以下図面を用いて、発明を実施するための最良の形態(以下、これを実施の形態とも呼ぶ)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
(1)実施の形態
(2)他の実施の形態
(1)実施の形態
(1−1)現金自動預払機の外観構成
図1において、1は全体として本発明を適用した現金自動預払機の外観構成を示す。かかる現金自動預払機1は、略箱型の筐体(以下、これを預払機筐体とも呼ぶ)2を有している。
因みに、以下の説明では、現金自動預払機1を、預払機筐体2の前面2Aと対峙して見た場合の図中に矢印a1で示す方向を、左方向とも呼び、当該左方向とは逆の方向を、右方向とも呼ぶ。
また、以下の説明では、現金自動預払機1を、預払機筐体2の前面2Aと対峙して見た場合の図中に矢印b1で示す方向を、上方向とも呼び、当該上方向とは逆の方向を、下方向とも呼ぶ。
さらに、以下の説明では、現金自動預払機1を、預払機筐体2の前面2Aと対峙して見た場合の図中に矢印c1で示す方向を、前方向とも呼び、当該前方向とは逆の方向を、後方向とも呼ぶ。
預払機筐体2の前側上端部には、前面2Aよりも後面2B側に凹むように略L字状に形成されたフロントパネル3が設けられている。
この場合、フロントパネル3において上方向に向くほぼ水平な上向パネル3Aには、例えば、中央部に種々の操作画像の表示及び表面へのタッチ操作が可能なタッチスクリーン4が設けられている。
またフロントパネル3の上向パネル3Aには、例えば、左寄りに、現金としての硬貨を投入し、また取り出すための硬貨投入取出部5が設けられている。
さらにフロントパネル3の上向パネル3Aには、例えば、右寄りに、現金としての長方形の紙幣を投入し、また取り出すための紙幣投入取出部6が設けられている。
一方、フロントパネル3において前方向に向くほぼ垂直な前向パネル3Bには、例えば、左寄りに、取り引きの際に通帳を挿入し、また当該通帳や取引明細書を排出するための通帳挿入排出口7が設けられている。
またフロントパネル3において前向パネル3Bには、例えば、右寄りに、取り引きの際にキャッシュカードやクレジットカード等の種々のカードを挿入及び排出するためのカード挿入排出口8も設けられている。
これに加えて預払機筐体2の前面2Aには、紙幣投入取出部6に誤って硬貨やクリップ等が投入された際、これら硬貨やクリップ等を顧客に返却するためる返却口9が設けられている。
現金自動預払機1は、係る構成のもと、タッチスクリーン4に操作画像を表示すると共に、顧客によるタッチスクリーン4の表面へのタッチ操作に応じて操作画像を適宜切り換えて表示する。
これにより現金自動預払機1は、顧客に操作画面を介して、現金の預け入れのような入金や払い出しのような出金等の所望の取り引きの手順を案内する。
そして現金自動預払機1は、顧客に、その案内に従って通帳挿入排出口7やカード挿入排出口8に通帳やカードを挿入させ、また硬貨投入取出部5や紙幣投入取出部6に入金用の硬貨や紙幣を投入させる。
また現金自動預払機1は、顧客に、その案内に従って通帳挿入排出口7やカード挿入排出口8から排出した通帳や取引明細書、カードを受け取らせ、硬貨投入取出部5や紙幣投入取出部6から出金用の硬貨や紙幣を取り出させる。
このようにして現金自動預払機1は、顧客が所望する現金の入金や出金等の取り引きを行うことができる。
(1−2)現金自動預払機の内部構成
次いで、図2を用いて、現金自動預払機1の内部構成について説明する。因みに、以下には、現金自動預払機1の内部構成として便宜上、紙幣の入金及び出金に関する構成について説明し、硬貨の入金及び出金に関する構成については説明を省略する。
図2に示すように、現金自動預払機1において預払機筐体2の内部には、当該現金自動預払機1全体を統括制御する例えば、マイクロコンピュータ構成の制御部10が設けられている。
また現金自動預払機1において預払機筐体2の内部には、例えば、中央よりも上側に、上述の紙幣投入取出部6及び返却口9を有する異物排出部11が配置されると共に、鑑別部12及び一時保留部13も配置されている。
さらに現金自動預払機1において預払機筐体2の内部には、例えば、中央よりも下側に、紙幣を金種別に収納する(すなわち、それぞれ特定の1種類の紙幣のみを収納する)複数の紙幣収納カセット14乃至16が予め内蔵(すなわち、内部に固定)されている。
さらにまた現金自動預払機1において預払機筐体2の内部には、例えば、中央よりも下側に、取り引きの際に異常であると鑑別された紙幣(以下、これを特にリジェクト紙幣とも呼ぶ)を収納するためのリジェクトカセット17が着脱可能に設けられている。
そして現金自動預払機1において預払機筐体2の内部には、紙幣投入取出部6、鑑別部12、一時保留部13、複数の紙幣収納カセット14乃至16及びリジェクトカセット17との間で紙幣を搬送する搬送路18も配置されている。
因みに、紙幣投入取出部6には、長方形の紙幣が、当該紙幣の長手方向(以下、これを紙幣長手方向とも呼ぶ)を左方向と一致させ、一方の長辺を下に向けて立てような姿勢で収容される。
なお、以下の説明では、紙幣投入取出部6に紙幣を収容する際の、当該紙幣の紙幣長手方向を左方向と一致させ、一方の長辺を下に向けて立てような姿勢を、立収容姿勢とも呼ぶ。
そして現金自動預払機1では、紙幣投入取出部6に紙幣を収納する際の立収容姿勢に応じて、搬送路18により紙幣を、当該紙幣の短手方向(以下、これを紙幣短手方向とも呼ぶ)を搬送方向と一致させるような向きで搬送している。
また現金自動預払機1では、このような紙幣の搬送の向きに応じて、鑑別部12、一時保留部13、複数の紙幣収納カセット14乃至16及びリジェクトカセット17により当該紙幣を、紙幣長手方向を左方向と一致させるような向きで扱っている。
制御部10は、紙幣の入金時、紙幣投入取出部6に顧客により入金用の1又は複数の紙幣が投入されると、当該紙幣投入取出部6から、その入金用の紙幣を図示しない紙幣繰出機構によって1枚ずつ繰り出し搬送路18を介して鑑別部12に搬送して、当該鑑別部12において紙幣の金種や状態等を鑑別させる。
その結果、制御部10は、鑑別部12において正常であると鑑別された紙幣については、当該鑑別部12から搬送路18を介して一時保留部13に搬送して一時的に保持することにより、当該紙幣の入金を保留する。
また制御部10は、鑑別部12において破損や折れ等により異常であると鑑別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣については、当該鑑別部12から搬送路18を介して紙幣投入取出部6まで搬送する。
そして制御部10は、図示しない紙幣取込機構により、そのリジェクト紙幣を紙幣投入取出部6に取り込み、顧客に当該紙幣投入取出部6から取り出させるようにして返却する。
このようにして制御部10は、鑑別部12において、紙幣投入取出部6に投入された紙幣が全て鑑別されると、正常であると鑑別された紙幣の総額(すなわち、入金の金額)を、タッチスクリーン4を介して顧客に提示する。
その結果、制御部10は、入金の金額を確認した顧客によりタッチスクリーン4を介して紙幣の入金が指示されると、一時保留部13から一時的に保持していた紙幣を1枚ずつ繰り出し搬送路18を介して鑑別部12に戻す。
そして制御部10は、鑑別部12において再び紙幣の金種を鑑別させた後、当該鑑別部12から金種が鑑別された紙幣を、搬送路18を介して、その鑑別された金種に応じた紙幣収納カセット14乃至16に搬送して収納する。このようにして制御部10は、顧客の所望する取り引きとしての紙幣の入金を行うことができる。
一方、制御部10は、紙幣の出金時、顧客により出金の金額が指定されると、紙幣収納カセット14乃至16から、その指定された金額分の紙幣を1枚ずつ繰り出し搬送路18を介して鑑別部12に搬送して、当該鑑別部12において紙幣の金種や状態等を鑑別させる。
その結果、制御部10は、鑑別部12において正常であると鑑別された紙幣については、当該鑑別部12から搬送路18を介して紙幣投入取出部6まで搬送し、紙幣取込機構により当該紙幣投入取出部6に取り込む。
ただし、制御部10は、鑑別部12により鑑別された紙幣の中にリジェクト紙幣が存在すると、当該鑑別部12からリジェクト紙幣を、搬送路18を介して一時保留部13に搬送して一時的に保持させる。
そして制御部10は、紙幣投入取出部6に、出金用に指定された金額分の紙幣を搬送し終えると、当該紙幣投入取出部6から顧客に、その出金用に指定された金額分の紙幣を取り出させるようにして引き渡す。このようにして制御部10は、顧客の所望する取り引きとしての紙幣の出金を行うことができる。
ところで、制御部10は、この際、一時保留部13にリジェクト紙幣を保持すると、出金の終了後(すなわち、紙幣を顧客に引き渡した後)、一時保留部13から一時的に保持していたリジェクト紙幣を1枚ずつ繰り出し搬送路18を介して鑑別部12に戻す。
そして制御部10は、鑑別部12において再びリジェクト紙幣の金種や状態等を鑑別させた後、そのリジェクト紙幣を、搬送路18を介してリジェクトカセット17に搬送して収納する。
このようにして制御部10は、紙幣の出金時、紙幣収納カセット14乃至16から繰り出した紙幣の中でリジェクト紙幣を発見すると、そのリジェクト紙幣を分別して専用のリジェクトカセット17に保管し、その後、出金には用いないようにする。
(1−3)異物排出部の構成
次いで、異物排出部11の構成について説明する。図3及び図4に示すように異物排出部11は、例えば、預払機筐体2内部の右上前寄りに配置されている。
そして異物排出部11は、上板の表面20Aが上述の上向パネル3Aの一部となる略箱型の収納部20と、当該収納部20の外部に配置され、一端から他端へ向けて異物を搬送するようにして当該他端に上述の返却口9が形成された異物搬送路21とから構成されている。
因みに、以下の説明では、一端から他端へ向けて異物を搬送する異物搬送路21の当該一端を、搬送路一端とも呼び、他端を、搬送路他端とも呼ぶ。
収納部20は、上板の前端部に、紙幣の入出金用の例えば、長方形状の開口部(以下、これを紙幣入出金口とも呼ぶ)20AXが、当該紙幣入出金口20AXの長手方向を左方向と平行にして形成されている。そして収納部20内には、紙幣入出金口20AXの真下に、上述の紙幣投入取出部6が収納されている。
ここで、紙幣投入取出部6は、入金用及び出金用の紙幣を収容するための、断面形状が長方形の略角パイプ状の紙幣収容部22と、略偏平矩形状のシャッタ23と、当該シャッタ23を駆動するためのモータや複数のギヤ等からなるシャッタ駆動部24とを有している。
図3及び図4と共に図5に示すように、紙幣収容部22は、一端の長方形の開口部22A及び他端の長方形の開口部の大きさが、それぞれ収納部20の紙幣入出金口20AXの大きさとほぼ等しく選定されている。
因みに、以下の説明では、紙幣収容部22において一端の開口部22Aの長手方向(他端の開口部の長手方向でもある)を、開口長手方向とも呼び、当該一端の開口部22Aの短手方向(他端の開口部の短手方向でもある)を、開口短手方向とも呼ぶ。
そして紙幣収容部22は、一端を上に向けると共に他端を下に向けて、開口長手方向を左方向と平行にし、かつ開口短手方向を前方向と平行にして、当該一端の開口部22Aを収納部20の紙幣入出金口20AXと所定の間隙を介して対向させて配置されている。
因みに、以下の説明では、紙幣収容部22において上に向けた一端を、収容部上端とも呼び、当該収容部上端に形成された開口部22Aを、上側開口部22Aとも呼ぶ。
また、以下の説明では、紙幣収容部22において下に向けた他端を、収容部下端とも呼び、当該収容部下端に形成された開口部を、下側開口部とも呼ぶ。
紙幣収容部22は、下側開口部内に、紙幣を上述の立収容姿勢で支持する(すなわち、紙幣収容部22内に紙幣を収容したままにするための)例えば、角柱状の2本の紙幣支持部22B、22Cが、その長手方向を開口短手方向(すなわち、前方向)と平行にし、かつ開口長手方向に添って等間隔で配置されている。
これにより紙幣収容部22は、ほぼ水平な2本の紙幣支持部22B、22Cにより下側開口部が3つの穴22D乃至22Fに区切られている。
一方、シャッタ23は、一面の大きさが収納部20の紙幣入出金口20AXの大きさよりも僅かに大きく選定されている。
そしてシャッタ23は、一面を上に向けた姿勢で、収納部20の上板の前端部と紙幣収容部22の収容部上端との間隙に入り込んで、紙幣入出金口20AX及び上側開口部22Aを共に閉塞する位置と、その位置よりも後側に退避して当該紙幣入出金口20AX及び上側開口部22Aを共に開放する位置とに移動可能に支持されている。
因みに、以下の説明では、シャッタ23が収納部20の上板の前端部と紙幣収容部22の収容部上端との間隙に入り込んで、紙幣入出金口20AX及び上側開口部22Aを共に閉塞する位置を、閉塞位置とも呼ぶ。
また、以下の説明では、シャッタ23が、閉塞位置よりも後側に退避して紙幣入出金口20AX及び上側開口部22Aを共に開放する位置を、開放位置とも呼ぶ。
これにより紙幣投入取出部6は、上述の制御部10によるシャッタ駆動部24の制御に応じて、当該シャッタ駆動部24によりシャッタ23を後方向の開放位置まで移動させて収納部20の紙幣入出金口20AX及び紙幣収容部22の上側開口部22Aを共に開放することができる。
また紙幣投入取出部6は、制御部10によるシャッタ駆動部24の制御に応じて、当該シャッタ駆動部24によりシャッタ23を前方向の閉塞位置まで移動させて収納部20の紙幣入出金口20AX及び紙幣収容部22の上側開口部22Aを共に閉塞することができる。
よって紙幣投入取出部6は、紙幣の入金時、シャッタ23を移動させて収納部20の紙幣入出金口20AX及び紙幣収容部22の上側開口部22Aを共に開放することで、当該紙幣入出金口20AX及び上側開口部22Aを順次介して紙幣収容部22に入金用の紙幣を投入させることができる。
そして紙幣投入取出部6は、紙幣収容部22から、これに投入された入金用の紙幣を、上述のように図示しない紙幣繰出機構により1枚ずつ繰り出させて搬送路18を介し鑑別部12に搬送させることができる。
また紙幣投入取出部6は、紙幣の出金時、搬送路18を介して搬送された、出金用の紙幣を、上述のように図示しない紙幣取込機構により紙幣収容部22に取り込む。
そして紙幣投入取出部6は、シャッタ23を移動させて収納部20の紙幣入出金口20AX及び紙幣収容部22の上側開口部22Aを共に開放することで、紙幣収容部22から出金用の紙幣を上側開口部22A及び紙幣入出金口20AXを順次介して取り出させることができる。
ここで、図6を用いて紙幣収容部22の下側開口部内に対する2本の紙幣支持部22B、22Cの配置位置について説明する。
まず、紙幣収容部22において下側開口部の開口長手方向の長さをL1とし、当該下側開口部の中心から個々の紙幣支持部22B、22Cの中心線までの距離をL2とする。
また現金自動預払機1で取扱可能な複数種類の紙幣のうち最も小さい(すなわち、紙幣長手方向の長さが最も短い)紙幣(以下、これを特に最小紙幣とも呼ぶ)BL1の紙幣長手方向の長さをL3とする。
因みに、現金自動預払機1で取扱可能な複数種類の紙幣の中の最小紙幣BL1は、その現金自動預払機1が日本で使用される場合、1000円紙幣となる。
さらに紙幣収容部22において最小紙幣BL1の紙幣長手方向を開口長手方向と平行にして、当該紙幣収容部22の開口長手方向の一方の内壁に、その最小紙幣BL1の一方の短辺を接触させたときの、下側開口部の中心から最小紙幣BL1の他方の短辺までの距離をL4とし、当該下側開口部の中心から最小紙幣BL1の中心までの距離をL5とする。
そして紙幣収容部22では、現金自動預払機1で取扱可能な複数種類の紙幣のうち最も大きい(すなわち、紙幣長手方向の長さが最も長い)紙幣(以下、これを特に最大紙幣とも呼ぶ)の紙幣長手方向の長さをL6とすると、(1)式
L1>L6 ……(1)
で表されるように、下側開口部の開口長手方向の長さが最大紙幣の紙幣長手方向の長さよりも長く選定されている。
因みに、現金自動預払機1で取扱可能な複数種類の紙幣の中の最大紙幣は、その現金自動預払機1が日本で使用される場合、10000円紙幣となる。
そのうえで、紙幣収容部22では、(2)式
L4>L2>L5 ……(2)
で表されるように、下側開口部に対し最小紙幣BL1の中心が何処に位置しても、最小紙幣BL1の中心から一方及び他方の短辺までの間にそれぞれ紙幣支持部22B、22Cを位置させるように、当該紙幣支持部22B、22Cの配置位置が選定されている。
これにより紙幣収容部22は、紙幣の入金時や出金時、大きさの異なる複数種類の紙幣の何れも立収容姿勢にして、2本の紙幣支持部22B、22Cによって支持して(すなわち、受け止めて)収容(すなわち、保持)することができる。
そして紙幣収容部22では、2本の紙幣支持部22B、22Cにより下側開口部を区切るようにして形成された3つの穴22D乃至22Fそれぞれの開口長手方向の長さをL7とし、例えば、現金自動預払機1で取扱可能な複数種類の硬貨のうち最も大きい(すなわち、一面の直径が最も長い)硬貨(以下、これを特に最大硬貨とも呼ぶ)の直径をL8とすると、上述の(1)式及び(2)式で表される紙幣支持部22B、22Cの配置位置の選定条件を満たしたうえで、(3)式
L7>L8 ……(3)
で表されるように、これら3つの穴22D乃至22Fそれぞれの開口長手方向の長さが最大硬貨の直径よりも長く選定されている。
因みに、現金自動預払機1で取扱可能な複数種類の硬貨の中の最大硬貨は、その現金自動預払機1が日本で使用される場合、500円硬貨となり、直径は26.5[mm]である。
また紙幣収容部22では、下側開口部の開口短手方向の長さ、すなわち、3つの穴22D乃至22Fそれぞれの開口短手方向の長さをL9とすると、(4)式
L9>L8 ……(4)
で表されるように、当該3つの穴22D乃至22Fの開口短手方向の長さも、最大硬貨の直径より長く選定されている。
このように紙幣収容部22では、3つの穴22D乃至22Fの大きさが、当該紙幣収容部22に誤って投入される異物としての例えば、硬貨の大きさを基準にして選定されている。
これにより紙幣収容部22は、例えば、紙幣の入金時、異物として大きさの異なる複数種類の硬貨の何れが誤って投入された場合でも、その硬貨を、当該硬貨の自重で収容部下端側へ落下させ、さらに3つの穴22D乃至22Fに通して紙幣収容部22の下に落とすことができる。
また紙幣収容部22は、例えば、紙幣の入金時、異物として硬貨以外にクリップや遊戯用のメダル等が誤って投入された場合でも、これらが3つの穴22D乃至22Fよりも小さいと、硬貨と同様に紙幣収容部22の下に落とすことができる。
因みに、このような説明からも明らかなように、紙幣収容部22において収容部下端の3つの穴22D乃至22Fは、収納対象の紙幣(すなわち、入金用及び出金用の紙幣)は通さずに、硬貨やクリップ、遊戯用メダル等の異物は通して落下させるためのものである。
よって、以下の説明では、紙幣収容部22の収容部下端の3つの穴22D乃至22Fを、異物落下用穴22D乃至22Fとも呼ぶ。
このようにして異物排出部11では、例えば、紙幣の入金時、紙幣投入取出部6の紙幣収容部22に誤って硬貨やクリップ等が投入されても、これらを異物として紙幣収容部22から落下させるようにして除去することができる。
すなわち、異物排出部11では、例えば、紙幣の入金時、紙幣投入取出部6の紙幣収容部22に入金用の紙幣と共に、誤って硬貨やクリップ等が投入されても、これらを異物として紙幣収容部22から落下させるようにして除去して紙幣から分離することができる。
また異物排出部11では、例えば、紙幣の入金時、紙幣投入取出部6の紙幣収容部22に紙幣は投入されずに、誤って硬貨やクリップ等のみが投入されても、これらを異物として紙幣収容部22から落下させて除去することができる。
これに加えて収納部20には、紙幣収容部22の下に、当該紙幣収容部22から落下した硬貨のような異物を受け取って異物搬送路21へと繰り出すための異物受取繰出部25が収納されている。
図3及び図4と共に図7に示すように、異物受取繰出部25は、紙幣収容部22の収容部下端の左縁のほぼ真下に、回動軸を前方向と平行にし、当該回動軸を中心にして一回転方向及び他回転方向に回動可能に支持された左側プーリ26を有している。
また異物受取繰出部25は、紙幣収容部22の収容部下端の右縁よりも斜め右下に、回動軸を前方向と平行にし、当該回動軸を中心して一回転方向及び他回転方向に回動可能に支持された右側プーリ27も有している。
この場合、左側プーリ26及び右側プーリ27は、右方向に添って並ぶようにして配置されている。そして異物受取繰出部25において左側プーリ26から右側プーリ27には、例えば、紙幣収容部22の収容部下端の開口短手方向の長さとほぼ等しい幅を有する平ベルトでなる搬送ベルト28が、当該左側プーリ26及び右側プーリ27間に一対のほぼ直線状の部分28A、28Bを形成するように架けられている。
因みに、搬送ベルト28は、外面及び内面に凹凸や突起等が特には設けられていないが、以下の説明では、当該搬送ベルト28において外面及び内面の形状や加工の有無等に関わらずに左側プーリ26及び右側プーリ27間の一対のほぼ直線状に伸びているような部分28A、28Bを、平坦部28A、28Bとも呼ぶ。
ただし、以下の説明では、搬送ベルト28において左側プーリ26及び右側プーリ27間の一対の平坦部28A、28Bのうち上側の平坦部28Aを、特に上側平坦部28Aとも呼び、下側の平坦部28Bを、特に下側平坦部28Bとも呼ぶ。
これにより異物受取繰出部25は、搬送ベルト28の上側平坦部28Aの左寄りを、紙幣収容部22の収容部下端と所定の間隔を空けて対向させている。
よって異物受取繰出部25は、紙幣収容部22の収容部下端から落下する硬貨のような異物を搬送ベルト28の上側平坦部28Aに載せるようにして受け取ることができる。
また異物受取繰出部25は、左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28を一回転方向及び他回転方向に回動させるように駆動するベルト駆動部29も有している。
因みに、ベルト駆動部29は、例えば、収納部20内で左側プーリ26及び右側プーリ27の後側に配置され、モータと、当該モータの出力軸を左側プーリ26及び右側プーリ27の一方の回動軸に連結する複数のギヤとを有している。
そして異物受取繰出部25は、上述の制御部10によるベルト駆動部29の制御に応じて、当該ベルト駆動部29により左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28を一回転方向に回転させる。
これにより異物受取繰出部25は、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに載せるようにして受け取った異物を、当該搬送ベルト28により右方向へ搬送する(移動させる)ことができる。
また異物受取繰出部25は、制御部10によるベルト駆動部29の制御に応じて、当該ベルト駆動部29により左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28を他回転方向に回動させる。
これにより異物受取繰出部25は、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに載せるようにして受け取った異物を、当該搬送ベルト28により左方向へ搬送する(移動させる)こともできる。
また異物受取繰出部25は、一端部が中央部に対してほぼ直角に屈曲されたように形成された略L字角パイプ状の受取繰出ガイド30を有している。
因みに、以下の説明では、受取繰出ガイド30において一端部を、ガイド一端部とも呼び、当該ガイド一端部の端、すなわち受取繰出ガイド30の一端を、ガイド一端とも呼ぶ。
また、以下の説明では、受取繰出ガイド30において他端部を、ガイド他端部とも呼び、当該ガイド他端部の端、すなわち受取繰出ガイド30の他端を、ガイド他端とも呼ぶ。
さらに、以下の説明では、受取繰出ガイド30においてガイド一端部とガイド他端部との間の中央部、すなわち受取繰出ガイド30の中央部分を、ガイド中央部とも呼ぶ。
受取繰出ガイド30は、ガイド一端に紙幣収容部22の収容部下端とほぼ等しい大きさを有する、又は僅かに大きい長方形状の異物取込用の開口部(以下、これを異物取込口とも呼ぶ)30Xが、その長手方向を左方向と平行にして形成されている。
そして受取繰出ガイド30は、ガイド一端の異物取込口30Xの前縁、後縁、左縁、右縁を、紙幣収容部22の収容部下端の前縁、後縁、左縁、右縁に近接させて当該異物取込口30Xを収容部下端と対向させると共に、ガイド中央部の下側を搬送ベルト28の上側平坦部28Aと対向させて、ガイド他端部を右側プーリ27よりも右側に突出させるようにして配置されている。
また受取繰出ガイド30は、ガイド中央部において搬送ベルト28の上側平坦部28Aと対向する下側部分に、前側、後側及び左側にそれぞれ向いた壁部30A乃至30Cと、下側に向いた壁部30Dの他端部側とを残すようにして当該上側平坦部28Aとほぼ等しい大きさを有する右方向に長い長方形状の開口部30Yが形成されている。
因みに、以下の説明では、受取繰出ガイド30のガイド中央部において下側部分に形成された開口部30Yを、ベルト用開口部30Yとも呼ぶ。
また、以下の説明では、受取繰出ガイド30において前側に向いた壁部30Aを、前壁部30Aとも呼び、後側に向いた壁部30Bを、後壁部30Bとも呼び、左側に向いた壁部30Cを、左壁部30Cとも呼び、さらに他端部において下側に向いた壁部30Dを、下壁部30Dとも呼ぶ。
ここで、前壁部30Aは、受取繰出ガイド30のガイド一端の前縁(すなわち、異物取込口30Xの前縁)からガイド他端の前縁に亘る壁部であり、略L字の平板状に形成されている。
そして受取繰出ガイド30は、前壁部30Aにおいてベルト用開口部30Yの前縁部分の内面を、搬送ベルト28の上側平坦部28Aの前側の縁に近接させて、当該ベルト用開口部30Yの前縁を上側平坦部28Aの前側の縁よりも下側に位置させている。
また後壁部30Bは、受取繰出ガイド30のガイド一端の後縁(すなわち、異物取込口30Xの後縁)からガイド他端の後縁に亘る壁部であり、略L字の平板状に形成されている。
そして受取繰出ガイド30は、後壁部30Bにおいてベルト用開口部30Yの後縁部分の内面を、搬送ベルト28の上側平坦部28Aの後側の縁に近接させて、当該ベルト用開口部30Yの後縁を上側平坦部28Aの後側の縁よりも下側に位置させている。
さらに左壁部30Cは、受取繰出ガイド30のガイド一端の左縁(すなわち、異物取込口30Xの左縁)からガイド中央部の左下縁(すなわち、ベルト用開口部30Yの左縁)に亘る壁部であり、四角形の平板状に形成されている。
そして受取繰出ガイド30は、左壁部30Cの下縁(すなわち、ガイド中央部の左下縁)を、搬送ベルト28の上側平坦部28Aの左はじに近接させている。
さらにまた受取繰出ガイド30は、ガイド一端の右縁(すなわち、異物取込口30Xの右縁)からガイド中央部を経てガイド他端の上縁に亘る上側の壁部(以下、これを上壁部とも呼ぶ)30Eが、略L字の板状に形成されている。
そして受取繰出ガイド30は、上壁部30Eにおいてガイド中央部の上側となる部分を、搬送ベルト28の上側平坦部28Aの右はじの部分と対向させている。
このようにして受取繰出ガイド30は、ガイド一端部及びガイド中央部により、紙幣収容部22の収容部下端と、搬送ベルト28の上側平坦部28Aとの間に、当該収容部下端から硬貨のような異物を上側平坦部28Aまで落下させるようにガイドする通路(以下、これを異物落下通路とも呼ぶ)を、その異物が入り込むような隙間がないように形成している。
これにより受取繰出ガイド30は、紙幣収容部22の異物落下用穴22D乃至22Fを通った硬貨のような異物を異物落下通路に通して、収容部下端の周囲に散乱させることなく搬送ベルト28の上側平坦部28Aまで落下させることができる。
また受取繰出ガイド30は、搬送ベルト28の上側平坦部28Aまで硬貨のような異物が落下した際、異物落下通路により、その異物を上側平坦部28Aからこぼれ落ちさせることなく当該上側平坦部28Aに留めることができる。
ところで、受取繰出ガイド30は、ガイド中央部の右寄り部分(すなわち、前壁部30A、後壁部30B及び上壁部30E)により、搬送ベルト28の上側平坦部28Aの右はじ部分を覆っている。
これにより受取繰出ガイド30は、ガイド中央部の右寄り内部に、前壁部30A、後壁部30B及び上壁部30Eと共に搬送ベルト28の上側平坦部28Aの右はじ部分とで囲まれた当該搬送ベルト28の幅とほぼ等しい幅を有する断面長方形状の異物繰出通路を形成している。
これに応じて受取繰出ガイド30は、ガイド他端部に、ガイド中央部の右寄り内部の異物繰出通路と同様に搬送ベルト28の幅とほぼ等しい幅を有し、当該異物繰出通路と連結される断面長方形状の穴が形成されている。
また受取繰出ガイド30は、ガイド他端の異物繰出用の開口部(以下、これを異物繰出口とも呼ぶ)30Zも、搬送ベルト28の幅とほぼ等しい幅を有する長方形状に形成されている。
そして受取繰出ガイド30は、ほぼ水平なガイド中央部に対しガイド他端部が、異物繰出口30Zを右斜め下に向けて傾斜するように形成されており、ガイド他端が収納部20の右側壁20Bに穿設された孔部20BXに挿入されている。
ただし、受取繰出ガイド30は、下壁部30Dの左側の縁(すなわち、ベルト用開口部30Yの右縁でもある)を、搬送ベルト28の右側の円弧状の部分に近接させている。
これにより受取繰出ガイド30は、ガイド中央部の右寄り内部の異物繰出通路をガイド他端部の穴に、異物が引っ掛かるような段差がなく、また異物が入り込むような隙間がないように連結している。
すなわち、受取繰出ガイド30は、ガイド中央部の右寄り内部の異物繰出通路をガイド他端部の穴によって異物繰出口30Zまで延長させて(すなわち、ガイド中央部の右寄り内部からガイド他端部の穴を介して異物繰出口30Zまでが異物繰出通路として形成されて)いる。
因みに、異物繰出通路においてガイド中央部の右寄り内部の区間は、ほぼ水平に形成されており、よって以下の説明では、当該ガイド中央部の右寄り内部の区間を、水平区間とも呼ぶ。
また異物繰出通路においてガイド他端部内の区間は、右斜め下方向に傾斜するように形成されており、よって以下の説明では、当該ガイド他端部内の区間を、傾斜区間とも呼ぶ。
そして受取繰出ガイド30は、異物繰出通路を水平区間の先で傾斜区間として傾斜させていることで、搬送ベルト28により異物繰出通路の水平区間に通されて上側平坦部28Aの右はじまで搬送された硬貨のような異物を、その先では自重で傾斜区間を右斜め下に滑らせるようにして移動させ、最終的に異物繰出口30Zから繰り出すことができる。
また受取繰出ガイド30は、異物繰出通路の水平区間の高さ(すなわち、搬送ベルト28の上側平坦部28Aと、これに対向する上壁部30Eの内面との間隙)が、現金自動預払機1で取扱可能な複数種類の硬貨の中で最も厚い硬貨(以下、これを最厚硬貨とも呼ぶ)が例えば、2枚又は3枚程度までは上下に重なっていても通すことができるように選定されている。
因みに、現金自動預払機1で取扱可能な複数種類の硬貨の中の最厚硬貨は、その現金自動預払機1が日本で使用される場合、500円硬貨となる。
よって受取繰出ガイド30は、異物繰出通路において硬貨のような異物を繰り出す際の当該異物の入口部分となる水平区間の高さにより、一度に大量の異物を繰り出すことがないように、異物の繰出量(硬貨の場合は枚数)を制限している。
また受取繰出ガイド30は、異物繰出通路の傾斜区間の高さ(すなわち、下壁部30Dの内面と、これに対向する上壁部30Eの内面との間隙)が、水平区間の高さ以上の所定の高さに選定されている。
これにより受取繰出ガイド30は、硬貨のような異物が異物繰出通路の水平区間と傾斜区間との境界部分を通る際に姿勢を変化させても、その境界部分で詰まることを回避している。
これに加えて受取繰出ガイド30には、後壁部30Bの内面において異物取込口30Xの後縁の例えば、中央と搬送ベルト28の上側平坦部28Aとの間の所定位置に、搬送ベルト28の幅よりも僅かに短い圧縮コイルばね31の一端が、当該圧縮コイルばね31の長手方向を前方向と平行にして取り付けられている。
すなわち、受取繰出ガイド30には、後壁部30Bの内面の所定位置に、圧縮コイルばね31の一端が、当該圧縮コイルばね31を紙幣収容部22の収容部下端と、搬送ベルト28の上側平坦部28Aとからそれぞれ所定の隙間を空けるようにして取り付けられている。
圧縮コイルばね31は、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに複数の硬貨のような異物が重なって載った場合に、当該搬送ベルト28による異物の左方向及び右方向への搬送に応じて、その重なりを崩すためのものである。
因みに、異物としての複数の硬貨は、例えば、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに積層状に重なって載る場合がある。
搬送ベルト28の上側平坦部28Aに複数の硬貨が積層状に重なって載った状態とは、当該上側平坦部28Aに、これら複数の硬貨が、それぞれ一面(硬貨の表面又は裏面)を下に向けた水平姿勢で上方向に順に積み重なって載るような状態である。
また異物としての複数の硬貨は、例えば、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに楔状に重なって載る場合もある。
搬送ベルト28の上側平坦部28Aに複数の硬貨が楔状に重なって載った状態とは、当該上側平坦部28Aに単独で載った水平姿勢の1枚の硬貨、又は積層状に重なって載った複数の硬貨を土台にして、その土台となる硬貨(最も上の硬貨)の縁に、他の1又は複数の硬貨が一面を水平方向に対して傾斜させた傾斜姿勢で順に支えられるように重なって載るような状態である。
そして、本実施の形態の場合、このような複数の硬貨の楔状の重なりとしては、1又は複数の傾斜姿勢の硬貨が左側よりも右側を下げて、あたかも楔の先端を右に向けているようなものがある。
また、本実施の形態の場合、このような複数の硬貨の楔状の重なりとしては、1又は複数の傾斜姿勢の硬貨が右側よりも左側を下げて、あたかも楔の先端を左に向けているようなものもある。
よって、以下の説明では、このような複数の硬貨の楔状の重なりを適宜、右向き及び左向きと呼んで区別し、このような向きの区別が特には必要ない場合、単に楔状の重なりとも呼ぶ。
そして圧縮コイルばね31は、このような複数の硬貨の積層状や楔状の重なりを崩すために、搬送ベルト28の上側平坦部28Aとの間に例えば、最厚硬貨を1枚だけ、又は2枚重ねた状態で通すことができる程度に、当該上側平坦部28Aから離されている。
また圧縮コイルばね31は、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに例えば、積層状や楔状に重なって載っている複数の硬貨が左方向及び右方向へ移動して押し付けられた場合、一端を支点として他端部が左側や右側へ適宜曲がるように、ばね径やばね定数等が選定されている。
そして圧縮コイルばね31は、一端を支点として他端部が曲げられた場合でも、当該他端部が紙幣収容部22の収容部下端に接触しないように、当該収容部下端から離されている。
これにより圧縮コイルばね31は、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに複数の硬貨のような異物が積層状や楔状のように重なって載った状態で左方向や右方向へ移動して押し付けられた場合、重なりの上側に位置する異物については、その移動を遮り、下側に位置する異物については上側平坦部28Aとの間を通すようにして、その重なりを崩すことができる。
また受取繰出ガイド30は、上壁部30Eの内面において異物取込口30Xの右縁の真下の角部(すなわち、異物繰出通路の入口の上側)に、略へ字状に屈曲されたフィルム又は板ばね等のような所定の弾性を有する繰出量制限部32が取り付けられている。
この場合、繰出量制限部32は、一端部が上壁部30Eの内面に接合されると共に、他端部を上壁部30Eの内面から離して右斜め下方向と平行にすることにより、他端を異物繰出通路内に入り込ませて搬送ベルト28の上側平坦部28Aと対向させている。
また繰出量制限部32は、他端を搬送ベルト28の上側平坦部28Aから、例えば、最厚硬貨1枚分の厚さに相当する距離だけ離して位置させるように、他端部の長さや一端部に対する他端部の屈曲角度が適宜選定されている。
これにより繰出量制限部32は、例えば、搬送ベルト28により上側平坦部28Aに積層状に重なって載っている複数の硬貨が右方向に搬送された場合、他端部により複数の硬貨を、重なりを崩しながら1枚ずつ順に異物繰出通路に入り込ませることができる。
また繰出量制限部32は、例えば、搬送ベルト28により上側平坦部28Aに左向きで楔状に重なって載っている複数の硬貨が右方向に搬送された場合も、同様に他端部により当該複数の硬貨を、重なりを崩しながら1枚ずつ順に異物繰出通路に入り込ませることができる。
さらに繰出量制限部32は、例えば、搬送ベルト28により上側平坦部28Aに右向きで楔状に重なって載っている複数の硬貨が右方向に搬送された場合、当該複数の硬貨全体の高さが異物繰出通路の水平区間の高さよりも低いと、他端部を複数の硬貨の押し付けに応じて上壁部30Bの内面に近づける、又は当接させるように変形させる。
これにより繰出量制限部32は、右向きで楔状に重なっている複数の硬貨については、ほぼ楔状に重なった状態のまま他端部の下側を通過させるようにして異物繰出通路に入り込ませることができる。
そして右向きで楔状に重なったまま異物繰出通路に入り込んだ複数の硬貨は、当該異物繰出通路の水平区間を経て傾斜区間に入った際、当該傾斜区間の傾斜によって右側の硬貨から順に自ら重なりを崩すようにして右斜め下方向へ落下する。
よって受取繰出ガイド30は、右向きで楔状に重なっている複数の硬貨を、ほぼそのままの状態で異物繰出通路に入り込ませても、当該異物繰出通路内で、その重なりを崩して詰まらせないようにすることができる。
さらに受取繰出ガイド30のガイド他端部は、下壁部30Dの外面に例えば、円形の孔部30DX、30DYが、前方向に添って所定の間隔で穿設されている。
そして受取繰出ガイド30のガイド他端部は、下壁部30Dの外面に、一対の発光素子35及び受光素子36を有するセンサ37が、当該発光素子35の発光面と受光素子36の受光面とを孔部30DX、30DYに対向させて取り付けられている。
また受取繰出ガイド30のガイド他端部は、上壁部30Eの外面に長方形状の孔部30EXが、その長手方向を前方向と平行にして当該孔部30EXの一端側を下壁部30Dの一方の孔部30DXと対向させ、かつ孔部30EXの他端側を他方の孔部30DYと対向させるようにして穿設されている。
そして受取繰出ガイド30のガイド他端部には、略台形平板状のプリズム38が例えば、下面の一端部を下壁部30Dの一方の孔部30DXと対向させると共に、当該下面の他端部を他方の孔部30DYと対向させて、上壁部30Eの孔部30EXに下面部分を異物繰出通路内へは突出させないように僅かに差し込んで取り付けられている。
ここで、センサ37に設けられた発光素子35は、発光面の中心から垂直に伸びる仮想の光軸を例えば、孔部30DXの中心を通して右斜め上方向と平行にしている。
またセンサ37に設けられた受光素子36は、受光面の中心から垂直に伸びる仮想の光軸を例えば、孔部30DYの中心を通して右斜め上方向と平行にしている。
さらにプリズム38は、発光素子35の光軸が下面の一端部を通って一方の斜面と交差し、受光素子36の光軸が下面の他端部を通って他方の斜面と交差するように、当該一方及び他方の斜面の間隔が選定されている。
さらにまたプリズム38は、発光素子35の光軸に添って到来する光が下面の一端部から入射して一方の斜面に到達した場合、その光を一方の斜面の内側で後方向に発射させた後、他方の斜面の内側で左斜め下方向に折り返すように反射させて受光素子36の光軸に添って進むように、下面に対する一方及び他方の斜面の角度が適宜選定されている。
これによりセンサ37の発光素子35は、制御部10の制御のもとに動作して発光面から発射光を右斜め上に向けて発射させるものの、その発射光をプリズム38に下面の一端部から入射させる。
そしてプリズム38は、下面の一端部から入射した発射光を、一方の斜面の内側で後方向に反射させ、得られた反射光を引き続き他方の斜面の内側で左斜め下方向に折り返すように反射させて下面の他端部から出射させる。
よってセンサ37の受光素子36は、プリズム38の下面の他端部から出射された反射光を受光面で受光することができる。
ただし、センサ37は、発光素子35及び受光素子36の光軸を、前方向に添って所定の間隔を空けて平行にし、かつ右斜め上方向とも平行にして異物繰出通路を横切らせている。
このため、センサ37の受光素子36は、異物繰出通路を異物が通過していない場合、発光素子35の発光面から発射された発射光を、プリズム38を介して反射光として受光面で受光することができる。
しかしながら、センサ37の受光素子36は、異物繰出通路を硬貨のような異物が通過して発射光や反射光が遮られた場合、発光素子35の発光面から発射された発射光を反射光として受光面で受光することはできない。
よってセンサ37の受光素子36は、発光素子35の発光面から発射された発射光を反射光として受光面で受光している間は、異物繰出通路を異物が通過していないことを示すように例えば、信号レベルを論理「L」レベルに立ち下げ、当該反射光を受光面で受光していない間は、異物繰出通路を異物が通過したことを示すように例えば、信号レベルを論理「H」レベルに立ち上げる異物通過有無信号を制御部10に送出する。
これにより制御部10は、センサ37の受光素子36から与えられる異物通過有無信号の信号レベルに基づき、異物繰出通路における異物の通過の有無、すなわち、異物受取繰出部25からの異物の繰り出しの有無を検出することができる。
ここで、図8を用いて受取繰出ガイド30の下壁部30Dに対するセンサ37の発光素子35及び受光素子36の配置位置について説明する。
まず、受取繰出ガイド30のガイド他端部において前壁部30Aの内面から発光素子35の発光面の最も後寄りの縁までの距離をL20とし、当該発光面の最も前寄りの縁から受光素子36の受光面の最も後寄りの縁までの距離をL21とし、その受光面の最も前寄りの縁から後壁部30Bの内面までの距離をL22とする。
そして受取繰出ガイド30では、例えば、現金自動預払機1で取扱可能な複数種類の硬貨のうち最も小さい(すなわち、一面の直径が最も短い)硬貨(以下、これを特に最小硬
貨とも呼ぶ)の直径をL23とすると、(5)式
L20<L23 ……(5)
及び、(6)式
L21<L23 ……(6)
並びに、(7)式
L22<L23 ……(7)
で表されるように、異物繰出通路を最小硬貨がどのような軌跡で通過しても、発射光及び反射光の少なくとも一方を遮ってセンサ37により当該最小硬貨の通過を検知可能なように、異物繰出通路の幅(すなわち、前方向に沿った長さ)と共に発光素子35及び受光素子36の配置位置が選定されている。
因みに、現金自動預払機1で取扱可能な複数種類の硬貨の中の最小硬貨は、その現金自動預払機1が日本で使用される場合、1円硬貨となり、直径は20[mm]である。
このように異物受取繰出部25では、発光素子35及び受光素子36の配置位置が、紙幣収容部22に誤って投入される異物としての例えば、硬貨の大きさを基準にして選定されている。
これにより制御部10は、センサ37の受光素子36から与えられる異物通過有無信号に基づき、異物受取繰出部25からの異物の繰り出しの有無、特に異物としての硬貨の繰り出しの有無を的確に検出することができる。
なお、異物受取繰出部25では、(5)式乃至(7)式で表される異物繰出通路の幅の選定条件を満たしたうえで、当該異物繰出通路の幅(また、受取繰出ガイド30の幅)が極力広く選定されている。
これにより異物受取繰出部25は、上述した異物の繰出量の制限のみならず、異物繰出通路の幅によっても異物を極力詰まらせないで繰り出すことができるようにしている。
また、異物受取繰出部25は、このようにして選定された異物繰出通路の幅をもとに受取繰出ガイド30全体の幅が選定されると共に、搬送ベルト28の幅もベルト用開口部30Yに収まる範囲内で極力広くなるように(すなわち、上述のように紙幣収容部22の収容部下端の開口短手方向の長さとほぼ等しくなるように)選定されている。
これにより異物受取繰出部25は、紙幣収容部22の収容部下端から落下する硬貨のような異物を、搬送ベルト28の上側平坦部28Aで極力散在させるようにして受け取ることができるようにしている。
すなわち、異物受取繰出部25は、紙幣収容部22の収容部下端から落下する硬貨のような異物を、搬送ベルト28の上側平坦部28Aで極力重ならないようにして受け取り、また受け取る際に重なる場合でも、その重なりの高さを極力低くして、その後の搬送の際に重なりを崩し易くすることができる。
そして異物排出部11は、上述の異物搬送路21の搬送路一端が、収納部20の右側壁20B付近で、受取繰出ガイド30のガイド他端に接続されている。
ここで、異物搬送路21は、搬送路一端部(すなわち、搬送路一端寄りの所定部分)が受取繰出ガイド30のガイド他端部を右斜め下方向に延長させるように形成されている。
また異物搬送路21は、搬送路一端部に対し中央部が一旦は下方向に伸ばしたように屈曲された後、前斜め下方向に伸ばしたように屈曲され、当該中央部に対し搬送路他端部(すなわち、搬送路他端寄りの所定部分)が返却口9を前に向けるように屈曲されている。
これにより異物搬送路21は、受取繰出ガイド30の異物繰出口30Zから繰り出された異物を搬送路一端の開口部(以下、これを異物受取口とも呼ぶ)21Aを介して内部に取り込んで右斜め下方向に滑らせ後、真下に落下させ、さらに前斜め下方向に滑らせて返却口9まで搬送する。
そして異物搬送路21は、搬送路他端に扉39が当該搬送路他端の上縁に設けられた左方向と平行な回動軸(図示せず)を中心にして一面を預払機筐体2の前面2Aと平行にして返却口9を閉塞し、また当該一面を搬送路他端部内に入り込ませて返却口9を開放するように開閉可能に取り付けられている。
これにより異物搬送路21は、内部を通して搬送した硬貨のような異物が返却口9から飛び出すことを防止して搬送路他端部内に溜めたうえで、扉39を押し開けさせて返却口9から、その異物を取り出させることができる。
(1−4)異物排出処理
次いで、現金自動預払機1において紙幣の入金時、紙幣投入取出部6(すなわち、紙幣収容部22)に誤って異物が投入された場合に、上述の制御部10が異物排出部11を制御して現金自動預払機1内から、その異物を排出する異物排出処理について説明する。
まず、制御部10は、異物排出処理時、異物受取繰出部25において左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28を、異物の繰出用に3種類の第1乃至第3駆動方式で駆動するため、その駆動について説明する。
図9に示すように、制御部10は、第1駆動方式では、ベルト駆動部29のモータを、当該モータの出力軸を例えば、正回転させるように動作させて(すなわち、制御して)左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28を一回転方向へ回転させる。
これにより制御部10は、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに載っている異物を右方向、すなわち異物を繰り出すための異物繰出通路が設けられた繰出側へ送るように搬送する(移動させる)。
また制御部10は、第2駆動方式では、ベルト駆動部29のモータを、当該モータの出力軸を例えば、逆回転させるように動作させて左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28を他回転方向へ回転させる。
これにより制御部10は、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに載っている異物を左方向、すなわち異物を繰り出すための異物繰出通路が設けられた繰出側とは逆の戻し側へ戻すように搬送する(移動させる)。
さらに制御部10は、第3駆動方式では、ベルト駆動部29のモータを、当該モータの出力軸を順次交互に正回転及び逆回転させるように動作させて左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28を一回転方向及び他回転方向へ順次交互に僅かな同一回転角度ずつ回転させる。
これにより制御部10は、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを左右に小刻みに振動させて当該上側平坦部28Aに載っている異物に、その振動を加える。
ここで、制御部10は、左側プーリ26の回動軸と、右側プーリ27の回動軸との距離(以下、これをプーリ間距離とも呼ぶ)をL25とし、第1駆動方式での搬送ベルト28の一回転方向への回転による上側平坦部28Aの変位量をL26とすると、(8)式
L25<L26 ……(8)
で表されるように、当該搬送ベルト28を一回転方向へ回転させて、上側平坦部28Aを繰出側へプーリ間距離よりも長く変位させる。
すなわち、制御部10は、第1駆動方式では、例えば、上側平坦部28Aの左はじに載っている異物を異物繰出通路の傾斜区間まで送り出すことが可能なように、搬送ベルト28を一回転方向へ回転させて上側平坦部28Aを繰出側へ変位させる。
因みに、以下の説明では、第1駆動方式に応じた、異物を繰出側(すなわち、左方向)へ搬送するための搬送ベルト28の一回転方向への回転による上側平坦部28Aの変位量を、異物繰出変位量とも呼ぶ。
また制御部10は、第2駆動方式での搬送ベルト28の他回転方向への回転による上側平坦部28Aの戻し側への変位量をL27とすると、(9)式
L25<L27<L26 ……(9)
で表されるように、当該搬送ベルト28を他回転方向へ回転させて、上側平坦部28Aを戻し側へプーリ間距離より長いものの、第1駆動方式による異物繰出変位量よりも短く変位させる。
すなわち、制御部10は、第2駆動方式では、上側平坦部28Aにおいて圧縮コイルばね31よりも右側に載っている異物を当該圧縮コイルばね31よりも左側へ移動させるように、搬送ベルト28を他回転方向へ回転させて上側平坦部28Aを戻し側へ変位させる。
因みに、以下の説明では、第2駆動方式に応じた、異物を戻し側へ搬送するための搬送ベルト28の他回転方向への回転による上側平坦部28Aの変位量を、異物戻し変位量とも呼ぶ。
さらに制御部10は、第3駆動方式では、搬送ベルト28の一回転方向及び他回転方向への回転による繰出側及び戻し側への上側平坦部28Aの変位量を等しくしている。
すなわち、制御部10は、第3駆動方式では、例えば、搬送ベルト28を一回転方向及び他回転方向への回転によって例えば、右方向へ所定の変位量だけ変位させると、引き続き左方向へ元に戻すように同一の変位量だけ変位させ、このような変位を繰り返すようにしている。
そして制御部10は、このような第3駆動方式での搬送ベルト28の一回転方向及び他回転方向への回転による上側平坦部28Aの変位量をL28とすると、(10)式
L25≫L28 ……(10)
で表されるように、当該搬送ベルト28を一回転方向及び他回転方向へ順次交互に回転させて、上側平坦部28Aを左右にそれぞれ例えば4回程度、プーリ間距離よりも格段的に短く変位させる。
すなわち、制御部10は、第3駆動方式では、上述のように上側平坦部28Aに載っている異物を左右に小刻みに振動させるように、搬送ベルト28を一回転方向及び他回転方向へ順次交互に同一の回転角度だけ回転させて、上側平坦部28Aを左右に交互に変位させて小刻みに振動させる。
因みに、以下の説明では、第3駆動方式に応じた、異物に振動を加えるための搬送ベルト28の一回転方向及び他回転方向への回転による上側平坦部28Aの変位量(すなわち、繰出側や戻し側への1回の変位の変位量)を、振動変位量とも呼ぶ。
ただし、制御部10は、第1乃至第3駆動方式でベルト駆動部29のモータを動作させた際、左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28を一回転方向や他回転方向へ所定の一定速度で回転させている。
よって制御部10は、第1乃至第3駆動方式では、実際にはベルト駆動部29のモータに対する出力軸の回転方向と共に動作時間を制御している。
すなわち、現金自動預払機1では、第1駆動方式によるモータの動作時間をT1とし、第2駆動方式によるモータの動作時間をT2とすると、上述の(9)式に示す搬送ベルト28の上側平坦部28Aの変位条件をもとに、(11)式
T1>T2 ……(11)
で表されるように、第1駆動方式によるモータの動作時間が第2駆動方式によるモータの動作時間よりも長く設定されている。
因みに、以下の説明では、第1駆動方式に応じたベルト駆動部29のモータの動作時間を、異物繰出用動作時間とも呼び、第2駆動方式に応じたベルト駆動部29のモータの動作時間を、異物戻し用動作時間とも呼ぶ。
また現金自動預払機1では、上述の(10)式に示す搬送ベルト28の上側平坦部28Aの変位条件をもとに、第3駆動方式によるモータの1回の動作時間(すなわち、制御部10が搬送ベルト28を一回転方向及び他回転方向の何れか一方へ回転させるようにモータを動作させるときの動作時間)をT3とすると、(12)式
T2≫T3 ……(12)
で表されるように、第3駆動方式によるモータの1回の動作時間が第2駆動方式によるモータの動作時間よりも格段的に短く設定されている。
因みに、以下の説明では、第3駆動方式に応じたベルト駆動部29のモータの1回の動作時間を、振動用動作時間とも呼ぶ。
そして制御部10は、異物排出処理時、係る設定に応じてベルト駆動部29のモータを動作させることで、左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28を第1乃至第3駆動方式を組み合わせて駆動している。
ここで、制御部10が実行する異物排出処理を、紙幣の入金時、紙幣投入取出部6に入金用の1又は複数の紙幣と共に、誤って異物としての複数の硬貨が投入された場合を例にして具体的に説明する。
図10に示すように、制御部10は、紙幣BL2の入金時、シャッタ駆動部24を制御してシャッタ23を後方向の開放位置まで移動させて(すなわち、シャッタ23を開けて)、収納部20の紙幣入出金口20AX及び紙幣収容部22の上側開口部22Aを共に開放する。
この状態で異物排出部11は、紙幣収容部22に1又は複数の紙幣BL2と共に、誤って複数の硬貨CIが投入されると、1又は複数の紙幣BL2については、紙幣収容部22の紙幣支持部22B、22Cによって支持するようにして当該紙幣収容部22内に留める。
これにより異物排出部11は、1又は複数の紙幣BL2については、この後の紙幣収容部22から搬送路18への入金用の繰り出しを可能にしている。
また図11に示すように、異物排出部11は、この際、複数の硬貨CIについては、紙幣収容部22の異物落下用穴22D乃至22Fに通して当該紙幣収容部22の収容部下端から落下させる。
これにより異物排出部11は、紙幣収容部22に投入された1又は複数の紙幣BL2から、この際に誤って投入された複数の硬貨CIを、紙幣BL2の入金処理に対する異物として分離する。
そして異物排出部11は、紙幣収容部22の収容部下端から落下した複数の硬貨CIを、異物受取繰出部25において受取繰出ガイド30の異物取込口30Xから異物落下通路に通して搬送ベルト28の上側平坦部28Aに載せるようにして受け取る。
この際、図12に示すように、制御部10は、第1駆動方式に応じてベルト駆動部29(すなわち、モータの出力軸の回転と共に複数のギヤの回転等)を制御して、左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28を一回転方向に回転させる。よって制御部10は、この際、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを繰出側へ異物繰出変位量だけ変位させる。
これにより制御部10は、例えば、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに複数の硬貨CIがそれぞれ他の硬貨CIに重ならずに水平姿勢で載っていると、圧縮コイルばね31よりも右側に存在する硬貨CIについては、そのまま異物繰出通路に送り出し異物搬送路21を介して返却口9まで搬送する。
また制御部10は、この際、圧縮コイルばね31よりも左側に存在する硬貨CIについては、当該圧縮コイルばね31の下を通した後、異物繰出通路に送り出し異物搬送路21を介して返却口9まで搬送する。
さらに、制御部10は、例えば、搬送ベルト28の上側平坦部28Aにおいて圧縮コイルばね31よりも右側に複数の硬貨CIが積層状に重なって載り、又は左向きで楔状に重なって載っていると、これら複数の硬貨CIを繰出量制限部32によって、その重なりを適宜崩して異物繰出通路に送り出し異物搬送路21を介して返却口9まで搬送する。
因みに、制御部10は、例えば、搬送ベルト28の上側平坦部28Aにおいて圧縮コイルばね31よりも右側に複数の硬貨CIが右向きで楔状に重なって載っていても、その重なりの高さが異物繰出通路の水平区間の高さ以下であると、これら複数の硬貨CIを異物繰出通路に送り出し異物搬送路21を介して返却口9まで搬送する。
さらにまた制御部10は、搬送ベルト28の上側平坦部28Aにおいて圧縮コイルばね31よりも左側に複数の硬貨CIが積層状に重なって載り、又は左向きや右向きで楔状に重なって載っていると、これら複数の硬貨CIを圧縮コイルばね31より、その重なりを適宜崩して異物繰出通路に送り出し異物搬送路21を介して返却口9まで搬送する。
ただし、制御部10は、例えば、搬送ベルト28の上側平坦部28Aにおいて圧縮コイルばね31よりも右側に複数の硬貨CIが右向きで楔状に重なって載っているものの、その重なりの高さが異物繰出通路の水平区間の高さよりも高いと、これら複数の硬貨CIが異物繰出通路の入口に引っ掛かって繰り出せない場合がある。
このため図13に示すように、制御部10は、搬送ベルト28を一回転方向に回転させて上側平坦部28Aを繰出側へ異物繰出変位量だけ変位させると、引き続き第2駆動方式に応じてベルト駆動部29を制御して、左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28を他回転方向に回転させるようにしている。よって制御部10は、この際、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを戻し側へ異物戻し変位量だけ変位させる。
これにより制御部10は、例えば、搬送ベルト28の上側平坦部28Aにおいて圧縮コイルばね31よりも右側に複数の硬貨CIが右向きで、異物繰出通路の水平区間の高さよりも高く楔状に重なって載っていても、これら複数の硬貨CIを左方向へ搬送しながら圧縮コイルばね31によって、その重なりを崩すことができる。
ところで、図14(A)に示すように、搬送ベルト28の上側平坦部28Aには、圧縮コイルばね31よりも左側全体に亘り複数の硬貨CIが幾つもの積層状の重なりとして載り、当該圧縮コイルばね31よりも右側に、複数の硬貨CIが右向きの楔状の重なりとして載る場合がある。
このような場合、制御部10は、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを異物戻し変位量だけ変位させただけでは、圧縮コイルばね31の右側に存在する複数の硬貨CIの左方向への移動が、圧縮コイルばね31の左側に存在する複数の硬貨CIによって遮られ、当該右側の複数の硬貨CIの重なりを圧縮コイルばね31によっては崩すことができないことがある。
このため制御部10は、このように搬送ベルト28を他回転方向に回転させて上側平坦部28Aを戻し側へ異物戻し変位量だけ変位させると、引き続き第3駆動方式に応じてベルト駆動部29を制御して、左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28を一回転方向及び他回転方向に順次交互に回転させるようにしている。
よって制御部10は、この際、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを繰出側及び戻し側へ振動変位量ずつ変位させる(すなわち、左右に小刻みに振動させる)。
これにより制御部10は、このような場合、搬送ベルト28の上側平坦部28Aの振動を、圧縮コイルばね31の右側に存在する複数の硬貨CIに加えて、その振動によって当該複数の硬貨CIの右向きの楔状の重なりを崩すことができる。
そして図14(B)及び図15に示すように、制御部10は、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを左右に振動させると、引き続き第1駆動方式に応じて上述と同様に当該搬送ベルト28を一回転方向に回転させて上側平坦部28Aを繰出側へ異物繰出変位量だけ変位させる。
これにより制御部10は、例えば、搬送ベルト28の上側平坦部28A上で重なりを崩した複数の硬貨CIを異物繰出通路に送り出し異物搬送路21を介して返却口9まで搬送する。
このようにして制御部10は、異物繰出通路内の硬貨の通過の有無を監視しながら、第1駆動方式乃至第3駆動方式による一連の搬送ベルト28の駆動を繰り返し実行する。
これにより制御部10は、この際、紙幣収容部22に誤って投入された複数の硬貨CIを全て異物繰出通路に送り出し異物搬送路21を介して返却口9まで搬送し、かくして顧客に返却することができる。
ここで、図16(A)乃至(D)及び図17(A)乃至(D)に示すタイミングチャートを用いて、制御部10が実行する異物排出処理手順について説明する。
制御部10は、顧客により所望の取り引きとして紙幣の入金が選択されると、その入金が選択された時点t1に、異物排出部11を制御して例えば、図16(A)乃至(D)に示す異物排出処理手順を開始する。
そして制御部10は、その時点t1に、シャッタ駆動部24のモータに対し、当該モータの出力軸を例えば、正回転させるためのモータ正回転信号S1を送出する(図16(A))。
これにより制御部10は、モータ正回転信号S1に基づきシャッタ駆動部24を制御してシャッタ23を開放位置まで移動させて開くことにより、収納部20の紙幣入出金口20AX及び紙幣収容部22の上側開口部22Aを共に開放して、当該シャッタ23を開いたままにする。
また制御部10は、その時点t1にセンサ37の発光素子35に対し、発射光を発射させるための発光信号S2を送出し始める(図16(B))。
これにより制御部10は、発光信号S2に基づき発光素子35に発射光を発射させて、当該発光素子35に対し発射光を継続して発射させるようにする。
さらに制御部10は、その時点t1に、センサ37の受光素子36を動作させて、当該受光素子36から送出される異物通過有無信号S3を取り込み始める(図16(C))。
さらに制御部10は、その時点t1にベルト駆動部29のモータに対し、当該モータの出力軸を正回転させるためのモータ正回転信号S4を送出し始める。
そして制御部10は、ベルト駆動部29のモータにモータ正回転信号S4を、時点t1から異物繰出用動作時間T1に到達する時点t2までの間、送出し続ける(図16(D))。
これにより制御部10は、時点t1から時点t2までの間(すなわち、異物繰出用動作時間T1)、モータ正回転信号S4に基づきベルト駆動部29を制御して左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28を一回転方向へ回転させる。
よって制御部10は、時点t1から時点t2までの間、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを、繰出側(すなわち、右方向)へ異物繰出変位量だけ変位させる。
因みに、以下の説明では、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに対する繰出側への異物繰出変位量の変位を、適宜、硬貨CIの繰出用の変位とも呼ぶ。
従って制御部10は、この際、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに複数の硬貨CIが載っていると、これら複数の硬貨CIを、圧縮コイルばね31及び繰出量制限部32により適宜その重なりを崩すようにして繰出側へ送り出すことができる。
また制御部10は、時点t2にベルト駆動部29のモータに対するモータ正回転信号S4の送出を停止して左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28の一回転方向への回転を停止させると、そのすぐ後の時点t3にベルト駆動部29のモータに、当該モータの出力軸を逆回転させるためのモータ逆回転信号S5を送出し始める。
そして制御部10は、ベルト駆動部29のモータにモータ逆回転信号S5を、時点t3から異物戻し用動作時間T2に到達する時点t4までの間、送出し続ける(図16(D))。
これにより制御部10は、時点t3から時点t4までの間(すなわち、異物戻し用動作時間T2)、モータ逆回転信号S5に基づきベルト駆動部29を制御して左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28を他回転方向へ回転させる。
よって制御部10は、時点t3から時点t4までの間、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを戻し側(すなわち、左方向)へ異物戻し変位量だけ変位させる。
因みに、以下の説明では、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに対する戻し側への異物戻し変位量の変位を、適宜、硬貨CIの戻し用の変位とも呼ぶ。
従って制御部10は、この際、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに複数の硬貨CIが載っていると、これら複数の硬貨CIを戻し側へ戻すようにして、圧縮コイルばね31により複数の硬貨CIの重なりを適宜崩すことができる。
さらに制御部10は、時点t4にベルト駆動部29のモータに対するモータ逆回転信号S5の送出を停止して左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28の他回転方向への回転を停止させると、そのすぐ後の時点t5から時点t6までの間、ベルト駆動部29のモータに、モータ正回転信号S4とモータ逆回転信号S5とを順次交互に振動用動作時間T3ずつ所定回数(例えば、合計で8回)送出する(図16(D))。
これにより制御部10は、時点t5から時点t6までの間、モータ正回転信号S4及びモータ逆回転信号S5に基づきベルト駆動部29を制御して左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28を一回転方向及び他回転方向へ順次交互に回転させる。
よって制御部10は、時点t5から時点t6までの間、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを、繰出側及び戻し側(すなわち、右方向及び左方向)へ順次交互に振動変位量ずつ変位させるようにして小刻みに振動させる。
因みに、以下の説明では、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに対する繰出側及び戻し側への振動変位量ずつの順次交互の変位を、適宜、硬貨CIの振動用の変位とも呼ぶ。
従って制御部10は、この際、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに複数の硬貨CIが重なって載っていると、これら複数の硬貨CIに搬送ベルト28の振動を加えて、その重なり崩すことができる。
このようにして制御部10は、時点t1から時点t6までのような、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに対する一連の繰出側へ異物繰出変位量だけ変位させるためのベルト駆動部29の制御と、戻し側へ異物戻し変位量だけ変位させるためのベルト駆動部29の制御と、繰出側及び戻し側へ振動変位量ずつ複数回変位させるためのベルト駆動部29の制御とを1サイクルとして、その1サイクルのベルト駆動部29の制御を適宜繰り返すように搬送ベルト28を駆動する。
すなわち、センサ37の受光素子36は、例えば、時点t1から時点t2までの間に、搬送ベルト28により複数の硬貨CIの少なくとも1枚以上が左方向に搬送され異物繰出通路を通過すると、その通過により反射光を受光し得ない間だけ異物通過有無信号S3の信号レベルを論理「L」レベルから論理「H」レベルに立ち上げるように変化させる。
そして制御部10は、時点t1から時点t2までの間に異物通過有無信号S3の信号レベルが一時的に論理「L」レベルから論理「H」レベルに立ち上がると、当該異物通過有無信号S3の信号レベルの変化に基づき、異物受取繰出部25から硬貨CIが繰り出されたことを検出する(図16(C))。
制御部10は、このように時点t1から時点t2までの間に異物受取繰出部25から硬貨CIが繰り出されたことを検出していると、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに対する左右の振動を停止させた時点t6のすぐ後の時点t7にベルト駆動部29のモータに対しモータ正回転信号S4を送出し始める。
そして制御部10は、ベルト駆動部29のモータにモータ正回転信号S4を、時点t7から異物繰出用動作時間T1に到達する時点t8までの間、送出し続ける(図16(D))。
これにより制御部10は、時点t7から時点t8までの間、モータ正回転信号S4に基づきベルト駆動部29を制御して左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28を一回転方向へ回転させて、当該搬送ベルト28の上側平坦部28Aを再び繰出側へ異物繰出変位量だけ変位させる。
また制御部10は、時点t8にベルト駆動部29のモータに対するモータ正回転信号S4の送出を停止して左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28の一回転方向への回転を停止させると、そのすぐ後の時点t9にベルト駆動部29のモータに対しモータ逆回転信号S5を送出し始める。
そして制御部10は、ベルト駆動部29のモータにモータ逆回転信号S5を、時点t9から異物戻し用動作時間T2に到達する時点t10までの間、送出し続ける(図16(D))。
これにより制御部10は、時点t9から時点t10までの間、モータ逆回転信号S5に基づきベルト駆動部29を制御して左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28を他回転方向へ回転させて、当該搬送ベルト28の上側平坦部28Aを戻し側へ異物戻し変位量だけ変位させる。
さらに制御部10は、時点t10にベルト駆動部29のモータに対するモータ逆回転信号S5の送出を停止して左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28の他回転方向への回転を停止させると、そのすぐ後の時点t11から時点t12までの間、ベルト駆動部29のモータにモータ正回転信号S4及びモータ逆回転信号S5を順次交互に振動用動作時間T3ずつ所定回数送出する(図16(D))。
これにより制御部10は、時点t11から時点t12までの間、モータ正回転信号S4及びモータ逆回転信号S5に基づきベルト駆動部29を制御して左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28を一回転方向及び他回転方向へ順次交互に回転させる。
よって制御部10は、この際、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを繰出側及び戻し側へ順次交互に振動変位量ずつ変位させて小刻みに振動させる。
このようにして制御部10は、時点t7から時点t12に亘り、上述した時点t1から時点t6までと同様にベルト駆動部29を制御して、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを再び硬貨CIの繰出用及び戻し用並びに振動用に変位させる。
ただし、センサ37の受光素子36は、例えば、時点t7から時点t8までの搬送ベルト28の上側平坦部28Aに対する2回目の異物繰出変位量の変位で異物繰出通路を1枚の硬貨CIも通過していないと、異物通過有無信号S3の信号レベルを論理「L」レベルに立ち下げたまま変化させない。
よって制御部10は、時点t7から時点t8までの間に異物通過有無信号S3の信号レベルが論理「L」レベルのまま変化しないと、その異物通過有無信号S3の信号レベルに基づき、異物受取繰出部25から硬貨CIが1枚も繰り出されていないことを検出する(図16(C))。
そして制御部10は、時点t7から時点t8までの間に異物受取繰出部25から硬貨CIが1枚も繰り出されていないことを検出していると、異物受取繰出部25からの全ての硬貨CIの繰り出しが完了した可能性があるため、時点t13に異物受取繰出部25から異物搬送路21への全ての硬貨CIの繰り出しが完了したか否かの確認用に搬送ベルト28を駆動し始める。
すなわち、制御部10は、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに対する2回目の左右の振動を停止させた時点t12のすぐ後の時点t13にベルト駆動部29のモータにモータ正回転信号S4を送出し始める。
そして制御部10は、ベルト駆動部29のモータにモータ正回転信号S4を、時点t13から異物繰出用動作時間T1に到達する時点t14までの間、送出し続ける(図16(D))。
これにより制御部10は、時点t13から時点t14までの間、モータ正回転信号S4に基づきベルト駆動部29を制御して左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28を一回転方向へ回転させて、当該搬送ベルト28の上側平坦部28Aを繰出側へ異物繰出変位量だけ変位させる。
そして制御部10は、時点t13から時点t14に亘り搬送ベルト28の上側平坦部28Aを繰出側へ異物繰出変位量だけ変位させても、その間に異物通過有無信号S3の信号レベルが論理「L」レベルのまま変化しないと、その時点t14において、異物繰出通路からの硬貨CIの繰り出しが完了していると判別する。
このようにして制御部10は、時点t14に異物繰出通路からの硬貨CIの繰り出しの完了を確認すると、その時点t14にシャッタ駆動部24のモータに対し、当該モータの出力軸を例えば、逆回転させるためのモータ逆回転信号S6を送出する(図16(A))。
これにより制御部10は、モータ逆回転信号S6に基づきシャッタ駆動部24を制御してシャッタ23を閉塞位置まで移動させて閉じることにより、収納部20の紙幣入出金口20AX及び紙幣収容部22の上側開口部22Aを共に閉塞して、当該シャッタ23を閉じたままにする。
また制御部10は、例えば、その時点t14にセンサ37の発光素子35に対する発光信号S2の送出を停止して(図16(B))、当該発光素子35に発射光の発射を停止させる。
さらに制御部10は、例えば、その時点t14に、センサ37において受光素子36の動作も停止(すなわち、異物通過有無信号S3の送出を停止)させる(図16(C))。
そして制御部10は、このようにしてシャッタ23を閉じると、図16(A)乃至(D)に示す異物排出処理手順を終了する。
ところで、制御部10は、顧客により新たに入金が選択された時点t20に、異物排出部11を制御して例えば、図17(A)乃至(D)に示す異物排出処理手順を開始すると、その時点t20に、上述と同様にシャッタ23を駆動して開くと共に、センサ37の発光素子35及び受光素子36を動作させる(図17(A)乃至(C))。
また制御部10は、この際、時点t20から時点t21にかけて上述と同様に、ベルト駆動部29を制御して(図17(D))、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを硬貨CIの繰出用及び戻し用並びに振動用に変位させる。
そして制御部10は、時点t20から開始した搬送ベルト28の上側平坦部28Aに対する1回目の繰出側への異物繰出変位量の変位の間に、異物受取繰出部25から硬貨CIが繰り出されたことを検出すると(図17(C))、引き続き時点t22から時点t23にかけて同様にベルト駆動部29を制御して搬送ベルト28の上側平坦部28Aを再び硬貨CIの繰出用及び戻し用並びに振動用に変位させる(図17(D))。
その結果、制御部10は、時点t22から開始した搬送ベルト28の上側平坦部28Aに対する2回目の繰出側への異物繰出変位量の変位の間に、再び異物受取繰出部25から硬貨CIが繰り出されたことを検出すると(図17(C))、引き続き上述と同様にベルト駆動部29を制御して搬送ベルト28の上側平坦部28Aを硬貨CIの繰出用及び戻し用並びに振動用に変位させる(図17(D))。
このようにして制御部10は、異物受取繰出部25からの硬貨CIの繰り出しの有無を監視しながら、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを硬貨CIの繰出用及び戻し用並びに振動用に変位させ、その繰出用の変位の間に異物受取繰出部25から硬貨CIが繰り出されたことを検出していると(図17(C))、上側平坦部28Aを再び硬貨CIの繰出用及び戻し用並びに振動用に変位させる(図17(D))。
また制御部10は、時点t24から開始した搬送ベルト28の上側平坦部28Aに対するN回目の繰出側への異物繰出変位量の変位の間に、異物受取繰出部25から硬貨CIが1枚も繰り出されていないことを検出すると(図17(C))、引き続き時点t25から上述と同様に、全ての硬貨CIの繰出完了の確認用に搬送ベルト28を駆動する。
その結果、制御部10は、その時点t25から時点t26までの搬送ベルト28の上側平坦部28Aに対する繰出側への異物繰出変位量の変位の間も、異物受取繰出部25から硬貨CIが1枚も繰り出されていないことを検出すると、異物受取繰出部25から異物搬送路21への硬貨CIの繰り出しが完了したと判別する。
そして制御部10は、このように異物受取繰出部25から異物搬送路21への硬貨CIの繰り出しが完了したことを確認すると、その確認がとれた時点t26には上述と同様にシャッタ23を閉じる(図17(A))。
また制御部10は、例えば、その時点t26に、上述と同様にセンサ37において発光素子35に発射光の発射を停止させる(図17(B))と共に、受光素子36の動作も停止させ(図17(C))、図17(A)乃至(D)に示す異物排出処理手順を終了する。
因みに、制御部10は、全ての硬貨CIの繰出完了の確認用に搬送ベルト28を駆動している間(すなわち、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを繰出側へ異物繰出変位量だけ変位させている間)に、再び異物受取繰出部25から硬貨CIが繰り出されたことを検出すると、その繰出完了の確認用の搬送ベルト28の駆動を、上側平坦部28Aを硬貨CIの繰出用及び戻し用並びに振動用に変位させるための駆動に切り換える。
すなわち、制御部10は、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを、全ての硬貨CIの繰出完了の確認用に変位させると、その変位を一連の硬貨CIの繰出用及び戻し用並びに振動用の変位のうち当該繰出用の変位と見なして、引き続き残りの変位を実行するようにして戻し用に変位させた後、振動用に変位させる。
そして制御部10は、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに対する振動(すなわち、振動用の変位)が終了すると、上述と同様にベルト駆動部29を制御して搬送ベルト28の上側平坦部28Aを再び硬貨CIの繰出用及び戻し用並びに振動用に変位させるようにして異物排出処理手順を継続する。
このようにして制御部10は、紙幣の入金時、紙幣投入取出部6に誤って1又は複数の硬貨CIが投入されても、その硬貨CIをほぼ確実に異物受取繰出部25から異物搬送路21へ繰り出し返却口9を介して顧客に返却することができる。
制御部10は、紙幣の入金時、異物排出処理手順を開始しても、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに対する1回目の繰出側への異物繰出変位量の変位の間に、異物受取繰出部25から硬貨CIが1枚も繰り出されていないことを検出すると、引き続き全ての硬貨CIの繰出完了の確認用と同様に搬送ベルト28を駆動する。
その結果、制御部10は、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに対する繰出完了の確認用の変位(すなわち、2回目の繰出側への異物繰出変位量の変位)の間に、異物受取繰出部25から硬貨CIが繰り出されたことを検出すると、その際の搬送ベルト28の駆動を、上述と同様に上側平坦部28Aを硬貨CIの繰出用及び戻し用並びに振動用に変位させるための駆動に切り換える。
すなわち、制御部10は、この場合も搬送ベルト28の上側平坦部28Aを、全ての硬貨CIの繰出完了の確認用に変位させると、その変位を一連の硬貨CIの繰出用及び戻し用並びに振動用の変位のうち当該繰出用の変位と見なして、引き続き残りの変位を実行するようにして戻し用に変位させた後、振動用に変位させる。
そして制御部10は、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに対する振動(すなわち、振動用の変位)が終了すると、上述と同様にベルト駆動部29を制御して搬送ベルト28の上側平坦部28Aを再び硬貨CIの繰出用及び戻し用並びに振動用に変位させるようにして異物排出処理手順を継続する。
これに対し制御部10は、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに対する繰出完了の確認用の変位(すなわち、2回目の繰出側への異物繰出変位量の変位)の間も、異物受取繰出部25から硬貨CIが1枚も繰り出されていないことを検出すると、このときには紙幣投入取出部6に硬貨CIのような異物は誤って投入されていないと判別する。
そして制御部10は、このように紙幣投入取出部6に硬貨CIのような異物は誤って投入されていないことを確認すると、その確認がとれた時点(すなわち、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに対する繰出完了の確認用の変位が終了した時点)に上述と同様にシャッタ23を閉じる。
また制御部10は、例えば、その時点に上述と同様にセンサ37において発光素子35に発射光の発射を停止させると共に、受光素子36の動作も停止させて異物排出処理手順を終了する。
このようにして制御部10は、紙幣の入金時、紙幣投入取出部6に誤って1又は複数の硬貨CIが投入されたか否かを確認し、誤って硬貨CIが投入されていると、その硬貨CIをほぼ確実に異物受取繰出部25から異物搬送路21へ繰り出し返却口9を介して顧客に返却することができる。
ところで、現金自動預払機1では、紙幣の入金時、紙幣投入取出部6に投入される入金用の紙幣が少ない程、紙幣投入取出部6からの紙幣の繰り出しに要する時間や、搬送路18による紙幣の搬送に要する時間等が短くなり、その結果として入金処理に要する時間(以下、これを入金処理時間とも呼ぶ)も短くなる。
また現金自動預払機1では、上述した異物排出処理手順からも明らかなように、紙幣投入取出部6に誤って投入された硬貨CIのような異物が多い程、ベルト駆動部29を1サイクル単位で制御して搬送ベルト28を駆動するための回数が増加し、その結果として異物排出処理に要する時間(以下、これを異物排出処理時間とも呼ぶ)が長くなる。
そして現金自動預払機1では、紙幣投入取出部6に投入された入金用の紙幣が比較的少ない場合の入金処理に要する入金処理時間と、当該紙幣投入取出部6に誤って投入された硬貨CIのような異物が比較的多い場合の異物排出処理に要する異物排出処理時間とを比較すると、その異物排出処理時間が入金処理時間よりも長い場合がある。
このため現金自動預払機1では、紙幣投入取出部6に入金用の紙幣が投入されると共に、誤って硬貨CIのような異物も投入されたとき、仮に入金処理と異物排出処理とを同時に開始したとすると、異物排出処理が終了する前に入金処理が終了する可能性がある。
また現金自動預払機1では、入金処理が終了した際、制御部10がタッチスクリーン4に入金処理の終了を通知するための操作画面を表示している。
よって現金自動預払機1では、仮に異物排出処理が終了する前に入金処理が終了して、制御部10が操作画面を介して顧客に入金処理の終了を通知すると、その顧客が自身の所有物でもある硬貨CIのような異物を取り忘れて立ち去る可能性があると共に、その後に他の顧客が訪れた際、その取り忘れられていた硬貨CIのような異物を持ち帰る可能性もある。
従って制御部10は、紙幣の入金時、顧客により入金の取り引きが選択されると、入金処理を開始して紙幣投入取出部6のシャッタ23を紙幣の投入用に開くものの、そのシャッタ23を開いた時点から、誤って硬貨CIのような異物が投入されていないかを確認する間や、誤って投入された硬貨CIのような異物を排出するまでの間、入金処理を一時的に停止する。
そして制御部10は、異物排出処理を終了すると、それまで一時的に停止していた入金処理を再開して、その入金処理の一環として紙幣投入取出部6から入金用の紙幣を搬送路18へ繰り出し始めている。
これにより制御部10は、紙幣の入金時、紙幣投入取出部6に入金用の紙幣が投入されると共に、誤って硬貨CIのような異物も投入された際、異物排出処理が終了する前に入金処理が終了することを回避している。
言い換えると、制御部10は、紙幣の入金時、あたかも異物排出処理を実行して、その異物排出処理が終了してから入金処理を実行しているようにして、当該入金処理が異物排出処理よりも必ず後に終了するようにしている。
このようにして制御部10は、顧客が紙幣投入取出部6に誤って硬貨CIのような異物を投入した場合、顧客により、その異物が取り忘れられること、また他の顧客によって持ち帰られることを防止している。
また制御部10は、紙幣の入金時、紙幣投入取出部6のシャッタ23を紙幣の投入用に開くと、そのシャッタ23を開いた時点から、誤って硬貨CIのような異物が投入されていないかを確認する間や、誤って投入された硬貨CIのような異物を排出するまでの間(すなわち、入金処理を一時的に停止している間)、当該シャッタ23を開いたままにしている。
これにより制御部10は、そのシャッタ23を開いたまました状態により、顧客に対し入金処理を一時的に停止していることを直感的に認識させ、シャッタ23が閉じて入金処理が再開されることを何ら違和感なく待たせることができる。
そして制御部10は、上述した異物排出処理手順からも明らかなように、紙幣投入取出部6に誤って投入された硬貨CIのような異物が多い程、ベルト駆動部29を1サイクル単位で制御する回数が増加して(すなわち、異物受取繰出部25からの異物の繰り出しに要する時間が長くなり)、その分、シャッタ23を開いたままにする時間も長くなる。
これにより制御部10は、異物排出処理を実行して実際に異物受取繰出部25から異物を繰り出している間は、その際のシャッタ23を開いたままの時間が比較的長いことにより、顧客に対し紙幣投入取出部6に誤って硬貨CIのような異物が投入されたことで入金処理が一時的に停止していることを直感的に認識させることができる。
よって制御部10は、顧客により紙幣投入取出部6に誤って硬貨CIのような異物が投入された場合、当該顧客に、その異物を返却口9からほぼ確実に取り出させるようにして返却することができる。
また制御部10は、例えば、異物排出処理の実行中に異物受取繰出部25から硬貨CIのような異物が繰り出されたことを検出すると(すなわち、異物受取繰出部25から最初に異物が繰り出されたとき)、タッチスクリーン4に「紙幣以外のものが投入されたため、排出するように処理しています」というような、異物排出処理が実行中であることを通知するためのメッセージを有する操作画面を表示する。
これにより制御部10は、顧客に対しその操作画面を介して、紙幣投入取出部6に誤って硬貨CIのような異物が投入されたことで異物排出処理を実行しているために入金処理が一時的に停止していることを確認させることができる。
さらに制御部10は、異物受取繰出部25から硬貨CIのような異物が繰り出されたことを検出すると、入金処理が終了した際、タッチスクリーン4に入金処理の終了を通知するためのメッセージと共に、「誤って投入された紙幣以外のものは返却口から返却いたします」というような、異物の返却を通知するためのメッセージを有する操作画面を表示する。
これにより制御部10は、顧客に対しその操作画面を介して、返却口9から硬貨CIのような異物を取り出すように促し、その異物を返却口9を介して、より確実に返却することができる。
(1−5)実施の形態の動作及び効果
以上の構成において、現金自動預払機1の制御部10は、紙幣の入金時、異物排出部11の紙幣投入取出部6においてシャッタ23を開くことで紙幣収容部22の上側開口部22Aを開放する。
この状態で現金自動預払機1の異物排出部11は、紙幣収容部22に誤って硬貨CIのような異物が投入されると、その異物を紙幣収容部22の収容部下端に形成された異物落下用穴22D乃至22Fに通して落下させて、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに載せるようにして受け取る。
この際、現金自動預払機1の制御部10は、異物受取繰出部25においてベルト駆動部29を制御して左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28を一回転方向へ回転させて、当該搬送ベルト28の上側平坦部28Aを異物の繰出側へ異物繰出変位量だけ変位させる。
次いで現金自動預払機1の制御部10は、ベルト駆動部29を制御して左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28を他回転方向へ回転させて、当該搬送ベルト28の上側平坦部28Aを異物の戻し側へ異物戻し変位量だけ変位させる。
続いて現金自動預払機1の制御部10は、ベルト駆動部29を制御して左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28を一回転方向及び他回転方向へ順次交互に回転させて当該搬送ベルト28の上側平坦部28Aを繰出側及び戻し側へ振動変位量ずつ順次交互変位させて左右に小刻みに振動させる。
そして現金自動預払機1の制御部10は、このような搬送ベルト28の上側平坦部28Aに対する一連の変位を、異物受取繰出部25からの硬貨CIのような異物の繰出状況を監視しながら適宜繰り返す。
従って現金自動預払機1の制御部10は、例えば、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに異物としての複数の硬貨CIが幾つもの積層状の重なりとして載り、また右向きの楔状の重なりとしても載っており、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを硬貨CIの繰出用及び戻し用に変位させただけでは、繰出量制限部32や圧縮コイルばね31により、その複数の硬貨CIの楔状の重なりを崩せない場合であっても、その後の上側平坦部28Aの振動を、右向きで楔状に重なっている複数の硬貨CIに加えて、その重なりを崩すことができる。
すなわち、現金自動預払機1では、搬送ベルト28の上側平坦部28Aにおいて圧縮コイルばね31の左側全体に亘り、複数の硬貨CIが幾つもの積層状の重なりとして順に並ぶように載ると共に、当該圧縮コイルばね31の右側に複数の硬貨CIが右向きで楔状に重なって載ることがある。
現金自動預払機1では、この際、搬送ベルト28の上側平坦部28Aにより複数の硬貨CIを繰出側へ搬送するものの、圧縮コイルばね31の右側に載っている複数の硬貨CIが繰出量制限部32(すなわち、異物繰出通路の入口)によっては繰出量を制限し得ないような高さで楔状に重なっていると、その重なりを崩せないまま戻し側へ搬送することになる。
そして現金自動預払機1では、複数の硬貨CIを戻し側へ搬送しても、圧縮コイルばね31の左側に載っている複数の硬貨CIがほとんど動かないために、右向きで楔状に重なっている複数の硬貨CIを、当該左側の複数の硬貨CIで移動を遮るようにして圧縮コイルばね31の下側を通すことができず、その結果、複数の硬貨CIの右向きの楔状の重なりを崩せない場合がある。
しかしながら、現金自動預払機1では、このような場合でも、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを戻し側へ異物戻し変位量だけ変位させた後、当該上側平坦部28Aを繰出側及び戻し側へ振動変位量ずつ順次交互に変位させて左右に小刻みに振動させることで、その振動を、右向きで楔状に重なっている複数の硬貨CIに加えて、これら複数の硬貨CIの楔状の重なりを崩すことができる。
よって現金自動預払機1の制御部10は、引き続き搬送ベルト28の上側平坦部28Aを繰出側へ異物繰出変位量だけ変位させることで、異物受取繰出部25から当該上側平坦部28Aに載っていた複数の硬貨CIを排出用に繰り出すことができる。
以上の構成によれば、現金自動預払機1では、紙幣の入金時、紙幣投入取出部6の紙幣収容部22に誤って硬貨CIのような異物が投入されると、その異物を紙幣収容部22の収容部下端から落下させて異物受取繰出部25において搬送ベルト28の上側平坦部28Aで受け取ると共に、制御部10がベルト駆動部29を制御して左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28を一回転方向へ回転させて上側平坦部28Aを繰出側へ異物繰出変位量だけ変位させた後、左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28を他回転方向へ回転させて上側平坦部28Aを戻し側へ異物戻し変位量だけ変位させ、引き続き左側プーリ26及び右側プーリ27と共に搬送ベルト28を一回転方向及び他回転方向へ順次交互に回転させて上側平坦部28Aを繰出側及び戻し側へ振動変位量ずつ順次交互変位させて左右に小刻みに振動させるようにして、このような搬送ベルト28の上側平坦部28Aに対する一連の変位を、異物受取繰出部25からの硬貨CIのような異物の繰出状況を監視しながら適宜繰り返すようにした。
これにより現金自動預払機1は、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに異物としての複数の硬貨CIが幾つもの積層状の重なりとして載り、また右向きの楔状の重なりとしても載っており、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを硬貨CIの繰出用及び戻し用に変位させただけでは、繰出量制限部32(すなわち、異物繰出通路の入口)や圧縮コイルばね31によっては、その複数の硬貨CIの楔状の重なりを崩せない場合であっても、その後の上側平坦部28Aの振動により、複数の硬貨CIの右向きの楔状の重なりを崩すことができる。よって現金自動預払機1は、紙幣投入取出部6の紙幣収容部22に誤って投入された硬貨CIのような異物を確実に排出することができる。
また現金自動預払機1の制御部10は、異物受取繰出部25において搬送ベルト28の上側平坦部28Aを繰出側へ異物繰出変位量だけ変位させた後、戻し側へ異物戻し変位量だけ変位させ、引き続き繰出側及び戻し側へ振動変位量ずつ順次交互に変位させて小刻みに振動させるようにした。
従って現金自動預払機1の制御部10は、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに載っている異物としての複数の硬貨CIのうち右側に載っている1又は複数の硬貨CIを異物受取繰出部25から極力繰り出した上で、当該上側平坦部28Aを戻し側へ異物戻し変位量だけ変位させて、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに載っている硬貨CIを、異物繰出通路の入口から極力離して当該入口付近に異物の無い空スペースを確保することができる。
そのうえで、現金自動預払機1の制御部10は、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを左右に振動させることで、異物繰出通路の入口付近の空スペースを利用して複数の異物の重なりを崩し易くすることができる。
さらに現金自動預払機1の制御部10は、ベルト駆動部29を制御して搬送ベルト28の上側平坦部28Aを振動させるようにした。
従って現金自動預払機1は、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを振動させるための特別な機構を何ら設けることなく、当該搬送ベルト28を異物の搬送用に駆動するためのベルト駆動部29を振動用の駆動に兼用し、かくして簡易な構成で搬送ベルト28の上側平坦部28Aを容易に振動させることができる。
さらに現金自動預払機1の制御部10は、紙幣の入金時、紙幣投入取出部6においてシャッタ23を開くと、誤って硬貨CIのような異物が投入されていないかを確認する間や、誤って投入された硬貨CIのような異物を排出するまでの間、シャッタ23を開いたままにして入金処理を一時的に停止するようにした。
これにより現金自動預払機1の制御部10は、そのシャッタ23を開いたまました状態により、顧客に対し入金処理を一時的に停止していることを直感的に認識させて、シャッタ23が閉じて入金処理が再開されることを何ら違和感なく待たせることができる。
そして現金自動預払機1の制御部10は、シャッタ23を開いたままの時間が比較的長いときには、顧客に対し紙幣投入取出部6に誤って硬貨CIのような異物が投入されたことで入金処理が一時的に停止していることを直感的に認識させることができる。
よって現金自動預払機1の制御部10は、顧客により紙幣投入取出部6に誤って硬貨CIのような異物が投入された場合、当該顧客に、その異物を返却口9からほぼ確実に取り出させるようにして返却することができる。
従って現金自動預払機1の制御部10は、紙幣投入取出部6に誤って硬貨CIのような異物が投入されている場合、また投入された異物が多い程、シャッタ23を開いたままにする時間を長くして、顧客に対し紙幣投入取出部6に硬貨CIのような異物を誤って投入していることを分からせて、その異物を返却口9からほぼ確実に取り出させるようにして返却することができる。
(2)他の実施の形態
(2−1)他の実施の形態1
なお上述した実施の形態においては、異物排出部11において搬送ベルト28を一回転方向及び他回転方向へ順次交互に回転させるようにして上側平坦部28Aを左右に小刻みに振動させるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、回転可能な偏芯カムと、当該偏芯カムを回転させるように駆動する駆動部とを有する振動部を用いて搬送ベルト28の上側平坦部28Aを振動させるようにしても良い。
すなわち、本発明は、例えば、図18(A)及び(B)に示すように、異物排出部において搬送ベルト28の上側平坦部28A及び下側平坦部28Bの間隙の中間位置に回転軸40を、当該搬送ベルト28の幅方向と平行にして一回転方向に回転可能に支持する。
また本発明は、その回転軸40を偏芯カム41の中心からずれた位置に穿設された孔部に通すようにして、当該回転軸40に偏芯カム41を固定する。
さらに本発明は、その回転軸40に図示しない駆動部においてモータの出力軸を複数のギヤを介して連結することで、当該モータを動作させて偏芯カム41を、回転軸40を中心にして一回転方向に回転可能にする。
そして本発明は、偏芯カム41の一周に亘る周側面の中で回転軸40から最も離れた部分(以下、これを周側面軸離隔部分とも呼ぶ)41Aまでの距離を、当該回転軸40から搬送ベルト28の上側平坦部28A(及び下側平坦部28B)の内面までの距離よりも長く選定する。
また本発明は、偏芯カム41の一周に亘る周側面の中で回転軸40に最も近い部分(以下、これを周側面軸近接部分とも呼ぶ)41Bまでの距離を、当該回転軸40から搬送ベルト28の上側平坦部28A(及び下側平坦部28B)の内面までの距離よりも短く選定する。
これにより本発明は、モータ及び複数のギヤを介して偏芯カム41を、回転軸40を中心にして一回転方向に回転させることで、当該偏芯カム41の周側面軸離隔部分41Aにより搬送ベルト28において上側平坦部28Aの中央部を上下に変位させるようにして振動させることができる。
また本発明は、例えば、振動板と当該振動板を振動させる駆動部とを有する振動部を用い、搬送ベルト28の上側平坦部28Aの内面に、その振動板を適宜押し当てて振動させることで、当該上側平坦部28Aを振動させるようにしても良い。
本発明は、このように偏芯カム41を有する振動部や振動板を有する振動部を用いる構成によっても、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを振動させて、当該上側平坦部28Aに載っている複数の硬貨の重なりを崩すことができ、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
さらに本発明は、上述した実施の形態のように、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを繰出側及び戻し側へ順次交互に変位させるようにして小刻みに振動させる場合、当該搬送ベルト28の上側平坦部28Aに対する繰出側の振動変位量と戻し側の振動変位量とを異なる(繰出側の振動変位量を戻し側の振動変位量よりも長くする、又はこの逆の)ようにしても良い。
本発明は、このように搬送ベルト28の上側平坦部28Aを、繰出側及び戻し側へ順次交互に異なる振動変位量ずつ変位させるようにして小刻みに振動させても、当該搬送ベルト28の上側平坦部28Aに載っている複数の硬貨の重なりを崩すことができ、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(2−2)他の実施の形態2
また上述した実施の形態においては、異物排出部11に、平ベルトでなる(すなわち、外面に凹凸や突起の無い)搬送ベルト28を用いるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、例えば、図19に示すように、異物排出部45に、外面に一周に亘り所定の間隔で複数の突起部46Aが突設された搬送ベルト46を用いるようにして良い。
因みに、本発明は、係る搬送ベルト46として、外面に当該搬送ベルト46の幅方向の一方の縁から他方の縁に亘るリブ状の複数の突起部46Aが一周に亘り所定間隔で突設されたものを用いるようにしても良い。
また本発明は、係る搬送ベルト46として、外面に当該搬送ベルト46の幅よりも短い突起部46Aが一周に亘りジクザグのような所定のパターンで突設されたものを用いるようにしても良い。
そして本発明は、係る搬送ベルト46を一回転方向に回転させて上側平坦部46Bを繰出側へ異物繰出変位量だけ変位させた際に、左側プーリ26から右側プーリ27までの間を少なくとも1個の突起部46Aが通過するように、当該搬送ベルト46の外面に突起部46Aを一周に亘り所定間隔で突設するようにしても良い。
本発明は、このような搬送ベルト46を用いると、突起部46Aに硬貨のような異物を引っ掛けるようにして、より確実に搬送することができる。
(2−3)他の実施の形態3
さらに上述した実施の形態においては、異物排出部11に、搬送路一端が収納部20の右側壁20B付近で受取繰出ガイド30のガイド他端に接続されると共に、搬送路他端に返却口9が形成された異物搬送路21を設けるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、例えば、図3及び図4との対応部分に同一符号を付した図20及び図21に示すように、異物排出部48に、一端が収納部20の右側壁20B付近で受取繰出ガイド30のガイド他端に接続されると共に、他端側に略箱型の異物収納庫49Aを有する異物搬送収納部49を設けるようにしても良い。
この場合、異物搬送収納部49は、一端部が収納部20の外側で受取繰出ガイド30のガイド他端部を右斜め下方向に延長させるように形成されていると共に、当該一端部に対し中央部が収納部20の外側で下方向に伸ばしたように屈曲されている。
また異物搬送収納部49は、その中央部に異物収納庫49Aが接続されており、当該異物収納庫49Aが預払機筐体2の内部で収納部20の例えば、右斜め下に配置されている。
これにより異物搬送収納部49は、受取繰出ガイド30の異物繰出口30Zから繰り出された異物を一端の開口部を介して一端部内に取り込んで右斜め下方向に滑らせ後、中央部内を真下に落下させるようにして、その先の異物収納庫49Aに収納する。
そして本発明は、係る異物搬送収納部49において異物収納庫49Aを預払機筐体2の内部に固設するようにしても良いし、当該異物搬送収納部49の中央部に対し着脱可能に装着して預払機筐体2の内部から外部へ引き出せるようにしても良い。
本発明は、係る構成によれば、紙幣の入金時に紙幣投入取出部6に誤って硬貨のような異物が投入された場合、その異物を返却口9から顧客に取り出させるのではなく、例えば、行員により異物収納庫49Aから取り出させて顧客に返却することができる。
(2−4)他の実施の形態4
さらに上述した実施の形態においては、受取繰出ガイド30のガイド他端部にセンサ37及びプリズム38を配置して、当該センサ37の受光素子36による反射光の受光結果に基づいて、異物受取繰出部25からの硬貨CIのような異物の繰り出しの有無を検出するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、図4との対応部分に同一符号を付した図22(A)及び(B)に示すように、上述の受取繰出ガイド30とほぼ同様構成の受取繰出ガイド50のガイド他端部にアクチュエータ型センサ51を配置して、当該アクチュエータ型センサ51の出力に基づいて、異物受取繰出部からの硬貨CIのような異物の繰り出しの有無を検出するようにしても良い。
この場合、アクチュエータ型センサ51は、本体部51Aが受取繰出ガイド50の下壁部50Aの外面に配置され、例えば圧電素子のようなアーム51Bの先端部が当該受取繰出ガイド50の下壁部50Aに穿設された孔部に通されてガイド他端部内(すなわち、異物繰出通路内)に突出している。
そしてアクチュエータ型センサ51は、異物繰出通路を硬貨CIのような異物が通過していないときには、アーム51Bが何ら変形しないことで、異物繰出通路を異物が通過していないことを示すように例えば、信号レベルを論理「L」レベルに立ち下げ、アーム51Bの上を異物が通過したときには当該アーム51Bが変形することで、異物繰出通路を異物が通過したことを示すように例えば、信号レベルを論理「H」レベルに立ち上げる異物通過有無信号を制御部10に送出する。
よって本発明は、係る構成でも、制御部10がアクチュエータ型センサ51から与えられる異物通過有無信号の信号レベルに基づき、異物繰出通路における異物の通過の有無、すなわち、異物受取繰出部からの異物の繰り出しの有無を検出することができる。
(2−5)他の実施の形態5
さらに上述した実施の形態においては、紙幣収容部22の下側開口部内に角柱状の2本の紙幣支持部22B、22Cを、その長手方向を開口短手方向と平行にし、かつ開口長手方向に添って等間隔で配置するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、例えば、上述の(1)式及び(2)式で表される紙幣支持部の配置位置の選定条件を満たしたうえで、紙幣収容部の下側開口部内に、断面が三角形や楕円形、半円形等のような種々の断面形状の3本以上の紙幣支持部を、その長手方向を開口短手方向と平行にし、かつ開口長手方向に添って等間隔で配置するようにしても良い。
また本発明は、これに限らず、紙幣収容部の下側開口部内に、それぞれ大きさが適宜選定された複数の異物落下用穴が所定パターンで形成された格子状や同心円状等のような紙幣支持部を配置するようにしても良い。
本発明は、これら係る構成によっても、紙幣収容部に紙幣を留めつつ、硬貨のような異物を収容部下端から落下させることができる。
(2−6)他の実施の形態6
さらに上述した実施の形態においては、受取繰出ガイド30の後壁部30Bの内面において異物取込口30Xの後縁の中央と搬送ベルト28の上側平坦部28Aの表面との間の所定位置に圧縮コイルばね31の一端を取り付けるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、受取繰出ガイド30の後壁部30Bの内面において異物取込口30Xの後縁の中央と搬送ベルト28の上側平坦部28Aの表面との間よりも左寄りや右寄りの所定位置に圧縮コイルばね31の一端を取り付けるようにしても良い。
また本発明は、受取繰出ガイド30の後壁部30Bの内面の種々の位置に、圧縮コイルばね31に換えて板ばねや、弾性を有するワイヤ等の一端を取り付けるようにしても良い。
本発明は、係る構成によっても、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを変位させた際、その上側平坦部28Aに載っている硬貨のような異物の重なりを崩すことができる。
(2−7)他の実施の形態7
さらに上述した実施の形態においては、制御部10がベルト駆動部29を制御して搬送ベルト28の上側平坦部28Aを、硬貨CIの繰出用、戻し用及び振動用の順番で変位させるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、制御部10がベルト駆動部29を制御して搬送ベルト28の上側平坦部28Aを、硬貨CIの戻し用、振動用及び繰出用の順番で変位させるようにしても良い。
本発明は、係る構成によれば、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを、まず戻し側へ異物戻し変位量だけ変位させて硬貨のような異物を、異物繰出通路の入口から極力離して当該入口付近に異物の無い空スペースを確保することができる。
そのうえで、本発明は、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを左右に振動させることで、複数の異物の重なりを崩して、これら複数の異物を異物繰出通路の入口に詰まりづらいように空スペースに散在させて、その後の上側平坦部28Aに対する繰出側への異物繰出変位量の変位により異物繰出通路へ送り出し易くすることができる。
また本発明は、制御部10がベルト駆動部29を制御して搬送ベルト28の上側平坦部28Aを、硬貨CIの振動用、繰出用及び戻し用の順番で変位させるようにしても良い。
本発明は、係る構成によれば、搬送ベルト28の上側平坦部28Aを、まず左右に振動させることで、紙幣収容部22の収容部下端から落下した硬貨のような異物を、上側平坦部28Aにより極力重ならせないように散在させて受け取ることができ、その後の上側平坦部28Aに対する繰出側への異物繰出変位量の変位により異物繰出通路へ送り出し易くすることができる。
そして本発明は、これら係る構成を、他の実施の形態1で上述した構成と組み合わせることもできる。すなわち、本発明は、搬送ベルト28の上側平坦部28Aに対する1連の変位において当該上側平坦部28Aの振動用の変位を、他の実施の形態1で上述した偏芯カム41や振動板を用いる上側平坦部28Aの直接的な振動に置き換えることもできる。
(2−8)他の実施の形態8
さらに上述した実施の形態においては、紙幣の入金時に異物排出部11により、紙幣投入取出部6に誤って投入された硬貨のような異物を排出するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、紙幣の入金時にリジェクト紙幣を返金する際や、紙幣の出金時のようにシャッタ23を開ける場合には、紙幣投入取出部6に誤って硬貨のような異物が投入される可能性があるため、その紙幣の入金時にリジェクト紙幣を返金する際や紙幣の出金時にも異物排出部11により、紙幣投入取出部6に誤って投入された硬貨のような異物を排出する(すなわち、制御部10により異物排出処理を実行する)ようにしても良い。
また本発明は、紙幣の入金時に異物排出部11により、紙幣の投入専用の紙幣投入部に誤って投入された硬貨のような異物を排出するようにしても良い。
さらに本発明は、紙幣の出金時やリジェクト紙幣の返金の際に、紙幣の取出専用の紙幣取出部に誤って投入された硬貨のような異物を排出するようにしても良い。
(2−9)他の実施の形態9
さらに上述した実施の形態においては、本発明による異物排出装置を、図1乃至図22について上述した現金自動預払機1に設けられた異物排出部11、45、48に適用するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、現金自動支払機(CD:Cash Dispenser)や両替機、電車の切符や観劇のチケット等を販売する券売機、精算機、自動販売機、パチンコ台やスロット台のような遊戯機等のような紙幣を取り扱う装置に設けられる異物排出部、またコピー機や複写機等のようなコピー用紙を取り扱う装置に設けられる異物排出部等のように、この他種々の異物排出装置に広く適用することができる。
(2−10)他の実施の形態10
さらに上述した実施の形態においては、本発明による紙葉類取扱装置を、図1乃至図22について上述した現金自動預払機1に適用するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、現金自動支払機や両替機、券売機、精算機、自動販売機、遊戯機等のような紙幣を取り扱う装置、またコピー機や複写機等のような用紙を取り扱う装置等のように、この他種々の紙葉類取扱装置に広く適用することができる。
(2−11)他の実施の形態11
さらに上述した実施の形態においては、収容部に収容される収納対象の紙葉類として、図1乃至図22について上述した紙幣を適用するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、コピー用紙や、チケット、葉書等のように、この他種々の紙葉類を広く適用することができる。
(2−12)他の実施の形態12
さらに上述した実施の形態においては、下端に、収納対象の紙葉類は通さずに、誤って投入された異物は通して落下させるための穴が形成された収容部として、図1乃至図22について上述した紙幣の入金及び出金に用いる紙幣収容部22を適用するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、入金用の紙幣の投入専用の紙幣投入部(すなわち、入金用の紙幣専用の収容部)や、出金用の紙幣の取出専用の紙幣取出部(すなわち、出金用の紙幣専用の収容部)、コピー用紙のトレイ等のように、この他種々の収容部を広く適用することができる。
(2−13)他の実施の形態13
さらに上述した実施の形態においては、収容部の下端の下側で、互いの回動軸を所定の間隔を介して平行にし、回動軸を中心にして一回転方向及び他回転方向に回動可能に支持された複数のプーリとして、図1乃至図22について上述した左側プーリ26及び右側プーリ27を適用するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、搬送ベルトを、収容部の下端から落下する異物を載せるようにして受け取って、当該異物を繰出側、及び当該繰出側とは逆の戻し側へ搬送するための平坦部を形成するように架けさせることができれば、所定のパターンで配置された3個以上のプーリ等のように、この他種々の構成のプーリを広く適用することができる。
(2−14)他の実施の形態14
さらに上述した実施の形態においては、収容部の下端から落下する異物を載せるようにして受け取って、当該異物を繰出側、及び当該繰出側とは逆の戻し側へ搬送するための平坦部を形成するように複数のプーリに架けられた搬送ベルトとして、図1乃至図22について上述した平ベルトでなる搬送ベルト28を適用するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、少なくとも外面が紙幣収容部22の収容部下端の開口短手方向の長さとほぼ等しい幅を有するVベルトや、紙幣収容部22の収容部下端の開口短手方向の長さよりも長い幅を有する平ベルト又はVベルト等のように、この他種々の搬送ベルトを広く適用することができる。
(2−15)他の実施の形態15
さらに上述した実施の形態においては、複数のプーリと共に搬送ベルトを一回転方向及び他回転方向へ回転させるように駆動するベルト駆動部として、図1乃至図22について上述したベルト駆動部29を適用するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、複数のプーリをそれぞれ駆動するための複数のモータを有するベルト駆動部や、一回転方向及び他回転方向へ回動可能な駆動ベルトの外面の一部を搬送ベルト28の外面の一部に押し付けるようにして、当該駆動ベルトを一回転方向及び他回転方向へ回転させることで、これに連動させて搬送ベルト28を他回転方向及び一回転方向へ回転させるベルト駆動部等のように、この他種々の構成のベルト駆動部を広く適用することができる。
(2−16)他の実施の形態16
さらに上述した実施の形態においては、搬送ベルトの平坦部を振動させる振動部として、図1乃至図22について上述したベルト駆動部29を適用するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、他の実施の形態1で上述した偏芯カム41を有する振動部や振動板を有する振動部等のように、この他種々の構成の振動部を広く適用することができる。
(2−17)他の実施の形態17
さらに上述した実施の形態においては、異物の繰出側への搬送用に複数のプーリと共に搬送ベルトを一回転方向へ回転させるようにベルト駆動部を制御し、また異物の戻し側への搬送用に複数のプーリと共に搬送ベルトを他回転方向へ回転させるようにベルト駆動部を制御し、さらに搬送ベルトの平坦部を振動させるように振動部を制御する制御部として、図1乃至図22について上述したマイクロコンピュータ構成の制御部10を適用するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、マイクロプロセッサやシーケンサ等のように、この他種々の構成の制御部を広く適用することができる。
(2−18)他の実施の形態18
さらに上述した実施の形態においては、搬送ベルトの平坦部の繰出側と対向して配置され、搬送ベルトの平坦部により繰出側に搬送される異物の当該平坦部からの繰出量を制限する繰出量制限部として、図1乃至図22について上述した繰出量制限部32を適用するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、受取繰出ガイド30における異物繰出通路の入口の上側の縁のように、この他種々の構成の繰出量制限部を広く適用することができる。
(2−19)他の実施の形態19
さらに上述した実施の形態においては、搬送ベルトの平坦部の所定部分と所定の間隙を空けて対向して配置され、搬送ベルトの平坦部によって搬送される異物の重なりを崩すための崩部として、図1乃至図22について上述した圧縮コイルばね31を適用するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、他の実施の形態6で上述した板ばねやワイヤ等のように、この他種々の構成の崩部を広く適用することができる。
(2−20)他の実施の形態20
さらに上述した実施の形態においては、搬送ベルトの平坦部から異物が排出用に繰り出されたか否かを検出するための検出部として、図1乃至図22について上述したセンサ37及びプリズム38を適用するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、リミットスイッチや、他の実施の形態4で上述したアクチュエータ型センサ51等のように、この他種々の構成の検出部を広く適用することができる。
(2−21)他の実施の形態21
さらに上述した実施の形態においては、収容部の上端の開口部を開放し、また閉塞するためのシャッタとして、図1乃至図22について上述したスライドするようにして開閉するシャッタ23を適用するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、回動するようにして開閉するシャッタのように、この他種々の構成のシャッタを広く適用することができる。
(2−22)他の実施の形態22
さらに上述した実施の形態においては、シャッタを駆動するシャッタ駆動部として、図1乃至図22について上述したシャッタ駆動部24を適用するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、シャッタを回動させるシャッタ駆動部のように、この他種々の構成のシャッタ駆動部を広く適用することができる。
(2−23)他の実施の形態23
さらに上述した実施の形態においては、制御部が、異物の繰出側への搬送用にベルト駆動部を制御し、また異物の戻し側への搬送用にベルト駆動部を制御し、さらに搬送ベルトの平坦部の振動用に振動部を制御する異物排出処理の実行中に、当該異物排出処理が実行中であることを通知するための通知部として、図1乃至図22について上述した異物排出処理が実行中であることを通知するためのメッセージを有する操作画面を表示するタッチスクリーン4を適用するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、異物排出処理が実行中であることを通知することができれば、当該異物排出処理が実行中であることをガイド音声やビープ音等の音によって通知するスピーカや、異物排出処理が実行中であることを光の発光色や発光パターンのように所定の発光状態で通知する発光部等のように、この他種々の構成の通知部を広く適用することができる。