JP5478671B2 - 流体噴射弁による噴霧生成方法、流体噴射弁及び噴霧生成装置 - Google Patents

流体噴射弁による噴霧生成方法、流体噴射弁及び噴霧生成装置 Download PDF

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Description

この発明は、例えば内燃機関(以下エンジンと呼ぶ)用燃料噴射弁に好適な噴霧生成方法、流体噴射弁及び噴霧生成装置に関するものである。
近年、自動車などの車両用エンジンにおいては、燃料噴霧の微粒化などによるエンジン冷機時の排出ガス低減や、燃焼性改善などによる燃費向上の研究開発が積極的に進められている。
例えば、衝突により得られる微粒化噴霧と、貫徹力の強いリード噴霧とを形成し、後者が前者を牽引して噴霧の飛散を抑制し、吸気弁中心位置よりも内側方向に燃料噴霧濃度を濃くしたものが知られている(特許文献1参照)。
また、各噴霧の干渉を回避して微粒化を図りつつ、かつ、各噴霧のコアンダ効果により互いに引き合いながら進むので噴霧の進行方向のバラツキを防止できるとしたものが知られている(特許文献2参照)。
特開2005−207236号公報 特開2000−104647号公報
しかしながら、上記特許文献1のものでは、噴流を衝突させて微粒化させるには、衝突位置は噴流のブレーク長さよりも短い位置にする必要があり、この場合、微粒化するがために噴流(噴霧)は飛散することになり、また、この衝突によって噴流が有していたエネルギーの内のいくらかは飛散した噴霧粒子の表面張力に転換されるので、貫徹力が低下することになる。
従って、この衝突によって飛散し、貫徹力が低下した噴霧を同時に噴射された貫徹力の強いリード噴霧が牽引するとしても、これらの噴霧先端部の挙動は時刻的にタイミングが合わず、噴射期間が短い小噴射量の場合は衝突により飛散した噴霧が取り残されてリード噴霧が先に進んでしまうことになる。
また、リード噴霧によって生じる誘引渦は、上記特許文献1の図4に示された以外に、同時にリード噴霧外周と雰囲気とのせん断力のバランスによって決まるある噴射方向下流位置でリード噴霧外周に円環渦を形成するので、飛散した噴霧はこの円環渦に取り込まれてそれより噴射方向下流に進むことができなくなる。
このように、リード噴霧が飛散した微粒化噴霧を牽引して進むには種々の制約条件を必要とするので、過渡運転時の非定常状態の多いガソリンエンジン用の噴射系システムとしては不向きであり、より簡便に噴霧パターンや全体噴霧の形状の設計自由度を向上させる手法が望まれる。
また、上記特許文献2のものでは、各噴霧が広がり過ぎないようにコアンダ効果を作用させ、かつ一方では各噴霧が集まらないようにコアンダ効果を抑制するというような噴霧方向のバランス維持は、静的な雰囲気条件下でも難しく、ましてや吸気ポート内では周囲空気圧力・温度、吸気流動、噴霧体積(重量)流量、噴霧速度などの影響も受けるため、過渡運転時の非定常状態の多いガソリンエンジン用の噴射系システムで実現するのは非常に難しい。
つまり、ここでのコアンダ効果の役割には、コンパクトな集合噴霧を形成するという積極的な意図はなく、全体噴霧の噴霧形状や噴霧パターン、噴射量分布は成り行きとなっていた。
以上、上記引用文献1,2のものでは、噴霧の微粒化向上と、噴霧形状、噴霧パターン、噴霧の貫徹力や噴射量分布の設計自由度向上を両立させる方策が示されておらず、従ってエンジン仕様毎に吸気ポート形状や吸気流動が異なるという実情の中で、より最適な噴霧仕様を決めるための指針とはなっていないという問題点があった。
この発明は、かかる問題点を解決することを課題とするものであって、流体噴霧の微粒化と、噴霧形状/噴霧パターン/貫徹力/噴射量分布の設計自由度向上を両立させた、流体噴射弁による噴霧生成方法、流体噴射弁及び噴霧生成装置を提供することを目的としている。
この発明に係る流体噴射弁による噴霧生成方法は、各噴孔から液膜流が噴射されて形成される、流体噴射弁による噴霧生成方法において、
前記各噴孔からの各前記液膜流が破断、分裂を経て噴霧流にブレークされたブレーク部位よりも下流側の噴霧が、複数の前記噴霧間に作用するコアンダ効果で集合して集合噴霧となる前の各噴霧の貫徹力を、噴霧の周囲の空気の下流方向に沿って誘起された空気流を減衰させる貫徹力とすることで、前記複数の噴霧の集合化を抑制し、複数の噴霧全体の貫徹力を抑制するようにしたものである。
この発明の流体噴射弁による噴霧生成方法によれば、例えば排気行程噴射では噴霧のほとんどが一旦は吸気弁に衝突するという状況を避けて、噴霧のほとんどを吸気ポート内に浮遊させることが可能になるので、吸気ポート内の空気から熱を奪って噴霧粒子を気化させることが可能となり、吸気冷却効果による充填効率向上を実現できる。
また、例えば吸気行程噴射では吸気弁から筒内へ流入する吸気流動に追随して噴霧が筒内へ流入することになり、筒内での吸気冷却効果による充填効率向上を実現できる。
この発明の実施の形態1の燃料噴射弁を示す断面図である。 図1の燃料噴射弁の先端部を示す拡大図である。 図2の噴孔プレートを示す平面図である。 図1の燃料噴射弁の先端部を示す拡大図である。 図2の要部を示す拡大図である。 噴霧の挙動を示す説明図である。 この発明の実施の形態1の燃料噴射弁による噴霧生成方法での噴霧の挙動を示す説明図である。 干渉距離とブレーク長さとの関係を示す図である。 液膜流の縦横比と長軸方向の伸長率との関係を示す図である。 実施の形態2の燃料噴射弁の噴霧が集合する形態を示す説明図である。 実施の形態2の燃料噴射弁の他の例の噴霧が集合する形態を示す説明図である。 実施の形態2の燃料噴射弁のさらに他の例の噴霧が集合する形態を示す説明図である。 実施の形態3の燃料噴射弁の噴霧が集合する形態を示す説明図である。 実施の形態3の燃料噴射弁の他の例の噴霧が集合する形態を示す説明図である。 実施の形態3の燃料噴射弁のさらに他の例の噴霧が集合する形態を示す説明図である。
以下、この発明の各実施の形態について図に基づいて説明するが、各図において同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1は燃料噴射弁1を示す断面図、図2は図1の燃料噴射弁1の先端部を示す拡大図である。
この燃料噴射弁1は、内燃機関の吸気管に取り付けられ、先端部が内燃機関の吸気ポート内に臨んでおり、下方に向けて燃料を噴射するようになっている。
燃料噴射弁1は、電磁力を発生するソレノイド装置2と、このソレノイド装置2への通電により作動する弁装置7とを備えている。
ソレノイド装置2は、磁気回路のヨーク部分をなすハウジング3と、このハウジング3の内側に設けられた固定鉄心であるコア4と、このコア4を囲ったコイル5と、このコイル5の内側に設けられ往復移動する可動鉄心であるアマチュア6とを備えている。
弁装置7は、円筒形状であってコア4の先端部の外径部に圧入、溶接された弁本体9と、この弁本体9の内部に設けられた弁座10と、弁座10の下流側に設けられた噴孔プレート11と、弁座10の内部で噴孔プレート11の上流に設けられたカバープレート18と、弁本体9の内側に設けられた弁体8と、弁体8の上流に設けられた圧縮バネ14とを備えている。
弁体8は、アマチュア6の内面に圧入、溶接された中空のロッド8aと、このロッド8aの先端部に溶接で固定されたボール13とを有している。
ボール13は、燃料噴射弁1のZ軸に平行な面取り部13aと、カバープレート18と対向した平面形状の平面部13bと、弁座10と線接触する曲面部13cとを有している。
噴孔プレート11は、周縁部が下側に折曲されており、弁座10の先端面及び弁本体9の内周側面に溶接されている。噴孔プレート11には板厚方向に貫通する複数の噴孔12が形成されている。
図3は図2のJ矢視による噴孔プレート11の平面図である。
噴孔プレート11には、燃料噴射弁1の中心軸であるZ軸に沿って下流に向けて外側に向かう10個の噴孔12が周方向に等間隔をおいて配置されている。
噴孔12は、この中心軸線、即ち噴流方向が内燃機関の吸気弁を指向し、かつ図3の左右で互いに交差する2方向に向かう噴孔群に分かれている。
次に、上記燃料噴射弁1の動作について説明する。
内燃機関の制御装置(図示せず)より燃料噴射弁1の駆動回路に動作信号が送られると、燃料噴射弁1のコイル5に電流が通電され、アマチュア6は、コア4側へ吸引される。
この結果、アマチュア6と一体構造であるロッド8a及びボール13は、圧縮バネ14の弾性力に逆らって上方向に移動し、ボール13の曲面部13cが弁座面10aから離間し両者に間隙が形成されて燃料流路が形成され、吸気ポートに指向した燃料噴射が開始する。
一方、内燃機関の制御装置より燃料噴射弁1の駆動回路に動作の停止信号が送られると、コイル5への通電が停止し、アマチュア6がコア4側に吸引される力は消失し、ロッド8aは、圧縮バネ14の弾性力によって弁座10側に押され、曲面部13cと弁座面10aとは閉じ状態となり、燃料噴射は、この時点で終了する。
ここで、例えば縮流によって噴孔12内の流れを液膜流とする噴孔プレート11とカバープレート18、及び弁座10、ボール13の詳細な位置、構造につき、図2、図4及び図5の各詳細断面図を用いて説明する。
燃料は、弁体8の開弁時においてボール13の面取り部13aと弁座10の内面との間のZ軸に平行な通路から、曲面部13cと弁座面10aとの間を下流へ向かい、シート部R1に至る。
シート部R1の上流では燃料がZ軸に平行に流れるため、燃料は、シート部R1を通過した後においては慣性により弁座面10aに沿う流れが主流となり、弁座面10aの下流端の点P1に達する。点P1は弁座面10aの終端であり、弁座10は、点P1から下流側は垂直方向に延びた面を有している。
従って、燃料の主流は、点P1から剥離する。弁座面10aの延長線は、カバープレート18の周側面と点P2で交わっており、点P1から剥離した燃料は、点P2に向かい環状通路C(弁座10の内周壁面とカバープレート18の大径部の周側面との間)を通過して、径方向に大幅な進路変更を伴わずに径方向通路B(弁座10の内周壁面とカバープレート18の小径部の周側面との間)に流入する。
上記によりシート部R1を通過する燃料の主流は、環状通路Cに流入するため、隙間通路A(ボール13の底面とカバープレート18の天面との間)への流入は抑制される。
シート部R1と噴孔12の入口の点R2とを直線で結んだ線は、カバープレート18の大径部である薄肉部18bで交叉しており、薄肉部18bは、シート部R1から噴孔12の入口への燃料の直線的な流入を遮っている。
このため、噴孔12に流入する燃料の少なくとも一部は、径方向通路Bに沿う流れとなる。カバープレート18は、この終端面18dが噴孔12よりも内径側で噴孔12に近接して配置されている。従って、径方向通路Bに沿って内径側に向かう燃料の正面流れイ(図5参照)は、燃料噴射弁1のZ軸から噴孔12に流入する戻り流れロ(図5参照)の流路を閉塞させ、戻り流れロの速度を低下させる。
戻り流れロが抑制されることで、シート部R1側から噴孔12に流入する正面流れイの速度が相対的に強められる。
正面流れイの少なくとも一部が径方向通路Bに沿って進行した後に噴孔12内で大幅な方向変化を強制されること、及び正面流れイが高速であることにより、燃料は、噴孔12の断面において、燃料噴射弁1のZ軸側の噴孔12の壁面に強く押し付けられる。
なお、図4において、Lは噴孔12の長さ、Dは噴孔12の径を示している。
この後、噴孔12の入口では、低速な戻り流れロは、噴孔12の壁面に沿って流れαを形成し、高速な正面流れイは、燃料を壁面に押し付ける燃料流βを形成する。
空気は、噴孔12の出口から噴孔12の入口付近に導入され、燃料流βに作用して、点Q(噴孔12の燃料入口の外側の縁部)を起点とした燃料流βの剥離を生じさせる。
燃料流βは、噴孔12内を進行するに伴い、壁面に押し付けられ、液膜の方向は、噴孔12の壁面の円周方向に広がりつつ噴孔12の壁面に沿う方向に変化していく。
隙間通路Aの高さhに対して噴孔12の長さLが適切であると、噴孔12内で薄い液膜流1aの状態まで押し付けられる。
そして、噴射された燃料の液膜流1aは、所定の距離を経て分裂を開始し、液糸の状態を経るなどして微粒化された液滴が生成される。
微粒化のプロセスにおいて、液滴を小さくするためにはその分裂の前段階である液糸を細くするのが有効である。そのためには、液糸の分裂の前段階である液膜を薄くしたり液柱を細くしたりするのが有効であり、液膜のほうがより液柱よりも有利であることが従来の知見で分かっている。
そこで、この他に、噴孔に流入する前の燃料流に旋回流を与えて噴孔内に液膜流を形成するなどいろいろな液膜流形成手法が提案されている。
本願発明者らは、これらの液膜流形成手法や微粒化プロセスと、それらをベースとした複数噴霧による全体噴霧の噴霧形状、噴霧パターン、貫徹力、噴射量分布の出来映えの関係を調査検討した結果、噴霧を広角化しなくても、あるいは、噴霧に大きな巻き上がり(渦環)を形成しなくても貫徹力を抑制することができる手法を見出した。
前述したようないろいろな微粒化手法が燃料噴射弁に適用されつつあるが、もともと微粒化のために小噴孔径にして多噴孔化する技術の流れにあり、隣り合う噴孔からの噴流が干渉して微粒化状態が悪化しないような配慮がなされている。
つまり、噴孔中心軸線あるいは噴流方向が下流になるほど離れていくように、噴孔配置と噴孔諸元(径、傾き、長さ等)、あるいは噴流配置と噴流方向はなされており、微粒化とコンパクトな噴霧という要件を両立させることは難しかった。
ここで、ポート噴射システムにおいては、吸気ポートへの燃料付着は、なんら良い影響/効果はなく、これを抑制することが最大の課題である。
従って、噴霧が吸気弁や吸気弁近傍の吸気ポートに付着する率を低減するために微粒化を向上させても、全体噴霧が広がった結果、噴霧側面が別の吸気ポート部分に付着するためにポート噴射システムとしてのメリットはなかなか見出せなかった。
つまり、各液膜流の方向を広角に設定して微粒化を促進させても、あるいは、微粒化噴霧に大きな巻き上がり(渦環)を生じさせて貫徹力を抑制しても、結果的には広角噴霧となって吸気弁や吸気ポートとの干渉を引き起こして燃料が付着することになる。
一方、全体噴霧の広がりを抑制しているものでは、噴孔中心軸線あるいは噴流方向が下流すぐのところで互いに交差するような噴孔配置と噴孔諸元、あるいは噴流配置と噴流方向にするものが知られているものの、液膜流れのブレーク長さ(噴孔出口から液膜流の破断や分裂を経て実質的に噴霧流と見なせるようになる状態の位置までの長さ)との関係など微粒化の要件を考慮したものは知られていない。
また、全体噴霧の広がりを抑制しようとした場合には、垂直線に対する噴孔中心軸線の角度は相対的に小さくなり、薄い液膜流形成には不利であり、従って微粒化プロセスが遅くなって噴流同士の干渉になり易くなり、微粒化レベルを期待値通りに実現できなかった。
更に、この場合、複数噴霧の集合が進んで、所謂「学術文献1」(日本機械学会論文集(第2部) 25巻156号pp820-826「ディーゼル機関燃料噴霧の到達距離に関する研究」(和栗ら))に記載の噴霧形態に近い噴霧形態となることによって、単噴霧の場合の貫徹力よりも集合噴霧の貫徹力のほうが大きくなっていた。
ここで、本願発明者は、噴孔が一つの単噴霧の挙動と、噴孔が複数の複数噴霧が重なって集合噴霧になった場合の挙動の差に注目し、複数噴霧全体の挙動の特徴を捉えて、複数噴霧全体、特に貫徹力をコントロールするような各噴孔(液膜流)配置と噴孔諸元(液膜流断面形状)を検討した。
図6は噴霧の挙動を示す図である。
図6(a)において、隣り合う噴孔12,12からの液膜流30,31は、ブレークが生じたときの液膜流断面形状は、断面E-Eに示す形状である。
このときの噴孔12と断面E-Eとの間の距離をブレーク長さaとする。
引き続き、液膜流30,31は、ばらけて噴霧30A,31Aとなり、噴孔12,12から距離bの位置で二つの噴霧30A,31Aは、その外形が接し始める(断面F-F)。ここで、噴孔12,12からの距離bを干渉距離と呼ぶ。
噴霧30A,31Aの噴孔12,12の中心軸線に対して垂直な平面での燃料の噴射量分布は、略等分布か、あるいはカルデラ状であり、中心部よりも外周部に分布が偏っている。
同時に、断面F-Fから、圧力分布に起因して二つの噴霧間に働くコアンダ効果によって噴霧は接近して断面G-Gのように集合化が進んでいき、噴霧の周囲空気の巻き込みと、それによる噴霧内所定部分の下流への流れ方向に沿った空気流の誘起を生じさせるようになる。
なお、周囲空気の巻き込みレベルは、集合した噴霧全体の形状を大きく変化させるレベルではなく、「学術文献2」(日本機械学会論文集(B編)62巻599号pp2867-2873「ディーゼル噴霧構造に与える雰囲気粘性の影響」(段ら))に記載のFig.12(a)レベルあるいは微小噴霧粒子のみが(b)レベルである。
条件が整えば、このまま二つの噴霧の集合化が進み、断面H-Hのように実質的にほぼ一つの中実噴霧とみなせるようになる。
図6(b)において、周囲空気の巻き込み状況を多くの渦状の矢印50で、分かり易いように誇張して示してある。
従って、ここでは渦状の矢印50の大きさや個数は、その実態を表すものではない。
また、噴霧内所定部分の下流への流れ方向に沿った空気流Vを誘起している。
その結果、F1-F1、G1a-G1a、G1b-G1b、H1-H1における噴射量分布は図6(b)の右側の図のように次第に略中心ピークに近づいていくことになる。
つまり、「学術文献1」やこの発明者による先願「特願2011-229503号明細書」にもあるように、各噴霧の貫徹力が減衰しない状態で各噴霧の集合化が進むと、実質的にほぼ一つの中実噴霧とみなせるようになって、更に集合噴霧の中心部の貫徹力が減衰しにくくなってしまう。つまり、貫徹力をコントロールできなくなるわけである。
そこで、本願発明者は種々の検討を重ねた結果、各噴孔12からの各液膜流30,31がブレークされたブレーク部位(断面E-E)よりも下流側において噴霧となった後、複数の噴霧30A,31A間に作用するコアンダ効果で各噴霧30A,31Aが集合して集合噴霧となる前(各噴霧30A,31Aを識別可能((図6(a)の断面G-G)な期間)の各噴霧30A,31Aの貫徹力を、噴霧30A,31Aの周囲の空気の下流方向に沿って誘起された空気流を減衰させる貫徹力として、複数の噴霧30A,31Aのそれ以後の集合化を抑制し、複数の噴霧30A,31A全体の貫徹力を急激に抑制するようにした。
図7(a)は、この実施の形態の燃料噴射弁1による噴霧の挙動を示す図であり、各噴霧30A,31Aの貫徹力を、空気流を減衰させる貫徹力にしたことで形成される複数噴霧全体の形態を示している。
つまり、図6(a)の断面G-G、H-Hと比較して分かるように、図7(a)の断面G-Gの噴霧の形態から下流ではさらなる集合化が抑制され、それに伴って、集合化する過程の複数噴霧30A,31Aの少なくとも一部が、断面J-Jではその複数噴霧30A,31A全体の外周側包絡線100からはみ出している。
図7(b)は、図6(b)に対応した図であり、断面J-Jでは周囲空気の半径方向外側等への巻き上がりが形成される。
本願発明者が検討した結果では、各噴孔12を基準に、ブレーク長さaの位置からおよそブレーク長さの2倍までの干渉距離bの範囲で、即ちb≦2aで各噴霧外形が干渉し始めるようにするのが噴霧の近接化あるいは集合化に適していることが分かった。
図8は、本願発明者が実験により噴霧の近接化、集合化に適した条件を見出したときの図である。
干渉距離bがブレーク長さaよりも小さいと、衝突した液膜が広範囲に散らばってしまい、各噴霧の近接化あるいは集合化に不利である。
逆に、干渉距離bが大きすぎると、各噴霧が拡がり過ぎてしまい、近接化あるいは集合化させることが困難になってくると考察される。
なお、ポート噴射の場合、ブレーク長さaから下流の噴霧粒子の数密度は、ガソリン筒内噴射用噴霧やディーゼル用噴霧に比べると極めて低く(ガソリン筒内噴射用噴霧の約1/10、ディーゼル用噴霧の約1/100以下のレベル)、基本的には同様の方向に同様の速度で移動しているために、粒子同士の衝突合体はほとんどないと考えてよい。
また、ポート噴射の場合の燃圧0.3MPaレベルでは、粒子単独からの分裂も生じていないと考えてよい。
以上のようにこの発明の実施の形態1の燃料噴射弁1による噴霧生成方法によれば、各噴孔12からの各液膜流30,31がブレークされたブレーク部位(断面E-E)よりも下流側において噴霧30A,31Aとなった後、複数の噴霧30A,31A間に作用するコアンダ効果で各噴霧30A,31Aが集合して集合噴霧となる前の各噴霧30A,31Aの貫徹力を、噴霧30A,31Aの周囲の空気の下流方向に沿って誘起された空気流を減衰させる貫徹力とすることで、複数の噴霧30A,31Aのそれ以後の集合化を抑制し、複数の噴霧全体の貫徹力を急激に抑制するようにした。
従って、各噴霧30A,31Aの広角化を伴わずに貫徹力をコントロールすることにより噴射系システム全体の自由度が高くなり、またエンジン性能が向上する。
なお、燃料の噴射量分布は必ずしも略等分布かカルデラ状でなくてもよく、また噴霧角は必ずしも最小でなくても、燃料の微粒化が促進されるのは、明らかである。
また、噴孔体である噴孔プレート11は弁座10とが一体的に構成されたものでもよい。
また、噴孔体として噴孔プレート11の代りにノズルであってもよい。
この実施の形態では、図7(a)の断面E−Eに示すように、各噴孔12の直下での液膜流30,31の断面形状である長円状のその短軸(横方向)の長さに対して長軸(縦方向)の長さが1.5倍以上である、即ち縦横比(ee1/ee2)が1.5以上になっている。
これによって、液膜流30,31の断面形状やその配置、方向に関してある程度の範囲でコアンダ効果を確実に生じさせることができることがわかった。
図9は、本願発明者が単独の長円状液膜流が表面張力に打ち勝ってより扁平になる条件をガソリンポート噴射用噴霧について実験により求めた図であり、長円の縦横比(ee1/ee2)が1.5以上である場合に、その傾向にあることが分かった。
なお、図9において、縦軸の縦方向への伸長率において、1.0の値は、液膜流30,31の長軸方向の長さに伸長が見られないことを意味する。
従って、単独の長円状液膜流30,31にこの特性を与えることで、各液膜流30,31の方向が噴霧間のバラツキに影響されずにコアンダ効果による近接化を実現することができる。
これらの各噴霧の貫徹力を所定のレベルに設定することは、「学術文献3」((社)自動車技術会 1999年秋季大会 学術講演会前刷集 No.69-99 JSAE9939604)において単噴霧に関して可能であることが示されている。
そして、所望の貫徹力を得るには、例えば、ノズル先端部流路での圧力損失のレベルを調整することによる、噴霧の運動量、つまり微粒化レベルを変更して得ることができる。
このことに関しては、「学術文献4」((社)自動車技術会 2000年春季大会 学術講演会前刷集 No.21-00 JSAE200052)において記載されている。
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2の燃料噴射弁1について図10で説明する。
図10に示された燃料噴射弁1は、図の左右で互いに交差しない2方向に向かう噴孔群に分かれている。
図10(a)はこの2スプレー方式の燃料噴射弁1のZ軸方向の上流側から見た場合の各噴孔12b〜12gの配置例を示す平面図である。
各噴孔12b〜12f、12gは、2スプレーの片側スプレーに対応し、それぞれの諸元は異なっていても構わない。
図10(b)は、図10(a)の各噴孔12b〜12gの配置例における噴孔12b〜12g直下の液膜流12b1〜12g1(図6あるいは図7の断面E−Eに相当)の配置及び形状を示すもので、隣り合う液膜流12b1〜12f1は互いに近接している状態にある。
図10(c)はブレーク長さより下流での各噴霧12b2〜12g2(図6あるいは図7の断面F−Fに相当)の配置と形状例を示すもので、各噴霧12b2〜12f2は、円周方向に連なり、燃料噴射弁1のZ軸を含まない片側に囲い込むように集まって外側噴霧体を形成している。
また、噴孔12gは、液膜流12g1、外側噴霧体の内側に形成された内側噴霧12g2に対応しており、この噴霧12g2は、コアンダ効果による、各噴霧12b2〜12f2の近接化が不十分な場合に設けると効果的である。
ここで、各噴霧の貫徹力が減衰しない状態で各噴霧の集合化が進むと、実質的にほぼ一つの中実噴霧とみなせるようになって、更に集合噴霧の中心部の貫徹力が減衰しにくくなってしまう。つまり、貫徹力をコントロールできなくなるわけである。
そこで、複数の噴霧12b2〜12f2間に作用するコアンダ効果で各噴霧12b2〜12f2が集合して集合噴霧となる前(各噴霧12b2〜12f2を識別可能な期間)の各噴霧12b2〜12f2の貫徹力を、噴霧12b2〜12f2の周囲の空気の下流方向に沿って誘起された空気流を減衰させる貫徹力として、複数の噴霧12b2〜12f2のそれ以後の集合化を抑制し、複数の噴霧12b2〜12f2全体の貫徹力を急激に抑制するようにした。
図10(d)(図7断面G−Gに相当)、(e)(図7断面J−Jに相当)は、この実施の形態の燃料噴射弁1による噴霧の挙動を示す図であり、各噴霧12b〜12fの貫徹力を、空気流を減衰させる貫徹力にしたことで形成される複数噴霧の形態を示している。
つまり、図10(d)の噴霧の形態から下流ではさらなる集合化が抑制され、それに伴って、図10(e)のように集合化する過程の複数噴霧12b4〜12f4全体の外周側包絡線100−12b〜fからはみ出して、周囲空気の半径方向外側等への巻き上がりが形成される。
なお、隣り合う噴孔12b〜12fからの液膜流12b1〜12f1、噴霧12b2〜12f2の挙動や、周囲空気の巻き込みレベルなどは図7のものと同様である。
また、2スプレーはX軸あるいはY軸に関して、必ずしも対称である必要はない。
次に、この発明の実施の形態2の燃料噴射弁1の他の例を図11で説明する。
図11(a)は、2スプレー方式の燃料噴射弁1において、燃料噴射弁1のZ軸方向の上流側から見た場合の噴孔12h〜12lの配置例を示す平面図である。
各噴孔12h〜12lは、2スプレーの片側スプレーに対応し、それぞれの諸元は異なっていても構わない。
図11(b)は、図11(a)の噴孔12h〜12lの配置例における噴孔12h〜12l直下の液膜流12h1〜12l1(図6あるいは図7の断面E−Eに相当)の配置及び形状例を示すもので、各噴孔12h〜12l直下の液膜流12h1〜12l1の断面形状における縦横比が1.5より大きくなっている。
図11(c)はブレーク長さより下流での各噴霧12h2〜12l2(図6あるいは図7の断面F−Fに相当)の配置と形状例を示すものである。
この例では、各噴孔12h〜12l直下の液膜流12h1〜12l1の縦横比をより大きくして近接させたので、コアンダ効果が強く作用するようになって近接化あるいは集合化を確実に生じさせることができる。
ここで、各噴霧の貫徹力が減衰しない状態で各噴霧の集合化が進むと、実質的にほぼ一つの中実噴霧とみなせるようになって、更に集合噴霧の中心部の貫徹力が減衰しにくくなってしまう。つまり、貫徹力をコントロールできなくなるわけである。
そこで、複数の噴霧12h2〜12l2間に作用するコアンダ効果で各噴霧12h2〜12l2が集合して集合噴霧となる前(各噴霧12h2〜12l2を識別可能な期間)の各噴霧12h2〜12l2の貫徹力を、噴霧12h2〜12l2の周囲の空気の下流方向に沿って誘起された空気流を減衰させる貫徹力として、複数の噴霧12h2〜12l2のそれ以後の集合化を抑制し、複数の噴霧12h2〜12l2全体の貫徹力を急激に抑制するようにした。
図11(d)(図7断面G−Gに相当)、(e)(図7断面J−Jに相当)は、この実施の形態の燃料噴射弁1による噴霧の挙動を示す図であり、各噴霧12h〜12lの貫徹力を、空気流を減衰させる貫徹力にしたことで形成される複数噴霧の形態を示している。
つまり、図11(d)の噴霧の形態から下流ではさらなる集合化が抑制され、それに伴って、図11(e)のように集合化する過程の複数噴霧12h4〜12l4全体の外周側包絡線100−12h〜lからはみ出して、周囲空気の半径方向外側等への巻き上がりが形成される。
なお、隣り合う噴孔12h〜12lからの液膜流12h1〜12l1、噴霧の挙動や、周囲空気の巻き込みレベル等は図7のものと同様である。
また、2スプレー方式はX軸あるいはY軸に関して、必ずしも対称である必要はない。
次に、この発明の実施の形態の燃料噴射弁1のさらに他の例を図12で説明する。
図12(a)は、1スプレー方式において、燃料噴射弁1のZ軸方向の上流側から見た場合の噴孔12mの配置例を示す平面図である。
図12(b)は、図12(a)の噴孔12mの配置例における噴孔12m直下の液膜流12m1の配置及び形状を示すもので、隣り合う液膜流12m1は互いに近接している状態にある。
図12(c)、図12(d)は、ブレーク長さaより下流でのそれぞれの噴霧12m2、12m3の配置と形状を示すもので、各噴霧12m2(図6あるいは図7の断面F−Fに相当)、12m3(図7断面G−Gに相当)は円周方向に沿って連なっているために、同時に燃料噴射弁1のZ軸にも近接していく状態を示している。
また、1スプレーであることから、複数噴孔は比較的コンパクトに連なっており、その影響で、図12(b)-図12(d)では、外部圧力p0に対して内部圧力p1は低くなっている。
この実施の形態2では、各噴孔12mは放射状に設定されており、各噴孔12m直下での液膜流12m1は、長円状の断面形状を有し、その長軸方向成分が略円周方向に略等間隔に配置されるように形成されている。
ここで、各噴霧の貫徹力が減衰しない状態で各噴霧の集合化が進むと、実質的にほぼ一つの中実噴霧とみなせるようになって、更に集合噴霧の中心部の貫徹力が減衰しにくくなってしまう。つまり、貫徹力をコントロールできなくなるわけである。
そこで、複数の噴霧12m2間に作用するコアンダ効果で各噴霧12m2が集合して集合噴霧となる前(各噴霧12m2を識別可能な期間)の各噴霧12m2の貫徹力を、噴霧12m2の周囲の空気の下流方向に沿って誘起された空気流を減衰させる貫徹力として、複数の噴霧12m2のそれ以後の集合化を抑制し、複数の噴霧12m2全体の貫徹力を急激に抑制するようにした。
図12(d)(図7断面G−Gに相当)、(e)(図7断面J−Jに相当)は、この実施の形態の燃料噴射弁1による噴霧の挙動を示す図であり、各噴霧12mの貫徹力を、空気流を減衰させる貫徹力にしたことで形成される複数噴霧の形態を示している。
つまり、図12(d)の噴霧の形態から下流ではさらなる集合化が抑制され、それに伴って、図12(e)のように集合化する過程の複数噴霧12m4全体の外周側包絡線100−12mからはみ出して、周囲空気の半径方向外側等への巻き上がりが形成される。
なお、隣り合う噴孔12mからの液膜流12m1、噴霧12m2,12m3の挙動や、周囲空気の巻き込みレベルなどは図7のものと同様である。
また、液膜流12m1の配置はX軸あるいはY軸に関して、必ずしも対称である必要はない。この場合は、図12(e)の断面形状を非円形とすることが可能である。
また、複数の噴孔12mの諸元(噴孔径や噴孔加工方向など)を同じとしないことにより、図12(e)の面内における噴射量に濃淡を与えることが可能である。
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3の燃料噴射弁1について図13(a)〜図13(c)で説明する。
燃料噴射弁1の多数の噴孔から噴射された液膜流39a〜39cは、噴霧40a〜40cとなり、最後は貫徹力が抑制された噴霧群41a〜41cが生成される。
燃料噴射弁1により生成される集合噴霧群41a〜41cは、エンジンの吸気ポート内においては、実質的にほぼ一体化した集合噴霧と見なされ、実施の形態1や2で示したところの所定の長さに合わせた噴霧貫徹力仕様となるコンパクトな微粒化噴霧を実現することができる。
また、エンジンの吸気ポート内においては、集合噴霧群41a〜41cは、吸気流動に抗して挙動するエネルギーがなくなっているので、複数噴霧全体の貫徹力が抑制された時点では、吸気流動に追随することが可能となるコンパクトな微粒化噴霧を実現することができる。つまり、排気行程噴射においては、吸気ポート内に滞留した空気(流動)に追随することが可能となる。
言い方を変えれば、噴射タイミングに係わらず、吸気弁直前において、吸気ポート壁面や吸気弁への噴霧付着を最小限に抑制することができる。特に、吸気行程噴射をさせる場合は、吸気ポート内の吸気流動に追随する微粒化噴霧を吸気ポート形状に応じて実現することが可能となり、筒内での噴霧気化による吸気冷却効果に伴う充填効率向上を実現できる。
従って、これらの目的や吸気ポート形状、吸気流動などに応じて、図13(a),(b),(c)のように貫徹力が急に抑制された後の噴霧挙動をマッチングさせれば、最適なエンジン性能を実現することが可能となる。
なお、図13(a)、(b)、(c)のような噴霧挙動の変更は、図10、11、12における噴孔諸元(あるいは液膜特性つまり噴霧特性)を変更することにより、また、これら噴孔諸元(あるいは液膜特性つまり噴霧特性)をX軸あるいはY軸に対して非対称とすることなどにより実現可能である。
次に、この発明の実施の形態の燃料噴射弁1の例を図14で説明する。
多気筒エンジンの1気筒だけを示している。
この燃料噴射弁1から噴射された液膜流39は、噴霧40となり、最後は集合噴霧群41が生成される。
この例の燃料噴射弁1では、ポート噴射システムの場合の、噴射ポイントから指向部位である吸気弁22までの長さに合わせて、あるいは噴射ポイントから集合噴霧群41が対向する吸気ポート壁面までの長さにあわせて、貫徹力が調整されている。
これにより、実際のエンジンでの吸気ポート噴射システムにおいて、各吸気ポート形状寸法に応じて吸気ポート壁面や吸気弁への噴霧付着を抑制し、且つ吸気流動に追随し易い噴霧仕様となるコンパクトな微粒化した集合噴霧群41を実現することができる。
図15はこの発明の実施の形態の他の例を示すものである。
多気筒エンジンの1気筒だけを示しており、この燃料噴射弁1は、スロットルボディ24のスロットル弁24aの下流側の位置に搭載されている。燃料噴射弁1の先端部は、吸気流の上流に向かって燃料噴射するように指向している。
この燃料噴射弁1から噴射された液膜流39は、噴霧40となり、最後は集合噴霧群41が生成される。
この例の燃料噴射弁1では、微粒化された噴霧40の貫徹力はスロットルボディ24の指向部位である、壁面やスロットル弁24a直前で急に抑制されるようになっている。
従って、一旦上流に噴射して混合気が形成される時間的空間的余裕を持たせることができる。この結果、極端に吸気ポートが短い場合などで下流方向に噴射すると気筒間の噴射量分配がアンバランスになったり、吸気ポートへの噴霧付着割合が増えたりして、結果的に混合気形成状態が悪くなりエンジンの性能が向上しないといった状態を改善することが可能である。
更に、この発明の噴霧の特性を生かして、吸気管集合部に燃料噴射弁1を一本だけ配置して、各気筒の吸気弁付近までの吸気ポートへの噴霧付着を抑制しつつ、吸気弁付近で貫徹力を抑制し広角な噴霧を行うことが可能である。
所謂、汎用エンジン、小型エンジンにおいては、現在のキャブレタから燃料噴射システムへの転換が進んでいるが、大幅なコストアップは難しいため、このような多気筒エンジンで燃料噴射弁を1本だけ使用するようなシステム(所謂シングルポイントインジェクション)はエンジンのコストパーフォーマンスを向上することになり、非常に有用である。
なお、燃料噴射弁1は、スロットルボディ24とは別に取り付けた場合でも前記の効果を得ることが可能である。
以上の各実施の形態において、噴霧パターンについては、2スプレー、1スプレーについて説明したが、3スプレーなどのマルチスプレー、異なる断面形状噴霧の組み合わせ、非対称噴霧、異なる貫徹力噴霧の組み合わせ、異なる微粒化噴霧の組み合わせなど、コンパクトな微粒化噴霧であれば、いろいろな仕様を実現可能である。
また、電磁式燃料噴射弁について説明したが、駆動源は他の方式でもよく、機械式、また間欠噴射弁ではなく連続噴射弁にも適用できることは明らかである。
さらに、燃料噴射弁1以外にも塗装・コーティング、農薬散布、洗浄、加湿、スプリンクラー、殺菌用スプレー、冷却などの一般産業用、農業用、設備用、家庭用、個人用としての各種スプレーなど用途・要求機能は多岐に亙る。
従って、駆動源やノズル形態、噴霧流体にかかわらず、これらの噴霧生成装置にもこの発明の流体噴射弁を組み入れて、今までになかった噴霧形態を実現することが可能である。
1a 液膜流、1 燃料噴射弁(流体噴射弁)、2 ソレノイド装置、3 ハウジング、4 コア、5 コイル、6 アマチュア、7 弁装置、8a ロッド、8 弁体、9 弁本体、10 弁座、10a 弁座面、11 噴孔プレート(噴孔体)、12b1〜12g1,12h1〜12l1,12m1,30,31,39,39a〜39c、液膜流、12,12b〜12g,12h〜12l,12m、噴孔、12b2〜12f2,12m2,30A,31A,40a〜40c、40 噴霧、12b,12b,12h,12m 噴孔、13 ボール、13a 面取部、13b 平面部、13c 曲面部、14 圧縮バネ、18 カバープレート、18d 終端面、18b 薄肉部、22 吸気弁(指向部位)、24 スロットルボディ、24a スロットル弁(指向部位)、32 集合噴霧、41a〜41c,41 集合噴霧群、100 外周側包絡線、p0 外部圧力、p1 内部圧力、R1 シート部、V 空気流、β 燃料流、A 隙間通路、B 径方向通路、C 環状通路C、イ.正面流れ、ロ 戻り流れ。

Claims (10)

  1. 各噴孔から液膜流が噴射されて形成される、流体噴射弁による噴霧生成方法において、
    前記各噴孔からの各前記液膜流が破断、分裂を経て噴霧流にブレークされたブレーク部位よりも下流側の噴霧が、複数の前記噴霧間に作用するコアンダ効果で集合して集合噴霧となる前の各噴霧の貫徹力を、噴霧の周囲の空気の下流方向に沿って誘起された空気流を減衰させる貫徹力とすることで、前記複数の噴霧の集合化を抑制し、複数の噴霧全体の貫徹力を抑制するようにしたことを特徴とする流体噴射弁による噴霧生成方法。
  2. 各前記噴霧は、前記噴孔と前記ブレーク部位との間のブレーク長さの2倍の範囲で互いに幾何学的に干渉されることを特徴とする請求項1記載の流体噴射弁による噴霧生成方法。
  3. 前記液膜流は、前記噴孔の中心軸線に対して垂直な断面形状が長円状であって、
    その短軸の長さに対して長軸の長さが1.5倍以上であることを特徴とする請求項1または2記載の流体噴射弁による噴霧生成方法。
  4. 前記ブレーク部位より下流側において、周方向に隣接した複数の前記噴霧により外側噴霧体が形成され、またこの外側噴霧体の内側に内側噴霧が形成されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の流体噴射弁による噴霧生成方法。
  5. 前記外側噴霧体は、全体形状が長円状の各前記噴霧のそれぞれの長軸の延長線を繋いだときの形状が多角形状であることを特徴とする請求項4記載の流体噴射弁による噴霧生成方法。
  6. 前記噴孔からの流体の噴射量分布は、前記噴孔の中心軸線に対して垂直な平面において略等分布か、あるいはカルデラ状であり、中心部よりも外周部に分布が偏っていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の流体噴射弁による噴霧生成方法。
  7. 流体通路の途中に設けられた弁座と、この弁座との当接、離間により前記流体通路の開閉を制御する弁体と、前記弁座の下流に設けられ、複数の噴孔を有する噴孔体とを備え、
    各前記噴孔から噴孔の中心軸線に対して垂直な断面形状が長円状の液膜流が噴射される流体噴射弁において、
    前記各噴孔からの各前記液膜流が破断、分裂を経て噴霧流にブレークされたブレーク部位よりも下流側の噴霧が、複数の前記噴霧間に作用するコアンダ効果で集合して集合噴霧となる前の各噴霧の貫徹力を、噴霧の周囲の空気の下流方向に沿って誘起された空気流を減衰させる貫徹力とすることで、前記複数の噴霧の集合化を抑制し、複数の噴霧全体の貫徹力を抑制するようになっていることを特徴とする流体噴射弁。
  8. 指向して液体が噴射される指向部位の手前で、複数の前記噴霧全体の前記貫徹力が抑制されることを特徴とする請求項7に記載の流体噴射弁。
  9. 前記指向部位は、スロットル弁であって、スロットル弁の吸気流の下流側でスロットルボディに取付けられることを特徴とする請求項8に記載の流体噴射弁。
  10. 請求項7〜9の何れか1項に記載の流体噴射弁を含むことを特徴とする噴霧生成装置。
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