1Lに含みpH7.2に調整した培地〕6 mlを含む太型試験管に植菌し、終夜培養した種培養液をBY培地6 mlを含む太型試験管に1%植菌し、30℃で対数増殖期まで培養した。この菌体を生理食塩水で洗浄した後、ナリジクス酸を75 mg/Lになるように添加したMMYE培地(グルコース10g、酵母エキス1g、硫酸アンモニウム1g、リン酸二水素カリウム1g、リン酸水素二カリウム1g、硫酸マグネシウム7水和物0.3g、硫酸鉄7水和物10mg、硫酸マンガン5水和物3.6mg、塩化カルシウム2水和物10mg、パントテン酸カルシウム10mg、チアミン塩酸塩5mg、ビオチン0.03mgを水1Lに含みpH7.2に調整した培地)に塗布し、30℃で3〜5日間培養した。生育してきたコロニーを釣菌分離し、DNAジャイレース阻害剤に対する耐性を有する変異株GNA1株、GNA2株を得た。
(2)DNAジャイレース阻害剤に対する耐性を有するコリネバクテリウム・グルタミカムL−グルタミンおよびL−グルタミン酸生産変異株のL−グルタミンおよびL−グルタミン酸生産試験
上記(1)において取得したGNA1株、GNA2株およびGS2株を培地からカナマイシンを除いた実施例7(2)に記載の条件でL−グルタミンおよびL−グルタミン酸生産試験を行った。結果を表6に示す。表6に示したとおり、コリネバクテリウム・グルタミカムにおいてもDNAジャイレース阻害剤耐性を付与することでL−グルタミンおよびL−グルタミン酸の蓄積量は顕著に向上した。
Figure 0005827131
本発明により、微生物を用いた効率的なL−グルタミン又はL−グルタミン酸の製造法を提供することができる。
配列番号3−人工配列の説明:合成DNA
配列番号4−人工配列の説明:合成DNA
配列番号5−人工配列の説明:合成DNA
配列番号6−人工配列の説明:合成DNA
配列番号7−人工配列の説明:合成DNA
配列番号8−人工配列の説明:合成DNA
配列番号9−人工配列の説明:合成DNA
配列番号10−人工配列の説明:合成DNA
配列番号11−人工配列の説明:合成DNA
配列番号12−人工配列の説明:合成DNA
配列番号13−人工配列の説明:合成DNA
配列番号14−人工配列の説明:合成DNA
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配列番号41−人工配列の説明:合成DNA
配列番号42−人工配列の説明:合成DNA

Claims (4)

  1. L−グルタミン又はL−グルタミン酸を生産する能力を有し、かつ二本鎖DNAの超らせん形成能が親株に比べて低下したエシェリヒア属又はコリネバクテリウム属に属する微生物を培地に培養し、該培地中にL−グルタミン又はL−グルタミン酸を生成、蓄積せしめ、該培地中からL−グルタミン又はL−グルタミン酸を採取することを特徴とする、L−グルタミン又はL−グルタミン酸の製造法。
  2. 微生物が、親株に比べてDNAジャイレース活性が低下した微生物である、請求項1のL−グルタミン又はL−グルタミン酸の製造法。
  3. 親株に比べてDNAジャイレース活性が低下した微生物が、親株に比べてDNAジャイレース阻害蛋白質の活性が向上した微生物である、請求項2のL−グルタミン又はL−グルタミン酸の製造法。
  4. 微生物が、親株に比べてI型又はIV型のトポイソメラーゼ活性が向上した微生物である、請求項1のL−グルタミン又はL−グルタミン酸の製造法。
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