以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10を正面側から見た斜視図、図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域PE内の構成を省略している。
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に取り付けられた遊技機主部12とを有している。
外枠11は板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。外枠11を島設備に取り付け固定することにより、パチンコ機10が遊技ホールに設置される。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、遊技場の島設備に外枠11が備え付けられた構成としてもよい。
遊技機主部12は、外枠11によって開閉可能な状態で支持されている。具体的には、外枠11における上枠部と左枠部との連結部分に上側支持用金具17が固定されており、さらに外枠11における下枠部と左枠部との連結部分に下側支持用金具18が設けられている。これら上側支持用金具17及び下側支持用金具18により支持機構が構成され、当該支持機構により外枠11に対して遊技機主部12がパチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側としてパチンコ機10の前方へ回動可能とされている(図2及び図3参照)。
図2に示すように、遊技機主部12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。なお、遊技機主部12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として内枠13が前方へ回動可能とされている。
内枠13には、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている(図3参照)。
(前扉枠14)
次に、前扉枠14について説明する。図2に示すように、前扉枠14は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす合成樹脂製の枠体20を主体に構成されており、内枠13における前面のほぼ全域を覆っている。枠体20の中央部分には後述する遊技領域PEのほぼ全域を前方から視認することができるようにした略楕円状の窓部21が形成されており、その窓部21はガラスユニット22によって同前扉枠14の背面側から塞がれている。
ガラスユニット22は、透明性を有する複数のガラスパネル23と、それらガラスパネル23を保持するガラスホルダとを備えている。ガラスホルダには、ガラスパネル23の保持領域を前後に仕切る仕切り部が形成されており、両ガラスパネル23は仕切り部を挟んで前後に相対向している。つまり、両ガラスパネル23の間に所定の隙間を確保することにより、ガラスパネル23同士の干渉を回避しつつ、それらガラスパネル23によって遊技領域PEをパチンコ機10の正面側から2重に覆った状態となっている。
なお、必ずしも両ガラスパネル23をガラスホルダを用いてユニット化する必要は無く、各ガラスパネル23を枠体20に対して個々に取り付ける構成としてもよい。更には、ガラスパネルの枚数は任意であり、1枚としてもよいし、3枚以上としてもよい。但し、安全性及び防犯性向上の観点から、複数のガラスパネルを採用し、それら各ガラスパネルを所定の隙間を挟んで前後に対向させることが好ましい。因みに、ガラスパネルに代えて透明性を有する合成樹脂性のパネル部材を採用することも可能である。
図1に示すように、ガラスユニット22(詳しくは窓部21)の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部26が設けられている。環状電飾部26では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部26の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ部27が設けられ、さらにその左右側方には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部28が設けられている。また、左右の賞球ランプ部28に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部29が設けられている。
前扉枠14(枠体20)における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部31と下側膨出部32とが上下に並設されている。上側膨出部31内側には上方に開口した上皿33が設けられており、下側膨出部32内側には同じく上方に開口した下皿34が設けられている。上皿33は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿34は、上皿33内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
下側膨出部32の右方には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル41が設けられている。遊技球発射ハンドル41が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。
前扉枠14の背面には、図2に示すように、通路形成ユニット45が取り付けられている。通路形成ユニット45は、合成樹脂により成形されており、上皿33に通じる前扉側上皿通路と下皿34に通じる前扉側下皿通路とを有している。通路形成ユニット45において、その上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部が形成されており、当該受口部を仕切壁によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路の入口部分と前扉側下皿通路の入口部分とが区画形成されている。前扉側上皿通路に入った遊技球は上皿33に導かれ、前扉側下皿通路に入った遊技球は下皿34に導かれることとなる。
前扉枠14の背面における回動基端側には、その上端部及び下端部に突起軸が設けられている。これら突起軸は内枠13に対する組付機構を構成する。また、前扉枠14の背面における回動先端側には、図2に示すように、後方に延びる鉤金具49が上下方向に複数並設されている。これら鉤金具49は内枠13に対する施錠機構を構成する。
(内枠13)
次に、図2及び図3に基づき内枠13について詳細に説明する。内枠13は、外形が外枠11と同様に略矩形状をなす樹脂ベース50を主体に構成されている。樹脂ベース50の高さ寸法は、外枠11の高さ寸法よりも若干小さく設定されている。また、樹脂ベース50は外枠11の上側枠部に寄せて配置され、外枠11の下側枠部と樹脂ベース50との間には若干の隙間が形成されている。外枠11にはこの隙間を塞ぐようにして幕板が装着されている。幕板は、樹脂ベース50(詳しくはその下端部)の下方に配置されており、内枠13が外枠11に対して閉じられた状態では樹脂ベース50が幕板の上に載ることとなる。
樹脂ベース50の前面における回動基端側には、その上端部及び下端部に支持金具51,52が取り付けられている。支持金具51,52には軸孔が形成されており、それら軸孔に前扉枠14の突起軸が挿入されることにより、内枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。
樹脂ベース50の前面における回動先端側には、前扉枠14の背面に設けられた鉤金具49を挿入するための挿入孔がそれぞれ設けられている。本パチンコ機10では、図3に示すように、内枠13や前扉枠14を施錠状態とするための施錠装置55が内枠13の背面側に隠れて配置される構成となっている。したがって、鉤金具49が挿入孔を介して施錠装置55(詳しくは前扉用鉤受け部材)に係止されることによって、前扉枠14が内枠13に対して開放不能に施錠される。また、施錠装置55は、内枠13の後方へ延びる内枠用鉤部材57を有している。これら内枠用鉤部材57が外枠11の鉤受け部材19に引っ掛かることにより遊技機主部12が外枠11に対して閉じた状態で施錠される。
樹脂ベース50の右下隅部には、施錠装置55の解錠操作を行うためのシリンダ錠58が設置されている。シリンダ錠58は施錠装置55に一体化されており、シリンダ錠58の鍵穴に差し込んだキーを右に回すと内枠13に対する前扉枠14の施錠が解除され、シリンダ錠58の鍵穴に差し込んだキーを左に回すと外枠11に対する内枠13の施錠が解除されるように施錠装置55が構成されている。
樹脂ベース50の中央部には略楕円形状の窓孔54が形成され、樹脂ベース50に装着された遊技盤60によって同窓孔54が後方から塞がれている。遊技盤60は、木製の合板と同合板における前側の板面を覆うシート材とを有してなり、その前面が上記窓孔54を通じて樹脂ベース50の正面側に露出している。この露出している部位、すなわち遊技盤60の前面には、遊技球が流下する遊技領域PEが形成されている。なお、遊技盤60は木製に限定されるものではなく、合成樹脂製とすることも可能である。
以下、図4に基づき遊技盤60(特に遊技領域PEに配された各種構成)について説明する。図4は遊技盤60の正面図である。なお、図4においては、遊技領域PEに配設された釘の図示を省略している。
(遊技盤60)
遊技盤60には、自身の厚さ方向(前後方向)に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口61、作動入球部62,63、可変入球ユニット65、スルーゲート66、可変表示ユニット67等がそれぞれ配設されている。一般入賞口61、作動入球部62,63、可変入球ユニット65等の入球部への入球が発生すると、それが検知センサにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出し等の特典が遊技者に付与される。
遊技盤60の最下部にはアウト口68が設けられており、各種入球部に入らなかった遊技球はアウト口68を通って遊技領域PEから排出される。ここで、入球とは、所定の開口部位を遊技球が通過することを意味し、同開口部位を通過した後に遊技球が遊技領域PEから排出される態様だけでなく、開口部位を通過した後に遊技領域PEから排出されない態様も含まれる。但し、以下の説明では、アウト口68への遊技球の入球と明確に区別するために、一般入賞口61、作動入球部62,63、可変入球ユニット65、スルーゲート66への入球を、入賞とも表現する。
また、遊技盤60には、遊技球の流下経路を適宜分散,調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。これら釘や風車等の各種構成によって、遊技球の流下経路が分化され、上述した一般入賞口61等への入賞が適度な確率で発生するように調整されている。
上記可変表示ユニット67は遊技盤60の中央に配されており、同可変表示ユニット67の周辺に上記作動入球部62,63等が配設されている。作動入球部62,63は、可変表示ユニット67の下方及び右方に配置されている。以下便宜上、可変表示ユニット67の下側に配置された作動入球部を「下側作動入球部62」と称し、可変表示ユニット67の右側に配置された作動入球部を「右側作動入球部63」と称する。
右側作動入球部(抽選契機入球部)63については特に、開閉式の入球補助装置(入球補助手段)又は開閉部材(開閉手段)としての電動役物71が設けられている。電動役物71は、可動片と同可動片を駆動させるソレノイド式の駆動部とを有してなり、当該可動片を動作させることにより右側作動入球部63における入口部(右作動口63a)への入球が可能又は容易となる開状態(サポート状態又は補助状態)と、同入球が不可又は上記開状態よりも困難となる閉状態(非サポート状態又は非補助状態)とに切替可能となっている。
遊技領域PEにおいて可変表示ユニット67の側方となる領域(右ルート)であって、右側作動入球部63の上流側(詳しくは直上)となる位置には、上記スルーゲート66が配置されている。遊技球のスルーゲート66の通過をトリガとした抽選にて当選となった場合には、電動役物71が予め設定された時間に亘って開状態となる。
右側作動入球部63の電動役物71におけるサポートモードとしては、遊技領域PEに対して同様の態様で遊技球の発射が継続されている状況で比較した場合に、右作動口63aが単位時間当たりに開放状態となる頻度が相対的に高低となるように、低頻度サポートモード(低頻度サポート状態又は低頻度ガイド状態)と高頻度サポートモード(高頻度サポート状態又は高頻度ガイド状態)とが設定されている。
スルーゲート66には遊技球が通過する球通路が形成されており、この通過経路を通過した遊技球は、右側作動入球部63へ到達する構成となっている。このようにして、右側作動入球部63への入球確率を高める工夫をすることにより、後述する高頻度サポートモード中は、投資を抑えながら(持ち球の減りを抑えながら)遊技を進めることができる。右側作動入球部63へ入賞しなかった遊技球は、右側作動入球部63を素通りして右側作動入球部63の下方に配置された可変入球ユニット65へ向けて流下することとなる。
可変入球ユニット(特別入球装置又は特別入球手段)65には、大入賞口が形成され、当該大入賞口を開閉する開閉手段としての開閉機構が設けられている。当該開閉機構は、大入賞口用の開閉部材としてのシャッタを有してなる。シャッタは、遊技球の入球が許容される許容状態(補助状態又は受入状態)と、同入球が不可又は困難となる阻止状態(非補助状態又は非受入状態)とに切替可能となっている。また、同シャッタは可変入球駆動部(詳しくはソレノイド)と連結されており、通常時においてはシャッタが閉状態のまま維持され、内部抽選において開閉実行モード(開閉実行状態)への移行に当選した場合に開状態に切り替えられるようになっている。
ここで、開閉実行モードとは、大当たり当選となった場合に移行することとなるモードである。当該開閉実行モードにおける可変入球ユニット65の開放態様としては、例えば所定期間(本実施の形態においては30sec)の経過又は所定個数(本実施の形態においては10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(本実施の形態においては16ラウンド)を上限としてシャッタの開放が繰り返されるように設定されている。
ここで、各作動入球部62,63及び可変入球ユニット65の配置について補足説明する。上記可変表示ユニット67の左側となる領域に向けて遊技球が発射された場合には、可変表示ユニット67の側方を通過した遊技球は遊技領域PEにおいて当該可変表示ユニット67の下側となる領域へと誘導される。この際、右側作動入球部63を素通りした遊技球は可変入球ユニット65へと流下し、当該可変入球ユニット65の大入賞口へ入球しなかった場合には、下側作動入球部62(詳しくは後述する作動口62b)へ案内される。下側作動入球部62に入球しなかった遊技球は、アウト口68を通じて遊技領域PE外に排出される。なお、下側作動入球部62は左ルートを流下した場合に流入し得る第1作動口62aと右ルートを流下した場合に流入し得る第2作動口62bとを有しているが、第2作動口62bへの入球確率は、第1作動口62aへの入球確率よりも低くなるように上記釘等が配設されている。
因みに、本実施の形態では、第1作動口62aについては、可変表示ユニット67の右側となる領域へ向けて発射された遊技球が到達不可となる位置に配置されている。故に、第1作動口62aへの入賞を狙う場合には、遊技領域PEにおいて可変表示ユニット67の左側となる領域(左ルート)へ遊技球を発射する必要がある。
次に、可変表示ユニット67について説明する。可変表示ユニット67には、作動入球部62,63への入賞をトリガとして図柄を可変表示(変動表示)する図柄表示装置75が設けられている。
図柄表示装置75は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示画面75aにおける表示内容が制御される。図柄表示装置75の表示画面75aには、例えば上、中及び下に並べて図柄が表示され、これらの図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、大当たりに当選した場合には、予め設定されている有効ライン上に所定の組み合わせの図柄が停止表示され、上記開閉実行モード(特別遊技状態又は大当たり)に移行することとなる。なお、図柄表示装置75については必ずしも液晶表示装置である必要はなく、ドットマトリクスや7セグタイプの表示装置であってもよい。
また、可変表示ユニット67には、図柄表示装置75を囲むようにしてセンターフレーム76が配設されている。センターフレーム76は、遊技盤60に対してその前面側から固定されており、このように固定された状態では遊技盤60の前面から起立した状態となることで当該センターフレーム76と上記ガラスユニット22との間の隙間寸法が遊技球の直径寸法よりも小さくなるように構成されている。これにより、遊技領域PEを流下する遊技球が図柄表示装置75に衝突することが回避され、且つ遊技領域PEを流下する遊技球の流下経路が可変表示ユニット67(詳しくはセンターフレーム76)を右側から迂回する上記右ルートと、左側から迂回する上記左ルートに大別されている。
なお、上述した可変入球ユニット65、右側作動入球部63及びスルーゲート66については、右ルートに配置されており、左ルートを流下する遊技球はそれら可変入球ユニット65、右側作動入球部63及びスルーゲート66に入賞することが回避される。一方、右ルートを流下する遊技球は下側作動入球部62の第2作動口62bに入賞することが回避される。このため、右側作動入球部63の電動役物71が高頻度サポートモードになっている場合又は開閉実行モードとなっている場合には、右ルートへ遊技球を発射することで遊技を有利に進めることができ、低頻度サポートモードとなっている場合には左ルートへ遊技球を発射することで遊技を有利に進めることができる。つまり、遊技者は、遊技状況に応じて遊技球の流下経路を右ルート/左ルートから選択することにより、遊技を有利に進めることが可能となる。
作動入球部62,63は、可変表示ユニット67寄りとなる位置に配置されている。作動入球部62,63への入賞をトリガとして、大当たりが発生し得るため、遊技者は作動入球部62,63に入賞するか否かに注目するとともに、大当たりが発生するか否かを把握するため図柄表示装置75に注目するものと考えられる。作動入球部62,63を可変表示ユニット67寄りに設けたことは、遊技者が注目したい箇所を可変表示ユニット67周辺に集中させるための工夫である。
遊技盤80において遊技領域PEの外となる部分には、主表示ユニット81が配されている。主表示ユニット81は、遊技領域PEの下部側の外縁に沿って配置されており、遊技盤60の前面からパチンコ機10前方に突出している。主表示ユニット81の前面は、遊技領域PEをパチンコ機10前方から視認可能とする上記ガラスユニット22(詳しくは後側のガラスパネル23)と対向しており、さらに後側のガラスパネル23との間の距離は遊技球1個分よりも狭くなっている。これにより、主表示ユニット81の前面の前方を遊技球が落下することが回避されている。主表示ユニット81については、後述する主制御装置に電気的に接続されており、主表示部の表示内容は当該主制御装置によって制御される構成となっている。
主表示ユニット81においてガラスユニット22と対向している部分には、所定の絵柄等が表示される主表示部Dが設けられている。主表示部Dは、下側作動入球部62(下作動口62a,62b)への入賞に基づいた抽選結果を表示する右側作動入球部用表示部と、右側作動入球部63(右作動口63a)への入賞に基づいて行われた抽選結果を表示する右側作動入球部用表示部とを有してなる。
右側作動入球部用表示部では、下側作動入球部62への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、下側作動入球部62への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。下側作動入球部62への入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果(大当たり結果)であった場合には、右側作動入球部用表示部DRにて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、上記開閉実行モードへ移行される。
右側作動入球部用表示部では、右側作動入球部63への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、右側作動入球部63への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。右側作動入球部63への入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果(大当たり結果)であった場合には、右側作動入球部用表示部DRにて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、その結果に応じて上記開閉実行モードに移行される。
ここで、いずれかの作動入球部62,63への入賞に基づいて、対応する作動入球部用表示部にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。但し、遊技回の1回は、上記の内容に限定されることはなく、例えば、単一の表示領域が設けられ、いずれの作動入球部62,63への入賞が発生したとしてもその単一の表示領域にて変動表示が行われる構成においては、当該単一の表示領域にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示した状態で上記変動表示が停止されるまでを遊技回の1回とする。
主表示ユニット81の主表示部Dには第1保留数表示部及び第2保留数表示部が設けられている。第1保留数表示部は、下作動口62a,62bに対応しており遊技球が下作動口62a,62bに入賞した回数は最大4回まで保留され第1保留数表示部の点灯によってその保留数が表示されるようになっている。第2保留数表示部は、右作動口63aに対応しており、遊技球が右作動口63aに入賞した回数は最大4回まで保留され第2保留数表示部の点灯によってその保留数が表示されるようになっている。
また、主表示ユニット81の主表示部Dには、スルーゲート66への入賞に基づいた抽選結果を表示するスルーゲート用表示部が設けられている。スルーゲート用表示部では、スルーゲート66への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート66への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。スルーゲート66への入賞に基づく内部抽選(サポート抽選)の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、スルーゲート用表示部にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、右側作動入球部63に設けられた上記電動役物71が所定の態様で開放される。
更に、本実施の形態においては遊技球がスルーゲート66を通過した回数は最大4回まで保留される構成が採用されているが、主表示ユニット81の主表示部Dにはその保留個数を表示する保留数表示部が設けられている。
これら表示部については、前扉枠14のガラスユニット22を通じてパチンコ機10前方から視認可能となっているとともに、同各種表示部の前方を遊技球が移動することが回避されることで視認性が担保されている。
再び図2を用いて内枠13の構成について説明すれば、樹脂ベース50において遊技盤60の搭載領域の下方には、上記遊技球発射ハンドル41の操作に基づいて遊技領域PEへ向けて遊技球を発射する遊技球発射機構110が設けられている。遊技球発射機構110は、所定の発射待機位置に配置された遊技球を打ち出すソレノイド111と、同ソレノイド111によって打ち出された遊技球の発射方向を規定する発射レール112と、上記発射待機位置に遊技球を供給する球送装置113と、それら各種構成111〜113が装着されているベースプレート114とを主要な構成として備えており、同ベースプレート114が樹脂ベース50に固定されることで樹脂ベース50に対して一体化されている。
発射レール112は、遊技盤60側に向けて上り傾斜となるように、斜めに傾いた状態でベースプレート114に固定されている。発射レール112の下流側の端部(すなわち下端部)寄りとなる位置には、球送装置113から供給された遊技球を上述した発射待機位置に留める球ストッパが配されている。球ストッパよりも更に下流側となる位置に、上記ソレノイド111が配置されている。
ソレノイド111は、後述する電源・発射制御装置に対して電気的に接続されている。その電源・発射制御装置からの電気的な信号の出力に基づいてソレノイド111の出力軸が伸縮方向に往復動することにより、発射待機位置に置かれた遊技球が遊技盤60側、詳しくは遊技盤60に装着された誘導レール100に向けて打ち出される。
誘導レール100は、遊技領域PEを同遊技領域PEの外形が略円形状となるように区画形成している。また、誘導レール100は、遊技球の直径よりも若干大きな隙間を隔てて対峙するように配置された内レール101及び外レール102からなり、それら両レール101,102によって一条の誘導通路103が区画形成されている。誘導通路103は、発射レール112の先端側(斜め下方)に開放された入口部分と、遊技領域PEの上部に位置する出口部分とを有している。ソレノイド111の動作に基づいて発射された遊技球は、発射レール112→誘導レール100(入口部分→出口部分)の順に移動することにより遊技領域PEに導かれる。遊技球発射ハンドル41の操作量を調整することにより、遊技領域PEにおいて可変表示ユニット67の左側となる領域や同遊技領域PEにおいて可変表示ユニット67の右側となる領域への遊技球の打ち分けが可能となっている。
なお、遊技盤60において出口部分の先側、詳しくは内レール101の先端付近には、遊技領域PEに到達した遊技球の同誘導通路103内への逆戻りを防止する逆戻り防止部材106が取り付けられており、先んじて遊技領域PEに至った遊技球によって後続する遊技球の打ち出しが妨げられることを抑制している。
誘導レール100(図4参照)及び発射レール112は、同誘導レール100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤60の下端縁を挟んで斜めに対峙するように配置されている。つまり、それら両レール100,112は、同誘導レール100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤60の下端縁近傍にて左右にずれるようにして配置されている。これにより両レール100,112を遊技盤60の下端縁に近づけつつ、誘導レール100の入口部分と発射レール112との間には所定間隔の隙間を形成している。
このようにして形成された隙間よりも下側にはファール球通路46が配設されている。ファール球通路46は前扉枠14の通路形成ユニット45に一体成形されている。仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域PEまで至らずファール球として誘導通路103内を逆戻りする場合には、それらファール球が上記隙間を介してファール球通路46内に入ることとなる。ファール球通路46は前扉側下皿通路に通じており、ファール球通路46に入った遊技球は図1に示した下皿34に排出される。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
樹脂ベース50において発射レール112の左方(詳しくは前扉枠14を支持している側)には樹脂ベース50を前後方向に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔に通路形成部材121が配設されている。通路形成部材121は、樹脂ベース50に対してネジ止めされており、本体側上皿通路と本体側下皿通路とを有している。それら本体側上皿通路及び本体側下皿通路の上流側は、後述する遊技球分配部に通じている。また、通路形成部材121の下方には前扉枠14に取り付けられた通路形成ユニット45の受口部が入り込んでおり、本体側上皿通路の下方には前扉側上皿通路が配置され、本体側下皿通路の下方には前扉側上皿通路が配置されている。
樹脂ベース50において通路形成部材121の下方には、本体側上皿通路及び本体側下皿通路を開閉する開閉部材124が取り付けられている。開閉部材124はその下端に設けられた支軸により前後方向に回動可能に支持されており、さらに本体側上皿通路及び本体側下皿通路を閉鎖する前方位置に付勢する付勢部材が設けられている。従って、前扉枠14を内枠13に対して開いた状態では開閉部材124が図示の如く起き上がり、本体側上皿通路及び本体側下皿通路を閉鎖する。これにより、本体側上皿通路又は本体側下皿通路に遊技球が貯留されている状態で前扉枠14を開放した場合、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できる。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット45に設けられた受口部により付勢力に抗して開閉部材124が押し開けられる。この状態では、本体側上皿通路と前扉側上皿通路とが連通し、さらに本体側下皿通路と前扉側下皿通路とが連通している。
次に、図3に基づき内枠13(樹脂ベース50及び遊技盤60)の背面構成について説明する。
樹脂ベース50の背面における回動基端側には、軸受け金具132が上下に並設されている。軸受け金具132には、上下に離間させて軸受け部が形成されており、これら軸受け部により内枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。
樹脂ベース50の背面には、係止金具135が複数設けられており、これら係止金具135によって上述したように樹脂ベース50に対して遊技盤60が取り付けられている。ここで、遊技盤60の背面の構成を説明する。
遊技盤60の中央に配置される可変表示ユニット67には、当該可変表示ユニット67を背後から覆うようにして表示制御装置が取り付けられている(図示は省略)。そして、表示制御装置の後方には当該表示制御装置に重なるようにして報知・演出制御装置ユニット142が搭載されている。報知・演出制御装置ユニット142は、報知・演出制御装置610と、取付台144とを具備する構成となっており、取付台144上に報知・演出制御装置610が装着されている。
報知・演出制御装置610は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る報知・演出制御基板を具備しており、報知・演出制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス145に収容されて構成されている。
遊技盤60の背面には、図3に示すように、可変表示ユニット67の下方に集合板150が設けられている。集合板150には、各種入賞口に入賞した遊技球を回収する遊技球回収機構や、各種入賞口等への遊技球の入球を検知する検知機構などが設けられている。
遊技球回収機構について説明すると、集合板150には、一般入賞口61等の各種入球部に対して個々に対応する回収通路が設けられている。これら回収通路は、それら入球部から遊技盤60の背面に沿って下っており、遊技球の落下経路を規定している。各回収通路は、同遊技盤60の下端付近にて合流しており、一般入賞口61等の入球部を通過した遊技球は何れも回収通路を介して遊技盤60の下部に集合することとなる。各回収通路の出口部分は、下方に開放されており、その先側(詳しくは遊技盤60の下方)には後述する排出通路が設けられている。回収通路により遊技盤60の下方に集合した遊技球は、排出通路へと導出される。なお、アウト口68も同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球もアウト口68を介して排出通路へ導出される。
検知機構について説明すると、集合板150には、一般入賞口61等の各種入球部に対して個々に対応する検知センサが設けられている。これら各種検知センサは、上記一般入賞口61等の入球部に連なる各回収通路の途中位置に配置されており、同回収通路にて遊技球の落下経路が規定された状態にて遊技球の通過を検知する。より詳しくは、各検知センサは、各回収通路の途中位置に設けられた検知領域を遊技球が通過することで、一般入賞口61等の入球口への入球を検知するものであり、具体的には上記検知領域を遊技球が通過した場合に生じる磁場の変化を把握する磁気センサが採用されている。
これら各種検知センサは、遊技盤60の背面側に設けられた主制御装置ユニット160(詳しくは主制御装置)に電気的に接続されており、それら検知センサにおける検知信号が同主制御装置に対して出力される構成となっている。以下、主制御装置ユニット160及びそれに付随する構成について説明する。
主制御装置ユニット160は、集合板150を後側から覆うようにして遊技盤60に搭載されており、合成樹脂製の取付台161と、同取付台161に搭載された主制御装置162とによって構成されている。主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス163に収容されて構成されている。
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印部によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。封印部は、基板ボックス163の長辺部に複数設けられ、そのうち少なくとも一つが用いられて封印処理が行われる。
封印部はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、封印部を構成する長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。封印部による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、複数の封印部のうち、少なくとも一つの長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部と他の封印部との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の封印部の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
基板ボックス163の一方の短辺部には、その側方に突出するようにして複数の結合片が設けられている。これら結合片は、取付台161に形成された複数の被結合片と1対1で対応しており、結合片と被結合片とにより基板ボックス163と取付台161との間で封印処理が行われる。
(裏パックユニット15)
次に、図2及び図3に基づき裏パックユニット15について説明する。
図2に示すように、内枠13は裏パックユニット15によって後方から覆われている。裏パックユニット15は、裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。
裏パック201は透明性を有する合成樹脂により成形されており、図3に示すように払出機構部202などが取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有する。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット67を囲むのに十分な大きさを有する。
ベース部211には、その右上部に外部端子板213が設けられている。外部端子板213には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置に対して各種信号が出力される。また、ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピンが設けられており、掛止ピンを内枠13に設けられた軸受け金具132(詳しくは軸受け部)に挿通させることで、裏パックユニット15が内枠13に対して回動可能に支持されている。また、ベース部211における回動先端部には、内枠13に設けられた被締結孔に対して締結するための締結具が設けられており、当該締結具を被締結孔に嵌め込むことで内枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。払出機構部202には、裏パック201の最上部に配されているとともに上方に開口したタンク221が設けられており、遊技ホールの島設備から供給される遊技球がそのタンク221に逐次補給される。タンク221の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレールが連結され、タンクレールの下流側には上下方向に延びるケースレールが連結されている。ケースレールの最下流部には払出装置222が設けられている。払出装置222より払い出された遊技球は、当該払出装置222の下流側に設けられた払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部に供給される。
遊技球分配部は、払出装置222より払い出された遊技球を上皿33、下皿34又は後述する排出通路の何れかに振り分けるための機能を有し、内側の開口部が上述した本体側上皿通路及び前扉側上皿通路を介して上皿33に通じ、外側の開口部が本体側下皿通路及び前扉側下皿通路を介して下皿34に通じるように形成されている。
図3に示すように、ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。排出通路盤203には、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路が形成されており、当該排出通路の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路等から排出通路に導出された遊技球は当該排出通路を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台を有し、同取付台に払出制御装置181と電源・発射制御装置191とが搭載されている。これら払出制御装置181と電源・発射制御装置191とは、払出制御装置181がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置181においては基板ボックス内に払出装置222を制御する払出制御基板が収容されており、当該払出制御基板に設けられた状態復帰スイッチが基板ボックス外に突出している。例えば、払出装置222における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチが押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
電源・発射制御装置191は、基板ボックス内に電源・発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源・発射制御装置191にはRAM消去スイッチが設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチを押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
(可変入球ユニット65)
本実施の形態においては、開閉実行モードとなることで入球が許容される上記可変入球ユニット65及びそれに関連する構成が特徴的なものとなっている。そこで以下、図5及び図6に基づき可変入球ユニット65及びそれに関連する構成について補足説明する。図5(a)は可変入球ユニット65周辺を拡大して示す図4の部分拡大図、図5(b)は図5(a)のA−A線部分断面図、図6(a)は可変入球ユニット65を正面側から見た斜視図、図6(b)は可変入球ユニット65の内部構造を示す概略図である。
既に説明したように、遊技盤60における中央開口85の右側となる部分には、主として高頻度サポートモード又は開閉実行モードとなっている場合に利用される右ルートが形成されており、遊技盤60において当該右ルートの途中位置(詳しくは右側作動入球部63の下方であって下側作動入球部62の右方)となる位置には開口部92が設けられている。
図5に示すように、開口部92は遊技盤60の厚さ方向に貫通しており、この開口部92に対して遊技機前方から可変入球ユニット65が嵌まっている。このようにして可変入球ユニット65が配置された状態では、当該可変入球ユニット65の主要部分を構成するとともに遊技盤60に対する取付部としての機能が付与されたベース体300により同開口部92が覆われている。
ベース体300は、開口部92の縁部に沿って形成されたハウジング301を備えている。ハウジング301は遊技盤60の前面と平行となるように形成された平板部301aと当該平板部301aから遊技機前方に膨出する膨出部301bとを有している。平板部301aが遊技盤60の前面に対して当接した状態で同遊技盤60にネジ止めされることにより、可変入球ユニット65が遊技盤60に対して一体化されている。
ハウジング301には、略平板状のカバー302が遊技機前方から固定されている(図6参照)。カバー302は、その外形がハウジング301の外形とほぼ同一となるように形成されており、平板部301aと隙間を隔てて対向している。これら平板部301a及びカバー302によって挟まれた領域が、右ルートの一部を構成する球通路310となっている。より具体的には、上記膨出部301bは平板部301aの下側部分が遊技機前方に膨出されてなり、膨出部301bと平板部301aとの段差は遊技球の直径寸法よりも大きくなるように形成されている。つまり、膨出部301bよりも上側の領域によって遊技盤60の前面と平行な球通路310が形成されている。
なお、カバー302には透明性が付与されており、当該カバー302を通じて同カバー302の背後の構成(例えば上記球通路310)や可変入球ユニット65へ流入した遊技球を視認可能となっている。
球通路310の通路幅等は同一箇所を複数の遊技球が同時に通過しないように規定されており、上記右側作動入球部63の直下に位置する上流側通路311と、その下方に位置する下流側通路312とを有してなる。上流側通路311は上方に開放されており、右ルートへ発射された遊技球のうち右側作動入球部63に入球しなかった遊技球(例えば右側作動入球部63を迂回した遊技球)の流入が許容されている。上流側通路311は縦方向に延びており、上記下流側通路312は当該上流側通路311と交差する方向(具体的に横方向)に延びている。このため、球通路310に流入した遊技球は、上流側通路311から下流側通路312に移る際にその流下方向が変化することとなり、当該流下方向の変化に伴って流下速度が遅くなるように減速される。
下流側通路312は、可変表示ユニット67側(左側)に向けて下り傾斜しており、その最下流部分が左方に開放されている。この下流側通路312の先には、上述した下側作動入球部62(詳しくは第2作動口62b)が位置している。つまり、球通路310には、可変入球ユニット65を通過した(素通りした)遊技球を下側作動入球部62へ向けて案内する機能が付与されている。
低頻度サポートモード対応の通常遊技状態においては、右側作動入球部63を素通りした遊技球は、この球通路310を通じて下側作動入球部62(詳しくは第2作動口62b)に向けて案内される。但し、本実施の形態においては、左ルートを通じて流下した遊技球のほうが右ルートを通じて流下した遊技球よりも下側作動入球部62へ入球する確率(入賞確率)が高くなるように構成されている。
下流側通路312は、膨出部301bの上面等からなる底部314、平板部301a等からなる奥壁部317、カバー302からなる前壁部318によって構成されており、底部314の中間部分に、上述した下側大入賞口331が形成されている。下側大入賞口331は下流側通路312に沿って左右に延びる横長状をなしており、左右方向が長手方向、前後方向が短手方向となる略矩形状に形成されている。
この下側大入賞口331を覆うようにして下側シャッタ332が配設されている。下側シャッタ332は、当該下側シャッタ332よりも上流側に位置する上流側底面部315及び同下側シャッタ332よりも下流側に位置する下流側底面部316とともに下流側通路312の底部314を構成している。なお、図5においては下側シャッタ332が閉じた状態を示している。
下側シャッタ332は下流側通路312の通路方向と同じ方向に延びる長板状をなしており、その上面の傾斜角度については、上流側底面部315及び下流側底面部316の傾斜角度と同等となっている。下側シャッタ332の上流側の端部については上流側底面部315よりも僅かに下側に位置し、下流側の端部については下流側底面部316よりも僅かに上側に位置している。これにより、底部314に沿って遊技球が流下する際の流れが担保されている。
下側シャッタ332の横幅は後述する上側大入賞口381の横幅とほぼ同一となっており、上流側通路311の横幅についても上側大入賞口381の横幅とほぼ同一となっている。このため、上流側通路311に流入した遊技球のうち上側大入賞口381を素通りした遊技球のほとんどは下側シャッタ332(下側大入賞口331)へと落下することとなる。
これら下側大入賞口331及び下側シャッタ332等によって下側可変入球装置330が構成されている。下側シャッタ332は、遊技盤60(平板部301a)の前面から突出して下側大入賞口331を覆う突出位置、及び遊技盤60(平板部301a)の前面からの突出が抑えられ下側大入賞口331を開放する退避位置への変位が許容されている。下側可変入球装置330は、下側シャッタ332を開閉させることにより、具体的には突出位置及び退避位置に変位させることにより、下側大入賞口331への遊技球の流入が許容された状態(以下、許容状態という)と、流入が不可となる状態(以下、阻止状態という)とに切り替るように構成されている。
ここで、下側シャッタ332の動作に係る構成について補足説明する。なお、以下の説明では、下側可変入球装置330への入賞が許容されている状態すなわち下側シャッタ332が突出位置(閉位置)に配置された状態を、下側可変入球装置330及び下側シャッタ332に共通の表現として「許容状態」と呼称し、下側可変入球装置330への入賞が許容されていない状態すなわち下側シャッタ332が退避位置(開位置)に配置された状態を、下側可変入球装置330及び下側シャッタ332に共通の表現として「阻止状態」と呼称する。
下側シャッタ332は、ハウジング301によって遊技盤60の厚さ方向(前後方向)にスライド移動可能な状態で保持されている。図5(b)に示すように、ハウジング301の平板部301a(奥壁部317)には、前後方向に貫通するようにしてスリットが形成されており、下側シャッタ332がこのスリットを通じて出没することで、上記突出位置及び退避位置に配置される。
ベース体300(ハウジング301)の背面側には、下側シャッタ332に対応する下側可変入球駆動部333が取り付けられている(図6参照)。下側可変入球駆動部333は、駆動源としてのソレノイドと、当該ソレノイドからの駆動力を下側シャッタ332に伝達する駆動力伝達手段としてのリンク機構とを有している。ソレノイドは主制御装置162に電気的に接続されており、主制御装置162からの駆動信号に基づいて動作する。これにより、下側シャッタ332が突出位置から退避位置へスライドし、下側可変入球装置330(下側シャッタ332)が阻止状態→許容状態へ切り替わる。主制御装置162からの駆動信号の出力が停止すると、付勢手段(バネ等)の付勢力によって下側シャッタ332が退避位置から突出位置へスライドし、下側可変入球装置330(下側シャッタ332)が許容状態→阻止状態へ切り替る。
図6(b)に示すように、ハウジング301(膨出部301b)には、下側大入賞口331に入った遊技球を遊技盤60の背面側へ案内する下側案内通路334が形成されている。下側案内通路334において膨出部301bに形成されている部分は、上流側通路311と同じ方向に延びており、その底部に到達した遊技球は当該底部に沿ってハウジング301の後部領域へと案内される。この途中位置には、下側大入賞口331に入球した遊技球を検知する下側検知センサが配設されている。下側検知センサは主制御装置162に電気的に接続されており、下側検知センサの検知領域を遊技球が通過した場合に所定の検知情報(検知信号)が主制御装置162に入力される構成となっている。主制御装置162ではこの検知情報に基づいて入賞の有無を判定する。
既に説明したように、本実施の形態においては大当たりに結果となって開閉実行モードへ移行した場合であっても、下側可変入球装置330が常に許容状態に維持されるのではなく、阻止状態を経由して次のラウンドへ移行するように構成されている。このため、開閉実行モード中に下側可変入球装置330の状態に関係なく遊技球の発射操作を継続した場合には、それら遊技球の一部が、下側可変入球装置330が阻止状態となっている状況下にて可変入球ユニット65、詳しくは下流側通路312において下側大入賞口331への入球が発生し得る領域(下側シャッタ332と対峙している領域)に遊技球が到達し得る。
仮に阻止状態にて当該領域に到達した遊技球が、そのまま可変入球ユニット65を素通りしてアウト口68等へ到達した場合には、それら遊技球が無駄球となって遊技者の投資が嵩む可能性がある。このようなタイプの遊技機においては、可変入球ユニット65が阻止状態となっている場合に当該入球部に遊技球が到達しないように発射操作を工夫することにより、遊技者は無駄な投資を抑えることができる。このような技術介入が許容されている場合には、得られる特典等に遊技者の技量に応じた差が生じる。これは、遊技の公平性を向上させる上で妨げになり得る。本実施の形態においては、このような事情に鑑みて、公平性の低下を抑制する工夫がなされていることを特徴の1つとしている。そこで以下、当該工夫について説明する。
図5に示すように、可変入球ユニット65には、上述した下側可変入球装置330の上方となる位置、具体的には上流側通路311の途中位置に上側可変入球装置380が配設されてなる。つまり、可変入球ユニット65においては複数(2つ)の可変入球装置330,380が併存しており、上記膨出部301bよりも上側となる部分が上側可変入球装置380を有する上側可変入球ブロック305となっており、膨出部301bが設けられている部分が下側可変入球装置330を有する下側可変入球ブロック306となるようにして区分されている。
上流側通路311は、平板部301a等からなる奥壁部327及びカバー302からなる前壁部328によって構成されており、これら両壁部327,328のうち奥壁部327に上側大入賞口381が形成されている。上側大入賞口381は上流側通路311と交差するようにして左右に延びる横長状をなしており、左右方向が長手方向、上下方向が短手方向となる略矩形状に形成されている。
この上側大入賞口381を覆うようにして上側シャッタ382が配設されている。上側シャッタ382は、上側大入賞口381と同じ方向(左右方向)に延びる長板状をなしており、その板面がカバー302側を向くように配置されることで平板部301aとともに奥壁部327を形成している。なお、図5においては上側シャッタ382が閉じた状態を示している。
上側シャッタ382は、ハウジング301によって遊技盤60の厚さ方向(前後方向)に回動可能な状態で保持されている。具体的には、上側シャッタ382の下端部が回動可能に軸支されており、当該下端部を中心として回動可能となっている。また、上側シャッタ382についても、上記下端部(基端部)を中心として回動することにより、遊技盤60(平板部301a)の前面から突出し上側大入賞口381を開放する突出位置と、遊技盤60(平板部301a)の前面からの突出が抑えられ上側大入賞口381を覆う退避位置とに変位可能となっている。
上側可変入球装置380は、上側シャッタ382を開閉させることにより、具体的には突出位置及び退避位置に変位させることにより、上側大入賞口381への遊技球の流入が許容された状態(以下、許容状態という)と、流入が不可となる状態(以下、阻止状態という)とに切替可能となっている。
ここで、上側シャッタ382の動作に係る構成について補足説明する。なお、以下の説明では、上側可変入球装置380への入賞が許容されている状態すなわち上側シャッタ382が突出位置(開位置)に配置された状態を、上側可変入球装置380及び上側シャッタ382に共通の表現として「許容状態」と呼称し、上側可変入球装置380への入賞が許容されていない状態すなわち上側シャッタ382が退避位置(閉位置)に配置された状態を、上側可変入球装置380及び上側シャッタ382に共通の表現として「阻止状態」と呼称する。
因みに、上側可変入球装置380と下側可変入球装置330とを比較した場合、「許容状態」におけるシャッタ332,382の位置と、「阻止状態」におけるシャッタ332,382の位置とが逆の関係になっていることに留意されたい。つまり、下側可変入球装置330においては下側シャッタ332を「退避位置」に配置することで「許容状態」となり「突出位置」に配置することで「阻止状態」となるように構成されていたのに対して、上側可変入球装置380においては上側シャッタ382を「突出位置」に配置することで「許容状態」となり「退避位置」に配置することで「阻止状態」となるように構成されている点で切替態様が相違している。
ベース体300(ハウジング301)の背面側には、上側シャッタ382に対応する上側可変入球駆動部383が取り付けられている(図6参照)。上側可変入球駆動部383は、駆動源としてのソレノイドと、当該ソレノイドからの駆動力を上側シャッタ382に伝達する駆動力伝達手段としてのリンク機構とを有している。ソレノイドは主制御装置162に電気的に接続されており、主制御装置162からの駆動信号に基づいて動作する。これにより、上側シャッタ382が退避位置から突出位置へ回動し、上側可変入球装置380(上側シャッタ382)が阻止状態→許容状態へ切り替わる。主制御装置162からの駆動信号の出力が停止すると、付勢手段(バネ等)の付勢力によって上側シャッタ382が突出位置から退避位置へ回動し、上側可変入球装置380(上側シャッタ382)が許容状態→阻止状態へ切り替る。
なお、ベース体300(ハウジング301)には、下側シャッタ332及び上側シャッタ382の変位(可変入球装置330,380の阻止状態/許容状態の切り替り)を阻止するロック装置が設けられている。ロック装置についても主制御装置162に接続されており、上記開閉実行モードへ移行した場合にはロック装置がロック状態からアンロック状態へ切り替わり、下側シャッタ332及び上側シャッタ382の変位(可変入球装置330,380の阻止状態/許容状態の切り替り)が許容されることとなる。このロック装置の存在により、不正具を用いて無理やり下側シャッタ332を退避位置へ移動させたり上側シャッタ382を突出位置へ移動させたりする不正行為を難しくしている。
図6(b)に示すように、ハウジング301には、上側大入賞口381に入った遊技球を遊技盤60の背面側へ案内する上側案内通路384が形成されている。上側案内通路384は、遊技盤60の厚さ方向(後方)に延びており、その上側案内通路384に到達した遊技球は通路底面に沿ってハウジング301の後部領域へと案内される。この途中位置には、上側大入賞口381に入球した遊技球を検知する上側検知センサが配設されている。上側検知センサは主制御装置162に電気的に接続されており、上側検知センサの検知領域を遊技球が通過した場合に所定の検知情報(検知信号)が主制御装置162に入力される構成となっている。主制御装置162ではこの検知情報に基づいて入賞の有無を判定する。
ここで、図7を参照して、開閉実行モード中の可変入球ユニット65の動作態様について補足説明する。図7は可変入球ユニット65の動作態様を示す概略図である。なお、詳細については後述するが、開閉実行モード中は、2つの可変入球装置330,380が交互に許容状態に切り替る構成となっている。
図7(b)→図7(a)に示すように、上側可変入球装置380が阻止状態から許容状態に切り替ると、上側シャッタ382が上流側通路311へ突出する。上側シャッタ382が上流側通路311に沿う遊技球の流下経路に割り込むこととなり(図5(b)参照)、上側シャッタ382に当った遊技球はその流下方向が変化する。これにより、可変入球ユニット65に流入した遊技球は、当該上側シャッタ382に沿って上側大入賞口381へ導かれることとなる。つまり、上側シャッタ382は、許容状態となることにより上流側通路311を通過する遊技球を上側大入賞口381へ案内する案内手段としての機能するように構成されている。
図7(a)→図7(b)に示すように、上側可変入球装置380が許容状態から阻止状態に切り替ると、上側シャッタ382が退避位置へと復帰し、上流側通路311が元の状態に戻る。つまり、上流側通路311においては遊技球の落下を妨げるものが存在しないため、球通路310に流入した遊技球は、上流側通路311を経て下流側通路312に到達する。
ここで、図7(a)に示すように下側可変入球装置330が阻止状態となっている場合には、上流側通路311の延長上に下側シャッタ332が位置することとなる。このため、下側シャッタ332に到達した遊技球は、当該下側シャッタ332に当たることでその流下方向が左向きに変化することとなる。
図7(a)→図7(b)に示すように、下側可変入球装置330が阻止状態から許容状態に切り替ると、下側シャッタ332が退避位置へ後退する。これにより、下側シャッタ332にふよされた下流側通路312に沿った遊技球の案内機能が無効化されるとともに上流側通路311と膨出部301bに形成された下側案内通路334とが下側大入賞口331を通じて連通した状態となり、上流側通路311を通過した遊技球すなわち上側可変入球装置380を素通りした遊技球は、流下方向をそのままに下側案内通路334へと流入する。
(パチンコ機10の電気的構成)
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図8のブロック図に基づき説明する。
主制御装置162に設けられた主制御基板601には、MPU602が搭載されている。MPU602には、当該MPU602により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM603と、そのROM603内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM604と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵された素子である。なお、MPU602が有する機能の一部、例えば、ROM603の機能やRAM604の機能などを別の素子として有する構成としてもよい。
MPU602には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU602の入力側には、主制御装置162に設けられた停電監視基板605、払出制御装置181、各種検知センサなどが接続されている。停電監視基板605には電源・発射制御装置191が接続されており、MPU602には停電監視基板605を介して電力が供給される。また、各種検知センサの一部として、一般入賞口61用の検知センサ151a、下側作動入球部62用の検知センサ151b、右側作動入球部63用の検知センサ151c、スルーゲート66用の検知センサ151d、可変入球ユニット65用の検知センサ335,385が接続されており、これら各種検知センサ151a〜151d,335,385からの検知情報(検知信号)に基づき、主制御装置162のMPU602にて各入球部への入賞判定(入球判定)が実行される。また、MPU602では、下側作動入球部62(下作動口62a,62b)及び右側作動入球部63(右作動口63a)への入賞に基づいて大当たり発生抽選を実行するとともに、スルーゲート66への入賞に基づいてサポート発生抽選を実行する。
MPU602の出力側には、停電監視基板605、払出制御装置181及び報知・演出制御装置610(詳しくは報知・演出制御基板611)が接続されている。払出制御装置181には、例えば、上記入賞対応入球部への入賞判定結果に基づいて賞球コマンドが出力される。この場合、賞球コマンドの出力に際しては、ROM603のコマンド情報記憶エリア603aが参照される。そして、一般入賞口61への入賞を特定した場合には10個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、大入賞口331,381への入賞を特定した場合には15個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、下作動口62a,62bへの入賞を特定した場合には3個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、右作動口63aへの入賞を特定した場合には4個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力される。
報知・演出制御装置610には、変動開始コマンド、種別コマンド、変動終了コマンド、オープニングコマンド及びエンディングコマンドなどの各種コマンドが出力される。この場合、これら各種コマンドの出力に際しては、ROM603のコマンド情報記憶エリア603aが参照される。これら各種コマンドの詳細については、後に説明する。なお、上記各コマンドは、所定のバイト数の情報として構成されており、当該所定のバイト数の情報として各種情報が含まれている。
また、MPU602の出力側には、右側作動入球部63に付随した電動役物71を駆動させる駆動部71b、可変入球ユニット65のシャッタ332,382を駆動させる可変入球駆動部333,383、主表示ユニット81の主表示部Dの保留数表示部や各種入球部用表示部等が接続されている。主制御基板601には各種ドライバ回路が設けられており、当該ドライバ回路を通じてMPU602は各種駆動部等の駆動制御を実行する。
つまり、開閉実行モードにおいては大入賞口331,381が開閉されるように、MPU602において可変入球ユニット65における可変入球駆動部333,383の駆動制御が実行される。また、右側作動入球部63の電動役物71の開放状態当選(サポート当選)となった場合には、電動役物71が開閉されるように、MPU602において駆動部71bの駆動制御が実行される。また、各遊技回に際しては、MPU602において主表示ユニット81の主表示部Dにおける右側作動入球部用表示部又は右側作動入球部用表示部の表示制御が実行される。
さらには、MPU602の出力側には、外部端子板213が接続されている。外部端子板213には、状態移行に際して信号出力するための出力端子として、大当たり信号出力端子等が設けられている。MPU602は、遊技結果が大当たり結果となった場合には、遊技ホール側の管理制御装置に対して、大当たり信号出力端子を通じて大当たり信号を出力することができる。具体的には、通常時では、大当たり信号出力端子からLOWレベル信号が出力されており、大当たり結果となった場合にはHIレベル信号が出力される。なお、この信号の出力態様は逆でもよい。
停電監視基板605は、主制御基板601と電源・発射制御装置191とを中継し、また電源・発射制御装置191から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する。払出制御装置181は、主制御装置162から入力した賞球コマンドに基づいて、払出装置222により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。
電源・発射制御装置191は、例えば、遊技場等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御基板601や払出制御装置181等に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を所定の電力経路を通じて供給する。
また、電源・発射制御装置191は、遊技球発射機構110の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構110(詳しくはソレノイド111)は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。より具体的には、電源・発射制御装置191には、遊技球発射ハンドル41に設けられた操作レベル検知センサとタッチセンサとが接続されている。操作レベル検知センサは、遊技球発射ハンドル41の操作量(回動量)を検知するセンサであり、この操作レベル検知センサからの情報に基づいて遊技球発射機構110による遊技球の発射強度(発射速度)が決定されることとなる。タッチセンサは、遊技者が遊技球発射ハンドル41に触れている場合に情報を出力する構成となっており、電源・発射制御装置191ではこの情報に基づいて遊技者が遊技球発射ハンドル41に触れているか否かを把握することができる構成となっている。タッチセンサからの情報に基づいて遊技者が遊技球発射ハンドル41に触れていると判定し、且つ操作レベル検知センサにて遊技球発射ハンドル41が操作されていると判定した場合に遊技球の発射が許可されることとなる。
なお、タッチセンサからの情報は、電源・発射制御装置191を経由して、主制御装置162ひいては報知・演出制御装置610、表示制御装置620に送信されることとなる。
報知・演出制御装置610は、MPU612が搭載された報知・演出制御基板611を有してなり、MPU612には各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM613、そのROM613内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM614などが内蔵されている。
報知・演出制御装置610は、主制御装置162から入力した各種コマンドに基づいて前扉枠14に設けられたランプ部26〜28やスピーカ部29を駆動制御するとともに、表示制御装置620を制御するものである。詳しくは、報知・演出制御装置610では、主制御装置162から入力した各種コマンドに基づいて、図柄表示装置75における図柄の変動表示態様及び最終的に停止表示させる図柄の停止表示態様(例えば図柄の組み合わせの種類)を決定するとともに、リーチ発生の有無及びリーチ演出の内容等を決定するとともに、その決定した内容を上記コマンドに付与して表示制御装置620に転送する。
表示制御装置620はMPU622が搭載された表示制御基板621を有してなり、MPU622には各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM623、そのROM623内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM624、ビデオディスプレイプロセッサ(VDP)、画像データが格納されたキャラクタROM、キャラクタROMから読み出した画像データを一時的に記憶するビデオRAMなどが内蔵されている。MPU622では、報知・演出制御装置610から入力したコマンドに基づいて、可変表示ユニット67(詳しくは図柄表示装置75)の表示制御を実行する。
ここで、図柄表示装置75の表示内容について説明する。図柄表示装置75の表示画面75aには、上段・中段・下段の3つの図柄列が設定されている。各図柄列は、主図柄と副図柄が所定の順序で配列されて構成されている。そして、表示画面75aでは、これら各図柄列の図柄が周期性をもって所定の向き(具体的には、右から左)にスクロールするように変動表示される。この場合、上図柄列には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の降順に配列されるとともに、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。下図柄列には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の昇順に配列されるとともに、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、上図柄列と下図柄列は18個の図柄により構成されている。これに対し、中図柄列には、数字の昇順に「1」〜「9」の9種類の主図柄が配列された上で「9」の主図柄と「1」の主図柄との間に「4」の主図柄が付加的に配列され、これら各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、中図柄列に限っては、10個の主図柄が配されて20個の図柄により構成されている。
また、表示画面75aは、図柄列毎に3個の図柄が停止表示されるようになっており、結果として3×3の計9個の図柄が停止表示されるようになっている。また、表示画面75aには、5つの有効ライン、すなわち左ライン、中ライン、右ライン、右下がりライン、右上がりラインが設定されている。そして、上図柄列→下図柄列→中図柄列の順に変動表示が停止し、いずれかの有効ラインに所定の図柄の組み合わせ(例えば同一の数字が付された図柄の組み合わせ)が形成された状態で全図柄列の変動表示が終了すれば、通常大当たり結果又は確変大当たり結果の発生として大当たり動画が表示されるようになっている。
なお、上記のように各図柄列の変動表示が停止されることに鑑みれば、上図柄列を第1図柄列(又は第1絵柄列)、下図柄列を第2図柄列(又は第2絵柄列)、中図柄列を第3図柄列(又は第3絵柄列)と称することができる。
上記各主図柄のうち、奇数番号(1,3,5,7,9)が付された主図柄は「特定図柄」に相当し、確変大当たり結果が発生する場合には、例えば同一の特定図柄の組み合わせが停止表示される。また、偶数番号(2,4,6,8)が付された主図柄は「非特定図柄」に相当し、通常大当たり結果が発生する場合には、例えば同一の非特定図柄の組み合わせが停止表示される。
確変大当たり結果となった場合には、以降の抽選にて相対的に大当たり結果となりやすい高確率モードとなり、この高確率モードは通常大当たり結果となるまで継続される。一方、通常大当たり結果となった場合には、相対的に大当たり結果となりにくい(高確率モードよりも大当たり結果となりにくい)低確率モードとなる。
なお、図柄表示装置75における図柄の変動表示の態様は上記のものに限定されることはなく任意であり、図柄列の数、図柄列における図柄の変動表示の方向、各図柄列の図柄数などは適宜変更可能である。例えば、複数の図柄列を横並びとなるように設定し、図柄列における図柄の変動表示の方向を縦方向に設定してもよい。
表示画面75aの下部、詳しくは個別に設定された上図柄列の変動表示領域と中図柄の変動表示領域と下図柄の変動表示領域とを有してなる変動表示領域の下方には、保留表示領域が設定されている。当該保留表示領域は、遊技球が下作動口62a,62bに入賞した場合の最大保留個数と同一の数の単位保留表示領域が左右方向に並ぶようにして区画表示された上作動口用の保留数表示領域と、遊技球が右作動口63aに入賞した場合の最大保留個数と同一の数の単位保留表示領域が左右方向に並ぶようにして区画表示された下作動口用の保留数表示領域とによって構成されている。
具体的には、遊技球が下作動口62a,62bに入賞した場合の最大保留個数は4個であり、これに対応させて下側作動口用の保留数表示領域には、第1単位保留表示領域、第2単位保留表示領域、第3単位保留表示領域、第4単位保留表示領域が設定されている。また、遊技球が右作動口63aに入賞した場合の最大保留個数は4個であり、これに対応させて右側作動口用の保留数表示領域には、第1単位保留表示領域、第2単位保留表示領域、第3単位保留表示領域、第4単位保留表示領域が設定されている。
例えば、遊技球が下作動口62a,62bに入賞した場合の保留個数が1個の場合には、第1単位保留表示領域のみにて所定の保留用画像が表示され、遊技球が下作動口62a,62bに入賞した場合の保留個数が4個の場合には、第1単位保留表示領域〜第4単位保留表示領域の全てにおいて所定の保留用画像が表示される構成となっている。
次に、上述の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。
MPU602は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり発生抽選、主表示部Dの表示の設定(発光態様の設定)、図柄表示装置75の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、大当たり発生の抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、確変大当たり結果や通常大当たり結果等の大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置75にて外れ変動を実行する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、主表示ユニット81の作動入球部用表示部DL,DR及び図柄表示装置75における変動表示時間を決定する変動種別カウンタCSとを用いることとしている。さらに、右側作動入球部63の電動役物71を電役開放状態とするか否かの抽選に使用する電動役物開放カウンタC4を用いることとしている。
各カウンタC1〜C3,CINI,CS,C4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM604の所定領域に設定された抽選カウンタ用バッファ604aに適宜格納される。RAM604には、下側作動入球部用保留エリアと、右側作動入球部用保留エリアと、実行エリアと、総保留数記憶領域とよりなる保留球格納エリアが設けられている。そして、この保留球格納エリアに、下側作動入球部62又は右側作動入球部63への遊技球の入賞履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値が時系列的に格納されるようになっている。
(主制御基板601のMPU602にて実行される各種処理について)
次に、主制御基板601のMPU602により実行される各制御処理を説明する。MPU602の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、メイン処理終了後に実行される通常処理と、通常処理に対して定期的に割り込んで起動されるタイマ割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込み処理を説明し、その後通常処理を説明する。
(タイマ割込み処理)
先ず、タイマ割込み処理について、図9のフローチャートを参照しながら説明する。本処理はMPU602により定期的に(例えば2msec周期で)起動される。
ステップS101では、各種検知センサ例えば(上記検知センサ151a〜151d,335,385)の読み込み処理を実行する。すなわち、主制御装置162に接続されている各種検知センサの状態を読み込むとともに、当該検知センサの状態(検知センサからの検知情報)を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。例えば、下作動口62a,62bへの入球が発生したと判定した場合には、RAM604の各種フラグ格納エリアに下側作動入球部用の入賞検知フラグを格納し、右作動口63aへの入球が発生したと判定した場合には、同各種フラグ格納エリアに右側作動入球部用の入賞検知フラグを格納する。また、スルーゲート66を遊技球が通過したと判定した場合には、RAM604の各種フラグ格納エリアにスルーゲート用の入賞検知フラグを格納する。
その後、ステップS102では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントするとともに、そのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM604の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS103では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4をそれぞれ1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C4の更新値を、RAM604の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS104では、スルーゲート66への入賞に伴うスルー用の入賞処理を実行する。スルー用の入賞処理では、RAM604の各種フラグ格納エリア604eにスルーゲート用の入賞検知フラグが格納されているか否かを判定し、同フラグが格納されている場合には電役保留エリアに記憶されている役物保留記憶数が4未満であることを条件として、前記ステップS103にて更新した電動役物開放カウンタC4の値を電役保留エリアに格納する。そして、各種フラグ格納エリアにスルーゲート用の入賞検知フラグが格納されている場合には、同入賞検知フラグを消去して当該スルーゲート用の入賞処理を終了する。
ステップS104のスルーゲート用の入賞処理を実行した後はステップS105に進み、当該ステップS105にて作動入球部62,63(作動口62a,62b,63a)への入賞に伴う作動入球部用の入賞処理を実行し、本タイマ割込み処理を終了する。
作動入球部用の入賞処理においては先ず、遊技球が下側作動入球部62(下作動口62a,62b)に入賞(始動入賞)したか否かをRAM604の各種フラグ格納エリアに下側作動入球部用の入賞検知フラグが格納されているか否かによって判定する。同入賞検知フラグが格納されていると判定した場合、すなわち遊技球が下側作動入球部62(下作動口62a,62b)への入賞が発生した旨の検知信号を受信した場合には、払出制御装置181に遊技球を3個払い出させるための賞球コマンドをセットする。そして、下側作動入球部62(下作動口62a,62b)に遊技球が入賞した旨を示す情報を遊技ホール側のホールコンピュータHCに対して信号出力すべく外部信号設定処理を行う。これにより、下側作動入球部62(下作動口62a,62b)への入賞が発生した旨がホールコンピュータHCにて把握される。
その後、下側作動入球部用の保留エリアの保留数記憶領域に格納された値を読み出し、当該保留エリアに保留記憶されている下側始動保留記憶数をセットする。続いて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を格納する情報取得処理を行い、本入賞処理を終了する。
一方、RAM604の各種フラグ格納エリア604eに右側作動入球部用の入賞検知フラグが格納されていない場合、すなわち下側作動入球部62(下作動口62a,62b)ではなく右側作動入球部63への入賞が発生している場合には、払出制御装置181に遊技球を4個払い出させるための賞球コマンドをセットする。セットされた賞球コマンドは、後述する通常処理の外部出力処理にて払出制御装置181に送信される。
続いて、右側作動入球部63(右作動口63a)に遊技球が入賞した旨を示す情報を遊技ホール側のホールコンピュータHCに対して信号出力すべく外部信号設定処理を行う。これにより、右側作動入球部63(右作動口63a)への入賞が発生した旨がホールコンピュータHCにて把握される。
その後、右側作動入球部用の保留エリアの保留数記憶領域に格納された値を読み出して、当該保留エリアに保留記憶されている右側始動保留記憶数をセットした後、情報取得処理を行い、本入賞処理を終了する。
一方、下側作動入球部62及び右側作動入球部63のいずれにも遊技球が入賞しなかった場合には、そのまま本入賞処理を終了する。
情報取得処理においては先ず、セットした始動保留記憶数が上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判定する。始動保留記憶数が上限値である場合にはそのまま本情報取得処理を終了し、上限値未満である場合には、対応する結果表示部用保留エリアの始動保留記憶数を1インクリメントするとともに、総保留数記憶領域に格納された値(以下、共通保留数と言う)を1インクリメントする。
その後、更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び変動種別カウンタCSの各値を、対応する結果表示部用保留エリアの空き記憶領域エリアのうち最初の記憶エリア、すなわち1インクリメントした保留記憶数と対応する記憶エリアに格納する。
つまり、下側作動入球部用の始動保留記憶数がセットされている場合には、更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び変動種別カウンタCSの各値を、下側作動入球部用の保留エリアの空き記憶エリアのうち最初の記憶エリア、すなわち1インクリメントした下側作動入球部用の始動保留記憶数と対応する保留エリアに格納する。
また、右側作動入球部用の始動保留記憶数がセットされている場合には、更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、右側作動入球部用の保留エリアの空き記憶エリアのうち最初の記憶エリア、すなわち1インクリメントした右側作動入球部用の始動保留記憶数と対応する保留エリアに格納する。
続いて、下側作動入球部62又は右側作動入球部63への入賞が発生したことをサブ側(副側)の制御装置である報知・演出制御装置610及び表示制御装置620に認識させるための処理である保留情報の確認処理及び保留コマンドの設定処理を実行する。その後、上記入賞検知フラグが格納されている場合には同フラグを消去し、本情報取得処理を終了する。保留コマンドの設定処理にて設定された保留コマンドは後述する通常処理の外部出力処理にて報知・演出制御装置610に送信されることとなる。
(通常処理)
次に、通常処理の流れを図10のフローチャートを参照しながら説明する。通常処理は電源投入に伴い起動されるメイン処理が実行された後に開始される処理であり、通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS201〜S207の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS209,S210のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
通常処理において、ステップS201では、タイマ割込み処理又は前回の通常処理で設定したコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する。具体的には、賞球コマンドの有無を判定し、賞球コマンドが設定されていればそれを払出制御装置181に送信する。また、変動開始コマンド、種別コマンド、変動終了コマンド等の遊技回用の演出に対応したコマンドや開閉実行モード用の演出に対応したコマンドといった演出用のコマンドが設定されている場合にはそれを報知・演出制御装置610に送信する。また、RAM604の外部出力バッファに設定されている情報に応じて、外部端子板213に対する出力設定を行う。
次に、ステップS202では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1インクリメントするとともに、カウンタ値が最大値に達した際にはカウンタ値を0にクリアする。そして、変動種別カウンタCSの更新値を、RAM604の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS203では、各遊技回の遊技を進行させるための遊技回制御処理を実行する。この遊技回制御処理では、大当たり等の当否判定及び大当たり種別の振分判定を行うとともに、図柄表示装置75による図柄の変動表示の設定、主表示ユニット81(主表示部D)における作動入球部用表示部などの表示制御などを行う。
その後、ステップS204では、遊技状態を移行させるための遊技状態移行処理を実行する。詳細は後述するが、この遊技状態移行処理により、遊技状態が開閉実行モード、高確率モード、高頻度サポートモードなどに移行する。
ステップS205では、右側作動入球部63に設けられた電動役物71を駆動制御するための電役サポート用処理を実行する。この電役サポート用処理では、RAM604の電役保留エリアに格納されている電動役物開放カウンタC4から取得した数値情報を用いて電動役物71を開放状態とするか否かの電役開放抽選(サポート抽選)を行うとともに、電役開放状態当選となった場合には電動役物71の開閉処理を実行する。また、電役開放抽選の抽選結果を教示するように、主表示ユニット81(主表示部D)におけるスルーゲート用表示部の表示制御を行う。
既に説明したとおり、電動役物71によるサポートの態様として、低頻度サポートモード及び高頻度サポートモードが設定されており、遊技状態移行処理にていずれかのサポートモードへの移行が行われる。この場合、RAM604の各種フラグ格納エリアに高頻度サポートフラグがセットされている場合は高頻度サポートモードとなり、当該フラグがセットされていない場合には低頻度サポートモードとなる。
電役サポート用処理では、RAM604の各種フラグ格納エリアに高頻度サポートフラグがセットされているか否かを判定することで、高頻度サポートモードであるか否かを判定する。そして、高頻度サポートモードである場合には低頻度サポートモードの場合よりも、電役開放状態当選となった際に、電動役物71が開放状態となる回数を多く設定するとともに、1回の開放時間を長く設定する。また、高頻度サポートモードである場合は、電役開放状態当選となり電動役物71の開放状態が複数回発生する場合において、1回の開放状態が終了してから次の開放状態が開始されるまでの閉鎖時間が、1回の開放時間よりも短くなるように設定する。
ちなみに、開閉実行モードに移行した場合には、RAM604の各種フラグ格納エリアに高頻度サポートフラグがセットされていたとしても、サポートモードは強制的に低頻度サポートモードに設定される。
続くステップS206では、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、遊技球発射ハンドル41に対して発射操作が行われていることに基づき電源・発射制御装置191から出力される発射許可信号を入力していることを条件として、所定の発射期間(本実施の形態においては0.6sec)に1回、遊技球発射機構110のソレノイド111を励磁する。これにより、遊技球が遊技領域に向けて打ち出される。つまり、所謂止め打ち等の変則打ちが行われていない場合には、発射操作が行われていることを条件として所定周期にて遊技球の発射が繰り返される構成となっている。
続くステップS207では、RAM604に停電フラグがセットされているか否かを判定する。停電フラグは、停電監視基板605において停電の発生が確認され当該停電監視基板605からMPU602のNMI端子に停電信号が入力されることによりセットされ、次回のメイン処理にて消去されるフラグである。
停電フラグがセットされていない場合は、繰り返し実行される複数の処理の最後の処理が終了したこととなるので、ステップS208にて次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施形態では4msec)が経過したか否かを判定する。そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCSの更新を繰り返し実行する。つまり、ステップS209では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行するとともに、ステップS210では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。
ここで、ステップS201〜S206の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、係る残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(すなわち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCSについてもランダムに更新することができる。
一方、ステップS207にて、停電フラグがセットされていると判定した場合は、電源遮断が発生したことになるので、ステップS211以降の電断時処理を実行する。つまり、ステップS211では、タイマ割込み処理の発生を禁止し、その後、ステップS211にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS213にてRAM604のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
(遊技状態移行処理)
次に、ステップS204の遊技状態移行処理を図11及び図12のフローチャートを参照して説明する。
遊技状態移行処理においては先ず、ステップS301にて開閉実行モード中であるか否かを判定する。開閉実行モード中でない場合にはステップS302に進み、1の遊技回の下側作動入球部用表示部又は右側作動入球部用表示部における絵柄の変動表示が終了したタイミングか否かを判定する。変動表示が終了したタイミングでない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
変動表示が終了している場合には、より詳しくは変動表示が終了してから予め設定された停止表示期間が経過している場合には、ステップS303に進み、今回の遊技回の遊技結果(上記当否抽選の結果)が開閉実行モードへの移行に対応したものであるか否かを判定する。具体的には、RAM604に、16R確変大当たり結果対応フラグ及び16R通常大当たり結果対応フラグの何れかが格納されているか否かを判定する。上記各フラグのいずれもが格納されていない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
上記各フラグのいずれかが格納されている場合には、ステップS304にて開閉実行モードの開始処理を実行する。当該開始処理により、上記ロック装置による可変入球ユニット65の動作規制が解除され、開閉実行モードが終了するまで当該可変入球ユニット65の開閉動作が許容されることとなる。続くステップS305では、RAM604の各種カウンタエリアに設けられた開放数カウンタOCに「16」をセットする。
ステップS305の処理を実行した後は、ステップS306にてオープニングコマンドを設定する。この設定されたオープニングコマンドは、通常処理(図10)におけるステップS201にて、報知・演出制御装置610及び表示制御装置620に送信される。報知・演出制御装置610では、受信したオープニングコマンドに基づいて、開閉実行モードに対応した演出の内容を決定し、その決定した演出の内容が実行されるように各種機器を制御する。ステップS306の処理を実行した後はステップS307にて外部信号設定処理を実行し、本遊技状態移行処理を終了する。
ステップS307の外部信号設定処理では、RAM604に、各種大当たり対応フラグのいずれかが格納されているか否かを判定し、いずれかのフラグが格納されている場合には、遊技ホール側の管理制御装置(ホールコンピュータHC)に大当たりが発生した旨を示す信号が出力するための準備がなされ、当該信号については通常処理(図10)のステップS201にて管理制御装置へ送信されることとなる。管理制御装置においては、この信号に基づいて、パチンコ機10にて開閉実行モードへ移行したことを把握することができる。
ステップS301の説明に戻り、当該ステップS301にて開閉実行モード中であると判定した場合には、ステップS308に進む。ステップS308では、オープニング用の待機時間が経過したか否かを判定する。オープニング用の待機時間が経過していない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。オープニング用の待機時間が経過している場合には、ステップS309にて大入賞口開閉処理を実行する。ここで、大入賞口開閉処理について、図12のフローチャートを参照しながら説明する。
(大入賞口開閉処理)
大入賞口開閉処理においては先ず、ステップS401にて下側大入賞口331及び上側大入賞口381の何れかが開放中であるか否かを判定する。具体的には、可変入球ユニット65における可変入球駆動部333,383の駆動状態に基づいてかかる判定を行う。大入賞口331,381が開放中でない場合には、ステップS402にて開放数カウンタOCの値が「0」か否かを判定する。ステップS402にて肯定判定をした場合には、そのまま本大入賞口開閉処理を終了する。
ステップS402にて否定判定をした場合にはステップS403に進む。ステップS403では開放数カウンタOCの値が偶数であるか否かを判定する。ステップS403にて肯定判定をした場合には、ステップS404に進み第1開放タイマカウンタTC1の値が「0」か否かを判定する。第1開放タイマカウンタTC1は、上側大入賞口381の開放期間又はインターバル期間を把握する際に参照されるカウンタであり、タイマ割込み処理(図9)が実行される度にその値が「1」づつ減算される。ステップS404にて否定判定をした場合には、本大入賞口開閉処理を終了する。
開放数カウンタOCの値が偶数(奇数ラウンド)であり且つ第1開放タイマカウンタTC1の値が「0」である場合には、ステップS405に進み、可変入球ユニット65における上側大入賞口381の開放処理を実行する。具体的には、上側大入賞口381を開放すべく上側可変入球駆動部383を駆動状態とする。その後、可変入球ユニット65(上側大入賞口381)対応の閉鎖条件の設定処理(開放時用設定処理)として、先ずステップS406にて第1開放タイマカウンタTC1に「15000」(30secに相当)をセットし、続くステップS410にて入賞カウンタPCに「10」をセットする。
ステップS403の説明に戻り、当該ステップS403にて否定判定をした場合、すなわち開放数カウンタOCの値が奇数であると判定した場合には、ステップS407に進む。ステップS407では第2開放タイマカウンタTC2の値が「0」か否かを判定する。第2開放タイマカウンタTC2は、下側大入賞口331の開放期間又はインターバル期間を把握する際に参照されるカウンタであり、タイマ割込み処理(図9)が実行される度にその値が「1」づつ減算される。ステップS407にて否定判定をした場合には、本大入賞口開閉処理を終了する。
開放数カウンタOCの値が奇数(偶数ラウンド)であり且つ第2開放タイマカウンタTC2の値が「0」である場合には、ステップS408に進み、可変入球ユニット65における下側大入賞口331の開放処理を実行する。具体的には、下側大入賞口331を開放すべく下側可変入球駆動部333を駆動状態とする。その後、可変入球ユニット65(下側大入賞口331)対応の閉鎖条件の設定処理(開放時用設定処理)として、先ずステップS409にて第2開放タイマカウンタTC2に「15000」(30secに相当)をセットし、続くステップS410にて入賞カウンタPCに「10」をセットする。
つまり、本実施の形態における可変入球ユニット65においては、奇数ラウンド(第1ラウンド,第3ラウンド,第5ラウンド,・・・,第13ラウンド,第15ラウンド)においては上側可変入球装置380が開放され、偶数ラウンド(第2ラウンド,第4ラウンド,第6ラウンド,・・・,第14ラウンド,第16ラウンド)においては下側可変入球装置330が開放されるように構成されており、開閉実行モードが終了するまで、上側可変入球装置380及び下側可変入球装置330が交互に開放される。
その後、ステップS411にて開放コマンドを設定し、本大入賞口開閉処理を終了する。この設定された開放コマンドは、通常処理(図10)におけるステップS201にて、報知・演出制御装置610に送信される。報知・演出制御装置610では、受信した開放コマンドに基づいて、開放に対応した演出の内容を決定し、その決定した演出の内容が実行されるように各種機器を制御する。
ステップS401の説明に戻り、当該ステップS401にて上側大入賞口381及び下側大入賞口331の何れかが開放中であると判定した場合にはステップS412に進み、第1開放タイマカウンタTC1及び第2開放タイマカウンタTC2のうち開放中の大入賞口に対応するもの(以下、説明の便宜上「開放タイマカウンタTC」と称する)の値が「0」か否かを判定する。開放タイマカウンタTCの値が「0」でない場合にはステップS413に進み、上側大入賞口381及び下側大入賞口331のうち開放対象となっているものに遊技球が入賞したか否かを可変入球ユニット65に対応した検知センサ335,385からの検知信号に基づいて判定する。入賞が発生していない場合には、そのまま本大入賞口開閉処理を終了する。
一方、入賞が発生している場合には、ステップS414にて入賞コマンドの出力処理を実行する。当該入賞コマンドは、報知・演出制御装置610に出力され、当該入賞コマンドによって図柄表示装置75の表示画面75aにて実行される開閉実行モード中の演出が変化する構成となっている。
ステップS414にてコマンドの出力処理を実行した後は、ステップS415に進む。ステップS415では入賞カウンタPCの値を1ディクリメントし、続くステップS416にて入賞カウンタPCの値が「0」か否かを判定し、「0」でない場合にはそのまま本大入賞口開閉処理を終了する。
ステップS416にて肯定判定をした場合、すなわち入賞カウンタPCの値が「0」である場合、又はステップS412にて肯定判定をした場合(すなわち開放タイマカウンタTCの値が「0」であると判定した場合)には、大入賞口閉鎖条件が成立したことを意味する。この場合にはステップS417にて上側大入賞口381及び下側大入賞口331のうち開放対象となっているものを閉鎖すべく上側可変入球駆動部383及び下側可変入球駆動部333のうち対応するもの(駆動状態となっているもの)を非駆動状態とする。
続くステップS418では開放数カウンタOCの更新処理を実行する。具体的には、開放数カウンタOCの値が「0」でない場合には同開放数カウンタOCを1ディクリメントするとともに開放数カウンタOCの値が「0」である場合には同開放数カウンタOCの値を「0」のまま維持する。その後、ステップS419にて開放数カウンタOCの値が「0」か否かを判定する。開放数カウンタOCの値が「0」でない場合には、ステップS420に進む。ステップS420では更新された開放数カウンタOCの値が偶数であるか否かを判定する。
ステップS420にて開放数カウンタOCの値が偶数であると判定した場合、すなわち次に実行されるラウンドが奇数ラウンドであると判定した場合には、第1開放タイマカウンタTC1に「150」(0.3secに相当)をセットする。
一方、ステップS420にて開放数カウンタOCの値が奇数であると判定した場合、すなわち次に実行されるラウンドが偶数ラウンドであると判定した場合には、第2開放タイマカウンタTC2に「150」(0.3secに相当)をセットする。
ステップS421又はステップS422の処理を実行した後は、ステップS423にて閉鎖コマンドを設定し、本大入賞口開閉処理を終了する。この設定された閉鎖コマンドは、通常処理(図10)におけるステップS201にて、報知・演出制御装置610に送信される。報知・演出制御装置610では、受信した閉鎖コマンドに基づいて当該閉鎖コマンドに対応した演出の内容を決定し、その決定した演出の内容が実行されるように各種機器を制御する。
ステップS419の説明に戻り、当該ステップS419にて、開放数カウンタOCの値が「0」であると判定した場合には、ステップS424に進む。ステップS424では、エンディングの開始処理を実行する。当該開始処理では、開閉実行モードのエンディング用に次の遊技回を開始することなく待機するためのエンディング用待機時間を設定する。具体的には、RAM604の各種カウンタエリアに設けられた待機時間用カウンタエリアに、ROM603に予め記憶されているエンディング用の待機時間情報をセットする。
その後、ステップS425にて、エンディングコマンドを設定した後に、本大入賞口開閉処理を終了する。この設定されたエンディングコマンドは、通常処理(図10)におけるステップS201にて、報知・演出制御装置610に送信される。
本実施の形態におけるエンディングコマンドについては、上記オープニングコマンドと同様に、開閉実行モードへの移行時の状況等に応じて第1種エンディングコマンド/第2種エンディングコマンドが設定されており、開閉実行モード後に移行する背景画像等がこれら各種コマンドに応じて確定表示される構成となっている。
具体的には、今回の開閉実行モードが16R確変大当たり結果に対応している場合には、第1種エンディングコマンドを設定する。この第1種エンディングコマンドに基づいて、図柄表示装置75の表示画面75aにおいては滞在ステージの移行処理を終了する。詳しくは、継続ステージへの移行処理を完了する。一方、今回の開閉実行モードが16R通常大当たり結果に対応したものである場合には、第2種エンディングコマンドを設定する。この第2種エンディングコマンドに基づいて、図柄表示装置75の表示画面75aにおいては滞在ステージの移行処理を終了する。具体的には100回の高頻度サポートモードが確定するチャンスステージへの移行処理を完了する。
遊技状態移行処理(図11)の説明に戻り、ステップS314にて大入賞口開閉処理を実行した後に、ステップS315にて開放数カウンタOCの値が「0」か否かを判定するとともに、ステップS316にてエンディング用の待機時間が経過したか否かを判定する。開放数カウンタOCの値が「0」でない場合又はエンディング用の待機時間が経過していない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
一方、開放数カウンタOCの値が「0」であり、且つエンディング用の待機時間が経過している場合には、ステップS317にて、開閉実行モード終了時の移行処理を実行した後、本遊技状態移行処理を終了する。
既に説明したように本実施の形態においては、16R確変大当たり結果となっている場合には、開閉実行モード終了後は高確率モード且つ高頻度サポートモード対応の遊技状態に移行し、16R通常大当たり結果となっている場合には、開閉実行モード終了後は低確率モード且つ低頻度サポートモード対応の遊技状態に移行する。
(開閉実行モードにおける遊技の流れ)
ここで、図13及び図14を参照して、開閉実行モード中の遊技の流れ(可変入球ユニット65の動作態様及びそれに伴う入球態様の変化)について説明する。図13は開閉実行モード中の可変入球ユニット65の動作態様を示すタイミングチャート、図14は開閉実行モード中の入球の流れを示す概略図である。なお、既に説明したように開閉実行モード中は複数回(全16回)に亘って可変入球ユニット65が許容状態に切り替ることとなるが、一連の遊技の流れについては同様のパターンを繰り返すように規定されているため、その一部について例示する。
大当たりに当選して開閉実行モードに移行すると、表示画面75aにてオープニング表示が行われた後に上記ロック装置がロック状態からアンロック状態に切り替る。これにより、当該ロック装置による可変入球装置330,380の切替規制が解除される。第1ラウンドでは、図14(a)→図14(b)に示すように、両可変入球装置330,380のうち上側可変入球装置380が阻止状態から許容状態に切り替る。具体的には、上側可変入球駆動部383に駆動信号が出力され、上側シャッタ382が退避位置から突出位置へ変位する。
上側シャッタ382が突出位置に配置されることにより、球通路310の上流側通路311が寸断される。可変入球ユニット65に到達した遊技球は、遊技盤60の前面に沿うようにして落下し、上側シャッタ382に当たることで流下方向が遊技盤60の厚さ方向(後方)に変化し、上側シャッタ382に沿って上側大入賞口381に流入する。
可変入球ユニット65は2つの可変入球装置330,380を併有しているが、これら可変入球装置330,380のうち上流側の一方(上側可変入球装置380)を第1ラウンドにおける開放対象とすることにより、発射された遊技球が可変入球ユニット65に入球するまでの期間を僅かながら短くすることが可能となっている。このように、第1ラウンドにおける開放対象を下側可変入球装置330ではなく上側可変入球装置380とすることにより、開閉実行モード開始時の遊技進行の迅速化に貢献している。
図13に示すように、t1のタイミングにて上側大入賞口381への入球数(入賞数)が9個となり、t2のタイミングにて上側大入賞口381への入球数が所定数(10個)に到達すると、それを契機として上側可変入球駆動部383への駆動信号の出力が停止される。これにより、上側シャッタ382が突出位置から退避位置に復帰し、上側可変入球装置380が許容状態から阻止状態に復帰する(図14(b)→図14(a)参照)。
t2のタイミングから所定のインターバル期間(0.3sec)が経過したt3のタイミングでは第2ラウンドが開始される。具体的には、下側可変入球装置330の下側可変入球駆動部333に駆動信号が出力されて下側シャッタ332が突出位置から退避位置へ変位し、両可変入球装置330,380のうち下側可変入球装置330が阻止状態から許容状態に切り替る(図14(a)→図14(c)参照)。
下側シャッタ332が退避位置に配置されることにより、球通路310の下流側通路312が寸断される。可変入球ユニット65に到達し上側可変入球装置380を素通りした遊技球は、遊技盤60の前面と平行に(沿うようにして)落下を続け、そのまま流下方向を変えることなく下側大入賞口331に流入する。
ここで、本実施の形態におけるインターバル期間(0.3sec)は遊技球の発射周期(0.6sec)よりも短くなるように設定されている。このため、第1ラウンドの終了契機となった遊技球に続く遊技球が可変入球ユニット65(詳しくは下側可変入球装置330)に到達する前に当該下側可変入球装置330が阻止状態から許容状態に切り替りやすくなっている。
そもそも、図4等に示したように右ルートは左ルートと比べて遊技球の流下経路が限られており、遊技球同士の間隔が小さくなることが抑制されている。これにより、遊技球の追い越しや所謂ブドウの発生を抑え、遊技球が発射された順序で可変入球ユニット65に到達しやすくなっている。このような構成と相まって、第1ラウンド→第2ラウンドの移行時に球零れ(無駄球)が生じることを好適に抑制することが可能となっている。
図13に示すように、t4のタイミングにて第2ラウンドが開始されてから下側可変入球装置330に入球(入賞)した遊技球の数が所定数(10個)に達したt5のタイミングでは、当該t5のタイミングで入球した遊技球を契機として下側可変入球駆動部333への駆動信号の出力が停止される。これにより、下側シャッタ332が退避位置から突出位置に復帰し、下側可変入球装置330が許容状態から阻止状態に復帰する(図14(c)→図14(a)参照)。
t5のタイミングから所定のインターバル期間(0.3sec)が経過したt6のタイミングでは第3ラウンドが開始される。具体的には、上側可変入球装置380の上側可変入球駆動部383に駆動信号が出力されて上側シャッタ382が退避位置から突出位置へ変位し、両可変入球装置330,380のうち上側可変入球装置380が阻止状態から許容状態に切り替る(図14(a)→図14(b)参照)。
既に説明したように、本実施の形態におけるインターバル期間(0.3sec)は遊技球の発射周期(0.6sec)よりも短くなるように設定されている。このため、第2ラウンドの終了契機となった遊技球に続く遊技球が可変入球ユニット65(詳しくは上側可変入球装置380)に到達する前に当該上側可変入球装置380が阻止状態から許容状態に切り替りやすくなっている。
また、上側可変入球装置380と下側可変入球装置330との間隔は、当該上側可変入球装置380を素通りした遊技球が下側可変入球装置330(下側シャッタ332)に到達するのに要する期間が上記発射周期及びインターバル期間よりも短くなるように設定されている。故に、開放対象が下側可変入球装置330から上側可変入球装置380に移る場合、詳しくは下側可変入球装置330が阻止状態に切り替ったタイミングにて両可変入球装置330,380の間に遊技球が存在しにくくなっている。このような構成と相まって、第2ラウンド→第3ラウンドへの移行時に球零れ(無駄球)が生じることを好適に抑制することが可能となっている。
以降は、第3ラウンド→第4ラウンド→第5ラウンド・・・のラウンド進行に応じて開放対象が交互に変更され、第16ラウンドの終了に伴って開閉実行モード(「特別遊技状態」に相当)から通常の遊技状態へ復帰する。開閉実行モードの終了を契機として上記ロック装置がロック状態に復帰し、各可変入球装置330,380の許容状態への切り替えが不可となる。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果が期待できる。
開閉実行モードにおいては、普段は入球が不可となっている可変入球ユニット65への入球が許容されることとなり、遊技者の注目が可変入球ユニット65(例えば、上手く入球するか否か等)に向きやすくなる。このため、可変入球ユニット65以外の演出用装置(例えば図柄表示装置75等)を用いて開閉実行モードに対応した表示演出等を行ったとしても、必ずしも当該表示演出による遊技への注目度向上効果が十分に発揮されるとは限らない。
この点、本実施の形態によれば、開閉実行モードに移行することにより、複数の可変入球装置330,380のうち許容状態となる対象が所定の順序で切り替ることとなる。そして、各可変入球装置330,380については許容状態/阻止状態に切り替る際の動作態様が異なるように構成されている。開閉実行モードに移行した後に遊技者の注目が可変入球装置330,380に向いた場合であっても、可変入球ユニット65の動きが多様化されることにより、開閉実行モードにおける遊技が陳腐であるかの様な印象を遊技者に与えることを抑制することができる。これにより、開閉実行モードにおける遊技を好適に進めることが可能となる。
特に、本実施の形態では、上側可変入球装置380は、上側シャッタ382が突出位置に配置されることで許容状態となり、上側シャッタ382が退避位置に配置されることで阻止状態となるように構成されており、下側可変入球装置330は、下側シャッタ332が退避位置に配置されることで許容状態となり、下側シャッタ332が突出位置に配置されることで許容状態となるように構成されている。
このように、許容状態/阻止状態の切り替えを行う際の各可変入球装置330,380(シャッタ332,382)の動きが全く逆の関係になっている。これにより、遊技球の動き、すなわち入球態様についても変化する。遊技者の注目は可変入球装置330,380と当該可変入球装置330,380へ向けた遊技球の動きとに向きやすい点に配慮した場合、動作態様の差違によって遊技球の入球態様に差違を発生させることにより、上述した効果を一層好適に発揮させることができる。
開閉実行モードとなった場合には、右ルートを狙って遊技球を発射すれば必然的に上側可変入球装置380及び下側可変入球装置330の何れにも遊技球が入球することとなる。これにより、発射強度(速度)の調整等が必要となることを回避して、遊技が過度に複雑になることを回避できる。つまり、上述した注目度向上の実現に起因して遊技者の負担が増加することを回避し、複数の可変入球装置330,380の併用により注目度の向上を図ったことが遊技意欲の減退を招く要因になることを抑制できる。
また、開閉実行モード中に可変入球装置の許容状態への切り替えを複数回実行する構成(所謂ラウンド遊技を行う構成)においては、可変入球装置が阻止状態となる又はなっていることが次のラウンドへの移行を遊技者に示す指標となり得る。確かに、図柄表示装置75等を用いてラウンド遊技の進行状況を遊技者に示すことも可能ではあるが、開閉実行モードでは可変入球装置の状態が利益享受に直接関わることであるため、図柄表示装置75ではなく可変入球装置が遊技者の注目の対象になりやすい。
ここで、例えばラウンド毎のインターバル期間を短くすることにより開閉実行モードの迅速な進行を実現することができる。これは、開閉実行モードの間延びを抑えて、当該開閉実行モードをスピード感のあるものにする上で有利である。しかしながら、上述したようにインターバル期間自体にラウンド移行を示すという意義が存在する。故に、1の可変入球装置にてインターバル期間を単に短くするには限度がある。この点、本実施の形態に示すように、2つの可変入球装置330,380を交互に許容状態に切り替える構成とすれば、インターバル期間を減縮したとしても、遊技球の受入対象自体が変わることにより、上述した不都合の発生を好適に抑制できる。これにより、遊技進行の迅速化に好適に寄与することができる。
上述したように、複数の可変入球装置を順次許容状態に切り替える構成においては、目視での確認が難しくならないように遊技者の注目すべき部位(可変入球装置)をできるだけ近づけて配置することが好ましい。そこで、本実施の形態に示したように、大入賞口331,381の延びる方向と可変入球装置330,380の並設方向とが交差(例えば直交)する構成とすれば、このような不都合の発生を好適に抑制することができる。
特に、上述したように下側可変入球装置330への流下経路上に上側可変入球装置380が配置されている構成では、可変入球装置330,380による占有領域が無駄に大きくなることが、当該可変入球ユニット65の配置に係る制約を強くする要因になるため好ましくない。この点、本実施の形態に示す構成によれば、可変入球ユニット65の大型化を抑えて、上述した配置に係る制約を好適に抑制することができる。
可変入球装置を有する遊技機においては、当該可変入球装置へ流入した遊技球を回収する回収通路を確保する必要がある。ここで、本実施の形態に示すように、下側大入賞口331の向きと上側大入賞口381の向きとを相違させる構成とすれば、各可変入球装置330,380に属する案内通路334,384の配置領域を好適に確保することができる。つまり、上側大入賞口381に付属の上側案内通路384は遊技盤60の厚さ方向に延びているため、上側大入賞口381に流入した遊技球を遊技盤60の背面側へそのまま移動させることができ、下側大入賞口331に付属の下側案内通路334は縦に延びているため、下側大入賞口331に流入した遊技球を遊技盤60の前面と平行に移動させた後に遊技盤60の背面側へ遊技球を移動させることができる。これにより、複数の可変入球装置330,380を並設する場合であっても、それら各可変入球装置330,380に付随する案内通路334,384を好適に配設することができる。
特に、上側案内通路384を奥側に延びる構成とし、下側案内通路334を下側に延びる構成とすることにより上側可変入球装置380と下側可変入球装置330とをできるだけ近づけて配置することが可能となる。
上下に並設された下側可変入球装置及び上側可変入球装置を備えている構成では、許容状態となっている対象が上側可変入球装置から下側可変入球装置へと移る場合に、そのタイムラグの存在によって遊技球の零れ(何れの可変入球装置にも入球しない無駄球)が発生し得る。このような無駄球の発生は遊技者にとっては好ましくない。そこで、この種の遊技機においては、無駄球の発生を抑えるべく所謂止め打ち等の変則打ちが実行され得る。このような行為は、遊技進行を無駄に遅延させる要因になるため好ましくない。
このような事情に配慮した場合には、例えば両可変入球装置の間隔(距離)をできるだけ大きくすることにより、許容状態となっている対象が上側可変入球装置から下側可変入球装置へと移る場合に無駄球が発生することを抑制し、上述した変則打ちが行われることを抑制できる(遊技進行の迅速化の妨げになることを抑制できる)。
一方、許容状態となっている対象が下側可変入球装置から上側可変入球装置へと移る場合には、両可変入球装置の間に存在する遊技球が上記無駄球になり得る。故に、このような事情に配慮して無駄球の発生を抑えようとした場合には、両可変入球装置の間隔(距離)をできるだけ小さくすることが好ましい。
つまり、両可変入球装置の距離については許容状態となっている対象が何れに移る場合であっても無駄球の発生を抑えることは相反する構成を同時に実現する必要があり、単に両可変入球装置の位置関係を調整することで上記2つのケースに対応することは事実上困難となる。
この点、本実施の形態に示すように、上側可変入球装置380を素通りした遊技球が下側可変入球装置330に到達する際にその流下方向が変化する構成とすれば、下側可変入球装置330に到達した遊技球を減速させることが可能となる。これにより、遊技球が下側可変入球装置330から離脱するのに要する時間を稼ぐことができ、許容状態となっている対象が上側可変入球装置380から下側可変入球装置330へと移る際のタイムラグの影響を好適に抑制し得る。
故に、可変入球装置330,380同士の距離を小さくすることが可能となる。以上の理由から、許容状態となっている対象を切り替える場合に上記タイムラグの影響によって無駄球が発生することを好適に抑制することができる。なお、本実施の形態においては、上述した構成を適用することにより、両可変入球装置330,380の離間距離が、遊技球の直径寸法よりも小さくなるように設定されている。
本実施の形態においては、上側可変入球装置380(上流側通路311)を素通りした遊技球が下側可変入球装置330の下側シャッタ332に向けて落下することとなる。これにより、遊技球が加速した状態で下側シャッタ332を通りすぎることを抑制できる。つまり、遊技球を減速させることにより、下流側通路312(詳しくは下側シャッタ332)の通過に要する期間を減速が生じない場合と比較して長くさせることが可能となっている。つまり、上述した通路の取り回しと下側シャッタ332との位置関係には、遊技球の流れを遅延させる機能を発揮させる上で有利な構成となっている。
下側シャッタ332は可動体であるが故に他の部位と比較して強度を確保することが難しいと想定される。このような実情を逆手にとって、敢えて下側シャッタ332を球受け部として利用すれば、下側シャッタ332の変位や変形(弾性変形)によって遊技球の勢いを弱めることができる。つまり、下側シャッタ332によって緩衝機能を発揮させることができる。これにより、上記遅延効果を好適に発揮させることが可能となる。
下側シャッタ332は、下流側通路312(左ルートにおける球通路310)の一部を構成し、当該下側シャッタ332に沿った遊技球の移動を許容している。係る構成によれば、下側シャッタ332が閉じている状況下にて当該下側シャッタ332に到達した遊技球は、下流側通路312を構成する当該下側シャッタ332に沿って移動することとなる。これにより、下側可変入球装置330を通過するのに要する時間を稼ぐことができる。これにより、上述した遅延効果を一層好適に発揮させることができる。
可変入球ユニット65は、両可変入球装置330、380を素通りした遊技球を所定位置(例えば下側作動入球部62)に向けて案内することができる。このため、可変入球装置330,380に入球しなかった遊技球についても未だ何らかの特典が付与される余地を残すことができる。これにより、当該遊技球への注目度の低下を好適に抑制することができる。
本実施の形態に示したように2つの可変入球装置を併用する構成においては、少なくとも下流側(下側)の可変入球装置330を構成する下側シャッタ332(「可動体」に相当)をスライド式とすることが好ましい。これにより、当該下側シャッタ332の動作領域の確保に起因して両可変入球装置330,380の間隔が無駄に拡がることを抑制できる。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
(1)上記実施の形態では、下側可変入球装置330(「第1可変入球部」に相当)と上側可変入球装置380(「第2可変入球部」に相当)とを1ユニット化することで可変入球ユニット65(「可変入球手段」に相当)を形成したが、これに限定されるものではない。少なくとも下側可変入球装置330及び上側可変入球装置380に相当する構成を有しているのであれば、これらを個別に設けてもよい。つまり、上側可変入球ブロック305と下側可変入球ブロック306とを別体としてもよい。
また、上記実施の形態では、2つの可変入球装置330,380を有する構成について説明したが、可変入球装置の数については複数であればよく、2つに限定されるものではない。例えば、3つ以上の可変入球装置を併用する場合には、これら3つの可変入球装置の1つが許容状態となっている場合に他の可変入球装置が阻止状態となるように開放対象を制限すればよい。
(2)上記実施の形態では、遊技領域PEに設けられた可変表示ユニット67を左側から迂回する左ルートと右側から迂回する右ルートとを設け、これら両ルートのうち右ルーとに2つの可変入球装置330,380を配設したが、2つの可変入球装置330,380を左ルートに配設することも可能である。
また、両可変入球装置330,380の一方を左ルートに配設し、他方を右ルートに配設してもよい。
(3)上記実施の形態では、下側可変入球装置330の下側シャッタ332(「第1可動体」に相当)については阻止状態では遊技領域PEに突出する突出位置に配置され、許容状態では遊技領域PEへの突出が抑えられた退避位置に配置される構成とし、上側可変入球装置380の上側シャッタ382(「第2可動体」に相当)については阻止状態では遊技領域PEへの突出が抑えられた退避位置に配置され、許容状態では遊技領域PEへ突出する突出位置に配置される構成としたが、両可変入球装置330,380の動作態様(各可変入球装置330,380における入球態様)が相違していれば足り、その具体的態様については上述した逆の関係にする必要は必ずしもない。
下側可変入球装置330を回動式とし、上側可変入球装置380をスライド式としていることに鑑みれば、両可変入球装置330,380の動作態様は相違している。故に、阻止状態及び許容状態を切り替える際の両シャッタ332,382の位置や姿勢の違い等は任意である。
(4)上記実施の形態では、下側可変入球装置330及び上側可変入球装置380の一方が許容状態から阻止状態に切り替わった後に他方が阻止状態から許容状態に切り替るまでに一定のインターバル期間が生じる構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、当該インターバル期間を有さない構成としてもよい。
また、両可変入球装置330,380がともに許容状態となる期間の重複を否定するものではない。少なくとも可動式のシャッタ332,382を用いて阻止状態/許容状態の切り替えを行う場合には、状態切替が完了するまでにある程度の動作期間を確保する必要がある。例えば、ラウンド遊技の終了条件が成立し次のラウンド遊技に移行する場合には、終了条件の成立に合わせて、両シャッタ332,382の動作を同時に開始させる構成とすることも可能である。このような構成では、退避位置から突出位置への動きが突出位置から退避位置への動きよりも早くなることで、僅かではあるが両可変入球装置330,380が許容状態となる重複期間が発生することになるが、このような構成を否定するものではない。
因みに、上記実施の形態においては、上側可変入球装置380→下側可変入球装置330に到るのに要する期間が遊技球の発射周期よりも短くなるように、両可変入球装置330,380を配置した。これにより、開放対象が下側可変入球装置330から上側可変入球装置380に移行する際に遊技球の発射を継続した場合であっても実質的な無駄球の発生を抑制する構成としたが、必ずしもこのような距離を担保する必要はなく、両可変入球装置330,380の距離関係については任意に変更してよい。
(5)上記実施の形態では、上側可変入球装置380の直下に下側可変入球装置330を配設し、上側可変入球装置380を素通りした(上流側通路311を通過した)遊技球が下側可変入球装置330の下側シャッタ332に向けて落下する構成としたが、上流側通路311の延長上に下側シャッタ332を配設する必要はない。上流側通路311から下流側通路312に移る過程で遊技球の流下方向が変化することにより、下側可変入球装置330(下側可変入球ブロック306)に到達した遊技球を減速させることができるのであれば、すなわち下側可変入球装置330からの遊技球の離脱を遅延させることができるのであれば、上側可変入球装置380と下側可変入球装置330(詳しくは下側シャッタ332)の位置関係については上記のものに限定されない。例えば、下側シャッタ332を下流側通路312の通路方向における下流側にずらして配置することも可能である。
なお、遊技球の下側シャッタ332等への衝突によって当該遊技球が減勢される構成においては、衝突箇所にクッション等の緩衝部材を配設することにより実用上好ましい構成が実現される。
(6)上記実施の形態では、下側可変入球装置330及び上側可変入球装置380の何れにも入球しなかった遊技球を、下側可変入球装置330(下流側通路312)を経て遊技領域PEの中央側、詳しくは下側作動入球部62に向けて案内される構成とすることにより、可変入球ユニット65を素通りした遊技球であってもその後に何らかの特典が付与される余地を残す構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、可変入球ユニット65を素通りした遊技球が、下側可変入球装置330(下流側通路312)を経て他の入球部(例えば一般入賞口61)等に案内される構成とすることも可能である。また、遊技領域PEの中央下部にアウト口68が形成されている場合には、可変入球ユニット65を素通りした遊技球が、下側可変入球装置330(下流側通路312)を経て当該アウト口68に案内される構成とすることも可能である。
(7)上記実施の形態では、可変入球装置330,380の大入賞口331,381(「第1開口」及び「第2開口」に相当)を横長に形成して、それら可変入球装置330,380を縦に並べて配置する構成とすることにより、可変入球装置330,380に係る占有領域の拡がりを抑える構成とした。しかしながら、可変入球装置330,380の位置関係については任意に変更することも可能である。例えば、各大入賞口が縦長に形成されている場合には、可変入球装置を横に並べて配置する構成としてもよい。
(8)上記実施の形態では、上側可変入球装置380の上側シャッタ382を回動式とし、下側可変入球装置330の下側シャッタ332をスライド式としたが、この動作態様を逆に設定することも可能である。すなわち、図15(a)の概略図に示すように、上側可変入球装置380Xの上側シャッタ382Xをスライド式とし、下側可変入球装置330Xの下側シャッタ332Xを回動式とすることも可能である。この場合、下側シャッタ332Xの一端部(詳しくは上端部)をカバー302Xによって軸支する構成とすれば、下側シャッタ332Xの動作領域の確保によって両可変入球装置330X,380Xの間隔が拡がることを好適に抑制できる。
(9)上記実施の形態では、上側可変入球装置380の上側大入賞口381(「第2開口」に相当)が遊技機前方を向き、下側可変入球装置330の下側大入賞口331(「第1開口」に相当)が遊技機上方を向く構成としたが、これに限定されるものではない。図15(b)の概略図に示すように、上側可変入球装置380Yの上側大入賞口381Yが上方を向き、下側可変入球装置330Yの下側大入賞口331Yが遊技機前方を向く構成とすることも可能である。
但し、このような変更を行った場合には、上側可変入球装置380Yを素通りした遊技球は、上側シャッタ382Yに沿って流下する。そこで、遊技球が上側可変入球装置380Yを経て流下する先に、下側可変入球装置330Yを配設するとよい。
(10)上記実施の形態では、開閉実行モードに移行した場合に、上側可変入球装置380→下側可変入球装置330→上側可変入球装置380・・・の順に交互に開放対象を切り替える構成としたが、最初に開放される対象を下側可変入球装置330とし、当該下側可変入球装置330→上側可変入球装置380→下側可変入球装置380・・・の順に交互に開放対象を切り替える構成とすることも可能である。
(11)上記実施の形態では、上側可変入球装置380が阻止状態から許容状態に移行する際に要する移行期間と、下側可変入球装置330が阻止状態から許容状態に移行する際に要する移行期間とが同一となるように設定したが、これら移行期間を相違させることも可能である。また、上側可変入球装置380が許容状態から阻止状態に移行する際に要する移行期間と、下側可変入球装置330が許容状態から阻止状態に移行する際に要する移行期間とが同一となるように設定したが、これら移行期間を相違させることも可能である。つまり、移行期間を差別化することにより両可変入球装置330,380の動作態様に差違を設定することも可能である。
また、可変入球装置330,380が所定数の入球発生又は所定期間の経過で許容状態から阻止状態に切り替るようにラウンド遊技の終了条件を共通化したが、同終了条件を各可変入球装置330,380毎に個別に設定することも可能である。
(12)上記実施の形態では、何れの大当たり結果となった場合であっても開閉実行モードの態様を共通化したが、これに限定されるものではなく、大当たり結果によって開閉実行モードの態様(開閉態様)を相違させてもよい。遊技機前方からの視認性については、上側可変入球装置380(上側シャッタ382)よりも下側可変入球装置330(下側シャッタ332)の方が低くなる。そこで、出球が全く又はほとんど期待のできない当たり結果(所謂突然確変、潜伏確変、小当たり)となった場合には、開閉対象を下側可変入球装置330に限定してもよい。
(13)上記実施の形態においては、上側大入賞口381の横幅と下側大入賞口331の横幅とを同等としたが、これに限定されるものではない。例えば、上側大入賞口381の横幅を下側大入賞口331の横幅よりも大きくしてもよい。この場合、上側大入賞口381の左右両端の間に下側大入賞口381を配設することも可能である。
(14)上記可変入球ユニット65に形成さた一般入賞口61をアウト口に変更することも可能である。
(15)上記上側可変入球装置380の上側案内通路384を下流側通路312と逆側に傾斜させて、その下流側の端部に上記検知センサ385を配設してもよい。この場合、更に下側案内通路334を下流側通路312と同じ側に傾斜させて、その下流側の端部に上記検知センサ335を配設することにより、可変入球ユニット65にて両検知センサ335,385を好適に共存させることができる。
(16)上記実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
<上記実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施の形態から抽出される特徴的な構成について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
以下の特徴群は、「パチンコ機等の遊技機には、遊技領域が形成された遊技盤を備えているものがある。遊技者の発射操作に基づいて発射された遊技球が遊技領域に設けられた作動口等に入賞することにより、通常の遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態への移行を行うか否かの当否抽選や遊技球の払出し等の特典が遊技者に付与される(例えば特許文献1参照)。特別遊技状態では、例えば可変式の入球部が複数回に亘って閉状態と開状態とに切り替えられる。入球部が開状態となっている場合に当該入球部に到達した遊技球については同入球部への入球が許容され、入球部が開状態となっている場合に当該入球部に到達した遊技球については同入球部への入球が妨げられることとなる。」という背景技術について、「上述した可変式の入球部を有するタイプの遊技機においては、特別遊技状態における遊技を進行する上で当該入球部に係る構成について未だ改善の余地がある。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
特徴1.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技盤60)と、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な受入状態及び当該受入状態よりも入球が困難な非受入状態に切り替え可能な可変入球手段(可変入球ユニット65)と、
予め定められた条件が成立したことに基づいて、遊技状態を特別遊技状態に移行させる遊技状態移行手段(主制御装置162のMPU602にて遊技状態移行処理を実行する機能)と、
前記特別遊技状態に移行した場合に、前記可変入球手段を前記受入状態及び前記非受入状態に切り替える切替制御手段(主制御装置162のMPU602にて大入賞口開閉処理を実行する機能)と
を備え、
前記可変入球手段は、遊技球が通過可能な開口(大入賞口331,381)と当該開口へ遊技球が入球可能な受入状態及び同受入状態よりも遊技球の入球が困難な非受入状態に切り替え可能な可動部材(シャッタ332,382)とを有する可変入球部(可変入球装置330,380)を複数有し、
前記切替制御手段は、前記特別遊技状態となっている場合に、前記複数の可変入球部を対象にして所定の順序で前記非受入状態及び前記受入状態の切り替えを行う手段を有し、
前記複数の可変入球部は、前記遊技領域にて遊技球が流下する所定の流下経路上にそれら複数の入球部が配設されてなり、前記非受入状態及び前記受入状態の切り替わる場合の動作態様が異なるように構成されていることを特徴とする遊技機。
特別遊技状態においては、普段は入球が不可又は困難となっている可変入球手段への入球が許容されることとなり、遊技者の注目が可変入球手段(例えば、上手く入球するか否か等)に向きやすくなる。このため、可変入球手段以外の演出用装置(例えば絵柄表示手段等)を用いて特別遊技状態に対応した表示演出等を行ったとしても、必ずしも表示演出による遊技への注目度向上効果が十分に発揮されるとは限らない。
この点、本特徴によれば、特別遊技状態に移行することにより、複数の入球部のうち受入状態となる対象が所定の順序で切り替ることとなる。そして、各入球部については受入状態/非受入状態に切り替る際の動作態様が異なるように構成されている。特別遊技状態に移行した後に遊技者の注目が可変入球手段に向いた場合であっても、可変入球手段の動きが多様化されることにより、特別遊技状態における遊技が陳腐であるかの様な印象を遊技者に与えることを抑制することができる。これにより、特別遊技状態における遊技を好適に進めることが可能となる。
特徴2.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技盤60)と、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な受入状態及び当該受入状態よりも入球が困難な非受入状態に切り替え可能な可変入球手段(可変入球ユニット65)と、
予め定められた条件が成立したことに基づいて、遊技状態を特別遊技状態に移行させる遊技状態移行手段(主制御装置162のMPU602にて遊技状態移行処理を実行する機能)と、
前記特別遊技状態に移行した場合に、前記可変入球手段を前記受入状態及び前記非受入状態に切り替える切替制御手段(主制御装置162のMPU602にて大入賞口開閉処理を実行する機能)と
を備え、
前記可変入球手段は、
遊技球が流入可能な第1開口(例えば下側大入賞口331)と当該第1開口へ遊技球が入球可能な受入状態及び同受入状態よりも遊技球の入球が困難な非受入状態に切り替え可能な第1可動体(例えば下側シャッタ332)とを有する第1可変入球部(例えば下側可変入球装置330)と、
遊技球が流入可能な第2開口(例えば上側大入賞口381)と当該第2開口へ遊技球が入球可能な受入状態及び同受入状態よりも遊技球の入球が困難な非受入状態に切り替え可能な第2可動体(例えば上側シャッタ382)とを有する第2可変入球部(例えば上側可変入球装置380)と
を有し、
前記切替制御手段は、前記特別遊技状態となっている場合に、前記第1可変入球部及び前記第2可変入球部を所定の順序で前記非受入状態及び前記受入状態に切り替える手段を有し、
前記第1可変入球部が前記非受入状態及び前記受入状態に切り替わる場合の動作態様と、前記第2可変入球部が前記非受入状態及び前記受入状態に切り替わる場合の動作態様とが相違するように構成されていることを特徴とする遊技機。
特別遊技状態においては、普段は入球が不可又は困難となっている可変入球手段への入球が許容されることとなり、遊技者の注目が可変入球手段(例えば、上手く入球するか否か等)に向きやすくなる。このため、可変入球手段以外の演出用装置(例えば絵柄表示手段等)を用いて特別遊技状態に対応した表示演出等を行ったとしても、必ずしも表示演出による遊技への注目度向上効果が十分に発揮されるとは限らない。
この点、本特徴によれば、特別遊技状態に移行することにより、複数の入球部のうち受入状態となる対象が所定の順序で切り替ることとなる。そして、各入球部については受入状態/非受入状態に切り替る際の動作態様が異なるように構成されている。特別遊技状態に移行した後に遊技者の注目が可変入球手段に向いた場合であっても、可変入球手段の動きが多様化されることにより、特別遊技状態における遊技が陳腐であるかの様な印象を遊技者に与えることを抑制することができる。これにより、特別遊技状態における遊技を好適に進めることが可能となる。
なお、本特徴に示す構成を「遊技領域が形成された遊技盤と、前記遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な受入状態及び当該受入状態よりも入球が困難な非受入状態に切り替え可能な可変入球手段と、予め定められた条件が成立したことに基づいて、遊技状態を特別遊技状態に移行させる遊技状態移行手段と、前記特別遊技状態に移行した場合に、前記可変入球手段を前記受入状態及び前記非受入状態に切り替える切替制御手段とを備え、前記可変入球手段は、遊技球が流入可能な第1開口と当該第1開口へ遊技球が入球可能な受入状態及び同受入状態よりも遊技球の入球が困難な非受入状態に切り替え可能な第1可動体とを有する第1可変入球部と、遊技球が流入可能な第2開口と当該第2開口へ遊技球が入球可能な受入状態及び同受入状態よりも遊技球の入球が困難な非受入状態に切り替え可能な第2可動体とを有する第2可変入球部とを有し、前記切替制御手段は、前記特別遊技状態となっている場合に、前記第1可変入球部及び前記第2可変入球部を所定の順序で前記非受入状態及び前記受入状態に切り替える手段を有し、前記第1可変入球部及び前記第2可変入球部は、前記非受入状態及び前記受入状態に切り替わる場合の動作態様が互いに異なるように構成されていることを特徴とする遊技機。」とすることも可能である。
特徴3.前記第1可動体及び前記第2可動体は、前記遊技領域へ突出する突出位置と当該突出位置よりも前記遊技領域への突出が抑えられた退避位置に変位可能となっており、
前記第1可変入球部は、前記第1可動体が前記突出位置に配置されることで前記非受入状態となり、前記第1可動体が前記退避位置に配置されることで前記受入状態となるように構成されており、
前記第2可変入球部は、前記第2可動体が前記退避位置に配置されることで前記非受入状態となり、前記第2可動体が前記突出位置に配置されることで前記受入状態となるように構成されていることを特徴とする特徴2に記載の遊技機。
特徴3によれば、受入状態/非受入状態の切り替えを行う際の各入球部(可動体)の動きが全く逆の関係になっている。これにより、遊技球の動き、すなわち入球態様についても変化する。遊技者の注目は可変入球手段と当該可変入球手段へ向けた遊技球の動きとに向きやすい点に配慮した場合、動作態様の差違によって遊技球の入球態様に差違を発生させることにより、特徴2に示した効果を一層好適に発揮させることができる。
特徴4.遊技者の発射操作に基づいて前記遊技領域へ遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)を備え、
前記第2可変入球部は前記第1可変入球部へ向けた遊技球の流下経路上に配置されており、
前記切替制御手段は、前記第1可変入球部が非受入状態となっている状況下にて前記第2可変入球部を前記受入状態に切り替え、前記第2可変入球部が前記非受入状態となっている状況下にて前記第1可変入球部を前記受入状態に切り替えるように構成されていることを特徴とする特徴2又は特徴3に記載の遊技機。
特徴4によれば、特別遊技状態となった場合には、第1可変入球部を狙って遊技球を発射すれば必然的に第2可変入球部にも遊技球が入球することとなる。これにより、発射強度(速度)の調整等が必要となることを回避して、遊技が過度に複雑になることを回避できる。つまり、上述した注目度向上の実現に起因して遊技者の負担が増加することを回避し、複数の入球部の併用により注目度の向上を図ったことがかえって遊技意欲の減退を招く要因になることを抑制できる。
また、特別遊技状態中に可変入球部の受入状態への切り替えを複数回実行する構成(所謂ラウンド遊技を行う構成)においては、可変入球部が非受入状態となる又はなっていることが次のラウンドへの移行を遊技者に示す指標となり得る。絵柄表示手段等を用いてラウンド遊技の進行状況を遊技者に示すことも可能ではあるが、特別遊技状態では可変入球部の状態が利益享受に直接関わることであるため、絵柄表示手段ではなく可変入球部が遊技者の注目の対象になりやすい。
ここで、例えばラウンド毎のインターバル期間を短くすることにより特別遊技状態の迅速な進行を実現することができる。これは、特別遊技状態の間延びを抑えて、当該特別遊技状態をスピード感のあるものにする上で有利である。しかしながら、上述したようにインターバル期間自体にラウンド移行を示すという意義が存在する。故に、1の入球部にてインターバル期間を単に短くするには限度がある。この点、本特徴に示すように、2つの可変入球部を交互に受入状態とする構成とすれば、インターバル期間を減縮したとしても、遊技球の受入対象自体が変わることにより、上述した不都合の発生を好適に抑制できる。これにより、遊技進行の迅速化に好適に寄与することができる。
特徴5.前記第1開口及び前記第2開口は、所定の方向に延びるように形成されており、
前記第1可変入球部及び前記第2可変入球部は前記所定の方向と交差する方向に並べて配置されていることを特徴とする特徴4に記載の遊技機。
特徴5に示すように、複数の入球部を順次受入状態に切り替える構成においては、目視での確認が難しくならないように遊技者の注目すべき部位(入球部)をできるだけ近づけて配置することが好ましい。そこで、本特徴に示すように、開口の延びる方向と可変入球部の並設方向とが交差する構成とすれば、このような不都合の発生を好適に抑制することができる。
特に、特徴4に示したように第1可変入球部への流下経路上に第2可変入球部が配置されている構成では、可変入球手段による占有領域が無駄に大きくなることが、当該可変入球手段の配置に係る制約を強くする要因になるため好ましくない。この点、本特徴に示す構成とすれば、可変入球手段の大型化を抑えて、上述した配置に係る制約を好適に抑制することができる。
特徴6.前記第1可変入球部の前記第1開口及び前記第2可変入球部の前記第2開口のうち一方は、前記遊技盤の厚さ方向に開放され、その前方を遊技球が通過可能なっており、
前記第1可変入球部の前記第1開口及び前記第2可変入球部の前記第2開口のうち他方は、前記遊技盤の厚さ方向と交差する方向に開放されていることを特徴とする特徴2乃至特徴5のいずれか1つに記載の遊技機。
可変入球部を有する遊技機においては、当該可変入球部へ流入した遊技球を回収する回収通路を確保する必要がある。ここで、本特徴に示すように、開口の向きを相違させる構成とすれば、各可変入球部に属する回収通路の配置領域を好適に確保することができる。つまり、開口が遊技盤の厚さ方向を向いている構成では、遊技盤の背面側へ遊技球をそのまま移動させることができ、開口が遊技盤の厚さ方向と交差する方向に開放されている構成では遊技球を遊技盤の前面と平行に移動させた後に遊技盤の背面側へ遊技球を移動させることができる。これにより、複数の可変入球部を並設する場合であっても、それら各可変入球部に付随する回収通路を好適に配設することができる。
特徴7.前記第1開口及び前記第2開口は横長状をなしており、
前記第1可変入球部及び前記第2可変入球部は縦に並べて配置されており、
前記第2可変入球部の前記第2開口は、前記遊技盤の厚さ方向に開放され、その前方を遊技球が通過可能なっており、
前記第1可変入球部の前記第1開口は、前記第2可変入球部側に開放され、
前記第1可変入球部の前記第1可動体は、前記非受入状態となることで、前記第1開口を覆うことにより当該第1開口への遊技球の流入を阻止するように構成されていることを特徴とする特徴2乃至特徴6のいずれか1つに記載の遊技機。
上下に並設された第1可変入球部(下側の可変入球部)及び第2可変入球部(上側の可変入球部)を備えている構成では、受入状態となっている対象が第2可変入球部から第1可変入球部へと移る場合に、そのタイムラグの存在によって遊技球の零れ(何れの可変入球部にも入球しない無駄球)が発生し得る。このような無駄球の発生は遊技者にとっては好ましくない。そこで、この種の遊技機においては、所謂止め打ち等の変則打ちが実行され得る。このような行為は、遊技進行を無駄に遅延させる要因になるため好ましくない。
このような事情に配慮した場合には、例えば両可変入球部の間隔(距離)をできるだけ大きくすることにより、受入状態となっている対象が第2可変入球部から第1可変入球部へと移る場合に無駄球が発生することを抑制し、上述した変則打ちが行われることを抑制できる(遊技進行の迅速化の妨げになることを抑制できる)。
一方、受入状態となっている対象が第1可変入球部から第2可変入球部へと移る場合には、両可変入球部の間に存在する遊技球が上記無駄球になり得る。故に、このような事情に配慮して無駄球の発生を抑えようとした場合には、両可変入球部の間隔(距離)をできるだけ小さくすることが好ましい。
つまり、両可変入球部の距離については受入状態となっている対象が何れに移る場合であっても無駄球の発生を抑えることは相反する構成を同時に実現する必要があり、単に両可変入球部の位置関係を調整することで上記2つのケースに対応することは事実上困難となる。
この点、本特徴に示すように、第2可変入球部を素通りした遊技球が第1可変入球部に到達する際にその流下方向が変化する構成とすれば、第1可変入球部に到達した遊技球を減速させることが可能となる。これにより、遊技球が第1可動体から離脱するのに要する時間を稼ぐことができ、受入状態となっている対象が第2可変入球部から第1可変入球部へと移る際のタイムラグの影響を好適に抑制し得る。
故に、可変入球部同士の距離を小さくすることが可能となる。以上の理由から、受入状態となっている対象を切り替える場合に上記タイムラグの影響によって無駄球が発生することを好適に抑制することができる。
特徴8.前記第1可動体には、前記非受入状態となっている場合に前記第2開口の前方を落下した遊技球を受ける球受け部としての機能が付与されていることを特徴とする特徴7に記載の遊技機。
特徴8によれば、第2開口を素通りした遊技球が第1可動体に向けて落下することとなる。これにより、遊技球が加速した状態で第1可動体を通りすぎることを抑制できる。なお、第1可動体は可動体であるが故に他の部位と比較して強度を確保することが難しいと想定される。このような実情を逆手にとって、敢えて第1可動体を球受け部として利用すれば、第1可動体の変位や変形によって遊技球の勢いを弱めることができる。つまり、第1可動体によって緩衝機能を発揮させることができる。これにより、特徴7に示した効果を好適に発揮させることが可能となる。
特徴9.前記1可動体は、前記遊技領域に設けられ遊技球が通過する球通路(左ルートにおける球通路310)の一部を構成し、当該第1可動体に沿った遊技球の移動を許容していることを特徴とする特徴7又は特徴8に記載の遊技機。
特徴9によれば、第1可動体に到達した遊技球は、球通路を構成する当該第1可動体に沿って移動することとなる。これにより、第1可変入球部を通過するのに要する時間を稼ぐことができる。故に、本特徴に示す構成によれば、特徴7に示した効果を一層好適に発揮させることができる。
特徴10.前記球通路は、前記第2可変入球部を素通りして前記第2可変入球部に到達した遊技球を前記遊技領域における所定位置(例えば作動入球部62)へ案内する案内手段としての機能が付与されていることを特徴とする特徴9に記載の遊技機。
特徴10によれば、両可変入球部を素通りした遊技球を再び所定位置(例えば他の入球部)に向けて案内することができるため、可変入球部に入球しなかった遊技球についても未だ何らかの特典が付与される余地を残すことができる。これにより、当該遊技球への注目度の低下を好適に抑制することができる。このような構成を実現する上で、第1可動体自体が通路の一部を構成しているため、それに起因した遊技領域の圧迫を好適に抑制できる。
特徴11.前記第1可動体は、前記第2開口に対して、前記球通路の通路方向における下流側にずらして配置されていることを特徴とする特徴9又は特徴10に記載の遊技機。
特徴11によれば、第2開口前を通過した遊技球が、第1可動体を通過するのに要する時間を稼ぐことができ、上下方向における両可変入球部の離れを抑えて、上述したタイムラグの影響を一層好適に抑制することができる。
特徴12.前記第1可動体は、前記遊技領域に突出して前記第1開口を覆う突出位置と、前記突出が抑えられた退避位置とにスライド移動可能に設けられていることを特徴とする特徴7乃至特徴11のいずれか1つに記載の遊技機。
2つの可変入球部を併用する構成においては、少なくとも下流側(下側)の可変入球部を構成する可動体をスライド式とするとよい。これにより、動作領域の確保に起因して可変入球部の占有領域が無駄に拡がったり、両可変入球部の間隔が無駄に拡がったりすることを抑制できる。
なお、特徴7〜特徴12においては、少なくとも第2可変入球部において球通路の通路方向における上流側の端部にて第1可変入球部と第2可変入球部との離間距離が遊技球の直径寸法よりも小さくなるように構成するとよい。
特徴13.前記第2可変入球部は前記第1可変入球部へ向けた遊技球の流下経路上に配置され、
前記切替制御手段は、前記第1可変入球部が非受入状態となっている状況下にて前記第2可変入球部を前記受入状態に切り替え、前記第2可変入球部が前記非受入状態となっている状況下にて前記第1可変入球部を前記受入状態に切り替えるように構成されており、
前記第2開口は、横長状をなし、上側に開放されており、
前記第2可動体は、前記非受入状態となることで、前記第1開口を覆うことにより当該第1開口への遊技球の流入を阻止し、前記第1可変入球部へ向けた球通路の一部を構成し、当該第1可動体に沿った遊技球の移動を許容するように構成されていることを特徴とする特徴2又は特徴3に記載の遊技機。
特徴13によれば、特別遊技状態となった場合には、第1可変入球部を狙って遊技球を発射すれば必然的に第2可変入球部にも遊技球が入球することとなる。これにより、発射強度(速度)の調整等が必要となることを回避して、遊技が過度に複雑になることを回避できる。
第1可変入球部(下流側の可変入球部)と第2可変入球部(上流側の可変入球部)とを備えている構成では、受入状態となっている対象が第2可変入球部から第1可変入球部へと移る場合に、そのタイムラグの存在によって遊技球の零れ(何れの可変入球部にも入球しない無駄球)が発生し得る。このような事情に配慮した場合には、両可変入球部の間隔(距離)をできるだけ大きくすることが好ましい。
一方、受入状態となっている対象が第1可変入球部から第2可変入球部へと移る場合には、両可変入球部の間に存在する遊技球が上記無駄球になり得る。故に、このような事情に配慮して無駄球の発生を抑えようとした場合には、両可変入球部の間隔(距離)をできるだけ小さくすることが好ましい。
つまり、両可変入球部の距離については大きくしたり小さくしたりすることで、何らかの不都合が生じ得る。そこで、本特徴に示すように、第2可変入球部を通過(素通り)する際にある程度の期間を要する構成とすれば、第2可動体上に留まるようにして時間を稼ぐことができる。これにより、受入状態となっている対象が第2可変入球部から第1可変入球部へと移る際のタイムラグの影響を好適に抑制することができる。故に、可変入球部同士の距離を小さくすることが可能となる。以上の理由から、受入状態となっている対象を切り替える場合に上記タイムラグの影響によって無駄球が発生することを好適に抑制することができる。
特徴14.前記第2開口及び前記第2可動体は横長状をなしており、
前記第1可変入球部は、前記第2可変入球部に対して前記第2可動体の長手方向にずらして配置されていることを特徴とする特徴13に記載の遊技機。
本特徴に示す形状及び位置関係とすることにより、特徴13に示した効果を一層好適に発揮させることができる。
特徴15.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技盤60)と、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な受入状態及び当該受入状態よりも入球が困難な非受入状態に切り替え可能な可変入球手段(可変入球ユニット65)と、
予め定められた条件が成立したことに基づいて、遊技状態を特別遊技状態に移行させる遊技状態移行手段(主制御装置162のMPU602にて遊技状態移行処理を実行する機能)と、
前記特別遊技状態に移行した場合に、前記可変入球手段を前記受入状態及び前記非受入状態に切り替える切替制御手段(主制御装置162のMPU602にて大入賞口開閉処理を実行する機能)と
を備え、
前記可変入球手段は、
遊技球が流入可能な第1開口(例えば下側大入賞口331)と当該第1開口へ遊技球が入球可能な受入状態及び同受入状態よりも遊技球の入球が困難な非受入状態に切り替え可能な第1可動体(例えば下側シャッタ332)とを有する第1可変入球部(例えば下側可変入球装置330)と、
遊技球が流入可能な第2開口(例えば上側大入賞口381)と当該第2開口へ遊技球が入球可能な受入状態及び同受入状態よりも遊技球の入球が困難な非受入状態に切り替え可能な第2可動体(例えば上側シャッタ382)とを有する第2可変入球部(例えば上側可変入球装置380)と
を有し、
前記切替制御手段は、前記特別遊技状態となっている場合に、前記第1可変入球部及び前記第2可変入球部を所定の順序で前記非受入状態及び前記受入状態に切り替える手段を有し、
前記第2開口は前記遊技盤の厚さ方向に開放されており、前記第2可変入球部は、当該第2可変入球部が前記非受入状態となっている場合には前記遊技盤の前面に沿って移動した遊技球が前記第2開口の前方を通過し、当該第2可変入球部が前記受入状態となっている場合には前記遊技盤の前面に沿って移動した遊技球が後側へ方向を変えることにより前記第2開口に流入するように構成されており、
前記第1開口は前記遊技盤から膨出する膨出部に形成され当該遊技盤の厚さ方向と交差する方向を向くように開放されており、前記第1可変入球部は、当該第1可変入球部が前記非受入状態となっている場合には前記遊技盤の前面に沿って移動した遊技球が前記第1可動体に沿うように方向を変えて移動し、当該第1可変入球部が前記受入状態となっている場合には、前記遊技盤の前面に沿って移動した遊技球がそのまま移動することにより前記第1開口に流入するように構成されていることを特徴とする遊技機。
特別遊技状態においては、普段は入球が不可又は困難となっている可変入球手段への入球が許容されることとなり、遊技者の注目が可変入球手段(例えば、上手く入球するか否か等)に向きやすくなる。このため、可変入球手段以外の演出用装置(例えば絵柄表示手段等)を用いて特別遊技状態に対応した表示演出等を行ったとしても、必ずしも表示演出による遊技への注目度向上効果が十分に発揮されるとは限らない。
この点、本特徴によれば、特別遊技状態に移行することにより、複数の入球部のうち受入状態となる対象が所定の順序で切り替ることとなる。そして、各入球部については受入状態/非受入状態に切り替る際の動作態様が異なるように構成されている。特別遊技状態に移行した後に遊技者の注目が可変入球手段に向いた場合であっても、可変入球手段の動きが多様化されることにより、特別遊技状態における遊技が陳腐であるかの様な印象を遊技者に与えることを抑制することができる。これにより、特別遊技状態における遊技を好適に進めることが可能となる。
特に、遊技者の注目は可変入球手段と当該可変入球手段へ向けた遊技球の動きとに向きやすい。この点、本特徴に示す構成によれば、受入状態/非受入状態の切り替えを行う際の各入球部(可動体)の動きがことなることに併せて遊技球の動き、すなわち入球態様についても変化する。これにより、上記注目度向上効果を一層好適に発揮させることができる。
特徴16.前記第1可変入球部は、前記膨出部の上方に配置され、
前記第2開口は、前記膨出部において前記第1可変入球部側を向く上端部に形成されていることを特徴とする特徴15に記載の遊技機。
特徴16に示す構成によれば、特徴15に示した技術的思想を好適に具現化できる。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル41)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域(遊技領域PE)に導く球通路(誘導レール100)と、遊技領域内に配置された各遊技部品(釘69等)とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部(一般入賞口61等)を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。