JP5786743B2 - 熱転写受像シート、及び熱転写受像シートの製造方法 - Google Patents

熱転写受像シート、及び熱転写受像シートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱転写受像シート、及び熱転写受像シートの製造方法に関し、特には、受容層との接着性と、耐溶剤性に優れたバリア層を備える熱転写受像シート、及びこの熱転写受像シートの製造方法に関する。
従来より、昇華型染料をプラスチックフィルム等の基材上に担持させた熱転写シートと、紙やプラスチックフィルム等の基材上に受容層を設けた熱転写受像シートとを重ね合わせてフルカラー画像を形成する昇華転写記録方式が知られている。この方法は、昇華型染料を色材としているためドット単位で濃度、階調を自由に調節でき、原稿通りのフルカラー画像を受像シート上に鮮明に表現することができるので、デジタルカメラ、ビデオ、コンピューター等のカラー画像形成に応用されている。その画像は、銀塩写真に匹敵する高品質なものである。
昇華転写記録方式に使用される熱転写受像シートにおいて、良好な印画特性を得るためには、熱転写受像シートには耐熱性とクッション機能を付与することが好ましいことが知られている。この耐熱性及びクッション機能の要求に対し、基材上にミクロボイドを有するポリプロピレンフィルム等の発泡性フィルムを張り合わせ、その上に受像層を設けた熱転写受像シートが提案されている。しかしながら、この熱転写受像シートでは、受容層形成時の熱で発泡性フィルムが収縮しカールが発生してしまう等の問題が生じ得ることとなる。そこで、耐熱性とクッション機能とを有する機能層を新たに考案する検討や、製造工程の熱履歴に起因するカールをなくすために、発泡性フィルム等の貼合フィルムを使用しない熱転写受像シートの検討がなされており、例えば、特許文献1には、発泡性フィルムにかえて、中空粒子とバインダーとを含有する塗工液を用いて形成された多孔質層を備える熱転写受像シートが提案されている。
ところで、多孔質層に含有される中空粒子は溶剤に対して可溶性であることから、多孔質層上に有機溶剤系の塗工液を用いて受容層を形成した場合には、この溶剤に中空粒子が溶けることで多孔質層は破壊され、多孔質層としての機能が損なわれることとなる。このような状況下、溶剤に対する耐溶剤性が高い樹脂として知られているポリビニルアルコールからなるバリア層を多孔質層と受容層の間に設けた熱転写受像シートが提案されている。このバリア層を備えた熱転写受像シートによれば、溶剤によって多孔質層の機能が破壊されることを防止することができるとされている。
特開2008−296485号公報
しかしながら、ポリビニルアルコールからなるバリア層は、受容層に用いられる樹脂との接着性が悪く、バリア層と受容層間の接着性に悪影響を生じてしまうという問題が存在する。ポリビニルアルコールからなるバリア層に接着性を向上させる成分を含有させる試みもなされてはいるものの、接着性を向上させる成分が含有される分だけ耐溶剤性が低下することから、現在のところ、耐溶剤性と受容層との接着性とを両立させることができるバリア層は存在していない。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、受容層との接着性と、耐溶剤性に優れたバリア層を備える熱転写受像シート、及びこの熱転写受像シートの製造方法を提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、基材上に、多孔質層、バリア層、受容層をこの順で積層してなる熱転写受像シートにおいて、前記多孔質層がバインダー樹脂と中空粒子を含み、前記バリア層は少なくとも2種の樹脂を含み、このうちの1種の樹脂が、第1のアクリル系樹脂であり、他の1種の樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、前記第1のアクリル系樹脂とは異なる第2のアクリル系樹脂のいずれかであることを特徴とする。
また、前記第1のアクリル系樹脂が、コア・シェル型のアクリル系樹脂であってもよい。また、前記1種の樹脂と、前記他の1種の樹脂との配合比が、固形分比で9:1〜5:5の範囲内であってもよい。
また、上記課題を解決するための本発明の方法は、基材上に、多孔質層、バリア層、受容層をこの順で積層してなる熱転写受像シートの製造方法であって、バリア層を形成する工程が、(A)第1のアクリル系樹脂と、(B)ポリエステル樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、前記第1のアクリル系樹脂とは異なる第2のアクリル系樹脂のいずれかと、を含む水系塗工液を前記基材上に塗工・乾燥する工程であることを特徴とする。
また、前記(A)第1のアクリル系樹脂が、コア・シェル型のアクリル系樹脂であってもよい。また、前記(A)第1のアクリル系樹脂と、前記(B)の第2のアクリル系樹脂は、最低造膜温度が異なるアクリル系樹脂エマルジョンであってもよい。また、前記水系塗工液中における前記第1のアクリル系樹脂と、前記(B)ポリエステル樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、第2のアクリル系樹脂のいずれかとの配合比が、固形分比で9:1〜5:5であってもよい。
本発明の熱転写受像シートによれば、耐溶剤性に優れ、且つ受容層との接着性に優れるバリア層を備えた熱転写受像シートを提供することができる。また、本発明の熱転写受像シートの製造方法によれば、本発明の熱転写受像シートを構成するバリア層を塗工適性よく製造することができる。
本願発明の熱転写受像シートの層構成を示す概略断面図である。 本願発明の熱転写受像シートの層構成を示す概略断面図である。
以下に、本発明の熱転写受像シート10について図面を用いて具体的に説明する。図1に示すように本発明の熱転写受像シート10は、基材1上に、多孔質層2、バリア層3、受容層4をこの順で積層してなる構成をとる。以下、本発明について具体的に説明する。
(基材)
基材1は本発明の熱転写受像シート10における必須の構成であり、多孔質層2を保持するために設けられる。基材1について特に限定はなく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリアミド、ポリメチルペンテン等のプラスチックの延伸または未延伸フィルムや、上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、板紙等を挙げることができる。また、これらの材料を2種以上積層した複合フィルムも使用することができる。
基材1の厚さは、その強度および耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、通常1〜300μm、好ましくは60μm〜200μm程度である。
(多孔質層)
図1に示すように基材1上には、多孔質層2が設けられる。多孔質層2は、本発明の熱転写受像シート10における必須の構成であり、サーマルヘッドから受容層4に加えられた熱が基材1へ伝熱された際に該熱によって基材1が損失することを防止する耐熱性と、画像形成時における濃度ムラやハイライト部の白抜けを防止するためのクッション性とを有する。そして、本発明においては、多孔質層2に断熱性及びクッション性を付与するために中空粒子が含有されている。以下、多孔質層2として、中空粒子とバインダー樹脂とからなる多孔質層2を中心に説明する。
多孔質層2が有する断熱性は、多孔質層2の厚みや、多孔質層2内に含有される中空粒子の量、すなわち、多孔質層の空隙率等によって適宜調整することができる。中でも、多孔質層2に充分な断熱性を与えるという観点から、多孔質層2の厚みは、10μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、10μm〜50μmの範囲内であることがより好ましい。またこのときの、多孔質層2の密度は、0.1g/cm3〜0.8g/cm3の範囲であることが好ましく、0.2g/cm3〜0.7g/cm3の範囲内であることが更に好ましい。
また、多孔質層2の空隙率は、15%〜80%の範囲内であることが好ましい。なお、空隙率は、(中空粒子の空隙率)×(多孔質層における中空粒子の含有率)で表される値である。
また、多孔質層2は、単一の層からなる構成を有するものであってもよく、複数の層が積層された構成を有するものであってもよい。ここで、複数の層が積層された構成を有する多孔質層2としては、同一組成の層が積層された構成を有するものであってもよく、異なる組成の層が積層された構成を有するものであってもよい。特に、組成の異なる2層が積層された構成とすることにより、機能的な多孔質層2とすることができる点で好ましい。
多孔質層2に含有される中空粒子は、多孔質層2に断熱性及びクッション性を付与するものである。したがって、所望の断熱性およびクッション性を付与できる中空粒子を適宜選択して用いることができ、発泡粒子を用いてもよく、あるいは、非発泡粒子を用いることもできる。また、中空粒子として用いられる発泡粒子は、独立発泡粒子であってもよく、あるいは、連続発泡粒子であってもよい。さらに、中空粒子は、樹脂等から構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラス等から構成される無機系中空粒子であってもよい。また、中空粒子は、架橋中空粒子であってもよい。
上記中空粒子を構成する樹脂としては、例えば、スチレンアクリル樹脂、架橋スチレン−アクリル樹脂等のスチレン系樹脂、アクリロニトリル−アクリル樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができる。
上記中空粒子の平均粒径は、中空粒子を構成する樹脂の種類等に応じて適宜設定することができ特に限定されるものではないが、通常、0.1μm〜15μmの範囲内であることが好ましく、特に0.1μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。平均粒径が小さすぎると、中空粒子の使用量が増えコストが高くなり、平均粒径が大きすぎると、平滑な多孔質層2を形成することが困難になるからである。
本発明において、多孔質層2に含まれる中空粒子の量としては、所望の断熱性およびクッション機能を得ることができる範囲内で適宜設定することができ、特に限定されるものではないが、多孔質層2に含まれる全固形分を100質量%としたときに、中空粒子の割合が30質量%〜90質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも50質量%〜80質量%の範囲内であることが好ましい。含有量が少なすぎると、多孔質層2における空隙が少なくなり、充分な断熱性およびクッション性が得られない場合があり、含有量が多くなると、その分バインダー樹脂の重量比が小さくなり、多孔質層2が脆くなり層の成形性が悪くなる虞があるからである。
バインダー樹脂について特に限定はないが、通常、水系溶媒に分散あるいは溶解可能な、水系樹脂が好ましく用いられる。このような水系樹脂としては、例えば、アクリル系ウレタン樹脂等のポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ゼラチン、スチレンアクリル酸エステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸及びその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、カゼイン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、アラビアゴム、ポリアルキレノキサイド系共重合ポリマー、水溶性ポリビニルブチラール、カルボキシル基やスルホン酸基を有するビニルモノマーの単独重合体や共重合体等を挙げることができる。また、上記樹脂の2種類以上を組み合わせて用いても良い。なお、上記バインダー樹脂として、例えばゼラチン、ポリビニルアルコール、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン等の材料を用いる場合には、これらバインダー樹脂は、冷却ゲル化機能も発揮し得るため、別途、後述する冷却ゲル化剤を用いることなく良好な多孔質層を形成することができる。
本発明において、多孔質層2に含まれるバインダー樹脂の量は、用いられる中空粒子の種類や、熱転写受像シート10に求められる断熱性、画像形成条件などによって適宜決定されるが、一般的には、多孔質層2に含まれる全固形分を100質量%としたときに、バインダー樹脂の割合は、5質量%〜70質量%であることが好ましく、10質量%〜60質量%であることがより好ましく、15質量%〜40質量%であることが特に好ましい。バインダー樹脂の含有量が少なすぎると、多孔質層2が脆くなり、層形成が不良に成る虞がある。またバインダー樹脂が多くなりすぎると、中空粒子の含有率が充分に確保されず、所期の目的である多孔質層2の断熱性およびクッション性が確保されない虞がある。
本発明において、中空粒子及びバインダー樹脂は、上記で説明した範囲内で含有されていることが好ましいが、特には、PV比が8/2〜4/6であることが好ましい。PV比が上記範囲内となるように中空粒子及びバインダー樹脂を含有させることで、多孔質層2における断熱性を向上させることができ、コゲの発生を効果的に防止することができる。なお、本願明細書において、PV比とは、中空粒子の固形分の量/樹脂の固形分の量にて定められる値である。ただし、樹脂は、中空粒子とバインダーの両者を示しており、樹脂の固形分は、中空粒子の固形分と、バインダー樹脂の固形分の合計量を示す。
また、多孔質層2には、上記バインダー樹脂にかえて、またはこれとともに冷却ゲル化剤が含有されていることが好ましい。冷却ゲル化剤を含有させることで、多孔質層2に更に優れた断熱性を付与することができる。
冷却ゲル化剤としては、従来公知のものを適宜選択して用いることができ、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、ペクチン等を挙げることができる。
また本発明において、上記バインダー樹脂にかえて、又はこれとともに冷却ゲル化剤を含有させる場合、多孔質層2中に含有される中空粒子と、冷却ゲル化剤との割合は、所望の断熱性を有する多孔質層2を形成することができれば特に限定されるものではない。本発明においては、冷却ゲル化剤が、多孔質層形成用液中の固形分100質量部に対して、重量換算で5〜50質量部の範囲内であることが好ましく、特に10〜40質量部の範囲内であることが好ましく、さらに12〜40質量部の範囲内であることが好ましい。中空粒子と冷却ゲル化剤の含有比が上記範囲内であることにより、断熱性に優れた多孔質層2を形成することができる。
また、多孔質層2には、必要に応じて、例えば、ノニオン系シリコーン系等の界面活性剤、イソシアネート化合物等の硬化剤、濡れ剤、および、分散剤等を挙げることができる。
多孔質層2は、上記で説明した中空粒子と、バインダー樹脂及び/又は冷却ゲル化剤、必要に応じて添加される任意の成分を、水系の溶媒に分散あるいは溶解させた多孔質層形成用液を、基材1上にグラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の従来公知の手段により、塗布、乾燥して形成することができる。
(バリア層)
図1に示すように、多孔質層2上にはバリア層3が設けられている。そして、本発明においては、このバリア層3が、2種の樹脂を含有しており、このうちの1種の樹脂が、第1のアクリル系樹脂であり、他の1種の樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、第1のアクリル系樹脂とは異なる第2のアクリル系樹脂のいずれかである。これらの2種の樹脂を含むバリア層3は、溶剤性に優れるとともに、多孔質層2及び受容層4との接着性に優れる。したがって、多孔質層2が、受容層4の溶剤によって破壊されることを防止することができ、且つ多孔質層2と受容層4とを強固に接着させることができる。以下、バリア層3に含まれる2種の樹脂について説明する。
(第1のアクリル系樹脂)
バリア層3には、必須の構成成分である第1のアクリル系樹脂が含まれる。アクリル系樹脂は、種々の樹脂成分の中でも、耐溶剤性と接着性に優れることから、第1のアクリル系樹脂をバリア層3に含ませることで、バリア層3に耐溶剤性と接着性が付与される。本発明では、第1のアクリル系樹脂は、バリア層3の耐溶剤性の向上を主眼として含有される。
第1のアクリル系樹脂をなすアクリル系樹脂について特に限定はなく、いかなるアクリル系樹脂であってもバリア層3に耐溶剤性を付与できる。第1のアクリル系樹脂をなすアクリル系樹脂は、アクリル樹脂であってもよいし、メタクリル樹脂等のアクリル誘導体であってもよい。本発明では、第1のアクリル系樹脂として、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、アクリルポリオール樹脂、スチレンアクリル共重合体等を好適に使用することができる。
種々のアクリル系樹脂のなかでも、本発明では、コア・シェル型のアクリル系樹脂を特に好ましく使用することができる。コア・シェル型のアクリル系樹脂はその構造上、耐溶剤性が極めて高い性質を有する。したがって、コア・シェル型のアクリル系樹脂を第1のアクリル系樹脂として採用することで、バリア層3の耐溶剤性を飛躍的に向上させることができる。なお、本発明において、コア・シェル型のアクリル系樹脂という場合には、コア部、及びシェル部の双方がアクリル系樹脂から構成されるものに限定されることはなく、コア部もしくはシェル部の一方がアクリル系樹脂であるものも含まれる。例えば、コア・シェル型のアクリル系樹脂が、コア部がアクリル系樹脂であって、シェル部がウレタン系樹脂であるものであってもよい。
また、本発明では、第1のアクリル系樹脂が、アクリル系樹脂エマルジョンから得られるアクリル系樹脂であることが好ましく、コア・シェル型のアクリル系樹脂エマルジョンを最低造膜温度以上で加熱することで得られるコア・シェル型のアクリル系樹脂であることが特に好ましい。アクリル系樹脂エマルジョンを用いることで、塗工適性よくバリア層3を形成することができる。
アクリル系樹脂エマルジョンとしては、従来公知のアクリル系樹脂エマルジョンを適宜選択して用いることができる。アクリル系樹脂エマルジョンは、アクリル系樹脂粒子を界面活性剤とともに水に混合することによって、あるいは、アクリル系モノマーを従来公知の乳化重合法によって直接合成することによって得ることができる。アクリル系樹脂エマルジョンとしては、市販品を使用することができ、例えば、シェル部がアクリルアミド系樹脂(ガラス転移温度:218℃)でコア部がアクリル系樹脂(ガラス転移温度:10℃)からなるコア・シェル型のアクリル系樹脂エマルジョン(三井化学社製、バリアスター(登録商標)B−1000、コア部:シェル部の重量比(1:1.5)、固形分20%)等、三井化学社製のバリアスター(登録商標)シリーズ(B−1000、B−1500、B−2000、B−3000、B−4100)を好適に使用することができる。
アクリル系樹脂エマルジョンは、固形分が20〜50質量%であることが好ましく、30〜50質量%がより好ましい。固形分が上記範囲のアクリル系樹脂エマルジョンを用いることで、塗工適性よくバリア層を形成することができる。
また、第1のアクリル系樹脂を得るためのアクリル系樹脂エマルジョンは、最低造膜温度が15℃未満であることが好ましい。最低造膜温度が15℃未満のアクリル系樹脂エマルジョンからなるアクリル系樹脂を第1のアクリル系樹脂として採用することにより、乾燥時に速やかに造膜するバリア層とすることができる。したがって、最低造膜温度が15℃未満のアクリル系樹脂エマルジョンから得られる第1のアクリル系樹脂と、後述する他の1種の樹脂とをバリア層に含有させることで、接着性と耐溶剤性に優れたバリア層とすることができる。特には、第1のアクリル系樹脂が、最低造膜温度が15℃未満のコア・シェル型のアクリル系樹脂エマルジョンから得られるコア・シェル型のアクリル系樹脂であることが好ましい。最低造膜温度が15℃未満のコア・シェル型のアクリル系樹脂エマルジョンとしては、例えば、三井化学社製のアクリル系樹脂エマルジョン;バリアスター(登録商標)B−4100(最低造膜温度:5℃)等を挙げることができる。
本願明細書中における「最低造膜温度」とは、アクリル系樹脂エマルジョンをアルミニウムやステンレスなどの金属板の上に薄く塗布し、温度を上昇させていったときに透明な層の形成が完全に終了する温度のことをいう。最低造膜温度以下の温度領域では、透明な層は形成されず、白色の粉末状となる。
(他の1種の樹脂;ポリエステル樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、第2のアクリル系樹脂)
第1のアクリル系樹脂は、耐溶剤性の向上を目的として含有されるアクリル系樹脂であり、上記では、好ましい例として、コア・シェル型のアクリル系樹脂を挙げて説明を行っている。ところで、コア・シェル型のアクリル系樹脂は、耐溶剤性に極めて優れる性質を有するものの、コア・シェル型以外のアクリル系樹脂と比較して、接着性が劣るという性質を有する。したがって、第1のアクリル系樹脂が、耐溶剤性に極めて優れるコア・シェル型のアクリル系樹脂である場合には、バリア層3の接着性を他の成分で補う必要がある。
そこで、バリア層3には、第1のアクリル系樹脂とともに、バリア層3に優れた接着性を付与するための他の1種の樹脂、具体的には、ポリエステル樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、第2のアクリル系樹脂のいずれかが含まれる。以下、他の1種の樹脂について説明する。
<ポリエステル樹脂>
ポリエステル樹脂は、従来公知のものを適宜選択して用いることができる。本発明では、数平均分子量(Mn)が5,000以上のポリエステル樹脂が好ましく、15,000以上のポリエステル樹脂が特に好ましい。数平均分子量が上記範囲のポリエステル樹脂を用いることで、バリア層3の耐熱性を向上させることができる。また、ポリエステル樹脂は、バリア層形成時の溶剤によって、多孔質層2中に含まれる中空粒子が破壊されることを防止するために、水溶性或いは水分散性であることが好ましい。なお、ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、GPC/MALLS法により測定される平均分子量をいう。
また、耐熱性を考慮すると、ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上であることが好ましい。
<ポリビニルピロリドン系樹脂>
ポリビニルピロリドン系樹脂は、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−4−ピロリドン等のビニルピロリドン等のビニルピロリドンの単独重合体、すなわちポリビニルピロリドンであってもよく、ビニルピロリドンと、モノマーとの共重合体であってもよい。モノマーとしてはビニルモノマーが好適である。
ビニルモノマーとしては、シクロヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、乳酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、ヒドロキシブチルアリルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル等のアリルエーテル類等を挙げることができる。ビニルピロリドンとビニルモノマーとの共重合体は、市販品を使用することができ、例えば、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体の市販品としては、BASF社製のルビスコールVA28や、ルビスコールVA73等を挙げることができる。
またこれ以外にも、ポリビニルピロリドン系樹脂として、N−ビニル−3−メチルピロリドン、N−ビニル−5−メチルピロリドン、N−ビニル−3,3,5−トリメチルピロリドン、N−ビニル−3−ベンジルピロリドン等のピロリドン環に置換基を有するような誘導体を含むポリマー等を挙げることができる。
上記に例示したポリビニルピロリドン系樹脂のなかでも、本発明では、ビニルピロリドンの単独重合体であるポリビニルピロリドン樹脂が特に好適である。ポリビニルピロリドン樹脂は、種々のポリビニルピロリドン系樹脂の中でも、特に耐溶剤性や接着性に優れる。
ポリビニルピロリドン系樹脂が、上記のビニルピロリドンとモノマーとの共重合体である場合において、ビニルピロリドンの共重合率は30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。共重合率を50%以上とすることで耐溶剤性や接着性に優れるバリア性とすることができる。なお、共重合率が30%をしたまわるにつれ、耐溶剤性や接着性が低下する傾向にある。
ポリビニルピロリドン系樹脂は、フィッケンチャーの公式におけるK値で、30以上のものを使用することが好ましく、特に、K−15〜K−120のグレードのものが特に好ましい。この点を考慮すると、ポリビニルピロリドン系樹脂は、その数平均分子量(Mn)が8000〜3000000の範囲内であることが好ましい。なお、ポリビニルピロリドン系樹脂の数平均分子量(Mn)は、GPC/MALLS法により測定される平均分子量をいう。
また、本発明においては、ポリビニルピロリドン系樹脂が架橋されてなる架橋ポリビニルピロリドン系樹脂を特に好適に使用することができる。架橋ポリビニルピロリドン系樹脂は、耐溶剤性、受容層との接着性に加え、耐熱性にも優れることから、高階調領域の印画、すなわち高エネルギー下での印画を行った場合に印画物に生じうる焦げの発生を防止することができる。
架橋ポリビニルピロリドン系樹脂は、1分子中の全ての部分が架橋されたものであってもよく、部分的に架橋されたものであってもよい。本発明においては、1分子中で10〜70%の部分が、特には、1分子中で40%〜50%の部分が架橋されたものを好ましく用いることができる。架橋ポリビニルピロリドン系樹脂は、市販品を使用することができ、例えば、VIVIPRINT540@polymerolymer(ISP INVESTMENTS INC社製)等を好ましく用いることができる。
架橋ポリビニルピロリドン系樹脂は、直鎖状重合体のポリビニルピロリドン樹脂を、水素結合、イオン結合等で、例えばカルボキシル基含有化合物等と架橋させることで得ることができる。カルボキシル基含有化合物としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸共重合物等が挙げられる。なお、架橋に使用する化合物は、カルボキシル基含有化合物に限定されず、カルボキシル基以外の官能基を有する化合物であっても良い。例えば、架橋ポリビニルピロリドン系樹脂として、特表2001−524998号公報に記載の方法で製造したものを用いることもできる。なお、本発明における好ましい架橋剤としては、メチレンビス−アクリルアミド(MBAA)及びピペラジン(PA)の反応物を挙げることができる。
<ポリエステル系ウレタン樹脂>
ポリエステル系ウレタン樹脂は、例えば、ポリエステルポリオールとジイソシアネート化合物とを反応させることにより得られるものであり、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6ヘキサングリコール等のグリコール類とアジピン酸、イソフタール酸、テレフタール酸等の二塩基酸との重縮合反応によって得られるポリエステルポリオールとトリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4・4' −ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネートの反応により得られる線状ブロック共重合体を挙げることができる。
また、上記と同様の観点から、ポリエステル系ウレタン樹脂は、水溶性、或いは水分散性であることが好ましい。
(第2のアクリル系樹脂)
第2のアクリル系樹脂としては、第1のアクリル系樹脂と異なるアクリル系樹脂であればよく、第1のアクリル系樹脂とは異なるアクリル系樹脂を適宜選択して用いることができる。また、「第1のアクリル系樹脂と第2のアクリル系樹脂とが異なる」とは、(i)第1のアクリル系樹脂と第2のアクリル系樹脂の構造が異なる態様。(ii)同一構造であっても第1のアクリル系樹脂と第2のアクリル系樹脂の物性値が異なる態様。(iii)第1のアクリル系樹脂と第2のアクリル系樹脂を得るための出発物質が異なる態様等を挙げることができる。
上記(i)の態様としては、例えば、第1のアクリル系樹脂がアクリル樹脂であり、第2のアクリル系樹脂がスチレンアクリル共重合体等である態様や、第1のアクリル系樹脂がコア・シェル型のアクリル系樹脂であり、第2のアクリル系樹脂がコア・シェル型以外のアクリル系樹脂である態様等を挙げることができる。
上記(ii)の態様としては、例えば、第1のアクリル系樹脂が、ガラス転移温度が10℃のアクリル樹脂、第2のアクリル系樹脂が、ガラス転移温度が32℃のアクリル樹脂等を挙げることができる。
上記(iii)の態様としては、第1のアクリル系樹脂と、第2のアクリル系樹脂とが、それぞれ最低造膜温度が異なるアクリル系樹脂エマルジョンから得られたものである態様を挙げることができる。この場合、第2のアクリル系樹脂を得るための第2のアクリル系樹脂エマルジョンの最低造膜温度は、上記第1のアクリル系樹脂を得るためのアクリル系樹脂エマルジョンの最低造膜温度よりも高いことが好ましく、その最低造膜温度は15℃以上であることが特に好ましい。さらには、第1のアクリル系樹脂が、最低造膜温度が15℃未満のアクリル系樹脂エマルジョンから得られるアクリル系樹脂であり、第2のアクリル系樹脂が、最低造膜温度が15℃以上のアクリル系樹脂エマルジョンから得られるアクリル系樹脂であることがより好ましい。この組合せによれば、受容層との接着性と、耐溶剤性に特に優れたバリア層とすることができる。
なお、最低造膜温度が15℃以上のアクリル系樹脂エマルジョンとしては、例えば、DIC(株)製のアクリル系樹脂エマルジョン;AK2100(最低造膜温度:25℃)を挙げることができる。
なお、第1のアクリル系樹脂の好ましい態様として、コア・シェル型のアクリル系樹脂を例に挙げ説明を行ったが、上述したように、コア・シェル型のアクリル系樹脂は、耐溶剤性が極めて高いという性質を有する一方で、コア・シェル型以外のアクリル系樹脂と比較して接着性が低いという性質を有する。この点を考慮すると、第2のアクリル系樹脂は、コア・シェル型以外のアクリル系樹脂であること好ましい。
第1のアクリル系樹脂をコア・シェル型のアクリル系樹脂とし、他の1種の樹脂である第2のアクリル系樹脂をコア・シェル型以外のアクリル系樹脂とすることで、第1のアクリル系樹脂によってバリア層3に優れた耐溶剤性を付与することができ、コア・シェル型以外の第2のアクリル系樹脂によって、第1のアクリル系樹脂では補いきれない接着性を満足させることができる。
バリア層3に含まれる2種の樹脂のうち、1種の樹脂であるアクリル系樹脂と、他の1種の樹脂であるポリエステル樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、第2のアクリル系樹脂のいずれか(以下、ポリエステル樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、第2のアクリル系樹脂のいずれかの樹脂を単に、他の1種の樹脂という場合がある。)との配合比は、固形分比で、9:1〜5:5の範囲内であることが好ましい。配合比が当該範囲内となるように、アクリル系樹脂と、他の1種の樹脂とを含有せしめることで、耐溶剤性と受容層接着性が優れたバリア層を形成することができる。
また、上記で説明したポリエステル樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、第2のアクリル系樹脂は単独で用いてもよく、これらを組み合わせて用いることもできる。
また、バリア層3には、必要に応じて他の成分を含有させることができる。例えば、蛍光増白剤等の添加剤や、酸化チタン等の白色顔料を含有させることとしてもよい。また、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース誘導体等を混合して使用することもできる。
バリア層3の固形分総量に対する、第1のアクリル系樹脂と、他の一種の樹脂であるポリエステル樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、第2のアクリル系樹脂のいずれかとの合計質量は、60質量%以上であることが好ましい。これらの樹脂の合計質量がバリア層3の固形分総量の60質量%未満である場合には、耐溶剤性や接着性が低下する傾向にある。なお、合計質量の上限値について特に限定はなく、その上限は100質量%である。
上記では、他の1種の樹脂として、ポリエステル樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、第2のアクリル系樹脂を単独で用いる場合を中心に説明を行ったが、これらの樹脂の2種以上を組合わせて用いることもできる。この場合、第1のアクリル樹脂との配合比や、バリア層3の固形分総量に対する合計質量の好ましい範囲は、他の1種の樹脂に含まれる2種以上の樹脂の合計を基準とし上記で説明した好ましい範囲内とすることができる。以下、本発明の製造方法についても同様である。
バリア層3は、上記で説明した1種の樹脂である第1のアクリル系樹脂と、他の1種の樹脂であるポリエステル樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、第2のアクリル系樹脂のいずれか、更に、必要に応じて、その他の樹脂、添加剤を加えたものを、水等の水系溶媒に溶解または分散させた塗工液を調製し、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の公知の塗工手段を用いて形成することができる。
バリア層3の厚さについて特に限定はないが、乾燥時の塗布量が0.2g/m2未満である場合には、耐溶剤性や接着性が低下しやすくなる。したがって、この点を考慮すると、バリア層3の厚さは、0.2g/m2〜5.0g/m2程度であることが好ましい。
(受容層)
図1に示すように、バリア層3上には受容層4が設けられている。受容層4は本発明の熱転写受像シート10における必須の構成であり、この受容層上には、熱転写によって、色材層を有する熱転写シートから熱転写法によって画像が形成される。受容層4を形成するための材料としては、昇華性染料または熱溶融性インキ等の熱移行性の色材を受容し易い従来公知の樹脂材料を使用することができる。例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはポリアクリル酸エステル等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンもしくはプロピレン等のオレフィンと他のビニルポリマーとの共重合体系樹脂、アイオノマーもしくはセルロースジアスターゼ等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等が挙げられ、特に、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂またはポリエステル樹脂が好ましい。
受容層4は、上述の材料の中から選択された単独または複数の材料および必要に応じて各種添加剤等を加え、水または有機溶剤等の適当な溶剤に溶解または分散させて受容層用塗工液を調製し、これをグラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の手段により、塗布、乾燥して形成することができる。その厚さは、乾燥状態で1〜10g/m2程度である。
(目止め層)
また、基材1として、例えば、コート紙を用い、該コート紙上に、水系の塗工液を用いて多孔質層2を形成した場合には、コート紙が水を吸い、その結果、熱転写受像シート10にカールが発生する虞が生じうる。したがって、基材1が吸水性の高い基材であって、水系の塗工液を用いて多孔質層2を形成する場合には、図2に示すように、基材1と多孔質層2との間に目止め層6を設けることが好ましい。
目止め層6は、防水性を有するとの機能を奏すれば、その材料等について特に限定はなく、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アクリル−ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等からなるものや、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単独重合体系エマルジョン、(メタ)アクリル酸アルキルエステル−スチレン共重合体系エマルジョン、(メタ)アクリル酸アルキルエステル−酢酸ビニル共重合体系エマルジョン、セメントフィラーエマルジョン等のエマルジョンからなるものを挙げることができる。
目止め層6の厚さについても特に限定はないが、0.2g/m2〜10.0g/m2程度が好ましい。
(裏面層)
また、図1、図2に示すように、基材1の受容層4が設けられている側と反対側の面に裏面層7を設けることとしてもよい。裏面層7は、本発明の熱転写受像シートの用途等に応じて所望の機能を有するものを適宜選択して用いることができる。なかでも本発明においては、裏面層7として、熱転写受像シートの搬送性向上機能や、カール防止機能を有する裏面層7を用いることが好ましい。
上記搬送性向上機能およびカール防止機能を示す裏面層を構成する材料としては、所望の搬送性やカール防止性を付与できる材料であれば特に限定されないが、通常、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ハロゲン化ポリマー等からなるバインダー樹脂中に、添加剤としてフィラーを加えたものが用いられる。
以上、本発明の熱転写受像シートについて詳細に説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
次に、本発明の熱転写受像シートの製造方法について説明する。本発明の熱転写受像シートの製造方法は、基材上に、多孔質層、バリア層、保護層と、をこの順で積層してなる熱転写受像シートの製造方法であって、バリア層を形成する工程が、(A)第1のアクリル系樹脂と、(B)ポリエステル樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、第1のアクリル系樹脂とは最低造膜温度が異なる第2のアクリル系樹脂のいずれかと、を含む水系塗工液を前記基材上に塗工・乾燥する工程であることを特徴とする。以下、(A)アクリル系樹脂をA成分の樹脂、(B)ポリエステル樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、第2のアクリル系樹脂のいずれかの樹脂をB成分の樹脂という場合がある。
以下、本発明の製造方法における各工程について更に具体的に説明する。なお、多孔質層、保護層を形成する工程について特に限定はなく、例えば、上記本発明の熱転写受像シートにおいて説明した形成方法により形成することができる。したがって、本発明の製造方法では、バリア層形成工程を中心に説明を行う。
(バリア層形成工程)
バリア層形成工程は、多孔質層上に、A成分の樹脂と、B成分の樹脂を含む水系塗工液を塗布・乾燥することによって、バリア層を形成する工程である。
本発明の製造方法によれば、耐溶剤性に優れ、且つ受容層との接着性に優れるバリア層を形成することができる。
さらに、本発明の製造方法では、バリア層が水系塗工液を用いて形成されることから、バリア層形成時に多孔質層中に含まれる中空粒子が破壊されることはない。したがって、熱転写受像シートに十分なクッション性と耐久性とを付与することができる。また、A成分やB成分のアクリル系樹脂の一態様として、アクリル系樹脂エマルジョンを用いてバリア層を形成する場合には、塗工液中にアクリル系樹脂エマルジョンが含まれることから、塗工適性よくバリア層を形成することが可能である。
(A成分の樹脂)
A成分である第1のアクリル系樹脂としては、従来公知のアクリル系樹脂を用いることができる。このA成分のアクリル系樹脂は、本発明の熱転写受像シートのバリア層3で用いた第1のアクリル系樹脂をそのまま用いることができ、ここでの詳細な説明は省略する。
また、上記で説明したように、水系塗工液中に含まれるA成分のアクリル系樹脂は、コア・シェル型のアクリル系樹脂であることが好ましい。また、A成分のアクリル系樹脂は、アクリル系樹脂エマルジョンであることが好ましく、コア・シェル型のアクリル系樹脂エマルジョンであることが特に好ましい。アクリル系樹脂エマルジョンは、アクリル系樹脂粒子を界面活性剤とともに水に混合することによって、あるいは、アクリル系モノマーを従来公知の乳化重合法によって直接合成することによって得ることができる。
また、A成分の一態様であるアクリル系樹脂エマルジョンは、最低造膜温度が15℃未満であることが好ましい。最低造膜温度がこの範囲内のアクリル系樹脂エマルジョンを用いることで、塗工適性よくバリア層を形成することができ、且つ後述のB成分と併せて使用することで、受容層との接着性が高く、耐溶剤性に優れるバリア層を形成することができる。
A成分の一態様であるアクリル系樹脂エマルジョンは、固形分が20質量%〜50質量%であることが好ましく、30質量%〜50質量%がより好ましい。固形分が上記範囲のアクリル系樹脂エマルジョンを用いることで、塗工適性よくバリア層を形成することができる。固形分が20質量%〜50質量%の範囲内のアクリル系樹脂エマルジョンとしては、三井化学社製のコア・シェル型アクリル系樹脂エマルジョン(バリアスター(登録商標)B−4100)等を挙げることができる。このコア・シェル型アクリル系樹脂エマルジョンは、最低造膜温度が5℃程度であることから、A成分として特に好適である。
(B成分の樹脂)
B成分の樹脂であるポリエステル樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂のいずれかの樹脂は、本発明の熱転写受像シートにおいて説明したものをそのまま使用することができ、ここでの詳細な説明は省略する。
第2のアクリル系樹脂は、第1のアクリル系樹脂と異なるとの条件を満たすものであればよく、この要件を満たすものであれば、上記で説明したアクリル系樹脂等を適宜選択して用いることができる。なお、第1のアクリル系樹脂と第2のアクリル系樹脂とが異なるとは、上記本発明の熱転写受像シート10の第2のアクリル系樹脂で説明した(i)〜(iii)の態様等を例示することができる。
本発明の製造方法では、第1のアクリル系樹脂、第2のアクリル系樹脂が、それぞれ最低造膜温度が異なるアクリル系樹脂エマルジョンであることが好ましく、第1のアクリル系樹脂が、最低造膜温度が15℃未満のアクリル系樹脂エマルジョンであり、第2のアクリル系樹脂が、最低造膜温度が15℃以上のアクリル系樹脂エマルジョンである組合せが特に好ましい。この組合せによれば塗工適性よくバリア層を形成することができ、かつ形成されるバリア層に受容層との高い接着性と、高い耐溶剤性を付与することができる。またさらに、第2のアクリル系樹脂は、コア・シェル型以外のアクリル系樹脂であることが好ましく、コア・シェル型以外のアクリル系樹脂エマルジョンであることが特に好ましい。
また、塗工適性を考慮すると第2のアクリル系樹脂エマルジョンも、第1のアクリル系樹脂エマルジョンと同様、固形分が、20質量%〜50質量%であることが好ましい。
(配合比)
水系塗工液中におけるA成分の樹脂と、B成分の樹脂との配合比は、固形分比で9:1〜5:5であることが好ましい。A成分の樹脂と、B成分の樹脂との配合比をこの範囲内とすることで、耐溶剤性と受容層接着性が優れたバリア層を形成することができる。
また、水系塗工液中には、上記A成分、B成分の樹脂に加え、必要に応じて他の成分を含有させることもできる。他の成分について特に限定はなく、例えば、蛍光増白剤等の添加剤や、酸化チタン等の白色顔料、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース誘導体等を挙げることができる。
A成分の樹脂とB成分の樹脂の合計の固形分質量は、水系塗工液中の固形分総量に対し、60質量%以上であることが好ましい。A成分の樹脂とB成分の樹脂の合計の固形分質量が水系塗工液中の固形分総量の60質量%未満である場合には、耐溶剤性や接着性が低下する傾向にある。なお、A成分の樹脂とB成分の樹脂の合計の固形分質量の上限値について特に限定はなく、その上限は100質量%である。
(水系溶媒)
本発明の製造方法では、バリア層が水系塗工液を用いて形成されることから、水系塗工液中において、上記A成分、B成分の樹脂は水系溶媒に分散或いは溶解された状態で存在している。なお、水系溶媒とは、水を主成分とする溶媒をいう。水系溶媒における水の割合は、通常60質量%以上であり、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上である。水以外の溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等、水との共存下で容易に相分離しないものを例示することができる。また、有機溶媒は、水との共存下で相分離する有機化合物からなる液体を挙げることができる。
(水系塗工液の塗工)
A成分、B成分の樹脂、必要に応じて他の成分を水系溶媒に分散、或いは溶解してなる水系塗工液の塗工方法について特に限定はなく、従来公知の塗工方法を適宜選択して塗工することができる。例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の公知の塗工手段を用いて多孔質層上に水系塗工液を塗工することができる。
水系塗工液の塗工量について特に限定はないが、乾燥時の塗工量が0.2g/m2未満
である場合には、耐溶剤性や接着性が低下しやすくなる。したがって、この点を考慮すると、バリア層3の塗工量は乾燥時の塗工量で、0.2g/m2〜5.0g/m2程度であることが好ましい。
以下、本発明の熱転写受像シート、及び熱転写受像シートの製造方法について実施例、比較例を挙げて具体的に説明する。なお、本願明細書中において%とあるのは質量%又は質量部である。
(実施例1)
基材として、RC紙(STF−150、三菱製紙社製、190μm)を用意し、この基材上に、下記組成の多孔質層形成用液を乾燥状態で8〜10g/m2の厚さとなるように塗工し多孔質層を形成した。次いで、多孔質層上に下記組成のバリア層形成用液1を1.0g/m2の厚さとなるように塗工しバリア層を形成した。次いで、バリア層上に下記組成の受容層形成用液を2.5g/m2の厚さとなるように塗工し受容層を形成し、基材/多孔質層/バリア層/受容層がこの順で積層されてなる実施例1の熱転写受像シートを得た。
<多孔質層形成用液>
・中空粒子(平均粒子径:1μm) 70部
(HP−91 ローム・アンドハース(株)製)
・スチレンアクリル酸エステル 30部
(SX1707A 日本ゼオン株式会社製)
・水 10部
<バリア層形成用液1>
・A;アクリルエマルジョン(固形分37% 最低造膜温度5℃) 100部
(B−4100 三井化学(株)製)
・B;ポリビニルピロリドン樹脂(固形分12%) 77部
((VIVI PRINT540) アイエスピー・ジャパン(株)製)
固形分比(A):(B)=8:2
・水 30部
・IPA 24部
<受容層形成用液>
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合 60部
(日信化学工業(株)製、商品名:ソルバインC)
・エポキシ変性シリコーン 1.2部
(信越化学工業(株)製、商品名:X−22−3000T)
・メチルスチル変性シリコーン 0.6部
(信越化学工業(株)製、商品名:X−24−510T)
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 5部
(実施例2)
バリア層形成用液1を下記組成のバリア層形成用液2に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例2の熱転写受像シートを得た。
<バリア層形成用液2>
・A;アクリルエマルジョン(固形分37%) 100部
(B−4100 三井化学(株)製)
・B;ポリビニルピロリドン樹脂(固形分12%) 206部
((VIVI PRINT540) アイエスピー・ジャパン(株)製)
固形分比(A):(B)=6:4
・水 21部
・IPA 16部
(実施例3)
バリア層形成用液1を下記組成のバリア層形成用液3に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例3の熱転写受像シートを得た。
<バリア層形成用液3>
・A;アクリルエマルジョン(固形分37% 最低造膜温度5℃) 100部
(B−4100 三井化学(株)製)
・B;ポリエステル樹脂(固形分20%) 46部
(ポリエスターWR−905 日本合成化学(株)製)
固形分比(A):(B)=8:2
・水 48部
・IPA 37部
(実施例4)
バリア層形成用液1を下記組成のバリア層形成用液4に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例4の熱転写受像シートを得た。
<バリア層形成用液4>
・A;アクリルエマルジョン(固形分37% 最低造膜温度5℃) 100部
(B−4100 三井化学(株)製)
・B;ポリエステル樹脂(固形分20%) 123部
(ポリエスターWR−905 日本合成化学(株)製)
固形分比(A):(B)=6:4
・水 48部
・IPA 37部
(実施例5)
バリア層形成用液1を下記組成のバリア層形成用液5に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例5の熱転写受像シートを得た。
<バリア層形成用液5>
・A;アクリルエマルジョン(固形分37% 最低造膜温度5℃) 100部
(B−4100 三井化学(株)製)
・B;ポリエステルウレタン樹脂(固形分22.6%) 41部
(ハイドランAP−40 DIC(株)製)
固形分比(A):(B)=8:2
・水 50部
・IPA 40部
(実施例6)
バリア層形成用液1を下記組成のバリア層形成用液6に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例6の熱転写受像シートを得た。
<バリア層形成用液6>
・A;アクリルエマルジョン(固形分37% 最低造膜温度5℃) 100部
(B−4100 三井化学(株)製)
・B;ポリエステルウレタン樹脂(固形分22.6%) 110部
(ハイドランAP−40 DIC(株)製)
固形分比(A):(B)=6:4
・水 67部
・IPA 52部
(実施例7)
バリア層形成用液1を下記組成のバリア層形成用液7に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例7の熱転写受像シートを得た。
<バリア層形成用液7>
・A;アクリルエマルジョン(固形分37% 最低造膜温度5℃) 100部
(B−4100 三井化学(株)製)
・B;アクリルエマルジョン(固形分45% 最低造膜温度25℃) 21部
(ボンコートAK2100 DIC(株)製)
固形分比(A):(B)=8:2
・水 71部
・IPA 55部
(実施例8)
バリア層形成用液1を下記組成のバリア層形成用液8に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例8の熱転写受像シートを得た。
<バリア層形成用液8>
・A;アクリルエマルジョン(固形分37% 最低造膜温度5℃) 100部
(B−4100 三井化学(株)製)
・B;アクリルエマルジョン(固形分45% 最低造膜温度25℃) 55部
(ボンコートAK2100 DIC(株)製)
固形分比(A):(B)=6:4
・水 97部
・IPA 77部
(比較例1)
バリア層形成用液1を下記組成のバリア層形成用液9に変更した以外は、全て実施例1と同様にして比較例1の熱転写受像シートを得た。
<バリア層形成用液9>
・A;アクリルエマルジョン(固形分37% 最低造膜温度5℃) 100部
(B−4100 三井化学(株)製)
・水 27部
・IPA 21部
(比較例2)
バリア層形成用液1を下記組成のバリア層形成用液10に変更した以外は、全て実施例1と同様にして比較例2の熱転写受像シートを得た。
<バリア層形成用液10>
・ポリエステル樹脂(固形分20%) 100部
(ポリエスターWR−905 日本合成化学(株)製)
(比較例3)
バリア層形成用液1を下記組成のバリア層形成用液11に変更した以外は、全て実施例1と同様にして比較例3の熱転写受像シートを得た。
<バリア層形成用液11>
・ポリエステルウレタン樹脂(固形分22.6%) 100部
(ハイドランAP−40 DIC(株)製)
・水 20部
・IPA 15部
(比較例4)
バリア層形成用液1を下記組成のバリア層形成用液12に変更した以外は、全て実施例1と同様にして比較例4の熱転写受像シートを得た。
<バリア層形成用液12>
・アクリルエマルジョン(固形分45% 最低造膜温度25℃) 100部
(ボンコートAK2100 DIC(株)製)
・水 70部
・IPA 55部
<<接着性評価>>
実施例1〜8、比較例1〜4の受容層に、粘着テープ(ニチバン(株)メンディングテープ 品番:MD-12)を貼り付け、180°の剥離角度で剥離し、以下の評価基準により接着性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<評価基準>
○・・・受容層が剥がれない。
×・・・受容層が剥がれる。
<<バリア性評価>>
実施例1〜8、比較例1〜4の熱転写受像シートの形成に際し、受容層を形成する前の積層体(基材/多孔質層/バリア層)を準備した。この積層体のバリア層上に、メチルエチルケトンとトルエンの混合溶液を1滴滴下し、5秒経過後に拭き取り、以下の評価基準によりバリア性の評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。
<評価基準>
◎・・・溶剤の滴下痕が残らない。
○・・・滴下痕は見えるが、性能上問題はない。
×・・・溶剤によってバリア層が破壊されている。
<<コゲ評価>>
昇華型熱転写プリンター(ALTECH ADS社製、型式:MEGAPIXELIII)にて、実施例1〜8、比較例1〜4の熱転写受像シートに、RGB値が15×n(n=0〜17)の18階調グラデーション画像を印画し、光学濃度計(グレタグマクベス社製spectrolino)による光学反射濃度を測定した。次いで、最大エネルギーが印加されている部分(ODmax)の濃度と、その次に大きいエネルギーが印加されている部分の濃度とを比較した。この比較において、ODmaxの濃度が低下しているということは、バリア層の耐熱性が低くコゲが生じうる可能性があることを意味する。具体的には、以下の基準にてコゲの評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。
<評価基準>
○・・・ODmaxで濃度が低下しておらずコゲが発生することはない。
△・・・ODmaxが1.7以上あり実用上問題ないレベルである。
×・・・ODmaxが1.7未満でありコゲが発生する可能性が高く実用上問題が生じうる。
<<印画の白抜け評価>>
実施例及び比較例の印画物の中間階調部分(128階調)において白抜けが発生しているか否かを目視により行い、以下の評価基準により印画物の白抜けの評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。
<評価基準>
○・・・白抜けなし。
△・・・やや白抜けがあるが性能上問題なし。
×・・・白抜けが発生しており性能上問題がある。
Figure 0005786743
表1からも明らかなように、A成分;第1のアクリル系樹脂と、B成分;ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、第2のアクリル系樹脂のいずれかと、を含有するバリア層を備える実施例の熱転写受像シートによれば、受容層との接着性が高く、且つ溶剤に対する耐溶剤性にも優れていることが確認された。一方、本発明の構成要件を充足しない比較例1〜4の熱転写受像シートでは、接着性と耐溶剤性の双方を満足させることができていないことが確認された。
1…基材
2…多孔質層
3…バリア層
4…受容層
6…目止め層
7…裏面層
10…熱転写受像シート

Claims (7)

  1. 基材上に、多孔質層、バリア層、受容層をこの順で積層してなる熱転写受像シートにおいて、
    前記多孔質層がバインダー樹脂と中空粒子を含み、
    前記バリア層は少なくとも2種の樹脂を含み、このうちの1種の樹脂が、第1のアクリル系樹脂であり、他の1種の樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、前記第1のアクリル系樹脂とは異なる第2のアクリル系樹脂のいずれかであることを特徴とする熱転写受像シート。
  2. 前記第1のアクリル系樹脂が、コア・シェル型のアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写受像シート。
  3. 前記1種の樹脂と、前記他の1種の樹脂との配合比が、固形分比で9:1〜5:5の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱転写受像シート。
  4. 基材上に、多孔質層、バリア層、受容層をこの順で積層してなる熱転写受像シートの製造方法であって、
    バリア層を形成する工程が、(A)第1のアクリル系樹脂と、(B)ポリエステル樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、前記第1のアクリル系樹脂とは異なる第2のアクリル系樹脂のいずれかと、を含む水系塗工液を前記基材上に塗工・乾燥する工程であることを特徴とする熱転写受像シートの製造方法。
  5. 前記(A)第1のアクリル系樹脂が、コア・シェル型のアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項4に記載の熱転写受像シートの製造方法。
  6. 前記(A)第1のアクリル系樹脂と、前記(B)の第2のアクリル系樹脂は、最低造膜温度が異なるアクリル系樹脂エマルジョンであることを特徴とする請求項4又は5に記載の熱転写受像シートの製造方法。
  7. 前記水系塗工液中における前記第1のアクリル系樹脂と、前記(B)ポリエステル樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、第2のアクリル系樹脂のいずれかとの配合比が、固形分比で9:1〜5:5であることを特徴とする請求項4乃至6の何れか1項に記載の熱転写受像シートの製造方法。
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