以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)図1に本発明の第1の実施形態に係る釣銭機システムのブロック構成を示す。釣銭機システムは、LAN等により互いに通信可能に接続された釣銭機1A、釣銭機1B、及び釣銭機1Cを備えている。釣銭機1A、1B、1Cにはそれぞれ、顧客の購入商品の登録、釣銭額の算出、釣銭の出金指示を行うレジスタ2A、2B、2Cが接続されている。釣銭機1A、1B、1Cは、レジスタ2A、2B、2Cから指示された金額の釣銭を出金することができる。
次に釣銭機1A、1B、1Cの構成について、図2〜図6を用いて説明する。なお、釣銭機1A、1B、1Cは同じ構成であるため、ここでは釣銭機1Aの構成について説明する。図2に示すように、釣銭機1Aは、硬貨釣銭機100、紙幣釣銭機200、及び棒金収納部300を備えている。
図3に硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200のブロック構成を示す。硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200は、それぞれ制御部130、230を有する。制御部130、230は互いに接続されており、制御部230はレジスタ2A、棒金収納部300、釣銭機1B、1Cにも接続される。
硬貨釣銭機100は、外部から硬貨を受け入れる硬貨受入部114、硬貨受入部114から受け入れた受入硬貨の識別計数を行う硬貨識別部101、硬貨識別部101による識別結果に応じて受入硬貨を額面別に収納する硬貨収納部106、及び機内の貨幣を外部に払い出す硬貨払出部116を備える。
図2に示すように、硬貨釣銭機100は前部上面に操作表示部112を有する筐体110を備える。筐体110の前部には硬貨受入部114及び硬貨払出部116が設けられている。
硬貨受入部114は受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ機内へ取り込む。受入部114の後方には取り込まれた硬貨を搬送する入金搬送部103が延びている。
この入金搬送部103の途中には硬貨の識別・計数を行う硬貨識別部101と、分岐部104が設けられている。分岐部104は硬貨識別部101の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の硬貨払出部116から払い出される(放出される)硬貨を出金搬送部108へ案内(搬送)する。
正常硬貨等の機内に収納される硬貨は入金搬送部103により硬貨収納部106へ搬送される。硬貨収納部106は硬貨を金種別に収納し、例えば入金搬送部103の上流側から高額順に硬貨を収納する。
出金搬送部108は硬貨収納部106に収納された硬貨を取り出して、硬貨払出部116へ搬送する。また、分岐部104から案内された硬貨を硬貨払出部116へ搬送する。
制御部130は硬貨釣銭機100の各部の制御を行う。また、制御部130は、入金された硬貨の計数結果を硬貨識別部101から受け取り、紙幣釣銭機200の制御部230に通知する。
次に、紙幣釣銭機200の構成を説明する。紙幣釣銭機200は、外部から紙幣を受け入れる受入部214、受入部214から受け入れた紙幣の識別計数を行う識別部201、識別部201による識別結果に応じて紙幣を金種別に収納する収納部206、及び機内の紙幣を外部に払い出す払出部216を備える。
図2及び図3に示すように、紙幣釣銭機200は、筐体210と、この筐体210内の略中央部に設けられた環状の周回搬送部203aとを備えている。また、受入部214、収納部206、払出部216、出金リジェクト部204、及び回収カセット207が、周回搬送部203aの外周を取り囲むように配置されている。
また、受入部214、各収納部206、払出部216、出金リジェクト部204、及び回収カセット207と、周回搬送部203aとの間を接続する紙幣の接続搬送部203bがそれぞれ形成されている。周回搬送部203aには、通過する紙幣の識別・計数を行う識別部201が設けられている。
また、周回搬送部203aと各接続搬送部203bとの間で紙幣の搬送経路を切り替える経路切替部(図示せず)が周回搬送部203aに沿って配置されている。
図2及び図3に示すように、筐体210の前面には受入部214の受入口214aと、払出部216の取出口216aとが設けられている。回収カセット207は筐体210に対して着脱自在に取り付けられている。また、筐体210の前部上面に操作表示部212が設けられている。
操作表示部212は、補充用貨幣の出金指示や、補充用貨幣の入金指示を受け付けることができる。ここで、補充用貨幣の出金とは、貨幣在高が少なくなった他の釣銭機のために貨幣を出金することをいう。また、補充用貨幣の入金とは、釣銭機1A自身の貨幣在高が少なくなった場合に、他の釣銭機から出金された貨幣を入金することをいう。
受入部214は受入口214aに挿入された紙幣を1枚ずつ取り込んで、周回搬送部203a側へ繰り出す。各収納部206は、識別部201の識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納する。払出部216は、各収納部206から取り出された紙幣を取出口216aより放出する。
出金リジェクト部204は、収納部206から繰り出された紙幣のうち、斜行等により識別部201で識別のできない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納する。また、受入部214から取り込まれた紙幣のうち、汚損等により識別部201で識別のできない紙幣はリジェクト紙幣として払出部216に返却される。
制御部230は紙幣釣銭機200の各部の制御を行う。また、制御部230は、入金された紙幣の計数結果を識別部201から受け取り、制御部130から通知された硬貨入金額を加算することで、釣銭機1Aへの入金額を算出することができる。また、制御部230はメモリ220に対してデータの読み書きを行うことができる。
操作表示部212を介して補充用貨幣の出金指示や入金指示を受け付けた場合の制御部130、230の処理については後述する。
図4は棒金収納部300の斜視図である。棒金収納部300は、棒金(包装硬貨)を収納するために用いられるものであり、筐体301と、筐体301に対して引き出し自在に設けられるドロア302とを備えている。図4に示すように、ドロア302には、棒金を1本ずつ収納可能な収納領域303が複数設けられている。各収納領域303における棒金の収納姿勢は、棒金の軸線がドロア302の引き出し方向と直交する方向を向いた姿勢である。
また、図5に示すように、筐体301の下面内方には光を発光する発光部310が設けられ、筐体301の上面内方には発光部310によって発光された光を受光する受光部311が設けられている。
また、図6に示すように、収納領域303の下面にはスリット321、322、323が設けられており、発光部310から発光された光は、このスリット321、322、323を通過する。すなわち、発光部310、受光部311は、スリット321、322、323に対応する箇所(3箇所)に設けられている。
また、図5に示すように、ドロア302と筐体301との間には、制御部330に接続されたロータリエンコーダ312が設けられており、ドロア302の筐体301に対する位置を検出することができるようになっている。
制御部330は、ドロア302をロックして引き出し不能にしたり、ロックを解除して引き出し可能にしたりすることができる。また、制御部330は、発光部310、受光部311、及びロータリエンコーダ312から得られる情報に基づいて棒金の直径を検出し、金種の判定を行うことができる。そのため、制御部330は、収納領域303における棒金の有無や、収納されている棒金の金種を検出することができ、棒金収納部300内に収納されている棒金の金種別の個数や合計金額を算出することができる。また、制御部330は、紙幣釣銭機200の制御部230に接続されており、棒金収納部300内に収納されている棒金の金種別の個数や合計金額を制御部230に通知することができる。
次に、紙幣釣銭機200の操作表示部212を介して補充用貨幣の出金指示を受け付けた場合の制御部130、230の処理について説明する。操作表示部212は、出金指示として、出金額(金種別枚数)と、補充先釣銭機(出金した補充用貨幣が補充される釣銭機)の情報とを受け付ける。
操作表示部212が補充用貨幣の出金指示を受け付けると、制御部230は、指示された金額(金種別枚数)に含まれる紙幣分を払出部216から放出させる。また、制御部230は、出金指示された金額に含まれる硬貨分を制御部130に通知する。制御部130は制御部230から通知された金額の硬貨を硬貨払出部116から払い出す。
制御部230は、補充用貨幣の出金後、出金した貨幣の金額(金種別枚数)、すなわち出金指示された金額(金種別枚数)を用いて出金情報を作成する。そして、制御部230は、補充先釣銭機として指定された釣銭機(釣銭機1B又は1C)の制御部230へ出金情報を送信する。
また、補充用貨幣の出金指示に棒金硬貨の出金が含まれている場合、制御部230は制御部330に棒金硬貨の出金を通知する。制御部330は、制御部230からの通知に伴いドロア302のロックを解除して引き出し(開放)可能にする。制御部330は、ドロア302が引き出された後に戻される(閉鎖される)と、ドロア302をロックするとともに、棒金収納部300内に収納されている棒金の金種別個数を算出する。そして、制御部330は、ドロア302の開放前の棒金の金種別個数と閉鎖後の棒金の金種別個数との差から、棒金収納部300から取り出された棒金の金種別個数を算出し、制御部230に通知する。棒金1個あたりの硬貨の枚数は、金種毎に予め定められた枚数となっているので、棒金の金種別個数から硬貨の金種別枚数を算出し、出金金額を知ることができる。制御部230は、この金額(金種別枚数)と、出金指示された金額とを比較し、一致していればこの金額(金種別枚数)を用いて出金情報を作成し、送信する。
次に、紙幣釣銭機200の操作表示部212を介して補充用貨幣の入金指示を受け付けた場合の制御部130、230の処理について説明する。
釣銭機1Aの操作表示部212が補充用貨幣の入金指示を受け付ける場合、釣銭機1Aに入金される補充用貨幣は他の釣銭機から出金されており、釣銭機1Aの制御部230は、他の釣銭機から出金情報を受信する。制御部230は、受信した出金情報を、メモリ220に書き込む。
制御部130は、操作表示部212が入金指示を受け付けた後に硬貨釣銭機100に入金された硬貨の計数結果を制御部230に通知する。制御部230は、操作表示部212が入金指示を受け付けた後に紙幣釣銭機200に入金された紙幣の計数結果と、制御部130から通知された計数結果とを用いて入金貨幣の金種別枚数を求め、メモリ220に記憶されている出金情報に含まれている金額(金種別枚数)と照合する。制御部230は照合結果が不一致の場合は、図示しない報知部を用いて警報を報知する。これにより、釣銭機1Aに入金された補充用貨幣が、他の釣銭機から出金された補充用貨幣と一致していないことが分かる。
また、釣銭機1Aの制御部230は照合結果を出金情報の送信元に通知する。照合結果が不一致であった場合、補充用貨幣を出金した釣銭機においても警報を報知する。これにより、他の釣銭機においても、出金した補充用貨幣が、釣銭機1Aに入金された補充用貨幣と一致していないことが分かる。
また、制御部230は、他の釣銭機から出金情報を受信してから所定時間以内に、操作表示部212を介した補充用貨幣の入金指示に基づく貨幣の入金処理が行われない場合は、警報を報知する。「所定時間」は、係員が、釣銭機から出金された補充用貨幣を、補充を必要とする釣銭機まで持ち運ぶのに要する時間を考慮して予め設定された時間である。これにより、他の釣銭機で出金された補充用貨幣の入金忘れを防止できる。
次に、図7を用いて、本実施形態に係る釣銭機システムを用いてレジ間で補充用貨幣の入出金を行う処理について説明する。ここでは、釣銭機1Aの現金在高が不足し、釣銭機1Bから出金した補充用貨幣を、釣銭機1Aに入金する場合について説明する。釣銭機1Aが設置されているレジの係員Aと、釣銭機1Bが設置されているレジの係員Bとの間で、補充用貨幣の授受について既に合意がなされているものとする。
(ステップS101)釣銭機1Bの操作表示部212が、係員Bから補充用貨幣の出金指示を受け付ける。具体的には、係員Bが、補充用貨幣として出金する貨幣の金種別枚数と、補充用貨幣の補充先(釣銭機1A)とを、操作表示部212を介して入力する。
(ステップS102)釣銭機1Bが、指示された金種別枚数の貨幣を出金する。貨幣の出金には、硬貨釣銭機100によるバラ硬貨の出金、紙幣釣銭機200による紙幣の出金だけでなく、棒金収納部300からの棒金の取り出しも含まれ得る。
釣銭機1Bから出金された貨幣は、係員A、係員B、又は他の係員により釣銭機1Aの元へ運ばれる。
(ステップS103)釣銭機1Bが、出金指示された貨幣の金種別枚数(又は実際に出金した貨幣の金種別枚数)に基づいて出金情報を作成する。
(ステップS104)釣銭機1Bが、出金情報を補充先釣銭機である釣銭機1Aへ送信する。
(ステップS105)釣銭機1Aが、釣銭機1Bから出金情報を受信し、この出金情報をメモリ220に書き込む。
(ステップS106)釣銭機1Aの操作表示部212が、補充用貨幣の入金指示を受け付ける。これにより、釣銭機1Aは入金待ち状態となる。
ステップS105で出金情報を受信してからステップS106で入金指示を受け付けるまでに所定時間以上経過した場合、釣銭機1Aは警報を報知し、係員Aに補充用貨幣の入金を促す。
(ステップS107)釣銭機1Aに貨幣が投入される。
(ステップS108)釣銭機1Aが、投入された貨幣を識別・計数する。
(ステップS109)ステップS108における識別・計数による計数結果と、ステップS105でメモリに書き込まれた出金情報に含まれる貨幣の金種別枚数とが照合される。照合結果が不一致の場合、釣銭機1Aは警報を発し、係員Aに、釣銭機1Bの出金額と釣銭機1Aの入金額が不一致であることを報知する。
(ステップS110)釣銭機1Aから釣銭機1Bに照合結果が通知される。照合結果が不一致の場合、釣銭機1Bは警報を発し、係員Bに、釣銭機1Bの出金額と釣銭機1Aの入金額が不一致であったことを報知する。
このように本実施形態では、売り場にある釣銭機間で補充用貨幣を授受するため、店舗後方の現金処理機から補充用貨幣を運んでくるような従来のシステムと比較して、現金の運搬にかかる時間を短縮することができる。
また、補充用貨幣を出金する釣銭機が、補充先の釣銭機へ出金情報を送信し、補充先の釣銭機において、出金情報と、実際に入金された貨幣とを照合するため、違算の発生を防止することができる。また、照合結果が補充元釣銭機に通知されるため、補充用貨幣を厳正に管理できる。また、補充先の釣銭機は、出金情報を受信してから所定時間以内に補充用貨幣の入金が行われないと警報を発するため、レジ係員が補充用貨幣を入金し忘れることを防止できる。
このように、本実施形態に係る釣銭機システムによれば、レジ間(釣銭機間)での貨幣の補充を厳正に行い、違算の発生を防止することができる。また、釣銭機への貨幣補充を速やかに行うことができる。
上記第1の実施形態において、棒金収納部300の制御部330は、紙幣釣銭機200の制御部230でなく硬貨釣銭機100の制御部130に接続されていてもよいし、制御部130、230の両方に接続されていてもよい。
また、紙幣釣銭機200の操作表示部212でなく、硬貨釣銭機100の操作表示部112を介して補充用貨幣の出金指示や入金指示を受け付けるようにしてもよい。
上記第1の実施形態では、3台の釣銭機1A〜1Cを備える構成について説明したが、釣銭機は2台以上であれば何台でもよい。また、上記第1の実施形態では釣銭機1A〜1C同士が通信接続する例について説明したが、レジスタ2A〜2Cを互いに接続し、釣銭機1A〜1Cはレジスタ2A〜2Cを介して通信してもよい。また、補充用貨幣の出金指示や入金指示を受け付ける機能をレジスタ2A〜2Cに設けてもよい。
また、釣銭機1Aが出金情報を受信してから入金指示を受け付けるまでに所定時間以上経過した場合に警報を報知するようにしたが、入金指示の受け付けに代えて、貨幣の投入開始、貨幣の投入完了、投入貨幣の計数完了、または計数結果の照合完了などの処理を採用してもよい。すなわち、これらの入金処理のいずれかが所定時間以内に行われない場合に警報を報知するようにしてもよい。
(第2の実施形態)図8に本発明の第2の実施形態に係る釣銭機システムの概略構成を示す。釣銭機システムは、レジスタ2A、2B、2Cから指示された金額の釣銭を出金することができる釣銭機1A、1B、1Cと、釣銭機1A〜1Cのうち2つの釣銭機の間での補充用貨幣の授受を管理する管理装置3と、を備える。釣銭機1A〜1Cの基本的構成は、図2〜図6に示す上記第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
上記第1の実施形態では、釣銭機1A〜1Cが互いに通信可能に接続されていたが、本実施形態では、釣銭機1A〜1Cはそれぞれ、管理装置3と通信可能に接続されている。具体的には、例えば、釣銭機1A〜1Cの制御部230と管理装置3とが通信を行う。
釣銭機1A〜1Cはそれぞれ、貨幣在高が少なくなった場合に、貨幣の補充を要求する補充要求信号を管理装置3へ出力する。「貨幣在高が少なくなった」とは、例えば、貨幣収納枚数が所定値以下になったことをいい、この所定値は金種毎に設定されている。釣銭機1A〜1Cが出力する補充要求信号には、補充を要求する貨幣(補充用貨幣)の金種別枚数の情報が含まれている。
管理装置3は、釣銭機1A〜1Cのいずれかから補充要求信号を受け取ると、補充用貨幣の金種別枚数の情報を取得する。そして、管理装置3は、この金種別枚数の補充用貨幣が出金可能であるか否かを、釣銭機1A〜1Cに問い合わせる。このとき、管理装置3は、補充要求信号の出力元の釣銭機には問い合わせを行わなくてもよい。
釣銭機1A〜1Cは、管理装置3から補充用貨幣の出金が可能であるか否かの問い合わせを受け付けると、自機の在高に基づいて、出金の可否を応答する。例えば、補充用貨幣を出金しても貨幣収納枚数が所定値より多い場合、釣銭機1A〜1Cは、補充用貨幣の出金ができると応答する。一方、例えば、補充用貨幣を出金することで貨幣収納枚数が所定値以下になる場合、釣銭機1A〜1Cは、補充用貨幣の出金ができないと応答する。釣銭機1A〜1Cは、補充用貨幣の出金ができない場合、管理装置3に対して何も応答しなくてもよい。
管理装置3は、補充用貨幣を出金できるという応答のあった釣銭機の中から、補充用貨幣の出金を行う釣銭機を選定する。以下、補充用貨幣の出金を行う釣銭機を補充元釣銭機、補充用貨幣を入金する、すなわち補充要求信号を出力した釣銭機を補充先釣銭機と称する。補充用貨幣を出金できるという応答が複数の釣銭機からあった場合、管理装置3は、様々な条件で補充元釣銭機を選定することができ、例えば、最初に応答した釣銭機を補充元釣銭機として選定してもよいし、予め各釣銭機の位置を把握しておき、補充先釣銭機に最も近い釣銭機を補充元釣銭機として選定してもよい。
管理装置3は、補充元釣銭機に補充用貨幣の出金を指示するとともに、補充先釣銭機に補充用貨幣の入金を指示する。
補充元釣銭機は、管理装置3から補充用貨幣の出金指示を受け付けると、出金指示を受け付けたことを操作表示部212、操作表示部112、又はレジスタの画面の少なくともいずれか1つに表示する。補充用貨幣の出金指示には、補充先釣銭機の情報が含まれており、補充用貨幣がどの釣銭機へ補充されるかを画面に表示できる。
補充元釣銭機は、操作表示部212を介して補充用貨幣の出金命令が入力されると、硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200が補充用貨幣を出金する。補充用貨幣として棒金を出金する場合は、棒金収納部300のドロア302のロックが解除され、棒金が取り出し可能になる。棒金収納部300は、取り出された棒金を検出し、制御部230に通知する。棒金収納部300から取り出された棒金と、出金指示された補充用貨幣とが異なる場合、補充元釣銭機は警報を報知する。これにより、補充用貨幣に対応しない棒金が取り出されることを防止できる。
また、補充元釣銭機は、管理装置3から補充用貨幣の出金指示を受け付けてから、所定時間以内に補充用貨幣を出金しない場合、警報を報知する。これにより、補充用貨幣の出金忘れを防止できる。
補充元釣銭機は、補充用貨幣の出金を行うと、出金完了を管理装置3に通知する。管理装置3は、この通知を受け取ってから補充先釣銭機に補充用貨幣の入金を指示する。
補充先釣銭機は、管理装置3から補充用貨幣の入金指示を受け付けると、入金指示を受け付けたことを操作表示部212、操作表示部112、又はレジスタの画面の少なくともいずれか1つに表示する。補充用貨幣の入金指示には、補充元釣銭機の情報が含まれており、補充用貨幣がどの釣銭機から出金されるかを画面に表示できる。
補充先釣銭機は、操作表示部212を介して補充用貨幣の入金命令が入力されると、補充用貨幣の入金待機状態となる。硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200は、補充用硬貨の入金待機状態で入金された貨幣を補充用貨幣として識別、計数、収納する。補充先釣銭機は、入金された補充用貨幣の計数結果(金種別枚数)を管理装置3に通知する。
補充先釣銭機は、管理装置3から補充用貨幣の入金指示を受け付けてから、所定時間以内に補充用貨幣が入金されない場合、警報を報知する。これにより、補充用貨幣の入金忘れを防止できる。
管理装置3は、補充元釣銭機に出金指示した補充用貨幣の金種別枚数と、補充先釣銭機から通知された補充用貨幣の金種別枚数とを照合する。照合結果が不一致の場合、管理装置3は警報を報知する。照合結果が一致の場合、管理装置3は補充処理が完了したことを補充元釣銭機に通知してもよい。
次に、図9を用いて、本実施形態に係る釣銭機システムを用いてレジ間で補充用貨幣の入出金を行う処理について説明する。ここでは、釣銭機1Aが補充先釣銭機、釣銭機1Bが補充元釣銭機となる場合について説明する。
(ステップS201)釣銭機1Aが、管理装置3に対して補充要求信号を出力する。この補充要求信号には補充用貨幣の金種別枚数が含まれている。
(ステップS202)管理装置3が、補充要求信号に基づいて、補充用貨幣の出金が可能であるか否か釣銭機1B及び1Cに問い合わせる。
(ステップS203)釣銭機1Bが、管理装置3に対して、補充用貨幣の出金が可能であると応答する。ここで、補充用貨幣の出金が可能な釣銭機がない場合は、レジ間での補充処理を打ち切り、釣銭機1Aと店舗後方の現金処理機、または出納係の手持ち現金により補充する処理に切り替えるようにしてもよい。
(ステップS204)管理装置3が、釣銭機1Bに対して補充用貨幣の出金を指示する。ここで、管理装置3は、釣銭機1Bに出金指示した補充用貨幣の金種別枚数を、図示しないメモリに記憶させておく。
(ステップS205)釣銭機1Bが設置されているレジの係員Bが、操作表示部212を介して補充用貨幣の出金命令を与える。この出金命令に基づいて、釣銭機1Bが補充用貨幣を出金する。補充用貨幣の出金には、硬貨釣銭機100によるバラ硬貨の出金、紙幣釣銭機200による紙幣の出金だけでなく、棒金収納部300からの棒金の取り出しも含まれ得る。
なお、係員Bが、操作表示部212を介して補充用貨幣の出金命令を与えてから釣銭機1Bが補充用貨幣を出金するとしたのは、顧客の購入商品の精算処理などを行っている最中に補充用貨幣が出金されることを防止するためである。
ステップS204で管理装置3から出金指示を受信してから、ステップS205で出金命令を与えられるまでに所定時間以上経過した場合、釣銭機1Bは警報を報知し、係員Bに補充用貨幣の出金を促す。
(ステップS206)釣銭機1Bが、補充用貨幣の出金完了を管理装置3に通知する。
(ステップS207)管理装置3が、釣銭機1Aに対して補充用貨幣の入金を指示する。釣銭機1Aの操作表示部112、212、又はレジスタ2Aのディスプレイに補充元釣銭機が釣銭機1Bであることが表示される。
釣銭機1Aが設置されているレジの係員Aは、表示内容を確認し、釣銭機1Bが設置されているレジへ移動し、係員Bから補充用貨幣を受け取って、釣銭機1Aが設置されているレジに戻る。補充用貨幣の移送は他の係員が行ってもよい。
(ステップS208)係員Aが、釣銭機1Aの操作表示部212を介して補充用貨幣の入金命令を与える。この入金命令に基づいて、釣銭機1Aは補充用貨幣の入金待ち状態となる。
なお、係員Aが、操作表示部212を介して補充用貨幣の入金命令を与えることで釣銭機1Aが補充用貨幣の入金待ち状態になるとしたのは、顧客の購入商品の精算処理などを行っている最中に補充用貨幣の入金待ち状態になり、顧客の支払い金が補充用貨幣として扱われることを防止するためである。
ステップS207で管理装置3から入金指示を受信してから、ステップS208で入金命令を与えられるまでに所定時間以上経過した場合、釣銭機1Aは警報を報知し、係員Aに補充用貨幣の入金を促す。
(ステップS209)釣銭機1Aに補充用貨幣が投入される。釣銭機1Aは、補充用貨幣を識別・計数する。
(ステップS210)釣銭機1Aが補充用貨幣の計数結果(金種別枚数)を管理装置3に通知する。
(ステップS211)管理装置3が、ステップ204でメモリに記憶させておいた補充用貨幣の金種別枚数と、ステップS210で釣銭機1Aから通知された計数結果とを照合する。照合結果が一致している場合、補充処理は正常終了となる。照合結果が不一致の場合、管理装置3は警報を発し、釣銭機1Bの出金額と釣銭機1Aの入金額が不一致であることを報知する。
このように本実施形態では、売り場にある釣銭機間で補充用貨幣を授受するため、店舗後方の現金処理機から補充用貨幣を運んでくるような従来のシステムと比較して、現金の運搬にかかる時間を短縮することができる。
また、管理装置3が、補充元釣銭機へ出金指示した補充用貨幣と、補充先釣銭機に実際に入金された補充用貨幣とを照合するため、違算の発生を防止することができる。また、補充先釣銭機は、管理装置3から補充用貨幣の入金指示を受信してから所定時間以内に補充用貨幣の入金が行われないと警報を発するため、レジ係員が補充用貨幣を入金し忘れることを防止できる。
このように、本実施形態に係る釣銭機システムによれば、レジ間(釣銭機間)での貨幣の補充を厳正に行い、違算の発生を防止することができる。また、釣銭機への貨幣補充を速やかに行うことができる。
本実施形態では、補充先釣銭機が補充用貨幣の金種別枚数を含む補充要求信号を管理装置3へ出力していたが、補充用貨幣の金種を含む補充要求信号を管理装置3へ出力し、補充用貨幣の枚数は管理装置3が決定してもよい。
また、補充先釣銭機が入金指示を受信してから入金命令が与えられるまでに所定時間以上経過した場合に警報を報知するようにしたが、入金命令が与えられることに代えて、貨幣の投入開始、貨幣の投入完了、投入貨幣の計数完了、または計数結果の照合完了などの処理を採用してもよい。すなわち、これらの入金処理のいずれかが所定時間以内に行われない場合に警報を報知するようにしてもよい。
(第2の実施形態の変形例)上記第2の実施形態において、釣銭機1A〜1Cが機内の在高データを管理装置3へ随時出力し、管理装置3が各釣銭機の在高をリアルタイムに管理していてもよい。
この場合、管理装置3は、釣銭機1A〜1Cのいずれかから補充要求信号を受け取ると、補充用貨幣の出金可否の問い合わせは行わず、各釣銭機の在高に基づいて補充元釣銭機となる釣銭機を選定する。例えば、管理装置3は、補充用貨幣の在高が最も多い釣銭機を補充元釣銭機として選定する。
また、管理装置3は、補充要求信号を受信する前に、各釣銭機の在高に基づいて、補充元釣銭機と補充先釣銭機を選定するとともに、補充用貨幣の金種別枚数を決定し、補充用貨幣の授受を行うように補充用貨幣の出金指示、入金指示を行ってもよい。
(第3の実施形態)本発明の第3の実施形態に係る釣銭機システムは、図1〜図6に示す上記第1の実施形態と同様の構成であるため、図1〜図6を用いて説明を行う。上記第1の実施形態では釣銭機の貨幣在高が少なくなった場合に貨幣の補充処理を行っていたのに対し、本実施形態では貨幣の両替を行う点が異なる。
具体的には、紙幣釣銭機200の操作表示部212が、上記第1の実施形態では補充用貨幣の出金指示や入金指示を受け付けていたのに対し、本実施形態では両替貨幣の出金指示や入金指示を受け付ける。
紙幣釣銭機200の操作表示部212を介して両替貨幣の出金指示を受け付けた場合の制御部130、230の処理について説明する。この出金指示には、出金すべき両替貨幣の金種別枚数と、出金した両替貨幣が入金される釣銭機の情報とが含まれている。
操作表示部212が両替貨幣の出金指示を受け付けると、制御部230は、指示された金種別枚数に含まれる紙幣分を払出部216から放出させる。また、制御部230は、出金指示された金額に含まれる硬貨分を制御部130に通知する。制御部130は制御部230から通知された金額の硬貨を硬貨払出部116から払い出す。
制御部230は、両替貨幣の出金後、出金した両替貨幣の金種別枚数を、出金した両替貨幣が入金される他釣銭機へ送信する。
また、両替貨幣の出金指示に棒金硬貨の出金が含まれている場合、制御部230は制御部330に棒金硬貨の出金を通知する。制御部330は、制御部230からの通知に伴いドロア302のロックを解除して引き出し(開放)可能にする。制御部330は、ドロア302が引き出された後に戻される(閉鎖される)と、ドロア302をロックするとともに、棒金収納部300内に収納されている棒金の金種別個数を算出する。そして、制御部330は、ドロア302の開放前の棒金の金種別個数と閉鎖後の棒金の金種別個数との差から、棒金収納部300から取り出された棒金の金種別個数を算出し、制御部230に通知する。棒金1個あたりの硬貨の枚数は、金種毎に予め定められた枚数となっているので、棒金の金種別個数から硬貨の金種別枚数を算出し、出金金額を知ることができる。制御部230は、この金額(金種別枚数)と、出金指示された金額とを比較し、一致していればこの金種別枚数を出金した両替貨幣とする。
次に、紙幣釣銭機200の操作表示部212を介して両替貨幣の入金指示を受け付けた場合の処理について説明する。入金指示を受け付けた場合の処理は、事前に出金指示を受け付けて両替貨幣を出金したか否かによって異なる。
第1釣銭機と第2釣銭機との間で貨幣の両替を行う場合、まず第1釣銭機が第1金種からなる第1両替貨幣を出金する。第2釣銭機は、第1両替貨幣が入金されると、第1両替貨幣を、第1金種とは異なる第2金種からなる第2両替貨幣に両替して出金する。そして、第2両替貨幣が第1釣銭機に入金される。従って、第1釣銭機の立場で両替貨幣の入金指示を受け付けた場合と、第2釣銭機の立場で両替貨幣の入金指示を受け付けた場合とで、処理が異なる。
まず、事前に出金指示を受け付けて両替貨幣を出金した後に、両替貨幣の入金指示を受け付けた場合の処理、すなわち上述の第1釣銭機における処理について説明する。このとき釣銭機に入金される両替貨幣は、自機で事前に出金した第1金種からなる第1両替貨幣が、他の釣銭機で第2金種(≠第1金種)に両替された第2両替貨幣である。
釣銭機は、入金された第2両替貨幣を識別、計数し、第2両替貨幣の合計金額と、事前に出金した第1両替貨幣の合計金額とを照合する。照合結果が一致していれば、2つの釣銭機間での両替は正しく行われていたことになる。照合結果が不一致の場合、釣銭機は警報を報知する。
続いて、事前に出金指示を受け付けていない状態で、両替貨幣の入金指示を受け付けた場合の処理、すなわち上述の第2釣銭機における処理について説明する。このとき釣銭機に入金される両替貨幣は、他の釣銭機で出金された第1金種からなる第1両替貨幣であり、第1両替貨幣を出金した釣銭機から第1両替貨幣の金種別枚数が通知されている。
釣銭機は、入金された第1両替貨幣を識別、計数し、入金額と同額の第2金種からなる第2両替貨幣を出金する。この第2金種は、操作表示部212を介して入力してもよいし、第1両替貨幣を出金した他釣銭機から通知されてもよい。
第2両替貨幣の出金は、棒金硬貨の出金でもよい。棒金硬貨を出金する場合、制御部230が制御部330に棒金硬貨の出金を通知する。制御部330は、制御部230からの通知に伴いドロア302のロックを解除して引き出し(開放)可能にする。制御部330は、ドロア302が引き出された後に戻される(閉鎖)されると、ドロア302をロックするとともに、棒金収納部300内に収納されている棒金の合計金額を算出する。そして、制御部330は、ドロア302の開放前の棒金合計金額と閉鎖後の棒金合計金額との差から、棒金収納部300から取り出された棒金の金種別枚数を算出し、制御部230に通知する。制御部230は、制御部330から通知された金額と、入金された第1両替貨幣の金額とを比較し、不一致の場合は警報を報知する。
さらに、釣銭機は、他釣銭機から通知されている第1両替貨幣の金種別枚数と、入金された第1両替貨幣の金種別枚数とを照合し、照合結果を、第1両替貨幣を出金した釣銭機に通知してもよい。また、釣銭機は、照合結果が不一致の場合、警報を報知してもよい。
次に、図10を用いて、本実施形態に係る釣銭機システムを用いてレジ間で行われる両替処理の一例を説明する。ここでは、釣銭機1Aで100円硬貨が不足し、釣銭機1Aから出金された紙幣を釣銭機1Bが100円硬貨に両替する場合について説明する。釣銭機1Aが設置されているレジの係員Aと、釣銭機1Bが設置されているレジの係員Bとの間で、両替について既に合意がなされているものとする。
(ステップS301)釣銭機1Aの操作表示部212が、係員Aから両替貨幣の出金指示を受け付ける。具体的には、係員Aが、両替貨幣として出金する貨幣の金種別枚数と、両替先(釣銭機1B)とを、操作表示部212を介して入力する。ここでは、5000円札1枚の両替貨幣の出金が指示されたものとする。
(ステップS302)釣銭機1Aが5000円札を1枚出金する。釣銭機1Aから出金された5000円札は、係員A、係員B、又は他の係員により釣銭機1Bの元へ運ばれる。
(ステップS303)釣銭機1Aが、5000円札1枚を出金したことを示す出金情報を釣銭機1Bに通知する。
(ステップS304)釣銭機1Bの操作表示部212が、両替貨幣の入金指示を受け付ける。これにより、釣銭機1Bは入金待ち状態となる。
ステップS303で釣銭機1Aから出金情報が通知されてからステップS304で入金指示を受け付けるまでに所定時間以上経過した場合、釣銭機1Bは警報を報知し、係員Bに両替貨幣の入金を促す。
(ステップS305)釣銭機1Bに貨幣(5000円札1枚)が投入される。
(ステップS306)釣銭機1Bが、投入された貨幣を識別・計数する。釣銭機1Bは、計数結果と、ステップS303で釣銭機1Aから通知された出金情報とを照合してもよい。
(ステップS307)釣銭機1Bが100円硬貨50枚を出金する。硬貨の出金は棒金収納部300からの棒金取り出しも含まれ得る。100円硬貨を出金することは、ステップS304の入金指示の際に入力してもよいし、ステップS303で出金情報とともに釣銭機1Aから通知されていてもよい。
(ステップS308)釣銭機1Bが釣銭機1Aに対して出金完了を通知する。
(ステップS309)釣銭機1Aの操作表示部212が、両替貨幣の入金指示を受け付ける。これにより、釣銭機1Aは入金待ち状態となる。
ステップS308で釣銭機1Bから出金完了を通知されてからステップS309で入金指示を受け付けるまでに所定時間以上経過した場合、釣銭機1Aは警報を報知し、係員Aに両替貨幣の入金を促す。
(ステップS310)釣銭機1Aに貨幣(100円硬貨50枚)が投入される。
(ステップS311)釣銭機1Aが、投入された貨幣を識別・計数する。
(ステップS312)釣銭機1Aが、ステップS311における計数結果と、ステップS302で出金した貨幣の金額とを照合する。照合結果が一致していれば、両替処理は正常に終了する。照合結果が不一致の場合、釣銭機1Aは警報を発し、係員Aに、両替金額が一致していないことを報知する。
このように本実施形態では、売り場にある釣銭機間で両替を行うことで不足した貨幣を補充するため、店舗後方の現金処理機から貨幣を運んでくるような従来のシステムと比較して、現金の運搬にかかる時間を短縮することができる。
また、釣銭機は、入金された両替貨幣の金額と、事前に出金した両替貨幣の金額とを照合するため、違算の発生を防止することができる。また、釣銭機間での貨幣補充でなく貨幣両替であり、各釣銭機に収納されている貨幣の合計金額は変わらないため、店舗の営業終了後に行われる各レジでの売上と釣銭機内の貨幣在高との照合作業が煩雑になることを防止できる。
上述したように、第1釣銭機と第2釣銭機との間で貨幣の両替を行う場合、第1釣銭機による第1金種からなる第1両替貨幣の出金、第2釣銭機への第1両替貨幣の入金、第2釣銭機による第2金種からなる第2両替貨幣の出金、第1釣銭機への第2両替貨幣の入金が順に行われる。このとき、第1金種が第2金種より高額な場合と低額な場合とがある。
第1金種が第2金種より高額な場合とは、例えば、図10で説明したような、硬貨の不足した第1釣銭機が紙幣を出金し、第2釣銭機が紙幣を硬貨に両替し、第1釣銭機に硬貨が入金されるような「紙幣先出し、硬貨後出し」の場合である。
一方、第1金種が第2金種より低額な場合とは、例えば、第1釣銭機から出金された硬貨が、硬貨の不足している第2釣銭機に入金され、第2釣銭機は入金硬貨と同額の紙幣を出金し、第1釣銭機にこの紙幣が入金されるような「硬貨先出し、紙幣後出し」の場合である。従って、例えば、釣銭機1Aで100円硬貨が不足した場合、まず、釣銭機1Bが100円硬貨50枚をバラ硬貨又は棒金で出金し、この100円硬貨50枚を釣銭機1Aに入金した後に、釣銭機1Aが5000円札1枚を出金し、この5000円札1枚を釣銭機1Bに入金するようにしてもよい。
上述した例では、高額金種の貨幣を紙幣、低額金種の貨幣を硬貨としていたが、高額金種の貨幣、低額金種の貨幣は、両方とも紙幣であってもよいし、硬貨であってもよい。例えば、高額金種の貨幣を10000円札、低額金種の貨幣を1000円札とすることができる。また、高額金種の貨幣を500円硬貨、低額金種の貨幣を10円硬貨とすることができる。
上記第3の実施形態において、釣銭機から出金される両替貨幣は、単一金種の貨幣から構成されているものに限定されず、複数の金種の貨幣から構成されていてもよい。
(第4の実施形態)本発明の第4の実施形態に係る釣銭機システムは、図8に示す上記第2の実施形態と同様の構成であるため、図8を用いて説明を行う。上記第2の実施形態では管理装置3が、2つの釣銭機の間での補充用貨幣の授受を管理していたのに対し、本実施形態では2つの釣銭機の間での貨幣の両替を管理する点が異なる。
また、釣銭機1A〜1Cはそれぞれ、貨幣在高が少なくなった場合に、貨幣の両替を要求する両替要求信号を管理装置3へ出力する。「貨幣在高が少なくなった」とは、例えば、貨幣収納枚数が所定値以下になったことをいい、この所定値は金種毎に設定されている。釣銭機1A〜1Cが出力する両替要求信号には、自機が出金する貨幣の金種別枚数と、他の釣銭機により出金される貨幣の金種別枚数とを規定した両替内容が含まれている。
例えば、100円硬貨の収納枚数が所定値以下になった釣銭機が、「自機が5000円紙幣1枚を出金し、他の釣銭機が100円硬貨を50枚出金する」ことを規定した両替内容を含む両替要求信号を管理装置3へ出力する。
管理装置3は、釣銭機1A〜1Cのいずれかから両替要求信号を受け取ると、両替内容に基づいて、両替貨幣が出金可能であるか否かを、釣銭機1A〜1Cに問い合わせる。このとき、管理装置3は、両替要求信号の出力元の釣銭機には問い合わせを行わなくてもよい。例えば、両替内容に「自機が5000円紙幣1枚を出金し、他の釣銭機が100円硬貨を50枚出金する」ことが規定されていた場合、管理装置3は、100円硬貨50枚の両替貨幣の出金が可能であるか否かを釣銭機1A〜1Cに問い合わせる。
釣銭機1A〜1Cは、管理装置3から両替貨幣の出金が可能であるか否かの問い合わせを受け付けると、自機の在高に基づいて、出金の可否を応答する。釣銭機1A〜1Cは、両替貨幣の出金ができない場合、管理装置3に対して何も応答しなくてもよい。
管理装置3は、両替貨幣を出金できるという応答のあった釣銭機の中から、両替貨幣の出金を行う釣銭機を選定する。以下、両替要求信号を出力した釣銭機を両替元釣銭機、両替貨幣の出金を行う釣銭機を両替先釣銭機、両替元釣銭機が出金する両替用の貨幣を両替元貨幣、両替先釣銭機が両替出金した貨幣を両替済貨幣と称する。
管理装置3は、両替元釣銭機に両替元貨幣の出金を指示し、両替先釣銭機に両替元貨幣の両替を指示する。
両替元釣銭機は、管理装置3から両替元貨幣の出金指示を受け付けると、出金指示を受け付けたことを操作表示部212、操作表示部112、又はレジスタの画面の少なくともいずれか1つに表示する。両替元貨幣の出金指示には、両替先釣銭機の情報が含まれており、両替元貨幣がどの釣銭機で両替されるかを画面に表示できる。
両替元釣銭機は、操作表示部212を介して両替元貨幣の出金命令が入力されると、硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200が両替元貨幣を出金する。
また、両替元釣銭機は、管理装置3から両替元貨幣の出金指示を受け付けてから、所定時間以内に両替元貨幣を出金しない場合、警報を報知する。これにより、両替元貨幣の出金忘れを防止できる。
両替元釣銭機は、両替元貨幣の出金を行うと、出金完了を管理装置3に通知する。管理装置3は、この通知を受け取ってから両替先釣銭機に両替元貨幣の両替を指示する。
両替先釣銭機は、管理装置3から両替元貨幣の両替指示を受け付けると、両替指示を受け付けたことを操作表示部212、操作表示部112、又はレジスタの画面の少なくともいずれか1つに表示する。両替指示には、両替元釣銭機の情報が含まれており、両替元貨幣がどの釣銭機から出金されるかを画面に表示できる。また、両替指示には、どの金種を用いて両替を行うかについての情報も含まれている。
両替先釣銭機は、操作表示部212を介して両替元貨幣の入金命令が入力されると、両替元貨幣の入金待機状態となる。硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200は、両替元硬貨の入金待機状態で入金された貨幣を両替元貨幣として識別、計数、収納する。そして、両替先釣銭機は、管理装置3からの両替指示に基づいて、入金された両替元貨幣を両替し、両替済貨幣を出金する。
棒金収納部300からの棒金硬貨の取り出しを両替済貨幣の出金としてもよい。棒金収納部300から取り出された棒金の金額と、両替元貨幣の金額とが異なる場合、両替先釣銭機は警報を報知する。
両替先釣銭機は、両替済貨幣を出金すると、管理装置3に出金完了を通知する。管理装置3は、この通知を受け取ってから両替元釣銭機に両替済貨幣の入金を指示する。
両替元釣銭機は、管理装置3から両替済貨幣の入金指示を受け付けると、入金指示を受け付けたことを操作表示部212、操作表示部112、又はレジスタの画面の少なくともいずれか1つに表示する。
両替元釣銭機は、操作表示部212を介して両替済貨幣の入金命令が入力されると、両替済貨幣の入金待機状態となる。硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200は、両替済貨幣の入金待機状態で入金された貨幣を両替済貨幣として識別、計数、収納する。そして、両替元釣銭機は、入金された両替済貨幣の計数結果を管理装置3に通知する。
管理装置3は、両替元釣銭機に出金指示した両替元貨幣の金額と、両替元釣銭機から通知された両替済貨幣の計数結果とを照合する。照合結果が不一致の場合、管理装置3は警報を報知する。照合結果が一致の場合、管理装置3は両替処理が完了したことを両替元釣銭機や両替先釣銭機に通知してもよい。
次に、図11を用いて、本実施形態に係る釣銭機システムを用いてレジ間で両替処理を行う方法について説明する。ここでは、100円硬貨の不足した釣銭機1Aが両替元釣銭機となり、釣銭機1Bが両替先釣銭機となる場合について説明する。
(ステップS401)釣銭機1Aが、管理装置3に対して両替要求信号を出力する。この両替要求信号には、自機が5000円札1枚を出金し、他の釣銭機が5000円札1枚を100円硬貨50枚に両替するという両替内容が含まれている。
(ステップS402)管理装置3が、両替要求信号に基づいて、100円硬貨50枚(両替済貨幣)の出金が可能であるか否か釣銭機1B及び1Cに問い合わせる。
(ステップS403)釣銭機1Bが、管理装置3に対して、100円硬貨50枚(両替済貨幣)の出金が可能であると応答する。
(ステップS404)管理装置3が、釣銭機1Aに対して5000円札1枚(両替元貨幣)の出金を指示する。ここで、管理装置3は、釣銭機1Aに出金指示した両替元貨幣の金額を、図示しないメモリに記憶させておく。
(ステップS405)釣銭機1Aが設置されているレジの係員Aが、操作表示部212を介して両替元貨幣の出金命令を与える。この出金命令に基づいて、釣銭機1Aが5000円札1枚(両替元貨幣)を出金する。
ステップS404で管理装置3から受信した出金指示には、釣銭機1Bが5000円札1枚(両替元貨幣)を100円硬貨に両替するという情報が含まれており、釣銭機1Aの操作表示部112、212、又はレジスタ2Aのディスプレイに両替先釣銭機が釣銭機1Bであることが表示される。
釣銭機1Aが設置されているレジの係員Aは、表示内容を確認し、釣銭機1Bが設置されているレジへ5000円札1枚(両替元貨幣)を持って行く。貨幣の移送は他の係員が行ってもよい。
ステップS404で管理装置3から出金指示を受信してから、ステップS405で出金命令を与えられるまでに所定時間以上経過した場合、釣銭機1Aは警報を報知し、係員Aに両替元貨幣の出金を促す。
(ステップS406)釣銭機1Aが、両替元貨幣の出金完了を管理装置3に通知する。
(ステップS407)管理装置3が、釣銭機1Bに対して両替を指示する。
(ステップS408)釣銭機1Bが設置されているレジの係員Bが、釣銭機1Bの操作表示部212を介して両替元貨幣の入金命令を与える。この入金命令に基づいて、釣銭機1Bは両替元貨幣の入金待ち状態となる。
この入金待ち状態で釣銭機1Bに両替元貨幣が投入されると、釣銭機1Bは、両替元貨幣を識別・計数した上で、両替済貨幣を出金する。出金された両替済貨幣は係員A、係員B、又は他の係員により釣銭機1Aへ移送される。
両替済貨幣に用いる貨幣の金種は、ステップS407で管理装置3から指示されていてもよいし、係員Bが操作表示部212を介して入力してもよいし、ステップS402における管理装置3からの問い合わせ内容に基づいて決定してもよい。
(ステップS409)釣銭機1Bが両替済貨幣の出金完了を管理装置3に通知する。
(ステップS410)管理装置3が釣銭機1Aに両替済貨幣の入金を指示する。
(ステップS411)係員Aが、釣銭機1Aの操作表示部212を介して両替済貨幣の入金命令を与える。この入金命令に基づいて、釣銭機1Aは両替済貨幣の入金待ち状態となる。
(ステップS412)釣銭機1Aに両替済貨幣が投入されると、釣銭機1Aは、両替済貨幣を識別・計数・収納する。
(ステップS413)釣銭機1Aが、ステップS412における両替済貨幣の計数結果を管理装置3に通知する。
(ステップS414)管理装置3が、ステップ404で釣銭機1Aに出金指示した両替元貨幣の金額と、ステップS413で釣銭機1Aから通知された計数結果とを照合する。照合結果が一致している場合、両替処理は正常に終了する。照合結果が不一致の場合、管理装置3は警報を発し、釣銭機1Aと釣銭機1Bとの間での両替処理が正常に行われていないことを報知する。
このように本実施形態では、売り場にある釣銭機間で両替を行って、不足した貨幣を補充するため、店舗後方の現金処理機から貨幣を運んでくるような従来のシステムと比較して、現金の運搬にかかる時間を短縮することができる。
また、管理装置3が、釣銭機へ出金指示した両替元貨幣の金額と、この釣銭機に入金された両替済貨幣の金額とを照合するため、違算の発生を防止することができる。また、釣銭機間での貨幣補充でなく貨幣両替であり、各釣銭機に収納されている貨幣の合計金額は変わらないため、店舗の営業終了後に行われる各レジでの売上と釣銭機内の貨幣在高との照合作業が煩雑になることを防止できる。
図11では、釣銭機1Aが出金した紙幣(高額貨幣)を釣銭機1Bが硬貨(低額貨幣)に両替し、硬貨が釣銭機1Aに入金される例について説明したが、管理装置3は、まず釣銭機1Bに硬貨(低額貨幣)を出金するように指示してもよい。この場合、両替要求信号を出力した釣銭機1Aにおいて、硬貨(低額貨幣)が紙幣(高額貨幣)に両替され、その後、紙幣が釣銭機1Bに入金される。
(第4の実施形態の変形例)上記第4の実施形態において、釣銭機1A〜1Cが機内の在高データを管理装置3へ随時出力し、管理装置3が各釣銭機の在高をリアルタイムに管理していてもよい。
この場合、管理装置3は、釣銭機1A〜1Cのいずれかから両替要求信号を受け取ると、両替済貨幣(両替要求信号を出力した釣銭機で不足している金種の貨幣)の出金可否の問い合わせは行わず、各釣銭機の在高に基づいて両替先釣銭機となる釣銭機を選定する。例えば、管理装置3は、両替済貨幣の在高が最も多い釣銭機を両替先釣銭機として選定する。
また、管理装置3は、両替要求信号を受信する前に、各釣銭機の在高に基づいて、両替元釣銭機と両替先釣銭機を選定するとともに、両替元貨幣及び両替済貨幣の金種別枚数を決定し、両替元釣銭機と両替先釣銭機との間で両替が行われるように、両替元貨幣、両替済貨幣の出金指示、入金指示を行ってもよい。
上記第2の実施形態、第4の実施形態、及びそれらの変形例において、管理装置3は、釣銭機1A〜1Cのいずれかに設けられていてもよい。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。