以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る車両用電源装置を含む電源システムの構成を示すブロック図である。
図1に示す電源システム100は、発電機110、2つのバッテリ(第1バッテリ120と第2バッテリ130)、2つの電流センサ122、132、DC/DCコンバータ140、4つの車載リレー(第1車載リレー150、第2車載リレー152、第3車載リレー154、および第4車載リレー156)、電源ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)160、スタータ170、スタータリレー172、および車載の他の一般負荷(電装品)180を有する。上記構成要素のうち、2つのバッテリ120、130、2つの電流センサ122、132、DC/DCコンバータ140、4つの車載リレー150〜156、および電源ECU160は、電源装置を構成する。なお、以下では、スタータ170と他の一般負荷(電装品)180とを総称して「電気負荷」と呼ぶことにする。
発電機110は、車両の減速時に、エンジン112の回転が伝達されて発電し、回生エネルギの電力を出力する。例えば、発電機110は、ICレギュレータ付きの大容量オルタネータ(例えば、150Aクラス)であり、エンジン112によってベルト駆動されて、電源ECU160から指示された電圧(例えば、29Vの電圧)を発生する。また、電源ECU160の制御により、車両の減速時以外にも、必要に応じて、発電機110を駆動(発電)させることも可能である。発電機110は、第1バッテリ120およびDC/DCコンバータ140にそれぞれ接続されている。
なお、本実施の形態では、発電機110としてオルタネータを用いているが、これに限定されない。例えば、発電機110として、オルタネータに代えて、モータジェネレータを採用することも可能である。モータジェネレータは、1台で電動機(モータ)の機能と発電機(ジェネレータ)の機能とを兼ね備えたものである。また、発電機110は、エンジン112によるベルト駆動に代えて、例えば、車軸やクランク軸などに、ギヤやベルトなどの伝達手段によって接続したり、あるいは、直接連結したりしてもよい。
2つのバッテリ(第1バッテリ120と第2バッテリ130)は、例えば、いずれも公称電圧12Vの一般的な鉛バッテリであり、12〜13Vの電圧を発生し、電気負荷(スタータ170、一般負荷180)への電力供給を行う。鉛バッテリは、技術的に確立されているため、システムとして安全であるとともに、比較的安価な蓄電デバイスであるため、システムコストも比較的安価にすることができる。後で詳述するが、2つのバッテリ120、130は、エンジン始動後は直列に接続されており、車両減速時に発電機110にて発生した回生エネルギを回収し蓄電する。2つのバッテリ120、130を直列に接続して充電することにより、高い電圧での充電が可能となり、回生エネルギの回収を効率的に行うことができる。バッテリ120、130は、このように回生エネルギを充電するため、充電電流が大きくなる充電受入性に優れたバッテリであることが好ましい。例えば、アイドリングストップ用の鉛バッテリは、充電受入性に優れているため、特に好ましい。また、2つのバッテリ120、130は、1つのユニットへのモジュール化を可能にするため、同じ種類のバッテリであることが好ましい。2つのバッテリ120、130をモジュール化することにより、設計の自由度が増大し、かつ、設置スペースも削減することができる。
なお、本実施の形態では、システムの低コスト化や簡単化などを考慮して、バッテリ120、130として鉛バッテリを用いているが、これに限定されない。例えば、バッテリ120、130として、鉛バッテリに代えて、ニッケル水素バッテリやリチウムイオンバッテリなどを用いることも可能である。
電流センサ122は、第1バッテリ120の状態を検出するために第1バッテリ120の充放電電流を測定するための電流センサである。また、電流センサ132は、第2バッテリ130の状態を検出するために第2バッテリ130の充放電電流を測定するための電流センサである。
DC/DCコンバータ140は、直流電圧をこれよりも低い別の直流電圧に変換する降圧方向タイプのDC/DCコンバータである。DC/DCコンバータ140は、入力電圧として、例えば、バッテリ充電時は最大で29V(=14.5V×2)、バッテリ放電時は最大で24V(=12V×2)の電圧を、少なくともこの範囲で入力可能である。また、DC/DCコンバータ140は、出力電圧として、例えば、12.5〜14.5Vの電圧を出力可能である。DC/DCコンバータ140の出力電圧は、電源ECU160によって制御される。例えば、通常は、DC/DCコンバータ140の出力電圧を12.5Vに制御して電気負荷(スタータ170、一般負荷180)への電力供給を行うが、第2バッテリ130のみを充電するモードのときには、DC/DCコンバータ140の出力電圧を14.5Vに制御する。また、DC/DCコンバータ140の出力電圧は、バッテリ120、130の充電量に応じて調整される。なお、第1バッテリ120のみを充電するモードのときには、DC/DCコンバータ140の出力電圧を12.5Vに制御した状態で、発電機の出力電圧を14.5Vに制御する。
4つの車載リレー(第1車載リレー150、第2車載リレー152、第3車載リレー154、および第4車載リレー156)は、エンジン112のオン(始動)/オフ(停止)に応じて2つのバッテリ120、130の接続を並列または直列に切り換えるために用いられる。4つの車載リレー150〜156は、それぞれ、電源ECU160からの制御信号によってON/OFFを繰り返す。
第1車載リレー150は、第1バッテリ120と第2バッテリ130(厳密には第2バッテリ130用の電流センサ132)との間に設けられている。第2車載リレー152は、一端が第1バッテリ120と第1車載リレー150との間に接続され、他端が接地されている。第3車載リレー154は、一端が発電機110と第1バッテリ120(厳密には第1バッテリ120用の電流センサ122)との間に接続され、他端がDC/DCコンバータ140と一般負荷180との間に接続されている。第4車載リレー156は、一端が第1車載リレー150と第2バッテリ130(厳密には第2バッテリ130用の電流センサ132)との間に接続され、他端がDC/DCコンバータ140と一般負荷180との間に接続されている。後述するように、4つの車載リレー150〜156のON/OFFの組み合わせによって、発電機110からバッテリ120、130への充電回路およびバッテリ120、130から電気負荷(スタータ170、一般負荷180)への給電回路が適宜選択される。
2つのバッテリ120、130を直列に接続して充電する場合、第1車載リレー150には発電機110から回生エネルギの大電流が流れるため、第1車載リレー150は、大容量対応のリレー(例えば、150Aクラス)でなければならない。これに対し、他の車載リレー152、154、156は、バッテリ120、130から電気負荷(スタータ170、一般負荷180)への電力供給に使用されるため、第1車載リレー150に比べて大容量対応である必要はなく、例えば、40Aクラスのリレーでもよい。
電源ECU160は、当該電源システム100を総合的に制御する。具体的には、例えば、電源ECU160は、エンジン112のオン(始動)/オフ(停止)に応じて2つのバッテリ120、130の接続を並列または直列に切り換えるために、4つの車載リレー150〜156のON(閉)/OFF(開)を制御する。また、電源ECU160は、各バッテリ120、130の電圧および充放電電流を測定し、電流積算によって各バッテリ120、130の充電状態(SOC:State Of Charge)を算出する。また、電源ECU160は、発電機110およびDC/DCコンバータ140を制御する。また、電源ECU160は、後述する他の制御を行う。電源ECU160の制御内容については、図2以降のフローチャートを用いて、後で詳述する。なお、電源ECU160は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、プログラムを記録したROM(Read Only Memory)、およびプログラム実行用のRAM(Random Access Memory)から構成されている(いずれも図示せず)。
スタータ170は、エンジン112を始動(クランキング)する際に使用されるモータである。スタータ170は、走行途中に停車してアイドリングストップした後のエンジン再始動にも使用される。スタータ170への通電は、エンジンの始動スイッチである図示しないイグニッション(IG)スイッチをエンジンスタート位置(ST位置)に投入してスタータリレー172をONすることによって行われる。
一般負荷180は、例えば、車両に搭載される各種ランプ類やワイパ、オーディオ機器、ナビゲーション装置、空調装置などである。
本実施の形態では、エンジン112が稼動しているときには2つのバッテリ120、130を直列に接続する。そして、車両が減速したときには、発電機110が発生する回生電力を、直列に接続したバッテリ120、130に、高い電圧で同時に充電する。例えば、この場合、1つのバッテリを14.5Vで充電すると、2つのバッテリで29Vの充電が可能になる。また、このように回生電力が発生しているときは、直列に接続したバッテリ120、130への充電とともに、発電機110から直接DC/DCコンバータ140を通じて(電圧を降圧して)一般負荷180へ12Vで電力を供給する。
また、車両が減速していないときには、直列接続されたバッテリ120、130からDC/DCコンバータ140を通じて(電圧を降圧して)一般負荷180へ、12Vの電力を供給する。
また、エンジン112が停止しているときには、DC/DCコンバータ140を動作し続けることは電力を消費するため、DC/DCコンバータ140の動作を停止させ、2つのバッテリ120、130を並列接続に切り換えて、バッテリ120、130から一般負荷180へ12Vで暗電流を供給する。
また、充電と放電を繰り返すうちに、2つのバッテリ120、130の充電率(SOC)が異なってくるため、本実施の形態では、2つのバッテリ120、130の充電率を所定値以上にそろえる手段を設けている(後述する補充電処理)。
上記のように、電源ECU160は、エンジン112のオン/オフに応じて2つのバッテリ120、130の接続を並列または直列に切り換える。このときの4つの車載リレー150〜156のON/OFF状態は、次の通りである。
2つのバッテリ120、130を並列に接続する場合、電源ECU160は、第1車載リレー150をOFF(開)状態、第2車載リレー152をON(閉)状態、第3車載リレー154をON(閉)状態、第4車載リレー156をON(閉)状態、にそれぞれ制御する。この場合、電源ECU160は、DC/DCコンバータ140を停止(オフ)させる。
このとき、バッテリ120、130から一般負荷180への給電回路として、第1バッテリ120→第3車載リレー154→一般負荷180という回路と、第2バッテリ130→第4車載リレー156→一般負荷180という回路とが形成される。
一方、2つのバッテリ120、130を直列に接続する場合、電源ECU160は、第1車載リレー150をON(閉)状態、第2車載リレー152をOFF(開)状態、第3車載リレー154をOFF(開)状態、第4車載リレー156をOFF(開)状態、にそれぞれ制御する。この場合、電源ECU160は、DC/DCコンバータ140を起動(オン)させる。
このとき、発電機110からバッテリ120、130への充電回路として、発電機110→直列接続されたバッテリ120、130という回路が形成される。また、バッテリ120、130から一般負荷180への給電回路として、直列接続されたバッテリ120、130→DC/DCコンバータ140→一般負荷180という回路が形成される。なお、この場合、一般負荷180への給電回路として、発電機110→DC/DCコンバータ140→一般負荷180という、発電機110から直接給電される回路も形成される。
次いで、上記構成を有する電源システム100の動作について、図2〜図10を用いて説明する。ここで、図2は、電源システム100の全体動作を示すフローチャート、図3は、図2の始動処理の内容を示すフローチャート、図4は、並列から直列へのバッテリの接続の切り換え手順を示す図、図5は、図2のバッテリ状態検出処理の内容を示すフローチャート、図6は、図2の回生発電制御処理の内容を示すフローチャート、図7は、図6の発電制御処理の内容を示すフローチャート、図8は、図2の補充電処理の内容を示すフローチャート、図9は、図2の停止処理の内容を示すフローチャート、図10は、直列から並列へのバッテリの接続の切り換え手順を示す図である。なお、これらのフローチャートは、図示しない記憶装置(例えば、ROMなど)に制御プログラムとして記憶されており、図示しないCPUによって実行される。
まず、ステップS1000で、電源ECU160は、図示しないイグニッション(IG)スイッチがONされたか否かを判断する。具体的には、電源ECU160は、イグニッションスイッチがエンジンスタート位置(ST位置)に投入された場合に、イグニッションスイッチがONされたと判断する。この判断の結果として、イグニッションスイッチがONされた場合は(S1000:YES)、ステップS2000に進み、イグニッションスイッチがONされていない場合は(S1000:NO)、待機する。
ステップS2000では、電源ECU160は、始動処理を行う。この始動処理の内容は、図3のフローチャートに示す通りである。
まず、ステップS2100で、電源ECU160は、エンジン112を始動させる。具体的には、電源ECU160は、スタータリレー172をONして、並列接続されたバッテリ120、130からスタータ170を通電させる。これにより、エンジン112が始動する。
そして、ステップS2200で、電源ECU160は、DC/DCコンバータ140を起動(オン)させる。
そして、ステップS2300で、電源ECU160は、4つの車載リレー150〜156を制御して、2つのバッテリ120、130の接続を並列から直列に切り換える。このときの具体的な切り換え手順は、図4に示す通りである。この切り換え手順により、2つのバッテリ120、130の接続を、安全かつ確実に、並列から直列に切り換えることができる。その後、制御手順は、図2のメインフローチャートにリターンする。
次に、ステップS3000で、電源ECU160は、バッテリ状態検出処理を行う。このバッテリ状態検出処理の内容は、図5のフローチャートに示す通りである。
まず、ステップS3100で、電源ECU160は、バッテリの測定を行う。具体的には、電源ECU160は、第1バッテリ120の電流(I1)と電圧(V1)を測定するとともに、第2バッテリ130の電流(I2)と電圧(V2)を測定する。第1バッテリ120の電流(I1)は、電流センサ122によって検出され、第2バッテリ130の電流(I2)は、電流センサ132によって検出される。
そして、ステップS3200で、電源ECU160は、バッテリ状態の算出を行う。具体的には、電源ECU160は、例えば、電流センサ122の検出結果(充放電の電流値)を積算して第1バッテリ120のSOC(以下「SOC1」と表記する)を算出し、また、電流センサ132の検出結果(充放電の電流値)を積算して第2バッテリ130のSOC(以下「SOC2」と表記する)を算出する。このように、バッテリに流れ込む電流とバッテリから流れ出す電流を積算することによって(いわゆるクーロンカウント処理)、バッテリのSOCを算出することができる。なお、バッテリ120、130のSOCの算出方法は、クーロンカウント処理に限定されず、他の周知の任意の方法を採用することができる。その後、制御手順は、図2のメインフローチャートにリターンする。
次に、ステップS4000で、電源ECU160は、回生発電制御を行う。この回生発電制御の内容は、図6のフローチャートに示す通りである。
まず、ステップS4100で、電源ECU160は、車速が所定値(例えば、10km/h)以上であり、かつ、車両が減速中である、か否かを判断する。ここで、車速が所定値以上であるか否かを判断するのは、現在の車速が回生発電に適しているか否か、つまり、回生発電に必要な運動エネルギが車両にあるか否かを判断するためである。回生エネルギは車両の運動エネルギを電気エネルギに変換したものであり、車速が低いと運動エネルギも小さいため、回生エネルギ量は期待できない。また、車両が減速中であるか否かは、例えば、車両の車速情報に基づいて、または、ブレーキの踏み込み度(ブレーキが踏まれているか否か)に基づいて判断される。この判断の結果として、車速が所定値(10km/h)以上であり、かつ、車両が減速中である場合は(S4100:YES)、ステップS4200に進み、そうでない場合、つまり、車速が所定値(10km/h)未満であり、または、車両が減速中でない(つまり、加速時や定常走行時、アイドリング時など)場合は(S4100:NO)、直ちに図2のメインフローチャートにリターンする。
ステップS4200では、電源ECU160は、発電機110に対して発電制御を行う。この発電制御では、各バッテリ120、130の電圧V1、V2が所定値(例えば、14.5V)を超えないように制御される。鉛バッテリは、あまり高い電圧を与えると、劣化が進むためである。また、この発電制御では、2つのバッテリ120、130の少なくともいずれか一方のSOCが100%以上になった場合、発電機110の発電を停止させる。鉛バッテリは、過充電によっても劣化が進むためである。この発電制御の内容は、図7のフローチャートに示す通りである。
まず、ステップS4210で、電源ECU160は、第1バッテリ120の充電状態(SOC1)が100%以上であり、または、第2バッテリ130の充電状態(SOC2)が100%以上である、か否かを判断する。この判断の結果として、第1バッテリ120の充電状態(SOC1)が100%以上であり、または、第2バッテリ130の充電状態(SOC2)が100%以上である場合、つまり、2つのバッテリ120、130の少なくともいずれか一方のSOCが100%以上になった場合は(S4210:YES)、ステップS4220に進み、そうでない場合、つまり、2つのバッテリ120、130のSOCが両方とも100%未満である場合は(S4210:NO)、ステップS4230に進む。
ステップS4220では、電源ECU160は、発電機110の発電を停止させる。その後、制御手順は、図2のメインフローチャートにリターンする。
一方、ステップS4230では、電源ECU160は、さらに、第1バッテリ120の電圧(V1)が所定値(例えば、14.5V)を超えており、または、第2バッテリ130の電圧(V2)が所定値(例えば、14.5V)を超えている、か否かを判断する。この判断の結果として、第1バッテリ120の電圧(V1)が所定値(14.5V)を超えており、または、第2バッテリ130の電圧(V2)が所定値(14.5V)を超えている場合、つまり、2つのバッテリ120、130の少なくともいずれか一方の電圧が所定値(14.5V)を超えている場合は(S4230:YES)、ステップS4240に進み、そうでない場合、つまり、2つのバッテリ120、130の電圧V1、V2が両方とも所定値(14.5V)以下である場合は(S4230:NO)、ステップS4250に進む。
ステップS4240では、電源ECU160は、発電機110への出力指令値を目標値(例えば、29V)よりも低く設定する。その後、制御手順は、図2のメインフローチャートにリターンする。
一方、ステップS4250では、電源ECU160は、発電機110への出力指令値を目標値(29V)に設定する。その後、制御手順は、図2のメインフローチャートにリターンする。
なお、ステップS4240の制御内容は、上記の例に限定されない。この場合、所定値(14.5V)を超えているバッテリの電圧を所定値(14.5V)以下に下げることができれば、どのような制御方法を採用してもよい。例えば、いわゆるPID制御を利用して、所定値(14.5V)を超えているバッテリの電圧を所定値(14.5V)に収束させる制御を行うことも可能である。
次に、ステップS5000で、電源ECU160は、補充電処理を行う。この補充電処理は、2つのバッテリ120、130間のSOCの差が大きくならないようにするため、または、各バッテリ120、130のSOCの値が所定値以下になったときに充電するための制御である。前者は、2つのバッテリ120、130間のSOCの差が大きくなると、直列の接続状態における充放電特性が劣化するためである。また、後者は、SOCが低下すると、鉛バッテリの劣化が進むためである。この補充電処理の内容は、図8のフローチャートに示す通りである。
まず、ステップS5100で、電源ECU160は、第1バッテリ120の充電状態SOC1が所定値A未満であり、かつ、第2バッテリ130の充電状態SOC2が所定値A未満である、か否かを判断する。ここで、所定値Aは、例えば、80〜90%の範囲内の適当な値である。この判断の結果として、第1バッテリ120の充電状態SOC1が所定値A未満であり、かつ、第2バッテリ130の充電状態SOC2が所定値A未満である場合、つまり、2つのバッテリ120、130のSOCが両方とも所定値A未満である場合は(S5100:YES)、ステップS5200に進み、そうでない場合は(S5100:NO)、ステップS5300に進む。
ステップS5200では、電源ECU160は、2つのバッテリ120、130を直列で同時に充電させる。具体的には、この場合、電源ECU160は、車両が走行している限り、2つのバッテリ120、130の接続状態を直列のままに維持する。このときの補充電は、車両が減速中か否かにかかわらず、バッテリの劣化回避のために直ちに2つのバッテリ120、130に対して行う必要がある。このため、車両が減速中のときには、この機会を利用して、回生エネルギをバッテリ120、130に充電し、一方、車両が減速中でないとき、つまり、走行中のときには、発電機110を強制的に29Vで発電させてバッテリ120、130を充電する。これにより、車両減速時に発電機110にて発生する回生エネルギまたは車両走行時に発電機110にて強制発電される電力が直列のバッテリ120、130に同時に充電される(発電機110→直列接続されたバッテリ120、130という充電回路)。このような同時充電は、2つのバッテリ120、130の少なくともいずれか一方のSOCが所定値A以上になるまで継続される。なお、充電中は、上記のように、発電機110から直接DC/DCコンバータ140を通じて(電圧を降圧して)一般負荷180への電力供給を行う(発電機110→DC/DCコンバータ140→一般負荷180という給電回路)。このとき、DC/DCコンバータ140が停止(オフ)状態にあれば、電源ECU160は、DC/DCコンバータ140を起動(オン)させる。
一方、ステップS5300では、電源ECU160は、さらに、第1バッテリ120の充電状態SOC1のみが所定値A未満であるか否かを判断する。この判断の結果として、第1バッテリ120の充電状態SOC1のみが所定値A未満である場合は(S5300:YES)、ステップS5400に進み、そうでない場合は(S5300:NO)、ステップS5500に進む。
ステップS5400では、電源ECU160は、第1バッテリ120のみを充電させる。具体的には、この場合、電源ECU160は、充電開始時に、バッテリ120、130の接続状態を直列から並列に切り換えた後、さらに、第4車載リレー156をOFF(開)状態にする。これにより、第1車載リレー150はOFF(開)状態、第2車載リレー152はON(閉)状態、第3車載リレー154はON(閉)状態、第4車載リレー156はOFF(開)状態となる。また、電源ECU160は、この切り換えの際に、DC/DCコンバータ140を停止(オフ)させる。第1バッテリ120への充電は、電源ECU160が発電機110を制御して、例えば、14.5Vの発電により、発電機110から行われる(発電機110→第1バッテリ120という充電回路)。第1バッテリ120への充電中は、発電機110から直接第3車載リレー154を介して一般負荷180への電力供給を行う(発電機110→第3車載リレー154→一般負荷180という給電回路)。なお、第1バッテリ120への充電が完了すると、電源ECU160は、一旦、第4車載リレー156をON(閉)状態にしてバッテリ120、130の接続状態を並列に戻した後、さらに、バッテリ120、130の接続状態を直列に戻す。また、電源ECU160は、この切り換えの際に、DC/DCコンバータ140を起動(オン)させる。
一方、ステップS5500では、電源ECU160は、さらに、第2バッテリ130の充電状態SOC2のみが所定値A未満であるか否かを判断する。この判断の結果として、第2バッテリ130の充電状態SOC2のみが所定値A未満である場合は(S5500:YES)、ステップS5600に進み、そうでない場合は(S5500:NO)、ステップS5700に進む。
ステップS5600では、電源ECU160は、第2バッテリ130のみを充電させる。具体的には、この場合、電源ECU160は、充電開始時に、バッテリ120、130の接続状態を直列から並列に切り換えた後、さらに、第2車載リレー152をOFF(開)状態にする。これにより、第1車載リレー150はOFF(開)状態、第2車載リレー152はOFF(開)状態、第3車載リレー154はON(閉)状態、第4車載リレー156はON(閉)状態となる。また、電源ECU160は、この切り換えの際に、DC/DCコンバータ140を停止(オフ)させる。第2バッテリ130への充電は、電源ECU160が発電機110を制御して、例えば、14.5Vの発電により、発電機110から行われる(発電機110→第3車載リレー154→第4車載リレー156→第2バッテリ130という充電回路)。第2バッテリ130への充電中は、発電機110から直接第3車載リレー154を介して一般負荷180への電力供給を行う(発電機110→第3車載リレー154→一般負荷180という給電回路)。なお、第2バッテリ130への充電が完了すると、電源ECU160は、一旦、第2車載リレー152をON(閉)状態にしてバッテリ120、130の接続状態を並列に戻した後、さらに、バッテリ120、130の接続状態を直列に戻す。また、電源ECU160は、この切り換えの際に、DC/DCコンバータ140を起動(オン)させる。
一方、ステップS5700では、電源ECU160は、さらに、2つのバッテリ120、130間のSOCの差が所定値αよりも大きいか否かを判断する。図1に示す回路構成では、通常、第1バッテリ120よりも第2バッテリ130のほうが放電量が大きく、SOCが小さくなりがちである。そこで、ここでは、2つのバッテリ120、130間のSOCの差として、SOC1からSOC2を引いた値を求めている。また、所定値αは、例えば、2%である。この判断の結果として、2つのバッテリ120、130間のSOCの差(SOC1−SOC2)が所定値αよりも大きい場合は(S5700:YES)、ステップS5800に進み、そうでない場合、つまり、2つのバッテリ120、130間のSOCの差(SOC1−SOC2)が所定値α以下の場合は(S5700:NO)、直ちに図2のメインフローチャートにリターンする。
ステップS5800では、電源ECU160は、2つのバッテリ120、130間のSOCの差を所定値α以下に抑えるため、SOCが大きい第1バッテリ120からのみ放電させる。具体的には、この場合、電源ECU160は、バッテリ120、130の接続状態を直列から並列に切り換えた後、さらに、第4車載リレー156をOFF(開)状態にする。これにより、第1車載リレー150はOFF(開)状態、第2車載リレー152はON(閉)状態、第3車載リレー154はON(閉)状態、第4車載リレー156はOFF(開)状態となる。また、この間、電源ECU160は、DC/DCコンバータ140を一時的に停止(オフ)させる。このとき、第1バッテリ120は、第3車載リレー154を介して一般負荷180への電力供給を行うことによって、放電する(第1バッテリ120→第3車載リレー154→一般負荷180という給電回路)。この間、第2バッテリ130は、充放電を行わない。なお、2つのバッテリ120、130間のSOCの差が所定値α以下になると、電源ECU160は、DC/DCコンバータ140を起動(オン)させた後、一旦、第4車載リレー156をON(閉)状態にしてバッテリ120、130の接続状態を並列に戻し、その後さらに、バッテリ120、130の接続状態を直列に戻す。
次に、ステップS6000で、電源ECU160は、図示しないイグニッション(IG)スイッチがOFFされたか否かを判断する。この判断の結果として、イグニッションスイッチがOFFされた場合は(S6000:YES)、ステップS7000に進み、イグニッションスイッチがOFFされていない場合は(S6000:NO)、ステップS3000に戻る。
ステップS7000では、電源ECU160は、停止処理を行う。この停止処理の内容は、図9のフローチャートに示す通りである。
まず、ステップS7100で、電源ECU160は、4つの車載リレー150〜156を制御して、2つのバッテリ120、130の接続を直列から並列に切り換える。このときの具体的な切り換え手順は、図10に示す通りである。この切り換え手順により、2つのバッテリ120、130の接続を、安全かつ確実に、直列から並列に切り換えることができる。
そして、ステップS7200で、電源ECU160は、DC/DCコンバータ140を停止(オフ)させる。
そして、ステップS7300で、電源ECU160は、エンジン112を停止させる。具体的には、電源ECU160は、エンジン112を停止させる制御信号を、エンジンの動作を制御する図示しないエンジンECUに出力する。これにより、エンジン112が停止する。
なお、上記の一連の制御において、アイドリングストップ機能は考慮されていないが、もちろん、これを考慮することも可能である。具体的には、例えば、アイドリングストップしてエンジン112を停止させる度に、2つのバッテリ120、130の接続を直列から並列に切り換えるようにしてもよい。
このように、本実施の形態によれば、車両が減速して発電機110が回生エネルギを出力しているときは、バッテリ120、130を直列に接続して、発電機110にて発生する回生エネルギを、直列に接続したバッテリ120、130に、高い電圧で同時に充電する。したがって、シンプルかつ安価な構成により、車両減速時の回生エネルギを効率的に回収することができる。
また、回生エネルギが発生しているときは、直列に接続したバッテリ120、130への充電とともに、発電機110から直接DC/DCコンバータ140を通じて一般負荷180への12Vの電力供給を行う。また、車両が減速していないとき、つまり、発電機110が回生エネルギを出力していないときは、回生エネルギを蓄電した直列接続のバッテリ120、130から、DC/DCコンバータ140を通じて、一般負荷180へ12Vの電力供給を行う。さらに、エンジン112停止後は、DC/DCコンバータ140の動作を停止させ、2つのバッテリ120、130を並列接続に切り換えて、バッテリ120、130から一般負荷180へ12Vで暗電流を送る。したがって、一般負荷180への電力供給も安定的に行うことができる。
また、2つのバッテリ120、130として、技術的に確立されかつ比較的安価である鉛バッテリを使用した場合には、他の高性能バッテリ(例えば、リチウムイオンバッテリやニッケル水素バッテリなど)を使用した場合に比べて、システムとして低いコストで高い安全性を確保することができる。
また、2つのバッテリ120、130として、同じ種類のバッテリ(鉛バッテリ)を使用するため、2つのバッテリ120、130をモジュール化することにより、設計の自由度が増大し、かつ、設置スペースも削減することができる。
また、2つのバッテリ120、130の充電率(SOC)がそれぞれ所定値以下、または、充電率(SOC)の差が所定値以上の場合には、2つのバッテリ120、130の充電率を所定値以上にそろえる制御を行うため(補充電処理)、バッテリの劣化の進行を抑制することができる。
なお、本実施の形態では、使用するバッテリの個数は2つであるが、本発明ではバッテリの個数に特に限定はなく、3つ以上のバッテリを直列または並列の接続状態に切り換え可能に構成することも可能である。
(実施の形態2)
図11は、本発明の実施の形態2に係る車両用電源装置を含む電源システムの構成を示すブロック図である。なお、図11に示す電源システム100Aにおいて、図1に示した電源システム100と共通する構成部分には同一の符号を付して、その詳しい説明を省略する。
図11に示す電源システム100Aは、発電機110、電気二重層キャパシタ(EDLC:Electric Double Layer Capacitor)120A、第2バッテリ130、電流センサ132、DC/DCコンバータ140、2つの車載リレー(第1車載リレー150および第2車載リレー152)、電源ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)160A、スタータ170、スタータリレー172、ならびに車載の他の一般負荷(電装品)180を有する。上記構成要素のうち、EDLC120A、第2バッテリ130、電流センサ132、DC/DCコンバータ140、2つの車載リレー150、152、および電源ECU160Aは、電源装置を構成する。
発電機110は、EDLC120AおよびDC/DCコンバータ140にそれぞれ接続されている。
EDLC120Aは、一般的な二次電池と比較して大電流の放充電が可能であり、放充電サイクル寿命が優れた蓄電デバイスである。EDLCは、例えば、一例として、1セル当たり最大定格2.8Vである。そこで、本実施の形態では、例えば、セル5本を直列に構成してEDLCモジュールとして最大定格14Vにしている。EDLC120Aは、第2バッテリ130と直列に接続された状態において、第2バッテリ130と共に、DC/DCコンバータ140を通じて(電圧を降圧して)一般負荷180への電力供給を行う。なお、発電機110の出力容量およびDC/DCコンバータ140の入力電圧範囲によっては、EDLC120Aを構成するセルの本数を増やして最大定格を増加させてもよい。最大定格を増加させた場合には、より高い電圧で回生エネルギを効率良く回収することができる。
2つの車載リレー(第1車載リレー150、第2車載リレー152)は、エンジン112のオン(始動)/オフ(停止)に応じてEDLC120Aと第2バッテリ130の接続を並列または直列に切り換えるために用いられる。ここで、EDLC120Aと第2バッテリ130を「並列」に接続するとは、厳密には、第2バッテリ130のみを使用可能な状態にすることを意味し、「バッテリ単体」とも称する。2つの車載リレー150、152は、それぞれ、電源ECU160Aからの制御信号によってON/OFFを繰り返す。
第1車載リレー150は、EDLC120Aと第2バッテリ130(厳密には第2バッテリ130用の電流センサ132)との間に設けられている。第2車載リレー152は、一端が第1車載リレー150と第2バッテリ130(厳密には第2バッテリ130用の電流センサ132)との間に接続され、他端がDC/DCコンバータ140と一般負荷180との間に接続されている。後述するように、2つの車載リレー150、152のON/OFFの組み合わせによって、発電機110からEDLC120Aおよび第2バッテリ130への充電回路ならびにEDLC120Aおよび第2バッテリ130から電気負荷(スタータ170、一般負荷180)への給電回路が適宜選択される。
EDLC120Aと第2バッテリ130を直列に接続して充電する場合、第1車載リレー150には発電機110から回生エネルギの大電流が流れるため、第1車載リレー150は、大容量対応のリレー(例えば、150Aクラス)でなければならない。これに対し、第2車載リレー152は、第2バッテリ130のみから電気負荷(スタータ170、一般負荷180)への電力供給に使用されるため、第1車載リレー150に比べて大容量対応である必要はなく、例えば、40Aクラスのリレーでもよい。
電源ECU160Aは、当該電源システム100Aを総合的に制御する。具体的には、例えば、電源ECU160Aは、エンジン112のオン(始動)/オフ(停止)に応じてEDLC120Aと第2バッテリ130の接続を並列(バッテリ単体)または直列に切り換えるために、2つの車載リレー150、152のON(閉)/OFF(開)を制御する。また、電源ECU160Aは、第2バッテリ130の電圧VBおよび充放電電流IBをそれぞれ測定し、電流積算によって第2バッテリ130の充電状態(SOC:State Of Charge)を算出する。EDLC120Aの充電状態(SOC)は、EDLC120Aの電圧VEを測定するだけで、容易に検知される。また、電源ECU160Aは、発電機110およびDC/DCコンバータ140を制御する。また、電源ECU160Aは、後述する他の制御を行う。電源ECU160Aの制御内容については、図12以降のフローチャートを用いて、後で詳述する。なお、電源ECU160Aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、プログラムを記録したROM(Read Only Memory)、およびプログラム実行用のRAM(Random Access Memory)から構成されている(いずれも図示せず)。
本実施の形態では、エンジン112が稼動しているときには、EDLC120Aと第2バッテリ130を直列に接続する。そして、車両が減速したときには、発電機110が発生する回生電力を、直列に接続したEDLC120Aと第2バッテリ130に、高い電圧で同時に充電する。例えば、この場合、充電時に第2バッテリ130は14.5V、EDLC120Aは14V(5セル直列構成)でそれぞれ充電可能であるため、合わせて28.5Vの充電が可能になる。また、このように回生電力が発生しているときは、直列に接続したEDLC120Aと第2バッテリ130への充電とともに、発電機110から直接DC/DCコンバータ140を通じて(電圧を降圧して)一般負荷180への12Vの電力を供給する。
また、車両が減速していないときには、直列接続されたEDLC120Aと第2バッテリ130からDC/DCコンバータ140を通じて(電圧を降圧して)一般負荷180へ、12Vの電力を供給する。
また、エンジン112が停止しているときには、DC/DCコンバータ140を動作し続けることは電力を消費するため、DC/DCコンバータ140の動作を停止させ、EDLC120Aと第2バッテリ130を並列(バッテリ単体)接続に切り換えて、第2バッテリ130のみから一般負荷180へ12Vで暗電流を供給する。
上記のように、電源ECU160Aは、エンジン112のオン/オフに応じてEDLC120Aと第2バッテリ130の接続を並列(バッテリ単体)または直列に切り換える。このときの2つの車載リレー150、152のON/OFF状態は、次の通りである。
EDLC120Aと第2バッテリ130を並列(バッテリ単体)に接続する場合、電源ECU160Aは、第1車載リレー150をOFF(開)状態、第2車載リレー152をON(閉)状態、にそれぞれ制御する。この場合、電源ECU160Aは、DC/DCコンバータ140を停止(オフ)させる。
このとき、第2バッテリ130から一般負荷180への給電回路として、第2バッテリ130→第2車載リレー152→一般負荷180という回路が形成される。
一方、EDLC120Aと第2バッテリ130を直列に接続する場合、電源ECU160Aは、第1車載リレー150をON(閉)状態、第2車載リレー152をOFF(開)状態、にそれぞれ制御する。この場合、電源ECU160Aは、DC/DCコンバータ140を起動(オン)させる。
このとき、発電機110からEDLC120Aと第2バッテリ130への充電回路として、発電機110→直列接続されたEDLC120Aと第2バッテリ130という回路が形成される。また、EDLC120Aと第2バッテリ130から一般負荷180への給電回路として、直列接続されたEDLC120Aと第2バッテリ130→DC/DCコンバータ140→一般負荷180という回路が形成される。なお、この場合、一般負荷180への給電回路として、発電機110→DC/DCコンバータ140→一般負荷180という、発電機110から直接給電される回路も形成される。
次いで、上記構成を有する電源システム100Aの動作について、図12〜図20を用いて説明する。ここで、図12は、電源システム100Aの全体動作を示すフローチャート、図13は、図12の始動処理の内容を示すフローチャート、図14は、バッテリ単体から直列への接続の切り換え手順を示す図、図15は、図12のバッテリ状態検出処理の内容を示すフローチャート、図16は、図12の回生発電制御処理の内容を示すフローチャート、図17は、図16の発電制御処理の内容を示すフローチャート、図18は、図12の補充電処理の内容を示すフローチャート、図19は、図12の停止処理の内容を示すフローチャート、図20は、直列からバッテリ単体への接続の切り換え手順を示す図である。なお、これらのフローチャートは、図示しない記憶装置(例えば、ROMなど)に制御プログラムとして記憶されており、図示しないCPUによって実行される。
まず、ステップS1000Aで、電源ECU160Aは、図示しないイグニッション(IG)スイッチがONされたか否かを判断する。具体的には、電源ECU160Aは、イグニッションスイッチがエンジンスタート位置(ST位置)に投入された場合に、イグニッションスイッチがONされたと判断する。この判断の結果として、イグニッションスイッチがONされた場合は(S1000A:YES)、ステップS2000Aに進み、イグニッションスイッチがONされていない場合は(S1000A:NO)、待機する。
ステップS2000Aでは、電源ECU160Aは、始動処理を行う。この始動処理の内容は、図13のフローチャートに示す通りである。
まず、ステップS2100Aで、電源ECU160Aは、エンジン112を始動させる。具体的には、電源ECU160Aは、スタータリレー172をONして、並列(バッテリ単体)接続時の第2バッテリ130からスタータ170を通電させる。これにより、エンジン112が始動する。
そして、ステップS2200Aで、電源ECU160Aは、DC/DCコンバータ140を起動(オン)させる。
そして、ステップS2300Aで、電源ECU160Aは、2つの車載リレー150、152を制御して、EDLC120Aと第2バッテリ130の接続を並列(バッテリ単体)から直列に切り換える。このときの具体的な切り換え手順は、図14に示す通りである。この切り換え手順により、EDLC120Aと第2バッテリ130の接続を、安全かつ確実に、並列(バッテリ単体)から直列に切り換えることができる。その後、制御手順は、図12のメインフローチャートにリターンする。
次に、ステップS3000Aで、電源ECU160Aは、蓄電デバイス状態検出処理を行う。この蓄電デバイス状態検出処理の内容は、図15のフローチャートに示す通りである。
まず、ステップS3100Aで、電源ECU160Aは、バッテリの測定を行う。具体的には、電源ECU160Aは、第2バッテリ130の電流IBと電圧VBを測定する。第2バッテリ130の電流IBは、電流センサ132によって検出される。
そして、ステップS3200Aで、電源ECU160Aは、バッテリ状態の算出を行う。具体的には、電源ECU160Aは、例えば、電流センサ132の検出結果(充放電の電流値IB)を積算して第2バッテリ130のSOCを算出する。このように、バッテリに流れ込む電流とバッテリから流れ出す電流を積算することによって(いわゆるクーロンカウント処理)、バッテリのSOCを算出することができる。なお、第2バッテリ130のSOCの算出方法は、クーロンカウント処理に限定されず、他の周知の任意の方法を採用することができる。
そして、ステップS3300で、電源ECU160Aは、EDLCの電圧測定を行う。具体的には、電源ECU160Aは、EDLC120Aの電圧VEを測定する。一般的に、EDLCのSOCは、EDLCの電圧によって決まる。例えば、EDLCの最大電圧を14Vとした場合、電圧が0VのときはSOCが0%であり、電圧が14VのときはSOCが100%となる。通常、EDLCは、SOCを算出せずに、電圧のみを監視する(つまり、EDLC容量=電圧として考えられる)。その後、制御手順は、図12のメインフローチャートにリターンする。
次に、ステップS4000Aで、電源ECU160Aは、回生発電制御を行う。この回生発電制御の内容は、図16のフローチャートに示す通りである。
まず、ステップS4100Aで、電源ECU160Aは、車速が所定値(例えば、10km/h)以上であり、かつ、車両が減速中である、か否かを判断する。ここで、車速が所定値以上であるか否かを判断するのは、現在の車速が回生発電に適しているか否か、つまり、回生発電に必要な運動エネルギが車両にあるか否かを判断するためである。回生エネルギは車両の運動エネルギを電気エネルギに変換したものであり、車速が低いと運動エネルギも小さいため、回生エネルギ量は期待できない。また、車両が減速中であるか否かは、例えば、車両の車速情報に基づいて、または、ブレーキの踏み込み度(ブレーキが踏まれているか否か)に基づいて判断される。この判断の結果として、車速が所定値(10km/h)以上であり、かつ、車両が減速中である場合は(S4100A:YES)、ステップS4200Aに進み、そうでない場合、つまり、車速が所定値(10km/h)未満であり、または、車両が減速中でない(つまり、加速時や定常走行時、アイドリング時など)場合は(S4100A:NO)、直ちに図12のメインフローチャートにリターンする。
ステップS4200Aでは、電源ECU160Aは、発電機110に対して発電制御を行う。この発電制御では、第2バッテリ130の電圧VBが所定値(例えば、14.5V)を超えないように制御される。鉛バッテリは、あまり高い電圧を与えると、劣化が進むためである。また、この発電制御では、EDLC120Aの電圧VEが所定値(例えば、14V)以上になった場合、または、第2バッテリ130のSOCが100%以上になった場合、発電機110の発電を停止させる。EDLCおよび鉛バッテリは、過充電によっても劣化が進むためである。この発電制御の内容は、図17のフローチャートに示す通りである。
まず、ステップS4210Aで、電源ECU160Aは、EDLC120Aの電圧VEが最大電圧(14V)以上(つまり、EDLC120AのSOCが100%以上)であり、または、第2バッテリ130の充電状態(SOC)が100%以上である、か否かを判断する。この判断の結果として、EDLC120Aの電圧VEが最大電圧(14V)以上であり、または、第2バッテリ130の充電状態(SOC)が100%以上である場合、つまり、EDLC120Aと第2バッテリ130の少なくともいずれか一方のSOCが100%以上になった場合は(S4210A:YES)、ステップS4220Aに進み、そうでない場合、つまり、EDLC120Aと第2バッテリ130のSOCが両方とも100%未満である場合は(S4210A:NO)、ステップS4230Aに進む。
ステップS4220Aでは、電源ECU160Aは、発電機110の発電を停止させる。その後、制御手順は、図12のメインフローチャートにリターンする。
一方、ステップS4230Aでは、電源ECU160Aは、さらに、第2バッテリ130の電圧(VB)が所定値(例えば、14.5V)を超えているか否かを判断する。この判断の結果として、第2バッテリ130の電圧(VB)が所定値(14.5V)を超えている場合は(S4230:YES)、ステップS4240Aに進み、第2バッテリ130の電圧VBが所定値(14.5V)以下である場合は(S4230A:NO)、ステップS4250Aに進む。
ステップS4240Aでは、電源ECU160Aは、発電機110への出力指令値を目標値(例えば、28.5V)よりも低く設定する。その後、制御手順は、図12のメインフローチャートにリターンする。
一方、ステップS4250Aでは、電源ECU160Aは、発電機110への出力指令値を目標値(28.5V)に設定する。EDLCの場合、EDLCに電気が溜まってなく空の状態では電圧が0Vであるため、発電機110が充電電圧を印加した瞬間において、直列接続されたEDLC120Aと第2バッテリ130に対する充電電圧は、0V+14.5V=14.5Vとなる。そして、この状態から、EDLC120Aに電力が蓄電されるにつれて、EDLC120Aの電圧のみが上昇していく。したがって、ステップS4240の制御は、いわゆるPID制御を利用することが好ましい。その後、制御手順は、図12のメインフローチャートにリターンする。
なお、ステップS4240のA制御内容は、上記の例に限定されない。この場合、所定値(14.5V)を超えている第2バッテリ130の電圧を所定値(14.5V)以下に下げることができれば、どのような制御方法を採用してもよい。例えば、いわゆるPID制御を利用して、所定値(14.5V)を超えている第2バッテリ130の電圧を所定値(14.5V)に収束させる制御を行うことも可能である。
次に、ステップS5000Aで、電源ECU160Aは、補充電処理を行う。この補充電処理は、第2バッテリ130のSOCの値が所定値以下になったときに充電するための制御である。鉛バッテリは、SOCが低下すると、劣化が進むためである。この補充電処理の内容は、図18のフローチャートに示す通りである。
まず、ステップS5100Aで、電源ECU160Aは、第2バッテリ130の充電状態SOCが所定値A未満であるか否かを判断する。ここで、所定値Aは、例えば、80〜90%の範囲内の適当な値である。この判断の結果として、第2バッテリ130の充電状態SOCが所定値A未満である場合は(S5100A:YES)、ステップS5200Aに進み、第2バッテリ130の充電状態SOCが所定値A以上である場合は(S5100A:NO)、直ちに図12のメインフローチャートにリターンする。
ステップS5200Aでは、電源ECU160Aは、第2バッテリ130のみを充電させる。具体的には、この場合、電源ECU160Aは、充電開始時に、EDLC120Aと第2バッテリ130の接続状態を直列から並列(バッテリ単体)に切り換える。このときの具体的な切り換え手順は、後述する図20に示す通りである。これにより、第1車載リレー150はOFF(開)状態、第2車載リレー152はON(閉)状態となる。第2バッテリ130への充電は、電源ECU160Aが発電機110を制御して、例えば、14.5Vの発電により、発電機110から行われる(発電機110→DC/DCコンバータ140→第2車載リレー152→第2バッテリ130という充電回路)。このとき、上記のように、DC/DCコンバータ140の出力電圧は、14.5Vに制御される。第2バッテリ130への充電中は、これと同時に発電機110からDC/DCコンバータ140を通じて(電圧を降圧して)一般負荷180へ12Vの電力供給を行う(発電機110→DC/DCコンバータ140→一般負荷180という給電回路)。なお、第2バッテリ130への充電が完了すると、電源ECU160Aは、EDLC120Aと第2バッテリ130の接続状態を並列(バッテリ単体)から直列に戻す(具体的な切り換え手順は図14参照)。その後、制御手順は、図12のメインフローチャートにリターンする。
次に、ステップS6000Aで、電源ECU160Aは、図示しないイグニッション(IG)スイッチがOFFされたか否かを判断する。この判断の結果として、イグニッションスイッチがOFFされた場合は(S6000A:YES)、ステップS7000Aに進み、イグニッションスイッチがOFFされていない場合は(S6000A:NO)、ステップS3000Aに戻る。
ステップS7000Aでは、電源ECU160Aは、停止処理を行う。この停止処理の内容は、図19のフローチャートに示す通りである。
まず、ステップS7100Aで、電源ECU160Aは、2つの車載リレー150、152を制御して、EDLC120Aと第2バッテリ130の接続を直列から並列(バッテリ単体)に切り換える。このときの具体的な切り換え手順は、図20に示す通りである。この切り換え手順により、EDLC120Aと第2バッテリ130の接続を、安全かつ確実に、直列から並列(バッテリ単体)に切り換えることができる。
そして、ステップS7200Aで、電源ECU160Aは、DC/DCコンバータ140を停止(オフ)させる。
そして、ステップS7300で、電源ECU160Aは、エンジン112を停止させる。具体的には、電源ECU160Aは、エンジン112を停止させる制御信号を、エンジンの動作を制御する図示しないエンジンECUに出力する。これにより、エンジン112が停止する。
なお、上記の一連の制御において、アイドリングストップ機能は考慮されていないが、もちろん、これを考慮することも可能である。具体的には、例えば、アイドリングストップしてエンジン112を停止させる度に、EDLC120Aと第2バッテリ130の接続を直列から並列に切り換えるようにしてもよい。
このように、本実施の形態によれば、車両が減速して発電機110が回生エネルギを出力しているときは、EDLC120Aと第2バッテリ130を直列に接続して、発電機110にて発生する回生エネルギを、直列に接続したEDLC120Aと第2バッテリ130に、高い電圧で同時に充電する。したがって、シンプルかつ安価な構成により、車両減速時の回生エネルギを効率的に回収することができる。
また、回生エネルギが発生しているときは、直列に接続したEDLC120Aと第2バッテリ130への充電とともに、発電機110から直接DC/DCコンバータ140を通じて一般負荷180への12Vの電力供給を行う。また、車両が減速していないとき、つまり、発電機110が回生エネルギを出力していないときは、回生エネルギを蓄電した直列接続のEDLC120Aと第2バッテリ130から、DC/DCコンバータ140を通じて、一般負荷180へ12Vの電力供給を行う。さらに、エンジン112停止後は、DC/DCコンバータ140の動作を停止させ、EDLC120Aと第2バッテリ130を並列(バッテリ単体)接続に切り換えて、第2バッテリ130のみから一般負荷180へ12Vで暗電流を送る。したがって、一般負荷180への電力供給も安定的に行うことができる。
また、第2バッテリ130として、技術的に確立されかつ比較的安価である鉛バッテリを使用した場合には、他の高性能バッテリ(例えば、リチウムイオンバッテリやニッケル水素バッテリなど)を使用した場合に比べて、システムとして低いコストで高い安全性を確保することができる。
また、第2バッテリ130の充電率(SOC)が所定値以下になった場合には、第2バッテリ130の充電率を所定値以上にする制御を行うため(補充電処理)、バッテリの劣化の進行を抑制することができる。
なお、本実施の形態では、使用するEDLCとバッテリの個数はそれぞれ1つであるが、特に限定されない。例えば、直列に接続するEDLCとバッテリのうち、少なくとも一方の個数を複数に構成することも可能である。
(実施の形態3)
図21は、本発明の実施の形態3に係る車両用電源装置を含む電源システムの構成を示すブロック図である。なお、図21に示す電源システム100Bにおいて、図1に示した電源システム100と共通する構成部分には同一の符号を付して、その詳しい説明を省略する。
図21に示す電源システム100Bは、発電機110、2つのバッテリ(第1バッテリ120と第2バッテリ130)、2つの電流センサ122、132、スイッチ142、3つの車載リレー(第1車載リレー150、第2車載リレー152、および第3車載リレー154)、電源ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)160B、スタータ170、スタータリレー172、および車載の他の一般負荷(電装品)180を有する。上記構成要素のうち、2つのバッテリ120、130、2つの電流センサ122、132、スイッチ142、3つの車載リレー150〜154、および電源ECU160Bは、電源装置を構成する。
スイッチ142は、車両減速時か否かに応じて2つのバッテリ120、130の接続を並列または直列に切り換えるために用いられる。スイッチ142は、第1バッテリ120と第2バッテリ130(厳密には第2バッテリ130用の電流センサ132)との間に設けられている。スイッチ142は、第1バッテリ120と第2バッテリ130を直列に接続するときはON(閉)状態に制御され、第1バッテリ120と第2バッテリ130を並列に接続するときはOFF(開)状態に制御される。スイッチ142は、電源ECU160Bからの制御信号によってON/OFFを繰り返す。
スイッチ142は、例えば、大容量対応でかつ耐久性のある半導体スイッチであることが好ましい。2つのバッテリ120、130を直列に接続して充電する場合、スイッチ142には発電機110から回生エネルギの大電流が流れ(例えば、バッテリサイズによっては最大200Aの電流が流れることがある)、また、スイッチ142は、車両が減速する度にON/OFFを繰り返すためである。この点、一般的な車載リレーでは耐久性の点で問題がある。なお、車載リレーであっても、特に耐久性があれば、スイッチに代えて、使用可能である。
3つの車載リレー(第1車載リレー150、第2車載リレー152、および第3車載リレー154)は、スイッチ142と協働して、車両減速時か否かに応じて2つのバッテリ120、130の接続を並列または直列に切り換えるために用いられる。3つの車載リレー150〜154は、それぞれ、電源ECU160Bからの制御信号によってON/OFFを繰り返す。
第1車載リレー150は、一端が第1バッテリ120とスイッチ142との間に接続され、他端が接地されている。第2車載リレー152は、一端が発電機110と第1バッテリ120(厳密には第1バッテリ120用の電流センサ122)との間に接続され、他端が一般負荷180に接続されている。第3車載リレー154は、一端がスイッチ142と第2バッテリ130(厳密には第2バッテリ130用の電流センサ132)との間に接続され、他端が一般負荷180に接続されている。後述するように、スイッチ142および3つの車載リレー150〜154のON/OFFの組み合わせによって、発電機110からバッテリ120、130への充電回路およびバッテリ120、130から電気負荷(スタータ170、一般負荷180)への給電回路が適宜選択される。
車載リレー150〜154は、バッテリ120、130から電気負荷(スタータ170、一般負荷180)への電力供給に使用されるため、スイッチ142に比べて大容量対応である必要はなく、例えば、40Aクラスのリレーでもよい。
電源ECU160Bは、当該電源システム100Bを総合的に制御する。具体的には、例えば、電源ECU160Bは、車両減速時か否かに応じて2つのバッテリ120、130の接続を並列または直列に切り換えるために、スイッチ142および3つの車載リレー150〜154のON(閉)/OFF(開)を制御する。このとき、車両減速時か否かは、例えば、車両の車速情報やブレーキの踏み込み度などによって判断される。また、電源ECU160Bは、各バッテリ120、130の電圧および充放電電流を測定し、電流積算によって各バッテリ120、130の充電状態(SOC:State Of Charge)を算出する。また、電源ECU160Bは、発電機110を制御する。また、電源ECU160Bは、後述する他の制御を行う。電源ECU160Bの制御内容については、図22以降のフローチャートを用いて、後で詳述する。なお、電源ECU160Bは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、プログラムを記録したROM(Read Only Memory)、およびプログラム実行用のRAM(Random Access Memory)から構成されている(いずれも図示せず)。
本実施の形態では、エンジン112が稼動しているであって車両が減速しているときは、2つのバッテリ120、130を直列に接続し、発電機110が発生する回生電力を、直列に接続したバッテリ120、130に、高い電圧で同時に充電する。例えば、この場合、1つのバッテリを14.5Vで充電すると、2つのバッテリで29Vの充電が可能になる。
また、エンジン112が稼動しているであって車両が減速していないとき、および、エンジン112が停止しているとき、つまり、発電機110が回生電力を出力していないときには、2つのバッテリ120、130を並列に接続して、回生電力を蓄電した2つのバッテリ120、130から一般負荷180へ、12Vの電力をそれぞれ供給する。
また、車両が減速しているときにも、第2バッテリ130から一般負荷180へ12Vの電力を供給する。
上記のように、電源ECU160Bは、車両減速時か否かに応じて2つのバッテリ120、130の接続を並列または直列に切り換える。このときのスイッチ142および3つの車載リレー150〜154のON/OFF状態は、次の通りである。
2つのバッテリ120、130を並列に接続する場合、電源ECU160Bは、スイッチ142をOFF(開)状態、第1車載リレー150をON(閉)状態、第2車載リレー152をON(閉)状態、第3車載リレー154をON(閉)状態、にそれぞれ制御する。この場合、電源ECU160Bは、発電機110を停止(オフ)させる。
このとき、バッテリ120、130から一般負荷180への給電回路として、第1バッテリ120→第2車載リレー152→一般負荷180という回路と、第2バッテリ130→第3車載リレー154→一般負荷180という回路とが形成される。
一方、2つのバッテリ120、130を直列に接続する場合、電源ECU160Bは、スイッチ142をON(閉)状態、第1車載リレー150をOFF(開)状態、第2車載リレー152をOFF(開)状態、第3車載リレー154をON(閉)状態、にそれぞれ制御する。この場合、電源ECU160Bは、発電機110を起動(オン)させる。
このとき、発電機110からバッテリ120、130への充電回路として、発電機110→直列接続されたバッテリ120、130という回路が形成される。また、一般負荷180への給電回路として、発電機110→第1バッテリ120→スイッチ142→第3車載リレー154→一般負荷180という回路が形成される。回生エネルギが十分に大きい場合には、この回路が一般負荷180への給電回路となるが、車速の低下と共に回生エネルギが小さくなってくると、一般負荷180への電力供給の不足分を補うため、この回路に加えて、第2バッテリ130→第3車載リレー154→一般負荷180という回路も形成される。
なお、以下では、車両の減速回生時に2つのバッテリ120、130を直列に接続しているときを「回生モード」と呼び、車両の減速回生時以外に2つのバッテリ120、130を並列に接続しているときを「走行モード」と呼ぶことにする。
次いで、上記構成を有する電源システム100Bの動作について、図22〜図29を用いて説明する。ここで、図22は、電源システム100Bの全体動作を示すフローチャート、図23は、図22のバッテリ状態検出処理の内容を示すフローチャート、図24は、図22のモード処理の内容を示すフローチャート、図25は、回生モードから走行モードへの切り換え手順を示す図、図26は、走行モードから回生モードへの切り換え手順を示す図、図27は、図22の回生発電制御処理の内容を示すフローチャート、図28は、図27の発電制御処理の内容を示すフローチャート、図29は、図22の補充電処理の内容を示すフローチャートである。なお、これらのフローチャートは、図示しない記憶装置(例えば、ROMなど)に制御プログラムとして記憶されており、図示しないCPUによって実行される。
まず、ステップS1000Bで、電源ECU160Bは、図示しないイグニッション(IG)スイッチがONされたか否かを判断する。具体的には、電源ECU160Bは、イグニッションスイッチがエンジンスタート位置(ST位置)に投入された場合に、イグニッションスイッチがONされたと判断する。この判断の結果として、イグニッションスイッチがONされた場合は(S1000B:YES)、ステップS2000Bに進み、イグニッションスイッチがONされていない場合は(S1000B:NO)、待機する。
ステップS2000Bでは、電源ECU160Bは、エンジン112を始動させる。具体的には、電源ECU160Bは、スタータリレー172をONして、並列接続されたバッテリ120、130からスタータ170を通電させる。これにより、エンジン112が始動する。
次に、ステップS3000Bで、電源ECU160Bは、バッテリ状態検出処理を行う。このバッテリ状態検出処理の内容は、図23のフローチャートに示す通りである。
まず、ステップS3100Bで、電源ECU160Bは、バッテリの測定を行う。具体的には、電源ECU160Bは、第1バッテリ120の電流(I1)と電圧(V1)を測定するとともに、第2バッテリ130の電流(I2)と電圧(V2)を測定する。第1バッテリ120の電流(I1)は、電流センサ122によって検出され、第2バッテリ130の電流(I2)は、電流センサ132によって検出される。
そして、ステップS3200Bで、電源ECU160Bは、バッテリ状態の算出を行う。具体的には、電源ECU160Bは、例えば、電流センサ122の検出結果(充放電の電流値)を積算して第1バッテリ120のSOC(以下「SOC1」と表記する)を算出し、また、電流センサ132の検出結果(充放電の電流値)を積算して第2バッテリ130のSOC(以下「SOC2」と表記する)を算出する。このように、バッテリに流れ込む電流とバッテリから流れ出す電流を積算することによって(いわゆるクーロンカウント処理)、バッテリのSOCを算出することができる。なお、バッテリ120、130のSOCの算出方法は、クーロンカウント処理に限定されず、他の周知の任意の方法を採用することができる。その後、制御手順は、図22のメインフローチャートにリターンする。
次に、ステップS4000Bで、電源ECU160Bは、モード処理を行う。このモード処理の内容は、図24のフローチャートに示す通りである。
まず、ステップS4100Bで、電源ECU160Bは、車速が所定値(例えば、10km/h)以上であるか否かを判断する。ここで、車速が所定値以上であるか否かを判断するのは、現在の車速が回生発電に適しているか否か、つまり、回生発電に必要な運動エネルギが車両にあるか否かを判断するためである。回生エネルギは車両の運動エネルギを電気エネルギに変換したものであり、車速が低いと運動エネルギも小さいため、回生エネルギ量は期待できない。この判断の結果として、車速が所定値(10km/h)未満である場合は(S4100B:NO)、ステップS4200Bに進み、車速が所定値(10km/h)以上である場合は(S4100B:YES)、ステップS4400Bに進む。
ステップS4200Bでは、電源ECU160Bは、さらに、現在のモードが回生モードであるか否かを判断する。この判断の結果として、現在のモードが回生モードである場合は(S4200B:YES)、ステップS4300Bに進み、現在のモードが回生モードでない場合は(S4200B:NO)、すでに走行モードになっているものと判断して、直ちに図22のメインフローチャートにリターンする。
ステップS4300Bでは、電源ECU160Bは、スイッチ142および3つの車載リレー150〜154を制御して、モードを回生モードから走行モードに切り換える。このときの具体的な切り換え手順は、図25に示す通りである。この切り換え手順により、2つのバッテリ120、130の接続を、安全かつ確実に、直列から並列に切り換えることができる。その後、制御手順は、図22のメインフローチャートにリターンする。
一方、ステップS4400Bでは、電源ECU160Bは、さらに、車両が減速中であるか否かを判断する。ここで、車両が減速中であるか否かは、例えば、車両の車速情報に基づいて、または、ブレーキの踏み込み度(ブレーキが踏まれているか否か)に基づいて判断される。この判断の結果として、車両が減速中でない場合は(S4400B:NO)、ステップS4500Bに進み、車両が減速中である場合は(S4400B:YES)、ステップS4700Bに進む。
ステップS4500Bでは、電源ECU160Bは、ステップS4200Bと同様に、さらに、現在のモードが回生モードであるか否かを判断する。この判断の結果として、現在のモードが回生モードである場合は(S4500B:YES)、ステップS4600Bに進み、現在のモードが回生モードでない場合は(S4500B:NO)、すでに走行モードになっているものと判断して、直ちに図22のメインフローチャートにリターンする。
ステップS4600Bでは、電源ECU160Bは、ステップS4300Bと同様に、スイッチ142および3つの車載リレー150〜154を制御して、モードを回生モードから走行モードに切り換える。このときの具体的な切り換え手順は、図25に示す通りである。この切り換え手順により、2つのバッテリ120、130の接続を、安全かつ確実に、直列から並列に切り換えることができる。その後、制御手順は、図22のメインフローチャートにリターンする。
一方、ステップS4700Bでは、電源ECU160Bは、現在のモードが走行モードであるか否かを判断する。この判断の結果として、現在のモードが走行モードである場合は(S4700B:YES)、ステップS4800に進み、現在のモードが走行モードでない場合は(S4700B:NO)、すでに回生モードになっているものと判断して、直ちに図22のメインフローチャートにリターンする。
ステップS4800Bでは、電源ECU160Bは、スイッチ142および3つの車載リレー150〜154を制御して、モードを走行モードから回生モードに切り換える。このときの具体的な切り換え手順は、図26に示す通りである。この切り換え手順により、2つのバッテリ120、130の接続を、安全かつ確実に、並列から直列に切り換えることができる。その後、制御手順は、図22のメインフローチャートにリターンする。
要するに、ステップS4000Bのモード処理では、電源ECU160Bは、車速が所定値(例えば、10km/h)以上であり、かつ、車両が減速中である場合は、モードを回生モードに設定し、そうでない場合、つまり、車速が所定値(10km/h)未満であり、または、車両が減速中でない(つまり、加速時や定常走行時、アイドリング時など)場合は、モードを走行モードに設定する。
次に、ステップS5000Bで、電源ECU160Bは、回生発電制御を行う。この回生発電制御の内容は、図27のフローチャートに示す通りである。
まず、ステップS5100Bで、電源ECU160Bは、現在のモードが回生モードであるか否かを判断する。この判断の結果として、現在のモードが回生モードである場合(S5100B:YES)、つまり、車速が所定値(10km/h)以上であり、かつ、車両が減速中である場合は、ステップS5200Bに進み、そうでない場合、つまり、現在のモードが走行モードである場合(S5100B:NO)、つまり、車速が所定値(10km/h)未満であり、または、車両が減速中でない(つまり、加速時や定常走行時、アイドリング時など)場合は、直ちに図22のメインフローチャートにリターンする。
ステップS5200Bでは、電源ECU160Bは、発電機110に対して発電制御を行う。この発電制御では、各バッテリ120、130の電圧V1、V2が所定値(例えば、14.5V)を超えないように制御される。鉛バッテリは、あまり高い電圧を与えると、劣化が進むためである。また、この発電制御では、2つのバッテリ120、130の少なくともいずれか一方のSOCが100%以上になった場合、発電機110の発電を停止させる。鉛バッテリは、過充電によっても劣化が進むためである。この発電制御の内容は、図28のフローチャートに示す通りである。
まず、ステップS5210Bで、電源ECU160Bは、第1バッテリ120の充電状態(SOC1)が100%以上であり、または、第2バッテリ130の充電状態(SOC2)が100%以上である、か否かを判断する。この判断の結果として、第1バッテリ120の充電状態(SOC1)が100%以上であり、または、第2バッテリ130の充電状態(SOC2)が100%以上である場合、つまり、2つのバッテリ120、130の少なくともいずれか一方のSOCが100%以上になった場合は(S5210B:YES)、ステップS5220Bに進み、そうでない場合、つまり、2つのバッテリ120、130のSOCが両方とも100%未満である場合は(S5210B:NO)、ステップS5230Bに進む。
ステップS5220Bでは、電源ECU160Bは、発電機110の発電を停止させる。その後、制御手順は、図22のメインフローチャートにリターンする。
一方、ステップS5230Bでは、電源ECU160Bは、さらに、第1バッテリ120の電圧(V1)が所定値(例えば、14.5V)を超えており、または、第2バッテリ130の電圧(V2)が所定値(例えば、14.5V)を超えている、か否かを判断する。この判断の結果として、第1バッテリ120の電圧(V1)が所定値(14.5V)を超えており、または、第2バッテリ130の電圧(V2)が所定値(14.5V)を超えている場合、つまり、2つのバッテリ120、130の少なくともいずれか一方の電圧が所定値(14.5V)を超えている場合は(S5230B:YES)、ステップS5240に進み、そうでない場合、つまり、2つのバッテリ120、130の電圧V1、V2が両方とも所定値(14.5V)以下である場合は(S5230B:NO)、ステップS5250Bに進む。
ステップS5240Bでは、電源ECU160Bは、発電機110への出力指令値を目標値(例えば、29V)よりも低く設定する。その後、制御手順は、図22のメインフローチャートにリターンする。
一方、ステップS5250Bでは、電源ECU160Bは、発電機110への出力指令値を目標値(29V)に設定する。その後、制御手順は、図22のメインフローチャートにリターンする。
なお、ステップS5240Bの制御内容は、上記の例に限定されない。この場合、所定値(14.5V)を超えているバッテリの電圧を所定値(14.5V)以下に下げることができれば、どのような制御方法を採用してもよい。例えば、いわゆるPID制御を利用して、所定値(14.5V)を超えているバッテリの電圧を所定値(14.5V)に収束させる制御を行うことも可能である。
次に、ステップS6000Bで、電源ECU160Bは、補充電処理を行う。この補充電処理は、2つのバッテリ120、130間のSOCの差が大きくならないようにするため、または、各バッテリ120、130のSOCの値が所定値以下になったときに充電するための制御である。前者は、2つのバッテリ120、130間のSOCの差が大きくなると、直列の接続状態における充放電特性が劣化するためである。また、後者は、SOCが低下すると、鉛バッテリの劣化が進むためである。特に、本実施の形態では、第2バッテリ130は、第1バッテリ120と異なり、第1バッテリ120との接続が直列であっても並列であっても、常に放電している。そのため、バッテリ120、130の接続切り換え(直列⇔並列)を繰り返すと、2つのバッテリ120、130のSOCは異なってくる傾向が強い。したがって、本実施の形態では、この補充電処理の必要性は高い。この補充電処理の内容は、図29のフローチャートに示す通りである。
まず、ステップS6100Bで、電源ECU160Bは、2つのバッテリ120、130が並列接続であるか否かを判断する。この判断は、例えば、現在のモードが走行モードであるか回生モードであるかによって行われる。この判断の結果として、2つのバッテリ120、130が並列接続である場合(S6100B:YES)、つまり、現在のモードが走行モードである場合は、ステップS6200Bに進み、2つのバッテリ120、130が直列接続である場合(S6100B:NO)、つまり、現在のモードが回生モードである場合は、すでにバッテリ120、130への充電中であるため、直ちに図22のメインフローチャートにリターンする。
ステップS6200Bでは、電源ECU160Bは、第1バッテリ120の充電状態SOC1が所定値A未満であり、かつ、第2バッテリ130の充電状態SOC2が所定値A未満である、か否かを判断する。ここで、所定値Aは、例えば、80〜90%の範囲内の適当な値である。この判断の結果として、第1バッテリ120の充電状態SOC1が所定値A未満であり、かつ、第2バッテリ130の充電状態SOC2が所定値A未満である場合、つまり、2つのバッテリ120、130のSOCが両方とも所定値A未満である場合は(S6200B:YES)、ステップS6300Bに進み、そうでない場合は(S6200B:NO)、ステップS6400Bに進む。
ステップS6300Bでは、電源ECU160Bは、2つのバッテリ120、130を直列で同時に充電させる。具体的には、この場合、電源ECU160Bは、充電開始時に、車両が走行している限り、2つのバッテリ120、130の接続状態を並列から直列に切り換える。これにより、スイッチ142はON(閉)状態、第1車載リレー150はOFF(開)状態、第2車載リレー152はOFF(開)、第3車載リレー154はON(閉)状態となる。このときの補充電は、車両が減速中か否かにかかわらず、バッテリの劣化回避のために直ちに2つのバッテリ120、130に対して行う必要がある。このため、車両が減速中のときには、この機会を利用して、回生エネルギをバッテリ120、130に充電し、一方、車両が減速中でないとき、つまり、走行中のときには、発電機110を強制的に29Vで発電させてバッテリ120、130を充電する。これにより、車両減速時に発電機110にて発生する回生エネルギまたは車両走行時に発電機110にて強制発電される電力が直列のバッテリ120、130に同時に充電される(発電機110→直列接続されたバッテリ120、130という充電回路)。このような同時充電は、2つのバッテリ120、130の少なくともいずれか一方のSOCが所定値A以上になるまで継続される。バッテリ120、130への充電が完了すると、電源ECU160Bは、バッテリ120、130の接続状態を直列から並列に戻す。なお、充電中は、上記のように、発電機110から第1バッテリ120、スイッチ142、および第3車載リレー154を介して一般負荷180への電力供給を行い(発電機110→第1バッテリ120→スイッチ142→第3車載リレー154→一般負荷180という給電回路)、車速が低下すると、この回路に加えて、さらに、第2バッテリ130からも第3車載リレー154を介して一般負荷180への電力供給を行う(第2バッテリ130→第3車載リレー154→一般負荷180という給電回路)。
一方、ステップS6400Bでは、電源ECU160Bは、さらに、第1バッテリ120の充電状態SOC1のみが所定値A未満であるか否かを判断する。この判断の結果として、第1バッテリ120の充電状態SOC1のみが所定値A未満である場合は(S6400B:YES)、ステップS6500Bに進み、そうでない場合は(S6400B:NO)、ステップS6600Bに進む。
ステップS6500Bでは、電源ECU160Bは、第1バッテリ120のみを充電させる。具体的には、この場合、電源ECU160Bは、充電開始時に、バッテリ120、130を並列に接続した状態から、第3車載リレー154をOFF(開)状態にする。これにより、スイッチ142はOFF(開)状態、第1車載リレー150はON(閉)状態、第2車載リレー152はON(閉)状態、第3車載リレー154はOFF(開)状態となる。第1バッテリ120への充電は、電源ECU160Bが発電機110を制御して、例えば、14.5Vの発電により、発電機110から行われる(発電機110→第1バッテリ120という充電回路)。第1バッテリ120への充電中は、同時に、発電機110から第2車載リレー152を介して一般負荷180への電力供給を行う(発電機110→第2車載リレー152→一般負荷180という給電回路)。なお、第1バッテリ120への充電が完了すると、電源ECU160Bは、第3車載リレー154をON(閉)状態にしてバッテリ120、130の接続状態を並列に戻す。
一方、ステップS6600Bでは、電源ECU160Bは、さらに、第2バッテリ130の充電状態SOC2のみが所定値A未満であるか否かを判断する。この判断の結果として、第2バッテリ130の充電状態SOC2のみが所定値A未満である場合は(S6600B:YES)、ステップS6700Bに進み、そうでない場合は(S6600B:NO)、ステップS6800Bに進む。
ステップS6700Bでは、電源ECU160Bは、第2バッテリ130のみを充電させる。具体的には、この場合、電源ECU160Bは、充電開始時に、バッテリ120、130を並列に接続した状態から、第1車載リレー150をOFF(開)状態にする。これにより、スイッチ142はOFF(開)状態、第1車載リレー150はOFF(開)状態、第2車載リレー152はON(閉)状態、第3車載リレー154はON(閉)状態となる。第2バッテリ130への充電は、電源ECU160Bが発電機110を制御して、例えば、14.5Vの発電により、発電機110から行われる(発電機110→第2車載リレー152→第3車載リレー154→第2バッテリ130という充電回路)。第2バッテリ130への充電中は、同時に、発電機110から第2車載リレー152を介して一般負荷180への電力供給を行う(発電機110→第2車載リレー152→一般負荷180という給電回路)。なお、第2バッテリ130への充電が完了すると、電源ECU160Bは、第1車載リレー150をON(閉)状態にしてバッテリ120、130の接続状態を並列に戻す。
一方、ステップS6800Bでは、電源ECU160Bは、さらに、2つのバッテリ120、130間のSOCの差が所定値αよりも大きいか否かを判断する。本実施の形態では、上記のように、第2バッテリ130のほうはほとんど常に放電しているため、通常、第1バッテリ120よりも第2バッテリ130のほうが、SOCが小さくなりがちである。そこで、ここでは、2つのバッテリ120、130間のSOCの差として、SOC1からSOC2を引いた値を求めている。また、所定値αは、例えば、2%である。この判断の結果として、2つのバッテリ120、130間のSOCの差(SOC1−SOC2)が所定値αよりも大きい場合は(S6800B:YES)、ステップS6900に進み、そうでない場合、つまり、2つのバッテリ120、130間のSOCの差(SOC1−SOC2)が所定値α以下の場合は(S6800B:NO)、直ちに図22のメインフローチャートにリターンする。
ステップS6900Bでは、電源ECU160Bは、2つのバッテリ120、130間のSOCの差を所定値α以下に抑えるため、SOCが大きい第1バッテリ120からのみ放電させる。具体的には、この場合、電源ECU160Bは、バッテリ120、130を並列に接続した状態から、第3車載リレー154をOFF(開)状態にする。これにより、スイッチ142はOFF(開)状態、第1車載リレー150はON(閉)状態、第2車載リレー152はON(閉)状態、第3車載リレー154はOFF(開)状態となる。このとき、第1バッテリ120は、第2車載リレー152を介して一般負荷180への電力供給を行うことによって、放電する(第1バッテリ120→第2車載リレー152→一般負荷180という給電回路)。この間、第2バッテリ130は、充放電を行わない。なお、2つのバッテリ120、130間のSOCの差が所定値α以下になると、電源ECU160Bは、第3車載リレー154をON(閉)状態にしてバッテリ120、130の接続状態を並列に戻す。
次に、ステップS7000Bで、電源ECU160Bは、図示しないイグニッション(IG)スイッチがOFFされたか否かを判断する。この判断の結果として、イグニッションスイッチがOFFされた場合は(S7000B:YES)、ステップS8000Bに進み、イグニッションスイッチがOFFされていない場合は(S7000B:NO)、ステップS3000Bに戻る。
ステップS8000Bでは、電源ECU160Bは、エンジン112を停止させる。具体的には、電源ECU160Bは、エンジン112を停止させる制御信号を、エンジンの動作を制御する図示しないエンジンECUに出力する。これにより、エンジン112が停止する。
このように、本実施の形態によれば、車両が減速して発電機110が回生エネルギを出力しているときは、バッテリ120、130を直列に接続して(回生モード)、発電機110にて発生する回生エネルギを、直列に接続したバッテリ120、130に、高い電圧で同時に充電する。したがって、シンプルかつ安価な構成により、車両減速時の回生エネルギを効率的に回収することができる。
また、車両が減速していないとき、つまり、発電機110が回生エネルギを出力していないときは、バッテリ120、130を並列に接続して(走行モード)、回生エネルギを蓄電した並列接続のバッテリ120、130から一般負荷180へ、12Vの電力をそれぞれ供給する。また、車両減速時に2つのバッテリ120、130を直列に接続しているときにも、第2バッテリ130から一般負荷180への12Vの電力供給は、絶えず実行する。したがって、一般負荷180への電力供給も安定的に行うことができる。
また、2つのバッテリ120、130として、技術的に確立されかつ比較的安価である鉛バッテリを使用した場合には、他の高性能バッテリ(例えば、リチウムイオンバッテリやニッケル水素バッテリなど)を使用した場合に比べて、システムとして低いコストで高い安全性を確保することができる。
また、2つのバッテリ120、130として、同じ種類のバッテリ(鉛バッテリ)を使用するため、2つのバッテリ120、130をモジュール化することにより、設計の自由度が増大し、かつ、設置スペースも削減することができる。
また、2つのバッテリ120、130の充電率(SOC)がそれぞれ所定値以下、または、充電率(SOC)の差が所定値以上の場合には、2つのバッテリ120、130の充電率を所定値以上にそろえる制御を行うため(補充電処理)、バッテリの劣化の進行を抑制することができる。
なお、本実施の形態では、使用するバッテリの個数は2つであるが、特に限定されない。3つ以上のバッテリを直列または並列の接続状態に切り換え可能に構成することも可能である。
2010年3月29日出願の特願2010−075276、2010年3月29日出願の特願2010−075277および2010年3月29日出願の特願2010−075278の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。