JP2010098998A - 1,5−ペンタンジアミンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 生産性の高い新規な1,5−ペンタンジアミンの製造方法を提供する。
【解決手段】1,5−ペンタンジアミンを生産する能力を有する大腸菌(E.coli)を培養することによる1,5−ペンタンジアミンの製造方法であって、前記細菌がL−リジンによるフィードバック阻害を解除する変異を有するアスパルトキナーゼIIIを発現し、かつリジンデカルボキシラーゼの発現が増強されていることを特徴とする1,5−ペンタンジアミンの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、発酵法による1,5−ペンタンジアミンの製造方法に関する。
1,5−ペンタンジアミンは医薬中間体などの合成原料や高分子原材料として期待され、需要が高まりつつある。発酵法による1,5−ペンタンアミンの製造方法として、これまでにリジンデカルボキシラーゼの発現を増強したエシェリヒア属細菌(特許文献1)またはコリネ型細菌(特許文献2)を用いた製造技術が開示されている。
コリネ型細菌の生育上限温度はエシェリヒア属よりも10度程度低く、また生育速度も遅いとされる。従って、コリネ型細菌を発酵法の宿主として1,5−ペンタンジアミン生産に利用する場合には、培養温度を下げて培養する必要があると考えられる。すなわち、発酵に用いられている通常の微生物は、発酵中に自らが発生する発酵熱により培地の温度が上昇し、発酵に必要な酵素が失活したり生産菌が死滅したりするために、発酵中に培地を冷却することが必要となっている。従って、発酵におけるコストとしては、培養中に発生する発酵熱の冷却エネルギーが余分にかかってしまう。
一方、1,5−ペンタンジアミンの前駆体であるL−リジンを工業規模で発酵生産しているエシェリヒア属細菌(特に大腸菌)は分子生物学的に解析が進んでおり、培養温度も37℃前後とコリネ型細菌と比較して高く、生育速度も速いことから、効率のよい1,5−ペンタンジアミン製造が可能になることが期待される。しかしながら、エシェリヒア属細菌はアスパラギン酸をβ−ホスホアスパラギン酸に変える反応を触媒する酵素であるアスパルトキナーゼ(以下、「AK」と略すことがある)のうち、AKIIIがL−リジンによるフィードバック阻害を受けることが知られている。
大腸菌のAKは3種あり(AKI、AKII、AKIII)、うちAKIとAKIIはホモセリンデヒドロゲナーゼ(以下、「HD」と略すことがある)との複合酵素である。複合酵素の内のひとつはthrA遺伝子にコードされるAKI−HDIであり、もう一方はmetLM遺伝子にコードされるAKII−HDIIである。AKIはスレオニンとイソロイシンによる協奏的抑制及びスレオニンによる阻害を受け、AKIIはメチオニンによる抑制を受けるとされている。これらに対し、AKIIIのみは単機能酵素であり、lysCと名付けられた遺伝子の産物であって、L−リジンによるフィードバック阻害を受けることが知られている。AKIIIがL−リジンによるフィードバック阻害を受けると、AKIIIの酵素活性がL−リジンによって抑制され、その結果、生産物であるL−リジン並びにその代謝産物である1,5−ペンタンジアミンの生産量も抑制される。
そこで、L−リジンによるフィードバック阻害を受けない変異型AKIIIの変異酵素を取得することができれば、エシェリヒア属細菌(特に大腸菌)を用いて効率のよい1,5−ペンタンジアミンの発酵生産を行うことが期待できるが、AKIIIの変異酵素についての報告はあるものの(特許文献3および4)、同変異酵素が1,5−ペンタンジアミンの生産性を改善した例は知られていない。
特開2002―223770号公報 特開2008−104453号公報 特開平11−192088号公報 特開平11−285381号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、簡便かつ効率的な1,5−ペンタンジアミンの製造方法を開発することである。
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、L−リジンによるフィードバック阻害を解除する変異を有するアスパルトキナーゼIIIを発現し、かつリジンデカルボキシラーゼ(cadA)の発現が増強された大腸菌(E.coli)を培養することにより、高い対糖収率で1,5−ペンタンジアミンを製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、1,5−ペンタンジアミンを生産する能力を有する大腸菌(E.coli)を培養することによる1,5−ペンタンジアミンの製造法であって、前記細菌がL−リジンによるフィードバック阻害を解除する変異を有するアスパルトキナーゼIIIを発現し、かつリジンデカルボキシラーゼの発現が増強されていることを特徴とする1,5−ペンタンジアミンの製造方法を提供するものである。
また、本発明の好ましい態様によれば、L−リジンによるフィードバック阻害を解除する変異を有するアスパルトキナーゼIIIが、大腸菌(E.coli)由来のアスパルトキナーゼIIIの変異体であることを特徴とする1,5−ペンタンジアミンの製造方法である。
また、本発明の好ましい態様によれば、L−リジンによるフィードバック阻害を解除する変異が、配列番号2で表されるアミノ酸配列のN−末端から354番目のアスパラギン酸残基がアスパラギンに置換する変異、354番目のアスパラギン酸残基がバリン残基に置換する変異、該アミノ酸配列の381番目のグルタミン酸残基がバリン残基に置換する変異および該アミノ酸配列の354番目のアスパラギン酸残基がバリン残基に置換しかつ381番目のグルタミン酸残基がバリン残基に置換する変異、該アミノ酸配列の321番目のセリン残基がフェニルアラニン残基に置換する変異、該アミノ酸配列の421番目のグリシン残基がアスパラギン酸残基に置換する変異、からなる群から選択される変異を有することを特徴とする1,5−ペンタンジアミンの製造方法である。
さらに、本発明は、リジンデカルボキシラーゼが、大腸菌(E.coli)由来であることを特徴とする1,5−ペンタンジアミンの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、既存の方法に比較してより生産性の高い1,5−ペンタンジアミンの製造方法が提供される。
本発明は、1,5−ペンタンジアミンを生産する能力を有する大腸菌(以下、1,5−ペンタンジアミン生産菌ともいう)にL−リジンによるフィードバック阻害を解除する変異を有するアスパルトキナーゼIII(以下、変異型AKIIIともいう)を発現させることを特徴とする。
1,5−ペンタンジアミン生産菌に変異型AKIIIを発現させる方法としては、変異型AKIIIをコードする遺伝子(以下、変異型LysCともいう)を1,5−ペンタンジアミン生産菌に導入する方法が好ましく適用される。
変異型LysCを供与する生物としては、特に限定はないが、エシェリヒア属に属する微生物であることが好ましく、大腸菌(E.coli)であることがより好ましい。具体的にはナイトハルトらの著書(Neidhardt F.C. et.al., Escherichia coli and Salmonella Typhimurium, American Society for Microbiology, Washington D.C., 1208, table 1)にあげられる大腸菌が利用でき、たとえば、大腸菌のJM109株やMC1061株等があげられる。ここで、大腸菌の野生型LysCの遺伝子配列は配列番号1、大腸菌の野生型AKIIIのアミノ酸配列は配列番号2で表され、変異型は該野生型の塩基配列もしくはアミノ酸配列が欠失、置換または付加したものである。
大腸菌由来の変異型LysCを取得する方法としては、特開平11−285381に開示される方法により取得することができる。変異型AKIIIの具体例としては、特開平11−285381に開示される配列番号2のアミノ酸配列中、N−末端から(1)323番目のグリシン残基がアスパラギン酸残基に置換する変異、(2)323番目のグリシン残基がアスパラギン酸残基に置換しかつ408番目のグリシン残基がアスパラギン酸残基に置換する変異、(3)34番目のアルギニン残基がシステイン残基に置換しかつ323番目のグリシン残基がアスパラギン酸残基に置換する変異、(4)325番目のロイシン残基がフェニルアラニン残基に置換する変異、(6)318番目のメチオニン残基がイソロイシン残基に置換する変異、(7)318番目のメチオニン残基がイソロイシン残基に置換しかつ349番目のバリン残基がメチオニン残基に置換する変異、(8)345番目のセリン残基がロイシン残基に置換する変異、(9)347番目のバリン残基がメチオニン残基に置換する変異、(10)352番目のスレオニン残基がイソロイシン残基に置換する変異、(11)352番目のスレオニン残基がイソロイシン残基に置換しかつ369番目のセリン残基がフェニルアラニン残基に置換する変異、(12)164番目のグルタミン酸残基がリジン残基に置換する変異または(13)417番目のメチオニン残基がイソロイシン残基に置換しかつ419番目のシステイン残基がチロシン残基に置換する変異、菊地慶実著「大腸菌における新規リジンデカルボキシラーゼの発見及びその分子生物学的解析」(東北大学学位論文、1999年)に開示される(14)250番目のグルタミン酸残基がリジン残基に置換する変異または(15)344番目のスレオニン残基がメチオニン残基に置換する変異、(16)354番目のアスパラギン酸残基がアスパラギンに置換する変異、あるいは本明細書の実施例にある(17)354番目のアスパラギン酸残基がバリン残基に置換する変異、(18)381番目のグルタミン酸残基がバリン残基に置換する変異、(19)354番目のアスパラギン酸残基がバリン残基に置換しかつ381番目のグルタミン酸残基がバリン残基に置換する変異、(20)321番目のセリン残基がフェニルアラニン残基に置換する変異または(21)421番目のグリシン残基がアスパラギン酸残基に置換する変異が挙げられるが、これらの中でも(16)〜(21)に挙げられる変異型AKIIIが1,5−ペンタンジアミン生産菌における1,5−ペンタンジアミンの生産効率に向上する変異として好ましく用いられる。
これらの配列において、上記アミノ酸残基の置換を起こすような塩基配列の変異を有するものが、本発明の変異型AKIIIをコードする核酸である。なお、置換されたアミノ酸残基に対応するコドンは、そのアミノ酸残基をコードするものであれば種類は特に問わない。また、菌種や菌株の違いにより保持する野生型AKIIIのアミノ酸配列がわずかに相異するものがある。このような酵素の活性に関与しない位置でのアミノ酸残基の置換、欠失あるいは挿入を有するものも本発明の変異型LysCに含まれる。こうして得られた該変異型LysCを、組換えDNAとして大腸菌(宿主)に導入し、発現させることによりフィードバック阻害が解除されたAKIIIを保有する大腸菌を取得できる。
変異型LysCを組換えDNAとして大腸菌に導入する方法としては、該遺伝子断片を取り出し、他のベクターに挿入する方法が挙げられる。本発明において用いることのできることのできるベクターDNAとしては、プラスミドベクターDNAが好ましく、例えばpUC19、pUC18、pBR322、pHSG299、pHSG298、pHSG399、pHSG398、pRSF1010、pMW119、pMW118、pMW219、pMW218等が挙げられる。他にもファージDNAのベクターも利用できる。その際、変異型LysCの発現を効率的に実施するために、変異型LysCの上流に、lac、trp、PL等の微生物内で働く他のプロモーターを連結してもよく、野生型LysCに含まれるプロモーターをそのまま、あるいは増幅して用いてもよい。
また、上記のように、変異型LysCを自律複製可能なベクターDNAに挿入したものを宿主に導入し、プラスミドのように染色体外DNAとして宿主に保持させてもよいが、変異型LysCをトランスダクション、トランスポゾン(Berg D.E. and Berg C.M., Bio/Technol., 1, 417 (1983))、Muファージ(特開平2−109985)または相同性組換え(Experiments in Molecular Genetics, ColdSpring Harbor Lab. (1972))を用いた方法で宿主微生物の染色体に組み込んでもよい。
次に、本発明で用いられるリジンデカルボキシラーゼについて説明する。リジンデカルボキシラーゼとは、アミノ酸の一種であるリジンから二酸化炭素を除去することにより1,5−ペンタンジアミンを生成し得る酵素である、このような活性を有していれば起源は問わないが、好ましくは微生物由来のものが使用できる。
このような微生物由来のリジンデカルボキシラーゼとしては、バシラス・ハロドゥランス(Bacillus halodurans)、バシラス・サブチリス(Bacillus subtilis)、大腸菌(Escherichia coli) 、セレノモナス・ルミナンチウム(Selenomonas tuminantium)、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae)、ビブリオ・パラヘモリティカス(Vibrio parahaemolyticus)、ストレプトマイセス・コエリカーラ(Streptomyces coelicolor)、ストレプトマイセス・ピロサス(Sterptomyces pilosus)、エイケネラ・コロデンス(Eikenella corrodens) 、イユバクテリウム・アシダミノフィルム(Eubacterium acidaminophilum) 、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium) 、ハフニア・アルベイ(Hafnia alvei)、ナイセリア・メニンギチデス(Neisseria meningitidis) 、テルモプラズマ・アシドフィルム(Thermoplasma acidophilum) またはピロコッカス・アビシ(Pyrococcus abyssi)等由来が挙げられるが、好ましくは大腸菌由来のものである。
大腸菌由来のリジンデカルボキシラーゼをコードする遺伝子(以下、リジンデカルボキシラーゼ遺伝子ともいう)として、cadAまたはldcCが好ましく、このうちcadAがより好適に用いられる。すなわち、L−リジンによるフィードバック阻害が解除された変異を有する変異型LysCを保持する大腸菌のリジンデカルボキシラーゼをコードするcadAまたはldcC遺伝子のコピー数を高め、または細菌細胞内のcadAまたはldcC遺伝子の発現が増強されるようにcadAまたはldcC遺伝子のプロモーターを改変することにより、リジンデカルボキシラーゼの活性が増強され、1,5−ペンタンジアミン生産性を一層向上させることができる。
リジンデカルボキシラーゼ遺伝子をクローニングする方法に特に制限はない。既知の遺伝子情報に基づき、PCR(polymerase chain reaction)法を用いて必要な遺伝領域を増幅取得する方法、既知の遺伝子情報に基づきゲノムライブラリーやcDNAライブラリーより相同性や酵素活性を指標としてクローニングする方法などが挙げられる。本発明においては、これらの遺伝子は、遺伝的多形性などによる変異型も含む。なお、遺伝的多形性とは、遺伝子上の自然突然変異により遺伝子の塩基配列が一部変化しているものをいう。例えばE.coli K12株の染色体DNAよりPCR法を用いて、リジンデカルボキシラーゼ遺伝子であるcadAまたはldcC遺伝子をクローニングすることができる。この際使用する染色体DNAはE.coli由来であればどの菌株由来でもよい。特に好ましくは、配列番号3に示したcadA遺伝子または配列番号4に示したldcC遺伝子のDNA配列である。
リジンデカルボキシラーゼ遺伝子を保持するベクターDNAは、通常大腸菌で利用するベクターDNAにリジンデカルボキシラーゼ遺伝子を導入することにより得ることができる。上記ベクターDNAの好適な例として、例えば、pBR322、pUC19、pBluescriptKS+、pACYC177、pACYC184、pAYC32、pMW119、pET22b等が挙げられる。他にもファージDNAのベクターも利用できる。
ベクターDNAが導入された大腸菌は、選択マーカー( 例えばアンピシリン)で選択される。リジンデカルボキシラーゼ(cadAまたはldcC)遺伝子発現を増強させる方法としては、遺伝子コピー数の増加が含まれるため、大腸菌で機能し得るベクター中にリジンデカルボキシラーゼ遺伝子を導入すると、遺伝子のコピー数が増加する。好ましくはマルチコピーベクターが使用され、マルチコピーベクターとしては、pBR322、pUC19、pBluescriptKS+、pACYC177、pACYC184、pAYC32、pMW119、pET22bなどが挙げられる。また、遺伝子発現の増強は、例えば、相同組換えなどの方法により、遺伝子の複数コピーを細菌染色体中に導入することにより達成され得る。
リジンデカルボキシラーゼ遺伝子の発現増強は、本来の天然プロモーターの代わりに、より強力なプロモーターの制御下に、本発明のDNAを配置することによっても達成され得る。好ましくは、上記リジンデカルボキシラーゼ遺伝子が、該遺伝子の発現を可能とするプロモーターの下流に導入されることによって達成され得る。用語「本来のプロモーター」は、野生型生物に存在するDNA領域であって、遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)の上流に位置し、同遺伝子の発現を促進する領域を意味する。プロモーターの強度の評価法は、例えば、Deuschle U., Kammerer W., Gents R., Bujard H.(エシェリヒア・コリにおけるプロモーター:in vivo強度の階層は代替的構造を示す。 EMBO J. 1986, 5, 2987-2994)により記載されている。
翻訳の向上は、本来のシャイン−ダルガーノ(Shine-Dalgarno)配列(SD配列)の代わりに、より効果的なSD配列を本発明のDNA中に導入することにより達成され得る。SD配列は、リボソームの16SRNAと相互作用するmRNAの開始コドンの上流領域である(Shine J. and Dalgarno L., Proc. Natl. Acad. Sci. U S A, 1974, 71, 4, 1342-6)。用語「本来のSD配列」とは、野生型に存在するSD配列を意味する。効果的なSD配列としては、T7ファージ由来φ10遺伝子のSD配列が挙げられる(Olins P.O. et al, Gene, 1988, 73, 227-235)。
上記のようにして得られるL−リジンによるフィードバック阻害が解除されたAKIIIを保持し、かつリジンデカルボキシラーゼの発現が増強された大腸菌を、好適な培地中で培養し、該培養物中に1,5−ペンタンジアミンを生産蓄積させ、該培養物から1,5−ペンタンジアミンを採取することにより、1,5−ペンタンジアミンを効率よく製造することができる。
本発明は、上記形質転換大腸菌を培養することを含む1,5−ペンタンジアミンの製造方法に関するものである。本発明における培養方法について説明する。
培養には、バッチ培養、流加培養(フェドバッチ培養)、連続培養のいずれも採用することができる。これら本発明における大腸菌の培養には、分離膜を用いることも可能である。
培地は炭素源、窒素源、無機イオンおよび必要に応じてその他の有機微量成分を含有する通常の培地が使用可能であり、1,5−ペンタンジアミンが産生される限り特に制限はない。
炭素源としてはグルコース、フラクトース、糖蜜などの糖類、フマール酸、クエン酸、コハク酸などの有機酸、メタノール、エタノール、グリセロールなどのアルコール類などを1〜15%、窒素源として酢酸アンモニウムなどの有機アンモニウム塩、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウムなどの無機アンモニウム塩、アンモニアガス、アンモニア水、尿素などを0.1%〜4.0%、有機微量成分としてはピリドキサルリン酸やビオチンなどの被要求性物質が0.0000001%〜0.1%、それぞれ適当量含有する培地が用いられる。
その他、培地にはリン酸カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸第1鉄などが微量物質として必要に応じて添加されうる。さらにチアミン、ナイアシンなどの要求ビタミン、又はこれらを含有する酵母エキス、コーンスティープリカー、その他天然物を適当量含有した培地を用いることもできる。
次に、培養条件について説明する。培養は通常、好気的条件下で行うが、1,5−ペンタンジアミンの生成に応じて嫌気的条件下で行うことも可能である。
この1,5−ペンタンジアミン発酵における培養pH調整には水酸化ナトリウムまたはアンモニアおよび塩酸またはジカルボン酸を使用することが好ましい。これら中和剤を用い培養pHを5〜8に、特に好ましくはpH 6.5〜7.5に制御するのがよい。なお中和剤の状態に制限はなく、気体、液体、固体または水溶液で使用される。特に好ましくは水溶液である。
培養温度は一般に25℃〜45℃、特に好ましくは30℃〜37℃が用いられる。また、培養時間に特に制限はなく、一般に4〜120時間振とうまたは撹拌培養することで好ましい結果が得られる。
培養液中に生成した1,5−ペンタンジアミンは、そのまま単離精製することなく利用することもできるし、菌体を遠心分離などで除去した後、濃縮、蒸留および晶析などの従来知られている方法を組み合わせて分離・精製することもできる。例えば、特開2004−222569号公報に示される晶析を用いた精製法を用いることができる。
以下、本発明の1,5−ペンタンジアミンの製造方法をさらに詳細に説明するために、実施例を挙げて説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。
下記実施例においては、リジンによるフィードバック阻害が解除された変異を有する変異型LysCの例として大腸菌由来の遺伝子、発現が増強されたリジンデカルボシキラーゼ遺伝子の例として、大腸菌由来のgapA遺伝子プロモーターと連結した大腸菌由来のcadA遺伝子(配列番号3)を用いた。
(実施例1)変異型LysC遺伝子の取得
<1>野生型lysCのクローニング
大腸菌(E.coli)のAKIIIをコードする遺伝子(lysC)の塩基配列は既に報告されており(Cassan M., Parsot C., Cohen G.N. and Patte J.C., J. Biol. Chem., 261, 1052 (1986))、オープンリーディングフレーム(ORF)は1347塩基対よりなり、449アミノ酸残基からなる蛋白質をコードしていることがわかっている。この遺伝子にはオペレーターが存在しL−リジンによる抑制を受けるため、このオペレーター領域を除くために、SD配列とORFのみを含む領域を、PCR法を用いて増幅し、クローニングすることにした。
E.coli K−12 W3110株の全ゲノムDNAを斎藤、三浦の方法(Biochem. Biophys. Acta., 72, 619(1963))により調製し、配列番号5及び6に示す配列を有する2種のプライマーを用いてエルリッチらの方法(PCR Technology, Stocktonpress (1989))に従ってPCR反応を行い、lysCの増幅を行った。得られたDNAを制限酵素EcoRIとXbaIで消化した後、低コピーベクターpMW119(宝酒造株式会社)のEcoRI、XbaI部位に挿入したプラスミドとしてpSY1を得た。
AKI、AKIIおよびAKIIIの完全欠損株であるE.coli Gif106M1株(thrA1101、ilvA296、metL1000、lysC1001、arg-1000)をpSY1で形質転換したところ、Gif106M1のホモセリンおよびジアミノピメリン酸の要求性が相補されたので、プラスミドに挿入されたDNA断片は、活性のある野生型AKIIIをコードする遺伝子であるlysCを含有すると確認した。また、AKI、AKIIおよびAKIII完全欠損株E.coli Gif106M1株にpSY1を導入して得られる形質転換株をGif106M1/pSY1株と命名し、最少培地M9に50mMのL−リジンを加えた培地で培養した結果、Gif106M1/pSY1株は野生型のlysCを含有するプラスミドを保持し、同プラスミド上のlysCにコードされる野生型AKIIIが唯一のAKであるため、野生型AKIIIがL−リジンにより阻害され、Gif106M1/pSY1株はL−スレオニン、L−イソロイシン、L−メチオニン及びジアミノピメリン酸(DAP)の合成ができなくなり生育が抑えられた。
<2>変異型lysCの取得
L−リジンによる阻害の解除されたAKIIIをコードする変異型lysCを含有するプラスミド保持株は、著量のL−リジンが添加された最少培地M9上での生育が可能になると予想し、生育がL−リジンに耐性となっている株を選択することによって、変異型lysCを含有するプラスミド保持株を選択することにした。まず、変異型lysCを効率よく取得するために、<1>で作製したpSY1上のlysCに変異処理を行なうことにした。
(1−2−1)変異型lysCを含有するプラスミド保持株の選択条件の検討
Gif106M1/pSY1株をそれぞれ種々の濃度のL−リジンを含有するM9寒天平板培地上で培養を行なった。そしてL−リジンによる生育阻止濃度を調べ、変異型lysCを含有するプラスミド保持株の選択条件の検討を行なった。各種濃度でL−リジンを含むM9培地での形質転換体の生育を表1に示す。なお、表中の+は形質転換株が生育したことを示し、±はやや生育したことを示し、−は生育しなかったことを示す。
Figure 2010098998
変異導入実験にはpSY1を用い、最少培地M9にL−リジン50mMを添加したものを、変異型lysCを含有するプラスミド保持株の選択に用いた。以下、実施例1においてこの培地を選択培地という。
(1−2−2)ヒドロキシルアミンによるpSY1のインビトロ変異処理
pSY1プラスミドへの変異の導入には、プラスミドを直接ヒドロキシルアミンで処理するインビトロ変異処理法を用いた。
(ヒドロキシルアミンによるインビトロ変異処理)
2μgのpSY1を0.4M ヒドロキシルアミン中(500mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0) 20μl、4M ヒドロキシルアミン塩酸塩 20μl、10mM EDTA(pH6.0)20μl、水を加えて計100μlとする)で、60℃及び62.5℃の条件下で、30分処理した。処理後のDNAをGFX PCR DNA and Gel Band Purification Kit(GE Healthcare製)で精製後、高効率コンピテントセルE.coli XL10Gold(Takara社製)に導入し、完全培地(Lbroth:1% Bacto trypton, 0.5% Yeast extract, 0.5% NaCl, 1.5%寒天)に撒きコロニーを形成させた。プレート上に出現したコロニーをすべて掻き集め、QIAprep Spin Miniprep Kit (キアゲン社)によりプラスミド抽出し、AKI、AKIIおよびAKIII完全欠損株であるGif106M1株に導入し、これを(1−2−1)で設定した選択培地に撒き、生育可能な株を選択し候補株とした。
上記で得られた候補株合計16株を再度選択培地にスポットし、L−リジン耐性が認められた16株を得た。これら16株がどれだけリジン耐性を有するかを調べるために、L−リジン存在下での液体培養によって増殖を調べた。100または200mMのL−リジンを含むM9培地において、培養時間48時間、温度37℃の条件下、攪拌180rpmで上記16株の試験管培養を行い、菌体濁度を測定した結果を表2に示す。
Figure 2010098998
200mMのリジン濃度でも耐性のあったNo.1、No.4、No.6、No.10、No.11株の5株の有する変異型lysCをそれぞれlysCM1、lysCM4、lysCM6、lysCM10、lysCM11と命名した。
(1−2−3)ポイントミューテーションによるpSY1の1アミノ酸置換
pSY1のプラスミドDNAを鋳型とし、配列番号18に示す合成DNAプライマーと、プロメガ(Promega)社のGeneEditor in vitro Site-Directed Mutagenesis Systemを用いて、配列番号2に示すアミノ酸配列を有するAKIII遺伝子に、N−末端から352番目のスレオニン残基がイソロイシン残基に置換された変異を導入した。この変異を有するアミノ酸配列を有する遺伝子は、上記に示したとおりリジンによるフィードバック阻害が解除されることが既に分かっており、これをlysCMPと命名した。そして、pSY1と同様に、図1に示すようにlysCMPをpMW119のEcoRI、XbaI部位に挿入したプラスミドpSYMPを得た。
(1−2−4)野生型lysCおよび変異型lysCの塩基配列の決定
常法に従い、今回取得したlysCM1、lysCM4、lysCM6、lysCM10、lysCM11、lysCMPそれぞれについて塩基配列を決定し、野生型lysCとの変異点を明らかにした。結果を表3に示す。(1−2−2)で取得した変異型lysCの塩基配列の変異の種類は5種類であった。lysCM6に関しては、野生型lysC遺伝子と塩基配列は同一であり、変異は確認されなかった。(1−2−3)で合成したlysCMPにおいては、配列番号2に示すアミノ酸配列のN−末端から352番目のスレオニン残基がイソロイシン残基に置換された変異を確認した。
Figure 2010098998
<3>変異型lysCの単離及び変異型lysC遺伝子産物の検討
上記変異型lysCであることが確認できたlysCM1、lysCM4、lysCM10、lysCM11をpSY1同様pMW119に挿入したプラスミドを得、それぞれ図1に示した通り、pSYM1、pSYM4、pSYM10、pSYM11と命名した。そして、AKI、AKIIおよびAKIII完全欠損株Gif106M1をpSY1、pSYM1、pSYM4、pSYM10、pSYM11またはpSYMPで形質転換し、各形質転換株から無細胞抽出液を調製し、AKIIIの酵素活性を測定した。
無細胞抽出液(粗酵素液)は次のようにして調製した。形質転換株をトリプトン10g/L、酵母エキス5g/L、NaCl 5g/Lからなる培地で培養し、OD600が約0.5になったところで集菌した。菌体を菌体破砕液(50mM リン酸カリウム緩衝液pH7.5、300mM 塩化ナトリウム、5mM βメルカプトエタノール、10mM イミダゾール)にて懸濁後、超音波処理で菌体を破砕した。遠心分離後、可溶性画分をNi−NTA agaroseカラム(キアゲン社)に通し、洗浄緩衝液(50mM リン酸カリウム緩衝液pH7.5、300mM 塩化ナトリウム、5mM βメルカプトエタノール、20mM イミダゾール)にてカラムを洗浄した。次いで、溶出用緩衝液(50mM リン酸カリウム緩衝液pH7.5、300mM 塩化ナトリウム、5mM βメルカプトエタノール、250mM イミダゾール)をカラムに通し、その上清を粗酵素液とした。
AKIII活性の測定はブラックの方法(Methods in Enzymology, Vol. 5, p820-827, Academic Press Inc., New York (1962))に従った。すなわち、最終液量1mL中に100mM トリス−硫酸緩衝液(pH7.5)、10mM ATP、10mM 硫酸マグネシウム、600mM ヒドロキシルアミン・塩酸塩、600mM 硫酸アンモニウム、50mM L−アスパラギン酸及び前記粗酵素液を加え、30℃、15分間反応させた後、10% 塩化鉄(II)6水和物−3.3%トリクロロ酢酸−0.7N塩酸液1.5mLを加え、遠心分離で沈殿物を除去した液を、540nmの吸光度を測定した。活性は1分間に生成するヒドロキサム酸の量で表示(1μmol/min)した。
AKIIIの酵素活性を測定する際、酵素反応液中に100mMの濃度のL−リジンを加え、L−リジンによる阻害の具合を調べた。なお、表4中、阻害解除度(%)は、L−リジン非存在下での酵素活性に対する100mM L−リジン存在下での酵素活性で表示した。結果を表4に示した。
この結果が示すように、野生型AKIIIはL−リジンによる阻害を強く受け、100mM L−リジン存在下になると、100%酵素活性が阻害された。それに対し、今回得られた変異型AKIIIはいずれも100mM L−リジン存在下での阻害はほとんどみられなかった。また総蛋白当りの比活性は、いずれもほとんどが野生型と同等もしくはそれ以上のものであり、変異導入による活性低下の問題はほとんどなかった。特に、lysCM11は、比活性、阻害解除度共にもっとも向上していた。なお、表4中、阻害解除度(%)とは、反応液中L−リジン非存在下でのAK活性に対する100mM L−リジンの存在下でのAK活性である。
Figure 2010098998
(実施例2)変異型LysCを用いた1,5−ペンタンジアミンの発酵生産
実施例1において取得したL−リジンによるフィードバック阻害を解除する変異を有する変異型LysCを用いて、1,5−ペンタンジアミン生産を行った。
変異型LysCを有するpSYM1、pSYM4、pSYM10、pSYM11またはpSYMPを、E.coli W3110株に導入し、1,5−ペンタンジアミン発酵試験を行った。培養は、以下の1,5−ペンタンジアミン生産培地を用い、培養温度37℃、攪拌800〜1000rpmの条件下で12時間行った。HPLCの分析条件は以下に示す。培養結果を表5に示す。
この結果が示すように、L−リジンによるフィードバック阻害解除型遺伝子保持株を用いた試験では、いずれにおいても1,5−ペンタンジアミンが生産された。特に、W3110/pSYM11を用いた時に、もっとも1,5−ペンタンジアミンを生産することがわかった。
(1,5−ペンタンジアミン生産培地)
A:(NHSO 16g/L
KHPO 1g/L
MgSO・7HO 1g/L
FeSO・7HO 0.01g/L
MnSO・5HO 0.01g/L
Yeast Extract (Difco) 2g/L
KOHでpH6.5に調整し、121℃で20分オートクレーブ
B:25%グルコース(115℃で10分オートクレーブ)
A:Bを4:1で混合し、抗生物質(アンピシリン 50μg/ml)を加える。
(1,5−ペンタンジアミン濃度のHPLCによる分析方法)
使用カラム:CAPCELL PAK C18(資生堂)
移動相:0.1%(w/w)リン酸水溶液:アセトニトリル=4.5:5.5
検出:UV360nm
サンプル前処理:分析サンプル25μlに内標として、1,4−ジアミノブタン(0.03M)を25μl、炭酸水素ナトリウム(0.075M)を150μlおよび2,4−ジニトロフルオロベンゼン(0.2M)のエタノール溶液を添加混合し、37℃の温度で1時間保温する。上記の反応溶液50μlを1mlアセトニトリルに溶解後、10,000rpmで5分間遠心した後の上清10μlをHPLC分析した。
Figure 2010098998
(実施例3)リジンデカルボキシラーゼ遺伝子発現増強株の作製
染色体中に存在するリジンデカルボキシラーゼ遺伝子の発現量を増強させるために、リジンデカルボキシラーゼ遺伝子のプロモーターを大腸菌のgapA遺伝子(グリセルアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子)プロモーターと置換した株の作製を試みた。プロモーターの置換は、FLPレコンビナーゼを用いた相同組換えによる遺伝子破壊方法を改変して行った。以下に、作製方法を示す。
<1>gapA遺伝子プロモーターのクローニング
大腸菌W3110株を培養し遠心回収後、UltraClean Microbial DNA Isolation Kit(MO BIO社製)を用いてゲノムDNAの抽出を行った。詳細な操作方法は、付属のプロトコールに従った。
上記のようにして得られたゲノムDNAを鋳型、オリゴヌクレオチド(配列番号7(KS029)、配列番号8(KS030))をプライマーセットとして、PCRによりgapA遺伝子プロモーター(gapA遺伝子の上流500bp、以下gapAプロモーターと略す。)の増幅を行った。PCR増幅反応には、KOD-Plus polymerase(東洋紡社製)を用い、反応バッファー、dNTPmixなどは付属のものを使用した。上記のように付属のプロトコールに従い調整したゲノムDNAを50ng/サンプル、プライマーを50pmol/サンプル、及びKOD-Plus polymeraseを1ユニット/サンプルになるように50μlの反応系に調製した。反応溶液をPCR増幅装置iCycler(BIO−RAD社製)により94℃の温度で5分熱変成させた後、94℃(熱変成):30秒、55℃(プライマーのアニール):30秒、68℃(相補鎖の伸張):30秒を1サイクルとして30サイクル行い、その後4℃の温度に冷却した。なお、遺伝子増幅用プライマー(配列番号7(KS029)、8(KS030))には、5末端側及び3末端側にHindIII認識配列が付加されるようにして作製した。
各PCR増幅断片を精製し末端をT4 Polynucleotide Kinase(タカラバイオ社製)によりリン酸化後、pUC118ベクター(制限酵素HincIIで切断し、切断面を脱リン酸化処理したもの)にライゲーションした。ライゲーションは、DNA Ligation Kit Ver.2(タカラバイオ社製)を用いて行った。ライゲーション溶液を大腸菌DH5αのコンピテント細胞(タカラバイオ社製)に形質転換し、抗生物質アンピシリンを50μg/mLを含むLBプレートに蒔いて一晩培養した。生育したコロニーについて、ミニプレップでプラスミドDNAを回収し、制限酵素HindIIIで切断し、gapAプロモーターが挿入されているプラスミドを選抜した。これら一連の操作は、全て付属のプロトコールに従い行った。
<2>リジンデカルボキシラーゼ遺伝子のクローニング
次に、<1>で得られた大腸菌W3110のゲノムDNAを鋳型として、オリゴヌクレオチド(配列番号9(CadAF2)、配列番号10(CadAR2))をプライマーセットとしてPCRを行い、リジンデカルボキシラーゼをコードしているcadA遺伝子のクローニングを行った。PCR増幅反応は、伸張反応のみ2分に変えた以外は<1>と同様な条件で行った。なお、遺伝子増幅用プライマー(配列番号9(CadAF2)、配列番号10(CadAR2))には、5末端側にHindIII、3末端側にXbaI認識配列が付加されるようにして作製した。得られたDNA断片を<1>と同様な方法でpUC118ベクターにライゲーションし、cadA遺伝子が挿入されているpUC118ベクターを得た。得られたベクターを制限酵素HindIIIおよびXbaIで切断して、cadA遺伝子が挿入されているプラスミドを確認した。
次に、このcadA遺伝子が挿入されたpUC118ベクターを制限酵素HindIIIおよびXbaIで切断し、得られたcadA遺伝子を含むDNA断片をpUC19のHindIII/XbaI切断部位にライゲーションし、得られたプラスミドDNAを回収し、制限酵素HindIIIおよびXbaIで切断することにより、cadA遺伝子が挿入された発現ベクターを選抜した。得られたプラスミドをpHS7とした。
<3>クロラムフェニコール耐性遺伝子のクローニング
次に、クロラムフェニコール耐性遺伝子(cat遺伝子)およびその上下流にFLP認識サイト(FRT)を有するベクターpKD3を鋳型、オリゴヌクレオチド(配列番号11、配列番号12)をプライマーセットとして、PCRによりcat遺伝子のクローニングを行った。PCR増幅反応は、伸張反応のみ1分に変えた以外は<1>と同様な条件で行った。なお、遺伝子増幅用プライマー(配列番号11、配列番号12)には、5末端側にBamHI、3末端側にSacI認識配列が付加されるようにして作製した。得られたDNA断片を<1>と同様な方法でpUC118ベクターにライゲーションし、cat遺伝子が挿入されているpUC118ベクターを得た。得られたベクターを制限酵素BamHIおよびSacIで切断して、cat遺伝子が挿入されているプラスミドを確認した。
<4>cat遺伝子およびgapAプロモーターのpHS7への挿入
次に、cat遺伝子が挿入されているpUC118ベクターを制限酵素BamHIで切断し、得られたDNA断片を上記pHS7のBamHI/SacI切断部位に導入したプラスミドを作製した。得られたベクターを制限酵素BamHIおよびSacIで切断して、cat遺伝子が挿入されていることを確認した。このようにして得られたプラスミドをpKS5とした。
<5>gapAプロモーター−cadA遺伝子カセットの染色体への導入
次に、gapAプロモーターが挿入されたpUC118ベクターを制限酵素HindIIIで切断し、得られたDNA断片を上記pKS5のHindIII切断部位に導入したプラスミドを作製した。このプラスミドDNAを鋳型、オリゴヌクレオチド(配列番号13(M13 RV)、配列番号8(KS030))をプライマーセットとしてPCRを行った。PCRにはPremixTaq ExTaqバージョン Ver(タカラバイオ社製)を用いた。このPCRにより、約500bpの増幅断片が得られるプラスミドを目的のプラスミドとして選抜した。このようにして得られたプラスミドをpKS8とした。
<4>のようにして得られたpKS8を鋳型、オリゴヌクレオチド(配列番号14(KS032)、配列番号15(KS033))をプライマーセットとして、PCRによりgapAプロモーター、cadA遺伝子、cat遺伝子を含むDNA断片を増幅した。PCR増幅反応にはKOD-Plus polymerase(東洋紡社製)を用い、反応バッファー、dNTPmixなどは付属のものを使用した。プラスミドDNAを50ng/サンプル、プライマーを50pmol/サンプル、及びKOD-Plus polymeraseを1ユニット/サンプルになるように50μlの反応系に調製した。反応溶液をPCR増幅装置iCycler(BIO−RAD社製)により94℃の温度で5分熱変成させた後、94℃(熱変成):30秒、65℃(プライマーのアニール):30秒、68℃(相補鎖の伸張):3分30秒を1サイクルとして30サイクル行い、その後4℃の温度に冷却した。得られた約3.5kbの増幅断片を定法に従って電気泳動後のアガロースゲルから抽出し、500ng/μlとなるように調整した。
W3110株にFLPレコンビナーゼを有するプラスミドpKD46を導入した株(W3110/pKD46と表記する。)を5mlのLB培地に植菌し、一晩30℃で培養した(前培養)。得られた前培養液を5mlのSOB培地(1mMアラビノース含有)に1%植菌し、OD600が0.6になるまで30℃で培養した(本培養)。本培養液を遠心して集菌した後、氷冷した10%グリセロールで3回洗浄し、最終的に50μlの10%グリセロールに菌体を懸濁した。この菌体懸濁液に上記のように精製したPCR増幅断片を2μl添加し、30分氷冷した。この懸濁液をエレクトロポレーション用キュベット(0.2cm)に移し、GenePulser Xcell(BIO−RAD社製)を用いてエレクトロポレーションを行った(2500V、25μF、200Ω)。電気パルスを与えた後、キュベットに1mlのSOC培地を投入し菌体懸濁液を回収して、37℃で2.5時間培養した。培養液を25μg/Lのクロラムフェニコールを添加したLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩培養した。
得られたコロニーがアンピシリンを添加したLB培地で生育しないことを確認した後、目的とするcadA遺伝子のプロモーターがgapAプロモーターと置換されている株であることを、抽出したゲノムを鋳型、オリゴヌクレオチド(配列番号16(KS007)、配列番号17(KS008))をプライマーとしたPCRにより行った。目的とする相同組換え株では約3.8kbの増幅断片が得られるのに対し、目的の位置に相同組換えで挿入されていない株では約2.3kbの増幅断片が得られる。その結果、約3.8kbの増幅断片が確認できた。このcadA遺伝子のプロモーターがgapAプロモーターと置換されている株をW3110(gapA−cadA)株とした。
(実施例4)リジンデカルボキシラーゼ遺伝子発現増強株を用いた1,5−ペンタンジアミンの発酵生産
大腸菌で1,5−ペンタンジアミンを大量生産させるためには、リジンデカルボキシラーゼ遺伝子の発現を増強した宿主を用いることが好ましい。そこで、変異型lysCが大腸菌で1,5−ペンタンジアミンを大量する際に及ぼす影響を評価するに当たり、実施例3で作製したW3110(gap−cadA)株を使用した。
W3110(gapA−cadA)株をpSYM1、pSYM4、pSYM10またはpSYM11で形質転換し、得られた形質転換体について実施例2と同様にして1,5−ペンタンジアミン生産性を調べた。結果を表6に示す。
この結果が示すように、いずれの株を用いても1,5−ペンタンジアミンが生産されたが、特に、W3110(gap−cadA)/pSYM1株、W3110(gap−cadA)/pSYM4株、W3110(gap−cadA)/pSYM10株、W3110(gap−cadA)/pSYM11株は1.0g/L以上の1,5−ペンタンジアミンを生産し、その中でもW3110(gap−cadA)/pSYM11を用いた時に、もっとも1,5−ペンタンジアミンを生産することがわかった。
Figure 2010098998
(比較例1)野生型lysCを導入した株による1,5−ペンタンジアミンの発酵生産
W3110株をpSY1で形質転換し、得られた形質転換体について実施例2と同様にして、1,5−ペンタンジアミン生産性を調べた。結果を表7に示す。
Figure 2010098998
(比較例2)野生型lysCを導入したリジンデカルボキシラーゼ遺伝子発現増強株による1,5−ペンタンジアミンの発酵生産
実施例2で得られたW3110(gapA−cadA)株をpSY1で形質転換し、得られた形質転換体について実施例2と同様に1,5−ペンタンジアミン生産性を調べた。結果を表8に示す。
Figure 2010098998
これらを比較した結果、本発明によって開示されたリジンによるフィードバック阻害が解除された変異型lysCをリジンデカルボキシラーゼ遺伝子の発現を増強した宿主株に導入することによって、1,5−ペンタンジアミンの生産効率が向上することが明らかとなり、特にlysCM1、lysCM4、lysCM10またはlysCM11をリジンデカルボキシラーゼ遺伝子の発現を増強した宿主株に導入することによって、特に1,5−ペンタンジアミンの生産効率が向上することが明らかとなった。
野生型lysC並びにlysCM1、lysCM4、lysCM10、lysCM11をそれぞれ含有するプラスミドであるpSY1、pSYM1、pSYM4、pSYM10、pSYM11の構造を示す図である。

Claims (4)

  1. 1,5−ペンタンジアミンを生産する能力を有する大腸菌(E.coli)を培養することによる1,5−ペンタンジアミンの製造方法であって、前記細菌がL−リジンによるフィードバック阻害を解除する変異を有するアスパルトキナーゼIIIを発現し、かつリジンデカルボキシラーゼの発現が増強されていることを特徴とする1,5−ペンタンジアミンの製造方法。
  2. 前記L−リジンによるフィードバック阻害を解除する変異を有するアスパルトキナーゼIIIが、大腸菌(E.coli)由来のアスパルトキナーゼIIIの変異体であることを特徴とする、請求項1に記載の1,5−ペンタンジアミンの製造方法。
  3. 前記L−リジンによるフィードバック阻害を解除する変異が、配列番号2で表されるアミノ酸配列のN−末端から354番目のアスパラギン酸残基がアスパラギンに置換する変異、354番目のアスパラギン酸残基がバリン残基に置換する変異、該アミノ酸配列の381番目のグルタミン酸残基がバリン残基に置換する変異、該アミノ酸配列の354番目のアスパラギン酸残基がバリン残基に置換しかつ381番目のグルタミン酸残基がバリン残基に置換する変異、該アミノ酸配列の321番目のセリン残基がフェニルアラニン残基に置換する変異および該アミノ酸配列の421番目のグリシン残基がアスパラギン酸残基に置換する変異からなる群から選択される変異を有することを特徴とする請求項1または2に記載の1,5−ペンタンジアミンの製造方法。
  4. 前記リジンデカルボキシラーゼが、大腸菌(E.coli)由来であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の1,5−ペンタンジアミンの製造方法。
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