<第1の実施の形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の第1の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に取り付けられた遊技機主部12とを有している。
外枠11は板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技場の島設備に設置される。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、遊技場の島設備に外枠11が備え付けられた構成としてもよい。
この外枠11によって遊技機主部12が開閉可能な状態で支持されている。具体的には、外枠11における上枠部と左枠部との連結部分に上側支持用金具17が固定されており、さらに外枠11における下枠部と左枠部との連結部分に下側支持用金具18が設けられている。これら上側支持用金具17及び下側支持用金具18により支持機構が構成され、当該支持機構により外枠11に対して遊技機主部12がパチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側としてパチンコ機10の前方へ回動可能とされている。
図2に示すように、遊技機主部12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。なお、遊技機主部12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。
前扉枠14は、パチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側として前方へ回動可能となるようにして内枠13に取り付けられており、裏パックユニット15は、パチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側として後方へ回動可能となるようにして内枠13に取り付けられている。
前扉枠14は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす合成樹脂製の枠体20を主体に構成されており、内枠13における前面側のほぼ全域を覆っている。枠体20の中央部分には後述する遊技領域PEのほぼ全域を前方から視認することができるようにした略楕円状の窓部21が形成されており、その窓部21はガラスユニット30によって同前扉枠14の背面側から覆われている。
枠体20には窓部21を囲むようにしてガラスユニット設置部が形成されている。ガラスユニット設置部は、枠体20の背面側に設けられているとともにパチンコ機10の前方に向けて凹んでおり、その底部に上記窓部21が形成されている。ガラスユニット30は、ガラスユニット設置部に嵌まることで上下方向及び左右方向への変位が規制されている。
ガラスユニット30は、透明性を有するガラスパネル31,32と、それらガラスパネル31,32を保持するガラスホルダ33とを備えている。ガラスホルダ33は、窓部21に沿って形成された環状の枠部を有しており、同枠部によって囲まれた領域にガラスパネル31,32が収容され、それらガラスパネル31,32によって遊技領域PEがパチンコ機10の正面側から2重に覆われる構成となっている。
再び図1を参照して説明すれば、窓部21の周囲には各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部24が設けられている。環状電飾部24では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部24の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ部25が設けられ、窓部21の左右両側には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部26が設けられている。また、中央のエラー表示ランプ部25に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部27が設けられている。
前扉枠14における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部28と下側膨出部29とが上下に並設されている。上側膨出部28内側には上方に開口した上皿28aが設けられており、下側膨出部29内側には同じく上方に開口した下皿29aが設けられている。上皿28aは、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導く機能を有している。また、下皿29aは、上皿28a内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有している。
下側膨出部29並びとなる位置には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル41が設けられている。遊技球発射ハンドル41が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。
前扉枠14の背面には、図2に示すように、通路形成ユニット50が取り付けられている。通路形成ユニット50は、合成樹脂により成形されており、上皿28aに通じる前扉側上皿通路と、下皿29aに通じる前扉側下皿通路とが形成されてなる。通路形成ユニット50において、その上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部53が形成されており、当該受口部53を仕切壁54によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路の入口部分と前扉側下皿通路の入口部分とが区画形成されている。前扉側上皿通路及び前扉側下皿通路は上流側が後述する遊技球分配部に通じており、前扉側上皿通路に入った遊技球は上皿28aに導かれ、前扉側下皿通路に入った遊技球は下皿29aに導かれる。
次に、図2及び図3に基づき内枠13について詳細に説明する。図3は内枠13の正面図である。なお、図3においても、図2と同様にパチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
内枠13は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース70を主体に構成されている。樹脂ベース70の前面における回動基端側(図3の左側)には、その上端部及び下端部に支持金具71,72が取り付けられている。また、前扉枠14の背面における回動基端側には、それら支持金具71,72に対応させて突起軸が設けられている。図示は省略するが、支持金具71,72には軸孔が形成されており、それら軸孔に前扉枠14の突起軸が挿入されることにより、内枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。つまり、これら支持金具71,72及び突起軸は内枠13に対する組付機構を構成している。
内枠13の前面には施錠装置75が設けられている。施錠装置75は、前扉枠14に向けて延びる複数の前扉用鉤部材76を有している。これら前扉用鉤部材76に対応させて、前扉枠14の背面には内枠13側に延びる鉤受け部材63が複数設けられている(図2参照)。前扉用鉤部材76が鉤受け部材63に引っ掛かることにより前扉枠14が閉じた状態で施錠される。また、図2に示すように、施錠装置75は、内枠13の後方へ延びる内枠用鉤部材77を有している。これら内枠用鉤部材77が外枠11の鉤受け部材19に引っ掛かることにより遊技機主部12が外枠11に対して閉じた状態で施錠される。
図3に示すように、樹脂ベース70の右下隅部には、施錠装置の解錠操作を行うためのシリンダ錠78が設置されている。シリンダ錠78は施錠装置に一体化されており、その先端部分(鍵穴部分)が上記前扉枠14に設けられた孔部を通じてパチンコ機10の前方に露出している。シリンダ錠78の鍵穴に差し込んだキーを右に回すことで内枠13に対する前扉枠14の施錠が解除され、同キーを左に回すことで外枠11に対する内枠13の施錠が解除される。
樹脂ベース70前面の略中央部分には、遊技盤ユニット80を収容する遊技盤収容部73が形成されている。遊技盤収容部73は、パチンコ機10の後方に凹み、遊技盤ユニット80を収容する収容空間を区画しており、樹脂ベース70に取り付けられた遊技盤ユニット80がその収容空間に嵌まった状態となっている。本実施の形態においては特に、遊技盤ユニット80が樹脂ベース70に対して着脱可能に取り付けられており、メンテナンス作業等の容易化が図られている。
遊技盤ユニット80は、合成樹脂製の遊技盤80aとその背後に設けられた背面ブロック80b(図5参照)とを有してなり、その前面が遊技盤収容部73の開放部分を通じて樹脂ベース70の正面側に露出している。この露出している部位、すなわち遊技盤80aの前面には、遊技球が流下する遊技領域PEが形成されている。既に説明したように遊技領域PEはガラスパネル32によって覆われている。ガラスパネル32は、遊技盤80aの前面との隙間が遊技球の直径よりも僅かに大きくなるように、すなわち遊技領域PEを流下する遊技球が同遊技領域PEの同一箇所にて前後に並ばないように配置されている。これにより、遊技領域PEでの球詰まりを抑制している。なお、遊技盤80aは合成樹脂製に限定されるものではなく、木製とすることも可能である。
以下、図4に基づき遊技盤ユニット80(特に遊技領域PEに配された各種構成)について説明する。図4は遊技盤ユニット80の正面図である。
遊技盤ユニット80を構成する遊技盤80aには、自身の厚さ方向(前後方向)に貫通する大小複数の開口が形成されている。各開口には、一般入賞口81、可変入賞装置82,83、作動口84,85、スルーゲート86、主表示ユニット87及び可変表示ユニット88等がそれぞれ配設されている。一般入賞口81、可変入賞装置82,83及び作動口84,85に遊技球が入ると、それら遊技球が後述する検知センサにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出し等の特典が遊技者に付与される。その他に、遊技盤ユニット80の最下部にはアウト口89が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口89を通って遊技領域PEから排出される。以下の説明では、アウト口89への遊技球の入球と明確に区別するために、一般入賞口81、可変入賞装置82,83、作動口84,85、スルーゲート86への遊技球の入球を、入賞とも表現する。
また、遊技盤80aには、遊技球の流下経路を適宜分散,調整等するために多数の釘90が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。これら釘90や風車等の各種構成によって、遊技球の流下経路が分化され、上述した一般入賞口81等への入賞が適度な確率で発生するように調整されている。
上記可変表示ユニット88は遊技盤ユニット80の中央に配されており、同可変表示ユニット88の周辺に作動口84,85等が配設されている。作動口84,85は、可変表示ユニット88の下方に配設された下側の作動口84(以下、下作動口84と称する)と、同可変表示ユニット88の右方に配設された右側の作動口85(以下、右作動口85と称する)とによって構成されており、特に右作動口(抽選契機入球部)85には、開閉式の入球補助装置(入球補助手段)又は開閉部材(開閉手段)としての電動役物91が設けられている。電動役物91は、左右一対の可動片91aと同可動片91aを駆動させるソレノイド式の駆動部とを有してなり、右作動口85への入球が可能又は容易となる開状態(補助状態)と、同入球が不可となる閉状態(非補助状態)とに切替可能となっている。なお、電動役物91の閉状態については、入賞が不可能である必要は必ずしもなく、入賞が許容されてはいるが開状態と比べて入賞が困難な状態であってもよい。
右作動口85の上方には、上記スルーゲート86が配置されており、遊技球のスルーゲート86の通過をトリガとした抽選にて当選となった場合には、電動役物91が所定時間だけ開状態となる。
なお、下作動口84への入球が発生した場合には3個の遊技球の払出が実行され、右作動口85への入球が発生した場合には4個の遊技球の払出が実行されるが、遊技球の払出個数は上記のものに限定されることはない。例えば、下作動口84に対する右作動口85の有利性を高める上では、下作動口84に係る払出個数よりも右作動口85に係る払出個数を多く設定するとよい。
変入賞装置(特別入球装置又は特別入球手段)82,83についても、下作動口84及び右作動口85と同様に、可変表示ユニット88の下方及び右方に個別に配置されている。以下便宜上、可変表示ユニット88の下方(詳しくは下作動口84の下方)に配置された可変入賞装置82を「下側可変入賞装置82」と称し、可変表示ユニット88の右方(詳しくは右作動口85の下方)に配置された可変入賞装置83を「右側可変入賞装置83」と称する。
下側可変入賞装置82は、遊技盤ユニット80の背面側へと通じる大入賞口82aと、当該大入賞口82aを開閉する開閉部材(開閉手段)としての開閉扉82bとを備えている。開閉扉82bは、遊技球の入球が可能となる開状態(補助状態)と、同入球が不可となる閉状態(非補助状態)とに切替可能となっている。また、同開閉扉82bは、遊技盤ユニット80の背面側に設けられた可変入賞駆動部82c(詳しくはソレノイド)と連結されており、通常時においては開閉扉82bは閉状態のまま維持され、内部抽選において開閉実行モード(開閉実行状態)への移行に当選した場合に開状態に切り替えられるようになっている。なお、下側可変入賞装置82の閉状態については、入賞が不可能である必要は必ずしもなく、入賞が許容されてはいるが開状態と比べて入賞が困難な状態であってもよい。
ここで、開閉実行モードとは、大当たり当選となった場合に移行することとなるモードである。当該開閉実行モードにおける可変入賞装置82の開放態様としては、例えば所定時間(例えば30sec)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば10ラウンド又は15ラウンド)を上限とした開閉扉82bの開放が繰り返されるように設定されているものがある。
右側可変入賞装置83は、下側可変入賞装置82と同様に、遊技盤ユニット80の背面側へと通じる右側大入賞口83aと、当該右側大入賞口を開閉する開閉部材(開閉手段)としての開閉扉83bとを備えている。開閉扉83bは、遊技球の入球が可能となる開状態(補助状態)と、同入球が不可となる閉状態(非補助状態)とに切替可能となっている。また、同開閉扉83bは、可変入賞駆動部83c(詳しくはソレノイド)と連結されており、通常時においては、開閉扉は閉状態のまま維持され、右作動口85への入球に基づく内部抽選において後述する15R大当たり(特別当たり)に当選した場合に特定ラウンド(詳しくは最終ラウンド)にて開状態に切り替えられるようになっている。なお、下側可変入賞装置82の閉状態については、入賞が不可能である必要は必ずしもなく、入賞が許容されてはいるが開状態と比べて入賞が困難な状態であってもよい。
次に、可変表示ユニット88について説明する。可変表示ユニット88には、作動口84,85への入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置96が設けられている。また、可変表示ユニット88には、図柄表示装置96を囲むようにしてセンターフレーム97が配設されている。センターフレーム97の下部には、下作動口84に対応する第1保留ランプ部98と、右作動口85に対応する第2保留ランプ部99とが設けられている。本実施の形態においては、遊技球が各作動口84,85を通過した回数はそれぞれ最大4回まで保留される構成となっているが、保留ランプ部98,99の点灯によって各作動口84,85に対応する保留個数が個別に表示されるようになっている。
図柄表示装置96は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置96には、例えば左、中及び右に並べて図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たりという)が発生することとなる。図柄列の配列や変動表示の態様については任意であり、例えば上、中及び下に並べて図柄が表示され、これらの図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示される構成としてもよい。
作動口84,85は、可変表示ユニット88寄りとなる位置に配置されている。作動口84,85への入賞をトリガとして、大当たりが発生し得るため、遊技者は作動口84,85に入賞するか否かに注目するとともに、大当たりが発生するか否かを把握するため図柄表示装置96に注目するものと考えられる。作動口84,85を可変表示ユニット88寄りに設けたことは、遊技者が注目したい箇所を可変表示ユニット88周辺に集中させるための工夫である。
可変表示ユニット88を挟んで右側可変入賞装置83とは反対側には、上記主表示ユニット87が配されている。主表示ユニット87は、遊技領域PEの下部側の外縁に沿って配置されており、遊技盤80aの前面からパチンコ機10前方に突出している。主表示ユニット87の前面は、遊技領域PEをパチンコ機10前方から視認可能とする上記ガラスユニット30(詳しくは後側のガラスパネル32)と対向しており、さらに後側のガラスパネル32との間の距離は遊技球1個分よりも狭くなっている。これにより、主表示ユニット87の前面の前方を遊技球が落下することが回避されている。
ここで、主表示ユニット87について補足説明する。
主表示ユニット87においてガラスユニット30と対向している部分には、所定の絵柄等が表示される主表示部Dが設けられている。主表示部Dは、下作動口84への入賞に基づいた抽選結果を表示する下作動口用表示部と、右作動口85への入賞に基づいて行われた抽選結果を表示する右作動口用表示部とを有してなる。
下作動口用表示部では、下作動口84への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、下作動口84への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。下作動口84への入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、下作動口用表示部にて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、上記開閉実行モードへ移行される。
右作動口用表示部では、右作動口85への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、右作動口85への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。右作動口85への入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードに対応した当選結果であった場合には、右作動口用表示部にて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、その結果に応じて上記開閉実行モードに移行される。
ここで、いずれかの作動口84,85への入賞に基づいて、対応する表示部にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。但し、遊技回の1回は、上記の内容に限定されることはなく、例えば、単一の表示領域が設けられ、いずれの作動口84,85への入賞が発生したとしてもその単一の表示領域にて変動表示が行われる構成においては、当該単一の表示領域にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示した状態で上記変動表示が停止されるまでを遊技回の1回とする。
また、主表示ユニット87の主表示部Dには両表示部以外に、スルーゲート86への入賞に基づいた抽選結果を表示するスルーゲート用表示部が併設されている。スルーゲート用表示部では、スルーゲート86への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート86への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。スルーゲート86への入賞に基づく内部抽選の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、スルーゲート用表示部にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、右作動口85に設けられた上記電動役物91が所定の態様で開放される。
更に、本実施の形態においては遊技球がスルーゲート86を通過した回数は最大4回まで保留される構成が採用されているが、主表示ユニット87の主表示部Dにはその保留個数を表示する保留数用表示部が設けられている。
これら各表示部については、前扉枠14のガラスユニット30を通じてパチンコ機10前方から視認可能となっているとともに、これら表示部の前方を遊技球が移動することが回避されることで視認性が担保されている。
再び図3を用いて説明すれば、樹脂ベース70における遊技盤収容部73(遊技盤ユニット80)の下方には、遊技球発射ハンドル41の操作に基づいて遊技領域PEへ遊技球を発射する遊技球発射機構110が設けられている。遊技球発射機構110は、所定の発射待機位置に配置された遊技球を打ち出すソレノイド111と、同ソレノイド111によって打ち出された遊技球の発射方向を規定する発射レール112と、上記発射待機位置に遊技球を供給する球送装置113と、それら各種構成111〜113が装着されているベースプレート114とを主要な構成として備えており、同ベースプレート114が樹脂ベース70に固定されることで内枠13に対して一体化されている。
発射レール112は、遊技盤ユニット80側に向けて上り傾斜となるように、斜めに傾いた状態でベースプレート114に固定されている。発射レール112の下流側の端部(すなわち下端部)寄りとなる位置には、球送装置113から供給された遊技球を上述した発射待機位置に留める球ストッパが配されている。球ストッパよりも更に下流側となる位置に、上記ソレノイド111が配置されている。
ソレノイド111は、後述する電源・発射制御装置に対して電気的に接続されている。その電源・発射制御装置からの電気的な信号の出力に基づいてソレノイド111の出力軸が伸縮方向に往復動することにより、発射待機位置に置かれた遊技球が遊技盤ユニット80側、詳しくは遊技盤ユニット80に装着された誘導レール100に向けて打ち出される。
誘導レール100は、遊技領域区画部材108と共に遊技領域PEを同遊技領域PEの外形が略円形状となるように区画形成している。また、誘導レール100は、遊技球の直径よりも若干大きな隙間を隔てて対峙するように配置された内レール101及び外レール102からなり、それら両レール101,102によって一条の誘導通路103が区画形成されている。誘導通路103は、発射レール112の先端側(斜め下方)に開放された入口部分と、遊技領域PEの上部に位置する出口部分とを有している。ソレノイド111の動作に基づいて発射された遊技球は、発射レール112→誘導レール100(入口部分→出口部分)の順に移動することにより遊技領域PEに導かれる。なお、遊技盤ユニット80において出口部分の先側、詳しくは内レール101の先端付近には、遊技領域PEに到達した遊技球の同誘導通路103内への逆戻りを防止する逆戻り防止部材106が取り付けられており、先んじて遊技領域PEに至った遊技球によって後続する遊技球の打ち出しが妨げられることを抑制している。
誘導レール100を構成している各レール101,102は、遊技領域PEの略中央部分を中心とする円弧状をなしている。このため、誘導通路103を通過する遊技球は、自身に発生する遠心力により外レール102に沿って、すなわち外レール102に接触したまま移動(摺動又は転動)しやすくなっている。
誘導レール100及び発射レール112は、同誘導レール100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤ユニット80の下端縁を挟んで斜めに対峙するように配置されている。つまり、それら両レール100,112は、同誘導レール100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤ユニット80の下端縁近傍にて左右にずれるようにして配置されている。これにより両レール100,112を遊技盤ユニット80の下端縁に近づけつつ、誘導レール100の入口部分と発射レール112との間には所定間隔の隙間を形成している。
このようにして形成された隙間よりも下側にはファール球通路55(図2参照)が配設されている。ファール球通路55は前扉枠14の通路形成ユニット50に一体成形されている。仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域PEまで至らずファール球として誘導通路103内を逆戻りする場合には、それらファール球が上記隙間を介してファール球通路55内に入ることとなる。ファール球通路55は前扉側下皿通路52に通じており、ファール球通路55に入った遊技球は図1に示した下皿29aに排出される。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
樹脂ベース70において発射レール112の左方(詳しくは前扉枠14を支持している側)には、樹脂ベース70を前後方向に貫通する貫通孔に通路形成部材131が配設されている。通路形成部材131は、樹脂ベース70に対してネジ止めされており、本体側上皿通路132と本体側下皿通路133とを有している。それら本体側上皿通路132及び本体側下皿通路133の上流側は、後述する遊技球分配部に通じている。また、通路形成部材131の下方には前扉枠14に取り付けられた通路形成ユニット50の受口部53が入り込んでおり、本体側上皿通路132の下方には前扉側上皿通路51が配置され、本体側下皿通路133の下方には前扉側上皿通路51が配置されている(図2参照)。
樹脂ベース70において通路形成部材131の下方には、本体側上皿通路132及び本体側下皿通路133からの遊技球の流出を規制するシャッタ134が設けられている。シャッタ134は、両通路の出口部分を狭め遊技球の流出を阻止する阻止位置と、遊技球の流出を許容する許容位置との両位置に切り替え可能な状態で樹脂ベース70によって支持されている。また、樹脂ベース70にはシャッタ134を阻止位置に向けて付勢する付勢部材が取り付けられており、前扉枠14を内枠13に対して開いた状態では付勢部材の付勢力によってシャッタ134が阻止位置に留まる構成となっている。これにより、本体側上皿通路132又は本体側下皿通路133に遊技球が貯留されている状態で前扉枠14を開放した場合に、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が回避されている。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット50に設けられた受口部53により上記付勢力に抗してシャッタ134が許容位置に押し戻される。この状態では、本体側上皿通路132及び前扉側上皿通路51と、本体側下皿通路133及び前扉側下皿通路52とがそれぞれ連通し、遊技球の移動が許容されることとなる。
次に、図5に基づき内枠13(樹脂ベース70及び遊技盤ユニット80)の背面構成について説明する。図5は内枠13の背面図である。
樹脂ベース70の背面における回動基端側(図5の右側)には、軸受け金具136が取り付けられている。軸受け金具136には、上下に離間させて軸受け部137が形成されており、これら軸受け部137により内枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。
樹脂ベース70における遊技盤収容部73の底部分には樹脂ベース70の厚さ方向に貫通し同樹脂ベース70の背面側に開放された中央開口74が形成されており、その中央開口74が遊技盤収容部73に収容された遊技盤ユニット80によって内枠13の正面側から覆われている。遊技盤ユニット80の背面ブロック80bには制御装置等の各種構成が搭載されており、それら各種構成は中央開口74を通じて内枠13の背側に露出した状態となっている。
遊技盤ユニット80の背面ブロック80bは、可変表示ユニット88等の各種構成を遊技盤80aに搭載する台座としてのベース体141が固定されている。ベース体141は、遊技盤ユニット80側に開放された略箱状をなしており遊技盤80aの背面のほぼ全域を覆っている。ベース体141の一部は樹脂ベース70の中央開口74を通じて同樹脂ベース70の背面側に突出しており、その突出した部分に対して上述した図柄表示装置96と、その図柄表示装置96を駆動するための表示制御装置とが取り付けられている。これら図柄表示装置96及び表示制御装置は前後方向(樹脂ベース70の厚さ方向)に図柄表示装置が前側且つ表示制御装置が後側となるように重ねて配置されている。
さらに背面ブロック80bには、表示制御装置の後方に位置するようにして報知・演出制御装置ユニット142が搭載されている。報知・演出制御装置ユニット142は、報知・演出制御装置143と、取付台とを具備する構成となっており、取付台上に報知・演出制御装置143が装着されている。
報知・演出制御装置143は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る報知・演出制御基板を具備しており、報知・演出制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス145に収容されて構成されている。
報知・演出制御装置ユニット142の下方には、ベース体141を後方から覆うようにして主制御装置ユニット160が設けられている。主制御装置ユニット160は、遊技盤ユニット80の背面に固定された合成樹脂製の取付台161と、その取付台161に搭載された主制御装置162とを有している。主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス163に収容されて構成されている。
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としてのボックス封印部164によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。ボックス封印部は、基板ボックス163の短辺部に複数設けられ、そのうち少なくとも1つが用いられて封印処理が行われる。
ボックス封印部はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、ボックス封印部を構成する係止孔部に係止ピンを挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。ボックス封印部による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、複数のボックス封印部のうち、少なくとも1つの係止孔部に係止ピンを挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止ピンが挿入されたボックス封印部と基板ボックス163本体との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の係止孔部に係止ピンを挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
基板ボックス163と取付台161とは台座封印部によって開封不能に連結されている。詳しくは、台座封印部は、ボックス封印部164と同様に係止孔部及び係止ピンを有しており、係止孔部に対して係止ピンが挿入されることで基板ボックス163と取付台161とが分離不能に結合されるようになっている。これにより、基板ボックス163の不正な取り外しが行われた場合に、その事実を把握しやすくなっている。
ベース体141において遊技盤80aの背面と対向している部分には、前記一般入賞口81、可変入賞装置82,83、下作動口84、右作動口85の遊技盤開口部に対応し且つ下流側で1カ所に集合する回収通路が形成されている。これにより、一般入賞口81等に入賞した遊技球は何れも回収通路を介して遊技盤ユニット80の下方に集合する構成となっている。つまり、ベース体141には各種入賞口に入賞した遊技球を回収する機能が付与されている。
遊技盤ユニット80の下方には後述する排出通路が配されており、回収通路によって遊技盤ユニット80の下方に集合した遊技球は排出通路内に導出される。なお、アウト口89についても同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球はアウト口89を介して排出通路に導出される。
また、上記回収通路には、遊技盤ユニット80表側の一般入賞口81に入賞した遊技球を検知する入賞口スイッチと、下側可変入賞装置82に入賞した遊技球を検知するカウントスイッチと、作動口84,85に入った遊技球を検知する作動口スイッチとが装着されており、それら各種スイッチによって入賞検知機構が構成されている。更に、ベース体141において可変表示ユニット88の左右両側には、スルーゲート86を通過する遊技球を検知するゲートスイッチが設けられている。これら各種スイッチは主制御装置162に対して電気的に接続されており、各スイッチによる検知情報が同主制御装置162に出力される構成となっている。
次に、図6及び図7に基づき裏パックユニット15について説明する。図6はパチンコ機10の背面図、図7は裏パックユニット15の正面図である。
図6に示すように、内枠13は裏パックユニット15によって後方から覆われている。裏パックユニット15は、裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。
裏パック201は透明性を有する合成樹脂により成形されており、図7に示すように払出機構部202などが取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有する。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット88を囲むのに十分な大きさを有する(図6参照)。
ベース部211には、その右上部に外部端子板が設けられている。外部端子板には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置に対して各種信号が出力される。また、ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン214が設けられており、掛止ピン214を内枠13に設けられた前記軸受け部137に挿通させることで、裏パックユニット15が内枠13に対して回動可能に支持されている。ベース部211には、内枠13に設けられた固定レバーが挿通される複数の挿通部が形成されており、固定レバーが挿通部に挿通された状態にてベース部211に後方から当接することにより内枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。払出機構部202には、裏パック201の最上部に配されているとともに上方に開口したタンク221が設けられており、遊技ホールの島設備から供給される遊技球がそのタンク221に逐次補給される。タンク221の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール222が連結され、タンクレール222の下流側には上下方向に延びるケースレール223が連結されている。ケースレール223の最下流部には払出装置224が設けられている。払出装置224より払い出された遊技球は、当該払出装置224の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に固定された遊技球分配部225に供給される。遊技球分配部225は、払出装置224より払い出された遊技球を上皿28a、下皿29aの何れかに振り分けるための機能を有している。
ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。排出通路盤には、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路が形成されており、当該排出通路の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路等から排出通路に導出された遊技球は当該排出通路を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台241を有し、取付台241に払出制御装置242と電源・発射制御装置243とが搭載されている。これら払出制御装置242と電源・発射制御装置243とは、払出制御装置242がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置242においては基板ボックス244内に払出装置224を制御する払出制御基板が収容されており、当該払出制御基板に設けられた状態復帰スイッチ245が基板ボックス244外に突出している。例えば、払出装置224における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ245が押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
電源・発射制御装置243は、基板ボックス246内に電源・発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。
基板ボックス244,246については、内蔵された各基板を当該基板ボックス244,246の外部から視認可能となるように透明性を有する合成樹脂によって形成されている。そして、払出制御基板及び電源・発射制御基板は、一方の板面が各種素子等の搭載面となっており、他方の板面が半田面となっている。そして、搭載面が遊技機後方を向くように(半田面が内枠13側(遊技機前方)を向くように)して配置されることで、メンテナンス等の際に、各制御基板に異常が発生していないか等を目視で容易に確認できる構成となっている。
また、電源・発射制御装置243には電源のON操作及びOFF操作を行うための電源スイッチ247が設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有している。例えば遊技ホールの営業終了時等に、通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持される。また、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。
ここで、上記主制御装置162にはリセットスイッチ166が設けられており、このリセットスイッチ166を押しながら電源が投入された場合には、RAMデータが初期化される。
<右側可変入賞装置83>
ここで、図8に基づき右側可変入賞装置83について詳しく説明する。図8(a)は図4を部分的に拡大して示す右側可変入賞装置83の正面図、図8(b)は右側可変入賞装置83の内部構造を示す概略図、図8(c)は図8(b)のA−A線部分断面図である。
図8(a)に示すように、遊技盤80aにおいて可変表示ユニット88の右側となる部位には開口部92が形成されている。開口部92は遊技盤80aの厚さ方向に貫通しており、この開口部92に対して遊技機前方から右側可変入賞装置83が嵌まっている。このようにして右側可変入賞装置83が配置された状態では、当該右側可変入賞装置83によって同開口部92が覆われている。
右側可変入賞装置83は、内部に遊技球の流下領域及び役物等の配置領域が区画形成されたハウジング301を有してなる。ハウジング301は、右側可変入賞装置83の外郭を構成しており、透明な合成樹脂材料により形成されている。これにより、ハウジング301を通じて右側可変入賞装置83の内部領域(詳しくは後述する特定領域SE)を遊技機前方から視認可能となっている。
ハウジング301の上部には上記右側大入賞口83aが形成されており、同右側大入賞口83aを遊技機前方から覆うようにして上記開閉扉83bが配設されている。ハウジング301には開閉扉83bを駆動させる動力源としての可変入賞駆動部83c(詳しくはソレノイド)が配設されている。可変入賞駆動部83cは、主制御装置162に接続されており、主制御装置162からの駆動信号に基づいて動作する。つまり、右側可変入賞装置83の開閉は主制御装置162によって制御される構成となっている。
図8(b)に示すように、右側大入賞口83aは、左右に延びる横長状をなしており、その一端部には、奥側へ延びる流入通路302が形成されている。ハウジング301には、流入通路302の出口部分に連通する球通路303が形成されており、右側大入賞口83aへ流入した遊技球は、この球通路303を通じて背面ブロック80bに設けられた回収通路へと案内される。
球通路303は、その途中位置にて2股に分岐している。この分岐位置よりも上流側となる上流側通路305には同右側大入賞口83aへ流入した遊技球を検知する入賞検知センサ304(詳しくは磁気センサ)が配設されている。
入賞検知センサ304は主制御装置162に対して電気的に接続されており、当該入賞検知センサ304からの検知信号(検知情報)が同主制御装置162に出力される。主制御装置162においては、その検知信号に基づいて右側大入賞口83aへの入賞の有無や入賞数等を把握可能となっている。
球通路303の分岐部分には、右側大入賞口83aに入賞した遊技球の流入先を第1下流側通路306/第2下流側通路307に切り替える通路切替部材311と、通路切替部材311を駆動させる通路切替用駆動部312とが設けられている。通路切替用駆動部312は主制御装置162に接続されており、主制御装置162からの駆動信号に基づいて動作する。これにより、球通路303における遊技球の流下経路(案内経路)が変更されることとなる。
ハウジング301には、その後の遊技進行に影響を与える抽選、詳しくは後述する高確率モードへの移行抽選(継続抽選)が行われる特定領域SEが設けられている。第2下流側通路307に流入した遊技球は特定領域SEに案内され当該特定領域SEを経て右側可変入賞装置83外へ排出される。一方、第1下流側通路306に流入した遊技球は特定領域SEに案内されることなく、すなわち上記抽選の対象となることなく右側可変入賞装置83外へ排出されることとなる。
本実施の形態においては、所定の条件の成立に基づいて通路の切り替えを行うことにより、第2下流側通路307を経由して特定領域SEへ案内される遊技球が制限される構成となっている。ここで、図8(b)及び図9(a)を参照してこの制限機能に係る構成について補足説明する。
球通路303は、同一箇所を複数の遊技球が同時に通過できないように通路幅等が規定されている。上流側通路305は上記流入通路302と交差する方向に延びている。具体的には流入通路302が前後に延びているのに対して上流側通路305は上下に(鉛直方向に)延びている。このため、右側大入賞口83aに流入した遊技球は、流入通路302を経て上流側通路305の壁面に当たりその流下方向が変わる。このように、壁面に当たることでその勢いが弱められ、その後は自重によって上流側通路305を落下することとなる。
本実施の形態では、入賞検知センサ304によって検知された遊技球の数が特定の数(本実施の形態においては上限数「10」)となった場合に、それを契機として通路の切り替えを行うが、遊技球を検知してから分岐位置に到達するまでに、当該切り替えが完了する。上述したように、上流側通路305の途中位置に上記入賞検知センサ304が配設されている。このため、入賞検知センサ304(詳しくはその検知領域)を通過する際の遊技球の通過速度はほぼ一定となり、入賞検知センサ304を通過してから分岐位置に到達するまでの期間についてもほぼ一定となる。このような遊技球の到達タイミングに配慮して通路の切替タイミング(通路切替部材311の動作タイミング)が設定されている。
第1下流側通路306は、上流側通路305の延長上に当該第1下流側通路306の入口部分が位置するように形成されている。一方、第2下流側通路307は上流側通路305と交差する方向に延びている。入賞検知センサ304によって検知された遊技球の数が特定の数に満たない場合には、通路切替部材311が第1下流側通路306の入口部分を塞がない開位置に待機しており、入賞検知センサ304によって検知された遊技球の数が特定の数に達した場合には、当該遊技球が分岐位置に到達する直前のタイミングにて通路切替部材311が退避位置から第1下流側通路306の入口部分を塞ぐ閉位置へ移動する。これにより、上流側通路305を落下した遊技球は通路切替部材311へ到達し、第1下流側通路306への流入が回避される。
通路切替部材311の上面は第2下流側通路307へ向けて下り傾斜しているため、当該通路切替部材311に到達した遊技球はこの傾斜に沿って第2下流側通路307へ案内されることとなる。既に説明したように落下速度が一定化されていることで、遊技球が通路切替部材311から第2下流側通路307へ移るのに要する期間についてもほぼ一定となる。この期間を経過したタイミングにて、通路切替部材311が閉位置から開位置に復帰する。
上記構成によれば、特定の遊技球を第2下流側通路307へ、それ以外の遊技球を第1下流側通路306へ案内し、第2下流側通路307へ意図せずして遊技球が流入することを好適に制限できる。
なお、本実施の形態においては、分岐位置の上流にて遊技球の移動速度を定常化して、通路切替部材311による第2下流側通路307への案内期間を限定することにより、特定の遊技球だけを第2下流側通路307へ案内する構成としたが、特定の遊技球だけを第2下流側通路307へ案内することが可能であれば足り、上述した構成に限定されない。例えば、分岐位置に、第1下流側通路306/第2下流側通路307の何れにも遊技球を案内できる球送り手段(例えば遊技球が入る凹部が形成された回転体)を設け、特定の遊技球のみが第2下流側通路307に案内されるように球送り手段の駆動制御を行う構成とすることも可能である。
<特定領域SE>
第2下流側通路307へ流入した遊技球は上記特定領域SEへ案内されることとなる。ここで、特定領域SEは、遊技球が自重により流下(通過)する3つの領域(第1領域E1〜第3領域E3)により構成されている。以下、図8(b)を参照して、特定領域SEに設けられた各種構成について各領域E1〜E3に付与された役割を踏まえて説明する。
最下流に位置する第3領域E3には、ハウジング301の底部301aに形成された第1入球口321及び第2入球口322が存在している。第1入球口321及び第2入球口322は左右に離間して設けられている。詳しくはハウジング301の右壁部301bに添うようにして第1入球口321が配設され、左壁部301cに添うようにして第2入球口322が配設されている。
ハウジング301の底部301aには当該底部301aの中央部分を境に第1入球口321(右壁部301b側)へ下る傾斜部と第2入球口322(左壁部301c側)へ下る傾斜部とが形成されている。特定領域SEに流入した遊技球は底部301aに到達し、第1入球口321及び第2入球口322の何れかに入球することとなる。
ハウジング301の底部301aには、第1入球口321に入った遊技球を排出する第1排出通路323と、第2入球口322に入った遊技球を排出する第2排出通路324とが設けられている。特定領域SEに案内された遊技球は、第1排出通路323及び第2排出通路324の何れかを通じて右側可変入賞装置83から排出されることとなる。
これら排出通路323,324には、入球検知センサ325,326が配設されている。入球検知センサ325,326は主制御装置162に接続されており、主制御装置162ではこれら入球検知センサ325,326からの検知情報(検知信号)に基づいて遊技球が第1入球口321及び第2入球口322の何れに入球したかを把握する構成となっている。
詳細については後述するが、本実施の形態における第1入球口321は、第2入球口322よりも遊技者にとって有利となるように設定されており、第1入球口321への入球が発生した場合にはその後の遊技が遊技者に有利な状態で進行することとなる。
第3領域E3よりも上流側の第2領域E2には、遊技球を第1入球口321及び第2入球口322の何れかに振り分ける振分機構330が設けられている。ここで、図8(b),(c)及び図9(b)を参照して、振分機構330について説明する。
図8(b)に示すように、振分機構330は、入球口321,322の並設方向(左右方向)に延びる長板状の可動体331と、可動体331を支持するベース体335とを有している。ベース体335には上記並設方向と交差(詳しくは直交)する方向に延びるようにして軸部336が設けられており、この軸部336が可動体331に形成された軸受け孔332に係合している。これにより、可動体331は、軸部336の中心軸線を中心として回動可能となっている(図8(c)参照)。
図9に示すように、ベース体335には、可動体331が時計回りに回動して右下がりとなった場合に下方から当接することでそれ以上の回動を阻止する第1ストッパ337と、可動体331が反時計回りに回動して左下がりとなった場合に下方から当接することでそれ以上の回動を阻止する第2ストッパ338とが設けられている。つまり、第1ストッパ337及び第2ストッパ338により、可動体331の回動範囲が規定されている。
この範囲においては、可動体331の一方の板面が常に上側を向いた状態となる。この板面が第1領域E1から第2領域E2に移った遊技球を受ける球受け面333となっている。可動体331は、球受け面333に遊技球が当たった際の衝撃や当該球受け面333に遊技球が載った際の当該遊技球の重みによりその姿勢が変わる。
可動体331の左右の端部とハウジング301の側壁部301b,301cとの間には、遊技球が通過可能な隙間、詳しくは遊技球の直径寸法よりも僅かに大きい隙間が確保されており、第2領域E2に到達した遊技球は、この隙間を通過して上記第3領域E3に移ることとなる。
可動体331の回動中心軸線CLは、可動体331の重心GPと重なっている。すなわち、可動体331の重心GPを回動中心軸線CLが通過するように構成されている。このため、可動体331は、所定の回動位置から自重によって回動することが回避されている。つまり、上述したように第1領域E1から供給される遊技球が、可動体331の姿勢を変化させる主要因となっており、可動体331が遊技球と関係なく自身の重みによってその姿勢を変えることが回避されている。
このように、可動体331は、球受け面333におけるどの位置に遊技球が到達するかによって姿勢が変化する。そこで、このような事情を配慮して、第1領域E1には、当該第1領域E1から第2領域E2に遊技球が移る際に、球受け面333におけるどの位置に遊技球が到達するかが一義的に決まらないようにする手段、すなわち遊技球の到達位置を多様化させる手段として、ステージ部340が形成されている。ここで、図8(b),図8(c)及び図10(a)を参照して、第1領域E1に存在するステージ部340について説明する。図10(a)は、ステージ部340を上方から見た概略図である。
図8(b),(c)に示すようにステージ部340は、振分機構330よりも上側且つ当該振分機構330よりも後側となる位置に配されている。図8(b)に示すように、ステージ部340は、ハウジング301の両側壁部301b,301cに跨るようにして左右に延びており、振分機構330よりも横幅が大きくなっている。ステージ部340の上面341は、中心軸線CLに向けて凹む曲面状をなし、当該中心軸線CLを基準に左右対称となるように形成されている。
図10(a)に示すように、上述した第2下流側通路307の出口部分は、ステージ部340の上面341の一端側に寄せて配置されており、第2下流側通路から流出した遊技球は、ステージ部340の上面341上を左右に揺動することとなる。この機能に鑑みればステージ部340の上面341を、遊技球を転動させる転動面341と称することも可能である。
ここで、転動面341は奥行き方向における幅寸法が遊技球の直径寸法よりも十分に大きく設定されており(本実施の形態においては凡そ1.5倍)、遊技機奥側から手前側に向けて僅かに下り傾斜している(図8(c)参照)。転動面341にて左右に揺動している遊技球は、左右への揺動を繰り返しながら転動面341の傾斜に沿ってじょじょに遊技機前方へ移動する。
既に説明したように、転動面341は振分機構330の可動体331(詳しくは球受け面333)よりも左側及び右側に延出している。この延出部分には上方に起立する起立部343,344が形成されている(図8(b)参照)。これら起立部343,344は、転動面341の前端縁に沿うように形成されており、遊技球の前方への移動(流出)を阻止する阻止手段として機能する。これにより、ステージ部340から遊技球が落下した場合に、当該遊技球が振分機構330の可動体331を経由することなく入球口321,322に到達することを規制している。なお、以下の説明では、ステージ部340において遊技球の流出が許容されている部分、すなわち左右の起立部343,344によって挟まれた部分を流出部345と称する。
転動面341には、遊技球を第2領域E2へ導くガイド溝342が形成されている。ガイド溝342は、上方及び前方に開放されており、転動面341の前端縁(流出部345)から後方に延びている。ステージ部340から流出する遊技球のうちガイド溝342に沿って移動するものについては、左右方向への移動が規制されることで流下方向の左右へぶれが抑えられることとなる。なお、ガイド溝342の全長は遊技球の半径寸法よりも小さく設定されている。これは、ステージ部340に到達した遊技球が揺動前にいきなりガイド溝342に引っ掛かることを抑制する工夫である。
ガイド溝342は、左右方向において転動面341の底部となる中央位置MLと、右側の起立部343寄りとなる位置と、左側の起立部344寄りとなる位置とにそれぞれ配設されている。
右側の起立部343寄りに配されたガイド溝342aに沿ってステージ部340から遊技球が流出した場合には、振分機構330の可動体331の姿勢に関係なく当該遊技球が第1入球口321に案内される。一方、左側の起立部344寄りに配されたガイド溝342cに沿ってステージ部340から遊技球が流出した場合には、振分機構330の可動体331の姿勢に関係なく当該遊技球が第2入球口322に案内される。中央に配されたガイド溝342bに沿ってステージ部340から遊技球が流出した場合には、当該遊技球の案内先(第1入球口321/第2入球口322)は、振分機構330の可動体331の姿勢に依存することとなる。
但し、本実施の形態においては、これら各ガイド溝342a〜342cの間にはガイド溝の非配置領域が存在しているため、同図9(b)に例示しているように、流出部345から流出する遊技球が必ずしもガイド溝342を経由するとは限らない。ここで、図10を参照して、振分機構330の姿勢及び遊技球の流出位置と遊技球の案内先との関係について説明する。図10(a)は振分機構330を示す斜視図、図10(b),(c)は振分機構330による振分態様を示す概略図である。
先ず、振分機構330の構造について補足説明する。図10(a)に示すように、可動体331は前後方向の幅寸法及び厚さ寸法が一定の長板状をなしており、回動中心軸線CLを基準とした左右の重量バランスの比が1:1になっている。これにより、上述の如く、可動体331の重心GPを前後に延びる回動中心軸線CLが通過する構成が実現されている。係る構成では、可動体331に何らかの外力が加わらない限り、可動体331が自発的にその姿勢を変化することを好適に抑制できる。なお、本実施の形態におけるストッパ337,338の表面には低反発性のクッション部材が取り付けられており、可動体331がストッパに衝突した際の当該可動体331の跳ね返りが抑制されている。
なお、可動体331の跳ね返りを抑える抑制手段については、低反発性のクッション部材に限定されるものではない。例えば、磁石等の磁力によって可動体331を吸着することにより、上記跳ね返りを抑制することも可能である。但し、磁力等によって可動体331を吸着させる構成では、その吸着力を、遊技球の衝突に起因した衝撃や遊技球の重みによって吸着状態が解除される程度に抑えることが好ましい。
因みに、本実施の形態においては、右下がり及び左下がりの何れの状態であっても抑制手段による吸着力については同等となるように構成しているが、この吸着力に強弱の差違を付与してもよい。これにより、可動体331の傾き方向に偏りを生じさせることができる。例えば、右下がりとなった場合の吸着力を左下がりとなった場合の吸着力よりも強くなるように設定することにより、遊技者にとって有利な右下がりの状態が継続されやすくなる。
図10(b)に示すように可動体331が右下がりとなるように傾いた状態(以下、第1状態と称する)では、可動体331に到達した遊技球が第2入球口322よりも第1入球口321に案内される可能性が高くなる。これは、主として以下の2つの理由による。すなわち、可動体331の球受け面333に向けて落下した遊技球は、球受け面333に衝突した際に右向きの反力を受けて跳ね返ることとなる。これにより、当該遊技球が衝突位置から右側へとずれる。また、可動体331(球受け面333)が右下がりとなるように傾斜しているため、球受け面333に載っている遊技球は右斜め下方に向けて流下する。
これらの事象に鑑みれば、第1状態においては回動中心軸線CLよりも右側へ向けて落下した遊技球はさることながら、回動中心軸線CLよりも左側へ向けて落下した遊技球のうち回動中心軸線CL寄りとなるものについても第1入球口321へと案内されることとなる。
より具体的には、上記3つのガイド溝342a〜342cのうち、左側のガイド溝342cを経て可動体331へ落下した遊技球は、可動体331の左部を押し下げて第2入球口322へと案内されるのに対して、右側のガイド溝342a及び中央のガイド溝342bを経て可動体331に落下した遊技球は第1入球口321へと案内される。
図10(c)に示すように可動体331が左下がりとなるように傾いた状態(以下、第2状態と称する)では、可動体331に到達した遊技球が第1入球口321よりも第2入球口322に案内される可能性が高くなる。これは、主として以下の2つの理由による。すなわち、可動体331の球受け面333に向けて落下した遊技球は、球受け面333に衝突した際に左向きの反力を受けて跳ね返ることとなる。これにより、当該遊技球が衝突位置から左側へとずれる。また、可動体331(球受け面333)が左下がりとなるように傾斜しているため、球受け面333に載っている遊技球は左斜め下方に向けて流下する。
これらの事象に鑑みれば、第2状態においては回動中心軸線CLよりも左側へ向けて落下した遊技球はさることながら、回動中心軸線CLよりも右側へ向けて落下した遊技球のうち回動中心軸線CL寄りとなるものについても第2入球口322へと案内されることとなる。
より具体的には、上記3つのガイド溝342a〜342cのうち、右側のガイド溝342aを経て可動体331へ落下した遊技球は、可動体331の右部を押し下げて第1入球口321へと案内されるのに対して、左側のガイド溝342c及び中央のガイド溝342bを経て可動体331に落下した遊技球は第1入球口321へと案内される。
このように、第1状態及び第2状態では遊技球が案内態様に差が生じる。なお、本実施の形態においては、第1状態においては第1入球口321への入球確率が60%、第2入球口322への入球確率が40%となり、第2状態においては第1入球口321への入球確率が40%、第2入球口322への入球確率が60%となる。つまり、第1状態での入球確率の偏り度合いと第2状態での入球確率の偏り度合いとが同等となっている。
第1状態にて遊技球が第1入球口321に案内される場合には、遊技球が球受け面333に沿って移動する。これにより、遊技球の重さによって可動体331が第1ストッパ337に押し付けられ、遊技球の案内が終了した後も第1状態に維持されることとなる(図10(b)→図10(b)参照)。このため、次に振分機構330に到達した遊技球についても第1入球口321へ案内されやすくなる。
第1状態にて遊技球が第2入球口322に案内される場合には、遊技球が球受け面333に衝突することで、当該可動体331が反時計回りに回動する。これにより、可動体331の姿勢が左下がりとなるように変化する。ここで、遊技球が球受け面333に沿って移動すると、遊技球の重さによって可動体331が第2ストッパ338に押し付けられ、遊技球の案内が終了した後は第2状態に維持されることとなる(図10(b)→図10(c)参照)。このため、次に振分機構330に到達した遊技球についても第2入球口322へ案内されやすくなる。
一方、第2状態にて遊技球が第2入球口322に案内される場合には、遊技球が球受け面333に沿って移動する。これにより、遊技球の重さによって可動体331が第2ストッパ338に押し付けられ、遊技球の案内が終了した後も第2状態に維持されることとなる(図10(c)→図10(c)参照)。このため、次に振分機構330に到達した遊技球についても第2入球口322へ案内されやすくなる。
第2状態にて遊技球が第1入球口321に案内される場合には、遊技球が球受け面333に衝突することで、当該可動体331が時計回りに回動する。これにより、可動体331の姿勢が右下がりとなるように変化する。ここで、遊技球が球受け面333に沿って移動すると、遊技球の重さによって可動体331が第1ストッパ337に押し付けられ、遊技球の案内が終了した後は第1状態に維持されることとなる(図10(b)→図10(c)参照)。このため、次に振分機構330に到達した遊技球についても第1入球口321へ誘導されやすくなる。
以上詳述したように、第1入球口321への入球が発生した後は次の遊技球が第1入球口321へ案内されやすく、再度の第1入球口321への入球が促されることとなり、第2入球口322への入球が発生した後は次の遊技球が第2入球口322へ案内されやすく、再度の第2入球口322への入球が促されることとなる。
本実施の形態においては、ステージ部340にて遊技球を揺動させる構成となっている。このため、遊技球がステージ部340から落下する際には、必ず垂直に落下するわけではなく、左右方向への移動成分を有したまま斜めに落下する場合も存在する。これにより、落下点や球受け面333への到達位置(衝突位置)が同じであっても、遊技球の振分態様が相違し得る。以下、図11の概略図を参照して遊技球の振分態様について説明する。なお、図11においては、振分機構330(可動体331)が第1状態となっている場合について例示しているが、図11に示す事象は第1状態に限って発生するものではなく第2状態であっても発生するものである。
先ず、遊技球の動きと可動体331の動作原理とについて補足説明する。
図11(a)及び図11(b)に示すように、遊技球が回動中心軸線CL方向から見て真っ直ぐに落下した場合には、遊技球が球受け面333に衝突することにより発生する反力の向きはほぼ同じとなる。しかしながら、反力の大きさについては、回動中心軸線CLよりも左側にて遊技球が衝突した場合には、衝突位置が回動中心軸線CLに近いほど大きくなり遠くなるほど小さくなる。詳しくは、衝突位置が回動中心軸線CLに近いほど衝突によって遊技球から可動体331に移る運動量は小さくなり、落下位置が回動中心軸線CLから遠いほど衝突に伴って遊技球から可動体331に移る運動量は大きくなる。
この結果、遊技球の右方向への移動量は、衝突位置が回動中心軸線CLに近いほど大きくなり、回動中心軸線から遠くなるほど小さくなる(L1>L2)。そして、可動体331の回動速度は衝突位置が回動中心軸線CLに近いほど小さくなり、回動中心軸線から遠くなるほど大きくなる。
図11(a)の例においては、遊技球が跳ね返った場合に、回動中心軸線CLよりも右側へ達する。遊技球の衝突により可動体331が反時計回りに回動するが、衝突に伴い可動体331に移る運動量は少なくなるため、可動体331の姿勢の変化(回動量)は小さいままとなる。図11(a1)→図11(a2)に示すように、跳ね返った遊技球と可動体331とが再び当たる場合には、可動体331によって遊技球が左側へ押される力よりも遊技球が可動体331の右部を押し下げる力が上回る。故に、図11(a2)→図11(a3)に示すように、遊技球の重さによって可動体331の右部が下方に押されて可動体331が第1ストッパ337に当接する位置に復帰し、球受け面333に沿って流下した遊技球は第1入球口321に案内される。
図11(b)の例においても、遊技球が跳ね返った場合に、回動中心軸線CLよりも右側へ達する。遊技球の衝突に伴い可動体331に移る運動量は大きくなるため、可動体331の姿勢の変化(回動量)も大きくなる。図11(b1)→図11(b2)に示すように跳ね返った遊技球と可動体331とが再び当たる場合には、可動体331が左下がりの状態となっており、遊技球が可動体331の右部を押し下げるのに十分な位置に到達していない。故に、図11(b2)→図11(b3)に示すように、遊技球は球受け面333の傾斜に沿って回動中心軸線CLよりも左側へと押し戻される。そして、遊技球によって可動体331の左部が下方に押されて可動体331が第2ストッパ338に当接する位置へ回動し、球受け面333に沿って流下した遊技球は第2入球口322に案内される。
次に、図11(b),(c),(d)を参照して、遊技球の衝突方向の違いによる遊技球の挙動の違い、及び振分結果の違いについて説明する。なお、図11(b),(c),(d)においては、可動体331に対する遊技球の衝突位置が同一となっている場合について例示している。
ここで、図11(c)の例では、遊技球の衝突位置が図11(b)と同じであるものの、衝突方向が左側に傾いている場合、すなわちステージ部340から流出した遊技球が左方向への移動成分を有したまま球受け面333に衝突している。
この場合、図11(c1)に示すように、遊技球の球受け面333への入射角が大きくなることで、球受け面333の向きと反射方向との差も小さくなる。衝突によって遊技球から可動体331に移る運動量は大きくなるため、遊技球の右側への移動量は小さくなり、可動体331の回動速度は大きくなる。
図11(c1)→図11(c2)に示すように、遊技球が再び球受け面333に当る際には、その位置が回動中心軸線CLよりも左側となり、且つ可動体331が左下がりとなることで、図11(b)の場合とは異なり、概観上遊技球が第1入球口321に向けて案内される期待度が極めて低くなる。つまり、図11(b)の例では遊技球が回動中心軸線CLよりも右側に移ることにより、概観上遊技球が第1入球口321に向けて案内される期待度が高いかのように見え、遊技者の期待を煽ることができる。つまり、同じ衝突位置であっても、その後の遊技球の挙動が異なることにより、その結果を見抜くことが難しくなる。
次に、図11(d)を参照して、遊技球の衝突位置が図11(b)と同じであるものの、衝突方向が右側に傾いている場合、すなわちステージ部340から流出した遊技球が右方向への移動成分を有したまま球受け面333に衝突した場合について説明する。
この場合、図11(d1)に示すように、遊技球の球受け面333への入射角が小さくなることで、球受け面333の向きと反射方向との差も大きくなる。衝突によって遊技球から可動体331に移る運動量は小さくなるため、遊技球の右側への移動量は大きくなり、可動体331の回動速度は小さくなる。
図11(d1)→図11(d2)に示すように、遊技球が再び球受け面333に当る際には、その位置が回動中心軸線CLよりも右側となり、且つ可動体331が右下がりのままとなることで、図11(b),(c)の場合とは異なり、遊技球が第1入球口321に向けて案内される。つまり、図11(b),(c)の例では遊技球が第2入球口322へ案内されたのに対して、図11(d)の例では遊技球が第1入球口321に案内されることとなる。つまり、同じ衝突位置であっても、その後の遊技球の案内先が異なることにより、衝突位置だけを見て案内先を見抜くことが難しくなる。
以上詳述したように、ステージ部340と可動体331との組み合わせによれば、遊技球の案内先を衝突位置とその後の遊技球の挙動との関係が一義的に決まることを抑制できる。このようにして、遊技球の動きを多様化することで、遊技球の動きへの遊技者の注目度を好適に向上させることができる。
<パチンコ機10の電気的構成>
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図12のブロック図に基づき説明する。
主制御装置162に設けられた主制御基板601には、MPU602が搭載されている。MPU602には、当該MPU602により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM603と、そのROM603内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM604と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵された素子である。なお、MPU602が有する機能の一部、例えば、ROM603の機能やRAM604の機能などを別の素子として有する構成としてもよい。
MPU602には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU602の入力側には、主制御装置162に設けられた停電監視基板605、払出制御装置242及び各種検知センサ(例えば入球検知センサや位置検知センサ)などが接続されている。停電監視基板605には電源・発射制御装置243が接続されており、MPU602には停電監視基板605を介して電力が供給される。
上記センサ群を構成する入球検知センサの一例として、一般入賞口81,下側可変入賞装置82,右側可変入賞装置83,下作動口84,右作動口85及びスルーゲート86などといった入賞対応入球部(払出対応入球部)に設けられた複数の検知センサが接続されており、主制御装置162のMPU602において各入球部への入賞判定(入球判定)が行われる。MPU602では、下作動口84及び右作動口85への入賞に基づいて大当たり等の発生抽選を実行するとともに、スルーゲート86への入賞に基づいてサポート発生抽選を実行する。
右側可変入賞装置83に設けられた検知センサとして、上流側検知センサ304と下流側検知センサ315,325,326とが接続されている。上流側検知センサ304によって右側可変入賞装置83へ入賞した遊技球の数が把握される。また、上流側検知センサ304からの検知情報に基づいて把握された入賞数と、下流側検知センサ315,325,326からの検知情報に基づいて把握された入賞数とに基づいて(例えば比較して)、右側可変入賞装置83内に遊技球が残存していないかの監視を行う。
なお、主制御装置162に接続された上記各種センサについては、遊技機における電源投入時に同主制御装置162により断線の有無が確認され、仮に断線の可能性があると判定された場合にはその旨の報知等が実行される。
MPU602の出力側には、停電監視基板605、払出制御装置242及び報知・演出制御装置143(詳しくは報知・演出制御基板651)が接続されている。払出制御装置242には、例えば、上記入賞対応入球部への入賞判定結果に基づいて賞球コマンドが出力される。この場合、賞球コマンドの出力に際しては、ROM603のコマンド情報記憶エリア625が参照される。そして、一般入賞口81への入賞を特定した場合には、10個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、可変入賞装置82,83への入賞を特定した場合には、15個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、下作動口84への入賞を特定した場合には、3個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、右作動口85への入賞を特定した場合には、4個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力される。
報知・演出制御装置143には、変動用コマンド、種別コマンド、変動終了コマンド、オープニングコマンド及びエンディングコマンドなどの各種コマンドが出力される。この場合、これら各種コマンドの出力に際しては、ROM603のコマンド情報記憶エリア625が参照される。
また、MPU602の出力側には、下側可変入賞装置82(可変入賞駆動部82c)、右側可変入賞装置83(可変入賞駆動部83c、通路切替用駆動部312、状態切替用駆動部334)、リセットスイッチ166、電動役物91用の駆動部及び主表示ユニット87が接続されている。主制御基板601には各種ドライバ回路が設けられており、当該ドライバ回路を通じてMPU602は各種駆動部の駆動制御を実行する。
開閉実行モードにおいては下側可変入賞装置82の開閉扉82bや右側可変入賞装置83の開閉扉83bが開閉されるように、MPU602において可変入賞駆動部82c,83cの駆動制御が実行される。また、電動役物91の開放状態当選となった場合には、電動役物91が開閉されるように、MPU602において電動役物91用の駆動部の駆動制御が実行される。また、各遊技回に際しては、MPU602において主表示部Dの発光制御が実行される。
停電監視基板605は、主制御基板601と電源・発射制御装置243とを中継し、また電源・発射制御装置243から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する。払出制御装置242は、主制御装置162から入力した賞球コマンドに基づいて、払出装置224により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。
電源・発射制御装置243は、例えば、遊技場等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御基板601や払出制御装置242等に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を所定の電力経路を通じて供給する。また、電源・発射制御装置243は、遊技球発射機構110の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構110(詳しくはソレノイド111)は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
報知・演出制御装置143は、主制御装置162から入力した各種コマンドに基づいて、前扉枠14に設けられた各種ランプ部24〜26やスピーカ部27を駆動制御するとともに、表示制御装置725を制御するものである。
報知・演出制御基板651は、主制御装置162から入力した各種コマンドに基づいて各種ランプ部24〜26、スピーカ部27及び表示制御装置725を制御するものである。演算装置であるMPUは、そのMPUにより実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROMと、ワークメモリ等として使用されるRAMとを備えている。
表示制御装置725では、報知・演出制御装置143から入力したコマンドに基づいて、図柄表示装置96の表示制御を実行する。この場合に、報知・演出制御装置143では、主制御装置162から入力した各種コマンドに基づいて、図柄表示装置96における図柄の変動表示時間及び最終的に停止表示させる図柄の組み合わせの種類を決定するとともに、リーチ発生の有無及びリーチ演出の内容を決定する。
<各種カウンタについて>
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。
MPU602は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たりの発生抽選、主表示部Dの表示の設定、図柄表示装置96の図柄表示の概要の設定などを行うこととしており、具体的には、図13に示すように、大当たりの発生の抽選に使用する当たり乱数カウンタC1と、大当たりの種別を判定する際に使用する当たり種別カウンタC2と、当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、主表示部Dの作動口用表示部や図柄表示装置96における変動表示時間を決定する変動種別カウンタCSとを用いることとしている。さらに、右作動口85の電動役物91を電役開放状態とするか否かの抽選に使用する電動役物開放カウンタC3を用いることとしている。
各カウンタC1〜C3,CINI,CSは、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM604の所定領域に設定された抽選カウンタ用バッファ631に適宜格納される。RAM604には、第1結果表示部用保留エリアRaと、第2結果表示部用保留エリアRbと、実行エリアAEと、総保留数記憶領域とよりなる保留球格納エリア632が設けられている。そして、この保留球格納エリア632に、下作動口84又は右作動口85への遊技球の入賞履歴に合わせて、当たり乱数カウンタC1、当たり種別カウンタC2等の各値が時系列的に格納されるようになっている。
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜599の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり599)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0〜599)。大当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、遊技球が下作動口84又は右作動口85に入賞したタイミングでRAM604の保留球格納エリア632に格納される。より詳しくは、下作動口84に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の第1結果表示部用保留エリアRaに格納され、右作動口85に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の第2結果表示部用保留エリアRbに格納される。
大当たり当選となる乱数の値は、ROM603における当否情報群記憶手段としての当否テーブル記憶エリア621に当否テーブル(当否情報群)として記憶されている。ここで、当否テーブルの内容について図14を用いて説明する。図14の概略図に示すように、当否テーブルとしては、図14(a)の低確率モード用の当否テーブル(低確率用当否情報群)と、図14(b)の高確率モード用の当否テーブル(高確率用当否情報群)とが設定されている。つまり、本パチンコ機10は、当否抽選手段における抽選モードとして、低確率モード(低確率状態)と高確率モード(高確率状態)とが設定されている。
上記抽選に際して低確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、図14(a)に示すように、大当たり当選となる乱数の値(すなわち、当選情報)は「7」及び「307」の2個である。つまり「0〜599」の大当たり乱数カウンタC1の値のうち「7」及び「307」が大当たり結果に対応している。一方、上記抽選に際して高確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、図14(b)に示すように、大当たり当選となる乱数の値(すなわち、当選情報)は「7」,「36」・・・「572」、「598」の21個である。つまり「0〜599」の大当たり乱数カウンタC1の値のうち「7」,「36」・・・「572」、「598」が大当たり結果に対応している。各抽選モードにおいて、大当たり当選となる乱数の値以外は、抽選結果が外れ結果となる。
なお、低確率モードよりも高確率モードの方の当選確率が高くなるのであれば、上記当選となる乱数の数及び値は任意である。
次に当たり種別カウンタC2について説明する。当たり種別カウンタC2は、0〜29の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。当たり種別カウンタC2は定期的に更新され、遊技球が下作動口84又は右作動口85に入賞したタイミングでRAM604の保留球格納エリア632に格納される。より詳しくは、下作動口84に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の第1結果表示部用保留エリアRaに格納され、右作動口85に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の第2結果表示部用保留エリアRbに格納される。
当たり種別カウンタC2に対する遊技結果の振分先は、ROM603における振分情報群記憶手段としての振分テーブル記憶エリア622に振分テーブル(振分情報群)として記憶されている。ここで、振分テーブルの内容について説明する。
振分テーブルとしては、各作動口84,85に個別に対応させて2種類設定されている。つまり、下作動口84への入賞が発生した場合に参照される下作動口用の振分テーブル(下作動口用振分情報群)と、右作動口85への入賞が発生した場合に参照される右作動口用の振分テーブル(右作動口用振分情報群)とが個別に設定されている。これら振分テーブルを参照して、大当たりの種別が決定される。
大当たり結果の種別としては、高確率モードへの移行抽選が実行される15R大当たり結果(特別当たり結果)と、高確率モードへの移行抽選が実行されない10R大当たり結果(通常当たり結果)とが設定されている。15R大当たり結果に対応する開閉実行モードでは、開閉実行モードの開始から終了までに、下側可変入賞装置82の開閉が14回行われるとともに、右側可変入賞装置83の開閉が1回行われる。一方、10R大当たり結果に対応する開閉実行モードでは、開閉実行モードの開始から終了までに、下側可変入賞装置82の開閉が10回行われる。可変入賞装置82,83の1回の開放は所定期間(具体的には30sec)が経過するまで又は可変入賞装置82,83への入賞個数が所定数(具体的には10個)となるまで継続される。
本パチンコ機10では、大当たり結果となった場合の15R大当たり結果及び10R大当たり結果への振分態様は、下作動口84への入賞に基づいて当たり当選となった場合と、右作動口85への入賞に基づいて当たり当選となった場合とで異なっている。
具体的には、図15に示すように、下作動口用の振分テーブルでは、15R大当たり結果となる乱数の値は「0〜14」の15個であり、10R大当たり結果となる乱数の値は「15〜29」の15個となっている。一方、右作動口用の振分テーブルでは、15R大当たり結果となる乱数の値は「0〜29」の30個となっている。つまり、下作動口84への入賞により大当たりに当選した場合には50%の確率で15R大当たり結果に振り分けられ、右作動口85への入賞により大当たり又は特別当たりに当選した場合には、100%の確率で15R大当たり結果に振り分けられることとなる。
変動種別カウンタCSは、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSは、主表示ユニット87の下作動口用表示部及び右作動口用表示部おける変動表示時間と、図柄表示装置96における図柄の変動表示時間とをMPU602において決定する上で用いられる。変動種別カウンタCSは、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、下作動口用表示部及び右作動口用表示部における変動表示の開始時及び図柄表示装置96による図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCSのバッファ値が取得される。
電動役物開放カウンタC3は、例えば、0〜249の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。電動役物開放カウンタC3は定期的に更新され、スルーゲート86に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の電役保留エリア633に格納される。そして、所定のタイミングにおいて、その格納された電動役物開放カウンタC3の値によって電動役物91を開放状態に制御するか否かの抽選が行われる。例えば、C3=0〜199であれば、電動役物91を開放状態に制御し、C3=200〜249であれば、電動役物91を開放状態に制御しない。
既に説明したように、MPU602では、少なくとも変動種別カウンタCSのバッファ値を用いて、下作動口用表示部DL及び右作動口用表示部DRにおける変動表示時間が決定されるが、その決定に際してはROM603の変動表示時間テーブル記憶エリアが用いられる。また、MPU602では、実行エリアAEに格納されている当たり乱数カウンタC1の値及び当たり種別カウンタC2の値を用いて、下作動口用表示部DL及び右作動口用表示部DRにおける停止結果が決定されるが、その決定に際してはROM603の停止結果テーブル記憶エリア624が用いられる。
<主制御基板601のMPU602にて実行される各種処理について>
次に、主制御基板601のMPU602により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU602の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される通常処理と、通常処理に対して定期的に割り込んで起動されるタイマ割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込み処理を説明し、その後通常処理を説明する。なお、MPU602では、上記タイマ割込み処理及び通常処理の他に、NMI端子(ノンマスカブル端子)への電断信号の入力により起動され、RAM604の各種フラグ格納エリアにおける電断フラグ格納エリア(電断情報記憶手段)に電断フラグ(電断情報)を格納するNMI割込み処理が実行されるが、同処理についての詳細な説明は省略する。
<タイマ割込み処理>
先ず、タイマ割込み処理について、図16のフローチャートを参照しながら説明する。本処理は主制御装置162のMPU602により定期的に(例えば2msec周期で)起動される。
先ず、ステップS101では各種スイッチや上記各種検知センサの読み込み処理を実行する。すなわち、主制御装置162に接続されている各種スイッチや各種検知センサ等の状態を読み込むとともに、当該スイッチの状態を判定して検出情報(例えば入賞検知情報)を保存する。
その後、ステップS102では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントするとともに、そのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM604の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS103では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及び電動役物開放カウンタC3の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及び電動役物開放カウンタC3をそれぞれ1インクリメントするとともに、それらのカウンタ値が最大値に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C3の更新値を、RAM604の該当するバッファ領域に格納する。その後、ステップS104にて、作動口84,85への入賞に伴う作動口用の入賞処理を実行する。
作動口用の入賞処理では、先ず遊技球が下作動口84に入賞(始動入賞)したか否かを下作動口84用の検知センサの検知状態により判定する。遊技球が下作動口84に入賞したと判定すると、払出制御装置242に遊技球を3個払い出させるための賞球コマンドをセットする。
その後、下作動口84に遊技球が入賞したことを遊技ホール側の管理制御装置に対して信号出力すべく外部信号設定処理を行い、下作動口用保留エリアRaの保留数記憶領域に格納された値を読み出して当該下作動口用保留エリアRaに保留記憶されている始動保留記憶数をセットする(以下、下作動口用保留記憶数ともいう)。
このように変更となった始動保留記憶数に対応させて第1保留ランプ部98の点灯処理を実行する。具体的には、第1保留ランプ部98において左右に並べて配置された4つのLEDのうち現時点での入賞数に対応する数のLEDを点灯させる。例えば、今回の入賞によって保留数が「2」→「3」に加算された場合には、点灯済みの左側2つのLEDに追加して下側から3番目のLEDが点灯されることとなる。その後、大当たり乱数カウンタC1及び大当たり種別カウンタC2の各値を格納する情報取得処理を行い、本入賞処理を終了する。
一方、遊技球が下作動口84に入賞していないと判定した場合には、遊技球が右作動口85に入賞(始動入賞)したか否かを右作動口85用の検知センサの検知状態により判定する。遊技球が右作動口85に入賞したと判定すると、払出制御装置242に遊技球を4個払い出させるための賞球コマンドをセットする。
その後、右作動口85に遊技球が入賞したことを遊技ホール側の管理制御装置に対して信号出力すべく外部信号設定処理を行い、右作動口用保留エリアRbの保留数記憶領域に格納された値を読み出して当該右作動口用保留エリアRbに保留記憶されている始動保留記憶数をセットする(以下、右作動口用保留記憶数ともいう)。
このように変更となった始動保留記憶数に対応させて第2保留ランプ部99の点灯処理を実行する。具体的には、第2保留ランプ部99において左右に並べて配置された4つのLEDのうち現時点での入賞数に対応する数のLEDを点灯させる。例えば、今回の入賞によって保留数が「2」→「3」に加算された場合には、点灯済みの左側2つのLEDに追加して下側から3番目のLEDが点灯されることとなる。その後、上述した情報取得処理と同様の処理を行い、本入賞処理を終了する。
一方、両作動口84,85のいずれにも遊技球が入賞しなかった場合には、そのまま本入賞処理を終了する。なお、本作動口用の入賞処理にてセットした賞球コマンドは、後述する通常処理の外部出力処理S201にて払出制御装置242に対して送信される。
その後、ステップS105にてスルーゲート86への入賞に伴うスルー用の入賞処理を実行し、ステップS106にて下側可変入賞装置82用の入賞処理、ステップS107にて右側可変入賞装置83用の入賞処理を実行した後に、本タイマ割込み処理を終了する。
本実施の形態における可変入賞装置82,83については通常は入球を不可とする閉状態となっており、大当たり発生時に入球を許容する開状態に切り替る構成となっている。閉状態→開状態→閉状態の切り替えによって入球が発生すると想定される期間が予め設定されており、同期間内の入球に対しては遊技球の払い出し(賞球)を行うとともに、同期間外の入球に対しては遊技球の払い出しを行わない構成となっている。つまり、右側可変入賞装置83においては賞球の可否を決定する有効期間が設定されている。
各可変入賞装置用の入賞処理では、先ず可変入賞装置82,83(大入賞口82a,83a)への入賞に基づく遊技球の払い出し(賞球)が有効となる期間中であるか否かを判定する。有効期間中である場合には、検知センサからの検知信号に基づく入球判定結果(ステップS101における判定結果)に基づいて入賞の有無を判定する。遊技球が可変入賞装置82,83に入賞したと判定すると、払出装置224に遊技球を10個払い出させるための賞球コマンドをセットする。なお、可変入賞装置用の入賞処理にてセットした賞球コマンドは、後述する通常処理の外部出力処理S201にて払出制御装置242に対して送信される。
一方、有効期間中でないと判定した場合及び有効期間中であっても入賞が発生していないと判定した場合には、そのまま右側可変入球部の入賞処理を終了する。
ここで、右側可変入賞装置83用の入賞処理については特に、第1検知センサ425からの検知信号に基づく入球判定結果を参照して第1入球口321への入賞が発生したか否かを判定し、また第2検知センサ426からの検知信号に基づく入球判定結果を参照して第2入球口322への入賞が発生したか否かを判定する。そして、検知センサ315からの検知信号に基づく入球判定結果を参照して、第1下流側通路306への入球が発生したかを判定する。
<通常処理>
次に、通常処理の流れを図17のフローチャートを参照しながら説明する。通常処理は電源投入に伴い起動されるメイン処理が実行された後に開始される処理であり、同通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS201〜S207の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS209,S210のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
通常処理において、ステップS201では、タイマ割込み処理又は前回の通常処理で設定したコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する。具体的には、賞球コマンドの有無を判定し、賞球コマンドが設定されていればそれを払出制御装置242に送信する。また、変動開始コマンド、種別コマンド、変動終了コマンド等の遊技回用の演出に対応したコマンドや開閉実行モード用の演出に対応したコマンドといった演出用のコマンドが設定されている場合にはそれを報知・演出制御装置143に送信する。また、RAM604の外部出力バッファに設定されている情報に応じて、外部出力端子板に対する出力設定を行う。
続くステップS202では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1加算するとともに、カウンタ値が最大値に達した際にはカウンタ値を0にクリアする。そして、変動種別カウンタCSの更新値を、RAM604の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS203では、各遊技回の遊技を進行させるための遊技回制御処理を実行する。この遊技回制御処理では、大当たり等の当否判定及び振分判定を行うとともに、図柄表示装置96による図柄の変動表示の設定、主表示ユニット87における作動口用表示部などの表示制御などを行う。
その後、ステップS204では、遊技状態を移行させるための遊技状態移行処理を実行する。詳細は後述するが、この遊技状態移行処理により、遊技状態が開閉実行モード、高確率モード、高頻度サポートモードなどに移行する。なお、遊技回制御処理及び遊技状態移行処理についての詳細な説明は後述する。
ステップS205では、右作動口85に設けられた電動役物91を駆動制御するための電役サポート用処理を実行する。この電役サポート用処理では、この電役サポート用処理では、RAM604の電役保留エリア633に格納されている電動役物開放カウンタC3から取得した数値情報を用いて電動役物91を開放状態とするか否かの電役開放抽選を行うとともに、電役開放状態当選となった場合には電動役物91の開閉処理を実行する。また、電役開放抽選の抽選結果を教示するように、主表示ユニット87におけるスルーゲート用表示部の表示制御を行う。
ここで、既に説明したとおり、電動役物91によるサポートの態様として、低頻度サポートモードと高頻度サポートモードとが設定されており、遊技状態移行処理にていずれかのサポートモードへの移行が行われる。この場合、RAM604に高頻度サポートフラグがセットされている場合は高頻度サポートモードとなり、当該フラグがセットされていない場合には低頻度サポートモードとなる。
電役サポート用処理では、RAM604に高頻度サポートフラグがセットされているか否かを判定することで、高頻度サポートモードであるか否かを判定する。そして、高頻度サポートモードである場合には低頻度サポートモードの場合よりも、電役開放状態当選となった際に、電動役物91が開放状態となる回数を多く設定するとともに、1回の開放時間を長く設定する。また、高頻度サポートモードである場合は、電役開放状態当選となり電動役物91の開放状態が複数回発生する場合において、1回の開放状態が終了してから次の開放状態が開始されるまでの閉鎖時間が、1回の開放時間よりも短くなるように設定する。
ちなみに、開閉実行モードに移行した場合には、RAM604に高頻度サポートフラグがセットされていたとしても、サポートモードは強制的に低頻度サポートモードに設定される。
続くステップS206では、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、遊技球発射ハンドル41に対して発射操作が行われていることに基づき電源・発射制御装置243から出力される発射許可信号を入力していることを条件として、所定の発射期間(例えば、0.6sec)に1回、遊技球発射機構110のソレノイド111を励磁する。これにより、遊技球が遊技領域に向けて打ち出される。
続くステップS207では、RAM604に停電フラグがセットされているか否かを判定する。停電フラグは、停電監視基板605において停電の発生が確認され当該停電監視基板605からMPU602のNMI端子に停電信号が入力されることによりセットされ、次回のメイン処理にて消去されるフラグである。
停電フラグがセットされていない場合は、繰り返し実行される複数の処理の最後の処理が終了したこととなるので、ステップS208にて次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施形態では4msec)が経過したか否かを判定する。そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCSの更新を繰り返し実行する。つまり、ステップS209では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行するとともに、ステップS210では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。
ここで、ステップS201〜S206の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(すなわち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCSについてもランダムに更新することができる。
一方、ステップS207にて、停電フラグがセットされていると判定した場合は、電源遮断が発生したことになるので、ステップS211以降の電断時処理を実行する。つまり、ステップS211では、タイマ割込み処理の発生を禁止し、その後、ステップS212にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS213にてRAM604のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
<遊技回制御処理>
ここで、ステップS203の遊技回制御処理について補足説明する。遊技回制御処理では、先ず開閉実行モード中であるか否かを判定する。具体的には、RAM604の各種フラグ格納エリア635における開閉実行モードフラグ格納エリア(開閉実行状態情報記憶手段)に開閉実行モードフラグ(開閉実行状態情報)が格納(記憶)されているか否かを判定する。当該開閉実行モードフラグは、後述する遊技状態移行処理にて遊技状態を開閉実行モードに移行させる場合に格納され、同じく遊技状態移行処理にて開閉実行モードを終了させる場合に消去される。
開閉実行モード中である場合には、遊技回開始用処理及び遊技回進行用処理のいずれも実行することなく、本遊技回制御処理を終了する。つまり、開閉実行モード中である場合には、作動口84,85への入賞が発生しているか否かに関係なく、遊技回が開始されることはない。
開閉実行モード中でない場合には、主表示ユニット87の下作動口用表示部及び右作動口用表示部のうちいずれか一方が変動表示中であるか否か、すなわち1遊技回分の遊技の実行中であるか否かを判定する。なお、この判定は、RAM604の各種フラグ格納エリア635における変動表示中フラグ格納エリア(変動表示中情報記憶手段)に変動表示中フラグ(変動表示中情報)が格納(記憶)されているか否かを判定することにより行う。変動表示中フラグは、下作動口用表示部及び右作動口用表示部のいずれか一方について変動表示を開始させる場合に格納され、その変動表示が終了する場合に消去される。
作動口用表示部が変動表示中でない場合には遊技回開始用処理に進む。遊技回開始用処理では、先ず保留球格納エリア632の総保留数記憶領域を参照し、保留記憶されている保留情報の数である共通保留記憶数が「0」か否かを判定する。共通保留記憶数が「0」である場合とは、下作動口84及び右作動口85のいずれについても始動保留記憶数が「0」であることを意味する。したがって、そのまま遊技回制御処理を終了する。
一方、共通保留数が「0」でない場合には、下作動口用保留エリアRa又は右作動口用保留エリアRbに記憶されているデータに基づいて変動表示用に設定するためのデータ設定処理を実行する。
データ設定処理では、先ず右作動口用保留エリアRbに保留記憶されている右作動口用保留記憶数が「0」か否かを判定する。右作動口用保留記憶数が「0」である場合には下作動口用のデータ設定処理を実行し、右作動口用保留記憶数が「0」でない場合には右作動口用のデータ設定処理を実行する。
ここで、データ設定処理が実行される場合とは、既に説明したように、共通保留数CRNが1以上である場合である。この場合に、データ設定処理では、右作動口用保留記憶数が「0」であるか否かを判定し、「0」でない場合、すなわち右作動口用表示部について変動表示用の保留情報が記憶されている場合には、下作動口用保留記憶数が1以上であるか否かに関係なく、右作動口用保留エリアRbに記憶されているデータを変動表示用として設定するように構成されている。これにより、下作動口用保留エリアRa及び右作動口用保留エリアRbの両方に保留情報が記憶されている場合には、右作動口85に対応した右作動口用保留エリアRbに記憶されている保留情報が優先されることとなる。
下作動口84のデータ設定処理では、先ず下作動口用保留エリアRaの下作動口用保留記憶数を1ディクリメントし、続いて共通保留数を1ディクリメントする。その後、下作動口用保留エリアRaの第1エリアに格納されたデータを実行エリアAEに移動し、下作動口用保留エリアRaの記憶エリアに格納されたデータをシフトさせる処理を実行する。
このデータシフト処理は、第1〜第4エリアに格納されているデータを下位エリア側に順にシフトさせる処理であって、第1エリアのデータをクリアすると共に、第2エリア→第1エリア、第3エリア→第2エリア、第4エリア→第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。そして、点灯中の第1保留ランプ部98のLEDを1つ消灯させる。この消灯処理では、上記点灯処理とは逆に、第1保留ランプ部98のLEDが右側から順に消灯されるようになっている。
RAM604の各種フラグ格納エリア635に設けられた第2結果表示部フラグ格納エリア(第2結果表示部情報記憶手段)に第2結果表示部フラグ(第2結果表示部情報)が記憶されている場合には、それを消去し、記憶されていない場合にはその状態を維持する。第2結果表示部フラグは、今回の変動表示の開始が下作動口用表示部又は右作動口用表示部のいずれであるかを特定するための情報である。その後、本データ設定処理を終了する。
第2結果表示部用のデータ設定処理では、先ず右作動口用保留エリアRbの右作動口用保留記憶数を1ディクリメントし、共通保留数を1ディクリメントする。その後、右作動口用保留エリアRbの第1エリアに格納されたデータを実行エリアAEに移動する。
その後、右作動口用保留エリアRbの記憶エリアに格納されたデータをシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理は、第1〜第4エリアに格納されているデータを下位エリア側に順にシフトさせる処理であって、第1エリアのデータをクリアすると共に、第2エリア→第1エリア、第3エリア→第2エリア、第4エリア→第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。そして、点灯中の第2保留ランプ部99のLEDを1つ消灯させる。この消灯処理では、上記点灯処理とは逆に、第2保留ランプ部99のLEDが右側から順に消灯されるようになっている。
消灯処理を行った後は、RAM604の各種フラグ格納エリア635に設けられた第2結果表示部フラグ格納エリア(第2結果表示部情報記憶手段)に第2結果表示部フラグ(第2結果表示部情報)が記憶されていない場合には第2結果表示部フラグを格納し、記憶されている場合にはその状態を維持する。
以上詳述したデータ設定処理を行った後は、主表示ユニット87(主表示部)における変動表示及び図柄表示装置96における変動表示を開始させるための変動開始処理を実行した後に、本遊技回制御処理を終了する。
変動開始処理においては先ず当否判定処理を実行する。当否判定処理では当否抽選モードが高確率モードであるか否かを判定する。高確率モードである場合には当否テーブル記憶エリア621に記憶されているテーブルのうち高確率モード用の当否テーブルを参照して、実行エリアAEに格納された情報のうち当否判定用の情報、すなわち大当たり乱数カウンタC1に係る数値情報が高確率用の大当たり数値情報と一致しているか否かを判定するとともに、大当たり数値情報と一致していない場合には特別外れ用の数値情報と一致しているか否かを判定する。また、低確率モードである場合には当否テーブル記憶エリア621に記憶されているテーブルのうち低確率モード用の当否テーブルを参照して、実行エリアAEに格納されている大当たり乱数カウンタC1に係る数値情報が低確率用の大当たり数値情報と一致しているか否かを判定するとともに、大当たり数値情報と一致していない場合には特別外れ用の数値情報と一致しているか否かを判定する。当否判定処理の結果が大当たり当選結果であるか否かを判定する。大当たり当選結果である場合には、振分判定処理を実行する。
振分判定処理では、実行エリアAEに格納された情報のうち振分判定用の情報、すなわち大当たり種別カウンタC2に係る数値情報を把握する。そして、振分テーブル記憶エリア622に記憶された振分テーブルを参照して、上記把握した大当たり種別カウンタC2に係る数値情報がいずれの大当たり結果に対応しているのかを特定する。具体的には、10R大当たり結果及び15R大当たり結果のうちいずれの大当たり結果に対応しているのかを特定する。
このようにして決定された大当たり結果に基づいて、大当たり結果用の停止結果設定処理を実行する。具体的には、今回の変動開始に係る遊技回において主表示ユニット87の主表示部(詳しくは右作動口用表示部、下作動口用表示部)に最終的に停止表示させる絵柄の態様の情報を、ROM603に予め記憶されている大当たり結果用の停止結果テーブルから特定し、その特定した情報をRAM604に記憶する。この大当たり結果用の停止結果テーブルには、主表示部に停止表示される絵柄の態様の種類が、大当たり結果の種類毎に相違させて設定されており、特定した大当たり結果の種類に応じた絵柄の態様の情報をRAM604に記憶する。
なお、停止表示される絵柄の種類の情報は、大当たり種別カウンタC2の値に応じて定められる。この場合、既に説明したように各遊技結果に1対1で対応させて絵柄の態様が設定されていてもよく、各遊技結果に対して複数種類の絵柄の態様が設定されていてもよい。
続いて、特定した大当たり結果の種類に応じたフラグをRAM604にセットする処理を実行する。具体的には、10R大当たり結果であることを特定した場合には10R大当たりフラグをセットし、15R大当たり結果であることを特定した場合には15R大当たりフラグをセットする。なお、以下の説明において、各種大当たり結果であるか否かの判定は、RAM604に対応するフラグがセットされているか否かを判定することにより行われる。
一方、大当たり当選結果ではないと判定した場合には、外れ結果用の停止結果設定処理を実行する。具体的には、今回の変動開始に係る遊技回において主表示ユニット87の主表示部に最終的に停止表示させる絵柄の態様の情報を、ROM603に予め記憶されている外れ結果用の停止結果テーブルから特定し、その特定した情報をRAM604に記憶する。この場合に選択される絵柄の態様の情報は、大当たり結果の場合に選択される絵柄の態様の情報とは異なっている。
以上のとおり、結果表示の内容は、大当たり発生の有無及びその種別にて異なる表示内容が設定されている。これにより、遊技ホールの管理者は、遊技回が終了する場合に、主表示部の下作動口用表示部及び右作動口用表示部のうち、当該遊技回に係る変動表示が行われているものを見ることにより、その遊技回の遊技結果が何であるかを監視することができる。
特に、主表示部に設けられた下作動口用表示部及び右作動口用表示部は、主制御装置162に直接表示制御される表示部であるため、サブの表示制御装置725が表示制御に際して介在することとなる表示部(図柄表示装置96)に比べ、表示の信頼性が高いものとなっている。
但し、上述したように主表示部については、下作動口用表示部や右作動口用表示部等複数の表示部が集約されており、どの部分がどのような内容を示しているのかを把握することが困難になっている。更には、図柄表示装置96の表示画面96aと比較して小さく且つ遊技領域PEの端寄りに配置されているためその視認性も表示画面96aと比べて低くなっている。このため、遊技者の注目は上記表示画面96aに向きやすいと想定される。故に、上述したように、一時的に主表示部と表示画面96aとで表示内容が相違したとしても、ホール管理者と比べて遊技者がこのような差違に気づくことを好適に抑制することができる。
上述した停止結果設定処理を実行した後は、表示継続時間(表示継続期間)の設定処理を実行する。かかる処理では、RAM604の抽選カウンタ用バッファにおける変動種別カウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCSの値を取得する。また、今回の遊技回において図柄表示装置96にてリーチ表示が発生するか否かを判定する。具体的には、今回の変動開始に係る遊技回が大当たり結果である場合にはリーチ表示が発生すると判定する。また、大当たり結果でない場合であっても、実行エリアAEに格納されている数値情報がリーチ発生に対応した数値情報である場合には、リーチ表示が発生すると判定する。
リーチ表示が発生すると判定した場合には、ROM603に記憶されているリーチ発生用表示継続時間テーブルを参照して、今回の変動種別カウンタCSの値に対応した表示継続時間情報を取得し、その表示継続時間情報をRAM604の各種カウンタエリア634に設けられた表示継続期間カウンタにセットする。一方、リーチ表示が発生しないと判定した場合には、ROM603に記憶されているリーチ非発生用表示継続時間テーブルを参照して、今回の変動種別カウンタCSの値に対応した表示継続時間情報を取得し、その表示継続時間情報を表示継続時間カウンタにセットする。ちなみに、リーチ非発生用表示継続時間テーブルを参照して取得され得る表示継続時間は、リーチ発生用表示継続時間テーブルを参照して取得され得る表示継続時間と異なっている。
なお、リーチ非発生時における表示継続時間情報は、共通保留記憶数の数が多いほど、表示継続時間が短くなるように設定されている。また、サポートモードが高頻度サポートモードである状況においては低頻度サポートモードである状況よりも、保留情報の数が同一である場合で比較して、短い表示継続時間が選択されるようにリーチ非発生用表示継続時間テーブルが設定されている。但し、これに限定されることはなく、共通保留記憶数やサポートモードに応じて表示継続時間が変動しない構成としてもよく、上記の関係とは逆であってもよい。さらには、リーチ発生時における表示継続時間に対して、上記構成を適用してもよい。また、各種大当たり結果の場合、外れリーチ時の場合及びリーチ非発生の外れ結果の場合のそれぞれに対して個別に表示継続時間テーブルが設定されていてもよい。この場合、各遊技結果に応じた表示継続時間の振分が行われることとなる。
表示継続時間の設定処理を実行した後は、変動用コマンド及び種別コマンドを設定する。変動用コマンドには、表示継続時間の情報が含まれる。ここで、上記のとおりリーチ非発生用表示継続時間テーブルを参照して取得される表示継続時間は、リーチ発生用表示継続時間テーブルを参照して取得される表示継続時間と異なっているため、変動用コマンドにリーチ発生の有無の情報が含まれていなかったとしても、サブ側の制御装置である報知・演出制御装置143では表示継続時間の情報からリーチ発生の有無を特定することは可能である。この点、変動用コマンドには、リーチ発生の有無を示す情報が含まれているとも言える。なお、変動用コマンドにリーチ発生の有無を直接示す情報が含まれていてもよい。
また、種別コマンドには、遊技結果の情報が含まれる。つまり、種別コマンドには、遊技結果の情報として、10R大当たり結果の情報、15R大当たり結果の情報及び外れ結果の情報が含まれる。
このようにして設定された変動用コマンド及び種別コマンドは、通常処理(図17)におけるステップS201にて、報知・演出制御装置143に送信される。報知・演出制御装置143では、受信した変動開始コマンド及び種別コマンドに基づいて、その遊技回における演出の内容を決定し、その決定した演出の内容が実行されるように各種機器を制御する。この演出の内容としては、図柄表示装置96での図柄の変動表示態様が含まれており、この決定された図柄の変動表示態様は報知・演出制御装置143から表示制御装置725に表示内容コマンドとして出力される。表示制御装置725では、報知・演出制御装置143から受信した表示内容コマンドに基づいて、各遊技回に対応した図柄の変動表示が行われるように図柄表示装置96を表示制御する。これらコマンドを受信したことによる表示制御装置725における処理についての詳細は後述する。
以上の処理を実行した後は、主表示部において絵柄の変動表示を開始させる。その後、外部出力解除処理を実行した後に、本変動開始処理を終了する。
遊技回制御処理の説明に戻り、主表示部(詳しくは作動口用表示部)が変動表示中である場合には遊技回進行用処理を実行する。遊技回進行用処理では、今回の遊技回の変動表示時間が経過したか否かを判定する。具体的には、RAM604の各種カウンタエリア634に設けられた表示継続期間カウンタ(変動表示時間情報)の値が「0」となったか否かを判定する。当該変動表示時間情報の値は、上述したように、変動表示時間の設定処理においてセットされる。また、このセットされた変動表示時間情報の値は、タイマ割込み処理(図16)が起動される度に、1ディクリメントされる。
変動表示時間が経過していない場合には変動表示用処理を実行する。変動表示用処理では、主表示部(詳しくは下作動口用表示部又は右作動口用表示部)における表示態様を変更する。具体的には、変動表示用処理では、今回の遊技回に係る作動口用表示部が有するLEDが所定の周期で点灯及び消灯されていくように、また発光色が変化するように当該作動口用表示部を表示制御(各表示用LEDの発光制御)する。その後、本遊技回制御処理を終了する。
表示継続時間が経過している場合には変動終了処理を実行する。変動終了処理では、現状実行されている遊技回を開始させる場合に実行された変動開始処理においてRAM604に記憶した情報を特定し、その情報に対応した絵柄の態様が主表示部の作動口用表示部にて表示されるように主表示ユニット87を表示制御する。
その後、変動終了コマンドを設定した後に、本遊技回制御処理を終了する。このようにして設定された変動終了コマンドは、通常処理(図17)にて、報知・演出制御装置143に送信される。報知・演出制御装置143では、変動終了コマンドを受信することに基づいて、その遊技回における演出を終了させるための処理を実行する。また、当該変動終了コマンドは、報知・演出制御装置143を経由して表示制御装置725に送信され、表示制御装置725では当該変動終了コマンドを受信することにより、その遊技回における最終停止図柄の組み合わせを図柄表示装置96の表示画面96aに確定表示(最終停止表示)させる。なお、変動終了コマンドが送信されずに、報知・演出制御装置143や表示制御装置725にて独自に遊技回用の演出を終了させる構成としてもよい。
<遊技状態移行処理>
次に、ステップS204の遊技状態移行処理を図18〜図20のフローチャートを参照して説明する。
先ず、ステップS301では、開閉実行モード中か否かを判定する。開閉実行モード中でない場合にはステップS302に進み、1の遊技回の下作動口用表示部又は右作動口用表示部における絵柄の変動表示が終了したタイミングか否かを判定する。変動表示が終了したタイミングでない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
変動表示が終了したタイミングである場合には、ステップS303にて、今回の遊技回の遊技結果が開閉実行モードへの移行に対応したものであるか否かを判定する。具体的には、RAM604の各種フラグ格納エリア635に、10R大当たりフラグ及び15R大当たりフラグのいずれかが格納されているか否かを判定する。上記各フラグのいずれもが格納されていない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。なお、10R大当たりフラグは上記遊技回制御処理における抽選により10R大当たり結果となった場合に各種フラグ格納エリア635に格納され、15R大当たりフラグは上記遊技回制御処理における抽選により15R大当たり結果となった場合に各種フラグ格納エリア635に格納されるフラグである。
上記各フラグのいずれかが格納されている場合には、ステップS304にて開閉実行モードの開始処理を実行する。当該処理では開閉実行モードのオープニング用に可変入賞装置82,83の開放を開始することなく待機するためのオープニング用待機時間(開始用待機期間)を設定する。具体的には、RAM604の各種カウンタエリア634に設けられた待機時間用カウンタエリアに、ROM603に予め記憶されているオープニング用の待機時間情報であって可変入賞装置82,83の開放に対応した待機時間情報をセットする。ここでセットされた待機時間情報の値は、タイマ割込み処理(図16)が実行される度に1ディクリメントされる。
ステップS304の処理を実行した後は、ステップS306にてオープニングコマンドを設定する。この設定されたオープニングコマンドは、通常処理(図17)におけるステップS201にて、報知・演出制御装置143及び表示制御装置725に送信される。このオープニングコマンドには、10R大当たり結果対応の開閉実行モード又は15R大当たり結果対応の開閉実行モードのいずれであるかの情報が含まれる。
報知・演出制御装置143では、受信したオープニングコマンドに基づいて、開閉実行モードに対応した演出の内容を決定し、その決定した演出の内容が実行されるように各種機器を制御する。この演出の内容としては、図柄表示装置96における表示態様が含まれており、この決定された表示態様は報知・演出制御装置143から表示制御装置725に表示内容コマンドとして出力される。表示制御装置725では、主制御装置162から受信したオープニングコマンドや報知・演出制御装置143から受信した表示内容コマンドに基づいて、今回の開閉実行モードに対応した表示、例えば10R大当たり結果に対応する表示内容としてのキャラクタ等の動画表示、15R大当たり結果に対応する表示内容としての図柄の変動表示が行われるように図柄表示装置96を表示制御する。
続くステップS306では、今回の開閉実行モードが15R大当たり結果に対応しているか否かを判定する。ステップS306にて肯定判定をした場合には、ステップS307にてRAM604の各種フラグ格納エリア635に抽選用フラグを格納する。抽選用フラグが格納されていることに基づいて右側可変入賞装置83による高確率モードへの移行抽選が実行されることとなる。続くステップS308では、RAM604の各種カウンタエリア634に設けられた開放数カウンタOCに「15」をセットする。開放数カウンタOCは、可変入賞装置82,83が開放された回数を把握する手段として機能する。
ステップS306の説明に戻り、当該ステップS306にて否定判定をした場合、すなわち今回の開閉実行モードが10R大当たり結果に対応している場合には、ステップS309に進む。ステップS309では、RAM604の各種カウンタエリア634に設けられた開放数カウンタOCに「10」をセットする。10R大当たり結果となった場合には、右側可変入賞装置83を用いた高確率モードへの移行抽選は実行されない。
ステップS308又はステップS309の処理を行った後は、続くステップS310にて外部信号設定処理を実行し、本遊技状態移行処理を終了する。外部信号設定処理では、RAM604に、10R大当たりフラグ、15R大当たりフラグのいずれかが格納されているか否かを判定し、いずれかのフラグが格納されている場合には、大当たり信号出力端子の信号出力状態を大当たり信号出力状態とする。大当たり信号出力端子が遊技ホール側の管理制御装置に接続されている場合には、当該管理制御装置に大当たり信号が出力され、当該管理制御装置においてパチンコ機10にて開閉実行モードが発生したことを把握することができる。
本実施の形態においては、高確率モードとなっている場合には、次回の大当たり発生まで高頻度サポートモードが継続する。既に説明したように、下作動口84に係る保留情報よりも右作動口85に係る保留情報が優先的に消化される構成となっており、且つ右作動口85にて大当たりに当選した場合には、もれなく高確率モードの継続抽選に対応する15R大当たり結果となる。つまり、高確率モードがループしやすい構成となっている。
再びステップS301の説明に戻り、開閉実行モード中でないと判定した場合にはステップS311に進む。ステップS311では、オープニング用の待機時間が経過したか否かを判定する。オープニング用の待機時間が経過していない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。オープニング用の待機時間が経過している場合には、ステップS312にて可変入賞装置開閉処理を実行する。ここで、可変入賞装置開閉処理について、図19のフローチャートを参照しながら説明する。
<可変入賞装置開閉処理>
先ず、ステップS401にて可変入賞装置82,83が開放中であるか否かを判定する。下側可変入賞装置82及び右側可変入賞装置83が開放中でない場合には、ステップS402にて開放数カウンタOCの値が「0」か否かを判定し、続くステップS403にて開放タイマカウンタTCの値が「0」か否かを判定する。
開放数カウンタOCの値が「0」である場合又は開放タイマカウンタTCの値が「0」でない場合には、そのまま本可変入賞装置開閉処理を終了する。一方、開放数カウンタOCの値が「0」でなく且つ開放タイマカウンタTCの値が「0」である場合には、ステップS404に進み、抽選ラウンド中であるか否かを判定する。抽選ラウンド中であると判定した場合には、そのまま本可変入賞装置開閉処理を終了する。一方、抽選ラウンド中でないと判定した場合には、ステップS405に進む。
ステップS405では開放数カウンタOCの値が「1」であるか否かを判定する。ステップS404にて否定判定をした場合にはステップS405にて下側可変入賞装置82の開放処理を実行する。具体的には、下側可変入賞装置82を開放すべく可変入賞装置用の駆動部82cを駆動状態とする。一方、ステップS404にて肯定判定をした場合にはステップS407にて右側可変入賞装置83の開放処理を実行する。具体的には、右側可変入賞装置83を開放すべく可変入賞装置用の駆動部83cを駆動状態とする。
ステップS406,S407の処理を実行した後は、ステップS408にて開放タイマカウンタTCに「15000」(30secに相当)をセットし、続くステップS409にて入賞カウンタPCに「10」をセットする。
続くステップS410にて開放コマンドを設定して本可変入賞装置開閉処理を終了する。この開放コマンドは、通常処理(図17)のステップS201にて報知・演出制御装置143及び表示制御装置725に送信される。この開放コマンドには、何れの可変入賞装置82,83に対応しているかの情報が含まれる。報知・演出制御装置143では、受信した開放コマンドに基づいて、右側可変入賞装置83が開放される場合にはそれに対応した演出の内容を決定し、その決定した演出の内容が実行されるように各種機器を制御する。
ステップS401の説明に戻り、当該ステップS401にて可変入賞装置82,83が開放中であると判定した場合には、ステップS411にて開放タイマカウンタTCの値が「0」か否かを判定する。なお、この開放タイマカウンタTCの値については、本可変入賞装置開閉処理が実行される度に「1」ディクリメントされる。
開放タイマカウンタTCの値が「0」でない場合には、ステップS412にて可変入賞装置82,83に遊技球が入賞したか否かを、上記検知センサからの検知信号に基づいて判定する。右側可変入賞装置83においては、上流側検知センサ304からの検知信号にもとづいて当該判定を行う。
ステップS412にて入賞が発生していると判定した場合には、続くステップS413にて入賞コマンドの出力処理を実行する。当該入賞コマンドは、払出制御装置242に出力され、払出制御装置242では当該コマンドを受信することにより所定数の遊技球の払出しを行う。また、入賞コマンドは報知・演出制御装置143にも出力される。報知・演出制御装置143では当該入賞コマンドに基づいて図柄表示装置96の表示画面96aにて実行される開閉実行モード中の表示演出が変化する構成となっている。例えば、第15ラウンド中に10個の入賞が発生した場合には、図柄表示装置96の表示画面96aに振分機構330への注目を促すメッセージが表示されることとなる。
ステップS413にてコマンドの出力処理を実行した後は、ステップS414に進む。ステップS414では入賞カウンタPCの値を1ディクリメントし、続くステップS415にて入賞カウンタPCの値が「0」か否かを判定し、「0」でない場合にはそのまま本可変入賞装置開閉処理を終了する。
ステップS415にて肯定判定をした場合、ステップS411にて肯定判定をした場合、ステップS412にて否定判定をした場合には、ステップS416に進み可変入賞装置82,83の閉鎖処理を行う。具体的には、下側可変入賞装置82が開放されている場合には、下側可変入賞装置82用の駆動部82cへの駆動信号の出力を停止して、開放中の下側可変入賞装置82を閉鎖する。右側可変入賞装置83が開放されている場合には、右側可変入賞装置83用の駆動部83cへの駆動信号の出力を停止して、開放中の右側可変入賞装置83を閉鎖する。
ステップS416の処理を実行した後は、ステップS417に進み開放数カウンタOCの更新処理を行う。具体的には開放数カウンタOCの値を「1」ディクリメントする。
続くステップS418では、開放数カウンタOCの値が「0」であるか否かを判定する。開放数カウンタOCの値が「0」でないと判定した場合には、ステップS419に進みインターバル期間の設定処理を行う。具体的には、開放タイマカウンタTCに「1500」(3secに相当)をセットする。その後、ステップS420にて閉鎖コマンドを設定して本可変入賞装置開閉処理を終了する。
ステップS420にて設定された閉鎖コマンドは、通常処理(図17)のステップS201にて報知・演出制御装置143及び表示制御装置725に出力される。閉鎖コマンドには、何れのラウンドが終了したかの情報が含まれる。報知・演出制御装置143では、受信した閉鎖コマンドに基づいて演出の内容を決定し、その決定した演出の内容が実行されるように各種機器を制御する。例えば、第14ラウンド終了時には、図柄表示装置96の表示画面96aに右側可変入賞装置83が開放される旨を示すメッセージ(チャンスタイムに突入した旨を示すメッセージ)表示されこととなる。
ステップS418にて、開放数カウンタOCの値が「0」であると判定した場合には、ステップS421にて、RAM604の各種フラグ格納エリア635に抽選用フラグが格納されているか否かを判定する。抽選用フラグが格納されていると判定した場合には、以下のエンディング用の処理を実行することなく、そのまま本可変入賞装置開閉処理を終了する。
一方、ステップS421にて否定判定をした場合には、ステップS423にて、エンディングコマンドを設定した後に、本可変入賞装置開閉処理を終了する。この設定されたエンディングコマンドは、通常処理(図19)におけるステップS201にて、報知・演出制御装置143に送信される。報知・演出制御装置143では、受信したエンディングコマンドに基づいて、開閉実行モードに対応した演出の内容を決定し、その決定した演出の内容が実行されるように各種機器を制御する。
この演出の内容としては、図柄表示装置96における表示態様が含まれており、この決定された表示態様は報知・演出制御装置143から表示制御装置725に表示内容コマンドとして出力される。表示制御装置725では、報知・演出制御装置143から受信した表示内容コマンドに基づいて、今回の開閉実行モードに対応した表示、例えば大当たりに対応する表示内容としてのキャラクタ等の動画表示が行われるように図柄表示装置96を表示制御する。
なお、本実施の形態においては、15R大当たり結果に対応する開閉実行モードと10R大当たり結果に対応する開閉実行モードにてエンディングの表示態様が異なっており、ステップS422の処理について開閉実行モードが10R大当たり結果に対応している場合に実行される。15R大当たり結果においては、最終ラウンドの抽選の結果に基づいて、エンディングの表示態様が変化するが、この表示態様の決定については後述する。
再び図18の説明に戻り、ステップS312の可変入賞装置開閉処理を終了した後は、ステップS313に進む。ステップS313では、抽選ラウンド中(本実施の形態では第15ラウンド)であるか否かを判定する。ステップS313にて肯定判定をした場合には、ステップS314に進み高確率モード移行判定処理を実行した後、本遊技状態移行処理を終了する。ここで、図20のフローチャートを参照して、高確率モード移行判定処理について説明する。
<高確率モード移行判定処理>
高確率モード移行判定処理では、先ずステップS501にて移行判定中であるか否かを判定する。具体的には、RAM604の各種フラグ格納エリア635に移行判定有効化フラグが格納されているか否かを判定する。移行判定有効化フラグは、右側可変入賞装置83に特定数(本実施の形態においては10個)の遊技球が入球した場合に格納されるフラグである。
ステップS501にて否定判定をした場合にはステップS502に進む。ステップS502では入賞カウンタPCの値が「0」になっているか否かを判定する。ステップS502にて否定判定をした場合には、そのまま本高確率モード移行判定処理を終了する。一方、ステップS502にて肯定判定をした場合にはステップS503に進む。
ステップS503では通路切替処理を行う。具体的には、通路切替用駆動部312に駆動信号を出力して、遊技球の流入先を第1下流側通路306から第2下流側通路307に切り替える。これにより、右側可変入賞装置83の特定領域SEへ遊技球が案内されることとなる。
ステップS503の処理を実行した後はステップS504に進み、RAM604の各種フラグ格納エリア635に上述した移行判定有効化フラグを格納して、本高確率モード移行判定処理を終了する。
ステップS501の説明に戻り、当該ステップS501にて肯定判定をした場合には、ステップS505以降の抽選用処理に進む。抽選用処理においては、先ずステップS505にて第1入球口321への入球が発生したか否かを判定する。ステップS505にて肯定判定をした場合には、ステップS506に進み、高確率モード確定用エンディングコマンドを設定する。このコマンドは、通常処理(図17参照)にて報知・演出制御装置143及び表示制御装置725に出力される。これら各制御装置143,725ではこのコマンドに基づいて高確率モードへの移行(継続)が確定した旨を示すエンディング表示を行うように図柄表示装置96等の制御を行う。
ステップS506の処理を実行した後は、ステップS507にてRAM604の各種フラグ格納エリア635に高確率モード移行フラグを格納する。これにより、開閉実行モード終了後の遊技状態が高確率モードとなる。
一方、ステップS505にて否定判定をした場合にはステップS508に進む。ステップS508では、第2入球口322への入球が発生したか否かを判定する。ステップS508にて否定判定をした場合、すなわち第1入球口321及び第2入球口322の何れにも入球が発生していない場合(抽選中である場合)には、そのまま本高確率モード移行判定処理を終了する。
ステップS508にて肯定判定をした場合、すなわち第2入球口322への入球が発生した場合には、ステップS509に進む。ステップS509では、低確率モード確定用エンディングコマンドを設定する。このコマンドは、通常処理(図17参照)にて報知・演出制御装置143及び表示制御装置725に出力される。これら各制御装置143,725ではこのコマンドに基づいて低確率モードへの移行(昇格失敗又は降格)が確定した旨を示すエンディング表示を行うように図柄表示装置96等の制御を行う。
ステップS507,S509の処理を実行した後は、ステップS510に進む。ステップS510ではRAM604の各種フラグ格納エリア635に格納されている移行判定有効化フラグを消去する。その後、ステップS511にて抽選用フラグを消去し、本高確率モード移行判定用処理を終了する。
再び図18の説明に戻り、ステップS313にて否定判定をした場合、すなわち抽選ラウンド中ではないと判定した場合には、ステップS315に進む。ステップS315では、開放数カウンタOCの値が「0」になっているか否かを判定する。ステップS315にて否定判定をした場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
ステップS315にて肯定判定をした場合には、ステップS316に進みRAM604の各種フラグ格納エリア635に抽選用フラグが格納されているか否かを判定する。ステップS316にて肯定判定をした場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
一方、ステップS316にて否定判定をした場合にはステップS317に進む。ステップS317ではエンディング用の待機時間が経過したか否かを判定する。ステップS317にて否定判定をした場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。ステップS317にて肯定判定をした場合には、ステップS318に進む。ステップS318では開閉実行モード終了時の移行処理を実行する。
開閉実行モード終了時の移行処理においては先ず、RAM604の各種フラグ格納エリア635に格納されている10R大当たりフラグ又は15R大当たりフラグを消去する。その後、RAM604の各種フラグ格納エリア635に高確率モード移行フラグが格納されている場合には、当該各種フラグ格納エリア635に高頻度サポートフラグを格納し、本移行処理を終了する。これにより、遊技状態が、当否抽選モードが高確率モードであり且つサポートモードが高頻度サポートモードである遊技状態に移行する。一方、高確率モード移行フラグが格納されていない場合には、当該各種フラグ格納エリア635に高頻度サポートフラグを格納することなく、本移行処理を終了する。これにより、遊技状態が、当否抽選モードが低確率モードであり且つサポートモードが低頻度サポートモードである遊技状態に移行する。
以上詳述した本実施の形態においては、一旦高確率モードに移行した後は、15R大当たり→高確率モード→15R大当たりが連鎖し、まとまった出だまを獲得することが可能となっている。しかしながら、一旦低確率モードへ転落した後は、高確率モードへの復帰には先ず15R大当たりに当選し、その後高確率モードへの移行抽選に当選する必要が生じる。このように複数のハードルを設けることにより、低確率モードとなった後は低確率モードがループしやすくなっている。これにより、遊技にメリハリが付与している。
このような、遊技進行については振分機構330の状態に大きく左右されることになる。振分機構330は、基本的に遊技球を受けてその状態が変化する構成となっており、不正防止等の観点から右側可変入賞装置83への外部からのアクセスが困難になっている。遊技ホールの営業形態等によっては振分機構330を強制的に変化させたくなる状況が生じ得るが、物理的なアクセスを可能とすることは、防犯性の向上を実現する上で好ましくない。
<振分機構330の強制切替について>
本実施の形態では、このような事情等に鑑みて、防犯性の低下を抑えつつ、ホール管理者等が振分機構330(可動体331)の状態を強制的に変化させることを可能としている。以下、図21を参照してこの強制切替に関する構成について説明する。
電源投入時に実行される処理の一環として状態切替処理が設定されている。状態切替処理においては、主制御装置162のリセットスイッチ166からリセット信号が入力されているか否かを判定する。そして、電源投入時にリセットスイッチ166が操作されていることを条件として、強制切替処理を実行する。
具体的には、振分機構330には主制御装置162から駆動信号が入力されることにより動作する状態切替用駆動部334(詳しくはソレノイド)が設けられている。強制切替処理によって状態切替用駆動部334に駆動信号が出力されると、可動体331が第2状態から第1状態に強制的に切り替えられることとなる。より詳しくは、状態切替用駆動部334は、可動体331の左部の直下となる位置(第1入球口321/第2入球口322への遊技球の振り分けを妨げない位置)に配置されている。状態切替用駆動部334に駆動信号が入力されることにより、可動体331の左部が下方から押し上げられることとなる。
状態切替用駆動部334による可動体331の変位量については、当該可動体331が第2状態から第1状態に切り替るのに十分な量となるように設定されている。これにより、可動体331の位置に関係なく、当該可動体331は第1状態へと強制的に切り替えられることとなる。
このような構成を採用することにより、防犯性の低下を抑えつつ、遊技ホール等の幅広いニーズに対応することが可能となっている。
以上詳述した本実施の形態によれば以下の優れた効果を奏する。
右側可変入賞装置83に入った遊技球は振分機構330を経て第1入球口321又は第2入球口322へ入球することとなる。振分機構330の可動体331は、遊技球を受けて(具体的には遊技球が当たりその遊技球から受けた力等により)第1状態/第2状態に切り替わる。つまり、先に案内された遊技球によって後の遊技球の案内態様が変化することとなる。このように、先に到達した遊技球の影響が後の遊技球に及ぶ構成とすることにより、前後の遊技球の動きに関連性を付与することができ、遊技に流れを生じさせることが可能となる。これにより、遊技への注目度の向上に貢献できる。
右側可変入賞装置83の内部(特定領域SE)は、遊技者が目視により可動体331の状態や遊技球の挙動を確認できる構成と成っている。係る構成によれば、例えば遊技者に可動体331の状態を参照して遊技を行うか否かを判断するように促すことができ、遊技の戦略性を好適に向上させることが可能となる。
可動体331は、当該可動体331が第1状態及び第2状態の一方になっている状況下にて同可動体331に遊技球が到達した場合に、他方に切り替わるよりもそのままの状態に維持されやすい構成となっており、可動体331の状態が遊技球の到達の都度頻繁に変化することが回避されている。これにより、遊技者に有利な状態となった後はその状態に維持されやすくなり、不利な状態になった後もその状態に維持されやすくなる。これにより、遊技に有利/不利のメリハリを与えることができ、遊技が単調になることを好適に抑制できる。
また、構造的側面からこのようなメリハリを与えることにより、遊技機本来の遊技球の動きを目で追うという楽しみと遊技の流れとの関連性を強めることが可能となり、遊技への注目度の向上に貢献できる。
可動体331は、当該可動体331に到達した遊技球が第1入球口321に向けて移動することで第1状態となり、第2入球口322に向けて移動することで第2状態となるように構成されている。このため、可動体331に先に到達した遊技球が第1入球口321に入球した場合には、次に可動体331に到達した遊技球も第1入球口321に入球しやすくなり、第1状態→第1入球口321への入球→第1状態の連鎖が発生する。一方、可動体331に先に到達した遊技球が第2入球口322に入球した場合には、次に可動体331に到達した遊技球も第2入球口322に入球しやすくなり、第2状態→第2入球口322への入球→第2状態の連鎖が発生する。このように、遊技の流れ(有利/不利)にメリハリを与えることにより、遊技が単調化になることを好適に抑制できる。
可動体331をシーソータイプとし、第1状態においては第1入球口321に向けて傾くことにより当該第1入球口321へ下る案内通路を形成し、第2状態においては第2入球口322に向けて傾くことにより第2入球口322へ下る案内通路を形成する構成となっている。係る構成によれば、可動体331によって形成された案内通路に沿って遊技球が移動することにより、可動体331に対して遊技球が作用する期間(遊技球の重さが加わる期間)を長くして、状態切替機能や状態維持機能を好適に発揮させることができる。なお、当該構成は可動体331の姿勢の乱れ(例えば揺れ)を抑制する上でも有利である。
振分機構330の上流にステージ部340を設け、遊技球の到達箇所が、球受け面333において可動体331の回動中部よりも第1入球口321寄りとなる位置及び当該回動中心よりも第2入球口322寄りとなる位置を含む所定の範囲に向けて落下する構成とした。このようにして、遊技球の落下位置を多様化することにより、遊技球の落下時点で結末が容易に予測されることを抑制し、落下後の遊技球及び可動体331の挙動へ注目を促すことができる。
また、遊技球の落下→球受け面333への衝突により、遊技球の落下の勢いを可動体331に無駄なく伝えることができ、可動体331を動作させるための機構を簡素化できる。
なお、可動体331についてはその重心GPを通るように回動中心軸線CLが設定されている。これにより、可動体331を回動させる際に必要な力が無駄に大きくなることを抑制している。これは、ステージ部340と可動体331(球受け面333)とを近づける上で有利であり、注目すべき箇所の離れを抑えることにより、遊技球の動きを目で追いやすくなるという効果が期待できる。
ステージ部340は、当該ステージ部340に到達した遊技球が前記両入球口321,322の並設方向に揺動可能な転動面341を有し、転動面341は可動体331の球受け面333側へ下り傾斜している。この構成によれば、ステージ部340に到達した遊技球は転動面341上を上記並設方向に揺動し、その後球受け面333に向けて落下する。ここで、上記構成によれば、遊技球が垂直方向だけではなく斜め方向にも落下し得る。同じ位置へと遊技球が落下した場合であっても、その落下方向に応じてその後の遊技球の挙動が異なることとなり、遊技球の動きを多様化することができる。これにより、遊技球が球受け面333に到達する前のタイミング(詳しくはステージ部340から流出したタイミング)にて振分機構330による案内態様を予測することが難しくなる。これは、実際に案内が行われる前に遊技への注目が早々に低下することを抑制する上で好ましい構成である。
先の開閉実行モードにて第1入球口321への入球が発生した場合には、大当たりの当選確率が上昇し開閉実行モードへ移行しやすくなり、且つ次の開閉実行モードにおいても第1入球口321への入球の期待度が高まる。一方、先の開閉実行モードにて第2入球口322への入球が発生した場合には、大当たりの当選確率が上昇せず、且つ次の開閉実行モードにおいても第2入球口322への入球の期待度が低下する。これにより、遊技が単調になることを抑制し、遊技にメリハリを与えることができる。
右側可変入賞装置83においては、特定領域SEに到達する遊技球の数が規制されている。遊技球が第1入球口321に入るか否かによってその後の展開が大きく左右される構成においては、多量の遊技球が特定領域SEに到達することで遊技球の動きを把握しづらくなる。これは、遊技球の動きと可動体331の動きとの関係を強めて注目度の向上を図る上での妨げになりやすい。そこで、上述の如く特定領域SEに到達する遊技球の数を規制する構成とすれば、このような不都合の発生を回避することができる。
特に、右側可変入賞装置83への入球数及び入球が許容される期間に制限(上限)があり、右側可変入賞装置83に入った遊技球のうち上限到達の契機となった遊技球を特定領域SEに送る構成とすれば、入球数が上限に達することが上述した振分抽選の実行条件となる。このため、遊技者は期間内に入球数が上限に達することを期待しながら遊技を行うこととなる。故に、ラウンド遊技の単調化を好適に抑制できる。
<第2の実施の形態>
上記第1の実施の形態においては、右側可変入賞装置83による抽選機能を高確率モードへの移行抽選に適用したが、これに限定されるものでない。例えば、開閉実行モード中のラウンド継続抽選に上記右側可変入賞装置83の抽選機能を適用することにより、ラウンド遊技の単調化を抑制し、遊技への注目度向上効果を好適に発揮させることが可能となる。以下、本実施の形態における遊技機の流れを主制御装置162にて実行される遊技状態移行処理との関係を踏まえて説明する。なお、右側可変入賞装置83の構造については、上記第1の実施の形態と同様であるため、説明を援用する。
先ず、本実施の形態における大当たりの概要とその種類について説明する。本実施の形態においては、開閉実行モードに移行後に消化されたラウンド数が所定数(保障数)に達した後は、都度のラウンド遊技においてラウンドの継続抽選が行われる構成となっている。つまり、最低保障ラウンド数と上限ラウンド数とが規定されており、その間でラウンド数が変化し得る構成となっている。
大当たり結果の種類としては、最低保障ラウンド数の異なる第1種大当たり結果と第2種大当たり結果とが設定されている。第1種大当たり結果は最低保証ラウンド数が10ラウンドとなっており、上限ラウンド数が15ラウンドとなっている(最大延長ラウンド数が5ラウンドとなっている)。第2種大当たり結果は最低保証ラウンド数が5Rとなっており、上限ラウンド数が10ラウンドとなっている(最大延長ラウンド数が5ラウンドとなっている)。
なお、第1種大当たり結果による最大延長ラウンド数と第2種大当たり結果による最大延長ラウンド数とを共通とする必要は必ずしもなく、両者を異なる構成としてもよい。例えば、上限ラウンド数を共通とし、最大延長ラウンド数に差違を設定することも可能である。
ここで、図22のフローチャートを参照して、本実施の形態における遊技状態移行処理について説明する。
先ず、ステップS701では、開閉実行モード中か否かを判定する。開閉実行モード中でない場合にはステップS702に進み、1の遊技回の下作動口用表示部又は右作動口用表示部における絵柄の変動表示が終了したタイミングか否かを判定する。変動表示が終了したタイミングでない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
変動表示が終了したタイミングである場合には、ステップS703にて、今回の遊技回の遊技結果が開閉実行モードへの移行に対応したものであるか否かを判定する。具体的には、RAM604の各種フラグ格納エリア635に、第1種大当たりフラグ及び第2種大当たりフラグのいずれかが格納されているか否かを判定する。上記各フラグのいずれもが格納されていない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。なお、第1種大当たりフラグは遊技回制御処理における抽選により第1種大当たり結果となった場合に各種フラグ格納エリア635に格納され、第2種大当たりフラグは遊技回制御処理における抽選により第2種大当たり結果となった場合に各種フラグ格納エリア635に格納されるフラグである。
上記各フラグのいずれかが格納されている場合には、ステップS704にて開閉実行モードの開始処理を実行する。当該処理では開閉実行モードのオープニング用に可変入賞装置82,83の開放を開始することなく待機するためのオープニング用待機時間(開始用待機期間)を設定する。具体的には、RAM604の各種カウンタエリア634に設けられた待機時間用カウンタエリアに、ROM603に予め記憶されているオープニング用の待機時間情報であって可変入賞装置82,83の開放に対応した待機時間情報をセットする。ここでセットされた待機時間情報の値は、タイマ割込み処理(図16)が実行される度に1ディクリメントされる。
ステップS704の処理を実行した後は、ステップS706にてオープニングコマンドを設定する。この設定されたオープニングコマンドは、通常処理(図17)におけるステップS201にて、報知・演出制御装置143及び表示制御装置725に送信される。このオープニングコマンドには、10R大当たり結果対応の開閉実行モード又は15R大当たり結果対応の開閉実行モードのいずれであるかの情報が含まれる。
報知・演出制御装置143では、受信したオープニングコマンドに基づいて、開閉実行モードに対応した演出の内容を決定し、その決定した演出の内容が実行されるように各種機器を制御する。この演出の内容としては、図柄表示装置96における表示態様が含まれており、この決定された表示態様は報知・演出制御装置143から表示制御装置725に表示内容コマンドとして出力される。表示制御装置725では、主制御装置162から受信したオープニングコマンドや報知・演出制御装置143から受信した表示内容コマンドに基づいて、今回の開閉実行モードに対応した表示、例えば10R大当たり結果に対応する表示内容としてのキャラクタ等の動画表示、15R大当たり結果に対応する表示内容としての図柄の変動表示が行われるように図柄表示装置96を表示制御する。
続くステップS706では、今回の開閉実行モードが第1種大当たり結果に対応しているか否かを判定する。ステップS706にて肯定判定をした場合には、ステップS707にてRAM604の各種カウンタエリア634に設けられた開放数カウンタOCに「15」をセットする。開放数カウンタOCは、可変入賞装置82,83が開放された回数を把握する手段として機能する。
一方、ステップS706にて否定判定をした場合、すなわち今回の開閉実行モードが第2種大当たり結果に対応している場合には、ステップS708に進む。ステップS708では、開放数カウンタOCに「10」をセットする。
ステップS707又はステップS708の処理を行った後は、続くステップS709にて外部信号設定処理を実行し、本遊技状態移行処理を終了する。外部信号設定処理では、RAM604に、第1種大当たりフラグ、第2種大当たりフラグのいずれかが格納されているか否かを判定し、いずれかのフラグが格納されている場合には、大当たり信号出力端子の信号出力状態を大当たり信号出力状態とする。大当たり信号出力端子が遊技ホール側の管理制御装置に接続されている場合には、当該管理制御装置に大当たり信号が出力され、当該管理制御装置においてパチンコ機10にて開閉実行モードが発生したことを把握することができる。
再びステップS701の説明に戻り、開閉実行モード中でないと判定した場合にはステップS710に進む。ステップS710では、オープニング用の待機時間が経過したか否かを判定する。オープニング用の待機時間が経過していない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。オープニング用の待機時間が経過している場合には、ステップS711にて可変入賞装置開閉処理を実行する。ここで、可変入賞装置開閉処理について、図23のフローチャートを参照しながら説明する。
<可変入賞装置開閉処理>
可変入賞装置開閉処理においては、先ずステップS801にて可変入賞装置82,83が開放中であるか否かを判定する。下側可変入賞装置82及び右側可変入賞装置83が開放中でない場合には、ステップS802にて開放数カウンタOCの値が「0」か否かを判定し、続くステップS803にて開放タイマカウンタTCの値が「0」か否かを判定する。
開放数カウンタOCの値が「0」である場合又は開放タイマカウンタTCの値が「0」でない場合には、そのまま本可変入賞装置開閉処理を終了する。一方、開放数カウンタOCの値が「0」でなく且つ開放タイマカウンタTCの値が「0」である場合には、ステップS804に進み、抽選ラウンド中であるか否かを判定する。抽選ラウンド中であると判定した場合には、そのまま本可変入賞装置開閉処理を終了する。一方、抽選ラウンド中でないと判定した場合には、ステップS805に進む。
ステップS805では開放数カウンタOCの値が「5」〜「2」であるか否かを判定する。ステップS805にて否定判定をした場合にはステップS806にて下側可変入賞装置82の開放処理を実行する。
一方、ステップS805にて開放数カウンタOCの値が「5」〜「2」であると判定した場合には、ステップS807に進む。ステップS807では、開放数カウンタOCの値が「5」であるか否かを判定する。ステップS807にて肯定判定をした場合には、RAM604の各種フラグ格納エリア635に抽選ラウンド用フラグを設定し、続くステップS810にて右側可変入賞装置83の開放処理を実行する。具体的には、下側可変入賞装置82を開放すべく可変入賞装置用の駆動部82cを駆動状態とする。
ステップS807にて否定判定をした場合、すなわち開放数カウンタOCの値が「4」〜「2」の何れかである場合には、ステップS808に進む。ステップS808ではRAM604の各種フラグ格納エリア635にラウンド継続フラグが格納されているか否かを判定する。ステップS808にて否定判定をした場合には、そのまま本可変入賞装置開閉処理を終了する。ステップS808にて肯定判定をした場合には、ステップS809,S810の各処理を実行する。具体的には、右側可変入賞装置83を開放すべく可変入賞装置用の駆動部83cを駆動状態とする。
既に説明したように、本実施の形態においては第1種大当たり結果である場合には、10ラウンド分のラウンド遊技が保障されており、この保障ラウンドについては開閉対象が下側可変入賞装置82となる。つまり開放数カウンタの値が「15」から1ずつ減算され、「5」になった場合には開閉対象が下側可変入賞装置82から右側可変入賞装置83へと切り替る。そして、後述する継続抽選に当選し続けることでラウンド遊技が進み、開放数カウンタの値が「0」となることで、開放対象が右側可変入賞装置83から下側可変入賞装置82に復帰することとなる。
一方、第2種大当たり結果である場合には、5ラウンド分のラウンド遊技が保障されており、この保障ラウンドについては開閉対象が下側可変入賞装置82となる。つまり開放数カウンタの値が「10」から1ずつ減算され、「5」になった場合には開閉対象が下側可変入賞装置82から右側可変入賞装置83へと切り替る。そして、後述する継続抽選に当選し続けることでラウンド遊技が進み、開放数カウンタの値が「0」となることで、開放対象が右側可変入賞装置83から下側可変入賞装置82に復帰することとなる。
ステップS806,S810の処理を実行した後は、ステップS811にて開放タイマカウンタTCに「15000」(30secに相当)をセットし、続くステップS812にて入賞カウンタPCに「10」をセットする。
その後、ステップS813にて開放コマンドを設定して本可変入賞装置開閉処理を終了する。この開放コマンドは、通常処理(図17)のステップS201にて報知・演出制御装置143及び表示制御装置725に送信される。この開放コマンドには、何れの可変入賞装置82,83に対応しているかの情報が含まれる。報知・演出制御装置143では、受信した開放コマンドに基づいて、右側可変入賞装置83が開放される場合にはそれに対応した演出の内容を決定し、その決定した演出の内容が実行されるように各種機器を制御する。
ステップS801の説明に戻り、当該ステップS801にて可変入賞装置82,83が開放中であると判定した場合には、ステップS814にて開放タイマカウンタTCの値が「0」か否かを判定する。なお、この開放タイマカウンタTCの値については、本可変入賞装置開閉処理が実行される度に「1」ディクリメントされる。
開放タイマカウンタTCの値が「0」でない場合には、ステップS815にて可変入賞装置82,83に遊技球が入賞したか否かを、上記検知センサからの検知信号に基づいて判定する。右側可変入賞装置83においては、上流側検知センサ304からの検知信号にもとづいて当該判定を行う。
ステップS815にて入賞が発生していると判定した場合には、続くステップS816にて入賞コマンドの出力処理を実行する。当該入賞コマンドは、払出制御装置242に出力され、払出制御装置242では当該コマンドを受信することにより所定数の遊技球の払出しを行う。また、入賞コマンドは報知・演出制御装置143にも出力される。報知・演出制御装置143では当該入賞コマンドに基づいて図柄表示装置96の表示画面96aにて実行される開閉実行モード中の表示演出が変化する構成となっている。例えば、第15ラウンド中に10個の入賞が発生した場合には、図柄表示装置96の表示画面96aに振分機構330への注目を促すメッセージが表示されることとなる。
ステップS816にてコマンドの出力処理を実行した後は、ステップS817に進む。ステップS817では入賞カウンタPCの値を1ディクリメントし、続くステップS818にて入賞カウンタPCの値が「0」か否かを判定し、「0」でない場合にはそのまま本可変入賞装置開閉処理を終了する。
ステップS818にて肯定判定をした場合、ステップS814にて肯定判定をした場合、ステップS815にて否定判定をした場合には、ステップS819に進み可変入賞装置82,83の閉鎖処理を行う。具体的には、下側可変入賞装置82が開放されている場合には、下側可変入賞装置82用の駆動部82cへの駆動信号の出力を停止して、開放中の下側可変入賞装置82を閉鎖する。右側可変入賞装置83が開放されている場合には、右側可変入賞装置83用の駆動部83cへの駆動信号の出力を停止して、開放中の右側可変入賞装置83を閉鎖する。
ステップS819の処理を実行した後は、ステップS820に進み開放数カウンタOCの更新処理を行う。具体的には開放数カウンタOCの値を「1」ディクリメントする。
続くステップS821では、開放数カウンタOCの値が「0」であるか否かを判定する。開放数カウンタOCの値が「0」でないと判定した場合には、ステップS822に進み開放数カウンタOCの値が「4」〜「1」であるか否か、すなわち継続抽選ラウンドであるか否かを判定する。ステップS822にて否定判定をした場合には、ステップS823に進みインターバル期間の設定処理を行う。具体的には、開放タイマカウンタTCに「1500」(3secに相当)をセットする。
ステップS823の処理を実行した後、又はステップS822にて肯定判定をした場合には、ステップS824にて閉鎖コマンドを設定して本可変入賞装置開閉処理を終了する。
ステップS824にて設定された閉鎖コマンドは、通常処理(図17)のステップS201にて報知・演出制御装置143及び表示制御装置725に出力される。閉鎖コマンドには、何れのラウンドが終了したかの情報が含まれる。報知・演出制御装置143では、受信した閉鎖コマンドに基づいて演出の内容を決定し、その決定した演出の内容が実行されるように各種機器を制御する。例えば、保障ラウンド終了時には、図柄表示装置96の表示画面96aに右側可変入賞装置83が開放される旨を示すメッセージ(チャンスタイムに突入した旨を示すメッセージ)表示されこととなる。
ステップS821にて、開放数カウンタOCの値が「0」であると判定した場合には、ステップS825にて、エンディングコマンドを設定した後に、本可変入賞装置開閉処理を終了する。この設定されたエンディングコマンドは、通常処理(図19)におけるステップS201にて、報知・演出制御装置143に送信される。報知・演出制御装置143では、受信したエンディングコマンドに基づいて、開閉実行モードに対応した演出の内容を決定し、その決定した演出の内容が実行されるように各種機器を制御する。
再び図22の説明に戻り、ステップS711の可変入賞装置開閉処理を終了した後は、ステップS712に進む。ステップS712では、継続抽選ラウンド中であるか否かを判定する。ステップS712にて肯定判定をした場合には、ステップS713に進みラウンド継続判定処理を実行した後、本遊技状態移行処理を終了する。ここで、図24のフローチャートを参照して、ラウンド継続判定処理について説明する。
<ラウンド継続判定処理>
ラウンド継続判定処理では、先ずステップS901にてラウンド継続判定中であるか否かを判定する。具体的には、RAM604の各種フラグ格納エリア635に継続判定有効化フラグが格納されているか否かを判定する。継続判定有効化フラグは、右側可変入賞装置83に特定数(本実施の形態においては10個)の遊技球が入球した場合に格納されるフラグである。
ステップS901にて否定判定をした場合にはステップS902に進む。ステップS902では入賞カウンタPCの値が「0」になっているか否かを判定する。ステップS902にて否定判定をした場合には、そのまま本高確率モード移行判定処理を終了する。一方、ステップS902にて肯定判定をした場合にはステップS903に進む。
ステップS903では通路切替処理を行う。具体的には、通路切替用駆動部312に駆動信号を出力して、遊技球の流入先を第1下流側通路306から第2下流側通路307に切り替える。これにより、右側可変入賞装置83の特定領域SEへ遊技球が案内されることとなる。ステップS903の処理を実行した後はステップS904に進み、RAM604の各種フラグ格納エリア635に上述した継続判定有効化フラグを格納して、本高確率モード移行判定処理を終了する。
ステップS901の説明に戻り、当該ステップS901にて肯定判定をした場合、すなわち継続判定有効化フラグがあると判定した場合には、ステップS905以降の抽選用処理に進む。抽選用処理においては、先ずステップS905にて第1入球口321への入球が発生したか否かを判定する。ステップS905にて肯定判定をした場合には、ステップS906に進み、ラウンド継続確定コマンドを設定する。このコマンドは、通常処理(図17)のステップS201にて報知・演出制御装置143及び表示制御装置725に出力される。これら各制御装置143,725ではこのコマンドに基づいてラウンド継続が確定した旨を示す表示等を行うように図柄表示装置96等の制御を行う。
ステップS906の処理を実行した後は、ステップS907にてRAM604の各種フラグ格納エリア635にラウンド継続フラグを格納する。このラウンド継続フラグの存在により、当該開閉実行モードにてラウンド遊技が継続されることとなる。
一方、ステップS905にて否定判定をした場合にはステップS908に進む。ステップS908では、第2入球口322への入球が発生したか否かを判定する。ステップS908にて否定判定をした場合、すなわち第1入球口321及び第2入球口322の何れにも入球が発生していない場合(抽選中である場合)には、そのまま本ラウンド継続判定処理を終了する。
ステップS908にて肯定判定をした場合、すなわち第2入球口322への入球が発生した場合には、ステップS909に進む。ステップS909では、ラウンド非継続確定コマンドを設定する。このコマンドは、通常処理(図17)のステップS201にて報知・演出制御装置143及び表示制御装置725に出力される。これら各制御装置143,725ではこのコマンドに基づいてラウンド遊技が終了した旨を示すエンディング表示を行うように図柄表示装置96等の制御を行う。ステップS909の処理を実行した後は、ステップS910にてラウンド継続フラグを消去する。
ステップS907,S910の処理を実行した後は、ステップS911に進む。ステップS911ではRAM604の各種フラグ格納エリア635に格納されている継続判定有効化フラグを消去する。その後、ステップS912にて抽選ラウンド用フラグを消去し、本ラウンド継続判定用処理を終了する。
再び図22の説明に戻り、ステップS712にて否定判定をした場合、すなわち抽選ラウンド中ではないと判定した場合には、ステップS714に進む。ステップS714ではRAM604の各種フラグ格納エリア635にラウンド継続フラグが格納されているか否かを判定する。ステップS714にて肯定判定をした場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
一方、ステップS714にて否定判定をした場合にはステップS715に進む。ステップS715ではエンディング用の待機時間が経過したか否かを判定する。ステップS715にて否定判定をした場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。ステップS715にて肯定判定をした場合には、ステップS716に進む。ステップS716では開閉実行モード終了時の移行処理を実行し、本遊技状態移行処理を終了する。
ラウンド遊技状態(例えば入球装置が特定状態と当該特定状態よりも入球が困難な非特定状態とに複数回に亘って切り替る遊技状態)に移行するタイプの遊技機においては、ラウンド遊技が淡々と消化されることで遊技が単調になり得る。この点、ラウンドの継続数が右側可変入賞装置83における遊技球の振分態様によって変化する構成とすれば、ラウンド遊技が単調になることを好適に抑制できる。
また、右側可変入賞装置83の振分機構330によれば、獲得できるラウンド遊技の継続数に偏りを発生させることができる。例えば、先のラウンド遊技にて第1入球口321への入球が発生した場合には、ラウンド遊技が継続され、且つ次のラウンド遊技においても第1入球口321への入球の期待度が高まることとなる。つまり、ラウンド遊技が継続する際には遊技者にまとまった特典が付与されることとなる。一方、先のラウンド遊技にて第2入球口322への入球が発生した場合には、ラウンド遊技状態が終了する。これにより、ラウンド遊技が単調になることを抑制し、遊技にメリハリを与えることができる。
なお、本実施の形態では保障ラウンドにおいては下側可変入賞装置82を開閉対象としたが、保障ラウンドにおいても右側可変入賞装置83を開閉対象とすることも可能である。この場合、下側可変入賞装置82を省略してもよい。
全てのラウンドにおいて右側可変入賞装置83を開閉対象とする場合には、保障ラウンドにおいては遊技球が上記特定領域SEに流入しないように遊技球の流下経路を第1下流側通路306としてもよいし、全てのラウンドにおいて遊技球が上記特定領域SEに流入することを許容する構成とすることしてもよい。
後者とする場合には、保障ラウンドの終了までに可動体431を第1状態にすることで、保障ラウンド終了後のラウンド継続の可能性を高くすることができる。この場合、例えば保障ラウンド中に第2状態→第1状態に切り替った場合には、第2状態への復帰を阻止すべく敢えて10個目(特定領域SEに案内される遊技球)を右側可変入賞装置83に入球させないように遊技球の発射操作を控えることで遊技を有利に進めることができる可能性が生じ、ラウンド遊技における戦略性を向上させることが可能となる。
<第3の実施の形態>
上記各実施の形態では、可動体331が第1状態/第2状態の何れの状態であっても当該可動体331の支持位置(詳しくは軸部336)と同可動体331の重心GPとの関係が変わらない構成としたが、本実施の形態においては、第1状態/第2状態の切り替えに伴って可動体331の支持位置と重心GPとの位置関係が変化する構成としたことを特徴としている。以下、図25を参照して、本実施の形態における振分機構430について説明する。図25(a)は振分機構430を示す概略図、図25(b)は振分機構430による振分態様を示す概略図である。なお、振分機構430の以外の各種構成については、上記実施の形態と同様であるため説明を援用する。
図25(a)に示すように、振分機構430は、上記実施の形態に示した振分機構330と同様に、可動体431と当該可動体431を回動可能に支持するベース体435とを備えている。可動体431に形成された軸受け孔432は、ベース体435に形成された軸部436の中心軸線方向と直交する方向に延びる長孔状をなしている。可動体431は、軸受け孔432は、軸部436との係合状態を維持しながら、その係合位置が当該軸受け孔432の長手方向にて変化し得るように構成されている。
図25(a)に示すように可動体431が右下がりとなる第1状態においては、可動体431が第1入球口321側(右側)へ偏倚している。詳しくは、軸受け孔432における第2入球口322側の端部(左端部)と軸部436とが当たることによりそれ以上の偏倚が阻止されており、この状態では可動体431の重心GPが軸部436よりも第1入球口321側(右側)に位置している。
可動体431は、重心GPがずれることにより自身の重さによって時計回り方向に付勢された状態となっている。これにより、第1状態から第2状態への切り替えに要する力が上記実施の形態よりも大きくなっている。具体的には、遊技球が球受け面433に到達した際に第1状態のままとなる第1特定領域Sの割合が上記実施の形態よりも大きくなり、第2状態に切り替る第2特定領域Fの割合が上記第1の実施の形態よりも小さくなっている。遊技球が可動体431(球受け面433)に到達した際に第1状態のまま維持されやすくなることで、当該第1状態の有利度合いがより顕著になっている。
図25(b)に示すように可動体431が左下がりとなる第2状態においては、可動体431が第2入球口322側(左側)へ偏倚している。詳しくは、軸受け孔432における第1入球口321側の端部(右端部)と軸部436とが当たることによりそれ以上の偏倚が阻止されており、この状態では可動体431の重心GPが軸部436よりも第2入球口322側(左側)に位置している。
可動体431は、重心GPがずれることにより自身の重さによって反時計回り方向に付勢された状態となっている。これにより、第2状態から第1状態への切り替えに要する力が上記実施の形態よりも大きくなっている。具体的には、遊技球が球受け面433に到達した際に第1状態に切り替る第1特定領域Sの割合が上記実施の形態よりも小さくなり、第2状態のままとなる第2特定領域Fの割合が上記第1の実施の形態よりも大きくなっている。遊技球が可動体431(球受け面433)に到達した際に第2状態のまま維持されやすくなることで、当該第2状態の不利度合いがより顕著になっている。
軸受け孔432は重心GPを挟んで対象となるように形成されている。このため、第1状態となっている場合の第1特定領域Sと第2状態となっている場合の第2特定領域Fとは同等となっており、上記実施の形態と同様に第1状態/第2状態での偏りはない。
ここで、図26の概略図を参照して、遊技球の衝突等による可動体431の状態変化の様子について説明する。
図26(a)に示すように、可動体431が第1状態となっている状況下にて遊技球が球受け面433の左端部に衝突すると、可動体431が反時計回りに回動する。これにより、可動体431が軸部436及び第1ストッパ437によって支えられた右下がりの状態(実線参照)から軸部436及び第2ストッパ438によって支えられた左下がりの状態となる(2点鎖線参照)。
図26(b)に示すように、左下がりとなった可動体431は軸部436及び第2ストッパ438によって支えられた状態で、自重によって左側へ移動する。そして、軸受け孔432の右端部に軸部436が当接することにより、それ以上の移動が阻止され、第2状態への切り替えが完了する(2点鎖線参照)。
図26(c)に示すように、可動体431が第2状態となっている状況下にて遊技球が球受け面433の右端部に衝突すると、可動体431が時計回りに回動する。これにより、可動体431が軸部436及び第2ストッパ438によって支えられた左下がりの状態(実線参照)から軸部436及び第1ストッパ437によって支えられた右下がりの状態となる(2点鎖線参照)。
図26(d)に示すように、右下がりとなった可動体431は軸部436及び第1ストッパ437によって支えられた状態で、自重によって右側へ移動する。そして、軸受け孔432の左端部に軸部436が当接することにより、それ以上の移動が阻止され、第1状態への切り替えが完了する(2点鎖線参照)。
このように、可動体431の姿勢の変化及び可動体431の自重を利用して、当該可動体431を第1入球口321側及び第2入球口322側に移動させる構成とすることにより、第1状態/第2状態の偏り度合いを強くすることができる。また、可動体431の回動・支持機能と重心移動機能とを発揮させる上で、それに起因して振分機構430に係る構造が過度に複雑になることを抑制できる。
また、可動体431の姿勢の変化に伴って可動体431の位置が変化する構成とすることで、遊技球が可動体431に影響を与える期間(接触期間)等が短くても、第1状態/第2状態の切り替え機能が好適に担保されることとなる。
<第4の実施の形態>
上記各実施の形態では、可動体331を第1状態及び第2状態の2つの状態で切り替える構成としたが、有利/不利を2段階で区別する必要は必ずしもない。本実施の形態に示す振分機構530おいては、多段階で切り替えを可能としたことを特徴の1つとしている。以下、図27を参照して、本実施の形態における振分機構530及びそれに関連する構成について説明する。図27(a)は本実施の形態における振分機構530を示す斜視図、図27(b)は振分機構530の縦断面図である。なお、以下の説明では上記実施の形態との共通点については説明を援用し、上記実施の形態に示した振分機構330との相違点を中心に説明する。
図27(a)に示すように、右側可変入賞装置83Yを構成するハウジング501の底部501aは、高低差が生じるように(階段状に)形成された上段部508と下段部509とを有している。下段部509と上段部508とは左右に並設されており、下段部509における上段部508側の端部には第2入球口522が形成されている。
下段部509の上面にはブロック状の可動体531が載置されている。図27(b)に示すように、可動体531には、遊技球を第1入球口521へ案内する案内通路形成部534が設けられている。案内通路形成部534は、可動体531の上面に形成された入口部分534aを有している。案内通路形成部534は鉛直方向に延びており、その下端部が下段部509に形成された長孔509aを通じて、当該下段部509よりも下方に突出している。
この突出している部分(下端部)に第1入球口521へ遊技球を導く出口部分534bが形成されている。第1入球口521は下段部509の下方に配置されており、ハウジング501には案内通路形成部534から流出した遊技球を第1入球口521へ案内する案内部が形成されている。
可動体531は、下段部509の上面に沿ってスライド移動可能となっている。但し、下段部509の上面は鉛直方向と直交する平面状をなしており、可動体531は当該可動体531の自重による移動は規制されている。
可動体531の移動方向及び移動範囲については、上記長孔509aと案内通路形成部534によって規定されている。具体的には、長孔509aは、下段部509において可動体531の底部と対向している部分に形成されており、第2入球口522から遠ざかる側に延びている。案内通路形成部534が長孔509aにおける第2入球口522側の端部に当たることにより、それ以上の第2入球口522側への移動が阻止される。このように第2入球口522側に最も偏倚した状態では、案内通路形成部534と第2入球口522との重なりが回避されている。一方、案内通路形成部534が長孔509aにおける第2入球口522とは反対側の端部に当たることにより、それ以上の第2入球口522からの離れが回避される。
本実施の形態に示す可動体531についても上記実施の形態と同様に、当該可動体531に到達した遊技球を第1入球口521/第2入球口522に振り分ける機能が付与されている。ここで、当該振分機能に係る構成について説明する。
上段部508の上方にはステージ部540が設けられており、このステージ部540の転動面541から流出した遊技球は上段部508へと到達する。上段部508は第2入球口522(下段部509)側に下り傾斜しており、上段部508に到達した遊技球はその傾斜に沿って第2入球口522側へと流下する。
上段部508に沿って流下した遊技球は、可動体531を経由して第1入球口521又は第2入球口522に入球することとなる。可動体531の上面は上段部508から流出した遊技球が当たる球受け面となっており、第2入球口522側へ下り傾斜している。
球受け面は、案内通路形成部534の入口部分534aよりも下流側に位置する下流側傾斜面532と、当該入口部分534aよりも上流側に位置する上流側傾斜面533とに大別されている。上段部508からの遊技球のうち上流側傾斜面533に到達したものは、上流側傾斜面533に沿って上記入口部分534aに案内されることとなる。入口部分534aに入った遊技球は、案内通路形成部534を経由して第1入球口521へと案内される。なお、上段部508からの遊技球のうち直接入口部分534aに入ったものについても、同様の経路を経て第1入球口521へと案内される。
一方、上段部508からの遊技球のうち下流側傾斜面532に当ったものは、入口部分534aとは反対側(第2入球口522側)へと跳ね返ることとなり、当該入口部分534aへの流入が回避される。下流側傾斜面532に跳ね返った遊技球は、底部501aに形成された縦壁に当たり第2入球口522へ案内される。
本実施の形態では、上段部508への到達位置によって、上段部508からの流出速度が変化する。例えば、上段部508の上流部分に到達した遊技球については勢いよく上段部508から流出することで可動体531の上流側傾斜面533に到達し、上段部508の下流部分に到達した遊技球については勢いが十分につかない状態で上段部508から流出することで可動体531の下流側傾斜面532に到達することとなる。なお、遊技球の振分態様についての詳細は後述する。
可動体531は、第2入球口522から遠ざかる側(以下、第1方向という)への移動と、第2入球口522に近づく側(以下、第2方向という)への移動とが許容されている。ここで、図27及び図28を参照して可動体531の移動に係る構成について説明する。図28は可動体531の動作態様を示す概略図である。
図27(b)に示すように、可動体531の上面を構成する下流側傾斜面532は上流側傾斜面533よりも傾斜がきつくなるように形成されている。具体的には、下段部509の上面に対する角度が45度よりも大きく設定されている。図28(a)→図28(b)に示すように、上段部508から落下した遊技球が下流側傾斜面532に衝突すると、可動体531には第2方向への力が加わることとなる。つまり、遊技球の運動量が可動体531に移ることにより、遊技球が減勢される一方で、可動体531は第2入球口522から遠ざかる側へ移動することとなる。
詳しくは、遊技球の衝突に伴って下流側傾斜面532に加わる力は、可動体531を下段部509に押し付ける力と、下段部509の上面に沿う力とに分化されるが、下流側傾斜面532の傾斜角が45度よりも大きく設定されているため前者よりも後者のほうが大きくなる。これにより、衝突により可動体531に移った運動量は、可動体531を第1方向へ移動させる原動力に効率よく変換されることとなり、可動体531の移動が担保される。
図28(b)に示すように、上流側傾斜面533の下段部509の上面に対する角度は45度よりも小さく、詳しくは遊技球の流下が担保される程度の角度(例えば5度)に抑えられている。上段部508からの遊技球が上流側傾斜面533に衝突した際に、その衝突に伴って上流側傾斜面533に加わる力は、可動体531を下段部509に押し付ける力と、下段部509の上面に沿う力とに分化される。上流側傾斜面533の傾斜角が十分に小さく設定されているため後者よりも前者のほうが大きくなる。この場合、遊技球から可動体531へ移る運動量は少なくなり、遊技球が上流側傾斜面533を遡ることとなる。このように運動量の移りを抑えることで、遊技球が上流側傾斜面533に衝突したとしても、それによって可動体531が第1方向へ移動することが抑えられている。つまり、遊技球が上流側傾斜面533に衝突したとしても、その衝突に起因した可動体531の移動量はほぼ0となる。
ここで、上記案内通路形成部534は鉛直方向に延びている一方、その出口部分534bについては通路方向と交差する方向、詳しくは横向きに開放されている。そして、案内通路形成部534の下流部分には、出口部分534bに向けて遊技球を誘導する誘導傾斜面535が形成されている。図28(c)→図28(d)に示すように、案内通路形成部534の入口部分534aに入った遊技球は当該案内通路形成部534に沿って落下し、誘導傾斜面535に衝突して方向が変わって出口部分534bに向かうこととなる。
誘導傾斜面535は、第1方向を向く成分を有しており、鉛直方向(下段部509)に対する角度が45度程度となっている。案内通路形成部534に沿って落下した遊技球が誘導傾斜面535に衝突すると、可動体531には第2方向へ向けた力が加わることとなる。つまり、遊技球の運動量が可動体531に移ることにより、遊技球が減勢される一方で、可動体531は第2方向へ移動することとなる。
詳しくは、遊技球の衝突に伴って誘導傾斜面535に加わる力は、可動体531を下段部509に押し付ける力と、下段部509の上面に沿う力とに分化されるが、下流側傾斜面532の傾斜角が45度よりも大きく設定されているため前者よりも後者のほうが大きくなる。これにより、衝突により可動体531に移った運動量は、可動体531を第2方向へ移動させる原動力に効率よく変換されることとなり、可動体531の移動が担保される。
このように、可動体531のどの部分に遊技球が到達するかによって可動体531の移動方向が変化することとなる。この際、1度の遊技球の衝突によって可動体531が移動する移動量については、全移動範囲の半分強に抑えられている。つまり、1度の衝突によって有利/不利の状態の変化は発生し得るものの、最も不利な状態から最も有利な状態又は最も有利な状態から最も不利な状態に切り替るには少なくとも複数回の遊技球の衝突が発生する必要がある。つまり、上述した実施の形態とは異なり、遊技者に有利な状態についても複数のレベルが存在し、遊技者に不利な状態についても複数のレベルが存在している。
次に、図29を参照して遊技球の振分態様について説明する。図29(a)は振分機構530(可動体531)が遊技者にとって最も有利な状態(上記第1状態に相当)を示す概略図であり、図29(b)は振分機構530(可動体531)が遊技者にとって最も不利な状態(上記第2状態に相当)を示す概略図である。
既に説明したように、ステージ部540から上段部508に遊技球が移った際には、遊技球が上段部508におけるどの位置に落下するかによって、当該遊技球が上段部508から流出する際の移動速度に差が生じる。つまり、上流側に落下すれば流下速度が速くなることで上段部508から離れた際に、遠くまで飛翔することが容易となり、下流側に落下すれば流下速度が遅くなることで上段部508から離れた際に、遠くまで到達することが困難になる。
図29(a)に示すように、可動体531が遊技者にとって最も有利な状態となっている場合には、遊技球が可動体531に到達した際にそのままの状態に維持される第1特定領域Sの割合が、状態が変化する第2特定領域Fの割合よりも大きくなっている。一度有利な状態になるとその後も有利な状態がループしやすくなる。
図29(a)の状態にて可動体531に到達した遊技球が、下流側傾斜面532を経て第2入球口522へと流入した場合には、可動体531が第1方向に移動する。この際の可動体531の移動量については、遊技球が第2特定領域F内のどの位置に落下したかによって相違することとなる。
第2特定領域F内における最も第1特定領域S側に寄った位置に落下した場合、すなわち遊技球の流下速度が最大となった場合であっても、可動体531が一機に最も不利な状態となることはない。また、第2特定領域F内における最も下流側となる位置に落下した場合、すなわち遊技球の流下速度が最小となった場合であっても、可動体531が全移動範囲の半分を超えて移動する。つまり、有利な状態から不利な状態に切り替るものの、不利度合いについては遊技球の挙動に依存することとなる。
一方、図29(b)に示すように、可動体531が遊技者にとって最も不利な状態となっている場合には、遊技球が可動体531に到達した際にそのままの状態に維持される第1特定領域Sの割合が、状態が変化する第2特定領域Fの割合よりも小さくなっている。一度不利な状態になるとその後も有利な状態に維持されやすくなる。
図29(b)の状態にて可動体531に到達した遊技球が、上流側傾斜面533を経て第1入球口521へと流入した場合には、可動体531が第2方向に移動する。この際の可動体531の移動量については、遊技球が第1特定領域S内のどの位置に落下したかによって相違しない。
既に説明したように、可動体531の第1方向への移動量については、案内通路形成部534の通路長と誘導傾斜面535の傾斜角によって規定されている。この移動量については、可動体531の全移動範囲の半分を超えるものの最も有利な状態には至らないようになっている。つまり、第1入球口521への入球が発生する場合に得られる移動量については、遊技球が第1特定領域S内のどの位置に落下したかに依存しにくくなっている。
上述したように、有利な状態から不利な状態に切り替る場合には、遊技球の到達位置によってその度合いを差別化することにより、上段部508におけるきわどい位置に遊技球が供給された場合に、不利な状態となりつつもある程度の救済を図ることで、遊技意欲が減退することを抑制できる。
一方、不利な状態から有利な状態に切り替る際には、上段部508のどの位置に遊技球が落下したかに関係なく、第1入球口521への入球発生により一定の移動量が担保されることで、遊技者に十分な恩恵を得られなかったような印象を与えることを抑制できる。
特に、有利な状態及び不利な状態のそれぞれにレベルを設定することにより、遊技の更なる多様化を実現し、興趣向上に貢献することができる。このような構成であっても、第2入球口522への入球によって可動体531が遊技者に不利な状態となり、第1入球口521への入球によって可動体531が遊技者に有利な状態となることで、有利/不利の切替機能は担保されている。これにより、上記実施の形態に示した遊技にメリハリを与えるという効果は担保される。
<その他の実施の形態>
なお、上述した各実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記各実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
(1)上記実施の形態では、「第1入球部」としての第1入球口321と「第2入球部」としての第2入球口322とを遊技機の正面視にて左右に並べて配置したが、少なくとも有利/不利の差が設定された「第1入球部」及び「第2入球部」に相当する構成を有していればよく、その配置については任意である。例えば、第1入球口及び第2入球口を前後方向に並べて配置することも可能である。
但し、「案内手段」を構成する可動体331と遊技球との目視による確認を容易とし、遊技球の重さを利用して可動体331の状態を切り替える際の視認性を向上させる上では、遊技機の奥行き方向に並べて配置するよりも、遊技機(詳しくは前面)の面拡がり方向に並べて配置することが好ましい。
(2)上記実施の形態では、有利側への偏りの度合いと不利側への偏りの度合いとを同等としたが、必ずしも両者を同等とする必要はない。すなわち、第1状態から第2状態への切り替えと第2状態から第1状態への切り替えとのうち一方が他方よりも容易(困難)となるように偏重させた構成とすることも可能である。
例えば、第1状態から第2状態への切り替え時に当該切り替えを妨げる抵抗を生じ、第2状態から第1状態への切り替え時には当該切り替えを妨げない可変式の抵抗発生手段(例えば返し)を設けることにより、第1状態を重視した偏重タイプの遊技機を構成できる。
(3)上記第4の実施の形態に示したように有利な状態及び不利な状態を多段階化するという技術的思想は、スライド式の可動体531に限って実現されるものではない。例えば、第1の実施の形態に示した回動式の可動体331においても同様の技術的思想を適用することができる。すなわち、上記第1の実施の形態においては、第1状態となった場合に遊技球が有利側へ到達したとしても、それ以上に有利とはならない構成としたが、これを変更し、有利側に到達した遊技球の数に応じて有利度が段階的に高くなる構成とすることも可能である。以下、図30(a)の概略図を参照してその具体例を説明する。
図30(a)に示す振分機構330Aおいては、可動体331が遊技者に有利な右下がり状態となった場合について例示している。可動体331は、一点鎖線によって示された第1傾斜状態と、2点鎖線によって示された第2傾斜状態と、実線によって示された第3傾斜状態とに切り替え可能となっている。なお、第3傾斜状態については、上記第1の実施の形態に示した第1状態と同様である。
第2傾斜状態では、可動体331の側面部に形成された凹部にベース体335Aに形成された凸部339bAが引っ掛かることによりその状態に維持される。同じく、第1傾斜状態では、可動体331の上記凹部がベース体335Aに形成された凸部339aAに引っ掛かることによりその状態に維持される。凸部339aA,339bAについては、弾性変形可能となっており、可動体331に所定の力が加わることにより、上述した引っ掛かりが解除される構成となっている。
可動体331が第2状態となっている場合に、可動体331において回動中心よりも右側となる部分に遊技球が衝突すると、その衝突によって可動体331が回動する。これにより可動体331の凹部と凸部339aAが引っ掛かり第1傾斜状態となる。この状態にて、更に遊技球が回動中心よりも右側となる部分に衝突した場合には、当該衝突によって凹部と凸部339aAとの引っ掛かりが解除され可動体331が時計回りに回動する。そして、可動体331の凹部と凸部339bAとが引っ掛かることにより第2傾斜状態となる。この状態にて、更に遊技球が回動中心よりも右側となる部分に衝突することで凹部と凸部339aAとの引っ掛かりが解除され可動体331が時計回りに回動する。可動体331の回動が第1ストッパ337によって阻止されることにより、可動体331は第3傾斜状態となる。つまり、第2状態から第1傾斜状態→第2傾斜状態→第3傾斜状態に切り替るまでには、少なくとも3個の遊技球が例えば可動体331において回動中心よりも右側となる部分に衝突する(第1入球口321へ入球する)必要がある。
一方、第3傾斜状態から第2状態に復帰する場合については、3個の遊技球が可動体331において回動中心よりも左側となる部分に衝突する必要がある。但し、この場合、可動体331の姿勢は、第3傾斜状態→第2傾斜状態→第1傾斜状態の順に変化するが、衝突した遊技球はその衝突位置とは関係なく第1入球口321に案内されることとなる。
係る構成によれば、一旦有利な状態になればその状態に維持されやすくなり、不利な状態になってもその状態に維持されやすくなる。これにより、上述した遊技のメリハリを強くすることができる。
なお、有利側と不利側とを同様の構成とする必要は必ずしもなく、有利側にのみ複数の段階を設定してもよい。但し、このような構成では有利側への偏重が大きくなるため、元の状態に復帰させる構成を別途設けることが好ましい。例えば遊技球を動力源とするのではなく別途設けられたアクチュエータを利用することも可能である。高確率モードから低確率モードに転落した場合に、アクチュエータを作動させて、可動体を所定の状態(例えば第1傾斜状態、第2傾斜状態、第2状態)に復帰させてもよい。この所定の位置は複数設定された位置の中から抽選(例えば作動口,第1入球口,第2入球口等への入球を契機とする抽選)等によって決定することも可能である。
(4)上記第1の実施の形態等では、「案内手段」を構成する可動体331を平板状として、当該可動体331の左右のウェイトバランスが回動中心を基準に1:1となるように構成し、且つ球受け面333において回動中心軸線CLよりも右側の幅寸法と、回動中心軸線CLよりも左側の幅寸法とを同一とすることにより、第1入球口321への入球発生確率と第2入球口322への入球発生確率とが同じになるように構成したが、必ずしもこれに限定されるものではない。球受け面333において回動中心軸線CLよりも右側の幅寸法と、回動中心軸線CLよりも左側の幅寸法とに差違を設けることにより、第1入球口321への入球発生確率と第2入球口322への入球発生確率とを相違させてもよい。
例えば、図30(b)の振分機構330Bに示すように、可動体331Bの厚さを左右で相違させる構成とすれば、左右のウェイトバランスが変わり重心GPの位置が変化する。これにより、第1状態及び第2状態への切り替えに要する力を同等としつつ、球受け面333において回動中心軸線CLよりも右側の幅寸法と回動中心軸線CLよりも左側の幅寸法とに差違を付与することが可能となる。
なお、図30(b)においては、ステージ部340の中央位置MLに対して回動中心軸線CLの位置(重心GPの位置)が左側に位置するように、可動体331の厚さ寸法H1,H2を左右で相違させた。これにより、第2状態と比較して第1状態となる確率が高くなるように構成したが、これを逆にして、第1状態と比較して第2状態となる確率が高くなるように構成してもよい。
(5)可動体331の重心GPが回動中心軸線CL上に位置する必要はない。この場合、第1状態及び第2状態にて可動体331を維持するための別途手段を設けるとよい。例えば、図30(c)の振分機構330Cに示すように、磁石等の保持手段によって第1状態及び第2状態のそれぞれに維持する構成としてもよい。なお、図30(c)に示す可動体331Cについては、少なくとも第1ストッパ337C及び第2ストッパ338Cと当たる部分については磁性体によって構成されている。
図30(c1)に示す第1状態においては、遊技球が第2特定領域Fに衝突することで可動体331に加わる力が第1ストッパ337Cに埋設された第1磁石337aCの磁力を上回ることにより第1状態から第2状態に切り替ることとなる。図30(c2)に示す第2状態においては、遊技球が第1特定領域Sに衝突することで可動体331に加わる力が第2ストッパ338Cに埋設された第2磁石338aCの磁力を上回ることにより第2状態から第1状態に切り替ることとなる。
なお、重心GPと回動中心軸線CLとをずらす場合には、上記変形例に示したように可動体331Cの形状を変形させてもよいし、図30(c)に示すように可動体331Cに錘WTを追加してもよい。
(6)上記各実施の形態では、「球通過部」としてのステージ部340によって可動体331の球受け面333に対する遊技球の落下位置を多様化したが、遊技球の落下位置を多様化できるのであれば板状(皿状)をなす回転体に複数の貫通孔が形成された所謂クルーン等を用いてもよい。但し、遊技球の落下方向を多様として、同じ衝突位置であってもその後の挙動が落下方向に応じて変化する構成とすることにより遊技球の動きが単調になることを好適に抑制できる点に鑑みれば、上記実施の形態に示すように遊技球が揺動しつつ、その動きを伴って落下し得る構成とすることが好ましい。
(7)上記各実施の形態では、「球通過部」としてのステージ部340から遊技球が落下して「案内手段」としての可動体331に衝突する構成とし、遊技球の運動エネルギを利用して可動体331を回動させる構成としたが、可動体331については、遊技球を受けて状態が変化する(遊技球の重さを利用する)構成であれば足りる。つまり、可動体331に到達した遊技球が可動体331に載ることにより、当該遊技球の重さ(位置エネルギ)によって回動する構成とすることも可能である。
(8)上記第1〜第3の実施の形態では、可動体331に軸受け孔332を設け、「支持手段」としてのベース体335に軸部336を設けたが、図31の概略図に示すように軸受け孔及び軸部の配設対象を逆にすることも可能である。
特に、第3の実施の形態に示した技術的思想を具現化する上では、ベース体335Dに形成された軸受け孔336Dが水平に延びる構成とすることが好ましい。これにより図31(a)→図31(b)や図31(c)→図31(d)に示すように、可動体331Dの姿勢の変化によって可動体331Dが自重を利用してその位置を変える構成が好適に実現されることとなる。
(9)上記第3の実施の形態では、「球受け部」としての可動体431が移動することにより、可動体431の重心GPと「支持手段」としてのベース体435による支持位置との関係が変化する構成としたが、重心と支持位置との位置関係を変化させる構成とするのであれば、移動対象をベース体とすることも可能である。但し、このような構成では、支持機能を担保しつつ、遊技球の衝突による力をベース体の移動に利用することが困難になり、このような課題を解決しようとすれば、振分機構に係る構成が複雑になりやすい。また、上述したパワーロスを補おうとして、可動体431(球受け面433)とステージ部340との距離を大きくした場合には、振分機構330の耐久性の向上や遊技球の視認性の向上を実現することが困難になる。以上の理由から、「支持手段」ではなく「球受け部」を可動式とすることが好ましい。
(10)上記第4の実施の形態に示したように「球受け部」としての可動体531をスライド式とする上では上記構成に限定されない。例えば、当該思想を上記第1の実施の形態に適用する場合には、ハウジング301の底部301aを平坦として、その上に左右にスライド移動可能な状態で可動体を配置する。可動体の上面(球受け面)には、第1入球口及び第2入球口の並設方向における中間位置となる部分を頂部として、第1入球口側に下る第1傾斜面、第2入球口側に下る第2傾斜面を設け、遊技球が第1傾斜面に衝突することで当該遊技球が第1入球口へ案内され、第2傾斜面に衝突することで同遊技球が第2入球口へ案内される構成とする。そして、遊技球が各傾斜面に衝突することによって遊技球の反射方向とは反対側へ変位する構成とすれば、簡易な構成によって上述した偏りを生じさせることができる。
(11)上記第2の実施の形態においては、ラウンド継続を行う構成としたが、継続するラウンド数をストックする構成としてもよい。具体的には、所定数のラウンドまでを抽選ラウンドとし、所定数のラウンドが終了した後は抽選ラウンドで第1入球口321へ入賞した数に応じて残りラウンド遊技が実行される構成とすることも可能である。例えば、最大10Rの場合には、第1〜第5ラウンドを抽選ラウンドとし、これら抽選ラウンドにて第1入球口321へ入賞した遊技球の数がM個の場合には5+Mラウンドとすることも可能である。
なお、第1入球口321への入賞数と追加されるラウンド数について1対1で対応付けられている必要は必ずしもなく、第1入球口321への入球によって複数のラウンドが追加される構成としてもよい。また、第2入球口322への入球によって追加されたラウンド数が削減される構成とすることも可能である。これら2つの変形例を組み合わせる場合には、第1入球口321への入球によって追加されるラウンド数をM1、第2入球口322への入球によって削減されるラウンド数がM2、M1>M2とすることにより、更なる興趣向上に貢献できる。
(12)上記各実施の形態では、「制限手段」を構成する通路切替部材311によって、特定領域SEに案内される遊技球を制限する構成としたが、右側可変入賞装置83へ入賞した遊技球のうち特定の遊技球のみを特定領域SEに案内させる構成については任意である。
例えば、第1下流側通路306の途中位置に可動式のストッパを設け、当該第1下流側通路306に規定数Nよりも1つ少ないN−1個(上記実施の形態では9個)の遊技球が溜まることにより、それら遊技球によって後続の(10個目)の遊技球が第2下流側通路307へ移動する案内通路が形成される構成とすることも可能である。係る構成によれば、入賞した遊技球を用いて通路が形成されるため、通路の切替タイミングがシビアになることを好適に抑制できる。
(13)上記各実施の形態では、右側可変入賞装置83への入賞数が規定数Nに達した場合に、N個目の(最後の)遊技球を特定領域SEへ案内する構成としたが、1個目の遊技球を案内する構成とすることも可能である。
右側可変入賞装置83への入球数及び入球が許容される期間に制限(上限)がある場合には、右側可変入賞装置83に入球した1つ目の遊技球を特定領域SEへ送る構成とすることにより、所謂パンク等の発生によって第1入球口321/第2入球口322に係る振分抽選の機会が失われることを好適に抑制できる。
(14)上記各実施の形態では、第1入球口321に遊技球が1つ入球することにより、遊技者に特典が付与される構成としたが、これを以下のように変更してもよい。すなわち、右側可変入賞装置83に入賞した遊技球のうち複数(好ましくは奇数)が特定領域SEに案内され、これら特定領域SEに到達した遊技球のうち第1入球口321に入球した遊技球の数と第2入球口322に入球した遊技球の数に基づいて(例えば比較して)特典付与の可否を判定する構成としてもよい。
例えば、第1入球口321への入球数が第2入球口322への入球数を上回ることにより、特定が付与される構成とするとよい。このような構成においては、第1入球口321への入球数が第2入球口322への入球数を上回った場合に、敢えて右側可変入賞装置83へ向けた遊技球の発射を止めることにより、当該ラウンドで本来得られるべき特典を辞退し、後の遊技を有利に進めるという新たな遊技性が追加されることとなる。
(15)「第1入球部」としての第1入球口321と「第2入球部」としての第2入球口322とを用いて高確率モードやラウンド継続の振分抽選を行う構成としたが、これら入球口321,322については優劣の差が設定されていれば足りる。
例えば、第1入球口321への入球が発生した場合には第1特定数の賞球が払い出され、第2入球口322への入球が発生した場合には第2特定数の賞球が払い出される構成とすることも可能である。この場合、第1入球口321への入球が多くなることにより、遊技者が獲得できる遊技球の数が多くなる。
このような構成においては、特定の遊技球について特定領域SEへの到達が許可される構成に変えて、例えば右側可変入賞装置83に入球した全ての遊技球が特定領域SEへ到達する構成とすることにより、遊技の興趣向上に貢献できる。
(16)開閉実行モードの終了等の所定の条件が成立した場合に、可動体331を第1状態、第2状態、それら両状態の中間となる状態(中間状態)のいずれかに切り替える切替手段を設けることも可能である。例えば、高確率モードから低確率モードへ転落したことを契機として、中間状態に復帰させる構成とすればよい。これにより、遊技の継続を好適に促すことができる。
(17)上記第2の実施の形態では、抽選ラウンドに移行した場合に、開放対象を下側可変入賞装置82から右側可変入賞装置83に切り替える構成としたが、抽選ラウンド以外のラウンドにおいても右側可変入賞装置83を開放対象とすることも可能である。
この場合、抽選ラウンド以外の各ラウンドにおいては右側可変入賞装置83に入賞した遊技球が全て第1下流側通路306を経由して右側可変入賞装置83から排出される構成としてもよいし、抽選ラウンド以外の各ラウンドにおいても右側可変入賞装置83に入賞した遊技球の一部又は全てを第1下流側通路306を経由して右側可変入賞装置83から排出される構成としてもよい。
後者の変形例を採用する場合には、抽選ラウンド以外では、第1入球口321及び第2入球口322に係る抽選を無効とすればよい。係る構成によれば、例えば抽選ラウンドに移行する前のラウンド(上記実施の形態では第4ラウンド)にて既に有利な状態となっている場合には、遊技球の打ち出しを入賞数が上限に達する前に止めて、その状態のまま次の抽選ラウンドに移行することで、より多くの特典を享受できる可能性が生じる。つまり、目先の利益を敢えて見逃すことで、先に大きな利益を獲得できる可能性が生じる。これにより、遊技の戦略性を高めて更なる興趣向上に貢献することができる。
(18)上記各実施の形態では、リセットスイッチ166を押しながら電源スイッチ247がONになることにより、可動体331を強制的に第1状態とする構成としたが、これに限定されるものではない。リセットスイッチ166が操作された場合には、電源のON/OFFの切り替えに関係なく、可動体331を強制的に第1状態とすることも可能である。同様に、リセットスイッチ166の操作に関係なく、電源スイッチがONになった場合に可動体331を強制的に第1状態とする構成としてもよい。
更には、状態切替用駆動部を右側に配置して、当該状態切替用駆動部が動作することにより、強制的に第2状態になる構成とすることも可能である。この場合、その契機については、電源スイッチ247のON操作、リセットスイッチ166の操作、両スイッチ166,247の操作の何れであってもよい。
なお、強制的に可動体331の状態を切り替えるための「駆動部」については、ソレノイドである必要は必ずしもなく、回転軸に接続されたモータ等であってもよい。
(19)上記実施の形態では、「入球装置」として右側可変入賞装置83を採用したが、これに限定されるものではない。例えば、共通の入口部分を有する2つの作動入球部が設けられた作動入球ユニットを入球装置としてもよい。つまり、入口部分に入った遊技球は、案内手段によって各作動入球部にかかる検知部位の一方に案内される構成とすることも可能である。例えば、一方の作動入球部については振分抽選等にて他方の作動入球部よりも有利となるように設定することにより、有利/不利の流れに偏りを生じさせることができる。
(20)上記各実施の形態においては、右側可変入賞装置83のハウジング301を構成する前面部301eを透明な合成樹脂材料によって形成し、特定領域SE(詳しくは各入球口421,422、振分機構430、ステージ部440等)を遊技機前方から視認可能としたが、特定領域SEについては必ずしも視認可能とする必要はない。
(21)ステージ部340に形成された流出部345を通じて振分機構330に遊技球が供給される構成にて、転動面341にガイド溝342を複数形成することで、流出箇所に偏りを発生させる構成とした。つまり、ガイド溝342を通じた遊技球の流出を促しつつも、それらガイド溝342間からの遊技球の流出を許容する構成とした。これを以下のように変形することも可能である。すなわち、流出部345を仕切り部(壁部等)によって複数に区切る(分割する)ことにより、遊技球の流出箇所を限定する構成とすることも可能である。例えば、ガイド溝342a〜342cの間に仕切り部を設けて、ガイド溝342a〜342c以外からの遊技球の流出を不可としてもよい。
(22)パチンコ機10の電源スイッチ247が操作された場合と、リセットスイッチ166が操作された場合とで、振分機構330(可動体331)の第1状態及び第2状態への強制切替の態様を相違させてもよい。例えば、電源スイッチ247がONとなった場合には振分機構330(可動体331)を第1状態とし、リセットスイッチ166がONとなった場合には振分機構330(可動体331)を第2状態とする構成としてもよい。また、電源スイッチ247がONとなった場合には振分機構330(可動体331)を第1状態とし、リセットスイッチ166がONとなった場合には振分機構330(可動体331)を第1状態とする構成としてもよい。
振分機構330(可動体331)を第1状態/第2状態に強制的に切り替える手段として、ホール管理者等の作業者が当該振分機構330にアクセス可能なアクセス経路(例えば作業用の開口等)を確保してもよい。当該アクセス経路を経由して振分機構330(可動体331)を直接操作することにより、状況等に応じて振分機構330の切り替えが可能となる。これにより、作業者の利便性等の向上に貢献できる。なお、上述した電気的構成による強制切替機能と振分機構330に直接触れることを前提とした強制切替機能との二つの機能のうち少なくとも何れかを有していれば足りるが、利便性の向上等を実現する上ではこれら2つの機能を併有する構成とすることが好ましい。
(23)上記各実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも本発明を適用できる。
<上記各実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した各実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
以下の特徴群は、「パチンコ遊技機等の遊技機には、遊技球が流下する遊技領域が形成された遊技盤を備えているものがある。遊技者の発射操作に基づいて遊技球が遊技領域に向けて発射され、発射された遊技球が遊技領域に設けられた入球部に入ると、それに基づいて遊技球の払い出し等の特典が遊技者に対して付与される。
このように遊技球の動きに応じて特典の付与が左右される遊技機においては、遊技領域に釘や風車等の遊技部品を配設することにより、遊技球の流下経路を分散させ、遊技球の動きを多様化させることで同遊技球の動きへの注目度、ひいては遊技への注目度を高めているものがある(例えば、特許文献1参照)。」という背景技術について、「しかしながら、遊技球の動きによって遊技への注目度を向上させる上では、その構成に未だ改善の余地がある。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
特徴1.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技盤80a)と、
前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な入球装置(右側可変入賞装置83)と
を備え、
前記入球装置は、
第1入球部(第1入球口321)及び当該第1入球部よりも遊技者に有利な第2入球部(第2入球口322)と、
当該入球装置の入口部分を通過した遊技球を前記第2入球部よりも前記第1入球部に案内しやすい第1状態、及び当該入口部分を通過した遊技球を前記第1入球部よりも前記第2入球部に案内しやすい第2状態に切替可能な案内手段(例えば振分機構330)と
を有し、
前記案内手段は、当該案内手段へ遊技球が到達した場合に当該遊技球を受けて前記第1状態及び前記2状態に切り替わるように構成されていることを特徴とする遊技機。
特徴1によれば、入球装置に入った遊技球は案内手段を経て第1入球部又は第2入球部へ入球することとなる。案内手段は、遊技球を受けて(具体的には遊技球が当たりその遊技球から受けた力等により)第1状態/第2状態に切り替わる。つまり、先に案内された遊技球によって後の遊技球の案内態様が変化することとなる。このように、先に到達した遊技球の影響が後の遊技球に及ぶ構成とすることにより、前後の遊技球の動きに関連性を付与することができ、遊技に流れを生じさせることが可能となる。これにより、遊技への注目度の向上に貢献できる。
なお、「案内手段」については、遊技者が目視によりその状態を確認できる構成とするとよい。係る構成とすれば、例えば遊技者に案内手段の状態を参照して遊技を行うか否かを判断するように促すことができ、遊技の戦略性を好適に向上させることが可能となる。
特徴2.前記案内手段は、当該案内手段が前記第1状態及び前記第2状態の一方になっている状況下にて同案内手段に遊技球が到達した場合に、他方に切り替わるよりもそのままの状態に維持されやすい構成となっていることを特徴とする特徴1に記載の遊技機。
特徴2によれば、案内手段の状態が遊技球の到達の都度頻繁に変化することを抑えることができる。これにより、遊技者に有利な状態が継続されたり、遊技者に不利な状態が継続されたりし、遊技の流れにメリハリを与えることができる。故に、遊技が単調になることを好適に抑制できる。
また、構造的側面からこのようなメリハリを与えることにより、遊技機本来の遊技球の動きを目で追うという楽しみと遊技の流れとの関連性を強めることが可能となり、遊技への注目度の向上に貢献できる。
なお、本特徴は「前記案内手段は、当該案内手段が前記第1状態となっている状況下にて同案内手段に遊技球が到達した場合に、前記第2状態に切り替わるよりも前記第1状態のままとなりやすく、当該案内手段が前記第2状態となっている状況下にて同案内手段に遊技球が到達した場合に、前記第1状態に切り替わるよりも前記第2状態のままとなりやすい構成となっていることを特徴とする特徴1に記載の遊技機。」であってもよい。この構成によれば、遊技者に有利な状態となった後はその状態に維持されやすくなり、不利な状態になった後もその状態に維持されやすくなる。これにより、遊技に有利/不利のメリハリを与えることができ、遊技の単調化を好適に抑制できる。
特徴3.前記案内手段は、当該案内手段に到達した遊技球が前記第1入球部に向けて移動することで前記第1状態となり、当該案内手段に到達した遊技球が前記第2入球部に向けて移動することで前記第2状態となるように構成されていることを特徴とする特徴1又は特徴2に記載の遊技機。
上記構成によれば、案内手段に先に到達した遊技球が第1入球部に入球した場合には、次に案内手段に到達した遊技球も第1入球部に入球しやすくなり、第1状態→第1入球部への入球→第1状態の連鎖が発生する。一方、案内手段に先に到達した遊技球が第2入球部に入球した場合には、次に案内手段に到達した遊技球も第2入球部に入球しやすくなり、第2状態→第2入球部への入球→第2状態の連鎖が発生する。このように、遊技の流れ(有利/不利)にメリハリを与えることにより、遊技が単調化になることを好適に抑制できる。
特徴4.前記案内手段は、当該案内手段に到達した遊技球によって押されて同案内手段の位置又は姿勢が変化することにより、前記第1状態及び前記第2状態のいずれかに切り替ることを特徴とする特徴1乃至特徴3のいずれか1つに記載の遊技機。
案内手段に到達した遊技球に押されて案内部手段の位置又は姿勢が変化する構成とすれば、案内手段の状態変化に遊技球が直接関与することとなる。このように、遊技球の重さ等を利用することにより、特徴1に示した効果を享受する上で構成が過度に複雑になることを抑制できる。
特に、案内手段に案内通路を形成する機能を付与する構成においては、当該案内手段及び案内される遊技球を視認可能とすることが好ましい。このような構成とすれば、遊技球の動きを目で追いやすくなり、上述した注目度向上効果を好適に発揮できる。
特徴5.前記案内手段は、前記第1入球部及び前記第2入球部の間に配置され、
前記案内手段は、前記第1状態においては前記第1入球部に向けて傾くことにより当該第1入球部へ下る案内通路を形成し、前記第2状態においては前記第2入球部に向けて傾くことにより当該第2入球部へ下る案内通路を形成することを特徴とする特徴4に記載の遊技機。
案内手段によって形成された案内通路に沿って遊技球が移動することにより、案内手段に対して遊技球が作用する期間(遊技球の重さが加わる期間)を長くして、状態切替機能や状態維持機能を好適に発揮させることができる。なお、上記構成は案内手段の姿勢の乱れ(例えば揺れ)を抑制する上でも有利である。
特徴6.前記案内手段は、
当該案内手段に到達した遊技球を受ける受け面(球受け面333)を有し、当該受け面により前記案内通路を形成する球受け部(可動体331)と、
前記球受け部を回動可能に支持する支持手段(ベース体335)と
を有し、
前記球受け部及び前記支持手段は、前記第2状態から前記第1状態への切り替えに伴う前記案内手段の姿勢の変化により当該案内手段の重心位置が前記支持手段による支持部分よりも前記第1入球部側となるように前記案内手段及び前記支持手段の何れかを変位させ、前記第1状態から前記第2状態への切り替えに伴う前記案内手段の姿勢の変化により当該案内手段の重心位置が前記支持部分よりも前記第2入球部側となるように前記案内手段及び前記支持手段の何れかを変位させるように構成されていることを特徴とする特徴5に記載の遊技機。
案内手段の状態切り替えによって重心位置と支持部分との相対位置が変化することにより、案内手段の自重を利用して第1状態/第2状態の維持機能(偏り発生機能)、すなわち上述した連鎖機能を好適に発揮させることができる。
特徴7.前記球受け部及び前記支持手段の一方に設けられた軸部(例えば軸部336)と、前記球受け部及び前記支持手段の他方に設けられ、前記軸部に係合する軸受け部(例えば可動体331の肉部)とを有し、前記軸受け部と前記軸部とが係合することで前記支持手段によって前記球受け部が支持されており、
前記軸受け部は、前記軸部の軸線方向と交差する方向に延びる軸受け孔(軸受け孔332)を有していることを特徴とする特徴6に記載の遊技機。
特徴7によれば、簡易な構成により、案内手段(球受け部)の回動・支持機能と重心移動機能とを好適に発揮させることが可能となる。
特徴8.前記軸受け孔は、前記球受け部に設けられており、当該球受け部において前記軸部の軸線方向に直交する方向において同球受け部の重心を跨ぐように形成されていることを特徴とする特徴7に記載の遊技機。
案内手段が球受け部を有する構成では、遊技球が直接作用する球受け部に軸受け孔を設けることにより、支持手段による球受け部の支持機能を担保しつつ、第1状態/第2状態の切り替えを円滑に行うことが可能となる。この場合、軸受け部を球受け部の重心を跨ぐように形成することにより、球受け部の自重を上述した偏りの発生に上手く利用できる。
なお、例えば球受け部の重心位置と支持部分との位置関係を変化させるには、支持手段を可動式とすることも可能である。但しこのような構成では、切り替えの動力源となる遊技球の位置/運動エネルギを無駄なく利用することが困難になったり、耐久性の担保が難しくなったりする。前者については、遊技球の落下距離等を大きくすることにより対応可能ではあるが、これは耐久性の向上の妨げとなる。そこで、「前記第2状態から前記第1状態への切り替えに伴う前記案内手段の姿勢の変化により当該案内手段の重心位置が前記支持手段による支持部分よりも前記第1入球部側となるように前記案内手段を変位させ、前記第1状態から前記第2状態への切り替えに伴う前記案内手段の姿勢の変化により当該案内手段の重心位置が前記支持部分よりも前記第2入球部側となるように前記案内手段を変位させる」構成とすれば、それら各種不都合の発生を好適に抑制できる。
特徴9.前記入球装置は、当該入球装置の入口部分(右側大入賞口83a)と前記案内手段との間に設けられた球通過部(ステージ部340)を有し、
前記球通過部は、前記案内手段よりも上側に位置し、当該球通過部に到達した遊技球が前記球受け部において当該案内手段の回動中心部よりも前記第1入球部寄りとなる位置及び当該回動中心部よりも前記第2入球部寄りとなる位置を含む所定の範囲に向けて落下するように形成されており、
前記入球装置は、前記球通過部を通過する遊技球、前記球受け部、当該球受け部に到達した遊技球を遊技機前方から視認可能となるように構成されていることを特徴とする特徴6乃至特徴8のいずれか1つに記載の遊技機。
落下位置を多様化することにより、遊技球の落下時点で結末が容易に予測されることを抑制し、落下後の遊技球及び案内手段の挙動へ注目を促すことができる。
また、遊技球の落下→球受け部への衝突により、遊技球の落下の勢いを案内手段に無駄なく伝えることができ、案内手段を動作させるための機構を簡素化できる。
なお、特徴8との組み合わせにおいては特に、遊技球の落下距離を無駄に大きくする必要がなく、球通過部と案内手段(球受け部)とを近づけることができる。このように、注目すべき箇所の離れを抑えることにより、遊技球の動きを目で追いやすくなる。
特徴10.前記球通過部は、当該球通過部に到達した遊技球が前記両入球部の並設方向に揺動可能な凹面部(転動面341)を有し、
当該凹面部は、前記案内手段側へ下り傾斜していることを特徴とする特徴9に記載の遊技機。
上記構成によれば、球通過部に到達した遊技球は球通過部の凹面部にて揺動し、その後案内手段(球受け部)に向けて落下する。ここで、本特徴に示す構成によれば、遊技球が垂直方向だけではなく斜め方向にも落下し得る。同じ位置へと遊技球が落下した場合であっても、その落下方向に応じてその後の遊技球の挙動が異なることとなり、遊技球の動きを多様化することができる。これにより、遊技球が案内手段に到達する前のタイミング(詳しくは球通過部から流出したタイミング)で、案内手段による案内態様を予測しづらくできる。これは、実際に案内が行われる前に遊技への注目が早々に低下することを抑制する上で好ましい構成である。
特徴11.前記遊技盤に設けられ、前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な始動入球部(作動口84,85)と、
前記始動入球部に遊技球が入球したことに基づいて特別情報を取得する情報取得手段(主制御装置162のMPU602における入賞処理を実行する機能)と、
前記情報取得手段が取得した特別情報が、予め定められた付与情報に対応しているか否かの付与判定を行う付与判定手段(主制御装置162のMPU602における抽選処理を実行する機能)と、
前記付与判定手段による付与判定の結果が付与対応結果となったことに基づいて、遊技状態を遊技者に有利な特別遊技状態に移行させる特別遊技状態移行手段(主制御装置162のMPU602における遊技状態移行処理を実行する機能)と
を備え、
前記入球装置は、前記特別遊技状態への移行に基づいて遊技球の入球が許容される構成となっており、
第1遊技状態と、当該第1遊技状態よりも前記付与判定手段による付与判定の結果が前記付与対応結果となりやすい第2遊技状態とが設けられており、
前記入球装置に入った遊技球が前記第1入球部へ入球したことに基づいて遊技状態を第1遊技状態とし、前記入球装置に入った遊技球が前記第2入球部へ入球したことに基づいて遊技状態を前記第2遊技状態とする手段を備えていることを特徴とする特徴1乃至特徴10のいずれか1つに記載の遊技機。
上記構成に特徴1等に示した技術的思想を適用することにより、遊技状態を有利な状態及び不利な状態で偏りを発生させることができる。例えば、先の特別遊技状態にて第1入球部への入球が発生した場合には、次の特別遊技状態へ移行しやすくなり、且つ次の特別遊技状態においても第1入球部への入球の期待度が高まり、先の特別遊技状態にて第2入球部への入球が発生した場合には、次の特別遊技状態へ移行しにくくなり、且つ次の特別遊技状態においても第2入球部への入球の期待度が低下する。これにより、遊技が単調になることを抑制し、遊技にメリハリを与えることができる。
特に、構造的側面からこのようなメリハリを与えることにより、遊技機本来の遊技球の動きを目で追うという楽しみと遊技の流れとの関連性を強めることが可能となり、遊技への注目度を好適に向上させることができる。
特徴12.前記遊技盤に設けられ、前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な始動入球部(作動口84,85)と、
前記始動入球部に遊技球が入球したことに基づいて特別情報を取得する情報取得手段(主制御装置162のMPU602における入賞処理を実行する機能)と、
前記情報取得手段が取得した特別情報が、予め定められた付与情報に対応しているか否かの付与判定を行う付与判定手段(主制御装置162のMPU602における抽選処理を実行する機能)と、
前記付与判定手段による付与判定の結果が付与対応結果となったことに基づいて、通常よりも遊技者に有利なラウンド遊技状態に移行させる遊技状態移行手段(主制御装置162のMPU602における遊技状態移行処理を実行する機能)と
を備え、
前記入球装置は、前記ラウンド遊技状態への移行に基づいて遊技球の入球が許容される構成となっており、
前記ラウンド遊技状態となっている状況下にて、前記第1入球部への入球が発生した場合にラウンド遊技を継続させる手段と、前記第2入球部への入球が発生した場合に前記ラウンド遊技を終了させる手段とを備えていることを特徴とする特徴1乃至特徴10のいずれか1つに記載の遊技機。
ラウンド遊技状態(例えば入球装置が特定状態と当該特定状態よりも入球が困難な非特定状態とに複数回に亘って切り替る遊技状態)に移行するタイプの遊技機においては、ラウンド遊技が淡々と消化されることで遊技が単調になり得る。この点、上記構成に特徴1等に示した技術的思想を適用することにより、獲得できるラウンド遊技の継続数に偏りを発生させることができる。例えば、先のラウンド遊技にて第1入球部への入球が発生した場合には、ラウンド遊技が継続され、且つ次のラウンド遊技においても第1入球部への入球の期待度が高まることとなる。つまり、ラウンド遊技が継続する際には遊技者にまとまった特典が付与されることとなる。一方、先のラウンド遊技にて第2入球部への入球が発生した場合には、ラウンド遊技状態が終了する。これにより、ラウンド遊技が単調になることを抑制し、遊技にメリハリを与えることができる。
なお、構造的側面からこのようなメリハリを与える構成においては、例えば「前記球受け部及び当該球受け部に到達した遊技球を遊技機前方から視認可能となるように」構成することにより、遊技機本来の遊技球の動きを目で追うという楽しみと遊技の流れとの関連性を強めることが可能となり、遊技への注目度を好適に向上させることができる。
特徴13.前記入球装置は、前記球受け部及び当該球受け部に到達した遊技球を遊技機前方から視認可能となるように構成されており、
さらに、前記入球装置は、当該入球装置の入口部分と前記案内手段との間に設けられ、当該案内手段に到達する遊技球の数を規制する規制手段(通路切替部材311や主制御装置162のMPU602)を有していることを特徴とする特徴11又は特徴12に記載の遊技機。
特徴11等に示したように、遊技球が第1入球部に入るか否かによってその後の展開が大きく左右される構成においては、多量の遊技球が案内手段に到達することで遊技球の動きを把握しづらくなる。これは、遊技球の動きと案内手段の動きとの関係を強めて注目度の向上を図る上での妨げになりやすい。そこで、本特徴に示すように案内手段に到達する遊技球の数を規制する構成とすれば、このような不都合の発生を回避することができる。
なお、入球装置への入球数及び入球が許容される期間に制限(上限)がある場合には、入球装置に入球した1つ目の遊技球を案内手段へ送る構成とすることにより、所謂パンク等の発生によって第1入球部/第2入球部に係る振分抽選の機会が失われることを好適に抑制できる。
また、同じく入球装置への入球数及び入球が許容される期間に制限(上限)がある場合には、入球装置に入った遊技球のうち上限到達の契機となった遊技球を案内手段に送る構成とすれば、入球数が上限に達することが上述した振分抽選の実行条件となる。このため、遊技者は期間内に入球数が上限に達することを期待しながら遊技を行うこととなる。故に、遊技の単調化を好適に抑制できる。
特徴14.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技盤80a)と、
前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な入球装置(右側可変入賞装置83)と
を備え、
前記入球装置は、
第1入球部(第1入球口321)及び当該第1入球部よりも遊技者に有利な第2入球部(第2入球口322)と、
当該入球装置の入口部分を通過した遊技球を前記第2入球部よりも前記第1入球部に案内しやすい第1状態、及び当該入口部分を通過した遊技球を前記第1入球部よりも前記第2入球部に案内しやすい第2状態に切替可能な案内手段(例えば振分機構330)と
を有し、
前記案内手段は、前記第1入球部への入球が発生した場合には、それに伴う遊技球に動きによって第1状態となり、前記第2入球部への入球が発生した場合には、それに伴う遊技球に動きによって第2状態となるように構成されていることを特徴とする遊技機。
上記構成によれば、案内手段に先に到達した遊技球が第1入球部に入球した場合には、次に案内手段に到達した遊技球も第1入球部に入球しやすくなり、第1状態→第1入球部への入球→第1状態の連鎖が発生する。一方、案内手段に先に到達した遊技球が第2入球部に入球した場合には、次に案内手段に到達した遊技球も第2入球部に入球しやすくなり、第2状態→第2入球部→第2状態の連鎖が発生する。このように、遊技の流れ(有利/不利)にメリハリを与えることにより、遊技が単調化になることを好適に抑制できる。
特徴15.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技盤80a)と、
前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な入球装置(右側可変入賞装置83)と
を備え、
前記入球装置は、
第1入球部(第1入球口321)及び当該第1入球部よりも遊技者に有利な第2入球部(第2入球口322)と、
遊技球が転動する転動面(球受け面333)を有し、当該転動面が前記第1入球部に向けて傾斜する第1状態及び当該転動面が前記第2入球部に向けて傾斜する第2状態に切替可能な可動体(例えば可動体331)と
を有し、
前記可動体は、前記転動面へ遊技球が到達した場合に当該遊技球を受けて回動することにより、前記第1状態及び前記第2状態に切り替るように構成されていることを特徴とする遊技機。
特徴15によれば、入球装置に入った遊技球は可動体(転動面)を経て第1入球部又は第2入球部へ入球することとなる。可動体は、遊技球を受けて(具体的には遊技球が当たりその遊技球から受けた力等により)第1状態/第2状態に切り替わる。つまり、先に案内された遊技球によって後の遊技球の案内態様が変化することとなる。このように、先に到達した遊技球の影響が後の遊技球に及ぶ構成とすることにより、前後の遊技球の動きに関連性を付与することができ、遊技に流れを生じさせることが可能となる。これにより、遊技への注目度の向上に貢献できる。
なお、「可動体」については、遊技者が目視によりその状態を確認できる構成とするとよい。係る構成とすれば、例えば遊技者に案内手段の状態を参照して遊技を行うか否かを判断するように促すことができ、遊技の戦略性を好適に向上させることが可能となる。
特徴16.前記転動面は、前記可動体の回動中心部分を跨ぐようにして延びていることを特徴とする特徴15に記載の遊技機。
特徴16によれば、特徴15に示した切替機能を担保しつつ、可動体の動作領域が無駄に大きくなることを抑制することができる。これにより、入球装置の小型化を促進して、当該入球装置の配置に係る制約を抑えることができる。例えば、可動体の中間部分(回動方向における可動体の両端部の間となる部分)を軸支するとよい。
特徴17.前記可動体よりも上側に位置し、前記入球装置に流入した遊技球を前記転動面へ向けて落下させることにより前記可動体へ遊技球を供給する供給部を備え、
前記可動体は、当該可動体の回動中心軸線が前記供給部からの遊技球の落下方向と交差する方向に延びるようにして軸支されていることを特徴とする特徴15又は特徴16に記載の遊技機。
特徴17によれば、遊技球の重み等を可動体の姿勢を変化させる動力源として好適に作用させることができる。
特徴18.前記可動体は、当該可動体が前記第1状態及び前記第2状態の一方になっている状況下にて同可動体に遊技球が到達した場合に、他方に切り替わるよりもそのままの状態に維持されやすい構成となっていることを特徴とする特徴15乃至特徴17のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴18によれば、可動体の状態が遊技球の到達の都度頻繁に変化することを抑えることができる。これにより、遊技者に有利な状態が継続されたり、遊技者に不利な状態が継続されたりし、遊技の流れにメリハリを与えることができる。故に、遊技が単調になることを好適に抑制できる。
また、構造的側面からこのようなメリハリを与えることにより、遊技機本来の遊技球の動きを目で追うという楽しみと遊技の流れとの関連性を強めることが可能となり、遊技への注目度の向上に貢献できる。
なお、本特徴は「前記可動体は、当該可動体が前記第1状態となっている状況下にて同可動体に遊技球が到達した場合に、前記第2状態に切り替わるよりも前記第1状態のままとなりやすく、当該可動体が前記第2状態となっている状況下にて同可動体に遊技球が到達した場合に、前記第1状態に切り替わるよりも前記第2状態のままとなりやすい構成となっていることを特徴とする特徴15乃至特徴17のいずれか1つに記載の遊技機。」であってもよい。この構成によれば、遊技者に有利な状態となった後はその状態に維持されやすくなり、不利な状態になった後もその状態に維持されやすくなる。これにより、遊技に有利/不利のメリハリを与えることができ、遊技の単調化を好適に抑制できる。
特徴19.前記可動体は、当該可動体に到達した遊技球が前記第1入球部に向けて移動することで前記第1状態となり、当該可動体に到達した遊技球が前記第2入球部に向けて移動することで前記第2状態となるように構成されていることを特徴とする特徴15乃至特徴18のいずれか1つに記載の遊技機。
上記構成によれば、可動体に先に到達した遊技球が第1入球部に入球した場合には、次に可動体に到達した遊技球も第1入球部に入球しやすくなり、第1状態→第1入球部への入球→第1状態の連鎖が発生する。一方、可動体に先に到達した遊技球が第2入球部に入球した場合には、次に可動体に到達した遊技球も第2入球部に入球しやすくなり、第2状態→第2入球部への入球→第2状態の連鎖が発生する。このように、遊技の流れ(有利/不利)にメリハリを与えることにより、遊技が単調化になることを好適に抑制できる。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル41)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110のソレノイド111)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(誘導レール100)と、遊技領域内に配置された各遊技部品(釘90等)とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部(作動口84,85等)を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。