JP5796070B2 - 生分解性濃縮中性洗浄剤組成物 - Google Patents

Description

（相互参照）
本願は、参照により本明細書に完全に組み込まれる、２０１０年７月２３日出願の米国特許仮出願第６１／４００，１７５号の優先出願日を主張する。

本発明は、金属の洗浄、その変色または染色の防止、およびそれらの腐食からの保護に非常に効果的な、生分解性濃縮中性液体洗浄剤組成物に関する。本洗浄剤組成物は、ケイ酸塩を含まず、鉄および鋼などの硬質な金属よりも洗浄および保護が困難な、銅、アルミニウム、または真ちゅうなどの軟質金属によく適している。本濃縮組成物は、様々なクラスの生分解性化合物、例えば、キレート剤、腐食防止剤、金属イオン封鎖剤、ヒドロトロープ、および界面活性剤などを含む構成成分の適切な選択および選択できるその量を包含する。

多くの手術器具洗浄化学は、手術用器具および洗浄装置への水の損傷作用を軽減するのに役立つ腐食防止剤成分およびキレート化剤を含有する。

手術器具および用具を処理する際に腐食を制御することは、前記装置の安全かつ効果的な操作を維持するのに重要である。多くの器具および用具は、銅、真ちゅう、アルミニウムおよび陽極酸化アルミニウムなどの軟質金属を含む。これらの軟質金属は、それらが処理されている洗浄剤と水の両方からの損傷に非常に影響されやすい。一般に、中性洗浄の化学が、これらの金属を処理するために使用される。この中性の化学は、多くの場合、それらを特定の用途に使用できなくするケイ酸塩腐食防止剤を含有する。また、それらは、処分の懸念をもたらす環境に優しくない腐食防止剤も含有する。

これまで、スケール制御は、キレート剤かまたはスケール抑制剤のいずれかを用いることにより達成されてきた。ＥＤＴＡ（エチレンジアミン四酢酸）、ＮＴＡ（ニトリロ三酢酸）、リン酸塩、およびホスホン酸塩などのキレート剤は、カルシウムイオンまたはマグネシウムイオンと１対１のモル比で化学的に結合することにより、カルシウムおよびマグネシウムスケールを抑制する。ＥＤＴＡ、ＮＴＡ、および多くのその他の従来のキレート剤およびスケール抑制剤は、環境に優しくない。その上、濃縮洗浄剤中の使用レベルは、通常１０％以上であり、それらのマイナスの影響を増加させる。ポリアクリル酸などのスケール抑制剤は、炭酸カルシウムの結晶構造を妨げ、炭酸カルシウム塩が凝集し、沈殿するほど大きい粒子となることを防ぐ。

本発明の組成物に関連する米国特許第６，８４６，７９３号は、１〜１０のＨＬＢ値を有する界面活性剤、および式（Ｉ）：

（式中、ｘは、２〜６の整数であり、ｙは、０〜５の整数であり、Ｒは、結合であるかまたは（Ｃ_１−Ｃ_４）アルキレンであり、Ｒ_１は、水素、ハロ、アリール、（Ｃ_１−Ｃ_４）アルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリル（ｈｅｔｅｒｏｃｙｃｙｌ）であり、かつ、Ｒ_２は、独立に、水素、ハロ、（Ｃ_１−Ｃ_４）アルキル、（Ｃ_１−Ｃ_４）アルコキシ、（Ｃ_２−Ｃ_４）アルケニレンから選択される。）の化合物を含む。

米国特許第６，６８６，３２５号は、アルカリ感受性金属洗浄組成物に関する。アルカリ感受性金属洗浄組成物は、アルカリ濃縮物および腐食防止剤濃縮物を含有する。アルカリ濃縮物には、少なくとも１０．０のｐＨを有する使用溶液を得るために十分な量のアルカリ度源、および少なくとも１０．０のｐＨで使用した場合に汚れ（ｓｏｉｌ）除去特性を示す第１のキレート剤成分が含まれる。腐食防止剤濃縮物には、少なくとも１０．０のｐＨを有する使用溶液中で使用される場合にアルカリ感受性金属の腐食を低下させるための腐食防止剤成分、腐食防止剤濃縮物が８．０未満のｐＨで提供される場合に腐食防止剤濃縮物中で腐食防止剤を安定させるための第２のキレート剤成分、および、少なくとも１０．０のｐＨで用いる場合に洗浄特性を得るための界面活性剤成分が含まれる。

米国特許第７，５９７，７６６号、同第７，６４２，２２４号、および同第７，６４８，５８３号は、飲用水中に約１／４０オンス／ガロン〜約１／１０オンス／ガロンに希釈した場合にスケール制御および腐食抑制特性を有する、医療器具および金属成分（部品、ツール、用具、容器、装置、および表面）の洗浄で用いるための水性濃縮中性洗浄剤組成物に関する。その上、この濃縮物は、金属表面、例えばステンレス鋼などに直接適用され、さらなる腐食またはその他の損傷を金属表面に引き起こすことなく、さびおよびその他の汚れ（ｓｔａｉｎ）を除去することができる。

米国特許出願公開第２００８／０１０８５３９号は、特に食品産業および製薬産業における、アルカリ性条件下で、アルミニウムまたは着色された金属およびその合金の表面のための腐食抑制系、特に洗浄および腐食を抑制する組成物に関する。洗浄および腐食を抑制する組成物は、腐食防止剤として、該特許に示される一般式を有する少なくとも１つのアルキレンオキシアルキルホスフェートジ−もしくはトリエステルを含む。

米国特許出願公開第２００８／０２２１００６号は、アルカリ度源と、１以上の界面活性剤、１以上のヒドロトロープ、およびＵＶ分析可能な界面活性剤をさらに含む生分解性界面活性剤系と、生分解性キレート化剤とを含む、水性のアルカリ性洗浄組成物に関する。

米国特許出願公開第２００９／０２９８７３８号は、従来のアルカリ性洗浄剤よりもはるかに低いアルカリ含量で洗浄効力を有し、かつ、飲用水に、さらに例外的に硬水に約１／４０オンス／ガロン〜約１／１０オンス／ガロンに希釈した場合でさえも、スケール制御特性の向上した、硬い表面、医療器具およびその他の金属成分（部品、ツール、用具、容器、装置）を洗浄する際に使用するためのアルカリ性濃縮洗浄剤組成物に関する。

国際公開第２００９／１２５３３５号は、アミンオキシド界面活性剤、水溶性溶媒、アルカリ度源、キレート化剤およびヒドロトロープを含む、実質的に非水系の濃縮組成物に関し、該濃縮物組成物は水溶性溶液を調製するのに有用である。該組成物には、所望により、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、腐食防止剤、染料、香料、または防腐剤のいずれか１つまたはそれらの組合せが含まれてよい。

国際公開第２００９／１２５３３６号は、アミンオキシド界面活性剤、アルカリ金属水酸化物、第２のアルカリ度源、キレート化剤、非イオン性界面活性剤、および硬化剤を含む、実質的に非水系の固体濃縮組成物に関し、該濃縮組成物は、水溶液を調製するのに有用である。該組成物には、所望により、陰イオン性界面活性剤、腐食防止剤、染料、香料、または防腐剤のいずれか１つまたはそれらの組合せが含まれてよい。本発明の超濃縮組成物は、固体送達に適している。

米国特許第６，８４６，７９３号明細書 米国特許第６，６８６，３２５号明細書 米国特許第７，５９７，７６６号明細書 米国特許第７，６４２，２２４号明細書 米国特許第７，６４８，５８３号明細書 米国特許出願公開第２００８／０１０８５３９号明細書 米国特許出願公開第２００８／０２２１００６号明細書 米国特許出願公開第２００９／０２９８７３８号明細書 国際公開第２００９／１２５３３５号パンフレット 国際公開第２００９／１２５３３６号パンフレット

手術器具などの金属、および、銅、アルミニウムなどの軟質金属を洗浄する際に効果的であり、その腐食も防ぐ、生分解性濃縮中性液体洗浄剤組成物が開示される。この洗浄剤は、大量のカルシウムおよびマグネシウムイオンを含有する硬水環境で非常に効果的である。その他の利点としては、優れた有効期間などの安定性が抜群であること、そして該洗浄剤組成物が高濃縮性であり、高度に希釈され得ることが挙げられる。該洗浄剤組成物は、通常、上に示される利点を得るために、様々な選択された量の異なる成分、例えば様々なキレート、様々な腐食防止剤、アルカリ源、少なくとも１つの金属イオン封鎖剤、少なくとも１つのヒドロトロープ、および様々な界面活性剤などを含む。

本発明の一態様では、濃縮中性洗浄剤組成物は、１以上の非イオン性界面活性剤、任意の１以上のヒドロトロープを含む界面活性剤系と、１以上のキレート剤、および所望により１以上の金属イオン封鎖剤を含む、硬水スケール制御系と、１以上の緩衝剤を含む緩衝剤系と、１以上の腐食防止剤を含む腐食抑制と、水とを含み、前記中性洗浄剤組成物は、約５．５〜約８．５のｐＨを有する。

本発明のさらなる態様は、１以上のキレート剤、１以上の任意の金属イオン封鎖剤、１以上の腐食防止剤、少なくとも約５．５のｐＨを得るための、１以上の緩衝剤、少なくとも１つのヒドロトロープを含む、１以上の非イオン性界面活性剤、および水を添加および混合する工程を含む、生分解性濃縮中性洗浄剤組成物を製造するための方法を含む。

本発明の生分解性中性洗浄剤組成物は、それらがキレート剤および任意の金属イオン封鎖剤を含むスケール制御系を利用することによりスケール形成を防ぐという点で、硬水において効果的である。キレート剤は、カルシウムまたはマグネシウムなどの中央金属イオンが、配位結合（ｃｏｏｒｄｉｎａｔｅ ｌｉｎｋｓ）によって、リガンドと呼ばれる同じ分子中の２以上の非金属原子に結合している、ある種の配位化合物である。カルシウムもしくはマグネシウム陽イオンと化合することにより、それらはこれらの陽イオンが炭酸塩陰イオンと相互作用することを防ぎ、従ってスケール形成を防ぐ。また、それらは、亜鉛、鉄、または銅などの金属が金属基板（それらがステイニング（ｓｔａｉｎｉｎｇ）または腐食を引き起こす可能性がある）に堆積するのを防ぐ。

本開示全体にわたって使用されるように、用語「活性量」とは、指定された化学成分、例えばキレート剤、腐食防止剤、または界面活性剤などそれ自体の量を意味する。成分中の残りの量は、油、水、または一部のその他の希釈剤のいずれかであり得るキャリアとなる。従って、１００重量％の本発明の生分解性濃縮中性洗浄剤組成物は、様々な成分、例えばキレート剤、および腐食防止剤それ自体を含有し、残りは１００重量％の組成物を形成する様々な成分の任意のキャリアである水の量である。

適したキレート剤系には、通常、有機酸、例えばメチルグリシン二酢酸またはその塩、例えばメチルグリシン二酢酸三ナトリウム（Ｔｒｉｌｏｎ Ｍ）など、イミノジコハク酸またはその塩、例えばイミノジコハク酸四ナトリウム（Ｂａｙｐｕｒｅ ＣＸ １００／３４またはＢａｙｐｕｒｅ ＣＸ １００ Ｓｏｌｉｄ Ｇ）、および［Ｓ，Ｓ］−エチレンジアミン−Ｎ，Ｎ’−ジコハク酸（Ｎａｔｒｌｑｕｅｓｔ Ａ６５またはＮａｔｒｌｑｕｅｓｔ Ｅ３０）などが含まれる。望ましくは、２以上のキレート剤のブレンド、例えばイミノジコハク酸四ナトリウムおよびメチルグリシン二酢酸三ナトリウムなどが本発明で使用される。使用される１以上のキレート剤の総活性量は、濃縮中性洗浄剤組成物の総重量に基づいて約０．５〜約７重量％または約９重量％、望ましくは約１．０〜約５重量％、好ましくは約１．５〜約３重量％である。

好ましいキレート剤系は、メチルグリシン二酢酸三ナトリウム、およびその他の同様のキレート剤を、約０．２０〜約３重量％、望ましくは約０．４〜約２重量％、好ましくは約０．６〜約１．６重量％の活性量で含有するが、イミノジコハク酸四ナトリウムおよびその他の同様のキレート剤は、生分解性濃縮中性洗浄剤組成物の総重量に基づいて、約０．２〜約４重量％、望ましくは約０．４〜約３重量％、好ましくは約０．７〜約１．５重量％の活性量で含有されている。これらのキレート剤は、中性溶液中で非常に安定していることが見出され、生分解性であり、易水溶性である。

また、１以上の任意の金属イオン封鎖剤の使用も、硬水により引き起こされるスケール形成を防ぐのに役立つ。金属イオン封鎖剤は、非常に効果的なスケールならびに腐食防止剤であり、従って、通常、高度に飽和した硬水中でさえ、スケール形成を制御するために必要である化学量論濃度よりもずっと少ない。カルシウムまたは炭酸マグネシウムの形成を防ぐよりもむしろ、それらは、小型のカルシウムおよび炭酸マグネシウム粒子と相互作用し、それらが凝集して硬いスケール堆積物となるのを防ぐ。これらの粒子は互いをはね返し、水に懸濁されたままになるか、または、沈降し、容易にすすぎ落とすことのできるゆるい凝集体を形成する。有効量の１以上の活性金属イオン封鎖剤は、生分解性濃縮中性洗浄剤組成物の総重量に基づいて、約０．１〜約３または約５重量％または約６重量％、望ましくは約０．２〜約２重量％、好ましくは約０．２５〜約１重量％である。適した金属イオン封鎖剤としては、アミノトリメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラ（メチレンホスホン酸）ヘキサカリウム塩、および望ましくはカルボン酸塩置換度（ＤＳ）が約２．５のナトリウムカルボキシメチル（ｃａｒｂｏｘｙｌｍｅｔｈｙｌ）イヌリンが挙げられる。全ての金属イオン封鎖剤が本発明において有用であることが見出されたわけではない（例えば、ポリアスパラギン酸ナトリウム（Ｂａｙｐｕｒｅ ＤＳ１００）、ポリアクリル酸、ＧＬＤＡ（グルタミン酸、Ｎ，Ｎ−二酢酸、および四ナトリウム塩（Ｄｉｓｓｏｌｖｉｎｅ ＧＬ−４５−Ｓ）など）。つまり、本発明は、これらの化合物を本質的に含まず、使用する場合にはその量は非常に少ない、つまり、通常、生分解性濃縮中性洗浄剤組成物の総重量に基づいて、約０．２５重量％未満、望ましくは０．０７５重量％未満、好ましくは０．０５重量％未満である。

本発明の重要な態様は、洗浄剤ならびに硬水などの水からの損傷に影響されやすい銅、真ちゅう、アルミニウム、および陽極酸化アルミニウムなどの金属を保護するために１以上の腐食防止剤を含有する腐食抑制系を使用することである。一般に、銅および真ちゅうを保護する腐食防止剤は、一般に、窒素含有有機化合物、例えばアミン、アミダゾール、ジアゾール、トリアゾール、カルボン酸、およびベタイン（例、オクチルベタイン）である。そのような化合物の例としては、アゾール類、例えばメルカプトベンゾチアゾール、芳香族トリアゾールおよびそれらの塩、例えばベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、およびトリルトリアゾールナトリウムなど、ウンデカン二酸（Ｉｒｇａｃｏｒ ＤＣ １１）、ドデカン二酸（Ｉｒｇａｃｏｒ ＤＣ １２）、エタノール２，２’−［［メチル−１Ｈ−ベンゾトリアゾール−１−イル）メチル］イミノ］ビス−（Ｉｒｇａｍｅｔ ４２）、６，６’，６”−（１，３，５−トリアジン−２，４，６−トリイルトリイミノ）トリス（ヘキサン酸）（Ｉｒｇａｃｏｒ Ｌ１９０）、ホスホノブタントリカルボン酸（Ｂａｙｈｉｂｉｔ ＡＭＲ）およびドデシルジメチルアンモニウムビカルボネート／カルボネート（ＣａｒｂｏＳｈｉｅｌｄ １０００）などが挙げられる。望ましい腐食抑制系としては、１成分として、通常、黄色の金属（銅、真ちゅうなど）のために、トリルトリアゾールナトリウム、ナトリウムベンゾトリアゾール、または２，２’−［［メチル−１Ｈ−ベンゾトリアゾール−１−イル）メチル］イミノ］ビス−のいずれかが挙げられ、その他の成分として、通常、アルミニウムのために、６，６’，６”−（１，３，５−トリアジン−２，４，６−トリイルトリイミノ）トリス（ヘキサン酸）、またはドデシルジメチルアンモニウムビカルボネート／カルボネートが挙げられる。非常に好ましい本発明の腐食防止剤の組合せは、６，６’，６”−（１，３，５−トリアジン−２，４，６−トリイルトリイミノ）トリス（ヘキサン酸）、およびトリルトリアゾールナトリウムと、ホスホノブタントリカルボン酸である。

１以上の腐食防止剤の活性量は、通常、生分解性濃縮中性洗浄剤組成物の総重量に基づいて、約１．０〜約１３重量％または約１５重量％、望ましくは約１．５〜約１０重量％、好ましくは約１．７５〜約５重量％である。好ましいトリルトリアゾールナトリウムの活性量は、通常、生分解性濃縮中性洗浄剤組成物の総重量に基づいて、約０．１〜約３重量％、望ましくは約０．１５〜約２重量％、好ましくは約０．２〜約０．８重量％である。好ましいメラミントリスヘキサン酸（ｔｒｉｓｈｅｘｏｎｏｉｃ ａｃｉｄ）の活性量は、通常、生分解性濃縮中性洗浄剤組成物の総重量に基づいて、約１．０から約８重量％まで、望ましくは約１．５から約５重量％まで、好ましくは約１．７５から約４．５重量％に及ぶ。

本発明のもう一つの重要な態様は、濃縮洗浄剤組成物の所望の中性ｐＨを維持するために緩衝剤系を使用することである。適切なｐＨは、洗浄剤組成物の物理的安定性および様々な金属との適合性に関して重要である。適した緩衝剤化合物としては、メラミントリスヘキサン酸などの腐食防止剤を可溶化する働きもすることのできる、アルカリまたはアミン源である。また、適した緩衝剤としては、様々なアルコールアミン、例えばエタノールアミンまたはトリエタノールアミン（ＴＥＡ）など、および少量の水酸化物、例えば水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムなども挙げられる。その他の適した緩衝剤としては、有機酸、例えばクエン酸、グリコール酸、または乳酸などが挙げられる。有効量の緩衝剤は、中性のｐＨ、例えば約５．５〜約８．５、好ましくは約６〜約８を維持するために使用される。適した活性量の１以上の緩衝剤は、化合物の種類によって変動するが、通常、生分解性濃縮中性洗浄剤組成物の総重量に基づいて、約０．５から約６重量％まで、または約８重量％まで、望ましくは約１から約４．５重量％まで、好ましくは約１．５から約３重量％に及ぶ。硫酸および硝酸などの強い酸は、金属の機器表面に不要な作用を生じることがあるので避けられる。従って、本発明は、通常、そのような酸を含まない、このことは、それらの酸を使用する場合には、その量は通常１重量％未満、望ましくは約０．５重量％未満、好ましくはゼロ、つまりそれが存在しないことをさす。

硬水とは、大量の無機物、例えばカルシウムおよびマグネシウムイオン、シリカ化合物、鉄、およびその他の無機物などをその中に含有する水をさす。本明細書において、「硬」水は、約１２０ｐｐｍ以上のＣａＣＯ_３を含有する水として定義され、「例外的な硬」水とは、それが約３００ｐｐｍ以上のＣａＣＯ_３を含有することを意味する。硬水は、スケールをもたらすので望ましくない。スケールは硬い付着性の無機組成物、例えばカルシウム、マグネシウムなどであり、通常結晶形態で存在し、金属の上に堆積物を形成する。本発明のキレート剤および金属イオン封鎖剤の硬水スケール制御系は、水１ガロンあたり約０．１２５オンス〜約０．５オンスの濃縮中性洗浄剤組成物の希釈比で使用した場合に、硬水のスケール形成を効果的に制御することが見出された。キレート剤および金属イオン封鎖剤は、一般により高いｐＨでより効果的であるので、キレート剤と金属イオン封鎖剤成分の両方を使用することは、１つだけまたはその他の成分を、特に中性ｐＨで使用して可能な程度よりも大きい程度まで、硬水のスケール形成を防ぐ相乗的結果を生じることができることが見出された。その他の最終使用希釈量は、水１ガロンあたり約０．１オンスから約２．０オンスまで、望ましくは約０．１１オンスから約１．０オンスまでの濃縮中性洗浄剤組成物に及ぶ。

生分解性濃縮中性洗浄剤組成物の残りは、本質的に様々な界面活性剤である。非イオン性、陰イオン性、および両性界面活性剤系を使用することができ、非イオン性界面活性剤が好ましい。非イオン性界面活性剤は、キレート剤、金属イオン封鎖剤、腐食防止剤、および緩衝剤に関連した電解質レベルで溶液中に残るためのカプラーを必要とし得るので、ヒドロトロープ、例えばアミンオキシド、プロピオン酸塩、およびグルコシドなどが使用される場合が多い。

通常、汚れの除去に役立ち、それと同様に様々なキレート剤、腐食防止剤、金属イオン封鎖剤、およびアルカリ源の可溶化に役立つ、様々な界面活性剤の多数の異なる組合せを本発明において使用することができる。通常、１以上の、好ましくは複数の界面活性剤の総量は、生分解性濃縮中性洗浄剤組成物の総重量に基づいて、約１から約２５重量％まで、または約３０重量％まで、望ましくは約２から約１５重量％まで、好ましくは約７から約１２重量％に及ぶ。

一般に当分野および文献に公知の非イオン性界面活性剤の種類としては、様々な線状エトキシレート、例えば第一級または第二級アルコールエトキシレート、その他のアルコールアルコキシレート、芳香族エトキシレート、修飾エトキシレート、およびそれらのブレンドなどが挙げられる。好ましい例としては、限定されるものではないが、Ｃ_８−Ｃ_１８アルコールエトキシレートと１２モル未満のエチレンオキシド（ＥＯ）が挙げられる。典型的な例は、商標名：Ｔｒｉｔｏｎ ＤＦ ２０、Ｔｒｉｔｏｎ Ｘ１１４、Ｔｅｒｇｉｔｏｌ １５−Ｓ−３、Ｔｅｒｇｉｔｏｌ １５−Ｓ−５、Ｔｏｍａｄｏｌ ９１−２．５、Ｔｏｍａｄｏｌ ９１−８、Ｔｏｍａｄｏｌ １−３、Ｂｅｒｏｌ ５０８、Ｂｅｒｏｌ ５０５、Ｂｅｒｏｌ ２６０、Ｂｅｒｏｌ ８４０、Ｂｅｒｏｌ ＤＧＲ８１、Ｂｅｒｏｌ ＬＦＧ６１、Ｅｔｈｙｌａｎ ＨＢ４、Ｎｅｏｄｏｌ ９１−２．５、Ｎｅｏｄｏｌ ９１−５、Ｎｅｏｄｏｌ １−２．５、Ｎｅｏｄｏｌ １−５、Ｄｅｉｏｎｉｃ ＬＦ−ＥＰ−２５、およびＤｅＴｅｒｇｅ ＣＳ４５ＬＦ、およびＭａｃｋａｍ ＢＷ １３９（オクチルベタイン）で市販されている。Ｔｅｒｇｉｔｏｌ類およびＴｒｉｔｏｎ類は、Ｄｏｗ社より市販されている。Ｂｅｒｏｌ類およびＥｔｈｙｌａｎ類は、Ａｋｚｏ Ｎｏｂｅｌ社より市販されている、これにより参照により完全に組み込まれる米国特許第６，８４６，７９３号を参照されたい、Ｎｅｏｄｏｌ類は、Ｓｈｅｌｌ Ｃｈｅｍｉｃａｌ Ｃｏｍｐａｎｙ社より市販されている。そして、Ｄｅｌｏｎｉｃ類およびＤｅＴｅｒｇｅ類は、ＤｅＦｏｒｅｓｔ Ｃｈｅｍｉｃａｌ Ｃｏｍｐａｎｙ社より市販されている。本発明において有用な界面活性剤は、生分解性でなければならない。好ましい非イオン性界面活性剤としては、第一級アルコールエトキシレートであるＢｅｒｏｌ ５０５、およびアルコールエトキシレートとアルキルグルコシドのブレンドであるＢｅｒｏｌ ＬＦＧ６１が挙げられ、その両方が良好な湿潤性、洗浄作用、および低く不安定な発泡特性をもたらす。最も好ましい非イオン性界面活性剤としては、８モルのエトキシル化を含む線状第一級アルコールエトキシレートであるＴｏｍａｄｏｌ ９１−８、および芳香族エトキシレートであるＥｔｈｌｙａｎ ＨＢ４が挙げられる。これらの両方は、優れた湿潤性および汚れ（ｓｏｉｌ）の乳化／可溶化（特に脂肪）を提供し、低く不安定な発泡特性を有する。上記の１以上の非イオン性線状または芳香族エトキシレート型の界面活性剤は、独立に、生分解性濃縮中性洗浄剤組成物の総重量に基づいて、約１〜約１２重量％、望ましくは約２〜約１０重量％、好ましくは約３〜約７重量％の量で使用することができる。

また、非常に望ましい非イオン性界面活性剤には、プロピレンオキシドとエチレンオキシドの生分解性ブロックポリマーも挙げられる。好ましいブロック共重合体の一例は、Ｍｅｒｏｘａｐｏｌ ２５２またはＴｅｒｇｉｔｏｌ Ｌ−６４である。これらのブロック共重合体は、通常、生分解性であり、良好な油（ｏｉｌ）乳化および脱泡をもたらす。これらの種類の非イオン性ブロック共重合体の量は、独立に、生分解性濃縮中性洗浄剤組成物の総重量に基づいて、通常約０．２５〜約４重量％、望ましくは約０．４〜約３重量％、望ましくは約０．６〜約２重量％である。

全体的な界面活性剤系のもう１つの重要な成分は、任意であるが、望ましくは、カプラー（ｃｏｕｐｌｅｒ）またはヒドロトロープの使用である。そのようなヒドロトロープの例は、オクチルジメチルアミンオキシド、２−エチルヘキシルイミノプロピオン酸二ナトリウム、およびアルキルポリグルコシドである。１以上のヒドロトロープの量は、独立に、通常、生分解性濃縮中性洗浄剤組成物の総重量に基づいて、約０．５〜約６重量％、望ましくは約０．５〜約５重量％、好ましくは約１．０〜約４重量％である。

本発明の生分解性濃縮中性洗浄剤組成物は、スケール形成が妨げられるように、たとえ硬水環境でさえも、組成物の物理的安定性、様々な金属の洗浄、および腐食保護の提供に関して、予期しない結果をもたらすことが見出された。組成物は、軟質金属、すなわち銅、真ちゅう、アルミニウム、およびアルミニウム合金を含有する物品への適用に特に適していることが見出された。本発明の組成物の特定の使用には、医療器具および手術器具ならびにそのための洗浄装置を洗浄することが含まれる。

本発明の生分解性濃縮中性洗浄剤組成物の重要な成分は、様々な重量パーセントの組成物を合計して１００％となるような量で使用される水である。水の量は大まかに約４６〜約９４重量％に及び得るが、それは通常、生分解性濃縮中性洗浄剤組成物の総量に基づいて約６０〜約９０重量％、望ましくは約７０〜約８５重量％に及ぶ。水は脱イオン化されているか、約５０ｐｐｍ未満の硬度（カルシウムおよびマグネシウム）を含有することを意味する軟水である。

また、濃縮中性洗浄剤組成物は、上記の量、すなわち、１００重量％の生分解性濃縮中性洗浄剤組成物とは別である、様々な添加剤を様々な量で含有することができる。そのような添加剤の例としては、防腐剤、芳香剤、または染料が挙げられる。そのような添加剤の量は通常、少量、例えば中性洗浄剤組成物の全１００重量部に基づいて約０．０１〜約１または約３重量部などである。添加剤の例としては、殺真菌剤であるヨードプロピニルブチルカルバメート、および防腐剤であるＤＭＤＭヒダントインが挙げられる。

本発明の重要な態様は、本発明の生分解性濃縮中性洗浄剤組成物が、それらを眼科用器具の洗浄などの特定の適用または高温の適用に不適にする、腐食防止剤として使用される場合の多いマグネシウムおよび亜鉛金属またはイオンと同様に、様々な非生分解性腐食防止剤、例えばケイ酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩を本質的に含まないことである。避けられる腐食防止剤の例としては、ケイ酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二金属塩、およびモリブデン酸亜鉛が挙げられる。用語「本質的に含まない」は、任意のかかるケイ酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩、マグネシウムおよび亜鉛の防止剤の量が、個別に、通常、１００重量部の濃縮中性洗浄剤組成物ごとに、約３重量部未満、望ましくは約１重量部未満、好ましくは０．００３重量部未満またはゼロ重量部であることを意味する。

本発明によって避けられるその他の化合物としては、脱泡剤として使用される様々なシリコーン界面活性剤、例えばジメチルポリシロキサンなどが挙げられる。つまり、本発明は、本質的にそれを含まないとは、使用されるいずれの量も、通常、本発明の生分解性濃縮中性洗浄剤組成物１００重量部ごとに、かかるシリコーン界面活性剤が、約３重量部未満、望ましくは約１重量部未満、好ましくはゼロ重量部であることを意味する。

本発明は、本発明を説明するために役立つが、本発明を限定するものでない、以下の実施例を参照することによりさらによく理解されるであろう。

様々な成分を添加し混合する順序は、通常、任意の順序であってよく、一般に最終生成物の安定性に影響を与えないが、生分解性濃縮中性洗浄剤組成物の望ましい調製は、界面活性剤成分の添加の前に固体成分が完全に溶解していることを確認することを伴う。

本発明の生分解性濃縮中性洗浄剤組成物の具体的な処方または配合表を、表１に実施例ＡからＪまで示す。製剤は、本明細書上文に示される方法で調製され、アルミニウムの適合性およびスケール制御に関して試験される。１ガロンの水に希釈した、１／８オンスの本発明の濃縮洗浄剤組成物で、５０％を超えるカルシウム率の値が、非常に良好であると考えられる。

上のデータから明らかなように、アルミニウム基板に関して、一般にごくわずかな変色だけが観察された。スケール制御の値は良好であり、一般に大部分の製剤に関して９５％を超えて良好である。本発明のもう一つの利点は、上記の製剤が全て、容易な生分解性であることである。

特許法に従って、最良の形態および好ましい実施形態が示されてきたが、本発明の範囲はそれに限定されるものではなく、むしろ添付の特許請求の範囲の範囲によって限定される。

Claims (11)

1. １以上の非イオン性界面活性剤を含む界面活性剤系であって、前記非イオン性界面活性剤は、第一級または第二級アルコールエトキシレート、前記エトキシレート以外のアルコールアルコキシレート、芳香族エトキシレート、修飾エトキシレート、または酸化プロピレンとエチレンオキシドのブロックポリマー、あるいはそれらの任意の組合せを含む、と、
   アミンオキシドおよびグルコシドからなる群から選択される１以上のヒドロトロープと、
   メチルグリシン二酢酸、メチルグリシン二酢酸三ナトリウム、イミノジコハク酸、イミノジコハク酸四ナトリウム、または［Ｓ，Ｓ］−エチレンジアミン−Ｎ，Ｎ’−ジコハク酸、あるいはそれらの任意の組合せを含む１以上のキレート剤と、
   １以上の緩衝剤を含む緩衝剤系と、
   １以上の腐食防止剤を含む腐食抑制系であって、前記腐食防止剤は、アミン、アミダゾール、ジアゾール、トリアゾール、またはカルボン酸、あるいはそれらの任意の組合せを含む、と、
   水と、
   を含む、濃縮中性洗浄剤組成物であって、
   前記濃縮中性洗浄剤組成物が、生分解性である共に、５．５〜８．５のｐＨを有し、前記界面活性剤系の量が、１〜３０重量％であり、前記１以上のキレート剤の量が、０．５〜９重量％であり、前記１以上の緩衝剤の量が、０．５〜８重量％であり、前記１以上の腐食防止剤の量が、１〜１５重量％であり、かつ、前記水が、前記濃縮中性洗浄剤組成物の１００重量％を構成する差である、濃縮中性洗浄剤組成物。
2. 前記腐食防止剤が、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、トリルトリアゾールナトリウム、ウンデカン二酸、ホスホノブタントリカルボン酸、ドデカン二酸、エタノール−２，２’−［［メチル−１Ｈ−ベンゾトリアゾール−１−イル）メチル］イミノ］ビス、６，６’，６”−（１，３，５−トリアジン−２，４，６−トリイルトリイミノ）トリス（ヘキサン酸）、ドデシルジメチルアンモニウムビカルボネート／カルボネート、またはナトリウムベンゾトリアゾール、あるいはそれらの任意の組合せを含み、前記１以上の腐食防止剤の量が、前記濃縮中性洗浄剤組成物の総重量に基づいて、１．５重量％〜１０重量％であり、前記濃縮中性洗浄剤組成物が、ポリアスパラギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、グルタミン酸、Ｎ，Ｎ，−二酢酸、および四ナトリウム塩を本質的に含まず、かつ、前記非イオン性界面活性剤の量が、前記濃縮中性洗浄剤組成物の総重量に基づいて、２〜１５重量％であり、前記キレート剤が、メチルグリシン二酢酸三ナトリウム、またはイミノジコハク酸四ナトリウム、またはその両方を含み、前記キレート剤の量が、前記濃縮中性洗浄剤組成物の総重量に基づいて、１．０〜５重量％であり、前記緩衝剤が、アルコールアミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、または有機酸、あるいはそれらの任意の組合せを含み、前記ヒドロトロープが、オクチルジメチルアミンオキシド、またはアルキルグリコシド、あるいはそれらの任意の組み合わせであり、かつ、前記濃縮中性洗浄剤組成物の前記ｐＨが、６．０〜８．０である、請求項１に記載の濃縮中性洗浄剤組成物。
3. 前記腐食防止剤が、前記トリルトリアゾールナトリウム、および、１．５重量％〜５重量％の量の前記６，６’，６”−（１，３，５−トリアジン−２，４，６−トリイルトリイミノ）トリス（ヘキサン酸）、または前記ホスホノブタントリカルボン酸であり、前記緩衝剤が、エタノールアミン、トリエタノールアミン、クエン酸、またはそれらの任意の組合せであり、前記非イオン性界面活性剤が、前記第一級アルコールエトキシレート、前記芳香族エトキシレート、または前記酸化プロピレンとエチレンオキシドのブロック共重合体、あるいはそれらの任意の組合せである、請求項２に記載の濃縮中性洗浄剤組成物。
4. ケイ酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩、マグネシウム金属もしくはイオン、または亜鉛金属もしくはイオン、あるいはそれらの任意の組合せを本質的に含まない、請求項２に記載の濃縮中性洗浄剤組成物。
5. 生分解性濃縮中性洗浄剤組成物を製造するための方法であって、
   アミンオキシドおよびグルコシドからなる群から選択される１以上のヒドロトロープ、
   メチルグリシン二酢酸、メチルグリシン二酢酸三ナトリウム、イミノジコハク酸、イミノジコハク酸四ナトリウム、または［Ｓ，Ｓ］−エチレンジアミン−Ｎ，Ｎ’−ジコハク酸、あるいはそれらの任意の組合せを含む１以上のキレート剤、
   １以上の腐食防止剤であって、前記腐食防止剤は、アミン、アミダゾール、ジアゾール、トリアゾール、またはカルボン酸、あるいはそれらの任意の組合せを含む、
   少なくとも５．５〜８．５のｐＨを得るための１以上の緩衝剤、
   １以上の非イオン性界面活性剤であって、前記非イオン性界面活性剤は、第一級または第二級アルコールエトキシレート、前記エトキシレート以外のアルコールアルコキシレート、芳香族エトキシレート、修飾エトキシレート、または酸化プロピレンとエチレンオキシドのブロックポリマー、あるいはそれらの任意の組合せを含む、および
   水
   を添加および混合する工程を含み、前記１以上のキレート剤の量が、０．５〜７重量％であり、前記１以上の緩衝剤の量が、０．５〜６重量％であり、前記１以上の腐食防止剤の量が、１〜１３重量％であり、前記１以上の非イオン性界面活性剤の量が、１．０〜２５重量％であり、前記ヒドロトロープの量が、０．５〜６．０重量％であり、かつ、前記水の量が、前記生分解性濃縮中性洗浄剤組成物の１００重量％を構成する差である、方法。
6. 前記ヒドロトロープが、オクチルジメチルアミンオキシド、またはアルキルグリコシド、あるいはそれらの任意の組み合わせであり、前記緩衝剤系の量が、前記濃縮中性洗浄剤組成物のｐＨが６．０〜８．０となる効果的な量である、請求項５に記載の方法。
7. 前記腐食防止剤が、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、トリルトリアゾールナトリウム、ウンデカン二酸、ホスホノブタントリカルボン酸、ドデカン二酸、エタノール−２，２’−［［メチル−１Ｈ−ベンゾトリアゾール−１−イル）メチル］イミノ］ビス、６，６’，６”−（１，３，５−トリアジン−２，４，６−トリイルトリイミノ）トリス（ヘキサン酸）、ドデシルジメチルアンモニウムビカルボネート／カルボネート、またはナトリウムベンゾトリアゾール、あるいはそれらの任意の組合せを含み、前記１以上の腐食防止剤の量が、前記濃縮中性洗浄剤組成物の総重量に基づいて、１．５重量％〜１０重量％であり、かつ、前記非イオン性界面活性剤の量が、前記濃縮中性洗浄剤組成物の総重量に基づいて、２〜１５重量％であり、前記キレート剤が、メチルグリシン二酢酸三ナトリウム、またはイミノジコハク酸四ナトリウム、またはその両方を含み、前記キレート剤の量が、前記濃縮中性洗浄剤組成物の総重量に基づいて、１〜５重量％であり、前記緩衝剤が、アルコールアミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、または有機酸、あるいはそれらの任意の組合せを含む、請求項６に記載の方法。
8. 前記腐食防止剤が、前記濃縮中性洗浄剤組成物の総重量に基づいて、０．１重量％〜３重量％の量の前記トリルトリアゾールナトリウム、および、１．５重量％〜５重量％の量の前記６，６’，６”−（１，３，５−トリアジン−２，４，６−トリイルトリイミノ）トリス（ヘキサン酸）、または前記ホスホノブタントリカルボン酸であり、前記緩衝剤が、エタノールアミン、トリエタノールアミン、クエン酸、あるいはそれらの任意の組合せであり、かつ、前記非イオン性界面活性剤が、前記第一級アルコールエトキシレート、前記芳香族エトキシレート、または前記酸化プロピレンとエチレンオキシドのブロック共重合体、あるいはそれらの任意の組合せである、請求項７に記載の方法。
9. 請求項１に記載の組成物、およびさらなる水を含む、希釈された中性洗浄剤組成物。
10. 水７．５７リットルあたり３．１グラム〜６２．２グラムの請求項１に記載の組成物を含む、希釈された中性洗浄剤組成物。
11. 水７．５７リットルあたり３．９グラム〜１５．６グラムの請求項３に記載の組成物を含む、希釈された中性洗浄剤組成物。