(A)第1の実施形態
以下、本発明による画像形成装置の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
(A−1)第1の実施形態の構成
まず、第1の実施形態の画像形成装置1全体構成について説明する。
図2は、この実施形態の画像形成装置1の概略断面図である。
この画像形成装置1は、例えば、電子写真方式のカラー画像形成装置であり、シアン(以下、「c」とも表す)、イエロー(以下、「y」とも表す)、マゼンタ(以下、「m」とも表す)、及びホワイト(以下、「w」とも表す)の4色のトナー色を用いて媒体としての印刷媒体23に画像形成が可能である。
画像形成装置1は、各トナー色の現像剤としてのトナーT(Tc、Ty、Tm、Tw)を用いて、印刷媒体23に画像形成を行う。第1の実施形態では、印刷媒体23として、例えば、OHPフィルム、転写紙、色のついた普通紙等を用いることができる。転写紙とは、例えば、Tシャツ等の衣類に、画像を転写するための媒体として用いられるものである。トナーが転写された転写紙の印刷面を衣類に当てて、当該転写紙の裏面(印刷面と反対の面)からアイロン等により加熱・加圧することにより、当該衣類に転写紙の画像を転写させることができる。また、色のついた普通紙とは、白色ではない色のついた普通紙(例えば、黒色、青色、赤色等の色の紙)である。
画像形成装置1は、各トナー色の現像装置11(11c、11y、11m、11w)、各トナー色の静電潜像を形成するための露光部としてのLEDヘッド14(14c、14y、14m、14w)、及び各トナー色の現像剤貯蔵部としてのトナータンク18(18c、18y、18m、18w)を有している。
そして、各トナー色の現像装置11(11c、11y、11m、11w)は、帯電部としての帯電ローラ13(13c、13y、13m、13w)、供給部としての供給ローラ17(17c、17y、17m、17w)、現像部としての現像ローラ15(15c、15y、15m、15w)、層形成ブレード16(16c、16y、16m、16w)、及び像担持部としての感光体ドラム12(12c、12y、12m、12w)を有している。
各トナー色の現像装置11では、感光体ドラム12に接している帯電ローラ13によって一様に帯電されるようになっている。帯電された各感光体ドラム12は、各LEDヘッド14による露光によって静電潜像が形成される。各供給ローラ17は、現像剤としてのトナーを各現像ローラ15へ供給するものである。各層形成ブレード16が、各現像ローラ15の表面に一様にトナー層を形成すると、各感光体ドラム12上にトナー像が現像される構成になっている。各トナー色のトナータンク18(18c、18y、18m、18w)は、それぞれ現像剤としてのトナーT(Tc、Ty、Tm、Tw)を貯蔵するものであり、各現像装置11内に着脱可能に取り付けられ、貯蔵しているトナーを各現像装置11に供給する構成になっている。
各現像装置11の下方向には、各トナー色の転写部としての転写ローラ19(19c、19y、19m、19w)、転写ベルト駆動ローラ25b、及び転写ベルト従動ローラ25aが設けられている。各転写ローラ19は、転写ベルト9の裏面から転写位置に、バイアス電圧が印加可能に配置されている。転写ベルト駆動ローラ25b及び転写ベルト従動ローラ25aは、転写ベルト9を張架し、転写ベルト駆動ローラ25bの駆動によって印刷媒体23が搬送可能な構成になっている。
転写ベルト9の下方向に、用紙カセット20が着脱可能に取り付けられている。用紙カセット20内には、印刷媒体23が積載される。
用紙カセット20の先端(媒体搬送の下流側の端)と転写ベルト駆動ローラ25bとの間には、給紙ローラ21、用紙ガイド21a、及び用紙ガイド21aから印刷媒体23を引き出す搬送ローラユニット22(1対の搬送ローラ22a、22bを有する)が配置されている。そして、転写ベルト9の上方向で、転写ベルト従動ローラ25aに対向する位置に、印刷媒体23を転写ベルト9に吸着(当接)させるための吸着ローラ27が配置されている。
給紙ローラ21は、用紙カセット20から1枚ずつ印刷媒体23を分離して取り出し、用紙ガイド21aへ給紙する。給紙された印刷媒体23は、用紙ガイド21aに沿って搬送され、搬送ローラユニット22(1対の搬送ローラ22a、22b)により引き出される。そして、搬送ローラユニット22により引き出された印刷媒体23、転写ベルト9側に供給される。そして、搬送ローラユニット22から転写ベルト9上に供給された印刷媒体23は、吸着ローラ27と転写ベルト従動ローラ25aの間で転写ベルト9を挟んで挟持される。そして、印刷媒体23を転写ベルト9に吸着させられる。
転写ベルト9の媒体搬送の下流側には、定着ユニット24が配設されている。定着ユニット24は、内部に発熱体28a(例えば、ハロゲンランプ等)が配置された加熱ローラ28と、加圧ローラ29とを有している。定着ユニット24では、印刷媒体23を、発熱体28aにより加熱された加熱ローラ28と、加圧ローラ29との間で挟み込んで、印刷媒体23に熱及び圧力を加えながら媒体搬送の下流側に搬送する。
そして、この定着ユニット24のさらに下流側には、用紙ガイド26c、排出ローラユニット26(一対の排出ローラ26a、26b)、及び排紙トレー2が配置されている。定着ユニット24から用紙ガイド26cに供給された印刷媒体23は、排出ローラユニット26(一対の排出ローラ26a、26b)により排出され、排紙トレー2に載置される。
次に、各トナータンク18(18c、18y、18m、18w)で貯蔵されるトナーT(Tc、Ty、Tm、Tw)の材料について説明する。
第1の実施形態において、各トナー色のトナーT(Tc、Ty、Tm、Tw)は、ポリエステル樹脂、着色剤、帯電制御剤、及び離型剤で構成され、外添剤(疎水性シリカ)が添加されており、粉砕法により得られた粉砕形状の平均粒径8μmの現像剤を利用するものとする。なお、トナーT(Tc、Ty、Tm、Tw)としては、重合法など公知の他製法で得られたものを適用するようにしてもよい。
また、第1の実施形態では、ホワイト(白色)のトナーTw(白色現像剤)の着色剤として、二酸化チタンを使用するものとする。トナーTwに用いる着色剤としては、不透明なトナー像を得られるもの望ましい。その点で二酸化チタンは好適な材料である。なお、ホワイトのトナーTwの着色剤としては、二酸化チタン以外の金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛等)を用いるようにしてもよい。
また、ホワイト以外のトナーTc、Ty、Tm(他の色の現像剤)の着色剤としては、それぞれピグメントシアン、ピグメントマゼンタ、及びピグメントイエローなどの公知の着色剤(顔料)を使用するものとする。また、ホワイト以外のトナーTc、Ty、Tmでは、ある程度透明な色の顔料を、着色剤として用いても良い。
以上のように、第1の実施形態では、ホワイトのトナーTwだけ、帯電特性等の電気的特性が異なるものとなっている。例えば、第1の実施形態で用いるホワイトのトナーTwと、ホワイト以外のトナーTc、Ty、Tmとで、同一条件で帯電させる実験を行ったところ、ホワイトのトナーTwの方が帯電量が少なくなった。具体的には、同一のバイアス電圧を印加したローラに、ホワイトのトナーTwと、ホワイト以外のトナーTc、Ty、Tmとを付着させて、その帯電量を帯電量測定装置(トレック・ジャパン株式会社 吸引式小型帯電量測定装置Model212HS)で測定した。その結果、ホワイトのトナーTwの帯電量が−6μC/g、ホワイト以外のトナーTc、Ty、Tmの帯電量が−30μC/gとなった。したがって、この実施形態で用いられるホワイトのトナーTwの帯電量は、ホワイト以外のトナーTc、Ty、Tmよりも導電性が高く、帯電しにくい性質があることがわかる。
次に、各現像ローラ15(15c、15y、15m、15w)の構成について説明する。
図3は、各現像ローラ15(15c、15y、15m、15w)の断面図である。
図3に示すように、第1の実施形態の現像ローラ15(15c、15y、15m、15w)は、それぞれ金属製のシャフト15aの外周に、弾性体で構成された弾性層15bが形成されている。弾性層15bとしては、例えば、ゴム硬度700(アスカーC硬度)の半導電性のウレタンゴムを用いることができる。
次に、各供給ローラ17(17c、17y、17m、17w)の構成について説明する。
図4は、各供給ローラ17(17c、17y、17m、17w)の断面図である。
図4に示すように、第1の実施形態の供給ローラ17(17c、17y、17m、17w)は、それぞれ金属製のシャフト17aの外周に、発泡体で構成された発泡層17bが形成されている。発泡層17bとしては、例えば、硬度500(アスカーF硬度)のシリコン発泡体を用いることができる。
次に、画像形成装置1の制御系の構成について、図1を用いて説明する。
図1に示すように、画像形成装置1は、図2に示す各構成要素を制御・駆動させるための構成として、中心的な制御処理を行う印刷制御部30(制御手段)を有している。そして、印刷制御部30には、インタフェイス部32、操作入力部33、メモリ34、CPU37、センサ38、プロセス制御部40、現像電圧制御部41、2つの層形成・供給電圧制御部42、43、2つの帯電電圧制御部44、45、各トナー色のLEDヘッド14(14c、14y、14m、14w)の露光制御を行うための露光制御部46(46c、46y、46m、46w)、転写制御部47、及びモータ制御部48が接続されている。
インタフェイス部32は、情報入力手段としての上位装置31(例えば、PC等の印刷データの供給元)とのインタフェイス機能を担っている。インタフェイス部32は、例えば、上位装置31からPDL(Page Description Language、ページ記述言語)等で記述された印刷データが供給されると、その印刷データを、印刷制御部30に転送する。
メモリ34内は、作業用メモリ等として用いるRAM36(揮発メモリ)と、各種設定データ(各構成要素の制御に用いるパラメータ等)やプログラム(例えば、CPU37等で実行されるプログラム)を格納したROM35(不揮発メモリ)とを有している。なお、ROM35は、データ書き換え可能なEEPROMとしてもよい。
ROM35には、設定テーブル351が記憶されている。設定テーブル351は、印刷制御部30が各構成要素を制御する際に用いるパラメータを定義したものである。設定テーブル351の詳細については後述する。
センサ38は、図1に示す媒体搬送路上の所定位置で印刷媒体11を検出するものである。センサ38は、印刷媒体11を検出すると、その旨を示す信号を印刷制御部30に供給する。
プロセス制御部40は印刷制御部30の制御に基づいて、図1に示す各ローラの電圧管理等の処理を行う。
現像バイアス印加手段としての現像電圧制御部41は、各トナー色の帯電ローラ13(13c、13y、13m、13w)にバイアス電圧(現像バイアス電圧)を印加する機能を担っている。以下では、帯電ローラ13に印加されるバイアス電圧を「現像電圧DB」とも呼ぶものとする。
供給バイアス印加手段としての層形成・供給電圧制御部42は、供給ローラ17c、17y、17m、及び層形成ブレード16c、16y、16mにバイアス電圧(供給バイアス電圧)を印加する機能を担っている。また、層形成・供給電圧制御部43は、供給ローラ17w及び層形成ブレード16wにバイアス電圧を印加する機能を担っている。以下では、供給ローラ17及び層形成ブレード16に印加されるバイアス電圧を「供給電圧SB」とも呼ぶものとする。
帯電バイアス印加手段としての帯電電圧制御部44は、帯電ローラ13c、13y、13mにバイアス電圧(帯電バイアス電圧)を印加する機能を担っている。以下では帯電ローラ13に印加されるバイアス電圧を「帯電電圧CH」とも呼ぶものとする。
各トナー色の露光制御部46(46c、46y、46m、46w)は、LEDヘッド14(14c、14y、14m、14w)の露光制御(発光制御)を行う機能を担っている。
転写バイアス印加手段としての転写制御部47は、各トナー色の転写ローラ19(19c、19y、19m、19w)に、バイアス電圧(転写バイアス電圧)の印加等を行う機能を担っている。以下では帯電ローラ13に印加されるバイアス電圧を「転写電圧TR」とも呼ぶものとする。
モータ制御部48は、画像形成装置1内の各モータを制御し、回転駆動させる機能を担っている。具体的には、モータ制御部48は、感光体ドラム12(12c、12y、12m、12w)、給紙ローラ21、搬送ローラユニット22、転写ベルト9用駆動ローラ25a、25b、吸着ローラ24、加熱ローラ28、加圧ローラ29、排出ローラユニット26等のモータを制御し回転駆動させる。
各感光体ドラム12(12c、12y、12m、12w)は、図示せぬ感光体ドラムモータにより、それぞれ矢印a1(図2参照)の方向に回転駆動される。また、各感光体ドラム12(12c、12y、12m、12w)は、それぞれ対応する現像ローラ15(15c、15y、15m、15w)及び供給ローラ17(17c、17y、17m、17w)の片端部に図示せぬギアが配置され、現像ローラ15c、15y、15m、15wと供給ローラ17c、17y、17m、17wは感光体ドラム12c、12y、12m、12wのギアと噛み合うことにより、回転駆動される。
次に、設定テーブル351の詳細について説明する。第1の実施形態では、設定テーブル351の内容は図5のように定義されているものとする。
設定テーブル351では、トナー色ごとに対応するパラメータを定義している。図5に示す設定テーブル351では、1列で1色のトナーに関するパラメータを定義している。そして、図5に示す設定テーブル351では、トナー色ごとに、現像電圧DB、帯電電圧CH、供給電圧SB、転写電圧TR、発光時間TL、及びドラム表面電位DS1、DS2のパラメータについて設定されている。
なお、以下では、電圧、電位、又は電位差を低下させる(減少させる)とは、電圧、電位、又は電位差の絶対値(出力量)を小さくすることを意味するものとする。逆に、電圧、電位、又は電位差を高くする(増加させる)とは、電圧、電位、又は電位差の絶対値(出力量)を大きくすることを意味するものとする。
「現像電圧DB」の項目は、それぞれの帯電ローラ13(13c、13y、13m、13w)に印加するバイアス電圧を示している。図5に示す設定テーブル351における、現像電圧DBの項目は、すべてのトナー色(c、m、y、w)について−200Vに設定されている。
「帯電電圧CH」の項目は、それぞれの帯電ローラ13(13c、13y、13m、13w)に印加するバイアス電圧を示している。図5に示す設定テーブル351における帯電電圧CHの項目は、ホワイト以外のトナー色(c、m、y)について−1200V、ホワイト(w)について−1000Vに設定されている。なお、画像形成装置1では、ホワイト(w)に対応する帯電ローラ13wについてだけ、異なる帯電電圧CHを印加するために、帯電電圧制御部44とは別に、帯電電圧制御部45が設けられている。
「供給電圧SB」の項目は、それぞれの供給ローラ17(17c、17y、17m、17w)及び層形成ブレード16(16c、16y、16m、16w)に印加するバイアス電圧を示している。図5に示す設定テーブル351におけるSBの項目は、ホワイト以外のトナー色(c、m、y)について−300V、ホワイト(w)ついて−400Vに設定されている。なお、画像形成装置1では、ホワイト(w)に対応する供給ローラ17w及び層形成ブレード16wについてだけ、異なる供給電圧SBを印加するために、層形成・供給電圧制御部42とは別に、層形成・供給電圧制御部43が設けられている。
「転写電圧TR」の項目は、それぞれの転写ローラ19(19c、19y、19m、19w)に印加するバイアス電圧を示している。図5に示す設定テーブル351における、TRの項目は、すべてのトナー色(c、m、y、w)について+4000Vに設定されている。
「発光時間TL」の項目は、それぞれのLEDヘッド14(14c、14y、14m、14w)から感光体ドラム12(12c、12y、12m、12w)に対して発光(露光)する発光時間を示している。図5では、LEDの項目は所定の基準時間に対する増減の比率(%)で示されている。例えば、上述の基準時間をT1[μS]、LEDの項目に設定されたパラメータ値をk[%]、当該パラメータにより示される発光時間をT2[μs]とした場合、T2は以下の(1)式のように示すことができる。
T2=T1×(k/100) …(1)
図5では、ホワイト以外のトナー色(c、m、y)の発光時間TLが0%、ホワイト(w)の発光時間が−40%となっている。したがって、図5では、ホワイト(w)発光時間は、他のトナー色(基準時間をT1)と比較して40%短い発光時間に設定されていることになる。
「ドラム表面電位DS1」の項目は、それぞれの感光体ドラム12(12c、12y、12m、12w)で、露光されない部分(非露光部OPC)の表面電位[V]の値を示している。図5に示す設定テーブル351におけるドラム表面電位DS1の項目は、ホワイト以外のトナー色(c、m、y)について−600V、ホワイト(w)について−400Vに設定されている。
「ドラム表面電位DS2」の項目は、それぞれの感光体ドラム12(12c、12y、12m、12w)で、露光された部分(露光部OPC)の電位[V]の値を示している。図5に示す設定テーブル351における、露光部OPCの項目は、すべてのトナー色(c、m、y、w)について−50Vに設定されている。図5に示す設定テーブル351におけるドラム表面電位DS2の項目は、すべてのトナー色(c、m、y、w)について−50Vに設定されている。
この実施形態では、ドラム表面電位DS1は、帯電電圧CHに基づく値であるものとする。例えば、帯電電圧CHが増加すると、帯電ローラ13の帯電量が増加し、ドラム表面電位DS1も上がることになる。また、この実施形態では、ドラム表面電位DS2は、ドラム表面電位DS1及び発光時間TLに基づく値であるものとする。例えば、発光時間TLが同じ場合、ドラム表面電位DS1が高いほど、ドラム表面電位DS2も高くなる。また、ドラム表面電位DS1が同じ場合、発光時間TLが長いほど、ドラム表面電位DS2は低くなる。
したがって、図5に示す設定テーブル351では、説明を簡易にするために、ドラム表面電位DS1、DS2の項目を設けているが、実際には、現像電圧DB、帯電電圧CH、及び発光時間TLが設定されていれば、ドラム表面電位DS1、DS2の項目は省略するようにしてもよい。言い換えると、図5に示す設定テーブル351では、各トナー色について、目標とするドラム表面電位DS1、DS2を実現するためのパラメータとして、現像電圧DB、帯電電圧CH、及び発光時間TLが設定されている。
なお、第1の実施形態では、感光体ドラム12(露光部OPC)に対する露光エネルギー量を調整するためのパラメータとして、発光時間TLを用いているが、LEDヘッド14が発光する光の照度等の出力量を用いて、感光体ドラム12(露光部OPC)に対する露光エネルギー量を調整するようにしてもよい。感光体ドラム12(露光部OPC)に対する露光エネルギー量が大きいほど、非露光部OPCと露光部OPCとの電位差(露光による電位の減少量)が大きくなる。したがって、LEDヘッド14の発光時間及び又は出力量を調整することにより、非露光部OPCと露光部OPCとの電位差を調整することができる。
以上のように、設定テーブル351では、ホワイト(w)のパラメータと、それ以外のトナー色(c、M、y)のパラメータが異なった値に設定されている。上述の通り、第1の実施形態では、ホワイト(w)のみ、他のトナー色と特性が異なり、かぶりが発生するおそれが他のトナー色と比較して高い。そこで、第1の実施形態の画像形成装置1では、ホワイト(w)について、かぶりを抑制するために図5に示すような設定テーブル351を定義している。
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態の画像形成装置1の動作を、図6のフローチャートを用いて説明する。
現像装置11c、11y、11m(シアン、イエロー、マゼンタの現像装置;ホワイト以外の現像装置)に係る動作ついては、同様の動作を行うため、以下では、一部のステップについて、現像装置11c及び現像装置11wの動作のみを説明する。他の現像装置11y、11mの動作については、現像装置11cと同様であるため詳しい説明を省略する。
まず、画像形成装置1に電源が投入(ON)され(S101)起動したものとする。電源投入に伴って、画像形成装置1では、印刷制御部30により、各構成要素の初期設定や状態確認等が行われ、印刷データを受付け可能な状態(オンライン状態)に移行したものとする。
そして、その後、上位装置31からインタフェイス部32を介して、印刷制御部30に印刷を行うための画像データが供給されたものとする(S102)。このとき、印刷制御部30は、供給された画像データを、RAM36に一時保存する。
そして、印刷制御部30は、モータ制御部48に指示して各ローラのモータを起動(駆動開始)させ、各ローラの回転を開始させる。ここでは、例として、モータ制御部48は、印刷速度を30PPMとして転写ベルト9をa2方向(図2参照)に駆動モータ25a、25bより130mm/sで動作させるものとする。なお、このようなモータ制御部48の動作に係るパラメータは、例えば、ROM35に記憶しておくようにしてもよい。
そして、印刷制御部30はROM35から、設定テーブル351を読み込む(S104)。
そして、印刷制御部30は、設定テーブル351に従った値のバイアス電圧を印加するように各電圧制御部(現像電圧制御部41、42、層形成・供給電圧制御部43、帯電電圧制御部44、45)を制御する(S105)。
そして、印刷制御部30は、RAM36に一時保存した画像データに基づいたトナー像を現像するように、各構成要素を制御する(S106)。
上述の通り、感光体ドラム12c、12wは、130m/sで回転動作している。そして、感光体ドラム12c、12wの回転に伴って、ギアで噛み合っている現像ローラ15c、15w及び供給ローラ17c、17wも回転する。
また、層形成・供給電圧制御部42、43により、層形成ブレード16c、16w及び供給ローラ17c、17wに供給電圧SBが印加される。さらに、現像ローラ15c、15wには、それぞれ設定テーブル351に従った現像電圧DBが印加される。そして、供給電圧SBが印加された、供給ローラ17c、17wの表面には、トナータンク18c、18wのトナーTc、Twが付着する。そして、供給ローラ17c、17w及び現像ローラ15c、15wの回転に伴って、ローラ間電位差により、供給ローラ17c、17wに付着したトナーが、現像ローラ15c、15wの表面に供給される。そして、現像ローラ15c、15wの回転に伴い、現像ローラ15c、15wの表面のトナー層が、層形成ブレード16c、16wの位置を通過すると、層形成ブレード16c、16wのせん断力により、層厚が均一に規制されて一様となる。
さらに、帯電電圧制御部44、45により、帯電ローラ13c、13wに帯電電圧CHが印加され、帯電ローラ13c、13wが帯電する。そして、感光体ドラム12c、12wは回転すると、対向する帯電ローラ13c、13wにより表面が帯電する。
さらにまた、露光制御部46c、46wは、印刷制御部30の制御に応じて、LEDヘッド14c、14wに画像データに基づいた露光を行うように指示する。そして、LEDヘッド14c、14wは、露光制御部46c、46wの指示に基づいて、帯電した感光体ドラム12c、12w表面に露光(画像データに基づいたパターンの露光)を行い、感光体ドラム12c、12w表面に静電潜像を形成する。このとき、印刷制御部30は、設定テーブル351の内容(発光時間TLの項目)に従って、各LEDヘッド14の発光時間を調整する。
また、表面にトナー層が形成された現像ローラ15c、15wの表面と、感光体ドラム12c、12w表面とが接触すると、感光体ドラム12c、12w上にトナー層のトナーが付着して静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
以上のように、画像形成装置1では、印刷制御部30の制御に基づいて、感光体ドラム12c、12w上に静電潜像に基づくトナー像が現像される。
そして、次に、印刷制御部30の制御(モータ制御部48に対する制御等)により、用紙カセット20から印刷媒体23が繰り出されて、転写ベルト9の位置まで搬送される(S107)。
そして、転写制御部47により、転写ローラ19c、19wに、設定テーブル351に従った転写電圧TRが印加され、転写ベルト9上を搬送される印刷媒体23に、感光体ドラム12c、12wの表面のトナー像が転写される(S108)。
そして、トナー像が転写された印刷媒体23は、定着ユニット24に搬送される。そして、印刷媒体23のトナー像は、定着ユニット24による定着処理(加熱処理及び加圧処理)が施されて定着する(S109)。
定着ユニット24では、定着処理を行う際に、発熱体28aにより、加熱ローラ28が所定温度(例えば、60°C)になるまで加熱される。そして、所定温度に加熱された加熱ローラ28と、加圧ローラ29との間で挟持された状態で搬送されると、印刷媒体23上のトナー像は加熱、加圧され、印刷媒体23に定着する。
そして、定着ユニット24により定着処理が施された印刷媒体23は、排出ユニット26により排出トレー2に排出され(S110)、1つの印刷媒体23に対する印刷処理が終了する。
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
(A−3−1)まず、帯電ローラ13の帯電電圧CHを低下させると、印刷媒体23で画像形成が行われなかった領域に、汚れとして現れる「かぶり」の度合が改善することを、図7に示す実験結果のグラフを用いて説明する。
図7のグラフの横軸に示される現像電位差としての電位差PDは、現像電圧DBの絶対値と、ドラム表面電位DS1の絶対値との差分を表している。
次に、図7のグラフの縦軸に示される色差ΔEについて図8を用いて説明する。
図7における色差ΔEは、画像形成装置1により画像形成が行われた印刷媒体23Aのサンプル領域A1(画像形成されていない領域)と、基準となる印刷媒体23B(画像形成が行われていない印刷媒体)のサンプル領域A2(A1と対応する領域)とについて、分光測色計で測定した結果の差分を表している。図7に示す実験では、印刷媒体23A、23Bとして、住友スリーエム社製OHPフィルムCG3700を用いた。また、印刷媒体23Aは、1つの現像装置11(c、m、y、wのいずれかのトナー色)を用いて画像形成を行ったものである。そして、印刷媒体23A、23Bのサンプル領域A1、A2に対して、それぞれ、コニカミノルタ社の分光測色計CM−2600dを用いてL*a*b*表色系の各値(L*、a*、b*)を測定した。その際、ホワイト(w)で画像形成した印刷媒体23Aについては、黒色の紙を下敷きとして分光測色計による測定を行った。また、ホワイト以外のトナー色(c、m、y)で画像形成した印刷媒体23Aについては、白色の紙を下敷きとして分光測色計による測定を行った。そして、色差ΔEは以下の(2)式で求めた。以下の(2)式では、印刷媒体23Aのサンプル領域A1の測定結果を「L*1、a*1、b*1」と表している。また、印刷媒体23Bのサンプル領域A2の測定結果を「L*2、a*2、b*2」と表している。
色差ΔE=((L*1-L*2)^2+(a*1-a*2)^2+(b*1-b*2)^2)^0.5 …(2)
したがって、色差ΔEの値が大きいほど、印刷媒体23Aについてかぶりの度合いが大きい(印刷品質の不良度合いが大きい)ことを示している。
以上のように、図7のグラフでは、電位差PD(横軸)を100V〜600Vの間で変化させた場合の色差ΔE(縦軸)を示している。言い換えると、図7のグラフでは、トナー色ごとに電位差PDと色差ΔEの関係について示している。そして、図7では、ホワイト(w)で画像形成した場合の色差ΔEと、ホワイト以外のトナー色(c、y、m)で画像形成した場合の色差ΔEを示している。ホワイト以外のトナー(c、y、m)については同じ結果となったため、図7では、共通のサンプル値で表している。
図5に示す設定テーブル351では、ホワイト以外のトナー色(c、y、m)に係る電位差PDは、400Vとなる。したがって、その場合、図7のグラフから色差ΔE=0.6となる。また、図5に示す設定テーブル351では、ホワイト(w)に係る電位差PDは200Vであるので、色差ΔE=1.2とる。
仮に、ホワイト(w)に係る現像装置11wにおける帯電電圧CH及びドラム表面電位差DS1を、他のトナー色の現像装置11c、11y、11mと同じ値とした場合、すなわち、帯電電圧CHを−1200V(ドラム表面電位DS1を−600V)とした場合を想定する。この場合、電位差PDは、400Vになるため、図7のグラフにあてはめると、色差ΔE=1.7となり、図5の設定テーブル351の通りに設定された状態と比べて、かぶりの度合が40%程度悪化することになる。図7に示すように、電位差PDの値が小さいほど、色差ΔEが小さい値となる傾向がある。言い換えると、画像形成装置1では、電位差PDの値が小さいほど、かぶりの度合いが小さくなることがわかる。
一般に、色差ΔEが、1.6以下であれば、観者にとってわずかに色の差が感じられるレベルであり、プリンタ等では良好な印刷品質であると言える。したがって、図7に示すように、第1の実施形態では、ホワイト(w)に係る電位差PDを、400Vから200Vに下げたことにより、色差ΔEを1.7から1.2に改善し、良好な印刷品質を実現できていることがわかる。
ところで、上述の通り第1の実施形態において、ホワイトのトナーTwは、着色剤に二酸化チタン等の金属酸化物を使用するため、他の色のトナーTc、Tm、Tyと比較して導電性がよく、帯電しにくい性質となる。通常、トナーの帯電分布はガウス分布のように広がっている。したがって、ホワイトのトナーTwは、電位差PDが同じ場合、他の色のトナーTc、Tm、Tyよりも、かぶりの度合が大きくなる特性がある。そこで、第1の実施形態では、ホワイト(w)に係る現像装置11wだけ、帯電電圧CHを下げてドラム表面電位DS1を下げることで、ホワイト(w)に係るかぶりの度合を軽減している。
(A−3−2)上述の通り、ホワイトのトナーTwは、帯電性が他の色のトナーTc、Tm、Tyよりも低い。そこで、画像形成装置1では、ホワイト(w)について、他の色(c、m、y)のトナー色よりも、供給電圧SBを上げることで、現像ローラ15w上のトナーの付着量を増加させている。これにより、現像装置11wでは、現像ローラ15wと供給ローラ17wとの間のクーロン力が強くなり、帯電性の低いホワイトのトナーTwであっても、安定して現像ローラ15wに供給されるようになる。これにより、現像装置11wでは、安定した濃度で印刷が可能となる。
なお、電位差PDを小さくすると、階調表現の点で不利(印刷品質が低下)となる場合があるが、ホワイト(w)は、例えば、特許文献1のようにベタ画像を印刷するために用いられることが多く、細かい階調表現を求められることは少ない。一方で、ベタ画像を印刷する場合、かぶり等のよごれは目立つため、印刷品質に大きく影響する。そのため、画像形成装置1では、ホワイト(w)について、かぶり等の汚れを抑制するために、階調表現を多少犠牲になったとしても、画像形成全体の品質への影響は少ないと言える。
また、画像形成装置1では、ホワイト(w)について、かぶり等の汚れを抑制することにより、ホワイトのトナーTwの消費量も抑制することができる。
(A−3−3)画像形成装置1では、図2に示すように、媒体搬送の上流側から、現像装置11c、11y、11m、11wの順に並べて配置されている。すなわち、ホワイト(w)に係る現像装置11wが、媒体搬送の最も下流側に位置している。そして、画像形成装置1では、ホワイトのトナーTwについて、他の色のトナーTc、Tm、Tyの上に重ねて転写される場合もあり得る。上述の通り、ホワイト(w)のトナーTwは、他の色のトナーTc、Tm、Tyよりも帯電しにくい性質がある。したがって、画像形成装置1では、ホワイト(w)のトナーTwについて、他の色トナーTc、Tm、Tyの上に重ねて転写する場合、同じ帯電特性のトナーを重ねて転写する場合と比較して、転写されやすいという効果を奏する。
(B)第2の実施形態
以下、本発明による画像形成装置の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
(B−1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態の画像形成装置1Aの概略断面図も上述の図2を用いて示すことができる。
図9は、第2の実施形態の画像形成装置1Aの制御系の構成について示したブロック図である。なお、図9では、上述の図1と同一又は対応する部分には、同一又は対応する符号を付している。
以下では、第2の実施形態について第1の実施形態との差異を説明する。
第2の実施形態の画像形成装置1Aでは、第1の実施形態では1つだった現像電圧制御部が、2つの現像電圧制御部49、50に別れている点で異なっている。図9に示すように、現像電圧制御部49は、ホワイト(w)に係る現像ローラ15wに現像電圧DBを印加するものである。また、現像電圧制御部50は、ホワイト以外のトナー色(c、m、y)に係る現像ローラ15c、15y、15mに現像電圧DBを印加するものである。すなわち、第2の実施形態では、ホワイト(w)に係る現像ローラ15wと、ホワイト以外のトナー色(c、m、y)に係る現像ローラ15c、15y、15mとで、異なる値の現像電圧DBが供給可能な構成となっている。
また、第2の実施形態のROM35には、第1の設定テーブル351に加えて、第2の設定テーブル352が追加されている点で、第1の実施形態と異なっている。
第2の実施形態の印刷制御部30では、画像形成に用いる印刷媒体23(転写ベルト9上に供給される印刷媒体23)の種類に応じて、適用する設定テーブルを選択する。この実施形態では、印刷制御部30は、画像形成に用いる印刷媒体23が普通紙の場合には、第1の設定テーブル351を用いて各電圧制御部を制御し、画像形成に用いる印刷媒体23がOHPフィルムの場合には、第2の設定テーブル351を用いて各電圧制御部を制御するものとする。なお、OHPフィルムとしては、例えば、住友スリーエム社製OHPフィルムCG3700を用いることができる。
印刷制御部30が、画像形成に用いる印刷媒体23(転写ベルト9上に供給される印刷媒体23)の種類を認識する構成は限定されないものであるが、この実施形態では、RAM36上に記憶される動作設定データ361の内容に応じて判断するものとする。動作設定データ361は、次に画像形成に用いる印刷媒体23の種類を示すフラグ情報である。印刷制御部30は、例えば、動作設定データ361として第1の値(例えば「0」)が設定されている場合には、次に画像形成に用いる印刷媒体23の種類を「普通紙」と認識し、動作設定データ361として第2の値(例えば「1」)が設定されている場合には、次に画像形成に用いる印刷媒体23の種類を「OHPフィルム」と認識するものとする。動作設定データ361としてセットされる値は、例えば、ユーザの操作(例えば、操作入力部33に対する操作)に応じて変更可能としてもよいし、上位装置31からの指示に基づいて変更可能としてもよい。なお、動作設定データ361については、デフォルト値として、いずれかの値を設定しておくようにしてもよい。
また、画像形成装置1Aでは、例えば、転写ベルト9上に供給される印刷媒体23の種類について、光学的なセンサを用いて判定(例えば、光の透過度合に応じて判定)するようにしてもよい。
ところで、普通紙よりも抵抗の高いOHPフィルムを印刷媒体23とした場合、感光体ドラム12上のトナー像を転写させるために、転写ローラ19に印加する転写電圧TRを普通紙よりも大きくする方が好ましい。一方、転写電圧TRを増加させると、感光体ドラム12の表面上で、印刷媒体が通らない領域の電位が低下して、印刷媒体23に汚れが発生してしまう(印刷品質が悪化してしまう)場合がある。そのため、転写電圧TRを増加させる場合は、帯電電圧CHについても増加させることが望ましい。ところが、帯電電圧CHを増加させると、電位差PDが大きくなり、上述の図7のグラフに示す通り色差ΔEが大きくなり、結果としてかぶりの度合も上がってしまう(印刷品質が悪化してしまう)。特に、帯電性の低いホワイト(w)に係る現像装置11wによる印刷品質は大きな影響を受ける。
そこで、第2の実施形態の画像形成装置1Aでは、印刷媒体23としてOHPフィルムが用いられる場合に適用される第2の設定テーブル352の内容を、図10のように設定している。第2の設定テーブル352では、上述の点を考慮して、各パラメータの値について、印刷媒体23としてOHPフィルムが用いられる場合に好適な値に設定されている。
具体的には、第2の設定テーブル352では、全てのトナー色に係る転写電圧TRについて、普通紙の場合(第1の設定テーブル352)よりも増加させて、+6000Vとしている。また、第2の設定テーブル352では、印刷品質の低下を抑制するために、全てのトナー色に係る帯電電圧CHについて、普通紙の場合(第1の設定テーブル352)よりも増加させて、−1300Vとしている。これにより、第2の設定テーブル352が適用された場合、各トナー色に係る感光体ドラム12のドラム表面電位DS1を低くして、かぶり度合の増加を抑制することができる。なお、第2の設定テーブル352では、全てのトナー色に係る帯電電圧CH(ドラム表面電位DS1)について同じに設定している。
そして、第2の設定テーブル352では、帯電電圧CHを増加させたことに伴って、ホワイト(w)に係る電位差PDを調整するために、ホワイト(w)に係る現像電圧DBについてだけ増加させて−400Vとしている(他のトナー色に係る現像電圧DBは−200Vのまま)。
また、第2の設定テーブル352では、全てのトナー色に係る発光時間TLについて、第1の設定テーブル351よりも20%増加させることにより、ドラム表面電位DS2(非露光部のドラム表面電位)を調整している。すなわち、第2の設定テーブル352では、各トナー色に係る、電位差PDを、第1の設定テーブル351と同じとしている。さらに、第2の設定テーブル352では、各トナー色に係る現像電圧DBと供給電圧SBとの差分も、第1の設定テーブル351を適用した場合と同じとなるように調整されている。したがって、第2の設定テーブル352を適用した場合でも、各トナー色について、供給ローラ17から現像ローラ15へ供給されるトナー量も、第1の設定テーブル351を適用した場合と同じとなる。したがって、第2の設定テーブル352を適用した場合でも、各トナー色について、画像形成されるトナーの濃度は、第1の設定テーブル351を適用した場合と同程度となる。
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態の画像形成装置1Aの動作を、図11のフローチャートを用いて説明する。
まず、画像形成装置1に電源が投入(ON)され(S201)起動したものとする。
そして、その後上位装置31からインタフェイス部32を介して、印刷制御部30に印刷データが供給されたものとする(S202)。このとき、印刷制御部30は、供給された印刷データに含まれる画像データを、RAM36に一時保存する。
そして、印刷制御部30は、RAM36から動作設定データ361を読み込んで、画像形成に用いられる印刷媒体23に関する情報(普通紙、又は、OHPフィルムのいずれかを示す値)を取得する(S203)。
そして、印刷制御部30は、モータ制御部48に指示して各ローラのモータを起動(駆動開始)させ、各ローラの回転を開始させる(S204)。
そして、印刷制御部30は、取得した動作設定データ361の内容に基づいて、画像形成に用いられる印刷媒体23を判断する(OHPフィルムであるか否かを判断)(S205)。そして、画像形成に用いられる印刷媒体23がOHPフィルムだった場合には、印刷制御部30は、後述するステップS206の処理から動作する。一方、画像形成に用いられる印刷媒体23が普通紙だった場合には、印刷制御部30は、後述するステップS213の処理から動作する。
画像形成に用いられる印刷媒体23がOHPフィルムだった場合には、印刷制御部30は、RAM36から、第2の設定テーブル352を取得する(S206)。
そして、印刷制御部30は、第2の設定テーブル352に従った電圧のバイアス電圧を印加するように各電圧制御部を制御する(S207)。
そして、印刷制御部30は、第2の設定テーブル352に従って、各構成要素(例えば、各トナー色のLEDヘッド14等)を制御して、トナー像の現像、印刷媒体23(OHPフィルム)の給紙、印刷媒体23(OHPフィルム)へのトナー像の転写、印刷媒体23(OHPフィルム)へのトナー像の定着処理、及び印刷媒体23(OHPフィルム)の排出の処理を行う(S208〜S212)。なお、ステップS208〜S212は、第2の設定テーブル352に従って各構成要素が制御されること以外は、第1の実施形態の動作(ステップS106〜S110)と同様であるので詳しい説明は省略する。
一方、画像形成に用いられる印刷媒体23が普通紙だった場合には、印刷制御部30は、RAM36から、第1の設定テーブル351を取得する(S213)。
そして、印刷制御部30は、第1の設定テーブル351に従った電圧のバイアス電圧を印加するように各電圧制御部を制御する(S214)。
そして、印刷制御部30は、第1の設定テーブル351に従って、各構成要素を制御して、トナー像の現像、印刷媒体23(普通紙)の給紙、印刷媒体23(普通紙)へのトナー像の転写、印刷媒体23(普通紙)へのトナー像の定着処理、及び印刷媒体23(普通紙)の排出の処理を行う(S214〜S217、S211、S212)。なお、ステップS214〜S217、S211、S212は、第1の実施形態の動作(ステップS106〜S110)と同様であるので詳しい説明は省略する。
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、以下のような効果を奏することができる。
画像形成装置1Aでは、OHPフィルムのように電気的に抵抗の高いものを印刷媒体23に用いる場合、第2の設定テーブル352を適用することにより、印刷品質低下を抑制している。
また、第2の設定テーブル352では、転写電圧TRを増加させても、電位差PDを保ったまま、発光時間TL(露光エネルギーの量)を調整しているため、かぶりの度合が小さく安定した濃度のトナー像(良好な印刷品質)を実現することができる。
(C)第3の実施形態
以下、本発明による画像形成装置の第3の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
(C−1)第3の実施形態の構成
第3の実施形態の画像形成装置1Bの概略断面図は上述の図12を用いて示すことができる。なお、図12では、上述の図2と同一又は対応する部分には、同一又は対応する符号を付している。
図13は、第3の実施形態の画像形成装置1Bの制御系の構成について示したブロック図である。なお、図12では、上述の図1と同一又は対応する部分には、同一又は対応する符号を付している。以下では、第3の実施形態について、第2の実施形態との差異について説明する。
画像形成装置1Bでは、4つの現像装置11c、11y、11m、11wを収容するための4つの収容部SL1〜SL4が設けられている。そして、各トナー色の現像装置11c、11y、11m、11wは、それぞれ収容部SL1〜SL4に脱着可能に収容されている。
第3の実施形態の画像形成装置1Bでは、印刷制御部30Aが印刷制御部30Bに置き換わっている点で、第2の実施形態と異なっている。
第3の実施形態では、現像装置11c、11y、11m、11wは、それぞれユーザにより、任意の収容部SL1〜SL4に収容されるものとする。したがって、印刷制御部30Bでは、各収容部SL1〜SL4に収容された現像装置11の情報(トナー色等)を把握する必要がある。印刷制御部30Bが、各収容部SL1〜SL4に収容された現像装置11の情報を取得する構成については限定されないものである。この実施形態では、例として、それぞれの現像装置11(11c、11y、11m、11w)に無線タグI(Ic、Iy、Im、Iw)がつけられているものとする。無線タグIとしては、例えば、RFID等の無線タグを適用することができる。それぞれの無線タグIには、少なくとも、当該無線タグIがつけられた現像装置11のトナー色を示すID(例えば、c、y、n、wのいずれかの値)の情報が記憶されており、無線通信によりそのID情報を送信できるものとする。そして、画像形成装置1Bでは、収容部SL1〜SL4に、それぞれに無線タグ通信部55−1〜55−4が備えられており、当該収容部に収容されている現像装置11の無線タグIと通信して、ID情報等を取得することができる。そして、印刷制御部30Bは、無線タグ通信部55−1〜55−4を用いて、各収容部SL1〜SL4に収容されている現像装置11のトナー色等を認識することができる。
図12、図13では、収容部SL1〜SL4に、それぞれ現像装置11w、11y、11m、11cが収容された状態について示している。また、上述の図2と比較すると、現像装置11wの位置と、現像装置11cの位置が入れ替わっている。
画像形成装置1Bでは、収容部SL1〜SL4に、それぞれ対応する現像装置11の感光体ドラム12に露光するためのLEDヘッド14−1〜14−4が配置されている。また、画像形成装置1Bでは、露光制御部46−1〜46−4により、LEDヘッド14−1〜14−4の露光制御が行われる。また、画像形成装置1Bでは、収容部SL1〜SL4のそれぞれの下方向に、転写ローラ19−1〜19−4が配置されている。各LEDヘッド14、露光制御部46、及び転写ローラ19自体の構成は、第2の実施形態と同様であるが、第3の実施形態では、各LEDヘッド14、各露光制御部46及び転写ローラ19は、特定のトナー色に用いられるものではないため符号の表示を変更した。
そして、印刷制御部30Bは、各収容部SL1〜SL4に収容されている現像装置11のトナー色等を認識し、各現像装置11、LEDヘッド14、及び転写ローラ19が、認識したトナー色に対応する動作を行うように制御処理を行う。
第3の実施形態の画像形成装置1Bで用いられる現像電圧制御部51は、収容部SL1〜SL4に収容されたそれぞれの現像装置11の現像ローラ15に対して、個別に異なる値の現像電圧DBを印加することができる。現像電圧制御部51は、印刷制御部30Bからの指示に基づいた現像電圧DBを、それぞれの現像ローラ15に印加する。
第3の実施形態の画像形成装置1Bで用いられる層形成・供給電圧制御部52は、収容部SL1〜SL4に収容されたそれぞれの現像装置11の供給ローラ17及び層形成ブレード16に対して、個別に異なる値の供給電圧SBを印加することができる。層形成・供給電圧制御部52は、印刷制御部30Bからの指示に基づいた供給電圧SBを、それぞれの供給ローラ17及び層形成ブレード16に印加する。
第3の実施形態の画像形成装置1Bで用いられる帯電電圧制御部53は、収容部SL1〜SL4に収容されたそれぞれの現像装置11の帯電ローラ13に対して、個別に異なる値の帯電電圧CHを印加することができる。帯電電圧制御部53は、印刷制御部30Bからの指示に基づいた帯電電圧CHを、それぞれの帯電ローラ13に印加する。
第3の実施形態の画像形成装置1Bで用いられる転写制御部54は、収容部SL1〜SL4のそれぞれに対応する転写ローラ19−1〜19−4に対して、個別に異なる値の転写電圧TRを印加することができる。転写制御部54は、印刷制御部30Bからの指示に基づいた転写電圧TRを、それぞれの転写ローラ19に印加する。
そして、印刷制御部30Bは、各収容部SL1〜SL4に収容された現像装置11のID情報(トナー色)を認識し、その認識結果に基づいて、現像電圧制御部51、層形成・供給電圧制御部52、帯電電圧制御部53、及び転写制御部54に対して、それぞれの現像装置11に係るバイアス電圧(現像電圧DB、帯電電圧CH、供給電圧SB、及び転写電圧TR)を指示する。また、印刷制御部30は、その認識結果に基づいて、各露光制御部46−1〜46−4に対して、画像形成に用いる静電潜像のデータや発行時間TL等を指示する。
(C−2)第3の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第3の実施形態の画像形成装置1Bの動作を、図14のフローチャートを用いて説明する。なお、図14では、上述の図11と同様の処理を行うステップについては、同一の符号を付している。
第3の実施形態では、ステップS301の動作を挿入されている点で、第2の実施形態と異なっている。
ステップS301では、印刷制御部30Bが、無線タグ通信部55−1〜55−4を用いて、各収容部SL1〜SL4に収容されている現像装置11のトナー色を認識する。
その他のステップの処理については、印刷制御部30BがステップS301の認識結果に基づいて、現像電圧制御部51、層形成・供給電圧制御部52、帯電電圧制御部53、転写制御部54、及び露光制御部46−1〜46−4を制御すること以外は、第2の実施形態と同様の処理であるため詳しい説明を省略する。
(C−3)第3の実施形態の効果
第3の実施形態では、第2の実施形態の効果に加えて以下のような効果を奏することができる。
第3の実施形態の印刷制御部30Bでは、ユーザにより任意の収容部SLに、任意のトナー色の現像装置11を収容する場合でも、第2の実施形態と同様の効果を奏することができる。例えば、複数のトナー色のトナーを重ねて印刷したい場合(例えば、ホワイトのトナーを下地として、他のトナー色のトナーを重ねる場合)には、一番下の層のトナー色の現像装置11を収容部SL1に収容し、一番上の層のトナー色の現像装置11を収容部SL4に収容することで実現できる。
(D)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
(D−1)第3の実施形態では、第2の実施形態の画像形成装置について、任意のトナー色に係る現像装置を、任意の位置(収容部)に収容できる構成を追加することについて説明したが、第1の実施形態の画像形成装置についても、同様の構成を追加してもよい。
また、第1、第2の実施形態において、各現像装置の収容位置や収容する現像装置の数、適用するトナー色の種類及び組み合わせについては限定されないものである。
例えば、図15に示すように、第1の実施形態の画像形成装置に、ブラック(図15では「k」と表示している)のトナー色に対応した、現像装置11k、LEDヘッド14k、及び転写ローラ19kを追加するようにしてもよい。
また、例えば、第2の実施形態の画像形成装置を、1つの現像装置のみを収容可能な画像形成装置(例えば、ホワイトを含む複数色のトナー色のうち一色のみを用いて画像形成が可能な画像形成装置)として構成するようにしてもよい。
(D−2)上記の各実施形態では、本発明の画像形成装置を、タンデム方式の画像形成装置に適用する例について説明したが、複数のトナー色で1つの感光体ドラムを共用する4サイクル方式の画像形成装置に適用するようにしてもよい。また、上記の各実施形態では、本発明の画像形成装置を、直接転写方式(感光体ドラムから直接印刷媒体にトナー像を転写する方式)の画像形成装置に適用する例について説明したが、中間ベルト転写方式(中間転写ベルトを介して、印刷媒体にトナー像を転写する方式)の画像形成装置に適用するようにしてもよい。
また、上記の各実施形態では、本発明の画像形成装置をプリンタに適用する例について説明したが、本発明の画像形成装置を適用する装置はこれに限定されないものである。例えば、本発明の画像形成装置を、カラー複写機、ファクシミリ装置等の種々の画像形成装置に適用するようにしてもよい。