JP5796824B2 - 部分芳香族の成形組成物及びそれの使用 - Google Patents
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Description
・表面温度260℃で、無鉛はんだを用いて、水を吸収した後でさえも、ブリスターなしにはんだ付け可能であり、
・ハロゲン含有難燃剤を使用することなく難燃性とすることができ、
・低圧力かつ長い流動長で容易に加工可能であり、
・歪がほとんどなく、
・寸法的に安定していること
が要求される。
PA6T/66タイプの部分芳香族ポリアミドは、JP-B-2928325(最初に公開されたのはJP-A-308846)に記載されるように、高い融解点を有するが、過度の高吸水性を有する。それらは、乾燥状態でのみはんだ付けされることができ、最大湿度感度レベル2(Joint Industry Standard IPC/JEDEC J-STD-020D.1に従ったSML)に達する。それらは、はんだ付け前に、85℃及び60%相対湿度で、最大168時間調整されうる。この調整は、一般的に、これらの材料で作られる電子部材が、無制限の保存寿命を持たず、かつ、はんだ付けされるまで厳しい湿度の制御のもとで包装されなければならないことを意味する。
US 4831108では、完全に異なるポリアミドの範囲に適していることが明らかなポリアミドを製造するプロセスについて開示されている。従って、この文献には、ポリフタルアミドの製造だけでなく、同じプロセスを用いてPA66の製造(実施例4)も記載されている。
この文献においてTHMDAについて述べる限りにおいて、このジアミンは、常に低い割合で使用される。
EP 1795632では、様々な出発材料をベースとして得られうるポリアミドについて開示している。記載されたジアミンは、とりわけ、C9-ジアミン、例えば、1,9-ノナンジアミン及び1,8-メチルオクタンジアミンである。とりわけ、これらのジアミンは、HMDAを併用して、TPA及びIPAと共に反応されうる。この反応が、非常に低いHMDA濃度(HMDA:C9-ジアミン = 20:80)を利用して行なわれるか、又は、ヘキサメチレンジアミンが、THMDAで置き換えられた場合であっても、得られる材料は、はんだ付けで応用するのに比較的適さないものとなるか、更に全く適さないものとなってしてしまう。
本発明の目的は、電気及び/又は電子部材を製造することが可能であり、確実なはんだ付けを可能とするポリアミド成形組成物であって、すなわち、特にブリスターがはんだ付けプロセスで形成されることなく、特に、吸水後260℃、場合によりそれより高い温度で、及び、部材の最終設計の場合にはんだ付けを可能とする、ポリアミド成形組成物を提供することである。
また、電気及び電子工学の更なる要求を満たさなければならない。このポリアミド成形組成物は:
・ハロゲン含有難燃剤を使用することなく難燃性とすることができ、
・低圧力かつ長い流動長で容易に加工可能であり、
・歪がほとんどなく、
・寸法的に安定していなければならない。
(A)30〜100質量%の部分芳香族の、部分結晶コポリアミドで、
72.0〜98.3質量%のテレフタル酸(TPA)及び/又はナフタレンジカルボン酸、及び、28.0〜1.7質量%のイソフタル酸(IPA)から構成される、100質量%の二塩基酸フラクション、及び、
51.0〜80.0質量%の1,6-ヘキサンジアミン(HMDA)、及び、20.0〜49.0質量%のC9-C12-ジアミン、特に脂肪族の非分枝C9-C12-ジアミンから構成される、100質量%のジアミンフラクション
から構成されるコポリアミド;
(B)0〜70質量%のフィラー、及び、強化剤;
(C)0〜25質量%の難燃剤;
(D)0〜5質量%の添加剤;
(ここで、成分(A)〜(D)は合計で100質量%となる)。
第一の好適な態様に従うと、C9-C12-ジアミンは、1,9-ノナンジアミン、メチル-1,8-オクタンジアミン(cctanediamine)、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、及び、これらのジアミンの混合物からなる群から選択されるジアミンであり、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン又はこれらのジアミンの混合物であることが好ましく、1,10-デカンジアミン、及び、1,12-ドデカンジアミンであることが特に好ましく、1,10-デカンジアミン単独であることが特別に好ましい。驚くことに、特に、分枝脂肪族ジアミン、例えば、TMHMDAを使用すると、容易にはんだ付けできない成形組成物となることが分かっている。従って、上述した割合の特定の脂肪族の非分枝C9-C12-ジアミンの好ましい使用により、予想外にも、はんだ付け加工に特に適した成形組成物となる。
成分(A)のジアミンフラクションは、好ましくは、55.0〜75.0質量%の1,6-ヘキサンジアミン(HMDA)、及び、25.0〜45.0質量%のC9-C12-ジアミン、特に脂肪族の非分枝C9-C12-ジアミンから構成される。
成分(A)のジアミンフラクションは、より好ましくは、55.0〜70.0質量%の1,6-ヘキサンジアミン(HMDA)、及び、30.0〜45.0質量%のC9-C12-ジアミン、特に脂肪族の非分枝C9-C12-ジアミンから構成される。
IPA (質量%) = (39 − 0.7*C9-C12-ジアミン)
但し、当然ながら、イソフタル酸の含有量は、いずれにしても少なくとも1.7質量%である。
このことは、例えば、C9-C12-ジアミン、特に、脂肪族の非分枝C9-C12-ジアミンの含有量が20質量%であり、イソフタル酸の含有量が20〜30質量%の範囲内であることを意味する。35質量%のC9-C12-ジアミンの含有量で、イソフタル酸の含有量は、9.5〜19.5質量%の範囲内である。49質量%のC9-C12-ジアミンの含有量で、イソフタル酸の含有量は、1.7〜9.7質量%の範囲内にある。更に好ましい態様において、範囲は、+/- 3質量%、特に好ましくは+/- 2質量%である。
更に特定の態様において、以下の組成がコポリアミド(ポリアミドマトリクス)にとって好ましい:
ジアミンの合計をベースとして、20〜49質量%の(好ましくは脂肪族の非分枝)C9-C12-ジアミン含有量、及び、二塩基酸の合計をベースとして、(39 − 0.7*C9-C12-ジアミン)±3質量%のIPA含有量を有するコポリアミド。
ジアミンの合計をベースとして、20〜49質量%の(好ましくは脂肪族の非分枝)C9-C12-ジアミン含有量、及び、二塩基酸の合計をベースとして、(39 − 0.7*C9-C12-ジアミン)±2質量%のIPA含有量を有するコポリアミド。
ジアミンの合計をベースとして、25〜45質量%の(好ましくは脂肪族の非分枝)C9-C12-ジアミン含有量、及び、二塩基酸の合計をベースとして、(39 − 0.7*C9-C12-ジアミン)±3質量%のIPA含有量を有するコポリアミド。
ジアミンの合計をベースとして、25〜45質量%の(好ましくは脂肪族の非分枝)C9-C12-ジアミン含有量、及び、二塩基酸の合計をベースとして、(39 − 0.7*C9-C12-ジアミン)±2質量%のIPA含有量を有するコポリアミド。
ジアミンの合計をベースとして、30〜45質量%の(好ましくは脂肪族の非分枝)C9-C12-ジアミン含有量、及び、二塩基酸の合計をベースとして、(39 − 0.7*C9-C12-ジアミン)±3質量%のIPA含有量を有するコポリアミド。
ジアミンの合計をベースとして、30〜45質量%の(好ましくは脂肪族の非分枝)C9-C12-ジアミン含有量、及び、二塩基酸の合計をベースとして、(39 − 0.7*C9 C12-ジアミン)±2質量%のIPA含有量を有するコポリアミド。
別の脂肪族ジアミン(C9-C12-ジアミン)の中で、好ましくは、1,10-デカンジアミン及び1,12-ドデカンジアミンを使用し、特に好ましくは、1,10-デカンジアミンを用いる。
更に好ましい態様において、成分(B)の割合は、20〜65質量%の範囲である。
コポリアミド(成分A)は、好ましくは110〜140℃の範囲、好ましくは115〜135℃の範囲、特に120〜130℃の範囲のガラス転移温度を有する。
融解点は、好ましくは300〜330℃の範囲、より好ましくは305〜325℃の範囲、特に310〜325℃の範囲である。
コポリアミドの融解エンタルピーは、好ましくは30〜60 J/gの範囲、より好ましくは35〜60 J/gの範囲、特に好ましくは40〜60 J/g範囲である。
上記の特性が達成される限りにおいて、成分(A)の8質量%以下、好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下の芳香族ジカルボン酸が、10〜36個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸で置き換えられても良い。好ましい脂肪族二塩基酸は、セバシン酸及びドデカン二酸である。更に、ジアミンの8質量%以下、好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下が、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、メチル-1,5-ペンタンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、m-キシリレンジアミン(MXDA)又はp-キシリレンジアミン(PXDA)で置き換えられても良い。ジアミン及び二塩基酸の合計をベースとして、5質量%以下のラクタム又はアミノカルボン酸が、特に、ラウロラクタム又はアミノラウリン酸が、成分(A)に存在しても良い。しかしながら、特に好ましい態様において、成分(A)は、芳香族二塩基酸TPA及びIPA、並びに、ジアミンである1,6-ヘキサンジアミン及び少なくとも1種のC9-C12-ジアミン、特に、1,10-デカンジアミンのみによって形成される。
好ましくは、非円形の断面積を有し、主断面軸対第二断面軸の長さの比が、2超過であり、好ましくは2〜8、特に2〜5の範囲であるガラス繊維を用いる。これらのガラス繊維は、フラットガラス繊維として知られており、長円形、楕円形、くびれを有する楕円(繭繊維として知られている)、長方形又は実質的に長方形の断面積を有する。
使用されるフラットガラス繊維の更なる特徴的な要素は、主断面軸の長さが、好ましくは6〜40μmの範囲、特に15〜30μmの範囲であり、第二断面軸の長さが3〜20μmの範囲であり、特に4〜10 μmの範囲であることである。
本発明の成形組成物を強化するために円形及び非円形の断面積を有するガラス繊維の混合物を使用することもでき、上記で定義されたように、フラットガラス繊維の割合は、好ましくは主成分となる割合で、すなわち、繊維の全質量の50質量%を超える。
本発明に従って粗紡糸として使用されるガラス繊維(フィラー成分B)は、直径が10〜20 μmであり、好ましくは12〜18 μmであり、ガラス繊維の断面は、円形、長円形、楕円形、実質的に長方形又は長方形とすることができる。特に好ましくは、2〜5の断面軸の比を有するフラットガラス繊維を用いる。特に、E-ガラス繊維が本発明に従って使用される。しかしながら、全てのほかのタイプのガラス繊維、例えば、A-、C-、D-、M-、S-、R-ガラス繊維、又はそれらの混合物、又は、E-ガラス繊維との混合物を使用することもできる。
本発明のポリアミド成形組成物は、長繊維-強化棒状のペレットを製造するための公知の方法、特に、長繊維粗紡糸が完全に融解ポリマーに含浸され、次いで冷却され、切断される引抜成形法によって製造されても良い。この方法で得られた長繊維-強化棒状のペレットは、好ましくはペレット長3〜25mm、特に4〜12mmを有し、更に加工されて一般的な加工方法(例えば射出成形、圧縮成形)で成形体を製造することもできる。
ガラス繊維自体は、繊維の断面積の形及び長さに応じて、E-ガラス繊維、A-ガラス繊維、C-ガラス繊維、D-ガラス繊維、M-ガラス繊維、S-ガラス繊維、及び、R-ガラス繊維からなる群から選択でき、好ましくは、E-ガラス繊維を使用する。
成分(B)のフィラー及び強化剤も、また、粒状のフィラー、又は、繊維と粒状のフィラーとの混合物でありうる。好ましくは、粒状のフィラーとして、タルク、マイカ、シリケート、水晶、二酸化チタン、珪灰石、カオリン、アモルファスシリカ、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、チョーク、石灰、長石、硫酸バリウム、固体又は中空ガラス球又は粉末ガラス、永久磁石又は磁化可能な金属化合物、及び/又は、合金、又は、混合物をベースとする無機フィラーが使用される。フィラーは表面修飾されてもよい。
好ましくは、成分(C)は、60〜100質量%、好ましくは70〜98質量%、特に好ましくは80〜96質量%のホスフィン酸塩、及び/又は、ジホスフィン酸塩、及び、0〜40質量%か、2〜30質量%か、4〜20質量%の窒素含有相乗剤、及び/又は、窒素及び/又はリン含有難燃剤から構成され、最後の記載の場合は、好ましくは、メラミン及びメラミンの縮合生成物、特に、メレム、メラム、メロン、及び、ポリリン酸とメラミンの反応生成物、ポリリン酸とメラミンの縮合生成物の反応生成物、並びに、それらの混合物、特にメラミンポリリン酸塩から選択される。
成分(C)中、又は、全成分(C)を形成する難燃剤は、好ましくは60〜100質量%、より好ましくは70〜98質量%、特に80〜96質量%のホスフィン酸塩、及び/又は、ジホスフィン酸塩(成分(C1))、及び0〜40質量%の、好ましくは2〜30質量%の、特に4〜20質量%の窒素含有相乗剤、及び/又は、窒素及びリン含有難燃剤(成分(C2))である。
成分(C2)として、特に好ましいのは、メラミンポリリン酸塩である。このような難燃剤は、従来技術で知られている。この点において、DE 103 46 326を参照することができ、ここでこの文献は、参照により明確に本明細書に組み込まれる。
成分(C1)として、好ましくは、一般式(I)及び/又は一般式(II)のホスフィン酸塩及び/又はそれらのポリマーを用いる。
R1、R2は、同一又は異なっており、夫々好ましくは、直鎖又は分枝のC1-C8-アルキル、又はアリールであり;
R3は、直鎖又は分枝のC1-C10-アルキレン、C6-C10-アリーレン、-アルキルアリーレン、又は、アリールアルキレンであり;
Mは、周期表の2族又は3族の典型又は遷移金属イオンであり;そして
mが2又は3であり;
nが1又は3であり;
xが1又は2である。)
金属イオンMとして、好ましくは、Al、Ca、Ba及びZnを含む。
本発明のコポリアミドは、相乗剤(C2)を添加しなかった場合でさえ、防火区分「V0」を達成する。従って、添加される難燃剤は、好ましくは、成分C1及びC3と共にのみから構成される。
成形組成物は、安定剤、加工助剤、衝撃改質剤、及び別の添加剤を含んでも良い。
本発明の成形組成物中で、層状ケイ酸塩として、例えば、カオリン、蛇紋石、タルク、マイカ、バーミキュライト、イライト、スメクタイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、複水酸化物又はそれらの混合物を使用することができる。層状ケイ酸塩は、表面処理されても良いし、処理されなくても良い。
本発明のポリアミドは、前縮合(precondensate)及び後縮合(after-condensation)の連続プロセスによって一般的な重縮合プラントで製造されうる。好ましくは、鎖レギュレーター(chain regulator)は、粘度を調整するために重縮合プロセスで使用される。好ましい鎖レギュレーターは、モノアミン又は一塩基酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、2-エチルヘキサン酸、シクロヘキサン酸、安息香酸、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、2-エチルヘキシルアミン、n-オクチルアミン、n-ドデシルアミン、n-テトラデシルアミン、n-ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、3-(シクロヘキシルアミノ)プロピルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、2-フェニルエチルアミンなどである。更に、粘度は、過剰なジアミン又は二塩基酸を用いることで調製されてもよい。
重縮合触媒としては、好ましくは、0.005〜1.5質量%のリン化合物、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸及び/又は、一価から三価のカチオン、例えば、Na、K、Mg、Ca、Zn又はAlを有するそれらの塩、及び/又は、それらのエステル、例えば、トリフェニルホスファート、トリフェニルホスファイト又はトリス(ノニルフェニル)ホスファイトが、好ましくはモノマー混合物に添加される。好ましくは、次亜リン酸、及び、次亜リン酸水素ナトリウム一水和物を提供し、ここでリンの量は、コポリアミドをベースとして100〜500 ppmである。
更に、本発明は、当該ポリアミド成形組成物で少なくとも部分的に構成される成形体の使用法も提供する。このような使用法とは、例えば、印刷回路板の一部、ハウジング部材、フィルム、コンジット、スイッチ、配電器、継電器、抵抗体、キャパシタ、コイル、ランプ、ダイオード、LED、トランジスター、コネクター、レギュレーター、記憶装置、及び、センサーである。更なる態様は、独立請求項に示される。
本発明の好ましい形態を以下に示し、部分的に、説明の目的で単に役立つ図面を用いるが、制限するものとして解釈されるものではない。
本発明は、特定の実施例で以下に説明され、従来技術に従った低性能の系と比較される。以下に示される実施例は、本発明を支持することと、従来技術との違いを明示する役割を果たすが、請求項に定義される発明の一般的な対象を制限として解釈されない。
ポリアミドを、前縮合と後縮合の連続法によって製造した。表1及び2に示される調合成分を、触媒、レギュレーター及び水と一緒に20Lのオートクレーブに入れて、50〜80分間、260℃の製造温度に加熱し、1時間32バールの圧力下で保持し、次いで、ノズルから吐出させた。前縮合物を、24時間、30ミリバールの減圧下で、120℃で乾燥させた。
このようにして得られたポリアミド前縮合物を、前述したプロセスパラメーター(バレル温度:340℃、スクリューの回転速度:150 rpm、スループット:6 kg/時間)で、25mmの直径のスクリューを有するツインスクリュー押出機(Werner&Pfleiderer製)を用いて後縮合した。融解物を、ゾーン10で窒素ストリームを用いて脱気させた。生成物を直径3mmのノズルから押出物として吐出(take off)させ、ペレット化した。ペレットを100℃で30ミリバールの減圧下で、24時間乾燥させた。
ポリアミドを、Arburg Allrounder 320-210-750射出成形機を用いて、ゾーン1から4の定義されたバレル温度及び定義された金型温度で射出成形し、ISO試験片を製造した。
比較例C1〜C3及びC7は、純粋コポリアミド、すなわち、フィラー及び強化剤、難燃剤を含まず、本質的に添加剤を含まない;比較例C4〜C6及びC8は、比較例C1〜C3及びC7のコポリアミドを用いるが、表3で示された量のフィラー及び強化剤、難燃剤、及び、添加剤が添加されたものとした。
表1:比較例(US 4,607,073に従ったC1、JP 2928325に従ったC2、及び、EP 1 988 113に従ったC3)
本発明に従ったポリアミドの製造を、比較例C3のポリアミドの製造と同様の方法で行なった。表2のように調合成分を、触媒、レギュレーター及び水と一緒に用いた。
実施例E1〜E8及びE14は、表2に示される割合のように、成分(A)の純粋コポリアミド、すなわち、フィラー及び強化剤、難燃剤を含まず、本質的に添加剤を含まない;実施例E9〜E13及びE15では、夫々表3に示されたように実施例E1、E5及びE14のコポリアミドを使用したが、表3に記載された量のフィラー及び強化剤、難燃剤を含み、添加剤を添加した。
表2:実施例E1〜E8及びE14及び比較例C7の未加工ポリアミドの組成と特性:比較例C3と同様の射出成形条件
Melapur(登録商標)200/70:メラミン ポリリン酸塩(Ciba Spez. GmbH)、難燃剤、CAS No: 218768-84-4
Exolit(登録商標)GP1230:オルガノリン塩(Clariant Produkte GmbH)、難燃剤
Alugel 34TH:ステアリン酸アルミニウム添加剤(Baerlocher製)
Irganox 1098:立体のヒンダードフェノール系酸化防止剤(Ciba Spez. GmbH)
Vetrotex 995:長さ4.5mmで直径10μmのカットガラス繊維(円形断面)(Owens Corning Fiberglas製)
比較される系C3において吸水率は低かったが、はんだぬれ性は、はじめに示されたように、多くの実際的応用で十分なものではなかった。
表3のように、フィラー及び強化剤、難燃剤及び添加剤を含むポリアミド成形組成物に関しても、比較例C4〜C6で比較された場合に、夫々の場合において、本発明に従った系が、低吸水率と高はんだぬれ性の間でより良い解決をもたらすことが分かった。
驚くことに、C7とE14の比較、及びC8とE15の比較により、明確で印象的なことには、本発明に従って使用される直鎖(非分枝)の脂肪族ジアミンC9-C12(E14、E15)をベースとする場合と比較して、分岐ジアミンC9-C12をベースとすると、はんだ付け可能な成形組成物が、得られないことが分かった。
測定は、以下の標準に従って、以下の試験片を用いて行なわれた。
融解点、融解エンタルピー及びガラス転移温度(Tg):
ISO標準 11357-11-2
ペレット
示差走査熱量測定(DSC)を、20℃/分の加熱速度で行なった。
ガラス転移温度(Tg)に関しては、開始温度を記載した。
≪相対粘度≫:
DIN EN ISO 307、0.5質量%濃度のm-クレゾール溶液中、温度20℃
ペレット
≪Tensile E modulus, 引張強度及び引裂強度≫:
ISO 527(伸張速度50 mm/分(非強化変形)又は伸張速度5 mm/分(強化変形))
ISO引張棒材、標準:ISO/CD 3167、タイプAl、170 x 20/10 x 4 mm、温度23℃
≪シャルピー衝撃靭性≫:
ISO 179/*eU
ISO 試験棒材、標準:ISO/CD 3167、タイプB1、80 x 10 x 4 mm、温度23℃
* 1 = 非計装化、 2 = 計装化
≪シャルピーノッチ付衝撃靭性≫:
ISO 179/*eA
ISO 試験棒材、標準:ISO/CD 3167、タイプB1、80 x 10 x 4 mm、温度23℃
* 1 = 非計装化、2 = 計装化
≪吸水率≫:
95℃で、336時間水中で、ISO 527に従った引張棒材の質量変化
0.8、1.6及び3.2 mmの厚みを有するUL94焼成棒材(burning bar)を射出成形した。これらの棒材を、85℃及び85%相対湿度で、168時間、Allen 600制御CAキャビネット(Angelantoniインダストリーズs.p.a(IT)製)を用いて、Joint Industry Standard IPC/JEDEC J-STD-020D.1に記載されているように、湿度感度レベル1(SML 1)で保持した。次いで、3つの異なる厚みの5つの試験棒材を、夫々プレートにおいて(片側加熱)、リフローはんだ付けシステムRO300FC(Essemtec AG(CH)製)で、200mm/分のベルト速度で輸送した。加熱ゾーンを表4に示される温度に設定した。ピーク温度260℃で、1.6mmの厚みのUL94焼成棒材を用いて、テスト2(片側)で上述したはんだ付けプロフィールを得た。図1に示すように、1.6mmの厚みのUL94焼成棒材の表面温度は54秒間で255℃を超え、22秒間で260℃を超えた。次いで、3つの異なる厚みの5つの試験棒材を夫々、プレートなしで直接ワイヤーメッシュの上に置いたので、両側が加熱された。はんだぬれ性を計算するために、ブリスターなしの試験棒材の数を試験された試験棒材の合計数(= 90)で割り、100%を乗じた。
表4:リフローはんだ付けシステムの加熱ゾーンの温度設定
1.6 mm厚みUL94バーニング棒材で、湿度感度レベル1(SML 1)に達した。このことは、ブリスターを表4のようにテスト2(片側)の条件下で測定できなかったことを意味し、85℃で85%相対湿度にて、168時間の条件の後に図1で示される温度プロフィールを意味する。
Claims (22)
- 以下の構成を有するポリアミド成形組成物:
(A)30〜100質量%の部分芳香族の、部分結晶コポリアミドで、
72.0〜98.3質量%のテレフタル酸(TPA)及び/又はナフタレンジカルボン酸、及び、28.0〜1.7質量%のイソフタル酸(IPA)から構成される、100質量%の二塩基酸フラクション、及び、
51.0〜80.0質量%の1,6-ヘキサンジアミン(HMDA)、及び、20.0〜49.0質量%の脂肪族の非分枝C9-C12-ジアミンから構成される、100質量%のジアミンフラクション
から構成されるコポリアミド;
(B)0〜70質量%のフィラー、及び、強化剤;
(C)0〜25質量%の難燃剤;
(D)0〜5質量%の添加剤;
(ここで、成分(A)〜(D)は合計で100質量%となる)。 - 脂肪族の非分枝C9-C12-ジアミンが、
1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、及び、これらのジアミンの混合物からなる群から選択されるジアミンである、請求項1に記載のポリアミド成形組成物。 - 成分(A)のジアミンフラクションが、
55.0〜75.0質量%の1,6-ヘキサンジアミン(HMDA)、及び、25.0〜45.0質量%の脂肪族の非分枝C9-C12-ジアミンから構成される、請求項1又は2に記載のポリアミド成形組成物。 - 成分(A)のジアミンフラクションが、
55.0〜70.0質量%の1,6-ヘキサンジアミン(HMDA)、及び、30.0〜45.0質量%の脂肪族の非分枝C9-C12-ジアミンから構成される、請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。 - 成分(A)の二塩基酸フラクションが、
72.0〜98.3質量%のテレフタル酸(TPA)及び/又はナフタレンジカルボン酸、及び、
ジアミンフラクションの百分率で、脂肪族の非分枝C9-C12-ジアミンの含有量のフラクションに応じて決定される、以下の式に従った質量%範囲(但し+/-5質量%の範囲である)の含有量のイソフタル酸(IPA)から構成される、
IPA (質量%) = (39 − 0.7*C9-C12-ジアミンの含有量(質量%))
請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。 - 成分(A)の二塩基酸フラクションが、
72.0〜98.3質量%のテレフタル酸(TPA)及び/又はナフタレンジカルボン酸、及び、
ジアミンフラクションの百分率で、脂肪族の非分枝C9-C12-ジアミンの含有量のフラクションに応じて決定される、以下の式に従った質量%範囲(但し+/-2質量%の範囲である)の含有量のイソフタル酸(IPA)から構成される、
IPA (質量%) = (39 − 0.7*C9-C12-ジアミンの含有量(質量%))
請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。 - 成分(B)の割合が、
20〜65質量%の範囲内である、請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。 - 20℃の温度で0.5質量%のm-クレゾール中で測定された、成分(A)の部分芳香族の、部分結晶コポリアミドの溶液粘度が、
2.0以下である、請求項1〜7のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。 - 成分(A)の部分芳香族の、部分結晶コポリアミドが、
110〜140℃の範囲のガラス転移温度を有し、及び/又は、
成分(A)の部分芳香族の、部分結晶コポリアミドが、
300〜330℃の範囲の融解点を有する、請求項1〜8のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。 - 成分(A)の部分芳香族の、部分結晶コポリアミドが、
30〜60 J/gの範囲の融解エンタルピーを有する、請求項1〜9のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。 - 成分(A)及び/又は全ポリアミド成形組成物が、
ISO527に従った5質量%未満の吸水率を、95℃の温度で336時間後の水中で有する、請求項1〜10のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。 - 成分(B)のフィラー及び強化剤が、
繊維である、請求項1〜11のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。 - 成分(B)のフィラー及び強化剤が、
ガラス繊維、及び、カーボン繊維の少なくとも1つからなる群から選択される繊維であり、
前記繊維は、2〜50 mmの範囲の長さを有する短繊維又は長繊維の形態をとることができ、かつ、円形又は非円形の断面積を有し、
非円形の断面積を有する繊維の場合において、主断面軸対第二断面軸の長さの比が、2超過である、請求項1〜12のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。 - 成分(B)のフィラー及び強化剤が、
主断面軸対第二断面軸の長さの比が、2〜5の範囲である、非円形の断面積を有するガラス繊維である、
請求項1〜13のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。 - 成分(B)のフィラー及び強化剤が、
粒状のフィラー、又は、繊維と粒状のフィラーとの混合物である、
請求項1〜14のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。 - 成分(B)のフィラー及び強化剤が、
粒状のフィラーとして、タルク、マイカ、シリケート、水晶、二酸化チタン、珪灰石、カオリン、アモルファスシリカ、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、チョーク、石灰、長石、硫酸バリウム、固体又は中空ガラス球又は粉末ガラス、永久磁石又は磁化可能な金属化合物、及び、合金、並びに、その混合物をベースとする無機フィラーの群から選択される、
粒状のフィラー、又は、繊維と粒状のフィラーとの混合物である、
請求項1〜15のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。 - 成分(C)の割合が、
8〜25質量%の範囲内である、請求項1〜16のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。 - 成分(C)の割合が、
10〜18質量%の範囲内であり、
成分(C)の60〜100質量%が、ホスフィン酸塩、及び、ジホスフィン酸塩の少なくとも1つ、0〜40質量%が窒素含有相乗剤、及び、窒素又はリン含有難燃剤の少なくとも1つから構成され、
窒素含有相乗剤、及び、窒素又はリン含有難燃剤が、メラミン及びメラミンの縮合生成物、並びに、それらの混合物から選択される、請求項1〜17のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。 - 成分(C)の割合が、
10〜18質量%の範囲内であり、
成分(C)の60〜100質量%が、ホスフィン酸塩、及び、ジホスフィン酸塩の少なくとも1つ、0〜40質量%が窒素含有相乗剤、及び、窒素又はリン含有難燃剤の少なくとも1つから構成され、
窒素含有相乗剤、及び、窒素又はリン含有難燃剤が、メレム、メラム、メロン、及び、ポリリン酸とメラミンの反応生成物、ポリリン酸とメラミンの縮合生成物の反応生成物、並びに、それらの混合物から選択される、請求項1〜18のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。 - 安定剤、加工助剤、無機安定剤、有機安定剤、潤滑剤、染料、核形成剤、金属顔料、金属フレーク、金属被覆粒子、衝撃改質剤、静電防止剤、伝導性添加剤、離型剤、光学的光沢剤、天然層状ケイ酸塩、合成層状ケイ酸塩、又は、上述の添加剤の混合物が、
成分(D)の添加剤として存在する、請求項1〜19のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。 - 請求項1〜20のいずれかに記載のポリアミド成形組成物を用いて製造される成形体。
- 請求項1〜20のいずれかに記載のポリアミド成形組成物を用いて製造される成形体であって、
電気及び電子部材、印刷回路板、印刷回路板の一部、ハウジング部材、フィルム、コンジットの形態、スイッチ、配電器、継電器、抵抗体、キャパシタ、コイル、ランプ、ダイオード、LED、トランジスター、コネクター、レギュレーター、記憶装置、及び/又は、センサーの形態である、成形体。
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