<第1の実施の形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の第1の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10を正面側から見た斜視図、図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域PE内の構成を省略している。
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に取り付けられた遊技機主部12とを有している。
外枠11は板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。外枠11を島設備に取り付け固定することにより、パチンコ機10が遊技ホールに設置される。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、遊技場の島設備に外枠11が備え付けられた構成としてもよい。
遊技機主部12は、外枠11によって開閉可能な状態で支持されている。具体的には、外枠11における上枠部と左枠部との連結部分に上側支持用金具17が固定されており、さらに外枠11における下枠部と左枠部との連結部分に下側支持用金具18が設けられている。これら上側支持用金具17及び下側支持用金具18により支持機構が構成され、当該支持機構により外枠11に対して遊技機主部12がパチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側としてパチンコ機10の前方へ回動可能とされている(図2及び図3参照)。
図2に示すように、遊技機主部12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。なお、遊技機主部12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として内枠13が前方へ回動可能とされている。
内枠13には、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている(図3参照)。
(前扉枠14)
次に、前扉枠14について説明する。図2に示すように、前扉枠14は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす合成樹脂製の枠体20を主体に構成されており、内枠13における前面のほぼ全域を覆っている。枠体20の中央部分には後述する遊技領域PEのほぼ全域を前方から視認することができるようにした略楕円状の窓部21が形成されており、その窓部21はガラスユニット22によって同前扉枠14の背面側から塞がれている。
ガラスユニット22は、透明性を有する複数のガラスパネル23と、それらガラスパネル23を保持するガラスホルダとを備えている。ガラスホルダには、ガラスパネル23の保持領域を前後に仕切る仕切り部が形成されており、両ガラスパネル23は仕切り部を挟んで前後に相対向している。つまり、両ガラスパネル23の間に所定の隙間を確保することにより、ガラスパネル23同士の干渉を回避しつつ、それらガラスパネル23によって遊技領域PEをパチンコ機10の正面側から2重に覆った状態となっている。
なお、必ずしも両ガラスパネル23をガラスホルダを用いてユニット化する必要は無く、各ガラスパネル23を枠体20に対して個々に取り付ける構成としてもよい。更には、ガラスパネルの枚数は任意であり、1枚としてもよいし、3枚以上としてもよい。但し、安全性及び防犯性向上の観点から、複数のガラスパネルを採用し、それら各ガラスパネルを所定の隙間を挟んで前後に対向させることが好ましい。因みに、ガラスパネルに代えて透明性を有する合成樹脂性のパネル部材を採用することも可能である。
図1に示すように、ガラスユニット22(詳しくは窓部21)の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部26が設けられている。環状電飾部26では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部26の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ部27が設けられ、さらにその左右側方には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部28が設けられている。また、左右の賞球ランプ部28に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部29が設けられている。
前扉枠14(枠体20)における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部31と下側膨出部32とが上下に並設されている。上側膨出部31内側には上方に開口した上皿33が設けられており、下側膨出部32内側には同じく上方に開口した下皿34が設けられている。上皿33は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿34は、上皿33内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
下側膨出部32の右方には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル41が設けられている。遊技球発射ハンドル41が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。
前扉枠14の背面には、図2に示すように、通路形成ユニット45が取り付けられている。通路形成ユニット45は、合成樹脂により成形されており、上皿33に通じる前扉側上皿通路と下皿34に通じる前扉側下皿通路とを有している。通路形成ユニット45において、その上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部が形成されており、当該受口部を仕切壁によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路の入口部分と前扉側下皿通路の入口部分とが区画形成されている。前扉側上皿通路に入った遊技球は上皿33に導かれ、前扉側下皿通路に入った遊技球は下皿34に導かれることとなる。
前扉枠14の背面における回動基端側には、その上端部及び下端部に突起軸が設けられている。これら突起軸は内枠13に対する組付機構を構成する。また、前扉枠14の背面における回動先端側には、図2に示すように、後方に延びる鉤金具49が上下方向に複数並設されている。これら鉤金具49は内枠13に対する施錠機構を構成する。
(内枠13)
次に、図2及び図3に基づき内枠13について詳細に説明する。内枠13は、外形が外枠11と同様に略矩形状をなす樹脂ベース50を主体に構成されている。樹脂ベース50の高さ寸法は、外枠11の高さ寸法よりも若干小さく設定されている。また、樹脂ベース50は外枠11の上側枠部に寄せて配置され、外枠11の下側枠部と樹脂ベース50との間には若干の隙間が形成されている。外枠11にはこの隙間を塞ぐようにして幕板が装着されている。幕板は、樹脂ベース50(詳しくはその下端部)の下方に配置されており、内枠13が外枠11に対して閉じられた状態では樹脂ベース50が幕板の上に載ることとなる。
樹脂ベース50の前面における回動基端側には、その上端部及び下端部に支持金具51,52が取り付けられている。支持金具51,52には軸孔が形成されており、それら軸孔に前扉枠14の突起軸が挿入されることにより、内枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。
樹脂ベース50の前面における回動先端側には、前扉枠14の背面に設けられた鉤金具49を挿入するための挿入孔がそれぞれ設けられている。本パチンコ機10では、図3に示すように、内枠13や前扉枠14を施錠状態とするための施錠装置55が内枠13の背面側に隠れて配置される構成となっている。したがって、鉤金具49が挿入孔を介して施錠装置55(詳しくは前扉用鉤受け部材)に係止されることによって、前扉枠14が内枠13に対して開放不能に施錠される。また、施錠装置55は、内枠13の後方へ延びる内枠用鉤部材57を有している。これら内枠用鉤部材57が外枠11の鉤受け部材19に引っ掛かることにより遊技機主部12が外枠11に対して閉じた状態で施錠される。
樹脂ベース50の右下隅部には、施錠装置55の解錠操作を行うためのシリンダ錠58が設置されている。シリンダ錠58は施錠装置55に一体化されており、シリンダ錠58の鍵穴に差し込んだキーを右に回すと内枠13に対する前扉枠14の施錠が解除され、シリンダ錠58の鍵穴に差し込んだキーを左に回すと外枠11に対する内枠13の施錠が解除されるように施錠装置55が構成されている。
樹脂ベース50の中央部には略楕円形状の窓孔54が形成され、樹脂ベース50に装着された遊技盤60によって同窓孔54が後方から塞がれている。遊技盤60は、木製の合板と同合板における前側の板面を覆うシート材とを有してなり、その前面が上記窓孔54を通じて樹脂ベース50の正面側に露出している。この露出している部位、すなわち遊技盤60の前面には、遊技球が流下する遊技領域PEが形成されている。なお、遊技盤60は木製に限定されるものではなく、合成樹脂製とすることも可能である。
以下、図4に基づき遊技盤60(特に遊技領域PEに配された各種構成)について説明する。図4は遊技盤60の正面図である。
(遊技盤60)
遊技盤60には、自身の厚さ方向(前後方向)に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口61、作動入球部62,63、可変入球装置65、スルーゲート66、可変表示ユニット67等がそれぞれ配設されている。一般入賞口61、作動入球部62,63、可変入球装置65等の入球部への入球が発生すると、それが検知センサにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出し等の特典が遊技者に付与される。
遊技盤60の最下部にはアウト口68が設けられており、各種入球部に入らなかった遊技球はアウト口68を通って遊技領域PEから排出される。ここで、入球とは、所定の開口部位を遊技球が通過することを意味し、同開口部位を通過した後に遊技球が遊技領域PEから排出される態様だけでなく、開口部位を通過した後に遊技領域PEから排出されない態様も含まれる。但し、以下の説明では、アウト口68への遊技球の入球と明確に区別するために、一般入賞口61、作動入球部62,63、可変入球装置65、スルーゲート66への入球を、入賞とも表現する。
また、遊技盤60には、遊技球の流下経路を適宜分散,調整等するために多数の釘69が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。これら釘69や風車等の各種構成によって、遊技球の流下経路が分化され、上述した一般入賞口61等への入賞が適度な確率で発生するように調整されている。
上記可変表示ユニット67は遊技盤60の中央に配されており、同可変表示ユニット67の周辺に上記作動入球部62,63等が配設されている。作動入球部62,63は、可変表示ユニット67の下方及び右方に配置されている。以下便宜上、可変表示ユニット67の下側に配置された作動入球部を「下側作動入球部62」と称し、可変表示ユニット67の右側に配置された作動入球部を「右側作動入球部63」と称する。
右側作動入球部(抽選契機入球部)63については特に、開閉式の入球補助装置(入球補助手段)又は開閉部材(開閉手段)としての電動役物71が設けられている。電動役物71は、可動片71aと同可動片71aを駆動させるソレノイド式の駆動部71bとを有してなり、当該可動片71aを動作させることにより右側作動入球部63における入口部(右側作動口63a)への入球が可能又は容易となる開状態(サポート状態又は補助状態)と、同入球が不可又は上記開状態よりも困難となる閉状態(非サポート状態又は非補助状態)とに切替可能となっている(図4(b)参照)。
遊技領域PEにおいて可変表示ユニット67の側方となる領域(右ルート)であって、右側作動入球部63の上流側(詳しくは直上)となる位置には、上記スルーゲート66が配置されている。遊技球のスルーゲート66の通過をトリガとした抽選にて当選となった場合には、電動役物71が予め設定された時間に亘って開状態となる。
右側作動入球部63の電動役物71におけるサポートモードとしては、遊技領域PEに対して同様の態様で遊技球の発射が継続されている状況で比較した場合に、右側作動口63aが単位時間当たりに開放状態となる頻度が相対的に高低となるように、低頻度サポートモード(低頻度サポート状態又は低頻度ガイド状態)と高頻度サポートモード(高頻度サポート状態又は高頻度ガイド状態)とが設定されている。
スルーゲート66には遊技球が通過する球通路が形成されており、この通過経路を通過した遊技球は、釘69を配列して形成された誘導通路64を通じて右側作動入球部63へ到達する構成となっている。このようにして、右側作動入球部63への入球確率を高める工夫をすることにより、後述する高頻度サポートモード中は、投資を抑えながら(持ち球の減りを抑えながら)遊技を進めることができる。
右側作動入球部63にも遊技球が通過する球通路が形成されており、右側作動入球部63へ入賞しなかった遊技球は、右側作動入球部63を素通りして右側作動入球部63の下方に配置された可変入球装置65へ向けて流下することとなる。
可変入球装置(特別入球装置又は特別入球手段)65には、大入賞口402が形成され、当該大入賞口402を開閉する開閉手段としての開閉機構が設けられている。当該開閉機構は、大入賞口402用の開閉部材としてのシャッタ403を有してなる。シャッタ403は、遊技球の入球が可能又は容易となる開状態(補助状態又は受入状態)と、同入球が不可又は困難となる閉状態(非補助状態又は非受入状態)とに切替可能となっている。また、同シャッタ403は可変入球駆動部404(詳しくはモータ426)と連結されており、通常時においてはシャッタ403が閉状態のまま維持され、内部抽選において開閉実行モード(開閉実行状態)への移行に当選した場合に開状態に切り替えられるようになっている。
ここで、開閉実行モードとは、大当たり当選となった場合に移行することとなるモードである。当該開閉実行モードにおける可変入球装置65の開放態様としては、例えば所定期間(本実施の形態においては30sec)の経過又は所定個数(本実施の形態においては10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(本実施の形態においては15ラウンド)を上限としてシャッタ403の開放が繰り返されるように設定されている。
ここで、各作動入球部62,63及び可変入球装置65の配置について補足説明する。上記可変表示ユニット67の左側となる領域に向けて遊技球が発射された場合には、可変表示ユニット67の側方を通過した遊技球は遊技領域PEにおいて当該可変表示ユニット67の下側となる領域へと誘導される。この際、右側作動入球部63を素通りした遊技球は可変入球装置65へと流下し、当該可変入球装置65の大入賞口402へ入球しなかった場合には、アウト口68を通じて遊技領域PE外に排出される。一方、上記下側作動入球部62については右ルートを流下した遊技球が到達不可となるように配置されている。
なお、可変入球装置65には、遊技球を遊技領域PEにおいて可変表示ユニット67の下側となる領域(詳しくは下側作動入球部62よりも下流側となる領域)へ向けて誘導する誘導部が形成されており、可変入球装置65を素通りした遊技球はアウト口68へ向けて流下することとなる。つまり、下側作動入球部62については、可変表示ユニット67の右側となる領域へ向けて発射された遊技球が到達不可となる位置に配置されている。故に、下側作動入球部62への入賞を狙う場合には、遊技領域PEにおいて可変表示ユニット67の左側となる領域(左ルート)へ遊技球を発射する必要がある。
次に、可変表示ユニット67について説明する。可変表示ユニット67には、作動入球部62,63への入賞をトリガとして図柄を可変表示(変動表示)する図柄表示装置75が設けられている。
図柄表示装置75は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示画面75aにおける表示内容が制御される。図柄表示装置75の表示画面75aには、例えば上、中及び下に並べて図柄が表示され、これらの図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、大当たりに当選した場合には、予め設定されている有効ライン上に所定の組み合わせの図柄が停止表示され、上記開閉実行モード(特別遊技状態又は大当たり)に移行することとなる。なお、図柄表示装置75については必ずしも液晶表示装置である必要はなく、ドットマトリクスや7セグタイプの表示装置であってもよい。
また、可変表示ユニット67には、図柄表示装置75を囲むようにしてセンターフレーム76が配設されている。センターフレーム76は、遊技盤60に対してその前面側から固定されており、このように固定された状態では遊技盤60の前面から起立した状態となることで当該センターフレーム76と上記ガラスユニット22との間の隙間寸法が遊技球の直径寸法よりも小さくなるように構成されている。これにより、遊技領域PEを流下する遊技球が図柄表示装置75に衝突することが回避され、且つ遊技領域PEを流下する遊技球の流下経路が可変表示ユニット67(詳しくはセンターフレーム76)を右側から迂回する上記右ルートと、左側から迂回する左ルートに大別されている。
なお、上述した可変入球装置65、右側作動入球部63及びスルーゲート66については、右ルートに配置されており、左ルートを流下する遊技球はそれら可変入球装置65、右側作動入球部63及びスルーゲート66に入賞することが回避される。一方、右ルートを流下する遊技球は下作動口83aに入賞することが回避される。このため、右側作動入球部63の電動役物71が高頻度サポートモードになっている場合又は開閉実行モードとなっている場合には、右ルートへ遊技球を発射することで遊技を有利に進めることができ、低頻度サポートモードとなっている場合には左ルートへ遊技球を発射することで遊技を有利に進めることができる。つまり、遊技者は、遊技状況に応じて遊技球の流下経路を右ルート/左ルートから選択することにより、遊技を有利に進めることが可能となる。
作動入球部62,63は、可変表示ユニット67寄りとなる位置に配置されている。作動入球部62,63への入賞をトリガとして、大当たりが発生し得るため、遊技者は作動入球部62,63に入賞するか否かに注目するとともに、大当たりが発生するか否かを把握するため図柄表示装置75に注目するものと考えられる。作動入球部62,63を可変表示ユニット67寄りに設けたことは、遊技者が注目したい箇所を可変表示ユニット67周辺に集中させるための工夫である。
可変入球装置65の下方には、主表示ユニット81が配されている。主表示ユニット81は、遊技領域PEの下部側の外縁に沿って配置されており、遊技盤60の前面からパチンコ機10前方に突出している。主表示ユニット81の前面は、遊技領域PEをパチンコ機10前方から視認可能とする上記ガラスユニット22(詳しくは後側のガラスパネル23)と対向しており、さらに後側のガラスパネル23との間の距離は遊技球1個分よりも狭くなっている。これにより、主表示ユニット81の前面の前方を遊技球が落下することが回避されている。主表示ユニット81については、後述する主制御装置に電気的に接続されており、主表示部の表示内容は当該主制御装置によって制御される構成となっている。
主表示ユニット81においてガラスユニット22と対向している部分には、所定の絵柄等が表示される主表示部Dが設けられている。主表示部Dは、下側作動入球部62(下側作動口62a)への入賞に基づいた抽選結果を表示する右側作動入球部用表示部DRと、右側作動入球部63(右側作動口63a)への入賞に基づいて行われた抽選結果を表示する右側作動入球部用表示部DRとを有してなる。
右側作動入球部用表示部DRでは、下側作動入球部62への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、下側作動入球部62への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。下側作動入球部62への入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、右側作動入球部用表示部DRにて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、上記開閉実行モードへ移行される。
右側作動入球部用表示部DRでは、右側作動入球部63への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、右側作動入球部63への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。右側作動入球部63への入賞に基づく内部抽選の結果が大当たり又は特別当たりに対応した当選結果であった場合には、右側作動入球部用表示部DRにて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、その結果に応じて上記開閉実行モードに移行される。
ここで、いずれかの作動入球部62,63への入賞に基づいて、対応する作動入球部用表示部DL,DRにて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。但し、遊技回の1回は、上記の内容に限定されることはなく、例えば、単一の表示領域が設けられ、いずれの作動入球部62,63への入賞が発生したとしてもその単一の表示領域にて変動表示が行われる構成においては、当該単一の表示領域にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示した状態で上記変動表示が停止されるまでを遊技回の1回とする。
主表示ユニット81の主表示部Dには第1保留数表示部LS及び第2保留数表示部RSが設けられている。第1保留数表示部LSは、下側作動口62aに対応しており遊技球が下側作動口62aに入賞した回数は最大4回まで保留され第1保留数表示部LSの点灯によってその保留数が表示されるようになっている。第2保留数表示部RSは、右側作動口63aに対応しており、遊技球が右側作動口63aに入賞した回数は最大4回まで保留され第2保留数表示部の点灯によってその保留数が表示されるようになっている。
また、主表示ユニット81の主表示部Dには、スルーゲート66への入賞に基づいた抽選結果を表示するスルーゲート用表示部DSが設けられている。スルーゲート用表示部DSでは、スルーゲート66への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート66への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。スルーゲート66への入賞に基づく内部抽選(サポート抽選)の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、スルーゲート用表示部DSにて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、右側作動入球部63に設けられた上記電動役物71が所定の態様で開放される。
更に、本実施の形態においては遊技球がスルーゲート66を通過した回数は最大4回まで保留される構成が採用されているが、主表示ユニット81の主表示部Dにはその保留個数を表示する保留数表示部DHが設けられている。
これら各表示部DL,DR,LS,RS,DS,DHについては、前扉枠14のガラスユニット22を通じてパチンコ機10前方から視認可能となっているとともに、これら各種表示部DL,DR,LS,RS,DS,DHの前方を遊技球が移動することが回避されることで視認性が担保されている。
再び図2を用いて内枠13の構成について説明すれば、樹脂ベース50において遊技盤60の搭載領域の下方には、上記遊技球発射ハンドル41の操作に基づいて遊技領域PEへ向けて遊技球を発射する遊技球発射機構110が設けられている。遊技球発射機構110は、所定の発射待機位置に配置された遊技球を打ち出すソレノイド111と、同ソレノイド111によって打ち出された遊技球の発射方向を規定する発射レール112と、上記発射待機位置に遊技球を供給する球送装置113と、それら各種構成111〜113が装着されているベースプレート114とを主要な構成として備えており、同ベースプレート114が樹脂ベース50に固定されることで樹脂ベース50に対して一体化されている。
発射レール112は、遊技盤60側に向けて上り傾斜となるように、斜めに傾いた状態でベースプレート114に固定されている。発射レール112の下流側の端部(すなわち下端部)寄りとなる位置には、球送装置113から供給された遊技球を上述した発射待機位置に留める球ストッパが配されている。球ストッパよりも更に下流側となる位置に、上記ソレノイド111が配置されている。
ソレノイド111は、後述する電源・発射制御装置に対して電気的に接続されている。その電源・発射制御装置からの電気的な信号の出力に基づいてソレノイド111の出力軸が伸縮方向に往復動することにより、発射待機位置に置かれた遊技球が遊技盤60側、詳しくは遊技盤60に装着された誘導レール100に向けて打ち出される。
誘導レール100は、遊技領域PEを同遊技領域PEの外形が略円形状となるように区画形成している。また、誘導レール100は、遊技球の直径よりも若干大きな隙間を隔てて対峙するように配置された内レール101及び外レール102からなり、それら両レール101,102によって一条の誘導通路103が区画形成されている。誘導通路103は、発射レール112の先端側(斜め下方)に開放された入口部分と、遊技領域PEの上部に位置する出口部分とを有している。ソレノイド111の動作に基づいて発射された遊技球は、発射レール112→誘導レール100(入口部分→出口部分)の順に移動することにより遊技領域PEに導かれる。遊技球発射ハンドル41の操作量を調整することにより、遊技領域PEにおいて可変表示ユニット67の左側となる領域や同遊技領域PEにおいて可変表示ユニット67の右側となる領域への遊技球の打ち分けが可能となっている。
なお、遊技盤60において出口部分の先側、詳しくは内レール101の先端付近には、遊技領域PEに到達した遊技球の同誘導通路103内への逆戻りを防止する逆戻り防止部材106が取り付けられており、先んじて遊技領域PEに至った遊技球によって後続する遊技球の打ち出しが妨げられることを抑制している。
誘導レール100(図4参照)及び発射レール112は、同誘導レール100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤60の下端縁を挟んで斜めに対峙するように配置されている。つまり、それら両レール100,112は、同誘導レール100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤60の下端縁近傍にて左右にずれるようにして配置されている。これにより両レール100,112を遊技盤60の下端縁に近づけつつ、誘導レール100の入口部分と発射レール112との間には所定間隔の隙間を形成している。
このようにして形成された隙間よりも下側にはファール球通路46が配設されている。ファール球通路46は前扉枠14の通路形成ユニット45に一体成形されている。仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域PEまで至らずファール球として誘導通路103内を逆戻りする場合には、それらファール球が上記隙間を介してファール球通路46内に入ることとなる。ファール球通路46は前扉側下皿通路に通じており、ファール球通路46に入った遊技球は図1に示した下皿34に排出される。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
樹脂ベース50において発射レール112の左方(詳しくは前扉枠14を支持している側)には樹脂ベース50を前後方向に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔に通路形成部材121が配設されている。通路形成部材121は、樹脂ベース50に対してネジ止めされており、本体側上皿通路と本体側下皿通路とを有している。それら本体側上皿通路及び本体側下皿通路の上流側は、後述する遊技球分配部に通じている。また、通路形成部材121の下方には前扉枠14に取り付けられた通路形成ユニット45の受口部が入り込んでおり、本体側上皿通路の下方には前扉側上皿通路が配置され、本体側下皿通路の下方には前扉側上皿通路が配置されている。
樹脂ベース50において通路形成部材121の下方には、本体側上皿通路及び本体側下皿通路を開閉する開閉部材124が取り付けられている。開閉部材124はその下端に設けられた支軸により前後方向に回動可能に支持されており、さらに本体側上皿通路及び本体側下皿通路を閉鎖する前方位置に付勢する付勢部材が設けられている。従って、前扉枠14を内枠13に対して開いた状態では開閉部材124が図示の如く起き上がり、本体側上皿通路及び本体側下皿通路を閉鎖する。これにより、本体側上皿通路又は本体側下皿通路に遊技球が貯留されている状態で前扉枠14を開放した場合、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できる。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット45に設けられた受口部により付勢力に抗して開閉部材124が押し開けられる。この状態では、本体側上皿通路と前扉側上皿通路とが連通し、さらに本体側下皿通路と前扉側下皿通路とが連通している。
次に、図3に基づき内枠13(樹脂ベース50及び遊技盤60)の背面構成について説明する。
樹脂ベース50の背面における回動基端側には、軸受け金具132が上下に並設されている。軸受け金具132には、上下に離間させて軸受け部が形成されており、これら軸受け部により内枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。
樹脂ベース50の背面には、係止金具135が複数設けられており、これら係止金具135によって上述したように樹脂ベース50に対して遊技盤60が取り付けられている。ここで、遊技盤60の背面の構成を説明する。
遊技盤60の中央に配置される可変表示ユニット67には、当該可変表示ユニット67を背後から覆うようにして表示制御装置が取り付けられている(図示は省略)。そして、表示制御装置の後方には当該表示制御装置に重なるようにして報知・演出制御装置ユニット142が搭載されている。報知・演出制御装置ユニット142は、報知・演出制御装置610と、取付台144とを具備する構成となっており、取付台144上に報知・演出制御装置610が装着されている。
報知・演出制御装置610は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る報知・演出制御基板を具備しており、報知・演出制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス145に収容されて構成されている。
遊技盤60の背面には、図3に示すように、可変表示ユニット67の下方に集合板150が設けられている。集合板150には、各種入賞口に入賞した遊技球を回収する遊技球回収機構や、各種入賞口等への遊技球の入球を検知する検知機構などが設けられている。
遊技球回収機構について説明すると、集合板150には、一般入賞口61等の各種入球部に対して個々に対応する回収通路が設けられている。これら回収通路は、それら入球部から遊技盤60の背面に沿って下っており、遊技球の落下経路を規定している。各回収通路は、同遊技盤60の下端付近にて合流しており、一般入賞口61等の入球部を通過した遊技球は何れも回収通路を介して遊技盤60の下部に集合することとなる。各回収通路の出口部分は、下方に開放されており、その先側(詳しくは遊技盤60の下方)には後述する排出通路が設けられている。回収通路により遊技盤60の下方に集合した遊技球は、排出通路へと導出される。なお、アウト口68も同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球もアウト口68を介して排出通路へ導出される。
検知機構について説明すると、集合板150には、一般入賞口61等の各種入球部に対して個々に対応する検知センサが設けられている。これら各種検知センサは、上記一般入賞口61等の入球部に連なる各回収通路の途中位置に配置されており、同回収通路にて遊技球の落下経路が規定された状態にて遊技球の通過を検知する。より詳しくは、各検知センサは、各回収通路の途中位置に設けられた検知領域を遊技球が通過することで、一般入賞口61等の入球口への入球を検知するものであり、具体的には上記検知領域を遊技球が通過した場合に生じる磁場の変化を把握する磁気センサが採用されている。
これら各種検知センサは、遊技盤60の背面側に設けられた主制御装置ユニット160(詳しくは主制御装置)に電気的に接続されており、それら検知センサにおける検知信号が同主制御装置に対して出力される構成となっている。以下、主制御装置ユニット160及びそれに付随する構成について説明する。
主制御装置ユニット160は、集合板150を後側から覆うようにして遊技盤60に搭載されており、合成樹脂製の取付台161と、同取付台161に搭載された主制御装置162とによって構成されている。主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス163に収容されて構成されている。
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印部によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。封印部は、基板ボックス163の長辺部に複数設けられ、そのうち少なくとも一つが用いられて封印処理が行われる。
封印部はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、封印部を構成する長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。封印部による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、複数の封印部のうち、少なくとも一つの長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部と他の封印部との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の封印部の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
基板ボックス163の一方の短辺部には、その側方に突出するようにして複数の結合片が設けられている。これら結合片は、取付台161に形成された複数の被結合片と1対1で対応しており、結合片と被結合片とにより基板ボックス163と取付台161との間で封印処理が行われる。
(裏パックユニット15)
次に、図2及び図3に基づき裏パックユニット15について説明する。
図2に示すように、内枠13は裏パックユニット15によって後方から覆われている。裏パックユニット15は、裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。
裏パック201は透明性を有する合成樹脂により成形されており、図3に示すように払出機構部202などが取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有する。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット67を囲むのに十分な大きさを有する。
ベース部211には、その右上部に外部端子板213が設けられている。外部端子板213には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置に対して各種信号が出力される。また、ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピンが設けられており、掛止ピンを内枠13に設けられた軸受け金具132(詳しくは軸受け部)に挿通させることで、裏パックユニット15が内枠13に対して回動可能に支持されている。また、ベース部211における回動先端部には、内枠13に設けられた被締結孔に対して締結するための締結具が設けられており、当該締結具を被締結孔に嵌め込むことで内枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。払出機構部202には、裏パック201の最上部に配されているとともに上方に開口したタンク221が設けられており、遊技ホールの島設備から供給される遊技球がそのタンク221に逐次補給される。タンク221の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレールが連結され、タンクレールの下流側には上下方向に延びるケースレールが連結されている。ケースレールの最下流部には払出装置222が設けられている。払出装置222より払い出された遊技球は、当該払出装置222の下流側に設けられた払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部に供給される。
遊技球分配部は、払出装置222より払い出された遊技球を上皿33、下皿34又は後述する排出通路の何れかに振り分けるための機能を有し、内側の開口部が上述した本体側上皿通路及び前扉側上皿通路を介して上皿33に通じ、外側の開口部が本体側下皿通路及び前扉側下皿通路を介して下皿34に通じるように形成されている。
図3に示すように、ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。排出通路盤203には、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路が形成されており、当該排出通路の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路等から排出通路に導出された遊技球は当該排出通路を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台を有し、同取付台に払出制御装置181と電源・発射制御装置191とが搭載されている。これら払出制御装置181と電源・発射制御装置191とは、払出制御装置181がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置181においては基板ボックス内に払出装置222を制御する払出制御基板が収容されており、当該払出制御基板に設けられた状態復帰スイッチが基板ボックス外に突出している。例えば、払出装置222における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチが押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
電源・発射制御装置191は、基板ボックス内に電源・発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源・発射制御装置191にはRAM消去スイッチが設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチを押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
(パチンコ機10の電気的構成)
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図5のブロック図に基づき説明する。
主制御装置162に設けられた主制御基板601には、MPU602が搭載されている。MPU602には、当該MPU602により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM603と、そのROM603内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM604と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵された素子である。なお、MPU602が有する機能の一部、例えば、ROM603の機能やRAM604の機能などを別の素子として有する構成としてもよい。
MPU602には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU602の入力側には、主制御装置162に設けられた停電監視基板605、払出制御装置181、各種検知センサなどが接続されている。停電監視基板605には電源・発射制御装置191が接続されており、MPU602には停電監視基板605を介して電力が供給される。また、各種検知センサの一部として、一般入賞口61用の検知センサ151a、下側作動入球部62用の検知センサ151b、右側作動入球部63用の検知センサ151c、スルーゲート66用の検知センサ151d、可変入球装置65用の検知センサ405が接続されており、これら各種検知センサ151a〜151d,405からの検知情報(検知信号)に基づき、主制御装置162のMPU602にて各入球部への入賞判定(入球判定)が実行される。また、MPU602では、下側作動入球部62(下側作動口62a)及び右側作動入球部63(右側作動口63a)への入賞に基づいて大当たり発生抽選を実行するとともに、スルーゲート66への入賞に基づいてサポート発生抽選を実行する。
MPU602の出力側には、停電監視基板605、払出制御装置181及び報知・演出制御装置610(詳しくは報知・演出制御基板611)が接続されている。払出制御装置181には、例えば、上記入賞対応入球部への入賞判定結果に基づいて賞球コマンドが出力される。この場合、賞球コマンドの出力に際しては、ROM603のコマンド情報記憶エリア603aが参照される。そして、一般入賞口61への入賞を特定した場合には10個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、大入賞口402への入賞を特定した場合には15個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、下側作動口62aへの入賞を特定した場合には3個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、右側作動口63aへの入賞を特定した場合には4個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力される。
報知・演出制御装置610には、変動開始コマンド、種別コマンド、変動終了コマンド、オープニングコマンド及びエンディングコマンドなどの各種コマンドが出力される。この場合、これら各種コマンドの出力に際しては、ROM603のコマンド情報記憶エリア603aが参照される。これら各種コマンドの詳細については、後に説明する。なお、上記各コマンドは、所定のバイト数の情報として構成されており、当該所定のバイト数の情報として各種情報が含まれている。
また、MPU602の出力側には、右側作動入球部63に付随した電動役物71を駆動させる駆動部71b、可変入球装置65のシャッタ403を駆動させる可変入球駆動部404(モータ426)、主表示ユニット81の保留数表示部LS,RS,DHや各種入球部用表示部DL,DR,DS等が接続されている。主制御基板601には各種ドライバ回路が設けられており、当該ドライバ回路を通じてMPU602は各種駆動部等の駆動制御を実行する。
つまり、開閉実行モードにおいては大入賞口402が開閉されるように、MPU602において可変入球装置65における可変入球駆動部404(モータ426)の駆動制御が実行される。また、右側作動入球部63の電動役物71の開放状態当選(サポート当選)となった場合には、電動役物71が開閉されるように、MPU602において駆動部71bの駆動制御が実行される。また、各遊技回に際しては、MPU602において主表示ユニット81の主表示部Dにおける右側作動入球部用表示部DR又は右側作動入球部用表示部DRの表示制御が実行される。
さらには、MPU602の出力側には、外部端子板213が接続されている。外部端子板213には、状態移行に際して信号出力するための出力端子として、大当たり信号出力端子等が設けられている。MPU602は、遊技結果が大当たり結果となった場合には、遊技ホール側の管理制御装置に対して、大当たり信号出力端子を通じて大当たり信号を出力することができる。具体的には、通常時では、大当たり信号出力端子からLOWレベル信号が出力されており、大当たり結果となった場合にはHIレベル信号が出力される。なお、この信号の出力態様は逆でもよい。
停電監視基板605は、主制御基板601と電源・発射制御装置191とを中継し、また電源・発射制御装置191から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する。払出制御装置181は、主制御装置162から入力した賞球コマンドに基づいて、払出装置222により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。
電源・発射制御装置191は、例えば、遊技場等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御基板601や払出制御装置181等に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を所定の電力経路を通じて供給する。
また、電源・発射制御装置191は、遊技球発射機構110の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構110(詳しくはソレノイド111)は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。より具体的には、電源・発射制御装置191には、遊技球発射ハンドル41に設けられた操作レベル検知センサとタッチセンサとが接続されている。操作レベル検知センサは、遊技球発射ハンドル41の操作量(回動量)を検知するセンサであり、この操作レベル検知センサからの情報に基づいて遊技球発射機構110による遊技球の発射強度(発射速度)が決定されることとなる。タッチセンサは、遊技者が遊技球発射ハンドル41に触れている場合に情報を出力する構成となっており、電源・発射制御装置191ではこの情報に基づいて遊技者が遊技球発射ハンドル41に触れているか否かを把握することができる構成となっている。タッチセンサからの情報に基づいて遊技者が遊技球発射ハンドル41に触れていると判定し、且つ操作レベル検知センサにて遊技球発射ハンドル41が操作されていると判定した場合に遊技球の発射が許可されることとなる。
なお、タッチセンサからの情報は、電源・発射制御装置191を経由して、主制御装置162ひいては報知・演出制御装置610、表示制御装置620に送信されることとなる。
報知・演出制御装置610は、MPU612が搭載された報知・演出制御基板611を有してなり、MPU612には各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM613、そのROM613内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM614などが内蔵されている。
報知・演出制御装置610は、主制御装置162から入力した各種コマンドに基づいて前扉枠14に設けられたランプ部26〜28やスピーカ部29を駆動制御するとともに、表示制御装置620を制御するものである。詳しくは、報知・演出制御装置610では、主制御装置162から入力した各種コマンドに基づいて、図柄表示装置75における図柄の変動表示態様及び最終的に停止表示させる図柄の停止表示態様(例えば図柄の組み合わせの種類)を決定するとともに、リーチ発生の有無及びリーチ演出の内容等を決定するとともに、その決定した内容を上記コマンドに付与して表示制御装置620に転送する。
表示制御装置620はMPU622が搭載された表示制御基板621を有してなり、MPU622には各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM623、そのROM623内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM624、ビデオディスプレイプロセッサ(VDP)、画像データが格納されたキャラクタROM、キャラクタROMから読み出した画像データを一時的に記憶するビデオRAMなどが内蔵されている。MPU622では、報知・演出制御装置610から入力したコマンドに基づいて、可変表示ユニット67(詳しくは図柄表示装置75)の表示制御を実行する。
ここで、図柄表示装置75の表示内容について説明する。図柄表示装置75の表示画面75aには、上段・中段・下段の3つの図柄列が設定されている。各図柄列は、主図柄と副図柄が所定の順序で配列されて構成されている。そして、表示画面75aでは、これら各図柄列の図柄が周期性をもって所定の向き(具体的には、右から左)にスクロールするように変動表示される。この場合、上図柄列には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の降順に配列されるとともに、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。下図柄列には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の昇順に配列されるとともに、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、上図柄列と下図柄列は18個の図柄により構成されている。これに対し、中図柄列には、数字の昇順に「1」〜「9」の9種類の主図柄が配列された上で「9」の主図柄と「1」の主図柄との間に「4」の主図柄が付加的に配列され、これら各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、中図柄列に限っては、10個の主図柄が配されて20個の図柄により構成されている。
また、表示画面75aは、図柄列毎に3個の図柄が停止表示されるようになっており、結果として3×3の計9個の図柄が停止表示されるようになっている。また、表示画面75aには、5つの有効ライン、すなわち左ライン、中ライン、右ライン、右下がりライン、右上がりラインが設定されている。そして、上図柄列→下図柄列→中図柄列の順に変動表示が停止し、いずれかの有効ラインに所定の図柄の組み合わせ(例えば同一の数字が付された図柄の組み合わせ)が形成された状態で全図柄列の変動表示が終了すれば、通常大当たり結果又は確変大当たり結果の発生として大当たり動画が表示されるようになっている。
なお、上記のように各図柄列の変動表示が停止されることに鑑みれば、上図柄列を第1図柄列(又は第1絵柄列)、下図柄列を第2図柄列(又は第2絵柄列)、中図柄列を第3図柄列(又は第3絵柄列)と称することができる。
上記各主図柄のうち、奇数番号(1,3,5,7,9)が付された主図柄は「特定図柄」に相当し、確変大当たり結果が発生する場合には、例えば同一の特定図柄の組み合わせが停止表示される。また、偶数番号(2,4,6,8)が付された主図柄は「非特定図柄」に相当し、通常大当たり結果が発生する場合には、例えば同一の非特定図柄の組み合わせが停止表示される。
確変大当たり結果となった場合には、以降の抽選にて相対的に大当たり結果となりやすい高確率モードとなり、この高確率モードは通常大当たり結果となるまで継続される。一方、通常大当たり結果となった場合には、相対的に大当たり結果となりにくい(高確率モードよりも大当たり結果となりにくい)低確率モードとなる。
なお、図柄表示装置75における図柄の変動表示の態様は上記のものに限定されることはなく任意であり、図柄列の数、図柄列における図柄の変動表示の方向、各図柄列の図柄数などは適宜変更可能である。例えば、複数の図柄列を横並びとなるように設定し、図柄列における図柄の変動表示の方向を縦方向に設定してもよい。
表示画面75aの下部、詳しくは個別に設定された上図柄列の変動表示領域と中図柄の変動表示領域と下図柄の変動表示領域とを有してなる変動表示領域の下方には、保留表示領域が設定されている。当該保留表示領域は、遊技球が下側作動口62aに入賞した場合の最大保留個数と同一の数の単位保留表示領域が左右方向に並ぶようにして区画表示された上作動口用の保留数表示領域と、遊技球が右側作動口63aに入賞した場合の最大保留個数と同一の数の単位保留表示領域が左右方向に並ぶようにして区画表示された下作動口用の保留数表示領域とによって構成されている。
具体的には、遊技球が下側作動口62aに入賞した場合の最大保留個数は4個であり、これに対応させて下側作動口用の保留数表示領域には、第1単位保留表示領域、第2単位保留表示領域、第3単位保留表示領域、第4単位保留表示領域が設定されている。また、遊技球が右側作動口63aに入賞した場合の最大保留個数は4個であり、これに対応させて右側作動口用の保留数表示領域には、第1単位保留表示領域、第2単位保留表示領域、第3単位保留表示領域、第4単位保留表示領域が設定されている。
例えば、遊技球が下側作動口62aに入賞した場合の保留個数が1個の場合には、第1単位保留表示領域のみにて所定の保留用画像が表示され、遊技球が下側作動口62aに入賞した場合の保留個数が4個の場合には、第1単位保留表示領域〜第4単位保留表示領域の全てにおいて所定の保留用画像が表示される構成となっている。
次に、上述の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。
MPU602は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり発生抽選、主表示部Dの表示の設定(すなわち各種表示部DL,DR,DSにおける発光態様の設定)、図柄表示装置75の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、大当たり発生の抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、確変大当たり結果や通常大当たり結果等の大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置75にて外れ変動を実行する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、主表示ユニット81の作動入球部用表示部DL,DR及び図柄表示装置75における変動表示時間を決定する変動種別カウンタCSとを用いることとしている。さらに、右側作動入球部63の電動役物71を電役開放状態とするか否かの抽選に使用する電動役物開放カウンタC4を用いることとしている。
各カウンタC1〜C3,CINI,CS,C4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM604の所定領域に設定された抽選カウンタ用バッファ604aに適宜格納される。RAM604には、下側作動入球部用保留エリアと、右側作動入球部用保留エリアと、実行エリアと、総保留数記憶領域とよりなる保留球格納エリアが設けられている。そして、この保留球格納エリアに、下側作動入球部62又は右側作動入球部63への遊技球の入賞履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値が時系列的に格納されるようになっている。
(主制御基板601のMPU602にて実行される各種処理について)
次に、主制御基板601のMPU602により実行される各制御処理を説明する。MPU602の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、メイン処理終了後に実行される通常処理と、通常処理に対して定期的に割り込んで起動されるタイマ割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込み処理を説明し、その後通常処理を説明する。
(タイマ割込み処理)
先ず、タイマ割込み処理について、図6のフローチャートを参照しながら説明する。本処理はMPU602により定期的に(例えば2msec周期で)起動される。
ステップS101では、各種検知センサ例えば(上記検知センサ151a〜151d,405)の読み込み処理を実行する。すなわち、主制御装置162に接続されている各種検知センサの状態を読み込むとともに、当該検知センサの状態(検知センサからの検知情報)を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。例えば、下側作動口62aへの入球が発生したと判定した場合には、RAM604の各種フラグ格納エリアに下側作動入球部用の入賞検知フラグを格納し、右側作動口63aへの入球が発生したと判定した場合には、同各種フラグ格納エリアに右側作動入球部用の入賞検知フラグを格納する。また、スルーゲート66を遊技球が通過したと判定した場合には、RAM604の各種フラグ格納エリアにスルーゲート用の入賞検知フラグを格納する。
その後、ステップS102では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントするとともに、そのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM604の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS103では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4をそれぞれ1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C4の更新値を、RAM604の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS104では、スルーゲート66への入賞に伴うスルー用の入賞処理を実行する。スルー用の入賞処理では、RAM604の各種フラグ格納エリア604eにスルーゲート用の入賞検知フラグが格納されているか否かを判定し、同フラグが格納されている場合には電役保留エリアに記憶されている役物保留記憶数が4未満であることを条件として、前記ステップS103にて更新した電動役物開放カウンタC4の値を電役保留エリアに格納する。そして、各種フラグ格納エリアにスルーゲート用の入賞検知フラグが格納されている場合には、同入賞検知フラグを消去して当該スルーゲート用の入賞処理を終了する。
ステップS104のスルーゲート用の入賞処理を実行した後はステップS105に進み、当該ステップS105にて作動入球部62,63(作動口62a,63a)への入賞に伴う作動入球部用の入賞処理を実行し、本タイマ割込み処理を終了する。
作動入球部用の入賞処理においては先ず、遊技球が下側作動入球部62(下側作動口62a)に入賞(始動入賞)したか否かをRAM604の各種フラグ格納エリアに下側作動入球部用の入賞検知フラグが格納されているか否かによって判定する。同入賞検知フラグが格納されていると判定した場合、すなわち遊技球が下側作動入球部62(下側作動口62a)への入賞が発生した旨の検知信号を受信した場合には、払出制御装置181に遊技球を3個払い出させるための賞球コマンドをセットする。そして、下側作動入球部62(下側作動口62a)に遊技球が入賞した旨を示す情報を遊技ホール側のホールコンピュータHCに対して信号出力すべく外部信号設定処理を行う。これにより、下側作動入球部62(下側作動口62a)への入賞が発生した旨がホールコンピュータHCにて把握される。
その後、下側作動入球部用の保留エリアの保留数記憶領域に格納された値を読み出し、当該保留エリアに保留記憶されている下側始動保留記憶数をセットする。続いて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を格納する情報取得処理を行い、本入賞処理を終了する。
一方、RAM604の各種フラグ格納エリア604eに右側作動入球部用の入賞検知フラグが格納されていない場合、すなわち下側作動入球部62(下側作動口62a)ではなく右側作動入球部63への入賞が発生している場合には、払出制御装置181に遊技球を4個払い出させるための賞球コマンドをセットする。セットされた賞球コマンドは、後述する通常処理の外部出力処理にて払出制御装置181に送信される。
続いて、右側作動入球部63(右側作動口63a)に遊技球が入賞した旨を示す情報を遊技ホール側のホールコンピュータHCに対して信号出力すべく外部信号設定処理を行う。これにより、右側作動入球部63(右側作動口63a)への入賞が発生した旨がホールコンピュータHCにて把握される。
その後、右側作動入球部用の保留エリアの保留数記憶領域に格納された値を読み出して、当該保留エリアに保留記憶されている右側始動保留記憶数をセットした後、情報取得処理を行い、本入賞処理を終了する。
一方、下側作動入球部62及び右側作動入球部63のいずれにも遊技球が入賞しなかった場合には、そのまま本入賞処理を終了する。
情報取得処理においては先ず、セットした始動保留記憶数が上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判定する。始動保留記憶数が上限値である場合にはそのまま本情報取得処理を終了し、上限値未満である場合には、対応する結果表示部用保留エリアの始動保留記憶数を1インクリメントするとともに、総保留数記憶領域に格納された値(以下、共通保留数と言う)を1インクリメントする。
その後、更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び変動種別カウンタCSの各値を、対応する結果表示部用保留エリアの空き記憶領域エリアのうち最初の記憶エリア、すなわち1インクリメントした保留記憶数と対応する記憶エリアに格納する。
つまり、下側作動入球部用の始動保留記憶数がセットされている場合には、更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び変動種別カウンタCSの各値を、下側作動入球部用の保留エリアの空き記憶エリアのうち最初の記憶エリア、すなわち1インクリメントした下側作動入球部用の始動保留記憶数と対応する保留エリアに格納する。
また、右側作動入球部用の始動保留記憶数がセットされている場合には、更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、右側作動入球部用の保留エリアの空き記憶エリアのうち最初の記憶エリア、すなわち1インクリメントした右側作動入球部用の始動保留記憶数と対応する保留エリアに格納する。
続いて、下側作動入球部62又は右側作動入球部63への入賞が発生したことをサブ側(副側)の制御装置である報知・演出制御装置610及び表示制御装置620に認識させるための処理である保留情報の確認処理及び保留コマンドの設定処理を実行する。その後、上記入賞検知フラグが格納されている場合には同フラグを消去し、本情報取得処理を終了する。保留コマンドの設定処理にて設定された保留コマンドは後述する通常処理の外部出力処理にて報知・演出制御装置610に送信されることとなる。
(通常処理)
次に、通常処理の流れを図7のフローチャートを参照しながら説明する。通常処理は電源投入に伴い起動されるメイン処理が実行された後に開始される処理であり、通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS201〜S207の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS209,S210のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
通常処理において、ステップS201では、タイマ割込み処理又は前回の通常処理で設定したコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する。具体的には、賞球コマンドの有無を判定し、賞球コマンドが設定されていればそれを払出制御装置181に送信する。また、変動開始コマンド、種別コマンド、変動終了コマンド等の遊技回用の演出に対応したコマンドや開閉実行モード用の演出に対応したコマンドといった演出用のコマンドが設定されている場合にはそれを報知・演出制御装置610に送信する。また、RAM604の外部出力バッファに設定されている情報に応じて、外部端子板213に対する出力設定を行う。
次に、ステップS202では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1インクリメントするとともに、カウンタ値が最大値に達した際にはカウンタ値を0にクリアする。そして、変動種別カウンタCSの更新値を、RAM604の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS203では、各遊技回の遊技を進行させるための遊技回制御処理を実行する。この遊技回制御処理では、大当たり等の当否判定及び大当たり種別の振分判定を行うとともに、図柄表示装置75による図柄の変動表示の設定、主表示ユニット81(主表示部D)における作動入球部用表示部DL,DRなどの表示制御などを行う。
その後、ステップS204では、遊技状態を移行させるための遊技状態移行処理を実行する。詳細は後述するが、この遊技状態移行処理により、遊技状態が開閉実行モード、高確率モード、高頻度サポートモードなどに移行する。
ステップS205では、右側作動入球部63に設けられた電動役物71を駆動制御するための電役サポート用処理を実行する。この電役サポート用処理では、RAM604の電役保留エリアに格納されている電動役物開放カウンタC4から取得した数値情報を用いて電動役物71を開放状態とするか否かの電役開放抽選(サポート抽選)を行うとともに、電役開放状態当選となった場合には電動役物71の開閉処理を実行する。また、電役開放抽選の抽選結果を教示するように、主表示ユニット81(主表示部D)におけるスルーゲート用表示部DSの表示制御を行う。
既に説明したとおり、電動役物71によるサポートの態様として、低頻度サポートモード及び高頻度サポートモードが設定されており、遊技状態移行処理にていずれかのサポートモードへの移行が行われる。この場合、RAM604の各種フラグ格納エリアに高頻度サポートフラグがセットされている場合は高頻度サポートモードとなり、当該フラグがセットされていない場合には低頻度サポートモードとなる。
電役サポート用処理では、RAM604の各種フラグ格納エリアに高頻度サポートフラグがセットされているか否かを判定することで、高頻度サポートモードであるか否かを判定する。そして、高頻度サポートモードである場合には低頻度サポートモードの場合よりも、電役開放状態当選となった際に、電動役物71が開放状態となる回数を多く設定するとともに、1回の開放時間を長く設定する。また、高頻度サポートモードである場合は、電役開放状態当選となり電動役物71の開放状態が複数回発生する場合において、1回の開放状態が終了してから次の開放状態が開始されるまでの閉鎖時間が、1回の開放時間よりも短くなるように設定する。
ちなみに、開閉実行モードに移行した場合には、RAM604の各種フラグ格納エリアに高頻度サポートフラグがセットされていたとしても、サポートモードは強制的に低頻度サポートモードに設定される。
続くステップS206では、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、遊技球発射ハンドル41に対して発射操作が行われていることに基づき電源・発射制御装置191から出力される発射許可信号を入力していることを条件として、所定の発射期間(本実施の形態においては0.6sec)に1回、遊技球発射機構110のソレノイド111を励磁する。これにより、遊技球が遊技領域に向けて打ち出される。つまり、所謂止め打ち等の変則打ちが行われていない場合には、発射操作が行われていることを条件として所定周期にて遊技球の発射が繰り返される構成となっている。
続くステップS207では、RAM604に停電フラグがセットされているか否かを判定する。停電フラグは、停電監視基板605において停電の発生が確認され当該停電監視基板605からMPU602のNMI端子に停電信号が入力されることによりセットされ、次回のメイン処理にて消去されるフラグである。
停電フラグがセットされていない場合は、繰り返し実行される複数の処理の最後の処理が終了したこととなるので、ステップS208にて次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施形態では4msec)が経過したか否かを判定する。そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCSの更新を繰り返し実行する。つまり、ステップS209では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行するとともに、ステップS210では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。
ここで、ステップS201〜S206の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、係る残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(すなわち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCSについてもランダムに更新することができる。
一方、ステップS207にて、停電フラグがセットされていると判定した場合は、電源遮断が発生したことになるので、ステップS211以降の電断時処理を実行する。つまり、ステップS211では、タイマ割込み処理の発生を禁止し、その後、ステップS211にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS213にてRAM604のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
(遊技状態移行処理)
次に、ステップS204の遊技状態移行処理を図8及び図9のフローチャートを参照して説明する。
遊技状態移行処理においては先ず、ステップS301にて開閉実行モード中であるか否かを判定する。開閉実行モード中でない場合にはステップS302に進み、1の遊技回の下側作動入球部用表示部DL又は右側作動入球部用表示部DRにおける絵柄の変動表示が終了したタイミングか否かを判定する。変動表示が終了したタイミングでない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
変動表示が終了している場合には、より詳しくは変動表示が終了してから予め設定された停止表示期間が経過している場合には、ステップS303に進み、今回の遊技回の遊技結果(上記当否抽選の結果)が開閉実行モードへの移行に対応したものであるか否かを判定する。具体的には、RAM604に、15R確変大当たり結果対応フラグ及び15R通常大当たり結果対応フラグの何れかが格納されているか否かを判定する。上記各フラグのいずれもが格納されていない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
上記各フラグのいずれかが格納されている場合には、ステップS304にて開閉実行モードの開始処理を実行する。当該開始処理により、後述するロック装置による可変入球装置65の動作規制が解除され、開閉実行モードが終了するまで当該可変入球装置65の開閉動作が許容されることとなる。続くステップS305では、RAM604の各種カウンタエリアに設けられた開放数カウンタOCに「15」をセットする。
ステップS305の処理を実行した後は、ステップS306にてオープニングコマンドを設定する。この設定されたオープニングコマンドは、通常処理(図7)におけるステップS201にて、報知・演出制御装置610及び表示制御装置620に送信される。報知・演出制御装置610では、受信したオープニングコマンドに基づいて、開閉実行モードに対応した演出の内容を決定し、その決定した演出の内容が実行されるように各種機器を制御する。ステップS306の処理を実行した後はステップS307にて外部信号設定処理を実行し、本遊技状態移行処理を終了する。
ステップS307の外部信号設定処理では、RAM604に、各種大当たり対応フラグのいずれかが格納されているか否かを判定し、いずれかのフラグが格納されている場合には、遊技ホール側の管理制御装置(ホールコンピュータHC)に大当たりが発生した旨を示す信号が出力するための準備がなされ、当該信号については通常処理(図7)のステップS201にて管理制御装置へ送信されることとなる。管理制御装置においては、この信号に基づいて、パチンコ機10にて開閉実行モードへ移行したことを把握することができる。
ステップS301の説明に戻り、当該ステップS301にて開閉実行モード中であると判定した場合には、ステップS308に進む。ステップS308では、オープニング用の待機時間が経過したか否かを判定する。オープニング用の待機時間が経過していない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。オープニング用の待機時間が経過している場合には、ステップS309にて大入賞口開閉処理を実行する。ここで、大入賞口開閉処理について、図9のフローチャートを参照しながら説明する。
(大入賞口開閉処理)
大入賞口開閉処理においては先ず、ステップS401にて大入賞口402が開放中であるか否かを判定する。具体的には、可変入球装置65における可変入球駆動部404の駆動状態に基づいてかかる判定を行う。大入賞口402が開放中でない場合には、ステップS402にて開放数カウンタOCの値が「0」か否かを判定するとともに、ステップS403にて開放タイマカウンタTCの値が「0」か否かを判定する。開放タイマカウンタTCは、大入賞口402の開放期間又はインターバル期間を把握する際に参照されるカウンタであり、タイマ割込み処理(図6)が実行される度にその値が「1」づつ減算される。
開放数カウンタOCの値が「0」である場合又は開放タイマカウンタTCの値が「0」でない場合には、そのまま本大入賞口開閉処理を終了する。一方、開放数カウンタOCの値が「0」でなく且つ開放タイマカウンタTCの値が「0」である場合には、ステップS404に進み、可変入球装置65における大入賞口402の開放処理を実行する。具体的には、大入賞口402を開放すべく可変入球駆動部404を駆動状態とする。その後、可変入球装置65対応の閉鎖条件の設定処理(開放時用設定処理)として、先ずステップS405にて開放タイマカウンタTCに「15000」(30secに相当)をセットし、続くステップS406にて入賞カウンタPCに「10」をセットする。
その後、ステップS407にて開放コマンド10を設定し、本大入賞口開閉処理を終了する。この設定された開放コマンドは、通常処理(図7)におけるステップS201にて、報知・演出制御装置610に送信される。報知・演出制御装置610では、受信した開放コマンドに基づいて、開放に対応した演出の内容を決定し、その決定した演出の内容が実行されるように各種機器を制御する。
ステップS401の説明に戻り、当該ステップS401にて大入賞口402が開放中であると判定した場合にはステップS408に進み、開放タイマカウンタTCの値が「0」か否かを判定する。開放タイマカウンタTCの値が「0」でない場合にはステップS409に進み、大入賞口402に遊技球が入賞したか否かを可変入球装置65に対応した検知センサ405からの検知信号に基づいて判定する。入賞が発生していない場合には、そのまま本大入賞口開閉処理を終了する。
一方、入賞が発生している場合には、ステップS410にて入賞コマンドの出力処理を実行する。当該入賞コマンドは、報知・演出制御装置610に出力され、当該入賞コマンドによって図柄表示装置75の表示画面75aにて実行される開閉実行モード中の演出が変化する構成となっている。
ステップS410にてコマンドの出力処理を実行した後は、ステップS411に進む。ステップS411では入賞カウンタPCの値を1ディクリメントし、続くステップS412にて入賞カウンタPCの値が「0」か否かを判定し、「0」でない場合にはそのまま本大入賞口開閉処理を終了する。
ステップS412にて肯定判定をした場合、すなわち入賞カウンタPCの値が「0」である場合、又はステップS408にて肯定判定をした場合(すなわち開放タイマカウンタTCの値が「0」であると判定した場合)には、大入賞口閉鎖条件が成立したことを意味する。この場合にはステップS413にて大入賞口402を閉鎖すべく可変入球駆動部404を非駆動状態とする。
続くステップS414では開放数カウンタOCの更新処理を実行する。具体的には、開放数カウンタOCの値が「0」でない場合には同開放数カウンタOCを1ディクリメントするとともに開放数カウンタOCの値が「0」である場合には同開放数カウンタOCの値を「0」のまま維持する。その後、ステップS415にて開放数カウンタOCの値が「0」か否かを判定する。開放数カウンタOCの値が「0」でない場合には、ステップS416にて開放タイマカウンタTCに「1000」(2secに相当)をセットする。
その後、ステップS417にて閉鎖コマンドを設定し、本大入賞口開閉処理を終了する。この設定された閉鎖コマンドは、通常処理(図7)におけるステップS201にて、報知・演出制御装置610に送信される。報知・演出制御装置610では、受信した閉鎖コマンドに基づいて当該閉鎖コマンドに対応した演出の内容を決定し、その決定した演出の内容が実行されるように各種機器を制御する。
ステップS415にて、開放数カウンタOCの値が「0」であると判定した場合には、ステップS418にて、エンディングの開始処理を実行する。当該開始処理では、開閉実行モードのエンディング用に次の遊技回を開始することなく待機するためのエンディング用待機時間を設定する。具体的には、RAM604の各種カウンタエリアに設けられた待機時間用カウンタエリアに、ROM603に予め記憶されているエンディング用の待機時間情報をセットする。
その後、ステップS419にて、エンディングコマンドを設定した後に、本大入賞口開閉処理を終了する。この設定されたエンディングコマンドは、通常処理(図7)におけるステップS201にて、報知・演出制御装置610に送信される。
本実施の形態におけるエンディングコマンドについては、上記オープニングコマンドと同様に、開閉実行モードへの移行時の状況等に応じて第1種エンディングコマンド/第2種エンディングコマンドが設定されており、開閉実行モード後に移行する背景画像等がこれら各種コマンドに応じて確定表示される構成となっている。
具体的には、今回の開閉実行モードが15R確変大当たり結果に対応している場合には、第1種エンディングコマンドを設定する。この第1種エンディングコマンドに基づいて、図柄表示装置75の表示画面75aにおいては滞在ステージの移行処理を終了する。詳しくは、継続ステージへの移行処理を完了する。一方、今回の開閉実行モードが15R通常大当たり結果に対応したものである場合には、第2種エンディングコマンドを設定する。この第2種エンディングコマンドに基づいて、図柄表示装置75の表示画面75aにおいては滞在ステージの移行処理を終了する。具体的には100回の高頻度サポートモードが確定するチャンスステージへの移行処理を完了する。
遊技状態移行処理(図8)の説明に戻り、ステップS314にて大入賞口開閉処理を実行した後に、ステップS315にて開放数カウンタOCの値が「0」か否かを判定するとともに、ステップS316にてエンディング用の待機時間が経過したか否かを判定する。開放数カウンタOCの値が「0」でない場合又はエンディング用の待機時間が経過していない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
一方、開放数カウンタOCの値が「0」であり、且つエンディング用の待機時間が経過している場合には、ステップS317にて、開閉実行モード終了時の移行処理を実行した後、本遊技状態移行処理を終了する。
既に説明したように本実施の形態においては、15R確変大当たり結果となっている場合には、開閉実行モード終了後は高確率モード且つ高頻度サポートモード対応の遊技状態に移行し、15R通常大当たり結果となっている場合には、開閉実行モード終了後は低確率モード且つ低頻度サポートモード対応の遊技状態に移行する。
(可変入球装置65)
本実施の形態においては、開閉実行モードとなった場合に開閉される上記可変入球装置65及びそれに関連する構成が特徴的なものとなっている。そこで以下、図10及び図11に基づき可変入球装置65及びそれに関連する構成について補足説明する。図10(a)は図4における可変入球装置65周辺を拡大して示す部分拡大図、図10(b)は可変入球装置65を正面側から見た斜視図、図11は可変入球装置65の内部構造を示す概略図である。なお、図10(a)においては上記右ルートを流下する遊技球の流下経路を1点鎖線を用いて例示している。また、後述するように可変入球装置65は上側部分と下側部分とでその主たる機能が分かれており、図10(b)においては可変入球装置65を中間位置にて破断させることによりその上側部分を省略した状態を示している。
上述の如く遊技盤60における中央開口85の右側となる部分には、高頻度サポートモード又は開閉実行モードとなっている場合に遊技者によって遊技球が導かれるように構成された右ルートが確保されており、遊技盤60において当該右ルートの途中位置(詳しくは下側作動入球部62の右方)となる位置には開口部92が形成されている(図15(a)の破線参照)。
開口部92は遊技盤60の厚さ方向に貫通しており、この開口部92に対して遊技機前方から可変入球装置65が嵌まっている。このようにして可変入球装置65が配置された状態では、当該可変入球装置65の主要部分を構成するとともに遊技盤60に対する取付部としての機能が付与されたベースユニット400により同開口部92が覆われている。
ベースユニット400は、開口部92の縁部に沿って形成されたハウジング401を備えている。ハウジング401は遊技盤60の前面と対向する略環状の対向板部401aと当該対向板部401aから遊技機前方に膨出する膨出部401bとを有している。対向板部401aが遊技盤60の前面に対して当接した状態で同遊技盤60にネジ止めされることにより、可変入球装置65が遊技盤60に対して一体化されている。
ハウジング401の膨出部401bには、右ルートの一部を構成する球通路410が形成されている。球通路410は左右に延びており、その途中位置にて上下に折り返して設けられている。なお、球通路410の通路幅等は同一箇所を複数の遊技球が同時に通過しないように規定されている。
通常遊技状態においては、右側作動入球部63を素通りした遊技球は、この球通路410を通じて下側作動入球部62の下方に向けて誘導される。なお、本実施の形態においては、左ルートを通じて流下した遊技球のほうが右ルートを通じて流下した遊技球よりも下側作動入球部62へ入球する確率(入賞確率)が高くなるように構成されている。
球通路410は、上記右側作動入球部63の直下に位置する上流側通路411と、その下方に位置する下流側通路412とを有してなる。上流側通路411は上方に開放されており、右側作動入球部63を通じて落下した遊技球の左右方向における到達位置のばらつきが許容されている。
上流側通路411は可変表示ユニット67とは反対側(右側)に下り傾斜しており、その下流側の端部に設けられた鉛直通路を介して下流側通路412に連なっている。可変入球装置65に到達した遊技球は上流側通路411を通じて流下速度のばらつきが抑えられた後に下流側通路412に流入することとなる。つまり、上流側通路411には遊技球の流下速度のばらつきを軽減し、下流側通路412への流入速度を定常化する定常化手段として機能が付与されている。
下流側通路412は上流側通路411とは反対側に向けて、すなわち可変表示ユニット67側(左側)に向けて下り傾斜している。下流側通路412は、底部414、奥壁部417、前壁部418、天井部419からなり、底部414の中間部分に、上述した大入賞口402が形成されている。大入賞口402は下流側通路412に沿って左右に延びる横長状をなしており、左右方向が長手方向、前後方向が短手方向となる略矩形状に形成されている。
この大入賞口402を覆うようにして上記シャッタ403が配設されている。シャッタ403は、当該シャッタ403よりも上流側に位置する上流側底面部415及び同シャッタ403よりも下流側に位置する下流側底面部416とともに下流側通路412の底部414を構成している。なお、図10においてはシャッタ403が閉じた状態を示している。
シャッタ403は下流側通路412の通路方向と同じ方向に延びる長板状をなしており、その上面の傾斜角度については、上流側底面部415及び下流側底面部416の傾斜角度と同等となっている。シャッタ403の上流側の端部については上流側底面部415よりも僅かに下側に位置し、下流側の端部については下流側底面部416よりも僅かに上側に位置している。これにより、底部414に沿って遊技球が流下する際の流れが担保されている。
本実施の形態に示す可変入球装置65については、シャッタ403を開閉させることにより、大入賞口402への遊技球の流入が許容された状態(以下、許容状態という)と、流入が不可となる状態(以下、阻止状態という)とに切替可能となっている。
ここで、シャッタ403の動作に係る構成について補足説明する。なお、以下の説明では、可変入球装置65への入賞が許容されている状態すなわちシャッタ403の開状態を、可変入球装置65及びシャッタ403に共通の表現として「許容状態」と呼称し、可変入球装置65への入賞が許容されていない状態すなわちシャッタ403の閉状態を、可変入球装置65及びシャッタ403に共通の表現として「阻止状態」と呼称する。
シャッタ403の下流側の端部には、球通路410における下流側通路412の通路方向と直交する方向(前後方向)に延びる貫通孔が形成されている。この貫通孔に対してハウジング401に固定された軸ピン425が挿通されることで、シャッタ403がハウジング401によって回動可能に軸支されている。この軸ピン425(シャッタ403における下流側の端部)を基端として、上流側の端部が昇降するようにして回動することにより、許容状態/阻止状態へ切り替ることとなる。
ベースユニット400(ハウジング401)の背面側には、上記可変入球駆動部404が取り付けられている。可変入球駆動部404は、駆動源としてのモータ426と、当該モータ426からの駆動力をシャッタ403に伝達する駆動力伝達手段としてのリンク機構427とを有している。モータ436は主制御装置162に電気的に接続されており、主制御装置162からの駆動信号に基づいて動作することで上記許容状態/阻止状態の切り替えがなされる。
また、ベースユニット400(ハウジング401)には、少なくともシャッタ403が閉じている場合に当該シャッタ403の回動を阻止するロック装置428が設けられている。ロック装置428についても主制御装置162に接続されており、上記開閉実行モードへ移行した場合にはロック装置428のアンロック状態への切り替えが許容されることとなる。このロック装置428の存在により、不正具を用いて無理やりシャッタ403を開状態とするといった不正行為を難しくしている。
本実施の形態におけるシャッタ403については特に、下流側通路412の底部414の一部を構成している。つまり、阻止状態においてはシャッタ403が遊技球を案内する案内部(転動面)として機能する。ここで、仮に、遊技球の重み等によってシャッタ403の傾きが変化した場合には、通路としての機能が上手く発揮されなくなると懸念される。この点、ロック装置428によって阻止状態となっているシャッタ403の動きを規制することにより、通路としての機能が低下することを抑制している。
図11(a)に示すように、ハウジング401には大入賞口402に入球した遊技球を検知する上記検知センサ405が設けられている。より具体的には、大入賞口402よりも下側には、大入賞口402に入った遊技球が流入する流入通路406が形成されており、この流入通路406の途中位置に検知センサ405が配置されている。検知センサ405は主制御装置162に電気的に接続されており、検知センサ405の検知領域DEを遊技球が通過した場合に検知情報(検知信号)が主制御装置162に入力される構成となっている。主制御装置162ではこの検知情報に基づいて入賞の有無を判定する。
ここで、流入通路406の入口部分については、大入賞口402の側方(右側)にオフセットして設けられており、大入賞口402と直通しているわけではない。本実施の形態においては、シャッタ403が阻止状態から許容状態に切り替ることにより、当該シャッタ403が大入賞口402に入った遊技球を流入通路406へと案内する案内通路として機能することとなる。
具体的には、図11(a)→図11(b)に示すように、シャッタ403が回動によって阻止状態から許容状態に切り替ると、シャッタ403の姿勢(傾き方向)が左下がりから右下がりとなるように逆転する。シャッタ403の先端が上記流入通路406の入口部分を構成する通路底面に当接することにより、それ以上の回動が阻止され、シャッタ403と流入通路406とが連通した状態となる。この状態(許容状態)では、大入賞口402が開放され、当該大入賞口402に流入した遊技球は、シャッタ403を経由して流入通路406へ移ることとなる。つまり、シャッタ403は許容状態及び阻止状態の何れの状態であっても、遊技球の案内先こそ相違するものの、遊技球を案内する通路として機能するように構成されている。
既に説明したように、本実施の形態においては大当たりに結果となって開閉実行モードへ移行した場合であっても、可変入球装置65が常に許容状態に維持されるのではなく、阻止状態を経由して次のラウンドへ移行するように構成されている。このため、開閉実行モード中に可変入球装置65の状態に関係なく、遊技球の発射操作を継続した場合には、それら遊技球の一部が、可変入球装置65が阻止状態となっている状況下にて可変入球装置65、詳しくは下流側通路412において大入賞口402への入球が発生し得る領域(シャッタ403と対峙している特定領域SE)に遊技球が到達し得る。
仮に阻止状態にて特定領域SEに到達した遊技球が、そのまま可変入球装置65を素通りしてアウト口68等へ到達する構成であった場合には、それら遊技球が無駄球となって遊技者の投資が嵩む可能性がある。このようなタイプの遊技機においては、可変入球装置65が阻止状態となっている場合に当該入球部に遊技球が到達しないように発射操作を工夫することにより、遊技者は無駄な投資を抑えることができる。このような技術介入が許容されている場合には、得られる特典等に遊技者の技量に応じた差が生じる。これは、遊技の公平性を向上させる上で妨げになり得る。
本実施の形態においては、このような事情に鑑みて、公平性の低下を抑制する工夫がなされていることを特徴の1つとしている。そこで以下、図11(a)及び図12を参照して当該工夫について説明する。図12(a)は当該工夫が存在しない場合の遊技球の挙動を示す概略図であり、図12(b)は当該工夫が存在する場合の遊技球の挙動を示す概略図、図12(c)は速度変化の様子を示す概略図である。なお、図12(a)及び図12(b)においては、遊技球が通過する軌道を一点鎖線を用いて例示している。
図11(a)に示すように、シャッタ403の上面には特定領域SE側に突出する突出部として突条部440が設けられている。突条部440は、前後方向に延びており、前後方向における遊技球の流下経路のばらつきが許容されている。下流側通路412を通過する遊技球は、上流側底面部415からシャッタ403に移って特定領域SEを通過する際に当該突条部440に当たる(上流側から衝突する)。遊技球が突条部440に衝突することにより、その速度が減少することとなる。
遊技球の転動面として機能するシャッタ403の上面に突条部440を設けることにより、遊技球が突条部440を迂回することを抑制し、各突条部440による減速機能を担保している。なお、突条部440の先端部と天井部419との隙間寸法については、遊技球の直径寸法よりも僅かに大きくなるように設定されており、遊技球が突条部440に当って減速した場合にシャッタ403上で停滞することを回避し、下流側通路412の通路としての機能が担保されている。
突条部440については下流側通路412の通路方向に複数配列され、減速箇所(減速ポイント)が複数設けられている。特定領域SEを流下する遊技球は、突条部440に衝突する度に減速することとなる。なお、これら突条部440同士の位置関係についての詳細は後述する。
突条部440に当った遊技球は、天井部419に向けて上昇し、当該天井部419に衝突することで更に減速されることとなる。つまり、天井部419にも遊技球を減速させる減速手段としての機能が付与されている。また、シャッタ403及び天井部419間にて遊技球を下流側通路412の通路方向と交差する方向(上下方向)に蛇行させることにより、特定領域SEにおいては実質的な通路長が増大している。この結果、当該通路方向における遊技球の移動速度が遅くなる。
ここで、図12を参照して特定領域SEにおける減速態様について説明する。図12(a)には突条部440が形成されていない(減速手段を有さない)シャッタ403Xを例示している。減速手段に相当する構成が存在しない場合には、遊技球は特定領域SEを通過する場合に当該特定領域SEにて加速されることとなる。このため、特定領域SEから流出する際の遊技球の速度S3は、特定領域SEに流入する際の遊技球の速度S1よりも速くなる(図12(c)参照)。
一方、本実施の形態に示すシャッタ403については、図12(b)に示すように遊技球が突条部440及び天井部419に衝突し且つ上記通路方向と交差するように蛇行する。これにより、遊技球が特定領域SEを通過する場合には、特定領域SEにて遊技球が減速されることとなる。このため、特定領域SEから流出する際の遊技球の速度S2は、特定領域SEに流入する際の遊技球の速度S1よりも遅くなる。
つまり、図12(c)に示すように、同じ速度S1にて特定領域SEに流入した場合であっても、特定領域SEにて減速されることにより、特定領域SEから流出する際の速度には大きな差が生じる。更に、本実施の形態においては遊技球が蛇行することにより、実質的な通路長が増大しているため、同じ速度S1で特定領域SEに到達した場合であっても、同じ期間で比較した場合には、上記通路方向における移動距離に違いが生じる。具体的には、図12(a)に示す遊技球の移動距離がX1と図12(b)に示す遊技球の移動距離X2とを比較した場合には、後者は前者よりも短くなる。
本実施の形態においては、減速の度合いについては以下のように規定されている。すなわち、遊技球が特定領域SEを通過するのに要する期間が、開閉実行モードにおけるインターバル期間(阻止状態に維持される期間:2.0sec)よりも長くなるように規定されている。図12(a)に示す例では、特定領域SEに遊技球が到達してからインターバル期間が経過することにより、遊技球は特定領域SE(詳しくは球通路410)から離脱する。一方、本実施の形態では、特定領域SEに遊技球が到達してからインターバル期間が経過した場合であっても、当該遊技球は特定領域SE内に位置することとなる。
このため、仮に開閉実行モード中にて可変入球装置65が許容状態から阻止状態に切り替ったタイミングで遊技球が特定領域SEに到達した場合であっても、当該遊技球は可変入球装置65が次に許容状態に切り替るまで特定領域SEから流出しないように規制され、次の許容状態への切り替えによって大入賞口402に流入することとなる。
ここで、図13を参照して、「減速手段」としての機能する突条部440の形状について補足説明する。図13(a)は許容状態を示す概略図、図13(b)は阻止状態を示す概略図である。
突条部440は、上流側に位置する傾斜面(上流側傾斜面441)と下流側に位置する傾斜面(下流側傾斜面442)とを有してなり、断面が略三角形となるように形成されている。上流側傾斜面441は、図13(a)に示す阻止状態では、水平線HLよりも上向きとなるように上り傾斜している。つまり、上流側傾斜面441の上流側の端部(基端部)よりも下流側の端部(先端部)の方が上側に位置するように傾斜している。これにより、当該上流側傾斜面441に当った遊技球は、その流下方向が天井部419側を向くように変更されることとなる。天井部419に衝突した遊技球は、下方に向けて落下するが、この際には、軌道修正の契機となった突条部440の下流側傾斜面442よりも下流側となる位置に着地する。
上流側傾斜面441の上り傾斜の度合い(すなわち水平線HLに対する傾きANG1)については、上流側から流下した遊技球が当該突条部440を乗り越えることができる程度に抑えられている。言い換えれば、例えば突条部440同士の間隔や上流側底面部415の通路長さ等は、非減速区間にて遊技球に付与された速度により直下流に位置する突条部440を乗り越えることができるように設定されている。
図13(b)に示す許容状態となった場合には、シャッタ403が下流側通路412と逆傾斜となるため、上流側底面部415からシャッタ403に移った遊技球は、その勢いによってシャッタ403を逆流しようとする。ここで、上記上流側傾斜面441については、流入通路406(図11等参照)とは反対側に向けた遊技球の移動を規制する規制手段として機能することとなる。
下流側傾斜面442については、図13(b)に示すように、シャッタ403が許容状態に切り替った場合に、水平線HLよりも下向きとなるように下り傾斜している。つまり、下流側傾斜面442の上流側の端部(先端部)よりも下流側の端部(基端部)の方が上側に位置するように傾斜している。これにより、当該下流側傾斜面442に沿った遊技球の移動、すなわち流入通路406に向けた遊技球の移動を許容し、シャッタ403上にて遊技球が停滞することを回避している。また、この状態では、シャッタ403の上面よりも突条部440の下流側傾斜面442の方が傾斜角度が緩くなるように形成されており、シャッタ403に沿って流下する遊技球の加速度に差を生じさせている。これは、複数の遊技球の流入通路406への到達タイミングをずらすための工夫である。なお、下流側傾斜面442が下り傾斜の度合い(すなわち水平線HLに対する傾きANG2)については、流入通路406へ向けた遊技球の移動を担保できる範囲であれば任意に変更してもよい。
既に説明したように、本実施の形態においては特定領域SEに複数の遊技球が位置し得るように構成されている。ここで、遊技球発射ハンドル41が操作されている場合には、所定周期(0.6sec)毎に遊技球が発射される。遊技球同士の間隔は流下の過程にて広がったり狭まったりするが、少なくとも右ルートにおいは上述した通路構造とすることにより、当該間隔の極端な変化やばらつきの発生が抑制されている。
しかしながら、遊技球が特定領域SEにて減速した場合には、後続の遊技球が先行する遊技球に追いつく可能性がある。仮にこのような追いつきが発生した場合には、先行する遊技球が後続の遊技球に押される等して、減速機能が上手く作用しなくなると想定される。つまり、単に減速を行った場合には、減速で速度が落ちた際に遊技球同士の距離が詰まることで上述した遊技球同士の衝突が発生しやすくなる。そこで、本実施の形態では、複数の遊技球が特定領域SEにおける減速の対象になる場合に、それら遊技球同士が衝突することを抑制する工夫が施されている。具体的には、突条部440の配置を工夫することにより、当該不都合の発生を抑制している。
そこで、次に図14(a)を参照して突条部440の配置について補足説明する。既に説明したように、突条部440は下流側通路412の通路方向に並べて配置されており、突条部440同士の間隔は、遊技球の直径寸法よりも大きくなるように設定されている点、更には減速された遊技球が次の突条部440を乗り越えることができるように設定されている点では共通している。しかしながら、厳密には突条部440同士の間隔は、下流側通路412の通路方向にて下流側程小さくなるように減縮されている。以下の説明では、最上流に位置する突条部440を「突条部440A」、突条部440Aの下流側に位置する2番目の突条部440を「突条部440B」、突条部440Bの下流側に位置する3番面の突条部440を「突条部440C」、突条部440Cの下流側に位置する4番面(最下流)の突条部440を「突条部440D」と称する。
突条部440A及び突条部440Bの距離寸法L1と、突条部440B及び突条部440Cの距離寸法L2と、突条部440C及び突条部440Dの距離寸法L2とを比較した場合、距離寸法L1 > 距離寸法L2 >距離寸法L3となるように設定されている。
特定領域SEに流入した遊技球は、先ず突条部440Aに衝突することにより、その速度が抑えられる。この際、後続の遊技球との間隔は一時的に小さくなる。突条部440Aにて減速された遊技球は、勢いに乗る前に次の突条部440Bに衝突して更に速度が抑えられることとなる。この際、先行する遊技球と後続の遊技球との速度差が大きくなることで、両遊技球の間隔は更に小さくなるが、遊技球同士の衝突は抑制される。
突条部440Bにて減速された遊技球は、その後も突条部440C→突条部440Dにて減速されることにより、徐々にその速度が低下して、突条部440Dを通過する際に、その速度が最も遅くなる。しかしながら、後続の遊技球についても同じルーとを辿るようにして減速されるため遊技球間の距離は小さくなるものの、遊技球同士が衝突する前に先行する遊技球が特定領域SEから離脱することとなる。
このように、遊技球同士の衝突を回避しつつ、遊技球同士の間隔を狭くすることにより、シャッタ403の上面という限られた範囲に複数の遊技球が位置し得る構成が実現されている。特に、突条部440Aの間に遊技球の直径寸法よりも大きな隙間が担保されているため、その隙間に遊技球が入り込んだ状態にて遊技球同士が衝突することが回避される。
次に、図14(b),図15及び図16を参照して、本実施の形態における開閉実行モード中の遊技球の動きについて説明する。図14(b)は開閉実行モードにおける入球の流れを示すタイミングチャート、図15及び図16は開閉実行モード中の遊技球の動きを示す概略図である。なお、既に説明したように開閉実行モード中は複数回(全15回)に亘って可変入球装置65が許容状態に切り替ることとなるが、一連の遊技の流れについては同様であるため、その一部について例示する。
図14(b)に示すようにt1のタイミングにて可変入球装置65が阻止状態から許容状態に切り替ると、特定領域SEを通じて大入賞口402へ遊技球が流入することとなる。本実施の形態においては、発射された遊技球が特定領域SEに到達するまでにタイムラグ(凡そ3sec)がある。つまり、大入賞口402への入球が発生した場合には、それよりも前のタイミングにて発射済みの遊技球が対象になる。このようなタイムラグの存在により、可変入球装置65が許容状態となっている場合に発射された遊技球が当該許容状態中に特定領域SEに必ず到達するわけではなく、阻止状態に切り替った後のタイミングにて特定領域SEに到達し得る。
図14(b)の例では、t1のタイミングの直後に4個の遊技球が入賞している。その後、総入賞数が所定個数(10個)に達したt4のタイミングにて可変入球装置65が許容状態から阻止状態に切り替ることとなる。ここで、阻止状態に切り替った後のt5のタイミング(阻止状態中)にて特定領域SEに到達した遊技球は、t4のタイミングよりも前のt2のタイミングにて発射された遊技球となる。以降は、阻止状態中に定期的に遊技球が特定領域SEに到達するが、許容状態に切り替るまではこれら各遊技球が大入賞口402に入賞することはない。
つまり、許容状態から阻止状態に切り替ったt4のタイミングよりも前のt2のタイミング〜t3のタイミングでは周期的に遊技球が発射されるものの、それら遊技球が特定領域SEに到達するのは可変入球装置65が阻止状態となっているインターバル期間中(t5のタイミング〜t6のタイミング)となる。
このインターバル期間にて特定領域SEに到達した遊技球については、上述した減速手段によって減速されることで特定領域SEからの離脱が遅れることとなる。つまり、特定領域SEに一時的な渋滞が発生し、複数(詳しくは4つ)の遊技球が滞留した状態となる。具体的には、図15(a)→図15(b)→図15(c)→図15(d)に示すように、可変入球装置65が許容状態から阻止状態に切替後から特定領域SEにて遊技球の渋滞が発生することとなる。
図15(a)に示すように、最初に特定領域SEに到達した遊技球B1は、突条部440Aに当たって減速される。このタイミングでは上流側通路411に後続の遊技球B2が到達している。図15(a)→図15(b)に示すように、遊技球B1が突条部440Bに到達するタイミングに合わせて後続の遊技球B2が突条部440Aに到達する。このタイミングでは、上流側通路411に後続の遊技球B3が到達している。図15(b)→図15(c)に示すように、遊技球B1が突条部440Cに到達するタイミングに合わせて遊技球B2が突条部440Bに到達し遊技球B3が突条部440Aに到達する。このタイミングでは上流側通路411に後続の遊技球B4が到達している。図15(c)→図15(d)に示すように、遊技球B1が突条部440Dに到達するタイミングに合わせて遊技球B2が突条部440Cに到達し遊技球B3が突条部440Bに到達し遊技球B4が突条部440Aに到達する。このタイミングでは上流側通路411に後続の遊技球B5が到達している。以上の通り、結果として4つの遊技球がシャッタ403上に位置することとなる。
再び図14(c)の説明に戻り、t7のタイミングにて可変入球装置65が阻止状態から許容状態に切り替ると、それまでシャッタ403上に位置していた遊技球が、特定領域SE→大入賞口302→流入通路406へと流入することとなる。
具体的には、図16(e)に示すように、シャッタ403が阻止状態から許容状態に切り替ると、シャッタ403が右下がりとなるように傾くことにより、シャッタ403上に位置している遊技球が流入通路406に向けて流下を開始する。このタイミングでは後続の遊技球B5が上流側通路411に到達している。
図16(e)→図16(f)に示すように、遊技球B5が上流側通路411に沿って移動すると、この間にシャッタ403上に位置していた遊技球B1〜B4が右側へシフトする。詳しくは、最上流に位置していた遊技球B4が流入通路406へ移り、それに伴って、遊技球B1〜B3が流入通路406側へ移動する。
図16(f)→図16(g)に示すように、遊技球B5が特定領域SEに到達したタイミングでは、シャッタ403上に位置していた遊技球B2及び遊技球B3が流入通路406へと移り、許容状態への切替前に先頭に位置していた遊技球B1が流入通路406の入口へと移動する。これにより、後続の遊技球B5が遊技球B1〜B4の入賞を妨げることが回避される。なお、このタイミングにて後続の遊技球B6が上流側通路411に到達することとなる。
図16(g)→図17(h)に示すように、遊技球B5が特定領域SE→大入賞口402を通じてシャッタ403に到達すると、当該遊技球B5はシャッタ403の傾斜を利用して、当該シャッタ403を駆け上がろうとするが、このような動きはシャッタ403に設けられた突条部440によって規制されることとなる。これにより、遊技球B5についても流入通路406へと円滑に案内される。なお、このタイミングでは遊技球B6は未だ上流側通路411に位置しているため、当該遊技球B6によって遊技球B5の入賞が妨げられることが回避される。
図14(b)の説明に戻り、t8〜t9のタイミングでは後続の遊技球の入賞が継続する。その後、入賞数が所定数(10個)になることにより可変入球装置65が阻止状態に切り替ることとなる。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果が期待できる。
球通路410(下流側通路412)の一部が「可動部材」としてのシャッタ403によって形成されており、シャッタ403が阻止状態から許容状態に切り替ることにより当該下流側通路412を通過する遊技球が特定領域SEを通じて大入賞口402へ入球する。ここで、阻止状態となっている場合には遊技球が特定領域SEに到達することで減速されることとなる。これのように、遊技球の流れを遅延させることにより、阻止状態にて特定領域SEに到達済みの遊技球が許容状態への切り替え前に特定領域SEを素通りすること(無駄な投資が発生すること)を抑制できる。阻止状態にて特定領域SEに到達した遊技球の救済を図ることにより、例えば阻止状態にて遊技球が可変入球装置65(特定領域SE)に到達しないように遊技球の発射操作等の調整等を行う必要性を低下させて、技術介入による公平性の低下を好適に抑制できる。
特定領域SEから離脱する際の遊技球の速度を特定領域SEに到達した際の遊技球の速度よりも低くすることにより、例えば遊技球を連続して(周期的に)遊技領域PEに発射した際のそれら遊技球同士の間隔の広がりを抑え、特定領域SE付近で複数の遊技球の密集度合いを疎→密に好適に変化させることができる(遊技球の塊を意図的に渋滞させることができる)。つまり、特定領域SE付近にて遊技球の塊を創出することができ、阻止状態から許容状態への切り替えに伴って複数の遊技球をまとめて大入賞口402に入球させることができる。本実施の形態においては、下流側通路412を構成する前壁部418が奥壁部417よりも低くなるように形成され、下流側通路412(特定領域SE)に位置する遊技球を目視により確認可能となっている。これにより、上述した救済機能による公平性を遊技者に対して視覚的に教示することができる。
シャッタ403に形成された突条部440によって特定領域SEを通過する遊技球を蛇行させることにより、先行する遊技球が特定領域SEにて減速した際に仮に後続の遊技球が当該先行する遊技球に衝突したとしても、その衝突により同先行する遊技球が加速されることを抑制することができる。特に、遊技球を蛇行させることにより、遊技球同士が衝突した場合であっても、衝突方向を通路方向と交差する方向に向けることができ、例えば通路壁面に衝突に起因した力を分散させることができる。
シャッタ403については下流側通路412の底部414を形成しているため、当該下流側通路412を通る遊技球は特定領域SEを通過する際にシャッタ403に沿って移動する(例えばシャッタ403上を転動する)。これにより、上述した減速機能が上手く発揮されなくなることを抑制できる。
シャッタ403は回動式となっている。シャッタ403が許容状態に切り替る場合には、同シャッタ403に追従して遊技球が降下することとなる。これにより、突条部440が特定領域SEに存在する遊技球が過度に勢いよく流入通路406へ向けて流下することを抑制できる。また、シャッタ403が回動することで、当該シャッタ403上に並んでいる遊技球をその並びを保つようにしてシャッタ403に沿って移動させることが可能となる。これにより、複数の遊技球をまとめて流入通路406に案内する構成にて案内中に球詰まり等が発生することを抑制できる。
シャッタ403は下流側通路412の通路方向(傾斜方向)とは反対側に回動することにより、特定領域SEにて減速済みの遊技球がシャッタ403の回動に伴って上記通路方向に向けて再加速されることを抑制できる。これは、シャッタ403上に載っている遊技球(減速済みの遊技球)が大入賞口402を飛び越えて可変入球装置65よりも下流側へと逃げることを回避する上で有利である。つまり、特定領域SEにて減速された遊技球がシャッタ403が許容状態になったにも係らず大入賞口402を素通りすることを抑制し、減速機能が上手く活用されなくなることを回避できる。
既に説明したように阻止状態となっている場合に下流側通路412の底部414を形成するシャッタ403を減速手段としての突条部440の配設対象とすることにより、特定領域SEを通過する遊技球が突条部440を迂回するといった不都合の発生を抑制することができる。これにより、上記減速機能を担保できる。特にシャッタ403については、許容状態となることで流入通路406へと遊技球を案内する案内通路として機能する。係る構成においては、当然のことながら突条部440もシャッタ403に追従して移動することとなる。これにより、案内通路が形成された場合に、遊技球が過剰な勢いで流入通路406へ向けて流下することを抑制するブレーキとして突条部440を利用することができる。
本実施の形態に示す下流側通路412には天井部419が設けられており、この天井部419によって大入賞口402が上方から覆われている。これにより、遊技球が勢いよく大入賞口402に入球することを抑制することができる。突条部440によって天井部419側に案内された遊技球は当該天井部419に当たることで減速されることとなる。そもそも、天井部419については遊技球の挙動に直接関与する部分ではないため、遊技球が繰り返し衝突する等して変形等が発生したとしても、それにより遊技者が不利益を被ることもない。故に、天井部419を利用して遊技球を減速させる構成とすることにより、実用上好ましい構成が実現される。
突条部440は、シャッタ403に沿って(下流側通路412の通路方向)複数並設されており、それら突条部440の間隔が遊技球の直径寸法よりも大きくなるように構成されている。突条部440を複数並設することにより、複数の減速箇所が存在することとなり、減速機能を強化することができる。また、1の突条部440による減速の度合いを大きくする必要がなく、突条部440の保護及び遊技球同士の衝突を回避する上でも有利である。
特に、各突条部440は間隔が遊技球の直径寸法よりも大きくなるように離間している。このような構成とすることにより、シャッタ403上に複数の遊技球が載ることを許容できる。これにより、阻止状態となる期間をある程度長く設定した場合であっても、上述した遊技球の素通りを抑制することができ、当該期間に係る制約を好適に軽減できる。また、減速機能を強化することで遊技球間の距離が詰まった場合には、遊技球同士が衝突し得るが、突条部440の間隔を遊技球の直径寸法以上としておくことにより、下流側の突条部440により速度が落ちた遊技球に対して上流側の突条部440に到達した後続の遊技球が衝突することを好適に抑制することができる。
特定領域SEにて遊技球を減速させる場合には、その減速の度合いが過度に大きくなることは突条部440に生じる負荷を増大させる要因となるだけでなく、後続の遊技球との距離が詰まる等して遊技球同士の衝突を招来する要因となり得る。そこで、本実施の形態に示すように、複数の突条部440を併用することにより、1の突条部の負荷(減速度合い)を軽減することができる。そして、遊技球がスピードに乗る前に次の突条部と衝突することにより、減速機能を好適に発揮させることができる。
上述したように、複数の遊技球を特定領域SE内(シャッタ403上)に留めることには技術的意義がある。本実施の形態に示すように、突条部440同士の間隔が下流側程短くすることにより複数の遊技球を特定領域SEに留めやすくなる。
突条部440の上流側傾斜面441は、下流側の端部における高さ位置が上流側の端部の高さ位置よりも高くなるように形成されている。このようにして上流側傾斜面441の傾斜が水平レベルよりもきつい上り坂となるように構成することにより、遊技球の減速機能を好適に発揮させることができる。しかしながら、減速機能の強化は突条部440の配設対象であるシャッタ403の負担を増加させる要因となり得る。この点、上記構成によれば衝突時の勢いの一部を上流側傾斜面441に沿う方向に逃がすことができ、突条部440の配設対象であるシャッタ403を好適に保護することができる。また、遊技球を天井部419に向けて案内する構成においては特に、当該案内機能を好適に発揮させることができる。
突条部440の突出量を大きくすることにより、阻止状態における減速機能を強化することができるが、シャッタ403によって上記案内通路を形成する場合には当該突条部440が案内機能を発揮させる上で妨げとなり得る。突条部440には、上流側傾斜面441だけでなく下流側傾斜面442が形成されている。この下流側傾斜面442の存在により、減速機能の強化に起因して遊技球が突条部440に引っ掛かる等して案内機能が上手く発揮されなくなることを抑制できる。
また、遊技球を案内通路に沿って流入通路406に案内する構成においては、遊技球が勢いよく流入通路406に向けて流れ込むことは、可変入球装置65の耐久性の担保や球詰まりの発生の回避等を実現する上で好ましくない。この点、下流側傾斜面442の存在によって遊技球が減速されることにより、そのような不都合の発生を好適に抑制することができる。
突条部440の各傾斜面441,442は、シャッタ403の上面とのなす角が、下流側傾斜面442よりも上流側傾斜面441のほうが大きくなるように形成されていることにより、上記2つの機能を好適に担保することができる。
開閉実行モード中に可変入球装置が許容状態と阻止状態とに繰り返し切り替るタイプの遊技機においては、許容状態中に遊技球が入球するようにして遊技球の発射タイミング等を遊技者が調整することにより、すなわち阻止状態中に遊技球が可変入球装置に到達しないようにして遊技球の発射タイミングを遊技者が調整することにより、無駄な投資を抑えて遊技を有利に進めることができる。このような技術介入が許容されている場合には、得られる特典等に遊技者の技量に応じた差が生じる。これは、遊技の公平性を向上させる上で妨げになり得る。この点、本実施の形態においては、特定領域SEを遊技球が通過するのに要する期間が許容状態→阻止状態→許容状態に切り替るインターバル期間よりも長くなるようにして上記減速を行うように構成されている。この構成によれば、可変入球装置65が阻止状態へ切り替るタイミングにて当該可変入球装置65(特定領域SE)に到達した遊技球は、次の許容状態へ切り替るまで特定領域SEを素通りすることなく当該特定領域SEに留まることとなる。これにより、遊技球の発射操作を継続したとしても、それに起因して無駄な投資が発生することが回避される。故に、上述した発射タイミング等の調整が不要となり(技術介入の余地を払拭し)、公平性の担保に貢献することができる。
そもそも、遊技領域PEが設けられている遊技機においては、遊技球の挙動(動き)を目で追うという遊技が行われることが元来の特徴となっている。そこで、遊技球を完全に停止させるのではなく、ある程度の動きを担保しつつ、それでもなお上記素通りを回避できる構成とすることにより、遊技機の本質が損なわれることを好適に抑制することができる。
遊技者の発射操作に基づいて遊技球が周期的に発射されている場合には、先行する遊技球が特定領域SEに到達している状態にて後続の遊技球が特定領域SEに到達し得る。そこで、インターバル期間中に特定領域SEに到達した遊技球がインターバル期間中に発射される遊技球の上限数と同じ数だけ特定領域SE内に滞留し得るようにして減速機能を発揮させることにより、上述した各種効果を好適に発揮させることが可能となる。
また、上述したように所定個数(10個)の入球の発生又は予め設定された所定期間(30sec)が経過したことを条件として許容状態から阻止状態への切り替えがなされる構成では、所定期間中に所定数の入球が発生しなかった場合には、本来得られるはずの特典を逃す所謂取りこぼしが発生し得る。この点、上記構成によれば許容状態への切り替え時にストックされていた複数の遊技球をまとめて入球させることにより、そのような取りこぼしの発生を好適に抑制することができる。所定数の入球によって可変入球装置65が阻止状態に切り替わる構成では、入球の発生効率を向上させることにより、遊技進行の迅速化を図ることができる。これにより、遊技が間延びするといった印象を遊技者に与えることが回避される。
上述したように、複数の遊技球をシャッタ403上(特定領域SE)に留めようとした場合には、遊技球同士が衝突することにより、先行する遊技球が後続の遊技球に押されて再加速することにより、上述した減速機能が上手く発揮されなくなる可能性がある。このような事象に配慮して特定領域SEにおける遊技球間の距離を大きくしようとすれば、シャッタ403が極端に大型化する等して、切替時の応答性が低下したり遊技領域PEにおける可変入球装置65の占有領域が無駄に嵩んだりするといった不都合が生じ得る。この点、本実施の形態に示すように、複数の突条部440を設けて減速箇所を複数設定することにより、そのような不都合の発生を抑制することができる。
開閉実行モード中に可変入球装置65が許容状態→阻止状態→許容状態に繰り返し切り替る構成においては、各状態の存在によって遊技にリズムを発生させる等して、開閉実行モード中の遊技が単調になることを抑制することができる。このような前提にて、仮に上述した滞留数の上限(ストック数:4個)が終了条件としての所定個数(10個)を上回ってしまうと、許容状態が即座に終了するため、上述した本来の機能が上手く発揮されなくなる。この点、本実施の形態では、上限数を所定数よりも少なくなるようにすることで、そのような不都合の発生を抑制している。また、所定数よりも多い数の遊技球が入球すること、すなわち予め想定されていた数よりも多い数の入球が発生することは遊技ホール等に不測の不利益を与える要因になる。この点、上述の如く過剰な入球の発生を抑制することにより、減速手段の存在に起因してそのような不利益の発生を抑制できる。
上記インターバル期間は、遊技者の発射操作に基づいて遊技球発射機構110により発射された遊技球が可変入球装置65に到達するまでに要する最短期間(3sec)よりも短くなるように設定されている。許容状態となっている期間が限られている以上、特定領域SEに到達しさえすれば同特定領域SEに到達した遊技球は次の許容状態にて入賞することとなる。故に、特典の取りこぼし(所謂パンク)を回避する上では、止め打ち等の変則打ちを行うことなく、発射操作を継続した方が遊技者にとって有利となる。これにより、遊技者の技術介入を排除し、公平さの担保に貢献することができる。
<第2の実施の形態>
上述した第1の実施の形態では、「可動部材」としてのシャッタ403が下流側通路412における上流側の端部を基端として回動することにより、阻止状態/許容状態の切り替えを行う構成としたが、本実施の形態ではシャッタの動作態様が上記第1の実施の形態と相違している。以下、図17の概略図を参照して本実施の形態におけるシャッタ503及びその動作態様について説明する。なお、シャッタ503以外の構成についてはその大半が上記第1の実施の形態と共通となっているため、これら共通する構成については説明を援用する。
図17に示すように、シャッタ503は、その上流側の端部に形成された貫通孔に軸ピン425が挿通されることによりハウジング401によって回動可能に保持されている。シャッタ503が回動することにより、阻止状態/許容状態に切り替る点については、上記第1の実施の形態と同様であるが、これら状態切替を行う際の動作方向が相違している。
可変入球装置65を阻止状態から許容状態への切り替える場合には、シャッタ503を上流側の端部を基端として回動させて下流側の端部を降下させる。これにより、シャッタ503の傾斜角度が更にきつくなる。なお、本実施の形態においては、流入通路406及び検知センサ405がシャッタ503の左側に配置されている。
シャッタ503上(特定領域SE)に複数の遊技球が存在している状況下にて当該切り替えが行われると、それら遊技球が並んでいる順番に流入通路406へと移動する。つまり、傾斜角度は変化しても、基本的に傾斜の向きは下流側通路412の傾斜の向きと同じ側となっているため、入球順序が上記第1の実施の形態とは逆になり、特定領域SEに到達した順に入賞することとなる。
シャッタ503が下流側通路412の通路方向(傾斜方向)と同じ側へ回動することにより、シャッタ503上に載っている遊技球が大入賞口402(流入通路406)へと導かれることとなる。本実施の形態においては特定領域SEに先行して到達している遊技球群に対して後続の遊技球が追いついたとしても、当該後続の遊技球が先行する遊技球群に割り込むことを回避することができる。特定領域SEを通過する遊技球は順次大入賞口402(流入通路406)へと導かれるため、遊技球の流れが乱れることを抑制できる。これは、流入通路406や大入賞口402付近にて球詰まり等が発生することを抑制する上で有利である。このような遊技球同士の衝突を許容することにより、遊技領域PEを流下する過程にて流下態様のばらつきが生じることを好適に許容できる。故に、右ルートにおける流下態様の多様化を促進できる。
なお、可変入球装置65を許容状態から阻止状態への切り替える場合には、シャッタ503を上流側の端部を基端として回動させて下流側の端部を上昇させることにより、当該切り替えが完了する。
本実施の形態においては上述した阻止状態/許容状態の切り替えを行った場合であっても遊技球の案内方向が逆転するわけではない。そこで、突条部540の構成についても上流側傾斜面541については、上記第1の実施の形態と同様であるが、下流側傾斜面442については任意となる。
本実施の形態では下流側の面542をシャッタ503の上面に対して直交させている。これにより、遊技球が当該下流側の面542に当たることを回避している。当該下流側の面542を上記構成とすれば、同構成が特定領域SEにて遊技球を加速させる要因になることを回避できる。
<第3の実施の形態>
上記第1及び第2の実施の形態では「減速手段」を構成する突条部440を「可動部材」としてのシャッタ403に配設したが、本実施の形態では「減速手段」に相当する構成を特定領域SEを形成する他の部位に配設したことを特徴の1つとしている。そこで以下、図18を参照して本実施の形態における減速手段及び当該減速手段に関連する構成について説明する。図18(a)は下流側通路412を上方から見た概略図、図18(b)は下流側通路412を正面側から見た概略図、図18(c)は図18(b)のA−A線部分断面図である。なお、以下の説明では第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、当該第1の実施の形態と共通となる構成については説明を援用する。
図18(a)に示すように、本実施の形態における可変入球装置65においては、「減速手段」に相当する突条部640が奥壁部417及び前壁部418において特定領域SEを形成している部分に配設されている。突条部640は、下流側通路412の通路方向と直交するようにして上下に延びている。これにより、遊技球が突条部640に衝突した場合のシャッタ633の上面からの浮き上がりが抑制されている(図18(b)参照)。以下の説明では、奥壁部417に配設された突条部640を奥側突条部640Rと称し、前壁部418に配設された突条部640を手前側突条部640Fと称する。
奥壁部417と手前側突条部640Fとの隙間寸法D1は、遊技球の直径寸法Dよりも大きくなるように設定され、前壁部418と奥側突条部640Rとの隙間寸法D2についても遊技球の直径寸法Dよりも大きくなるように設定されている。なお、奥側突条部640Rは下流側通路412の通路方向にて遊技球の直径寸法Dよりも大きな隙間を隔てて複数(本実施の形態では4つ)配列されており、それら奥側突条部640Rの中間に位置するようにして手前側突条部640Fが各々配置されている。これにより、特定領域SEにおける遊技球の流下経路が下流側通路412の通路方向に対して前後に蛇行するように工夫されている。
ここで、奥側突条部640Rの突出量と手前側突条部640Fの突出量と遊技球の直径寸法Dとを足した場合には、下流側通路412(特定領域SE)の前後方向における通路幅よりも大きくなるように構成されている(D3 < D)。これにより、遊技球が突条部640との衝突を回避するようにして特定領域SEを駆け抜けることが回避されている。
図18(b)に示すように、突条部640の上端部は天井部419に到達している一方で、その下端部とシャッタ633との間には所定の隙間が形成されている。この隙間については、遊技球の半径寸法よりも小さく設定されている。遊技球がシャッタ633の上面を転動する場合には、遊技球が突条部640との衝突(減速機能)が担保されている。
ここで、図18(c)を参照して、本実施の形態に示した上記隙間の意義について説明する。シャッタ633が阻止状態となっている場合には、遊技球と突条部640との当接が担保され、上述した減速機能が担保される。一方、シャッタ633が許容状態となった場合には、シャッタ633に載っている遊技球と突条部640との当接が回避されることとなる。つまり、「減速手段」としての突条部640についてはシャッタ633が許容状態となることによりその減速機能が無効化される。このように、許容状態における減速機能の作用を抑えることにより、遊技球を迅速に流入通路406(図18(b)参照)へ案内することができる。これにより、減速機能が遊技進行の円滑化を妨げる要因になることを抑制できる。
また、本実施の形態においては、突条部の配設対象をシャッタ633から壁部417,418に移している。シャッタ633が阻止状態/許容状態に切り替ることにより、シャッタ633と突条部640との相対位置が変化する。既に説明したように、阻止状態においては突条部640と遊技球との当接が担保される構成であるため、仮にシャッタ633上に遊技球が載った状態にて当該シャッタ633が許容状態→阻止状態に切り替ると、その切替過程にて遊技球が突条部640の下端部に当たる可能性がある。これは、遊技球が支えてシャッタ633の阻止状態への切り替えを妨げる要因になり得る。この点、本実施の形態では、突条部640の下端部に面取りを施すことで、下端側にて徐々に突出量が小さくなる傾斜部641を形成している。これにより、仮に切替過程にて遊技球が突条部640(傾斜部641)に当ったとしても、同遊技球が傾斜部641に沿って当該突条部640の配設対象から離れる側へ案内されることにより、上記不都合の発生を抑制することができる。
なお、本実施の形態ではシャッタ633が許容状態となることにより既に特定領域SEに到達している遊技球に対して流入通路406へ向けた移動を妨げないように「減速手段」としての突条部640の減速機能を一部無効化する構成としたが、必ずしもこれに限定されるものではない。少なくとも、許容状態においては、特定領域SEにおける減速機能が無効化又は軽減されるのであれば足り、その具体的構成については任意である。
例えば、突条部640を特定領域SEに突出する突出位置と、突出が回避される退避位置とに移動可能とし、シャッタ633が阻止状態→許容状態に切り替る際にこれに併せて(例えば連動して)突条部640が突出位置から退避位置に移動する構成とするとよい。また、シャッタ633が許容状態→阻止状態に切り替る際にこれに併せて(例えば連動して)突条部640が退避位置から突出位置に移動する構成とするとよい。
<第4の実施の形態>
本実施の形態においては、シャッタ703が遊技球の揺動を許容するステージ部としての機能が付与されていることを特徴の1つとしている。つまり、上述した各実施の形態においては特定領域SEについてはあくまで一方通行であったのに対して、本実施の形態における特定領域SEについては遊技球の往復運動が許容されていることを特徴の1つとしている。そこで以下、図19を参照して、本実施の形態における可変入球装置65について説明する。図19(a)は可変入球装置65を前方から見た概略図、図19(b)は図19(a)のB−B線部分断面図である。
本実施の形態におけるシャッタ703についても、上記各実施の形態と同様に左右に延びる長板状をなしている。但し、シャッタ633は、上記シャッタ403等とはその動作態様が異なっている。具体的には、遊技盤60の厚さ方向(前後方向)にスライド移動することにより、大入賞口702への入球を阻止する阻止状態と大入賞口702への入球を許容する許容状態とに切り替る構成となっている。
図19(a)に示すように、シャッタ703の上面703aは、その左右両端が中央部分よりも上側に位置するように(下方に凸となるように)湾曲している。シャッタ703の側方であって当該シャッタ703の上面703aよりも上側となる位置には、遊技球をシャッタ703の上面703a(特定領域SE)に案内する案内部713(上流側底面部415に相当する)が設けられている。案内部713を通じてシャッタ703上に到達した遊技球は、当該シャッタ703上を上面703aに沿って左右に揺動することとなる。
シャッタ633の中央部分には、後方に傾斜する溝部703bが形成されており、図19(b)に示すように奥壁部417においてこの溝部703bと対峙する位置には、遊技球用の排出通路722への入口部として排出口721が形成されている。シャッタ703の上面703aを揺動している遊技球が勢いが弱まる等して、溝部703bに入った場合には、当該溝部703bを通じて排出口721へと案内されることとなる。つまり、特定領域SEから離脱することとなる。排出口721に流入した遊技球は、排出通路722を通じて遊技領域PE外に排出されることとなる。なお、排出通路722の出口部分については、必ずしも遊技領域PE外に通じている必要はなく、遊技領域PEに通じている構成とすることも可能である。
シャッタ703に到達した遊技球については、直ちに排出口721を通じて排出されるわけではなく、ある程度の期間に亘って特定領域SEに滞留することとなる。つまり、特定領域SEにおいては遊技球の排出口721への移動を遅延させる機能が付与されている。
開閉実行モードとなっている状況下にて、シャッタ703が許容状態/阻止状態に切り替る場合には、阻止状態となっている場合に特定領域SEに到着した遊技球を次の許容状態への切り替えがなされるまで揺動しながら待たせることができる。一方、許容状態となった場合には、上記案内部713(図19(a)参照)→特定領域SE→流入通路406が繋がり、上述した遅延が発生しない。これにより、入賞が無駄に遅れることが回避され、開閉実行モードの円滑な進行が担保されることとなる。
なお、本実施の形態においても特定領域SEに複数の遊技球が滞留可能となるようにシャッタ703が横長状をなしているが、この形状を利用して、遊技球を左右に揺動させる構造(遅延構造又は減速構造)を形成することにより、阻止状態にて特定領域SEに到達した遊技球の特定領域SEからの離脱を抑える構成を好適に実現することができる。
また、揺動中の遊技球については、その数の増加等によって挙動が変化し得る。このため、どのタイミングで特定領域SEから排出されるか、すなわち特定領域SEにおける滞在期間(通過に要する期間)が変化し得る。係る構成によれば、阻止状態となっている状況下にて特定領域SEに到達した遊技球が必ずしも許容状態への切り替りタイミングまで特定領域SEに留まるとは限らないため、遊技者は特定領域SEに到達した遊技球が排出口721に入る前に許容状態へ切り替ることを期待して遊技を行うと想定される。故に、特定領域SEにて揺動中の遊技球の動き等への注目度を好適に向上させることができ、遊技の単調化の抑制に貢献できる。
<その他の実施の形態>
なお、上述した各実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記各実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
(1)上記実施の形態では、球通路410の下流側通路412においてシャッタ403(「可動部材」に相当)に対峙する特定領域SEに遊技球が到達した場合に、当該遊技球を減速させる構成としたが、遊技球の減速区間については特定領域SEに限定されるものではない。少なくとも特定領域SEに流入した遊技球が減速された状態で当該特定領域SEから離脱する構成となっているのであればよく、減速区間の設定については任意に変更してよい。例えば特定領域SEの直前(直上流)となる領域にて遊技球を減速させる構成とすることも可能である。
(2)上記実施の形態では、特定領域SEを通過し終えるまで当該特定領域SEにおける遊技球の減速が継続される構成としたが、流入速度が流出速度よりも速くなるように構成されているのであれば足り、減速区間全域にて減速を行う必要はない。例えば、減速区間の入口部分や出口部分に減速機構を配設する構成とすることも可能である。
(3)上記実施の形態では、特定領域SEを通過する遊技球の通過経路を通路方向に対して交差する方向に蛇行させるとともに、遊技球を突条部440や通路壁面(天井部419)に衝突させることにより、遊技球を減速させる構成としたが、必ずしもこれら2つの作用によって減速させる必要はなく、何れか一方にすることも可能である。
例えば、上記天井部419を有さない構成では、遊技球を通路方向に対して交差する方向に蛇行させることにより、結果として通路方向における流下速度を減速させる構成としてもよい。
なお、遊技球の通路壁面等への衝突によって減勢される構成においては、衝突箇所にクッション等の緩衝部材を配設することにより実用上好ましい構成が実現される。
(4)上記実施の形態では、突条部440(「突出部」に相当)における上流側傾斜面441が上り傾斜となるように構成したが、これを以下のように変更してもよい。すなわち、上流側傾斜面441が下り傾斜又は水平レベルとなるように構成することも可能である。少なくとも、シャッタ403の上面よりも傾斜角度が緩くなっているのあれば、突条部440の存在によって遊技球の加速を抑制することができる。
(5)上記第1の実施の形態では、突条部440(「突出部」に相当)における上流側傾斜面441のシャッタ403の上面に対する傾斜角度が下流側傾斜面442の当該上面に対する傾斜角度よりも大きくなるように構成したが、両傾斜面441,442の関係については任意であり、上記関係を逆にすることも可能である。
(6)上記実施の形態では、突条部440間の距離を遊技球の直径寸法よりも大きくすることによりそれら突条部440間に遊技球が位置し得る構成としたが、突条部440間の距離については任意に変更してもよい。但し、複数の遊技球が特定領域SEに位置し得る構成においては、それら遊技球同士の衝突によって先行する遊技球が加速する可能性が生じる。このような不都合は、先行する遊技球が減速されたタイミングにて発生しやすい。故に、遊技球同士の干渉を回避する上では上述した間隔には技術的意義がある。また、
複数の突条部440を併用する構成にて個々の突条部440による減速機能を担保する上では、1の突条部440に衝突して跳ねた遊技球が他の突条部440(特に下流側傾斜面442)に着地する構成とならないように、突条部440間には十分な隙間を設けることが好ましい。
(7)上記各実施の形態では、突条部440及び天井部419による遊技球の減速度合いを、遊技球が特定領域SEを通過するのに要する所要期間よりも短くなるように設定したが、これに限定されるものではない。少なくとも、特定領域SEを通過するのに要する所要期間を増大させることができるのであれば上記減速度合いについては任意に設定してよい。
(8)上記各実施の形態では、開閉実行モードへ移行している状況下にて可変入球装置65(「入球部」に相当)が阻止状態となるインターバル期間中に当該可変入球装置65のシャッタ403に到達し得る遊技球の最大数と同じ数の遊技球が同シャッタ403上に滞留し得るように上述した減速効果を踏まえて当該シャッタ403の横幅を設定したが、これに限定されるものではない。上述したように、阻止状態における遊技球の素通りを抑制することができるのであれば、シャッタ403の大きさや形状については任意である。
(9)上記各実施の形態では、下流側通路412の通路方向における突条部440(「突出部」に相当)同士の間隔が上流側よりも下流側にて小さくなるように同突条部440を配列することにより、遊技球の再加速を抑える構成とした。このように、一端減速させた遊技球が再び加速することを抑制する上では、下流側に位置する突条部440程その突出量が大きくなるように構成したり、下流側に位置する突条部440程上流側傾斜面441の傾斜角度がきつくなるように構成したりすることも可能である。
(10)上記第1〜第3の実施の形態では、突条部440や天井部419に衝突させることにより遊技球を減速させる構成としたが、これに代えて例えば磁石等の磁力や通路壁面と遊技球との間に生じる摩擦抵抗を利用して特定領域SEに到達した遊技球を減速させる構成とすることも可能である。
(11)上記第1〜第3の実施の形態では、「球通路」を構成する下流側通路412を斜めに傾斜させる構成としたが、下流側通路412が上下に延びる構成とすることも可能である。
また、下流側通路412へ繋がる上流側通路411に下流側通路412への遊技球の流入速度を定常化する機能を付与したが、当該機能については省略することも可能である。但し、特定領域SEにおける減速の度合いについては、当該特定領域SEへ遊技球が流入した場合の速度に左右され得る。このようなばらつきを許容するようにして減速度合いを設定すれば、場合によって減速機能が過剰に発揮され得る。故に、減速機能を好適に発揮する上では、遊技球の流入速度のばらつきを事前に軽減する工夫を施すことが好ましい。
(12)開閉実行モードにおける遊技の公平性を担保する上では、可変入球装置65が閉状態となっている状態にて遊技球が当該可変入球装置65を素通りすることを抑制できるのであれば足り、必ずしも上記突条部440等の「減速手段」に相当する構成に依存する必要はない。
遊技球を一時的に停留(動きの有無については任意)し得る構成としたり、特定領域SEの遊技球の通過を遅延させたりする構成としてもよく、この場合には必ずしも遊技球を減速させる必要はない。閉状態にて可変入球装置65に到達した遊技球を足止めして、上記素通りを抑制することができるのであれば、具体的構成については任意である。
例えば、シャッタ403の横幅を、特定領域SEを遊技球が通過するのに必要となる期間がインターバル期間よりも長くなるように大きくする構成としてもよい。また、インターバル期間自体を短くすることで特定領域SEを遊技球が通過するのに必要となる期間がインターバル期間よりも長くなるように構成してもよい。
(13)上記第1〜第3の実施の形態では、「可動部材」としてのシャッタ403が阻止状態から許容状態に切り替ることにより、大入賞口402(「開口」に相当)に流入した遊技球を流入通路406(検知領域DE)へと案内する案内手段として機能する構成としたが、シャッタ403は開状態(「受入状態」に相当)/閉状態(「非受入状態」に相当)に切替可能であれば足り、必ずしも案内手段としての機能を付与する必要はない。なお、案内手段としての機能を省略する場合には、流入通路406等に当該案内機能を移したり、案内手段に相当する構成を別途設けたりするとよい。
(14)上記第1〜第3の実施の形態では、「可動部材」としてのシャッタ403が当該シャッタ403の長手方向における一端部を基端として(前後に延びる軸線を中心として)回動する構成としたが、シャッタ403の短手方向における一端部(例えば前端部又は後端部)を基端として(左右に延びる軸線を中心として)回動する構成としてもよい。
(15)上記第1〜第3の実施の形態では、「可動部材」としてのシャッタ403を回動式としたが、開状態(「受入状態」に相当)/閉状態(「非受入状態」に相当)に切替可能であれば、その駆動方式については任意である。
例えば可動部材に相当する構成をスライド式とすることも可能である。この場合、そのスライド方向については遊技盤60と直交する方向(前後方向)にすることにより、可動部材の動作領域の確保によって遊技領域PEが圧迫されることを好適に抑制できる。
(16)上記各実施の形態では、「減速手段」を開閉実行モードに移行した場合に開閉される可変入球装置65に適用したが、減速手段の適用対象については可変入球装置65に限定されるものではない。例えば、サポート抽選に当選した場合に入球が許容される右側作動入球部63に「減速手段」に相当する構成を適用することも可能である。
(17)上記各実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
<上記各実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した各実施の形態から抽出される特徴的な構成について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
以下の各特徴群は、「パチンコ機等の遊技機には、遊技領域が形成された遊技盤を備えているものがある。遊技者の発射操作に基づいて発射された遊技球が遊技領域に設けられた作動口等に入賞することにより、通常の遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態への移行を行うか否かの当否抽選や遊技球の払出し等の特典が遊技者に付与される(例えば特許文献1参照)。特別遊技状態では、例えば可変式の入球部が複数回に亘って閉状態と開状態とに切り替えられる。入球部が開状態となっている場合に当該入球部に到達した遊技球については同入球部への入球が許容され、入球部が開状態となっている場合に当該入球部に到達した遊技球については同入球部への入球が妨げられることとなる。」という背景技術について、「上述したタイプの遊技機においては、入球部が閉状態となっている場合に当該入球部に遊技球が到達しないように発射操作を工夫することにより、遊技者は無駄な投資を抑えることができる。このような技術介入が許容されている場合には、得られる特典等に遊技者の技量に応じた差が生じる。これは、遊技の公平性を向上させる上で妨げになり得る。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
特徴0.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技盤60)を備え、当該遊技盤に遊技球が入球する入球部(可変入球装置65)が設けられている遊技機であって、
前記入球部は、遊技球が通過可能な開口(大入賞口402)と、前記開口へ遊技球が入球可能な受入状態及び同受入状態よりも遊技球の入球が困難な非受入状態に切り替え可能な可動部材(シャッタ403)とを有し、
前記可動部材が前記非受入状態から前記受入状態となった場合に、遊技球が特定領域(特定領域SE)を通じて前記開口へ入球する構成となっており、
少なくとも前記可動部材が前記非受入状態となっている状況下にて前記特定領域に到達した遊技球を減速させる減速手段(例えば突条部440や天井部419)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴0によれば、可動部材が非受入状態から受入状態に切り替ることにより、特定領域を通じて遊技球が開口へ入球する。ここで、非受入状態中では遊技球が特定領域に到達することで減速されることとなる。このように、遊技球の流下を遅延させることにより、非受入状態にて特定領域に到達済みの遊技球が受入状態への切り替え前に入球部を素通りすること(無駄な投資が発生すること)を抑制できる。非受入状態にて特定領域に到達した遊技球の救済を図ることにより、例えば非受入状態にて遊技球が入球部に到達しないように遊技球の発射操作等の調整等を行う必要性を低下させて、技術介入による公平性の低下を好適に抑制できる。
なお、本特徴に示す構成については「遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技盤60)を備え、当該遊技盤に遊技球が入球する入球部(可変入球装置65)が設けられている遊技機であって、前記入球部は、遊技球が通過可能な開口(大入賞口402)と、前記開口へ遊技球が入球可能な受入状態及び同受入状態よりも遊技球の入球が困難な非受入状態に切り替え可能な可動部材(シャッタ403)とを有し、前記可動部材が前記非受入状態となっている場合に、特定領域(特定領域SE)に位置する遊技球が、前記可動部材が前記受入状態となることにより前記開口へ入球する構成となっており、前記特定領域に到達した遊技球を減速させる減速手段(例えば突条部440や天井部419)を備えている。」としてもよい。
特徴1.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技盤60)を備え、当該遊技盤に遊技球が入球する入球部(可変入球装置65)が設けられている遊技機であって、
前記入球部は、遊技球が通過可能な開口(大入賞口402)と、前記開口へ遊技球が入球可能な受入状態及び同受入状態よりも遊技球の入球が困難な非受入状態に切り替え可能な可動部材(シャッタ403)とを有し、前記可動部材が前記非受入状態から前記受入状態となった場合に、当該可動部材が非受入状態となっている状況下にて同可動部材に対峙する特定領域(特定領域SE)を通じて前記開口へ遊技球が入球する構成となっており、
少なくとも前記可動部材が前記非受入状態となっている状況下にて前記特定領域に到達した遊技球を減速させる減速手段(例えば突条部440や天井部419)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴1によれば、可動部材が非受入状態から受入状態に切り替ることにより、特定領域を通じて遊技球が開口へ入球する。ここで、非受入状態となっている場合には遊技球が特定領域に到達することで減速されることとなる。このように、遊技球の流下を遅延させることにより、非受入状態にて特定領域に到達済みの遊技球が受入状態への切り替え前に入球部を素通りすること(無駄な投資が発生すること)を抑制できる。非受入状態にて特定領域に到達した遊技球の救済を図ることにより、例えば非受入状態にて遊技球が入球部に到達しないように遊技球の発射操作等の調整等を行う必要性を低下させて、技術介入による公平性の低下を好適に抑制できる。
なお、以下の各特徴群に示す技術的思想を特徴1又は特徴2に適用することも可能である。
特徴2.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技盤60)を備え、当該遊技盤に遊技球が入球する入球部(可変入球装置65)が設けられている遊技機であって、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が通過する球通路(例えば球通路410の下流側通路412)を備え、
前記入球部は、
遊技球が通過可能な開口(大入賞口402)と、
前記球通路の一部を形成し前記開口への入球を不可とする非受入状態、前記開口への入球を許容する受入状態に切り替え可能な可動部材(シャッタ403)と
を有し、
前記球通路における遊技球の通過領域において前記可動部材と対峙する特定領域(特定領域SE)を遊技球が通過する場合に、当該遊技球を減速させる減速手段(例えば突条部440や天井部419)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴2によれば、球通路の一部が可動部材によって形成されており、可動部材が非受入状態から受入状態に切り替ることにより当該球通路を通過する遊技球が特定領域を通じて開口へ入球する。
ここで、非受入状態となっている場合には遊技球が特定領域に到達することで減速されることとなる。これのように、遊技球の流下を遅延させることにより、非受入状態にて特定領域に到達済みの遊技球が受入状態への切り替え前に入球部を素通りすること(無駄な投資が発生すること)を抑制できる。非受入状態にて特定領域に到達した遊技球の救済を図ることにより、例えば非受入状態にて遊技球が入球部に到達しないように発射操作等の調整等を行う必要性を低下させて、技術介入による公平性の低下を好適に抑制できる。
特徴3.前記減速手段は、前記可動部材が前記受入状態となっている場合には前記特定領域における前記減速が回避されるように又は前記非受入状態となっている場合と比較して減速度合いが低くなるように構成されていることを特徴とする特徴0又は特徴1に記載の遊技機。
特徴3によれば、例えば非受入状態と受入状態とで遊技球の減速度合い(減速レベル)が変化することとなる。受入状態にて減速機能が過度に作用することを回避することにより、遊技球を迅速に開口へ入球させることができ、減速機能が遊技進行の円滑化を妨げる要因になることを抑制できる。
特徴4.前記特定領域に位置する遊技球については、遊技機前方から視認可能となっており、
前記減速手段は、前記特定領域から離脱する際の同遊技球の速度が前記特定領域に到達した際の同遊技球の速度よりも低くなるようにして前記減速を行うように構成されていることを特徴とする特徴1乃至特徴3のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴4によれば、特定領域から離脱する際の遊技球の速度を特定領域に到達した際の遊技球の速度よりも低くすることにより、例えば遊技球を連続して(周期的に)遊技領域に発射した際のそれら遊技球同士の間隔の広がりを抑え、特定領域付近で複数の遊技球の密集度合いを疎→密に好適に変化させることができる。つまり、特定領域付近にて遊技球の塊を創出することができ、非受入状態から受入状態への切り替えに伴って複数の遊技球をまとめて開口に入球させることができる。これにより、上述した救済機能による公平性を遊技者に対して視覚的に教示することができる。
特徴5.前記可動部材は、前記非受入状態となることにより球通路の一部を形成し、
前記減速手段は、前記特定領域に到達した遊技球が当接する当接部(突条部440)を有し、当該当接部に同遊技球が当接した場合に当該遊技球を前記球通路の通路方向と交差する方向へ蛇行させることにより、当該通路方向における流下速度を低下させるように構成されていることを特徴とする特徴1乃至特徴4のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴5によれば、通路を蛇行させることにより、先行する遊技球が特定領域にて減速した際に、仮に後続の遊技球が当該先行する遊技球に衝突したとしても、その衝突により同先行する遊技球が加速されることを抑制することができる。特に、通路を蛇行させることにより、遊技球同士が衝突した場合であっても、衝突方向を通路方向と交差する方向に向けることができ、例えば通路壁面に衝突に起因した力を分散させることができる。
特徴6.前記球通路は、前記開口の上方を横切るようにして左右に延び、当該球通路の一端側から他端側に向けて下っており、
前記可動部材は、前記非受入状態となっている場合に前記球通路の底部を形成していることを特徴とする特徴5に記載の遊技機。
特徴6によれば、球通路を通過する遊技球は特定領域を通過する際に可動部材に沿って移動する(例えば可動部材上を転動する)。ここで、可動部材が非受入状態から受入状態に切り替ると、当該可動部材に載っている遊技球は開口に向けて降下することになる。係る構成によれば、特定領域にて減速された遊技球が可動部材が受入状態になったにも係らず入球部を素通りすることを抑制し、減速機能が上手く活用されなくなることを回避できる。
特徴7.前記可動部材は前記球通路における上流側の端部又は下流側の端部を基端として、回動可能に保持されており、
前記入球部は、前記可動部材が回動することにより前記非受入状態及び前記受入状態に切り替わることを特徴とする特徴6に記載の遊技機。
特徴7によれば、可動部材が回動することにより、それに追従して遊技球が降下することとなる。これにより、特定領域に存在する遊技球が過度に勢いよく入球することを抑制できる。また、可動部材が回動することで、当該可動部材上に並んでいる遊技球をその並びを保つようにして可動部材に沿って移動させることが可能となる。これにより、複数の遊技球をまとめて開口に入球させる構成にて当該開口内における球詰まり等の発生を抑制することができる。
特徴8.前記入球部は、
前記可動部材を前記下流側の端部を基端として回動させることにより前記非受入状態及び前記受入状態に切り替える切替部(可変入球駆動部404)と、
前記入球部は、前記開口を通じて流入した遊技球を検知する検知部(検知センサ405の検知領域DE)と
を有し、
前記可動部材が前記受入状態となることにより、当該可動部材によって前記開口を通じて流入した遊技球を前記検知部へ案内する案内通路が形成されることを特徴とする特徴7に記載の遊技機。
特徴8によれば、可動部材が球通路の傾斜方向とは反対側に回動することにより、可動部材の回動が既に減速されている遊技球を球通路方向に向けて再加速させる要因となることを回避することができる。故に、可動部材上に載っている遊技球(減速済みの遊技球)が開口を飛び越える等して、減速機能が上手く活用されなくなることを抑制できる。
特徴9.前記入球部は、
前記可動部材を前記上流側の端部を基端として回動させることにより前記非受入状態及び前記受入状態に切り替える切替部(可変入球駆動部404)と、
前記入球部は、前記開口を通じて流入した遊技球を検知する検知部(検知センサ405の検知領域DE)と
を有し、
前記可動部材が前記受入状態となることにより、当該可動部材によって前記開口を通じて流入した遊技球を前記検知部へ案内する案内通路が形成されることを特徴とする特徴7に記載の遊技機。
特徴9によれば、可動部材が球通路の傾斜方向と同じ側へ回動することにより、可動部材上に載っている遊技球が開口へと導かれることとなる。特に、遊技球発射手段(遊技球発射機構110)から周期的に遊技球が発射される構成を前提とした場合には、遊技領域を流下する過程にて速度差が生じる等して遊技球同士の間隔が詰まったり、広がったりし得る。この点、特定領域に先行して到達している遊技球群に対して後続の遊技球が追いついたとしても、当該後続の遊技球が先行する遊技球群に割り込むことを回避することができる。故に、球通路を通過する遊技球は順次開口へと導かれることとなり、開口付近にて球詰まり等が発生することを抑制できる。
特徴10.前記減速手段は、前記可動部材に設けられているとともに前記特定領域側に突出し、遊技球が当たる突出部(突条部440)を有してなることを特徴とする特徴6乃至特徴9のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴10によれば、非受入状態となっている場合に球通路の底部を形成する可動部材を突出部の配設対象とすることにより、特定領域を通過する遊技球が突出部を迂回するといった不都合の発生を抑制することができる。これにより、上記減速機能を担保できる。
特に特徴8又は特徴9との組み合わせ(可動部材が動作することで案内通路が形成される構成)においては、突出部も可動部材に追従して移動することとなる。これにより、案内通路が形成された場合に、遊技球が過剰な勢いで検知部へ向けて流下することを抑制するブレーキとして活用することができる。
なお、特徴5等との組み合わせにおいては特徴5等に示した「当接部」を本特徴に示す「突出部」とを置き換えることも可能である。
特徴11.前記球通路は、前記可動部材と対峙する位置に設けられた天井部(天井部419)を有してなり、
前記突出部は、当該突出部に当った遊技球を前記天井部側へ案内するように構成されていることを特徴とする特徴10に記載の遊技機。
特徴11によれば、天井によって開口部を覆うことができる。これにより、遊技球が勢いよく開口に入球することを抑制することができる。
突出部によって天井部側に案内された遊技球は当該天井部に当たることで減速されることとなる。そもそも、天井部については遊技球の挙動に直接関与する部分ではないため、遊技球が繰り返し衝突する等して変形等が発生したとしても、それにより遊技者が不利益を被ることもない。故に、天井部を利用して遊技球を減速させる構成とすることにより、実用上好ましい構成が実現される。
特徴12.前記突出部は、前記可動部材に沿って(例えば下流側通路412の通路方向)複数並設されており、
それら突出部の間隔が遊技球の直径寸法よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする特徴10又は特徴11に記載の遊技機。
特徴12によれば、複数の減速箇所が存在することにより、減速機能を強化することができる。また、1の突条部440による減速の度合いを大きくする必要がなく、突条部440の保護及び後述する遊技球同士の衝突を回避する上でも有利である。
特に、各突出部は間隔が遊技球の直径寸法よりも大きくなるように離間している。このような構成とすることにより、可動部材上に複数の遊技球が載ることを許容することができる。これにより、非受入状態となる期間をある程度長く設定した場合であっても、上述した遊技球の素通りを抑制することができ、当該期間に係る制約を好適に軽減できる。また、減速機能を強化することで遊技球間の距離が詰まった場合には、遊技球同士が衝突し得るが、突出部の間隔を遊技球の直径寸法以上としておくことにより、下流側の突出部により速度が落ちた遊技球に対して上流側の突出部に到達した後続の遊技球が衝突することを好適に抑制することができる。
なお、本特徴に示す技術的思想の一部を抽出して「前記減速手段は、前記特定領域を通過する過程にて減速を継続する又は複数回に亘って減速させるように構成されていることを特徴とする特徴1乃至特徴11のいずれか1つに記載の遊技機。」とすることも可能である。
特徴13.前記突出部は、上流側から下流側に順に並べて配された第1突出部、第2突出部、第3突出部を有してなり、前記第1突出部及び前記第2突出部の間隔よりも、前記第2突出部及び前記第3突出部の間隔のほうが短くなるように配置されていることを特徴とする特徴10乃至特徴12のいずれか1つに記載の遊技機。
特定領域にて遊技球を減速させる場合には、その減速の度合いが過度に大きくなることは突出部に生じる負荷を増大させる要因となるだけでなく、後続の遊技球との距離が詰まる等して遊技球同士の衝突を招来する要因となり得る。ここで、本特徴に示すように、複数の突出部を併用することにより、1の突出部の負荷を軽減することができる。そして、遊技球がスピードに乗る前に次の突出部と衝突することにより、減速機能を好適に発揮させることができる。
上述したように、複数の遊技球を特定領域内(可動部材上)に留めることには技術的意義がある。本特徴に示すように、突出部同士の間隔が下流側程短くすることにより複数の遊技球を可動部材上に留めやすくなる。
特徴14.前記突出部において、前記球通路における上流側となる部分には傾斜面(上流側傾斜面441)が設けられており、
前記傾斜面は、下流側の端部における高さ位置が上流側の端部の高さ位置よりも高くなるように形成されていることを特徴とする特徴10乃至特徴13のいずれか1つに記載の遊技機。
傾斜面が水平レベルよりもきつい上り坂となることにより、遊技球の減速機能を好適に発揮させることができる。しかしながら、減速機能の強化は突出部の配設対象である可動部材の負担を増加させる要因となり得る。この点、本特徴に示す構成においては、衝突時の勢いの一部を傾斜面に沿う方向に逃がすことができ、突出部の配設対象である可動部材を好適に保護することができる。また、特徴11との組み合わせ(遊技球を天井部に向けて案内する構成)においては特に、当該案内機能を好適に発揮させることができる。
特徴15.前記可動部材は前記球通路における下流側の端部を基端として、回動可能に保持されており、
前記入球部は、
前記可動部材を当該可動部材の上流側の端部を降下させるようにして回動させることにより前記非受入状態及び前記受入状態に切り替える駆動部(可変入球駆動部404)と、
前記入球部は、前記開口を通じて流入した遊技球を検知する検知部(検知センサ405の検知領域DE)と
を有し、
前記可動部材が、前記受入状態となることにより、前記開口を通じて流入した遊技球を前記検知部へ案内する案内通路が形成される構成となっており、
前記減速手段は、前記可動部材に設けられ前記特定領域側に突出する突出部(突条部440)を有してなり、
前記突出部は、前記球通路における上流側に位置する上流側傾斜面(上流側傾斜面441)と、下流側に位置する下流側傾斜面(下流側傾斜面442)とを有してなることを特徴とする特徴1乃至特徴14のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴15によれば、可動部材が球通路の傾斜方向とは反対側に回動することにより、可動部材の回動が既に減速されている遊技球を球通路方向に向けて再加速させる要因となることを回避することができる。これにより、可動部材上に載っている遊技球(減速済みの遊技球)が開口を飛び越える等して、減速機能が上手く活用されなくなることを抑制できる。
特徴16.前記突出部は、前記可動部材の上面とのなす角が、前記下流側傾斜面よりも前記上流側傾斜面のほうが大きくなるように形成されていることを特徴とする特徴15に記載の遊技機。
特徴16に示すように突出部に2つの傾斜面を形成することにより、受入状態となった際に可動部材上(特定領域)に存在する遊技球を検知部に向けて円滑に案内することができる。
特に、突出部の突出量を大きくすることにより、非受入状態における減速機能を強化することができるが、可動部材によって上記案内通路を形成する場合には当該突出部が案内機能を発揮させる上で妨げとなり得る。この点、下流側傾斜面の存在により、減速機能の強化に起因して遊技球が突出部に引っ掛かる等して案内機能が上手く発揮されなくなることを抑制できる。
また、遊技球を案内通路に沿って検知部に案内する構成においては、遊技球が勢いよく検知部に向けて流れ込むことは、入球部の耐久性の担保や球詰まりの発生の回避等を実現する上で好ましくない。この点、下流側傾斜面の存在によって、遊技球が減速されることにより、そのような不都合の発生を好適に抑制することができる。
可動部材の上面とのなす角が、前記下流側傾斜面よりも前記上流側傾斜面のほうが大きくなるように形成することにより、これら2つの機能を好適に担保することができる。
特徴17.通常よりも遊技者に有利な特別遊技状態に移行した場合に、前記入球部を前記非受入状態及び前記受入状態に複数回切り替える切替手段(主制御装置162及び可変入球駆動部404)を備え、
前記切替手段は、
所定数の遊技球が前記入球部に入球したこと又は予め設定された第1期間が経過したことを条件として、前記入球部を前記受入状態から前記非受入状態に切り替える第1手段(主制御装置162のMPU602にて閉処理を実行する機能)と、
前記第1手段により前記入球部が前記非受入状態となってから予め設定された第2期間が経過したことを条件として、前記入球部を前記非受入状態から前記受入状態に切り替える第2手段(主制御装置162のMPU602にて開処理を実行する機能)と
を有していることを特徴とする特徴1乃至特徴16のいずれか1つに記載の遊技機。
上述したタイプの遊技機においては、特別遊技状態中に入球部が受入状態と非受入状態とに繰り返し切り替る構成においては、受入状態中に遊技球が入球するようにして遊技球の発射タイミング等を遊技者が調整することにより、すなわち非受入状態中に遊技球が入球部に到達しないようにして遊技球の発射タイミングを遊技者が調整することにより、無駄な投資を抑えて遊技を有利に進めることができる。このような技術介入が許容されている場合には、得られる特典等に遊技者の技量に応じた差が生じる。これは、遊技の公平性を向上させる上で妨げになり得る。
この種の遊技機に対して、上記特徴1等に示した技術的思想を適用することにより、非受入状態にて入球部に到達した遊技球が救済されることにより、上記公平性の低下を好適に抑制することができる。
特徴18.前記減速手段は、前記特定領域を遊技球が通過するのに要する期間が前記第2期間よりも長くなるように減速を行うことを特徴とする特徴17に記載の遊技機。
特徴18によれば、入球部が受入状態→非受入状態→受入状態に切り替った際に、非受入状態へ切り替るタイミングにて当該入球部(特定領域)に到達した遊技球は、次の受入状態へ切り替るまで特定領域を素通りすることなく当該特定領域に留まることとなる。これにより、遊技球の発射操作を継続したとしても、それに起因して無駄な投資が発生することが回避される。故に、上述した発射タイミング等の調整が不要となり(技術介入の余地を払拭し)、公平性の担保に貢献することができる。
そもそも、上述した遊技領域が設けられている遊技機においては、遊技球の挙動(動き)を目で追うという遊技が行われることが元来の特徴となっている。そこで、遊技球を完全に停止させるのではなく、ある程度の動きを担保しつつ、それでもなお上記素通りを回避できる構成とすることにより、遊技機の本質が損なわれることを好適に抑制することができる。
特徴19.遊技者の発射操作に基づいて、前記遊技領域へ所定周期(例えば0.6sec)にて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)を備え、
前記減速手段は、前記可動部材が前記非受入状態となっている状況下にて前記第2期間中に発射される遊技球の上限数と同じ数の遊技球が前記特定領域内に滞留し得るようにして前記減速を行うことを特徴とする特徴17又は特徴18に記載の遊技機。
遊技球が周期的に発射されている場合には、先行する遊技球が特定領域に到達している状態にて後続の遊技球が特定領域に到達し得る。そこで、第2期間中の特定領域に到達した遊技球が第2期間中に発射される遊技球の上限数と同じ数だけ特定領域内に滞留し得るようにして減速機能を発揮させることにより、特徴17等に示した効果を好適に発揮させることが可能となる。
また、上述したように所定数の入球の発生又は予め設定された第1期間が経過したことを条件として受入状態から非受入状態への切り替えがなされる構成では、第1期間中に所定数の入球が発生しなかった場合には、本来得られるはずの特典を逃す所謂取りこぼしが発生し得る。この点、上記構成によれば受入状態への切り替え時にストックされていた複数の遊技球をまとめて入球させることにより、そのような取りこぼしの発生を好適に抑制することができる。所定数の入球によって入球部が非受入状態に切り替わる構成では、入球の発生効率を向上させることにより、遊技進行の迅速化を図ることができる。これにより、遊技が間延びするといった印象を遊技者に与えることが回避される。
特徴20.前記減速手段は、遊技球に下流側から当接することによりその流下方向を変化させる当接部が前記通路方向に並べて設けられてなり、
前記当接部の数が、前記上限数と同じ数又は当該上限数よりも多い数となるように設定されていることを特徴とする特徴19に記載の遊技機。
特徴19に示したように、複数の遊技球を可動部材上(特定領域)に留めようとした場合には、遊技球同士が衝突することにより、先行する遊技球が後続の遊技球に押されて再加速することにより、上述した減速機能が上手く発揮されなくなる可能性がある。このような事象に配慮しようとすれば、可動部材が極端に大型化する等して、切替時の応答性が低下したり入球部の占有領域が無駄に嵩んだりするといった不都合が生じ得る。
この点、本特徴に示すように、複数の当接部を設けて減速箇所を複数設定することにより、そのような不都合の発生を抑制することができる。特に、当接部が、上述した上限数と同じ数又は当該上限数よりも多い数となるように設定されていることにより、特徴19に示した機能を好適に担保することが可能となる。
特徴21.前記減速手段によって前記特定領域に同時に存在し得る遊技球の数は、前記所定数よりも少なくなるように構成されていることを特徴とする特徴19又は特徴20に記載の遊技機。
特別遊技状態中に入球部が受入状態→非受入状態→受入状態に繰り返し切り替る構成においては、各状態の存在によって遊技にリズムを発生させる等して、特別遊技状態が単調になることを抑制することができる。このような前提にて、仮に上述したストック数が終了条件としての所定数を上回ってしまうと、受入状態が即座に終了するため、上述した本来の機能が上手く発揮されなくなる。そこで、ストック数を所定数よりも少なくなるようにすることで、実用上好ましい構成が実現される。
また、所定数よりも多い数の遊技球が入球すること、すなわち予め想定されていた数よりも多い数の入球が発生することは遊技ホール等に不測の不利益を与える要因になる。この点、本特徴に示す構成によれば、過剰な入球の発生を抑制し、減速手段の存在に起因して上記不都合の発生することを抑制できる。
特徴22.遊技者の発射操作に基づいて、前記遊技領域へ所定周期(例えば0.6sec)にて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)を備え、
前記第2期間は、遊技者の発射操作に基づいて前記遊技球発射手段により発射された遊技球が前記入球部に到達するまでに要する最短期間よりも短くなるように設定されていることを特徴とする特徴17乃至特徴21のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴22によれば、所謂止め打ち等によって遊技球の発射タイミングを調整する意義が薄れる。このような構成に特徴17等に示した技術的思想を適用すれば、上記公平性の向上に好適に貢献することができる。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル41)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域(遊技領域PE)に導く球通路(誘導レール100)と、遊技領域内に配置された各遊技部品(釘69等)とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部(一般入賞口61等)を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。