JP5818939B1 - 燃料噴射弁及びその燃料噴射弁を備えた噴霧生成装置、並びに火花点火式内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸気ポート内に吸気流動がある時に燃料噴射を行う場合でも、吸気流によって燃料噴霧が吸気ポートの天井側及び通路分岐部側へ流され難く、吸気弁から離れた吸気ポート内壁への噴霧付着を抑制する。【解決手段】吸気ポート通路分岐部上流の天井側20bに設置された燃料噴射弁1から2つの吸気弁30の各々に向けて燃料を噴射して2つの集合する噴霧Fを形成すると共に、噴霧Fを何れも貫徹力が小さい噴霧Faと貫徹力が大きい噴霧Fb、Fcの2つで構成し、貫徹力が小さい噴霧Faの吸気ポート天井側20bと吸気ポート通路分岐部側20cに貫徹力が大きい噴霧Fb、Fcを配置する。【選択図】図3

Description

この発明は、1つの燃焼室に対して2つの吸気弁を有する吸気ポート噴射方式の内燃機関に用いられ、燃料噴霧が吸気ポート内壁に付着するのを抑制する燃料噴射弁及びその燃料噴射弁を備えた噴霧生成装置、並びに火花点火式内燃機関に関するものである。
一般的に吸気ポート噴射方式の内燃機関では、燃料噴射弁から噴射される燃料噴霧が吸気弁から離れた吸気ポート内壁に付着すると、付着した燃料が液状の壁流となり、燃焼室内に流入し、燃焼室内の燃焼性を悪化させるという問題がある。そのため燃料噴霧の吸気ポート内壁への付着抑制に関して様々な方法が提案されている。
例えば、特開2009−79598号公報(特許文献1)によれば、複数の噴孔から2方向に燃料噴霧を噴射する燃料噴射弁において、燃料噴霧は何れも2つの噴孔から噴射した燃料噴霧を互いに衝突させた微粒化の高い燃料噴霧と、その微粒化の高い燃料噴霧よりも貫通力の高い燃料噴霧で構成され、微粒化の高い燃料噴霧の内側に貫通力の高い燃料噴霧を配置することにより、微粒化の高い燃料噴霧を牽引し飛散を少なくして吸気ポート内壁への燃料噴霧の付着を低減している。
また、特開2006−329114号公報(特許文献2)によれば、弁座部材と噴孔プレートとの間に燃料拡散室を形成し、燃料を弁座軸心側から径方向外側の噴孔方向に拡散し流入させて、2方向に燃料噴霧を噴射する燃料噴射弁において、燃料噴霧は何れも噴霧フォーム主流と噴霧フォーム側流で構成され、噴霧フォーム側流が噴霧フォーム主流より、弁孔の軸線に対する傾きが小さく、指向性の強い燃料噴霧で形成することにより、燃料噴霧が互いに干渉せずに輪郭が明確でペネトレーション性が高い燃料噴霧を形成することができ、吸気ポート内壁への燃料噴霧の付着を低減している。
特開2009−79598号公報 特開2006−329114号公報
ところで、この発明の実施の形態1を示す図1、図2を用いて説明すれば、一般的に、吸気ポート噴射方式の内燃機関では、燃料噴射弁1の取付け位置が吸気ポート20の通路分岐部20aの上流の天井側、即ち、吸気ポート天井側20bであり、2つの吸気弁30の2方向に燃料噴霧Fを噴射した場合、燃料噴霧Fと吸気ポート天井側20b及び吸気ポート通路分岐部側20cのクリアランスが小さく、吸気ポート20に燃料噴霧Fの付着を生じ易い。なお、図2は図1の矢印A方向から見た側断面図である。
また、近年の吸気ポート噴射方式の内燃機関では燃費改善を目的として、吸気弁30が開弁状態で燃料噴射を行う吸気行程噴射を行い、燃料噴霧Fを燃焼室40の内部に直接流入させ、燃焼室40の内部での燃料噴霧Fによる気化冷却効果を高め、耐ノック性を向上して圧縮比向上を図ったものが多くみられる。この吸気行程噴射の場合、図1、図2のように吸気ポート20の内部に生じる吸気流50の影響で、燃料噴霧Fが吸気ポート天井側20b及び吸気ポート通路分岐部側20cに流され(図1、図2のF’は吸気流50に流された燃料噴霧を示す)、吸気流50がない場合に対して更に燃料噴霧Fの付着を生じ易い。
また、吸気ポート噴射方式の内燃機関で一般的に行われている吸気弁30が閉弁状態で燃料噴射を行う排気行程噴射の場合であっても、多気筒内燃機関の各吸気ポート20間に発生する吸気脈動の影響や、噴射量が多く噴射期間が長い場合などに排気行程で必要量を噴射しきれずに噴射後半が吸気行程にかかり、吸気流50の影響を受けて燃料噴霧Fが流され、吸気ポート20内壁への付着が生じ易い場合がある。
前記特許文献1及び特許文献2に開示された技術は、何れも貫徹力が大きい燃料噴霧が、貫徹力が小さい燃料噴霧よりも吸気ポートの通路分岐部側にあるため、通路分岐部に燃料噴霧が付着し難いものの、吸気行程噴射などの吸気ポート内に吸気流動がある時に燃料噴射を行う場合は、貫徹力が小さい燃料噴霧が吸気ポートの天井側に流されて付着し易い問題がある。
また、特許文献1に開示された技術は、2つの燃料噴霧を衝突させて貫徹力が小さい燃料噴霧を形成するため、噴孔数が増える上、高度な噴孔の位置精度が必要であり、加工し難い問題がある。
また、特許文献2に開示された技術は、弁座部材と噴孔プレートとの間に燃料拡散室を有し、噴孔が燃料拡散室内で、噴孔プレートの弁座の最小内径である弁座開口部の外側に設けられるので、弁座シート部から弁座軸心に向かう燃料流れが、燃料拡散室で逆方向の径方向外側に向かう流れに反転する上に、更に燃料が径方向外側に広がるに連れて燃料流路断面積が増加するので流体エネルギー損失が大きい。従って噴孔内に流入する燃料流速が小さくなり、貫徹力が大きい燃料噴霧の形成が不十分となるため、貫徹力が小さい燃料噴霧の飛散抑制や吸気流れによる流動の抑制が不十分となり、燃料噴霧が吸気ポート内壁に付着し易い問題がある。
また、特許文献2に開示された技術は、貫徹力が小さい燃料噴霧を形成する噴孔群中央部の噴孔を弁座軸心に直交する平面に垂直に投影した場合、噴孔に流れ込む燃料流れの主流の方向である弁座の中心から径方向外側の噴孔に向かう方向が、噴孔の入口中心から出口中心に向かう方向と略同方向である。このため噴孔内に流入した燃料は噴孔内壁に衝突せず、噴孔内壁の周方向に広がって薄膜化することなく噴孔出口より噴射されるので、燃料噴霧は微粒化せず、吸気ポートの通路分岐部とは逆の外側方向に広がり易く付着し易い問題がある。
この発明は、前記のような課題を鑑みてなされたもので、吸気ポート内に吸気流動がある時に燃料噴射を行う場合でも、吸気流によって燃料噴霧が吸気ポートの天井側及び通路分岐部側へ流され難く、吸気弁から離れた吸気ポート内壁への噴霧付着の抑制が可能な燃料噴射弁及びその燃料噴射弁を備えた噴霧生成装置、並びに火花点火方式内燃機関を提供することを目的とするものである。
請求項1の発明による燃料噴射弁は、吸気ポートが2つの通路に分岐して1つの燃焼室に連通し、前記2つの通路と前記燃焼室を連通する吸気口を開閉する2つの吸気弁を有する内燃機関の前記吸気ポートの通路分岐部上流の天井側に設けられると共に、下流側に行くに連れて縮径するシート面を有する弁座と、前記弁座を開閉する弁体と、前記弁体の下流側に噴孔プレートを備え、
前記噴孔プレートは前記弁座の最小内径である弁座開口部の内側に複数の噴孔が設けられ、前記噴孔はいずれも噴孔の入口中心から出口中心に向かうに連れて弁座軸心に対して離れる方向に傾斜し、制御装置からの動作信号により前記弁体を動作させて、前記複数の噴孔から燃料を噴射し、前記吸気弁の各々に指向する2つの集合する燃料噴霧を形成する燃料噴射弁において、
前記集合する燃料噴霧は、いずれも貫徹力が小さい燃料噴霧と貫徹力が大きい燃料噴霧で構成され、
前記貫徹力が大きい燃料噴霧は、前記貫徹力が小さい燃料噴霧の吸気ポート天井側及び通路分岐部側に配置され、
前記弁座軸心に直交する平面に前記集合する燃料噴霧の断面を垂直に投影する場合、前記平面において、前記弁座の中心を通る直線のうち、前記燃料噴霧の断面が互いに対称となるように分割する軸をY軸、前記弁座の中心を通り前記Y軸に直交する軸をX軸とすると、前記平面に垂直に投影される前記吸気ポート天井側の燃料噴霧の断面形状は、X軸方向に長い扁平形状であり、前記通路分岐部側の燃料噴霧の断面形状は、Y軸方向に長い扁平形状であり、
前記貫徹力が小さい燃料噴霧、前記吸気ポート天井側の燃料噴霧、及び前記通路分岐部側の燃料噴霧を形成する噴孔群を各々Za’、Zb’、Zc’とすると、前記噴孔群Za’、Zb’、Zc’は少なくとも1つ以上の噴孔から構成され、
前記噴孔群Za’、Zb’、Zc’を構成する噴孔を各々Za、Zb、Zcとすると、前記噴孔Za、Zb、Zcを前記平面に対して垂直に投影する場合、前記噴孔Zaは、前記噴孔Zb及び前記噴孔Zcより前記X軸側に配置され、前記噴孔Zbは、前記X軸に対して前記吸気ポート天井側に配置され、前記噴孔Zcは、前記X軸に対して前記吸気ポートの底側に配置されることを特徴とする。
また、請求項2の発明による燃料噴射弁は、前記噴孔Za、Zb、Zcを前記平面に対して垂直に投影する場合、前記噴孔群Za’を構成する噴孔で最も噴孔Zbに近い噴孔Zaの入口部中心と前記弁座の中心を結ぶ直線をL1とし、前記噴孔Zaに隣接する前記噴孔Zbの入口中心と前記弁座の中心を結ぶ直線をL2とし、前記直線L2と前記Y軸のなす角度をθ1とし、前記直線L1と直線L2のなす角度をθ2とすると、2θ1>θ2の関係にあり、
前記噴孔群Za’を構成する噴孔で最も噴孔Zcに近い噴孔Zaの入口部中心と前記弁座の中心を結ぶ直線をL3とし、前記噴孔Zaに隣接する前記噴孔Zcの入口中心と前記弁座の中心を結ぶ直線をL4とし、前記直線L3と直線L4のなす角度をθ3とし、前記直線L4と前記Y軸のなす角度をθ4とすると、θ3>2θ4の関係にあり、
前記角度θ1及びθ4はθ1>θ4の関係にあることを特徴とする。
また、請求項3の発明による燃料噴射弁は、前記噴孔Za、Zb、Zcの前記噴孔プレートの板厚方向に対する各々の噴孔傾斜角をαa、αb、αcとすると、
αa>αb
αa>αc
であることを特徴とする。
また、請求項4の発明による燃料噴射弁は、前記噴孔プレートは前記シート面を下流側へ延長した仮想円錐と前記噴孔プレートの上流側端面とが交差して仮想円を形成するように配置され、
前記弁体の先端部は下流側に行くに連れて前記弁座軸心を中心に縮径する形状であり、
前記噴孔プレートに配置される前記噴孔Za、Zb、Zcの入口部中心の弁座軸心を中心とした噴孔ピッチ径を各々Pa、Pb、Pcとし、前記仮想円の直径をPkとすると、
Pa<Pk<Pb
Pa<Pk<Pc
であることを特徴とする。
また、請求項5の発明による燃料噴射弁は、前記噴孔Za、Zb、Zcの各々の総噴射量をQa、Qb、Qcとすると、
Qa>(Qb+Qc)
であることを特徴とする。
また、請求項6の発明による噴霧生成装置は、前記燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁に燃料を供給する燃料供給手段と、前記燃料噴射弁の動作を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
また、請求項7の発明による火花点火式内燃機関は、前記燃料噴射弁を吸気ポートに備えたことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、吸気ポート天井側に設置された燃料噴射弁1から吸気弁に向けて噴射される2つの集合する噴霧が、何れも貫徹力が小さい噴霧と貫徹力が大きい噴霧の2つで構成され、貫徹力が小さい噴霧の吸気ポート天井側と吸気ポート通路分岐部側に貫徹力が大きい噴霧が配置されるので、吸気ポートの内部に吸気流動がある時に燃料噴射する場合でも噴霧が吸気ポート天井側及び吸気ポート通路分岐部側の両方に流され難くなり、付着を抑制できる。
また、弁座軸心に直交する平面に集合する噴霧の断面を垂直に投影した場合、貫徹力が大きい吸気ポート天井側の噴霧の断面形状は前記X軸方向に長い扁平形状であるので、吸気ポート天井側への貫徹力が小さい噴霧の飛散や流動を前記X軸方向の広い範囲で防止し付着を抑制でき、貫徹力が大きい噴霧自体も吸気ポート天井側への噴霧の広がりが小さく付着を抑制できる。
また、貫徹力が大きい吸気ポート通路分岐部側の噴霧の断面形状は前記Y軸方向に長い扁平形状であるので、吸気ポート通路分岐部側への貫徹力が小さい噴霧の飛散や流動をY軸方向の広い範囲で防止し付着を抑制でき、貫徹力が大きい噴霧自体も吸気ポート通路分岐部側への噴霧の広がりが小さく付着を抑制できる。
また、弁座が下流側にいくに連れて縮径するシート面を有し、噴孔プレートは弁座の最小内径である弁座開口部の内側に複数の噴孔が設けられているので、燃料がシート面に沿って噴孔プレートの上流に流れ込み、そのまま噴孔に流入するので、燃料流れが反転や迂回等して噴孔に流入する前記特許文献2のような場合よりも流体エネルギー損失を低減できる。従って、噴孔に流入する燃料流速を大きくすることができ、貫徹力の大きな噴霧を形成できる。
また、噴霧の微粒化メカニズムを解明するために、発明者等の実験に基づき噴孔から噴射された燃料を拡大撮影した結果、燃料の分裂過程は燃料を拡散させようとする力が表面張力に打ち勝つことで、燃料が「液膜」から「液糸」、そして「液糸」から「液滴」へと分裂していることが判明している。また、一度「液滴」になると表面張力の影響が大きくなるため、それ以降は分裂し難いことも判明している。よって、燃料の乱れの少ない薄い液膜として噴孔から噴射し、この液膜をさらに薄く広げてから分裂させた方がより微粒化することになり、逆に燃料の乱れが生じると燃料液膜が薄く広がる前の厚い液膜の状態で分裂するため、分裂後の液滴も大きくなることが判明している。
このため、噴孔群Za’、Zb’、Zc’を構成する噴孔Za、Zb、Zcは、何れも噴孔Za、Zb、Zcの入口中心から出口中心に向かうに連れて弁座軸心に対して離れる方向に傾斜し、噴孔Za、Zb、Zcを前記平面に対して垂直に投影する場合、貫徹力が小さい噴霧を形成する噴孔Zaは貫徹力が大きい噴霧を形成する噴孔Zb、Zcより前記X軸側に配置されている。このため、弁座シート部側から径方向内側の噴孔Zaに向かう燃料流れの主流の方向が、同様に噴孔Zb、Zcに向かう燃料流れの主流の方向よりも、噴孔の入口中心から出口中心へ向かう方向と略正対することとなり、噴孔Zaは噴孔Zb、Zcよりも噴孔内壁に衝突した燃料が噴孔内壁の周方向に効率良く押し広げられて薄膜化し、噴孔Zaから噴射される燃料は薄い液膜の状態で液滴に分裂するので、貫徹力が小さい噴霧の噴霧粒径を小さくすることができる。よって噴孔Zaが形成する貫徹力が小さい噴霧は、噴孔Zb、Zcが形成する貫徹力が大きい噴霧よりも微粒化の良い貫徹力が小さい噴霧を形成でき、噴孔Zaが形成する貫徹力が小さい噴霧と噴孔Zb、Zcが形成する貫徹力が大きい噴霧とで噴霧貫徹力の異なる大小2つの噴霧を形成可能となる。
また、噴孔Zbは前記X軸に対して吸気ポート天井側に配置され、噴孔Zcは前記X軸に対して吸気ポート底側に配置されるので、噴霧を形成する際、噴射直後に噴孔Za、Zb、Zcから流出する燃料液膜同士が干渉し難くなり、燃料の乱れによって燃料液膜が薄く広がる前の厚い液膜の状態で分裂して液滴が大きくなることがないので、微粒化の悪化を抑制できる。
また、噴孔Zaの噴孔内壁での燃料液膜の広がり方向が略Y軸方向であり、吸気ポート通路分岐部側とは逆の外側方向への噴霧の広がりが小さいので、吸気行程噴射時に付着し易い燃焼室の外側内壁への付着を抑制できる。
請求項2の発明によれば、噴孔Zbは噴孔Zaの吸気ポート天井側に配置され、噴孔Zcは噴孔Zaの吸気ポート底側に配置され、噴孔群Za’の噴孔で最も噴孔Zbに近い噴孔Zaと、前記噴孔Zaに隣接する噴孔Zbは、前記2θ1>θ2の関係が成り立つように噴孔プレートに配置されるので、噴孔Zbに流れ込む燃料流れは、弁座シート部から流入する径方向外側からの燃料流れに加えて、噴孔Zbに隣接する噴孔との間隔が大きい側、すなわち噴孔Zaと逆側の周方向からの燃料流れが主流となるため、噴孔Zb内壁に押し付けられて広がる燃料液膜は略X軸方向に広がるので、噴孔Zb出口から噴射される噴霧はX軸方向に長い扁平形状を形成できる。
また、噴孔群Za’を構成する噴孔で最も噴孔Zcに近い噴孔Zaと、前記噴孔Zaに隣接する噴孔Zcは前記θ3>2θ4の関係が成り立つように噴孔プレートに配置されるので、噴孔Zcに流れ込む燃料流れは、弁座シート部から流入する径方向外側からの燃料流れに加えて、噴孔Zcに隣接する噴孔との間隔が大きい側、即ち噴孔Za側の周方向からの燃料流れが主流となるため、噴孔Zc内壁に押し付けられて広がる燃料液膜は略Y軸方向に広がるので、噴孔Zc出口から噴射される噴霧はY軸方向に長い扁平形状を形成できる。
また、前記2θ1>θ2、θ3>2θ4の関係のみでは、噴孔Za、Zb、Zcの配置によっては、前記角度θ1が小さくなって噴孔Zbに流入する燃料流れの噴孔Zaと逆側の周方向からの燃料流れが弱くなり、噴孔Zb内に生じる燃料液膜が略X軸方向に十分に広がらない場合や、前記角度θ4が大きくなって噴孔Zcに流入する燃料流れの噴孔Zaと逆側の周方向からの燃料流れが大きくなり、噴孔Zc内に生じる燃料液膜が略Y軸方向に十分に広がらない場合がある。
このため、前記2θ1>θ2、θ3>2θ4の関係に加えて、θ1>θ4の関係が成り立つように噴孔Za、Zb、Zcを配置することにより、噴孔Zb、Zc内に生じる燃料液膜を各々X軸、Y軸方向により効果的に広げることが可能となり、噴孔Zb、Zc出口から噴射される噴霧は各々X軸、Y軸方向に長い扁平形状を形成できる。従って、吸気ポート天井側及び吸気ポート通路分岐部側への貫徹力が小さい噴霧の飛散や流動を扁平形状の貫徹力が大きい噴霧により広い範囲で防止することができる。このため、より効果的に噴霧の吸気ポート壁面への付着を抑制できる。
また、請求項3の発明によれば、噴孔Za、Zb、Zcの噴孔プレートの板厚方向に対する各々の噴孔傾斜角αa、αb、αcの関係が、αa>αb、αa>αcで、噴孔Zaは噴孔Zb、Zcに対して噴孔入口の角部が鋭角になり、噴孔入口で噴孔剥離が発生し易くなって噴孔内の燃料液膜がより薄膜化し、貫徹力が小さい噴霧の噴霧粒径を更に小さくできる。従って、貫徹力が小さい噴霧は、貫徹力が大きい噴霧に対して微粒化の良い貫徹力の小さい噴霧を形成できる。
また、請求項4の発明によれば、噴孔Zaは噴孔Zb、Zcに対して、噴孔入口中心が前記仮想円より内側に配置されて、噴孔Zaに流入する燃料流れの噴孔プレートに沿った燃料流れを強化でき、また噴孔入口中心から弁体先端部までの距離が小さくなるので更に噴孔プレートに沿った燃料流れを強化できると共に、流路断面積も小さくなるので燃料流速も大きくでき、噴孔入口での噴孔剥離が発生し易くなり噴孔内の燃料液膜がより薄膜化するので、貫徹力が小さい噴霧の噴霧粒径を更に小さくできる。従って貫徹力が小さい噴霧は貫徹力が大きい噴霧に対して微粒化の良い貫徹力の小さい噴霧を形成できる。
また、請求項5の発明によれば、燃料噴射弁の噴孔Za、Zb、Zcは、各々の総噴射量Qa、Qb、Qcの関係がQa>(Qb+Qc)であるように設けられている。これにより、噴孔Zb、Zcから噴射される噴霧より、噴孔Zaから噴射される噴霧粒径の小さい噴霧の方が集合する噴霧を占める割合が多くなり、噴霧全体として微粒化の良い噴霧を形成できる。従って、燃焼室内の噴霧と空気の混合気を均質化し易くなり、燃焼性を向上できる利点がある。
また、請求項6の発明によれば、燃料噴射弁と、燃料噴射弁に燃料を供給する燃料供給手段と、燃料噴射弁の動作を制御する制御手段とを備えて噴霧生成装置を構成することにより、吸気ポート内壁への噴霧の付着を抑制でき、燃料噴射制御に関して燃料付着を考慮した噴射量の補正制御が必要なくなり、制御を簡略化できる利点がある。
また、請求項7の発明によれば、燃料噴射弁を吸気ポートに備えて火花点火式内燃機関を構成することにより、吸気行程噴射などの吸気ポート内に吸気流動がある時に燃料噴射を行う場合でも、吸気ポート内壁への噴霧の付着を抑制できるので、付着した燃料が液状の壁流となって燃焼室内に流入することがなくなり良好な燃焼性を保つことができる。また、噴霧が燃焼室内に直接流入する量が増加して燃焼室内の気化冷却効果を高めることができ、耐ノック性を向上できるので、圧縮比を増加して燃費を良化できる利点がある。
この発明の実施の形態1による吸気ポートに設けられた燃料噴射弁と吸気行程噴射時の燃料噴霧を示す図である。 図1の矢印A方向から見た側断面図である。 図2のB−B線による燃料噴霧の断面図である。 この発明の実施の形態1による燃料噴射弁の全体断面図である。 この発明の実施の形態1による燃料噴射弁の先端部の拡大断面図及び矢印C方向から見た弁座開口部の内側の噴孔プレートを示す図である。 図5に示す弁座開口部の内側の噴孔プレートの詳細図である。 図6に示すE−E線及びG−G線、H−H線による噴孔断面図である。 図6及び図7に示す噴孔に流入する燃料流れの主流及び噴孔出口の燃料液膜を示す図である。 この発明の実施の形態1による燃料噴射弁の噴孔の噴孔径及び噴孔数を変更した図である。 この発明の実施の形態2による燃料噴射弁の先端部の拡大断面図及び矢印C方向から見た弁座開口部の内側の噴孔プレートを示す図である。 図10(b)のJ−J線による断面図及びK−K線による断面図である。
以下、この発明による燃料噴射弁及びその燃料噴射弁を備えた噴霧生成装置、並びに火花点火式内燃機関の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
実施の形態1.
図1から図3はこの発明の実施の形態1による燃料噴射弁を説明する図で、図1は吸気ポートに設けられた燃料噴射弁と吸気行程噴射時の燃料噴霧を示す図、図2は図1の矢印A方向から見た側断面図、図3は図2のB−B線による燃料噴霧の断面図である。また、図4は燃料噴射弁の全体断面図、図5(a)は図4に示す燃料噴射弁の先端部の拡大断面図であり、図5(b)は図5(a)の矢印C方向から見た弁座開口部の内側の噴孔プレートを示す図である。
図1から図3に示すように、燃料噴射弁1は、内燃機関(図示せず)の吸気ポート20において、通路分岐部20aの上流位置の天井側である吸気ポート天井側20bに設置されており、2つの吸気弁30の各々に向けて2つの燃料噴霧(以下、噴霧という。)Fが噴射される。燃料噴射弁1は、図4に全体断面図を示すように、ソレノイド装置4、磁気回路のヨーク部分であるハウジング5、磁気回路の固定鉄心部分であるコア6、コイル7、磁気回路の可動鉄心部分であるアマチュア8、及び弁装置9を備えている。
弁装置9は、弁体10と弁本体11、及び図5(a)(b)に拡大図を示す弁座12を備えている。弁本体11はコア6の外形部に圧入後、溶接され、アマチュア8は弁体10に圧入後、溶接されている。弁座12には噴孔プレート13が溶接部13aで結合されている。噴孔プレート13には板厚方向に貫通する複数の噴孔Zが設けられている。なお、図4及び図5の符号15は弁体10の先端部に溶接されたボールを示し、符号16は弁体10を閉弁方向に押圧する圧縮バネを示している。
実施の形態1による燃料噴射弁1は前記のように構成されており、次に動作について説明する。
図示しない内燃機関の制御装置より燃料噴射弁1の駆動回路に動作信号が送られると、燃料噴射弁1のコイル7に電流が通電され、アマチュア8、コア6、ハウジング5、弁本体11で構成される磁気回路に磁束が発生し、アマチュア8はコア6側へ吸引動作する。これにより、アマチュア8と一体構造である弁体10が弁座シート部12aから離れて隙間が形成されると、燃料は弁体10の先端部に溶接されたボール15の面取り部15aから弁座シート部12aと弁体10の隙間を通って、噴孔Zから吸気ポート20内に噴射される。
次に、内燃機関の制御装置より燃料噴射弁1の駆動回路に動作の停止信号が送られると、コイル7の電流の通電が停止し、磁気回路中の磁束が減少して弁体10を閉弁方向に押している圧縮バネ16により、弁体10と弁座シート部12a間の隙間は閉状態となり燃料噴射が終了する。このとき、弁体10は部位8aで弁本体11のガイド部と摺動し、閉弁状態ではアマチュア8の上面8bがコア6の下面と当接する。
実施の形態1では、図5(a)(b)に示すように噴孔プレート13には、下流側に行くに連れて縮径するシート面12bを有する弁座12の最小内径である弁座開口部12cの内側に複数の噴孔Zが設けられている。従って、図5(a)の燃料流れ18のように、燃料がシート面12bに沿って噴孔プレート13の上流に流れ込み、そのまま噴孔Zに流入するので、燃料流れ18が反転や迂回等して噴孔Zに流入する前記特許文献2のような場合よりも流体エネルギー損失を低減でき、噴孔Zの内部に流入する燃料流速を大きくすることができ、貫徹力の大きな噴霧を形成できる。なお、図5(a)に示す符号12dは弁座軸心を示している。
また、図6及び図7(a)(b)(c)のように、複数の噴孔Zは何れも噴孔径φd及び噴孔部板厚tが同じで、貫徹力が小さい噴霧Faを形成する6個の噴孔Za、貫徹力が大きい天井側20bの噴霧Fbを形成する2個の噴孔Zb、及び貫徹力が大きい吸気ポート通路分岐部側20cの噴霧Fcを形成する2個の噴孔Zcの計10個で構成される。そして、弁座軸心12dに直交する平面に対して垂直に投影する場合、集合する各噴霧Fa、Fb、Fcの断面が互いに対称となるように分割するY軸を対称に、噴孔群Za’を構成する3個の噴孔Za、1個の噴孔Zb、1個の噴孔Zcが略同一ピッチ17で配置されている。なお、図7(a)は図6のE−E線断面図、(b)は図6のG−G線断面図、(c)は図6のH−H線断面図を示している。
また、噴孔Za、Zb、Zcは何れも、噴孔Za、Zb、Zcの入口中心から出口中心に向かうに連れて弁座軸心12dに対して離れる方向に傾斜し、噴孔Zaが噴孔Zb及び噴孔Zcより、弁座12の中心を通り前記Y軸に直交するX軸側に配置されている。従って、図8のように、弁座シート部12a側から径方向内側の噴孔Zaに向かう燃料流れ18の主流(以下、燃料流れとも言う。)18aの方向が、同様に噴孔Zb、Zcに向かう燃料流れ18の主流(以下、燃料流れとも言う。)18b、18cの方向よりも、噴孔の入口中心から出口中心へ向かう方向と略正対することとなる。このため、噴孔Zaは、噴孔Zb、Zcよりも噴孔内壁に衝突した燃料が噴孔内壁の周方向に効率良く押し広げられて薄膜化し、噴孔Zaから噴射される燃料は薄い液膜の状態で液滴に分裂するので、噴霧Faの噴霧粒径を小さくすることができる。
また、図8に示すように、噴孔Zaは前記X軸に近い程、噴孔入口中心から出口中心に向かう方向が燃料流れ18aの方向と正対し易くなり微粒化するので、出来る限りX軸近くに配置するのが望ましい。よって噴孔Zaが形成する噴霧Faは、噴孔Zb、Zcが形成する噴霧Fb、Fcよりも微粒化の良い貫徹力が小さい噴霧を形成でき、噴霧Faと噴霧Fb、Fcとで噴霧貫徹力の異なる大小2つの噴霧を形成可能となる。
また、噴霧Fbを形成する噴孔Zbは前記X軸に対して吸気ポート天井側20bに配置され、噴霧Fcを形成する噴孔Zcは前記X軸に対して吸気ポート底側20dに配置されるので、図3のような噴霧配置の噴霧Fを形成する際、噴射直後に噴孔Za、Zb、Zcから流出する燃料液膜19a、19b、19c同士が干渉し難くなり、燃料の乱れによって燃料液膜19a、19b、19cが薄く広がる前の厚い液膜の状態で分裂して液滴が大きくなることがないので、微粒化の悪化を抑制できる。
更に、噴霧Faは噴孔Zaの噴孔内壁での燃料液膜19aの広がり方向が略Y軸方向であり、図1の吸気ポート通路分岐部側20cとは逆の外側方向への噴霧の広がりが小さいので、吸気行程噴射時に付着し易い燃焼室40の外側内壁40aへの付着を抑制できる。
また、図6に示すように、噴孔Za、Zb、Zcは、噴孔プレート13に対して次の位置関係に配置されている。即ち、噴孔Za、Zb、Zcを弁座軸心12dに直交する平面に対して垂直に投影した場合、噴孔群Za’を構成する噴孔で最も噴孔Zbに近い噴孔Zaの入口部中心と弁座12の中心を結ぶ直線をL1とし、前記噴孔Zaに隣接する噴孔Zbの入口中心と弁座12の中心を結ぶ直線をL2とし、直線L2と前記Y軸のなす角度をθ1とし、直線L1と直線L2のなす角度をθ2とすると、2θ1>θ2が成り立つように噴孔プレート13に配置されている。また、噴孔群Za’を構成する噴孔で最も噴孔Zcに近い噴孔Zaの入口部中心と弁座12の中心を結ぶ直線をL3とし、前記噴孔Zaに隣接する噴孔Zcの入口中心と弁座12の中心を結ぶ直線をL4とし、直線L3と直線L4のなす角をθ3とし、直線L4と前記Y軸のなす角度をθ4とすると、θ3>2θ4であり、またθ1及びθ4の関係は、θ1>θ4が成り立つように噴孔プレート13に配置されている。
前記のように噴孔Za、Zbは、2θ1>θ2の関係が成り立つように噴孔プレート13に配置されている。従って、図8のように、噴孔Zbに流れ込む燃料流れは、弁座シート部12aから流入する径方向外側からの燃料流れ18bに加えて、噴孔Zbに隣接する噴孔との間隔が大きい側、すなわち噴孔Zaと逆側の周方向からの燃料流れ18dが主流となるため、噴孔Zb内壁に押し付けられて広がる燃料液膜19bは略X軸方向に広がるので、噴孔Zb出口から噴射される噴霧FbはX軸方向に長い扁平形状を形成できる。燃料流れ18dが燃料流れ18bと同程度に大きくなる程、燃料液膜19bが略X軸方向に広がるので、前記角度θ1はできるだけ前記角度θ2より大きい方が望ましい。よって図3のように、噴霧Faの吸気ポート天井側20bに噴霧Fbを配置することにより、吸気ポート天井側20bへの貫徹力が小さい噴霧Faの飛散や流動をX軸方向の広い範囲で防止し、付着を抑制できる。また、噴霧Fb自体も吸気ポート天井側20bへの噴霧の広がりが小さく、付着を抑制できる。
また、噴孔Za、Zcは、θ3>2θ4の関係が成り立つように噴孔プレート13に配置されている。従って、図8のように、噴孔Zcに流れ込む燃料流れは、弁座シート部12aから流入する径方向外側からの燃料流れ18cに加えて、噴孔Zcに隣接する噴孔との間隔が大きい側、すなわち噴孔Za側の周方向からの燃料流れ18eが主流となるため、噴孔Zc内壁に押し付けられて広がる燃料液膜19cは略Y軸方向に広がるので、噴孔Zc出口から噴射される噴霧FcはY軸方向に長い扁平形状を形成できる。燃料流れ18eが燃料流れ18cと同程度に大きくなる程、燃料液膜19cが略Y軸方向に広がるので、前記角度θ3はできるだけ前記角度θ4より大きい方が望ましい。よって図3のように、噴霧Faの吸気ポート通路分岐部側20cに噴霧Fcを配置することにより、吸気ポート通路分岐部側20cへの貫徹力が小さい噴霧Faの飛散や流動をY軸方向の広い範囲で防止し付着を抑制でき、噴霧Fc自体も吸気ポート通路分岐部側20cへの噴霧の広がりが小さく付着を抑制できる。
また、前記2θ1>θ2、θ3>2θ4の関係のみでは、噴孔Za、Zb、Zcの配置によっては、前記角度θ1が小さくなり、噴孔Zbに流入する燃料流れのうち、噴孔Zaと逆側の周方向からの燃料流れ18dが弱くなり、噴孔Zb内に生じる燃料液膜19bが略X軸方向に十分に広がらない場合や、前記角度θ4が大きくなり、噴孔Zcに流入する燃料流れのうち、噴孔Za側の周方向からの燃料流れ18eが小さくなり、噴孔Zc内に生じる燃料液膜19bが略Y軸方向に十分に広がらない場合がある。
そこで、図6のように前記2θ1>θ2、θ3>2θ4の関係に加えて、θ1>θ4の関係が成り立つように噴孔Za、Zb、Zcを配置する。これにより、噴孔Zaに隣接する噴孔Zb、Zcに流入する燃料流れ18d、18eをより大きくでき、噴孔Zb、Zc内に生じる燃料液膜19b、19cを各々略X軸、Y軸方向により効果的に広げることが可能となり、噴孔Zb、Zc出口から噴射される噴霧Fb、Fcは各々X軸、Y軸方向に長い扁平形状を形成できる。
更に、図7(a)(b)(c)のように、噴孔Za、Zb、Zcの噴孔プレート13の板厚方向に対する各々の噴孔傾斜角αa、αb、αcの関係が、αa>αb、αa>αcの関係を有するように構成されている。これにより、噴孔Zaは噴孔Zb、Zcに対して噴孔入口の角部が鋭角になり、噴孔入口で噴孔剥離が発生し易くなって噴孔内の燃料液膜19aがより薄膜化するので、噴霧Faの噴霧粒径を更に小さくすることができる。従って噴霧Faは噴霧Fb、Fcに対して微粒化の良い貫徹力の小さい噴霧を形成できる。
また、図9のように、噴孔群Za’を形成する噴孔Zaの噴孔数、噴孔径等を変更した場合でも、図3のような貫徹力が小さい噴霧Faと貫徹力が大きい噴霧Fb、Fcの集合する噴霧Fを形成することが可能であり、前記と同様の吸気ポート20への噴霧Fの付着抑制効果を得ることができる。
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2による燃料噴射弁について説明する。
図10(a)(b)は、実施の形態2による燃料噴射弁の先端部の拡大断面図及び矢印C方向から見た弁座開口部の内側の噴孔プレートを示す図である。実施の形態2による燃料噴射弁は、図10(b)のように実施の形態1に対して噴孔Za、Zb、Zcの噴孔ピッチ径を変更したもので、その他の部分については、実施の形態1と同様である。実施の形態1と同一若しくは相当分には同一符号を示して重複説明を省略する。
図10(a)(b)に示すように、弁体10の下流側に設けられる噴孔プレート13は、シート面12bを下流側へ延長した仮想円錐と噴孔プレート13の上流側端面とが交差して仮想円60を形成するように配置され、弁体10の先端部が下流側に行くに連れて弁座軸心12dを中心に縮径する形状である。噴孔プレート13にY軸対称に配置される6個の噴孔Za、2個の噴孔Zb、2個の噴孔Zcは各々同一ピッチで配置され、噴孔Za、Zb、Zcの入口部中心の弁座軸心12dを中心とした噴孔ピッチ径Pa、Pb、Pc(図10ではPb=Pc)及び仮想円60の直径Pkの関係が、Pa<Pk<Pb、Pa<Pk<Pcが成り立つように配置されている。
従って、図10(b)のJ−J線断面、K−K線断面を示す図11(a)(b)のように、噴孔Zaは噴孔Zb、Zcに対して、噴孔入口中心が仮想円60より内側に配置されるので、噴孔に流入する燃料流れ18の噴孔プレート13に沿った流れを強化できる。また、噴孔入口中心から弁体先端部までの距離(図11の距離L)が小さくなるので更に噴孔プレート13に沿った燃料流れ18を強化できると共に、流路断面積も小さくなるので燃料流速も大きくでき、噴孔入口での噴孔剥離が発生し易くなり、噴孔内の燃料液膜19aがより薄膜化し、噴霧Faの噴霧粒径を更に小さくできる。従って噴霧Faは噴霧Fb、Fcに対して微粒化の良い貫徹力の小さい噴霧を形成できる。
また、前記実施の形態1あるいは2による燃料噴射弁1の噴孔Za、Zb、Zcは、各々の総噴射量Qa、Qb、Qcの関係がQa>(Qb+Qc)であるように設けられている。これにより、噴孔Zb、Zcから噴射される噴霧Fb、Fcより、噴孔Zaから噴射される噴霧粒径の小さい噴霧Faの方が集合する噴霧Fを占める割合が多くなり、噴霧全体として微粒化の良い噴霧を形成できる。従って、燃焼室40内の噴霧と空気の混合気を均質化し易くなり、燃焼性を向上できる利点がある。
更に、前記実施の形態1あるいは実施の形態2による燃料噴射弁1と、燃料噴射弁1に燃料を供給する燃料供給手段と、燃料噴射弁1の動作を制御する制御手段とを備えて噴霧生成装置を構成することにより、吸気ポート内壁への噴霧Fの付着を抑制でき、燃料噴射制御に関して燃料付着を考慮した噴射量の補正制御が必要なくなり、制御を簡略化できる利点がある。
また、前記実施の形態1あるいは2による燃料噴射弁1を吸気ポート20に備えて火花点火式内燃機関を構成することにより、吸気行程噴射などの吸気ポート20内に吸気流動がある時に燃料噴射を行う場合でも、吸気ポート内壁への噴霧Fの付着を抑制できるので、付着した燃料が液状の壁流となって燃焼室40内に流入することがなくなり良好な燃焼性を保つことができる。また、噴霧Fが燃焼室40内に直接流入する量が増加して燃焼室40内の気化冷却効果を高めることができ、耐ノック性を向上できるので、圧縮比を増加して燃費を良化できる利点がある。
以上、この発明の実施の形態1及び2について説明したが、この発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1 燃料噴射弁、4 ソレノイド装置、5 ハウジング、6 コア、7 コイル、8 アマチュア、9 弁装置、10 弁体、11 弁本体、12 弁座、12a シート部、12b シート面、12c 弁座開口部、12d 弁座軸心、13 噴孔プレート、13a
溶接部、Z 噴孔、15 ボール、15a 面取り部、16 圧縮バネ、17 噴孔ピッチ、18 燃料流れ、19a、19b、19c 燃料液膜、20 吸気ポート、20a 通路分岐部、20b 吸気ポート天井側、20c 吸気ポート通路分岐部側、20d 吸気ポート底側、30 吸気弁、40 燃焼室、50 吸気流、60 仮想円、F 燃料噴霧、Fa、Fb、Fc 燃料噴霧、Za、Zb、Zc 噴孔。

Claims (7)

  1. 吸気ポートが2つの通路に分岐して1つの燃焼室に連通し、前記2つの通路と前記燃焼室を連通する吸気口を開閉する2つの吸気弁を有する内燃機関の前記吸気ポートの通路分岐部上流の天井側に設けられると共に、下流側に行くに連れて縮径するシート面を有する弁座と、前記弁座を開閉する弁体と、前記弁体の下流側に噴孔プレートを備え、
    前記噴孔プレートは前記弁座の最小内径である弁座開口部の内側に複数の噴孔が設けられ、前記噴孔はいずれも噴孔の入口中心から出口中心に向かうに連れて弁座軸心に対して離れる方向に傾斜し、制御装置からの動作信号により前記弁体を動作させて、前記複数の噴孔から燃料を噴射し、前記吸気弁の各々に指向する2つの集合する燃料噴霧を形成する燃料噴射弁において、
    前記集合する燃料噴霧は、いずれも貫徹力が小さい燃料噴霧と貫徹力が大きい燃料噴霧で構成され、
    前記貫徹力が大きい燃料噴霧は、前記貫徹力が小さい燃料噴霧の吸気ポート天井側及び通路分岐部側に配置され、
    前記弁座軸心に直交する平面に前記集合する燃料噴霧の断面を垂直に投影する場合、前記平面において、前記弁座の中心を通る直線のうち、前記燃料噴霧の断面が互いに対称となるように分割する軸をY軸、前記弁座の中心を通り前記Y軸に直交する軸をX軸とすると、前記平面に垂直に投影される前記吸気ポート天井側の燃料噴霧の断面形状は、X軸方向に長い扁平形状であり、前記通路分岐部側の燃料噴霧の断面形状は、Y軸方向に長い扁平形状であり、
    前記貫徹力が小さい燃料噴霧、前記吸気ポート天井側の燃料噴霧、及び前記通路分岐部側の燃料噴霧を形成する噴孔群を各々Za’、Zb’、Zc’とすると、前記噴孔群Za’、Zb’、Zc’は少なくとも1つ以上の噴孔から構成され、
    前記噴孔群Za’、Zb’、Zc’を構成する噴孔を各々Za、Zb、Zcとすると、前記噴孔Za、Zb、Zcを前記平面に対して垂直に投影する場合、前記噴孔Zaは、前記噴孔Zb及び前記噴孔Zcより前記X軸側に配置され、前記噴孔Zbは、前記X軸に対して前記吸気ポート天井側に配置され、前記噴孔Zcは、前記X軸に対して前記吸気ポートの底側に配置されることを特徴とする燃料噴射弁。
  2. 前記噴孔Za、Zb、Zcを前記平面に対して垂直に投影する場合、前記噴孔群Za’を構成する噴孔で最も噴孔Zbに近い噴孔Zaの入口部中心と前記弁座の中心を結ぶ直線をL1とし、前記噴孔Zaに隣接する前記噴孔Zbの入口中心と前記弁座の中心を結ぶ直線をL2とし、前記直線L2と前記Y軸のなす角度をθ1とし、前記直線L1と直線L2のなす角度をθ2とすると、2θ1>θ2の関係にあり、
    前記噴孔群Za’を構成する噴孔で最も噴孔Zcに近い噴孔Zaの入口部中心と前記弁座の中心を結ぶ直線をL3とし、前記噴孔Zaに隣接する前記噴孔Zcの入口中心と前記弁座の中心を結ぶ直線をL4とし、前記直線L3と直線L4のなす角度をθ3とし、前記直線L4と前記Y軸のなす角度をθ4とすると、θ3>2θ4の関係にあり、
    前記角度θ1及びθ4はθ1>θ4の関係にあることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁。
  3. 前記噴孔Za、Zb、Zcの前記噴孔プレートの板厚方向に対する各々の噴孔傾斜角をαa、αb、αcとすると、
    αa>αb
    αa>αc
    であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料噴射弁。
  4. 前記噴孔プレートは前記シート面を下流側へ延長した仮想円錐と前記噴孔プレートの上流側端面とが交差して仮想円を形成するように配置され、
    前記弁体の先端部は下流側に行くに連れて前記弁座軸心を中心に縮径する形状であり、
    前記噴孔プレートに配置される前記噴孔Za、Zb、Zcの入口部中心の弁座軸心を中心とした噴孔ピッチ径を各々Pa、Pb、Pcとし、前記仮想円の直径をPkとすると、
    Pa<Pk<Pb
    Pa<Pk<Pc
    であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の燃料噴射弁。
  5. 前記噴孔Za、Zb、Zcの各々の総噴射量をQa、Qb、Qcとすると、
    Qa>(Qb+Qc)
    であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の燃料噴射弁。
  6. 請求項1から請求項5の何れか一項に記載の燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁に燃料を供給する燃料供給手段と、前記燃料噴射弁の動作を制御する制御手段と、
    を備えたことを特徴とする噴霧生成装置。
  7. 請求項1から請求項5の何れか一項に記載の燃料噴射弁を吸気ポートに備えたことを特徴とする火花点火式内燃機関。
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