JP3576676B2 - ダイバーシチ受信機 - Google Patents

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    • H04L2025/0335Arrangements for removing intersymbol interference characterised by the type of transmission
    • H04L2025/03375Passband transmission
    • H04L2025/03401PSK

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、無線通信の分野におけるダイバーシチ受信機の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のダイバーシチ受信機については、例えば特開平6−268559号に記載されている。以下、図を用いて従来技術の説明を行う。なお、以下に述べる従来例の構成は特開平6−268559号に記載の構成とは異なっているが、両者は等価なものである。
【0003】
図22は、従来のダイバーシチ受信機の構成を示す構成図であり、図において、100は局部発振器、810A,810B,…,810Lは第1,第2ないし第L(Lは2以上の整数)の遅延検波および信号強度検出回路、820A,820B,…,820Lは第1,第2ないし第Lの尤度計算回路、830A,830B,…,830Lは第1,第2ないし第Lの乗算器、840は合成回路、850は判定回路である。
【0004】
次に、動作について説明する。図22において、第1,第2ないし第L(Lは2以上の整数)の受信信号は、それぞれ第1,第2ないし第Lの遅延検波および信号強度検出回路810A,810B,…,810Lに入力される。一方、局部発振器100からは局部搬送波が出力され、第1,第2ないし第Lの遅延検波および信号強度検出回路810A,810B,…,810Lに入力される。
【0005】
ここで、第1,第2ないし第Lの受信信号は、差動M相(Mは2以上の整数)位相シフトキーイング(以下、PSKと略称する; Phase Shift−Keying)変調あるいは差動π/MシフトM相PSK変調された同一の送信信号をL個のアンテナ(図示せず)で受信したものである。送信信号の搬送波周波数をf,そのシンボル周期をTとすると、時刻t=iT(iは0以上の整数)における第k(k =1,2,…,L)の受信信号の値s(iT)は次式で与えられる。
【0006】
【数1】
Figure 0003576676
【0007】
時刻t=iTにおける第kの受信信号の位相の値ψk,iは、雑音やフェージングなどの影響がなければ、送信信号の初期位相θと送信データによって定まる送信差動位相Δθとにより、次式で表される(ただし、加算は2πを法とする)。
【0008】
【数2】
Figure 0003576676
【0009】
また、発振器100から出力される局部搬送波の周波数は送信信号の搬送波周波数fと同一であり、また、その初期位相はφであるものとする。従って、時刻t=iTにおける局部搬送波の値をc(iT)とすると、次式の関係が成立する。
【0010】
【数3】
Figure 0003576676
【0011】
第1,第2ないし第Lの遅延検波および信号強度検出回路810A,810B,…,810Lは同一構成であり、第1,第2ないし第Lの受信信号に対してそれぞれ同一の信号処理を行う。従って、以下では第1の遅延検波および信号強度検出回路810Aの構成と動作についてのみ説明を行う。
【0012】
図23は、第1の遅延検波および信号強度検出回路810Aの構成を示す構成図であり、図において、210は位相比較器、220は遅延時間が受信信号の1シンボル周期Tに等しい遅延素子、230は2πを法とする減算器、260は強度検出回路である。
【0013】
図23において、第1の受信信号と局部発振器100から出力される局部搬送波はそれぞれ位相比較器210に入力される。位相比較器210は局部搬送波を基準とした第1の受信信号の位相の値を受信位相信号として出力する。従って、時刻t=iTにおける受信位相信号の値はψ1,i−φとなる(ただし、減算は2πを法とする)。この受信位相信号は遅延時間が受信信号の1シンボル周期Tに等しい遅延素子220と2πを法とする減算器230に入力され、遅延素子220からは1シンボル周期遅延された位相信号が出力される。従って、時刻t=iTにおける1シンボル周期遅延された位相信号の値はψ1,i−1−φとなる。この1シンボル周期遅延された位相信号は2πを法とする減算器230に入力される。減算器230は位相比較器210から出力される受信位相信号より遅延素子220から出力される1シンボル周期遅延された位相信号を2πを法として減算し、減算結果を第1の1シンボル遅延検波信号として出力する。従って、時刻t=iTにおける第1の1シンボル遅延検波信号の値をΔψ1,iとすると、次式の関係が成立する(ただし、減算は2πを法とする)。
【0014】
【数4】
Figure 0003576676
【0015】
すなわち、第1の1シンボル遅延検波信号Δψ1,iは、第1の受信信号の1シンボル周期間の位相変化を表しており、雑音やフェージングなどの影響がない場合は、その値は送信差動位相Δθに等しい。前述のように、送信差動位相Δθの値は送信データによって定まるので、第1の1シンボル遅延検波信号Δψ1,iの値を用いて送信データの推定を行うことが可能である。
【0016】
また、第1の受信信号は強度検出回路260にも入力される。強度検出回路260は、第1の受信信号の振幅の二乗値を第1の受信信号強度として出力する。すなわち、第1の受信信号強度は第1の受信信号の信号電力に比例するものであり、時刻t=iTにおける第1の受信信号強度の値をP1,iとすると、次式が成立する。
【0017】
【数5】
Figure 0003576676
【0018】
以上の信号処理により生成された第1の1シンボル遅延検波信号および第1の受信信号強度が第1の遅延検波および信号強度検出回路810Aより出力される。以下、再び図22に基づき従来技術の説明を行う。
【0019】
第2ないし第Lの遅延検波および信号強度検出回路810B,…,810Lは、第1の遅延検波および信号強度検出回路810Aと同一の信号処理により、第2ないし第Lの受信信号と局部発振器100から出力される局部搬送波より、第2ないし第Lの1シンボル遅延検波信号および受信信号強度を生成し、出力する。従って、時刻t=iTにおける第k(k =2,…,L)の1シンボル遅延検波信号および受信信号強度の値をそれぞれΔψk,iおよびPk,iとすると、次式が成立する(ただし、減算は2πを法とする)。
【0020】
【数6】
Figure 0003576676
【0021】
第1,第2ないし第Lの遅延検波および信号強度検出回路810A,810B,…,810Lから出力される第1,第2ないし第Lの1シンボル遅延検波信号は、それぞれ第1,第2ないし第Lの尤度計算回路820A,820B,…,820Lに入力される。第1,第2ないし第Lの尤度計算回路820A,820B,…,820Lは、第1,第2ないし第Lの1シンボル遅延検波信号に対してそれぞれ同一の信号処理を行う。従って、以下では第1の尤度計算回路820Aの動作についてのみ説明を行う。
【0022】
前述のように、第1の1シンボル遅延検波信号Δψ1,iは、雑音やフェージングなどの影響がない場合は、送信差動位相Δθに等しい。また、送信差動位相Δθは送信データの値に応じてM個の信号点位相α,α,…,αM−1のいずれかの値をとる。従って、第1の1シンボル遅延検波信号Δψ1,iと各信号点位相α(m=0,1,…,M−1)との差の絶対値|Δψ1,i−α|は、送信差動位相Δθの値がαであることの確からしさを示す尤度とみなすことができる。ただし、減算は2πを法とし、減算結果の値域は−π以上π未満とする。この場合、値が小さいほど、より確からしいということを示している。なお、各信号点位相αの値は、差動M相PSK変調の場合はα=2mπ/M であり、差動π/MシフトM相PSK変調の場合はα=2mπ/M+π/M である。
【0023】
第1の尤度計算回路820Aは、上記の各信号点位相α(m=0,1,…,M−1)に対する第1の1シンボル遅延検波信号の尤度λ1,i,m=|Δψ1,i−α|を全て計算してまとめ、第1の尤度信号λ1,i =(λ1,i,0 ,λ1,i,1 ,…,λ1,i,M−1 )として出力する。ただし、尤度λ1,i,m の計算においては、減算は2πを法とし、減算結果の値域は−π以上π未満とする。
【0024】
第2ないし第Lの尤度計算回路820B,…,820Lは、第1の尤度計算回路820Aと同一の信号処理を行い、第2ないし第Lの1シンボル遅延検波信号より、第2ないし第Lの尤度信号を計算し、出力する。従って、第k(k =2,…,L)の尤度信号λk,i =(λk,i,0 ,λk,i,1 ,…,λk,i,M−1 )を構成する尤度λk,i,m (m=0,1,…,M−1)について、次式が成立する(ただし、減算は2πを法とし、減算結果の値域は−π以上π未満とする)。
【0025】
【数7】
Figure 0003576676
【0026】
第1,第2ないし第Lの尤度計算回路820A,820B,…,820Lより出力される第1,第2ないし第Lの尤度信号λ1,i ,λ2,i ,…,λL,i は、それぞれ第1,第2ないし第Lの乗算器830A,830B,…,830Lに入力される。また、第1,第2ないし第Lの遅延検波および信号強度検出回路810A,810B,…,810Lから出力される第1,第2ないし第Lの受信信号強度P1,i , P2,i ,…, PL,i も、それぞれ第1,第2ないし第Lの乗算器830A,830B,…,830Lに入力され、第1,第2ないし第Lの尤度信号λ1,i ,λ2,i ,…,λL,i にそれぞれ乗算される。それぞれの乗算結果は、合成回路840に入力され、加算されて合成尤度信号Λ=(Γi、0 ,Γi、1 ,…,Γi、M−1 )となり、出力される。従って、合成尤度信号Λの構成要素である各合成尤度Λi,m (m=0,1,…,M−1)は次式で与えられる。
【0027】
【数8】
Figure 0003576676
【0028】
すなわち、合成尤度Λi、m (m=0,1,…,M−1)は、信号点位相αに対するそれぞれの尤度λk,i,m (k =1,2,…,L)を受信信号強度Pk,i で重み付けしてダイバーシチ合成したものに他ならない。
【0029】
合成回路840より出力される合成尤度信号Λは、判定回路850に入力される。前述のように、尤度は値が小さいほど、より確からしいことを示している。従って、判定回路850は、合成尤度信号Λの構成要素である各合成尤度Λi、m (m=0,1,…,M−1)の中で値が最小のものΛi,μ (μ∈{0,1,…,M−1})に対する信号点位相αμ が送信差動位相Δθの値であったと判定する。そして、送信データと送信差動位相Δθとの対応関係に基づき、この信号点位相αμに対応するデータを復調データとして出力する。
【0030】
このように、各信号点位相α(m=0,1,…,M−1)に対するそれぞれの尤度λk,i,m (k =1,2,…,L)を受信信号強度Pk,i で重み付けしてダイバーシチ合成した合成尤度Λi、m を用いて復調データを決定することにより、従来のダイバーシチ受信機はダイバーシチ効果を実現している。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来のダイバーシチ受信機では、1シンボル遅延検波信号から生成した尤度信号に基づいて復調データを決定している。前述のように、1シンボル遅延検波信号は、現在の受信信号位相から、1シンボル周期前の受信信号位相を減算したものであるが、両受信信号位相は一般に独立な雑音の影響を受けている。従って、1シンボル遅延検波信号は、受信信号よりも信号対雑音電力比(以下、SN比と略称する)が低下する。従来のダイバーシチ受信機は、このように受信信号よりSN比の低下した1シンボル遅延検波信号から生成した尤度信号に基づいて復調データを決定しているため、復調データのビット誤り率特性が劣るという問題点があった。
【0032】
この発明が解決しようとする課題は、ダイバーシチ受信機のビット誤り率特性を改善する方式を提供することにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るダイバーシチ受信機は、第1,第2ないし第L(Lは2以上の整数)の受信信号から、それぞれの受信信号の現在の位相と1,2,…,N(Nは2以上の整数)シンボル周期前の位相との差である1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を生成する多重遅延検波手段と、前記第1、第2ないし第Lの受信信号のそれぞれに対応する受信信号強度を生成する信号強度検出手段と、前記多重遅延検波手段から出力される第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号に基づいて生成される各枝メトリックに前記信号強度検出手段から出力される第1,第2ないし第Lの受信信号強度に比例した重み付けを行い、該重み付けの行われた各枝メトリックを合成した合成枝メトリックを用いて送信差動位相系列の推定を行い、該送信差動位相系列の推定値に対応した復調データ系列を出力する系列推定手段とを備えたダイバーシチ受信機であって、前記系列推定手段が、前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を用いて、M(Mは送信差動位相の信号点位相の個数であって、2以上の整数)個の信号点位相を(N−1)個組み合わせてできるM N-1 個の状態間の状態遷移を表すトレリス線図上の各状態遷移に対応する枝メトリックを生成する第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算手段と、前記第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算手段から出力される各枝メトリックと前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度との乗算を行い、乗算結果を重み付けされた枝メトリックとして出力する第1,第2ないし第Lの乗算手段と、前記第1,第2ないし第Lの乗算手段から出力される重み付けされた枝メトリックのうち、同一の状態遷移に対応するもの同士を加算し、加算結果を前記トレリス線図上の各状態遷移に対応する合成枝メトリックとして出力する合成手段とを有し、前記合成枝メトリックを用いて、ビタビアルゴリズムに基づき前記送信差動位相系列の推定を行うものである。
【0034】
また、この発明に係るダイバーシチ受信機は、第1,第2ないし第L(Lは2以上の整数)の受信信号から、それぞれの受信信号の現在の位相と1,2,…,N(Nは2以上の整数)シンボル周期前の位相との差である1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を生成する多重遅延検波手段と、前記第1、第2ないし第Lの受信信号のそれぞれに対応する受信信号強度を生成する信号強度検出手段と、前記多重遅延検波手段から出力される第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号に基づいて生成される各枝メトリックに前記信号強度検出手段から出力される第1,第2ないし第Lの受信信号強度に比例した重み付けを行い、該重み付けの行われた各枝メトリックを合成した合成枝メトリックを用いて送信差動位相系列の推定を行い、該送信差動位相系列の推定値に対応した復調データ系列を出力する系列推定手段とを備えたダイバーシチ受信機であって、前記系列推定手段が、前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を用いて、M(Mは送信差動位相の信号点位相の個数であって、2以上の整数)個の信号点位相を(N−1)個組み合わせてできるM N-1 個の状態間の状態遷移を表すトレリス線図上の各状態遷移に対応する枝メトリックを生成する第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算手段と、前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度から第1,第2ないし第Lの重み付け係数を生成する重み付け係数生成手段と、前記第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算手段から出力される各枝メトリックと前記重み付け係数生成手段から出力される前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数との乗算を行い、乗算結果を重み付けされた枝メトリックとして出力する第1,第2ないし第Lの乗算手段と、前記第1,第2ないし第Lの乗算手段から出力される重み付けされた枝メトリックのうち、同一の状態遷移に対応するもの同士を加算し、加算結果を前記トレリス線図上の各状態遷移に対応する合成枝メトリックとして出力する合成手段とを有し、前記合成枝メトリックを用いて、ビタビアルゴリズムに基づき前記送信差動位相系列の推定を行うものである。
【0035】
また、前記重み付け係数生成手段は、前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度の中で最大のものを検出し、最大信号強度として出力する最大値検出手段と、前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度を前記最大値検出手段から出力される前記最大信号強度で除算し、除算結果を前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数として出力する第1,第2ないし第Lの除算手段とを備えたものである。
【0036】
また、前記重み付け係数生成手段は、前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度の中で最大のものを検出し、最大信号強度として出力する最大値検出手段と、前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度を前記最大値検出手段から出力される前記最大信号強度で除算し、除算結果を第1,第2ないし第Lの正規化信号強度として出力する第1,第2ないし第Lの除算手段と、前記第1,第2ないし第Lの除算手段から出力される前記第1,第2ないし第Lの正規化信号強度を入力し、前記第1,第2ないし第Lの正規化信号強度が所定のしきい値以上である場合には前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数として前記第1,第2ないし第Lの正規化信号強度を出力し、前記第1,第2ないし第Lの正規化信号強度が前記所定のしきい値未満である場合には前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数として零を出力する第1,第2ないし第Lの切捨て処理手段とを備えたものである。
【0037】
また、前記重み付け係数生成手段は、前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度の中で最大のものを検出し、最大信号強度として出力する最大値検出手段と、前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度を前記最大値検出手段から出力される前記最大信号強度で除算し、除算結果を第1,第2ないし第Lの正規化信号強度として出力する第1,第2ないし第Lの除算手段と、前記第1,第2ないし第Lの除算手段から出力される前記第1,第2ないし第Lの正規化信号強度を入力し、前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数として前記第1,第2ないし第Lの正規化信号強度の近傍の2の整数乗の数値を出力する第1,第2ないし第Lの対数量子化手段とを備えたものである。
【0038】
また、この発明に係るダイバーシチ受信機は、第1,第2ないし第L(Lは2以上の整数)の受信信号から、それぞれの受信信号の現在の位相と1,2,…,N(Nは2以上の整数)シンボル周期前の位相との差である1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を生成する多重遅延検波手段と、前記第1、第2ないし第Lの受信信号のそれぞれに対応する受信信号強度を生成する信号強度検出手段と、前記多重遅延検波手段から出力される第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号に基づいて生成される各枝メトリックに前記信号強度検出手段から出力される第1,第2ないし第Lの受信信号強度に比例した重み付けを行い、該重み付けの行われた各枝メトリックを合成した合成枝メトリックを用いて送信差動位相系列の推定を行い、該送信差動位相系列の推定値に対応した復調データ系列を出力する系列推定手段とを備えたダイバーシチ受信機であって、前記系列推定手段が、前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号および第1,第2ないし第Lの受信信号強度を入力し、第1,第2ないし第Lの受信信号強度の大きさを比較し、k(k=1,2,…,L)番目に大きい信号強度を有する受信信号から生成された1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を、k番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号として出力する強度順出力手段と、前記強度順出力手段から出力される1,2,…,L番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を用いて、M(Mは送信差動位相の信号点位相の個数であって、2以上の整数)個の信号点位相を(N−1)個組み合わせてできるM N-1 個の状態間の状態遷移を表すトレリス線図上の各状態遷移に対応する枝メトリックを生成する第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算手段と、前記第2ないし第Lの枝メトリック計算手段から出力される各枝メトリックに、それぞれ0以下の整数であるJ(k)(k=1,…,L−1)によって定まる定数2 J(1) ,…,2 J(L-1) を乗算し、乗算結果を重み付けされた枝メトリックとして出力する第1ないし第(L−1)の乗算手段と、前記第1の枝メトリック計算手段から出力される枝メトリックと前記第1ないし第(L−1)の乗算手段から出力される重み付けされた枝メトリックのうち、同一の状態遷移に対応するもの同士を加算し、加算結果を前記トレリス線図上の各状態遷移に対応する合成枝メトリックとして出力する合成手段とを有し、前記合成枝メトリックを用いて、ビタビアルゴリズムに基づき前記送信差動位相系列の推定を行うものである。
【0039】
また、この発明に係るダイバーシチ受信機は、第1,第2ないし第L(Lは2以上の整数)の受信信号から、それぞれの受信信号の現在の位相と1,2,…,N(Nは2以上の整数)シンボル周期前の位相との差である1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を生成する多重遅延検波手段と、前記第1、第2ないし第Lの受信信号のそれぞれに対応する受信信号強度を生成する信号強度検出手段と、前記多重遅延検波手段から出力される第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号に基づいて生成される各枝メトリックに前記信号強度検出手段から出力される第1,第2ないし第Lの受信信号強度に比例した重み付けを行い、該重み付けの行われた各枝メトリックを合成した合成枝メトリックを用いて送信差動位相系列の推定を行い、該送信差動位相系列の推定値に対応した復調データ系列を出力する系列推定手段とを備えたダイバーシチ受信機であって、前記系列推定手段が、前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号および第1,第2ないし第Lの受信信号強度を入力し、第1,第2ないし第Lの受信信号強度の大きさを比較し、K(Kは1以上L未満の整数)番目に大きい信号強度までを選択して1,2…,K番目に大きい信号強度として出力するとともに、k(k=1,2,…,K)番目に大きい信号強度を有する受信信号から生成された1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を、k番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号として出力する強度順選択手段と、前記強度順選択手段から出力される1,2,…,K番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を用いて、M(Mは送信差動位相の信号点位相の個数であって、2以上の整数)個の信号点位相を(N−1)個組み合わせてできるM N-1 個の状態間の状態遷移を表すトレリス線図上の各状態遷移に対応する枝メトリックを生成する第1,第2ないし第Kの枝メトリック計算手段と、前記第1,第2ないし第Kの枝メトリック計算手段から出力される各枝メトリックと前記1,2…,K番目に大きい信号強度との乗算を行い、乗算結果を重み付けされた枝メトリックとして出力する第1,第2ないし第Kの乗算手段と、前記第1,第2ないし第Kの乗算手段から出力される重み付けされた枝メトリックのうち、同一の状態遷移に対応するもの同士を加算し、加算結果を前記トレリス線図上の各状態遷移に対応する合成枝メトリックとして出力する合成手段とを有し、前記合成枝メトリックを用いて、ビタビアルゴリズムに基づき前記送信差動位相系列の推定を行うものである。
【0040】
また、この発明に係るダイバーシチ受信機は、第1,第2ないし第L(Lは2以上の整数)の受信信号から、それぞれの受信信号の現在の位相と1,2,…,N(Nは2以上の整数)シンボル周期前の位相との差である1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を生成する多重遅延検波手段と、前記第1、第2ないし第Lの受信信号のそれぞれに対応する受信信号強度を生成する信号強度検出手段と、前記多重遅延検波手段から出力される第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号に基づいて生成される各枝メトリックに前記信号強度検出手段から出力される第1,第2ないし第Lの受信信号強度に比例した重み付けを行い、該重み付けの行われた各枝メトリックを合成した合成枝メトリックを用いて送信差動位相系列の推定を行い、該送信差動位相系列の推定値に対応した復調データ系列を出力する系列推定手段とを備えたダイバーシチ受信機であって、前記系列推定手段が、前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号および第1,第2ないし第Lの受信信号強度を入力し、第1,第2ないし第Lの受信信号強度の大きさを比較し、K(Kは1以上L未満の整数)番目に大きい信号強度までを選択して1,2…,K番目に大きい信号強度として出力するとともに、k(k=1,2,…,K)番目に大きい信号強度を有する受信信号から生成された1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を、k番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号として出力する強度順選択手段と、前記強度順選択手段から出力される1,2,…,K番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を用いて、M(Mは送信差動位相の信号点位相の個数であって、2以上の整数)個の信号点位相を(N−1)個組み合わせてできるM N-1 個の状態間の状態遷移を表すトレリス線図上の各状態遷移に対応する枝メトリックを生成する第1,第2ないし第Kの枝メトリック計算手段と、前記1,2,…,K番目に大きい信号強度から第1ないし第(K−1)の重み付け係数を生成する重み付け係数生成手段と、前記第2ないし第Kの枝メトリック計算手段から出力される各枝メトリックと前記重み付け係数生成手段から出力される前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数との乗算を行い、乗算結果を重み付けされた枝メトリックとして出力する第1ないし第(K−1)の乗算手段と、前記第1の枝メトリック計算手段から出力される枝メトリックと前記第1ないし第(K−1)の乗算手段から出力される重み付けされた枝メトリックのうち、同一の状態遷移に対応するもの同士を加算し、加算結果を前記トレリス線図上の各状態遷移に対応する合成枝メトリックとして出力する合成手段とを有し、前記合成枝メトリックを用いて、ビタビアルゴリズムに基づき前記送信差動位相系列の推定を行うものである。
【0041】
また、前記重み付け係数生成手段は、前記2,…,K番目に大きい信号強度を前記1番目に大きい信号強度で除算し、除算結果を前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数として出力する第1ないし第(K−1)の除算手段とを備えたものである。
【0042】
また、前記重み付け係数生成手段は、前記2,…,K番目に大きい信号強度を前記1番目に大きい信号強度で除算し、除算結果を第1ないし第(K−1)の正規化信号強度として出力する第1ないし第(K−1)の除算手段と、前記第1ないし第(K−1)の除算手段から出力される前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度を入力し、前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度が所定のしきい値以上である場合には前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数として前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度を出力し、前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度が前記所定のしきい値未満である場合には前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数として零を出力する第1ないし第(K−1)の切捨て処理手段とを備えたものである。
【0043】
また、前記重み付け係数生成手段は、前記2,…,K番目に大きい信号強度を前記1番目に大きい信号強度で除算し、除算結果を前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度として出力する第1ないし第(K−1)の除算手段と、前記第1ないし第(K−1)の除算手段から出力される前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度を入力し、前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数として前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度の近傍の2の整数乗の数値を出力する第1ないし第(K−1)の対数量子化手段とを備えたものである
【0044】
また、この発明に係るダイバーシチ受信機は、第1,第2ないし第L(Lは2以上の整数)の受信信号から、それぞれの受信信号の現在の位相と1,2,…,N(Nは2以上の整数)シンボル周期前の位相との差である1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を生成する多重遅延検波手段と、前記第1、第2ないし第Lの受信信号のそれぞれに対応する受信信号強度を生成する信号強度検出手段と、前記多重遅延検波手段から出力される第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号に基づいて生成される各枝メトリックに前記信号強度検出手段から出力される第1,第2ないし第Lの受信信号強度に比例した重み付けを行い、該重み付けの行われた各枝メトリックを合成した合成枝メトリックを用いて送信差動位相系列の推定を行い、該送信差動位相系列の推定値に対応した復調データ系列を出力する系列推定手段とを備えたダイバーシチ受信機であって、前記系列推定手段が、前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号および第1,第2ないし第Lの受信信号強度を入力し、第1,第2ないし第Lの受信信号強度の大きさを比較し、1,2…,K(Kは1以上L未満の整数)番目に大きい信号強度を有する受信信号から生成された1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を、それぞれ1,2…,K番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号として選択して出力する強度順選択手段と、前記強度順選択手段から出力される1,2,…,K番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を用いて、M(Mは送信差動位相の信号点位相の個数であって、2以上の整数)個の信号点位相を(N−1)個組み合わせてできるM N-1 個の状態間の状態遷移を表すトレリス線図上の各状態遷移に対応する枝メトリックを生成する第1,第2ないし第Kの枝メトリック計算手段と、前記第2ないし第Kの枝メトリック計算手段から出力される各枝メトリックに、それぞれ0以下の整数であるJ(k)(k=1,…,K−1)によって定まる定数2 J(1) ,…,2 J(K-1) を乗算し、乗算結果を重み付けされた枝メトリックとして出力する第1ないし第(K−1)の乗算手段と、前記第1の枝メトリック計算手段から出力される枝メトリックと前記第1ないし第(K−1)の乗算手段から出力される重み付けされた枝メトリックのうち、同一の状態遷移に対応するもの同士を加算し、加算結果を前記トレリス線図上の各状態遷移に対応する合成枝メトリックとして出力する合成手段とを有し、前記合成枝メトリックを用いて、ビタビアルゴリズムに基づき前記送信差動位相系列の推定を行うものである。
【0045】
また、前記信号強度検出手段は、各受信信号の振幅をu(uは0以上の実数)乗した値を、それぞれの受信信号強度として生成するものである。
【0050】
次にこれらの発明について作用を説明する。
【0051】
この発明に係るダイバーシチ受信機では、多重遅延検波手段において、受信した複数の前記受信信号に対応して設けられ、当該受信信号の現在の位相と1シンボル周期前の位相との差である1シンボル遅延検波信号と当該受信信号の現在の位相と所定シンボル周期前の位相との差である所定シンボル遅延検波信号とを多重化した多重遅延検波信号を生成し、信号強度検出手段において、前記入力された複数の受信信号に対応して設けられ、当該受信信号の信号強度を検出し、当該信号強度に対応した信号強度信号を生成し、系列推定手段において、前記複数の受信信号の各々に対して生成された前記多重遅延検波信号に基づく各枝メトリックに前記信号強度信号に比例した重み付けを行い、該重み付けの行われた各枝メトリックを合成した合成枝メトリックを用いて送信された差動位相系列を推定し、前記データ系列を復調する。
【0052】
また、前記系列推定手段における重み付け係数生成手段において、前記複数の受信信号の各々において前記信号強度信号に基づき、2の整数乗の数値からなる重み付け係数を算出し、重み付け手段において、前記重み付け係数生成手段により算出した前記重み付け係数に基づいて前記枝メトリックに対して重み付けを行う。
【0053】
この発明のダイバーシチ受信機は、多重遅延検波手段および信号強度検出手段により、第1,第2ないし第L(Lは2以上の整数)の受信信号から、それぞれの受信信号の現在の位相と1,2,…,N(Nは2以上の整数)シンボル周期前の位相との差である1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を生成する。また信号強度検出手段は、前記第1、第2ないし第Lの受信信号のそれぞれに対応する受信信号強度を生成する。系列推定手段は、前記多重遅延検波手段から出力される第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号に基づく各枝メトリックに前記信号強度検出手段から出力される第1,第2ないし第Lの受信信号強度に比例した重み付けを行い、該重み付けの行われた各枝メトリックを合成した合成枝メトリックを用いて送信差動位相系列の推定を行い、該送信差動位相系列の推定値に対応した復調データ系列を出力する。
【0054】
すなわち、n(n=1,2,…,N)シンボル遅延検波信号は送信差動位相系列のn個の要素からなる部分列に関する情報を含んでいるので、この性質を利用して前記系列推定手段は送信差動位相系列の推定を行う。
【0055】
すなわち、送信差動位相系列の(N−1)個の連続する要素を組み合わせた状態を考えると、各要素のとりうる値はM個の信号点位相のいずれかであるから、この状態はM個の信号点位相の(N−1)個の組み合わせによりできるMN−1 個の状態からなる有限集合のいずれかの元に必ず一致する。従って、これらMN−1 個の状態間の状態遷移を表すトレリス線図を定義できるので、このトレリス線図に基づき、前記系列推定手段はビタビアルゴリズムによって送信差動位相系列の推定を行う。
【0056】
これらMN−1 個の状態間の特定の状態遷移に対応して、送信差動位相系列の連続するN個の要素からなる部分列が仮定できるので、この部分列によって定まる1,2,…,Nシンボル遅延検波信号のレプリカを仮定できる。従って、この状態遷移に対応する1,2,…,Nシンボル遅延検波信号のレプリカと、実際の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号とから、この状態遷移が生じたことの確からしさを示す、この状態遷移に対応するトレリス線図の枝の枝メトリック値を計算できる。この原理に基づいて、前記系列推定手段に備えられた合成枝メトリック生成手段は、前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号および第1,第2ないし第Lの受信信号強度を用いて前記トレリス線図上の各状態遷移に対応する合成枝メトリック値を生成する。
【0057】
すなわち、前記合成枝メトリック生成手段に備えられた第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算手段は、前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を用いて前記トレリス線図上の各状態遷移に対応する枝メトリック値を計算する。前述のように、1,2,…,Nシンボル遅延検波信号は、受信信号の現在の位相と1,2,…,Nシンボル周期前の位相との差であるが、一般にこれら(N+1)個の位相はそれぞれ独立な雑音の影響を受ける。よって、1,2,…,Nシンボル遅延検波信号に及ぼされる雑音の影響はそれぞれ相異なるものとなる。従って、1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を用いて上記の枝メトリック値を計算すると、その計算過程で雑音の平均化の効果が生じてSN比が向上する。すなわち、前記第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算手段から出力される前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号に対する枝メトリック値は、SN比の向上したものとなる。
【0058】
前記合成枝メトリック生成手段に備えられた第1,第2ないし第Lの乗算手段は、前記第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算手段から出力される前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号に対する枝メトリック値と前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度との乗算を行い、乗算結果を重み付けされた枝メトリック値として出力する。更に、合成手段は、前記第1,第2ないし第Lの乗算手段から出力される重み付けされた枝メトリック値のうち、同一の状態遷移に対応するもの同士を加算し、加算結果を合成枝メトリック値として出力する。従って、前記合成枝メトリック生成手段の出力である前記合成枝メトリック値は、前記第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算手段から出力される前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号に対する枝メトリック値を、それぞれ前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度によって重み付け合成したものとなる。
【0059】
前記系列推定手段に備えられたACS手段は、前記合成枝メトリック生成手段で生成された前記合成枝メトリック値を用いてビタビアルゴリズムに基づくACS演算を行う。また、パスメモリ手段は、前記ACS手段から出力される、ACS演算の結果であるパス選択信号を記憶する。
【0060】
このようにして、前記系列推定手段は、ビタビアルゴリズムに基づき前記送信差動位相系列の推定を行うが、前述のように、前記合成枝メトリック生成手段において生成される、受信信号強度に応じた重み付け合成を行った合成枝メトリックを用いるので、ビタビアルゴリズムによる系列推定の過程でダイバーシチ効果が得られる。また、前述したように、前記第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算手段から出力される前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号に対する枝メトリック値は、その計算過程においてSN比が向上するため、これらの枝メトリック値を重み付け合成したものである前記合成枝メトリック値を用いて前記系列推定手段により推定された送信差動位相系列の推定値に対応した前記復調データ系列のビット誤り率特性は、1シンボル遅延検波信号のみを用いる従来のダイバーシチ受信機のビット誤り率特性より良好なものとなる。
【0061】
また、前記合成枝メトリック生成手段に備えられた重み付け係数生成手段は、前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度の最大値で各受信信号強度を除算する正規化処理を行った結果を重み付け係数として出力する。すなわち、前記重み付け係数生成手段に備えられた最大値検出手段は、前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度の中で最大のものを検出し、これを最大信号強度として出力する。また、第1,第2ないし第Lの除算手段は前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度を前記最大値検出手段から出力される前記最大信号強度で除算し、除算結果を前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数として出力する。従って、前記重み付け係数生成手段の出力である前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数の比は、前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度の比と等しくなる。また、前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数の値域は1以下に限定される。
【0062】
前記合成枝メトリック生成手段は、前記第1,第2ないし第Lの乗算手段と前記合成手段とにより、前記重み付け係数生成手段により生成された前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数による前記第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算手段から出力される前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号に対する枝メトリック値の重み付け合成を行う。
【0063】
前述のように、第1,第2ないし第Lの重み付け係数の値域は1以下に限定されているので、前記合成枝メトリック生成手段をディジタル回路で構成した場合に、過大な受信信号が入力されたとしても、前記第1,第2ないし第Lの乗算手段や前記合成手段での桁あふれが発生せず、正常な合成枝メトリックが得られるため、ビット誤り率特性の劣化が防止できる。
【0064】
また、前記合成枝メトリック生成手段に備えられた前記重み付け係数生成手段は、前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度の最大値で各受信信号強度を除算する正規化処理を行った結果が所定のしきい値未満である場合には重み付け係数を零とする切捨て処理を行う。すなわち、前記第1,第2ないし第Lの除算手段は前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度を前記最大値検出手段から出力される前記最大信号強度で除算し、除算結果を前記第1,第2ないし第Lの正規化信号強度として出力する。また、第1,第2ないし第Lの切捨て処理手段は、前記第1,第2ないし第Lの正規化信号強度が所定のしきい値以上である場合には前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数として前記第1,第2ないし第Lの正規化信号強度を出力し、前記第1,第2ないし第Lの正規化信号強度が前記所定のしきい値未満である場合には前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数として零を出力する。
【0065】
前記合成枝メトリック生成手段は、前記第1,第2ないし第Lの乗算手段と前記合成手段とにより、前記重み付け係数生成手段により生成された前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数による前記第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算手段から出力される前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号に対する枝メトリック値の重み付け合成を行う。
【0066】
このように、切捨て処理を行った重み付け係数を用いて合成枝メトリックを生成することにより、 前記第1,第2ないし第Lの受信信号の中に雑音だけが存在し、有意な信号が存在しない場合におけるビット誤り率特性の劣化を防ぐことができる。すなわち、前記所定のしきい値を雑音の強度より大きく設定することにより、雑音だけが存在し、有意な信号が存在しない受信信号に対する枝メトリックの重み付け係数の値は零となるため、合成枝メトリックを生成する際に雑音だけの項は除去される。従って、このような場合においてもSN比の低下が生じないので、ビット誤り率特性の劣化が防止される。
【0067】
また、前記合成枝メトリック生成手段に備えられた前記重み付け係数生成手段は、前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数として前記第1,第2ないし第Lの正規化信号強度の近傍の2の整数乗の数値を出力する対数量子化処理を行う。すなわち、前記重み付け係数生成手段に備えられた第1,第2ないし第Lの対数量子化手段は、前記第1,第2ないし第Lの除算手段から出力される前記第1,第2ないし第Lの正規化信号強度を入力し、前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数として前記第1,第2ないし第Lの正規化信号強度の近傍の2の整数乗の数値を出力する。
【0068】
このように、前記重み付け係数生成手段において対数量子化処理を施された重み付け係数を用いることにより、前記合成枝メトリック生成手段をディジタル回路で構成した場合に、前記合成枝メトリック生成手段に備えられた前記第1,第2ないし第Lの乗算手段の回路規模を削減でき、消費電力も低減できる。すなわち、ディジタル信号処理においては、2の整数乗の乗算は単純なビットシフト演算により実現されるため、対数量子化処理によって前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数の値を2の整数乗とすることにより、前記合成枝メトリック生成手段に備えられた前記第1,第2ないし第Lの乗算手段を単純なビットシフト回路により実現できる。このため、対数量子化処理を行わず、従って一般的な乗算手段を必要とする場合より回路規模が削減され、消費電力も低減する。
【0069】
また、前記合成枝メトリック生成手段は、各受信信号から得られた多重遅延検波信号に対する枝メトリックを、各受信信号強度の大小順によって定まる1以下の値をとる2の整数乗の一定値を重み付け係数として重み付け合成したものを合成枝メトリックとして出力する。すなわち、前記合成枝メトリック生成手段に備えられた強度順出力手段は、前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号および第1,第2ないし第Lの受信信号強度を入力し、第1,第2ないし第Lの受信信号強度の大きさを比較し、k(k=1,2,…,L)番目に大きい信号強度を有する受信信号から生成された1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を、k番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号として出力する。また、第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算手段は、前記強度順出力手段から出力される1,2,…,L番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を用いて前記トレリス線図上の各状態遷移に対応する枝メトリック値を生成する。
【0070】
前記合成枝メトリック生成手段に備えられた第1ないし第(L−1)の乗算手段は、前記第2ないし第Lの枝メトリック計算手段から出力される各枝メトリック値に、それぞれ0以下の整数であるJ(k)(k=1,…,L−1)によって定まる定数2J(1),…,2J(L−1)を重み付け係数として乗算し、乗算結果を重み付けされた枝メトリック値として出力する。前述のように、J(1),…,J (L−1)は、それぞれ0以下の整数であるので、重み付け係数2J(1),…,2J(L−1)の値域はそれぞれ1以下に限定される。また、合成手段は、前記第1の枝メトリック計算手段から出力される枝メトリック値と前記第1ないし第(L−1)の乗算手段から出力される重み付けされた枝メトリック値のうち、同一の状態遷移に対応するもの同士を加算し、加算結果を前記合成枝メトリック生成手段の出力である合成枝メトリックとして出力する。従って、前記第1の枝メトリック計算手段から出力される枝メトリック値に、最大の重み付け係数である“1”を乗算することと等価な信号処理が行われる。
【0071】
前記合成枝メトリック生成手段は、このようにして合成枝メトリックを生成して出力するので、重み付け係数の値が、各受信信号強度の値そのものではなく、その大小順によって定まる一定値となるため、過大な受信信号が入力された場合でも桁あふれによるビット誤り率特性の劣化を生じない。加えて、前記合成枝メトリック生成手段をディジタル回路で構成した場合に、前記合成枝メトリック生成手段に備えられた前記第1ないし第(L−1)の乗算手段の回路規模を削減でき、消費電力も低減できる。すなわち、ディジタル信号処理においては、2の整数乗の乗算は単純なビットシフト演算により実現されため、前記第1ないし第(L−1)の乗算手段はシフトするビット数を固定したビットシフト回路により実現できるので、回路規模が削減され、従って消費電力も低減する。
【0072】
また、前記合成枝メトリック生成手段は、L個の受信信号のうち、信号強度の大きい上位K(Kは1以上L未満の整数)個の受信信号から得られた多重遅延検波信号に対する枝メトリックを重み付け合成したものを合成枝メトリックとして出力する。すなわち、前記合成枝メトリック生成手段に備えられた強度順選択手段は、前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号および第1,第2ないし第Lの受信信号強度を入力し、第1,第2ないし第Lの受信信号強度の大きさを比較し、K(Kは1以上L未満の整数)番目に大きい信号強度までを選択して1,2…,K番目に大きい信号強度として出力するとともに、k(k=1,2,…,K)番目に大きい信号強度を有する受信信号から生成された1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を、k番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号として出力する。また、第1,第2ないし第Kの枝メトリック計算手段は、前記強度順選択手段から出力される1,2,…,K番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を用いて前記トレリス線図上の各状態遷移に対応する枝メトリック値を生成する。更に、第1,第2ないし第Kの乗算手段は、前記第1,第2ないし第Kの枝メトリック計算手段から出力される各枝メトリック値と前記1,2…,K番目に大きい信号強度との乗算を行い、乗算結果を重み付けされた枝メトリック値として出力する。最後に、合成手段は、前記第1,第2ないし第Kの乗算手段から出力される重み付けされた枝メトリック値のうち、同一の状態遷移に対応するもの同士を加算し、加算結果を合成枝メトリックとして出力する。
【0073】
このようにして、前記合成枝メトリック生成手段では、L個の受信信号のうち、信号強度の大きい上位K個の受信信号から得られた多重遅延検波信号に対する枝メトリックを重み付け合成したものを合成枝メトリックとして出力するため、枝メトリック計算手段や乗算手段の数をL個からK個に減らすことができるので、回路規模が削減され、従って、消費電力も低減される。
【0074】
また、前記合成枝メトリック生成手段に備えられた重み付け係数生成手段は、前記1,2…,K番目に大きい信号強度の最大値である前記1番目に大きい信号強度で前記2…,K番目に大きい信号強度を除算する正規化処理を行った結果を重み付け係数として出力する。すなわち、前記重み付け係数生成手段に備えられた第1ないし第(K−1)の除算手段は、前記2,…,K番目に大きい信号強度を前記1番目に大きい信号強度で除算し、除算結果を前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数として出力する。従って、前記重み付け係数生成手段の出力である前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数の比は、前記2,…,K番目に大きい信号強度の比と等しくなる。また、前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数の値域は1以下に限定される。
【0075】
前記合成枝メトリック生成手段に備えられた第1ないし第(K−1)の乗算手段は、前記第2ないし第Kの枝メトリック計算手段から出力される各枝メトリック値と前記重み付け係数生成手段から出力される前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数との乗算を行い、乗算結果を重み付けされた枝メトリック値として出力する。また、前記合成手段は、前記第1の枝メトリック計算手段から出力される枝メトリック値と前記第1ないし第(K−1)の乗算手段から出力される重み付けされた枝メトリック値のうち、同一の状態遷移に対応するもの同士を加算し、加算結果を合成枝メトリックとして出力する。従って、前記第1の枝メトリック計算手段から出力される枝メトリック値に、最大の重み付け係数である“1”を乗算することと等価な信号処理が行われる。
【0076】
前述のように、前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数の値域は1以下に限定されているので、前記合成枝メトリック生成手段をディジタル回路で構成した場合に、過大な受信信号が入力されたとしても、前記第1ないし第(K−1)の乗算手段や前記合成手段での桁あふれが発生せず、正常な合成枝メトリックが得られるため、ビット誤り率特性の劣化が防止できる。
【0077】
また、前記合成枝メトリック生成手段に備えられた前記重み付け係数生成手段は、前記1番目に大きい信号強度で前記2…,K番目に大きい信号強度を除算する正規化処理を行った結果が所定のしきい値未満である場合には重み付け係数を零とする切捨て処理を行う。すなわち、前記第1ないし第(K−1)の除算手段は前記2,…,K番目に大きい信号強度を前記1番目に大きい信号強度で除算し、除算結果を第1ないし第(K−1)の正規化信号強度として出力する。また、第1ないし第(K−1)の切捨て処理手段は、前記第1ないし第(K−1)の除算手段から出力される前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度を入力し、前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度が所定のしきい値以上である場合には前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数として前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度を出力し、前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度が前記所定のしきい値未満である場合には前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数として零を出力する。
【0078】
このように、切捨て処理を行った重み付け係数を用いて合成枝メトリックを生成することにより、 受信信号の中に雑音だけが存在し、有意な信号が存在しない場合におけるビット誤り率特性の劣化を防ぐことができる。すなわち、前記所定のしきい値を雑音の強度より大きく設定することにより、雑音だけが存在し、有意な信号が存在しない受信信号に対する枝メトリックの重み付け係数の値は零となるため、合成枝メトリックを生成する際に雑音だけの項は除去される。従って、このような場合においてもSN比の低下が生じないので、ビット誤り率特性の劣化が防止される。
【0079】
また、前記重み付け係数生成手段は、前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数として前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度の近傍の2の整数乗の数値を出力する対数量子化処理を行う。 すなわち、前記重み付け係数生成手段に備えられた第1ないし第(K−1)の対数量子化手段は、前記第1ないし第(K−1)の除算手段から出力される前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度を入力し、前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数として前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度の近傍の2の整数乗の数値を出力する。
【0080】
このように、前記重み付け係数生成手段において対数量子化処理を施された重み付け係数を用いることにより、前記合成枝メトリック生成手段をディジタル回路で構成した場合に、前記合成枝メトリック生成手段に備えられた前記第1ないし第(K−1)の乗算手段の回路規模を削減でき、消費電力も低減できる。すなわち、ディジタル信号処理においては、2の整数乗の乗算は単純なビットシフト演算により実現されるため、対数量子化処理によって前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数の値を2の整数乗とすることにより、前記合成枝メトリック生成手段に備えられた前記第1ないし第(K−1)の乗算手段を単純なビットシフト回路により実現できる。このため、対数量子化処理を行わず、従って一般的な乗算手段を必要とする場合より回路規模が削減され、消費電力も低減する。
【0081】
また、前記合成枝メトリック生成手段は、前記1,2,…,K番目に大きい強度の多重遅延検波信号に対する枝メトリックを、各受信信号強度の大小順によって定まる1以下の値をとる2の整数乗の一定値を重み付け係数として重み付け合成したものを合成枝メトリックとして出力する。 すなわち、前記合成枝メトリック生成手段に備えられた強度順選択手段は、前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号および第1,第2ないし第Lの受信信号強度を入力し、第1,第2ないし第Lの受信信号強度の大きさを比較し、1,2…,K(Kは1以上L未満の整数)番目に大きい信号強度を有する受信信号から生成された1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を、それぞれ1,2…,K番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号として選択して出力する。また、第1,第2ないし第Kの枝メトリック計算手段は、前記強度順選択手段から出力される1,2,…,K番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を用いて前記トレリス線図上の各状態遷移に対応する枝メトリック値を生成する。
【0082】
前記合成枝メトリック生成手段に備えられた第1ないし第(K−1)の乗算手段は、前記第2ないし第Kの枝メトリック計算手段から出力される各枝メトリック値に、それぞれ0以下の整数であるJ(k)(k=1,…,K−1)によって定まる定数2J(1),…,2J(K−1)を重み付け係数として乗算し、乗算結果を重み付けされた枝メトリック値として出力する。前述のように、J(1),…,J(K−1)は、それぞれ0以下の整数であるので、重み付け係数2J(1),…,2J(K−1)の値域はそれぞれ1以下に限定される。また、合成手段は、前記第1の枝メトリック計算手段から出力される枝メトリック値と前記第1ないし第(K−1)の乗算手段から出力される重み付けされた枝メトリック値のうち、同一の状態遷移に対応するもの同士を加算し、加算結果を前記合成枝メトリック生成手段の出力である合成枝メトリックとして出力する。従って、前記第1の枝メトリック計算手段から出力される枝メトリック値に、最大の重み付け係数である“1”を乗算することと等価な信号処理が行われる。
【0083】
前記合成枝メトリック生成手段は、このようにして合成枝メトリックを生成して出力するので、重み付け係数の値が、各受信信号強度の値そのものではなく、その大小順によって定まる一定値となるため、過大な受信信号が入力された場合でも桁あふれによるビット誤り率特性の劣化を生じない。加えて、前記合成枝メトリック生成手段をディジタル回路で構成した場合に、前記合成枝メトリック生成手段に備えられた前記第1ないし第(K−1)の乗算手段の回路規模を削減でき、消費電力も低減できる。すなわち、ディジタル信号処理においては、2の整数乗の乗算は単純なビットシフト演算により実現されため、前記第1ないし第(K−1)の乗算手段はシフトするビット数を固定したビットシフト回路により実現できるので、回路規模が削減され、従って消費電力も低減する。
【0084】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明を示す一実施の形態の構成を示す構成図であり、図において、100は局部発振器、110A,110B,…,110Lは第1,第2ないし第L(Lは2以上の整数)の多重遅延検波および信号強度検出回路、120はビタビアルゴリズムにより送信差動位相系列の推定を行って復調データを生成する系列推定器、130は合成枝メトリック生成回路、140はビタビアルゴリズムに基づくACS演算を行うACS回路、150はACS演算の結果であるパス選択信号を記憶するパスメモリ、160はACS演算で更新されるパスメトリックの最小値を検出して該最小パスメトリックを有する状態の値を出力する最尤状態検出回路、170は最尤状態検出回路160から出力される最小のパスメトリック値を有する状態に対応したパスメモリ170の記憶内容から復調データの判定を行う判定回路である。なお、従来例と同一又は相当部分には同一符号を付してある。
【0085】
次に、動作について説明する。図1において、第1,第2ないし第L(Lは2以上の整数)の受信信号は、それぞれ第1,第2ないし第Lの多重遅延検波および信号強度検出回路110A,110B,…,110Lに入力される。一方、局部発振器100からは局部搬送波が出力され、第1,第2ないし第Lの多重遅延検波および信号強度検出回路110A,110B,…,110Lに入力される。
【0086】
ここで、第1,第2ないし第Lの受信信号は、差動M相(Mは2以上の整数)PSK変調あるいは差動π/MシフトM相PSK変調された同一の送信信号をL個のアンテナ(図示せず)で受信したものである。送信信号の搬送波周波数をf,そのシンボル周期をTとすると、時刻t=iT(iは0以上の整数)における第k(k =1,2,…,L)の受信信号の値s(iT)は次式で与えられる。
【0087】
【数9】
Figure 0003576676
【0088】
時刻t=iTにおける第kの受信信号の位相の値ψk,i は、雑音やフェージングなどの影響がなければ、送信信号の初期位相θと送信データによって定まる送信差動位相Δθとにより、次式で表される(ただし、加算は2πを法とする)。
【0089】
【数10】
Figure 0003576676
【0090】
また、発振器100から出力される局部搬送波の周波数は送信信号の搬送波周波数fと同一であり、また、その初期位相はφであるものとする。従って、時刻t=iTにおける局部搬送波の値をc(iT)とすると、次式の関係が成立する。
【0091】
【数11】
Figure 0003576676
【0092】
第1,第2ないし第Lの多重遅延検波および信号強度検出回路110A,110B,…,110Lは同一構成であり、第1,第2ないし第Lの受信信号に対してそれぞれ同一の信号処理を行う。従って、以下では第1の多重遅延検波および信号強度検出回路110Aの構成と動作についてのみ説明を行う。
【0093】
図2は、第1の多重遅延検波および信号強度検出回路110Aの構成を示す構成図であり、図において、210は位相比較器、220は遅延時間が受信信号の1シンボル周期Tに等しい遅延素子、230は2πを法とする減算器、240A,240B,…,240Nは合計(N−1)個(Nは2以上の整数)の遅延時間が受信信号の1シンボル周期Tに等しい遅延素子、250A,250B,…,250Nは合計(N−1)個(Nは2以上の整数)の2πを法とする加算器、260は強度検出回路である。
【0094】
図2において、第1の受信信号と局部発振器100から出力される局部搬送波はそれぞれ位相比較器210に入力される。位相比較器210は局部搬送波を基準とした第1の受信信号の位相の値を受信位相信号として出力する。従って、時刻t=iTにおける受信位相信号の値はψ1,i −φとなる(ただし、減算は2πを法とする)。この受信位相信号は遅延時間が受信信号の1シンボル周期Tに等しい遅延素子220と2πを法とする減算器230に入力され、遅延素子220からは1シンボル周期遅延された位相信号が出力される。従って、時刻t=iTにおける1シンボル周期遅延された位相信号の値はψ1,i−1 −φとなる。この1シンボル周期遅延された位相信号は2πを法とする減算器230に入力される。減算器230は位相比較器210から出力される受信位相信号より遅延素子220から出力される1シンボル周期遅延された位相信号を2πを法として減算し、減算結果を1シンボル遅延検波信号として出力する。従って、時刻t=iTにおける1シンボル遅延検波信号の値をΔψ(1)1,iとすると、次式の関係が成立する(ただし、減算は2πを法とする)。
【0095】
【数12】
Figure 0003576676
【0096】
すなわち、1シンボル遅延検波信号Δψ(1)1,iは、第1の受信信号の1シンボル周期間の位相変化を表しており、雑音やフェージングなどの影響がない場合は、その値は送信差動位相Δθに等しい。前述のように、送信差動位相Δθの値は送信データによって定まるので、1シンボル遅延検波信号Δψ(1)1,iの値を用いて送信データの推定を行うことが可能である。
【0097】
2πを法とする減算器230から出力される1シンボル遅延検波信号Δψ(1)1,iは、遅延素子240Aに入力され、受信信号の1シンボル周期Tに等しい遅延が与えられる。遅延素子240Aの出力は2πを法とする加算器250Aに入力される。また、2πを法とする加算器250Aには、2πを法とする減算器230から出力される1シンボル遅延検波信号Δψ(1)1,iも入力される。すなわち、2πを法とする加算器250Aは、2πを法とする減算器230から出力される1シンボル遅延検波信号Δψ(1)1,iと遅延素子240Aの出力との2πを法とする加算を行う。従って、時刻t=iTにおける2πを法とする加算器250A の出力の値をΔψ(2)1,iとすると、次式が成立する(ただし、加減算は2πを法とする)。
【0098】
【数13】
Figure 0003576676
【0099】
すなわち、2πを法とする加算器250A の出力の値Δψ(2)1,iは、第1の受信信号の2シンボル周期間の位相変化を表す2シンボル遅延検波信号となる。
【0100】
一方、合計(N−1)個の遅延素子240A,240B,…,240Nは縦列接続されており、第n(n=2,…,N−1)番目の遅延素子は、第(n−1)番目の遅延素子の出力に受信信号の1シンボル周期Tに等しい遅延を与え、出力する。従って、時刻t=iTにおける第n(n=1,2,…,N−1)番目の遅延素子の出力の値はΔψ(1)1,i−nとなる。
【0101】
また、合計(N−1)個の2πを法とする加算器250A,250B,…,250Nも縦列接続されており、第n(n=2,…,N−1)番目の2πを法とする加算器には、第(n−1)番目の2πを法とする加算器の出力が入力される。さらに、合計(N−1)個の2πを法とする加算器250A,250B,…,250Nには、合計(N−1)個の遅延素子240A,240B,…,240Nの出力もそれぞれ入力される。すなわち、第n(n=2,…,N−1)番目の2πを法とする加算器においては、第(n−1)番目の2πを法とする加算器の出力と、第n番目の遅延素子の出力が、2πを法として加算され、出力される。従って、時刻t=iTにおける第n(n=2,…,N−1)番目の2πを法とする加算器の出力の値をΔψ(n+1)1,iとすると、次式が成立する(ただし、加減算は2πを法とする)。
【0102】
【数14】
Figure 0003576676
【0103】
この式は、Δψ(n)1,iに関する漸化式になっており、これを解いて次式を得る(ただし、加減算は2πを法とする)。
【0104】
【数15】
Figure 0003576676
【0105】
すなわち、第n(n=2,…,N−1)番目の2πを法とする加算器の出力の値Δψ(n+1)1,iは、第1の受信信号の(n+1)シンボル周期間の位相変化を表す(n+1)シンボル遅延検波信号となる。従って、合計(N−1)個の2πを法とする加算器250A,250B C…,250Nからは2,…,Nシンボル遅延検波信号が出力されることになる。これら合計(N−1)個の遅延検波信号Δψ(2)1,i,…,Δψ(N)1,iと、2πを法とする減算器230から出力される1シンボル遅延検波信号Δψ(1)1,iがまとめられ、第1の多重遅延検波信号Δψ1,i =(Δψ(1)1,i,Δψ(2)1,i,…,Δψ(N)1,i)が構成される。
【0106】
また、第1の受信信号は強度検出回路260にも入力される。強度検出回路260は、第1の受信信号の振幅の二乗値を第1の受信信号強度として出力する。すなわち、第1の受信信号強度は第1の受信信号の信号電力に比例するものであり、時刻t=iTにおける第1の受信信号強度の値をP1,i とすると、次式が成立する。
【0107】
【数16】
Figure 0003576676
【0108】
以上の信号処理により生成された第1の多重遅延検波信号Δψ1,i =(Δψ(1)1,i,Δψ(2)1,i,…,Δψ(N)1,i)および第1の受信信号強度P1,i が第1の多重遅延検波および信号強度検出回路110Aより出力される。以下、再び図1に基づき本実施の形態の説明を行う。
【0109】
第2ないし第Lの多重遅延検波および信号強度検出回路110B,…,110Lは、第1の多重遅延検波および信号強度検出回路110Aと同一の信号処理により、第2ないし第Lの受信信号と局部発振器100から出力される局部搬送波より、第2ないし第Lの多重遅延検波信号および受信信号強度を生成し、出力する。従って、時刻t=iTにおける第k(k =2,…,L)の多重遅延検波信号および受信信号強度の値をそれぞれΔψk,i =(Δψ(1)k,i,Δψ(2)k,i,…,Δψ(N)k,i)およびPk,i とすると、Δψ(n)k,i(n=1,2,…,N)およびPk,i について次式が成立する(ただし、減算は2πを法とする)。
【0110】
【数17】
Figure 0003576676
【0111】
第1,第2ないし第Lの多重遅延検波および信号強度検出回路110A,110B,…,110Lから出力される第1,第2ないし第Lの多重遅延検波信号および受信信号強度は、系列推定器120に入力される。
【0112】
系列推定器120は、第1,第2ないし第Lの多重遅延検波および信号強度検出回路110A,110B,…,110Lから出力される第1,第2ないし第Lの多重遅延検波信号および受信信号強度を用いて、ビタビアルゴリズムに基づき送信差動位相系列{Δθ}の推定を行い、推定値に対応するデータを復調データとして出力する。以下、多重遅延検波信号を用いて送信差動位相系列{Δθ}の推定を行う方式の概略について述べる。
【0113】
いま、第1の多重遅延検波信号Δψ1,i =(Δψ(1)1,i,Δψ(2)1,i,…,Δψ(N)1,i)の構成要素であるn(n=1,2,…,N)シンボル遅延検波信号Δψ(n)1,iについて考えると、前述のようにΔψ(n)1,iは第1の受信信号の位相ψ1,i により、次式で与えられる(ただし、減算は2πを法とする)。
【0114】
【数18】
Figure 0003576676
【0115】
この第1の受信信号の位相の値ψ1,i は、雑音やフェージングなどの影響がなければ、前述のように、送信信号の初期位相θと送信データによって定まる送信差動位相Δθとにより、次式で表される(ただし、加算は2πを法とする)。
【0116】
【数19】
Figure 0003576676
【0117】
従って、雑音やフェージングなどの影響がない場合、 n(n=1,2,…,N)シンボル遅延検波信号Δψ(n)1,iについて、次式が成立する(ただし、加減算は2πを法とする)。
【0118】
【数20】
Figure 0003576676
【0119】
すなわち、この場合、 n(n=1,2,…,N)シンボル遅延検波信号Δψ(n)1,iは送信差動位相系列{Δθ}の連続するn個の要素を加算したものに等しい。換言すれば、 nシンボル遅延検波信号は送信差動位相系列{Δθ}のn個の要素からなる部分列に関する情報を含んでいる。この性質を利用して送信差動位相系列{Δθ}の推定を行うことができる。
【0120】
すなわち、送信差動位相系列{Δθ}の(N−1)個の連続する要素を組み合わせた状態(Δθi−(N−1),Δθi−(N−2),…,Δθi−1)を考えると、各要素Δθiのとりうる値はM個の信号点位相α,α,…,αM−1 のいずれかであるから、この状態はM個の信号点位相α,α,…,αM−1 の(N−1)個の組み合わせによりできるMN−1個の状態からなる有限集合のいずれかの元に必ず一致する。従って、これらMN−1 個の状態間の状態遷移を表すトレリス線図を定義でき、このトレリス線図に基づき、ビタビアルゴリズムによって送信差動位相系列{Δθ}の推定を行うことができる。
【0121】
図3は差動π/4シフト4相PSK変調(すなわち、M=4)でN=3の場合のトレリス線図における状態遷移を示す図である。この場合、4個の信号点位相α,α,α,α(α=mπ/2+π/4; m=0,1,2,3)の2(=N−1)個の組み合わせによる16個の状態が存在する。状態遷移は、状態(βi−2 ,βi−1 )から状態(βi−1 ,β)(βi−j ∈{α,α,α,α}; j=0,1,2)への間に存在するので、図3を分解すると、図4に示す4つの状態遷移の組み合わせが得られる。
【0122】
一般には、状態Bi−1 =(βi−(N−1),βi−(N−2),…,βi−1 )から状態Bi=(βi−(N−2),βi−(N−3),…,β)(βi−j ∈{α,α,…,αM−1 }; j=0,1,…,N−1)への状態遷移が存在する。従って、トレリス線図上の各状態は、それぞれM本の流入および流出する枝を有する。この状態Bi−1 =(βi−(N−1),βi−(N−2),…,βi−1 )から状態B=(βi−(N−2),βi−(N−3),…,β)への状態遷移は、送信差動位相系列{Δθ}の連続するN個の要素からなる部分列が、{βi−(N−1),βi−(N−2),…,β}であることを意味している。従って、この状態遷移に対して1,2,…,Nシンボル遅延検波信号のレプリカを仮定できる。すなわち、この状態遷移に対応するn(n=1,2,…,N)シンボル遅延検波信号のレプリカの値をΔθ(n) { Bi−1 , B }で表すと、次式が成立する(ただし、加算は2πを法とする)。
【0123】
【数21】
Figure 0003576676
【0124】
このため、 1,2,…,Nシンボル遅延検波信号Δψ(1)1,i,Δψ(2)1,i ,…,Δψ(N)1,i と 、1,2,…,Nシンボル遅延検波信号のレプリカΔθ(1) { Bi−1 , B },Δθ(2) { Bi−1 , B },…,Δθ(N) { Bi−1 , B}との差の絶対値の和は、状態Bi−1から状態Bへの状態遷移が生じたことの確からしさを示す。従って、この値を状態Bi−1から状態Bへの状態遷移に対応するトレリス線図の枝の枝メトリック値としてビタビアルゴリズムを実行することにより、送信差動位相系列{Δθ}の推定が可能となる。
【0125】
また、前述のように、1,2,…,Nシンボル遅延検波信号Δψ(1)1,i,Δψ(2)1,i ,…,Δψ(N)1,iは、第1の受信信号の現在の位相ψ1,i と1,2,…,Nシンボル周期前の位相ψ1,i−1 ,ψ1,i−2 ,…,ψ1,i−N との差であるが、一般にこれらの位相ψ1,i−1 ,ψ1,i−2 ,…,ψ1,i−Nはそれぞれ独立な雑音の影響を受ける。よって、1,2,…,Nシンボル遅延検波信号Δψ(1)1,i,Δψ(2)1,i ,…,Δψ(N)1,iiに及ぼされる雑音の影響はそれぞれ相異なるものとなる。従って、1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を用いて上記の枝メトリックを計算すると、枝メトリックの計算過程で雑音の平坦化の効果が生じてSN比が向上する。このため、この枝メトリックを用いてビタビアルゴリズムにより送信差動位相系列{Δθ}の推定を行うと、従来の1シンボル遅延検波信号だけを用いる場合より推定精度が向上するので、送信差動位相の推定値に基づく復調データのビット誤り率特性が改善される。
【0126】
なお、以上の説明では、第1の多重遅延検波信号Δψ1,i=(Δψ(1)1,i,ΔΔψ(2)1,i ,…,Δψ(N)1,i)を例にとって説明したが、第2ないし第Lの多重遅延検波信号Δψ2,i,…,ΔψL,iについても同様である。
【0127】
この発明においては、第1,第2ないし第Lの多重遅延検波信号を用いて第1,第2ないし第Lの枝メトリックを計算し、これらの枝メトリックに受信信号強度に応じた重み付けをして合成し、合成されたメトリックを用いてビタビアルゴリズムを実行して送信差動位相系列{Δθ}の推定を行い、推定値に対応する復調データを出力する。このように、受信信号強度に応じた重み付け合成を行った枝メトリックを用いることでダイバーシチ効果が得られる。また、多重遅延検波信号から生成した枝メトリックを用いて送信差動位相系列{Δθ}の推定を行うので、上記の理由により1シンボル遅延検波信号のみを用いる従来例装置よりビット誤り率特性が向上する。
【0128】
以下、再び図1を用いて本実施の形態の動作の説明を行う。図1において、系列推定器120に入力された第1,第2ないし第Lの多重遅延検波および信号強度検出回路110A,110B,…,110Lの出力である第1,第2ないし第Lの多重遅延検波信号および受信信号強度は、合成枝メトリック生成回路130に入力される。以下、図5を用いて合成枝メトリック生成回路130の構成と動作について説明する。
【0129】
図5は、合成枝メトリック生成回路130の一実施の形態を示す構成図であり、図において、310A,310B,…,310Lは第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算回路、320A,320B,…,320Lは第1,第2ないし第Lの乗算器、330は合成回路である。
【0130】
次に動作について説明する。合成枝メトリック生成回路130に入力された第1,第2ないし第Lの多重遅延検波信号は、それぞれ第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算回路310A,310B,…,310Lに入力される。第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算回路310A,310B,…,310Lは第1,第2ないし第Lの多重遅延検波信号に対してそれぞれ同一の信号処理を行う。従って、以下では第1の枝メトリック計算回路310Aの動作についてのみ説明を行う。
【0131】
第1の枝メトリック計算回路310Aは、第1の多重遅延検波信号Δψ1,i=(Δψ(1)1,i,Δψ(2)1,i ,…,Δψ(N)1,i)から上記のトレリス線図上の全ての状態遷移に対応する枝メトリック値を計算して出力する。前述のように、トレリス線図はMNー1 個の状態を備え、各状態はM本の流入および流出する枝を有するので、枝の総数はM本となる。従って、状態遷移の総数もM通りとなる。このとき、状態Bi−1 =(βi−(N−1),βi−(N−2),…,βi−1 )から状態B=(βi−(N−2) ,βi−(N−3) ,…,β)(βi−j ∈{α,α,…,αM−1 }; j=0,1,…,N−1)への状態遷移に対応する枝の枝メトリックは、前述のように、1,2,…,Nシンボル遅延検波信号Δψ(1)1,i,Δψ(2)1,i ,…,Δψ(N)1,i と 、1,2,…,Nシンボル遅延検波信号のレプリカΔθ(1) { Bi−1 , B },Δθ(2) { Bi−1 , B },…,Δθ(N) { Bi−1 , B }との差の絶対値の和で与えられる。ここで、n(n=1,2,…,N)シンボル遅延検波信号のレプリカの値Δθ(n) {Bi−1 , B}は、前述のように次式で与えられる(ただし、加算は2πを法とする)。
【0132】
【数22】
Figure 0003576676
【0133】
従って、状態Bi−1 から状態 B への状態遷移に対応する枝の枝メトリック値をλ1,i { Bi−1 , B }で表すと、次式が成立する(ただし、絶対値記号内の加減算は2πを法とし、加減算結果の値域は−π以上π未満とする)。
【0134】
【数23】
Figure 0003576676
【0135】
第1の枝メトリック計算回路310Aは、第1の多重遅延検波信号Δψ1,i=(Δψ(1)1,i,Δψ(2)1,i ,…,Δψ(N)1,i)から、この式に基づいてM通りの状態遷移に対応する枝メトリック値を全て計算し、これらをまとめて第1の枝メトリックとして出力する。
【0136】
第2ないし第Lの枝メトリック計算回路310B,…,310Lは、第1の枝メトリック計算回路310Aと同一の信号処理により、それぞれ第2ないし第Lの多重遅延検波信号Δψ2,i ,…,ΔψL,i よりM通りの状態遷移に対応する枝メトリック値を全て計算し、これらをまとめて第2ないし第Lの枝メトリックとして出力する。従って、第k(k=2,…,L)の枝メトリックの中で、状態Bi−1 から状態 B への状態遷移に対応する枝の枝メトリック値をλk,i { Bi−1 , B }で表すと、次式が成立する(ただし、絶対値記号内の加減算は2πを法とし、加減算結果の値域は−π以上π未満とする)。
【0137】
【数24】
Figure 0003576676
【0138】
なお、これらの枝メトリック値は、従来例装置における尤度信号と同様に、値が小さいほど、より確からしいことを示している。
【0139】
第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算回路310A,310B,…,310Lから出力される第1,第2ないし第Lの枝メトリックは、それぞれ第1,第2ないし第Lの乗算器320A,320B,…,320Lに入力される。また、第1,第2ないし第Lの多重遅延検波および信号強度検出回路110A,110B,…,110Lの出力である第1,第2ないし第Lの受信信号強度P1,i , P2,i ,…, PL,i も、それぞれ第1,第2ないし第Lの乗算器320A,320B,…,320Lに入力され、第1,第2ないし第Lの枝メトリックにそれぞれ乗算される。これにより、第1,第2ないし第Lの受信信号強度を重み付け係数とした、第1,第2ないし第Lの枝メトリックの重み付けが行われる。すなわち、乗算器320A,320B,…,320Lの出力は、それぞれ第1,第2ないし第Lの受信信号強度により重み付けされた第1,第2ないし第Lの枝メトリックとなる。この乗算器320A,320B,…,320Lの出力は、それぞれ合成回路330に入力される。
【0140】
合成回路330は、第1,第2ないし第Lの乗算器320A,320B,…,320Lの出力である、それぞれ第1,第2ないし第Lの受信信号強度により重み付けされた第1,第2ないし第Lの枝メトリックのうち、同一の状態遷移に対応するものの総和をとる。従って、この総和演算は状態遷移の総数であるM通り行われる。合成回路330は、このようにして得られたMN通りの総和結果をまとめ、合成枝メトリック生成回路130の出力である合成枝メトリックとして出力する。従って、合成枝メトリックの中で、 状態Bi−1=(βi−(N−1),βi−(N−2),…,βi−1 )から状態B=(βi−(N−2),βi−(N−3),…,β)への状態遷移に対応する枝のメトリック値をΛ{ Bi−1, B}で表すと、次式が成立する(ただし、絶対値記号内の加減算は2πを法とし、加減算結果の値域は−π以上π未満とする)。
【0141】
【数25】
Figure 0003576676
【0142】
なお、前述のように、各枝メトリック値λk,i { Bi−1, B}(k=1,2,…,L)は、値が小さいほどより確からしいことを示しているので、合成枝メトリック値Λ{ Bi−1, B}も値が小さいほどより確からしいことを示すことになる。
【0143】
このようにして、系列推定器120内の合成枝メトリック生成回路130は、第1,第2ないし第Lの多重遅延検波および信号強度検出回路110A,110B,…,110Lの出力である第1,第2ないし第Lの多重遅延検波信号および受信信号強度から、合成枝メトリックを生成して出力する。以下、再び図1を用いて本実施の形態の動作の説明を行う。
【0144】
図1において、系列推定器120は、合成枝メトリック生成回路130によって生成された合成枝メトリックを枝メトリックとして用いてビタビアルゴリズムを実行し、送信差動位相系列{Δθ}の推定を行い、推定値に対応する復調データを出力する。前述のように、合成枝メトリック生成回路130では、第1,第2ないし第Lの多重遅延検波信号を用いて第1,第2ないし第Lの枝メトリックを計算し、これらの枝メトリックに受信信号強度に応じた重み付けをして合成枝メトリックを生成している。このように、受信信号強度に応じた重み付け合成を行った合成枝メトリックを用いることでダイバーシチ効果が得られる。また、多重遅延検波信号から生成した枝メトリックを用いて送信差動位相系列の推定を行うので、前述したように枝メトリック生成の過程でSN比が向上し、1シンボル遅延検波信号のみを用いる従来例装置よりビット誤り率特性が改善される。
【0145】
このように、この発明の本質は、(1)第1,第2ないし第Lの多重遅延検波信号を用いて第1,第2ないし第Lの枝メトリックを計算し、これらの枝メトリックに受信信号強度に応じた重み付けをして合成枝メトリックを生成すること,(2)生成された合成枝メトリックを枝メトリックとして用いてビタビアルゴリズムを実行し、送信差動位相系列の推定を行い、推定値に対応する復調データを得ること,の2点に要約される。一方、この発明において適用されるビタビアルゴリズム自体は従来のビタビアルゴリズムであり、発明性は有しない。従って、以下で行う、系列推定器120内における合成枝メトリック生成回路130以降のビタビアルゴリズムを実行する部分についての動作の説明は概略的なものにとどめるものとする。
【0146】
図1の系列推定器120内において、合成枝メトリック生成回路130で生成された合成枝メトリックはACS回路140に入力される。ACS回路140は、入力された合成枝メトリックを用いてビタビアルゴリズムに基づくACS演算を行い、各状態に対応するMN−1本の生き残りパスの選択を行い、パスメトリックの更新を行う。次いで、ACS演算の結果である、各生き残りパスの接続状態を示すMN−1個のパス選択信号をパスメモリ150に出力するとともに、更新されたMN−1個のパスメトリックを最尤状態検出回路160に出力する。パスメモリ150は、ACS回路140から出力されたMN−1個のパス選択信号を順次入力し、各状態に対応する記憶内容の更新を行うとともに、最も古い記憶内容を判定回路170に出力する。最尤状態検出回路160は、 ACS回路140から出力されたMN−1個のパスメトリックを用いて最も確からしい状態の検出を行う。前述のように、合成枝メトリック値は、値が小さいほどより確からしいことを示しているので、パスメトリックも値が小さいほどより確からしいことを示している。従って、最尤状態検出回路160は、最小のパスメトリックを有する状態を検出し、これを最も確からしい状態として判定回路170に出力する。判定回路170は、パスメモリ150から出力されたMN−1個の最も古い記憶内容のうち、最尤状態検出回路160により検出された最も確からしい状態に至る生き残りパスに対応するものを送信差動位相の推定値とし、この推定値に対応するデータを復調データとして出力する。
【0147】
このように、本実施の形態においては、(1)第1,第2ないし第Lの多重遅延検波信号を用いて第1,第2ないし第Lの枝メトリックを計算し、これらの枝メトリックに受信信号強度に応じた重み付けをして合成枝メトリックを生成すること,(2)生成された合成枝メトリックを枝メトリックとして用いてビタビアルゴリズムを実行し、送信差動位相系列の推定を行い、推定値に対応する復調データを得ること,を行っている。受信信号強度に応じた重み付け合成を行った合成枝メトリックを用いることでダイバーシチ効果が得られれ、また、多重遅延検波信号から生成した枝メトリックを用いて送信差動位相系列の推定を行うことにより、前述したように枝メトリック生成の過程でSN比が向上し、1シンボル遅延検波信号のみを用いる従来例装置よりビット誤り率特性が改善される。以下、計算機シミュレーション結果により、ビット誤り率特性の改善効果を示す。
【0148】
図6は、計算機シミュレーションによる従来例および実施の形態1のダイバーシチ受信機のビット誤り率特性を示す特性図である。図6におけるシミュレーション条件は、変調方式が差動π/4シフト4相PSK変調(すなわち、M=4)で、ダイバーシチブランチ数L=8としている。また、通信路はレイリーフェージング通信路で、各ブランチ間のフェージング変動は相互に無相関に設定し、フェージングの変動の速さの目安となる最大ドップラー周波数fとシンボル周期Tの積fT=10−4としている。図6の横軸は、1ブランチあたりの受信信号の平均信号エネルギー対雑音電力比をデシベルで表示したものであり、縦軸はビット誤り率を示している。また、図6においては、従来例のシミュレーション値を“●”で、実施の形態1のシミュレーション値を“◆”で表示している。なお、実施の形態1における定数Nは、N=2としている。
【0149】
図6は、実施の形態1が従来例と同一のビット誤り率を従来例より低い平均信号エネルギー対雑音電力密度比で達成していることを示している。すなわち、図6から、実施の形態1は従来例よりビット誤り率特性が向上していることが明らかである。このように、本発明によれば、レイリーフェージング通信路において従来のダイバーシチ受信機より良好なビット誤り率特性が実現される。
【0150】
図7は、図6と同様に、計算機シミュレーションによる従来例および実施の形態1のダイバーシチ受信機のビット誤り率特性を示す特性図である。図7におけるシミュレーション条件は、通信路が加法性白色ガウス雑音のみが存在するガウス通信路であることを除き、図6と同一である。図7においても、実施の形態1のビット誤り率特性は従来例より向上していることは明らかである。このように、本発明によれば、ガウス通信路においても従来のダイバーシチ受信機より良好なビット誤り率特性が実現される。
【0151】
なお、図6および図7においては、実施の形態1のN=2としているが、一般にはNの値が大きくなるほど、先に述べた枝メトリック計算の過程における雑音の平均化の効果が増大し、SN比がより向上するので、ビット誤り率特性は更に改善される。
【0152】
実施の形態2.
また、実施の形態1では、第1,第2ないし第Lの多重遅延検波および信号強度検出回路110A,110B,…,110Lとして、第1,第2ないし第Lの受信信号の振幅の2乗値をそれぞれ第1,第2ないし第Lの受信信号強度として出力するものを示したが、uを0以上の実数として、第1,第2ないし第Lの受信信号の振幅のu乗値をそれぞれ第1,第2ないし第Lの受信信号強度として出力するものであってもよい。
【0153】
実施の形態3.
また、実施の形態1では、受信信号が差動M相PSK変調あるいは差動π/MシフトM相PSK変調されている場合について述べたが、受信信号は遅延検波方式が適用できる変調方式により変調されたものであればよく、例えば最小周波数シフトキーイング(MSK; Minimum Shift Keying)変調により変調されたものでも良い。
【0154】
実施の形態4.
また、実施の形態1では、合成枝メトリック生成回路130として、入力された各受信信号強度をそのまま各枝メトリックの重み付け係数として重み付け合成するものを示したが、受信信号強度の最大値で各受信信号強度を除算する正規化処理を行った結果を重み付け係数としてもよい。図8は、このような正規化処理を行うダイバーシチ受信機の合成枝メトリック生成回路130の構成を示す構成図であり、図において、400は重み付け係数生成回路である。なお、実施の形態1によるダイバーシチ受信機の合成枝メトリック生成回路130の構成を示す図5に対して同一または相当部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0155】
次に動作について説明する。図8において、合成枝メトリック生成回路130に入力された第1,第2ないし第Lの多重遅延検波信号は、それぞれ第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算回路310A,310B,…,310Lに入力され、実施の形態1と同様に枝メトリックの計算が行われる。一方、同様に合成枝メトリック生成回路130に入力された第1,第2ないし第Lの受信信号強度P1,i, P2,i,…, PL,iは、重み付け係数生成回路400に入力される。
【0156】
図9は、重み付け係数生成回路400の構成を示す構成図であり、図において、410は最大値検出回路、420A,420B,…,420Lは第1,第2ないし第Lの除算器である。図9において、重み付け係数生成回路400に入力された第1,第2ないし第Lの受信信号強度P1,i, P2,i,…, PL,iは、最大値検出回路410に入力される。最大値検出回路410は、入力された第1,第2ないし第Lの受信信号強度P1,i, P2,i,…, PL,iの中で値が最大のものを最大信号強度として出力する。すなわち、時刻t=iTにおける最大信号強度の値をρで表すと、ρは次式で与えられる(ただし、max{・}は最大値を意味する)。
【0157】
【数26】
Figure 0003576676
【0158】
一方、第1,第2ないし第Lの受信信号強度P1,i, P2,i,…, PL,iは、それぞれ第1,第2ないし第Lの除算器420A,420B,…,420Lにも入力される。第1,第2ないし第Lの除算器420A,420B,…,420Lには最大値検出回路410から出力された最大信号強度ρも入力され、それぞれ最大信号強度ρによる第1,第2ないし第Lの受信信号強度P1,i, P2,i,…, PL,iの除算が行われる。第1,第2ないし第Lの除算器420A,420B,…,420Lは、それぞれの除算結果を重み付け係数生成回路400の出力である第1,第2ないし第Lの重み付け係数として出力する。ここで、時刻t=iTにおける第k(k=1,…,L)の重み付け係数の値をWk,iとすると、 Wk,iは次式で与えられる。
【0159】
【数27】
Figure 0003576676
【0160】
第1,第2ないし第Lの重み付け係数W1,i, W2,i,…, WL,iの比をとれば、第1,第2ないし第Lの受信信号強度P1,i, P2,i,…, PL,iの比と等しくなることは明らかである。また、第1,第2ないし第Lの重み付け係数W1,i, W2,i,…, WL,iの値域は1以下に限定されることも明らかである。以下、再び図8を用いて、本実施の形態の合成枝メトリック生成回路130の動作について説明する。
【0161】
図8において、第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算回路310A,310B,…,310Lから出力される第1,第2ないし第Lの枝メトリックは、それぞれ第1,第2ないし第Lの乗算器320A,320B,…,320Lに入力される。また、重み付け係数生成回路400の出力である第1,第2ないし第Lの重み付け係数W1,i, W2,i,…, WL,iも、それぞれ第1,第2ないし第Lの乗算器320A,320B,…,320Lに入力され、第1,第2ないし第Lの枝メトリックにそれぞれ乗算される。乗算器320A,320B,…,320Lの出力は、それぞれ第1,第2ないし第Lの重み付け係数W1,i, W2,i,…, WL,iにより重み付けされた第1,第2ないし第Lの枝メトリックとなる。この乗算器320A,320B,…,320Lの出力は、それぞれ合成回路330に入力される。
【0162】
合成回路330は、第1,第2ないし第Lの乗算器320A,320B,…,320Lの出力である、それぞれ第1,第2ないし第Lの重み付け係数により重み付けされた第1,第2ないし第Lの枝メトリックのうち、同一の状態遷移に対応するものの総和をとる。従って、この総和演算は状態遷移の総数であるM通り行われる。合成回路330は、このようにして得られたM通りの総和結果をまとめ、合成枝メトリック生成回路130の出力である合成枝メトリックとして出力する。従って、合成枝メトリックの中で、 状態Bi−1=(βi−(N−1),βi−(N−2),…,βi−1)から状態Bi=(βi−(N−2),βi−(N−3),…,β)への状態遷移に対応する枝のメトリック値Λ{ Bi−1, B}は、次式で与えられる(ただし、絶対値記号内の加減算は2πを法とし、加減算結果の値域は−π以上π未満とする)。
【0163】
【数28】
Figure 0003576676
【0164】
前述のように、第1,第2ないし第Lの重み付け係数W1,i, W2,i,…, WL,iの比は、第1,第2ないし第Lの受信信号強度P1,i, P2,i,…, PL,iの比と等しいので、本実施の形態の合成枝メトリック生成回路130により、実施の形態1と等価な重み付け合成がなされた合成枝メトリックが生成される。従って、本実施の形態の合成枝メトリック生成回路130により生成された合成枝メトリックを用いることにより、実施の形態1と同等のビット誤り率特性が実現される。
【0165】
また、前述のように、第1,第2ないし第Lの重み付け係数W1,i, W2,i,…, WL,iの値域は1以下に限定されているので、本実施の形態においては過大な受信信号が入力された場合にもビット誤り率特性の劣化を防ぐことができるという利点がある。すなわち、移動体通信などの用途では、送信機と受信機の距離が極めて近くなる場合があるが、このような場合の受信信号強度は極めて大きなものとなる。例えば、第1,第2ないし第Lの受信信号強度P1,i, P2,i,…, PL,iが数千から数万となることも稀ではない。このような場合、実施の形態1の合成枝メトリック生成回路130をディジタル回路で構成すると、上記のような過大な受信信号が入力された場合に、第1,第2ないし第Lの乗算器320A,320B,…,320Lや合成回路330で桁あふれが発生し、正常な合成枝メトリックが得られなくなるためビット誤り率特性が劣化する。しかし、本実施の形態においては第1,第2ないし第Lの重み付け係数W1,i, W2,i,…, WL,iの値域は1以下に限定されているので、過大な受信信号が入力された場合にも上記のような桁あふれは発生せず、ビット誤り率特性の劣化が生じることはない。
【0166】
このように、受信信号強度の最大値で各受信信号強度を除算する正規化処理を行った結果を重み付け係数とすることにより、過大な受信信号が入力された場合にもビット誤り率特性の劣化を防ぐことができる。
【0167】
実施の形態5.
実施の形態4では、重み付け係数生成回路400として、受信信号強度の最大値で各受信信号強度を除算する正規化処理を行った結果を重み付け係数とするものを示したが、正規化処理を行った結果が所定のしきい値未満である場合には重み付け係数を零とする切捨て処理を行ってもよい。図10は、このような切捨て処理を行うダイバーシチ受信機の重み付け係数生成回路400の構成を示す構成図であり、図において、430A,430B,…,430Lは第1,第2ないし第Lの切捨て処理回路である。なお、実施の形態4によるダイバーシチ受信機の重み付け係数生成回路400の構成を示す図9に対して同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は省略する。
【0168】
次に動作について説明する。図10において、重み付け係数生成回路400に入力された第1,第2ないし第Lの受信信号強度P1,i, P2,i,…, PL,iは、最大値検出回路410に入力される。最大値検出回路410は、入力された第1,第2ないし第Lの受信信号強度P1,i, P2,i,…, PL,iの中で値が最大のものを最大信号強度として出力する。すなわち、時刻t=iTにおける最大信号強度の値をρで表すと、ρは次式で与えられる(ただし、max{・}は最大値を意味する)。
【0169】
【数29】
Figure 0003576676
【0170】
一方、第1,第2ないし第Lの受信信号強度P1,i, P2,i,…, PL,iは、それぞれ第1,第2ないし第Lの除算器420A,420B,…,420Lにも入力される。第1,第2ないし第Lの除算器420A,420B,…,420Lには最大値検出回路410から出力された最大信号強度ρも入力され、それぞれ最大信号強度ρによる第1,第2ないし第Lの受信信号強度P1,i, P2,i,…, PL,iの除算が行われる。第1,第2ないし第Lの除算器420A,420B,…,420Lは、それぞれの除算結果を第1,第2ないし第Lの正規化信号強度として出力する。この第1,第2ないし第Lの正規化信号強度は、それぞれ第1,第2ないし第Lの切捨て処理回路430A,430B,…,430Lに入力される。第1,第2ないし第Lの切捨て処理回路430A,430B,…,430Lは、それぞれ入力された第1,第2ないし第Lの正規化信号強度が所定のしきい値以上である場合には第1,第2ないし第Lの重み付け係数として第1,第2ないし第Lの正規化信号強度をそのまま出力し、第1,第2ないし第Lの正規化信号強度が前記所定のしきい値未満である場合には第1,第2ないし第Lの重み付け係数として零を出力する切捨て処理を行う。従って、時刻t=iTにおける第k(k=1,2,…,L)の重み付け係数の値をWk,i,しきい値をδとすると、 Wk,iは次式で与えられる。
【0171】
【数30】
Figure 0003576676
【0172】
本実施の形態による重み付け係数生成回路400は、このようにして切捨て処理のなされた第1,第2ないし第Lの重み付け係数を生成して出力する。この重み付け係数を用いて合成枝メトリックを生成することにより、本実施の形態では、第1,第2ないし第Lの受信信号の中に雑音だけが存在し、有意な信号が存在しない場合にビット誤り率特性の劣化を防ぐことができる。すなわち、実施の形態1においては、このように雑音だけが存在し、有意な信号が存在しない受信信号がある場合には、雑音の強度を重み付け係数として合成枝メトリックの生成を行うので、合成枝メトリックの中に雑音だけの項が含まれることになり、SN比の低下を招くため、ビット誤り率特性が劣化する。一方、本実施の形態においては、しきい値δの値を雑音の強度より大きく設定することにより、雑音だけが存在し、有意な信号が存在しない受信信号に対する枝メトリックの重み付け係数の値は零となるため、合成枝メトリックを生成する際に雑音だけの項は除去される。従って、SN比の低下を防ぐことができるので、ビット誤り率特性の劣化を生じることはない。
【0173】
このように、正規化処理を行った結果が所定のしきい値未満である場合には重み付け係数を零とする切捨て処理を行うことにより、雑音だけが存在し、有意な信号が存在しない受信信号がある場合にも、ビット誤り率特性の劣化を防ぐことができる。
【0174】
実施の形態6.
また、第1,第2ないし第Lの重み付け係数として第1,第2ないし第Lの正規化信号強度の近傍の2の整数乗の数値を出力する対数量子化処理を行ってもよい。図11は、このような対数量子化処理を行うダイバーシチ受信機の重み付け係数生成回路400の構成を示す構成図であり、図において、440A,440B,…,440Lは第1,第2ないし第Lの対数量子化回路である。なお、実施の形態5によるダイバーシチ受信機の重み付け係数生成回路400の構成を示す図10に対して同一部分には同一符号を付して、その説明は省略する。
【0175】
図10において、それぞれ第1,第2ないし第Lの除算器420A,420B,…,420Lから出力される、第1,第2ないし第Lの受信信号強度P1,i,P2,i,…, PL,iを最大値検出回路410の出力である最大信号強度ρで除算した除算結果である、第1,第2ないし第Lの正規化信号強度は、それぞれ第1,第2ないし第Lの対数量子化回路440A,440B,…,440Lに入力される。第1,第2ないし第Lの対数量子化回路440A,440B,…,440Lは、それぞれ入力された第1,第2ないし第Lの正規化信号強度の近傍の2の整数乗の数値を重み付け係数として出力する対数量子化処理を行う。ここで、時刻t=iTにおける第k(k=1,2,…,L)の重み付け係数の値をWk,iとすると、 Wk,iは次式で与えられるものとする。
【0176】
【数31】
Figure 0003576676
【0177】
本実施の形態による重み付け係数生成回路400は、このようにして対数量子化処理のなされた第1,第2ないし第Lの重み付け係数を生成して出力する。この重み付け係数を用いることにより、本実施の形態では合成枝メトリック生成回路130内の第1,第2ないし第Lの乗算器320A,320B,…,320Lの回路規模を削減でき、消費電力も低減できる。すなわち、ディジタル信号処理においては、2の整数乗の乗算は単純なビットシフト演算により実現される。このため、対数量子化処理によって第1,第2ないし第Lの重み付け係数の値を2の整数乗とすることにより、合成枝メトリック生成回路130内の第1,第2ないし第Lの乗算器320A,320B,…,320Lを単純なビットシフト回路により実現できるので、対数量子化処理を行わず、従って一般的な乗算器を必要とする実施の形態4より回路規模が削減され、消費電力も低減する。
【0178】
実施の形態7.
また、合成枝メトリック生成回路130は、各受信信号から得られた多重遅延検波信号に対する枝メトリックを、各受信信号強度の大小順によって定まる1以下の値をとる2の整数乗の一定値を重み付け係数として重み付け合成したものを合成枝メトリックとして出力するものであってもよい。図12は、このような信号処理を行う合成枝メトリック生成回路130の構成を示す構成図であり、図において、320B,…,320Lは第1ないし第(L−1)の乗算器、500は強度順出力回路である。なお、実施の形態1によるダイバーシチ受信機の合成枝メトリック生成回路130の構成を示す図5に対して同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は省略する。
【0179】
図12において、合成枝メトリック生成回路130に入力された第1,第2ないし第Lの多重遅延検波信号および受信信号強度は、強度順出力回路500に入力される。強度順出力回路500は、第1,第2ないし第Lの受信信号強度の大きさを比較し、k(k=1,2,…,L)番目に大きい信号強度を有する受信信号から生成された多重遅延検波信号を、k番目に大きい強度の多重遅延検波信号として出力する。
【0180】
強度順出力回路500から出力される1,2,…,L番目に大きい強度の多重遅延検波信号は、それぞれ第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算回路310A,310B,…,310Lに入力され、実施の形態1と同様に枝メトリックの計算が行われる。
【0181】
第2ないし第Lの枝メトリック計算回路310B,…,310Lの出力である、2,…,L番目に大きい強度の多重遅延検波信号に対する枝メトリックは、それぞれ第1ないし第(L−1)の乗算器320B,…,320Lに入力され、それぞれ重み付け係数として定数2J(1),…,2J(L−1)が乗算される。ただし、J(k)(k=1,…,L−1)は、それぞれ0以下の整数である。すなわち、重み付け係数2J(1),…,2J(L−1)の値域はそれぞれ1以下に限定されている。
【0182】
第1の枝メトリック計算回路310Aの出力である1番目に大きい強度の多重遅延検波信号に対する枝メトリックと、第1ないし第(L−1)の乗算器320B,…,320Lの出力は、合成回路330に入力される。合成回路330は、第1の枝メトリック計算回路310Aの出力である1番目に大きい強度の多重遅延検波信号に対する枝メトリックと、それぞれ第1ないし第(L−1)の乗算器320B,…,320Lによって重み付けされた2,…,L番目に大きい強度の多重遅延検波信号に対する枝メトリックのうち、同一の状態遷移に対応するものの総和をとる。従って、この総和演算は状態遷移の総数であるM通り行われる。合成回路330は、このようにして得られたM通りの総和結果をまとめ、合成枝メトリック生成回路130の出力である合成枝メトリックとして出力する。
【0183】
この信号処理は、第1の枝メトリック計算回路310Aの出力である1番目に大きい強度の多重遅延検波信号に対する枝メトリックに対して最も大きい重み付け係数“1”を乗算していることと等価である。ここで、 k(k=1,2,…,L)番目に大きい強度の多重遅延検波信号を構成するn(n=1,2,…,N)シンボル遅延検波信号の値をΔΨ(n)k,iで表すと、合成枝メトリックの中で、状態Bi−1=(βi−(N−1),βi−(N−2),…,βi−1)から状態B=(βi−(N−2),βi−(N−3),…,β)への状態遷移に対応する枝のメトリック値Λ{ Bi−1, B}は、次式で表される(ただし、絶対値記号内の加減算は2πを法とし、加減算結果の値域は−π以上π未満とする)。
【0184】
【数32】
Figure 0003576676
【0185】
本実施の形態による合成枝メトリック生成回路130は、このようにして合成枝メトリックを生成して出力するが、前述のように、重み付け係数の値が、各受信信号強度の値そのものではなく、その大小順によって定まる一定値となるため、実施の形態4と同様に、過大な受信信号が入力された場合でも桁あふれによるビット誤り率特性の劣化を生じない。加えて、本実施の形態では第1ないし第(L−1)の乗算器320B,…,320Lの回路規模を削減でき、消費電力も低減できる。すなわち、ディジタル信号処理においては、2の整数乗の乗算は単純なビットシフト演算により実現されため、第1ないし第(L−1)の乗算器320B,…,320Lはシフトするビット数を固定したビットシフト回路により実現できるので、一般的な乗算器を必要とする実施の形態1よりも回路規模が削減され、従って消費電力も低減する。
【0186】
このように、2の整数乗の一定値を重み付け係数とする単純な重み付けを行った場合でも、従来例装置よりビット誤り率特性は向上する。このことを計算機シミュレーション結果によって示す。図13は、計算機シミュレーションによる従来例および実施の形態7のダイバーシチ受信機のビット誤り率特性を示す特性図である。図13におけるシミュレーション条件は、図6と同一である。ただし、実施の形態7におけるJ(k)(k=1,…,7)の値は、次の表に示す値に設定している。
【0187】
【表1】
Figure 0003576676
【0188】
図13によれば、実施の形態7のビット誤り率特性は従来例より向上していることは明らかである。このように、2の整数乗の一定値を重み付け係数とする単純な重み付けを行った場合でも従来のダイバーシチ受信機より良好なビット誤り率特性が実現される。
【0189】
実施の形態8.
また、合成枝メトリック生成回路130は、L個の受信信号のうち、信号強度の大きい上位K(Kは1以上L未満の整数)個の受信信号から得られた多重遅延検波信号に対する枝メトリックを重み付け合成したものを合成枝メトリックとして出力するものであってもよい。図14は、このような信号処理を行う合成枝メトリック生成回路130の構成を示す構成図であり、図において、310A,310B,…,310Kは第1ないし第Kの枝メトリック計算回路、320A,320B,…,320Kは第1ないし第Kの乗算器、600は強度順選択回路である。なお、実施の形態1によるダイバーシチ受信機の合成枝メトリック生成回路130の構成を示す図5に対して同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は省略する。
【0190】
図14において、合成枝メトリック生成回路130に入力された第1,第2ないし第Lの多重遅延検波信号および受信信号強度は、強度順選択回路600に入力される。強度順選択回路600は、第1,第2ないし第Lの受信信号強度の大きさを比較し、K番目に大きい信号強度までを選択して1,2,…,K番目に大きい信号強度として出力するとともに、k(k=1,2,…,K)番目に大きい信号強度を有する受信信号から生成された多重遅延検波信号を、k番目に大きい強度の多重遅延検波信号として出力する。
【0191】
強度順選択回路600から出力される1,2,…,K番目に大きい強度の多重遅延検波信号は、それぞれ第1,第2ないし第Kの枝メトリック計算回路310A,310B,…,310Kに入力され、実施の形態1と同様に枝メトリックの計算が行われる。
【0192】
第1,第2ないし第Kの枝メトリック計算回路310A,310B,…,310Kからそれぞれ出力される、1,2,…,K番目に大きい強度の多重遅延検波信号に対する枝メトリックは、それぞれ第1,第2ないし第Kの乗算器320A,320B,…,320Kに入力される。また、強度順選択回路600の出力である1,2,…,K番目に大きい信号強度も、それぞれ第1,第2ないし第Kの乗算器320A,320B,…,320Kに入力され、1,2,…,K番目に大きい強度の多重遅延検波信号に対する枝メトリックにそれぞれ乗算される。これにより、1,2,…,K番目に大きい信号強度を重み付け係数とした、1,2,…,K番目に大きい強度の多重遅延検波信号に対する枝メトリックの重み付けが行われる。すなわち、乗算器320A,320B,…,320Kの出力は、それぞれ1,2,…,K番目に大きい信号強度により重み付けされた1,2,…,K番目に大きい強度の多重遅延検波信号に対する枝メトリックとなる。この乗算器320A,320B,…,320Kの出力は、それぞれ合成回路330に入力される。
【0193】
合成回路330は、第1,第2ないし第Kの乗算器320A,320B,…,320Kの出力である、1,2,…,K番目に大きい信号強度により重み付けされた1,2,…,K番目に大きい強度の多重遅延検波信号に対する枝メトリックのうち、同一の状態遷移に対応するものの総和をとる。従って、この総和演算は状態遷移の総数であるM通り行われる。合成回路330は、このようにして得られたM通りの総和結果をまとめ、合成枝メトリック生成回路130の出力である合成枝メトリックとして出力する。従って、 k(k=1,2,…,K)番目に大きい信号強度の値をΓk,i, k番目に大きい強度の多重遅延検波信号を構成するn(n=1,2,…,N)シンボル遅延検波信号の値をΔΨ(n)k,iで表すと、合成枝メトリックの中で、 状態Bi−1=(βi−(N−1),βi−(N−2),…,βi−1)から状態B=(βi−(N−2),βi−(N−3),…,βi)への状態遷移に対応する枝のメトリック値Λ{ Bi−1, B}は、次式で与えられる(ただし、絶対値記号内の加減算は2πを法とし、加減算結果の値域は−π以上π未満とする)。
【0194】
【数33】
Figure 0003576676
【0195】
このようにして、本実施の形態における合成枝メトリック生成回路130は、L個の受信信号のうち、信号強度の大きい上位K個の受信信号から得られた多重遅延検波信号に対する枝メトリックを重み付け合成したものを合成枝メトリックとして出力する。本実施の形態では、枝メトリック計算回路や乗算器の数をL個からK個に減らすことができるので、回路規模が削減され、従って、消費電力も低減される。
【0196】
この場合、合成枝メトリックの生成に用いる受信信号の数がL個からK個に減るためにダイバーシチ利得が減少するが、従来例装置よりは良好なビット誤り率特性を実現することが可能である。このことを、計算機シミュレーション結果により示す。図15は、計算機シミュレーションによる従来例および実施の形態8のダイバーシチ受信機のビット誤り率特性を示す特性図である。図15においては、実施の形態8におけるKの値をK=4と設定しており、その他のシミュレーション条件は図6と同一である。図15によれば、実施の形態8では4個の受信信号しか用いていないにもかかわらず、そのビット誤り率特性は8個全ての受信信号を用いる従来例より向上していることは明らかである。このように、 L個の受信信号のうち、信号強度の大きい上位K(Kは1以上L未満の整数)個の受信信号から得られた多重遅延検波信号に対する枝メトリックを重み付け合成したものを合成枝メトリックとすることにより、枝メトリック計算回路や乗算器の数を減らして回路規模を削減し、消費電力を低減しながら、従来のダイバーシチ受信機より良好なビット誤り率特性を実現することが可能である。
【0197】
実施の形態9.
実施の形態8では、合成枝メトリック生成回路130として、各信号強度をそのまま各枝メトリックの重み付け係数として重み付け合成するものを示したが、実施の形態1に対する実施の形態4と同様に、信号強度の最大値で各信号強度を除算する正規化処理を行った結果を重み付け係数としてもよい。図16は、このような正規化処理を行うダイバーシチ受信機の合成枝メトリック生成回路130の構成を示す構成図であり、図において、320B,…,320Kは第1ないし第( K −1)の乗算器、700は重み付け係数生成回路である。なお、実施の形態8によるダイバーシチ受信機の合成枝メトリック生成回路130の構成を示す図14に対して同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は省略する。図16において、強度順選択回路600から出力される1,2,…,K番目に大きい信号強度Γ1,i, Γ2,i,…, ΓK,iは、重み付け係数生成回路700に入力される。
【0198】
図17は、重み付け係数生成回路700の構成を示す構成図であり、図において、710B,…,710Kは第1ないし第( K −1)の除算器である。図17において、重み付け係数生成回路700に入力された1,2,…,K番目に大きい信号強度Γ1,i, Γ2,i,…, ΓK,iのうち、2,…,K番目に大きい信号強度 Γ2,i,…, ΓK,iはそれぞれ第1ないし第( K −1)の除算器710B,…,710Kに入力される。第1ないし第( K −1)の除算器710B,…,710Kには信号強度の最大値である1番目に大きい信号強度Γ1,iも入力され、それぞれ1番目に大きい信号強度Γ1,iによる2,…,K番目に大きい信号強度 Γ2,i,…, ΓK,iの除算が行われる。第1ないし第( K −1)の除算器710B,…,710Kは、それぞれの除算結果を重み付け係数生成回路700の出力である第1ないし第( K −1)の重み付け係数として出力する。従って、第k(k=1, …,K−1)の重み付け係数の値をWk,iとすると、 Wk,iは次式で与えられる。
【0199】
【数34】
Figure 0003576676
【0200】
第1ないし第( K −1)の重み付け係数W1,i, …, WK−1,iの比をとれば、第2ないし第Kの受信信号強度P2,i,…, PK,iの比と等しくなることは明らかである。また、第1ないし第( K −1)の重み付け係数W1,i, …,WK−1,iの値域は1以下に限定されることも明らかである。
【0201】
以下、再び図16を用いて、本実施の形態の合成枝メトリック生成回路130の動作について説明する。図16において、第2ないし第Kの枝メトリック計算回路310B,…,310Kからそれぞれ出力される、2,…,K番目に大きい強度の多重遅延検波信号に対する枝メトリックは、それぞれ第1ないし第( K−1)の乗算器320B,…,320Kに入力される。また、重み付け係数生成回路700の出力である第1ないし第( K −1)の重み付け係数も、それぞれ第1ないし第( K −1)の乗算器320B,…,320Kに入力され、2,…,K番目に大きい強度の多重遅延検波信号に対する枝メトリックにそれぞれ乗算される。従って、第1ないし第( K −1)の乗算器320B,…,320Kの出力は、それぞれ第1ないし第( K −1)の重み付け係数W1,i, …, WK−1,iにより重み付けされた2,…,K番目に大きい強度の多重遅延検波信号に対する枝メトリックとなる。
【0202】
第1の枝メトリック計算回路310Aの出力である1番目に大きい強度の多重遅延検波信号に対する枝メトリックと、第1ないし第(K−1)の乗算器320B,…,320Kの出力は、合成回路330に入力される。合成回路330は、第1の枝メトリック計算回路310Aの出力である1番目に大きい強度の多重遅延検波信号に対する枝メトリックと、それぞれ第1ないし第( K −1)の乗算器320B,…,320Kの出力である、第1ないし第( K −1)の重み付け係数により重み付けされた2,…,K番目に大きい強度の多重遅延検波信号に対する枝メトリックのうち、同一の状態遷移に対応するものの総和をとる。従って、この総和演算は状態遷移の総数であるM通り行われる。合成回路330は、このようにして得られたM通りの総和結果をまとめ、合成枝メトリック生成回路130の出力である合成枝メトリックとして出力する。
【0203】
この信号処理は、第1の枝メトリック計算回路310Aの出力である1番目に大きい強度の多重遅延検波信号に対する枝メトリックに対して最も大きい重み付け係数“1”を乗算していることと等価である。ここで、 k(k=1,2,…,K)番目に大きい強度の多重遅延検波信号を構成するn(n=1,2,…,N)シンボル遅延検波信号の値をΔΨ(n)k,iで表すと、合成枝メトリックの中で、状態Bi−1=(βi−(N−1),βi−(N−2),…,βi−1)から状態Bi=(βi−(N−2) ,βi−(N−3),…,βi)への状態遷移に対応する枝のメトリック値Λ{ Bi−1, B}は、次式で表される(ただし、絶対値記号内の加減算は2πを法とし、加減算結果の値域は−π以上π未満とする)。
【0204】
【数35】
Figure 0003576676
【0205】
このように、本実施の形態の合成枝メトリック生成回路130により、1,2,…,K番目に大きい信号強度Γ1,i, Γ2,i,…, ΓK,iを重み付け係数とする実施の形態8と等価な重み付け合成がなされた合成枝メトリックが生成される。従って、本実施の形態の合成枝メトリック生成回路130により生成された合成枝メトリックを用いることにより、実施の形態8と同等のビット誤り率特性が実現される。
【0206】
前述のように、本実施の形態においては第1ないし第( K −1)の重み付け係数W1,i, …, WK−1,iの値域は1以下に限定されるので、実施の形態4と同様、合成枝メトリック生成回路130をディジタル回路で構成した場合に、過大な受信信号が入力されても回路内での桁あふれの発生を防止でき、ビット誤り率特性の劣化を生じない、という利点を有する。
【0207】
実施の形態10.
実施の形態9では、重み付け係数生成回路700として、信号強度の最大値で各信号強度を除算する正規化処理を行った結果を重み付け係数とするものを示したが、実施の形態4に対する実施の形態5と同様に、正規化処理を行った結果が所定のしきい値未満である場合には重み付け係数を零とする切捨て処理を行ってもよい。図18は、このような切捨て処理を行うダイバーシチ受信機の重み付け係数生成回路700の構成を示す構成図であり、図において、720B,…,720Kは第1ないし第(K−1)の切捨て処理回路である。なお、実施の形態9によるダイバーシチ受信機の重み付け係数生成回路700の構成を示す図17に対して同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は省略する。
【0208】
図18において、重み付け係数生成回路700に入力された1,2,…,K番目に大きい信号強度Γ1,i, Γ2,i,…, ΓK,iのうち、2,…,K番目に大きい信号強度 Γ2,i,…, ΓK,iはそれぞれ第1ないし第( K −1)の除算器710B,…,710Kに入力される。第1ないし第( K −1)の除算器710B,…,710Kには信号強度の最大値である1番目に大きい信号強度Γ1,iも入力され、それぞれ1番目に大きい信号強度Γ1,iによる2,…,K番目に大きい信号強度 Γ2,i,…, ΓK,iの除算が行われる。第1ないし第( K −1)の除算器710B,…,710Kは、それぞれの除算結果を第1ないし第( K −1)の正規化信号強度として出力する。この第1ないし第( K −1)の正規化信号強度は、それぞれ第1ないし第(K−1)の切捨て処理回路720B,…,720Kに入力される。第1ないし第(K−1)の切捨て処理回路720B,…,720Kは、それぞれ入力された第1ないし第(K−1)の正規化信号強度が所定のしきい値以上である場合には第1ないし第(K−1)の重み付け係数として第1ないし第(K−1)の正規化信号強度をそのまま出力し、第1ないし第(K−1)の正規化信号強度が前記所定のしきい値未満である場合には第1ないし第(K−1)の重み付け係数として零を出力する切捨て処理を行う。従って、第k(k=1…, K−1)の重み付け係数の値をWk,i,しきい値をδとする
と、 Wk,iは次式で与えられる。
【0209】
【数36】
Figure 0003576676
【0210】
本実施の形態による重み付け係数生成回路700は、このようにして切捨て処理のなされた第1ないし第( K −1)の重み付け係数を生成して出力する。この重み付け係数を用いて合成枝メトリックを生成することにより、本実施の形態では、実施の形態5と同様に、雑音だけが存在し、有意な信号が存在しない受信信号がある場合にも、ビット誤り率特性の劣化を防ぐことができる。すなわち実施の形態においては、しきい値δの値を雑音の強度より大きく設定することにより、雑音だけが存在し、有意な信号が存在しない受信信号に対する枝メトリックの重み付け係数の値は零となるため、合成枝メトリックを生成する際に雑音だけの項は除去される。従って、このような場合でもSN比の低下を防ぐことができるため、ビット誤り率特性の劣化を生じない、という利点を有する。
【0211】
実施の形態11.
また、実施の形態4に対する実施の形態6と同様に、第1ないし第(K−1)の重み付け係数として第1ないし第(K−1)の正規化信号強度の近傍の2の整数乗の数値を出力する対数量子化処理を行ってもよい。図19は、このような対数量子化処理を行うダイバーシチ受信機の重み付け係数生成回路700の構成を示す構成図であり、図において、730B,…,730Kは第1ないし第(K−1)の対数量子化回路である。なお、実施の形態10によるダイバーシチ受信機の重み付け係数生成回路700の構成を示す図18に対して同一部分には同一符号を付して、その説明は省略する。
【0212】
図19において、それぞれ第1ないし第(K−1)の除算器710B,…,710Kから出力される、それぞれ2,…,K番目に大きい信号強度 Γ2,i,…,ΓK,iを1番目に大きい信号強度Γ1,iにより除算した除算結果である、第1ないし第(K−1)の正規化信号強度は、それぞれ第1ないし第(K−1)の対数量子化回路730B,…,730Kに入力される。第1ないし第(K−1)の対数量子化回路730B,…,730Kは、それぞれ入力された第1ないし第(K−1)の正規化信号強度の近傍の2の整数乗の数値を重み付け係数として出力する対数量子化処理を行う。ここで、第k(k=1, …,K−1)の重み付け係数の値をWk,iとすると、 Wk,iは次式で与えられる(ただし、はxを越えない最大の整数を意味する)。
【0213】
【数37】
Figure 0003576676
【0214】
本実施の形態による重み付け係数生成回路700は、このようにして対数量子化処理のなされた第1ないし第(K−1)の重み付け係数を生成して出力する。この重み付け係数を用いることにより、本実施の形態では、実施の形態6と同様に、合成枝メトリック生成回路130内の第1ないし第(K−1)の乗算器320B,…,320Kを単純なビットシフト回路により実現できるので、対数量子化処理を行わず、従って一般的な乗算器を必要とする実施の形態9より回路規模が削減され、消費電力も低減する、という利点を有する。
【0215】
実施の形態12.
また、合成枝メトリック生成回路130は、1,2,…,K番目に大きい強度の多重遅延検波信号に対する枝メトリックを、各受信信号強度の大小順によって定まる1以下の値をとる2の整数乗の一定値を重み付け係数として重み付け合成したものを合成枝メトリックとして出力するものであってもよい。図20は、このような信号処理を行う合成枝メトリック生成回路130の構成を示す構成図であり、図において、320B,…,320Kは第1ないし第(K−1)の乗算器、600aは強度順選択回路である。なお、実施の形態8によるダイバーシチ受信機の合成枝メトリック生成回路130の構成を示す図14に対して同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は省略する。
【0216】
図20において、合成枝メトリック生成回路130に入力された第1,第2ないし第Lの多重遅延検波信号および受信信号強度は、強度順選択回路600aに入力される。強度順選択回路600aは、第1,第2ないし第Lの受信信号強度の大きさを比較し、1,2,…,K(Kは1以上L未満の整数)番目に大きい信号強度を有する受信信号から生成された多重遅延検波信号を、それぞれ1,2,…,K番目に大きい強度の多重遅延検波信号として出力する。このように、本実施の形態における強度順選択回路600aは、多重遅延検波信号のみを出力し、信号強度は出力しないという点が、実施の形態8の強度順選択回路600と異なる。
【0217】
強度順選択回路600aから出力される1,2,…,K番目に大きい強度の多重遅延検波信号は、それぞれ第1,第2ないし第Kの枝メトリック計算回路310A,310B,…,310Kに入力され、実施の形態1と同様に枝メトリックの計算が行われる。
【0218】
第2ないし第Kの枝メトリック計算回路310B,…,310Kの出力である、2,…,K番目に大きい強度の多重遅延検波信号に対する枝メトリックは、それぞれ第1ないし第(K−1)の乗算器320B,…,320Kに入力され、それぞれ重み付け係数として定数2J(1),…,2J(K−1)が乗算される。ただし、J(k)(k=1,…,K−1)は、それぞれ0以下の整数である。すなわち、重み付け係数2J(1),…,2J(K−1)の値域はそれぞれ1以下に限定されている。
【0219】
第1の枝メトリック計算回路310Aの出力である1番目に大きい強度の多重遅延検波信号に対する枝メトリックと、第1ないし第(K−1)の乗算器320B,…,320Kの出力は、それぞれ合成回路330に入力される。合成回路330は、第1の枝メトリック計算回路310Aの出力である1番目に大きい強度の多重遅延検波信号に対する枝メトリックと、それぞれ第1ないし第(K−1)の乗算器320B,…,320Kによって重み付けされた2,…,K番目に大きい強度の多重遅延検波信号に対する枝メトリックのうち、同一の状態遷移に対応するものの総和をとる。従って、この総和演算は状態遷移の総数であるM通り行われる。合成回路330は、このようにして得られたM通りの総和結果をまとめ、合成枝メトリック生成回路130の出力である合成枝メトリックとして出力する。
【0220】
この信号処理は、第1の枝メトリック計算回路310Aの出力である1番目に大きい強度の多重遅延検波信号に対する枝メトリックに対して最も大きい重み付け係数“1”を乗算していることと等価である。ここで、 k(k=1,2,…,K)番目に大きい強度の多重遅延検波信号を構成するn(n=1,2,…,N)シンボル遅延検波信号の値をΔΨ(n)k,iで表すと、合成枝メトリックの中で、状態Bi−1=(βi−(N−1),βi−(N−2),…,βi−1)から状態B=(βi−(N−2) ,βi−(N−3),…,β)への状態遷移に対応する枝のメトリック値Λ{ Bi−1, B}は、次式で表される(ただし、絶対値記号内の加減算は2πを法とし、加減算結果の値域は−π以上π未満とする)。
【0221】
【数38】
Figure 0003576676
【0222】
本実施の形態による合成枝メトリック生成回路130は、このようにして合成枝メトリックを生成して出力するが、前述のように、重み付け係数の値が、各受信信号強度の値そのものではなく、その大小順によって定まる一定値となるため、実施の形態9と同様に、過大な受信信号が入力された場合でも桁あふれによるビット誤り率特性の劣化を生じない。加えて、本実施の形態では第1ないし第(K−1)の乗算器320B,…,320Kの回路規模を削減でき、消費電力も低減できる。すなわち、ディジタル信号処理においては、2の整数乗の乗算は単純なビットシフト演算により実現されため、第1ないし第(K−1)の乗算器320B,…,320Kはシフトするビット数を固定したビットシフト回路により実現できるので、一般的な乗算器を必要とする実施の形態8よりも回路規模が削減され、従って消費電力も低減する。
【0223】
このように、合成枝メトリックの生成に用いる受信信号の数をL個からK個に減らし、しかも2の整数乗の一定値を重み付け係数とする単純な重み付けを行った場合でも、従来例装置よりビット誤り率特性は向上する。このことを計算機シミュレーション結果によって示す。図21は、計算機シミュレーションによる従来例および実施の形態12のダイバーシチ受信機のビット誤り率特性を示す特性図である。図21におけるシミュレーション条件は、図6と同一である。ただし、実施の形態12におけるKの値はK=6と設定しており、また、J(k)(k=1,…,5)の値は、次の表に示す値に設定している。
【0224】
【表2】
Figure 0003576676
【0225】
図21によれば、実施の形態12のビット誤り率特性は従来例より向上していることは明らかである。このように、合成枝メトリックの生成に用いる受信信号の数を減らし、しかも2の整数乗の一定値を重み付け係数とする単純な重み付けを行った場合でも、従来のダイバーシチ受信機より良好なビット誤り率特性が実現される。
【0226】
【発明の効果】
この発明に係るダイバーシチ受信機は、差動位相変調されたデータ系列を含む複数の信号を受信し復調するダイバーシチ受信機であって、受信した複数の前記受信信号に対応して設けられ、当該受信信号の現在の位相と1シンボル周期前の位相との差である1シンボル遅延検波信号と当該受信信号の現在の位相と所定シンボル周期前の位相との差である所定シンボル遅延検波信号とを多重化した多重遅延検波信号を生成する多重遅延検波手段と、前記入力された複数の受信信号に対応して設けられ、当該受信信号の信号強度を検出し、当該信号強度に対応した信号強度信号を生成する信号強度検出手段と、前記複数の受信信号の各々に対して生成された前記多重遅延検波信号に基づく各枝メトリックに前記信号強度信号に比例した重み付けを行い、該重み付けの行われた各枝メトリックを合成した合成枝メトリックを用いて送信された差動位相系列を推定し、前記データ系列を復調する系列推定手段とを備えているので、ビット誤り率のよいダイバーシチ受信機を得ることができる。
【0227】
また、前記系列推定手段は、前記複数の受信信号の各々において前記信号強度信号に基づき、2の整数乗の数値からなる重み付け係数を算出する重み付け係数生成手段と、前記重み付け係数生成手段において算出した前記重み付け係数に基づいて前記枝メトリックに対して重み付けを行う重み付け手段とを備えているので、単純なビットシフトにより重み付け処理を行うことができ、回路規模を削減でき、消費電力も低減できるダイバーシチ受信機を得ることができる。
【0228】
また、この発明のダイバーシチ受信機では、第1,第2ないし第L(Lは2以上の整数)の受信信号から、それぞれの受信信号の現在の位相と1,2,…,N(Nは2以上の整数)シンボル周期前の位相との差である1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を生成する多重遅延検波手段と、前記第1、第2ないし第Lの受信信号のそれぞれに対応する受信信号強度を生成する信号強度検出手段と、前記多重遅延検波手段から出力される第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号に基づく枝メトリックに前記信号強度検出手段から出力される第1,第2ないし第Lの受信信号強度に比例した重み付けを行い、該重み付けの行われた各枝メトリックを合成した合成枝メトリックを用いて送信差動位相系列の推定を行い、該送信差動位相系列の推定値に対応した復調データ系列を出力する系列推定手段とを備え、前記系列推定手段は、M(Mは送信差動位相の信号点位相の個数であって、2以上の整数)個の信号点位相を(N−1)個組み合わせてできるMN−1個の状態間の状態遷移を表すトレリス線図に基づいて、前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号および第1,第2ないし第Lの受信信号強度を用いて前記トレリス線図上の各状態遷移に対応する合成枝メトリック値を生成する合成枝メトリック生成手段と、前記合成枝メトリック生成手段で生成された前記合成枝メトリック値を用いてビタビアルゴリズムに基づくACS演算を行うACS手段と、前記ACS手段から出力される、ACS演算の結果であるパス選択信号を記憶するパスメモリ手段とを備え、ビタビアルゴリズムに基づき前記送信差動位相系列の推定を行うように構成し、前記合成枝メトリック生成手段は、前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を用いて前記トレリス線図上の各状態遷移に対応する枝メトリック値を生成する第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算手段と、前記第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算手段から出力される各枝メトリック値と前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度との乗算を行い、乗算結果を重み付けされた枝メトリック値として出力する第1,第2ないし第Lの乗算手段と、前記第1,第2ないし第Lの乗算手段から出力される重み付けされた枝メトリック値のうち、同一の状態遷移に対応するもの同士を加算し、加算結果を合成枝メトリックとして出力する合成手段とを備えるように構成したため、前記合成枝メトリック生成手段において生成される、受信信号強度に応じた重み付け合成を行った合成枝メトリックを用いることにより、ビタビアルゴリズムによる系列推定の過程でダイバーシチ効果が得られる。
【0229】
また、前記第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算手段から出力される前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号に対する枝メトリック値は、その計算過程においてSN比が向上するため、これらの枝メトリック値を重み付け合成したものである前記合成枝メトリック値を用いて前記系列推定手段により推定された送信差動位相系列の推定値に対応した前記復調データ系列のビット誤り率特性は、1シンボル遅延検波信号のみを用いる従来のダイバーシチ受信機のビット誤り率特性より良好なものとなる。すなわち、この発明によれば、従来のダイバーシチ受信機のビット誤り率特性を改善する方式を得られる効果がある。
【0230】
また、前記合成枝メトリック生成手段は、前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を用いて前記トレリス線図上の各状態遷移に対応する枝メトリック値を生成する第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算手段と、前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度から第1,第2ないし第Lの重み付け係数を生成する重み付け係数生成手段と、前記第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算手段から出力される各枝メトリック値と前記重み付け係数生成手段から出力される前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数との乗算を行い、乗算結果を重み付けされた枝メトリック値として出力する第1,第2ないし第Lの乗算手段と、前記第1,第2ないし第Lの乗算手段から出力される重み付けされた枝メトリック値のうち、同一の状態遷移に対応するもの同士を加算し、加算結果を合成枝メトリックとして出力する合成手段とを備えるように構成し、前記重み付け係数生成手段は、前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度の中で最大のものを検出し、最大信号強度として出力する最大値検出手段と、前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度を前記最大値検出手段から出力される前記最大信号強度で除算し、除算結果を前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数として出力する第1,第2ないし第Lの除算手段とを備えるように構成したため、前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数の値域が1以下に限定されるので、前記合成枝メトリック生成手段をディジタル回路で構成した場合に、過大な受信信号が入力されたとしても、前記第1,第2ないし第Lの乗算手段や前記合成手段での桁あふれによるビット誤り率特性の劣化を防止できるダイバーシチ受信機を得られる効果がある。
【0231】
また、前記重み付け係数生成手段は、前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度の中で最大のものを検出し、最大信号強度として出力する最大値検出手段と、前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度を前記最大値検出手段から出力される前記最大信号強度で除算し、除算結果を第1,第2ないし第Lの正規化信号強度として出力する第1,第2ないし第Lの除算手段と、前記第1,第2ないし第Lの除算手段から出力される前記第1,第2ないし第Lの正規化信号強度を入力し、前記第1,第2ないし第Lの正規化信号強度が所定のしきい値以上である場合には前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数として前記第1,第2ないし第Lの正規化信号強度を出力し、前記第1,第2ないし第Lの正規化信号強度が前記所定のしきい値未満である場合には前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数として零を出力する第1,第2ないし第Lの切捨て処理手段とを備えるように構成したため、前記合成枝メトリック生成手段において切捨て処理を行った重み付け係数を用いて合成枝メトリックを生成することができ、 前記第1,第2ないし第Lの受信信号の中に雑音だけが存在し、有意な信号が存在しない場合におけるビット誤り率特性の劣化を防ぐことができる。
【0232】
すなわち、前記所定のしきい値を雑音の強度より大きく設定することにより、雑音だけが存在し、有意な信号が存在しない受信信号に対する枝メトリックの重み付け係数の値は零となるため、合成枝メトリックを生成する際に雑音だけの項は除去される。従って、このような場合においてもSN比の低下が生じないので、ビット誤り率特性の劣化を防止できるダイバーシチ受信機を得られる効果がある。
【0233】
また、前記重み付け係数生成手段は、前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度の中で最大のものを検出し、最大信号強度として出力する最大値検出手段と、前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度を前記最大値検出手段から出力される前記最大信号強度で除算し、除算結果を第1,第2ないし第Lの正規化信号強度として出力する第1,第2ないし第Lの除算手段と、前記第1,第2ないし第Lの除算手段から出力される前記第1,第2ないし第Lの正規化信号強度を入力し、前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数として前記第1,第2ないし第Lの正規化信号強度の近傍の2の整数乗の数値を出力する第1,第2ないし第Lの対数量子化手段とを備えるように構成したため、前記合成枝メトリック生成手段をディジタル回路で構成した場合に、前記合成枝メトリック生成手段に備えられた前記第1,第2ないし第Lの乗算手段の回路規模を削減でき、消費電力も低減できる。
【0234】
すなわち、ディジタル信号処理においては、2の整数乗の乗算は単純なビットシフト演算により実現されるため、対数量子化処理によって前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数の値を2の整数乗とすることにより、前記合成枝メトリック生成手段に備えられた前記第1,第2ないし第Lの乗算手段を単純なビットシフト回路により実現できる。このため、対数量子化処理を行わず、従って一般的な乗算手段を必要とする場合より回路規模を削減でき、消費電力も低減できるダイバーシチ受信機を得られる効果がある。
【0235】
また、前記合成枝メトリック生成手段は、前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号および第1,第2ないし第Lの受信信号強度を入力し、第1,第2ないし第Lの受信信号強度の大きさを比較し、k(k=1,2,…,L)番目に大きい信号強度を有する受信信号から生成された1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を、k番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号として出力する強度順出力手段と、前記強度順出力手段から出力される1,2,…,L番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を用いて前記トレリス線図上の各状態遷移に対応する枝メトリック値を生成する第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算手段と、前記第2ないし第Lの枝メトリック計算手段から出力される各枝メトリック値に、それぞれ0以下の整数であるJ(k)(k=1,…,L−1)によって定まる定数2J(1),…,2J(L−1)を乗算
し、乗算結果を重み付けされた枝メトリック値として出力する第1ないし第(L−1)の乗算手段と、前記第1の枝メトリック計算手段から出力される枝メトリック値と前記第1ないし第(L−1)の乗算手段から出力される重み付けされた枝メトリック値のうち、同一の状態遷移に対応するもの同士を加算し、加算結果を合成枝メトリックとして出力する合成手段とを備えるように構成したため、重み付け係数の値が、各受信信号強度の値そのものではなく、その大小順によって定まる一定値となるので、過大な受信信号が入力された場合でも桁あふれによるビット誤り率特性の劣化を生じないダイバーシチ受信機を得られる効果がある。加えて、前記合成枝メトリック生成手段をディジタル回路で構成した場合に、前記合成枝メトリック生成手段に備えられた前記第1ないし第(L−1)の乗算手段の回路規模を削減でき、消費電力も低減できる。
【0236】
すなわち、ディジタル信号処理においては、2の整数乗の乗算は単純なビットシフト演算により実現されため、前記第1ないし第(L−1)の乗算手段はシフトするビット数を固定したビットシフト回路により実現できるので、回路規模を削減でき、従って消費電力も低減できるダイバーシチ受信機を得られる効果がある。
【0237】
また、前記合成枝メトリック生成手段は、前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号および第1,第2ないし第Lの受信信号強度を入力し、第1,第2ないし第Lの受信信号強度の大きさを比較し、K(Kは1以上L未満の整数)番目に大きい信号強度までを選択して1,2…,K番目に大きい信号強度として出力するとともに、k(k=1,2,…,K)番目に大きい信号強度を有する受信信号から生成された1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を、k番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号として出力する強度順選択手段と、前記強度順選択手段から出力される1,2,…,K番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を用いて前記トレリス線図上の各状態遷移に対応する枝メトリック値を生成する第1,第2ないし第Kの枝メトリック計算手段と、前記第1,第2ないし第Kの枝メトリック計算手段から出力される各枝メトリック値と前記1,2…,K番目に大きい信号強度との乗算を行い、乗算結果を重み付けされた枝メトリック値として出力する第1,第2ないし第Kの乗算手段と、前記第1,第2ないし第Kの乗算手段から出力される重み付けされた枝メトリック値のうち、同一の状態遷移に対応するもの同士を加算し、加算結果を合成枝メトリックとして出力する合成手段とを備えるように構成したため、枝メトリック計算手段や乗算手段の数をL個からK個に減らすことができるので、回路規模を削減でき、従って、消費電力も低減できるダイバーシチ受信機を得られる効果がある。
【0238】
また、前記合成枝メトリック生成手段は、前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号および第1,第2ないし第Lの受信信号強度を入力し、第1,第2ないし第Lの受信信号強度の大きさを比較し、K(Kは1以上L未満の整数)番目に大きい信号強度までを選択して1,2…,K番目に大きい信号強度として出力するとともに、k(k=1,2,…,K)番目に大きい信号強度を有する受信信号から生成された1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を、k番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号として出力する強度順選択手段と、前記強度順選択手段から出力される1,2,…,K番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を用いて前記トレリス線図上の各状態遷移に対応する枝メトリック値を生成する第1,第2ないし第Kの枝メトリック計算手段と、前記1,2,…,K番目に大きい信号強度から第1ないし第(K−1)の重み付け係数を生成する重み付け係数生成手段と、前記第2ないし第Kの枝メトリック計算手段から出力される各枝メトリック値と前記重み付け係数生成手段から出力される前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数との乗算を行い、乗算結果を重み付けされた枝メトリック値として出力する第1ないし第(K−1)の乗算手段と、前記第1の枝メトリック計算手段から出力される枝メトリック値と前記第1ないし第(K−1)の乗算手段から出力される重み付けされた枝メトリック値のうち、同一の状態遷移に対応するもの同士を加算し、加算結果を合成枝メトリックとして出力する合成手段とを備えるように構成し、前記重み付け係数生成手段は、前記2,…,K番目に大きい信号強度を前記1番目に大きい信号強度で除算し、除算結果を前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数として出力する第1ないし第(K−1)の除算手段とを備えるように構成したため、前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数の値域が1以下に限定されるので、前記合成枝メトリック生成手段をディジタル回路で構成した場合に、過大な受信信号が入力されたとしても、前記第1ないし第(K−1)の乗算手段や前記合成手段での桁あふれによるビット誤り率特性の劣化を防止できるダイバーシチ受信機を得られる効果がある。
【0239】
また、前記重み付け係数生成手段は、前記2,…,K番目に大きい信号強度を前記1番目に大きい信号強度で除算し、除算結果を第1ないし第(K−1)の正規化信号強度として出力する第1ないし第(K−1)の除算手段と、前記第1ないし第(K−1)の除算手段から出力される前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度を入力し、前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度が所定のしきい値以上である場合には前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数として前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度を出力し、前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度が前記所定のしきい値未満である場合には前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数として零を出力する第1ないし第(K−1)の切捨て処理手段とを備えるように構成したため、前記合成枝メトリック生成手段において切捨て処理を行った重み付け係数を用いて合成枝メトリックを生成することができ、 前記第1,第2ないし第Lの受信信号の中に雑音だけが存在し、有意な信号が存在しない場合におけるビット誤り率特性の劣化を防ぐことができる。
【0240】
すなわち、前記所定のしきい値を雑音の強度より大きく設定することにより、雑音だけが存在し、有意な信号が存在しない受信信号に対する枝メトリックの重み付け係数の値は零となるため、合成枝メトリックを生成する際に雑音だけの項は除去される。従って、このような場合においてもSN比の低下が生じないので、ビット誤り率特性の劣化を防止できるダイバーシチ受信機を得られる効果がある。
【0241】
また、前記重み付け係数生成手段は、前記2,…,K番目に大きい信号強度を前記1番目に大きい信号強度で除算し、除算結果を前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度として出力する第1ないし第(K−1)の除算手段と、前記第1ないし第(K−1)の除算手段から出力される前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度を入力し、前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数として前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度の近傍の2の整数乗の数値を出力する第1ないし第(K−1)の対数量子化手段とを備えるように構成したため、前記合成枝メトリック生成手段をディジタル回路で構成した場合に、前記合成枝メトリック生成手段に備えられた前記第1ないし第(K−1)の乗算手段の回路規模を削減でき、消費電力も低減できる。
【0242】
すなわち、ディジタル信号処理においては、2の整数乗の乗算は単純なビットシフト演算により実現されるため、対数量子化処理によって前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数の値を2の整数乗とすることにより、前記合成枝メトリック生成手段に備えられた前記第1ないし第(K−1)の乗算手段を単純なビットシフト回路により実現できる。このため、対数量子化処理を行わず、従って一般的な乗算手段を必要とする場合より回路規模を削減でき、消費電力も低減できるダイバーシチ受信機を得られる効果がある。
【0243】
また、前記合成枝メトリック生成手段は、前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号および第1,第2ないし第Lの受信信号強度を入力し、第1,第2ないし第Lの受信信号強度の大きさを比較し、1,2…,K(Kは1以上L未満の整数)番目に大きい信号強度を有する受信信号から生成された1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を、それぞれ1,2…,K番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号として選択して出力する強度順選択手段と、前記強度順選択手段から出力される1,2,…,K番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を用いて前記トレリス線図上の各状態遷移に対応する枝メトリック値を生成する第1,第2ないし第Kの枝メトリック計算手段と、前記第2ないし第Kの枝メトリック計算手段から出力される各枝メトリック値に、それぞれ0以下の整数であるJ(k)(k=1,…,K−1)によって定まる定数2J(1),…,2J(K−1)を乗算し、乗算結果を重み付けされた枝メトリック値として出力する第1ないし第(K−1)の乗算手段と、前記第1の枝メトリック計算手段から出力される枝メトリック値と前記第1ないし第(K−1)の乗算手段から出力される重み付けされた枝メトリック値のうち、同一の状態遷移に対応するもの同士を加算し、加算結果を合成枝メトリックとして出力する合成手段とを備えるように構成したため、重み付け係数の値が、各受信信号強度の値そのものではなく、その大小順によって定まる一定値となるので、過大な受信信号が入力された場合でも桁あふれによるビット誤り率特性の劣化を生じないダイバーシチ受信機を得られる効果がある。
【0244】
加えて、前記合成枝メトリック生成手段をディジタル回路で構成した場合に、前記合成枝メトリック生成手段に備えられた前記第1ないし第(K−1)の乗算手段の回路規模を削減でき、消費電力も低減できる。すなわち、ディジタル信号処理においては、2の整数乗の乗算は単純なビットシフト演算により実現されため、前記第1ないし第(K−1)の乗算手段はシフトするビット数を固定したビットシフト回路により実現できるので、回路規模を削減でき、従って消費電力も低減できるダイバーシチ受信機を得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のダイバーシチ受信機の一実施の形態を示す構成図である。
【図2】図1に示す第1の多重遅延検波および信号強度検出回路110Aの一実施の形態を示す構成図である。
【図3】差動π/4シフト4相PSK変調(すなわち、M=4)でN=3の場合のトレリス線図における状態遷移を示す図である。
【図4】図3における状態遷移を基本的な4つの状態遷移の組み合わせに分解した図である。
【図5】この発明のダイバーシチ受信機の合成枝メトリック生成回路130の一実施の形態を示す構成図である。
【図6】計算機シミュレーションによる従来例および実施の形態1のダイバーシチ受信機のビット誤り率特性を示す特性図である。
【図7】計算機シミュレーションによる従来例および実施の形態1のダイバーシチ受信機のビット誤り率特性を示す特性図である。
【図8】この発明のダイバーシチ受信機の合成枝メトリック生成回路130の他の一実施の形態を示す構成図である。
【図9】この発明のダイバーシチ受信機の重み付け係数生成回路400の一実施の形態を示す構成図である。
【図10】この発明のダイバーシチ受信機の重み付け係数生成回路400の他の一実施の形態を示す構成図である。
【図11】この発明のダイバーシチ受信機の重み付け係数生成回路400の他の一実施の形態を示す構成図である。
【図12】この発明のダイバーシチ受信機の合成枝メトリック生成回路130の他の一実施の形態を示す構成図である。
【図13】計算機シミュレーションによる従来例および実施の形態7のダイバーシチ受信機のビット誤り率特性を示す特性図である。
【図14】この発明のダイバーシチ受信機の合成枝メトリック生成回路130の他の一実施の形態を示す構成図である。
【図15】計算機シミュレーションによる従来例および実施の形態8のダイバーシチ受信機のビット誤り率特性を示す特性図である。
【図16】この発明のダイバーシチ受信機の合成枝メトリック生成回路130の他の一実施の形態を示す構成図である。
【図17】この発明のダイバーシチ受信機の重み付け係数生成回路700の一実施の形態を示す構成図である。
【図18】この発明のダイバーシチ受信機の重み付け係数生成回路700の他の一実施の形態を示す構成図である。
【図19】この発明のダイバーシチ受信機の重み付け係数生成回路700の他の一実施の形態を示す構成図である。
【図20】この発明のダイバーシチ受信機の合成枝メトリック生成回路130の他の一実施の形態を示す構成図である。
【図21】計算機シミュレーションによる従来例および実施の形態12のダイバーシチ受信機のビット誤り率特性を示す特性図である。
【図22】従来のダイバーシチ受信機の構成を示す構成図である。
【図23】従来のダイバーシチ受信機の第1の遅延検波および信号強度検出回路810Aの構成を示す構成図である。
【符号の説明】
110A 多重遅延検波および信号強度検出回路、110B 多重遅延検波および信号強度検出回路、110L 多重遅延検波および信号強度検出回路、120 系列推定器、130 合成枝メトリック生成回路、140 ACS回路、150 パスメモリ、310A 枝メトリック計算回路、310B 枝メトリック計算回路、310K 枝メトリック計算回路、310L 枝メトリック計算回路、320A 乗算器、320B 乗算器、320K 乗算器、320L 乗算器、330 合成回路、400 重み付け係数生成回路、410 最大値検出回路、420A 除算器、420B 除算器、420L 除算器、430A 切捨て処理回路、430B 切捨て処理回路、430L 切捨て処理回路、440A 対数量子化回路、440B 対数量子化回路、440L 対数量子化回路、500 強度順出力回路、600 強度順選択回路、600a 強度順選択回路、700 重み付け係数生成回路、710B 除算器、710K 除算器、720B切捨て処理回路、720K 切捨て処理回路、730B 対数量子化回路、730K 対数量子化回路。

Claims (13)

  1. 第1,第2ないし第L(Lは2以上の整数)の受信信号から、それぞれの受信信号の現在の位相と1,2,…,N(Nは2以上の整数)シンボル周期前の位相との差である1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を生成する多重遅延検波手段と、
    前記第1、第2ないし第Lの受信信号のそれぞれに対応する受信信号強度を生成する信号強度検出手段と、
    前記多重遅延検波手段から出力される第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号に基づいて生成される各枝メトリックに前記信号強度検出手段から出力される第1,第2ないし第Lの受信信号強度に比例した重み付けを行い、該重み付けの行われた各枝メトリックを合成した合成枝メトリックを用いて送信差動位相系列の推定を行い、該送信差動位相系列の推定値に対応した復調データ系列を出力する系列推定手段とを備えたダイバーシチ受信機であって、
    前記系列推定手段が、
    前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を用いて、M(Mは送信差動位相の信号点位相の個数であって、2以上の整数)個の信号点位相を(N−1)個組み合わせてできるM N-1 個の状態間の状態遷移を表すトレリス線図上の各状態遷移に対応する枝メトリックを生成する第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算手段と、
    前記第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算手段から出力される各枝メトリックと前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度との乗算を行い、乗算結果を重み付けされた枝メトリックとして出力する第1,第2ないし第Lの乗算手段と、
    前記第1,第2ないし第Lの乗算手段から出力される重み付けされた枝メトリックのうち、同一の状態遷移に対応するもの同士を加算し、加算結果を前記トレリス線図上の各状態遷移に対応する合成枝メトリックとして出力する合成手段とを有し、
    前記合成枝メトリックを用いて、ビタビアルゴリズムに基づき前記送信差動位相系列の推定を行うことを特徴とするダイバーシチ受信機。
  2. 第1,第2ないし第L(Lは2以上の整数)の受信信号から、それぞれの受信信号の現在の位相と1,2,…,N(Nは2以上の整数)シンボル周期前の位相との差である1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を生成する多重遅延検波手段と、
    前記第1、第2ないし第Lの受信信号のそれぞれに対応する受信信号強度を生成する信号強度検出手段と、
    前記多重遅延検波手段から出力される第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号に基づいて生成される各枝メトリックに前記信号強度検出手段から出力される第1,第2ないし第Lの受信信号強度に比例した重み付けを行い、該重み付けの行われた各枝メトリックを合成した合成枝メトリックを用いて送信差動位相系列の推定を行い、該送信差動位相系列の推定値に対応した復調データ系列を出力する系列推定手段とを備えたダイバーシチ受信機であって、
    前記系列推定手段が、
    前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を用いて、M(Mは送信差動位相の信号点位相の個数であって、2以上の整数)個の信号点位相を(N−1)個組み合わせてできるM N-1 個の状態間の状態遷移を表すトレリス線図上の各状態遷移に対応する枝メトリックを生成する第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算手段と、
    前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度から第1,第2ないし第Lの重み付け係数を生成する重み付け係数生成手段と、
    前記第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算手段から出力される各枝メトリックと前記重み付け係数生成手段から出力される前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数との乗算を行い、乗算結果を重み付けされた枝メトリックとして出力する第1,第2ないし第Lの乗算手段と、
    前記第1,第2ないし第Lの乗算手段から出力される重み付けされた枝メトリックのうち、同一の状態遷移に対応するもの同士を加算し、加算結果を前記トレリス線図上の各状態遷移に対応する合成枝メトリックとして出力する合成手段とを有し、
    前記合成枝メトリックを用いて、ビタビアルゴリズムに基づき前記送信差動位相系列の推定を行うことを特徴とするダイバーシチ受信機。
  3. 前記重み付け係数生成手段は、
    前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度の中で最大のものを検出し、最大信号強度として出力する最大値検出手段と、
    前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度を前記最大値検出手段から出力される前記最大信号強度で除算し、除算結果を前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数として出力する第1,第2ないし第Lの除算手段とを備えることを特徴とする請求項2記載のダイバーシチ受信機。
  4. 前記重み付け係数生成手段は、
    前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度の中で最大のものを検出し、最大信号強度として出力する最大値検出手段と、
    前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度を前記最大値検出手段から出力される前記最大信号強度で除算し、除算結果を第1,第2ないし第Lの正規化信号強度として出力する第1,第2ないし第Lの除算手段と、
    前記第1,第2ないし第Lの除算手段から出力される前記第1,第2ないし第Lの正規化信号強度を入力し、前記第1,第2ないし第Lの正規化信号強度が所定のしきい値以上である場合には前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数として前記第1,第2ないし第Lの正規化信号強度を出力し、前記第1,第2ないし第Lの正規化信号強度が前記所定のしきい値未満である場合には前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数として零を出力する第1,第2ないし第Lの切捨て処理手段とを備えることを特徴とする請求項2記載のダイバーシチ受信機。
  5. 前記重み付け係数生成手段は、
    前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度の中で最大のものを検出し、最大信号強度として出力する最大値検出手段と、
    前記第1,第2ないし第Lの受信信号強度を前記最大値検出手段から出力される前記最大信号強度で除算し、除算結果を第1,第2ないし第Lの正規化信号強度として出力する第1,第2ないし第Lの除算手段と、
    前記第1,第2ないし第Lの除算手段から出力される前記第1,第2ないし第Lの正規化信号強度を入力し、前記第1,第2ないし第Lの重み付け係数として前記第1,第2ないし第Lの正規化信号強度の近傍の2の整数乗の数値を出力する第1,第2ないし第Lの対数量子化手段とを備えることを特徴とする請求項2記載のダイバーシチ受信機。
  6. 第1,第2ないし第L(Lは2以上の整数)の受信信号から、それぞれの受信信号の現在の位相と1,2,…,N(Nは2以上の整数)シンボル周期前の位相との差である1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を生成する多重遅延検波手段と、
    前記第1、第2ないし第Lの受信信号のそれぞれに対応する受信信号強度を生成する信号強度検出手段と、
    前記多重遅延検波手段から出力される第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号に基づいて生成される各枝メトリックに前記信号強度検出手段から出力される第1,第2ないし第Lの受信信号強度に比例した重み付けを行い、該重み付けの行われた各枝メトリックを合成した合成枝メトリックを用いて送信差動位相系列の推定を行い、該送信差動位相系列の推定値に対応した復調データ系列を出力する系列推定手段とを備えたダイバーシチ受信機であって、
    前記系列推定手段が、
    前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号および第1,第2ないし第Lの受信信号強度を入力し、第1,第2ないし第Lの受信信号強度の大きさを比較し、k(k=1,2,…,L)番目に大きい信号強度を有する受信信号から生成された1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を、k番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号として出力する強度順出力手段と、
    前記強度順出力手段から出力される1,2,…,L番目に大きい強度の1,2,…,N シンボル遅延検波信号を用いて、M(Mは送信差動位相の信号点位相の個数であって、2以上の整数)個の信号点位相を(N−1)個組み合わせてできるM N-1 個の状態間の状態遷移を表すトレリス線図上の各状態遷移に対応する枝メトリックを生成する第1,第2ないし第Lの枝メトリック計算手段と、
    前記第2ないし第Lの枝メトリック計算手段から出力される各枝メトリックに、それぞれ0以下の整数であるJ(k)(k=1,…,L−1)によって定まる定数2 J(1) ,…,2 J(L-1) を乗算し、乗算結果を重み付けされた枝メトリックとして出力する第1ないし第(L−1)の乗算手段と、
    前記第1の枝メトリック計算手段から出力される枝メトリックと前記第1ないし第(L−1)の乗算手段から出力される重み付けされた枝メトリックのうち、同一の状態遷移に対応するもの同士を加算し、加算結果を前記トレリス線図上の各状態遷移に対応する合成枝メトリックとして出力する合成手段とを有し、
    前記合成枝メトリックを用いて、ビタビアルゴリズムに基づき前記送信差動位相系列の推定を行うことを特徴とするダイバーシチ受信機。
  7. 第1,第2ないし第L(Lは2以上の整数)の受信信号から、それぞれの受信信号の現在の位相と1,2,…,N(Nは2以上の整数)シンボル周期前の位相との差である1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を生成する多重遅延検波手段と、
    前記第1、第2ないし第Lの受信信号のそれぞれに対応する受信信号強度を生成する信号強度検出手段と、
    前記多重遅延検波手段から出力される第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号に基づいて生成される各枝メトリックに前記信号強度検出手段から出力される第1,第2ないし第Lの受信信号強度に比例した重み付けを行い、該重み付けの行われた各枝メトリックを合成した合成枝メトリックを用いて送信差動位相系列の推定を行い、該送信差動位相系列の推定値に対応した復調データ系列を出力する系列推定手段とを備えたダイバーシチ受信機であって、
    前記系列推定手段が、
    前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号および第1,第2ないし第Lの受信信号強度を入力し、第1,第2ないし第Lの受信信号強度の大きさを比較し、K(Kは1以上L未満の整数)番目に大きい信号強度までを選択して1,2…,K番目に大きい信号強度として出力するとともに、k(k=1,2,…,K)番目に大きい信号強度を有する受信信号から生成された1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を、k番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号として出力する強度順選択手段と、
    前記強度順選択手段から出力される1,2,…,K番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を用いて、M(Mは送信差動位相の信号点位相の個数であって、2以上の整数)個の信号点位相を(N−1)個組み合わせてできるM N-1 個の状態間の状態遷移を表すトレリス線図上の各状態遷移に対応する枝メトリックを生成する第1,第2ないし第Kの枝メトリック計算手段と、
    前記第1,第2ないし第Kの枝メトリック計算手段から出力される各枝メトリックと前記1,2…,K番目に大きい信号強度との乗算を行い、乗算結果を重み付けされた枝メトリックとして出力する第1,第2ないし第Kの乗算手段と、
    前記第1,第2ないし第Kの乗算手段から出力される重み付けされた枝メトリックのうち、同一の状態遷移に対応するもの同士を加算し、加算結果を前記トレリス線図上の各状態遷移に対応する合成枝メトリックとして出力する合成手段とを有し、
    前記合成枝メトリックを用いて、ビタビアルゴリズムに基づき前記送信差動位相系列の推定を行うことを特徴とするダイバーシチ受信機。
  8. 第1,第2ないし第L(Lは2以上の整数)の受信信号から、それぞれの受信信号の現在の位相と1,2,…,N(Nは2以上の整数)シンボル周期前の位相との差である1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を生成する多重遅延検波手段と、
    前記第1、第2ないし第Lの受信信号のそれぞれに対応する受信信号強度を生成する信号強度検出手段と、
    前記多重遅延検波手段から出力される第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号に基づいて生成される各枝メトリックに前記信号強度検出手段から出力される第1,第2ないし第Lの受信信号強度に比例した重み付けを行い、該重み付けの行われた各枝メトリックを合成した合成枝メトリックを用いて送信差動位相系列の推定を行い、該送信差動位相系列の推定値に対応した復調データ系列を出力する系列推定手段とを備えたダイバーシチ受信機であって、
    前記系列推定手段が、
    前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号および第1,第2ないし第Lの受信信号強度を入力し、第1,第2ないし第Lの受信信号強度の大きさを比較し、K(Kは1以上L未満の整数)番目に大きい信号強度までを選択して1,2…,K番目に大きい信号強度として出力するとともに、k(k=1,2,…,K)番目に大きい信号強度を有する受信信号から生成された1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を、k番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号として出力する強度順選択手段と、
    前記強度順選択手段から出力される1,2,…,K番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を用いて、M(Mは送信差動位相の信号点位相の個数であって、2以上の整数)個の信号点位相を(N−1)個組み合わせてできるM N-1 個の状態間の状態遷移を表すトレリス線図上の各状態遷移に対応する枝メトリックを生成する第1,第2ないし第Kの枝メトリック計算手段と、
    前記1,2,…,K番目に大きい信号強度から第1ないし第(K−1)の重み付け係数を生成する重み付け係数生成手段と、
    前記第2ないし第Kの枝メトリック計算手段から出力される各枝メトリックと前記重み付け係数生成手段から出力される前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数との乗算を行い、乗算結果を重み付けされた枝メトリックとして出力する第1ないし第(K−1)の乗算手段と、
    前記第1の枝メトリック計算手段から出力される枝メトリックと前記第1ないし第(K−1)の乗算手段から出力される重み付けされた枝メトリックのうち、同一の状態遷移に対応するもの同士を加算し、加算結果を前記トレリス線図上の各状態遷移に対応する合成枝メトリックとして出力する合成手段とを有し、
    前記合成枝メトリックを用いて、ビタビアルゴリズムに基づき前記送信差動位相系列の推定を行うことを特徴とするダイバーシチ受信機。
  9. 前記重み付け係数生成手段は、
    前記2,…,K番目に大きい信号強度を前記1番目に大きい信号強度で除算し、除算結果を前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数として出力する第1ないし第(K−1)の除算手段とを備えることを特徴とする請求項8記載のダイバーシチ受信機。
  10. 前記重み付け係数生成手段は、
    前記2,…,K番目に大きい信号強度を前記1番目に大きい信号強度で除算し、除算結果を第1ないし第(K−1)の正規化信号強度として出力する第1ないし第(K−1)の除算手段と、
    前記第1ないし第(K−1)の除算手段から出力される前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度を入力し、前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度が所定のしきい値以上である場合には前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数として前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度を出力し、前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度が前記所定のしきい値未満である場合には前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数として零を出力する第1ないし第(K−1)の切捨て処理手段とを備えることを特徴とする請求項8記載のダイバーシチ受信機。
  11. 前記重み付け係数生成手段は、
    前記2,…,K番目に大きい信号強度を前記1番目に大きい信号強度で除算し、除算結果を前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度として出力する第1ないし第(K−1)の除算手段と、
    前記第1ないし第(K−1)の除算手段から出力される前記第1ないし第(K−1)の 正規化信号強度を入力し、前記第1ないし第(K−1)の重み付け係数として前記第1ないし第(K−1)の正規化信号強度の近傍の2の整数乗の数値を出力する第1ないし第(K−1)の対数量子化手段とを備えることを特徴とする請求項8記載のダイバーシチ受信機。
  12. 第1,第2ないし第L(Lは2以上の整数)の受信信号から、それぞれの受信信号の現在の位相と1,2,…,N(Nは2以上の整数)シンボル周期前の位相との差である1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を生成する多重遅延検波手段と、
    前記第1、第2ないし第Lの受信信号のそれぞれに対応する受信信号強度を生成する信号強度検出手段と、
    前記多重遅延検波手段から出力される第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号に基づいて生成される各枝メトリックに前記信号強度検出手段から出力される第1,第2ないし第Lの受信信号強度に比例した重み付けを行い、該重み付けの行われた各枝メトリックを合成した合成枝メトリックを用いて送信差動位相系列の推定を行い、該送信差動位相系列の推定値に対応した復調データ系列を出力する系列推定手段とを備えたダイバーシチ受信機であって、
    前記系列推定手段が、
    前記第1,第2ないし第Lの1,2,…,Nシンボル遅延検波信号および第1,第2ないし第Lの受信信号強度を入力し、第1,第2ないし第Lの受信信号強度の大きさを比較し、1,2…,K(Kは1以上L未満の整数)番目に大きい信号強度を有する受信信号から生成された1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を、それぞれ1,2…,K番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号として選択して出力する強度順選択手段と、
    前記強度順選択手段から出力される1,2,…,K番目に大きい強度の1,2,…,Nシンボル遅延検波信号を用いて、M(Mは送信差動位相の信号点位相の個数であって、2以上の整数)個の信号点位相を(N−1)個組み合わせてできるM N-1 個の状態間の状態遷移を表すトレリス線図上の各状態遷移に対応する枝メトリックを生成する第1,第2ないし第Kの枝メトリック計算手段と、
    前記第2ないし第Kの枝メトリック計算手段から出力される各枝メトリックに、それぞれ0以下の整数であるJ(k)(k=1,…,K−1)によって定まる定数2 J(1) ,…,2 J(K-1) を乗算し、乗算結果を重み付けされた枝メトリックとして出力する第1ないし第(K−1)の乗算手段と、
    前記第1の枝メトリック計算手段から出力される枝メトリックと前記第1ないし第(K−1)の乗算手段から出力される重み付けされた枝メトリックのうち、同一の状態遷移に対応するもの同士を加算し、加算結果を前記トレリス線図上の各状態遷移に対応する合成枝メトリックとして出力する合成手段とを有し、
    前記合成枝メトリックを用いて、ビタビアルゴリズムに基づき前記送信差動位相系列の推定を行うことを特徴とするダイバーシチ受信機。
  13. 前記信号強度検出手段は、各受信信号の振幅をu(uは0以上の実数)乗した値を、それぞれの受信信号強度として生成することを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載のダイバーシチ受信機。
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