以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動預払機及び紙幣入出金機の構成]
図1に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、利用者との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行う。以下では、現金自動預払機1のうち利用者が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した利用者から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
筐体2は、その前側に利用者が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に顧客応対部3が設けられている。顧客応対部3は、金融機関の顧客等の利用者との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになっており、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7、及びレシート発行口8が設けられている。
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。入出金口5は、利用者が入金する紙幣が投入されると共に、利用者へ出金する紙幣が排出される部分である。この入出金口5は、外側シャッタ5Aを前後方向へ移動させることにより、開口部分を開放し、又は閉塞する。
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルとなっている。テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
筐体2内には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。
主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
紙幣入出金機10は、図2に側面図を示すように、その内部に紙幣制御部11、入出金部12、搬送部13、鑑別部14、一時保留部15、紙幣収納庫16及びリジェクト庫17等が設けられている。
紙幣制御部11は、主制御部9と連携しながら、紙幣入出金機10を統括的に制御する。紙幣制御部11は、主制御部9と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、所定のプログラムを実行することにより、入金処理や出金処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部11は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部を有している。
入出金部12(図2)は、紙幣を収容する収容空間12Sや、この収容空間を閉塞又は開放するシャッタ、並びに紙幣の分離動作を行う分離部及び集積動作を行う集積部等を有している。この入出金部12は、利用者から収容空間12Sに投入された紙幣を分離部により1枚ずつに分離して搬送部13に引き渡し、また搬送部13から搬送されてくる紙幣を集積部により収容空間内に集積して利用者に受け取らせる(詳しくは後述する)。
搬送部13は、図示しないモータ、ローラ、ベルト及びガイド等により紙幣入出金機10内の各部を結ぶような搬送経路を形成している。この搬送部13は、ローラを適宜回転させ、またベルトを適宜走行させることにより、紙幣の短辺に沿った方向を進行方向として、この搬送経路に沿って搬送する。
鑑別部14は、内部に光学センサ、イメージセンサや磁気センサ等の各種センサを有している。鑑別部14は、この各種センサから得られた検知結果を基に、紙幣の金種を判別し、また正当な紙幣(いわゆる正券)又は偽造された紙幣(いわゆる偽造券若しくは偽券)の何れであるかを判別し、さらに損傷の程度等を判別する。鑑別部14は、これらの判別処理の結果を紙幣制御部11へ通知する。これに応じて紙幣制御部11は、各紙幣の搬送先を決定する。
一時保留部15は、搬送部13から搬送されてくる紙幣を内部に収納することにより一時的に保留し、またこの紙幣を順次繰り出して搬送部13に受け渡す。
紙幣収納庫16は、内部に多数の紙幣を集積して収納する。この紙幣収納庫16は、例えば入金取引において、鑑別部14の鑑別結果を基に紙幣制御部11によって損傷の程度が小さく再利用可能と判別された紙幣が、金種ごとに振り分けられ搬送部13により搬送されてくると、これを取り込んで収納する。また紙幣収納庫16は、出金取引において、紙幣制御部11の制御に基づき、指示された枚数の紙幣を1枚ずつに分離して繰り出し、搬送部13に順次受け渡す。
リジェクト庫17は、鑑別部14において損傷の程度が大きく再利用すべきでないと鑑別された紙幣(いわゆるリジェクト紙幣)を収納する。
[1−2.入出金部の構成]
次に、入出金部12の構成について説明する。図3に模式的な側面図(一部は断面図)を示すと共に、図4に平面図を示すように、入出金部12は、紙幣入出金機10(図2)が筐体2(図1)内に収納された場合、入出金口5のほぼ真下に位置する。この入出金部12は、箱状の筐体30(図3)内に、複数の部品により囲まれた収容空間12Sを形成している。
筐体30は、全体として中空の直方体状に形成されており、その上面における前側の約半分の範囲であって、収容空間12Sの上方となる箇所に、比較的大きな長方形状の入出孔30Hが設けられている。入出孔30Hにおける前後方向及び左右方向の長さは、収容空間12Sにおける前後方向及び左右方向の長さよりもそれぞれ大きくなっている。因みに入出孔30Hは、上側に位置する入出金口5における開口部のほぼ真下に位置しており、またこの開口部とほぼ同じ大きさとなっている。因みに入出金口5は、図3に実線で示した位置においてこの開口部を閉塞する一方、後方の破線で示した位置まで移動されることによりこの開口部を開放する。
収容空間12Sは、紙幣の長辺を左右方向に沿わせ、紙面を前後方向に向けた姿勢、すなわち底面に対し紙面を交差させた正常姿勢として、例えば最大で200枚まで集積された状態で、収容することが想定されている。このため収容空間12Sにおける左右方向の長さは、取り扱う紙幣のうち最も長い長辺よりも大きい。また収容空間12Sにおける上下方向の長さは、短手方向の長さが最も長い紙幣よりも大きい。さらに収容空間12Sの下側部分における前後方向の長さは、紙幣を200枚重ねたときの厚さよりも大きいものの、取り扱う紙幣のうち最も短い短辺よりも短い。
収容空間12Sは、底板31、プールガイド32及びビルプレス33並びに側板34及び35により、前後左右及び下側がそれぞれ囲まれており、上側が開放された空間となっている。以下では、底板31、プールガイド32及びビルプレス33並びに側板34及び35をまとめて収容部とも呼ぶ。
底板31は、上下方向に薄い板状でなり、その上面により収容空間12Sの底面、すなわち入出孔30Hと対向する面を形成している。また底板31は、後側よりも前側の方が下方に位置するよう、水平方向に対して傾斜している。さらに底板31は、収容空間12Sの範囲よりも前後方向にそれぞれ延長されている。
また底板31(図4)には、収容空間12Sの底面を形成する範囲に、上下に貫通する複数の孔部31Hが穿設されている。異物通過孔としての孔部31Hの下側には、異物収容器37(図3)が配置されている。このため入出金部12では、利用者により収容空間12S内に紙幣以外の異物、例えば硬貨やクリップ等が誤って投入されたとしても、これらを孔部31Hにより下方へ落下させることで、後述する紙幣の分離動作等に支障を来さないようになっている。この孔部31Hから下方へ落下した異物は、異物収容器37内に収容される。
プールガイド32は、全体として左右方向に長く前後方向に短い直方体状に形成されており、その後面により収容空間12Sの前側を仕切っている。またプールガイド32の後面における上端近傍は、部分的に斜めに切り落とされたような形状となっている。このプールガイド32は、図示しないアクチュエータにより、底板31に沿って前後方向へ移動される。例えばプールガイド32は、利用者に紙幣を取り出させる場合や紙幣を投入させる場合、図3に示した位置に移動される。以下、この位置を接客位置と呼ぶ。
ビルプレス33は、全体として左右方向に長く前後方向に短い直方体状に形成されており、その前面により収容空間12Sの後側を仕切っている。またビルプレス33の前面における上端近傍は、プールガイド32の後面と同様、部分的に斜めに切り落とされたような形状となっている。このため収容空間12Sは、下側部分よりも上側部分が広げられている。このビルプレス33は、プールガイド32と同様、図示しないアクチュエータにより、底板31に沿って前後方向へ移動される。例えばビルプレス33は、利用者に紙幣を取り出させる場合や紙幣を投入させる場合、図3に示した位置に移動される。以下、この位置を接客位置と呼ぶ。因みにプールガイド32及びビルプレス33は、後面及び前面の上端近傍がそれぞれ斜めに切り落とされたような形状となっていることにより、それぞれ接客位置にある状態で、利用者に対し、収容空間12S内から紙幣を容易に取り出させることができる。
側板34及び35(図4)は、それぞれ左右方向に薄い板状に形成されており、収容空間12Sの左側面及び右側面を形成している。この側板34及び35は、筐体30に固定されている。
収容空間12Sの上方には、開閉可能な内側シャッタ36が設けられている。内側シャッタ36は、全体として上下方向に薄い板状に構成されており、前後方向及び左右方向の長さが筐体30の入出孔30Hとほぼ同等となっている。この内側シャッタ36は、図5に斜視図を示すように、上下方向に薄い板状の基部36Aを中心に構成されている。基部36Aは、左右方向から見て上に凸となるように、緩やかに湾曲されている。基部36Aの上面及び下面には、それぞれ複数のリブ36B及び36Cが立設されている。リブ36B及び36Cは、何れも左右方向に薄く前後方向に長い薄板状に形成されている。特にリブ36Cは、それぞれの下端を左右方向に繋いだ仮想的な曲面により、収容空間12Sの上面を形成している。
また内側シャッタ36は、紙幣制御部11の制御に基づき、図示しないアクチュエータやスライド機構等により、前後方向に沿って緩やかに湾曲するように移動される。具体的に内側シャッタ36は、前方へ移動された場合、図3に実線で示したように、筐体30の入出孔30Hを閉塞し、収容空間12Sを外部空間から隔離する。また内側シャッタ36は、後方へ移動された場合、図3に破線で示したように、筐体30の入出孔30Hを開放し、収容空間12Sを外部空間と連通させる。
底板31(図3)の前下方、すなわち異物収容器37の前方には、分離部38が設けられている。分離部38は、複数のローラや搬送ガイド等により構成されている。入出金部12は、収容空間12S内の紙幣を分離する場合、プールガイド32及びビルプレス33を前方へ移動させて紙幣を所定のローラに当接させ、分離部38の各ローラを適宜回転させる。これにより分離部38は、収容空間12S内の紙幣を1枚ずつに分離しながら、搬送ガイドに沿って下方へ繰り出し、搬送部13(図2)へ順次引き渡す。
底板31の後下方、すなわち異物収容器37の後方には、集積部39が設けられている。集積部39は、複数のローラや搬送ガイド等により構成されている。入出金部12は、収容空間12S内に紙幣を集積する場合、ビルプレス33及びプールガイド32を後方へ移動させ、各ローラを適宜回転させる。搬送部13(図2)から紙幣が搬送されてくると、集積部39は、搬送ガイドに沿って紙幣を収容空間12Sへ向けて搬送し、当該紙幣をローラ同士の間に挟持させて、収容空間12S内へ放出する。このとき紙幣は、上方に位置する内側シャッタ36の下面に当接した後、底板31上に落下し、プールガイド32の後面又は既に放出された他の紙幣に立てかけられるようにして順次集積されていく。
また入出金部12(図3)には、各部における紙幣の有無を検知するために、複数の検知部が設けられている。具体的に入出金部12には、収容空間12S内における紙幣の有無を検知する検知部41及び42と、利用者が収容空間12S内にアクセスしたか否かを検知するための検知部43と、外側シャッタ5A及び内側シャッタ36の間における紙幣の有無を検知する検知部44及び45が設けられている。
検知部41は、最も前側に移動したプールガイド32よりも前側に設けられた発光素子と、最も後側に移動したビルプレス33よりも後側に配置された受光素子とにより構成されている。すなわち検知光の光路は、収容空間12S内を前後方向に横切ることになる。検知部41は、発光素子から後方へ向けて検知光を発光し、受光素子によりこの検知光を受光すると共に、当該検知光を受光したか否かを表す検知信号を生成して紙幣制御部11へ送信する。
検知部42は、検知部41よりも上方に配置されており、検知部41と同様に構成されている。因みに入出金部12には、複数の検知部41及び複数の検知部42が、それぞれ左右方向に離散した箇所に配置されている。またプールガイド32及びビルプレス33には、各検知光が通過する箇所に、各検知光を通過させるための通過孔がそれぞれ設けられている。
紙幣制御部11は、検知部41及び42からそれぞれ受信した検知信号を基に、収容空間12S内における紙幣の有無を判断する。具体的に紙幣制御部11は、全てにおいて検知光を受光した場合には、収容空間12S内に紙幣が存在しないと判断し、1箇所以上で検知光を受光しなかった場合には、収容空間12S内に1枚以上の紙幣が存在すると判断する。
取出検知部としての検知部43は、プールガイド32及びビルプレス33の上端近傍に配置されており、検知部41と同様に発光素子及び受光素子により構成されている。因みに入出金部12には、複数の検知部43が左右方向に離散した箇所に配置されている。また検知部43は、内側シャッタ36が閉塞状態にある場合、基部36Aの下面に設けられたリブ36C同士の間を検知光が通過するよう、その配置が調整されている。
紙幣制御部11は、利用者に収容空間12Sへ紙幣を投入させる場合に、検知部43から受信した検知信号を基に、当該収容空間12Sからはみ出すこと無く紙幣が収容されているか否かを判断する。具体的に紙幣制御部11は、検知部43の受光素子が発光素子の検知光を受光できなかった場合、収容空間12Sから紙幣がはみ出していると判断し、外側シャッタ5A及び内側シャッタ36を開放したまま、操作表示部6に所定のメッセージを表示する等して、利用者に紙幣の再投入を促す。一方、紙幣制御部11は、検知光を受光した場合、収容空間12Sからはみ出すこと無く紙幣が正しく収容されていると判断し、外側シャッタ5A及び内側シャッタ36を閉塞して、以降の処理を継続する。
また紙幣制御部11は、例えば利用者に収容空間12Sから紙幣を取り出させる場合等に、検知部43から受信した検知信号を基に、利用者による収容空間12Sへのアクセスの有無、すなわち利用者の手や指先等を収容空間12S内へ差し入れることによる紙幣の投入又は取出が行われたか否かを判断することもできる。具体的に紙幣制御部11は、一定の期間において、全て検知光を受光し続けた場合には、収容空間12S内に対するアクセスが無かったと判断し、この期間内に1箇所以上で所定時間以上検知光を受光しなかった場合には、収容空間12S内に対するアクセスがあったと判断する。
検知部44及び45は、外側シャッタ5Aと内側シャッタ36との間に配置されており、検知部41と同様に発光素子及び受光素子により構成されている。紙幣制御部11は、検知部44及び45からそれぞれ受信した検知信号を基に、外側シャッタ5Aと内側シャッタ36との間における紙幣の有無を判断する。具体的に紙幣制御部11は、双方で検知光を受光した場合には、外側シャッタ5Aと内側シャッタ36との間に紙幣が存在しないと判断し、少なくとも一方で検知光を受光しなかった場合には、外側シャッタ5Aと内側シャッタ36との間に紙幣が存在すると判断する。
かかる構成に加えて入出金部12には、紙幣の有無を検知する検知部50(図3)が設けられている。検知部50は、発光素子51、光通路52、プリズム53、光通路54及び受光素子55により構成されている。
発光素子51は、内側シャッタ36が閉塞状態にあるときの前端よりも前側に位置している。この発光素子51は、検知部41の発光素子と同様に構成されており、後方へ向けて検知光を発光する。光通路52は、検知光を透過する樹脂材料により構成され、前後方向に細長い角柱状に形成されている。この光通路52は、発光素子51と内側シャッタ36との間に設けられており、前面から入射された検知光をそのまま後方へ進行させて後面から出射させる。
導光部としてのプリズム53は、内側シャッタ36における基部36A(図5)の下面に取り付けられており、全体として前後方向に細長い角柱状に形成されている。プリズム53の前面は、前後方向に対しほぼ垂直な平面となっており、検知光を透過する。一方、プリズム53の後面53Rは、上端よりも下端が後方に位置するように傾斜した平面となっており、検知光を反射する反射面を形成している。
かかる構成によりプリズム53は、内側シャッタ36が閉塞状態にあれば、前面から入射される検知光を後方へ進行させ、後面53Rにおいて反射させて、下面の後端近傍から下斜め後方へ向けて当該検知光を進行させる。以下、プリズム53から出射された検知光を検知光L1とも呼ぶ。この検知光L1は、収容空間12S内をほぼ上下方向に沿って、すなわち入出孔30Hから収容空間12Sの底面へ向かう方向に沿って、進行することになる。一方、プリズム53は、図3と対応する図6に示すように、内側シャッタ36が開放状態であれば、光通路52の後面から出射された検知光が前面に入射されないため、収容空間12S内へ検知光L1を進行させることはできない。
検知光通過部としての光通路54は、光通路52と同様、検知光を透過する樹脂材料により構成されており、おおむね上下方向に細長い角柱状に形成されている。この光通路54は、異物収容器37の後側であって、且つ接客位置にあるビルプレス33の前面により上面54Tが遮蔽されない箇所に取り付けられている。また光通路54の収容面としての上面54Tは、底板31に穿設された孔部31H2に挿通されており、図7に示すように、上面54Tが底板31の上面よりも僅かに低くなるように取り付けられている。この光通路54は、上面54Tから入射された検知光を下方へ進行させ、下面から下方へ向けて出射させる。
受光素子55は、光通路54の下側であって、その下面と対向する位置に設けられている。この受光素子55は、検知部41等の受光素子と同様、検知光を受光し、当該検知光を受光したか否かを表す検知信号を生成して紙幣制御部11へ送信する。
紙幣制御部11は、受光素子55から受信した検知信号を基に、検知光L1の光路上における紙幣の有無を判断する。具体的に紙幣制御部11は、受光素子55において検知光L1を受光した場合には、当該検知光L1の光路上に紙幣が存在しないと判断し、当該検知光L1を受光しなかった場合には、当該検知光L1の光路上に1枚以上の紙幣が存在すると判断する。
これにより紙幣制御部11は、例えば図3に示した紙幣BL1のように、プールガイド32における上側の傾斜部分とビルプレス33における上側の傾斜部分との間に挟まるように、紙面をほぼ水平に沿わせた紙幣(以下これを水平置き紙幣と呼ぶ)についても、検知光L1の受光結果を基にその有無を正しく判断できる。
ところで検知部50を構成する各部品は、左右方向に関し、筐体30の入出孔30Hにおける中心に相当する位置に配置されている。ここで、例えば光通路54の左側面から右の側板35までの長さW1(図4)は、紙幣入出金機10において取り扱う紙幣のうち最も短い長辺の長さよりも短くなっている。
また内側シャッタ36の閉塞時におけるプリズム53の後面53R(図3)は、前後方向に関し、筐体30の入出孔30Hにおけるほぼ中央に位置している。ここで、入出孔30Hの前端から後面53Rの後端までの距離D1及び入出孔30Hの後端から後面53Rの前端までの距離D2は、何れも紙幣入出金機10において取り扱う紙幣のうち最も短い短辺の長さよりも短くなっている。
このため入出金部12は、紙幣入出金機10において取り扱う最も小さい紙幣が水平置き紙幣BL1となり、入出孔30Hにおける前後左右の何れかの側辺に当接するように偏っていたとしても、その紙面により検知光L1を遮らせることができる。
[1−3.水平置き紙幣の取出の判断]
ところで入出金部12では、利用者による収容空間12Sに対する紙幣の投入や取出を妨げないようにすると共に、検知光L1を収容空間12S内でほぼ上下方向に沿って進行させる観点から、内側シャッタ36の下側にプリズム53を取り付けている。
このため紙幣制御部11は、入出金部12において内側シャッタ36が閉塞されている状態においてのみ、検知光L1による水平置き紙幣の有無を判断することができる。換言すれば、紙幣制御部11は、内側シャッタ36が開放状態にあるときには、検知光L1による水平置き紙幣の有無を判断することができない。
例えば紙幣制御部11は、入金取引において、入出金口5の外側シャッタ5A及び入出金部12の内側シャッタ36を開放して利用者に紙幣を投入させ、外側シャッタ5A及び内側シャッタ36を閉塞する。
このとき紙幣制御部11は、まず検知部41及び42により紙幣を検知したか否かを判断する。紙幣制御部11は、紙幣を検知できた場合、紙面をほぼ前後に向け長辺を左右方向に沿わせた正常姿勢で収容空間12S内に投入された紙幣が存在すると判断する。このとき紙幣制御部11は、検知部43から受信した検知信号を基に、当該収容空間12Sからはみ出すこと無く紙幣が収容されているか否かについても判断し、はみ出していると判断した場合には利用者に再投入を促す。
一方、紙幣制御部11は、検知部41及び42により紙幣を検知できなかった場合には、収容空間12S内に正常姿勢の紙幣が存在しないと判断する。この場合、紙幣制御部11は、さらに検知部50により紙幣を検知したか否かを判断する。紙幣制御部11は、紙幣を検知できた場合、水平置き紙幣BL1が存在すると判断する。一方、紙幣制御部11は、紙幣を検知できなかった場合には、水平置き紙幣BL1が存在しないと判断する。
ここで紙幣制御部11は、水平置き紙幣BL1が存在すると判断した場合、外側シャッタ5A及び内側シャッタ36を開放することにより、利用者に水平置き紙幣BL1を取り出させ、或いは収容空間12S内へ正常姿勢で再投入させる。
このとき紙幣制御部11は、内側シャッタ36を開放しているため、水平置き紙幣BL1が利用者により取り出されたか否かを、検知光L1の受光結果を利用して判断することができない。そこで紙幣制御部11は、内側シャッタ36を開放した時点から検知部43の検知結果を監視し、検知光が一時的に遮られた後に再び検知した場合に、利用者の手により水平置き紙幣BL1が取り出され、或いは収容空間12S内に正常姿勢で再投入されたものと判断する。
このように紙幣制御部11は、内側シャッタ36が開放された状態において、検知部50が直接的に水平置き紙幣BL1の有無を検知するのでは無く、検知部43の検知結果を利用することにより、水平置き紙幣BL1が利用者により取り出されたか否かを、いわば間接的に判断するようになっている。
[1−4.動作及び効果]
以上の構成において、第1の実施の形態による現金自動預払機1の紙幣入出金機10は、入出金部12に検知部50を設けることにより、検知光L1に収容空間12S内をほぼ上下方向に沿って進行させるようにした。
これにより入出金部12は、利用者により誤って紙幣の紙面を水平に向けて投入され、水平置き紙幣BL1が存在したとしても、この水平置き紙幣BL1により検知光L1を遮断させることができる。このため紙幣制御部11は、検知部50の検知結果を利用することにより、水平置き紙幣BL1の存在を正しく認識し、さらに外側シャッタ5A及び内側シャッタ36を開放することにより、利用者に取り出させ、或いは正常姿勢で再投入させることができる。
また検知部50は、内側シャッタ36にプリズム53を取り付け、筐体30内に発光素子51を設けた。このため入出金部12は、例えば内側シャッタ36に発光素子51を取り付ける場合と比較して、前後方向へ移動する内側シャッタ36に取り付けられる発光素子51に対する複雑な配線を不要として軽量化でき、アクチュエータやスライド機構の小型化や簡素化、並びに低消費電力化を図ることができる。
さらに検知部50は、底板31の孔部31H2と受光素子55との間に光通路54を配置したため、受光素子55の上面に埃や細かい異物が堆積することによる受光性能の低下を防止できる。また検知部50は、光通路54の上面54Tを当該底板31の上面の近傍に位置させたため、仮に上面54Tに埃等が堆積したとしても、容易に取り除くことができる。そのうえ検知部50は、光通路54の上面54Tを、底板31の上面よりも低い位置に配置したため、収容空間12Sに収容された紙幣や異物が上面54Tに直接当接する頻度を大幅に低減でき、当該上面54Tが傷ついて検知光L1の透過率が低下することを良好に回避できる。
また検知部50は、異物収容器37の下方では無く、当該異物収容器37の後側に光通路54を配置した。このため入出金部12は、異物収容器37内に収容されている異物により検知光L1を遮断させることなく、紙幣制御部11において検知光L1の検知結果を基に水平置き紙幣BL1の有無を正しく判断させることができる。
さらに検知部50は、内側シャッタ36に対し、基部36Aの下面であってリブ36C同士の間にプリズム53を取り付けた。また検知部50は、プリズム53の下面をリブ36Cの下面よりも上側に位置させた。これにより入出金部12は、例えば集積部39から収容空間12S内へ紙幣を放出する際に、放出された紙幣が内側シャッタ36の下面に当接したとしても、これをリブ36Cに当接させるため、紙幣がプリズム53に当接することによる当該紙幣や当該プリズム53の損傷を回避できる。
以上の構成によれば、第1の実施の形態による現金自動預払機1の紙幣入出金機10は、入出金部12に検知部50を設け、収容空間12S内で検知光L1をほぼ上下方向に沿って進行させるようにした。これにより紙幣入出金機10の紙幣制御部11は、水平置き紙幣BL1の存在を検知でき、その検知結果に応じて外側シャッタ5A及び内側シャッタ36を開放させて当該水平置き紙幣BL1を取り出させ、或いは正しい姿勢で収容空間12S内へ再投入させることができる。
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による現金自動預払機101(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機110を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機110は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、入出金部12に代わる入出金部112を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
入出金部112は、図3の一部と対応する図8に示すように、底板31、ビルプレス33及び検知部50に代わる底板131、ビルプレス133及び検知部150を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
検知部150は、第1の実施の形態による検知部50と比較して、光通路54及び受光素子55の位置が後方に移されており、接客位置にあるビルプレス133のほぼ真下に光通路54が配置されている。これに伴いビルプレス133は、図9に示すように、後面の下端近傍における左右のほぼ中心に、検知光L1を通過させるための切欠部133Aが形成されている。
また検知部150は、第1の実施の形態におけるプリズム53に代えて、プリズム153が設けられている。このプリズム153は、後面53Rに代わる後面153Rを有している。後面153Rは、光通路54及び受光素子55の位置が第1の実施の形態と異なることに応じて、傾斜角度が後面53Rと異なっている。
かかる構成により入出金部112は、第1の実施の形態と同様、収容空間12S内で検知光L1をほぼ上下方向に沿って進行させることができ、且つ水平置き紙幣BL1により検知光L1を遮断させることができる。このため紙幣制御部11は、やはり第1の実施の形態と同様、検知部150の検知結果を利用することにより、水平置き紙幣BL1の存在を正しく検知できる。
特に検知部150は、接客位置にあるビルプレス133のほぼ真下に光通路54を配置したことにより、投入された紙幣や異物により上面54Tが傷つけられる可能性を、第1の実施の形態よりも大幅に低減できる。
その他の点においても、入出金部112は、第1の実施の形態による入出金部12と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第2の実施の形態による現金自動預払機101の紙幣入出金機110は、入出金部112に検知部150を設け、収容空間12S内で検知光L1をほぼ上下方向に沿って進行させるようにし、且つ接客位置にあるビルプレス133のほぼ真下に光通路54を配置した。このため入出金部112は、紙幣や異物により光通路54の上面に傷が形成されて検知光L1の透過率が低減し、当該検知光L1を正しく検知できなくなる危険性を大幅に低減できる。これにより紙幣入出金機110の紙幣制御部11は、水平置き紙幣BL1の存在を精度良く検知できる。
[3.第3の実施の形態]
第3の実施の形態による現金自動預払機201(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機210を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機210は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、入出金部12に代わる入出金部212を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
入出金部212は、図3と対応する図10に示すように、第1の実施の形態による入出金部12と比較して、検知部50に代わる検知部250を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
検知部250は、検知部50と比較して、プリズム53に代わるプリズム253が外側シャッタ5Aに取り付けられている点において相違し、またこれに伴い発光素子51及び光通路52の水平方向に対する傾斜角度が相違している。プリズム253は、全体として、外側シャッタ5Aの下面に沿った方向を長手方向とする角柱状に形成されており、この長手方向と直交する方向に対して後面253Rを傾斜させている。
かかる構成により入出金部212は、外側シャッタ5Aが閉塞され、且つ内側シャッタ36が開放された状態において、発光素子51から検知光L1が発光されると、これを光通路52により後ろ斜め上方へ進行させ、プリズム253の前面に入射させる。プリズム253は、この検知光L1を長手方向に沿って後ろ斜め上方へ進行させ、後面253Rにおいて反射させ、下面の後端近傍から下方へ向けて出射させる。これにより検知光L1は、収容空間12S内をほぼ上下方向に沿って進行する。その後、検知光L1は、第1の実施の形態と同様、光通路54を通過し、受光素子55により受光される。
このため紙幣制御部11は、検知光L1の検知結果を基に、図3に示した水平置き紙幣BL1に加えて、例えば図10に示した紙幣BL2のように、比較的高い箇所において収容空間12S内に正しく収容されていない紙幣についても、その存在を検知することができる。
特に紙幣制御部11は、外側シャッタ5Aを閉塞した時点で検知光L1の光路を形成できるため、内側シャッタ36が閉塞される前の段階で、水平置き紙幣BL1や紙幣BL2を検知することができる。特に紙幣BL2は、内側シャッタ36を閉塞する際の進行経路上に位置しており、内側シャッタ36の閉塞により損傷してしまうおそれがある。そこで紙幣制御部11は、この紙幣BL2の存在を検知した場合、外側シャッタ5Aを開放することにより、利用者にこの紙幣BL2の取り出しや再投入を促すことができ、その損傷を未然に防ぐことができる。
その他の点においても、入出金部112は、第1の実施の形態による入出金部12と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第3の実施の形態による現金自動預払機201の紙幣入出金機210は、入出金部212に検知部250を設け、外側シャッタ5Aの下面にプリズム253を取り付け、収容空間12S内で検知光L1をほぼ上下方向に沿って進行させるようにした。これにより紙幣入出金機210の紙幣制御部11は、水平置き紙幣BL1や紙幣BL2の存在を検知でき、その検知結果に応じて外側シャッタ5Aを開放させて当該水平置き紙幣BL1や紙幣BL2を取り出させ、或いは正しい姿勢で収容空間12S内へ再投入させることができる。
[4.第4の実施の形態]
第4の実施の形態による現金自動預払機301(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機310を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機310は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、入出金部12に代わる入出金部312を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
入出金部312は、図3の一部と対応する図11(A)に示すように、第1の実施の形態による入出金部12と比較して、検知部50に代わる検知部350を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
検知部350は、検知部50と比較して、光通路52、プリズム53及び光通路54に代わる光通路352、プリズム353及びプリズム356並びに光通路354を有する点において相違し、また発光素子51及び受光素子55の取付位置や向きが相違している。
発光素子51は、収容空間12Sの後側上寄りに配置されており、前斜め上方へ向けて検知光を発光する。この発光素子51の前側には、光通路352が配置されている。光通路352は、前後方向を長手方向とする角柱状に形成されており、後面から入射された検知光を前面から出射させる。
プリズム353は、左右方向から見て三角形状に形成されており、内側シャッタ36における下面の後端近傍に設けられている。プリズム353の下面353Rは、水平方向に対して後側が持ち上げられるように傾斜しており、後ろ斜め下方から進行してくる検知光を反射し、検知光L1として前斜め下方へ進行させる。これにより検知光L1は、収容空間12S内でほぼ上下方向に沿って進行する。
光通路354は、底板31の下方であって異物収容器37の前方に配置されており、概ね上下方向を長手方向とする角柱状に形成されているものの、上端に対し下端を前寄りに位置させるように傾斜している。光通路354の上面354Tは、接客位置にあるプールガイド32の後面よりも後方に位置している。この光通路354は、第1の実施の形態による光通路54と同様、上面354Tから入射する検知光L1を下方へ進行させ、下面から出射させる。受光素子55は、第1の実施の形態と同様、上面に入射される検知光L1を受光し、当該検知光を受光したか否かを表す検知信号を生成して紙幣制御部11へ送信する。
ところでプリズム353は、内側シャッタ36が閉塞状態にあるときに、光通路352から出射された検知光を反射して光通路354の上面354Tへ導くように、その取付位置や角度等が調整されている。
これに加えて検知部350には、プリズム353と同様の光学特性を有するプリズム356が設けられている。プリズム356は、内側シャッタ36の下面における前端近傍に取り付けられており、図11(B)に示すように、当該内側シャッタ36が開放状態にあるときに、光通路352から出射された検知光を反射して光通路354の上面354Tへ導くように、その取付位置や角度等が調整されている。
かかる構成により紙幣制御部11は、入出金部312において内側シャッタ36が閉塞状態及び開放状態の何れであっても、検知光L1の受光結果を基に、水平置き紙幣BL1の有無を判断することができる。
さらに紙幣制御部11は、例えば内側シャッタ36を閉塞した状態で水平置き紙幣BL1があると判断した場合、当該内側シャッタ36を開放して利用者にこの水平置き紙幣BL1の取り出しを促す。このとき紙幣制御部11は、プリズム356を利用して検知光L1を収容空間12S内へ進行させ、その検知結果を監視することにより、水平置き紙幣BL1が取り出されたか否かを、第1の実施の形態における検知部43を利用した場合のような間接的な判断ではなく、直接的に判断することができる。
その他の点においても、入出金部312は、第1の実施の形態による入出金部12と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第4の実施の形態による現金自動預払機301の紙幣入出金機310は、入出金部312に検知部350を設け、プリズム353及び356を内側シャッタ36の下面における後端近傍及び前端近傍にそれぞれ取り付けた。このため入出金部112は、内側シャッタ36が閉塞状態及び開放状態の何れであっても、検知光L1を収容空間12S内へ進行させることができるので、水平置き紙幣BL1の有無や取り出されたか否かを高精度に検知できる。
[5.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、収容空間12Sの前方に発光素子51を配置すると共に、下方に受光素子55を配置する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば両者の位置を入れ替えても良い。要は、収容空間12S内で検知光L1をほぼ上下方向に沿って進行させることができれば良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
或いは、例えば図12に示す入出金部412のように、検知部50と対応する検知部430において、発光素子51及び受光素子55を何れも収容空間12Sの下方に、左右に並べて配置しても良い。この場合、光通路54と同様の光通路52を収容空間12Sの下方における当該光通路54の右側に配置し、プリズム53に代わるプリズム453を内側シャッタ36の下面に取り付ければ良い。このプリズム453は、図13(A)及び(B)に示すように、下側の左右2箇所に形成された左下面453A及び453Bと、上側の左右2箇所に形成された傾斜面453R1及び453R2とを有している。
この入出金部412は、発光素子51から出射された検知光を光通路452経由で収容空間12S内へ検知光L1として進行させ、プリズム453の左下面453Aへ入射させる。プリズム453は、左下面453Aに入射された検知光を内部で上方へ進行させ、傾斜面453R1及び453R2において順次反射させて下方へ進行させ、右下面453Bから検知光L2として出射させる。検知光L2は、収容空間12S内における検知光L1の経路よりも右側を下方へ進行し、光通路54を介して受光素子55により検知される。
かかる構成により、受光素子55から検知信号を取得する紙幣制御部11は、収容空間12S内において検知光L1及びL2のうち少なくとも一方が遮断されることで、水平置き紙幣BL1を検知することができる。すなわち検知部430は、検知部50よりも水平置き紙幣BL1の検知精度を高めることができる。
また上述した第1の実施の形態においては、光通路54及び受光素子55を異物収容器37の後方に配置する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図14に示す入出金部512の検知部550のように、異物収容器37の前方に光通路554及び受光素子55を配置しても良い。この場合、検知光L1の光路に応じてプリズム553における傾斜面553Rの傾斜角度を適切に定めれば良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、収容空間12S内において、底板31に対する垂直方向からやや傾斜させるように、具体的には上側が前方へ傾くように検知光L1を進行させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、図14に示したように、底板31に対しほぼ垂直に検知光L1を進行させても良い。要は、検知光L1が収容空間12S内において概ね上下方向に沿って進行することにより、水平置き紙幣BL1の有無を検知できれば良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、検知部50に1個の発光素子51及び1個の受光素子55を設け、収容空間12S内に1本の検知光L1を進行させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図15に示す入出金部612の検知部650のように、発光素子アレイ651および受光素子655を用いても良い。
発光素子アレイ651は、複数の発光素子が前後方向に沿って直線状に配置されており、右側の側板35(図4)内に埋め込むように設置されている。受光素子655は、複数の受光素子が左右方向に沿って直線状に配置されたラインセンサであり、収容空間12Sの下方に配置されている。この場合、例えば反射面を有する複数のミラー653を、内側シャッタ36の下面における各検知光と対応する箇所にそれぞれ適切な角度で取り付けることで、収容空間12S内に複数本の検知光L1を進行させることができる。これにより検知部650は、水平置き紙幣BL1の検知精度を格段に高めることができる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、内側シャッタ36の下面にプリズム53を取り付けることにより、検知光の進行方向を変換する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばミラー等の種々の光学部品により検知光の進行方向を変換しても良い。或いは、内側シャッタ36そのものを、光透過性を有する材料により構成し、その内部に光の反射面を適宜形成することにより、当該内側シャッタ36内で検知光を進行させると共にその進行方向を変換しても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、検知光の光路に光通路52及び54を配置することにより、当該検知光を通過させる一方で埃や異物を遮断する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば光通路52を省略し、何も無い空間内に検知光を進行させるようにしても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光通路54の上面54Tを収容空間12S内に露出させる場合について述べた。この場合、仮に上面54Tに異物等が堆積したときには、例えば保守作業員に清掃させる必要があった。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばビルプレス33の下面に清掃部材を取り付け、当該ビルプレス33が前後方向へ移動する際に、この清掃部材が上面54Tを摺動して清掃するようにしても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、左右方向に関し、入出孔30Hのほぼ中央に検知部50の各部品を配置し、且つ前後方向に関し、プリズム53の後面53Rを入出孔30Hのほぼ中央に配置する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば収容空間12Sの左右に偏った箇所に検知部50の各部品を配置しても良い。この場合、要は紙幣入出金機10により取り扱う紙幣のうち最も小さいものが水平置き紙幣BL1となった場合に、この水平置き紙幣BL1により検知光L1を遮らせることができれば良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、利用者との間で紙幣を介した取引処理を行う現金自動預払機1の紙幣入出金機10に組み込む入出金部12に本発明を適用した場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば各種金券や証券、或いは入場券や葉書等、紙葉状の媒体を利用者との間で授受する種々の装置に適用しても良い。
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した第1の実施の形態においては、収容部としての底板31、プールガイド32及びビルプレス33、並びに側板34及び35と、開閉部としての内側シャッタ36と、第1光学部としての受光素子55と、検知光通過部としての光通路54と、第2光学部としての発光素子51と、導光部としてのプリズム53とによって媒体収容装置としての入出金部12を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる収容部と、開閉部と、第1光学部と、検知光通過部と、第2光学部と、導光部とによって媒体収容装置を構成しても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、収容部としての底板31、プールガイド32及びビルプレス33、並びに側板34及び35と、開閉部としての内側シャッタ36と、第1光学部としての受光素子55と、検知光通過部としての光通路54と、第2光学部としての発光素子51と、導光部としてのプリズム53と、制御部としての紙幣制御部11とによって媒体取引装置としての現金自動預払機1を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる収容部と、開閉部と、第1光学部と、検知光通過部と、第2光学部と、導光部と、制御部とによって媒体取引装置を構成しても良い。