JP3287196B2 - 高圧ホース及びその製造方法 - Google Patents

高圧ホース及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高圧ホースとその
製造方法に係り、特に、インパルス耐久性に優れた高圧
ホースとその有利な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、油圧回路等の高圧の作用する
流体通路を構成すべく、高圧ホースが用いられてきてい
る。そして、一般に、そのような高圧ホースは、内部を
流通せしめられる流体の高圧作用に耐え得るように、ス
チールワイヤの如き金属線材を編組して構成される補強
層を間にして、ゴム材料等からなる一層若しくは複数層
のホース内側層とホース外側層とが一体的に設けられて
なる構造とされている。また、かかる金属線材からなる
補強層が、複数層において設けられる場合にあっては、
それら補強層の間に、ゴム材料等からなる中間層が介在
せしめられるようになっている。
【0003】ところで、そのような高圧ホースの性能に
関し、その重要評価項目としては、破裂圧力の他、衝撃
圧力に対する耐久性、所謂インパルス耐久性があり、そ
れらの改善が、ホース性能の向上の大きなポイントとな
っているのであるが、その中で、インパルス耐久性は、
同一製造ロット内で評価しても、ホース個々にバラツキ
が認められている。これは、補強層を構成する金属線材
における編組状態のバラツキもさることながら、かかる
金属線材自体の疲労強度に大きな原因があると考えられ
る。
【0004】そこで、本発明者等が、高圧ホースの補強
層用金属線材の疲労強度について調査すべく、かかる金
属線材として一般に用いられるスチールワイヤについ
て、種々の実験、検討を行なったところ、スチールワイ
ヤの長さ方向に、硬さのバラツキが存在し、その中の軟
弱部(低硬さ域)において、疲労破壊が優先的に生ぜし
められることが、確認された。
【0005】従って、このことから、従来の高圧ホース
にあっては、その補強層を構成する金属線材中の軟弱部
の存在によって、金属線材自体、ひいては補強層の疲労
強度が極めて低いものとなっており、またそれによっ
て、高圧ホースのインパルス耐久性が著しく損なわれて
いることが、明らかとなったのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ここにおいて、本発明
は、上述の如き事情に鑑みて為されたものであって、そ
の解決課題とするところは、補強層を構成する金属線材
に部分的に存在する軟弱部の解消を図り、以てインパル
ス耐久性を有利に向上せしめ得るようにした高圧ホース
の改良された構造を提供することにある。また、本発明
にあっては、そのような優れた特徴を有する高圧ホース
を有利に製造し得る方法を提供することをも、その課題
とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】そして、本発明にあって
は、かかる課題の解決のために、金属線材を編組して構
成される少なくとも一つの補強層がホース内側層の外側
に位置するように設けられてなる構造を有する高圧ホー
スにおいて、該補強層を構成する金属線材として、予備
引張力を加えることにより、該金属線材中に部分的に存
在する軟弱部を加工硬化せしめた引張処理金属線材を用
いてなることを、その要旨とするものである。
【0008】なお、そのような本発明に従う高圧ホース
の好ましい態様の一つによれば、前記引張処理金属線材
として、長さ方向の硬さ分布をワイブル分布で整理して
得られる硬さ下限界値が200HV以上のものが、有利
に用いられることとなる。
【0009】また、本発明にあっては、金属線材を編組
して構成される少なくとも一つの補強層がホース内側層
の外側に位置するように設けられてなる構造の高圧ホー
スを製造する方法において、前記金属線材として、予備
引張力を加えることにより、該金属線材中に部分的に存
在する軟弱部を加工硬化せしめてなる引張処理金属線材
を用い、この引張処理金属線材を編組して、予め成形さ
れた前記ホース内側層の外側に、前記補強層を積層、形
成せしめることをも、その要旨とするものである。
【0010】そして、そのような本発明に従う高圧ホー
スの製造方法の望ましい態様の一つによれば、前記金属
線材に対して、該金属線材の引張強度の50%以上の大
きさの予備引張力が加えられることとなる。
【0011】ところで、前述の如く、本発明の完成に際
して、本発明者等は、先ず、高圧ホースの補強層の編組
に用いられている高強度金属線材として代表的なスチー
ルワイヤの疲労強度について調査すべく、かかるスチー
ルワイヤの疲労試験を行なった。その結果、スチールワ
イヤの疲労強度が、その引張強度から予測される予想疲
労限度よりも遙に低い値を示すことが明らかとなったの
である。なお、この疲労試験は、上述の如き高強度金属
線材の疲労強度を評価する際に、一般に行なわれている
曲げ疲労試験とは異なり、供試材たるスチールワイヤ
(φ0.32×300mm)を所定の周波数(15〜30
Hz)で加振することにより、該スチールワイヤに対して
軸荷重(引張力)を間欠的に加える軸荷重疲労試験によ
って、実施したものである。
【0012】また、上記疲労試験の供試材たるスチール
ワイヤの深さ方向と長さ方向の硬さ分布を把握するため
に、その横断面において、深さ方向に50μm毎に、ま
た縦断面において、長さ方向に50μm間隔で、ビッカ
ース硬さ(測定荷重25g)を、それぞれ測定した。そ
の結果、深さ方向は、その測定位置に拘わらず、略同様
な硬さとなっているものの、長さ方向には、非常に大き
な硬さのバラツキが存在することが、確認された。しか
も、それらバラツキの大きな長さ方向の硬さ分布を、ワ
イブル分布で整理して得られる硬さ下限界値、即ち、か
かる硬さ分布を三母数ワイブルで近似し、その位置母数
から推定される、スチールワイヤの長さ方向(縦断面
上)の最低硬さが、各スチールワイヤ間で多少の差はあ
るものの、概ね100〜200HVとなっており、これ
は、前記疲労試験によって破断されたスチールワイヤの
破面のビッカース硬さを実際に測定した値と、略一致し
ていることが認められるのである。
【0013】そして、これらの結果から、スチールワイ
ヤ等、高圧ホース等の補強層の構成材料として使用され
る金属線材にあっては、疲労強度が、その引張強度に比
して極めて低いものとなっており、また、その原因が、
かかる金属線材中に軟弱部(低硬さ域)が部分的に存在
し、その軟弱部が疲労破壊起点となって疲労破壊が生ぜ
しめられるため、換言すれば、金属線材中に部分的に存
在する軟弱部によって疲労強度が決定(支配)されるた
めであることが、明らかとなったのである。
【0014】かかる状況下、本発明者等は、金属線材の
製造工程における伸線加工時において、不可避的に生ず
る引き抜きムラによって安定した加工率が得られず、そ
のために、低加工率域において加工硬化が不十分とな
り、以て金属線材中に軟弱部が部分的に生ぜしめられる
ものであると推察し、その観点から更に検討を加えた結
果、そのような金属線材に対して予備引張力を加えるこ
とによって、かかる金属線材中の加工硬化不十分域とし
ての軟弱部が十分に加工硬化せしめられ得て、該軟弱部
が有利に解消せしめられ得、その結果として、疲労強度
が極めて効果的に向上され得る事実を見い出し、本発明
を完成するに至ったのである。
【0015】従って、本発明に従う高圧ホースにあって
は、前述の如く、予備引張力が加えられ、金属線材中に
部分的に存在する軟弱部が加工硬化せしめられてなる引
張処理金属線材を用いて、補強層を形成せしめたところ
に、大きな特徴が存するのであり、それによって、該補
強層の疲労強度が有利に向上され得、以てインパルス耐
久性が極めて効果的に向上され得たのである。そして、
その結果として、ホース性能の向上が、極めて有利に図
られ得ることとなったのである。
【0016】なお、そのような本発明に従う高圧ホース
においては、引張処理金属線材として、長さ方向の硬さ
分布をワイブル分布で整理して得られる硬さ下限界値が
200HV以上とされているものが有利に用いられ、ま
た、かかる下限界値が300HV以上とされたものが、
より有利に用いられることとなる。けだし、硬さ下限界
値が200HVよりも小さいものにあっては、軟弱部の
加工硬化が不十分であるため、引張処理金属線材、更に
はそれによって構成される補強層の疲労強度が十分に向
上され得ず、その結果、インパルス耐久性も、十分に向
上せしめることが困難となるからである。
【0017】また、上述の如き優れた特徴を有する高圧
ホースは、前記したように、予備引張力を加えることに
より金属線材中に部分的に存在する軟弱部を加工硬化せ
しめてなる引張処理金属線材を編組して、予め成形され
たホース内側層の外側に補強層を形成せしめ、その後、
一般に、該補強層の外側にホース外側層を形成すること
によって、極めて有利に得られることとなるが、金属線
材に対して予備引張力を加える際には、該予備引張力の
大きさが、好ましくは、該金属線材の引張強度の50%
以上、より好ましくは90%以上の大きさとされること
となる。けだし、かかる予備引張力の大きさが、金属線
材の引張強度の50%以上とされていることによって、
引張処理金属線材の前記硬さ下限界値が200HV以上
とされ得るのであり、また90%以上とされていること
によって、該硬さ下限界値が300HV以上とされ得、
以て最終的に得られる高圧ホースにおいて、上述の如き
優れた特徴がより十分に発揮され得ることとなるからで
ある。
【0018】
【発明の実施の形態】ところで、このような本発明に従
う高圧ホースは、補強層が、前述の如き引張処理金属線
材を編組して構成されている以外、従来と同様な構造、
例えば、図1〜図4に示される如き構造を有している。
【0019】すなわち、図1に示される高圧ホースは、
単に、一つの補強層2をブレード編組により設けてなる
ものであって、かかる補強層2の内側には、ホース内側
層4が設けられている一方、補強層2の外側には、所定
厚さのホース外側層6が設けられて、一体的に構成され
ている。また、図2に示される高圧ホースにあっては、
ブレード編組された二つの補強層2a、2bが設けられ
ており、それら二つの補強層2a、2bの間に、ゴム材
料等からなる中間層8が設けられて、内側のホース内側
層4と外側のホース外側層6と共に、一体的な構造とさ
れている。更に、図3に示される高圧ホースにあって
は、互いに逆方向にスパイラル編組された四つの補強層
2a、2b、2c、2dが設けられ、それら補強層間に
ゴム材料等からなる中間層8a、8b、8cが、それぞ
れ、介装せしめられており、ホース内側層4及びホース
外側層6と共に、一体的な構造とされている。また、ブ
レード編組及びスパイラル編組の高圧ホースにおいて
は、図4に示される如く、場合により、外側層6が設け
られていないものもある。
【0020】なお、図1〜図3に示される高圧ホースに
おいては、ホース内側層4とホース外側層6とが単層に
て構成されていたが、それら両層(4,6)をそれぞ
れ、複数層にて構成することも可能である。また、補強
層2の配設数についても、金属線材の編組方式によって
適宜に決定され、例えば、交差編みに係るブレード編組
方式にあっては、補強層2は1〜3層程度とされ、また
平行編みに係るスパイラル編組方式にあっては、補強層
2は偶数層とされ、一般に4層若しくは6層において配
設されることとなる。即ち、このことからも明らかなよ
うに、図1〜図4は、高圧ホースの代表的な構造を示す
ものであって、本発明に従う高圧ホースが、それらの構
造に何等限定されるものではないことは、言うまでもな
い。
【0021】そして、そのような構造とされた高圧ホー
スは、一般に、ホース内径:4.8〜63.5mm、ホ
ース外径:10〜100mm、ホース内側層4の肉厚:
1.0〜7.0mm、ホース外側層6の肉厚:1.0〜
7.0mm程度のホース寸法において形成されることと
なる。また、ホース内側層4、ホース外側層6、更には
中間層8(8a〜8c)は、一般に、ゴム材料にて形成
され、例えばNBR、EPDM、CR、SBR、NR、
FKM等のゴム材料が用いられる。更に、そのようなゴ
ム材料に変えて、或いはゴム材料との複数層の積層構造
において、熱可塑性樹脂やエラストマ、例えばナイロ
ン、ウレタン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエ
ステル、ビニロン、フッ素樹脂等が用いられる。
【0022】一方、かかる高圧ホースの補強層2(2a
〜2d)を構成する引張処理金属線材としては、従来か
ら公知の各種の材質のものが適宜に用いられ得、例え
ば、スチール、SUS、アルミ、Cu等の材質のものが
用いられるが、一般には、スチールワイヤが有利に用い
られることとなる。また、そのような引張処理金属線材
は、一般に0.2〜0.9mmφ程度の直径を有するも
のであり、その打ち込み本数は、編組方式に応じて適宜
に選択される。例えば、ブレード編組方式を採用する場
合にあっては、線材の4本〜12本程度を引き揃えて収
容したキャリアの16〜48個程度を用いて、1層の補
強層が形成されることとなるのであり、また、スパイラ
ル編組方式の場合にあっては、40本〜180本の線材
を引き揃えて、1層の補強層が形成されることとなる。
【0023】ところで、そのような構造を有する高圧ホ
ースは、有利には、以下の如くして製造されることとな
る。
【0024】先ず、上述の如き材質からなり、必要に応
じてメッキ加工等、所定の表面処理が施された金属線材
に対して、所定の大きさの予備引張力を加えることによ
り該金属線材中に部分的に存在する軟弱部を加工硬化せ
しめる、所謂引張処理を行なって、引張処理金属線材を
得る。なお、そのような引張処理の方法は、特に限定さ
れるものではなく、スチールワイヤの如き高強度細線に
対して所定の引張力を加え得る公知の各種の方法が適宜
に採用され得るが、有利には、補強層2の製造時におけ
る金属線材の編組工程に先立って、通常、行なわれる、
ボビン巻きされた金属線材のキャリアへの巻換工程にお
いて、それらボビンとキャリアとの間に所定のテンショ
ンをかけることによって、金属線材に対して予備引張力
を加える手法が、採用されることとなる。これによっ
て、後述する、高圧ホースのホース内側層4に対する補
強層2(2a〜2d)の一連の形成工程中において、金
属線材に対して予備引張力が良好に且つ確実に加えられ
得て、金属線材に対する引張処理工程の付加に伴う高圧
ホースの製造効率の低下が効果的に防止され得るのであ
る。
【0025】一方、上述の如き金属線材に対する引張処
理とは別個に、所定のゴム材料、或いは熱可塑性樹脂や
エラストマ等を所定のマンドレル上に押出して、所定厚
さの筒状体(チューブ)を形成せしめることにより、ホ
ース内側層4が形成される。
【0026】その後、かくして形成されたホース内側層
4の外周に、前記引張処理金属線材を編組して、補強層
2を積層、形成せしめる。なお、この引張処理金属線材
の編組方式は、特に限定されるものではなく、図1〜図
4からも明らかなように、従来から高圧ホースの補強層
2を構成するのに採用される方式、例えばブレード編組
方式やスパイラル編組方式等が、何れも採用され得るの
である。
【0027】更にその後、図1に示される如く、かかる
補強層2の外周に、ホース内側層4と同様な材質からな
るホース外側層6を押出被覆して、積層、形成せしめ、
或いは図2〜図4に示される如く、補強層(図2及び図
4においては2b、図3では2d)の外周に、一層また
は複数層の、ホース内側層4やホース外側層6と同様な
材質からなる中間層(図2及び図4においては8、図3
では8a〜8c)と補強層(図2及び図4においては2
a、図3では2a〜2c)とを、該中間層(8,8a〜
8c)においては押出被覆して、また補強層(2a〜2
c)においては上記と同様して、それぞれ、交互に積
層、形成し、更に必要に応じて、複数の補強層2a〜2
dのうち、最も外側に位置する補強層2aの外側に、ホ
ース外側層6を押出被覆して、積層、形成せしめる。そ
して、必要に応じて、所定の加硫操作等を行なうことに
よって、目的とする高圧ホースをそれぞれ得るのであ
る。
【0028】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更
に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、その
ような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるも
のでないことは、言うまでもないところである。また、
本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体
的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおい
て、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良
等を加え得るものであることが、理解されるべきであ
る。
【0029】先ず、図5に示される如く、2560MPa
の引張強度を有するブラスメッキスチールワイヤ10
を、単線状態で、二つのボビン12aと12bに、それ
ぞれ巻き付けると共に、該スチールワイヤ10に対し
て、それら二つのボビン12aと12bとの間で、表1
に示される如き各種の大きさの予備引張力をもってテン
ションをかけて、それぞれ加えられた予備引張力の大き
さの異なる3種類の引張処理スチールワイヤを得た。こ
の得られた3種類の引張処理スチールワイヤを、加えら
れた予備引張力の大きいものから順に、それぞれワイヤ
A〜Cとした。なお、かかる表1には、ワイヤA〜Cに
加えられた予備引張力の大きさと共に、引張強度比とし
て、引張処理前のスチールワイヤ10の引張強度に対す
る、それらワイヤA〜Cに対して加えられた予備引張力
の比を、それぞれ、示した。
【0030】また、それらワイヤA〜Cと、比較のため
に予備引張力が何等加えられていないスチールワイヤ
(ワイヤD)とを用い、それらワイヤA〜Dをそれぞれ
所定寸法切断して、4種類の試験片を得、更にその得ら
れた4種類の試験片を、それぞれ所定の樹脂で固めた
後、表面から50μmの深さまで、軸方向に研磨して、
縦断面を作製した。そして、各ワイヤA〜Dの試験片の
各縦断面上において、軸方向に50μm間隔で、ビッカ
ース硬さ(測定荷重10g)を、400点ずつ測定し
て、各ワイヤA〜Cにおける長さ方向の硬さ分布をそれ
ぞれ調べ、更にそれをワイブル分布で整理して、各ワイ
ヤA〜Cの硬さ下限界値を得た。その結果を、下記表1
に併せて示した。
【0031】
【表1】
【0032】かかる表1の結果からも明らかなように、
予備引張力が加えられてなるワイヤA〜Cは、それが何
等加えられていないワイヤDよりも、硬さ下限界値が明
らかに高い値となっており、またそれらワイヤA〜Cの
間においても、引張強度比、即ち引張処理前のスチール
ワイヤ10の引張強度に対する、それらワイヤA〜Cに
対して加えられた予備引張力の比が大きいもの程、硬さ
下限界値が高い値となっている。これは、スチールワイ
ヤに対して予備引張力を加えることによって、該スチー
ルワイヤ中に部分的に存在する軟弱部が効果的に加工硬
化せしめられ得たことを、如実に示している。
【0033】次に、上述の如くして得られたワイヤA〜
Dを用い、図1に示される構造のホースを4本製造すべ
く、NBR材料からなるホース内側層4を所定の四つの
マンドレル上に押出して、それぞれ、被覆せしめた。そ
の後、それら四つのホース内側層4の外周に、ワイヤA
〜Dをブレード編組して、1層のブレード編み補強層2
を、それぞれ、積層せしめた後、各補強層2の外周に、
更にCRから成るホース外側層6を、各々、押出被覆し
た。そして、150℃×60分の条件下において、加硫
を行なうことにより、4種類の目的とする高圧ホース、
即ち、補強層2が、互いに異なる大きさの予備引張力が
加えられたワイヤA〜Cからなる3種類の高圧ホース
(高圧ホースA〜C)と、補強層2が、予備引張力が何
等加えられていないワイヤDからなる1種類の高圧ホー
ス(高圧ホースD)とを得た。なお、この得られた4種
類の高圧ホースにおいては、補強層2の構成材料が異な
る以外は同様な構造とした。それらの高圧ホースについ
てのホース仕様を、下記表2に示した。
【0034】
【表2】
【0035】そして、かくして得られた4種類の高圧ホ
ースA〜Dを用いて、JIS−K−6349(199
4)によるインパルス耐久試験を行なった。その結果
を、下記表3に示した。なお、インパルス耐久試験結果
は、予備引張力が何等加えられていないワイヤDを用い
て構成された補強層2を有する高圧ホースDの耐久性を
100とした場合における指数にて表され、その指数が
大なる程、インパルス耐久性に優れていることを示して
いる。
【0036】
【表3】
【0037】かかる表3の結果から明らかな如く、予備
引張力が加えられてなるワイヤA〜Cを用いて構成され
た補強層2を有する高圧ホースA〜Cは、予備引張力が
何等加えられていないワイヤDを用いて構成された補強
層2を有する高圧ホースDに比して、インパルス耐久性
が有利に高められ得ている。また、それら高圧ホースA
〜Cの間においても、補強層2を構成するワイヤA〜C
の硬さ下限界値が高いもの程、インパルス耐久性が、よ
り向上され得ており、特に、硬さ下限界値が300HV
以上とされたワイヤA,Bからなる補強層2を有する高
圧ホースA,Bのインパルス耐久性が著しく向上され得
ていることが認められる。
【0038】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に従う高圧ホースにあっては、補強層を構成する金属線
材として、予備引張力を加えることにより、該金属線材
中に部分的に存在する軟弱部を加工硬化せしめた引張処
理金属線材が用いられているところから、かかる補強層
の疲労強度が有利に高められ得、それによって、インパ
ルス耐久性が効果的に向上せしめられ得るのであり、そ
してその結果として、ホース性能の向上が、極めて有利
に図られ得ることとなるのである。
【0039】また、本発明に従う高圧ホースの製造方法
によれば、上述の如き優れた特徴を有する高圧ホース
が、極めて有利に得られるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対象とする高圧ホースの一例を示す切
欠き説明図である。
【図2】本発明の対象とする高圧ホースの他の一例を示
す切欠き説明図である。
【図3】本発明の対象とする高圧ホースの異なる他の一
例を示す切欠き説明図である。
【図4】本発明の対象とする高圧ホースの更に異なる他
の一例を示す切欠き説明図である。
【図5】本発明に従って、金属線材に対して予備引張力
を負荷する方法の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
2、2a、2b、2c、2d 補強層 4 ホース内側層 6 ホース外側層 8、8a、8b、8c 中間層 10 スチールワイヤ 12a,12b ボビン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒島 義人 福岡県北九州市小倉北区緑ケ丘1−13− 7−107 (56)参考文献 特開 平6−201077(JP,A) 特開 昭62−288634(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29D 23/00 B29D 31/00 F16L 11/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属線材を編組して構成される少なくと
    も一つの補強層がホース内側層の外側に位置するように
    設けられてなる構造を有する高圧ホースにおいて、 前記補強層を構成する金属線材として、伸線加工におい
    て不可避的に生ずる引き抜きムラによって軟弱部が部分
    的に生ぜしめられた金属線材に、該金属線材の引張強度
    の50%以上の大きさの予備引張力を加えることによ
    り、該金属線材中に部分的に存在する軟弱部を加工硬化
    せしめた引張処理金属線材が用いられていることを特徴
    とする高圧ホース。
  2. 【請求項2】 前記引張処理金属線材が、その長さ方向
    の硬さ分布をワイブル分布で整理して得られる硬さ下限
    界値において、200HV以上とされている請求項1に
    記載の高圧ホース。
  3. 【請求項3】 金属線材を編組して構成される少なくと
    も一つの補強層がホース内側層の外側に位置するように
    設けられてなる構造の高圧ホースを製造する方法にし
    て、 前記金属線材として、伸線加工において不可避的に生ず
    る引き抜きムラによって軟弱部が部分的に生ぜしめられ
    た金属線材に、該金属線材の引張強度の50%以上の大
    きさの予備引張力を加えることにより、該金属線材中に
    部分的に存在する軟弱部を加工硬化せしめてなる引張処
    理金属線材を用い、この引張処理金属線材を編組して、
    予め成形された前記ホース内側層の外側に、前記補強層
    を積層、形成せしめることを特徴とする高圧ホースの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 前記補強層の製造時における金属線材
    編組工程に先立って採用される、ボビン巻きされた金属
    線材のキャリアへの巻換工程において、それらボビンと
    キャリアとの間に所定のテンションをかけることによっ
    て、前記予備引張力が該金属線材に加えられる請求項3
    に記載の高圧ホースの製造方法。
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