JP2019105354A - ホース - Google Patents

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Shigeru Kobayashi
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Abstract

【課題】良好な耐キンク性を得つつ、重量やコストを低減できる、ホースを提供する。【解決手段】本発明に係るホースは、弾性を有するチューブから成る内層10と、内層の外周側に配置された少なくとも1層の補強層20と、を有する、ホースであって、補強層は、有機繊維糸40と金属線50とを含み、補強層の全周分の外周面を平面に展開して観たときに、ホースの単位ピッチ当たりの、補強層の外周面の全体面積に対する金属線の占める総面積の割合Rwが、2.5〜7.5%である。【選択図】図1

Description

本発明は、ホースに関する。
従来のホースとして、弾性を有するチューブからなる内層と、内層の上側にスパイラル状に巻き付けられた繊維糸からなる内側補強層と、内側補強層の上側に編み組みされた金属硬線からなる外側補強層とを有するものがある(例えば、特許文献1)。特許文献1では、このホースによって、ホースが曲げられたときにキンク(ホースの曲げられた部分が折れて偏平になること)が発生するのを抑制できる、等とされている。
特開2003−343773号公報
しかしながら、特許文献1のホースにおいては、ホースの重量やコストが高くなるという問題があった。
本発明は、良好な耐キンク性を得つつ、重量やコストを低減できる、ホースを提供することを目的とする。
本発明のホースは、
弾性を有するチューブから成る内層と、前記内層の外周側に配置された少なくとも1層の補強層と、を有する、ホースであって、
前記補強層は、有機繊維糸と金属線とを含み、
前記補強層の全周分の外周面を平面に展開して観たときに、前記ホースの単位ピッチ当たりの、前記補強層の外周面の全体面積に対する前記金属線の占める総面積の割合Rwが、2.5〜7.5%である。
本発明のホースによれば、良好な耐キンク性を得つつ、重量やコストを低減できる。
本発明のホースにおいては、
前記補強層は、少なくとも1本の前記有機繊維糸のみから成る有機繊維線状体、少なくとも1本の前記金属線のみから成る金属線状体、並びに、少なくとも1本の前記有機繊維糸及び少なくとも1本の前記金属線から成る複合線状体、から選択される少なくとも1種(但し、該有機繊維線状体1種のみ及び該金属線状体1種のみを除く)により、複数とされている、複数の線状体が、前記ホースの軸線方向に沿って交互に前記ホースの軸線周りにスパイラル状に巻き回されている、スパイラル構造となっていると、好適である。
これによれば、耐キンク性と重量及びコストとのバランスを、より良好にできる。
本発明のホースにおいては、
前記補強層は、少なくとも1本の前記有機繊維糸のみから成る有機繊維線状体、少なくとも1本の前記金属線のみから成る金属線状体、並びに、少なくとも1本の前記有機繊維糸及び少なくとも1本の前記金属線から成る複合線状体、から選択される少なくとも1種(但し、該有機繊維線状体1種のみ及び該金属線状体1種のみを除く)により、それぞれ複数とされている、複数の第1線状体と複数の第2線状体とが、互いに編み込まれている、編み込み構造となっていると、好適である。
これによっても、耐キンク性と重量及びコストとのバランスを、より良好にできる。
本発明のホースにおいては、
前記複数の第1線状体及び前記複数の第2線状体はそれぞれ、前記有機繊維線状体と前記金属線状体とにより、複数とされていると、好適である。
これによれば、耐キンク性と重量及びコストとのバランスを、より良好にできる。
本発明のホースにおいては、
前記複数の第1線状体及び前記複数の第2線状体はそれぞれ、前記複合線状体のみにより、複数とされていると、好適である。
これによっても、耐キンク性と重量及びコストとのバランスを、より良好にできる。
本発明のホースにおいては、
前記複数の第1線状体及び前記複数の第2線状体はそれぞれ、前記有機繊維線状体又は前記金属線状体と前記複合線状体とにより、複数とされていると、好適である。
これによっても、耐キンク性と重量及びコストとのバランスを、より良好にできる。
本発明のホースにおいては、
前記補強層の外周側に配置された被覆層を更に有すると、好適である。
これによれば、補強層を外傷等から保護できる。
本発明によれば、良好な耐キンク性を得つつ、重量やコストを低減できる、ホースを提供することができる。
本発明の一実施形態に係るホースを概略的に示す、側面図である。 図1のホースの補強層の外周面の一部を、平面に展開して観たときの様子を概略的に示す、平面展開図である。 図2の補強層の有機繊維糸および金属線を拡大して概略的に示す、拡大斜視図である。 本発明の第1変形例に係るホースの補強層の外周面の一部を概略的に示す、平面展開図である。 本発明の第2変形例に係るホースの補強層の外周面の一部を概略的に示す、平面展開図である。 本発明の第3変形例に係るホースの補強層の外周面の一部を概略的に示す、平面展開図である。 本発明の第4変形例に係るホースの補強層の外周面の一部を概略的に示す、平面展開図である。 本発明の第5変形例に係るホースを概略的に示す、側面図である。
以下に、図面を参照しつつ、本発明に係るホースの実施形態を例示説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るホース1を示す、側面図である。
本実施形態のホース1は、水、油、空気等の流体の移送に使用できるものであるが、給水又は給湯用の配管に好適に利用できるものであり、台所や洗面台の配管やトイレの洗浄便座用の配管などにさらに好適に利用できるものである。ホース1の内径は、例えば7〜13mm程度にされる。
本実施形態のホース1は、弾性を有するチューブから成る内層10と、内層10の外周側に配置された少なくとも1層の補強層20と、補強層20の外周側に配置された被覆層30と、を有している。
内層10を構成する材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、ゴム、及び/又は、エラストマー等が好適である。ホース1は、内層10を、1層のみ有していてもよいし、複数層有していてもよい。
図1の例において、ホース1は、ホース1の最内層である第1内層11と、第1内層11の外周側に配置された第2内層12との、2層の内層10を有している。
第1内層11は、例えば、ポリブテン樹脂又は架橋ポリエチレン樹脂で形成すると好適である。これにより、水道水中に含まれる塩素によってホース1が劣化するのを効果的に抑制できる。
第2内層12は、例えば、熱可塑性樹脂、ゴム、又は、熱可塑性エラストマー等で形成すると好適である。第2内層12を構成する材料は、第1内層11を構成する材料よりも、軟らかいものであると好適である。また、第1内層11は、第2内層12よりも薄肉に構成されると好適である。これにより、ホース1の曲げ剛性を低く抑えることができ、ホース1の柔軟性を向上できるとともに、キンクの発生を抑制できる。
被覆層30は、例えば、熱可塑性樹脂、エラストマー、又は、熱可塑性樹脂とウレタンとの混合物等が好適である。
被覆層30があることによって、その内周側の補強層20を外傷から保護できる。また、被覆層30は、耐候性や耐薬品性を有する材料から構成されていると、好適である。
ただし、ホース1は、被覆層30を有していなくてもよい。
図2は、図1のホース1の補強層20の外周面の一部を、平面に展開して観たときの様子を示す、平面展開図である。
補強層20は、ホース1の強度を確保する機能を有している。なお、一般的に、台所や洗面台の配管や、トイレの洗浄便座用の配管においては、通常時の圧力が約0.3MPa程度であり、ウォーターハンマー時の圧力が約1.8MPa程度となる。ホース1は、これらのような内圧に耐えられるような耐圧性を有することが好ましい。
図2に示すように、補強層20は、有機繊維糸40と金属線50とを含んで構成されている。より具体的に、図2の例では、ホース1が、補強層20を1層のみ有しており、その補強層20が、有機繊維糸40と金属線50との両方を含んでいる。つまり、有機繊維糸40と金属線50とは、互いに同じ層を構成しているのであって、有機繊維糸40のみからなる層と金属線50のみからなる層とが積層されているのではない。
なお、ホース1は、補強層20を、複数層有していてもよい。
図3は、図2の補強層20を構成する有機繊維糸40の一部と金属線50の一部とをそれぞれ拡大して観たときの斜視図である。
補強層20を構成する有機繊維糸40としては、ポリエステル、ナイロン等の合成繊維、又は、コットン等の植物繊維が好適である。図3に示すように、1本の有機繊維糸40は、複数の有機繊維41から構成されている。
有機繊維糸40は、補強層20の外周面のうち、金属線50どうしの間の領域において、耐圧性を確保する機能を有している。有機繊維糸40は、金属線50に比べると、軽量、低コストであり、また、柔軟性に優れている。
図3の例では、有機繊維糸40の撚り数が少なく抑えられていることにより、有機繊維糸40が、肉薄で幅広となる(平べったくなる)ように構成されている。すなわち、補強層20を平面に展開して観たときの有機繊維糸40の幅をWtとし、有機繊維糸40の厚み(ホースの径方向に沿って測ったときの厚み)をTtとすると、本例では、Wt>Ttとなるようにされている。これにより、補強層20が有する有機繊維糸40の本数を一定として考えた場合に、補強層20の外周面の全体面積のうち、有機繊維糸40が占める面積を増大できる。
ただし、有機繊維糸40は、撚り数がより多くされることにより、有機繊維糸40の断面の外縁が、略円形(この場合、例えばWt≒Ttとなる)とされてもよい。
なお、有機繊維糸40は、1本の有機繊維41のみから構成されてもよい。
補強層20を構成する金属線50としては、金属硬線が好適であり、ステンレス又は鋼から構成されていると、より好適である。金属線50は、図3に示すように、1本の金属繊維のみから構成されていると、補強層20の厚みの増大を抑制できるので好適である。ただし、金属線50は、複数の金属繊維が撚られ又は引き揃えられることによって構成されてもよい。
金属線50は、有機繊維糸40に比べると、ホースが曲げられたときにキンクが発生するのを抑制する機能(耐キンク性)、通水時にホースの耐圧力を確保する機能(耐圧性)、さらには、刃物と干渉したときにホースが切れるのを防ぐ機能(耐カット性)に優れている。
図2に戻り、本実施形態では、補強層20の全周分の外周面を平面に展開して観たときに、ホース1の単位ピッチ当たりの、補強層20の外周面の全体面積に対する金属線50の占める総面積の割合Rw(%)が、2.5〜7.5%である。なお、図2では、便宜上、補強層20の外周面のうち、全周分ではなく、周方向一部分のみを示している。
ここで、「ホース1の単位ピッチ」とは、補強層20を構成する少なくとも1本の有機繊維糸40のうちの1本が、ホース1の軸線周りで1周する分の、ホース1の軸線方向の長さを指す。また、「補強層20の全周分の外周面を平面に展開して観たときに、ホース1の単位ピッチ当たりの、・・・金属線50の占める総面積」を算出するにあたっては、補強層20の全周分の外周面を平面に展開して観たときに、金属線50のうち、見える(露出している)部分の面積のみを加算するのではなく、金属線50が他の金属線50あるいは有機繊維糸40と重なっていて見えない(露出していない)部分の面積も、加算するものとする。
なお、ホース1が補強層20を複数層有する場合、少なくとも1層の補強層20は、ホース1の単位ピッチ当たりの、補強層20の外周面の全体面積に対する金属線50の占める総面積の割合Rw(%)が、2.5〜7.5%であるものとする。
この金属線50の占める総面積の割合Rw(%)は、従来のホースに備えられていた金属線のみからなる補強層における、ホースの単位ピッチ当たりの、補強層の外周面の全体面積に対する金属線の占める総面積の割合Rw(%)よりも、低いものである。
本発明の発明者は、ホース1の単位ピッチ当たりの、補強層20の外周面の全体面積に対する金属線50の占める総面積の割合Rw(%)を、2.5〜7.5%にまで低くしても、十分に良好な耐キンク性が得られることを、新たに見出したのである。
そして、このように金属線50の占める総面積の割合Rw(%)を従来よりも低くすることにより、ホース1全体の重量およびコストを下げることができる。
金属線50の占める総面積の割合Rw(%)が、2.5%未満であると、耐キンク性が不十分となる。一方、金属線50の占める総面積の割合Rw(%)が、7.5%超であると、重量及びコストを十分に低減できない。
したがって、本実施形態によれば、良好な耐キンク性を得つつ、ホース1全体の重量およびコストを低減することができる。
また、本実施形態においては、金属線50の占める総面積の割合Rw(%)を2.5〜7.5%にまで低くしても、十分に良好な耐カット性も得られる。
また、このように金属線50の占める総面積の割合Rw(%)を従来よりも低くすることにより、ホース1の剛性を低減でき、ひいては、ホース1の柔軟性を向上できる。
なお、上述のように、金属線50と有機繊維糸40とが、1つの同じ補強層20を構成することが重要である。
仮に、補強層20の全周分の外周面を平面に展開して観たときに、ホース1の単位ピッチ当たりの、補強層20の外周面の全体面積に対する金属線50の占める総面積の割合Rw(%)を、2.5〜7.5%の範囲内で一定としつつ、金属線50のみからなる補強層と有機繊維糸40のみからなる補強層とを、別々の層として互いに積層させた場合は、金属線50が位置ずれしやすくなるため、十分な耐キンク性が得られないおそれがある。
ここで、図2、図4〜図8を参照しつつ、本実施形態のホース1の補強層20の構成例について、例示説明する。図2、図4〜図8は、それぞれ、補強層20の別々の例を示している。図2、図4〜図7の各例では、補強層20の全周分の外周面を平面に展開して観たときに、ホース1の単位ピッチ当たりの、補強層20の外周面の全体面積に対する金属線50の占める総面積の割合Rw(%)が、2.5〜7.5%である。また、図8の例では、ホース1が補強層20を2層有するが、各補強層20において、全周分の外周面を平面に展開して観たときに、ホース1の単位ピッチ当たりの、補強層20の外周面の全体面積に対する金属線50の占める総面積の割合Rw(%)が、2.5〜7.5%である。
図2、図4〜図7の各例は、補強層20が、編み込み構造となっている。一方、図8の例は、補強層20が、スパイラル構造となっている。以下、各例について順番に説明する。
まず、図2、図4〜図7の各例において、補強層20は、編み込み構造となっている。具体的に、補強層20は、有機繊維糸40及び/又は金属線50から構成される、複数の線状体60から構成されている。各線状体60どうしの間には、隙間70が区画されている。これら複数の線状体60は、互いに交差する方向に延びる、複数の第1線状体610と複数の第2線状体620とを含む。複数の第1線状体610は、互いに略平行に延びており、ホース1の周方向一方側に向かうにつれてホース1の軸線方向一方側へ向かう(図2、図4〜図7の各図では右上へ向かう)ように延びている。一方、複数の第2線状体620は、互いに略平行に延びており、ホース1の周方向一方側に向かうにつれてホース1の軸線方向他方側へ向かう(図2、図4〜図7の各図では左上へ向かう)ように延びている。複数の第1線状体610と複数の第2線状体620とは、互いに編み込まれている。
複数の第1線状体610と複数の第2線状体620とは、少なくとも1本の有機繊維糸40のみから成る有機繊維線状体640、少なくとも1本の金属線50のみから成る金属線状体650、並びに、少なくとも1本の有機繊維糸40及び少なくとも1本の金属線50から成る複合線状体660、から選択される少なくとも1種(但し、該有機繊維線状体640の1種のみ及び該金属線状体650の1種のみを除く)により、それぞれ複数とされている。以下、このことについて詳しく説明する。
まず、複数の第1線状体610について説明する。各第1線状体610は、それぞれ、有機繊維線状体640、金属線状体650、又は、複合線状体660のいずれかである。そして、複数の第1線状体610のそれぞれは、有機繊維線状体640、金属線状体650、及び複合線状体660の種別が、互いに同じでもよく、あるいは、互いに異なってもよい。したがって、複数の第1線状体610は、有機繊維線状体640、金属線状体650、並びに、複合線状体660、から選択される少なくとも1種の組み合わせからなる。ただし、複数の第1線状体610のそれぞれがいずれも有機繊維線状体640である場合、あるいは、複数の第1線状体610のそれぞれがいずれも金属線状体650である場合は、好ましくないので除く。言い換えれば、複数の第1線状体610は、有機繊維線状体640、金属線状体650、並びに、複合線状体660、から選択される少なくとも2種の組み合わせからなるものであるか、あるいは、それぞれがいずれも複合線状体660であるのがよい。
複数の第2線状体620についても、複数の第1線状体610と同様である。各第2線状体620は、それぞれ、有機繊維線状体640、金属線状体650、又は、複合線状体660のいずれかである。そして、複数の第2線状体620のそれぞれは、有機繊維線状体640、金属線状体650、及び複合線状体660の種別が、互いに同じでもよく、あるいは、互いに異なってもよい。したがって、複数の第2線状体620は、有機繊維線状体640、金属線状体650、並びに、複合線状体660、から選択される少なくとも1種の組み合わせからなる。ただし、複数の第2線状体620のそれぞれがいずれも有機繊維線状体640である場合、あるいは、複数の第2線状体620のそれぞれがいずれも金属線状体650である場合は、好ましくないので除く。言い換えれば、複数の第2線状体620は、有機繊維線状体640、金属線状体650、並びに、複合線状体660、から選択される少なくとも2種の組み合わせからなるものであるか、あるいは、それぞれがいずれも複合線状体660であるのがよい。
補強層20をこのような編み込み構造にすることによって、金属線状体650による補強効果がより強固になるので、耐キンク性をより向上できる。よって、耐キンク性と重量及びコストとのバランスを、より良好にできる。
図2、図4、図5の各例における編み込み構造では、複数の第1線状体610及び複数の第2線状体620がそれぞれ、有機繊維線状体640と金属線状体650とにより、複数とされている。すなわち、複数の第1線状体610が、有機繊維線状体640と金属線状体650との組み合わせからなる。また、複数の第2線状体620が、有機繊維線状体640と金属線状体650との組み合わせからなる。
これによれば、耐キンク性と重量及びコストとのバランスを、より良好にできる。
より具体的に、図2の例では、複数の第1線状体610と複数の第2線状体620とが、それぞれ、1本の有機繊維糸40から成る有機繊維線状体640と、1本の金属線50から成る金属線状体650と、の組み合わせからなる。
図4の例では、複数の第1線状体610と複数の第2線状体620とが、それぞれ、3本の有機繊維糸40から成る有機繊維線状体640と、3本の金属線50から成る金属線状体650と、の組み合わせからなる。
図5の例では、複数の第1線状体610と複数の第2線状体620とが、それぞれ、3本の有機繊維糸40からなる有機繊維線状体640と、1本の金属線50からなる金属線状体650と、の組み合わせからなる。
図6の例における編み込み構造では、複数の第1線状体610及び複数の第2線状体620はそれぞれ、複合線状体660のみにより、複数とされている。すなわち、複数の第1線状体610のそれぞれが、複合線状体660からなる。また、複数の第2線状体620のそれぞれが、複合線状体660からなる。
これによっても、耐キンク性と重量及びコストとのバランスを、より良好にできる。
具体的に、図6の例では、各第1線状体610及び各第2線状体620が、それぞれ、2本の有機繊維糸40及び1本の金属線50から成る、複合線状体660である。
なお、図6では、図面の見易さのために、複合線状体660を構成する有機繊維糸40と金属線50との間に間隔を空けて図示しているが、複合線状体660を構成する有機繊維糸40及び金属線50どうしの間には、間隔が全く又はほぼ無いほうがよい。
図7の例における編み込み構造では、複数の第1線状体610及び複数の第2線状体620はそれぞれ、有機繊維線状体640又は金属線状体650と複合線状体660とにより、複数とされている。すなわち、複数の第1線状体610が、有機繊維線状体640又は金属線状体650(図7の例では、有機繊維線状体640)と、複合線状体660と、の組み合わせからなる。また、複数の第2線状体620が、有機繊維線状体640又は金属線状体650(図7の例では、有機繊維線状体640)と、複合線状体660と、の組み合わせからなる。
これによっても、耐キンク性と重量及びコストとのバランスを、より良好にできる。
具体的に、図7の例では、複数の第1線状体610と複数の第2線状体620とが、それぞれ、3本の有機繊維糸40からなる有機繊維線状体640と、2本の有機繊維糸40及び1本の金属線50から成る複合線状体660と、の組み合わせからなっている。
なお、図7では、図面の見易さのために、複合線状体660を構成する有機繊維糸40と金属線50との間に間隔を空けて図示しているが、複合線状体660を構成する有機繊維糸40及び金属線50どうしの間には、間隔が全く又はほぼ無いほうがよい。
つぎに、図8の例において、補強層20は、スパイラル構造となっている。具体的に、図8の例では、ホース1が、第1補強層21と第2補強層22との、2層の補強層20を有している。第2補強層22は、第1補強層21の外周側に配置されている。各補強層20は、それぞれ、金属線50及び/又は有機繊維糸40から構成される、複数の線状体60から構成されている。各補強層20を構成する複数の線状体60は、ホース1の軸線方向に沿って交互にホース1の軸線周りにスパイラル状に巻き回されている。各補強層20において、各線状体60どうしの間には、隙間70が区画されている。第1補強層21を構成する複数の線状体60は、それぞれ第1線状体610である。第2補強層22を構成する複数の線状体60は、それぞれ第2線状体620である。第1線状体610と第2線状体620とは、互いに交差する方向に延びている。複数の第1線状体610は、互いに略平行に延びており、ホース1の周方向一方側に向かうにつれてホース1の軸線方向一方側へ向かう(図8では右上へ向かう)ように延びている。第1補強層21を構成する複数の第1線状体610は、ホース1の軸線方向に沿って交互にホース1の軸線周りにスパイラル状に巻き回されている。一方、複数の第2線状体620は、互いに略平行に延びており、ホース1の周方向一方側に向かうにつれてホース1の軸線方向他方側へ向かう(図8では左上へ向かう)ように延びている。第2補強層22を構成する複数の第2線状体620は、ホース1の軸線方向に沿って交互にホース1の軸線周りにスパイラル状に巻き回されている。
そして、複数の第1線状体610と複数の第2線状体620とは、少なくとも1本の有機繊維糸40のみから成る有機繊維線状体640、少なくとも1本の金属線50のみから成る金属線状体650、並びに、少なくとも1本の有機繊維糸40及び少なくとも1本の金属線50から成る複合線状体660、から選択される少なくとも1種(但し、該有機繊維線状体640の1種のみ及び該金属線状体650の1種のみを除く)により、それぞれ複数とされている。この点については、図2、図4〜図7の各例について説明したことと同様である。
図8の例では、より具体的に、複数の第1線状体610と複数の第2線状体620とが、それぞれ、1本の有機繊維糸40から成る有機繊維線状体640と、1本の金属線50から成る金属線状体650と、の組み合わせからなる。
補強層20をこのようなスパイラル構造にすることによっても、耐キンク性と重量及びコストとのバランスを、より良好にできる。また、上述した編み込み構造に比べて、補強層20の製造が簡単になる。
なお、図8の例において、補強層20は、第1補強層21又は第2補強層22の一方のみを有していてよい。しかし、製造時における有機繊維線状体640及び金属線状体650のテンションによる内層10のねじれ等を防止するためには、補強層20は、第1補強層21及び第2補強層22の両方を有しているのが好ましい。
なお、上記各例(図1〜図8)において、良好な耐キンク性を得つつ、ホース1全体の重量およびコストを低減する観点からは、ホース1の単位ピッチ当たりの、補強層20の外周面の全体面積に対する金属線50の占める総面積の割合Rw(%)が、4〜6%であると、より好適である。
上記各例(図1〜図8)において、補強層20の全周分の外周面を平面に展開して観たときに、ホース1の単位ピッチ当たりの、補強層20の外周面の全体面積に対する有機繊維糸40の占める総面積の割合Rt(%)は、30〜92.5%であると好適であり、50〜80%であるとより好適である。
ここで、「補強層20の全周分の外周面を平面に展開して観たときに、ホース1の単位ピッチ当たりの、・・・有機繊維糸40の占める総面積」を算出するにあたっては、補強層20の全周分の外周面を平面に展開して観たときに、有機繊維糸40のうち、見える(露出している)部分の面積のみを加算するのではなく、有機繊維糸40が他の有機繊維糸40あるいは金属線50と重なっていて見えない(露出していない)部分の面積も、加算するものとする。
この有機繊維糸40の占める総面積の割合Rt(%)は、従来のホースに備えられていた有機繊維糸のみからなる補強層における、ホースの単位ピッチ当たりの、補強層の外周面の全体面積に対する有機繊維糸の占める総面積の割合Rt(%)よりも、低いものである。
本発明の発明者は、補強層20の全周分の外周面を平面に展開して観たときに、ホース1の単位ピッチ当たりの、補強層20の外周面の全体面積に対する有機繊維糸40の占める総面積の割合Rt(%)を、上記の値まで低くしても、十分に良好な耐圧性を確保できることを、新たに見出したのである。
そして、このように有機繊維糸40の占める総面積の割合Rt(%)を従来よりも低くすることにより、ホース1全体の重量およびコストを下げることができる。
上記各例(図1〜図8)において、補強層20の全周分の外周面を平面に展開して観たときに、ホース1の単位ピッチ当たりの、補強層20の外周面の全体面積に対する有機繊維糸40の占める総面積と金属線50の占める総面積との合計の割合Ra(%)は、30〜100%であると好適であり、60〜90%であるとより好適である。
これにより、耐キンク性と重量及びコストとのバランスを、より良好にできる。
上記各例(図1〜図8)においては、上述したように、金属線50と有機繊維糸40とが、1つの同じ補強層20を構成することが重要である。
仮に、補強層20の全周分の外周面を平面に展開して観たときに、ホース1の単位ピッチ当たりの、補強層20の外周面の全体面積に対する金属線50の占める総面積の割合Rw(%)、ならびに、補強層20の外周面の全体面積に対する有機繊維糸40の占める総面積の割合Rt(%)を、それぞれ一定としつつ、金属線50のみからなる補強層と有機繊維糸40のみからなる補強層とを、積層させた場合は、金属線50や有機繊維糸40がそれぞれの層の中で位置ずれしやすくなるため、十分な耐キンク性、耐圧性が得られないおそれがある。
上記各例(図1〜図8)においては、ホース1の単位ピッチ当たりの、有機繊維糸40の本数と金属線50の本数との合計本数に対する、金属線50の本数の割合Rn(%)が、5〜50%であると好適であり、15〜40%であるとより好適であり、25〜38%であると、さらに好適である。
これにより、耐キンク性と重量及びコストとのバランスを、より良好にできる。
ここで、有機繊維糸40および金属線50の本数は、それぞれ、ホース1の単位ピッチ当たりの、補強層20の全周分の外周面を平面に展開して観たときの本数をカウントするのではなく、ホース1の単位ピッチ当たりの補強層20を構成する有機繊維糸40および金属線50のそれぞれの実際の本数、すなわち、ホース1の単位ピッチ当たりの補強層20を分解したときに得られる有機繊維糸40および金属線50の本数を指す。
上記各例(図1〜図8)において、有機繊維糸40の面積を確保する観点から、有機繊維糸40の太さは、例えば500〜4000dtexが好適であり、750〜3000dtexがより好適であり、1000〜2200dtexがより好適である。
また、同様の観点から、有機繊維糸40の撚り数は、0回/10cm〜10回/10cmが好適であり、0回/10cm〜8回/10cmがより好適であり、0回/10cm〜5回/10cmがさらに好適である。ここで、有機繊維糸40の撚り数が0回/10cmの場合とは、有機繊維糸40が撚られていないことを意味する。
また、同様の観点から、補強層20の全周分の外周面を平面に展開して観たときの有機繊維糸40の幅Wt(図3参照。)は、0.5〜2.0mmが好適であり、0.7〜1.5mmがより好適である。
上記各例(図1〜図8)において、金属線50の線径は、太いほど、ホース1の耐キンク性が向上するものの、ホース1の柔軟性が低下するとともに、重量やコストが増大する。耐キンク性と柔軟性とのバランスを良好にする観点から、金属線50の線径は、0.10〜0.60mmが好適であり、0.15〜0.55mmがより好適であり、0.20〜0.50mmがさらに好適である。なお、仮に金属線50が、複数の金属繊維が撚られ又は引き揃えられることによって構成される場合、金属線50の線径とは、金属線50の断面の外接円の径を指すものとする。
同様に、耐キンク性と柔軟性とのバランスを良好にする観点から、金属線50の引張強さは、1500〜3000N/mm2が好適である。
なお、図3に示す金属線50は、断面が円形であり、補強層20の全周分の外周面を平面に展開して観たときの金属線50の幅Wwと、金属線50の厚み(ホースの径方向に沿って測った厚み)Twとが、互いに等しく、また、それぞれ金属線50の線径に相当する。
上記各例(図1〜図8)において、金属線50の静止角(安息角)は54.7°である一方、金属線50の編み上げ角度は、大きいほど、ホース1の耐キンク性が向上される。金属線50の静止角と耐キンク性とのバランスを向上させる観点からは、金属線50の編み上げ角度が、45〜60°であると好適であり、50〜56°であるとより好適である。
なお、金属線50の編み上げ角度とは、ホース1の軸線Oに対する、金属線50の鋭角側の傾斜角度である。
上記各例(図1〜図8)において、補強層20は、内層10の外周面に対して、接着されないほうが、製造性やホース1の柔軟性を向上できるので、好適である。
ただし、補強層20は、内層10の外周面に対して、接着されてもよい。
〔実施例、比較例〕
本発明の実施例1、比較例1のホースを試作し、評価したので、説明する。
実施例1、比較例1のホースは、いずれも、内層、補強層、及び被覆層を備えていた。実施例1、比較例1のホースは、内層と被覆層との構成が、互いに同じであり、また、呼径がともに7であった。実施例1、比較例1のホースは、補強層の構成のみで、互いに異なるものであった。
比較例1のホースは、補強層として、複数の有機繊維糸のスパイラル構造からなる第1補強層と、第1補強層の外周側に配置され、第1補強層の有機繊維糸とは交差する方向に延びる複数の有機繊維糸のスパイラル構造からなる第2補強層と、複数の金属線の編み込み構造からなる第3補強層と、の3層を備えていた。
実施例1のホースは、補強層20を1層のみ備えており、その補強層20が、図6の例に示される編み込み構造からなるものだった。すなわち、実施例1において、補強層20は、複数の第1線状体610および複数の第2線状体620のそれぞれが、2本の有機繊維糸40及び1本の金属線50から成る複合線状体660であった。
比較例1、実施例1のそれぞれについて、補強層の全周分の外周面を平面に展開して観たときにおける、ホース1の単位ピッチ当たりの、補強層20の外周面の全体面積に対する金属線50の占める総面積の割合Rw(%)、補強層の全周分の外周面を平面に展開して観たときにおける、ホース1の単位ピッチ当たりの、補強層20の外周面の全体面積に対する有機繊維糸40の占める総面積の割合Rt(%)、ホースの外径(指数値)、ホースの重量(指数値)は、表1に示すとおりであった。なお、表1において、実施例1のホースの外径(指数値)は、比較例1のホースの外径(mm)を100としたときの実施例1のホースの外径(mm)の割合を、指数値により表している。外径の指数値が小さいほど、外径が小さいことを示す。また、表1において、実施例1のホースの重量(指数値)は、比較例1のホースの重量(g)を100としたときの実施例1のホースの重量(g)の割合を、指数値により表している。重量の指数値が小さいほど、重量が軽いことを示す。また、表1において、比較例1のRtは、比較例1の第1補強層と第2補強層とのそれぞれの値ではなく、これら2層を合わせて観たときの値を示している。
また、比較例1、実施例1のそれぞれについて、曲げ反力試験とキンク試験とを行った。
(曲げ反力試験)
曲げ反力試験においては、ホースの一端を固定し、ホースの他端に外力を作用させることにより、ホースをR50(曲率半径50mm)の円弧状に曲げ、その際にホースの一端側に配置したばね測りによって、ホースに生じた曲げ反力(N)を測定した。表1にその結果を示す。表1において、実施例1について測定結果として得られた曲げ反力(指数値)は、比較例1について測定結果として得られた曲げ反力(N)を100としたときの実施例1について測定結果として得られた曲げ反力(N)の割合を、指数値により表している。表1において、曲げ反力の指数値が小さいほど、曲げ反力(N)が小さく、ホースの柔軟性が高いことを示す。
(キンク試験)
キンク試験においては、ホースをR20(曲率半径20mm)の円弧状に曲げ、その際に、ホースにキンクが生じたか否かを観察した。表1にその結果を示す。表1に示すように、比較例1、実施例1のいずれにおいても、キンクは生じなかった。
Figure 2019105354
表1に示す結果から判るように、実施例1のホースでは、比較例1のホースと比べると、耐キンク性を維持しつつ、ホースの外径及び重量を低減でき、また、曲げ反力の低減ひいては柔軟性の向上が達成できた。
本発明に係るホースは、水、油、空気等の流体の移送に使用できるものであるが、給水又は給湯用の配管に好適に利用できるものであり、台所や洗面台の配管やトイレの洗浄便座用の配管などにさらに好適に利用できるものである。
1:ホース、 10:内層、 11:第1内層、 12:第2内層、 20:補強層、 21:第1補強層、 22:第2補強層、 30:被覆層、 40:有機繊維糸、 41:有機繊維、 50:金属線、 60:線状体、 70:隙間、 610:第1線状体、 620:第2線状体、 640:有機繊維線状体、 650:金属線状体、 660:複合線状体、 O:ホースの軸線

Claims (7)

  1. 弾性を有するチューブから成る内層と、前記内層の外周側に配置された少なくとも1層の補強層と、を有する、ホースであって、
    前記補強層は、有機繊維糸と金属線とを含み、
    前記補強層の全周分の外周面を平面に展開して観たときに、前記ホースの単位ピッチ当たりの、前記補強層の外周面の全体面積に対する前記金属線の占める総面積の割合Rwが、2.5〜7.5%である、ホース。
  2. 前記補強層は、少なくとも1本の前記有機繊維糸のみから成る有機繊維線状体、少なくとも1本の前記金属線のみから成る金属線状体、並びに、少なくとも1本の前記有機繊維糸及び少なくとも1本の前記金属線から成る複合線状体、から選択される少なくとも1種(但し、該有機繊維線状体1種のみ及び該金属線状体1種のみを除く)により、複数とされている、複数の線状体が、前記ホースの軸線方向に沿って交互に前記ホースの軸線周りにスパイラル状に巻き回されている、スパイラル構造となっている、請求項1に記載のホース。
  3. 前記補強層は、少なくとも1本の前記有機繊維糸のみから成る有機繊維線状体、少なくとも1本の前記金属線のみから成る金属線状体、並びに、少なくとも1本の前記有機繊維糸及び少なくとも1本の前記金属線から成る複合線状体、から選択される少なくとも1種(但し、該有機繊維線状体1種のみ及び該金属線状体1種のみを除く)により、それぞれ複数とされている、複数の第1線状体と複数の第2線状体とが、互いに編み込まれている、編み込み構造となっている、請求項1に記載のホース。
  4. 前記複数の第1線状体及び前記複数の第2線状体はそれぞれ、前記有機繊維線状体と前記金属線状体とにより、複数とされている、請求項3に記載のホース。
  5. 前記複数の第1線状体及び前記複数の第2線状体はそれぞれ、前記複合線状体のみにより、複数とされている、請求項3に記載のホース。
  6. 前記複数の第1線状体及び前記複数の第2線状体はそれぞれ、前記有機繊維線状体又は前記金属線状体と前記複合線状体とにより、複数とされている、請求項3に記載のホース。
  7. 前記補強層の外周側に配置された被覆層を更に有する、請求項1から6のいずれか1項に記載のホース。
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