JP5798809B2 - 高圧ホース - Google Patents
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Description
この種の高圧ホースとしては、内管チュ−ブの表面に金属製ワイヤをスパイラル(螺旋)状に或いは格子状に巻き付けてなる金属製ワイヤ補強層を、ワイヤの巻き付けの方向を交互に変更させながら積層して構成した積層補強層を有するものが知られている。このように金属製ワイヤ補強層を複数積層して積層補強層とすることで、より耐久性を向上させた高圧ホースを得ることができる。
ここで、一般にワイヤ補強層を構成する金属製ワイヤには横断面形状が円形である線材が採用されるので、最内ワイヤ補強層を構成するワイヤと、その外側(内側から2層目)のワイヤ補強層を構成するワイヤとは、交差(クロス)する部分において半径方向内外(上下)に互いに点接触する。そのため、高圧ホースには、クロス部分に応力が集中して、この部分を起点として特に最内ワイヤ補強層のワイヤが破壊(破断)し易いという不都合があった。
よって、本発明の目的は、ホースの柔軟性を損なうことなく耐久性能を向上させた高圧ホースを提供することである。
前記内管チューブに最も近い内側に配置された第1の金属製ワイヤ補強層の外側に、該第1の金属製ワイヤ補強層に接して第2の金属製ワイヤ補強層が配置されており、
前記第1の金属製ワイヤ補強層を構成する第1のワイヤのビッカース硬さが、前記第2の金属製ワイヤ補強層を構成する第2のワイヤのビッカース硬さよりも大きくしてある、ことを特徴とする高圧ホースにより達成できる。
本発明は、内管チューブの外周面に金属製ワイヤ補強層を複数積層してなる積層補強層を設けた高圧ホースにおいて、内管チューブに最も近い、積層補強層の半径方向最内側に配置された第1のワイヤ補強層を構成するワイヤ(第1のワイヤ)が疲労し易いという点を克服するため、次のような構造の積層補強層に変更して前述した技術的な課題を解消するように改良したものである。なお、本発明に係る高圧ホースにあっては、金属製ワイヤ補強層の積層数には特に限定はなく、例えば2〜10層の金属製ワイヤ補強層を積層しても良い。更に、本発明に係る高圧ホースにあっては、金属製ワイヤ補強層を構成するワイヤの巻き付け方に特に限定はなく、ワイヤは、スパイラル(螺旋)状に巻き付けても良いし、ブレード(格子)状に巻き付けても良い。
ここで、第1の金属製ワイヤ補強層12aを構成する第1のワイヤ12a−wのビッカース硬さ(HV)は、第2の金属製ワイヤ補強層12bを構成する第2のワイヤ12b−wのビッカース硬さ(HV)よりも大きくしてある。これにより、高圧ホース1の横断面視にて、第1のワイヤ12a−wと、第2のワイヤ12b−wとが面接触する。即ち、例えば圧力40MPa以上で液体や気体を圧送する際に、第1のワイヤ12a−wが半径方向外側に位置する第2のワイヤ12b−wに食い込むような状態を形成して、第1のワイヤ12a−wの破断を防止する。より具体的には、相対的に硬めとした第1のワイヤ12a−wを、相対的に軟らかめである第2のワイヤ12b−wに当接させることで、第2のワイヤ12b−w側の変形を促して第1のワイヤ12a−wを広く面状で受ける状態とし(即ち、第1のワイヤ12a−wと第2のワイヤ12b−wとを面接触させ)、第1のワイヤ12a−wが内管チューブ11から受ける応力を第2のワイヤ12b−w側へ効果的に分散させて第1のワイヤ12a−wの疲労破断の発生を抑制する。
なお、本発明に係る高圧ホース1は、用いるワイヤを太くしてワイヤの剛性を高めて疲労破断を防止するのではなく、第1のワイヤ12a−wを外側の第2のワイヤ12b−wに敢えて食い込ませるような構成を採用するので、剛性が高くなり過ぎて取り扱い性を悪化させるような不都合を招来することなしにホースの耐久性を向上できる。即ち、このような構成を採用すると、高圧ホースの横断面視にて、第1のワイヤと第2のワイヤとが接触する部分を単なる点ではなく面状として、第1層(最内ワイヤ補強層)が受ける応力を外側(背後)の第2層にも効率的に分散して、第1のワイヤ12a−wの破断を抑制できる。
そして、第1のワイヤ12a−wのビッカース硬さをHV1、第2のワイヤ12b−wのビッカース硬さをHV2としたときに、HV1−HV2>20とするのが好ましく、HV1−HV2≧40とするのが更に好ましい。
このような範囲とするのが好ましいのは、ビッカース硬さの差(HV1−HV2)を大きくすれば、第2のワイヤ12b−wの変形を更に促して第1のワイヤ12a−wを広く面状で受ける状態とし得るからである。即ち、第1のワイヤ12a−wが内管チューブ11から受ける応力を第2のワイヤ12b−w側へ更に効果的に分散させて、第1のワイヤ12a−wの疲労破断の発生を更に抑制することができるからである。
具体的には、第1のワイヤ12a−wの引張強度を2800MPa以上、好ましくは3000MPa以上とすることで、高圧ホースの耐圧強度を高めることができる。なお、一般にこれら高引張強度のワイヤは、延性が低下して側面から加わる応力に対してもろくなる傾向があるため、高引張強度のワイヤを用いた高圧ホースではワイヤの引張強度相応の製品耐圧性能が得られ難いが、本発明に係る高圧ホースでは、応力分散効果により、期待された耐圧性能を十分発揮することができる。
また、第1のワイヤ12a−wの炭素含有量を0.80質量%以上とすることで、ワイヤの延性を向上させ、期待された耐圧性能を十分に発揮することができる。
さらには、本発明に係る高圧ホース1では、第1のワイヤ12a−wの引張強度が、第2のワイヤ12b−wの引張強度以上に設定してあるのが望ましい。
下記表1に示す条件で本願発明に係る実施例1〜3の高圧ホースを作製した。また、比較のため条件を変更して比較例1〜3の高圧ホースを作製した。そして、各ホースの性能を評価した。
具体的には、内管チューブとして、NBRをベースとした配合物(コンパウンド)からなるチューブ(内径:25mm、外径:28mm)を準備して、この内管チューブの外表面に表1に示す諸元の2層の金属製ワイヤ補強層からなる積層補強層を設けて高圧ホースとし、ホース性能を評価した。
なお、各金属製ワイヤ補強層を構成するワイヤの材質は高炭素鋼線とし、この炭素鋼線の炭素含有量は下記表1の通りである。
また、ホースの破壊圧(MPa)は、JIS K6330−2に準拠して測定し、ワイヤのビッカース硬さは、JIS Z2244に準拠し、試験力0.04903Nで測定した。
更に、第1の金属製ワイヤ補強層と第2の金属製ワイヤ補強層のワイヤ総横断面積(S1×T1+S2×T2)は、ホースの曲げ硬さに対応する。そして、ホース破壊圧をワイヤ総断面積で除した、破壊圧/(S1×T1+S2×T2)は、作製したホースの耐圧性能対比の柔軟性を示す指針となるものであり、大きいほど耐圧性に比して柔軟性に優れる。
なお、この値が4.1以上を合格とした。
11 内管チューブ
12 積層補強層
12a 第1の金属製ワイヤ補強層
12b 第2の金属製ワイヤ補強層
12a−w 第1のワイヤ
12b−w 第2のワイヤ
13 外皮
Claims (2)
- 内管チューブの表面に金属製ワイヤ補強層を複数積層してなる積層補強層を設けた高圧ホースであって、
前記内管チューブに最も近い内側に配置された第1の金属製ワイヤ補強層の外側に、該第1の金属製ワイヤ補強層に接して第2の金属製ワイヤ補強層が配置されており、
前記第1の金属製ワイヤ補強層を構成する第1のワイヤのビッカース硬さが、前記第2の金属製ワイヤ補強層を構成する第2のワイヤのビッカース硬さよりも大きくしてある、ことを特徴とする高圧ホース。 - 前記第1のワイヤのビッカース硬さをHV1、前記第2のワイヤのビッカース硬さをHV2としたときに、HV1−HV2>20である、ことを特徴とする請求項1に記載の高圧ホース。
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