JP4074251B2 - 変異型6−ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、6−ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ(以下、GNDと略す)活性を有するポリペプチド、該ポリペプチドをコードするDNA、該DNAを含有する組換え体DNA、該組換え体DNAを保有する形質転換体、該DNAを染色体上に有する微生物、および該形質転換体もしくは該微生物を培地に培養することを特徴とする有用物質の製造法に関する。
背景技術
GNDは、ペントースリン酸回路中の酵素の1つであり、6−ホスホグルコン酸を酸化および脱炭酸してD−リブロース−5−リン酸を生成する酵素である。
GNDをコードするDNAについては、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)由来〔Gene,27,253(1984)〕、バシラス・サブチリス(Bacillus subtilis)由来〔J.Biol.Chem.,261,13744(1986)〕等のDNAが単離され、その塩基配列が報告されている。
コリネバクテリウム属に属する微生物については、コリネバクテリウム・グルタミカムのGNDに関して、生化学的性質やGNDをコードする遺伝子の塩基配列が報告されている[Agric.Biol.Chem.,51,1257(1987)、Eur.J.Biochem.,267,3442(2000)、Enzyme Microb.Technol.,28,754(2001)、特開平9−224662、EP 1108790]。
しかし、これまでに、GNDをコードするDNAに変異を導入することによって代謝産物の生産性を向上させることができることは知られていない。さらに、GNDをコードするDNAにどのような変異を導入すれば前記効果が得られるかについて記載および示唆した報告もない。
発明の開示
本発明の目的は、新規な変異型GND、該酵素をコードするDNA、該DNAを含有する組換え体DNA、該組換え体DNAを保有する形質転換体、該DNAを染色体上に有する微生物、または該形質転換体もしくは該微生物を用いる有用物質の製造法を提供することにある。
本発明は以下の(1)〜(23)に関する。
(1) 以下の(a)〜(f)記載のポリペプチドからなる群より選ばれるポリペプチド。
(a) コリネバクテリウム(Corynebacterium)属に属する微生物由来のGNDの有するアミノ酸配列において、配列番号1記載のアミノ酸配列の第158番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基がPro残基以外のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチド
(b)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDの有するアミノ酸配列において、配列番号1記載のアミノ酸配列の第361番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基がSer残基以外のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチド
(c)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDの有するアミノ酸配列において、配列番号1記載のアミノ酸配列の第158番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基がPro残基以外のアミノ酸残基に置換され、第361番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基がSer残基以外のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチド
(d)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDの有するアミノ酸配列において、配列番号1記載のアミノ酸配列の第158番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基がPro残基以外のアミノ酸残基に置換され、該置換された位置のアミノ酸残基以外の1以上のアミノ酸残基が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチド
(e)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDの有するアミノ酸配列において、配列番号1記載のアミノ酸配列の第361番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基がSer残基以外のアミノ酸残基に置換され、該置換された位置のアミノ酸残基以外の1以上のアミノ酸残基が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチド
(f)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDの有するアミノ酸配列において、配列番号1記載のアミノ酸配列の第158番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基がPro残基以外のアミノ酸残基に置換され、かつ第361番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基がSer残基以外のアミノ酸残基に置換され、該置換された位置のアミノ酸残基以外の1以上のアミノ酸残基が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチド
(2) コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDが、配列番号1記載のアミノ酸配列を有するGNDである上記(1)のポリペプチド。
(3) Pro残基以外のアミノ酸残基がSer残基である上記(1)または(2)のポリペプチド。
(4) Ser残基以外のアミノ酸残基がPhe残基である上記(1)または(2)のポリペプチド。
(5) Pro残基以外のアミノ酸残基がSer残基であり、かつSer残基以外のアミノ酸残基がPhe残基である上記(1)または(2)のポリペプチド。
(6) 上記(1)〜(5)いずれか1つのポリペプチドをコードするDNA。
(7) 以下の(a)〜(f)記載のDNAからなる群より選ばれるDNA。
(a)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDをコードするDNAの有する塩基配列において、配列番号2記載の塩基配列の第472〜474番目の塩基配列に相応する領域がPro残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンに置換された塩基配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(b)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDをコードするDNAの有する塩基配列において、配列番号2記載の塩基配列の第1081〜1083番目の塩基配列に相応する領域がSer残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンに置換された塩基配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(c)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDをコードするDNAの有する塩基配列において、配列番号2記載の塩基配列の第472〜474番目の塩基配列に相応する領域がPro残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンに置換され、かつ第1081〜1083番目の塩基配列に相応する領域がSer残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンに置換された塩基配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(d)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDをコードするDNAの有する塩基配列の配列番号2記載の塩基配列の第472〜474番目の塩基配列に相応する領域がPro残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンに置換された塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、該置換された領域がPro残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンであり、かつGND活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(e)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDをコードするDNAの有する塩基配列の配列番号2記載の塩基配列の第1081〜1083番目の塩基配列に相応する領域がSer残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンに置換された塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、該置換された領域がSer残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンであり、かつGND活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(f)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDをコードするDNAの有する塩基配列の配列番号2記載の塩基配列の第472〜474番目の塩基配列に相応する領域がPro残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンに置換され、かつ第1081〜1083番目の塩基配列に相応する領域がSer残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンに置換された塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、該置換された領域がそれぞれPro残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンおよびSer残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンであり、かつGND活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(8) コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDをコードするDNAが配列番号2記載の塩基配列を有するDNAである上記(7)のDNA。
(9) Pro残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンが、Ser残基をコードするコドンである上記(7)または(8)のDNA。
(10) Ser残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンがPhe残基をコードするコドンである上記(7)または(8)のDNA。
(11) Pro残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンが、Ser残基をコードするコドンであり、かつSer残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンがPhe残基をコードするコドンである上記(7)または(8)のDNA。
(12) 上記(6)〜(11)いずれか1つのDNAを含む組換え体DNA。
(13) 上記(12)の組換え体DNAを含む形質転換体。
(14) 形質転換体が、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属およびミクロバクテリウム(Microbacterium)属に属する微生物からなる群より選ばれる微生物である上記(13)の形質転換体。
(15) 形質転換体が、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)に属する微生物である、上記(13)または(14)の形質転換体。
(16) 染色体上に上記(6)〜(11)いずれか1つのDNAの有する塩基配列を有する微生物。
(17) 微生物が、コリネバクテリウム属、ブレビバクテリウム属およびミクロバクテリウム属に属する微生物からなる群より選ばれる微生物である上記(16)の微生物。
(18) 微生物が、コリネバクテリウム・グルタミカムに属する微生物である上記(16)または(17)の微生物。
(19) 上記(13)〜(18)いずれか1つの形質転換体または微生物を培地に培養し、培養物中に有用物質を生成蓄積させ、該培養物より該有用物質を採取することを特徴とする有用物質の製造法。
(20) 有用物質が、L−アミノ酸、核酸もしくはその誘導体、糖、またはビタミンである、上記(19)の製造法。
(21) 有用物質が、ペントースリン酸回路を経て合成される物質、または生合成にNADPHが使用される物質である上記(19)または(20)の製造法。
(22) 有用物質がL−アミノ酸または核酸もしくはその誘導体である、上記(19)〜(21)いずれか1項記載の製造法。
(23) 有用物質が、L−リジン、L−スレオニン、L−イソロイシン、L−アルギニン、フェニルアラニン、チロシンおよびL−トリプトファンからなる群より選ばれるL−アミノ酸である、上記(19)〜(22)いずれか1つの製造法。
以下、本願発明について詳細に説明する。
発明を実施するための最良の形態
(1)本発明のポリペプチド
本発明のポリペプチドは、以下の(a)〜(c)のポリペプチドからなる群より選ばれるポリペプチドである。
(a) コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDの有するアミノ酸配列において、配列番号1記載のアミノ酸配列の第158番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基がPro残基以外のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチド
(b)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDの有するアミノ酸配列において、配列番号1記載のアミノ酸配列の第361番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基がSer残基以外のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチド
(c)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDの有するアミノ酸配列において、配列番号1記載のアミノ酸配列の第158番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基がPro残基以外のアミノ酸残基に置換され、第361番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基がSer残基以外のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチド
コリネバクテリウム属に属する微生物としては、例えばコリネバクテリウム・アセトアシドフィラム(Corynebacterium acetoacidophilum)、コリネバクテリウム・アセトグルタミカム(Corynebacterium acetoglutamicum)、コリネバクテリウム・カルナエ(Corynebacterium callunae)、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム・ラクトファーメンタム(Corynebacterium lactofermentum)、コリネバクテリウム・ハーキュリス(Corynebacterium herculis)、コリネバクテリウム・リリウム(Corynebacterium lilium)、コリネバクテリウム・メラセコラ(Corynebacterium melassecola)、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネス(Corynebacterium thermoaminogenes)、コリネバクテリウム・エフィシェンス(Corynebacterium efficiens)、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)等をあげることができる。
コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDとしては、上記コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDであれば、いずれのGNDでもよい。
例えばEP1108790号公報に記載されている配列番号1記載のアミノ酸配列を有するGNDをあげることができる。
該コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDの有するアミノ酸配列において、配列番号1記載のアミノ酸配列の第158番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基とは、該コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDの有するアミノ酸配列と配列番号1記載のアミノ酸配列とを比較し、BLAST〔J.Mol.Biol.,215,403(1990)〕やFASTA〔Methods in Enzymology,183,63−98(1990)〕等を用いて計算したときに両アミノ酸配列の相同性が最も高くなるように該アミノ酸配列同士を重ね合わせたとき、該コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDの有するアミノ酸配列上で配列番号1記載の第158番目のアミノ酸残基に対応する位置のアミノ酸残基である。同様にして、配列番号1記載のアミノ酸配列の第361番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基も決定できる。
配列番号1記載のアミノ酸配列の第158番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基をPro残基以外のアミノ酸残基に置換するときのアミノ酸残基としては、Pro残基以外のアミノ酸残基であればいずれのアミノ酸であってもよいが、例えば、Ser、Thr、Trp、Cys、Asn、Gln、Tyr等の中性極性側鎖をもつアミノ酸残基が好ましく、Ser、Thr等の側鎖にヒドロキシル基をもつアミノ酸残基が更に好ましく、Ser残基が特に好ましい。
配列番号1記載のアミノ酸配列の第361番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基をSer残基以外のアミノ酸残基に置換するときのアミノ酸残基としては、Ser残基以外のアミノ酸残基であればいずれのアミノ酸であってもよいが、例えば、Phe、Val、Leu、Ile、Met、Gly、Ala、Pro等の非極性側鎖をもつアミノ酸残基または、Phe、Trp等の側鎖に環構造を持つアミノ酸が好ましく、Phe残基が特に好ましい。
さらに、以下の(d)〜(f)記載のポリペプチドも本発明のポリペプチドに包含される。
(d)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDの有するアミノ酸配列において、配列番号1記載のアミノ酸配列の第158番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基がPro残基以外のアミノ酸残基に置換され、該置換された位置のアミノ酸残基以外の1以上のアミノ酸残基が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチド
(e)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDの有するアミノ酸配列において、配列番号1記載のアミノ酸配列の第361番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基がSer残基以外のアミノ酸残基に置換され、該置換された位置のアミノ酸残基以外の1以上のアミノ酸残基が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチド
(f)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDの有するアミノ酸配列において、配列番号1記載のアミノ酸配列の第158番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基がPro残基以外のアミノ酸残基に置換され、かつ第361番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基がSer残基以外のアミノ酸残基に置換され、該置換された位置のアミノ酸残基以外の1以上のアミノ酸残基が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチド
上記(d)〜(f)のポリペプチドも、上記(a)〜(c)と同様の方法で取得することができる。また、置換されるアミノ酸残基の決定は上記(a)〜(c)における方法と同様の方法で行うことができる。
欠失、置換または付加されるアミノ酸の数は特に限定されないが、上記の部位特異的変異法等の周知の方法により欠失、置換または付加できる程度の数であり、1個から数十個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個である。
また、本発明のポリペプチドがGND活性を有するためには、上記(a)〜(c)いずれかに記載のアミノ酸配列と、BLASTやFASTA等を用いて計算したときに、少なくとも60%以上、通常は80%以上、特に95%以上の相同性を有していることが好ましい。
本発明のポリペプチドのGND活性は、アミノ酸の置換前と比べて低下していても向上していても同じであってもよいが、置換前にくらべて低下している場合は、配列番号1記載のアミノ酸配列を有するGNDのGND活性の10%以上であることが好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。
GND活性は公知の方法によって測定することができる。例えば、Agric.Biol.Chem.,51,1257(1987)、Enzyme Microb.Technol.,28,754(2001)等に記載の方法をあげることができる。
具体的には、下記(3)に述べる本発明の形質転換体または下記(4)に述べる微生物を培養して得られる培養液または、該培養液より得られる菌体、該菌体より得られる無細胞抽出液、該無細胞抽出液より精製して得られる本発明のポリペプチド等を酵素源として、該酵素源を含有するTris/HCl 50mmol/l(pH7.5)、NADP 0.5mmol/l、MgCl 10mmol/l、6−ホスホグルコン酸 2mmol/lを含む反応液を30℃で反応を行い、340nmにおける吸光度の増加を測定して、生成されるNADPHを定量し、該酵素源のGND活性を算出することができる。
上記本発明のポリペプチドは、〔Molecular cloning:a laboratory manual,3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001)〕(以下、モレキュラー・クローニング第3版と略す)、〔Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons(1987−1997)〕(以下、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジーと略す)、Nucleic Acids Research,10,6487(1982)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,79,6409(1982)、Gene,34,315(1985)、Nucleic Acids Research,13,4431(1985)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82,488(1985)等に記載の部位特異的変異導入法を用いてコリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDをコードするDNAに部位特異的変異を導入することによって取得することができる。
コリネバクテリウム属由来のGNDをコードするDNAの例としては、例えば、EP1108790号公報に記載されている配列番号2記載の塩基配列を有するDNAをあげることができる。
なお、コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDの有するアミノ酸配列の第158番目のアミノ酸残基がPro残基以外のアミノ酸残基であり、第361番目のアミノ酸残基がSer残基以外のアミノ酸残基である場合は、かならずしも置換を行わなくてもよい。
(2) 本発明のDNA
本発明のDNAは、上記本発明のポリペプチドをコードするDNAである。
例えば、以下の(a)〜(c)記載のDNAをあげることができる。
(a)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDをコードするDNAの有する塩基配列において、配列番号2記載の塩基配列の第472〜474番目の塩基配列に相応する領域がPro残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンに置換された塩基配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(b)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDをコードするDNAの有する塩基配列において、配列番号2記載の塩基配列の第1081〜1083番目の塩基配列に相応する領域がSer残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンに置換された塩基配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(c)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDをコードするDNAの有する塩基配列において、配列番号2記載の塩基配列の第472〜474番目の塩基配列に相応する領域がPro残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンに置換され、かつ第1081〜1083番目の塩基配列に相応する領域がSer残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンに置換された塩基配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチドをコードするDNA
上記本発明のDNAは、コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDをコードするDNAに部位特異的変異を導入することによって取得することができる。
コリネバクテリウム属に属する微生物としては、上記(1)であげたコリネバクテリウム属に属する微生物をあげることができる。
コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDをコードするDNAとしては、例えば、EP1108790号公報に記載されている配列番号2記載の塩基配列を有するDNAをあげることができる。
コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDをコードするDNAの有する塩基配列において、配列番号2記載の塩基配列の第472〜474番目の塩基配列に相応する領域とは、コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDをコードするDNAの有する塩基配列と配列番号2記載の塩基配列とを比較し、BLASTやFASTA等を用いて計算したときに最も相同性が高くなるように両塩基配列同士を重ね合わせたとき、配列番号2記載の塩基配列の第472〜474番目に対応する領域である。同様にして、配列番号2記載の塩基配列の第1081〜1083番目の塩基配列に相応する領域も決定できる。
配列番号2記載の塩基配列を有するDNAはEP1108790号公報に記載された塩基配列の情報をもとに、コリネバクテリウム グルタミクムの野生株ATCC13032由来の染色体DNA〔斎藤らの方法[Biochim.Biophys.Acta,72,619(1963)]〕や下記方法で得られるcDNAライブラリーから、PCR等の常法により得ることができる。その他の、コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDをコードするDNAも配列番号2記載の塩基配列の情報を用いてPCR等の常法により得ることができる。
本発明のDNAは、例えば、配列番号2記載の塩基配列を有するDNAに、モレキュラー・クローニング第3版の記載にしたがって部位特異変異を導入して得てもよいし、公知の方法で合成して得てもよい。
cDNAライブラリー作製法としては、モレキュラー・クローニング第3版やカレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー、DNA Cloning 1:Core Techniques,A Practical Approach,Second Edition,Oxford University Press(1995)等に記載された方法、あるいは市販のキット、例えばスーパースクリプト・プラスミド・システム・フォー・cDNA・シンセシス・アンド・プラスミド・クローニング〔SuperScript Plasmid System for cDNA Synthesis and Plasmid Cloning;Gibco BRL社製〕やザップ−cDNA・シンセシス・キット〔ZAP−cDNA Synthesis Kit、ストラタジーン社製〕を用いる方法などがあげられる。
cDNAライブラリーを作成するためのクローニングベクターとしては、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12株中で自立複製できるものであれば、ファージベクター、プラスミドベクター等いずれでも使用できる。具体的には、ZAP Express〔Stratagene社製、Strategies,,58(1992)〕、pBluescript II SK(+)〔Nucleic Acids Research,17,9494(1989)〕、λ zap II(Stratagene社製)、λ gt10、λ gt11〔DNA Cloning,A Practical Approach,,49(1985)〕、λ TriplEx(クローンテック社製)、λ BlueMid(クローンテック社製)、λ ExCell(ファルマシア社製)、pT7T318U(ファルマシア社製)、pcD2〔Mol.Cell.Biol.,,280(1983)〕、pUC18〔Gene,33,103(1985)〕等をあげることができる。
cDNAを組み込んだベクターを導入する微生物としては、エシェリヒア・コリに属する微生物であればいずれでも用いることができる。具体的には、Escherichia coli XL1−Blue MRF’〔Stratagene社製、Strategies,,81(1992)〕、Escherichia coli C600〔Genetics,39,440(1954)〕、Escherichia coli Y1088〔Science,222,778(1983)〕、Escherichia coli Y1090〔Science,222,778(1983)〕、Escherichia coli NM522〔J.Mol.Biol.,166,1(1983)〕、Escherichia coli K802〔J.Mol.Biol.,16,118(1966)〕、Escherichia coli JM105〔Gene,38,275(1985)〕等を用いることができる。
このようにして得られる本発明のDNAとしては、例えば以下の(a−1)〜(c−1)のDNAからなる群より選ばれるDNAをあげることができる。
(a−1)配列番号2記載の塩基配列の第472〜474番目の領域がPro残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンに置換された塩基配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(b−1)配列番号2記載の塩基配列の第1081〜1083番目の領域がSer残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンに置換された塩基配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(c−1)配列番号2記載の塩基配列の第472〜474番目の領域がPro残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンに置換され、かつ第1081〜1083番目の領域がSer残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンに置換された塩基配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチドをコードするDNA
具体的例としては、以下の(a−2)〜(c−2)のDNAからなる群より選ばれるDNA等をあげることができる。
(a−2)配列番号2記載の塩基配列の第472番目のシトシン残基がチミン残基に置換された塩基配列を有するDNA
(b−2)配列番号2記載の塩基配列の第1082番目のシトシン残基が、チミン残基に置換された塩基配列を有するDNA
(c−2)配列番号2記載の塩基配列の第472番目のシトシン残基がチミン残基に置換され、かつ第1082番目のシトシン残基がチミン残基に置換された塩基配列を有するDNA
さらに、上記(a)〜(c)、(a−1)〜(c−1)および(a−2)〜(c−2)記載のDNA以外に、以下の(d)〜(f)記載のDNAも本発明のDNAに包含される。
(d)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDをコードするDNAの有する塩基配列の配列番号2記載の塩基配列の第472〜474番目の塩基配列に相応する領域がPro残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンに置換された塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、該置換された領域がPro残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンであり、かつGND活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(e)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDをコードするDNAの有する塩基配列の配列番号2記載の塩基配列の第1081〜1083番目の塩基配列に相応する領域がSer残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンに置換された塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、該置換された領域がSer残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンであり、かつGND活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(f)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDをコードするDNAの有する塩基配列の配列番号2記載の塩基配列の第472〜474番目の塩基配列に相応する領域がPro残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンに置換され、かつ第1081〜1083番目の塩基配列に相応する領域がSer残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンに置換された塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、該置換された領域がそれぞれPro残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンおよびSer残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンであり、かつGND活性を有するポリペプチドをコードするDNA
該置換される領域の決定は、上記(a)〜(c)における方法と同様な方法で行うことができる。
コリネバクテリウム属に属する微生物としては上記(1)に記載したコリネバクテリウム属に属する微生物をあげることができる。
(d)〜(f)記載のDNAは、例えば、上記(a−2)〜(c−2)いずれかに記載のDNAの有する塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAのうち、第472〜474番目または第1081〜1083番目の塩基配列に対応する領域がそれぞれ、Pro以外のアミノ酸残基をコードするコドンおよびSer以外のアミノ酸残基をコードするコドンとして保存されているDNAとして得ることができる。
(a−2)〜(c−2)いずれかに記載のDNAの有する塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAとは、上記(a−2)〜(c−2)いずれかに記載のDNAをプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより得られるDNAを意味し、具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のDNAを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0mol/lの塩化ナトリウム存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mmol/l塩化ナトリウム、15mmol/lクエン酸ナトリウムよりなる)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるDNAをあげることができる。ハイブリダイゼーションは、モレキュラー・クローニング第3版、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー、DNA Cloning 1:Core Techniques,A Practical Approach,Second Edition,Oxford University(1995)等に記載されている方法に準じて行うことができる。ハイブリダイズ可能なDNAとして具体的には、BLASTやFASTA等を用いて計算したときに、上記(a−2)〜(c−2)のいずれか1つに記載のDNAの有する塩基配列と少なくとも60%以上の相同性を有するDNA、好ましくは80%以上の相同性を有するDNA、さらに好ましくは95%以上の相同性を有するDNAをあげることができる。
なお、上記(a)〜(f)記載のDNAにおいて、置換される領域がコードするPro残基以外のアミノ酸残基としては、Pro残基以外のアミノ酸残基であればいずれのアミノ酸であってもよいが、例えば、Ser、Thr、Trp、Cys、Asn、Gln、Tyr等の中性極性側鎖をもつアミノ酸残基が好ましく、Ser、Thr等の側鎖にヒドロキシル基をもつアミノ酸残基が更に好ましく、Ser残基が特に好ましい。また、Ser残基以外のアミノ酸残基であればいずれのアミノ酸であってもよいが、例えば、Phe、Val、Leu、Ile、Met、Gly、Ala、Pro等の非極性側鎖をもつアミノ酸残基または、Phe、Trp等の側鎖に環構造を持つアミノ酸が好ましく、Phe残基が特に好ましい。
また、あらかじめ、コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDをコードするDNAの有する塩基配列の第472〜474番目の領域がPro残基以外のアミノ酸残基をコードするコドンであり、第1081〜1083番目の領域がSer残基以外のアミノ酸残基をコードするDNAである場合は、かならずしも置換を行わなくてもよい。
上記本発明のDNAは、本発明のポリペプチドの製造、およびL−アミノ酸の製造のために有用である。
(3)本発明のポリペプチドの製造
上記(1)の本発明のポリペプチドは、モレキュラー・クローニング第3版やカレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー等に記載された方法等を用い、例えば以下の方法により、上記(2)の本発明のDNAを宿主細胞中で発現させて製造することができる。
本発明のポリペプチドをコードする部分の塩基配列を、宿主細胞の発現に最適なコドンとなるように塩基を置換したDNAを調製する。該DNAは本発明のポリペプチドの効率的製造に有用である。該DNA断片を適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入することにより、組換えベクターを作製する。該組換えベクターを、該組換えベクターに適合した宿主細胞に導入する。
宿主細胞としては、目的とする遺伝子を発現できる細菌、または酵母であればいずれも用いることができる。発現ベクターとしては、上記宿主細胞において自立複製可能ないしは染色体中への組込が可能で、本発明のポリペプチドをコードするDNAを転写できる位置にプロモーターを含有しているものが用いられる。
細菌等の原核生物を宿主細胞として用いる場合は、本発明のポリペプチドをコードするDNAを含有してなる組換えベクターは原核生物中で自立複製可能であると同時に、プロモーター、リボソーム結合配列、本発明のDNA、転写終結配列、より構成されたベクターであることが好ましい。プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
発現ベクターとしては、例えば、pBTrp2、pBTac1、pBTac2(いずれもベーリンガーマンハイム社より市販)、pKK233−2(Pharmacia社製)、pSE280(Invitrogen社製)、pGEMEX−1(Promega社製)、pQE−8(QIAGEN社製)、pKYP10(特開昭58−110600)、pKYP200〔Agric.Biol.Chem.,48,669(1984)〕、pLSA1〔Agric.Biol.Chem.,53,277(1989)〕、pGEL1〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82,4306(1985)〕、pBluescript II SK(−)(Stratagene社製)、pTrs30〔Escherichia coli JM109/pTrS30(FERM BP−5407)より調製〕、pTrs32〔Escherichia coli JM109/pTrS32(FERM BP−5408)より調製〕、pGHA2〔Escherichia coli IGHA2(FERM B−400)より調製、特開昭60−221091〕、pGKA2〔Escherichia coli IGKA2(FERM BP−6798)より調製、特開昭60−221091〕、pTerm2(US4686191、US4939094、US5160735)、pSupex、pUB110、pTP5、pC194、pEG400〔J.Bacteriol.,172,2392(1990)〕、pGEX(Pharmacia社製)、pETシステム(Novagen社製)等をあげることができる。
プロモーターとしては、宿主細胞中で機能するものであればいかなるものでもよい。例えば、trpプロモーター(Ptrp、lacプロモーター、Pプロモーター、Pプロモーター、T7プロモーター等の、大腸菌やファージ等に由来するプロモーターをあげることができる。またPtrpを2つ直列させたプロモーター(Ptrp×2)、tacプロモーター、lacT7プロモーター、letIプロモーターのように人為的に設計改変されたプロモーター等も用いることができる。リボソーム結合配列であるシャイン−ダルガノ(Shine−Dalgarno)配列と開始コドンとの間を適当な距離(例えば6〜18塩基)に調節したプラスミドを用いることが好ましい。本発明の組換えベクターにおいては、本発明のDNAの発現には転写終結配列は必ずしも必要ではないが、構造遺伝子の直下に転写終結配列を配置することが好ましい。
宿主細胞としては、エシェリヒア属(Escherichia)、セラチア属(Serratia)、バチルス属(Bacillus)、ブレビバクテリウム属(Brevibacterium)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、ミクロバクテリウム属(Microbacterium)、シュードモナス(Pseudomonas)属等に属する微生物、例えば、Escherichia coli XL1−Blue、Escherichia coli XL2−Blue、Escherichia coli DH1、Escherichia coli MC1000、Escherichia coli KY3276、Escherichia coli W1485、Escherichia coli JM109、Escherichia coli HB101、Escherichia coli No.49、Escherichia coli W3110、Escherichia coli NY49、Escherichia coli GI698、Escherichia coli TB1、Serratia ficariaSerratia fonticolaSerratia liquefaciensSerratia marcescensBacillus subtilisBacillus amyloliquefaciensBrevibacterium immariophilum ATCC14068、Brevibacterium saccharolyticum ATCC14066、Corynebacterium ammoniagenes(旧属Brevibacterium ammoniagenes)、Corynebacterium flavum ATCC14067(旧属Brevibacterium flavum)、Corynebacterium lactofermentum ATCC13869(旧属Brevibacterium lactofermentum)、Corynebacterium glutamicum ATCC13032、Corynebacterium glutamicum ATCC13869、Corynebacterium acetoacidophilum ATCC13870、Microbacterium ammoniaphilum ATCC15354、Pseudomonas putidaPseudomonas sp.D−0110等をあげることができる。
とくに、宿主細胞が、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、またはミクロバクテリウム(Microbacterium)属に属する微生物であるときは、Corynebacterium acetoacidophilumCorynebacterium acetoglutamicumCorynebacterium callunaeCorynebacterium glutamicumCorynebacterium lactofermentumCorynebacterium flavumCorynebacterium herculisCorynebacterium liliumCorynebacterium melassecolaCorynebacterium thermoaminogenesCorynebacterium efficiensCorynebacterium ammoniagenesBrevibacterium saccharolyticumBrevibacterium immariophilumBrevibacterium roseumBrevibacterium thiogenitalisMicrobacterium ammoniaphilum等を使用することが好ましい。
より具体的には、Corynebacterium acetoacidophilum ATCC 13870、Corynebacterium acetoglutamicum ATCC 15806、Corynebacterium callunae ATCC 15991、Corynebacterium flavum ATCC14067(旧属Brevibacterium flavum)、Corynebacterium glutamicum ATCC 13032、Corynebacterium glutamicum ATCC 13060、Corynebacterium glutamicum ATCC 13826(旧属種Brevibacterium flavum)、Corynebacterium glutamicum ATCC13869、Corynebacterium glutamicum ATCC 14020(旧属種Brevibacterium divaricatum)、Corynebacterium glutamicum ATCC13869(旧属種Brevibacterium lactofermentu )、Corynebacterium herculis ATCC 13868、Corynebacterium lactofermentum ATCC13869(旧属Brevibacterium lactofermentum)、Corynebacterium lilium ATCC 15990、Corynebacterium melassecola ATCC 17965、Corynebacterium thermoaminogenes ATCC 9244、Corynebacterium thermoaminogenes ATCC 9245、Corynebacterium thermoaminogenes ATCC 9246、Corynebacterium thermoaminogenes ATCC 9277、Corynebacterium ammoniagenes ATCC 6871、Corynebacterium ammoniagenes ATCC 6872、Brevibacterium saccharolyticum ATCC 14066、Brevibacterium immariophilum ATCC 14068、Brevibacterium roseum ATCC 13825、Brevibacterium thiogenitalis ATCC 19240、Microbacterium ammoniaphilum ATCC 15354を使用することが好ましい。
宿主細胞が、上記のCorynebacterium属、Brevibacterium属、またはMicrobacterium属に属する微生物であるときは、本発明のDNAを含む組換え体DNAを作製するために用いられるベクターとして、pCG1(特開昭57−134500)、pCG2(特開昭58−35197)、pCG4(特開昭57−183799)、pCG11(特開昭57−134500)、pCG116、pCE54、pCB101(いずれも特開昭58−105999)、pCE51、pCE52、pCE53[いずれもMolecular and General Genetics,196,175(1984)]等を用いることが好ましい。
組換えベクターの導入方法としては、上記宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、カルシウムイオンを用いる方法〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,69,2110(1972)〕、プロトプラスト法(例えば、特開昭57−186492および特開昭57−18649)、またはGene,17,107(1982)やMolecular & General Genetics,168,111(1979)、電気穿孔法[例えば、Journal of Bacteriology,175,4096(1993)]に記載の方法等をあげることができる。
酵母を宿主細胞として用いる場合には、発現ベクターとして、例えば、YEP13(ATCC37115)、YEp24(ATCC37051)、YCp50(ATCC37419)、pHS19、pHS15等をあげることができる。
プロモーターとしては、酵母菌株中で発現できるものであればいずれのものを用いてもよく、例えば、ヘキソキナーゼ等の解糖系の遺伝子のプロモーター、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター、gal 1プロモーター、gal 10プロモーター、ヒートショックポリペプチドプロモーター、MFα1プロモーター、CUP1プロモーター等をあげることができる。
宿主細胞としては、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属、クリュイベロミセス(Kluyveromyces)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、シワニオミセス(Schwanniomyces)属、ピヒア(Pichia)属、キャンディダ(Candida)属等に属する微生物、例えば、サッカロマイセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、クリュイベロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、トリコスポロン・プルランス(Trichosporon pullulans)、シワニオミセス・アルビウス(Schwanniomyces alluvius)、キャンディダ・ユーティリス(Candida utilis)等をあげることができる。
組換えベクターの導入方法としては、酵母にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法〔Methods Enzymol.,194,182(1990)〕、スフェロプラスト法〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,75,1929(1978)〕、酢酸リチウム法〔J.Bacteriology,153,163(1983)〕、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,75,1929(1978)に記載の方法等をあげることができる。
酵母により発現させた場合には、糖あるいは糖鎖が付加されたポリペプチドを得ることができる。
遺伝子の発現方法としては、直接発現以外に、モレキュラー・クローニング第3版に記載されている方法等に準じて、分泌生産、融合タンパク質発現等を行うことができる。
本発明のポリペプチドは、上記方法で得られる形質転換体を培地に培養し、培養物中に本発明のポリペプチドを生成、蓄積させ、該培養物より本発明のポリペプチドを採取することで得ることができる。
該形質転換体の培養は、通常の培養法によって実施することができる。
培地としては、該形質転換体を培養する培地として、該形質転換体が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、該形質転換体の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。
炭素源としては、例えばグルコース、果糖、シュークロース、マルトース、でんぷん加水分解物等の糖類、エタノールなどのアルコール類、酢酸、乳酸、コハク酸等の有機酸類を用いることができる。
窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウムなどの各種無機および有機アンモニウム塩類、尿素、その他窒素含有化合物、ならびに肉エキス、酵母エキス、コーン・スティープ・リカー、大豆加水分解物等の窒素含有有機物を用いることができる。
無機塩としてはリン酸第一水素カリウム、リン酸第二水素カリウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム等を用いることができる。
その他、必要に応じて、ビオチン、チアミン等の微量栄養源を加えることができる。これら微量栄養源は、肉エキス、酵母エキス、コーン・スティープ・リカー、カザミノ酸等の培地添加物で代用することもできる。
培養は、振とう培養、深部通気撹拌培養等の好気的条件下で行う。培養温度は一般に20℃〜42℃が好適である。とくに30℃〜40℃が好ましい。培地中のpHは、5〜9に維持することが好ましい。pHの調整は、無機あるいは有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニアなどを用いて行う。培養期間は通常1〜6日間である。また、培養中必要に応じて、アンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた組換えベクターで形質転換した微生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、lacプロモーターを用いた組換えベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド等を、trpプロモーターを用いた組換えベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドールアクリル酸等を培地に添加してもよい。
本発明のDNAを含む遺伝子の発現方法としては、直接発現以外に、モレキュラー・クローニング第3版に記載されている方法等に準じて、分泌生産、融合ポリペプチド発現等を行うことができる。
本発明のポリペプチドの生産方法としては、宿主細胞内に生産させる方法、宿主細胞外に分泌させる方法、あるいは宿主細胞外膜上に生産させる方法があり、使用する宿主細胞や、生産させるポリペプチドの構造を変えることにより、該方法を選択することができる。
本発明のポリペプチドが宿主細胞内あるいは宿主細胞外膜上に生産される場合、ポールソンらの方法〔J.Biol.Chem.,264,17619(1989)〕、ロウらの方法〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86,8227(1989)、Genes Develop.,,1288(1990)〕、または特開平5−336963、WO94/23021等に記載の方法を準用することにより、該ポリペプチドを宿主細胞外に積極的に分泌させることができる。
すなわち、遺伝子組換えの手法を用いて、本発明のポリペプチドの活性部位を含むポリペプチドの手前にシグナルペプチドを付加した形で発現させることにより、本発明のポリペプチドを宿主細胞外に積極的に分泌させることができる。
遺伝子の発現方法としては、直接発現以外に、モレキュラー・クローニング第3版に記載されている方法等に準じて、分泌生産、融合ポリペプチド発現等を行うことができる。
また、特開平2−227075に記載されている方法に準じて、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子等を用いた遺伝子増幅系を利用して生産量を上昇させることもできる。
本発明の形質転換体により製造されたポリペプチドを単離精製するためには、通常の酵素の単離精製法を用いることができる。
例えば本発明のポリペプチドが、細胞内に溶解状態で発現した場合には、培養終了後、細胞を遠心分離により回収し、水系緩衝液にけん濁後、超音波破砕機、フレンチプレス、マントンガウリンホモゲナイザー、ダイノミル等により細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該無細胞抽出液を遠心分離することにより得られる上清から、通常の酵素の単離精製法、即ち、溶媒抽出法、硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)−セファロース、DIAION HPA−75(三菱化成社製)等のレジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、S−Sepharose FF(Pharmacia社製)等のレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチルセファロース、フェニルセファロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィー法、クロマトフォーカシング法、等電点電気泳動等の電気泳動法等の手法を単独あるいは組み合わせて用い、精製標品を得ることができる。
また、該ポリペプチドが細胞内に不溶体を形成して発現した場合は、同様に細胞を回収後、破砕し、遠心分離を行うことにより、沈殿画分としてポリペプチドの不溶体を回収する。回収したポリペプチドの不溶体を蛋白質変性剤で可溶化する。該可溶化液を希釈または透析し、該可溶化液中の蛋白質変性剤の濃度を下げることにより、該ポリペプチドを正常な立体構造に戻す。該操作の後、上記と同様の単離精製法により該ポリペプチドの精製標品を得ることができる。
本発明のポリペプチド、あるいは該ポリペプチドに糖鎖の付加されたポリペプチド等の誘導体が細胞外に分泌された場合には、培養上清に該ポリペプチドあるいは該ポリペプチドの誘導体を回収することができる。即ち、該培養物を上記と同様の遠心分離等の手法により処理することにより培養上清を取得し、該培養上清から、上記と同様の単離精製法を用いることにより、精製標品を得ることができる。
このようにして取得されるポリペプチドとして、上記(1)の(a)〜(f)記載のポリペプチドからなる群より選ばれるポリペプチドをあげることができる。
(4)有用物質の製造に用いられる微生物
本発明において有用物質の製造に用いられる微生物には、上記(3)で得られる形質転換体、および染色体上に本発明のDNAを有する微生物があげられる。
染色体上に本発明のDNAを有する微生物は、通常の変異処理法、組換えDNA技術による遺伝子置換法、細胞融合法、あるいは形質導入法等を用いて、上記(2)であげた、形質転換体の宿主に使用される微生物の染色体上のGNDをコードするDNAに部位特異的変異を導入して得ることができる。部位特異的変異の導入は、モレキュラー・クローニング第3版、カレントプロトコールズ・イン・モレキュラー.バイオロジー、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,79,6409(1982)、Gene,34,315(1985)、Nucleic Acids Research,13,4431(1985)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82,488(1985)、等に記載の方法に従って行うことができる。
また、相同組換え法を用いて、染色体上のGNDをコードするDNAを上記(2)の方法で得られる本発明のDNAで置換することによっても、染色体上に本発明のDNAを有する微生物を作製することができる。
具体的には、上記(2)の方法で得られる本発明のDNAを、宿主細胞中では自律複製できず、かつ抗生物質に対する耐性マーカー遺伝子および枯草菌のレバンシュクラーゼ遺伝子sacB[Mol.Microbiol.,,1195(1992)]を有するプラスミドに組み込み、上記(3)記載の方法に従い微生物に導入する。
該組換え体プラスミドは宿主細胞中で自律複製できないので、該組換え体プラスミド上に存在する抗生物質の耐性で選択することにより、該組換え体プラスミドがCampbellタイプの相同組換えにより染色体に組み込まれた形質転換株を取得することができる。
つぎに、本発明のDNAと共に染色体上に組み込まれる枯草菌レバンシュークラーゼが自殺基質を生産することを利用した選択[J.Bacteriol.,174,5462(1992)]を行うことによって、宿主染色体上のGNDをコードするDNAが本発明のDNAに置換された株を取得することができる。
以上の方法で、染色体上の遺伝子置換を行うことができるが、上記の方法に限らず、染色体上の遺伝子を置換できる方法であれば他の遺伝子置換法も用いることもできる。
染色体上に本発明のDNAを有する微生物を作製する方法としては、他にも細胞融合法、形質導入法をあげることができる。例えば、相田 浩ら編、アミノ酸発酵、1986年、学会出版センターに記載の方法をあげることができる。
(5)有用物質の製造
上記(3)で得られる形質転換体、または上記(4)で得られる染色体上に本発明のDNAを有する微生物を培地に培養し、培養物中に有用物質を生成、蓄積させ、該培養物中より該有用物質を採取することにより、有用物質を得ることができる。
該形質転換体または微生物を培養する方法は、上記(3)記載の形質転換体の培養法と同様である。
培養終了後、菌体などの沈殿物を除去して得られた培養液より、活性炭処理、イオン交換樹脂処理などの公知の方法を併用することにより該有用物質を回収することができる。
有用物質としては、L−アミノ酸、核酸もしくはその誘導体、糖、ビタミン等の生合成によって得られる物質をあげることができるが、好ましくはL−アミノ酸または核酸もしくはその誘導体であって、かつペントースリン酸回路を経て合成される物質、または生合成にNADPHが使用される物質があげられる。
ペントースリン酸回路を経て合成される物質としては、ペントースリン酸回路を経て合成されるいずれの物質であってもよい。例えば、代謝経路上エリスロース4−リン酸を経由して生合成されるL−トリプトファン、L−フェニルアラニン、L−チロシン等のL−アミノ酸、代謝経路上リボース5−リン酸を経由して生合成されるD−リボース、L−ヒスチジン、プリンヌクレオチド、ピリミジンヌクレオチド、プリンヌクレオシド、ピリミジンヌクレオシド、プリン塩基、ピリミジン塩基、フラビンヌクレオチド等の核酸もしくはその誘導体をあげることができる。
生合成にNADPHが使用される物質としては、生合成にNADPHが使用されるいずれの物質であってもよい。生合成にNADPHを必要とするL−アミノ酸としては、L−リジン、L−イソロイシン、L−スレオニン、L−アルギニン等をあげることができる。生合成にNADPHを必要とする核酸またはその誘導体としてはプリンヌクレオチド、ピリミジンヌクレオチド等をあげることができる。
以下に本願発明の実施例を示すが、本願発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
配列番号1記載のアミノ酸配列の第158番目のPro残基がSer残基に置換(Pro158Ser)されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNAを、PCRを用いる部位特異的変異法[モレキュラー・クローニング第3版]を用いて次のようにして取得した。
まず、コリネバクテリウム・グルタミクムの野生型株ATCC13032の染色体DNAを、斎藤らの方法[Biochim.Biophys.Acta,72,619(1963)]に従って調製した。
次いで、該染色体DNAを鋳型として、Pfu turbo DNAポリメラーゼ(ストラタジーン社製)、添付のバッファーおよび後述のプライマーを用いてPCRを行った。公知のコリネバクテリウム・グルタミカム由来のGND遺伝子の塩基配列情報[EP1108790号公報]に基づき、該GND遺伝子中のGNDをコードする領域(配列番号2)中で、該領域によりコードされるGNDの有するアミノ酸配列(配列番号1)の第158番目のPro残基をコードする領域(cca)を含む21塩基からなる領域(配列番号2の第462〜482番目)において、該Pro残基をコードする領域領域をSer残基をコードするコドン(tca)に置換した塩基配列(配列番号4)からなるDNA断片、およびその相補配列である配列番号5記載の21塩基の塩基配列を有するDNA断片を常法に従い合成し、これらのDNA断片をPCR用のプライマーとした。
また、配列番号2記載の塩基配列のN末部分14塩基およびその上流の塩基配列からなるDNA断片を合成した。該DNA断片の塩基配列を配列番号3に示した。
配列番号2記載の塩基配列のC末部分20塩基およびその下流の塩基配列の相補配列からなるDNA断片を合成した。該DNA断片の塩基配列を配列番号8に示した。
配列番号3記載の塩基配列を有するDNA断片と配列番号5記載の塩基配列を有するDNA断片、配列番号4記載の塩基配列を有するDNA断片と配列番号8記載の塩基配列を有するDNA断片をプライマーとして、得られた染色体DNAを鋳型として、Pfu turbo DNAポリメラーゼ(ストラタジーン社製)と添付のバッファーを用いて2種類のPCRを各々行った。
PCRにより得られた、約0.5kbおよび約1.0kbの増幅産物(配列番号2記載の塩基配列の第1〜482番目の塩基配列に対応するDNA断片、および第462〜1476番目の塩基配列に対応するDNA断片)をアガロースゲル電気泳動し、GENECLEAN Kitを用いて抽出、精製した。
さらに、両精製物を鋳型とし、配列番号3記載の塩基配列を有するDNA断片と配列番号8記載の塩基配列を有するDNA断片をプライマーとして用いてPCRを行った。このPCRにより、GNDの有するアミノ酸配列の第158番目のPro残基をコードする領域(cca)がSerをコードするコドン(tca)に置換された約1.5kbのDNA断片を取得した。得られた約1.5kbのDNA断片をアガロースゲル電気泳動した後、GENECLEAN Kit(BIO 101社製)を用いて抽出、精製した。
該DNA断片をTaq polymerase(ベーリンガーマンハイム社製)、dATP存在下で72℃、10分間反応させ、3’末端にアデニン残基を1塩基付加した。得られた約1.5kbのDNA断片を、TAクローニング法(モレキュラー・クローニング第3版)により、プラスミドpESB30に挿入した。pESB30は、カナマイシン耐性遺伝子を有するベクターpHSG299[Gene,61,63(1987)]のPstI切断部位に、Bacillus subtilis由来のレバンシュクラーゼ遺伝子sacBを含む2.6kbのPstIDNA断片[Mol.Microbiol.,6,1195(1992)]を連結したプラスミドである。
具体的には、pESB30をBamHI(宝酒造社製)で切断後、アガロースゲル電気泳動し、GENECLEAN Kit(BIO 101社製)を用いてpESB30断片を抽出、精製した。得られたpESB30断片の両末端をDNAブランティングキット(DNA Blunting Kit、宝酒造社製)を用い、添付のプロトコールに従って、平滑化した。平滑化したpESB30断片をフェノール・クロロホルム抽出及びエタノール沈殿により濃縮した後、Taqポリメラーゼ(Boehringer Mannheim社製)、dTTP存在下で70℃、2時間反応させ、3’末端にチミン塩基を1塩基付加して、pESB30−T断片を調製した。このpESB30−T断片と、上記で得られたアデニン塩基を付加した約1.5kbのDNA断片を混合し、ライゲーションキットver.1(宝酒造社製)を用い、リガーゼ反応を行った。得られた反応産物を用い、常法[モレキュラー・クローニング第3版]に従ってEscherichia coli DH5α(東洋紡社製)を形質転換した。
該菌株を、20μg/mlのカナマイシンを含むLB寒天培地[バクトトリプトン(ディフコ社製)10g、酵母エキス(ディフコ社製)5g、塩化ナトリウム10g、バクトアガー(ディフコ社製)16gを水1Lに含み、pH7.0に調整された培地]上で培養し、形質転換株を選択した。該形質転換株を20μg/mlのカナマイシンを含むLB培地で終夜培養し、得られた培養液からアルカリSDS法[モレキュラー・クローニング第3版]によりプラスミドを調製した。
制限酵素切断解析を行い、該プラスミドは、pESB30に上記で得られた約1.5kbのDNA断片が挿入された構造を有するプラスミドであることを確認した。このプラスミドをpCgnd158と命名した。
実施例2
配列番号1記載のアミノ酸配列の第361番目のSer残基をコードする領域がPhe残基をコードする領域に置換(Ser361Phe)されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNAを、実施例1と同様なPCRを用いる部位特異的変異法を用いて次のようにして取得した。
配列番号2記載の塩基配列において、配列番号1記載のアミノ酸配列の第361番目のSer残基をコードする領域(tcc)を含む21塩基からなる領域(配列番号2記載の塩基配列の第1072〜1092番目)の該Ser残基をコードする領域をPhe残基をコードするコドン(ttc)に置換した塩基配列(配列番号6)からなるDNA断片、およびその相補配列である21塩基の塩基配列(配列番号7)からなるDNA断片を合成した。配列番号3記載の塩基配列を有するDNA断片および配列番号7記載の塩基配列を有するDNA断片、配列番号6記載の塩基配列を有するDNA断片と配列番号8記載の塩基配列を有するDNA断片をプライマーとして、該染色体DNAを鋳型として、Pfu turbo DNAポリメラーゼと添付のバッファーを用いて2種類のPCRを各々行った。
PCRにより得られた、約1.1kb、約0.4kbの増幅産物(配列番号2記載の塩基配列の第1〜1092番目の塩基配列を有するDNA断片、および第1072〜1476番目の塩基配列を有するDNA断片)をアガロースゲル電気泳動し、GENECLEAN Kitを用いて抽出、精製した。
さらに、両精製物を鋳型とし、配列番号3記載の塩基配列を有するDNA断片と配列番号8記載の塩基配列を有するDNA断片をプライマーとして用いてPCRを行った。このPCRにより、GNDの有するアミノ酸配列の第361番目のSer残基をコードする領域(tcc)がPhe残基をコードするコドン(ttc)に置換された、約1.5kbのDNA断片を取得した。次いで、得られたDNA断片を含むPCR産物をTaq polymerase(ベーリンガーマンハイム社製)、dATP存在下で72℃、10分間反応させ、3’末端にアデニン塩基を1塩基付加した。得られた約1.5kbのDNA断片を、実施例1と同様にしてプラスミドpESB30−Tに挿入した。このようにして得られたプラスミドをpCgnd361と命名した。
実施例3
配列番号1記載のアミノ酸配列の第158番目のPro残基がSer残基に置換され、かつ第361番目のSer残基がPhe残基に置換されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNAを、上記実施例1および2と同様なPCRを用いる部位特異的変異法を用いて次のようにして取得した。
すなわち、配列番号3記載の塩基配列を有するDNA断片と配列番号7記載の塩基配列を有するDNA断片、配列番号6記載の塩基配列を有するDNA断片と配列番号8記載の塩基配列を有するDNA断片をプライマーとして、実施例1で作製したプラスミドpCgnd158を鋳型として、Pfu turbo DNAポリメラーゼと添付のバッファーを用いて2種類のPCRを各々行った。
PCRにより得られた、約1.1kb、約0.4kbの増幅産物(配列番号2記載の塩基配列の第1〜1092番目の塩基配列を有するDNA断片、および第1072〜1476番目の塩基配列を有するDNA断片)をアガロースゲル電気泳動し、GENECLEAN Kitを用いて抽出、精製した。
さらに、両精製物を鋳型とし、配列番号3記載の塩基配列を有するDNA断片と配列番号8記載の塩基配列を有するDNA断片をプライマーとして用いてPCRを行った。このPCRにより、GNDの有するアミノ酸配列の第158番目のPro残基をコードする領域(cca)がSer残基をコードするコドン(tca)に置換され、かつ第361番目のSer残基をコードする領域(tcc)がPhe残基をコードするコドン(ttc)に置換された、約1.5kbのDNA断片を取得した。次いで、得られたDNA断片を含むPCR産物をTaq polymerase(ベーリンガーマンハイム社製)、dATP存在下で72℃、10分間反応させ、3’末端にアデニン塩基を1塩基付加した。得られた約1.5kbのDNA断片を、実施例1と同様にしてプラスミドpESB30−Tに挿入した。このようにして得られたプラスミドをpCgnd1536と命名した。
実施例4
上記実施例1〜3で作製したプラスミド、pCgnd158、pCgnd361およびpCgnd1536を用い、遺伝子置換法によってL−リジン生産菌のGND遺伝子にPro158Ser変異、Ser361Phe変異、またはその両変異を導入することを試みた。
L−リジン生産菌としては、遺伝形質が明らかなコリネバクテリウム グルタミクムAHP−3株(FERM BP−7382)を用いた。コリネバクテリウム グルタミクムAHP−3株は、コリネバクテリウム グルタミクムの野生株ATCC 13032の染色体上のホモセリンデヒドロゲナーゼ遺伝子(hom)にアミノ酸置換変異Val59Ala、アスパルトキナーゼ遺伝子(lysC)にアミノ酸置換変異Thr331Ile、およびピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子(pyc)にアミノ酸置換変異Pro458Serを有する菌株である。
遺伝子置換法によるL−リジン生産菌AHP−3株のGND遺伝子への変異の導入は、次に示すような2回の組換え操作によって行った。まず、上記で作製した各プラスミド(pCgnd158、pCgnd361およびpCgnd1536)が、コリネ型細菌内では自律複製できないことを利用して、以下の方法で、これらのプラスミドが相同組換えでコリネバクテリウムグルタミクムAHP−3株の染色体DNA中に組み込まれた株を、それぞれ選択した。
具体的には、該プラスミドを用い、レストらの方法[Appl.Microbiol.Biotech.,52,541(1999)]に従って電気穿孔法にてAHP−3株を形質転換し、カナマイシン耐性株を選択した。選択したカナマイシン耐性株のうちの1株から得た染色体の構造をサザンハイブリダイゼーション(モレキュラー・クローニング第3版)により調べた結果、プラスミドがCampbellタイプの相同組換えにより染色体に組み込まれていることが確かめられた。このような株では、野生型および変異型のGND遺伝子が染色体上に近接して存在しており、その間で2回目の相同組換えが起こりやすくなっている。
該形質転換株(1回組換え体)をSUC寒天培地〔ショ糖100g、肉エキス7g、ペプトン10g、塩化ナトリウム3g、酵母エキス(ディフコ社製)5g、バクトアガー(ディフコ社製)18gを水1Lに含みpH7.2に調整した培地〕上に塗布し、30℃で1日間培養して、生育するコロニーを選択した。sacB遺伝子が存在する株は、ショ糖を自殺基質に転換するので、この培地では生育できない[J.Bacteriol.,174,5462(1991)]。これに対し、染色体上に近接して存在する野生型と変異型のGND遺伝子間での2回目の相同組み換えによりsacB遺伝子が欠失した株では、自殺基質はできずこの培地で生育することができる。この2回目の相同組み換えの際には、野生型遺伝子もしくは変異型遺伝子のいずれかが、sacBとともに欠失する。このとき野生型がsacBとともに欠失した株では、変異型への遺伝子置換が起こったことになる。
このようにして得られた2回組換え体の染色体DNAを、斎藤らの方法[Biochim.Biophys.Acta,72,619(1963)]により調製し、配列番号3記載の塩基配列を有するDNA断片と配列番号8記載の塩基配列を有するDNA断片をプライマーとして、Pfu turbo DNAポリメラーゼ(ストラタジーン社製)と添付のバッファーを用いてPCRを行った。これらのPCR産物の塩基配列を常法により決定し、2回組み換え体のGND遺伝子が野生型であるか変異型であるかを判定した。
その結果、GND遺伝子内部にPro158Ser変異を有する2回組換え体であるAGF−158株、Ser361Phe変異を有する2回組換え体であるAGR−361株、およびPro158Ser変異ならびにSer361Phe変異を有する2回組換え体であるAPG−1536株を取得した。
実施例5
取得したAGF−158株、AGR−361株、APG−1536株、およびこれらの親株であるAHP−3株を、BYG寒天培地〔グルコース10g、肉エキス7g、ペプトン10g、塩化ナトリウム3g、酵母エキス(ディフコ社製)5g、バクトアガー(ディフコ社製)18gを水1Lに含みpH7.2に調整した培地〕で30℃で24時間培養し、各菌株をそれぞれ種培地〔スクロース50g、コーンスティープリカー40g、硫酸アンモニウム8.3g、尿素1g、リン酸二水素カリウム2g、硫酸マグネシウム7水和物0.83g、硫酸鉄7水和物10mg、硫酸銅5水和物1mg、硫酸亜鉛7水和物10mg、β−アラニン10mg、ニコチン酸5mg、チアミン塩酸塩1.5mg、ビオチン0.5mgを水1Lに含みpH7.2に調整後、炭酸カルシウムを30g加えた培地〕250mlを含む2リットルバッフル付き三角フラスコに植菌し、30℃で12時間〜16時間培養した。
得られた種培養液全量を、それぞれ本培養培地〔グルコース60g、コーンスティープリカー20g、塩化アンモニウム25g、リン酸二水素カリウム2.5g、硫酸マグネシウム7水和物0.75g、硫酸鉄7水和物50mg、硫酸マンガン5水和物13mg、塩化カルシウム2水和物50mg、硫酸銅5水和物6.3mg、硫酸亜鉛7水和物1.3mg、塩化ニッケル6水和物5mg、塩化コバルト6水和物1.3mg、モリブデン酸アンモニウム4水和物1.3mg、ニコチン酸14mg、β−アラニン23mg、チアミン塩酸塩7mg、ビオチン0.42mgを水1Lに含む培地〕1,400mlの入った5リットルジャーファーメンターに植菌し、34℃、1vvm、800rpm条件下で、pH7.0にアンモニア水で調整しながら培養した。
培地中のグルコースが消費された時点でグルコース・フィード液(グルコース400g、塩化アンモニウム45gを水1Lに含む培地)を連続的に添加した。該フィード液の添加は、流加速度が4菌株間で同じになるように調整しながら行い、培養時間が28時間に達したところで培養を終了した。
遠心分離により培養物から菌体を除去し、上清中のL−リジン塩酸塩の蓄積量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量した。
結果を第1表に示す。
Figure 0004074251
第1表から明らかなように、本発明のDNAを有するAGF−158株、AGR−361株、およびAPG−1536株では、L−リジンの生産効率が親株AHP−3に比べ、明らかに向上していた。
実施例6
実施例1〜3で作製したpCgnd158、pCgnd361およびpCgnd1536を導入する微生物としてコリネバクテリウム グルタミクムATCC 21660株(以下、ATCC 21660株という)を用いる以外は実施例4と同様にしてATCC 21660株のGND遺伝子にPro158Ser変異、Ser361Phe変異、またはその両変異を導入した。
コリネバクテリウム グルタミクムATCC 21660株は、コリネバクテリウム グルタミカムの野生株ATCC 13032から、メチオニン要求性変異、α−アミノ−β−ヒドロキシ吉草酸(AHV)耐性変異、およびS−(2−アミノエチル)−システイン(AEC)耐性変異を誘導することにより取得された変異株である〔Agr.Biol.Chem.,36,1611(1972)〕。
その結果、GND遺伝子内部にPro158Ser変異を有する2回組換え体であるTHF−158株、Ser361Phe変異を有する2回組換え体であるTHR−361株、およびPro158Ser変異ならびにSer361Phe変異を有する2回組換え体であるTHG−1536株を得た。
実施例7
実施例6で得たTHF−158株、THR−361株、THG−1536株およびATCC 21660株を、BYG寒天培地上で30℃で24時間培養し、種培地(グルコース20g、ペプトン10g、酵母エキス10g、塩化ナトリウム2.5gを水1Lに含みpH7.4に調整した培地)10mlの入った太型試験管に植菌して30℃で24時間培養した。この種培養液1mlを本培養培地(グルコース100g、コーンスティープリカー5g、硫酸アンモニウム20g、リン酸一水素カリウム0.5g、リン酸二水素カリウム0.5g、硫酸マグネシウム7水和物1g、硫酸鉄7水和物10mg、硫酸マンガン5水和物10mg、ビオチン0.1mg、L−メチオニン0.1mgを水1Lに含みpH7.4に調整後、炭酸カルシウムを20g加えた培地)10mlの入った太型試験管に植菌し、30℃で72時間、培養した。
遠心分離により培養物から菌体を除去し、上清中のL−スレオニンの蓄積量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量した。結果を第2表に示す。
Figure 0004074251
第2表から明らかなように、本発明のDNAを有するTHF−158株、THR−361株、およびTHG−1536株では、L−スレオニンの生産効率は親株ATCC 21660に比べ、明らかに向上していた。
実施例8
実施例1〜3で作製したpCgnd158、pCgnd361およびpCgnd1536を導入する微生物としてコリネバクテリウム グルタミクムFERM BP−986株(以下、FERM BP−986株という)を用いる以外は、実施例4と同様にしてFERM BP−986株のGND遺伝子にPro158Ser変異、Ser361Phe変異、またはその両変異を導入した。
コリネバクテリウム グルタミクムFERM BP−986株は、コリネバクテリウム グルタミカムの野生株から、アルギニン要求性、S−(2−アミノエチル)システイン耐性、フルオロピルビン酸感受性、リファンピシリン耐性およびスレオニンハイドロキサメート耐性変異を誘導することにより取得された変異株である(特開昭62−195293)。
その結果、GND遺伝子内部にPro158Ser変異を有する2回組換え体であるILF−158株、Ser361Phe変異を有する2回組換え体であるILR−361株、Pro158Ser変異およびSer361Phe変異を有する2回組換え体であるILG−1536株を取得した。
実施例9
実施例8で得たILF−158株、ILR−361株、ILG−1536株およびFERM BP−986株を、BYG寒天培地上で28℃で24時間培養し、種培地(グルコース50g、酵母エキス(ディフコ社製)10g、ペプトン10g、尿素3g、塩化ナ
Figure 0004074251
1Lに含みpH7.2に調整した培地)20mlの入った300ml容三角フラスコに接種し、28℃で24時間、振盪培養した。この種培養液2mlを本培養培地〔廃糖蜜(グルコース換算)70g、コーン・スティープ・リカー5g、塩化アンモニウム20g、尿素2g、リン酸二水素カリウム2g、硫酸マグネシウム7水和物0.5g、硫酸鉄7水和物0.01g、塩化マンガン4水和物0.01g、硫酸銅5水和物0.01g、塩化カルシウム2水和物0.01g、硫酸亜鉛7水和物1mg、塩化ニッケル1mg、モリブデン酸アンモニウム・4水和物1mg、塩化コバルト6水和物1mg、パントテン酸カルシウ
Figure 0004074251
水1Lに含みpH7.4に調整した培地〕20mlの入った300ml容三角フラスコに接種して72時間、種培養と同様の方法で培養した。
遠心分離により培養物から菌体を除去し、上清中のL−イソロイシンの蓄積量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量した。結果を第3表に示す。
Figure 0004074251
第3表から明らかなように、本発明のDNAを有するILF−158株、ILR−361株、およびILG−1536株では、L−イソロイシンの生産効率は親株FERM BP−986に比べ、有意に向上していた。
実施例10
実施例1〜3で作製したpCgnd158、pCgnd361およびpCgnd1536を導入する微生物としてコリネバクテリウム グルタミカムKY10671(FERM P−3616)株(以下、KY10671株という)を用いる以外は実施例4と同様にしてKY10671株のGND遺伝子にPro158Ser変異、Ser361Phe変異、またはその両変異を導入することを試みた。
KY10671株は、コリネバクテリウム グルタミカムの野生株から、D−セリン感受性変異、D−アルギニン耐性変異、アルギニンハイドロキサメート耐性変異、および6−アザウラシル耐性変異を誘導することにより取得された変異株である(特開昭53−12491、特開平1−257486)。
その結果、GND遺伝子内部にPro158Ser変異を有する2回組換え体であるARF−158株、Ser361Phe変異を有する2回組換え体であるARR−361株、およびPro158Ser変異ならびにSer361Phe変異を有する2回組換え体であるARG−1536株を取得した。
実施例11
ARF−158株、ARR−361株、およびARG−1536株およびKY10671株を、それぞれBYG寒天培地上で30℃、24時間培養し、種培地(グルコース20g、ペプトン10g、酵母エキス10g、塩化ナトリウム2.5gを水1Lに含みpH7.2に調整した培地)6mlの入った太型試験管に植菌して30℃で24時間培養した。この種培養液2mlを本培養培地〔廃糖蜜150g(グルコース換算)、コーンスティープリカー5g、硫酸アンモニウム30g、尿素3g、リン酸一水素カリウム0.5g、リン酸二水素カリウム0.5g、硫酸マグネシウム2水和物0.25gを水1Lに含みpH7.2に調整後、炭酸カルシウムを30g加えた培地〕20mlの入った300ml容三角フラスコに接種し、30℃で72時間培養した。
遠心分離により培養物から菌体を除去し、上清中のL−アルギニンの蓄積量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量した。結果を第4表に示す。
Figure 0004074251
第4表から明らかなように、本発明のDNAを有するARF−158株、ARR−361株、およびARG−1536株では、L−アルギニンの生産効率は親株KY10671に比べ、明らかに向上していた。
実施例12
実施例1〜3で作製したpCgnd158、pCgnd361およびpCgnd1536を導入する微生物としてコリネバクテリウム グルタミカムBPS−13(FERM BP−1777)株(以下、FERM BP−1777株という)を用いる以外は実施例4と同様にしてFERM BP−1777株のGND遺伝子にPro158Ser変異、Ser361Phe変異、またはその両変異を導入することを試みた。
FERM BP−1777株は、コリネバクテリウム グルタミカムの野生株から、L−フェニルアラニンおよびL−チロシンの要求性変異、種々の芳香族アミノ酸アナログに対する耐性変異、および3−ブロモピルビン酸の感受性変異を誘導することにより取得された変異株である(特許第2578488号)。
その結果、GND遺伝子内部にPro158Ser変異を有する2回組換え体であるTRF−158株、Ser361Phe変異を有する2回組換え体であるTRR−361株、およびPro158Ser変異ならびにSer361Phe変異を有する2回組換え体であるTRG−1536株を取得した。
実施例13
TRF−158株、TRR−361株、およびTRG−1536株およびFERM BP−1777株を、BYG寒天培地上で30℃、24時間培養し、種培地(グルコース20g、ポリペプトン15g、酵母エキス15g、塩化ナトリウム2.5g、尿素1g、L−フェニルアラニン200mg、L−チロシン200mgを水1Lに含みpH7.2に調整した培地)6mlの入った太型試験管に植菌して30℃で24時間培養した。この種培養液2mlを本培養培地(グルコース60g、コーンスティープリカー10g、硫酸アンモニウム20g、リン酸一水素カリウム0.5g、リン酸二水素カリウム0.5g、硫酸マグネシウム7水和物0.25g、硫酸マンガン7水和物10mg、ビオチン0.03gを水1Lに含みpH7.2に調整後、炭酸カルシウムを20g加えた培地)20mlの入った300ml容三角フラスコに接種し、30℃で72時間培養した。
遠心分離により培養物から菌体を除去し、上清中のL−トリプトファンの蓄積量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量した。結果を第5表に示す。
Figure 0004074251
第5表から明らかなように、本発明のDNAを有するTRF−158株、TRR−361株、およびTRG−1536株では、L−トリプトファンの生産効率は親株FERM BP−1777に比べ、明らかに向上していた。
試験例1 GND活性の測定
上記実施例4で得たAGF−158株、AGR−361株、APG−1536株およびこれらの親株であるAHP−3株のGND活性を、Agric.Biol.Chem.,51,1257(1987)およびEnzme Microb Technol.,28,754(2001)に記載の方法に準じて以下の方法で測定した。
なお、コリネバクテリウム グルタミクムAHP−3株には、GND活性に関与する変異は一切導入されておらず、該菌株のGND活性は、コリネバクテリウム グルタミクムATCC 13032株と同等である。
ATCC 13032株、AHP−3株、AGF−158株、AGR−361株およびAPG−1536株を、それぞれMMYE培地〔グルコース20g、硫酸アンモニウム10g、尿素3g、リン酸二水素カリウム1g、硫酸マグネシウム7水和物0.4g、塩化ナトリウム50mg、硫酸鉄7水和物2mg、硫酸マンガン5水和物2mg、チアミン塩酸塩0.2mg、ビオチン0.05mg、酵母エキス(ディフコ社製)1gを水1Lに含みpH7.2に調整した培地〕200mlに植菌し、30℃で培養した。
培養中、培養液の濁度を分光光度計等で測定し、培養液のOD.660nmが7〜8になった時点で培養を終了した。培養終了後、培養液を4,000g、4℃の条件下で10分間遠心分離した。該遠心分離で得られた菌体を、氷冷した溶解緩衝液(lysis buffer)[Tris/HCl50mmol/l(pH7.5)、塩化カリウム500mmol/l、2−メルカプトエタノール2mmol/l、グリセロール5%を含む]で2回洗浄した。洗浄後、溶解緩衝液10mlを添加し、菌体を該溶解緩衝液に懸濁した。
この懸濁液中の菌体を超音波破砕機を用いて破砕した。破砕した菌体を含む懸濁液を4℃で30分間遠心分離し、得られた上清を最終タンパク質濃度が5〜15mg/mlとなるように溶解緩衝液に懸濁し、粗酵素液とした。
Tris/HCl50mmol/l(pH7.5)、NADP0.5mmol/l、塩化マグネシウム10mmol/l、6−ホスホグルコン酸2mmol/lを含む反応液に粗酵素液を加えて1.5mlとし、1mlのキュベット内にて30℃で反応を行い、340nmの吸光度の増加を測定した。NADPHのモル吸光係数を6220として1分間に生成されるNADPHを算出した。1分間にタンパク質1mg当たり生成されるNADPHの生成量をGND比活性とした。
第6表に、ATCC 13032株、AHP−3株、AGF−158株、AGR−361株、およびAPG−1536株のGND比活性を示した。
Figure 0004074251
産業上の利用可能性
本発明によれば、改変されたGNDおよび該GNDをコードするDNAが得られ、該改変GNDを用いることにより、微生物による有用物質の生産効率を高めることができる。
配列表フリーテキスト
配列番号3−人工配列の説明:合成DNA
配列番号4−人工配列の説明:合成DNA
配列番号5−人工配列の説明:合成DNA
配列番号6−人工配列の説明:合成DNA
配列番号7−人工配列の説明:合成DNA
配列番号8−人工配列の説明:合成DNA
【配列表】
Figure 0004074251
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Figure 0004074251

Claims (20)

  1. 以下の(a)〜()記載のポリペプチドからなる群より選ばれるポリペプチド。
    (a) コリネバクテリウム属に属する微生物由来の6−ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ(以下、GNDと略す)の有するアミノ酸配列において、配列番号1記載のアミノ酸配列の第158番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基がSer、Thr、Trp、Cys、Asn、GlnおよびTyrから選ばれるアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチド
    (b)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDの有するアミノ酸配列において、配列番号1記載のアミノ酸配列の第361番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基がPhe、Val、Leu、Ile、Met、Gly、Ala、ProおよびTrpから選ばれるアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチド
    (c)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDの有するアミノ酸配列において、配列番号1記載のアミノ酸配列の第158番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基がSer、Thr、Trp、Cys、Asn、GlnおよびTyrから選ばれるアミノ酸残基に置換され、第361番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基がPhe、Val、Leu、Ile、Met、Gly、Ala、ProおよびTrpから選ばれるアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチド
  2. コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDが、配列番号1記載のアミノ酸配列を有するGNDである請求項1記載のポリペプチド。
  3. 配列番号1記載のアミノ酸配列の第158番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基がSer残基である請求項1または2記載のポリペプチド。
  4. 配列番号1記載のアミノ酸配列の第361番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基がPhe残基である請求項1または2記載のポリペプチド。
  5. 配列番号1記載のアミノ酸配列の第158番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基がSer残基であり、かつ配列番号1記載のアミノ酸配列の第361番目のアミノ酸に相応する位置のアミノ酸残基がPhe残基である請求項1または2記載のポリペプチド。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードするDNA。
  7. 以下の(a)〜(f)記載のDNAからなる群より選ばれるDNA。
    (a)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDをコードするDNAの有する塩基配列において、配列番号2記載の塩基配列の第472〜474番目の塩基配列に相応する領域がSer、Thr、Trp、Cys、Asn、GlnおよびTyrから選ばれるアミノ酸残基をコードするコドンに置換された塩基配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチドをコードするDNA
    (b)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDをコードするDNAの有する塩基配列において、配列番号2記載の塩基配列の第1081〜1083番目の塩基配列に相応する領域がPhe、Val、Leu、Ile、Met、Gly、Ala、ProおよびTrpから選ばれるアミノ酸残基をコードするコドンに置換された塩基配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチドをコードするDNA
    (c)コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDをコードするDNAの有する塩基配列において、配列番号2記載の塩基配列の第472〜474番目の塩基配列に相応する領域がSer、Thr、Trp、Cys、Asn、GlnおよびTyrから選ばれるアミノ酸残基をコードするコドンに置換され、かつ第1081〜1083番目の塩基配列に相応する領域がPhe、Val、Leu、Ile、Met、Gly、Ala、ProおよびTrpから選ばれるアミノ酸残基をコードするコドンに置換された塩基配列を有し、かつGND活性を有するポリペプチドをコードするDNA
    (d)配列番号2記載の塩基配列の第472〜474番目の塩基配列がSer、Thr、 Trp、Cys、Asn、GlnおよびTyrから選ばれるアミノ酸残基をコードするコドンに置換された塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、配列番号2記載の塩基配列の第472〜474番目の塩基配列に相応する領域がSer、Thr、Trp、Cys、Asn、GlnおよびTyrから選ばれるアミノ酸残基をコードするコドンであり、かつGND活性を有するポリペプチドをコードするDNA
    (e)配列番号2記載の塩基配列の第1081〜1083番目の塩基配列がPhe、Val、Leu、Ile、Met、Gly、Ala、ProおよびTrpから選ばれるアミノ酸残基をコードするコドンに置換された塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、配列番号2記載の塩基配列の第1081〜1083番目の塩基配列に相応する領域がPhe、Val、Leu、Ile、Met、Gly、Ala、ProおよびTrpから選ばれるアミノ酸残基をコードするコドンであり、かつGND活性を有するポリペプチドをコードするDNA
    (f)配列番号2記載の塩基配列の第472〜474番目の塩基配列がSer、Thr、Trp、Cys、Asn、GlnおよびTyrから選ばれるアミノ酸残基をコードするコドンに置換され、かつ第1081〜1083番目の塩基配列がPhe、Val、Leu、Ile、Met、Gly、Ala、ProおよびTrpから選ばれるアミノ酸残基をコードするコドンに置換された塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、配列番号2記載の塩基配列の第472〜474番目の塩基配列および第1081〜1083番目の塩基配列に相応する領域がそれぞれSer、Thr、Trp、Cys、Asn、GlnおよびTyrから選ばれるアミノ酸残基をコードするコドンおよびPhe、Val、Leu、Ile、Met、Gly、Ala、ProおよびTrpから選ばれるアミノ酸残基をコードするコドンであり、かつGND活性を有するポリペプチドをコードするDNA
  8. コリネバクテリウム属に属する微生物由来のGNDをコードするDNAが配列番号2記載の塩基配列を有するDNAである請求項7記載のDNA。
  9. 配列番号2記載の塩基配列の第472〜474番目の塩基配列に相応する領域のSer、Thr、Trp、Cys、Asn、GlnおよびTyrから選ばれるアミノ酸残基をコードするコドンが、Ser残基をコードするコドンである請求項7または8記載のDNA。
  10. 配列番号2記載の塩基配列の第1081〜1083番目の塩基配列に相応する領域のPhe、Val、Leu、Ile、Met、Gly、Ala、ProおよびTrpから選ばれるアミノ酸残基をコードするコドンが、Phe残基をコードするコドンである請求項7または8記載のDNA。
  11. 配列番号2記載の塩基配列の第472〜474番目の塩基配列に相応する領域のSer、Thr、Trp、Cys、Asn、GlnおよびTyrから選ばれるアミノ酸残基をコードするコドンが、Ser残基をコードするコドンであり、かつ配列番号2記載の塩基配列の第1081〜1083番目の塩基配列に相応する領域のPhe、Val、Leu、Ile、Met、Gly、Ala、ProおよびTrpから選ばれるアミノ酸残基をコードするコドンが、Phe残基をコードするコドンである請求項7または8記載のDNA。
  12. 請求項6〜11のいずれか1項に記載のDNAを含む組換え体DNA。
  13. 請求項12記載の組換え体DNAを含む形質転換体。
  14. 形質転換体が、コリネバクテリウム属、ブレビバクテリウム属およびミクロバクテリウム属に属する微生物からなる群より選ばれる微生物である請求項13記載の形質転換体。
  15. 形質転換体が、コリネバクテリウム・グルタミカムに属する微生物である、請求項13または14記載の形質転換体。
  16. 染色体上に請求項6〜11のいずれか1項に記載のDNAの有する塩基配列を有する微生物。
  17. 微生物が、コリネバクテリウム属、ブレビバクテリウム属およびミクロバクテリウム属に属する微生物からなる群より選ばれる微生物である請求項16記載の微生物。
  18. 微生物が、コリネバクテリウム・グルタミカムに属する微生物である請求項16または17記載の微生物。
  19. 請求項13〜18のいずれか1項記載の形質転換体または微生物を培地に培養し、培養物中にL−アミノ酸、核酸、糖またはビタミンであって、かつペントースリン酸回路を経て合成される物質、または生合成にNADPHが使用される物質を生成蓄積させ、該培養物より該物質を採取することを特徴とするL−アミノ酸、核酸、糖またはビタミンの製造法。
  20. L−アミノ酸が、L−リジン、L−スレオニン、L−イソロイシン、L−アルギニン、フェニルアラニン、チロシンおよびL−トリプトファンからなる群より選ばれる、請求項19記載の製造法。
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