JP5799463B2 - 無線通信システム、送信機およびマルチキャリア通信方法 - Google Patents
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Description
既存のOFDM無線通信システムに用いる送信機の一般的な構成は、例えば非特許文献1に記載されている。非特許文献1に示されたOFDM無線通信システムに用いる送信機を図10に示す。
図10の送信機において、入力デジタル信号列t{D}はシンボルマッパ100および直並列変換器101により、並列複素シンボル列{S}に変換される。並列複素シンボル列{S}は、周波数マッパ102、逆離散フーリエ変換器103および並直列変換器104によりマトリクス計算処理される。その結果、複素OFDMシンボル標本値列t{V}が生成される。複素OFDMシンボル標本値列t{V}は、ガードインターバル回路105により適切なガードインターバルを付加され、さらにDA変換器106によって複素アナログOFDM信号VBB(t)へと変換される。複素アナログOFDM信号VBB(t)は、直交変調ミクサ107と局発発振器108とで構成される直交変調器109により直交変調されたRF信号VRF(t)に変換される。その後、RF信号VRF(t)は、RF増幅器110によって高出力に増幅され、アンテナ111から空間に送出される。
上記構成のOFDM無線通信システムは、一般に周波数利用効率が良く、適切なガードインターバルを設けることにより、マルチパスフェージングに強いなどの優れた特長を有する。
また、OFDM無線通信システムに用いるOFDM変調回路の構成は、特許文献1にも記載されている。特許文献1に記載された構成では、上記非特許文献1と異なり、入力信号列を複数系統に分割して各サブキャリアに割当てた後、各系統のD/A変換回路および直交変調回路を介して、合成器に複数系統を入力して、増幅器に入力される出力信号を生成する。
既存のOFDM通信システムと異なる方式を使用するマルチキャリア通信システムにおいても、上記OFDM通信システムと同様に、スペクトルの広がりを抑えること、相互歪み成分の影響を抑えること等が要求されるために、PAPRを大きくとる必要がある。そのため、そのマルチキャリア通信システムも大きなバックオフ点でRF増幅器を動作させる必要がある。従って、OFDM通信システムと同様、増幅器の消費電力が増加する問題がある。その結果、無線通信システム中での1bitあたりの消費電力を低下させることができないと云う問題がある。
また、特許文献1に示される通信システムのように、並直列変換を行なわずに、各系統にて直交した信号を作成した後に合成器によって入力波形を合成し、その後増幅器に送信する構成でも、上記説明と同様マルチキャリア変調信号を用いるのでPAPRを大きくする必要がある。
本発明は、OFDM通信システムに代表されるマルチキャリア変調信号を用いる通信システムにおいて、送信機に用いるRF増幅器に大きなバックオフを持たせる必要がなく、その結果、低い飽和出力電力のRF増幅器を使用することが可能となり、かつ、そのRF増幅器を高い電力効率で使用でき、その結果送信機の消費電力を著しく低減でき、1bitあたりの消費電力を下げられる無線通信システムを提供する。
本発明に係る直交周波数分割多重通信を行なう送信機は、入力デジタル信号列を直並列変換してN個(Nは正整数)のDA変換器に入力することによって得られた夫々の複素アナログ信号を、まとめてM数(MはNより小さい2以上の正整数)の複素アナログ信号に合成する信号合成器と、前記信号合成器によってまとめられて出力された複素アナログ信号を、直交変調されたRF信号に変調するM個の直交変調ミクサと、前記M個の直交変調ミクサによって直交変調されたM個のRF信号を、個別にサブキャリアの周波数に対応させて増幅するM個のRF増幅器を備える。
本発明に係る直交周波数分割多重通信用無線機によるマルチキャリア通信方法は、入力デジタル信号列をシンボル変換、直並列変換およびアナログ変換を行い得られた夫々の複素アナログ信号を、まとめて後段の2以上の個々に独立したRF増幅器の台数と同数の信号数に成るように合成し、合成されたそれぞれの信号を、複数の直交変調ミクサを用いて、直交変調された複数のRF信号に変調し、前記複数のRF信号の夫々を、複数のRF増幅器を用いて、個別にサブキャリアの周波数に対応させて増幅し、前記独立して個別に増幅した夫々のRF信号を、アンテナを用いて空中に送出することを特徴とする。
図2は、本発明の第3の実施の形態における無線通信システムの送信機の構成図である。
図3は、本発明の第4の実施の形態における無線通信システムの送信機の構成図である。
図4は、本発明の第5の実施の形態における無線通信システムの送信機の構成図である。
図5は、本発明の第6の実施の形態における無線通信システムの送信機の構成図である。
図6は、本発明に係るウインドウイング処理回路を装荷した場合の信号の様子を示す説明図である。
図7は、本発明の第7の実施の形態における無線通信システムの送信機の構成図である。
図8は、本発明の第8の実施の形態における無線通信システムの送信機の構成図である。
図9は、本発明の第9の実施の形態における無線通信システムの送信機の構成図である。
図10は、OFDM無線通信システムに用いる送信機の一般的な構成図である。
図11は、増幅器の出力電力および電力効率特性の一例を示す説明図である。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態における無線通信システムの送信機の構成図である。
図示された送信機は、入力デジタル信号列t{D}を複素シンボル列に変換するシンボルマッパ1と、生成された複素シンボル列を並列複素シンボル(S)へと変換する直並列変換器2と、並列複素シンボル(S)に含まれる各複素シンボル(s0〜sN−1)のそれぞれに対して個別の周波数を割り当てる周波数マッパ3と、割り当てられた周波数に対応した位相回転を与えたそれぞれの複素デジタル信号標本列(t{v0}〜t{vN−1})を生成するデジタル信号処理回路4と、生成した複素デジタル信号標本列(t{v0}〜t{vN−1})のそれぞれを複素アナログ信号(VBB.0(t)〜VBB.N−1(t))へと変換する複数のDA変換器5と、複数のDA変換器からそれぞれ出力されるN個の複素アナログ信号(VBB.0(t)〜VBB.N−1(t))をM個の信号に合成する合成器16と、M個にまとめられた複素アナログ信号のそれぞれから実数部が直交変調されたRF信号(VRF.0(t)〜VRF.M−1(t))を生成する複数の直交変調ミクサ6と、各直交変調ミクサに局発信号を供給する複数の局発発振器7と、各直交変調されたRF信号(VRF.0(t)〜VRF.M−1(t))をそれぞれ増幅する複数のRF増幅器8と、増幅されたそれぞれのRF信号を空中に送出する複数のアンテナ9とから構成されている。
ここで、デジタル信号処理回路4は、信号処理手段として動作する。また、DA変換器5は、DA変換手段として動作する。また、合成器16は、信号合成手段として動作する。また、直交変調ミクサ6と局発発振器7との組は、1組の直交変調手段ないし回路として動作する。また、RF増幅器8は、RF増幅手段ないし回路として動作する。
次に、動作について説明する。
入力デジタル信号列t{D}は、シンボルマッパ1および直並列変換器2により、N個の複素シンボル(s0〜sN−1)を含む並列複素シンボル(s)に変換される。次に、周波数マッパ3により各複素シンボル(s0〜sN−1)に個別の周波数(f0,f1,・・・,fk,・・・,fN−1)が割り当てられ、さらに、デジタル信号処理回路4により、各割り当てられた周波数に対応した位相回転を与えた複素デジタル信号標本列t(v)を生成する。以上を式で表すと、
ここで、
このとき、(3)および(5)の中で位相項として示されているfk(1<k<N−1)が、この操作で与えられる周波数に対応している。上記N個の複素デジタル信号標本列(t{v0}〜t{vN−1})は、それぞれDA変換器5にて複素アナログ信号(VBB.0(t)〜VBB.N−1(t))に変換される。各DA変換器5から出力されるN個の複素アナログ信号(VBB.0(t)〜VBB.N−1(t))は、合成器16により、M個にまとめられて、合成される。例えばN=32、M=16の場合には、夫々2個の複素アナログ信号がとりまとめられ、合成される。
合成された複素アナログ信号は、直交変調ミクサ6と局発発振器7とで直交変調されたRF信号(VRF.0(t)〜VRF.M−1(t))に変換される。直交変調されたRF信号(VRF.0(t)〜VRF.M−1(t))は、RF増幅器8にてそれぞれ増幅され、アンテナ9から空中に送出される。
これにより、既存のOFDMなどのマルチキャリアを使用する無線通信システムにおいて問題となったマルチキャリア信号を1つの増幅器で増幅する必要性がなくなり、増幅器におけるPAPRが増加する問題が軽減される。
この結果、大きな飽和出力のRF増幅器が不要となり、また、PAPRの増加に伴うRF増幅器の効率低下の問題を回避できる。すなわち、小さな出力電力のRF増幅器を使用することが可能となり、かつ、そのRF増幅器を高い電力効率で使用でき、その結果 周波数利用効率を維持しつつ送信機の消費電力を低減でき、高い周波数利用効率(bit/Hz)を維持しながら、消費電力を下げ、1bitあたりの消費電力を下げられる利点がある。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態の無線通信システムは、図1の構成において、各並列複素シンボルのそれぞれに割り当てる個別の周波数を、シンボル周期Tの逆数で定義される基本周波数f0(=1/T)の整数倍でなる周波数fk=kf0(kは整数)としている点で第1の実施形態と異なっている。
この場合、行列(F−1)は逆離散フーリエ変換行列(IDFT)になり、行列(F)は離散フーリエ変換行列(DFT)になる。その結果、式(1)〜(5)は以下のように変更して表せる。
ここで、
ここで、生成されたN個の複素デジタル信号標本列(t{v0}〜t{vN−1})を標本時間ごとに加算すると既存のOFDM変調信号と同一の信号となる。このことから、本発明により生成したRF信号は、周波数利用効率が良く、マルチパスフェージングに強いなどの既存のOFDM変調信号の優れた特長を有する。
一方、本発明では、複素デジタル信号標本列(t{v0}〜t{vN−1})のそれぞれから直交変調されたRF信号(VRF.0(t)〜VRF.M−1(t))を生成し、各RF信号(VRF.0(t)〜VRF.N−1(t))をそれぞれ個別に増幅することができ、既存のOFDM変調信号で問題となった大きなPAPRの問題が軽減される。その結果、RF増幅器に大きなバックオフを持たせる必要がなく、実現が容易な低出力な増幅器を用いることができ、また、高い電力効率で動作させることができ、高い周波数利用効率(bit/Hz)を維持しながら、消費電力を下げ、1bitあたりの消費電力を下げられる利点がある。
以上のように、第2の実施形態に係る無線通信システムでは、既存のOFDM変調信号を用いた無線通信システムの優れた特長を有しながら、単一増幅器を用いる欠点である大きなPAPRによる送信機の効率低下の問題を回避できる。
(第3の実施の形態)
図2は、本発明の第3の実施の形態における無線通信システムの送信機の構成図である。
図1の構成と異なる点は、N個の直交変調ミクサ6に局発信号を供給する局発発振器を共通の局発信号を生成する単一の共通局発発振器10で構成していることである。
次に、動作について説明する。本実施の形態の無線通信システムの送信機では並列複素シンボル(S)に含まれる各複素シンボル(s0〜sN−1)のそれぞれに対して周波数マッパ3によって個別の周波数(f0,f1,・・・,fk,・・・,fN−1)が割り当てられ、さらに、デジタル信号処理回路4により各割り当てられた周波数に対応した位相回転を与えた複素デジタル信号標本列(t{v0}〜t{vN−1})を生成している。
このため、図2の各直交変調ミクサ6に供給する局発信号は、同一の周波数でよい。その結果、一つの共通局発発振器10を用いることが可能となる。局発発振器が1つでよいので小型化が可能であり、かつ、各直交変調ミクサ6に供給する局発信号間の周波数偏差を考慮する必要がないため構成が簡単になる利点がある。
(第4の実施の形態)
図3は、本発明の第4の実施の形態における無線通信システムの構成図である。図1および図2の構成と比較すると、各RF増幅器8で個別に増幅されたRF信号を合成するための複数の電力合成器11、および各電力合成器11に対応して、合成したRF信号を空中に送出する複数のアンテナ12を備えた点が異なる。
次に、動作について説明する。各RF増幅器8で個別に増幅された複数のRF信号を電力合成器11にて合成した後にアンテナ12から空中に送出することにより、使用するアンテナの削減が可能となる。図3に示した構成は、各RF増幅器8で個別に増幅されたRF信号の全てを1つの電力合成器で合成し、1つのアンテナから空中に送出する例である。他方、複数の電力合波器を用いるようにしてもよい。換言すれば、電力合成器11の個数nは、RF増幅器8の個数となる入力系統数>n≧1である。他方、信号増幅器16は、低い飽和出力電力のRF増幅器を使用できるようにRF増幅器のバックオフを考慮し、入力系統数と2以上の出力系統数を設定する必要がある。
以上のように、第4の実施形態に係る無線通信システムでは、既存のOFDM変調信号を用いた無線通信システムの優れた特長を有しながら、単一増幅器を用いる欠点である大きなPAPRによる送信機の効率低下の問題を回避でき、且つ、RF増幅器及びアンテナの個数を所望の個数まで削減できる。
(第5の実施の形態)
図4は、本発明の第5の実施の形態における無線通信システムの構成図である。図1ないし図3と比較すると、図4における無線通信システムの送信機では、デジタル信号処理回路4及び複数のDA変換器5との間にガードインターバル回路13を装荷する点が異なる。
次に、動作について説明する。ガードインターバル回路13を装荷することにより、デジタル信号処理回路4にて生成した複素デジタル信号標本列(t{v0}〜t{vN−1})のそれぞれに、適切なガードインターバル(GI)が付加される。付加したGIにより、マルチパス干渉波の影響を低減することが可能となる。
(第6の実施の形態)
図5は、本発明の第6の実施の形態における無線通信システムの構成図である。図4と比較すると、ガードインターバル回路13と複数のDA変換器5との間に、ウインドウイング処理回路14を装荷する点が異なる。図6はウインドウイング処理回路14を装荷した場合の信号の様子を示す図である。
図4に示すように、ガードインターバル回路(GI)13を付加した場合、図6に示すように、連続する信号間(図ではA点)に不連続が生じる。このような不連続が生じるとスプリアス成分が発生することになる。これに対し、図6に示すように、ウインドウイング処理回路14を設け、ランプ状(傾斜状)のウインドウイング処理を行うと不連続部分の振幅が小さくなり、滑らかになる。これにより、信号のスプリアス成分の抑制やピーク電力の削減等が可能となる。
(第7の実施の形態)
図7は、本発明の第7の実施の形態における無線通信システムの送信機の構成図である。
図示された送信機は、入力デジタル信号列t{D}を複素シンボル列に変換するシンボルマッパ1と、生成された複素シンボル列を並列複素シンボル(S)へと変換する直並列変換器2と、並列複素シンボル(S)に含まれる各複素シンボル(s0〜sN−1)のそれぞれに対して個別の周波数を割り当てる周波数マッパ3と、割り当てられた周波数に対応した位相回転を与えたそれぞれの複素デジタル信号標本列を生成するデジタル信号処理回路4と、各複素デジタル信号標本列の帯域を制限するフィルタ15と、生成した複素デジタル信号標本列のそれぞれを複素アナログ信号(VBB.0(t)〜VBB.N−1(t))へと変換するN個のDA変換器5と、それぞれのDA変換器5から出力されるN個の複素アナログ信号(VBB.0(t)〜VBB.N−1(t))を合成する合成器16と、合成された信号のそれぞれから直交変調されたRF信号(VRF.0(t)〜VRF.M−1(t))を生成する複数の直交変調ミクサ6と、各直交変調ミクサに局発信号を供給する複数の局発発振器7と、各直交変調されたRF信号(VRF.0(t)〜VRF.M−1(t))をそれぞれ増幅する複数のRF増幅器8と、増幅されたそれぞれのRF信号を空中に送出するアンテナ9とから構成されている。即ち、フィルタ15を設けた点で、第7の実施の形態に係る送信機は、第1の実施の形態に係る送信機とは異なっている。
次に、動作について説明する。
入力デジタル信号列t{D}は、シンボルマッパ1および直並列変換器2により、N個の複素シンボル(s0〜sN−1)に変換される。次に、周波数マッパ3により各複素シンボル(s0〜sN−1)に個別の周波数(f0,f1,・・・,fk,・・・,fN−1)が割り当てられ、さらに、デジタル信号処理回路4により、各割り当てられた周波数に対応した位相回転を与えて複素デジタル信号標本列(t{v0}〜t{vN−1})を生成する。このとき各複素シンボルがそれぞれ別の周波数領域に展開され、かつ個別に復調可能であるシングルキャリア信号が生成できるように位相回転がそれぞれに与えられ、その結果N個の複素デジタル信号標本列(t{v0}〜t{vN−1})が生成される。さらに各複素デジタル信号標本列(t{v0}〜t{vN−1})は、フィルタ15により帯域が制限される。このときにフィルタ15として、例えばロールオフフィルタが用いられる。さらに、フィルタリングされた各複素デジタル信号標本列(t{v0}〜t{vN−1})はそれぞれDA変換器5にて複素アナログ信号(VBB.0(t)〜VBB.N−1(t))に変換される。各DA変換器5から出力されるN個の複素アナログ信号(VBB.0(t)〜VBB.N−1(t))は、合成器16により、M個にまとめられる。例えばN=32、M=16の場合には、夫々2個の複素アナログ信号がとりまとめられる。まとめられた複素アナログ信号は、さらに直交変調ミクサ6と局発発振器7とで直交変調されたRF信号(VRF.0(t)〜VRF.M−1(t))に変換される。直交変調されたRF信号(VRF.0(t)〜VRF.M−1(t))はさらにRF増幅器8にてそれぞれ増幅され、アンテナ9から空中に送出される。
以上の動作原理から、各RF増幅器8で増幅される直交変調されたRF信号(VRF.0(t)〜VRF.M−1(t))は、シングルキャリア変調信号となっている。シングルキャリア変調としては、例えばBPSK、QPSK、8PSK、16QAM、64QAMが適用可能である。
これにより、既存のOFDMなどのマルチキャリアを使用する通信システムにおいて問題となったマルチキャリア信号を1つの増幅器で増幅をする必要性がなくなり、増幅器におけるPAPRが増加する問題が軽減される。この結果、大きな飽和出力のRF増幅器が不要となり、また、PAPRの増加に伴うRF増幅器の効率低下の問題を回避できる。すなわち、小さな出力電力のRF増幅器を使用することが可能となり、かつ、そのRF増幅器を高い電力効率で使用でき、その結果送信機の消費電力を低減できる利点がある。
また、フィルタをサブキャリアごとに使うことによって、各サブキャリアのサイドローブが低減されるため、サブキャリア間隔を狭くしても、サブキャリアをそれぞれシングルキャリア信号として扱うことができる。
(第8の実施の形態)
図8は、本発明の第8の実施の形態における無線通信システムの送信機の構成図である。図7の構成と異なる点は、N個の直交変調ミクサ6に局発信号を供給する局発発振器を単一の共通局発発振器10で構成していることである。
次に、動作について説明する。本発明の無線通信システムの送信機では各並列複素シンボルskのそれぞれに対して個別の周波数(f0,f1,・・・,fk,・・・,fN−1)が割り当てられている。
さらに、デジタル信号処理回路4により、各複素シンボルがそれぞれ固別の周波数領域に展開され、かつ個別に復調可能なシングルキャリア信号が生成可能なように位相回転が与えられ、その結果、N個の複素デジタル信号標本列(t{v0}〜t{vN−1})が生成される。このため、図8の各直交変調ミクサ6に供給する局発信号は同一の周波数でよい。その結果、一つの共通局発発振器10を用いることが可能となる。局発発振器が1つでよいので小型化が可能であり、かつ、各直交変調ミクサ6に供給する局発信号間の周波数偏差を考慮する必要がないため構成が簡単になる利点がある。
(第9の実施の形態)
図9に示された第9の実施の形態に係る送信機は、複数の複素デジタル信号標本列t{vk}を生成する機能を有する信号処理回路4’に、いずれか一つの複素デジタル信号標本列t{vk}を選択する制御部を設けている点で、図2に示された送信機と異なっている。
例えば、信号処理回路4’内に、OFDMとOFDMではないマルチキャリア通信システムに対応した複素デジタル信号標本列を出力できる機能を予め回路内に用意する。これにより、制御信号を用いて状況に応じた使い分けが可能になり、1つの無線機が2つの方式をサポートすることが実現できる。
以上説明したように、本発明における無線通信システムの送信機では、N個の複素シンボルのそれぞれに対して個別の周波数を割り当て、計M個の信号にまとめて(M<N)、さらに直交変調し、各直交変調したRF信号をそれぞれ個別に増幅するように構成する。
上記構成とすることにより、多数のサブキャリア信号を含むマルチキャリア信号を1つの増幅器で増幅をする必要がなくなり、増幅器におけるPAPRが増加する問題が軽減される。この結果、大きな飽和出力のRF増幅器が不要となり、また、PAPRの増加に伴うRF増幅器の効率低下の問題を回避できる。すなわち、小さな出力電力のRF増幅器を使用することが可能となり、かつ、そのRF増幅器を高い電力効率で使用でき、その結果 周波数利用効率を維持しつつ送信機の消費電力を著しく低減できる。
尚、以上に述べた発明の実施の形態においては、OFDM通信システムにおける信号処理回路4、信号処理回路4’と、実施の形態7や8で示したマルチキャリア通信システムにおけるフィルタ15は、デジタル回路で構成することができ、回路の有無や順序の変更が可能である。他方、RF増幅器は、直交変調器よりも後段に設けることが望ましい。このことから、複素アナログ信号をまとめる処理(合成)を、直交変調器よりも前段に設ける必要が生ずる。即ち、合成器⇒直交変調器⇒RF増幅器の順となる。
また、本発明の具体的な構成は前述の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があってもこの発明に含まれる。
この出願は、2010年1月29日に出願された日本出願特願2010−017701号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
2 直並列変換器(直並列変換手段)
3 周波数マッパ(周波数マッピング手段)
4,4’ 信号処理回路(信号処理手段)
5 DA変換器(DA変換手段)
6 直交変調ミクサ(直交変調手段の一部)
7 局発発振器(直交変調手段の一部)
8 RF増幅器(RF増幅手段)
9,12 アンテナ
10 共通局発発振器(共通局発発振手段)
11 電力合成器(電力合成手段)
13 ガードインターバル回路(ガードインターバル生成手段)
14 ウインドウ処理回路(ウインドウ処理手段)
15 フィルタ(フィルタ手段)
16 信号合成器(信号合成手段)
100 シンボルマッパ
101 直並列変換器
102 周波数マッパ
103 逆離散フーリエ変換器
104 並直列変換器
105 ガードインターバル回路
106 DA変換器
107 直交変調ミクサ
108 局発発振器
109 RF増幅器
111 アンテナ
Claims (22)
- 入力デジタル信号列を直並列変換してN個(Nは正整数)のDA変換器に入力することで 当該N個のDA変換器から得られた夫々の複素アナログ信号を、まとめて後段のRF増幅器の台数と同数のM個(MはNより小さい2以上の正整数)の複素アナログ信号に合成して出力する信号合成器と、
前記信号合成器によって後段の前記RF増幅器の台数に合わせてM数にまとめられて出力された複素アナログ信号を、直交変調されたRF信号に変調するM個の直交変調ミクサと、
前記M個の直交変調ミクサによって直交変調されたM個のRF信号を、個別にサブキャリアの周波数に対応させて増幅するM個の前記RF増幅器と
を備える直交周波数分割多重通信を行なう送信機を有することを特徴とする無線通信システム。 - 請求項1記載の無線通信システムにおいて、
直並列変換によって得られる各並列複素シンボルの夫々に対して割り当てる個別の周波数を、シンボル周期Tの逆数で定義される基本周波数f0(=1/T)の整数倍でなる周波数fk=kf0(kは整数)とする信号処理回路
を有することを特徴とする無線通信システム。 - 請求項2に記載の無線通信システムにおいて、
前記M個の直交変調ミクサにより、並列複素シンボルを位相回転させて相互に直交させた複素デジタル信号標本列をアナログ変換するとともに、所定数にまとめた複素アナログ信号を、共通の局発信号を使用して夫々のRF信号に変調することを特徴とする無線通信システム。 - 請求項2又は3に記載の無線通信システムにおいて、
前記各RF増幅器で増幅されたRF信号の一部または全てを合成する少なくとも1つの電力合成器を備えることを特徴とする無線通信システム。 - 請求項2ないし4の何れか一項に記載の無線通信システムにおいて、
前記信号処理回路と前記N個のDA変換器との間に、各複素デジタル信号標本列のそれぞれに対してガードインターバルを与えるガードインターバル回路を備えることを特徴とする無線通信システム。 - 請求項5記載の無線通信システムにおいて、
前記ガードインターバル回路と前記N個のDA変換器との間に、各複素デジタル信号標本列のそれぞれに対してウインドウイング処理を行うウインドウイング処理回路を備えることを特徴とする無線通信システム。 - 請求項1ないし6の何れか一項に記載の無線通信システムにおいて、
入力デジタル信号列を直並列変換した後にであって前記N個のDA変換器に入力する前に帯域を制限するフィルタを備えることを特徴とする無線通信システム。 - 請求項2ないし7の何れか一項に記載の無線通信システムにおいて、
前記信号処理回路は、
複数の異なる方式に対応する複数種類の複素デジタル信号標本列をそれぞれ生成できると共に、
入力された制御信号に基づいて、前記複数種類の複素デジタル信号標本列の中から、選択された複素デジタル信号標本列を生成する
ことを特徴とする無線通信システム。 - 入力デジタル信号列を複素シンボル列に変換するシンボルマッパと、
生成された複素シンボルの列をN個の並列複素シンボル(Nは正整数)へと変換する直並列変換器と、
前記N個の並列複素シンボルのそれぞれに対してN種類の個別の周波数を割り当てる周波数マッパと、
前記周波数を割り当てられたN個の並列複素シンボルそれぞれに対して、割り当てられた周波数に対応して位相回転を与えてN個の複素デジタル信号標本列を生成するデジタル信号処理回路と、
生成して位相回転を与えられた前記N個の複素デジタル信号標本列のそれぞれを、複素アナログ信号へと変換するN個のDA変換器と、
前記N個のDA変換器で変換されたN個の複素アナログ信号を、M個(MはNより小さい2以上の正整数)にまとめる信号合成器と、
M個にまとめられた信号から実数の直交変調されたM個のRF信号を生成するM個の直交変調ミクサと、
前記M個の直交変調ミクサに供給する局発信号を与える局発発振器と、
直交変調された前記M個のRF信号のそれぞれを個別に増幅するM個のRF増幅器と、
増幅されたそれぞれのRF信号を空中に送出するアンテナと
を備えて構成された送信機を有することを特徴とする無線通信システム。 - 入力デジタル信号列を直並列変換してN個(Nは正整数)のDA変換器に入力することによって得られた夫々の複素アナログ信号を、まとめてM数(MはNより小さい2以上の正整数)の複素アナログ信号に合成する信号合成器と、
前記信号合成器によってまとめられて出力された複素アナログ信号を、直交変調されたRF信号に変調するM個の直交変調ミクサと、
前記M個の直交変調ミクサによって直交変調されたM個のRF信号を、個別にサブキャリアの周波数に対応させて増幅するM個のRF増幅器と
を備える直交周波数分割多重通信を行なう送信機。 - 請求項10記載の送信機において、
直並列変換によって得られる各並列複素シンボルの夫々に対して割り当てる個別の周波数を、シンボル周期Tの逆数で定義される基本周波数f0(=1/T)の整数倍でなる周波数fk=kf0(kは整数)とする信号処理回路
を有することを特徴とする送信機。 - 請求項11に記載の送信機において、
前記M個の直交変調ミクサで用いられる共通の局発信号を生成する共通局発発振器を有することを特徴とする送信機。 - 請求項11又は12に記載の送信機において、
前記各RF増幅器で増幅されたRF信号の一部または全てを合成する少なくとも1つの電力合成器を備えることを特徴とする送信機。 - 請求項11ないし13の何れか一項に記載の送信機において、
前記信号処理回路と前記N個のDA変換器との間に、各複素デジタル信号標本列のそれぞれに対してガードインターバルを与えるガードインターバル生成回路を備えることを特徴とする送信機。 - 請求項14記載の送信機において、
前記ガードインターバル生成回路と前記N個のDA変換器との間に、各複素デジタル信号標本列のそれぞれに対してウインドウイング処理を行うウインドウイング処理回路を備えることを特徴とする送信機。 - 請求項10ないし15の何れか一項に記載の送信機において、
入力デジタル信号列を直並列変換した後にであって前記N個のDA変換器に入力する前に帯域を制限するフィルタを備えることを特徴とする送信機。 - 請求項11ないし16の何れか一項に記載の送信機において、
前記信号処理回路は、
複数の異なる方式に対応する複数種類の複素デジタル信号標本列をそれぞれ生成できると共に、
入力された制御信号に基づいて、前記複数種類の複素デジタル信号標本列の中から、選択された複素デジタル信号標本列を生成する
ことを特徴とする送信機。 - 入力デジタル信号列をシンボル変換、直並列変換およびアナログ変換を行い得られた夫々の複素アナログ信号を、まとめて後段の2以上の個々に独立したRF増幅器の台数と同数の信号数に成るように合成し、
合成されたそれぞれの信号を、複数の直交変調ミクサを用いて、直交変調された複数のRF信号に変調し、
前記複数のRF信号の夫々を、複数のRF増幅器を用いて、個別にサブキャリアの周波数に対応させて増幅し、
前記独立して個別に増幅した夫々のRF信号を、アンテナを用いて空中に送出する
ことを特徴とする直交周波数分割多重通信用無線機によるマルチキャリア通信方法。 - 請求項18記載のマルチキャリア通信方法において、
直並列変換によって得られる各並列複素シンボルの夫々に対して割り当てる個別の周波数を、シンボル周期Tの逆数で定義される基本周波数f0(=1/T)の整数倍でなる周波数fk=kf0(kは整数)とする
ことを特徴とするマルチキャリア通信方法。 - 請求項18または19に記載のマルチキャリア通信方法において、
シンボル変換および直並列変換により、相互に直交させた複素デジタル信号標本列をアナログ変換および合成して得た夫々の複素アナログ信号を、共通の局発信号を使用して夫々のRF信号に変調する
ことを特徴とするマルチキャリア通信方法。 - 請求項18ないし20の何れか一項に記載のマルチキャリア通信方法において、
直並列変換後アナログ変換前に、サブキャリアの周波数帯域に基づくフィルタ処理を行うと共に、
アナログ変換前に、各複素デジタル信号標本列のそれぞれに対してガードインターバルを加え、
前記ガードインターバルを加えた各複素デジタル信号標本列のそれぞれに対してウインドウイング処理を加え、
且つ、前記複数のRF増幅器で増幅されたRF信号の一部または全てを電力合成し、
合成したRF信号を、アンテナを用いて空中に送出する
ことを特徴とするマルチキャリア通信方法。 - 請求項18ないし21の何れか一項に記載のマルチキャリア通信方法において、
直並列変換により、相互に直交する並列デジタル信号を生成する複数種類の方式に対応すると共に、
入力される制御信号に従って、相互に直交する並列デジタル信号を生成する複数種類の方式の中からいずれか一つを選択する制御部を備え、
前記制御部に入力される前記制御信号に基づいて、選択された並列デジタル信号を生成し、
当該直交している並列デジタル信号を、夫々アナログ変換、信号合成、RF信号への変調、および 個別に増幅し、
アンテナを用いて空中に送出する
ことを特徴とするマルチキャリア通信方法。
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