以下、本発明を実施するための形態について、実施例に基づいて説明する。
実施例1のクランプ装置Cについて、図1〜図6に基づいて説明する。
図1、図2に示すように、このクランプ装置Cは、クランプ本体1と、ワークピースW(クランプ対象物)を固定するためのグリップ部材2と、クランプロッド3と、グリップ部材2とクランプロッド3を軸心方向(上下方向)に駆動可能な油圧シリンダ4と、グリップ部材2を支持するためのサポート機構5等を備えている。クランプ本体1は、上部本体11と下部本体12を備え、このクランプ装置Cは、ベース部材13に組付けられて使用される。尚、グリップ部材2とクランプロッド3等でワークピースWをクランプする「クランプ機構」が構成されている。
クランプ本体1は平面視にてほぼ長円形であり、上部本体11は4つのボルト穴14に挿入される4つのボルトでベース部材13に固定される。下部本体12はシリンダ穴44を形成する筒状部材であり、この下部本体12の上端部が上部本体11の下面側の凹部15に嵌合され、4つのボルト16により上部本体11に固定されている。クランプ本体1の上半部の中心部に上方へ突出する円筒状の本体筒部11aが設けられている。アンクランプ状態のとき、グリップ部材2の上半部とクランプロッド3のテーパ軸部31が本体筒部11aの上端外へ突出している。
図1、図2に示すように、グリップ部材2とクランプロッド3は、本体筒部11aの上端部の中心部分の開口穴17を上下に貫通している。グリップ部材2の外周側近傍部において、本体筒部11aの上端部には環状の着座面18が形成され、この着座面18にワークピースWを着座させた状態で、ワークピースWをクランプする。
グリップ部材2は、ワークピースWの穴Hに挿入されて穴Hの内周面をグリップ可能なものである。このグリップ部材2は、ロッド挿通孔21と、グリップ爪部22と、基端鍔部23とを備えている。グリップ部材2は、4つのスリット2a(図4参照)により周方向4等分に分割された4つのグリップ形成部材により環状に形成されている。
金属製のグリップ部材2におけるグリップ爪部22の外周面には、ワークピースWの穴Hの内周面をグリップし易くする3段の歯22aが形成されている。グリップ部材2のロッド挿通孔21にはクランプロッド3が挿通されている。このロッド挿通孔21のうちのグリップ爪部対応部分には、クランプロッド3のテーパ軸部31が密着状に係合するテーパ孔部21aが形成されている。クランプロッド3を下方へ駆動すると、テーパ軸部31によりグリップ部材2の外径が拡大(拡径)し、また、クランプロッド3を上方へ駆動すると、グリップ部材2の外径が縮小(縮径)する。
図1、図2に示すように、本体筒部11aの上端の開口穴17にはグリップ部材2の外周面に圧接する弾性材料(ゴムや合成樹脂)製のスクレーパ28が装着されている。このスクレーパ28は、異物の侵入を防止し、エアブロー用の加圧エアの漏出を抑制し、アンクランプ状態のときグリップ部材2とクランプロッド3の軸心が油圧シリンダ4の軸心と一致するようにセンタリングする為のものである。グリップ部材2の下部には4つのグリップ形成部材を縮径方向へ付勢するOリング29が装着されている。
グリップ部材2の基端鍔部23は本体筒部11aの円形凹部25に収容され、基端鍔部23の外周側には隙間26が形成されている。基端鍔部23は、円形凹部25の上壁部とサポート部材60の水平板部62との間に水平方向へ可動に挟着され、サポート部材60で支持されている。グリップ部材2は、サポート部材60及び受圧部材50と一体的に昇降可能であると共に、円形凹部25の外周部の環状隙間26とスクレーパ28の弾性変形を介して、油圧シリンダ4の軸心と直交する水平方向へ移動可能に装着されている。それ故、ワークピースWをクランプする際、クランプ対象の穴Hの軸心がクランプ装置Cの軸心(油圧シリンダ4の軸心)からズレている場合に、そのズレを吸収してクランプ可能である。
クランプロッド3は、テーパ軸部31と、このテーパ軸部31の下端に連なる小径ロッド部32と、この小径ロッド部32の下端に連なるT形係合部33とを有する。テーパ軸部31と小径ロッド部32とがグリップ部材2のロッド挿通孔21に挿通されている。テーパ軸部31はクランプロッド3の上端側部分に上方程大径化するように形成され、テーパ軸部31がグリップ部材2のテーパ孔部21aに可動に内嵌係合されている。
図2に示すように、油圧シリンダ4(これが「流体圧シリンダ」に相当する)は、グリップ部材2とクランプロッド3とを軸心方向(上下方向)へ進退駆動し、グリップ部材2を拡径させたり、縮径させたりする為のものである。この油圧シリンダ4は、ピストン部材41と、クランプ用油室42と、アンクランプ用油室43等を備えている。
ピストン部材41は、立向きのシリンダ穴44に昇降自在に装着されたピストン部45と、このピストン部45の上端から上方へ本体筒部11a内まで延びるロッド部46とを有する。ピストン部45にはシール部材45aが装着されている。クランプ用油室42はピストン部45の上側に形成され、アンクランプ用油室43はピストン部45の下側に下部本体12とベース部材13とで形成されている。
ロッド部46の上部のネジ軸部49にはロッド分割部材48が螺合にて固定され、ロッド分割部材48によりT溝状のT形係合凹部47が形成されている。クランプロッド3のT形係合部33がT形係合凹部47に係合され、ピストン部材41とクランプロッド3とが一体的に昇降移動する。クランプロッド3は、T形係合凹部47に対して相対的に水平方向へ例えば約0.5〜1mm位移動可能である。ロッド分割部材48の下端には、受圧部材50の後述するスリーブ53の上端で係止される被係止部48aが形成されている。
サポート機構5は、クランプ動作時にグリップ部材2を拡径させる際にグリップ部材2の下端を油圧力で支持するものであり、受圧部材50と、サポート部材60と、受圧部材50に油圧を作用させるサポート油室等を有している。尚、サポート油室は、上記のクランプ用油室42の一部からなるものである。
受圧部材50は、筒状ピストン51と、この筒状ピストン51の上端部の係止鍔部52と、この係止鍔部52の上端の内周部から上方へ所定長さ延びる薄肉のスリーブ53とを有する。受圧部材50の筒状ピストン51はロッド部46に摺動自在に外嵌され且つ下部本体12の円筒穴12aに摺動自在に内嵌されている。受圧部材50とロッド部46の間はシール部材5aでシールされ、筒状ピストン51の外周部にはシール部材5bが装着されている。図2に示すアンクランプ状態において、スリーブ53の上端とロッド分割部材48の被係止部48aとの間には、グリップ部材拡径用ストロークとして、例えば約3〜4mmの隙間が形成されている。
受圧部材50の係止鍔部52は、上部本体11と下部本体12とで形成された収容穴64に上下方向へ例えば約2mm昇降可能に装着されている。係止鍔部52を収容穴64の下端壁で係止することで受圧部材50の下限位置が規定され、係止鍔部52を収容穴64の上端壁で係止することで受圧部材50の上限位置が規定される。上記の約2mmの隙間がクランプの為の最大引き込みストロークである。但し、クランプ時の実際の引き込みストロークは約0.5〜1.0mm位である。
サポート部材60は、スリーブ53とロッド部46とロッド分割部材48に外嵌された筒部61と、この筒部61の上端の水平板部62とを有する。クランプロッド3は水平板部62の穴63を貫通しているが、この穴63はクランプロッド3を通過可能な大きさに形成されている。サポート部材60の水平板部62がグリップ部材2の基端鍔部23の下面に当接して支持し、筒部61の下端は受圧部材50の筒状ピストン51の上端に当接して支持され、サポート部材60は受圧部材50と一体的に昇降する。
上記受圧部材50の下端は、サポート油室(クランプ用油室42の一部)に臨んでその油圧を受圧する。クランプ用油室42は、油路34〜37を介して油圧供給源(図示略)に接続されている。アンクランプ用油室43は、油路38を介して油圧供給源(図示略)に接続されている。
図1、図2に示すように、ワークピースWをクランプした状態で、ワークピースWの下面が着座面18に密着したことを検出する着座センサが設けられている。この着座センサは、着座面18に開口されたエア噴出孔18aと、このエア噴出孔18aに連通するようにクランプ本体1とベース部材13に形成されたエア通路54〜56と、エア通路56内の加圧エアの圧力が設定圧以上に昇圧したことを検出する圧力スイッチ57等で構成されている。
次に、アンクランプ状態のときだけ、エア噴出孔18aよりも上流側のエア通路54の加圧エアを外界へリリーフさせる開閉弁機構70と内部エア通路10等について説明する。
本体筒部11aの内部には、本体筒部11aと筒部61間の隙間、筒部61とロッド分割部材48間の隙間、ロッド分割部材48のT形係合凹部47とクランプロッド3間の隙間、水平板部62の穴63の外周隙間、グリップ部材2の4つのスリット2a等からなる内部エア通路10であって外界に連通した内部エア通路10が形成されている。
図1〜図3に示すように、開閉弁機構70は、ケース部材71と、このケース部材71に装着された弁部材72と、圧入部材73と、弁部材72を付勢する圧縮コイルスバネ74と、シール部材75と、入口ポート76及び出口ポート77等を備えている。
ケース部材71は、エア噴出孔18aへ加圧エアを供給するエア通路54に対応する位置において、本体筒部11aに水平に貫通状に螺合されている。ケース部材71の先端部が筒部61に形成された穴61aに挿入されてロッド分割部材48の外周面に臨んでいる。圧縮コイルスバネ74(これが「弾性部材」に相当する)は、弁部材72をロッド分割部材48側に弾性付勢する。
ケース部材71と本体筒部11a間はシール部材75で封止されている。エア通路54がケース部材71で分断されないように、エア通路54の部位においてケース部材71よりも大径の環状溝54aが形成されている。符号71aはレンチで操作する為の六角穴である。
ケース部材71は、大径孔71bと、この大径孔71bに連通状に内端側部分に貫通状に形成された小径孔71cとを有する。弁部材72は、軸部72aと大径部72bとを有し、軸部72aが小径孔71cに可動に装着され、大径部72bが大径孔71bに可動に装着され、軸部72の半球状の先端部がケース部材71の内端側へ部分的に突出可能になっている。ロッド分割部材48の下部の外周部には、所定の上下幅を有する浅い環状溝48aが形成されている。尚、小径孔71cの奥側部分には環状エア通路71dが形成され、大径部72bの外周側には環状エア通路71eが形成されている。
図2、図3に示すように、クランプ機構がアンクランプ状態で、クランプロッド3とロッド分割部材48(これが「可動部材」に相当する)が上限位置にあるときには、軸部72aの先端部が環状溝48aから下方へ僅かに外れるため弁部材72が、ロッド分割部材48の外周面で外側へ押されて退入移動し、入口ポート76と出口ポート77とが連通して開弁状態となる。そのため、エア通路54が内部エア通路10と連通して外界へ開放されるため、エア通路54内のエア圧が上昇することがなく、圧力スイッチ57がONすることはない。尚、圧力スイッチ57の検出信号はクランプ装置Cを制御する制御ユニット(図示略)へ供給されている。
他方、図4〜図6に示すように、クランプ機構がクランプ状態になると、クランプロッド3とロッド分割部材48が図2の状態から下降するため、軸部72aの先端部が環状溝48aに突入するため弁部材72が進出移動し、入口ポート76と出口ポート77間が弁部材72により遮断されて閉弁状態となる。そのため、エア通路54が内部エア通路10から遮断されるため、ワークピースWの着座面18への着座クランプ状態を確実に検知することができる。尚、図5,図6に示すロッド分割部材48の位置が「第1位置」に相当し、図2,図3に示すロッド分割部材48の位置が「第2位置」に相当する。
次に、クランプ機構によるクランプ動作時に、ワークピースWの穴Hの内周面に対してグリップ爪22の歯22aがスリップする等のワークピースWを着座させた状態における異常クランプ状態(クランプ不良)になったことを検知する動作確認検知機構80について簡単に説明する。
この動作確認検知機構80は、エア通路54の上流側のエア通路55に対応する部位において下部本体12の上端部に凹設された円形凹部と、この円形凹部に装着されたOリング81と、グリップ部材2と一体的に駆動手段の軸心と平行方向へ移動する受圧部材50により開弁操作される弁部材82(これが「不良検知用弁部材」に相当する)と、エア通路55から円形凹部へ連なるエア通路83(これが「不良検知用エア通路」に相当する)と、前記の圧力スイッチ57等を有する。
正常なクランプ状態のときは、受圧部材50の係止鍔部52が下部本体12の上端に当接することはないが、グリップ部材2のグリップ爪部22がワークピースWに対してスリップした場合には、係止鍔部52が下部本体12の上端に当接する。このとき、係止鍔部52が弁部材82を押圧するため、動作確認検知機構80が開弁し、エア通路55,83の加圧エアが収容穴64を含む内部エア通路10へ抜け、ONすべき圧力スイッチ57がONしないことから、スリップ等の異常クランプ状態の発生を検知することができる。
以上のクランプ装置Cの作用、効果について説明する。
本体筒部11aをクランプ本体1の上半部の中央部に形成し、本体筒部11aの上下方向の長さをクランプ本体1の全高の約半分の大きさに長く形成するため、クランプ本体1とワークピースWとの干渉が生じにくくなり、クランプ装置Cの使い勝手が改善され、クランプ装置Cの汎用性を高めることができる。
開閉弁機構70を設け、クランプ状態のときは、着座センサ用のエア噴出孔18aへ加圧エアを供給するエア通路54を内部エア通路10から遮断すると共に、アンクランプ状態のときは、上記のエア通路54を外界に連通された内部エア通路10に接続するため、ワークピースWが着座面18に着座状態であってもアンクランプ状態のときは、着座センサの圧力スイッチ57がONすることはないから、アンクランプ状態にもかかわらずクランプ状態であると誤判定してしまうのを確実に防止できる。しかも、ワークピースWが着座面18に着座し且つクランプ状態であることを、着座センサにより確実に検知可能になった。
動作確認検知機構80を設けたので、クランプ状態のうちの、異常クランプ状態の発生を確実に検知可能になった。
開閉弁機構70は、ロッド分割部材48の外周面に当接する弁部材72により開閉する弁であるため、簡単な構造で小型の弁機構になる。
こうして、このクランプ装置Cを組み込んだワーク加工システムにおいて、アンクランプ状態と、着座クランプ状態とを確実に検知可能になるため、アンクランプ状態の誤判定や着座クランプ状態の誤判定を防止して、システムトラブルを防止することができる。
但し、開閉弁機構70は、前記実施例の開閉弁機構に限定される訳ではなく、種々の構造の開閉弁機構を採用可能である。また、ロッド分割部材48を「可動部材」として活用したが、油圧シリンダ4のピストン部材41を「可動部材」として活用してもよい。
実施例1のクランプ装置Cを部分的に変更したクランプ装置CAについて説明する。
図7〜図9に示すように、このクランプ装置CAは、クランプ本体101と、ワークピースWを固定するためのグリップ部材102およびクランプロッド103と、グリップ部材102とクランプロッド103を軸心方向(上下方向)に駆動可能な油圧シリンダ104と、サポート機構105とを備えている。クランプ本体101は、上部本体111と下部本体112とで構成され、クランプ本体101がベース部材113に組み付けられる。尚、グリップ部材102とクランプロッド103等でクランプ機構が構成されている。
上部本体111は、4つのボルト穴114に挿入される4つのボルトでベース部材113に固定される。下部本体112はシリンダ穴141を形成する筒状部材であり、この下部本体112の上端部が上部本体111の凹部115に嵌合され、4つのボルト116により上部本体111に固定されている。
図7〜図9に示すように、グリップ部材102とクランプロッド103は、上部本体111の中心部分の開口穴117を上下に貫通している。グリップ部材102の外周側近傍部において、上部本体111の上端部には加圧エア逃し用の4つの凹溝119により4分割された円弧形の着座面118が形成されている。この着座面118にワークピースWを着座させ、クランプ動作によりワークピースWを着座面118にクランプする。
金属製の環状のグリップ部材102はワークピースWの穴Hに挿入されて穴Hの内周面をグリップするものである。このグリップ部材102は、ロッド挿通孔121と、筒状のグリップ爪部122と、基端鍔部123とを有し、グリップ部材102は、拡径と縮径を可能とし且つ分解可能とする為に、4つのスリット124により4つに分割され、Oリング125で束ねられている。
グリップ部材102のグリップ爪部122の外周面には、ワークピースWをグリップし易くする3段の歯が形成されている。ロッド挿通孔121のうちのグリップ爪部対応部分は、クランプロッド103のテーパ軸部131が密着状に係合するテーパ孔部121aに形成されている。
図7〜図9に示すように、上部本体111の開口穴117にはグリップ部材102の外周面に圧接するゴムや合成樹脂等の弾力性のある材料からなるスクレーパ126が装着されている。グリップ部材102の下部にはグリップ部材102を縮径方向へ付勢するOリング125が装着されている。グリップ部材102の基端鍔部123は、上部本材111の円形凹部106に収容され、円形凹部106の上壁部とサポート機構105の環状の受圧部材151の水平板部154との間に水平方向へ可動に挟着されている。グリップ部材102は、受圧部材151と一体的に小距離だけ昇降可能であり、円形凹部106の外周部の環状隙間106aとスクレーパ126の弾性変形を介して、油圧シリンダ104の軸心と直交する水平方向へ約1〜2mm移動可能に装着されている。
クランプロッド103は、テーパ軸部131と小径ロッド部132と大径ロッド部133と大径鍔部134とを有する。テーパ軸部131と小径ロッド部132とがグリップ部材102のロッド挿通孔121に挿通されている。テーパ軸部131は、上方程大径化するようにクランプロッド103の上端側部分に形成され、このテーパ軸部131がグリップ部材102のテーパ孔部121aに内嵌係合している。
図7〜図9に示すように、油圧シリンダ104は、グリップ部材102とクランプロッド103とを軸心方向へ進退駆動する為のものである。この油圧シリンダ104は、下部本体112に形成された立向きのシリンダ穴141と、このシリンダ穴141に装着されたピストン部143と筒状ピストンロッド144とを含むピストン部材142と、ピストン部143の上側のクランプ用油室145及びピストン部143の下側のアンクランプ用油室146とを備えている。
シリンダ穴141の底面はベース部材113で塞がれている。ピストン部材142はシリンダ穴141の底壁面で受け止められて下限位置になる。ピストン部材142には、上部の小径孔148と、中段部の中径孔149と、下部の大径孔150とが形成されている。中径孔149の下部と大径孔150には封鎖部材135が装着され、ストップリング136で抜け止めされている。尚、シール部材135a,143a,144a,144b,153bも設けられている。
クランプロッド103の大径ロッド部133が小径孔148内に位置し、大径鍔部134が中径孔149内に位置している。大径ロッド部133と小径孔148の内周面との間には約2mmの環状隙間148aが形成され、大径ロッド部133の外周の環状溝に太いOリング133aが装着され、このOリング133aは大径ロッド部133と筒状ピストンロッド144の間に僅かに圧縮状態に装着されている。
大径鍔部134は中径孔149の上壁と封鎖部材135の間に水平方向へ可動に装着されている。大径鍔部134の外周面と中径孔149の内周面との間には僅かな隙間149aがある。それ故、クランプロッド103は、ピストン部材142と一体的に昇降移動するが、ピストン部材142に対して相対的に水平方向(クランプロッド103の軸心と直交方向)へ小距離だけ移動可能である。グリップ部材102はクランプロッド103と一体的に上記水平方向へ移動可能である。尚、スクレーパ126とOリング125が、グリップ部材102とクランプロッド103の軸心を油圧シリンダ104の軸心に一致させるように弾性付勢している。
図7〜図9に示すように、サポート機構105は、グリップ部材102を拡径させる際にグリップ部材102を油圧力で支持するものである。サポート機構105は、グリップ部材102の基端(下端)を支持する受圧部材151と、この受圧部材151の筒部153の下端にクランプ方向と反対方向向きに油圧を受圧させる専用のサポート油室152とを有する。受圧部材151は、環状の筒部153と、この筒部153の上端に連なる水平板部154とを有し、水平板部154の上面にグリップ部材102の基端鍔部123が載置支持されている。この受圧部材151がサポート部材に相当する。
筒部153は、下部本体112と筒状ピストンロッド144とで形成された筒状シリンダ穴153aに上下方向に摺動自在に装着されている。筒状シリンダ穴153aの下端部に、クランプ用油室145とは独立のサポート油室152が形成されている。水平板部154の中心部の円形穴154aに、クランプロッド103が遊嵌状に挿通し、水平板部154の外周部には、筒部153よりも僅かに大径の係止鍔154bが形成されている。
上部本体111には、筒状シリンダ穴153aの上端に連なる収容穴155が形成されている。この収容穴155の厚さは水平板部154の厚さよりも例えば1.2〜2.0mm大きい。水平板部154は収容穴155に上下方向に摺動自在に装着され、受圧部材151は水平板部154と同様に上下方向に例えば1.2〜2.0mm摺動自在に装着されている。水平板部154の係止鍔154bの外周側にも加圧エアが通過可能な隙間がある。クランプ用油室145は、油路161〜165を介して油圧供給源160に接続され、アンクランプ用油室146は、油路166,167を介して油圧供給源160に接続されている。
サポート油室152に油圧を供給する為の油路170は、下部本体112の下半部の外周側に形成されてアンクランプ用油室146に連通した筒状油路171と、下部本体112に斜めに形成された傾斜油路172とで構成され、傾斜油路172は絞り通路172aを有する。こうして、サポート油室152にはアンクランプ状態のときにアンクランプ用油室146から油圧が供給され、クランプ動作開始から所定微小時間(例えば約1秒)かけてサポート油室152の油圧が絞り通路172aを介して排出され、ドレン圧になる。
絞り通路172aは、クランプ動作開始後、サポート油室152からの油圧の排出を遅延させ、グリップ部材102の拡径後にサポート機構105の油圧力の全部を解除させる。尚、クランプ動作開始後、サポート力の漸減に応じてクランプ力が徐々に増大していき、前記の所定微小時間かけて最大クランプ力になる。
ワークピースWをクランプした状態で、ワークピースWの下面が着座面118に密着したことを検出する着座センサ180について説明する。
図9に示すように、この着座センサ180は、着座面118に開口されたエア噴出孔181と、このエア噴出孔181に連通するように上部本体111内に形成されたエア通路182及びベース部材113内に形成されたエア通路183と、このエア通路183にエア通路184を介して加圧エアを供給する加圧エア供給源185と、エア通路184内の加圧エアの圧力が設定圧以上に昇圧したことを検出する圧力スイッチ186と、圧力スイッチ186の検出信号を受ける制御ユニット(図示略)等を有する。
グリップ部材102、クランプロッド103、着座面118等をエアブローする為のエアブロー用エア通路190について説明する。
図7、図8、図12に示すように、上部本体111には収容穴155に連なるエア通路191が形成され、ベース部材113にはエア通路191に連なるエア通路192が形成され、このエア通路192はエア通路195を介して加圧エア供給源185に接続されている。受圧部材151の係止鍔154bの外周の上端部を小径化することにより環状エア通路193が形成され、水平板部154には環状エア通路193を受圧部材151の内側空間に連通させる複数のエア通路194が形成されている。上記エア通路191,192,195と、環状エア通路193と、複数のエア通路194と、円形穴154aと、グリップ部材102の4つのスリット124とで、大気開放されたエアブロー用エア通路190が形成されている。
次に、クランプ正常か否かを確認する動作確認検知機構200について説明する。
図9、図10に示すように、エア通路182の下方において下部本体112の上端部に浅い円形凹部201が形成され、上部本体111の下面には円形凹部201に対向する非常に浅い円形凹部202が形成されている。この円形凹部201,202にエア通路182に連なるエア通路203(不良検知用エア通路)を開閉する円形の弁部材204(不良検知用弁部材)が装着されている。エア通路203を介して弁部材204の上面側に加圧エアが供給され、この弁部材204の下面側には弁部材204を上方へエア通路203を閉じる位置に付勢するOリング205が装着され、弁機構206が構成されている。
弁機構206が開弁した状態において、円形凹部201,202は、係止鍔154bの外周側の隙間と環状エア通路193を介してクリーニング用エア通路190の下流部分に連通する。エア通路182〜184とエア通路203と円形凹部201,202と収容穴155と円形穴154aと、グリップ部材102の4つのスリット124とで、クランプ動作確認用の加圧エアを供給する為にクランプ本体101(上部本体111と下部本体112)に設けられ且つ下流部がクリーニング用エア通路190の下流部分に連通された動作確認用エア通路210が形成されている。この動作確認用エア通路210の途中部に、弁部材204とOリング205を含む弁機構206が介装されている。
弁部材204の上端部の一部が収容穴155に突出しているため、油圧シリンダ104のクランプ動作時のクランプ不良により、グリップ部材102が下限位置まで退入し、受圧部材151が下限位置まで下降したときには、受圧部材151の係止鍔154bが弁部材204に当接して弁部材204を下方へ押動し、弁機構206を開弁させる。クランプ正常で、受圧部材151が下限位置まで下降しない状態では、エア通路203の下端が弁機構206により閉止状態に維持されるため、ワークピースWの着座後は着座センサ180が正常に作動し、エア通路182〜184のエア圧が低下することはない。こうして、クランプ作動後にも着座センサ180がワークピースWの着座を検出しないことを、圧力スイッチ186の検出信号から検知することで、クランプ不良を検出することができる。尚、動作確認検知機構200を使用しない場合、円形凹部201,202に弁部材204とOリング205を上下逆に装着すればよい。
次に、クランプ機構がクランプ状態のときだけ着座センサ180によりワークピースWの着座を検知可能とする開閉弁機構220について説明する。
図11に示すように、収容穴155の上方近傍で且つ収容穴155の外周側付近において、上部本体111には開閉弁機構220が設けられている。この開閉弁機構220は、動作確認検知機構200の弁機構206と同様の構造のものである。
この開閉弁機構220は、上部本体111に形成された偏平な円筒状の収容穴221と、この収容穴221の上端を塞ぐプラグ部材222と、収容穴221に上下方向へ可動に装着された円形の弁板223と、収容穴221内で弁板223の上側に装着され且つ弁板223を下方(閉弁側)へ付勢するOリング224と、収容穴221の下端から延びて着座センサ180のエア通路182に連通されたエア通路225とを備えている。尚、図11には、開弁状態の開閉弁機構220を図示してある。
収容穴221の下端近傍部の一部が収容穴155とラップしており、この収容穴221に臨む部位において、受圧部材151の係止鍔154bには環状エア通路193を分断する立向き板状の突起片154aが設けられている。アンクランプ状態において受圧部材151が上限位置に位置したとき、上記の突起片154aの上端部が収容穴221に僅かに突入して弁板223を押し上げて開閉弁機構220を開弁状態にする。
尚、前記の弁板223が弁部材に相当し、エア通路225の下流端が入口ポートに相当し、収容穴221と収容穴155との接続部が出口ポートに相当する。
そのため、着座センサ180のエア通路182の加圧エアが、エア通路225と収容穴221を通って、クランプ本体101内の外界に連通した内部エア通路110へリークするため、エア通路184のエア圧が上昇することはなく、圧力スイッチ186がONすることはない。尚、上記の内部エア通路110は、エア通路193,194、円形穴154a、4つのスリット124等からなり、エアブロー用エア通路190の大部分と共通の通路である。つまり、アンクランプ状態のとき、ワークピースWが着座面118に着座してエア噴出孔181が閉じられている場合でも、着座センサ180がワークピースWの着座を検出しないから、アンクランプ状態を確実に検知可能になる。
他方、クランプ状態のとき、受圧部材151が上限位置よりも僅かに下降した位置になるため、突起片154aの上端部が収容穴221に突入しなくなり、開閉弁機構220が閉弁状態になる。それ故、ワークピースWが着座面118に着座してエア噴出口181が閉じられている場合には、クランプ状態であることを確実に検知可能になる。
尚、受圧部材151が「可動部材」に相当し、受圧部材151の「上限位置よりも僅かに下降した位置」が「第1位置」に相当し、受圧部材151の上限位置が「第2位置」に相当する。尚、油圧供給源160、エア供給源185、圧力スイッチ186等は制御ユニット(図示略)に電気的に接続されており、その制御ユニットにより制御される。
以上のクランプ装置CAの作用、効果について説明する。
クランプ装置CAによりワークピースWを着座面118に固定する場合次のように行う。
最初に、アンクランプ状態では、アンクランプ用油室146に油圧(加圧油)を充填し、クランプ用油室145の油圧はドレン圧にしておく。すると、図8に示すようにピストン部材142は上限位置まで上昇して停止状態となる。アンクランプ用油室146から油路170を介してサポート油室152へ油圧が供給されるため、サポート油室152の油圧を受圧する受圧部材151は上限位置を保持し、グリップ部材102も上限位置を保持する。
この状態でワークピースWを投入し、図8に示すように、ワークピースWの穴Hにグリップ部材102とクランプロッド103とを挿入し、ワークピースWを着座面118で支持する。このアンクランプ状態のとき、開閉弁機構220は開弁状態となるため、着座センサ180の圧力スイッチ186がONしないから、アンクランプ状態であることを確実に検知できる。
次に、クランプ状態に切換える際には、アンクランプ用油室146の油圧をドレン圧にすると同時に、クランプ用油室145に油圧を供給する。このクランプ動作開始初期には、絞り通路172aにより、サポート油室152の油圧の低下が遅延するため、受圧部材151には上向きの油圧力(サポート力)が作用する。それ故、受圧部材151は前記と同様に上限位置を保持し、グリップ部材102も上限位置を保持するが、ピストン部材142にはクランプ用油室145から下方向きの油圧力が作用し、ピストン部材142が下方へ駆動されるため、クランプロッド103がグリップ部材102に対して相対的に下方へ移動する。
その結果、クランプロッド103のテーパ軸部131によりグリップ部材102のグリップ爪部122が拡径駆動されて、ワークピースWの穴Hの内周面に食いついて係合状態になる。この直後に、アンクランプ用油室146の油圧がドレン圧まで低下し、ピストン部材142には下方向きの大きな油圧力が作用し、サポート油室152の油圧はドレン圧まで低下する。グリップ部材102とクランプロッド103とは相対移動不能になるため、ピストン部材142とグリップ部材102とクランプロッド103と受圧部材151は一体的に微小距離だけ下方へ駆動され、ワークピースWが着座面118に強く押圧されたクランプ状態になる。サポート油室152の油圧がドレン圧になった状態では、油圧シリンダ104で発生可能な最大クランプ力でクランプした状態になる。このクランプ状態のとき、開閉弁機構220が閉弁状態になるため、着座センサ180の圧力スイッチ186がONし、着座クランプ状態を確実に検知できる。
このとき、図9に示すように、受圧部材151の係止鍔部154bと下部本体112との間には隙間が残っているため、動作確認検知機構200の弁機構206は閉弁状態を維持する。それ故、ワークピースWが所期のクランプ力でクランプされて着座面118に着座し、正常なクランプ状態であることを着座センサ180により確認できる。
他方、グリップ爪部122がワークピースWに対してスリップする等の異常クランプ状態になると、動作確認検知機構200の弁機構206が開弁状態になるため、着座センサ180の圧力スイッチ186がONしなくなるから、異常クランプ状態を確実に検知できる。
尚、サポート油室152へアンクランプ用油室146から油圧を供給する油圧供給系に代えて、油圧供給源から直接油圧を供給する独立の油圧供給系によりサポート油室152に油圧を供給/排出するように構成してもよい。また、受圧部材151は、サポート油室152の油圧とクランプ用油室145の油圧を受圧する構成にしてもよい。
尚、ピストン部材142が上昇端付近で弁機構206を開弁させる開弁機構を設け、弁機構206を開閉弁機構として兼用してもよい。
実施例3に係るクランプ装置CBについて図13に基づいて説明する。
このクランプ装置CBは、実施例2のクランプ装置CAのクランプ用油室145を省略し、その代わりにピストン部材142Bをクランプ方向へ駆動する圧縮スプリング145sを設けたものである。クランプ装置CAと同様の構成については同様の符号を付けて図示してその説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。尚、クランプ装置CBの平面図は、図7と同様であるので省略した。
油圧シリンダ104Bは、ピストン部材142Bと、このピストン部材142Bのピストン部143の上側に形成された環状のスプリング収容室145Bと、このスプリング収容室145Bに収容され且つピストン部材142Bをクランプ方向(下方)へ強力に弾性付勢可能な圧縮スプリング145sと、ピストン部143の下側に形成されたアンクランプ用油室146とを備えている。尚、クランプ用の圧縮スプリング145sは長方形断面のバネ鋼線材で構成したものであるが、円形断面のバネ鋼線材又は皿バネで構成したものでもよい。
スプリング収容室145Bは上下方向に長く形成され、下部本体112Bもシリンダ穴141Bも上下方向に長く形成されている。ピストン部材142Bの筒状ピストンロッド144Bも上下方向に長く形成され、筒状ピストンロッド144Bの下部約2/3部分は幾分大径の大径ロッド部144cに形成され、この大径ロッド部144cの外周側にスプリング収容室145Bが形成されている。このスプリング収容室145Bに圧縮スプリング145sが圧縮状態に装着されてピストン部材142Bを下方へ付勢している。図13はアンクランプ状態のクランプ装置CBを示し、このアンクランプ状態において大径ロッド部144cの上端部が下部本体112Bの棚部112aで係止されている。
ピストン部材142Bの中径孔149Bが上下方向に長く形成され、この中径孔149Bの大部分と大径孔150とに上下長の大きな封鎖部材135Bが装着され、この封鎖部材135Bがクランプロッド103の下端に当接し、封鎖部材135Bがストップリング136で抜け止めされている。グリップ部材102を支持するサポート機構105は、クランプ装置CAのサポート機構105と同様であり、このサポート機構105のサポート油室は、専用サポート油室152からなり、この専用サポート油室152にアンクランプ用油室146から油圧を供給する油路170Bは、筒状油路171Bと傾斜油路172Bを有する。
しかし、傾斜油路172Bに絞り通路を設けていない。即ち、アンクランプ状態において、圧縮スプリング145sは図13に示すように最大限圧縮状態になっている。クランプ動作開始時にアンクランプ用油室146の油圧をドレン圧に切換える際に、圧縮スプリング145sが伸長するため、アンクランプ用油室146の油圧が徐々に低下し、専用サポート油室152の油圧も徐々に低下するため、受圧部材151に作用する油圧力でグリップ部材102を支持し、グリップ部材102を拡径させることができる。そのグリップ部材102の拡径後(クランプ動作後期及びそれ以降)には、専用サポート油室152の油圧もドレン圧になるから、サポート機構105の油圧力の全部を解除することができる。
このクランプ装置CBに設けられる着座センサ、動作確認検知機構、開閉弁機構等は、実施例2のものと同様であるので、図示省略し、説明も省略した。
このクランプ装置CBにおいては、圧縮スプリング145sの付勢力でクランプ力を発生させる構成であるため、ワークピースWを固定してからクランプ装置CBを油圧供給源から分離した状態で、ワークピースWの機械加工を行うことが可能である。それ故、クランプ装置CBの汎用性が高まる。その他、実施例2のクランプ装置CAと同様の作用、効果を奏する。
図14〜図23に示すように、このクランプ装置CCは、サポート機構205を除いて、実施例2のクランプ装置CAと同様の構造を有する。そのため、クランプ装置CAの構成部材と同様の構成部材に、クランプ装置CAの対応する構成部材の参照符号に「100」を加えた参照符号を付して簡単に説明する。
このクランプ装置CCは、クランプ本体201と、グリップ部材202およびクランプロッド203と、グリップ部材202とクランプロッド203を軸心方向(上下方向)に駆動可能な油圧シリンダ204(駆動手段)と、サポート機構205とを備えている。クランプ本体201は、上部本体211と下部本体212とで構成され、クランプ本体201がベース部材213に組み付けられる。尚、グリップ部材202とクランプロッド203等でクランプ機構が構成されている。
上部本体211は、4つのボルト穴214に挿入される4つのボルトでベース部材213に固定される。下部本体212はシリンダ穴241を形成する環状部材であり、この下部本体212の上端部が上部本体211の凹部に嵌合され、4つのボルト216により上部本体211に固定されている。
図14、図15に示すように、グリップ部材202は、上部本体211の中心部分の開口穴217を上下に貫通している。グリップ部材202の外周側近傍部において、上部本体211の上端部には加圧エア逃し用の4つの凹溝219により4分割された円弧形の着座面218が形成されている。この着座面218にワークピースWを着座させ、クランプ動作によりワークピースWを着座面218に固定する。上部本体211の上下方向厚さは、下部本体212の上下方向厚さと同程度に形成され、上部本体211の上面は、約45度の勾配の部分円錐面に形成されている。上部本体211とワークピースWとの干渉を避け易くなる。
グリップ部材202は、ロッド挿通孔221と、筒状のグリップ爪部222と、基端鍔部223とを有し、グリップ部材202は、拡径と縮径を可能とし且つ分解可能とする為に、4つのスリット224により4つに分割され、Oリング225で束ねられている。
グリップ部材202のグリップ爪部222の外周面には3段の歯が形成されている。ロッド挿通孔221のうちのグリップ爪部対応部分は、クランプロッド203のテーパ軸部231が密着状に係合するテーパ孔部221aに形成されている。
図14、図15に示すように、上部本体211の開口穴217にはスクレーパ226が装着されている。グリップ部材202の下部にはグリップ部材202を縮径方向へ付勢するOリング225が装着されている。グリップ部材202の基端鍔部223は、上部本材211に形成された円筒穴206の上端部分に収容され、円筒穴206の上壁部とサポート機構205の環状の受圧部材251の水平壁部254との間に水平方向へ可動に挟着されている。グリップ部材202は、受圧部材251と一体的に小距離だけ昇降可能であり、円筒穴206の上端部分の環状隙間206aとスクレーパ226の弾性変形を介して、油圧シリンダ204の軸心と直交する水平方向へ約1〜2mm移動可能に装着されている。
クランプロッド203は、テーパ軸部231と小径ロッド部232と大径ロッド部233と大径鍔部234と上方程小径化する部分円錐部231aとを有する。テーパ軸部231と小径ロッド部232がグリップ部材202のロッド挿通孔221に挿通されている。このテーパ軸部231がグリップ部材202のテーパ孔部221aに内嵌係合している。
図15に示すように、油圧シリンダ204は、下部本体212に形成されたシリンダ穴241と、ピストン部243と筒状ピストンロッド244とを含むピストン部材242と、ピストン部243の上側のクランプ用油室245及びピストン部243の下側のアンクランプ用油室246とを備えている。
シリンダ穴241の底面はベース部材213で塞がれている。ピストン部材242には、小径孔248と中径孔249と大径孔250とが形成されている。中径孔249の下部と大径孔250には封鎖部材235が装着され、ストップリング236で抜け止めされている。尚、シール部材212a〜212c,235a,243a,244aも設けられている。
クランプロッド203の大径ロッド部233が、受圧部材251の円筒穴254aと筒状ピストンロッド244の小径孔248内に位置し、大径鍔部234が中径孔249内に位置している。大径ロッド部233と小径孔248の内周面との間には約2mmの環状隙間248aが形成され、大径ロッド部233の外周の環状溝に太いOリング233aが装着され、このOリング233aは大径ロッド部233と筒状ピストンロッド244の間に僅かに圧縮状態に装着されている。
大径鍔部234は中径孔249の上壁と封鎖部材235の間に水平方向へ可動に装着されている。大径鍔部234の外周面と中径孔249の内周面との間には僅かな隙間249aがある。それ故、クランプロッド203は、ピストン部材242と一体的に昇降移動するが、ピストン部材242に対して相対的に水平方向(クランプロッド203の軸心と直交方向)へ小距離だけ移動可能である。グリップ部材202はクランプロッド203と一体的に水平方向へ移動可能である。尚、スクレーパ226とOリング233aが、グリップ部材202とクランプロッド203の軸心を油圧シリンダ204の軸心に一致させるように弾性付勢している。
図15に示すように、サポート機構205は、グリップ部材202を拡径させる際にグリップ部材202を受圧部材251(これが「サポート部材」に相当する)に作用する油圧力で支持するものである。サポート機構205は、グリップ部材202の基端鍔部223を支持する受圧部材251と、この受圧部材251の筒部253にクランプ方向と反対方向向きに油圧を受圧させるサポート油室252とを有する。尚、受圧部材251は、クランプ用油室245の油圧も受圧する。
受圧部材251は、筒部253と、この筒部253の上端に連なる水平壁部254と、筒部253の内側に形成されたロッド収容穴253bと、水平壁部254に形成された円筒穴254aとを有し、水平壁部254の上面にグリップ部材202の基端鍔部223が載置支持されている。筒部253の下部には、クランプ用油室245の油圧を受圧する薄肉スリーブ253aが一体形成されている。水平壁部254は、大きな上下厚さを有する厚肉のスリーブ状に形成されている。水平壁部254の外周部には上下に離隔した1対のシール部材254c,254dが装着されている。
筒部253は、下部本体212と筒状ピストンロッド244とで形成された環状のシリンダ穴に上下方向に摺動自在に装着されている。その筒状シリンダ穴の中段部に、クランプ用油室245とは独立のサポート油室252が形成されている。水平壁部254の中心部の円筒穴254aに、クランプロッド203が遊嵌状に挿通し、筒部253の上端部の外周部には、筒部253よりも僅かに大径の係止鍔254bが形成されている。
上部本体211と下部本体212には、係止鍔254bが収容された収容穴255が形成されている(図17参照)。この収容穴255の厚さは係止鍔254bの厚さよりも例えば1.2〜2.0mm大きい。受圧部材251は上下方向に例えば1.2〜2.0mm摺動自在に装着されている。係止鍔254bの外周側には加圧エアが通過可能な環状の隙間が形成され、係止鍔254bの外周部の上部には環状のエア通路293が形成されている。クランプ用油室245は、油路261〜265を介して油圧供給源260に接続され、アンクランプ用油室246は、油路266,267を介して油圧供給源260に接続されている。
サポート油室252に油圧を供給する為の油路270は、下部本体212の下半部の外周側に形成されてアンクランプ用油室246に連通した筒状油路271と、下部本体212に斜めに形成された絞り機能を有する傾斜油路272とで構成されている。こうして、サポート油室252にはアンクランプ状態のときにアンクランプ用油室246から油圧(加圧油)が供給され、クランプ動作開始から所定微小時間(例えば約1秒)かけてサポート油室252の油圧が傾斜油路272を介して排出され、ドレン圧になる。
傾斜油路272は、クランプ動作開始後、サポート油室252からの油圧の排出を遅延させ、グリップ部材202の拡径後にサポート油室252の油圧をドレン圧にする。尚、クランプ動作開始後、サポート力の漸減に応じてクランプ力が徐々に増大していき、前記の所定微小時間かけて最大クランプ力になる。
ワークピースWをクランプした状態で、ワークピースWの下面が着座面218に密着したことを検出する着座センサ280について説明する。
図16に示すように、この着座センサ280は、着座面218に開口されたエア噴出孔281と、このエア噴出孔281に連通するように上部本体211内に形成されたエア通路282及びベース部材213内に形成されたエア通路283と、このエア通路283にエア通路284を介して加圧エアを供給する加圧エア供給源285と、エア通路284内の加圧エアの圧力が設定圧以上に昇圧したことを検出する圧力スイッチ286と、圧力スイッチ286の検出信号を受ける制御ユニット(図示略)等を有する。
グリップ部材202、クランプロッド203、着座面218等をエアブローする為のエアブロー用エア通路290について説明する。
図18に示すように、上部本体211には収容穴255に連なるエア通路291が形成され、ベース部材213にはエア通路291に連なるエア通路292が形成され、このエア通路292はエア通路295を介して加圧エア供給源285に接続されている。受圧部材251の係止鍔254bの外周側に環状エア通路293が形成され、係止鍔254bには環状エア通路293を受圧部材251の内側空間に連通させる複数のエア通路294が形成されている(図19参照)。上記エア通路291,292,295と、環状エア通路293と、複数のエア通路294と、円筒穴254aと、グリップ部材202の4つのスリット224とで、大気開放されたエアブロー用エア通路290が形成されている。
次に、クランプ正常か否かを確認する動作確認検知機構300は、実施例2の動作確認検知機構200と同様のものであるので説明を省略する。尚、動作確認検知機構300は、弁板304と、Oリング305と、エア通路282に連通したエア通路303等を備えている。
次に、クランプ機構がクランプ状態のときだけ着座センサ280によりワークピースWの着座を検知可能とする為の開閉弁機構320について説明する。
図14、図15、図17に示すように、受圧部材251の水平壁部254のうちのロッド収容穴253bに臨む下端部分に、開閉弁機構320が設けられている。
開閉弁機構320は、水平壁部254に形成された弁孔371と、この弁孔371に装着された弁部材372と、環状の圧入部材373と、弁部材372を付勢する圧縮コイルバネ374と、入口ポート376及び出口ポート377等を備えている。入口ポート376には、エア通路303から分岐したエア通路304と、水平壁部254に形成されたエア通路305から加圧エアが供給される。
弁孔371は、エア噴出孔281へ加圧エアを供給するエア通路282に対応する位置において、水平壁部254に立て向き姿勢に形成した円筒穴の下部に環状の圧入部材373を圧入して形成されている。弁部材372は、軸部372aと大径部372bとを有し、軸部372aが圧入部材373の貫通孔373aに環状隙間377(出口ポート377)を空けて可動に装着され、大径部372bが弁孔371に環状隙間371aを空けて可動に装着され、軸部372aの先端部分(下端部分)がロッド収容穴253bへ部分的に突出可能になっており、軸部372aの先端部がピストン部材242の筒状ピストンロッド244の上端に対向している。
図15〜図17に示すように、クランプ機構がアンクランプ状態で、ピストン部材242(これが「可動部材」に相当する)が上限位置にあるときには、弁部材372の軸部372aの先端部が筒状ピストンロッド244の上端に当接して弁部材372が退入移動し、大径部372bと圧入部材373間に環状隙間371bが形成されるため、入口ポート376と出口ポート377とが連通して開弁状態となる。
そのため、エア通路282が受圧部材251の内側の内部エア通路210と連通して外界へ開放されるため、図16に示すエア通路283,284内のエア圧が上昇することがなく、圧力スイッチ286がONすることはない。尚、圧力スイッチ286の検出信号はクランプ装置CCを制御する制御ユニット(図示略)へ供給されている。
尚、上記の受圧部材251の内側の内部エア通路210は、エアブロー用エア通路290の下流側部分と共通の通路である。そのため、アンクランプ状態では開閉弁機構320が開弁状態を維持するため、ワークピースWが着座面218に着座してエア噴出孔281が閉じられた場合でも、着座センサ280の圧力スイッチ286がワークピースWの着座を検出しないから、アンクランプ状態を確実に検知可能になる。
他方、クランプ状態のときには、図19〜図21に示すように、ピストン部材242が上限位置よりも約1〜2mmだけ下降した位置になるため、弁部材372の軸部372aの先端部が筒状ピストンロッド244から離隔し、大径部372bが圧入部材373に当接して開閉弁機構320内のエア通路を遮断するため、開閉弁機構320が閉弁状態になる。それ故、ワークピースWが着座面218に着座してエア噴出口281が閉じられた場合には、エア通路282〜284内のエア圧が上昇するためクランプ状態であることを、着座センサ280の圧力スイッチ286により確実に検知可能になる。
尚、ピストン部材242が「可動部材」に相当し、図19、図20に示すピストン部材242の位置が「第1位置」に相当し、図15、図17に示すピストン部材242の位置が「第2位置」に相当する。尚、油圧供給源260、エア供給源285、圧力スイッチ286等は制御ユニット(図示略)に電気的に接続されており、その制御ユニットにより制御される。
以上のクランプ装置CCの作用、効果について説明する。
クランプ装置CCによりワークピースWを着座面218に固定する場合次のように行う。
最初に、アンクランプ状態では、アンクランプ用油室246に油圧を充填し、クランプ用油室245の油圧はドレン圧にしておく。すると、図15、図17に示すようにピストン部材242は上限位置まで上昇して停止状態となる。アンクランプ用油室246から油路270を介してサポート油室252へ油圧が供給されるため、サポート油室252の油圧を受圧する受圧部材251は上限位置を保持し、グリップ部材202も上限位置を保持する。
この状態でワークピースWを投入し、図15に示すように、ワークピースWの穴Hにグリップ部材202とクランプロッド203とを挿入し、ワークピースWを着座面218で支持する。このアンクランプ状態のとき、開閉弁機構320は開弁状態となるため、着座センサ280の圧力スイッチ286がONしないから、アンクランプ状態であることを確実に検知することができる。
次に、クランプ状態に切換える際には、アンクランプ用油室246の油圧をドレン圧にすると同時に、クランプ用油室245に油圧を供給する。このクランプ動作開始初期には、傾斜油路272により、サポート油室252の油圧の低下が遅延するため、受圧部材251には上向きの油圧力(サポート力)が作用する。それ故、受圧部材251は前記と同様に上限位置を保持し、グリップ部材202も上限位置を保持するが、ピストン部材242にはクランプ用油室245から下方向きの油圧力が作用し、ピストン部材242が下方へ駆動されるため、クランプロッド203がグリップ部材202に対して相対的に下方へ移動する。
その結果、クランプロッド203のテーパ軸部231によりグリップ部材202のグリップ爪部222が拡径駆動されて、ワークピースWの穴Hの内周面に食いついて係合状態になる。この直後に、アンクランプ用油室246の油圧がドレン圧まで低下し、ピストン部材242には下方向きの大きな油圧力が作用し、サポート油室252の油圧はドレン圧まで低下する。グリップ部材202とクランプロッド203とは相対移動不能になるため、ピストン部材242とグリップ部材202とクランプロッド203と受圧部材251は一体的に微小距離だけ下方へ駆動され、ワークピースWが着座面218に強く押圧されたクランプ状態になる。
サポート油室252の油圧がドレン圧になった状態では、油圧シリンダ204で発生可能な最大クランプ力でクランプした状態になる。但し、受圧部材251の薄肉スリーブ253aがクランプ用油室245の油圧を受圧するため、最小限のサポート力は維持される。このクランプ状態のとき、ピストン部材242が下降して開閉弁機構320が閉弁状態になるため、着座センサ280の圧力スイッチ286がONし、着座クランプ状態を確実に検知できる。
このとき、図19に示すように、受圧部材251の係止鍔部254bと下部本体212との間には隙間254cが残っているため、動作確認検知機構300は閉弁状態を維持する。それ故、ワークピースWが所期のクランプ力でクランプされて着座面218に着座し、正常なクランプ状態であることを着座センサ280により確認できる。
他方、グリップ爪部222がワークピースWに対してスリップする等の異常クランプ状態になると、図22,図23に示すように、係止鍔部254bが下部本体212に当接するまで下降し、動作確認検知機構300が開弁状態になるため、着座センサ280の圧力スイッチ286がONしなくなるから、異常クランプ状態を確実に検知できる。
尚、サポート油室252へアンクランプ用油室246から油圧を供給する油圧供給系に代えて、油圧供給源から直接油圧を供給する独立の油圧供給系によりサポート油室252に油圧を供給/排出するように構成してもよい。また、受圧部材251は、サポート油室252の油圧のみを受圧する構成にしてもよい。その他の効果については、実施例1と同様であるので説明は省略する。
次に、実施例5のクランプ装置CDについて図24〜図30に基づいて説明する。
図24〜図30に示すように、このクランプ装置CDは、クランプ本体401と、ワークピースWを固定するためのグリップ部材402と、クランプロッド403と、グリップ部材402とクランプロッド403を軸心方向(上下方向)に駆動可能な油圧シリンダ404と、サポート機構405とを備えている。クランプ本体401は、上部本体411と下部本体412とで構成され、クランプ本体401がベース部材413に組み付けられる。尚、グリップ部材402とクランプロッド403等でクランプ機構が構成されている。
クランプ本体401は平面視にてほぼ長円形であり、この上部本体411は4つのボルト穴に挿入される4つのボルト414でベース部材413に固定される。下部本体412はシリンダ穴441を形成する筒状部材であり、この下部本体412の上端部が上部本体411の下面側の凹部415に嵌合され、4つのボルト416により上部本体411に固定されている。上部本体411の上半部の中心部に上方へ突出する円筒状の本体筒部411aが設けられている。アンクランプ状態のとき、グリップ部材402の上半部とクランプロッド403のテーパ軸部431が本体筒部411aの上端外へ突出している。
図24,図25に示すように、グリップ部材402とクランプロッド403は、本体筒部411aの上端部の中心部分の開口穴417を上下に貫通している。グリップ部材402の外周側近傍部において、本体筒部411aの上端部には加圧エア逃し用の4つの凹溝419により4分割された円弧形の着座面418が形成されている。この着座面418にワークピースWを着座させ、クランプ動作によりワークピースWを着座面418にクランプする。
グリップ部材402は、ワークピースWの穴Hに挿入されて穴Hの内周面をグリップ可能なものである。このグリップ部材402は、ロッド挿通孔421と、グリップ爪部422と、基端鍔部423とを備えている。グリップ部材402は、4つのスリットにより周方向4等分に分割された4つのグリップ形成部材により環状に形成されている。
金属製のグリップ部材402におけるグリップ爪部422の外周面には、ワークピースWの穴Hの内周面をグリップし易くする3段の歯422aが形成されている。グリップ部材402のロッド挿通孔421にはクランプロッド403が挿通されている。このロッド挿通孔421のうちのグリップ爪部対応部分は、クランプロッド403のテーパ軸部431が密着状に係合するテーパ孔部421aに形成されている。クランプロッド403を下方へ駆動すると、テーパ軸部431によりグリップ部材402の外径が拡大(拡径)し、また、クランプロッド403を上方へ駆動すると、グリップ部材402の外径が縮小(縮径)する。
図24,図25に示すように、本体筒部411aの上端の開口穴417にはグリップ部材402の外周面に圧接する弾性材料(ゴムや合成樹脂)製のスクレーパ425が装着されている。このスクレーパ425は、異物の侵入を防止し、エアブロー用の加圧エアの漏出を抑制し、アンクランプ状態のときグリップ部材402とクランプロッド403の軸心が油圧シリンダ404の軸心と一致するようにセンタリングする為のものである。グリップ部材402の下部には4つのグリップ形成部材を縮径方向へ付勢するOリング426が装着されている。
グリップ部材402の基端鍔部423は本体筒部411aの円形凹部427に収容され、基端鍔部423の外周側には環状隙間が形成されている。基端鍔部423は、円形凹部427の上壁部とサポート部材460の水平板部462との間に水平方向へ可動に挟着され、サポート部材460で支持されている。グリップ部材402は、サポート部材460及び受圧部材451と一体的に昇降可能であると共に、円形凹部427の外周部の環状隙間とスクレーパ425の弾性変形を介して、油圧シリンダ404の軸心と直交する水平方向へ移動可能に装着されている。それ故、ワークピースWをクランプする際、クランプ対象の穴Hの軸心がクランプ装置CDの軸心(油圧シリンダ404の軸心)からズレている場合に、そのズレを吸収してクランプ可能である。
クランプロッド403は、テーパ軸部431と、このテーパ軸部431の下端に連なる小径ロッド部432と、この小径ロッド部432の下端に連なるT形係合部433とを有する。テーパ軸部431と小径ロッド部432とがグリップ部材402のロッド挿通孔421に挿通されている。テーパ軸部431はクランプロッド403の上端側部分に上方程大径化するように形成され、テーパ軸部431がグリップ部材402のテーパ孔部421aに可動に内嵌係合されている。
図25に示すように、油圧シリンダ404(これが「流体圧シリンダ」に相当する)は、グリップ部材402とクランプロッド403とを軸心方向(上下方向)へ進退駆動し、グリップ部材402を拡径させたり、縮径させたりする為のものである。この油圧シリンダ404は、シリンダ穴441、ピストン部材442と、クランプ用油室443と、アンクランプ用油室444等を備えている。クランプ用油室443は、油路435〜438を介して油圧供給源440に接続されている。アンクランプ用油室444は、油路434を介して油圧供給源440に接続されている。
ピストン部材442は、立向きのシリンダ穴441に昇降自在に装着されたピストン部445と、このピストン部445の上端から上方へ本体筒部411a内まで延びるロッド部446とを有する。ピストン部445にはシール部材445aが装着されている。クランプ用油室443はピストン部445の上側に形成され、アンクランプ用油室444はピストン部445の下側に下部本体412とベース部材413とで形成されている。
ロッド部446の上部のネジ軸部449にはロッド分割部材448が螺合にて固定され、ロッド分割部材448によりT溝状のT形係合凹部447が形成されている。クランプロッド403のT形係合部433がT形係合凹部447に係合され、ピストン部材442とクランプロッド403とが一体的に昇降移動する。クランプロッド403は、T形係合凹部447に対して相対的に水平方向へ例えば約0.5〜1mm位移動可能である。
図25〜図27に示すように、サポート機構405は、グリップ部材402を拡径させる際にグリップ部材402を油圧力で支持するものである。サポート機構405は、グリップ部材402の基端(下端)を支持するサポート部材460と、サポート部材460の基端を支持する受圧部材451と、この受圧部材451の本体筒部453の下端にクランプ方向と反対方向向きに油圧を受圧させる専用のサポート油室452とを有する。
サポート部材460は、ロッド部446とロッド分割部材448に外嵌された筒部461と、この筒部461の上端の水平板部462とを有する。クランプロッド403は水平板部462の穴462aを貫通しているが、この穴462aはクランプロッド403を通過可能な大きさに形成されている。サポート部材460の水平板部462がグリップ部材402の基端鍔部423の下面に当接して支持し、筒部461の下端は受圧部材451の本体筒部453の上端に当接して支持され、サポート部材460は受圧部材451と一体的に昇降する。
受圧部材451は、本体筒部453と、この本体筒部453の上端部の係止鍔部454と、この本体筒部453の下端の内周部から下方へ所定長さ延びる薄肉のスリーブ455とを有する。受圧部材451の本体筒部453はロッド部446に摺動自在に外嵌され且つ下部本体412の円筒穴412aに摺動自在に内嵌されている。受圧部材451とロッド部446の間はシール部材446aでシールされ、本体筒部453の外周部にはシール部材453aが装着されている。スリーブ455が、下部本体412とロッド部446の間の環状隙間412bに摺動自在に挿入されている。下部本体412とスリーブ455の間はシール部材412cでシールされている。スリーブ455の下端は、クランプ用油室443に臨んでその油圧を受圧する。
受圧部材451の係止鍔部454は、上部本体411と下部本体412とで形成された収容穴464に上下方向へ例えば約2mm昇降可能に装着されている。係止鍔部454を収容穴464の下端壁で係止することで受圧部材451の下限位置が規定され、係止鍔部454を収容穴464の上端壁で係止することで受圧部材451の上限位置が規定される。上記の約2mmの隙間がクランプの為の最大引き込みストロークである。但し、クランプ時の実際の引き込みストロークは約0.5〜1.0mm位である。
サポート油室452に油圧を供給する為の油路465は、下部本体412の下半部の外周側に形成されてアンクランプ用油室444と油路468(図25参照)に連通した筒状油路466と、下部本体412に斜めに形成された絞り機能を有する傾斜油路467とで構成されている。こうして、サポート油室452には、アンクランプ状態のときに油路465を介して油圧(加圧油)が供給され、クランプ動作開始から所定微小時間(例えば約1秒)かけてサポート油室452の油圧が傾斜油路467を介して排出され、ドレン圧になる。
傾斜油路467は、クランプ動作開始後、サポート油室452からの油圧の排出を遅延させ、グリップ部材402の拡径後にサポート油室452の油圧をドレン圧にする。尚、クランプ動作開始後、サポート力の漸減に応じてクランプ力が徐々に増大していき、前記の所定微小時間かけて最大クランプ力になる。
図24、図26に示すように、ワークピースWをクランプした状態で、ワークピースWの下面が着座面418に密着したことを検出する着座センサが設けられている。この着座センサは、着座面418に開口されたエア噴出孔418aと、このエア噴出孔418aに連通するように上部本体411に形成されたエア通路456,457と、ベース部材413に形成されたエア通路458と、これらエア通路456〜458に加圧エアを供給する加圧エア供給源450と、エア通路456〜458内の加圧エアの圧力が設定圧以上に昇圧したことを検出する圧力スイッチ459等で構成されている。尚、本クランプ装置CDは、エアブロー用エア通路500を備えているが、詳細な構成の説明はここでは省略し、後述する実施例6にて説明する。
次に、アンクランプ状態のときだけ、エア噴出孔418aよりも上流側のエア通路456〜458の加圧エアを外界へリリーフさせる開閉弁機構470と内部エア通路410等について説明する。
上部本体411の内部には、受圧部材451の係止鍔部454の外周側隙間、上部本体411と受圧部材451間の隙間、上部本体411と筒部461間の隙間、筒部461とロッド分割部材448間の隙間、ロッド分割部材448のT形係合凹部447とクランプロッド403間の隙間、水平板部462の穴462aの外周側隙間、グリップ部材402の4つのスリット等からなる内部エア通路410であって外界に連通した内部エア通路410が形成されている。
図27〜図30に示すように、開閉弁機構470は、下部本体412の上半部で且つ円筒穴412aの外周側付近に設けられている。開閉弁機構470は、下部本体412に貫通状に形成された装着穴471と、この装着穴471に固定された筒状のケース部材472と、このケース部材472に挿入されピストン部材442の外面に先端部が当接可能な弁部材473と、この弁部材473の上端部に装着されたキャップ部材474と、弁部材473の上端に油圧を作用させる上油室475と、装着穴471から延びて着座センサのエア通路457に連通されたエア通路476〜478等を備えている。
装着穴471は、上側から下側に向けて順に形成された大径穴471a、中径穴471b、小径穴471cとを有する。大径穴471aの上部に装着されたシール部材471dはケース部材472と下部本体412との間を封止し、中径穴471bにおいてケース部材472の下方に装着されたシール部材471eは下部本体412とケース部材472と弁部材473との間を封止する。
ケース部材472は、大径孔481aが形成された上側の大径部481と、小径孔482aが形成された下側の小径部482とを有している。ケース部材472は、装着穴471に内嵌状に装着されている。大径部481の上端鍔部が装着穴471の大径穴471aの上端段部に係止されている。大径部481の上端鍔部の下側において、ケース部材472と大径穴471aとの間には環状エア通路483が形成されている。小径部482には複数のエア通路484が水平方向に貫通状に形成されている。
弁部材473は、ケース部材472に上下方向に移動可能に挿入されている。弁部材473は、軸部485と、この軸部485より大径の弁体部486とを有している。弁体部486がケース部材472の大径孔481aに可動に装着され、軸部485の上半部がケース部材472の小径孔482aに可動に装着され、軸部485の先端部分が装着穴471の小径穴471cに部分的に挿入されている。軸部485とケース部材472の小径部482との間には環状エア通路487が形成されている。
キャップ部材474は、弁体部486の外周側を上方から覆うように弁体部486に可動に装着されている。キャップ部材474の上端部は、上部本体411の下端部に当接している。キャップ部材474とケース部材472の大径部481aとの間には環状エア通路488が形成され、この環状エア通路488の上端部は収容穴464の下端部の一端部に連通している。弁体部486の外周部に装着されたシール部材486aは弁体部486とキャップ部材474との間を封止している。
キャップ部材474の内側には、クランプ動作時に油圧が供給される上油室475が形成されている。弁部材473の中心部には上下方向に貫通状に小径油路489が形成され、この小径油路489はクランプ用油室443と上油室475とを連通している。クランプ動作時に上油室475に供給される油圧により、弁体部486は下方に付勢される。アンクランプ状態時では、弁部材473はピストン部材442のピストン部445により上方に押圧され、上油室475から小径油路489を介して油圧が排出される。
着座センサのエア通路457に連通するエア通路476が、上部本体411に斜めに形成され(図26参照)、エア通路477に連通されている。エア通路477は、上部本体411と下部本体412との間に平面視円弧形の浅い溝に形成されて、エア通路478に連通されている。エア通路478は、下部本体412に水平方向に貫通状に形成され環状エア通路483に連通されている。着座センサのエア通路457は、これらエア通路476〜478を介して開閉弁機構470の環状エア通路483に連通されている。
装着穴471の小径穴471cの一部がクランプ用油室443とラップしている。図28に示すように、アンクランプ状態においてピストン部材442が上限位置に位置したとき、ピストン部材442のピストン部445の上端面の外周部が小径穴471cに部分的に突入して弁部材473を押し上げて退入移動する。すると、弁体部486の大径孔481aの底壁面への係合が解除されて、開閉弁機構470が開弁状態となり、環状エア通路487と環状エア通路488とが連通する。
そのため、着座センサのエア通路457の加圧エアが、エア通路476〜478、環状エア通路483,エア通路484,環状エア通路487,488を通って、クランプ本体401内の外界に連通した内部エア通路410へリークするため、エア通路457のエア圧が上昇することはなく、圧力スイッチ459がONすることはない。つまり、アンクランプ状態のとき、ワークピースWが着座面418に着座してエア噴出孔418aが閉じられている場合でも、着座センサがワークピースWの着座を検出しないから、アンクランプ状態を確実に検知可能になる。
他方、図29に示すように、クランプ状態のとき、ピストン部材442が上限位置よりも僅かに下降した位置になるため、ピストン部材442のピストン部445の上端部が小径穴471cに突入しなくなる。このとき、クランプ用油室443に供給された油圧が、小径油路489を介して上油室475にも供給され、弁部材473が油圧により下方へ付勢され、弁体部486が大径孔481aの底壁面に係合して環状エア通路487と環状エア通路488を遮断するため、開閉弁機構470が閉弁状態になる。それ故、ワークピースWが着座面418に着座してエア噴出孔418aが閉じられている場合には、圧力スイッチ459によってクランプ状態であることを確実に検知可能になる。
尚、環状エア通路483が入口ポートに相当し、環状エア通路488が出口ポートに相当する。ピストン部材442の「上限位置よりも僅かに下降した位置」が「第1位置」に相当し、ピストン部材442の上限位置が「第2位置」に相当する。
次に、動作確認検知機構490について説明する。
この動作確認検知機構490は、クランプ機構によるクランプ動作時に、ワークピースWの穴Hの内周面に対してグリップ爪部422の歯422aがスリップする等のワークピースWを着座させた状態における異常クランプ状態(クランプ不良)になったことを検知するものである。
図26に示すように、動作確認検知機構490は、上部本体411の下端部に凹設された円形凹部491及び下部本体412の上端部に凹設された円形凹部492と、この円形凹部492に装着されたOリング493と、グリップ部材402と一体的に油圧シリンダ404の軸心と平行方向へ移動する受圧部材451により開弁操作される円形の弁部材494(これが「不良検知用弁部材」に相当する)と、エア通路457から円形凹部491へ連なるエア通路495(これが「不良検知用エア通路」に相当する)と、前記の圧力スイッチ459等を有する。
正常なクランプ状態のときは、受圧部材451の係止鍔部454が下部本体412の上端に当接することはなく、エア通路495の下端が弁部材494により閉止状態に維持される。グリップ部材402のグリップ爪部422がワークピースWに対してスリップした場合には、図30に示すように、係止鍔部454が下部本体412の上端に当接する。このとき、弁部材494の上端部の一部が収容穴464に突出しているため、係止鍔部454が弁部材494を押圧することで、動作確認検知機構490が開弁し、エア通路457の加圧エアがエア通路495を介して内部エア通路410へ抜け、ONすべき圧力スイッチ459がONしないことから、スリップ等の異常クランプ状態の発生を検知することができる。
以上のクランプ装置CDの作用、効果について説明する。
クランプ装置CDによりワークピースWを着座面418に固定する場合は次のように行う。最初に、アンクランプ状態では、アンクランプ用油室444に油圧を充填し、クランプ用油室443の油圧はドレン圧にしておく。すると、図25〜図28に示すようにピストン部材442は上限位置まで上昇して停止状態となる。アンクランプ用油室444から油路465を介してサポート油室452へ油圧が供給されるため、サポート油室452の油圧を受圧する受圧部材451は上限位置を保持し、グリップ部材402も上限位置を保持する。
この状態でワークピースWを投入し、ワークピースWの穴Hにグリップ部材402とクランプロッド403とを挿入し、ワークピースWを着座面418で支持する。このアンクランプ状態のとき、開閉弁機構470は開弁状態となるため、着座センサの圧力スイッチ459がONしないから、アンクランプ状態であることを確実に検知することができる。
次に、クランプ状態に切換える際には、アンクランプ用油室444の油圧をドレン圧に切換え、クランプ用油室443に油圧を供給する。このクランプ動作開始初期には、傾斜油路467により、サポート油室452の油圧の低下が遅延するため、受圧部材451には上向きの油圧力(サポート力)が作用する。それ故、受圧部材451は前記と同様に上限位置を保持し、グリップ部材402も上限位置を保持するが、ピストン部材442にはクランプ用油室443から下方向きの油圧力が作用し、ピストン部材442が下方へ駆動されるため、クランプロッド403がグリップ部材402に対して相対的に下方へ移動する。
その結果、クランプロッド403のテーパ軸部431によりグリップ部材402のグリップ爪部422が拡径駆動されて、ワークピースWの穴Hの内周面に食いついて係合状態になる。この直後に、アンクランプ用油室444の油圧がドレン圧まで低下し、ピストン部材442には下方向きの大きな油圧力が作用し、サポート油室452の油圧はドレン圧まで低下する。グリップ部材402とクランプロッド403とは相対移動不能になるため、ピストン部材442とグリップ部材402とクランプロッド403と受圧部材451は一体的に微小距離だけ下方へ駆動され、ワークピースWが着座面418に強く押圧されたクランプ状態になる。
サポート油室452の油圧がドレン圧になった状態では、油圧シリンダ404で発生可能な最大クランプ力でクランプした状態になる。但し、受圧部材451のスリーブ455がクランプ用油室443の油圧を受圧するため、最小限のサポート力は維持される。このクランプ状態のとき、ピストン部材442が下降して開閉弁機構470が閉弁状態になるため、着座センサの圧力スイッチ459がONし、着座クランプ状態を確実に検知できる。
このとき、図29に示すように、受圧部材451の係止鍔部454と下部本体412との間には隙間が残っているため、動作確認検知機構490は閉弁状態を維持する。それ故、ワークピースWが所期のクランプ力でクランプされて着座面418に着座し、正常なクランプ状態であることを着座センサにより確認できる。
他方、グリップ爪部422がワークピースWに対してスリップする等の異常クランプ状態になると、図30に示すように、係止鍔部454が下部本体412に当接するまで下降し、動作確認検知機構490が開弁状態になるため、着座センサの圧力スイッチ459がONしなくなるから、異常クランプ状態を確実に検知できる。
尚、サポート油室452へアンクランプ用油室444から油圧を供給する油圧供給系に代えて、油圧供給源440から直接油圧を供給する独立の油圧供給系によりサポート油室452に油圧を供給/排出するように構成してもよい。また、受圧部材451は、サポート油室452の油圧のみを受圧する構成にしてもよい。その他の効果については、実施例1と同様であるので説明は省略する。
次に、実施例6のクランプ装置CEについて図31〜36に基づいて説明する。
このクランプ装置CEは、実施例5のクランプ装置CDの動作確認検知機構490の弁部材494が開閉弁機構470に一体的に組み込まれたことを除いて、実施例5と同様の構造を有する。そのため、クランプ装置CDの構成部材と同様の構成部材に同様の参照符号を付して説明は省略する。
次に、開閉弁機構470Aについて説明する。
図34〜図36に示すように、開閉弁機構470Aは、下部本体412の上半部で且つ円筒穴412aの外周側付近に設けられている。開閉弁機構470Aは、装着穴471と、筒状のケース部材472と、弁部材473と、この弁部材473の上端部に装着されたキャップ部材474Aと、弁部材473に油圧を作用させる上油室475と、着座センサのエア通路457に連通されたエア通路476,478等を備えているが、キャップ部材474Aを除いて前記実施例5の開閉弁機構470と同様であるので、詳細な説明は省略する。
キャップ部材474Aは、弁部材473の弁体部486の外周側を上方から覆うように弁体部486に可動に装着されている。キャップ部材474Aの上端部は、上部本体411の下端部に凹設された円形凹部491Aに当接している。キャップ部材474Aとケース部材472の大径孔481aとの間には環状エア通路488が形成され、この環状エア通路488の上端部は収容穴464の下端部の一端部に連通している。
前記実施例5においては設けられていた平面視円弧状のエア通路477が省略されて、上部本体411と下部本体412間の隙間からなるエア通路477aが形成されている。開閉弁機構470Aの環状エア通路483は、エア通路476,477a,478を介して着座センサのエア通路457に連通している。尚、環状エア通路483が入口ポートに相当し、環状エア通路488が出口ポートに相当する。
次に、動作確認検知機構490Aについて説明する。
図34〜図36に示すように、動作確認検知機構490Aは、上部本体411の下端部に凹設された円形凹部491Aと、グリップ部材402と一体的に油圧シリンダ404の軸心と平行方向へ移動する受圧部材451により開弁操作される前記のキャップ部材474A(これが「不良検知用弁部材」に相当する)と、エア通路457から円形凹部491Aへ連なるエア通路495(これが「不良検知用エア通路」に相当する)と、前記の圧力スイッチ459等を有する。クランプ動作時は、キャップ部材474Aは上油室475内に供給される油圧により上方に付勢されてエア通路495の下端を封止する。
正常なクランプ状態のときは、受圧部材451の係止鍔部454が下部本体412の上端に当接することはなく、エア通路495の下端がキャップ部材474Aにより閉止状態に維持される。グリップ部材402のグリップ爪部422がワークピースWに対してスリップした場合には、図36に示すように、係止鍔部454が下部本体412の上端に当接する。このとき、キャップ部材474Aの上端部の一部が収容穴464に突出しているため、係止鍔部454が上油室475内の油圧に抗してキャップ部材474Aを下方へ押圧する。すると、動作確認検知機構490Aが開弁し、エア通路457の加圧エアがエア通路495を介して内部エア通路410へ抜け、ONすべき圧力スイッチ459がONしないことから、スリップ等の異常クランプ状態の発生を検知することができる。
次に、グリップ部材402、クランプロッド403、着座面418等をエアブローする為のエアブロー用エア通路500について説明する。
図32に示すように、ベース部材413には加圧エア供給源501に接続されたエア通路502が形成され、上部本体411には本体筒部411a内に連なるエア通路503が形成されている。上部本体411の下半部とサポート部材460の筒部461の下半部との間には、上半部と比較して溝幅が広い環状隙間504が形成されている。筒部461の下端部には、この環状隙間504をサポート部材460の内側空間に連通させる複数のエア通路505が形成されている。
上記のエア通路502,503と、環状隙間504、複数のエア通路505、上部本体411の上半部と筒部461の上半部間の隙間、筒部461とロッド分割部材448間の隙間、ロッド分割部材448のT形係合凹部447とクランプロッド403間の隙間、水平板部462の穴の外周側隙間、グリップ部材402の4つのスリット等から、大気開放されたエアブロー用エア通路500が形成されている。尚、エアブロー用エア通路500の上部本体411の内側部分は、内部エア通路410とほぼ共通の通路である。
このクランプ装置CEは、動作確認検知機構490Aの不良検知用弁部材が開閉弁機構470Aに一体的に組み込まれた構成、つまり、開閉弁機構470Aのキャップ部材474Aを動作確認検知機構490Aの弁部材として共用する構成を有する。この構成以外、クランプ装置CEは前記実施例5のクランプ装置CDとほぼ同様の構造を有する。このため、キャップ部材474Aを上方に弾性付勢するためのOリングを省略して、構成部品の点数を減らすことができる。その他の作用及び効果については、前記実施例5と同様であるので、詳細な説明は省略する。
次に、上記の開閉弁機構470Aを部分的に変更した変更形態について説明する。
図37に示すように、開閉弁機構470Bにおいて、弁部材473Bの上端部にバネ装着穴497を形成し、このバネ装着穴497に圧縮状のバネ部材498を装着するように構成しても良い。
動作確認検知機構490Aが作動していない状態では、バネ部材498の弾性付勢力によりキャップ部材474Aを上方へ付勢するので、上油室475内に油圧が供給されていない状態でも、キャップ部材474Aによりエア通路495の下端を確実に封止することができる。また、クランプ動作時には、上油室475内の油圧力とバネ部材498の弾性付勢力の協働により弁部材473Bを下方に付勢するので、環状エア通路487と環状エア通路488を確実に遮断することができる。
次に、実施例7のクランプ装置CFについて図38〜図48に基づいて説明する。
図38〜図48に示すように、このクランプ装置CFは、クランプ本体601と、ワークピースWを固定するためのグリップ部材602と、クランプロッド603と、グリップ部材602とクランプロッド603を軸心方向(上下方向)に駆動可能な油圧シリンダ604と、サポート機構605とを備えている。クランプ本体601は、上部本体611と下部本体612とで構成されている。尚、グリップ部材602とクランプロッド603等でクランプ機構が構成されている。
クランプ本体601は平面視において5角形に近い形状である。上部本体611は、4つのボルト穴614に挿入される4つのボルトで下部本体612に固定される。図38の状態を基準として、クランプ本体601において、前面と後面は平面に形成され、右側面は部分円筒面に形成され、左側面は鉛直な折線を有する前後に対称な折面に形成され、その折面の角度は例えば90°である。クランプ本体601の上端部の左端近傍部には、上方へ突出する円筒状の本体筒部611aが設けられている。図38に示す平面図では、本体筒部611aは左側面が外接状に接近している。アンクランプ状態のとき、グリップ部材602の上半部とクランプロッド603のテーパ軸部631が本体筒部611aの上端外へ突出している。
図38,図39に示すように、グリップ部材602とクランプロッド603は、本体筒部611aの上端部の中心部分の開口穴617を上下に貫通している。グリップ部材602の外周側近傍部において、本体筒部611aの上端部には加圧エア逃し用の4つの凹溝619により4分割された円弧形の着座面618が形成されている。この着座面618にワークピースWを着座させ、クランプ動作によりワークピースWを着座面618にクランプする。
グリップ部材602とクランプロッド603とサポート機構605は、クランプ本体601の左端近傍部に設けられ、これらグリップ部材602とクランプロッド603とサポート機構605のサポート部材660は、本体筒部611aの内部に同心状に組み込まれている。本体筒部611aの上端の開口穴617にはグリップ部材602の外周面に圧接する弾性材料(ゴムや合成樹脂)製のスクレーパ625が装着されている。グリップ部材602の下部には4つのグリップ形成部材を縮径方向へ付勢するOリング626が装着されている。尚、グリップ部材602とクランプロッド603は前記実施例1〜6と同じ構成なので、これ以上の詳細な説明は省略する。
次に、油圧シリンダ604と、サポート機構605と、L形連結部材607とについて説明する。
図39,図44,図46に示すように、油圧シリンダ604(これが「流体圧シリンダ」に相当する)は、L形連結部材607を介してグリップ部材602とクランプロッド603を軸心方向(上下方向)へ進退駆動し、グリップ部材602を拡径させたり、縮径させたりする為のものである。油圧シリンダ604は、クランプ本体601の中央部の下部の内部に配設されている。そのため、グリップ部材602とクランプロッド603の軸心が油圧シリンダ604の軸心からクランプロッド603と直交方向に所定距離だけオフセットしている。
油圧シリンダ604は、下部本体612に形成されたシリンダ穴641と、このシリンダ穴641に装着されたピストン部材642と、このピストン部材642の上側のクランプ用油室643と、ピストン部材642の下側のアンクランプ用油室644と、このアンクランプ用油室644の下端を塞ぐ下蓋部材645等を備えている。クランプ用油室643は、下部本体612に形成された油路636,637を介して油圧供給源640に接続され(図43参照)、アンクランプ用油室644は、下蓋部材645に形成された油路635を介して油圧供給源640に接続されている。
ピストン部材642は、縦向きのシリンダ穴641に昇降自在に装着されたピストン部646と、ピストン部材642の下端の中央部から下方へ延びて下蓋部材645の嵌合凹部648に挿入された小径部647とを有している。ピストン部材642は、後述するL形連結部材607の第1縦軸部671にボルト649により一体的に連結されている。ピストン部646の外周部にはシール部材646aが装着されている。嵌合凹部648が形成された下蓋部材645は、下部本体612のシリンダ穴641に螺合されている。
図39,図41,図44,図46,図47に示すように、サポート機構605は、グリップ部材602を拡径させる際にグリップ部材602を油圧力で支持するものである。サポート機構605は、グリップ部材602の基端(下端)を支持するサポート部材660と、このサポート部材660の基端を支持する受圧部材651と、この受圧部材651の下端にクランプ方向と反対方向向きに油圧を受圧させる専用のサポート油室652とを有する。サポート油室652はシリンダ穴656の下部に形成され、サポート油室652の一部はクランプ用油室643とラップして連結している。
サポート部材660は、L形連結部材607の第2縦軸部673に外嵌された筒部661と、この筒部661の上端の水平板部662と、筒部661の下端の下端鍔部663とを有する。クランプロッド603は水平板部662の穴662aを貫通しているが、この穴662aはクランプロッド603を通過可能な大きさに形成されている。サポート部材660の水平板部662がグリップ部材602の基端鍔部623の下面に当接して支持し、筒部661の下端鍔部663は受圧部材651のU形筒部655の上端に当接して支持され、サポート部材660は受圧部材651と一体的に昇降する。下端鍔部663のU形筒部655との当接部分を除く部分とL形連結部材607の水平軸部672の上端部との間には隙間が形成される。
受圧部材651は、本体部653と、この本体部653の上端部の係止鍔部654と、この係止鍔部654からグリップ部材602の方へ延びてサポート部材660の基端を支持するU形筒部655とを有する。U形筒部655は、水平断面が半円形又はU形に形成されている。U形筒部655はL形連結部材607の第2縦軸部673の下部の外面に上下方向へ摺動自在に係合している。本体部653は、下部本体612に形成されたシリンダ穴656に摺動自在に挿入されている。受圧部材651の係止鍔部654は、下部本体612の上端部に係止することで受圧部材651の下限位置が規定される。本体部653の外周部はシール部材653aが装着されている。
サポート油室652は、クランプ用油室643と連通しているため、クランプ動作時には、クランプ用油室643を介してサポート油室652にも油圧が供給される。このため、クランプ動作の初期にはサポート油室652の油圧を受圧する受圧部材651によりサポート部材660を介してグリップ部材602が上限位置に保持される。
図39,図44,図46に示すように、クランプロッド603と油圧シリンダ604のピストン部材642を連動連結するL形のL形連結部材607が設けられている。このL形連結部材607は、油圧シリンダ604のピストン部材642に固定された第1縦軸部671と、この第1縦軸部671の上端部から水平に延びる水平軸部672と、この水平軸部672の端部から上方に延びる第2縦軸部673とを有する。L形連結部材607は、クランプ本体601の収容穴615に収容されている。尚、ピストン部材642とL形連結部材607は別部材で構成しているが、特にこれに限定する必要はなく1つの部材から一体的に構成しても良い。
第1縦軸部671は、油圧シリンダ604のピストン部材642の軸心と共通の軸心を有し、下部本体612の挿通穴616に摺動自在に挿通されている。第2縦軸部673はクランプロッド603の軸心と共通の軸心を有し、第2縦軸部673の上端部分にはT溝状のT形係合凹部674が形成され、このT形係合凹部674にクランプロッド603のT形係合部633が係合され、クランプロッド603とL形連結部材607とが一体的に昇降移動する。クランプロッド603は、T形係合凹部674に対して相対的に水平方向へ例えば約0.5〜1mm位移動可能である。ピストン部材642と第1縦軸部671との間はシール部材671aでシールされ、第1縦軸部671と下部本体612との間はシール部材612aでシールされている。
図38,図39,図44,図46に示すように、ワークピースWをクランプした状態で、ワークピースWの下面が着座面618に密着したことを検出する着座センサが設けられている。この着座センサは、着座面618に開口されたエア噴出孔618aと、このエア噴出孔618aに連通するように上部本体611に形成されたエア通路681〜683と、下部本体612に形成されたエア通路684と、これらエア通路681〜684に加圧エアを供給する加圧エア供給源680と、エア通路674内の加圧エアの圧力が設定圧以上に昇圧したことを検出する圧力スイッチ685等で構成されている。
次に、アンクランプ状態のときだけ、エア噴出孔618aよりも上流側のエア通路の加圧エアを外界へリリーフさせる開閉弁機構690と内部エア通路610等について説明する。
上部本体611の内部には、L形連結部材607と収容穴615間の隙間、上部本体611と筒部661間の隙間、筒部661と第2縦軸部673間の隙間、第2縦軸部673のT形係合凹部674とクランプロッド603間の隙間、水平板部662の穴662aの外周側隙間、グリップ部材602の4つのスリット等からなる内部エア通路610であって外界に連通した内部エア通路610が形成されている。
図40,図45,図48に示すように、上部本体611の収容穴615の上方近傍で且つ収容穴615の外周側付近において、上部本体611には開閉弁機構690が設けられている。開閉弁機構690は、上部本体611に上下方向に貫通状に形成された装着孔691と、この装着孔691の上端を塞ぐプラグ部材692と、この装着孔691に上下方向に可動に装着されL形連結部材607の外面に先端部が当接可能な弁部材693と、装着孔691内で弁部材693の上側に装着されたバネ部材694等を備えている。バネ部材694(これが「弾性部材」に相当する)は、弁部材693を下方(閉弁側)へ付勢する。
装着孔691は、エア噴出孔618aへ加圧エアを供給するエア通路682の途中部において、上部本体611に立て向き姿勢に形成され、上端にプラグ部材692が螺合された弁孔691aと、この弁孔691aの下端から延び収容穴615に連通する弁孔691aより小径の挿通孔691bとを有する。
弁部材693は、弁体部693aと、この弁体部693aより下方に延びる軸部693bとを有し、弁体部693aが弁孔691aに環状隙間695を空けて可動に装着され、軸部693bが挿通孔691bに環状隙間696を空けて可動に装着され、軸部693bの先端部分(下端部分)が収容穴615へ部分的に突出可能になっている。軸部693bの先端部は、L形連結部材607の水平軸部672の上端に対向している。
図39,図40に示すように、アンクランプ状態において、L形連結部材607が上限位置に位置したとき、L形連結部材607の水平軸部672の上端部が挿通孔691bから部分的に突出している弁部材693の軸部693bを押し上げ、弁部材693が退入移動する。すると、弁体部693aの弁孔691aの底壁面への係合が解除されて、開閉弁機構690が開弁状態となり、環状隙間695と環状隙間696とが連通する。
そのため、着座センサのエア通路682の加圧エアが、環状隙間695,696を通って、クランプ本体601内の外界に連通した内部エア通路610へリークするため、エア通路682のエア圧が上昇することはなく、圧力スイッチ685がONすることはない。つまり、アンクランプ状態のとき、ワークピースWが着座面618に着座してエア噴出孔618aが閉じられている場合でも、着座センサがワークピースWの着座を検出しないから、アンクランプ状態を確実に検知可能になる。
他方、図44,図45に示すように、クランプ状態のとき、L形連結部材607が上限位置よりも僅かに下降した位置になるため、L形連結部材607の水平軸部672の上端部が挿通孔691bから離隔する。このとき、弁部材693がバネ部材694により下方へ付勢され、弁体部693aが弁孔691aの底壁面に係合して環状隙間695と環状隙間696を遮断するため、開閉弁機構690が閉弁状態になる。それ故、ワークピースWが着座面618に着座してエア噴出孔618aが閉じられている場合には、圧力スイッチ685によってクランプ状態であることを確実に検知可能になる。
尚、L形連結部材607が可動部材に相当し、環状隙間695が入口ポートに相当し、環状隙間696が出口ポートに相当する。L形連結部材607の「上限位置よりも僅かに下降した位置」が「第1位置」に相当し、L形連結部材607の上限位置が「第2位置」に相当する。
次に、動作確認検知機構700について説明する。
この動作確認検知機構700は、クランプ機構によるクランプ動作時に、ワークピースWの穴Hの内周面に対してグリップ爪部722の歯がスリップする等のワークピースWを着座させた状態における異常クランプ状態(クランプ不良)になったことを検知するものである。動作確認検知機構700は、下部本体612のシリンダ穴656の外周側付近に大部分が設けられている。
図41,図42,図47,図48に示すように、動作確認検知機構700は、上部本体611の下端部に凹設された円形凹部701及び下部本体612の上端部に凹設された円形凹部702と、グリップ部材602と一体的にクランプロッド603の軸心と平行方向へ移動する受圧部材651により開弁操作される環状の弁部材703(これが「不良検知用弁部材」に相当する)と、エア通路684から円形凹部702へ連なるエア通路704〜706(これが「不良検知用エア通路」に相当する)と、前記の圧力スイッチ685等を有する。
弁部材703の内部には、エア通路707が上下方向に貫通状に形成されている。正常なクランプ状態では、弁部材703は加圧エアの付勢力により上方に付勢され、弁部材703の上端部が上部本体611に当接してエア通路707の端部を閉じるため、動作確認検知機構700は閉弁状態を保持する。弁部材703の外周部にはシール部材703aが設けられている。円形凹部702に連通するエア通路706は、下部本体612内のエア通路704,705を介して着座センサのエア通路684に連通している。
正常なクランプ状態のときは、受圧部材651の係止鍔部654が下部本体612の上端に当接することはなく、弁部材703のエア通路707の上端は上部本体611の下端部により閉止状態に維持される。グリップ部材602のグリップ爪部622がワークピースWに対してスリップした場合には、図46〜図48に示すように、係止鍔部654が下部本体612の上端に当接する。このとき、弁部材703の上端部の一部が収容穴615に突出しているため、係止鍔部654が弁部材703を押圧して、弁部材703が円形凹部702内に退入することで、動作確認検知機構700が開弁し、エア通路684の加圧エアがエア通路704〜707を介して内部エア通路610へ抜け、ONすべき圧力スイッチ685がONしないことから、スリップ等の異常クランプ状態の発生を検知することができる。
尚、本クランプ装置CFは、図示省略のエアブロー用エア通路も備えている。このエアブロー用エア通路は、加圧エア供給源からL形連結部材607が収容された収容穴615に加圧エアを供給し、その加圧エアは筒部661の内部へ流れ、グリップ部材602とクランプロッド603の間の隙間と、グリップ部材602のグリップ形成部材間の隙間と、グリップ部材602の外周側の隙間に噴出し、グリップ部材602の周囲をエアブローによりクリーニングする。
以上のクランプ装置CFの作用、効果について説明する。
クランプ装置CFによりワークピースWを着座面618に固定する場合は次のように行う。最初に、アンクランプ状態では、アンクランプ用油室644に油圧を充填し、クランプ用油室643の油圧はドレン圧にしておく。すると、図39〜図43に示すように、ピストン部材642とL形連結部材607は上限位置まで上昇して停止状態となる。
この状態でワークピースWを投入し、ワークピースWの穴Hにグリップ部材602とクランプロッド603とを挿入し、ワークピースWを着座面618で支持する。このアンクランプ状態のとき、開閉弁機構690は開弁状態となるため、着座センサの圧力スイッチ685がONしないから、アンクランプ状態であることを確実に検知することができる。
次に、クランプ状態に切換える際には、クランプ用油室643に油圧を供給すると、サポート油室652にも油圧が供給されるため、受圧部材651には上向きの油圧力(サポート力)が作用し、サポート油室652の油圧を受圧する受圧部材651は上限位置を保持し、グリップ部材602も上限位置を保持する。次に、アンクランプ用油室644の油圧を徐々に低下させると、ピストン部材642にはクランプ用油室643から下方向きの油圧力が作用し、ピストン部材642が下方へ駆動されるため、クランプロッド603がグリップ部材602に対して相対的に下方へ移動する。
その結果、クランプロッド603のテーパ軸部631によりグリップ部材602のグリップ爪部622が拡径駆動されて、ワークピースWの穴Hの内周面に食いついて係合状態になる。この直後に、アンクランプ用油室644の油圧がドレン圧まで低下し、ピストン部材642には下方向きの大きな油圧力が作用する。グリップ部材602とクランプロッド603とは相対移動不能になるため、ピストン部材642とL形連結部材607とクランプロッド603とグリップ部材602と受圧部材651は一体的に微小距離だけ下方へ駆動され、ワークピースWが着座面618に強く押圧されたクランプ状態になる。
受圧部材651がサポート油室652の油圧を受圧するため、サポート力は維持される。このクランプ状態のとき、ピストン部材642とL形連結部材607が下降して開閉弁機構690が閉弁状態になるため、着座センサの圧力スイッチ685がONし、着座クランプ状態を確実に検知できる。
このとき、図44,図45に示すように、受圧部材651の係止鍔部654と下部本体612との間には隙間が残っているため、動作確認検知機構700は閉弁状態を維持する。それ故、ワークピースWが所期のクランプ力でクランプされて着座面618に着座し、正常なクランプ状態であることを着座センサにより確認できる。
他方、グリップ爪部622がワークピースWに対してスリップする等の異常クランプ状態になると、図46〜図48に示すように、係止鍔部654が下部本体612に当接するまで下降し、動作確認検知機構700が開弁状態になるため、着座センサの圧力スイッチ685がONしなくなるから、異常クランプ状態を確実に検知できる。
尚、サポート油室652へクランプ用油室643から油圧を供給する油圧供給系に代えて、油圧供給源から直接油圧を供給する独立の油圧供給系によりサポート油室652に油圧を供給/排出するように構成してもよい。その他の効果については、実施例1と同様であるので説明は省略する。
前記実施例を部分的に変更した変更例について説明する。
1)前記実施例におけるサポート機構は、受圧部材に作用する油圧力によりグリップ部材を支持する機構を例として説明した。しかし、グリップ部材を支持する受圧部材又はサポート機構を圧縮スプリングの弾性力で支持する形式のサポート機構を採用したクランプ装置にも、本発明を同様に適用することができる。
2)前記実施例においてクランプロッドを駆動する駆動手段として、油圧シリンダを採用したクランプ装置を例にして説明したが、油圧シリンダの代わりにエアシリンダからなる駆動手段を採用してもよい。
3)前記グリップ部材の構造、クランプロッドの構造、サポート機構の構造等は、一例を示すものであり、これらの構造に、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を付加して実施可能である。クランプ装置におけるその他の構造についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を付加して実施可能である。