JP5812010B2 - 無線通信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、無線通信装置と、この無線装置を用いた無線通信方法とに係り、特に、スペースダイバーシチ方式を用いる無線通信装置と、この無線装置を用いた無線通信方法とに係る。
無線通信システムにおいて、特にマイクロ波を用いて無線通信を行う場合は、フェージングの防止策として、SD(Space Diversity:スペースダイバーシチ)方式を採用することが有効である。
SD方式は、適切な距離をおいて配置された複数のアンテナへの受信波が同時に劣化する可能性が低いことを利用して、フェージングによる電波伝搬特性の劣化を補償する技術である。
図1は、SD方式を用いた無線通信システムの構成例を概略的に示す図である。図1の無線通信システムは、第1、第2の固定局2001、2002を具備している。第1の固定局2001は、第1、第2のアンテナを具備している。第2の固定局2002は、第3のアンテナを具備している。第1の固定局2001において、第1、第2のアンテナは、その中心同士が、SD方式に適した距離dだけ離れているものとする。ここでは一例として、第1〜第3のアンテナが向かい合って水平方向を向いており、第1のアンテナの中心が地上から高度Lに配置されており、第2のアンテナの中心が第1のアンテナの中心が地上から高度L+dに配置されており、第3のアンテナの中心が地上から高度L’に配置されているものとする。
図1の無線通信システムにおいて、第2の固定局2002が第3のアンテナから信号を送信し、第1の固定局2001がこの信号を第1、第2のアンテナで受信する。第1の固定局2001は、第1、第2のアンテナで得られた2つの信号にダイバーシチ処理を施す受信処理を行う。
図2は、SD方式を用いた無線通信システムの受信処理を行う回路の構成例を概略的に示す回路図である。図2の回路は、第1、第2のアンテナと、第1、第2のミキサーと、第1、第2のA/D(Analog to Digital)変換器と、ダイバーシチ合成部と、ローカルオシレータとを具備している。なお、図2の回路図では、直交復調π/2成分やフィルタなどが省略されている。ここで、図2の第1、第2のアンテナは、図1の第1、第2のアンテナにそれぞれ対応しているものとする。第1のアンテナ、第1のミキサー、第1のA/D変換器をまとめて、第1のブランチと呼ぶ。同様に、第2のアンテナ、第2のミキサー、第2のA/D変換器をまとめて、第2のブランチと呼ぶ。
第1のアンテナで受信された第1の信号は、第1のミキサー、第1のA/D変換器を介して、合成回路に供給される。同様に、第2のアンテナで受信された第2の信号は、第2のミキサー、第2のA/D変換器を介して、合成回路に供給される。ここで、直列に接続された第1のアンテナ、第1のミキサー、第1のA/D変換器をまとめて、第1のブランチと呼ぶ。同様に、直列に接続された第2のアンテナ、第2のミキサー、第2のA/D変換器をまとめて、第2のブランチと呼ぶ。最後に、合成回路が第1、第2のブランチから供給された2つの信号を合成することで、ダイバーシチ処理が完了する。
上記に関連して、特許文献1(特開平9−331281号公報)には、送受信装置に係る記載が開示されている。この送受信装置は、複数のブランチの送受信兼用アンテナと、ベースバンド復調部と、送信アンテナ切換部とを備える。ここで、ベースバンド復調部は、各ブランチの受信信号を復調する。送信アンテナ切換部は、各ブランチの受信信号の受信パワーに基づいて送信アンテナを切り換える。この送受信装置は、TDD方式の無線通信システムにおいて送信ダイバーシチを行なう。この送受信装置は、比較手段を備えることを特徴とする。ここで、比較手段は、ベースバンド復調部の復調の過程で得られるディジタルデータを用いて各ブランチの受信信号の受信パワーを比較し、送信アンテナ切換部に送信アンテナの選択情報を出力する。
また、特許文献2(特表2004−518331号公報)には、適応アンテナシステムに係る記載が開示されている。この適応アンテナシステムは、N個のアンテナと、N個のフォワード等化器と、N個のプロセッサとを備えることを特徴とする。ここで、N個のフォワード等化器は、N個のアンテナ各自に動作可能に接続されている。N個のプロセッサは、N個のフォワード等化器の各自に関連する係数を調整するN個の制御信号をそれぞれ生成するために、コンスタントモジュラスアルゴリズムを実行する。
また、特許文献3(特開2005−94500号公報)には、ダイバーシティ受信用回り込みキャンセラに係る記載が開示されている。このダイバーシティ受信用回り込みキャンセラは、OFDM信号用のダイバーシティ受信手段と回り込みキャンセル手段を有する。ここで、OFDM信号用のダイバーシティ受信手段は、複数のブランチを有する。回り込みキャンセル手段は、ダイバーシティ受信手段が出力するダイバーシティ合成後の受信信号を入力して、実質的に回り込み波をキャンセルして出力することを特徴とする。
また、特許文献4(特開2008−48139号公報)には、マイクロ波無線送受信装置に係る記載が開示されている。このマイクロ波無線送受信装置は、複数のアンテナが設置された第1の固定局と単一のアンテナが設置された第2の固定局との間でマイクロ波による無線通信を行う無線通信システムの第1の固定局に用いられる。このマイクロ波無線送受信装置は、受信処理手段と、送信処理手段と、切り替えスイッチと、切り替え制御手段とを備えたことを特徴とする。ここで、受信処理手段は、複数のアンテナそれぞれに対応して設けられ、対応するアンテナに到来したマイクロ波信号について受信処理を行う。送信処理手段は、送信対象のデータから無線周波数の信号を生成する。切り替えスイッチは、送信処理手段によって得られた無線周波数の信号を、複数のアンテナのいずれか一方を指定する切り替え制御信号に応じて指定されたアンテナに伝送し、アンテナによる無線送信に供する。切り替え制御手段は、複数の受信処理手段によってそれぞれ得られる受信信号の選択に同期して、選択された受信信号に対応するアンテナを指定する切り替え制御信号を生成し、切り替えスイッチに入力する。
特開平9−331281号公報 特表2004−518331号公報 特開2005−94500号公報 特開2008−48139号公報
トラフィックの増加に伴いマイクロ波無線通信システムの大容量化が進み、高次の多値変調信号を高速に伝送する様になってきた。一方、マイクロ波帯では、干渉波の発生要因となる多重伝搬路による周波数選択性フェージングが発生する。
図3は、フェージングについて説明するための図である。図3の図には、図1の無線通信システムと、この無線通信システムで送受信される信号の経路とが示されている。この、第3のアンテナから第1または第2のアンテナへの経路には、大きく分けて、直接届くLOS Rayと、地上などで反射してから届くReflected Rayとがある。
高速で更に高次の多値変調信号を使用すると、この周波数選択性フェージングにより、誤り率特性が著しく劣化する。
従来から、周波数選択性フェージング対策として、適応等化処理が行われてきた。一般に、適応アルゴリズムでは、タップ係数の収束特性を得る為にトレーニング信号を伝送する。このトレーニング信号の伝送は、特に、TDMAの移動通信などのバースト伝送では必須である。
一方、固定マイクロ波無線通信システムなどでは、既存システムの信号構成上、トレーニング信号を入れられない場合がある。この場合は、パイロット信号やリファレンス信号或いはトレーニング信号と呼ばれる既知の系列信号を用いない手法であるブラインド処理が有効である。
パイロット信号やリファレンス信号或いはトレーニング信号などは、既知の系列信号で実際の情報の伝達に何ら寄与しない為、伝送効率を上げる為にもブラインド処理が好ましい。
例えば、移動通信等では、10%程度の無線リソースをパイロット信号やリファレンス信号に割り当てているが、これをそのまま1024QAMで伝送している固定マイクロ波無線通信システムに当てはめたとすると、512QAM相当の伝送速度になってしまい、折角送信電力を倍増して高速伝送を実現したのに、情報伝達に対する実効速度がそれに伴わないことになるのである。
従来からブラインド処理で実現したSD方式として、IP(In−Phase:同相)合成と呼ばれる手法がある。IP合成法は、ブランチの片方の信号に低周波の位相変調をかけて、合成後のAM信号成分により位相の同相状態を検出し、その検出結果を用いて位相器へのフィードバック制御を行うというものである。IP合成法は、低い周波数の振幅成分を検出に用いている。高次の多値変調が可能なQAMはその変調方式に起因する振幅成分の変動を内包している。その為、多値のQAMへのIP合成法の適用は問題がある。また後述するが、IP合成法は、周波数選択性フェージングにより誤り率特性が著しく劣化する。
周波数選択性フェージングを考慮し、ブラインド処理で実現したSD方式としてMID合成(Minimum Dispersion combiner:最小振幅偏差合成)と呼ばれる方法がある。説明のし易さから、IP合成法と異なる部分で、MID合成法の特徴を示す干渉波相殺合成動作を極端な例で説明する。
図4は、MID合成法の特徴を示す干渉波相殺合成動作を二つのアンテナで受信した例で示した図である。異なる電波伝搬条件の二つの例で説明している。また同図は受信波を回転フェザーのベクトル表記で示している。
図4において、第1のブランチ(Branch 1)は、例えば図3における右側の受信局の上側のアンテナに対する受信信号を示していることにする。同様に、第2のブランチ(Branch 2)は、図3における右側の受信局の下側のアンテナに対する受信信号を示しているということにする。受信波は図3に示されている様に、直接波(図中、LOS rayと表記)に遅延反射波(図中、Reflected rayと表記)が加わったものである。
干渉波相殺合成動作は、干渉波であるそれぞれのブランチの遅延反射波の位相を逆位相に成るようにブランチ内にある位相器を調整して合成を行うものである。従って、図4の右側の列に示されている様に、干渉波成分である遅延反射波成分が相殺され、残るブランチ1の直接波成分とブランチ2の直接波成分が合成されダイバーシチ処理が完結する。この処理が理想的に行われたならば、遅延反射波成分が完全に無くなるので、周波数選択性フェージングによる干渉が結果的に解消される。しかしながらこの方式は以下の問題を包含している。
マイクロ波無線通信システムの電波伝搬環境は、アンテナの設置状況、反射対象である大地、あるいは海峡を跨ぐ場合には海面反射の状況によって色々変わる。図4の上側の例1は幸運な電波伝搬環境の場合である。干渉波成分である遅延反射波成分を相殺する様にブランチの位相器を調整した結果各ブランチの直接波が同じ方向を向くようになり、合成後の希望波電力が増大してダイバーシチ利得が得られた幸運な例である。一方、図4の下側の例2は厳しい条件の場合である。干渉波成分である遅延反射波成分を相殺するようにブランチの位相器を調整した結果各ブランチの直接波が反対方向に近い状態になり、その結果合成後の希望波電力が減少して、周波数選択性は解消されてもダイバーシチ利得が逆に減ってしまった例である。
以上は説明のし易さから極端な形で、MID合成法を説明したが、電波伝搬環境によってダイバーシチ効果が大きく異なるという点でMID合成法には問題がある。
本発明の目的は、実際の情報の伝達に何ら寄与しないパイロット信号やリファレンス信号或いはトレーニング信号など伝送効率を低下させる既知の系列を用いることのないブラインド処理で、高速で高次の多値変調を用いる大容量マイクロ波無線通信に厳しい遅延干渉波が存在する周波数選択性フェージング環境下でも、無線伝搬環境による影響の少ない常に良好なダイバーシチ効果を発揮するマイクロ波無線通信装置を提供することである。
本発明による無線通信装置は、複数のタップ処理部と、タップ出力合成部と、ブラインド適応処理部と、ダイバーシチ合成部とを具備する。ここで、複数のタップ処理部は、スペースダイバーシチ方式の受信信号および複数のタップ係数に基づいて複数のタップ出力信号および複数の受信信号ベクトルを生成する。タップ出力合成部は、タップ出力合成信号として複数のタップ出力信号の和または差を演算する。ブラインド適応処理部は、タップ出力合成信号および受信信号ベクトルに基づいて複数のタップ係数をブラインド適応処理によって生成する。ダイバーシチ合成部は、複数のタップ出力信号をダイバーシチ合成する。ブラインド適応処理部は、タップ出力合成信号を最小に抑える評価条件を用いる。
本発明による無線通信方法は、スペースダイバーシチ方式の受信信号および複数のタップ係数に基づいて複数のタップ出力信号および複数の受信信号ベクトルを生成するステップと、タップ出力合成信号として複数のタップ出力信号の和または差を演算するステップと、タップ出力合成信号および受信信号ベクトルに基づいて複数のタップ係数をブラインド適応処理によって生成するステップと、複数のタップ出力信号をダイバーシチ合成するステップとを具備する。複数のタップ係数を生成するステップは、タップ出力合成信号を最小に抑える評価条件を用いるステップを具備する。
既知の参照信号を用いずに、タップ処理部から入力する受信信号ベクトルに基づいて、タップ処理部に供給するタップ係数を生成するにあたって、ブラインド適応処理部は、各タップ出力信号の和または差を最小に抑えることを含む評価条件を用いる。
図1は、SD方式を用いた無線通信システムの構成例を概略的に示す図である。 図2は、SD方式を用いた無線通信システムの受信処理を行う回路の構成例を概略的に示す回路図である。 図3は、フェージングについて説明するための図である。 図4は、MID合成法の特徴を示す干渉波相殺合成動作を二つのアンテナで受信した例で示した図である。 図5Aは、タップ係数に対する、MMSE規範に基づく評価条件の式を数値計算して得られる3次元グラフの俯瞰図である。 図5Bは、タップ係数に対する、CMAによる評価条件の式を数値計算して得られる3次元グラフの俯瞰図である。 図6Aは、タップ係数に対する、MMSE規範に基づく評価条件の式を数値計算して得られる3次元グラフの上面図である。 図6Bは、タップ係数に対する、CMAによる評価条件の式を数値計算して得られる3次元グラフの上面図である。 図7Aは、タップ係数に対する、MMSE規範に基づく評価条件の式を数値計算して得られる3次元グラフの俯瞰図である。 図7Bは、タップ係数に対する、BUSSGANGアルゴリズムによる評価条件の式を数値計算して得られる3次元グラフの俯瞰図である。 図8Aは、タップ係数に対する、MMSE規範に基づく評価条件の式を数値計算して得られる3次元グラフの上面図である。 図8Bは、タップ係数に対する、BUSSGANGアルゴリズムによる評価条件の式を数値計算して得られる3次元グラフの上面図である。 図9Aは、適応アンテナで用いられているCMAを使い、64QAMに対してブラインド適応等化処理を行った場合の、タップ出力のコンスタレーションである。 図9Bは、BUSSGANGアルゴリズムを使い、64QAMに対してブラインド適応等化処理を行った場合の、タップ出力のコンスタレーションである。 図10Aは、タップ係数に係る、MMSE規範に基づく評価条件の式を数値計算して得られる最適解を示す3次元グラフの俯瞰図である。 図10Bは、タップ係数に係る、BUSSGANGアルゴリズムを適用した評価条件の式を数値計算して得られるダイバーシチ合成の結果としての3次元グラフの俯瞰図である。 図11は、図10Bの3次元グラフの上面図である。 図12Aは、実際にタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件(数78)を用いたときの、第1のブランチにおけるタップ係数の収束状態を示したグラフである。 図12Bは、実際にタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件(数78)を用いたときの、第2のブランチにおけるタップ係数の収束状態を示したグラフである。 図13Aは、MMSE規範に基づく評価条件式を数値計算して得られる3次元グラフの俯瞰図である。 図13Bは、NULL空間を用いたタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件を数値計算して得られる3次元グラフの俯瞰図である。 図14Aは、MMSE規範に基づく評価条件式を数値計算して得られる3次元グラフの上面図である。 図14Bは、NULL空間を用いたタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件を数値計算して得られる3次元グラフの上面図である。 図15Aは、BUSSGANGアルゴリズムによる評価条件の式を数値計算して得られた3次元グラフの俯瞰図である。 図15Bは、各ブランチのタップ出力の差が最小となるようにタップの制御を行う要素を含む評価条件の式を数値計算して得られた3次元グラフの俯瞰図である。 図16Aは、BUSSGANGアルゴリズムによる評価条件の式を数値計算して得られた3次元グラフの上面図である。 図16Bは、各ブランチのタップ出力の差が最小となるようにタップの制御を行う要素を含む評価条件の式を数値計算して得られた3次元グラフの上面図である。 図17は、本発明の第1の実施形態による無線通信装置の構成を概略的に示す回路図である。 図18は、本発明の第2の実施形態による無線通信装置の構成を概略的に示す回路図である。 図19は、本発明の第3の実施形態による無線通信装置の構成を概略的に示す回路図である。 図20は、本発明の第4の実施形態による無線通信装置の構成を概略的に示す回路図である。 図21Aは、MMSE規範に基づく評価条件の式(数13)を数値計算して得られる3次元グラフ(二乗平均誤差曲面)の俯瞰図である。 図21Bは、合成空間を用いたタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件の式(数131)を数値計算して得られる3次元グラフの俯瞰図である。 図22Aは、MMSE規範に基づく評価条件の式(数13)を数値計算して得られる3次元グラフ(二乗平均誤差曲面)の上面図である。 図22Bは、合成空間を用いたタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件の式(数131)を数値計算して得られる3次元グラフの上面図である。 図23Aは、合成空間を用いたタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件の式(数131)におけるJJcm1、JJcm2を示す3次元グラフの俯瞰図である。 図23Bは、合成空間を用いたタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件の式(数131)におけるJASBUSSを示す3次元グラフの俯瞰図である。 図24Aは、合成空間を用いたタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件の式(数131)におけるJJcm1、JJcm2を示す3次元グラフの上面図である。 図24Bは、合成空間を用いたタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件の式(数131)におけるJASBUSSを示す3次元グラフの上面図である。 図25は、本発明の第5の実施形態による無線通信装置の構成を示す回路図である。 図26は、本発明による無線通信装置におけるブラインド処理のスペースダイバーシチの効果を示すグラフである。
添付図面を参照して、本発明による無線通信装置および無線通信方法を実施するための形態を以下に説明する。
本発明の原理的な側面を定量的に説明する為に、通常の適応等化処理の定量解析から始めてブラインド処理の一般概念、そして、本発明の定量解析を高次の統計量を用いて示し、簡単な例とその定量解析結果を用いた数値計算により、本発明の効果を定量的に示す。
先ず、通常の適応等化処理をMMSE規範に基づき二乗平均誤差曲面により説明する。尚、この理想的な解析結果はウィーナー解と呼ばれる最適解であり、その数値は、以降のブランド処理等の数値解析のレファレンスとして用いることにする。
(MMSE規範に基づく評価条件(二乗平均誤差曲面)と最適解)
送信信号ベクトルSを、以下のように定義する。
(数1)
Figure 0005812010
更に、多重伝搬路による伝送路のインパルス応答ベクトルHを、以下のように定義する。
(数2)
Figure 0005812010
このとき、合成化したチャネル行列(Convolution Matrix)Hは、以下のように求められる。
(数3)
Figure 0005812010
また、受信信号ベクトルrは、以下のように定義され、また以下のように求められる。
(数4)
Figure 0005812010
ここで、nは雑音ベクトルである。
受信信号に乗算するタップ係数をウェイトベクトルと呼び、実際に乗算するベクトルを
(数5)
Figure 0005812010
で表す。
送信信号に対しては、MMSE規範の最適解が、以下のように求められる。
(数6)
Figure 0005812010
この解は、ウィーナー解と呼ばれる。
このウィーナー解は、評価条件Jとして二乗平均誤差J=E[|e|]を用いる。ここから、以下の式が得られる。
(数7)
Figure 0005812010
上記の式を変形すると、以下の式が得られる。
(数8)
Figure 0005812010
したがって、以下の式が求められる。
(数9)
Figure 0005812010
ここで、Rは共分散行列を表し、以下のように定義される。
(数10)
Figure 0005812010
また、Piは相互相関ベクトルを表し、以下のように定義される。
(数11)
Figure 0005812010
この最適ウェイト時の送信信号sに対するMSE(Mean Square Error:二乗平均誤差)Jは、以下のように求められる。
(数12)
Figure 0005812010
そこで、全送信信号を対象としてMSEベクトルJを以下の様に定義し合成すると、以下の式が得られる。
(数13)
Figure 0005812010
これは、評価条件である二乗平均誤差曲面を表す式である。
なお、上記式に至るために、以下の式を用いている。
(数14)
Figure 0005812010
従って、実際に受信信号ベクトルに乗算するウェイトベクトルw は、以下のように得られる。
(数15)
Figure 0005812010
後述するウィーナー解と呼ばれる最適解は、以上の式を基に数値計算したものである。その数値を、以降、ブランド処理等の数値解析のレファレンスとして用いることにする。
因みに、二乗平均誤差を評価条件として適応等化処理を確率勾配法によって行うと、以下の式が得られる。
(数16)
Figure 0005812010
例えば、LMS(Least−Mean−Square:最小二乗平均)の場合は、この確立勾配に対してJ=E[|e|]をJの平均値(=|e|)で近似することで、以下の式が得られる。
(数17)
Figure 0005812010
なお、この時使われるsを参照信号と呼ぶ。具体的には、パイロット信号やリファレンス信号或いはトレーニング信号などが参照信号として使われる。即ち、通常の適応等化処理には、必ず何らかの形でトレーニング信号等の既知の系列を用いる必要がある。
(CMAによる評価条件の解析)
次に、適応アンテナ等で用いられているCMA(Constant Modulus Algorithm:定モジュラスアルゴリズム)の場合の適応等化処理について、評価条件式による解析で説明する。
CMAは適応アンテナで用いられるブラインド等化処理の一種である。その評価条件式JCMは、以下のように定義される。
(数18)
Figure 0005812010
ここで、yはウェイト後の信号、すなわちタップ出力を表し、κは信号成分に対する尖度を表す。
尖度κは、以下のように定義される。
(数19)
Figure 0005812010
タップ出力は、以下のようになる。
(数20)
Figure 0005812010
ここで、hはウェイトと伝送路のインパルス応答の畳み込みベクトルを表し、sは送信信号ベクトルを表し、Wはウェイトベクトルを表し、nは雑音ベクトルを表す。
ここで、以下のように定義される中間変数A、Bを導入する。
(数21)
Figure 0005812010
すると、次の式が得られる。
(数22)
Figure 0005812010
また、畳み込みベクトルhと、送信信号ベクトルsとを、次のように定義する。
(数23)
Figure 0005812010
このとき、以下の式が得られる。
(数24)
Figure 0005812010
同様に、ウェイトベクトルWと、雑音ベクトルnとを、次のように定義する。
(数25)
Figure 0005812010
このとき、以下の式が得られる。
(数26)
Figure 0005812010
したがって、次の式が得られる。
(数27)
Figure 0005812010
同様に、E[|y]を計算すると、次の式が得られる。
(数28)
Figure 0005812010
ここで、最右辺の第1項E[|A]を計算すると、次の式が得られる。
(数29)
Figure 0005812010
同様に、最右辺の最終項E[|B]を計算すると、次の式が得られる。
(数30)
Figure 0005812010
以上の計算結果をまとめると、次の式が得られる。
(数31)
Figure 0005812010
これらの結果を評価条件JCMの式に代入すると、次の式が得られる。
(数32)
Figure 0005812010
因みに、上記の式で表される評価条件を基に、適応等化処理を確率勾配法によって行うことが出来る。評価条件JCMの最初の式を用いて、かつ、JCMの平均値を(y−|yと近似すると、勾配の近似は以下のようになる。
(数33)
Figure 0005812010
したがって、タップ係数の再帰式が次のように得られる。
(数34)
Figure 0005812010
上記のタップ係数の再起式により、適応等化処理を確率勾配法によって行うことが出来る。この時、参照信号等のパイロット信号やリファレンス信号或いはトレーニング信号などが使われていないブランド処理で実現されていることが分かる。
図5Aは、タップ係数に対する、MMSE規範に基づく評価条件の式を数値計算して得られる3次元グラフの俯瞰図である。図5Bは、タップ係数に対する、CMAによる評価条件の式を数値計算して得られる3次元グラフの俯瞰図である。図6Aは、タップ係数に対する、MMSE規範に基づく評価条件の式を数値計算して得られる3次元グラフの上面図である。図6Bは、タップ係数に対する、CMAによる評価条件の式を数値計算して得られる3次元グラフの上面図である。なお、これら4つの3次元グラフにおいて、伝搬環境等については全て同じ条件が用いられている。
図5A、図6Aより、参照信号を用いたMMSE規範の評価条件の基で確率勾配法を用いてタップの適応制御を行った場合に、最適点に収束することが分かる。それに対して、適応アンテナで用いられるブラインド適応処理のCMAによる評価条件の基では、どの位相でも評価条件の式の値が最小となり、位相の不確定性が生じることが、図5B、図6Bより分かる。無線通信装置の各ブランチにこのブラインド適応等化処理を施した場合、タップ出力の位相がブランチ毎に異なるので、ダイバーシチ合成を行った場合、ダイバーシチ利得が得られないばかりか、かえって利得が減少してしまうことになる。
(BUSSGANGアルゴリズムによる評価条件の場合)
次にBUSSGANGアルゴリズムを用いたブラインド適応等化処理について評価条件式による解析で説明する。
BUSSGANGアルゴリズムは評価条件の式の値を最小化する高次の統計量を暗黙的に扱った非線形問題である。その評価条件JBUSSは以下の式のように定義される。
(数35)
Figure 0005812010
ここで、yiIはタップ出力の同相成分を表し、yiQはタップ出力の直交成分を表し、Rは定数を表す。
上記の式の、最右辺の、2番目の項の、括弧の中身は、次の式で表すことが出来る。
(数36)
Figure 0005812010
また、上記の式の、最右辺の、1番目の項の、括弧の中身は、次の式で表すことが出来る。
(数37)
Figure 0005812010
ここで、高次のQAM信号について、以下の関係が成り立つ。
(数38)
Figure 0005812010
また、複素ガウス雑音について、以下の関係が成り立つ。
(数39)
Figure 0005812010
したがって、次の式が得られる。
(数40)
Figure 0005812010
これらの結果を代入すると、評価条件JBUSSの式は以下のようになる。
(数41)
Figure 0005812010
ちなみに、評価条件JBUSSの最初の式を基に、適応等化処理を確率勾配法により得るには、以下の近似による確率勾配ベクトルを用いれば良い。
(数42)
Figure 0005812010
ここで、括弧内のnは、離散的な時刻を表す。
また、タップへ入力する受信信号ベクトルをrとすると、以下の式が得られる。
(数43)
Figure 0005812010
これは、以下の関係式によるものである。
(数44)
Figure 0005812010
同様に、以下の式が得られる。
(数45)
Figure 0005812010
これは、以下の関係式によるものである。
(数46)
Figure 0005812010
以上を代入して、以下の式が得られる。
(数47)
Figure 0005812010
タップ係数の更新は瞬時勾配ベクトルの逆方向となるから、結局のところ、以下の式が得られる。
(数48)
Figure 0005812010
このタップ係数の再帰処理により適応等化処理を確率勾配法により実現出来る。上式から分かるように参照信号等のトレーニング信号を用いていないブラインド処理で実現されていることが分かる。
図7Aは、タップ係数に対する、MMSE規範に基づく評価条件の式を数値計算して得られる3次元グラフの俯瞰図である。図7Bは、タップ係数に対する、BUSSGANGアルゴリズムによる評価条件の式を数値計算して得られる3次元グラフの俯瞰図である。図8Aは、タップ係数に対する、MMSE規範に基づく評価条件の式を数値計算して得られる3次元グラフの上面図である。図8Bは、タップ係数に対する、BUSSGANGアルゴリズムによる評価条件の式を数値計算して得られる3次元グラフの上面図である。なお、これら4つの3次元グラフにおいて、伝搬環境等については全て同じ条件が用いられている。
図7A、図8Aより、参照信号を用いたMMSE規範の評価条件の基で確率勾配法を用いてタップの適応制御を行った場合に、最適点に収束することが分かる。それに対して、送信信号の同相成分と直交成分を評価条件とした場合、上述のCMAの場合の様にどの位相でも評価条件式の値が最小となる状態は無くなったが、四点の最小値、即ち局所的な最適値が存在してしまい、四つの位相の不確定性が生じることが、図7B、図8Bより分かる。無線通信装置の各ブランチにこのBUSSGANGアルゴリズムによる評価条件を適用してブラインド適応等化処理を施した場合、タップ出力の四状態の位相がブランチ毎に異なり、ダイバーシチ合成を行った場合、ダイバーシチ利得が得られないばかりか、かえって利得が減少してしまうことになる。或いは、各ブランチ出力の四状態の組み合わせを総当たりで検出して、最適な組み合わせを選択すると言った処理と時間を要することになる。
図9Aは、適応アンテナで用いられているCMAを使い、64QAMに対してブラインド適応等化処理を行った場合の、タップ出力のコンスタレーションである。図9Bは、BUSSGANGアルゴリズムを使い、64QAMに対してブラインド適応等化処理を行った場合の、タップ出力のコンスタレーションである。
図9Aが示すように、適応アンテナで用いられているCMAを使った場合は、どの位相になるか分からない。また、図9Bが示すように、BUSSGANGアルゴリズムを用いて構成した場合、一見良さそうに見えるが、上述の評価条件の式の数値計算結果で説明した様に、四つの局所最適値による位相の不確定性があり、ダイバーシチ合成が出来ない。
(各ブランチのタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件の場合)
次にBUSSGANGアルゴリズムを各ブランチのタップ出力合成信号に適用した評価条件式の場合を解析する。
タップ出力合成信号を表す為、以下の拡張受信信号ベクトルr、及び拡張ウェイトベクトルWを新たに以下の様に定義する。
(数49)
Figure 0005812010
ここで、ベクトルrおよびrは、ブランチ1およびブランチ2のブランド適応等化処理へそれぞれ入力する受信信号ベクトルを表す。また、WおよびWは、ブランチ1および2の等化フィルタのタップ係数(ウェイトベクトル)をそれぞれ表す。
従って、各ブランチのタップ出力合成信号yおよび各タップ出力y、yは、以下の様になる。
(数50)
Figure 0005812010
ここで、サフィックス1、2は、対応するブランチの番号をそれぞれ表す。
この拡張ベクトルを基に、ブランチ1、2の等化処理および適応合成の連携と、タップ係数の更新とを、以下の式のように行う。
(数51)
Figure 0005812010
この更新過程におけるタップ係数の最適点は非線形であるため、閉形式で陽に示すことが出来ない。そこで、評価条件の式によって解析を行う。上式に対する評価条件式は以下の様になる。
(数52)
Figure 0005812010
ここで、yはタップ出力合成信号の同相成分を表し、yはタップ出力合成信号の直交成分を表し、ARは所定の定数を表す。
上の式の最右辺において、第1、第2の項における括弧内は、いずれも、前出の式(数40)を用いて、以下の形に変換出来る。
(数53)
Figure 0005812010
また、同じく第3の項における括弧内は、以下のように変換出来る。
(数54)
Figure 0005812010
何とならば、aとbは、aとb、bとbは、それぞれ独立である。但し、aとaは、ダイバーシチでソースが同じであるから、相関を持つ。また、以下の関係式を用いた。
(数55)
Figure 0005812010
以下、式(数54)の最右辺におけるそれぞれの項について計算を行う。まず、第1の項は、以下のように計算される。
(数56)
Figure 0005812010
ここで、上の式(数56)の最右辺における括弧内の5つの項について事前に計算する。第1の項については、以下の計算結果が得られる。
(数57)
Figure 0005812010
第2の項については、以下の計算結果が得られる。
(数58)
Figure 0005812010
第3の項については、以下の計算結果が得られる。
(数59)
Figure 0005812010
第4の項については、以下の計算結果が得られる。
(数60)
Figure 0005812010
第5の項については、以下の計算結果が得られる。
(数61)
Figure 0005812010
これらの計算結果を、評価条件式(数52)の最右辺の第3の項に係る上記の式(数54)における、最右辺の第1の項に代入すると、以下の式が得られる。
(数62)
Figure 0005812010
次に、評価条件式(数52)の最右辺の第3の項に係る上記の式(数54)における、最右辺の第2〜第4の項について考える。これら3つの項は同じ形であり、それぞれが以下の2式の積の形である。
(数63)
Figure 0005812010
上の2式のそれぞれにおける、最右辺の合計6つの項を計算すると、以下の6式が得られる。
(数64)
Figure 0005812010
これら6つの式を上の2式(数63)に代入すると、次の2式が得られる。
(数65)
Figure 0005812010
したがって、評価条件式(数52)の最右辺の第3の項に係る上記の式(数54)は、以下のように変換される。
(数66)
Figure 0005812010
次に、評価条件式(数52)における最右辺の第4、第5の項について考える。このとき、次の形の式が得られる。
(数67)
Figure 0005812010
何とならば、aとbは、aとb、bとbはそれぞれ独立である。但し、aとaはダイバーシチでソースが同じであるから相関を持つ。
ここで、上の式(数67)の最右辺の第1の項に関連して、以下の計算を行う。
(数68)
Figure 0005812010
上の式(数68)の最右辺の括弧内における、第1〜第4の項について、事前に計算を行う。第1の項について計算すると、以下の式が得られる。
(数69)
Figure 0005812010
第2の項について計算すると、以下の式が得られる。
(数70)
Figure 0005812010
第3の項について計算すると、以下の式が得られる。
(数71)
Figure 0005812010
第4の項について計算すると、以下の式が得られる。
(数72)
Figure 0005812010
これら4つの式をもとの式(数68)に代入すると、次の式が得られる。
(数73)
Figure 0005812010
次に、評価条件式(数52)における最右辺の第4、第5の項に係る前出の式(数67)の、最右辺の第2項に関連して、以下の計算を行う。
(数74)
Figure 0005812010
上の式(数74)の最右辺の括弧内における第1〜第4の項をそれぞれ計算すると、以下の4式が得られる。
(数75)
Figure 0005812010
これらの式から、評価条件式(数52)における最右辺の第4、第5の項に係る前出の式(数67)の、最右辺の第2項は、次のように求められる。
(数76)
Figure 0005812010
まとめると、評価条件式(数52)における最右辺の第4、第5の項に係る前出の式(数67)は、次のように求められる。
(数77)
Figure 0005812010
ここで、送信信号が64QAMである場合に、評価条件式(数52)は以下のようになる。
(数78)
Figure 0005812010
上の式(数78)を得るに当たって、以下の9式を用いた。
(数79)
Figure 0005812010
上で得られた評価条件の式(数78)における最適点の算出は、タップ係数の再帰処理の式(数51)を用いた適応等化処理の確率勾配法により実現出来る。同式から分かるように、この算出は、参照信号等のトレーニング信号を用いないブラインド処理で実現されている。
図10Aは、タップ係数に係る、MMSE規範に基づく評価条件の式を数値計算して得られる最適解を示す3次元グラフの俯瞰図である。図10Bは、タップ係数に係る、BUSSGANGアルゴリズムを適用した評価条件の式を数値計算して得られるダイバーシチ合成の結果としての3次元グラフの俯瞰図である。なお、図10A、図10B共に、伝搬環境等同じ条件の下での計算結果である。
図10A、図10Bより、参照信号を用いたMMSE規範の評価条件の基では確率勾配法を用いてタップ適応制御で行った場合、最適点に収束することが分かる。それに対して、タップ出力合成信号の同相成分と直交成分を評価条件として、タップ係数の適応制御を行った場合、複数の局所最適点が存在していることが分かる。
図11は、図10Bの3次元グラフの上面図である。図11より、四つの局所最適解が存在することが分かる。以下、その局所最適点がいかにして生じたかを説明の都合上簡単な例で見ることにする。
先ず、ブランチ2に対する伝送路のインパルス応答Hを次のように定義する。
(数80)
Figure 0005812010
次に、インパルス応答Hに対するウェイトベクトルW を、次のように定義する。
(数81)
Figure 0005812010
このとき、ウェイトベクトルW およびインパルス応答Hの畳み込みベクトルは、次のようになる。
(数82)
Figure 0005812010
一方、図11の場合、すなわち、各ブランチのタップ出力合成信号にBUSSGANGアルゴリズムを適用した評価条件を用いた場合について考える。この場合において、ブランチ1の最適点をAと置く。ブランチ1のインパルス応答Hを次のように定義する。
(数83)
Figure 0005812010
また、インパルス応答Hに対するウェイトベクトルW を、次のように定義する。
(数84)
Figure 0005812010
このとき、ウェイトベクトルW およびインパルス応答Hの畳み込みベクトルは、次のようになる。
(数85)
Figure 0005812010
この場合、ブランチ1とブランチ2とでは同じ位置に信号が同相で生じるので、タップ出力合成後の信号レベルが2倍となり、ダイバーシチ会得が得られることが分かる。
さらに、図11で最適点となっている点Bについて考える。ここで、ウェイトベクトルW’ は次のように定義される。
(数86)
Figure 0005812010
したがって、ウェイトと伝送路のインパルス応答の畳み込みベクトルは、次のようになる。
(数87)
Figure 0005812010
このとき、2番目の要素「−1」がブランチ2の式(数82)における要素「1」と同じ位置に生じて、ブランチ2のタップ出力は完全にキャンセルされる。ここで、3番目の要素「2」が残るものの、ブランチ1のみの信号となって何らダイバーシチ効果が得られないことがわかる。すなわち、この局所最適点に収束してしまうと、ダイバーシチ構成とは成らない。
次に、別の最適点となっている点Cについて考える。ここで、ウェイトベクトルW’’ は次のように定義される。
(数88)
Figure 0005812010
したがって、ウェイトと伝送路のインパルス応答の畳み込みベクトルは、次のようになる。
(数89)
Figure 0005812010
このとき、2番目の要素「−1」がブランチ2の式(数82)における要素「1」と同じ位置に生じて、ブランチ2のタップ出力が完全にキャンセルされる。ここで、3番目の要素「−2」が残るものの、ブランチ1のみの信号となって何らダイバーシチ効果が得られないことがわかる。したがって、この局所最適点に収束してしまっても、ダイバーシチ構成とは成らない。
次に、最後の最適点となっている点Dについて考える。ここで、ウェイトベクトルW’’’ は次のように定義される。
(数90)
Figure 0005812010
したがって、ウェイトと伝送路のインパルス応答の畳み込みベクトルは、次のようになる。
(数91)
Figure 0005812010
このとき、2番目の要素「−3」がブランチ2の式(数82)における要素「1」と同じ位置に生じて、ブランチ2のタップ出力の一部が相殺され、「−2」が残る。これはブランチ1のみの信号となって、何らダイバーシチ効果が得られないことが分かる。したがって、この局所最適点に収束してしまっても、ダイバーシチ構成とは成らない。
以上説明した様に、各ブランチのタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件とした場合には、複数の局所最適点が生じてしまい、正しいダイバーシチ効果が得られない。
図12Aは、実際にタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件(数78)を用いたときの、第1のブランチにおけるタップ係数の収束状態を示したグラフである。同様に、図12Bは、実際にタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件(数78)を用いたときの、第2のブランチにおけるタップ係数の収束状態を示したグラフである。
図12A、図12Bは、ブランチ2への信号入力が2タップ遅れて入るような伝送路状態で見たものである。したがって、ブランチ1のタップ係数の三番目の要素がタップ2の最初の要素をキャンセルする様に作用し、ブランチ1の最初のタップ係数のみが残って正常なダイバーシチ合成が出来ないことが分かる。
(NULL空間を用いたタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件の場合) 次に、本発明のNULL空間を用いたタップ出力合成にBUSSGANGアルゴリズムを適用した評価条件式を解析する。
以上に述べた問題に対処するために、適応アンテナの到来方向推定で用いられるMUSIC(MUltiple SIgnal Classification)アルゴリズムのNULL空間による方法を参考にして、適応合成を行う。MUSICは、もともと、マトリクスを用いた固有空間上の複雑な処理だが、ここでは大幅に簡略化した方法を用いる。すなわち、スカラー上の処理として、等化と適応合成を同時に行う点に本発明の特徴がある。
具体的には、各ブランチの入力に設けられたタップを連携させて、ブラインド適応処理によりタップ係数を更新する際、適応処理の評価条件に各ブランチのタップ出力の差が最小となるように、該タップの制御を行う要素を含めている。
上述同様に、拡張受信信号ベクトルrおよび拡張ウェイトベクトルWを、以下の様に定義する。
(数92)
Figure 0005812010
ここで、r、rは、ブランチ1および2のタップへ入力する受信信号ベクトルを表す。また、W、Wは、ブランチ1および2のタップ係数(ウェイトベクトル)を表す。
したがって、タップ出力は以下のようになる。なお、拡張受信信号ベクトルrの要素には「−(マイナス)」がついており、タップ出力の差が無いように制御される。
(数93)
Figure 0005812010
ここで、サフィックス「1」、「2」は、ブランチの番号を示す。
NULLINGを基本として処理するので、片方のブランチの信号を逆転させており、適応アンテナでいうところのヌルステアリングに相当する。このNULLINGを基本とした拡張ベクトルを基に以下の様にブランチ1、2の等化処理と適応合成を連携させタップ係数の更新を行う。
(数94)
Figure 0005812010
上の式(数94)に対する評価条件式は、以下の様になる。
(数95)
Figure 0005812010
ここで、サフィックス1,2はブランチを示し、サフィックス1,2が付かないものは拡張された信号示し、yIはタップ係数(ウェイトwm)で構成されたタップ出力合成信号の同相成分で、yQは直交成分。Rは定数である。
この評価条件式に対する勾配ベクトルの近似として、次の式が得られる。
(数96)
Figure 0005812010
タップへ入力する拡張された受信信号ベクトルをrとすると、タップ係数の同相成分y(n)として、次の式が得られる。
(数97)
Figure 0005812010
したがって、次の式が導出される。
(数98)
Figure 0005812010
同様に、タップ係数の直交成分y(n)として、次の式が得られる。
(数99)
Figure 0005812010
したがって、次の式が導出される。
(数100)
Figure 0005812010
ブランチ1についても同様に、同相成分y1I(n)として、次の式が得られる。
(数101)
Figure 0005812010
したがって、次の式が導出される。
(数102)
Figure 0005812010
さらに、ブランチ1の直交成分y1Q(n)として、次の式が得られる。
(数103)
Figure 0005812010
したがって、次の式が導出される。
(数104)
Figure 0005812010
ブランチ2についても同様に、同相成分y2I(n)として、次の式が得られる。
(数105)
Figure 0005812010
したがって、次の式が導出される。
(数106)
Figure 0005812010
さらに、ブランチ2の直交成分y2Q(n)として、次の式が得られる。
(数107)
Figure 0005812010
したがって、次の式が導出される。
(数108)
Figure 0005812010
これより、次の式が得られる。
(数109)
Figure 0005812010
タップ係数の更新式は、次のようになる。
(数110)
Figure 0005812010
これはすなわち、前出のタップ係数更新式(数94)に等しい。
この更新過程のタップ係数の最適点は非線形であるため閉形式で陽に示すことが出来ない。そこで、評価条件の式によって解析を行う。評価条件の式は、以下のとおりである。
(数111)
Figure 0005812010
ここで、|y|=y +y であり、|y|=(|y−y)である。したがって、評価条件式(数111)の最右辺の第1の項は、次のように計算される。
(数112)
Figure 0005812010
同様に、第2の項は、次のように計算される。
(数113)
Figure 0005812010
これら第1、第2の項の2式を加算することで、次の式が得られる。
(数114)
Figure 0005812010
上の式の右辺が有する第1〜第5の項をそれぞれ個別に計算する。ここで、第1、第2の項については、前出の式(数40)を用いることによって計算出来る。同様に、第3の項については、前出の式(数66)を用いることによって計算出来る。同様に、第4、第5の項については、前出の式(数77)を用いることによって計算出来る。さらに、64QAMに係る式(数79)を適用することで、次の式が得られる。
(数115)
Figure 0005812010
次に、評価条件式(数111)の第3〜第6の項について考えると、これらは前出の式(数41)を用いることによって計算出来る。その結果、次の式が得られる。
(数116)
Figure 0005812010
これらの計算により、NULL空間を用いたタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件である各ブランチのタップ出力の差が最小となるようにタップの制御を行う要素を含めた式(数111)は、次のように求められる。
(数117)
Figure 0005812010
ここで、次の5つの式を用いる。
(数118)
Figure 0005812010
したがって、次の2つの関係があることが分かる。
(数119)
Figure 0005812010
以上の結果を基に、タップ係数に対する評価条件式を数値計算すると、3次元グラフが得られる。図13Aは、MMSE規範に基づく評価条件式を数値計算して得られる3次元グラフの俯瞰図である。図13Bは、NULL空間を用いたタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件を数値計算して得られる3次元グラフの俯瞰図である。図14Aは、MMSE規範に基づく評価条件式を数値計算して得られる3次元グラフの上面図である。図14Bは、NULL空間を用いたタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件を数値計算して得られる3次元グラフの上面図である。なお、図13A、図13B、図14A、図14Bは共に、伝搬環境等同じ条件の下で得られる結果である。
図13A、図14Aより、参照信号を用いたMMSE規範の評価条件の基では、確率勾配法を用いてタップの適応制御を行った場合、最適点に収束することが分かる。また、図13B、図14Bより、各ブランチのタップ出力の差が最小となるようにタップの制御を行う要素を含めた評価条件式(数111)を用いた場合にも、単一の最適点に収束することが分かる。
上述の例の様に、局所最小値が1つだけしか存在していないので、このブランチにこのタップ出力の差が最小となるようにタップの制御を行う要素を含めた評価条件を適用したブラインド適応等化処理を施した場合、安定な適応制御がなされることが分かる。
この様に、単一の最適点に安定的に適応制御がなされる要因を解析すると、別の3次元グラフが得られる。図15Aは、BUSSGANGアルゴリズムによる評価条件の式を数値計算して得られた3次元グラフの俯瞰図である。図15Bは、各ブランチのタップ出力の差が最小となるようにタップの制御を行う要素を含む評価条件の式を数値計算して得られた3次元グラフの俯瞰図である。図16Aは、BUSSGANGアルゴリズムによる評価条件の式を数値計算して得られた3次元グラフの上面図である。図16Bは、各ブランチのタップ出力の差が最小となるようにタップの制御を行う要素を含む評価条件の式を数値計算して得られた3次元グラフの上面図である。
図15A、図16Aから、BUSSGANGアルゴリズムによる評価条件が四つの局所最小点を包含していており、したがって安定なダイバーシチ効果を得ることが出来ないことが分かる。しかしながら、図15B、図16Bから、各ブランチのタップ出力の差が最小となるようにタップの制御を行うことが、四つの局所最小値の内最適点である一つを選択する様に作用して、良好なダイバーシチ特性を得られるようにしていることが分かる。
(第1の実施形態)
図17は、本発明の第1の実施形態による無線通信装置の構成を概略的に示す回路図である。図17の無線通信装置の構成要素について説明する。図17の無線通信装置は、第1のアンテナ101と、第2のアンテナ102と、第1のミキサー103と、第2のミキサー104と、所定のローカルオシレータと、第1のA/D変換器105と、第2のA/D変換器106と、第1のタップ処理部107と、第2のタップ処理部108と、タップ出力合成部109と、ブラインド適応処理部110と、ダイバーシチ合成部111とを具備している。
ここで、第1のアンテナ101と、第1のミキサー103と、第1のA/D変換器105と、第1のタップ処理部107との集合を、第1のブランチと呼ぶ。また、第2のアンテナ102と、第2のミキサー104と、第2のA/D変換器106と、第2のタップ処理部108との集合を、第2のブランチと呼ぶ。
図17の無線通信装置の構成要素の接続関係について説明する。第1のアンテナ101の出力部は、第1のミキサー103における第1の入力部に接続されている。第2のアンテナ102の出力部は、第2のミキサー104における第1の入力部に接続されている。第1のミキサー103における第2の入力部は、所定のローカルオシレータに接続されている。第2のミキサー104における第2の入力部は、所定のローカルオシレータに接続されている。なお、第1、第2のミキサー103、104に接続された所定のローカルオシレータは、図17のように同一であっても良いし、別々であっても構わない。
第1のミキサー103における第1、第2の出力部は、第1のA/D変換器105における第1、第2の入力部にそれぞれ接続されている。第2のミキサー104における第1、第2の出力部は、第2のA/D変換器106における第1、第2の入力部にそれぞれ接続されている。第1のA/D変換器105における第1、第2の出力部は、第1のタップ処理部107における第1、第2の入力部にそれぞれ接続されている。第2のA/D変換器106における第1、第2の出力部は、第2のタップ処理部108における第1、第2の入力部にそれぞれ接続されている。
第1のタップ処理部107における第1の出力部は、タップ出力合成部109における第1の入力部と、ブラインド適応処理部110における第1の入力部と、ダイバーシチ合成部111における第1の入力部とに接続されている。第1のタップ処理部107における第2の出力部は、タップ出力合成部109における第2の入力部と、ブラインド適応処理部110における第2の入力部と、ダイバーシチ合成部111における第2の入力部とに接続されている。第2のタップ処理部108における第1の出力部は、タップ出力合成部109における第3の入力部と、ブラインド適応処理部110における第3の入力部と、ダイバーシチ合成部111における第3の入力部とに接続されている。第2のタップ処理部108における第2の出力部は、タップ出力合成部109における第4の入力部と、ブラインド適応処理部110における第4の入力部と、ダイバーシチ合成部111における第4の入力部とに接続されている。
第1のタップ処理部107における第3の出力部は、ブラインド適応処理部110における第5の入力部に接続されている。第2のタップ処理部108における第3の出力部は、ブラインド適応処理部110における第6の入力部に接続されている。タップ出力合成部109における第1、第2の出力部は、ブラインド適応処理部110における第7、第8の入力部に接続されている。ブラインド適応処理部110における第1の出力部は、第1のタップ処理部における第3の入力部に接続されている。ブラインド適応処理部110における第2の出力部は、第2のタップ処理部における第3の入力部に接続されている。
図17の無線通信装置の動作、すなわち本実施形態による無線通信方法について説明する。第1、第2のアンテナ101、102は、それぞれ無線信号を入力し、受信信号を出力する。第1、第2のミキサー103、104は、第1、第2のアンテナ101、102からの出力信号の周波数をそれぞれダウンコンバートして出力する。第1、第2のA/D変換器105、106は、第1、第2のミキサー103、104からの出力信号をデジタル信号にそれぞれ変換して出力する。
第1のタップ処理部107は、第1のA/D変換器105からの出力信号と、ブラインド適応処理部110からの第1のタップ係数(ウェイトベクトル)Wを入力する。第1のタップ処理部107は、第1のA/D変換器105からの出力信号に第1のタップ係数(ウェイトベクトル)Wを乗算して第1のタップ出力信号における同相成分y1I(n)および直交成分y1Q(n)を生成する。第1のタップ処理部107は、タップ出力合成部109、ブラインド適応処理部110、ダイバーシチ合成部111に向けて第1のタップ出力信号における同相成分y1I(n)および直交成分y1Q(n)を出力する。また、第1のタップ処理部107は、第1のA/D変換器105からの出力信号を、第1の受信信号ベクトルrとして、ブラインド適応処理部110に向けて出力する。
同様に、第2のタップ処理部108は、第2のA/D変換器106からの出力信号と、ブラインド適応処理部110からの第2のタップ係数(ウェイトベクトル)Wを入力する。第2のタップ処理部108は、第2のA/D変換器106からの出力信号に第2のタップ係数(ウェイトベクトル)Wを乗算して第2のタップ出力信号における同相成分y2I(n)および直交成分y2Q(n)を生成する。第2のタップ処理部108は、タップ出力合成部109、ブラインド適応処理部110、ダイバーシチ合成部111に向けて第2のタップ出力信号における同相成分y2I(n)および直交成分y2Q(n)を出力する。また、第2のタップ処理部108は、第2のA/D変換器106からの出力信号を、第2の受信信号ベクトルrとして、ブラインド適応処理部110に向けて出力する。
タップ出力合成部109は、一方では、第1、第2のタップ出力信号のそれぞれにおける同相成分y1I(n)、y2I(n)の差分y(n)を生成し、ブラインド適応処理部110に向けて出力する。また、タップ出力合成部109は、他方では、第1、第2のタップ出力信号のそれぞれにおける直交成分y1Q(n)、y2Q(n)の差分y(n)を生成し、ブラインド適応処理部110に向けて出力する。
ブラインド適応処理部110は、タップ出力の差が最小となるようにタップの制御を行う要素を含めた評価条件の式(数117)に基づくタップ更新を行う。すなわち、ブラインド適応処理部110は、第1、第2の受信信号ベクトルr、r、第1のタップ出力信号における同相成分y1I(n)および直交成分y1Q(n)、第2のタップ出力信号における同相成分y2I(n)および直交成分y2Q(n)、第1、第2のタップ出力信号のそれぞれにおける同相成分y1I(n)、y2I(n)の差分y(n)ならびに第1、第2のタップ出力信号のそれぞれにおける直交成分y1Q(n)、y2Q(n)の差分y(n)を入力し、第1、第2のタップ係数(ウェイトベクトル)W、Wを生成し、第1、第2のタップ処理部107、108に向けてそれぞれ出力する。
ブラインド適応処理部110のさらに詳細な構成と、その動作、すなわち本実施形態による無線通信方法におけるブラインド適応処理ステップについて説明する。ブラインド適応処理部110は、たとえば、入力部、出力部、演算部、記憶部、これらを接続するバス、などを有し、所定のプログラムを実行する汎用の計算機を具備していても良い。このとき、所定のプログラムは、記憶部などに格納されていて、必要に応じて演算部で演算されて、各ブランチのタップ出力の差が最小となるようにタップの制御を行う要素を含む評価条件の式(数117)を数値計算するように組まれていることが望ましい。
尚、この例では本発明の特徴を明確にする為、タップ出力差生成部109をブラインド適応処理部110の外に出している。しかし、ブラインド適応処理部110の中に、タップ出力差生成機能を含ませて行っても良いことはいうまでもない。
ダイバーシチ合成部111は、第1、第2のブランチから第1、第2のタップ出力信号を入力する。ダイバーシチ合成部111は、第1、第2のタップ出力信号をダイバーシチ合成して出力し、本発明の実施形態によるダイバーシチ処理が完結する。
(第2の実施形態)
図18は、本発明の第2の実施形態による無線通信装置の構成を概略的に示す回路図である。図18の無線通信装置の構成は、第1、第2のミキサー103、104と、第1、第2のA/D変換器105、106との間に第1、第2のAGC(Automatic Gain Controller:自動利得制御装置)をそれぞれ追加し、ダイバーシチ合成部111を別のダイバーシチ合成部601に置き換える。
ここで、第1のミキサー103における第1、第2の出力部は、第1のAGC602における第1、第2の入力部にそれぞれ接続されている。第2のミキサー104における第1、第2の出力部は、第2のAGC603における第1、第2の入力部にそれぞれ接続されている。第1のAGC602における第1、第2の出力部は、第1のA/D変換器105における第1、第2の入力部にそれぞれ接続されている。第2のAGC603における第1、第2の出力部は、第2のA/D変換器106における第1、第2の入力部にそれぞれ接続されている。第1のタップ処理部107における第1、第2の出力部は、ダイバーシチ合成部601における第1、第2の入力部に接続されている。第2のタップ処理部108における第1、第2の出力部は、ダイバーシチ合成部601における第3、第4の入力部に接続されている。第1のAGC602における第3の出力部は、ダイバーシチ合成部601における第5の入力部に接続されている。第2のAGC603における第3の出力部は、ダイバーシチ合成部601における第6の入力部に接続されている。
なお、本実施形態による無線通信装置の他の構成は、本発明の第1の実施形態の場合と同じであるので、更なる詳細な説明を省略する。
本実施形態による無線通信装置の動作、すなわち本実施形態による無線通信方法について説明する。本実施携帯による無線通信装置の動作は、本発明の第1の実施形態の場合に、第1、第2のAGC602、603による自動利得制御機能を追加したものに等しい。すなわち、各アンテナ101、102の受信電界レベルが変動しても、各ブランチ内の信号レベルは一定に保たれる。このとき、同じ演算精度が維持出来る利点がある。
第1、第2のAGC602、603は、その出力レベルを検出し、平滑し、レファレンスレベルと比較を行い、自動利得制御信号を生成して、その自動利得制御信号を入力信号に乗算する。こうすることで、第1、第2のAGC602、603は、その出力レベルを一定に保っている。
即ち、第1、第2のAGC602、603において、入力電界レベルと自動利得制御信号とが互いに関係し合っている。これは、自動利得制御信号から入力電界レベルを推定することが出来ることを意味している。
図18のダイバーシチ合成部601は、図17に示した本発明の第1の実施形態によるダイバーシチ合成部111の機能に加えて、第1、第2のAGCから供給される自動利得制御信号より入力電界レベルを推定する機能を有している。ダイバーシチ合成部601は、その推定結果に基づいて、各ブランチの信号の重み付けを行い、その上でダイバーシチ合成を行う。これによって理想的なダイバーシチに近い特性を得ることが出来る。
なお、本実施形態による無線通信装置の他の動作は、本発明の第1の実施形態の場合と同じであるので、更なる詳細な説明を省略する。
(第3の実施形態)
図19は、本発明の第3の実施形態による無線通信装置の構成を概略的に示す回路図である。図19の無線通信装置の構成は、図17に示した本発明の第1の実施形態による無線通信装置に以下の変更を加えたものに等しい。すなわち、ブラインド適応処理部110およびダイバーシチ合成部111を、別のブラインド適応処理部701および別のダイバーシチ合成部702に置き換える。
ここで、本実施形態によるブラインド適応処理部701は、本発明の第1の実施形態によるブラインド適応処理部110に、次の構成および機能を加えたものに等しい。すなわち、各ブランチの品質を推定し、その推定結果を推定品質信号として出力する機能と、この推定品質信号を出力する第3の出力部とを加える。
また、本実施形態によるダイバーシチ合成部702は、本発明の第1の実施形態によるダイバーシチ合成部702に、次の構成および機能を加えたものに等しい。すなわち、ブラインド適応処理部110における第3の出力部に接続されて推定品質信号を入力する第5の入力部と、ダイバーシチ合成において、推定品質信号に基づいて各ブランチ信号の重み付け合成を行う機能とを加える。
各ブランチの品質推定について説明する。例えば、ブランチ1の推定品質JJcm1を、次のように定義する。
(数120)
Figure 0005812010
同様に、ブランチ2の推定品質JJcm2を、次のように定義する。
(数121)
Figure 0005812010
ここで、JJcm1、JJcm2の値が大きくなると、第1、第2のブランチの品質が悪く、反対に、値が小さくなると品質が良い、と判断する。さらに、予めこの値と回線品質の関係をテーブルにまとめておいて、そのテーブルを用いて、ダイバーシチ合成部702で重み付け合成を行っても良い。
本実施形態による無線通信装置におけるその他の構成および動作は、本発明の第1の実施形態の場合と同じであるので、さらなる詳細な説明を省略する。
(第4の実施形態)
図20は、本発明の第4の実施形態による無線通信装置の構成を概略的に示す回路図である。図20の無線通信装置の構成は、図17に示した本発明の第1の実施形態による無線通信装置に以下の変更を加えたものに等しい。すなわち、適応等化処理部801を追加する。
ここで、適応等化処理部801は、第1〜第8の入力部と、第1、第2の出力部とを具備している。第1の入力部は、第1のタップ処理部107における第1の出力部に接続されていて、第1のタップ出力信号における同相成分y1I(n)を入力する。第2の入力部は、第1のタップ処理部107における第2の出力部に接続されていて、第1のタップ出力信号における直交成分y1Q(n)を入力する。第3の入力部は、第2のタップ処理部108における第1の出力部に接続されていて、第2のタップ出力信号における同相成分y1I(n)を入力する。第4の入力部は、第2のタップ処理部108における第2の出力部に接続されていて、第2のタップ出力信号における直交成分y1Q(n)を入力する。第5の入力部は、第1のタップ処理部107における第3の出力部に接続されていて、第1の受信信号ベクトルrを入力する。第6の入力部は、第2のタップ処理部108における第3の出力部に接続されていて、第2の受信信号ベクトルrを入力する。第7の入力部は、ブラインド適応処理部110における第1の出力部に接続されていて、第1のタップ係数(ウェイトベクトル)Wを入力する。第8の入力部は、ブラインド適応処理部110における第2の出力部に接続されていて、第2のタップ係数(ウェイトベクトル)Wを入力する。第1の出力部は、第1のタップ処理部107における第3の入力部に接続されていて、第1の適応等化タップ係数(ウェイトベクトル)W’を出力する。第2の出力部は、第2のタップ処理部108における第3の入力部に接続されていて、第2の適応等化タップ係数(ウェイトベクトル)W’を出力する。
なお、本実施形態では、本発明の第1の実施形態とは異なり、ブラインド適応処理部110における第1、第2の出力部は、第1、第2のタップ処理部107、108のそれぞれにおける第3の入力部に、それぞれ接続されていない。本実施形態による無線通信装置の他の構成は、本発明の第1の実施形態の場合と同じであるので、更なる詳細な説明を省略する。
本実施形態による適応等化処理部801の動作、すなわち本実施形態による無線通信方法における適応等化処理ステップについて説明する。
ブラインド処理部110が式(数117)により算出したタップ係数(ウェイトベクトル)W、Wは、一旦、適応等化処理部801に供給される。タップ係数(ウェイトベクトル)W、Wが収束する前の、初期動作の区間において、適応等化処理部801は、入力したタップ係数(ウェイトベクトル)W、Wを、第1、第2のタップ処理部107、108に向けてそのままスルーすることで、それぞれ送出している。
タップ係数(ウェイトベクトル)W、Wが収束すると、適応等化処理部801は、判定値を参照信号として通常の適応制御を行い、適応等化タップ係数(ウェイトベクトル)W’、W’を算出する。適応等化処理部801は、算出された適応等化タップ係数(ウェイトベクトル)W’、W’を、ブラインド処理部110で式(数117)の式により算出したタップ係数(ウェイトベクトル)W、Wの代わりに、第1、第2のタップ処理部107、108へそれぞれ送出する。本実施形態による無線通信装置は、こうすることによって、安定した特性を得ることが出来る。
また、タップ係数が収束したかどうかの判断は、例えば、適応等化処理部801の内部にタイマーを用意することが行うことが出来る。すなわち、予め決められた時間が経過したことをこのタイマーで検知して、適応等化処理部801の内部回路を切り替えるだけで、特別な回路や処理を用いることなく、簡単な構成で実現可能である。
なお、本実施形態による無線通信装置の他の動作は、本発明の第1の実施形態の場合と同じであるので、さらなる詳細な説明を省略する。
(合成空間を用いたタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件の場合)
次に、合成空間を用いたタップ出力合成にBUSSGANGアルゴリズムを適用した評価条件式を解析する。
上述同様に、拡張受信信号ベクトルrおよび拡張ウェイトベクトルWを、以下の様に定義する。
(数122)
Figure 0005812010
ここで、r、rは、第1、第2のブランチのタップ処理部107、108へ入力する受信信号ベクトル。である。また、W、Wは、第1、第2のブランチのそれぞれにおけるタップ係数(ウェイトベクトル)である。ここで、拡張受信信号ベクトルrの要素が+であるので、タップを連携させてブラインド適応処理によりタップを更新することになる。すなわち、適応処理の評価条件として、各ブランチのタップ出力を合成した信号と、ブランチ毎の信号とによって得られた値を基にタップの制御を行う。したがって、タップ出力を合成した信号と、ブランチ毎の信号は以下のようになる。
(数123)
Figure 0005812010
ここで、サフィックス1、2はそれぞれ第1、第2のブランチに対応する。
拡張ベクトルを基に、以下の様に第1、第2のブランチの等化処理と適応合成を連携させて、タップ係数の更新を行う。
(数124)
Figure 0005812010
上式(数124)に対する評価条件式は、以下の様になる。
(数125)
Figure 0005812010
ここで、サフィックス1、2は、第1、第2のブランチをそれぞれ示す。サフィックス1、2が付かないものは、拡張された信号を示す。yは、タップ係数(ウェイトw)で構成されたタップ出力合成信号の同相成分であり、同様に、yは直交成分である。AR、Rは、それぞれ所定の定数である。
この評価条件の式は非線形であるため、閉形式で陽に示すことが出来ない。そこで、評価条件の式によって解析を行う。|y|=y +y であり、|y|=(|y+y)であるから、評価条件の式(数125)における最右辺の第一項、第二項は次のように変換される。
(数126)
Figure 0005812010
ここで、前出の式(数115)の符号を変えて用い、さらに以下の関係式を用いる。
(数127)
Figure 0005812010
すると、以下の式が得られる。
(数128)
Figure 0005812010
ここで、以下の式を用いる。
(数129)
Figure 0005812010
なお、上記の式(数129)を得るには、前出の式(数36)および以下の関係式を用いる。
(数130)
Figure 0005812010
上記の評価条件式(数125)の最右辺における残りの第3〜第6の項は、前出の式(数116)で計算することが出来る。これは前出のBUSSGANGアルゴリズムによる評価条件の場合の式(数35)と同じである。従って、評価条件式は以下のようになる。
(数131)
Figure 0005812010
以上の結果を基に、タップ係数に対する評価条件の式の値を数値計算すると、3次元グラフが得られる。図21Aは、MMSE規範に基づく評価条件の式(数13)を数値計算して得られる3次元グラフ(二乗平均誤差曲面)の俯瞰図である。図21Bは、合成空間を用いたタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件の式(数131)を数値計算して得られる3次元グラフの俯瞰図である。図22Aは、MMSE規範に基づく評価条件の式(数13)を数値計算して得られる3次元グラフ(二乗平均誤差曲面)の上面図である。図22Bは、合成空間を用いたタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件の式(数131)を数値計算して得られる3次元グラフの上面図である。なお、図21A、図21B、図22A、図22Bはいずれも、共に伝搬環境等同じ条件の下での結果である。
図21A、図22Aより、参照信号を用いたMMSE規範の評価条件の基では確率勾配法を用いてタップ適応制御を行った場合、最適点に収束することが分かる。また、図21B、図22Bより、各ブランチのタップ出力を合成した信号とブランチ毎の信号とによって得られた値を基にタップの制御を行う評価条件式(数131)の場合も、単一の最適点に収束することが分かる。この場合は、以下に説明する様に複雑な形状を取るが、パラメータを調整することによってブラインドで安定な適応制御がなされることが分かる。
この適応制御がなされる要因を解析すると、次のような3次元グラフが得られる。図23Aは、合成空間を用いたタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件の式(数131)におけるJJcm1、JJcm2を示す3次元グラフの俯瞰図である。図23Bは、合成空間を用いたタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件の式(数131)におけるJASBUSSを示す3次元グラフの俯瞰図である。図24Aは、合成空間を用いたタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件の式(数131)におけるJJcm1、JJcm2を示す3次元グラフの上面図である。図24Bは、合成空間を用いたタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件の式(数131)におけるJASBUSSを示す3次元グラフの上面図である。
図23A、図24Aの評価条件式は、前出のBUSSGANGアルゴリズムによる評価条件式(数41)であって、四つの局所最小点を包含しているため安定なダイバーシチ効果を得ることが出来ないことが分かる。
また、図23B、図24Bの評価条件式は、前出のJcomb_BUSSの式(数78)と同じものである。したがって、各ブランチのタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件の場合で説明した様に、四つの局所最小点を包含していて安定なダイバーシチ効果を得ることが出来ない。しかしながら、パラメータを調整することによって互いの局所最小点をずらすことが出来るので、図21Bおよび図22Bで示した複雑な形状ではあるが、単一の最適点が得られる。
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態による無線通信装置は、上記の動作を行う。図25は、本発明の第5の実施形態による無線通信装置の構成を示す回路図である。図25の無線通信装置は、図17に示した本発明の第1の実施形態による無線通信装置に以下の変更を加えたものに等しい。すなわち、図17のタップ出力差生成部109を図25のタップ出力差生成部1301に置き換え、図17のブラインド適応処理部110を図25のブラインド適応処理部1302に、それぞれ置き換える。
本実施形態によるタップ出力差生成部1301について説明する。本実施形態によるタップ出力差生成部1301は、第1、第2のタップ処理部107、108からそれぞれ出力される第1、第2のタップ出力信号の同相成分y1I(n)、y2I(n)を入力し、その合計であるタップ出力合成信号の同相成分y(n)を出力する。同様に、本実施形態によるタップ出力差生成部1301は、第1、第2のタップ処理部107、108からそれぞれ出力される第1、第2のタップ出力信号の直交成分y1Q(n)、y2Q(n)を入力し、その合計であるタップ出力合成信号の直交成分y(n)をブラインド適応処理部1302に向けて出力する。
ブラインド適応処理部1302について説明する。ブラインド適応処理部1302は、タップ出力合成信号の同相成分y(n)および直交成分y(n)を入力し、上記の評価条件式(数131)にしたがって第1、第2のタップ係数(ウェイトベクトル)W、Wを生成する。ブラインド適応処理部1302は、第1、第2のタップ係数(ウェイトベクトル)W、Wを、第1、第2のタップ処理部107、108にそれぞれ向けて出力する。
本実施形態による無線通信装置の他の構成については、本発明の第1の実施形態の場合と同じであるので、さらなる詳細な説明を省略する。
本実施形態による無線通信装置の動作、すなわち本実施形態による無線通信方法について説明する。なお、この説明は、図26で、各ブランチのタップ出力の差が最小となるようにタップの制御を行う要素を含めた式(数117)の場合の図17との違いを中心に行う。
各ブランチのタップ出力を合成した信号とブランチ毎の信号とによって得られた値を基にタップの制御を行った場合、同図の1301のタップ出力合成部を用いて加算する形で、合成している。それに対して、各ブランチのタップ出力の差が最小となるようにタップの制御を行う要素を含めた式(数117)の図17の場合は、109のタップ出力差生成部を用いてヌリングを行っている。これらの信号を入力するブラインド適応処理部1302は、式(数124)により、合成したタップ出力信号の同相成分と直交成分を基にタップ係数の演算を行い、そのタップ係数によって出力された信号が111のダイバーシチ合成部に入力され処理は完結する。
本実施形態による無線通信装置の他の動作については、本発明の第1の実施形態の場合と同じであるので、さらなる詳細な説明を省略する。
尚、拡張ベクトルを以下のように定義することによって、同様の演算を行い、ブランチ数を任意のmまで増やすことが出来る。
(数132)
Figure 0005812010
以上説明した本発明のブラインド処理のスペースダイバーシチについて、その効果をシミュレーションによって確認する。図26は、本発明による無線通信装置におけるブラインド処理のスペースダイバーシチの効果を示すグラフである。
図26のシミュレーションを行うに当たって使用した方法は、次のとおりである。すなわち、NULL空間を用いたタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる評価条件を用いる。ここで、各ブランチの入力に設けられたタップを連携させてブラインド適応処理によりタップ係数を更新する。この際、適応処理の評価条件に各ブランチのタップ出力の差が最小となるように該タップの制御を行う要素を含めた式(数94)を使う。
図26のグラフにおいて、縦軸はシンボル誤り率を示し、横軸は遅延干渉波の遅延時間を示す。図26からは、遅延時間が大きくなる程干渉波の影響が厳しいことが読み取れる。また、図26より、従来技術として紹介したIP合成の場合、干渉波の遅延が少し増えただけで特性が極端に劣化していることが分かる。また、MID合成(相互干渉キャンセル)の場合も、理想的なキャンセルが行われている為、干渉波の影響は受けていない。しかし、各ブランチの伝搬路の状態が、各ブランチの直接波が反対方向に近い状態となってしまった為、ダイバーシチ利得が逆に減ってしまって、特性が悪い。
それに対して、本発明のNULL空間を用いたBUSSGANG合成の場合、良好な特性を示しており、SD(スペースダイバーシチ)無しのブラインド等化と比べて、ダイバーシチ効果を得ていることが分かる。
以上より、本発明の省電力効果の有効性が示された。
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
なお、本願の基礎出願である特願2010−270899号の内容は、この出願番号の開示により本願に組み込まれるものとする。

Claims (12)

  1. スペースダイバーシチ方式の受信信号およびタップ係数に基づいてタップ出力信号および受信信号ベクトルを生成するタップ処理部を有する複数のブランチと、
    前記複数のブランチが出力する複数の前記タップ出力信号を合成してタップ出力合成信号を演算するタップ出力合成部と、
    前記タップ出力合成信号および前記受信信号ベクトルに基づいて前記タップ係数をブラインド適応処理によって生成するブラインド適応処理部と、
    前記タップ出力信号をダイバーシチ合成するダイバーシチ合成部と
    を具備し、
    前記ブラインド適応処理部は、
    NULL空間を用いたタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる、前記タップ出力合成信号を最小に抑える評価条件を用いる
    無線通信装置。
  2. 請求項1に記載の無線通信装置において、
    前記タップ処理部の前段に接続されて、前記受信信号のレベルを一定に保ち、自動利得制御信号を生成するAGC(Automatic Gain Controller:自動利得制御装置)
    をさらに具備し、
    前記ダイバーシチ合成部は、前記自動利得制御信号に基づいて前記ダイバーシチ合成を行う
    無線通信装置。
  3. 請求項1に記載の無線通信装置において、
    前記複数のブランチのそれぞれは、
    前記タップ処理部と、
    前記タップ処理部の前段に接続されて前記受信信号を入力するアンテナと
    を具備し、
    前記ブラインド適応処理部は、前記複数のブランチのそれぞれにおける品質を推定した結果を推定品質信号として生成し、
    前記ダイバーシチ合成部は、前記推定品質信号に基づいて前記ダイバーシチ合成を行う
    無線通信装置。
  4. 請求項1に記載の無線通信装置において、
    前記タップ処理部から前記受信信号ベクトルを入力し、前記ブラインド適応処理部から前記タップ係数を入力し、前記タップ処理部に向けて前記タップ係数を出力する適応等化処理部
    をさらに具備し、
    前記適応等化処理部は、前記タップ係数が収束する所定の時間が経過するまでは前記入力したタップ係数をそのまま出力し、前記所定の時間が経過した後は判定器出力を参照信号として用いた適応等化処理により生成する信号を前記タップ係数として出力する
    無線通信装置。
  5. 請求項〜4のいずれかに記載の無線通信装置において、
    前記タップ出力合成信号は、前記タップ出力信号の差を演算して得られる
    無線通信装置。
  6. 請求項5に記載の無線通信装置において
    前記タップ処理部の総数は2つであって、
    前記タップ出力信号は、前記NULL空間を用いたタップ出力合成信号である
    無線通信装置。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の無線通信装置において、
    前記タップ出力合成信号は、前記タップ出力信号の和を演算して得られる
    無線通信装置。
  8. 請求項7に記載の無線通信装置において、
    前記タップ処理部の総数は2つであって、
    前記タップ出力信号は、合成空間を用いたタップ出力合成信号である
    無線通信装置。
  9. 複数のブランチがスペースダイバーシチ方式の受信信号およびタップ係数に基づいてタップ出力信号および受信信号ベクトルを生成することと、
    前記複数のブランチが出力する複数の前記タップ出力信号を合成してタップ出力合成信号を演算することと、
    前記タップ出力合成信号および前記受信信号ベクトルに基づいて前記タップ係数をブラインド適応処理によって生成することと、
    前記タップ出力信号をダイバーシチ合成することと
    を具備し、
    前記タップ係数を生成することは、
    NULL空間を用いたタップ出力合成信号に適用したBUSSGANGによる、前記タップ出力合成信号を最小に抑える評価条件を用いること
    を具備する
    無線通信方法。
  10. 請求項に記載の無線通信方法において、
    前記タップ出力信号および受信信号ベクトルを生成することは、
    前記受信信号のレベルを一定に保つことと、
    自動利得制御信号を生成することと
    を具備し、
    前記ダイバーシチ合成することは、
    前記自動利得制御信号に基づいて前記ダイバーシチ合成を行うこと
    を具備する
    無線通信方法。
  11. 請求項に記載の無線通信方法において、
    前記タップ出力信号および受信信号ベクトルを生成することは、
    複数のブランチのそれぞれが具備するアンテナを用いて前記受信信号を入力すること
    を具備し、
    前記タップ係数を生成することは、
    前記複数のブランチのそれぞれにおける品質を推定した結果を推定品質信号として生成すること
    を具備し、
    前記ダイバーシチ合成することは、
    前記推定品質信号に基づいて前記ダイバーシチ合成を行うこと
    を具備する
    無線通信方法。
  12. 請求項に記載の無線通信方法において、
    前記受信信号ベクトルおよび前記タップ係数に基づいて適応等化処理を行うこと
    をさらに具備し、
    前記適応等化処理を行うことは、
    前記タップ係数が収束する所定の時間が経過するまでは前記タップ係数をそのまま出力することと、
    前記所定の時間が経過した後は判定器出力を参照信号として用いた適応等化処理により生成する信号を前記タップ係数として出力することと
    を具備する
    無線通信方法。
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