実施の形態1.
図1は、この実施の形態1を示す空気調和機の室内機100の分解斜視図であり、図2は、図1の室内機100の縦断面図である。また、図3は、この室内機100の正面意匠パネル1が開いた状態での側面図である。この室内機100は、壁掛けタイプであり、空調する部屋の壁面の天井に近い上部に設置されるもので、図1乃至3に示されるように、室内機本体50と、その本体50の前面側に取り付けられ、室内機本体50の上部を回動中心として上下方向に回動し、室内機本体50の前面を開閉可能とする正面意匠パネル1とを備えている。室内機100は、屋外に配置される室外機(図示なし)と冷媒配管で接続されていて冷凍サイクル回路が構成されている。
正面意匠パネル1は、通常は図2に示すように閉じており、その閉じた状態において、その正面(前面)が室内に臨んで、この室内機100の外観意匠に大きく貢献するものとなっている。室内機本体50は、図1乃至3に示すように、その筐体として、壁面側に位置する背面ケース52と、その背面ケース52の前方に位置する前面枠51とを備える。そして、上下方向に前面側に凸となるような曲面形状を成す正面意匠パネル1は、前面枠51の前面に取り付けられる。背面ケース52は、その前面側に、空気流を生成する送風ファンである貫流ファン2や、その貫流ファン2の前方と上方とを囲うように配置される熱交換器3を保持している。
背面ケース52と接して背面ケース52の前方(前面側)に位置する前面枠51は、枠体であり、背面ケース52から前方に突出している貫流ファン2や熱交換器3を内部に収めている。そして、前面枠51の下部には、室内機本体50の左右方向に長く伸びる吹出口53が形成されている。吹出口53には、吹出空気の風向を左右方向に調整する左右風向調整板7が上流側に、上下方向に調整する上下風向調整板4が下流側に設置されている。室内機100の運転停止時には、前後2枚の上下風向調整板4により、吹出口53が塞がれる。また、前面枠51の上面には格子状に形成された室内空気の吸込口54が設けられている(図1参照)。
室内機本体50の右側端部には、この室内機100の制御基板等を有する電気品収納部6(図1参照)が位置する。電気品収納部6も筐体内に収まっている。ここで本明細書において、左右方向に細長い形状を呈する室内機1の左右方向については、室内機100を正面から見た状態、すなわち正面視で右方向を右側、左方向を左側と定義する。
図2に示すように、室内機本体50は、縦断面の中央やや下寄りに貫流ファン2を備え、その貫流ファン2の前方と上方を囲うように、逆V字形状に熱交換器3が配置されている。そして、前面枠51上面の吸込口54より下流側で熱交換器3の上流側に、着脱自在なエアフィルター5が配置される。エアフィルター5は、熱交換器3をその前方と上方とで覆うように、コーナー部が緩やかにカーブした逆L字状を呈して取り付けられている。なお、図1に示す室内機本体50において、エアフィルター5については、枠のみの図示とし、網(メッシュ)の図示は省略している。
回転する貫流ファン2の送風作用により、前面枠51上面の吸込口54から、室内空気が室内機本体50の内部へと吸い込まれる。室内空気は、室内機本体50の内部に吸い込まれる過程でエアフィルター5を通過し、その際に室内空気といっしょに吸い込まれた室内に漂っていた塵埃が、エアフィルター5によって捕捉される。よって、熱交換器3には、塵埃が除去された室内空気が届けられる。
エアフィルター5を通過した室内空気は、続いて熱交換器3を通過するが、その過程で、冷凍サイクル回路を循環する冷媒と熱交換し、冷房運転であれば冷やされ、暖房運転であれば暖められて調和空気となり、吹出口53から室内へと吹き出される。これにより室内の空気調和が行われる。吹出口53から吹き出される調和空気の気流は、左右風向調整板7にて左右方向に、上下風向調整板4により上下方向に調整される。
これより、この実施の形態1で示す室内機100の正面意匠パネル1の構造について説明する。図4は、この正面意匠パネル1の分解斜視図であり、正面意匠パネル1は、ベースパネル10と、そのベースパネル10の前面に、その前面を覆うように装着される意匠部材である意匠パネル11とから成る。なお、図4は、意匠パネル11として、後述する樹脂製意匠パネル30を取り付ける場合の分解斜視図を示している。
図1乃至3に示すように、正面意匠パネル1は、室内機本体50の前面側に、室内機本体50の前面を開閉できるように取り付けられている。正面意匠パネル1は、閉じた状態において、室内機本体50の上下方向(一般的に鉛直方向)に、室内機100の正面側へと、すなわち室内空間へ向かって凸となるような滑らかな曲面形状を呈している。
この正面意匠パネル1は、図4に示すように、ポリプロピレン(PP)もしくはABS樹脂もしくはポリスチレン(PS)を材料として射出成形された樹脂製のベースパネル10と、このベースパネル10の前面側に装着され、この室内機100の正面に配置されることとなる意匠部材である意匠パネル11とから成り、これらが組み合わされて、1枚のパネル状に構成されている。
ベースパネル10は、その背面(正面意匠パネル1が閉じた状態において室内機本体50の前面と対向する面)の左右上部にそれぞれ回動軸12を有するとともに、下部には左右方向にそれぞれ適度な距離を空けた複数の係止突起13を備える(図7参照)。これら回動軸12と係止突起13は、ベースパネル10に一体成形される。
ベースパネル10への意匠パネル11の装着についての説明よりも先に、これらが組み合わされた意匠正面パネル1の室内機本体50に対する開閉可能な取り付け構造について説明する。室内機本体50の筐体を構成する前面枠51の前面には、左右方向の両端近傍上部それぞれに、ベースパネル10背面上部の回動軸12を回動自在に支持する軸受部55が設けられている。また、前面枠51の前面下部には、ベースパネル10背面下部の係止突起13を受け止めて、これを保持する係止ツメ56が設けられている
正面意匠パネル1が閉じた状態では、係止突起13が、室内機本体50側の係止ツメ56に引っ掛かって保持されているので、正面意匠パネル1が室内機本体50に対して浮き上がることはなく、閉じた状態が安定的に維持される。
ユーザが正面意匠パネル1を開ける場合、正面意匠パネル1の下端や側壁下部に指を掛け、正面意匠パネル1の下部を手前側に引き寄せれば、係止突起13が前方に移動し、その際に係止ツメ56を広げるように弾性変形させ、係止ツメ56の引っ掛かりを外し、係止ツメ56による保持を解除する。
係止ツメ56から係止突起13を外した後は、そのまま正面意匠パネル1の下部を手前側へと引き上げるように移動させれば、正面意匠パネル1は、室内機本体50の上部で、軸受部55に回転摺動を支持された回動軸12を中心として上方へと回動し、正面意匠パネル1が開いた状態となる。図3が、正面意匠パネル1が開いた状態の側面図であり、このように正面意匠パネル1を開くことにより、室内機本体50の前面を室内に露出させることができ、ユーザがエアフィルター5の脱着などができるようになる。
再び、正面意匠パネル1を閉じた状態にする場合には、開いた正面意匠パネル1の下部を室内機本体50側へ押し下げるように移動させれば、室内機本体50上部に位置している回動軸12を中心に下方へと回動し、係止突起13が奥側へ移動する際に係止ツメ56を広げるように弾性変形させ、係止ツメ56内に進入し、係止ツメ56に再び引っ掛けられて保持され、安定的な閉鎖状態へと移行する。このときに、係止突起13が挟み込まれる際の係止ツメ56の弾性変形が、正面意匠パネル1を介してユーザに手応えとして感じられるので、係止ツメ56による保持がなされたこと、すなわち正面意匠パネル1を閉じる作業が無事に完了したことをユーザはこの手応えによって認識することができる。
これより、この実施の形態1が示す室内機100の正面意匠パネル1の特徴的な構成について説明する。本発明者らは、室内機100の外観意匠の変更にあたって、正面意匠パネル1に対する視覚的要素の変更に限定せずに、正面意匠パネル1の触感や温度感覚までも含め、その質感までをも異ならせようと着想した。そのために、意匠部材となる意匠パネル11の素材を異ならせることに思い至った。
より詳細には、共通な樹脂製のベースパネル10に、それと同じ材料の樹脂で成形した樹脂製のものと、樹脂製よりも高級感が感じられる金属製のものとのいずれか一方をどちらであっても装着できるようにすることで、室内機100の大胆な意匠変更を為し得るようにすることを着想した。意匠パネル11として、射出成形にて多彩な色彩に成形可能な樹脂製のものを取り付ければ、大衆性のある親しみ易い意匠の室内機100を提供できる。一方、意匠パネル11として、アルミニウム合金やステンレスなどを材料として金属製のものを取り付ければ、メタリックな輝きやその質感から、樹脂製では得られないような高級感ある意匠を提供できるようになる。
なお、これより先は、樹脂製の意匠パネル11を樹脂製意匠パネル30、金属製の意匠パネル11を金属製意匠パネル40と表して説明を行うこととする。すなわち、ここでは、意匠パネル11として、樹脂製意匠パネル30と金属製意匠パネル40との2種類が存在し、いずれか一方がどちらであっても共通な樹脂製のベースパネル10への取り付けが可能となるのである。
樹脂製意匠パネル30は、ベースパネル10と同じ材料の樹脂ではなく、それと異なる材料の樹脂の成形品であってもよい。例えば、正面意匠パネル1の回動を支持する回動軸12を一体成形で備えるベースパネル10は、機械的強度に優れた例えばABS樹脂を材料として射出成形し、樹脂製意匠パネル30には、光沢性に優れるポリスチレン(PS)を材料に用いたり、汎用性が高く比較的安価なポリプロピレン(PP)を材料に用いたりしてもよい。また、金属製意匠パネル40は、金属板を板金加工によって製作するものであり、上記したアルミニウム合金やステンレス以外の金属材料を素材に板金加工して用いてもよい。
まず、ベースパネル10について説明する。図5は、ベースパネル10の正面側からの斜視図であり、図6は、ベースパネル10の要部拡大斜視図で、図5のA部を示している。また、図7は、ベースパネル10の背面側からの斜視図であり、図8は、ベースパネル10の縦断面図で、図5におけるB−B断面を示している。
図5乃至8に示すように、ベースパネル10は、正面視で左右方向を長辺方向(長手方向)とする矩形状で、短辺(短手)方向となる上下方向に、前方(室内機100の正面側)へ凸となるような滑らかに湾曲した曲面形状を呈するパネル部10aを有する。そして、そのパネル部10aの外周四方に、前面側が開口し、背面側へと凹となる嵌合溝14が連続的に形成されている。嵌合溝14には、後述する意匠パネル11周囲に形成されるフランジ部が進入するが、その詳細については後述する。そして、図7に示すように、パネル部10aの背面には、上記した回動軸12と係止突起13が形成されている。正面意匠パネル1が閉じた状態において、このパネル部10aの背面が室内機本体50の前面と対向する。
嵌合溝14は、図8に示すように、断面コの字状に、前面側が開口して残り三方を壁板15が囲って閉じられている。その三方の壁面として、パネル部10aに接続して内側に位置する溝内側面14b、この溝内側面14bと溝幅Kを隔てて対向し外側に位置する溝外側面14a、溝外側面14aと溝内側面14bにそれぞれ接続して嵌合溝14の底面を形成する溝底面14cが存在する(図18参照)。
パネル部10aの上側の溝内側面14bは上方を向き、下側の溝内側面14bは下方を向く。そして、パネル部10aの右側の溝内側面14bは右方向を向き、左側の溝内側面14bは左方向向く。溝外側面14aは、ベースパネル10の中央方向へと臨み、溝底面14cは、嵌合溝14の開口に面している。また、壁板15はパネル部10a外周の四方全周に連続的に形成されており、パネル部10aからその背面側へと突出した状態となっている。すなわち、嵌合溝14は、パネル部10aより奥まって形成されている。
なおここで、今後の嵌合溝14が関連した説明において、以下のように方向の名称を定義しておく。嵌合溝14が走る(細長く伸びる)方向を溝方向、溝外側面14aと溝内側面14b間の方向を溝幅方向、そして、嵌合溝14の正面開口と溝底面14c間の方向を溝深さ方向とする。よって、嵌合溝14は、溝幅方向の断面が、コの字状ということである。
嵌合溝14の溝内側面14b側には、上下左右にそれぞれ複数の係合爪16が適度な間隔を空けて設けられている。これら係合爪16は、意匠パネル11のフランジ部に形成される係合孔に進入して、意匠パネル11を保持するものである。また、溝内側面14bと溝外側面14aとにはそれぞれ、ベースパネル10に対する意匠パネル11の上下左右方向の位置決めを行う位置決め突起17、18が設けられている。これら係合爪16、位置決め突起17、18は、ベースパネル10に一体成形されるものだが、その詳細については意匠パネル11の装着に絡めて後述する。
次に、意匠パネル11について説明する。この実施の形態においては、意匠パネル11として、前述したように、樹脂製意匠パネル30と金属製意匠パネル40を準備している。樹脂製意匠パネル30は、ここでは、光沢性に優れ、この室内機100の正面意匠として、大衆性がありながも見映えのよいポリスチレン(PS)を材料に射出成形して得ている。しかし、その樹脂材料は、PSに限るものではない。汎用性の高いPPでもよいし、大形機種対応であれば、機械的強度に優れたABS樹脂を用いるのもよい。
なお、樹脂製意匠パネル30は、ここではベースパネル10と同色としているが、異なる色でもよく、多様な色彩のものを取り揃えておくのが望ましい。意匠面となる前面に、絵柄や図柄を印刷や貼り付けを施してもよい。また、樹脂製意匠パネル30を透明もしくは半透明な樹脂材料で成形し、その背面に塗装や印刷等で色彩を施すようにして、正面意匠に奥行き感を持たせるように構成してもよい。
図9は、樹脂製意匠パネル30を正面側から見た斜視図であり、図10は、図9でC部にて示す要部拡大図である。また、図11は、樹脂製意匠パネル30の背面(ベースパネル10の前面と対向する面)側から見た斜視図であり、図12は、樹脂製意匠パネル30の縦断面図で、図9におけるE−E断面を示している。
図9乃至12に示すように、樹脂製意匠パネル30は、正面視で左右方向を長辺(長手)方向とする矩形状で、短辺(短手)方向となる上下方向に、ベースパネル10のパネル部10aの曲面形状(湾曲形状)に沿って、前方(室内機100の正面側)に凸となるように湾曲する板状の意匠部31と、その意匠部31の上下左右の外周四方からそれぞれ、背面側へと突出している板状のフランジ部32から成る。意匠部31の前面(凸となっている面)が室内に臨む意匠面となる。
意匠部31とフランジ部32は一体的に同時成形されており、ともに板状である両者の板厚はここでは等しいが、強度的な理由や成形上の理由から両者の板厚が異なっていてもよい。また、上下左右の四方向のフランジ部32が、意匠部31の四方周囲に連続的に形成されているが、意匠部31の四隅角部においては、フランジ部32を形成しないようにして、上下左右四方向のフランジ部32がそれぞれの方向で独立するように構成してもよい。
この樹脂製意匠パネル30は、意匠部31とフランジ部32の板厚Tpは等しく、Tp=2mmである。矩形状の広い面積を有する板状の意匠部31が存在するため、射出成形して得られる樹脂製意匠パネル30は、その板厚Tpをより薄くしようとすると、射出成形時に金型内での溶融樹脂の流動性が損なわれたり、成形品に反りが生じたりといった不具合が生じる恐れがある。そのため、意匠部31の大きさにも因るが、樹脂製意匠パネル30には必要最低限な板厚が存在する。ここでの樹脂製意匠パネル30の板厚Tp=2mmは、その必要最低限の板厚に近い寸法となっている。
フランジ部32には、適度な間隔をあけて、フランジ部32をその板厚方向に貫通状態に形成される略四角形状の係合孔33が複数設けられている。これら係合孔33には、ベースパネル10の係合爪16が入り込み両者が係合することになるが、これら係合孔33の設置位置は、図5に示すベースパネル10の係合爪16と同様で、意匠部31(係合爪16についてはパネル部10a)の長手方向(左右方向)側ではそれぞれ、短手方向の上部と下部の2箇所、また、短手方向(上下方向)側ではそれぞれ、右、中央、左の位置で3箇所、または等間隔にもしくは中央は近距離に2箇所として4箇所となっている。
そして、この樹脂製意匠パネル30は、加熱溶融させた樹脂材料を金型内に射出注入し、それを冷却、固化させて取り出す射出成形によって得られるものなので、その過程において、体積膨張から体積収縮へという物理的変化が生じる。そのため、取り出した成形品は体積収縮を起こす。射出成形において、このような取り出した成形品が収縮する性質は一般的であり、射出成形品は収縮性を有しているのである。樹脂製意匠パネル30では、広い面積の意匠部31がその中央に向かって収縮しようとするので、四方のフランジ部32は内側へと移動するような性質となっている。すなわち上下方向に、または左右方向に対向するフランジ部32の内向面32a同士が近づこうとする。
もう一方の意匠パネル11である金属製意匠パネル40は、ここでは、アルミニウムマグネシウム合金(例えばJIS規格のA5052)の板材を板金加工することによって得ている。なお、材料は他のアルミニウム合金でもよいし、それ以外の金属、例えばステンレスなどでもよく、樹脂製では得られないメタリックな輝きや質感を呈する金属材料であればよい。
このような金属製意匠パネル40を用いることで、そのメタリックな輝きや質感から、室内機100に高級感のある意匠を提供できるようになる。また、金属製意匠パネル40は、樹脂製意匠パネル30に比べ、室内の温度変化に対する表面(例えば意匠面)の温度変化の追随が速いので、ユーザが触れたときに、樹脂製意匠パネル30よりも温度感を感じられるようになる。
図13は、金属製意匠パネル40を正面側から見た斜視図であり、図14は、図13でF部にて示す要部拡大図である。また、図15は、金属製意匠パネル40の背面(ベースパネル10の前面と対向する面)側から見た斜視図であり、図16は、金属製意匠パネル40の縦断面図で、図13におけるG−G断面を示している。
図13乃至16に示すように、金属製意匠パネル40は、先に説明した樹脂製パネル30と同様に、左右方向を長辺(長手)方向とする矩形状で、短辺(短手)方向となる上下方向に、ベースパネル10のパネル部10aの曲面形状に沿って、前方に凸となるように湾曲する板状の意匠部41と、その意匠部41の上下左右の外周四方からそれぞれ背面側へと突出している板状のフランジ部42から成る。意匠部41の前面(凸となっている面)が室内に臨む意匠面となる。必要な形状に切断加工、抜き加工された金属製の薄い平板に対して、曲げ加工により意匠部41の曲面形状を形成し、その後で、絞り加工により意匠部41の外周四方周囲にフランジ部42を成形する。金属製意匠パネル40は、このように一枚の金属平板を板金加工して製作するので、意匠部41とフランジ部42の板厚は略等しいものとなっている。
なお、絞り加工によりフランジ部42を形成するにあたって、意匠部41の四隅角部におけるフランジ部42の特に先端付近では、加工後の表面にしわが発生することがある。そのため、四隅角部のフランジ部42の高さ(意匠部41外周縁からフランジ部42先端までの長さ寸法)を、四隅角部以外の部分の高さよりも低く(短く)して、角部のフランジ部42には、その先端側に逃がし部42a(図13参照)を設けるようにして、しわの発生を防ぐようにするとよい。
また、四隅角部におけるフランジ部42のしわ防止対策としては、四隅角部にはフランジ部42を形成せず、上下左右の四方向それぞれに、互いが連続しない各々が独立した別個のフランジ部42を形成するようにしてもよい。この場合では、絞り加工でなくても、曲げ加工(折り曲げ加工)により、フランジ部42が形成できる。
この金属製意匠パネル40は、少なくとも意匠部41の前面、すなわち室内に臨む意匠面にはヘアライン加工を施してあり、その表面はヘアライン加工によるつや消し効果が発揮されており、メタリックな質感がより強調され高級感が増している。ここでは、ヘアライン加工を施しているが、それ以外にも例えば、ダイヤカット加工を行えば、重厚感や立体感を出すことができ、より高級感が増す効果が得られる。
さらに、この金属製意匠パネル40では、立体感とメタリック感が強調される意匠となるように、意匠部41の外周縁とフランジ部42の根元との接続部分であり、約90度の角度を有する折曲部に、上下左右の4辺に渡って面取りを施し、その面取りした面を鏡面加工で仕上げて、輝きを有する光沢面44を形成している。この光沢面44(図16参照)が、ヘアライン加工でつや消しされた意匠部41の意匠面の外周を縁取るような構成となる。光沢面44と意匠面の光沢のコントラストが立体感やメタリック感を強調して、より高級感のある意匠が提供できるようになっている。
フランジ部42には、樹脂製意匠パネル30と同様に、適度な間隔をあけて、フランジ部42をその板厚方向に貫通する略四角形状の係合孔43が複数設けられている。これらの係合孔43は、ベースパネル10の係合爪16が係合されることになり、そのような係合爪16に対応する位置に設けられる。
金属製意匠パネル40は、板厚1mmの平板材(ここでは、アルミニウムマグネシウム合金の板材で、例えばA5052P)を前述したとおり、板金加工で形成するので、面取り加工で切削した光沢面44の部分を除き、その板厚Tmは、意匠部41とフランジ部42ともにTm=1mmである。ただし、板金加工の特に絞り加工されたところでは、板厚が1mmよりもわずかに薄くなる部分が存在する。
なお、係合孔43は、フランジ部42を絞り加工もしくは曲げ加工で形成した後で、意匠部41の意匠面もしくは背面を基準に奥行き方向(前後方向)の位置決めをしてから、抜き加工にて設けるのがよい。フランジ部42の絞り加工もしくは曲げ加工の前に設けておくと、絞り加工もしくは曲げ加工によるフランジ部42の折り曲げ位置のばらつきによって、意匠部41を基準とする係合孔43の奥行き方向の位置にばらつきが生じ、係合爪16との係合にずれが発生することも起こり得るためである。
ここで、特に意匠部41の外周からほぼ90度に折り曲げるフランジ部42を、絞り加工もしくは曲げ加工で成形するので、板厚Tmをより厚くしようとすると、その成形性(加工性)が悪くなり、厳しい要求の寸法精度を満足しないものが成形されてしまう恐れが生じる。そのため、金属製意匠パネル40の板厚Tmを、先の樹脂製意匠パネル30の板厚Tp(=2mm)と同等とするのは、特にフランジ部42の成形上の都合から難しく、ここでは、樹脂製意匠パネル30の板厚Tpよりも薄い板厚としている。
なお、金属製意匠パネル40には、金属の特性である経年的な腐食を抑制するための表面処理を施すのがよい。この金属製意匠パネル40は、材料がアルミニウム合金であるため、アルマイト処理が有効である。金属製意匠パネル40の材質に応じて、適宜メッキ、塗装、コーティングなど有効な表面処理を施せばよい。
そして、金属製意匠パネル40は、フランジ部42を板金の絞り加工もしくは曲げ加工で成形するので、加工前の形状に戻ろうとするスプリングバック特性により、フランジ部42が、意匠部41に対して外側へ広がろうとするような性質を有している。すなわち、フランジ部42の外向面32aが外側へ傾こうとしている。
これより、ベースパネル10への意匠パネル11の取り付けについて説明する。意匠パネル11は、予めこの室内機100の製作工場にて、樹脂製意匠パネル30か金属製意匠パネル40のどちらか一方が取り付けられて出荷されるものである。よって、製作工場において、これ以降で説明する取り付け作業が行われることになるが、ユーザ宅にこの室内機100が据え付けられた後で、模様替え等によりユーザの希望により意匠パネル11を交換する場合でも、サービス業者やユーザ自身の手によって、同様な取り付け作業が行われることになる。
取り付け作業の説明に先立って、ベースパネル10の係合爪16の構造について詳細に説明しておく。図17は、係合爪16近傍の拡大斜視図であり、わかり易くするために、係合爪16が設けられる嵌合溝14のうち溝外側面14aを形成する部分の壁板15を取り除き、溝底面14cが正面を向くように図示している。
図17に示すように、係合爪16は、側縁がL字状となる切欠き空間19に、溝内側面14bと同一面上に並んで形成される門型の爪支持板20上に形成されている。そして、その切欠き空間19は、所定の幅(溝方向の長さ)で、溝内側面14bを形成する壁板15とパネル部10aの下部が除去されたように存在していない部分である。爪支持板20は、溝内側面14bが部分部分で所定の幅で欠けている切欠き空間19内で、切欠き空間19の両側に位置する溝内側面14bからそれぞれ溝方向に離れて、すなわち、溝方向に溝内側面14bから独立して設けられている。
そして、爪支持板20は、両側部に互いに間隔を空けてそれぞれ位置し、一方の端面が溝底面14cに接続する2本の脚部20aとそれら脚部20aの他方の端面それぞれに接続し2本の脚部20aに跨る渡り部20bとから成るコの字状の外枠20cと、この外枠20cの内側となる2本の脚部20aの間で、それぞれの脚部20aとは所定の間隔を空けて位置し、一方の端面が2本の脚部20aに跨る渡り部20bに接続し、他方の端部は自由端となっている座り部20dとを有する。外枠20cは、溝底面14cに対して渡り部20bが自由端である片持ちばり状となり、座り部20dは、渡り部20bに対して片持ちばり状となる。渡り部20bが最も嵌合溝14の手前側に位置する。
座り部20dは、脚部20aの長さ(嵌合溝14の溝深さ方向の長さ)の半分以上の長さを有する。爪支持板20の嵌合溝14に臨む面は溝内側面14bと基本的に同一面上である。ただし、脚部20aの根元(溝底面14c側)部分に形成される強度補強用の肉盛り部は除く。言い換えれば、爪支持板20は、溝内側面14bの一部とも言える。なお、爪支持板20の嵌合溝14に臨む面は、溝内側面14bと同一面上でなくても、溝内側面14bから反嵌合溝14側へ窪んでいてもよい。また、爪支持板20の板厚は、ここでは嵌合溝14を形作る壁板15の板厚と同じだが、それより薄くしてもよい。
この爪支持板20の座り部20d上に係合爪16が形成されている。すなわち、係合爪16は、座り部20dの嵌合溝14に臨む面から嵌合溝14内に隆起している。図18は、ベースパネル10の上部に形成されている係合爪16の溝幅方向の断面図である。係合爪16は、座り部20dの嵌合溝14内に臨む面に設けられていて、溝深さ方向に奥側に向かって傾斜状に高さ(溝幅方向の長さ)が増していく傾斜面16bを有した略直角三角形の断面形状を呈している。そして、傾斜面16bの高さの最も高い位置にて溝底面14cに対向するように係合面16aが形成される。ここでこの係合爪16は、係合面16aの位置での高さ(溝幅方向の長さ)が3mmであり、溝方向の厚さ(幅)も3mmであり、係合面16aの形状は略正方形となっている。
係合爪16の係合面16aは溝幅方向に、座り部20dの自由端側の端面と同一面をなしている。なお、係合爪16は、嵌合溝14の溝深さ方向に対して、座り部20d内に必ずしも収まっている必要はなく、嵌合溝14の手前側(開口側)では、渡り部20bにまで跨っていてもよい。これら支持板20、係合爪16は、ベースパネル10の一部であり、ベースパネル10の成形時に同時に一体的に成形される。
作業者が、意匠パネル11のフランジ部32、42に形成された複数の係合孔33、43のそれぞれに、対応するベースパネル10の係合爪16を係合させることで、意匠パネル11がベースパネル10に取り付けられたことになるのであるが、これら係合孔33、43と係合爪16の係合がそれぞれ容易に、しかも確実に行えるように、この正面意匠パネル1には、主として2つの特徴的な構成を備えている。
その1つが先に構造説明をした係合爪16を支持する爪支持板20であり、その作用については、後述する。そしてもう1つが、これから説明する位置決め用突起17、18であり、これはベースパネル10の嵌合溝14内に設けられているもので、ベースパネル10に対する意匠パネル11の左右方向、上下方向の位置決めをするものである。なお、ここで用いるベースパネル10や意匠パネル11の上下方向と左右方向は、正面意匠パネル1が、室内機本体50に取り付けられ閉じた状態での上下、左右を指している。
これら爪支持板20、および位置決め用突起17、18がベースパネル10の嵌合溝14内に形成されていることにより、作業者が、意匠パネル11のフランジ部32、42の突端を大まかにベースパネル10の嵌合溝14の位置に合わせて、そのままフランジ部32、42を嵌合溝14の奥側に向かって挿入すれば、係合孔33と係合爪16の係合が円滑に、しかも確実に達成できるのである。
これより具体的な説明を行う。まずは、意匠パネル11として樹脂製意匠パネル30をベースパネル10に取り付ける場合について説明する。樹脂製意匠パネル30は、フランジ部32が嵌合溝14に挿入され、意匠部31が、パネル部10aの前方を覆うようにしてベースパネル10に取り付けられる。図5に示されるように、樹脂製意匠パネル30を取り付けるための位置決め突起17(以降、樹脂製用位置決め突起17と呼ぶ)が、嵌合溝14の溝内側面14bに形成されている。樹脂製用位置決め突起17は、溝内側面14bから突出するとともに、嵌合溝14の手前側から奥側に向かって細長く伸びるように、上下左右四方向のそれぞれの溝内側面14aに複数形成されている。
樹脂製用位置決め突起17は、図5に示すように、その内部に爪支持板20が形成されている切欠き空間19の溝方向の両側で、切欠き空間19から所定の距離を隔てた位置に形成されている。この所定の距離は、概ね10mm〜40mmである。図19は、樹脂製用位置決め突起17の斜視図、図20は樹脂製用位置決め突起17の溝幅方向の断面図である。なお、図19は、わかり易くするために、図17同様に溝外側面14aを形成する部分の壁板15を取り除き、溝底面14cが正面を向くように図示している。
図19、図20に示すように、樹脂製用位置決め突起17は、嵌合溝14の溝内側面14b上に突出しており、嵌合溝14の溝深さ方向に開口側から奥側に向かって細長く伸びて形成される。樹脂製用位置決め突起17は、開口側では、開口縁からわずかな距離(ここでは1mm程度)を隔てた位置から突出し、奥側は、溝底面14cにそのまま接続している。
そして、開口側端部から溝深さ方向の途中まで、より詳細には樹脂製用位置決め突起17の溝深さ方向長さの1/3〜1/2のところまで、奥側に向かって徐々に高さ(溝幅方向の長さ)が増すようなテーパ面17aが形成されている。テーパ面17aより奥側は、高さが一定なストレート面17bとなっている。この樹脂製用位置決め突起17のストレート面17bの高さは、1.5mm、厚さ(溝方向の幅)が1mmである。テーパ面17aは、ストレート面17bの高さまで直線的に高さを増加させている。樹脂製用位置決め突起17の高さはストレート面17bの高さが最大で、このストレート面17bの高さが樹脂製用位置決め突起17の高さとなり、すべての樹脂製用位置決め突起17の高さは等しい。
作業者が、樹脂製意匠パネル30の上下左右四方向それぞれのフランジ部32の突端を、大まかにベースパネル10の嵌合溝14の位置に合わせて、そのままフランジ部32を嵌合溝14に挿入させるために、樹脂製意匠パネル30を、その意匠部31がベースパネル10のパネル部10aに近づくように移動させる。ここで、図21はフランジ部32の挿入過程を説明する模式図であり、(a)は位置ずれが修正されるようにフランジ部32が樹脂製用位置決め突起17のテーパ面17aをスライドする過程を示し、(b)はフランジ部32がストレート面17bにガイドされる過程を示す。
図21(a)に示すように、樹脂製意匠パネル30をベースパネル10に近づけていくと、溝内側面14b寄りにずれているフランジ部32の突端は、対応する樹脂製用位置決め突起17のテーパ面17aに接触し、継続する作業者による挿入作用、すなわち、フランジ部32を嵌合溝14の奥側へと入り込ませようとする力の作用によって、それぞれの接触位置から、奥側に向かって、フランジ部32の突端がテーパ面17aをスライドしながら、溝内側面14bから離れる方向に移動する。
溝内側面14b寄りにずれているフランジ部32が樹脂製用位置決め突起17のテーパ面17aをスライドする過程にて、例えば、上下方向であれば、上側の嵌合溝14にてフランジ部32の突端がテーパ面17aに接してそこをスライド移動して溝内側面14bから遠ざかろうとすれば、下側の嵌合溝14では、樹脂製用位置決め突起17の高さよりも溝外側面14a側に位置していたフランジ部32の突端が、溝内側面14b側、すなわち樹脂製用位置決め突起17へと近づいていく。
そして、このテーパ面17aによる案内作用により、上側の嵌合溝14にて、溝内側面14b寄りにずれていたフランジ部32の突端がテーパ面17aをスライド移動しストレート面17bに差し掛かる頃には、下側の嵌合溝14においても、フランジ部32の突端がストレート面17bに接するようになっている。このようにして、上下方向の位置ずれが修正される。左右方向についても同様であり、ベースパネル10に対する樹脂製意匠パネル30の上下方向、左右方向それぞれの位置ずれが修正され、正しい位置となる。作業者がそのまま挿入作用を続けることで、図21(b)に示すように、位置ずれしていない正しい位置からフランジ部32の内向面32aが、すべての樹脂製用位置決め突起17のストレート面17bと接するようになり、そのままストレート面17bにガイドされながら、フランジ部32は奥側へとストレート面17bに沿って真っ直ぐに進むことができる。
このように、樹脂製意匠パネル30のベースパネル10への取り付けに際し、作業者が、樹脂製意匠パネル30のフランジ部32を、大まかにベースパネル10の嵌合溝14の位置に合わせて挿入するだけで、その挿入過程において、樹脂製用位置決め突起17によって、樹脂製意匠パネル30のベースパネル10に対する位置ずれが修正され、正しい位置へと導かれる。そして、その挿入過程で爪支持板20を弾性変形させて係合爪16を係合孔33に係止させることになるが、係合爪16の係合孔33への係合の作用については、金属製意匠パネル40の取り付け時も同様であるので、合わせて詳細な説明は後述することとする。
そして、この実施の形態で示す室内機100は、上下左右の四方向のいずれにおいても、複数の樹脂製用位置決め突起17をすべて嵌合溝14の溝内側面14bに設けている点が特徴である。先に述べたように、射出成形品である樹脂製意匠パネル30は収縮性を有し、その性質により、成形機から取り出した後で、上下左右の四方のフランジ部32は、それぞれ対向する内向面32a同士が近づくように内側へと移動する。
よって、フランジ部32の内向面32aを、樹脂製用位置決め突起17のストレート面17bにガイドされる面として使用すれば、すべての樹脂製用位置決め突起17のストレート面17bがフランジ部内向面32aと接してガイドすることができるようになり、樹脂製意匠パネル30が、ベースパネル10に対して上下方向、左右方向ともに確実に正しい位置決めがなされるようになる。
このように、この室内機100は、樹脂製意匠パネル30のベースパネル10への取り付け時に、ベースパネル10の嵌合溝14に挿入される樹脂製意匠パネル30のフランジ部32をガイドして、ベースパネル10に対する樹脂製意匠パネル30の上下方向と左右方向の位置を正しい位置に導く位置決め作用を有する位置決め突起17が、嵌合溝14の溝内側面14b上に設けられているとともに、射出成形品であって収縮性を有する樹脂製意匠パネル30において、その収縮方向に面している樹脂製意匠パネル30のフランジ部内向面32aを、複数の位置決め突起17に接してガイドされる面としていることで、フランジ部32は、その内向面32aが樹脂製用位置決め突起17と接して確実にガイドされるようになるので、樹脂製意匠パネル30のベースパネル10に対する上下方向および左右方向の位置を正しい位置とすることができる。
なお、ここで正しい位置とは、ベースパネル10に対しての樹脂製意匠パネル30の上下方向、左右方向の位置が、製造業者やユーザが意図する位置にあることをいい、この室内機100では、正面視で矩形状なベースパネル10のパネル部10aの中心と、同じく正面視矩形状な樹脂製意匠パネル30の意匠部31の中心とが、概ね同じ位置になっている状態を正しい位置としている。
そのために、上下方向においては、パネル部10a中心から、上側および下側の溝内側面14bまでのそれぞれの最短距離が同じであり、また、左右方向においては、パネル部10a中心から、右側および左側の溝内側面14bまでのそれぞれの最短距離が同じである。そして、すべての樹脂製用位置決め突起17のストレート面17bの高さ(溝幅方向の長さ)が等しくなっている。
樹脂製用位置決め突起17に案内されたフランジ部32の挿入によって、詳細な作用説明は後述する係合爪16と係合孔33への係合がなされて、樹脂製意匠パネル30のベースパネル10への取り付けが完了したときには、上下左右四方向それぞれの溝内側面14b上の複数の位置決め突起17のストレート面17aと、フランジ部32の内向面32aとが接触している状態となるので、上下方向にも左右方向にもがたつきのない状態を確保できるともに、その状態を維持することができる。
すなわち、上側の嵌合溝14の溝内側面14bに形成されている樹脂製用位置決め突起17に上側のフランジ部32の内向面32a(下方を向いている)が接していることで、樹脂製意匠パネル30の下方への移動は規制され、と同時に、下側の嵌合溝14の溝内側面14bに形成されている樹脂製用位置決め突起17に下側のフランジ部32の内向面32a(上方を向いている)が接していることで、樹脂製意匠パネル30の上方への移動も規制される。左右方向も同様に、フランジ部32の内向面32aと樹脂製用位置決め突起17のストレート面17aとの接触により、右側への移動と左側への移動がそれぞれ規制される。なお、樹脂製意匠パネル30の前後方向(奥行き方向)の位置固定については、係合爪16と係合孔33との係合の説明に絡めて後述する。
次に、意匠パネル11として金属製意匠パネル40をベースパネル10に取り付ける場合について説明する。金属製意匠パネル40も、フランジ部42が嵌合溝14に挿入され、意匠部41が、パネル部10aの前方を覆うようにしてベースパネル10に取り付けられる。そして、フランジ部42の挿入により、複数の係合孔43と係合爪16とが係合することで取り付けが達成されるが、その挿入時に、上下および左右方向の位置決めが、金属製用位置決め突起18によってなされる。
図22は、金属製用位置決め突起18の斜視図、図23は金属製用位置決め突起18の溝幅方向の断面図である。これらの図に示すように、金属製用位置決め突起18は、嵌合溝14の溝外側面14aから突出しており、溝内側面14bから突出する樹脂製用位置決め突起17とこの点で異なっている。形状的には金属製用位置決め突起18も、樹脂製用位置決め突起17と同様で、嵌合溝14の溝深さ方向に開口側から奥側に向かって細長く伸びた突起であり、手前(嵌合溝14の開口)側に位置するテーパ面18aと、テーパ面18aの奥側に位置するストレート面18bを有している。
テーパ面18aは、開口側端部からストレート面18bまで、そのストレート面18bの高さまで直線的に高さ(溝幅方向の長さ)を増していく。金属製用位置決め突起18の高さはストレート面18bの高さが最大で、このストレート面18bの高さが金属製用位置決め突起18の高さであり、すべての金属製用位置決め突起18の高さが等しい。そして、金属製用位置決め突起18の高さは、0.7mmで、樹脂製用位置決め突起17の高さよりも低く、ここでは1/2以下となっている。この理由については後述する。なお、金属製用位置決め突起18の厚さ(溝方向の幅)は1mmで、樹脂製用位置決め突起17と同じである。
嵌合溝14内では、金属製用位置決め突起18が溝外側面14a上に、樹脂製用位置決め突起17が溝内側面14b上に、それぞれ設けられているわけであるが、これらは、ベースパネル10と一体成形にて形成されるものである。このベースパネル10では、金属製用位置決め突起18と樹脂製用位置決め突起17とが溝方向に同じ位置に、すなわち、樹脂製用位置決め突起17と金属製用位置決め突起18とが嵌合溝14内で所定の距離を隔てて対向するように設けているが、互いの突起17、18は嵌合溝14の溝方向にずれていても構わない。
先に述べたように、板金加工にて成形された金属製意匠パネル40は、加工前の形状に戻ろうとするスプリングバック特性により、上下左右の四方向のフランジ部42は、意匠部41に対して外側へ広がろうとしているので、金属製意匠パネル40については、フランジ部42の外向面42bを、金属製用位置決め突起18にガイドされる面として使用し、金属製用位置決め突起18を、樹脂製用位置決め突起17とは別個に、嵌合溝14の溝外側面14a上に設けることで、金属製意匠パネル40をベースパネル10へ取り付ける際の嵌合溝14へのフランジ部42の挿入時に、すべての金属製用位置決め突起18のストレート面18bがフランジ部42の外向面42bと接してフランジ部42をガイドすることができるようになる。
作業者が、金属製意匠パネル40の上下左右四方向それぞれのフランジ部42の突端を、大まかにベースパネル10の嵌合溝14の位置に合わせて、そのままフランジ部42を嵌合溝14に挿入させるために、金属製意匠パネル40を、その意匠部41がベースパネル10のパネル部10aに近づくように移動させる。図24はフランジ部42の挿入過程を説明する模式図であり、(a)は位置ずれが修正されるようにフランジ部42が金属製用位置決め突起18のテーパ面18aをスライドする過程を示し、(b)はフランジ部42がストレート面18bにガイドされる過程を示す。
図24(a)に示すように、金属製意匠パネル40をベースパネル10に近づけていくと、溝外側面14a寄りにずれているフランジ部42の突端は、対応する金属製用位置決め突起18のテーパ面18aに接触し、作業者によるフランジ部42を嵌合溝14の奥側へと入り込ませようとする力の作用によって、それぞれの接触位置から、奥側に向かって、フランジ部42の突端がテーパ面18aをスライドしながら、溝外側面14aから遠ざかる方向へ移動する。
溝外側面14a寄りにずれているフランジ部42が金属製用位置決め突起18のテーパ面18aをスライドする過程にて、反対側の嵌合溝14(例えば、上下方向であれば、上側の嵌合溝14に対して下側の嵌合溝14)では、金属製用位置決め突起18の高さよりも溝内側面14b側に位置していたフランジ部42の突端が、溝外側面14a側、すなわち金属製用位置決め突起18へと近づいていく。
そして、このテーパ面18aによる案内作用により、溝外側面14a寄りにずれていたフランジ部42の突端がテーパ面18aをスライド移動してストレート面18bに差し掛かる頃には、反対側の嵌合溝14においても、フランジ部42の突端がストレート面18bに接するようになっている。このようにして、ベースパネル10に対する金属製意匠パネル40の上下方向、左右方向それぞれの位置ずれが修正され、正しい位置となる。作業者がそのまま挿入作用を続けることで、図24(b)に示すように、位置ずれしていない正しい位置からフランジ部42の外向面42bが、すべての金属製用位置決め突起18のストレート面18bと接するようになり、そのままストレート面18bに案内されながら、フランジ部42は奥側へとストレート面18bに沿って真っ直ぐに進むことができる。
このようにして、作業者が、金属製意匠パネル40のフランジ部42を、大まかにベースパネル10の嵌合溝14の位置に合わせて挿入するだけで、その挿入過程において、金属製用位置決め突起18によって、金属製意匠パネル40のベースパネル10に対する位置ずれが修正され、正しい位置へと導かれるようになる。
なお、ここで正しい位置とは、ベースパネル10に対しての金属製意匠パネル40の上下方向、左右方向の位置が、製造業者やユーザが意図する位置にあることをいい、この室内機100では、正面視で矩形状なベースパネル10のパネル部10aの中心と、同じく正面視矩形状な金属製意匠パネル40の意匠部41の中心とが、概ね同じ位置になっている状態を正しい位置としており、そのために、上下方向においては、パネル部10a中心から、上側および下側の溝外側面14aまでのそれぞれの最短距離は同じであり、また、左右方向においては、パネル部10a中心から、右側および左側の溝外側面14bまでのそれぞれの最短距離が同じである。そして、すべての金属製用位置決め突起18のストレート面18aの高さ(溝幅方向の長さ)が等しくなっている。
金属製意匠パネル40のベースパネル10への取り付けが完了したときには、上下左右四方向それぞれの溝外側面14a上の複数の位置決め突起18のストレート面18aと、フランジ部42の外向面42bとが接している状態となるので、上下方向にも左右方向にもがたつきのない状態を確保できるともに、その状態を維持することができる。
すなわち、上側の嵌合溝14の溝外側面14aに形成されている金属製用位置決め突起18に上側のフランジ部42の外向面42b(上方を向いている)が接していることで、金属製意匠パネル40の上方への移動は規制され、と同時に、下側の嵌合溝14の溝外側面14aに形成されている金属製用位置決め突起18に下側のフランジ部42の外向面42b(下方を向いている)が接していることで、金属製意匠パネル40の下方への移動も規制される。左右方向も同様に、右側への移動と左側への移動が、フランジ部42の外向面42bと金属製用位置決め突起18のストレート面18aとの接触により、それぞれ規制される。
以上のように、この室内機100は、共通なベースパネル10に取り付けられる意匠パネル11の素材や成形方法から生じる意匠パネル11の性質を踏まえて、ベースパネル10に対する上下方向および左右方向の位置決めの際にガイドされる面として、射出成形される樹脂製意匠パネル30については、収縮性を有していることから、フランジ部32の内向面32aを使用し、板金加工にて成形される金属製意匠パネル40については、スプリングバック特性を利用してフランジ部42の外向面42bを使用する。
さらに、樹脂製意匠パネル30と金属製意匠パネル40とのいずれか一方を、どちらでも取り付け可能とする共通のベースパネル10では、それぞれのフランジ部32、42が挿入される嵌合溝14において、その溝内側面14b上に、樹脂製意匠パネル30のフランジ部内向面32aと接して樹脂製意匠パネル30を位置決めする樹脂製用位置決め突起17を設けるとともに、溝外側面上14a上には、金属製意匠パネル40のフランジ部外向面42bと接して金属製意匠パネル40を位置決めする金属製用位置決め突起18を設けているのである。
そのため、樹脂製意匠パネル30は、ガイド面であるフランジ部内向面32aが確実に樹脂製用位置決め突起17のストレート面17aに接して、正しく位置決めされるとともに、上下方向にも左右方向にもがたつきのない強固な取り付け状態が確保される。また、樹脂製意匠パネル30ではなく、金属製意匠パネル40を取り付ける際には、金属製意匠パネル40は、ガイド面であるフランジ部外向面42bが確実に金属製用位置決め突起18のストレート面18aに接して、こちらも正しく位置決めされるとともに、上下方向にも左右方向にもがたつきのない状態が確保されることとなる。このように、それぞれがベースパネル10に対して上下左右方向について正しく位置決めされるので、作業者が慎重な位置合わせをすることなく、作業を容易に円滑に進めることができる。
もし、位置決め用突起を溝内側面14b上のみとして、それらを樹脂製意匠パネル30と金属製意匠パネル40との共通な位置決め突起として使用した場合、スプリングバックの強い金属製意匠パネル40であると、フランジ部42の内向面に接しない位置決め用突起が現れて、上下方向もしくは左右方向に微小ながたつきが生じる恐れがある。逆に、位置決め用突起を溝外側面14a上のみとして共通に使用した場合では、収縮が大きかった樹脂製意匠パネル30に対して、フランジ部32の外向面に接しない位置決め用突起が現れて、こちらも上下方向もしくは左右方向に微小ながたつきが生じる恐れがある。
ここで、溝外側面14a上の金属製用位置決め突起18の高さが、溝内側面14b上の樹脂製用位置決め突起17の高さよりも低い理由を説明する。位置決め突起17、18は、その高さが高いほど、作業者が最初に大まかに位置合わせしてフランジ部32、42を嵌合溝14に挿入する際の大きな位置ずれを、テーパ面17a、18aにて修正できる。溝内側面14b上の樹脂製用位置決め突起17は、ベースパネル10に樹脂製意匠パネル30が取り付いた場合でも、金属製意匠パネル40が取り付いた場合でも、フランジ部32、42の内側に位置することとなり、その前方には、意匠部31、41が存在する。よって、意匠部31、41によって隠され、室内にいるユーザの目に触れることはない。
しかし、溝外側面14a上の金属製用位置決め突起18は、フランジ部32、42の外側に位置することとなるため、意匠部31、41によって隠匿されない。そのため、室内にその存在が露出される。溝方向の幅が1mmで小さいとは言え、高さが高いほど意匠性が損なわれる。そこで、溝外側面14a上の金属製用位置決め突起18は、テーパ面18aによる位置ずれ修正量が小さくなっても、樹脂製用位置決め突起17よりも高さを低くして意匠性が悪くなることを防いでいるのである。意匠性が損なわれないためには、溝外側面14a上の金属製用位置決め突起18の高さは、1mm未満が望ましい。
また、同じく意匠性の悪化を防止するためには、樹脂製意匠パネル30がベースパネル10に取り付いている際の、樹脂製意匠パネル30のフランジ部32の外向面と溝外側面14a上の金属製用位置決め突起18とのすきま(溝幅方向の距離)が小さい方がよい。このすきまに金属製用位置決め突起18の高さも加わった幅の空間が、樹脂製意匠パネル30の外周四方に見えるようになるので、これが大きいと意匠性が損なわれてしまう。
この室内機100では、先に述べたように樹脂製用位置決め突起17と金属製用位置決め突起18とが対向するように配置しており、それぞれのストレート面17a、18a間の距離(溝幅方向)を2.5mmとしている。そして、上述のとおり、樹脂製意匠パネル30のフランジ部32の肉厚は2mmであるので、フランジ部32の外向面と金属製用位置決め突起18とのすきまを0.5mmと小さく抑えている。ここでも、意匠性が損なわれないためには、樹脂製意匠パネル30のフランジ部32の外向面と金属製用位置決め突起18のストレート面18bとのすきまは、1mm未満とすることが望ましい。
樹脂製意匠パネル30は、溝内側面14b上の樹脂製用位置決め突起17にて位置決めされるため、溝外側面14a上の金属製用位置決め突起18とは取り付け完了後には接することはない。そのため、フランジ部32の肉厚分も含めた樹脂製意匠パネル30の上下方向の幅は、金属製意匠パネル40の同じ幅よりも、そのすきま(フランジ部32の外向面と金属製用位置決め突起18のストレート面18bとのすきま)の2倍分(ここでは0.5mm×2=1mm)小さくなる。左右方向の幅についても同様である。
なお、このベースパネル10は、上下と左右の四方向の外周部に嵌合溝14を備えて、四方向それぞれの嵌合溝14内に樹脂製用位置決め突起17と金属製用位置決め突起18とを設けているが、上下方向の2方向だけに嵌合溝14および樹脂製用位置決め突起17と金属製用位置決め突起18を設け、樹脂製意匠パネル30および金属製意匠パネル40の上下方向の位置決めだけを、位置決め突起17、18を用いて行うようにしてもよい。また、嵌合溝14は上下左右の四方向に形成するが、樹脂製用位置決め突起17と金属製用位置決め突起18は、上側と下側の嵌合溝14内にだけ設けるようにして、上下方向の位置決めだけを、位置決め突起17、18を用いて行うようにしてもよい。このとき左右方向は別の位置決め手段を用いる。また、同様にして、樹脂製意匠パネル30および金属製意匠パネル40の左右方向の位置決めだけを、位置決め突起17、18を用いて行うようにしてもよい。このとき上下方向は別の位置決め手段を用いるものとする。
射出成形品で収縮性を有する樹脂製意匠パネル30が取り付けられる際には、ベースパネル10の嵌合溝14内で溝内側面14b上に形成される樹脂製用位置決め突起17にフランジ部32の内向面32aが接して、そして、板金加工品でスプリングバック特性を有する金属製意匠パネル40が取り付けられる際には、溝外側面14a上に形成される金属製用位置決め突起18にフランジ部42の外向面42bが接して、それぞれベースパネル10に対する上下方向および左右方向の位置が固定され、上下方向にも左右方向にもがたつきのない状態が確保されるが、続いて前後方向の位置の固定について説明する。
樹脂製意匠パネル30のフランジ部32が樹脂製用位置決め突起17にガイドされて嵌合溝14に挿入されていく過程で、もしくは、金属製意匠パネル40のフランジ部42が金属製用位置決め突起18にガイドされて嵌合溝14に挿入されていく過程で、溝内側面14b側から奥側に向かって傾斜状に高さを増していく断面が略直角三角形の係合爪16に対応する位置のフランジ部32もしくはフランジ部42の突端が、係合爪16の傾斜面16bにぶつかる。なお、樹脂製意匠パネル30の係合孔33と係合爪16との係合、および金属製意匠パネル40の係合孔43と係合爪16との係合の作用については基本的に同じであるので、以下、樹脂製意匠パネル30を代表にして説明する。
係合爪16は片持ちばり状の爪支持板20上に設けられているので、位置決め突起テーパ面17aに対しての場合とは異なり、フランジ部32が係合爪16の傾斜面16bに沿って位置を移動するのではなく、作業者によるフランジ部32を嵌合溝14の奥へと挿入する力が、係合爪16の傾斜面16aを押しながら進入し、その係合爪16を押す力が係合爪16を介して爪支持板20に伝達され、爪支持板20を弾性変形させることで、係合爪16は切欠き空間19内部へと押し込まれる。爪支持板20の弾性変形量は、傾斜面16bの高さが増すほど、すなわちフランジ部32が奥側に進むほど大きくなっていき、係合爪16は、フランジ部32と傾斜面16bが接した状態で、より深く切欠き空間19内部へと押し込まれていく。
フランジ部32の突端が係合爪16の傾斜面16bを乗り越え、フランジ部32の内向面32aが傾斜面16bの頂点と接するようになってさらに挿入が進むと、フランジ部32に形成されている係合孔33が現れ、係合孔33の出現により、フランジ部内向面32aと傾斜面16b頂点との接触状態が解消されるので、爪支持板20の弾性変形が解除され、切欠き空間19内部に押し込まれていた係合爪16が元の位置へと戻る。係合爪16は、元の位置へ戻る時に係合孔33に入り、係合孔33への係合爪16の係合が達成される。
この際、ベースパネル10に対する樹脂製意匠パネル30の上下方向と左右方向の位置が、樹脂製用位置決め突起17により所望される正しい位置に導かれているので、係合孔33と対応する係合爪16の溝方向の位置がずれて、係合孔33に係合爪16が入り込めず、フランジ部内向面32a(溝方向に係合孔33に隣接する部位)に傾斜面16bの頂点が接して係合爪16が切欠き空間19内部へと押し込まれたまま、すなわち爪支持板20が弾性変形したままとなってしまう事態が生じることがない。
そして、係合爪16を係合孔33に係合するために、係合爪16の傾斜面16bに作用する力、すなわち作業者による嵌合溝14へフランジ部32を挿入する力により、爪支持板20を弾性変形させる際、爪支持板20においては、外枠20cが、一端側となる2本の脚部20aの根元(溝底面14cとの接続部)を支持端、他端側となる渡り部20bを自由端とする片持ちばり状に切欠き空間19内部へたわみ変形するとともに、板状の座り部20dが、一端側となる渡り部20bとの接続部を支持端、他端側を自由端とする片持ちばり状に切欠き空間19内部へたわみ変形する。
このように、爪支持板20は、外枠20c(2本の脚部20a)が溝底面14cに対して片持ちばり状にたわみ変形するとともに、座り部20dが外枠20cの自由端である渡り部20bに対して片持ちばり状にたわみ変形するという、くの字状に同時進行する2段階の弾性変形構造となっている。そのため、これら2段階の弾性変形のトータルな変形(たわみ)量が、フランジ部32が係合孔33まで傾斜面16bの頂点を通過するのに必要となる係合爪16の切欠き空間19内部への押し込み量を確保できればよいので、1段階の弾性変形だけで対応する爪支持板に比べて、この爪支持板20が有する2段階の弾性変形構造における1段階ずつの変形(たわみ)量を小さくすることができる。それは、言い換えれば、爪支持板20を必要な変形量だけ弾性変形させるための力を小さくすることできるということである。
爪支持板20を上記のような2段階の弾性変形構造としたことにより、係合孔33へ係合爪16を係合させるために、一旦フランジ部32により係合爪16を切欠き空間19の内部へ押し込む際に必要となる力を小さくできるので、作業者はフランジ部32の嵌合溝14への挿入作業をスムーズに行うことができる。その挿入に際して、フランジ部32が係合爪16にぶつかってから急に大きな力を作用させないと奥へと進まなくなる(挿入がきつくなる)ということにはならない。
以上のように、係合爪16と係合孔33との溝方向の位置ずれが生じることなく、また係合爪16を係合孔33に嵌入させるために必要となる爪支持板20の弾性変形を、挿入方向に過大なフランジ部32を押し込む力を必要とすることなくスムーズに為し得るので、係合孔33と係合爪16の係合が容易にしかも確実に達成できるのである。係合孔33へ係合爪16が係合することで、樹脂製意匠パネル30は、ベースパネル10から離脱することなく、ベースパネル10に保持される。
そして、係合孔33に係合爪16が係合されるときには、爪支持板20の2段階の弾性変形がほぼ同時に解除されるので、その解除時のばね力(復元力)がベースパネル10を振動させ、その振動を作業者が樹脂製意匠パネル30を介して手応えとして感じられる。そのため、作業者はその手応えにより、係合孔33と係合爪16の係合が完了したことを認識できる。
複数の係合孔33とそれぞれに対応する係合爪16との係合が完了すると、係合爪16は、その頂上部(傾斜面16bの頂点)がフランジ部32に設けられた略四角形状の係合孔33の内部に収まる、もしくは係合孔33を貫通して反対側に突き出るような寸法関係になっており、係合面16aに、略四角形状の係合孔33における奥側の縁(四辺のうち係合面16aと向き合う辺)が接し、係合面16aに係合孔33が係止されることで、ベースパネル10に対する樹脂製意匠パネル30の前方(手前側)への移動が規制されるとともに、四方向のそれぞれで複数の係合孔33と係合爪16との係合がなされているので、樹脂製意匠パネル30が、ベースパネル10から外れてしまうことがない。金属製意匠パネル40における係合孔43と係合爪16との係合についても、樹脂製意匠パネル30の係合孔33と係合爪16との係合と同じ作用となる。
樹脂製意匠パネル30のベースパネル10に対しての前方への移動規制は、係合爪16の係合面16aと係合孔33の奥側の縁との接触により達成されるが、係合爪16はその正面側(前方)を、爪支持板20を弾性変形させるために傾斜させているので、係合孔33の手前側の縁と係合爪16との接触により、樹脂製意匠パネル30の後方(奥側)への移動を規制させることは適切でない。そこで、意匠部31の背面とベースパネル10のパネル部10aの正面とを接触させることで、樹脂製意匠パネル30のベースパネル10に対する後方(奥側)への移動を規制させることが考えられる。
すなわち、上下方向に湾曲する曲面の曲率がほぼ等しい樹脂製意匠パネル30の意匠部31背面とべースパネル10のパネル部10a正面(前面)とが接する状態で、係合爪16の係合面16aと係合孔33の奥側の縁とがちょうど接触するように係合孔33をフランジ部32に設けるのである。このようにすれば、樹脂製意匠パネル30は、意匠部31がベースパネル10のパネル部10aに接して奥側への移動が規制されるので、係合孔33への係合爪16の係合による手前側への移動規制作用と相まって、樹脂製意匠パネル30のベースパネル10に対する前後方向の移動が規制され、位置が固定される。
金属製用意匠パネル40についても、同様に、曲率がほぼ等しい意匠部41の背面とべースパネル10のパネル部10aの正面(前面)とが接する状態で、係合爪16の係合面16aと係合孔43の奥側の縁とがちょうど接触するように係合孔43をフランジ部42に設ければ、金属製意匠パネル40のベースパネル10に対する前後方向の移動が規制され、位置が固定される。
しかし、先に述べたとおり、材料や成形方法の違いから樹脂製意匠パネル30と金属製用意匠パネル40とでは板厚差が存在しているため、板厚が薄い方である金属用意匠パネル40を取り付けた場合、意匠部41の正面(前面)である意匠面の位置が、樹脂製意匠パネル30を取り付けた場合の意匠部31の正面位置に比べて、その板厚差分だけ奥まることになる。ここでは、樹脂製意匠パネル30の板厚Tp=2mm、金属製意匠パネル40の板厚Tm=1mmであるので、金属製意匠パネル40を取り付けた場合では、樹脂製意匠パネル30を取り付けた場合よりも、正面意匠パネル1の意匠面が1mm(Tp−Tm)だけ奥側に位置することになる。
そのような意匠面の前後方向における位置の差も、室内機100の外観意匠の変更に寄与するものと捉えることも可能であるが、正面意匠パネル1の外観寸法は共通化したいという要求も存在する。また、正面意匠パネル1として金属製意匠パネル40が取り付けられている場合では、樹脂製のベースパネル10のパネル部10aに意匠部41が接している状態では、ユーザが、金属製意匠パネル40の意匠面(正面)を、例えば中指の関節でコンコンと叩いた場合、板厚Tmが1mmと薄いこともあり、軽い乾いた感じの音となって、見た目の質感とは印象が異なり、金属がもたらす重量感が感じられない。
そこで、意匠パネル11として金属製意匠パネル40を取り付けた場合において、樹脂製意匠パネル30との板厚差により意匠面の位置が、樹脂製意匠パネル30を取り付けた場合の意匠面の位置よりも奥まる点の是正と、意匠面を叩いた時の音が金属の重量感を感じさせる音となるように、ここでは、図25に分解斜視図を示すように、金属製意匠パネル40を取り付ける場合には、その意匠部41とベースパネル10のパネル部10aとの間に吸音材45を配置し、意匠部41とパネル部10aとで吸音材45を狭持するようにしている。
金属製意匠パネル40は、意匠部41と吸音材45との接触により奥側への移動が規制されるようになる。吸音材45としては、ウレタンフォーム等の発泡系材料、グラスウール等の繊維系材料、またはゴムスポンジ等のゴム材など多少弾力性があるものが適している。ここでは、ウレタンフォームを使用している。弾力性のある吸音材45を狭持して意匠部41と吸音材45とパネル部10aとを密着させることで、吸音材45の吸音効果によって金属製意匠パネル40の意匠面を叩いた時の音がこもった音となり、金属の重量感を感じさせる音となる。
本来であれば、この室内機100では、樹脂製意匠パネル30と金属製意匠パネル40の板厚差(Tp−Tm)が1mmであるので、吸音材45の厚さとしては1mmあれば意匠面の位置が奥まる点については是正されることになる。しかし、板厚1mmの金属製意匠パネル40と厚さが1mmのウレタンフォームによる吸音材45と樹脂製のベースパネル10の組み合わせでは、金属製意匠パネル40の意匠面を叩いた時の音に、少しばかり乾いた音が残り、金属の重量感を十分に感じられる音とまでは言い難く、吸音材45の吸音効果が十分とは言えなかった。
そこで、吸音材45の厚さを倍の2mmとしたところ、意匠面を叩いた音が、吸音効果の増加により乾いた感じの音がほとんどなくなった重々しい音となり、金属の質感に相応しい重量感が十分に感じられる音が得られるようになった。そのため、この室内機100では、金属製意匠パネル40を取り付けた場合に、その正面(意匠面)を叩いた時の音が金属の重量感を感じさせる重々しい音となるようにして、樹脂製意匠パネル30では得られないメタリックな高級感をより際立たせるために、樹脂製意匠パネル30と金属製意匠パネル40との板厚差(Tp−Tmでここでは1mm)より大きい厚さの吸音材45を、意匠部41とパネル部10aとの間に介在させるようにし、両者で吸音材45を狭持するようにしている。
なお、金属製意匠パネル40の意匠面が樹脂製意匠パネル30を取り付けた場合の意匠面の位置よりも奥まる点の是正のみに着目し、意匠面を叩いた時の音については問題視しないときには、樹脂製意匠パネル30と金属製意匠パネル40との板厚差(Tp−Tm)の厚さの吸音材45を狭持すればよい。また、吸音材45のような吸音効果がなくとも、その板厚差に相当する厚さを有する隙間調整部材を意匠部41とパネル部10aとの間に介在させ、両者でその隙間調整部材を狭持すれば、前後方向における意匠面の位置を概ね同じにでき、正面意匠パネル1の外観寸法を同じにできる。
金属製意匠パネル40の係合孔43が係合爪16に係止されている状態で、吸着材45が意匠部41とパネル部10aの狭持により、わずかに弾性変形している、すなわち厚み方向に圧縮されている程度がよく、そのようにして、意匠部41と吸着材45とパネル部10aとの密着度を高めることで、吸音材45の吸音効果が高まる。ここでの吸音材45は、金属製意匠パネル40をベースパネル10に取り付けた状態で、すなわち、意匠部41とパネル部10aとで狭持された状態で、厚さが2mmとなっている。
金属製意匠パネル40をベースパネル10に取り付ける際には、湾曲しているパネル10aの凸側である前面が上方を向くように置いて、その上に矩形状の吸音材45を重ねて、上述したような作業により、係合孔43を係合爪16に係止させて金属製意匠パネル40を取り付ければよい。また、吸着材45とパネル部10aとの接触面のどちらか一方の面に、後々で剥がせる程度の弱い接着力の接着剤を予め塗布しておき、その接着剤で吸着材45をパネル部10aの正面に貼り付けるようにしておけば、金属製意匠パネル40の取り付け時に、吸着材45の位置がずれしてしまうことを回避できる。その接着剤として弱い接着剤を用いるのは、後々、金属製意匠パネル40から樹脂製意匠パネル30に変更する場合には、吸着材45を取り外す必要があるためである。
これにより、金属製意匠パネル40は、係合孔43への係合爪16の係合により手前側(前方)への移動が規制され、意匠部41と吸着材45との接触により奥側(後方)への移動が規制されるので、金属製意匠パネル40のベースパネル10に対する前後方向の位置が固定される。なお、吸着材45は、パネル部10aの前面をなるべく多く覆う方がよいが、必ずしも前面のすべてを覆う必要はない。ある範囲以上の領域を覆うっていれば、仮に吸音材45が背面に存在していない部分の金属製意匠パネル40意匠面を叩いたとしても、吸音材45の吸音効果は十分に発揮される。パネル部10a前面の表面積の70%以上を吸着材45が覆っていれば問題ない。
ここで、金属製意匠パネル40の意匠部41とベースパネル10のパネル部10aとの間に介在させる吸音材45の厚さ(ここでは2mm)を、樹脂製意匠パネル30と金属製意匠パネル40との板厚差(ここでは1mm)より大きくしたことで、樹脂製意匠パネル30を取り付ける場合に、意匠部31とパネル部10aとを面接触させて後方への移動を規制させるようにすると、今度は逆に、樹脂製意匠パネル30の意匠面の位置が、金属製意匠パネル40を取り付けた場合の意匠面の位置よりも奥まってしまう(ここでは1mm)ことになる。
そのため、意匠面の前後方向の位置を、樹脂製意匠パネル30と金属製意匠パネル40とで同じとなるように、このベースパネル10では、図5、図6に示すように、パネル部10aの外周寄りの嵌合溝14に近い位置に、パネル部10aの前面から前方へと隆起するリブ21を設けている。ここでは、上下左右四方の嵌合溝14に沿うように、幅1.5mmのリブ21が、上下左右の四方向が連続した枠状に形成されている。このリブ21の高さは、吸音材45の厚さから樹脂製意匠パネル30と金属製意匠パネル40との板厚差(Tp−Tm)を引いた高さであり、ここでは1mmである。リブ21は、ベースパネル10の成形時に一体同時成形される。
これによりこの室内機100では、樹脂製意匠パネル30を取り付けた場合には、意匠部31がベースパネル10のリブ21に接することで、樹脂製意匠パネル30のベースパネル10に対する奥側への移動が規制される。樹脂製意匠パネル30の意匠部31背面とパネル部10a正面から突出するリブ21とが接する状態で、係合爪16の係合面16aと係合孔33の奥側の縁とがちょうど接触するように係合孔33をフランジ部32に設けているのである。
リブ21は、上下左右四方を枠状に連続させずに、四方向のそれぞれが独立して設けられていてもよいが、意匠部41の背面との接触面積がなるべく大きい方が取り付けの安定性が高まるので、枠状にする方がよい。また同様な理由から、リブ21は、なるべくパネル部10aの外周寄りに設けられるのが望ましい。
当然のことであるが、金属製意匠パネル40を取り付ける際に、吸音材45がリブ21上に重ならないようにしないとならない。この室内機100では、この枠状のリブ21を、作業者が吸着材45をパネル部10aの前面に載置する、もしくは貼り付ける際の、載置可能もしくは貼付可能範囲を指定する囲いとしても利用し、このリブ21が形成する略矩形状の枠内に吸着材45を配置するようにしている。
なお、このベースパネル10は左右方向に長いため、吸着材45の運搬や保管等の取り扱いを考慮して、図25に示すように、吸着材45はベースパネル10の左右方向(長手方向)に対して2分割している。そのため、パネル部10aの四方の外周寄りで隆起する枠状のリブ21以外に、パネル部10aの左右方向のほぼ中央の位置で、上下方向に伸びて上下に位置するリブ21にそれぞれ接続するもう1本のリブ21を設けている。このリブ21の高さや断面形状も枠状のリブ21と同様であり、意匠部31の背面と接している。
これらの対応により、樹脂製意匠パネル30を取り付けた場合でも、金属製意匠パネル40を取り付けた場合でも、それらの前後方向における正面(意匠面)位置は、ほぼ同じ位置となる。すなわち、この室内機100では、ともに、ベースパネル10のパネル部10aの前面から3mm前方の位置に意匠面が位置するようになる。そして、金属製意匠パネル40を取り付けた場合では、その意匠部41の背面に密着させた吸音材45の吸音効果により、ユーザが意匠面を叩いた時の音が、乾いた感じの音のない金属の質感に相応しい重量感を感じられる音が得られるようになり、より高級感を感じることができる。また、吸音材45の吸音効果により、室内機本体50内部に配置されて室内機本体50内部を通過する空気流を形成する貫流ファン2の送風作用に関わる騒音を低減できる効果も合わせて得られるようになる。
図26は、樹脂製意匠パネル30の取り付け完了後の要部縦断面図、図27は、金属製意匠パネル40の取り付けた完了後の要部縦断面図である。両図とも、位置決め突起17、18の左右方向(溝方向)中央での断面を示している。ただし、図27では、係合爪16の溝方向中央の断面も併せて図示している。図26に示すように、ベースパネル10に射出成形にて成形された樹脂製意匠パネル30が取り付けられた状態で、フランジ部32の内向面32aが、嵌合溝14の溝内側面14b上に隆起する樹脂製用位置決め突起17のストレート面17bと接している。そして、図示されてはいないが、フランジ部32に設けられる係合孔33の奥側の縁(内周面)に、溝底面14cと対向する係合爪16の係合面16aが接している。また図26に示すように、意匠部31の背面が、ベースパネル10のパネル部10a前面から突出するリブ21に接している。
また、図27に示すように、ベースパネル10に板金加工にて成形された金属製意匠パネル40が取り付けられた状態で、フランジ部42の外向面42bが、嵌合溝14の溝外側面14a上に隆起する金属製用位置決め突起18のストレート面18bと接している。そして、フランジ部42に形成される係合孔43の奥側の縁(内周面)に、溝底面14cと対向する係合爪16の係合面16aが接するとともに、意匠部41の背面が、ベースパネル10のパネル部10a前面とも接している吸着材45に接している。
意匠パネル11を、現在取り付けられているものから別のものへと変更する(付け替える)際には、現在取り付いている意匠パネル11を取り外す必要がある。取り外しに関しては、上述した取り付け時ほどの容易性はないが、意匠パネル11として樹脂製意匠パネル30を取り外す場合であれば、ベースパネル10の背面側から、例えばマイナスドライバーやキリのような先端が薄いものを、対象とする1つの爪支持板20の座り部20dとフランジ部32の内向面32aの間に差し込み、座り部20dがフランジ部内向面32aから遠ざかるように爪支持板20を切欠き空間19内部へと強制的に弾性変形させて係合孔33から係合爪16を抜き出させるとともに、対象とする係合爪16の近くのフランジ32を手前側にずらして、その係合爪16と係合孔33との係合を解除する。このような係合爪16の係合解除の作業を係合爪16に対して1つずつ行い、すべての係合爪16の係合を解除することで、樹脂製意匠パネル30をベースパネル10から取り外すことができる。
金属製意匠パネル40についても同様に取り外すことができる。金属製意匠パネル40から樹脂製意匠パネル30へ付け替える際には、金属製意匠パネル40を取り外した後で吸音材45の取り外しも必要である。意匠パネル11の取り外しの際、係合爪16の係合を解除するために、マイナスドライバー等の工具で爪支持板20を強制的に弾性変形させるが、その際にも爪支持板20が、外枠20cの溝底面14cに対するたわみ変形と、座り部20dの渡り部20bに対するたわみ変形と、くの字状に2段階の弾性変形が同時に進行するので、大きな力を必要とすることなく作業者は係合爪16の係合を容易に解除できる。
以上のように、この実施の形態に示す室内機100は、共通なベースパネル10に、射出成形で成形された樹脂製意匠パネル30と板金加工で成形された金属製意匠パネル40という、異なる材料、異なる方法で成形された意匠パネル11を、特に成形方法に起因するそれぞれの性質を活かした位置決め突起17、18の配置により、どちらを取り付けた場合であっても、ベースパネル10に対して容易に上下、左右方向に正しく位置決めされる。これにより、ベースパネル10に対して意匠パネル11が正しい位置からずれて取り付けられてしまって意匠性が悪化してしまうような状態は起こらない。また、係合爪16とそれぞれの係合孔33、43とを係合させる際に、爪支持板20が同時進行の2段階で弾性変形するので、フランジ部32、42を嵌合溝14に挿入する際に過大な押し込む力を必要とすることなく、係合が容易にしかも確実に達成できる。
そのため、ベースパネル10に意匠パネル11として樹脂製意匠パネル30と金属製意匠パネル40のどちらを取り付ける場合であっても、作業者が、意匠パネル11の慎重な位置合わせをすることなく、それぞれのフランジ部32、42をベースパネル10の嵌合溝14に挿入していけば、作業性よく円滑に取り付けられる。これにより、この室内機100は、ベースパネル10を共通化して、意匠パネル11を樹脂製から金属製、もしくは金属製から樹脂製へと、視覚的要素だけなく触感等も含めて意匠の変更も可能となり、意匠性に優れた室内機となる。
また、ベースパネル10は、樹脂製で射出成形により一体成形されるものであるが、背面に回動軸12等を備えているため、その射出成形で用いる金型の構造は複雑である。性質の異なる樹脂製意匠パネル30と金属製意匠パネル40とを、ベースパネル10を共通して利用可能としたことで、それぞれに対応するベースパネルを揃えてそれらの金型を保有することに比べて、金型の管理も容易となり、省資源化にも寄与する。
この正面意匠パネル1は、その背面上部に設けられている回動軸12を、室内機本体50の上部に位置する軸受部55で支持させ、この支持点を回動中心として、上下方向に回動して、室内機本体50の前面を開閉するものであるが、この形態に限るものではなく、例えば、背面の左右両側のそれぞれで室内機本体50と可動なアームを介して接続し、ユーザの手動にて、もしくはモータの回転駆動を利用してそれら可動アームが動くことで、室内機本体50の前方や上方、下方へ移動して、室内機本体50の前面を開閉する正面意匠パネルであってもこの発明は適用でき、同様な作用効果が得られる。