JP5798871B2 - イソプレンの製造方法 - Google Patents
イソプレンの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5798871B2 JP5798871B2 JP2011218108A JP2011218108A JP5798871B2 JP 5798871 B2 JP5798871 B2 JP 5798871B2 JP 2011218108 A JP2011218108 A JP 2011218108A JP 2011218108 A JP2011218108 A JP 2011218108A JP 5798871 B2 JP5798871 B2 JP 5798871B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- methyl
- butanediol
- reaction
- water
- isoprene
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Description
そこで、本発明の課題は、安定的に高選択率でイソプレンを製造する方法を提供することにある。
即ち、本発明は、下記[1]〜[4]を提供するものである。
[1]酸性触媒の存在下、反応圧力0.4〜1.6MPaおよび反応温度155〜205℃にて、少なくとも3−メチル−1,3−ブタンジオールと水を反応器へ連続的または断続的に供給することによって3−メチル−1,3−ブタンジオールを脱水反応させ、かつ生成したイソプレンおよび水を連続的または断続的に反応系外へ取り出すことを特徴とする、イソプレンの製造方法。
[2]前記酸性触媒として燐酸水溶液を用いる、上記[1]に記載のイソプレンの製造方法。
[3]前記燐酸水溶液の燐酸濃度が0.2〜10質量%である、上記[2]に記載のイソプレンの製造方法。
[4]3−メチル−1,3−ブタンジオールの供給速度(モル/時)に対する水の供給速度(モル/時)の比率[水/3−メチル−1,3−ブタンジオール]が0.8〜12である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のイソプレンの製造方法。
(酸性触媒)
酸性触媒としては、燐酸、シュウ酸、硫酸、塩酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸などが挙げられる。これらの中でも、イソプレンの選択率の観点から、燐酸が好ましい。
酸性触媒は、適宜、水溶液として使用することができ、反応系内に高沸点副生成物が発生することを抑制する観点から、水溶液として使用することが好ましい。水溶液とした場合の酸性触媒の濃度は、好ましくは0.2〜10質量%、より好ましくは0.4〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%、さらに好ましくは0.5〜4質量%である。水溶液中の酸性触媒の濃度がこの範囲であれば、高沸点副生成物の生成が抑制され、イソプレンの選択率を高くすることができるとともに、3−メチル−1,3−ブタンジオールの転化率を高く維持することができる。なお、酸性触媒水溶液は、通常、反応開始前に反応器へ仕込んでおくことが好ましく、その時の酸性触媒水溶液の酸性触媒濃度が前記範囲であることが好ましい。
原料である3−メチル−1,3−ブタンジオールは工業的に容易に入手可能であり、また容易に製造可能である。例えば、イソブチレンとホルマリンとをプリンス反応させることによって3−メチル−1,3−ブタンジオールを製造することができる。当該プリンス反応の際の副生成物や未反応原料は、3−メチル−1,3−ブタンジオールから分離することなく、3−メチル−1,3−ブタンジオールに混入した状態であってもよい。原料である3−メチル−1,3−ブタンジオールに混入していてもよい化合物としては、具体的には、メタノール、tert−ブチルアルコール、4,4−ジメチル−1,3−ジオキサン、ホルムアルデヒド、3−メチル−3−ブテン−1−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、メチルイソプロピルケトン、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、1,3−ジメトキシ−3−メチルブタンなどが挙げられる。このような混入していてもよい化合物の混入量は、3−メチル−1,3−ブタンジオール100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下である。
以下、特に断りがなくても、「3−メチル−1,3−ブタンジオール」は、前記混入していてもよい化合物が混入した3−メチル−1,3−ブタンジオールをも含む。
また、3−メチル−1,3−ブタンジオールの反応器への供給速度は、転化率の観点から、反応器内の酸性触媒水溶液100質量部に対して、好ましくは10〜70質量部/時、より好ましくは15〜60質量部/時、より好ましくは15〜50質量部/時である。
本発明では、3−メチル−1,3−ブタンジオールと共に水を反応器へ供給することによって、反応系内の酸性触媒の濃度の変動を抑制し、同時に、反応系内の圧力を一定値に維持し易くする。反応器への水の供給速度は、工業的に安定して生産する観点から、3−メチル−1,3−ブタンジオールの供給速度に対して一定範囲の比率になるよう調整することが好ましい。この観点から、3−メチル−1,3−ブタンジオールの供給速度(モル/時)に対する水の供給速度(モル/時)の比率[水/3−メチル−1,3−ブタンジオール]は、好ましくは0.8〜12、より好ましくは0.8〜10、より好ましくは0.9〜9、さらに好ましくは1〜9、特に好ましくは2〜9である。
使用する水としては特に制限は無く、例えばイオン交換水や蒸留水を好適に用いることができる。また、反応で生成する水を回収して用いてもよい。
本発明では、反応圧力を0.4〜1.6MPaにすることで、反応温度を上記高温状態に保持する。この観点から、反応圧力は、好ましくは0.5〜1.4MPa、より好ましくは0.5〜1.2MPa、さらに好ましくは0.5〜1MPaである。反応圧力が0.4MPa未満であると、反応温度を155℃以上にすることが困難となる。
反応は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下に実施することが好ましく、不活性ガスによってある程度反応系内を加圧しておくことが好ましい。反応が始まると、生成したイソプレンおよび水の影響により反応器内の圧力が高まり続ける。そこで、適宜、ガスを放出することによって、反応圧力が前記範囲内になるように調整する。
3−メチル−1,3−ブタンジオールと水は、反応圧力および反応成績を安定させる観点から、好ましくは前記所定比率にて反応器へ連続的に供給し、かつ、生成したイソプレンおよび水を連続的に反応系外へ留出させることが好ましい。なお、水としては、i)酸性触媒水溶液の水、ii)脱水反応によって生じる水、iii)3−メチル−1,3−ブタンジオールと共に反応器へ供給する水、そしてiv)反応器から留出させる水があるが、反応成績を安定化させる観点から、反応系内の水の量が常時ほぼ一定となるように反応を実施することが好ましい。
反応開始時は、反応器内の圧力が所定値になるまで反応系内を密閉しておき、目的の圧力になった時点で、その圧力を保持するようにガス(窒素、イソプレンおよび水蒸気を含有するガス)を反応系外へ放出して調整することにより、反応器内の圧力を所定値に保持することができる。
反応器から留出するイソプレンおよび水の合計留出速度(但し、留出後に冷却して得られる液体状のものに換算した値。)は、反応器へ供給する3−メチル−1,3−ブタンジオールと水の合計供給速度の0.8〜1.2倍質量であることが好ましく、0.9〜1.1倍質量であることがより好ましい。
なお、各例において、ガスクロマトグラフィー分析は以下の条件にて実施した。
[ガスクロマトグラフィー分析条件]
分析機器:GC14A(株式会社島津製作所製)
検出器:FID(水素炎イオン化型検出器)
使用カラム:DB−1(30m,膜厚5μm)(J&W Scientific社製)
分析条件:注入口温度:280℃、検出器温度:280℃
昇温条件:40℃(10分保持)→(5℃/分で昇温)→250℃(4分保持)
ハステロイ製の500mLオートクレーブに2.8質量%リン酸水溶液300gを入れ、オートクレーブ内を窒素置換した後に、窒素にて0.7MPaに加圧し、加熱と撹拌(1000回/分)を開始した。内温が180℃になったところで、3−メチル−1,3−ブタンジオールと水の混合液[1:8.8(モル比)]を174g/時にてオートクレーブ内へ供給した。
内圧が0.92MPaになったところで、当該圧力を保つようにオートクレーブ内のガスの放出を開始した。放出されたガスは、オートクレーブに付属しているコンデンサで連続的に冷却して反応生成物を凝集し、該反応生成物をタンクに受け入れながら、4時間連続で運転を行った。
タンク内の有機層および反応器内の反応液をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、3−メチル−1,3−ブタンジオールの転化率は100%、イソプレンの選択率は92.4%であった。また、副生成物である3−メチル−3−ブテン−1−オールの選択率は0.7%、メチルイソプロピルケトンの選択率は0.6%であった。結果を表1に示す。
実施例1において、燐酸濃度、反応温度、反応圧力、3−メチル−1,3−ブタンジオールと水との混合比率、3−メチル−1,3−ブタンジオールおよび水の供給速度を表1に示すとおりに変更したこと以外は同様に操作を行なった。結果を表1に示す。
*1:3−メチル−1,3−ブタンジオールと水の混合液
*2:MBD=3−メチル−1,3−ブタンジオール
実施例3において、原料を、92質量%の3−メチル−1,3−ブタンジオール、3質量%の3−メチル−3−ブテン−1−オール、3質量%の1,3−ジメトキシ−3−メチルブタンおよび2質量%の3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールの混合液に変更し、3−メチル−1,3−ブタンジオールと水の混合比率を1:3(モル比)とし、105g/時でオートクレーブ内へ供給したこと以外は同様に操作を行った。
その結果、原料の転化率は100%、イソプレンの選択率は92.1%であった。副生成物であるメチルイソプロピルケトンの選択率は0.8%であった。
実施例3において、原料を、イソブチレンとホルマリンとをプリンス反応させることによって得られた3−メチル−1,3−ブタンジオールを50質量%含有する反応混合液に変更し、3−メチル−1,3−ブタンジオールと水の混合比率を1:6(モル比)とし、105g/時でオートクレーブ内へ供給したこと以外は同様に操作を行った。
その結果、原料の転化率は100%、イソプレンの選択率は89.0%であった。副生成物であるメチルイソプロピルケトンの選択率は2.7%であった。
Claims (3)
- 燐酸水溶液の存在下、反応圧力0.4〜1.6MPaおよび反応温度155〜205℃にて、少なくとも3−メチル−1,3−ブタンジオールと水を反応器へ連続的または断続的に供給することによって3−メチル−1,3−ブタンジオールを脱水反応させ、かつ生成したイソプレンおよび水を連続的または断続的に反応系外へ取り出すことを特徴とする、イソプレンの製造方法。
- 前記燐酸水溶液の燐酸濃度が0.2〜10質量%である、請求項1に記載のイソプレンの製造方法。
- 3−メチル−1,3−ブタンジオールの供給速度(モル/時)に対する水の供給速度(モル/時)の比率[水/3−メチル−1,3−ブタンジオール]が0.8〜12である、請求項1又は2に記載のイソプレンの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011218108A JP5798871B2 (ja) | 2011-09-30 | 2011-09-30 | イソプレンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011218108A JP5798871B2 (ja) | 2011-09-30 | 2011-09-30 | イソプレンの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013075877A JP2013075877A (ja) | 2013-04-25 |
JP5798871B2 true JP5798871B2 (ja) | 2015-10-21 |
Family
ID=48479639
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011218108A Active JP5798871B2 (ja) | 2011-09-30 | 2011-09-30 | イソプレンの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5798871B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107614464A (zh) * | 2015-06-03 | 2018-01-19 | 株式会社可乐丽 | 共轭二烯的制造方法 |
KR102338451B1 (ko) * | 2016-05-06 | 2021-12-10 | 주식회사 쿠라레 | 공액 디엔의 제조 방법 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5833205B2 (ja) * | 1978-06-15 | 1983-07-18 | 株式会社クラレ | 共役ジエンの製造方法 |
JPS6059886B2 (ja) * | 1979-12-04 | 1985-12-27 | 株式会社クラレ | イソプレンの製造方法 |
JPH0635406B2 (ja) * | 1988-10-26 | 1994-05-11 | 株式会社クラレ | ホモアリルアルコール類の製造方法 |
RU2128635C1 (ru) * | 1997-03-17 | 1999-04-10 | Шапиро Арон Лейбович | Способ получения изопрена |
-
2011
- 2011-09-30 JP JP2011218108A patent/JP5798871B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013075877A (ja) | 2013-04-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2751056B1 (en) | A process for the production of olefins and use thereof | |
JP4902988B2 (ja) | ビシナルなアルカンジオール及びアルカントリオールの製造方法及びその使用 | |
EP3763696B1 (en) | Production method for gamma, delta-unsaturated alcohols | |
JP6687281B2 (ja) | 共役ジエンの製造方法 | |
TWI362377B (en) | Acetic anhydride and acetate ester co-production | |
JP7043427B2 (ja) | γ,δ-不飽和アルコールの製造方法 | |
JP5798871B2 (ja) | イソプレンの製造方法 | |
EP3015446B1 (en) | Method for producing allyl alcohol and allyl alcohol produced thereby | |
JP5111782B2 (ja) | 1,2−二置換イミダゾールの製造方法 | |
JP7447806B2 (ja) | N-ビニルカルボン酸アミド製造用組成物 | |
CN108238875B (zh) | 一种溴代异丁烯基甲醚的合成方法及其在c14醛的制备中的应用 | |
KR101433232B1 (ko) | 3-메틸-3-부텐-1-올의 제조 방법 | |
JP6226439B2 (ja) | 2−アルキル−3−ブチン−2−オールの製造方法 | |
JPWO2018180610A1 (ja) | α,α−ジフルオロアセトアルデヒドヘミアセタールの製造方法 | |
WO2019107078A1 (ja) | ケトール化合物の製造方法。 | |
WO2014061470A1 (ja) | N,n-ジアルキルホモファルネシル酸アミドの製造方法 | |
US9580397B2 (en) | Process and apparatus for producing divinylarene dioxide | |
JPS6315249B2 (ja) | ||
KR20120035368A (ko) | α,β-불포화 알데히드의 제조방법 | |
JP2021024819A (ja) | トリメチロールプロパン環状ホルマールの製造方法 | |
JPS6243973B2 (ja) | ||
JPH0320367B2 (ja) | ||
JPS5953248B2 (ja) | 2−メチル−3−ブテン−2−オ−ルの製造方法 | |
JP2015040192A (ja) | シクロヘキサノンの製造方法及びその装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140319 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20141203 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20141209 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150130 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150602 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150709 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150811 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150824 |
|
R150 | Certificate of patent (=grant) or registration of utility model |
Ref document number: 5798871 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |