発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1に示すように、本実施形態例に係るパチンコ機Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた本体枠2と、本体枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられたガラス扉3等を備えており、ガラス扉3にはガラスやプラスチック等からなる透明板4が取り付けられている。
図2に示すように、機枠1の左側枠部には上側軸受け体5と下側軸受け体(図示せず)が固着されており、この下側軸受け体よりも下方の左下隅部には大型のスピーカ6が配設されている。一方、本体枠2の左側枠部の上下両端には第1ピン(図示せず)が設けられており、これら両第1ピンが対応する上下の軸受け体に軸支されることにより、本体枠2は機枠1に対して開閉自在となっている。
本体枠2の上部内側には遊技盤7が収納されており、この遊技盤7の盤面(前面)は透明板4を透して目視可能となっている。遊技盤7はガイドレール8等によって区画形成された遊技領域9を有しており、この遊技領域9内に後述する始動入賞口や振分装置等が設けられている。遊技盤7よりも下方の本体枠2はガラス扉3によって覆い隠される設置部2bとなっており、この設置部2b内の下部中央には遊技球を遊技領域9に向けて発射する発射装置10が配設されている。
本体枠2の右側枠部にはシリンダ錠11aを有する施錠装置11が設置されており、図示省略されているが、この施錠装置11は本体枠2の裏面に配置された後部施錠杆と本体枠2の前面に配置された前部施錠杆とを備えている。常態では、施錠装置11の後部施錠杆により機枠1に対して本体枠2が施錠されると共に、前部施錠杆により本体枠2に対してガラス扉3が施錠されている。そして、シリンダ錠11aの鍵穴に図示せぬ鍵を差し込み、この鍵を一方向(例えば時計回り)へ回動すると、後部施錠杆が上動して本体枠2が開錠されるようになっている。また、シリンダ錠11aの鍵穴に差し込んだ鍵を他方向(反時計回り)へ回動すると、前部施錠杆が上動してガラス扉3が開錠されるようになっている。
ガラス扉3の左側枠部の上下両端には第2ピン(図示せず)が設けられており、これら両第2ピンを本体枠2の上下の軸孔(図示せず)に挿入することにより、ガラス扉3は本体枠2に対して開閉自在となっている。図1に戻り、ガラス扉3には遊技盤7の盤面(前面)に対向する大きな開口3aが開設されており、この開口3aは透明板4によって塞がれている。ガラス扉3の前面上部には比較的小型のスピーカ12が左右に1個ずつ配設されており、これらスピーカ12と前述した大型のスピーカ6とによって遊技に関する様々な効果音を発するようになっている。また、ガラス扉3の前面下部には、遊技盤7の裏面に配設された後述の賞球払出装置から払い出された遊技球を収容する上段受皿13と、上段受皿13から排出された遊技球を収容する下段受皿14と、遊技者による押下操作が可能なプッシュ釦15とが設けられており、上段受皿12の右側方には発射装置10の発射強度を調整するためのハンドル16が配設されている。
図3に示すように、このパチンコ機Pの背面側には、遊技に関する主要な処理を行う主制御処理部17と、主制御処理部17からの指令を受けて各種装置を制御する副制御処理部18と、賞球払出装置19と、主制御処理部17からの指令を受けて賞球払出装置19を制御する払出制御処理部20と、ハンドル16の回動操作量に応じて発射装置10の作動を制御する発射制御処理部21と、賞球数や大当たり回数等の各種情報を遊技場のホールコンピュータに出力する外部端子基板22等が設けられており、副制御処理部18は演出制御処理部18a、特別図柄制御処理部18b、ランプ制御処理部18c、普通図柄制御処理部18dによって構成されている。
図4に示すように、遊技盤7の遊技領域9内には、演出表示装置23と、特別図柄表示装置24と、スルーチャッカ25と、普通図柄表示装置26と、ステージ27と、振分装置28と、第1始動入賞口29と、第2始動入賞口30と、アタッカー装置31と、複数の一般入賞口32と、多数本の遊技釘33と、風車34と、アウト口35等が設けられている。なお、第1始動入賞口29は上端に開口を有する単純構造の始動入賞口であり、第2始動入賞口30は一対の可動片を有する電動チューリップ構造の始動入賞口となっている。
演出表示装置23は遊技盤7の略中央部に設けられており、この演出表示装置23は第1始動入賞口29および第2始動入賞口30に遊技球が入賞することを契機に行われた特別図柄に係る電子抽選の結果に基づいて所定の演出態様を表示するものであって、本実施形態例では液晶表示装置(LCD)が用いられている。この演出表示装置23には、所定の演出態様の一部として、特別図柄表示装置24に変動表示される特別図柄と同期をとってダミー図柄(演出図柄)が変動表示されるようになっている。なお、この演出表示装置23には、保留球乱数が保留球乱数記憶部115a,115b(図6参照)に記憶された場合に保留表示(保留球乱数が記憶された旨の表示)を行うための表示領域が区画形成されている。つまり、この表示領域の部分が保留球表示装置23aとなっている。
特別図柄表示装置24は第1始動入賞口29および第2始動入賞口30に遊技球が入賞することを契機に行われた特別図柄に係る電子抽選の結果を表示するためのものであって、より具体的には、抽選結果を、特別図柄(数字や絵柄)を変動させた後に停止させるといった態様で表示するものである。この特別図柄表示装置24として本実施形態例では7セグメント表示器が用いられており、各セグメントが高速でスクロール点滅(変動)した後、任意のセグメントだけが点灯(停止)して数字や文字等を表示するようになっている。また、演出表示装置23を見ている遊技者の視界に同時に入らないように特別図柄表示装置24は遊技盤7の左下部分に離れて設けられている。
スルーチャッカ25は遊技球が通過可能なゲート構造を成しており、その内部には遊技球が通過したことを検知する検知センサ25aが内蔵されている(図5参照)。普通図柄表示装置26はスルーチャッカ25を遊技球が通過したことを契機に行われる普通図柄に係る電子抽選の結果を表示するためのものであって、この普通図柄表示装置26は特別図柄表示装置24の隣に設けられている。本実施形態例では、普通図柄表示装置26が2つのLEDランプで構成されており、これら2つのLEDランプが交互に点滅(変動)した後、抽選結果が当たりのときには一方のLEDランプが点灯、ハズレのときには他方のLEDランプが点灯(停止)するようになっている。
ステージ27は演出表示装置23の下方に設けられており、このステージ27は遊技球が転動しながら一時的に滞在する構造物である。ステージ27の中央には溝が形成されており、この溝の真下位置に振分装置28が配置されているため、ステージ27の溝から落下した遊技球は高い確率で振分装置28の流入口へと導かれる。この振分装置28については後ほど詳細に説明するが、流入口から振分装置28の内部に入った遊技球は2つの案内通路に交互に振り分けられた後、各案内通路の出口に配置された第1始動入賞口29と第2始動入賞口30に交互に入賞するようになっている。
アタッカー装置31は、第1始動入賞口29および第2始動入賞口30に遊技球が入賞することを契機に行われる特別図柄に係る電子抽選の結果、当たり(特図当たり)となって大当たり遊技に移行した場合に、扉を所定回数(2ラウンドまたは15ラウンド)開放動作して大入賞口を露呈させる装置である。また、一般入賞口32に遊技球が入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。そして、遊技領域9を流下する遊技球が第1始動入賞口29、第2始動入賞口30、一般入賞口32、およびアタッカー装置31の何れにも入らなかった場合、この遊技球はアウト口35から回収される。なお、第1始動入賞口29、第2始動入賞口30、アタッカー装置31の大入賞口、一般入賞口32の内部にはそれぞれ遊技球の通過を検知するためのセンサ29a、30a、31a、32a(図5参照)が設けられている。
主制御処理部17は遊技盤7の裏面に支持部材等を介して設けられており、この主制御処理部17は、CPU(Central Processing Unit)と、予め定められた制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、生成された処理情報の一時記憶および記憶した情報の削除を行うRAM(Random Access Memory)等が実装された制御基板とを備えており、このCPUがROMに格納された各種プログラムやデータを読み込んで実行することにより、遊技に関する主要な処理が行われる。
具体的には、図5に示すように、主制御処理部11は、始動入賞口29,30に遊技球が入賞したことを契機に特別図柄に係る電子抽選を行う特別図柄抽選処理部110と、この特別図柄抽選処理部110が判定した抽選結果に応じて特別図柄の種類を決定する特別図柄決定部120,130と、特別図柄の変動時間に関するコマンドである変動パターンコマンドを決定するための第1変動パターンコマンド決定部140および第2変動パターンコマンド決定部141と、スルーチャッカ25を遊技球が通過したことを契機に普通図柄に係る電子抽選を行う普通図柄抽選処理部150と、普通図柄の変動時間を決定する普通図柄変動時間決定部160と、第2始動入賞口30の可動片の作動を制御する電動チューリップ作動制御部160と、特別図柄抽選処理部110による抽選結果の判定が当たり(特図当たり)となった場合にアタッカー装置31を作動させて大当たり遊技に移行する大当たり遊技制御部170と、遊技モードの移行を制御する遊技モード移行制御部180とによって構成されている。以下、これら各部の詳細について順次説明する。
図6に示すように、特別図柄抽選処理部110は、周期的(例えば2ミリ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数を生成する特別図柄用乱数発生部(特別図柄用乱数発生手段)111と、第1始動入賞口29に遊技球が入賞したことを契機に特別図柄に係る抽選を行うための第1特別図柄抽選部118と、第2始動入賞口30に遊技球が入賞したことを契機に特別図柄に係る抽選を行うための第2特別図柄抽選部119とを備えて構成されている。すなわち、本実施形態例において、特別図柄の抽選は、第1始動入賞口29に入賞したことを契機に行うものと、第2始動入賞口30に入賞したことを契機に行うものとの2つがある。
第1特別図柄抽選部118は、第1始動入賞口29に遊技球が入賞したことを契機に(始動入賞口検知センサ29aからの検知信号が主制御処理部17に入力されたタイミングで)乱数を1つ取得する第1特別図柄用乱数取得部112aと、この第1特別図柄用乱数取得部112aが取得した乱数が特図当たりであるか否かを第1特別図柄高確率判定テーブル116aまたは第1特別図柄低確率判定テーブル117aを参照して決定する第1特別図柄当否判定部113aと、第1特別図柄用乱数取得部112aが乱数を取得したときに特別図柄が変動中である場合に、この取得した乱数を保留球乱数として最大4個まで(別言すれば、所定個数である4個の上限まで)記憶する第1保留球乱数記憶部115aとを備えている。ここで、第1特別図柄高確率判定テーブル116aは、第1特別図柄低確率判定テーブル117aよりも特図当たりとなる確率が高くなっている。
第2特別図柄抽選部119も第1特別図柄抽選部118と同様に、第2始動入賞口30に遊技球が入賞したことを契機に(始動入賞口検知センサ30aからの検知信号が主制御処理部17に入力されたタイミングで)乱数を1つ取得する第2特別図柄用乱数取得部112bと、この第2特別図柄用乱数取得部112bが取得した乱数が特図当たりであるか否かを第2特別図柄高確率判定テーブル116bまたは第2特別図柄低確率判定テーブル117bを参照して決定する第2特別図柄当否判定部113bと、第2特別図柄用乱数取得部112bが乱数を取得したときに特別図柄が変動中である場合に、この取得した乱数を保留球乱数として最大4個まで(別言すれば、所定個数である4個の上限まで)記憶する第2保留球乱数記憶部115bとを備えている。ここで、第2特別図柄高確率判定テーブル116bは、第2特別図柄低確率判定テーブル117bよりも特図当たりとなる確率が高くなっている。
なお、本実施形態例においては、第1保留球乱数記憶部115aと第2保留球乱数記憶部115bとに交互に保留球乱数が記憶されるようになっており、特別図柄抽選処理部110は、先に記憶された順(入賞順)に保留球乱数を読み出して大当たりであるか否かの判定を行い、その判定に従って遊技を進めるように制御している。
また、本実施形態例では、第1特別図柄抽選部118による電子抽選で特図当たりに当選する確率と第2特別図柄電子抽選部119による電子抽選で特図当たりに当選する確率は同じであるが、特図当たりの種類が互いに異なっている。この特図当たりの種類を決定するのが第1特別図柄決定部120および第2特別図柄決定部130である。つまり、第1特別図柄抽選部118および第2特別図柄抽選部119では、取得した乱数が特図当たりであるか否かを判定するだけであり、特図当たりの種類が何であるかの決定は、第1特別図柄決定部120および第2特別図柄決定部130が行っている。
第1特別図柄決定部120は、第1特別図柄抽選部118による抽選結果が特図当たりであった場合に、その特図当たりに対応する特別図柄の種類を決定している。具体的には、第1特別図柄決定部120は、図7の「特図1」の欄に示すように、2R通常当たり、15R通常当たり、2R確変当たり、15R確変当たりのいずれかを決定する。一方、第2特別図柄決定部130は、第2特別図柄抽選部119による抽選結果が特図当たりであった場合に、その特図当たりに対応する特別図柄の種類を決定している。具体的には、第2特別図柄決定部130は、図7の「特図2」の欄に示すように、15R通常当たりと15R確変当たりのいずれかを決定する。
ここで、図7に示す特図当たりの内訳について説明を補足する。まず、図7に示す「2R確変」、「15R確変」、「2R通常」、「15R通常」の意味について説明する。「15R確変」および「15R通常」とは、アカッター装置31が1回につき30秒間または遊技球が9個入賞するまで開放する動作を1ラウンドとし、この動作を15R(ラウンド)行う大当たり遊技が大当たり遊技制御部170により提供される特図当たりのことである。これらの特図当たりの場合には、15ラウンドの大当たり遊技が提供されるため、遊技者は多くの賞球を獲得することができる。一方、「2R確変」および「2R通常」とは、アタッカー装置31が1回につき0.2秒開放する動作を1ラウンドとし、この動作を2R(ラウンド)行う大当たり遊技が大当たり遊技制御部170により提供される特図当たりのことである。これらの特図当たりの場合には、2ラウンドしか大当たり遊技が提供されないため、遊技者は賞球の獲得をすることが困難となる。よって、「15R確変」は多くの賞球を獲得できる出玉有り確変当たりであり、「15R通常」は多くの賞球を獲得できる出玉有り通常当たりである。また、「2R確変」は賞球を獲得するのが困難な出玉無し確変当たりであり、「2R通常」は賞球を獲得することが困難な出玉無し通常当たりである。
次に、図7に示す「特図1」と「特図2」との特図当たりの振分けの違いについて説明する。「特図1」と「特図2」とでは、確変当たりに振り分けられる確率と通常当たりに振り分けられる確率はそれぞれ同じであるが、特図1では確変当たりであっても2R確変当たりと15R確変当たりとに振り分けられるのに対して、特図2では確変当たりの場合には必ず15R確変当たりに振り分けられるようになっている点で相違する。通常当たりについても同様に、特図1では2R通常当たりと15R通常当たりに振り分けられるのに対して、特図2では必ず15R通常当たりに振り分けられるようになっている点で相違する。このように、本実施形態例では、特図1と特図2とで特図当たりの内訳が大きく異なる構成となっているため、第1特別図柄抽選部118にて電子抽選を行うより、第2特別図柄抽選部119にて電子抽選を行った方が、多くの賞球を獲得できる点において遊技者に有利であると言える。
なお、「2R確変」および「15R確変」に当選すると、その確変当たりに基づく大当たり遊技が終了した後に、第1特別図柄高確率判定テーブル116aおよび第2特別図柄高確率判定テーブル116bを参照しながら遊技が行われるようになっている(いわゆる高確率変動状態での遊技状態)。一方、「2R通常」および「15R通常」に当選すると、その通常当たりに基づく大当たり遊技が終了した後に、第1特別図柄低確率判定テーブル117aおよび第2特別図柄低確率判定テーブル117bを参照しながら遊技が行われるようになっている(いわゆる通常状態での遊技状態)。そのため、通常当たりに当選するよりも確変当たりに当選した方が、大当たり遊技後の遊技で第1特別図柄高確率判定テーブル116aが参照される高確率状態となるので遊技者にとって有利である。
第1変動パターンコマンド決定部140と第2変動パターンコマンド決定部141は、それぞれ演出態様を決定するためのコマンドである変動パターンコマンドの決定に用いられる変動パターン用乱数の抽選処理を行う変動パターン用乱数抽選部と、変動パターン用乱数と変動パターンコマンドとが対応づけられたテーブルが複数記憶されたコマンド参照テーブルとを備えて構成されている。第1変動パターンコマンド決定部140と第2変動パターンコマンド決定部141は、それぞれ変動パターン用乱数抽選部で取得した変動パターン用乱数に対応する変動パターンコマンドを、第1特別図柄用乱数取得部112aや第2特別図柄用乱数取得部112bで取得した乱数に対応するコマンド参照テーブルを参照して決定している。なお、特別図柄抽選処理部110による抽選結果の判定が特図当たり(大当たり)となった場合には、長い変動時間の変動パターンコマンドが決定されやすくなっているため、演出表示装置23に変動時間が長い演出態様が表示されると、遊技者は大当たりの可能性が高いのではないかと予測できるようになっている。
図8に示すように、普通図柄抽選処理部150は、普通図柄用の乱数を発生させる普通図柄用乱数発生部151と、スルーチャッカ25を遊技球が通過したことを契機に普通図柄に係る電子抽選を行う普通図柄抽選部157とを備えて構成されている。この普通図柄抽選部157は、スルーチャッカ25を遊技球が通過したことを契機に(スルーチャッカ検知センサ25aからの検知信号が主制御処理部17に入力されたタイミングで)乱数を1つ取得する普通図柄用乱数取得部152と、この普通図柄用乱数取得部152が取得した乱数が当たり(普図当たり)であるか否かを判定テーブルを参照して決定する普通図柄当否判定部153と、普通図柄用乱数取得部152が乱数を取得したときに普通図柄が変動中である場合に、この取得した乱数を普通図柄用の保留球乱数として記憶する普通図柄用保留球記憶部154と、普図当たりに当選する確率が低い普通図柄低確率判定テーブル156と、この普通図柄低確率判定テーブル156よりも普図当たりに当選する確率が高い普通図柄高確率判定テーブル155とを備えている。
電動チューリップ作動制御部160は、普通図柄抽選部157による電子抽選で普図当たりに当選した旨のコマンドに基づいて、ソレノイドに通電して第2始動入賞口30の可動片を開閉するよう制御している。なお、この電動チューリップ作動制御部160は、普通図柄低確率判定テーブル156が参照される遊技状態(後述する通常モード)では、1回の普図当たりに対して、第2始動入賞口30の可動片を開放時間0.5秒で1回開放するよう制御し、普通図柄高確率判定テーブル155が参照される遊技状態(後述する確率変動モードと時短モード)では、1回の普図当たりに対して、第2始動入賞口30の可動片を開放時間2.9秒で2回開放するよう制御している。
大当たり遊技制御部170は、大当たりの種類に応じて所定のラウンド数だけアタッカー装置31の開閉を行うように制御している。前述したように、本実施形態例では、大当たりとして、アカッター装置31が長時間(30秒または遊技球が9個入賞するまでの時間のいずれか早い方)開放する動作を15ラウンド行う「15R確変」および「15R通常」当たりと、アカッター装置31が短時間(0.2秒)だけ1回開放する動作を2ラウンド行う「2R確変」および「2R通常」当たりとがある。
遊技モード移行制御部180は、複数種類に設定された遊技モードの移行を制御するものであり、本実施形態例の場合は、特別図柄の抽選状態が低確率、かつ普通図柄の抽選状態が低確率の遊技状態である通常モードと、特別図柄の抽選状態が高確率、かつ普通図柄の抽選状態が高確率の遊技状態である確率変動モードと、特別図柄の抽選状態が低確率、かつ普通図柄の抽選状態が高確率の遊技状態である時短モードという3種類の遊技モードで遊技が進行するようになっている。
各遊技モードについて具体的に説明すると、通常モードは通常の遊技状態であり、パチンコ機Pの初期電源投入時やリセット時は通常モードになるように設定されている。この通常モードでは、第1特別図柄抽選部118が第1特別図柄低確率判定テーブル117aを参照し、第2特別図柄抽選部119が第2特別図柄低確率判定テーブル117bを参照し、普通図柄抽選部157が普通図柄低確率判定テーブル156を参照して電子抽選を行いながら遊技が進行する。通常モードで大当たりとなって大当たり遊技が提供された場合には、その大当たり遊技が終了すると、遊技モード移行制御部180は遊技状態を確率変動モードと時短モードのいずれか一方に移行させる。この確率変動モードでは、第1特別図柄抽選部118が第1特別図柄高確率判定テーブル116aを参照し、第2特別図柄抽選部119が第2特別図柄高確率判定テーブル116bを参照し、普通図柄抽選部157が普通図柄高確率判定テーブル155を参照して電子抽選を行いながら遊技が進行する。一方、時短モードでは、第1特別図柄抽選部118が第1特別図柄低確率判定テーブル117aを参照し、第2特別図柄抽選部119が第2特別図柄低確率判定テーブル117bを参照し、普通図柄抽選部157が普通図柄高確率判定テーブル155を参照して電子抽選を行いながら遊技が進行する。
次に、図9〜図16を参照して前記振分装置28について詳細に説明する。この振分装置28は、遊技盤7に取り付けられた本体ケース36と、本体ケース36の前面に固定された光透過性材料からなる前面カバー37と、本体ケース36の背面に固定された背面ケース38と、本体ケース36に回転可能に支持された振分回転体39と、この振分回転体39を2つの安定位置に切換え動作するリンク機構40と、本体ケース36に取り付けられた一対の近接スイッチ41,42と、前面カバー37の内部に配置された回路基板43とを備えており、この回路基板43には発光素子である複数のLED44,45が実装されている。
本体ケース36は、遊技盤7の盤面上に配置される板面部36aと、板面部36aの背面から後方へ突出する左右一対の収納部36b,36cとを有しており、両収納部36b,36cの間には軸孔36dと逃げ孔36eが近接状態で設けられている。両収納部36b,36cの前面は上下方向の中央部を除いて開口しており、これら収納部36b,36cの背面には後方へ突出する保持片36fが形成されている。
前面カバー37の上端中央部には遊技球の流入口37aが設けられており、この流入口37aは後面を開口する内部空間に連通している。前面カバー37の内部空間の底部には、中央に台形状の突部37bを有する仕切壁37cと、仕切壁37cの左右両側に連続する傾斜ガイド37d,37eとが設けられており、これら傾斜ガイド37d,37eは後方へ向かって下り勾配で傾斜している。前面カバー37は図示せぬネジを用いて本体ケース36の前面に固定されており、その際、両傾斜ガイド37d,37eが対応する収納部36b,36cの前面中央部から内部へ挿入される(図12参照)。これにより振分装置28の内部には、図15の矢印で示すように、流入口37aから左側の傾斜ガイド37dを経て収納部36bの下端部(第1出口)まで至る第1案内通路G1と、流入口37aから右側の傾斜ガイド37eを経て収納部36cの下端部(第2出口)まで至る第2案内通路G2とが形成される。そして、第1案内通路G1の出口(第1出口)の真下に第1始動入賞口29が配置されると共に、第2案内通路G2の出口(第2出口)の真下に第2始動入賞口30が配置されているため、前述したように、流入口37aから振分装置28の内部に入った遊技球は、第1案内通路G1と第2案内通路G2に交互に振り分けられて第1始動入賞口29または第2始動入賞口30に入賞する。
振分回転体39は流入口37aの真下に位置する第1案内通路G1と第2案内通路G2の分岐部分に回転可能に配置されており、流入口37aから入った遊技球を第1案内通路G1と第2案内通路G2とに交互に振り分ける機能を有している。この振分回転体39には、回転中心軸である軸部39aと、軸部39aの周囲に120度の等間隔で配置された3つの羽根部39bと、1つの羽根部39bの背面から後方へ突出する駆動軸39cとが設けられており、軸部39aは前面カバー37の軸孔37fと本体ケース36の軸孔36dとに回転可能に支持されている。説明の都合上、図15に示す3つの羽根部39bに符号39b1,39b2,39b3を付すると、駆動軸39cは1つの羽根部39b1の背面に設けられ、残り2つの羽根部39b2,39b3の間に前面カバー37の突部37bが位置している。したがって、振分回転体39はこれら両羽根部39b2,39b3のいずれか一方が突部37bに当接することにより、その回転角度が所定角度(約60度)の範囲内に規定されている。駆動軸39cは軸部39aからオフセットした位置に平行に延びており、この駆動軸39cは本体ケース36の逃げ孔36eを挿通して板面部36aの背面側に達している。
リンク機構40は第1レバー46と第2レバー47からなり、これら両レバー46,47はそれぞれ軸部46a,47aを回転中心軸として本体ケース36の板面部36aと背面ケース38との間に回転可能に支持されている。第1レバー46の一端部には連結孔46bが形成されており、この連結孔46bに振分回転体39の駆動軸39cが挿入されている。また、第1レバー46の他端側には長孔46cが形成されており、この長孔46c内に第2レバー47の軸部47aと反対側の端部に設けられたピン47bが摺動可能に挿入されている。図16に示すように、第1および第2レバー46,47は振分回転体39の回転に伴って互いの軸部46a,47aを中心に回転し、同図(a)に示す逆「く」の字状の第1安定姿勢と同図(b)に示す「く」の字状の第2安定姿勢との間を矢印β1−β2方向へ移動する。具体的に説明すると、図16(a)に示す第1安定姿勢でピン47bは長孔46cの外側端部に係合しており、この状態から振分回転体39が遊技球の自重によって時計回り方向(矢印α1)に回転すると、両レバー46,47は矢印β1方向へ移動して互いの交叉角度を次第に拡げていき、それに伴ってピン47bが長孔46cの外側端部から内側端部へ向かって摺動する。そして、両レバー46,47が一直線上に重なり交叉角度がゼロとなった後、すなわち、ピン47bが両軸部46a,47aを結ぶ直線上に重なる位置(デッドポイント)を越えると、両レバー46,47は互いの交叉角度を逆向きに拡げていき、図16(b)に示す第2安定姿勢まで移動して停止する。これとは反対に、両レバー46,47が図16(b)に示す第2安定姿勢にあるときに、振分回転体39が遊技球の自重によって反時計回り方向(矢印α2)に回転すると、両レバー46,47は矢印β2方向へ移動して互いの交叉角度を次第に拡げていき、ピン47bがデッドポイントを越えると、両レバー46,47は互いの交叉角度を逆向きに拡げながら図16(a)に示す第1安定姿勢まで移動して停止する。
一対の近接スイッチ41,42は貫通孔41a,42aを有する高周波発信型の検出スイッチであり、貫通孔41a,42aの周囲に設けられた図示せぬ検出コイルのインピーダンスの変化によって遊技球の通過を検出可能となっている。これら近接スイッチ41,42は保持片36fによって本体ケース36に取り付けられており、それぞれの貫通孔41a,42aは収納部36b,36cの内部に挿入されている。これにより、第1案内通路G1を通過する遊技球が一方の近接スイッチ41によって検出され、第2案内通路G2を通過する遊技球が他方の近接スイッチ42によって検出される。
回路基板43は本体ケース36の板面部36aと前面カバー37の背面との間に配置されており、この回路基板43の左右両側に一対のLED44と一対のLED45とがそれぞれ実装されている。これらLED44,45は近接スイッチ41,42の検知信号に基づいて発光動作(点灯または点滅)し、LED44,45から発せられた光は前面カバー37を透過して前方へ照射される。具体的には、一方の近接スイッチ41が第1案内通路G1を通過する遊技球を検出すると、その検知信号に基づいて一対のLED45が発光動作し、他方の近接スイッチ42が第2案内通路G2を通過する遊技球を検出すると、その検知信号に基づいて一対のLED46が発光動作するようになっている。すなわち、一対の近接スイッチ41,42が遊技球の振り分け先を検知する検知手段に相当し、各LED44,45が検知手段(近接スイッチ41,42)の検知結果に基づいて異なる表示態様で動作する報知演出手段を構成している。
このように構成されたパチンコ機Pにおいて、遊技者はハンドル16を回動操作して遊技球を遊技盤7の遊技領域9内に打ち出すことで遊技を進めることになるが、通常の遊技状態である通常モードでは、振分装置28の流入口37aを狙って遊技領域9の左側部分に遊技球を打ち出すことになる。かかる遊技中に遊技球が振分装置28の流入口37aに入ると、この遊技球は振分装置28の内部で振分回転体39によって第1案内通路G1と第2案内通路G2のいずれか一方に振り分けられた後、これら案内通路G1,G2の出口に配置された第1始動入賞口29と第2始動入賞口30のいずれか一方に交互に入賞する。また、第1および第2始動入賞口29,30に遊技球が入賞した際に、第1保留球乱数記憶部115aと第2保留球乱数記憶部115bにそれぞれ最大で4個ずつの保留球乱数を記憶させることができるため、遊技球が第1始動入賞口29と第2始動入賞口30とに交互に入賞していくと、保留球乱数が最大で8個記憶されている状態を作り出すことができる。
前述したように、特別図柄抽選処理部110は先に記憶された順(入賞順)に保留球乱数を読み出して大当たりであるか否かの判定を行い、第1始動入賞口29への入賞を契機に第1特別図柄抽選部118で特別図柄に係る電子抽選が行われ、第2始動入賞口30への入賞を契機に第2特別図柄抽選部119で特別図柄に係る電子抽選が行われる。そして、第1特別図柄抽選部118による電子抽選の結果が特図当たりであると、大当たり遊技制御部170が特図当たりの種類(2R通常当たり、15R通常当たり、2R確変当たり、15R確変当たりのいずれか)に応じて大当たり遊技を提供する。すなわち、15R通常当たりと15R確変当たりの場合はアタッカー装置31が15ラウンド開放し、2R通常当たりと2R確変当たりの場合はアタッカー装置31が2ラウンド開放する。また、第2特別図柄抽選部119による電子抽選の結果が特図当たりになると、その場合の特図当たりは15R通常当たりと15R確変当たりの2種類だけ(2R通常当たりと2R確変当たりを含まない)であるため、大当たり遊技制御部170はアタッカー装置31を15ラウンド開放する大当たり遊技を提供する。
大当たり遊技の消化中、つまり、アタッカー装置31が1回目の作動を開始してから所定ラウンドを経て作動を終了するまでの間、遊技者はハンドル16を大きく回動操作して遊技球を遊技領域9の右側を狙って打ち出す(右打ち)ことにより、所定個数の遊技球をアタッカー装置31に短時間で次々と入れることができる。また、かかる大当たり遊技が終了すると、遊技モード移行制御部180が遊技状態を確率変動モードと時短モードのいずれか一方に移行する。これら確率変動モードや時短モードでの遊技中、遊技者は右打ちを続行して遊技球を遊技領域9の右側に打ち出し、遊技球が遊技領域9の右側に設けられたスルーチャッカ25を通過すると、それを契機に普通図柄抽選部157で普通図柄に係る電子抽選が行われる。そして、確率変動モードと時短モードでの遊技中は、普通図柄の変動時間が短くなると共に普図抽選の当選確率も高くなるため、第2始動入賞口30の可動片が頻繁に2回続けて開放するようになる。そのため、遊技領域9の右側に打ち出された遊技球は第2始動入賞口30に入賞し易くなり、遊技球をあまり減らすことなく遊技を進めることができる。
ここで、振分装置28に入った遊技球の振り分け先は入球直前の振分回転体39の姿勢によって決定され、例えば、振分回転体39が図15(a)に示す第1安定姿勢に保持されている場合、振分回転体39の1つの羽根部39b1が第1案内通路G1の入口を塞いでいるため、この状態で流入口37aに入った遊技球は第2案内通路G2へと誘導される。このとき、流入口37aに入った遊技球は第2案内通路G2内に突出する羽根部39b2に衝突し、その遊技球の自重によって振分回転体39が同図の時計方向へ回転駆動されるため、前述したように、リンク機構40の両レバー46,47が第1安定姿勢から第2安定姿勢へと変動する。すなわち、図16(a)に示すように、両レバー46,47は振分回転体39の時計回り方向(矢印α1)の駆動力を受けて互いの交叉角度を次第に拡げていき、長孔46cに係合するピン47bがデッドポイントを越えると、互いの交叉角度を逆向きに拡げながら振分回転体39に時計回りの駆動力を付与する。その結果、第2案内通路G2内に突出していた羽根部39b2が突部37bに当接するため、振分回転体39は図15(b)に示す第2安定姿勢で停止すると共に、振分回転体39を通過して第2案内通路G2に振り分けられた遊技球は傾斜ガイド37eを経て収納部36c内へと誘導される。そして、第2案内通路G2に振り分けられた遊技球が収納部36cの内部を通過する途中で、収納部36c内に配置された近接スイッチ42によって遊技球の通過が検出されると、この近接スイッチ42の検知信号に基づいて右側の両LED45が発光動作(点灯または点滅)し、その後に遊技球は第2案内通路G2の出口から排出されて第2始動入賞口30に入賞する。したがって、第2始動入賞口30の真上で発光動作するLED45により、遊技者は振分装置28に入った遊技球の振り分け先が第2始動入賞口30であることを視覚的に知ることができる。
また、こうして振分回転体39が第1安定姿勢から回動変位して第2安定姿勢で停止すると、図15(b)に示すように、羽根部39b1が第1案内通路G1を開口して第2案内通路G2の入口を塞ぐため、引き続き流入口37aに入った遊技球は第1案内通路G1へと誘導される。この場合、流入口37aに入った遊技球は第1案内通路G1内に突出する羽根部39b3に衝突し、その遊技球の自重によって振分回転体39が同図の反時計方向へ回転駆動されるため、リンク機構40の両レバー46,47が第2安定姿勢から第1安定姿勢へと変動する。すなわち、図16(b)に示すように、両レバー46,47は振分回転体39の反時計回り方向(矢印α2)の駆動力を受けて互いの交叉角度を次第に拡げていき、長孔46cに係合するピン47bがデッドポイントを越えると、互いの交叉角度を逆向きに拡げながら振分回転体39に反時計回りの駆動力を付与する。その結果、第1案内通路G1内に突出していた羽根部39b3が突部37bに当接するため、振分回転体39は図15(a)に示す第1安定姿勢で停止すると共に、振分回転体39を通過して第1案内通路G1に振り分けられた遊技球は傾斜ガイド37dを経て収納部36b内へと誘導される。そして、第1案内通路G1に振り分けられた遊技球が収納部36bの内部を通過する途中で、収納部36b内に配置された近接スイッチ41によって遊技球の通過が検出されると、この近接スイッチ41の検知信号に基づいて左側の両LED44が発光動作(点灯または点滅)し、その後に遊技球は第1案内通路G1の出口から排出されて第1始動入賞口29に入賞する。したがって、第1始動入賞口29の真上で発光動作するLED44により、遊技者は振分装置28に入った遊技球の振り分け先が第1始動入賞口29であることを視覚的に知ることができる。
以後、振分装置28の流入口37aに入った遊技球は、第2案内通路G2、第1案内通路G1、第2案内通路G2……と交互に振り分けられた後、それぞれの案内通路G1,G2の出口から排出されて第1始動入賞口29と第2始動入賞口30とに交互に入賞し、その都度、遊技球の入賞先がLED44またはLED45の発光動作によって遊技者に視覚的に報知される。なお、第1安定姿勢または第2安定姿勢にある両レバー46,47は、振分回転体39の回転角度が所定角以上にならないとデッドポイントを越えないため、外部からの振動や衝撃力によって振分回転体39が微小回転したとしても、両レバー46,47が第1安定姿勢と第2安定姿勢との間で切換え動作することはない。したがって、振分回転体39は、流入口37aに遊技球が入らない限り現在の姿勢を維持し、遊技球の振り分け順が外部振動等によって不所望に変わることを確実に防止できる。
以上説明したように、本実施形態例に係るパチンコ機では、遊技領域9に向けて発射された遊技球が振分装置28の流入口37aに入ると、この遊技球は振分回転体39によって第1案内通路G1と第2案内通路G2のいずれか一方に振り分けられた後、第1始動入賞口29と第2始動入賞口30に交互に入賞すると共に、その都度、遊技球の入賞先がLED44またはLED45の発光動作によって遊技者に視覚的に報知されるため、振分装置28で振り分けられた遊技球の動向を視覚的に報知するという斬新な演出効果を実現することができる。また、第1始動入賞口29と第2始動入賞口30に交互に入賞するように構成されており、第1特別図柄抽選部118による電子抽選と第2特別図柄抽選部119による電子抽選とが交互に行われる。したがって、第1保留球乱数記憶部115aと第2保留球乱数記憶部115bがそれぞれ上限(4個)まで保留記憶した状態では、8個分の抽選結果を記憶することができ、この最大保留数の変動に亘って演出表示装置23で特別演出を実行することにより、連続性のある特別演出を実行することができる。しかも、本実施形態例では、第1特別図柄抽選部118にて電子抽選を行うよりも第2特別図柄抽選部119にて電子抽選を行った方が著しく有利になっており、振分装置28に入った遊技球の振り分け先(第1始動入賞口29または第2始動入賞口30)が遊技者にとって重大な関心事となっているため、LED44,45の発光態様で遊技球の振り分け先を報知するという顕著な視覚的効果を奏することができる。
また、遊技球の振り分け機能を有する振分装置28が、遊技球の入口である流入口37aと、流入口37aから第1出口に至る第1案内通路G1と、流入口37aから第2出口に至る第2案内通路G2と、これら両案内通路G1,G2の分岐位置に配置された振分回転体39と、この振分回転体39を2つの安定位置(第1および第2安定姿勢)に切換え動作するリンク機構40と、両案内通路G1,G2内に配置された近接スイッチ41,42と、回路基板43に実装された複数のLED44,45とを備えているため、近接スイッチ41,42によって遊技球の振り分け先を検知することができると共に、その検知結果に基づいてLED44,45を発光動作させて遊技球の振り分け先を視覚的に報知することができる。しかも、リンク機構40を構成する第1および第2レバー46,47は、振分回転体39の回転角度が所定角以上にならないとデッドポイントを越えないため、外部からの振動や衝撃力によって振分回転体39が微小回転したとしても、両レバー46,47が第1安定姿勢と第2安定姿勢との間で切換え動作することはなく、振分回転体39による遊技球の振り分け順が不所望に変わってしまうことを確実に防止できる。
なお、上記した実施形態例では、振分装置28内の回路基板43上に実装されたLED(発光素子)44,45を報知演出手段として用い、これらLED44,45を検知手段である近接スイッチ41,42の検知結果に基づいて発光動作(点灯または点滅)させるようにしているが、LED44,45の代わりに可動表示体を報知演出手段として用いることも可能である。以下、図17〜図20を参照して報知演出手段の変形例について説明する。
図17と図18に示すように、振分装置28の左右両側には第1可動表示体48と第2可動表示体49が配置されており、これら両可動表示体48,49に備えられる可動体50,51の姿勢によって、振分装置28に入った遊技球の振り分け先が第1始動入賞口29と第2始動入賞口30のいずれであるを遊技者に視覚的に報知するようになっている。なお、振分装置28の内部構造は、回路基板43とLED44,45を備えていない点を除くと上記実施形態例と基本的に同じであるため、ここでは重複説明を省略する。
図19と図20に示すように、第1可動表示体48は、背面を開口する箱形形状の支持ベース52と、支持ベース52の内部に取り付けられた電磁ソレノイド53と、電磁ソレノイド53を駆動源として回転動作される回動アーム54と、回動アーム54に連結された中継アーム55と、支持ベース52の前面に取り付けられた装飾体56と、複数のLED57が実装された回路基板58と、装飾体56の前面の凹部57a内に配置された矢印形状の可動体50とを備え、回路基板58は支持ベース52と装飾体56との間に配置されている。可動体50は後方へ突出する軸部50aを有し、この軸部50aは装飾体56と回路基板58および支持ベース52を貫通して中継アーム55の係合孔55aに回転不能状態に連結されている。回動アーム54は長手方向の両端部に軸孔54aと長孔54bを有し、この長孔54bに中継アーム55の係合ピン55bが挿入されている。回動アーム54は支持ベース52の背面に軸孔54aを支点として回転可能に支持されており、電磁ソレノイド53のプランジャー53aが回動アーム54の中央部に連結されている。このプランジャー53aは電磁ソレノイド53の通電/非通電によって上下方向へ往復動可能であり、プランジャー53aの上下動に伴って回動アーム54が軸部50aを中心に回転し、その回転が中継アーム55を介して可動体50に伝達される。図示省略されているが、第2可動表示体49も全く同じに構成されており、内部の電磁ソレノイド53を駆動源として矢印形状の可動体51が回転するようになっている。
図17に示すように、第1可動表示体48の可動体50が真下を向いて第1始動入賞口29を指していないとき、第2可動表示体49の可動体51は斜め左下方を向いて第2始動入賞口30を指しており、この場合、振分装置28に前回入った遊技球の振り分け先が第2始動入賞口30であること分かる。この状態で振分装置28の流入口37aに新たな遊技球が入り、その遊技球が振分回転体39で振り分けられて第1案内通路G1を通過する途中で、第1案内通路G1内に配置された近接スイッチ41によって遊技球の通過が検出されると、この近接スイッチ41の検知信号に基づいて第1可動表示体48側の電磁ソレノイド53が通電されると共に、第2可動表示体49側の電磁ソレノイド53への通電が止められる。かかる電磁ソレノイド53への通電/非通電により、第1可動表示体48については、プランジャー53aの上動に伴って回動アーム54が上向きに回転し、その回転が中継アーム55を介して可動体50に伝達されるため、可動体50が反時計回りに所定量だけ回転する。一方、第2可動表示体49については、プランジャー53aの下動に伴って回動アーム54が下向きに回転し、その回転が中継アーム55を介して可動体51に伝達されるため、可動体51が反時計回りに所定量だけ回転する。その結果、図18に示すように、第1可動表示体48の可動体50が斜め右下方を向いて第1始動入賞口29を指し、その逆に第2可動表示体49の可動体51が第2始動入賞口30から離れて真下を向くため、遊技者は振分装置28に今回入った遊技球の振り分け先が第1始動入賞口29であること分かる。
また、両可動体50,51が図18に示す姿勢にある状態で次の遊技球が振分装置28に入ると、この遊技球が振分回転体39で振り分けられて第2案内通路G2を通過する途中で、第2案内通路G2内に配置された別の近接スイッチ42によって遊技球の通過が検出されると、この近接スイッチ42の検知信号に基づいて第1可動表示体48側の電磁ソレノイド53の通電が止められると共に、第2可動表示体49側の電磁ソレノイド53が通電される。これにより、第1可動表示体48については、プランジャー53aの下動に伴って回動アーム54が下向きに回転し、その回転が中継アーム55を介して可動体50に伝達されるため、可動体50が時計回りに所定量だけ回転する。一方、第2可動表示体49については、プランジャー53aの上動に伴って回動アーム54が上向きに回転し、その回転が中継アーム55を介して可動体51に伝達されるため、可動体51が時計回りに所定量だけ回転する。その結果、図17に示すように、第1可動表示体48の可動体50が第1始動入賞口29から離れて真下を向き、その逆に第2可動表示体49の可動体51が斜め左下方を向いて第2始動入賞口30を指すため、遊技者は振分装置28に今回入った遊技球の振り分け先が第2始動入賞口30であると分かる。以後、振分装置28に入った遊技球は、第1案内通路G1、第2案内通路G2、第1案内通路G1……と交互に振り分けられた後、それぞれの案内通路G1,G2の出口から排出されて第1始動入賞口29と第2始動入賞口30とに交互に入賞し、その都度、遊技球の入賞先が第1および第2始動入賞口29,30に対する両可動体50,51の姿勢によって遊技者に視覚的に報知される。
なお、第1および第2可動表示体48,49の装飾体56と可動体50,51は各LED57の光によって照光可能となっているが、近接スイッチ41,42の検知信号に基づいて、遊技球の振り分け先を向く方向に回転する可動体50,51の背後に配置されたLED57を選択的に点滅動作させたり、他と違う明るさや発光色で点灯させると、可動体50,51による視覚的効果をより一層高めることができる。また、報知演出手段として、前述した実施形態例で説明した振分装置28内の回路基板43上に実装されたLED44,45と、このような可動体50,51を備えた第1および第2可動表示体48,49とを併用することも可能であり、この場合、遊技球の振り分け先がLED44,45の発光態様と可動体50,51の可動態様(姿勢)との両方で遊技者に報知されるため、視覚的な演出効果が著しく大きなものとなる。
また、上記した実施形態例では、振分装置28の第1案内通路G1と第2案内通路G2内にそれぞれ近接スイッチ41,42を配置し、これら一対の近接スイッチ41,42を検出手段として用いて遊技球の振り分け先を検知するようにしているが、検知手段を構成するデバイスの種類や数量あるいは配置位置などは変更可能である。例えば、図21に示すように、振分回転体39の回転に連動して動作するリンク機構40の第1レバー46に遮光突部46dを形成し、この遮光突部46dの移動を回路基板59に実装した光センサ60で検出することにより、振分装置28に入った遊技球の振り分け先を検出することも可能である。
この回路基板59は振分装置28の背面ケース38等に取り付けられており、光センサ60は光路を介して対向する発受光素子を有するフォトインタラプタからなる。遮光突部46dはリンク機構40の動作に伴って光センサ60の光路を横切るように移動し、図21(a)に示すように、リンク機構40が振分回転体39を第1安定姿勢に保持しているとき、遮光突部46dは光センサ60の光路を遮断する位置にある。したがって、光センサ60の光路が遮断されてオフ信号を出力するとき、振分回転体39を通過した遊技球の振り分け先が第2案内通路G2であると判定される。これに対し、図21(b)に示すように、リンク機構40が振分回転体39を第2安定姿勢に保持しているとき、遮光突部46dは光センサ60の光路から外れた位置へ移動し、光センサ60からオン信号が出力されるため、振分回転体39を通過した遊技球の振り分け先が第1案内通路G1であると判定される。このように、振分回転体39を2つの安定姿勢に切換え動作するリンク機構40の動きを光センサ60で検出し、その検知信号(オン/オフ信号)に基づいて振分回転体39を通過した遊技球の振り分け先を判定するようにすると、振分装置28に入った遊技球の振り分け先を1つの光センサ60で検出することができる。
なお、図示しないが、光センサ60の代わりに磁気センサを回路基板59に実装すると共に、リンク機構40の一部にマグネットを取り付け、これら磁気センサとマグネットを用いて遊技球の振り分け先を検出することも可能である。