JP2020142386A - 中間転写媒体、印画物及び印画物の製造方法 - Google Patents

中間転写媒体、印画物及び印画物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】箔切れが良好な中間転写媒体と、画像耐久性に優れた印画物と、この印画物の製造方法を提供する。【解決手段】基材2の一方の面に、少なくとも剥離層11(第1剥離層)及び溶融転写受容層12を有する第1パネル10と、少なくとも剥離層21(第2剥離層)、保護層22及び染料受容層23とを有する第2パネル20とが面順次に設けられた中間転写媒体。この中間転写媒体を用いて印画物を製造する方法。【選択図】図1

Description

本発明は、中間転写媒体及び印画物と、中間転写媒体を用いた印画物の製造方法に関する。
身分証明書やIDカード、クレジットカード、その他カード類においては、カード全面に画像を形成する、いわゆる縁なし画像が主流となってきている。これらカード類等の被転写体に画像を形成するには、中間転写媒体の受容層に画像を形成し、この中間転写媒体と被転写体とを圧接し、サーマルヘッド等の加熱手段によって、中間転写媒体の受容層等を被転写体に熱転写する。
中間転写媒体の受容層に画像を形成するための熱転写方法には、溶融転写方式と昇華転写方式とがある。溶融転写方式は、顔料等の色材を熱溶融性のワックスや樹脂等のバインダーに分散させた熱溶融インキ層をPETフィルム等の基材シートに担持させた熱転写シートを用いる。この熱転写シートと中間転写媒体とを重ね、熱転写シートに対し、サーマルヘッド等の加熱手段によって画像情報に応じたエネルギーを印加し、中間転写媒体の受容層に色材を移行させる。この溶融転写方式による画像は、高濃度で鮮鋭性に優れ、文字等の2値画像の記録に適している。
昇華転写方式は、主に昇華により熱移行する染料を樹脂バインダー中に溶解或いは分散させた染料層をPETフィルム等の基材シートに担持させた熱転写シートを用いる。この熱転写シートと中間転写媒体とを重ね、熱転写シートに対し、サーマルヘッド等の加熱手段によって画像情報に応じたエネルギーを印加し、中間転写媒体の受容層に、染料のみを転写移行させる。この昇華転写方式は、印加されるエネルギー量に応じて染料の移行量を制御できるため、サーマルヘッドのドット毎に画像濃度を制御した階調画像の形成を行なうことができる。また、使用する色材が染料であるため、形成される画像には透明性があり、異なる色の染料を重ねた場合の中間色の再現性に優れている。
中間転写媒体は、基材と、基材上に剥離可能に形成された保護層及び受容層がこの順で積層された転写層とを有し、画像が形成された受容層を含む転写層を被転写体に転写して印画物を作製する。印画物の耐久性を高めるために、中間転写媒体の保護層を厚くすることが行われている。
しかし、中間転写媒体を用いて被転写体の全面に転写層を熱転写する場合、上記のように保護層を厚くすると、被転写体を中間転写記録媒体から剥離する際に、被転写体の端部に尾引きと呼ばれるバリが発生することがあった。
特開2009−160765号公報 国際公開WO2017/159805号公報 特開2002−240444号公報
本発明は、箔切れが良好な中間転写媒体と、画像耐久性に優れた印画物と、この印画物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の中間転写媒体は、基材の一方の面に、少なくとも第1剥離層及び溶融転写受容層を有する第1パネルと、少なくとも第2剥離層、保護層及び染料受容層を有する第2パネルとが面順次に設けられたものである。
本発明の一態様では、前記第1パネルの総厚みと第2パネルの総厚みとが等しくなるように、前記第1剥離層と前記第2剥離層との厚みが異なっている。
本発明の一態様では、前記第1パネルの溶融転写受容層がフィラーを含有する。
本発明の一態様では、前記フィラーは、平均粒径1μm以上10μm以下のシリカである。
本発明の印画物の製造方法は、かかる本発明の中間転写媒体の前記溶融転写受容層及び前記染料受容層にそれぞれ画像を形成する工程と、画像が形成された前記溶融転写受容層を有する第1パネルを被転写体に転写し、次いでこの第1パネル上に、画像が形成された前記染料受容層を有する第2パネルを転写する工程とを有する。
本発明の印画物は、被転写体の一方の面に、第1剥離層と、画像が形成された溶融転写受容層と、第2剥離層と、保護層と、画像が形成された染料受容層とがこの順に積層されてなる。
本発明の中間転写媒体は、第1パネル及び第2パネルが面順次に設けられているため、各パネルの厚みを抑えることができ、箔切れ性が良好である。
本発明の印画物は、転写されたパネルの箔切れ性が良好であるため、外観特性に優れる。また、本発明の印画物では、積層された溶融転写受容層及び染料受容層を覆うように保護層が設けられているので、画像耐久性が良好であり、溶融インキと染料がそれぞれ別の受容層に転写されて隔離されているため、染料が溶融インキに拡散して起こるニジミが発生することがなく、画像保存性が良好である。
中間転写媒体の層構成図である。 中間転写媒体の層構成図である。 比較例に係る中間転写媒体の層構成図である。 印画物の層構成図である。
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
図1は本発明の一例に係る中間転写媒体1の層構成を示している。この中間転写媒体1は、基材2と、基材2の一方の面に面順次に設けられた第1パネル10及び第2パネル20を有する。
第1パネル10は、基材2上に形成された第1剥離層11(以下、「剥離層11」と記載する。)と、剥離層11の上に形成された溶融転写受容層12とを有する。第2パネル20は、基材2上に形成された第2剥離層21(以下、「剥離層21」と記載する。)と、剥離層21上に形成された保護層22と、保護層22上に形成された染料受容層23とを有する。
この実施の形態では、第1パネル10と第2パネル20とは、それぞれ全体の積層厚みが同一となるように剥離層21の厚さが剥離層11よりも小さくなっており、第1パネル10と第2パネル20の上面は同一平面を構成している。ここで、積層厚み(総厚み)が同一とは、完全に同一以外に、実質的に同一であることも含む。実質的に同一とは、第1パネル10の総厚み/第2パネル20の総厚みが0.85以上1.15以下、すなわち総厚みの差が15%以内であることをいう。
以下、基材2及び各層の好適な材料等について説明する。
[基材]
基材2の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリアミド、ポリメチルペンテン等のプラスチックの延伸または未延伸フィルムが挙げられる。また、これらの材料を2種以上積層した複合フィルムも使用することができる。基材1の厚さは、その強度および耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、通常は1μm以上100μm以下程度のものが好ましく用いられる。
[剥離層]
基材2から溶融転写受容層12及び保護層22の剥離性を向上させるために、基材2と溶融転写受容層12及び保護層22との間に剥離層11,21を設けている。剥離層11,21は、熱転写時に被転写体上へ移行する。剥離層11,21を設けることで溶融転写受容層12及び保護層22の剥離性が向上するとともに、保護層22との相乗効果によって、印画物の耐久性を更に向上させることができる。
剥離層11,21の材料としては、例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロースなどのセルロース誘導体、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラールなどのビニル共重合体の熱可塑性樹脂や、飽和又は不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、熱架橋性エポキシ−アミノ樹脂、アミノアルキッド樹脂などの熱硬化型の樹脂、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。剥離層11,21は、1種の樹脂からなるものであってもよく、2種以上の樹脂からなるものであってもよい。また、剥離層11,21には箔切れ性を向上させるために、マイクロシリカやポリエチレンワックスなどのフィラーを含有させることが好ましい。さらに、剥離層11,21は、上記に例示した樹脂に加えイソシアネート化合物等の架橋剤、錫系触媒、アルミニウム系触媒等の触媒を用いて形成してもよい。必要に応じてその他の添加剤を加えても良い。
剥離層11,21は、上記の樹脂及び必要に応じて加える添加剤等を溶媒へ分散又は溶解して、ロールコート、グラビアコート、バーコートなどのコーティング方法で、基材2上の少なくとも一部に塗布・乾燥することで形成することができる。剥離層11,21の厚さは、通常は0.1μm以上5μm以下程度、好ましくは0.5μm以上2μm以下程度である。
[保護層]
保護層22は、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、紫外線吸収性樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリルウレタン、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線吸収性樹脂等で構成される。必要に応じてその他の添加剤を加えても良い。
保護層22を構成する樹脂は、数平均分子量(Mn)が8000以上30000以下程度のものが好適である。
保護層22の厚みは、2μm以上30μm以下程度が好適である。
保護層22の形成方法としては、たとえば、上記に例示される樹脂の1種または2種以上を適当な溶剤により、溶解または分散させて塗工液を調製し、これを基材2上にグラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等により塗布、乾燥して形成する方法が例示される。
[溶融転写受容層]
溶融転写受容層12は、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等のビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニル系モノマーとの共重合体、アイオノマー、セルロース誘導体、エポキシ樹脂等を用いて形成することができ、これらの中でもビニル樹脂およびポリエステル樹脂が特に好ましく用いられる。
溶融転写受容層12には、細線が印画されたときの鮮明度を高めるため、かつ巻き形態での中間転写媒体保存時における基材2の他方の面(裏面)とのブロッキングを防止するために、粒径1μm以上10μm以下のフィラーを配合することが好ましい。このフィラーとしては、シリカ等が好適である。フィラーの配合量は、樹脂100質量部に対して0.05質量部以上5質量部以下が好ましく、より好ましくは0.1質量部以上2質量部以下である。必要に応じてその他の添加剤を加えても良い。
溶融転写受容層を中間転写媒体の基材上に形成する方法としては、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート等の方法が例示される。溶融転写受容層の厚みは0.5μm以上100μm以下程度が好適である。
溶融転写受容層12は、顔料等の色材が転写されて画像が形成される層であり、染料受容層23のような染料の受容機能は不要である。
[染料受容層]
染料受容層23を形成するための材料としては、昇華性染料を受容し易い樹脂材料が好適である。例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはポリアクリル酸エステル等のビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、エチレンもしくはプロピレン等のオレフィンと他のビニルポリマーとの共重合体、アイオノマーもしくはセルロースジアスターゼ等のセルロース樹脂、ポリカーボネート、エポキシ樹脂等が挙げられ、特に、塩化ビニル樹脂、アクリル−スチレン樹脂またはポリエステルが好ましい。
染料受容層23は、上述の材料の中から選択された単独または複数の材料および必要に応じて各種添加剤等を加え、水または有機溶剤等の適当な溶剤に溶解または分散させて受容層形成用塗工液を調製し、これをグラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の手段により、塗布、乾燥して形成することができる。その塗工量は、乾燥状態の厚みで1μm以上10μm以下程度である。
[被転写体]
被転写体上に、上述した中間転写媒体の熱転写画像が形成された第1パネル10及び第2パネル20が順次に転写される。被転写体は特に限定されず、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート等の樹脂製のもののほか、天燃繊維紙、コート紙、トレーシングペーパー、ガラス、金属、セラミックス、木材、布等でもよい。
[被転写体上への画像形成方法]
被転写体上に画像を形成するには、溶融転写方式の熱転写シートを用いて中間転写媒体1の第1パネル10の溶融転写受容層12に第1画像を形成すると共に、昇華性染料を用いた感熱昇華転写方式の熱転写シートを用いて中間転写媒体1の第2パネル20の染料受容層23に第2画像を形成する。なお、パネル10,20への画像の形成順序は任意である。
なお、溶融転写受容層11に画像を形成するには、顔料等の色材を熱溶融性のワックスや樹脂等のバインダーに分散させた熱溶融インキ層をPETフィルム等の基材シートに担持させた熱転写シートを用い、この熱転写シートと中間転写媒体とを重ね、熱転写シートに対し、サーマルヘッド等の加熱手段によって画像情報に応じたエネルギーを印加し、中間転写媒体の受容層に色材を移行させる。また、染料受容層23に画像を形成するには、昇華により熱移行する染料を樹脂バインダー中に溶解或いは分散させた染料層をPETフィルム等の基材シートに担持させた熱転写シートを用い、この熱転写シートと中間転写媒体とを重ね、熱転写シートに対し、サーマルヘッド等の加熱手段によって画像情報に応じたエネルギーを印加し、中間転写媒体の受容層に、染料のみを転写移行させる。
次いで、画像が形成された中間転写媒体1の第1パネル10を溶融転写受容層12側から被転写体に重ね、サーマルヘッドとプラテンローラを用いて第1パネル10を被転写体30(図4)上に熱転写する。次いで被転写体30上の第1パネル10に第2パネル20を染料受容層23側から重ね合わせて同様にして第2パネル20を第1パネル10上に熱転写する。これにより、図4に示す層構成の印画物40が製造される。
第1パネル10及び第2パネル20はそれぞれ被転写体30よりも若干大きい面積を有している。第1パネル10を被転写体30に圧着して剥がす場合、第1パネル10の厚みは後述の比較例1の転写層の総厚みに比べて小さいので、箔引きを生じさせることなく、第1パネル10が被転写体30の周縁に沿って切断される。また、第2パネル20も同様に厚みが後述の比較例1の転写層の総厚みに比べて小さいため、第2パネル20を被転写体30上の第1パネル10に熱転写する場合も、第2パネル20は箔引きを生じさせることなく、被転写体30の周縁に沿って切断される。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下、特に断りのない限り、部または%は質量基準である。また、塗工厚み(μm)は乾燥状態での厚さを表わす。
[実施例1]
基材として厚さ16μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この基材上に下記組成の塗工液を塗工し、図1に示す各層11,12,21〜23を形成した。塗工液は、全てグラビアコーティングにて塗工した。なお、下記の塗工厚みは乾燥後の厚みを表わす。
<溶融転写層12形成用塗工液>(塗工厚み2.5μm)
・ポリエステル(Mn:17000 Tg:67℃) 20部
(バイロン(登録商標)200、東洋紡(株))
・メチルエチルケトン 80部
・シリカフィラー
(サイリシア310P、粒径2.7μm、不定形、富士シリシア化学(株))0.6部
<剥離層11形成用塗工液>(塗工厚み1.5μm)
・アクリル樹脂(Tg:105℃ Mw:25000) 80部
(ダイヤナール(登録商標)BR−87、三菱ケミカル(株))
・ポリエステル 5部
(バイロン(登録商標)200、東洋紡(株))
・ポリエチレンワックス 5部
(ポリワックス1000、東洋アドレ(株))
・紫外線吸収アクリル樹脂 25部
(PUV10−50M−40TM、大塚化学(株)、固形分:40%)
・トルエン 192.5部
・メチルエチルケトン 192.5部
<染料受容層23形成用塗工液>(塗工厚み2.0μm)
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(Mn:16000 Tg:76℃) 95部
(ソルバイン(登録商標)CNL、日信化学工業(株))
・エポキシ変性シリコーンオイル 5部
(KP−1800U、信越化学工業(株))
・トルエン 200部
・メチルエチルケトン 200部
<保護層22形成用塗工液>(塗工厚み1.5μm)
モル当量比(−NCO/−OH):0.5
・アクリル系ポリオール樹脂(固形分:36.5% Tg:102℃ Mw:55000
水酸基価(solid):30.1、−OH:11) 100部
(6KW−700、大成ファインケミカル(株))
・イソシアネート系硬化剤(固形分:75% −NCO:11.5%) 3.6部
(タケネート(登録商標)D110N(XDI系)、三井化学(株))
・メチルエチルケトン 92部
<剥離層21形成用塗工液>(塗工厚み0.5μm)
剥離層11形成用塗工液と同一の塗工液
[実施例2]
溶融転写受容層12形成用塗工液を下記組成に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例2の中間転写媒体を得た。
<溶融転写受容層12形成用塗工液>(塗工厚み2.5μm)
・アクリル樹脂(Mw:40000 Tg:105℃) 20部
(ダイヤナール(登録商標)BR−83、三菱ケミカル(株))
・メチルエチルケトン 80部
・シリカフィラー
(サイリシア310P、粒径2.7μm、不定形、富士シリシア化学(株))0.6部
[実施例3]
溶融転写受容層12形成用塗工液を下記組成に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例2の中間転写媒体を得た。
<溶融転写受容層12形成用塗工液>(塗工厚み2.5μm)
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(Mn:25000 Tg:70℃) 20部
(ソルバイン(登録商標)CL、日信化学工業(株))
・メチルエチルケトン 80部
・シリカフィラー
(サイリシア310P、粒径2.7μm、不定形、富士シリシア化学(株))0.6部
[実施例4]
溶融転写受容層12形成用塗工液を下記組成(シリカフィラーを配合しなかったこと以外は実施例1と同組成)に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例4の中間転写媒体を得た。
<溶融転写受容層12形成用塗工液>(塗工厚み2.5μm)
・ポリエステル(Mn:17000 Tg:67℃) 20部
(バイロン(登録商標)200、東洋紡(株))
・メチルエチルケトン 80部
[実施例5]
溶融転写受容層12形成用塗工液を下記組成(シリカフィラーを粒径1.2μmの下記のメラミン・ホルムアルデヒド縮合物粒子としたこと以外は実施例1と同組成)に変更した以外は、全て実施例1と同様にして実施例5の中間転写媒体を得た。
<溶融転写受容層12形成用塗工液>
・ポリエステル(Mn:17000 Tg:67℃) 20部
(バイロン(登録商標)200、東洋紡(株))
・メチルエチルケトン 80部
・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物粒子
(エポスター(登録商標)S12、粒径1.2μm、球形、(株)日本触媒)0.6部
[実施例6]
第2パネル20の剥離層21の塗工厚みを第1パネル10の剥離層11と同一の1.5μmとし、これにより図2の中間転写媒体1Aのように第2パネル20の厚みを第1パネル10よりも大きくしたこと以外は、全て実施例1と同様にして実施例6の中間転写媒体を得た。
[比較例1]
層構成を図3の中間転写媒体1Bの通りとしたこと以外は、全て実施例1と同様にして比較例1の中間転写媒体を得た。
図3の中間転写媒体1Bでは、基材2上に第1パネル10と同じ材料及び厚みにて剥離層11及び溶融転写受容層12が形成され、その上に第2パネル20に用いたものと同じ材料及び厚みにて保護層22及び染料受容層23が形成されている。剥離層21は設けられていない。剥離層11、溶融転写受容層12、保護層22及び染料受容層23の各々の厚みは1.0μm、3.0μm、1.5μm、2.0μmであり、合計厚みは、1.0+3.0+1.5+2.0=7.5μmである。
[印画物の製造及び評価]
上記の各中間転写媒体を用い、以下のようにして印画物を製造し、箔切れ性、溶融転写層細線再現性、加工適正、密着性及び耐久性を評価した。結果を表1に示す。
<中間転写時の箔切れ性>
カード用ラミネーター(SIP社)を用い、180℃、2inch/sec.の条件にて、被転写体としてのポリ塩化ビニル製カード(PVCカード)(大日本印刷(株))上に、第1パネル10,第2パネル20の順に(ただし、比較例1は、図3の通り、層11,12,22,23よりなる単一のパネルのみ)転写することで、各実施例、及び比較例の印画物を得た。
この際の箔切れ性を以下の評価基準で評価した。
〇:被転写体の端部において箔切れが良好であり、問題なく転写できた。
×:被転写体の端部において箔の切れ残りが見られた。
<溶融転写層12の細線再現性>
・印画条件
昇華型再転写プリンター(CX−210 大日本印刷(株)製)を用い、温度22.5℃、湿度50%の環境下、デフォルト条件にて第1パネル10の溶融転写受容層12上(ただし、比較例1では転写層の最表面上)に下記熱転写シートの熱溶融性インキ層の転写を行い、転写された熱溶融性インキの状態を目視で確認し、以下の評価基準に基づいて熱溶融性インキの潰れ評価を行った。
熱溶融性インキ層については、下記に示すインクリボンを用いた。
○:2dot細線に潰れがない。
△:2dot細線に潰れるが、3dot細線に潰れがない。
×:3dot細線が潰れている。
<<インクリボンの構成>>
(熱転写シート)
基材として厚さ5μmの易接着処理がされたポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、易接着処理が施されていない面に、下記組成の背面層用塗工液を乾燥時の厚みが1.0μmになるように塗布・乾燥して、背面層を形成した。
<背面層形成用塗工液>
・ポリビニルブチラール 2.0部
(エスレック(登録商標)BX−1、積水化学工業(株))
・ポリイソシアネート 9.2部
(バーノック(登録商標)D750、DIC(株))
・リン酸エステル系界面活性剤 1.3部
(プライサーフ(登録商標)A208N、第一工業製薬(株))
・タルク 0.3部
(ミクロエース(登録商標)P−3、日本タルク工業(株))
・トルエン 43.6部
・メチルエチルケトン 43.6部
次に、上記背面層を設けたフィルムの易接着処理された面に、下記組成の離型層形成用塗工液を乾燥時の厚みが0.2μmになるように塗布・乾燥し、離型層を形成した。
次いで、離型層上に、下記組成の熱溶融性インキ層用塗工液を乾燥時の厚みが0.8μmになるように塗布・乾燥し、熱溶融性インキ層を形成することで熱転写シートを得た。
<離型層形成用塗工液>
・酢酸セルロース(固形分:8%,重合度:180) 30部
(L−70、ダイセル化学工業(株))
・メチルエチルケトン(MEK) 6部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM) 3部
・メタノール 1部
<熱溶融性インキ層形成用塗工液>
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 60部
(ソルバイン(登録商標)CNL、日信化学工業(株))
・カーボンブラック 40部
・トルエン 200部
・メチルエチルケトン 200部
<加工適性>
作製した中間転写媒体での小巻作製(スプーリング)における外観を観察し、下記基準で評価した。
〇:シワなく加工できる。
×:わずかにシワが見られる。
<密着性>
箔切れ性試験におけるカード用ラミネーターで転写後の表面について、クロスハッチ試験(10NSI−INCIT322−2008, 5.3 10dhesion Crosshatch Tape Test)にて、下記基準で密着性評価した。
〇:テープ剥離による剥がれなし。
△:テープ剥離によって、わずかに剥がれあり。
×:テープ剥離によって、剥がれ発生。
<耐久性>
各実施例1〜6、及び比較例1の印画物(箔切れ性試験で製造したものと同一。)の耐摩耗試験(Taber試験)を、10NSI−INCITS322−2002、5.9 Surface 10brasionに準拠して、750サイクル実施した。
250サイクル毎に、各実施例及び比較例の印画物の表面の状態を目視で確認し、以下の評価基準に基づいて、表面強度評価を行った。なお、表面強度評価を行うにあたり、250サイクルごとに摩耗輪(摩耗輪:CS−10F 荷重:500gf)を研磨した。
〇:1000サイクル実施後の表面状態が良好である。
△:750サイクル実施後の表面状態が良好であったが、1000サイクル実施後の表面状態が良好ではない。
×:500サイクル実施後の表面状態が良好であったが、750サイクル実施後の表面状態が良好ではない。
Figure 2020142386
表1の通り、実施例1〜6の中間転写媒体は、いずれも箔切れ性が良好である。比較例1は、転写層の総厚みが大きいため、箔切れ性に劣る。
実施例1は、さらに、溶融転写層の細線再現性、加工適正、密着性、耐久性のすべての項目において評価結果が良好であった。
なお、実施例4は、溶融転写受容層がフィラーを含まないため、細線再現性に劣る。また、実施例5は、溶融転写受容層のフィラーの粒径が小さいため、細線再現性に劣る。実施例6は、第1パネル10と第2パネル20とで厚みが異なり、両者の上面に段差が生じるため、加工適正に劣る。
1,1A,1B 中間転写媒体
2 基材
10 第1パネル
11 第1剥離層
12 溶融転写受容層
20 第2パネル
21 第2剥離層
22 保護層
23 染料受容層
30 被転写体
40 印画物

Claims (6)

  1. 基材の一方の面に、少なくとも第1剥離層及び溶融転写受容層を有する第1パネルと、少なくとも第2剥離層、保護層及び染料受容層を有する第2パネルとが面順次に設けられた中間転写媒体。
  2. 前記第1パネルの総厚みと第2パネルの総厚みとが等しくなるように、前記第1剥離層と前記第2剥離層との厚みが異なっていることを特徴とする請求項1に記載の中間転写媒体。
  3. 前記第1パネルの溶融転写受容層がフィラーを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の中間転写媒体。
  4. 前記フィラーが平均粒径1μm以上10μm以下のシリカであることを特徴とする請求項3に記載の中間転写媒体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の中間転写媒体の前記溶融転写受容層及び前記染料受容層にそれぞれ画像を形成する工程と、
    画像が形成された前記溶融転写受容層を有する第1パネルを被転写体に転写し、次いでこの第1パネル上に、画像が形成された前記染料受容層を有する第2パネルを転写する工程と
    を有する印画物の製造方法。
  6. 被転写体の一方の面に、第1剥離層と、画像が形成された溶融転写受容層と、第2剥離層と、保護層と、画像が形成された染料受容層とがこの順に積層されてなる印画物。
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