JP5785401B2 - ビードワイヤ、ビードコア、空気入りタイヤ及びビードワイヤの製造方法 - Google Patents

ビードワイヤ、ビードコア、空気入りタイヤ及びビードワイヤの製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、ビードワイヤ並びにこのビードワイヤを用いたビードコア及び空気入りタイヤ、さらにはビードワイヤの製造方法に関し、特に、ビード部の耐久性向上をもたらすものである。
一般に空気入りタイヤは、リムとの嵌合性を高め気密性を確保するとともにカーカスを係留するため、一本又は複数本のビードワイヤをリング状に巻回してなるビードコアを備えている。
従来のビード部構造においては、ビードコアを構成するビードワイヤ間の係合力が小さく、ビードコアが空気充填時、荷重負荷時あるいは経時変化時にタイヤ幅方向断面にてカーカスが引き抜ける方向へ力を受けた際、ビードコアが同方向に回転変形しこの変形がカーカスの係留力を低下させ、いわゆる、カーカス引き抜けを引き起こしビード部の耐久性を低下させるという問題があった。
この問題を解消するため、ビードワイヤに係合部を形成し、空気入りタイヤのタイヤ幅方向断面にて隣り合うビードワイヤ間でその係合部同士を係合させ、その係合力をもってビードコアの回転変形を効果的に抑制する発明は既に提案されている(特許文献1参照)。
特開2008−254684号公報
ところで、タイヤ幅方向断面にて、隣り合うビードワイヤ同士の係合力を高めれば高めるほど上記回転変形の抑制の効果は高くなるものの、製造が複雑化する等の問題から形状的工夫により上記係合力を高めるには一定の限界がある。かといって、ビードワイヤそのものの剛性を高めることにより係合部の変形を抑制した場合、ビードワイヤ同士の係合力は増大するものの、ビードコア全体が硬化することからリム組み性が悪化するおそれが生じる。
そこで、この発明では、良好なリム組み性を確保しつつもビードワイヤ同士の係合力を向上できるビードワイヤを提供すること、またこのビードワイヤを用いたビードコア及び空気入りタイヤを提供すること、しかも係合力の向上したビードワイヤを製造工程の増加を伴うことなく製造し得る方法を提供することをその目的とする。
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、この発明のビードワイヤは、空気入りタイヤのビード部に埋設されるビードコアを構成するビードワイヤであって、該ビードワイヤは、1本又は複数本のビードワイヤをリング状に巻回してビードコアを構成した状態にて、ビードコアの周方向に直交する面内において少なくとも一方向に隣り合うビードワイヤとの間で形状的に補完し合って係合する係合部を有し、前記ビードワイヤの横断面において、該ビードワイヤの外輪郭形状と同心の20%相似形状で囲まれる中心領域の平均硬度に対して、該ビードワイヤの外輪郭形状と同心の80%相似形状と該外輪郭形状との間の領域である外側領域の平均硬度を大きく設定し、前記係合部には複数の角部が形成され、該角部の頂点位置を中心とするとともに該角部の頂点位置に対応する前記80%相似形状の角部の頂点位置までの距離を半径とする円の内側の領域と、前記外側領域との重複部分である角部領域の平均硬度が、前記中心領域の平均硬度よりもビッカース硬度で10以上大きいことを特徴とするものである。
かかるビードワイヤによれば、一本又は複数本のビードワイヤをリング状に巻回してビードコアとするとともに空気入りタイヤのビード部内に適用した状態にて、空気入りタイヤのタイヤ幅方向断面にて隣り合うビードワイヤの係合部同士が係合する。このとき、ビードワイヤの表層部(すなわち、上記外側領域)では、硬度が大きいことから、従来に増して大きな係合力が発揮される。一方で、ビードワイヤの中心部(すなわち、上記中心領域)では外側領域に対して硬度が小さいから、ビードコア全体としての硬化を抑制し得て良好なリム組み性を確保できる。
しがたって、この発明のビードワイヤによれば、良好なリム組み性を確保しつつもビードワイヤ同士の係合力を向上できるビードワイヤを提供できる。また、隣り合うビードワイヤ間の係合力が高まることで、これらのビードワイヤ間の相対変位による摩擦も抑制されるので、ビードワイヤ自体の耐久性も向上させることができる。
また、この発明のビードワイヤにあっては、ビードワイヤは、角部の角度が90度未満である鋭角角部と、角部の角度が90度を超える鈍角角部とを有し、鋭角角部の平均硬度を鈍角角部の平均硬度よりも大きくすることが好ましい。
さらに、この発明のビードワイヤにあっては、上記角部のうち、少なくとも鋭角角部に面取りを施すことが好ましい。
さらに、ビードワイヤの外輪郭形状は、相互に平行する2つの直線辺を有し、これら2つの直線辺の両端部間のそれぞれに係合部を配設することが好ましい。
また、上述の他の課題を解決するため、この発明のビードコアは、上述したこの発明によるビードワイヤをリング状に巻回してなるものであり、この発明の空気入りタイヤは、上述したこの発明によるビードコアを、ビード部に埋設してなるものである。
また、上述のさらに他の課題を解決するため、この発明のビードワイヤの製造方法は、空気入りタイヤのビード部に埋設されるビードコアを構成するビードワイヤであって、1本又は複数本のビードワイヤをリング状に巻回してビードコアを構成した状態にて、ビードコアの周方向に直交する面内において少なくとも一方向に隣り合うビードワイヤとの間で形状的に補完し合って係合する係合部を有するビードワイヤを製造するにあたり、横断面輪郭形状が4本以上の辺を有する正多角形又は円形の高炭素鋼線材を用い、この高炭素鋼素材に引き抜き処理を施して延伸加工と前記係合部の成形とを同時に行うことにより、前記引き抜き処理されたビードワイヤの横断面において、該ビードワイヤの外輪郭形状と同心の20%相似形状で囲まれる中心領域の平均硬度に対して、該ビードワイヤの外輪郭形状と同心の80%相似形状と該外輪郭形状との間の領域である外側領域の平均硬度を大きくし、前記引き抜き処理を施すにあたり、前記係合部に角部を成形し、前記角部の頂点位置を中心とするとともに該角部の頂点位置に対応する前記80%相似形状の角部の頂点位置までの距離を半径とする円の内側の領域と、前記外側領域との重複部分である角部領域の平均硬度が、前記中心領域の平均硬度よりもビッカース硬度で10以上大きくしたことを特徴とするものである。
この発明のビードワイヤの製造方法によれば、対称性が高い横断面形状の原材料(高炭素鋼線材)を異形断面に延伸加工すると同時に係合部を成形することにより、係合部の硬度を高めることができる。引き抜き処理では、線材の表層部に対する応力負荷に起因して当該表層部を優先的に硬化(組織の緻密化)させることができ、対称性が高い横断面形状の原材料を異形断面に延伸加工すれば、係合部の加工の異方性を特に大きくして、該係合部の硬度を高くすることができるからである。そして、延伸加工と同時に係合部を成形することで係合部の硬度を高めることとしたので、係合部の硬度を高めるための別途の工程も必要とならない。
したがって、この発明のビードワイヤの製造方法によれば、係合力の向上したビードワイヤを製造工程の増加を伴うことなく製造することができる。
また、この発明のビードワイヤの製造方法にあっては、角部として、角度が90度未満である鋭角角部と、角部の角度が90度を超える鈍角角部とを成形するにあたり、引き抜き処理前の高炭素鋼線材の図心から鋭角角部の成形位置を、該図心から鈍角角部の成形位置に対して大きくすることが好ましい。
さらに、この発明のビードワイヤの製造方法にあっては、延伸加工は、高炭素鋼線材を延伸する段階と、これに続いて少なくとも前記鋭角角部に面取りを有する横断面形状に延伸する段階とを含むことが好ましい。
さらに、この発明のビードワイヤの製造方法にあっては、引き抜き処理は複数段に分けて行い、少なくともビードワイヤの最終形状を決定する段には穴ダイスを用いることが好ましい。
さらに、この発明のビードワイヤの製造方法にあっては、穴ダイスを用いて、角部のうち少なくとも鋭角角部に面取り加工を行うことが好ましい。
しかも、この発明のビードワイヤの製造方法にあっては、引き抜き処理により、ビードワイヤの横断面外輪郭形状において相互に平行する2つの直線辺を形成し、これらの2つの直線辺間の距離をHとし、これに垂直な方向における最大幅をWとしたとき、W/Hを1.1から2.0の範囲内とすることが好ましい。
この発明によれば、良好なリム組み性を確保しつつもビードワイヤ同士の係合力の増大を図り得るビードワイヤを提供することができる。また、係合力の向上したビードワイヤを製造工程の増加を伴うことなく製造し得る方法を提供することができる。
この発明の実施形態に係るビードワイヤをビードコアの線素材として適用してなる空気入りタイヤの一部を示したタイヤ幅方向断面図である。 図1の空気入りタイヤに適用したこの発明の実施形態に係るビードワイヤを拡大して示した横断面図である。 この発明の他の実施形態に係るビードワイヤを拡大して示した横断面図である。 図3に示すビードワイヤを適用してなる空気入りタイヤの一部を示したタイヤ幅方向断面図である。 この発明のさらに他の実施形態に係るビードワイヤを拡大して示した横断面図である。 この発明の実施形態に係るビードワイヤの製造方法に用いるローラダイスを示すものであり、(a)は原材料の供給方向に沿う断面図であり、(b)は(a)中のA−A線に沿う断面図である。 この発明の実施形態に係るビードワイヤの製造方法に用いる穴ダイスを示すものであり、(a)は原材料の供給方向に沿う断面図であり、(b)は(a)中のB−B線に沿う断面図である。 ビードワイヤ間の係合強度の測定手法を説明するための図である。
以下、この発明の実施形態に係るビードワイヤについて図面を参照して詳細に説明する。ここに図1は、この発明の実施形態に係るビードワイヤをビードコアの線素材として適用してなる空気入りタイヤの一部を示したタイヤ幅方向断面図であり、図2は、図1の空気入りタイヤに適用したこの発明の実施形態に係るビードワイヤを拡大して示した横断面図である。
図1に示す空気入りタイヤ1は、慣例に従い、路面に接地するトレッド部(図示省略)と、このトレッド部の両側部からタイヤ径方向内側に延びる一対のサイドウォール部(図示省略)と、各サイドウォール部のタイヤ径方向内側に設けられ、リムRに嵌合される一対のビード部2とを備えている。この空気入りタイヤ1の内部には、各ビード部2に埋設したビードコア3間にトロイド状に延びて空気入りタイヤ1の骨格構造をなす、例えばラジアル構造のカーカス4と、このカーカス4のクラウン域の外周側に位置し、トレッド部を補強するベルト(図示省略)とが配設されている。カーカス4は、ビードコア3の周りにタイヤ1の内から外へ巻き返えされ、ビード部2内でその両端が固定されている。
ビードコア3は、ビードワイヤ5をタイヤ幅方向に複数列(ここでは8列)に並べてなるものをタイヤ径方向に複数段(ここでは6段)の積層状に積み重ねてなるものである。なお、ビードコア3は、ビードワイヤ5を螺旋状に巻回して構成することもできる。ビードコア3を構成する各ビードワイヤ5は、タイヤ幅方向断面(ビードコア3の周方向に直交する面内)において隣り合うビードワイヤ5との間で形状的に補完し合って係合する係合部6を有する。これにより、空気充填時、荷重負荷時あるいは経時変化時等にビードコアを回転させようとする力が作用しても、ビードワイヤ5、5間の係合力によってビードコアの回転が抑制されるので、いわゆるカーカスの引き抜けを有効に防止することができる。
ところで、タイヤ幅方向断面にて、隣り合うビードワイヤ5、5同士の係合力を高めれば高めるほどビードコア3の回転変位の抑制効果は高くなるものの、製造が複雑化する等の問題から形状的工夫により上記係合力を高めるには一定の限界がある。つまり、係合部6の形状を複雑化したり係合部6の個数を増大させたりすれば機械的な係合力を高めることができるが、製造コスト等の面からみて効果的とはいえない。かといって、ビードワイヤそのものの剛性を高めることにより係合部6の変形を抑制した場合、ビードワイヤ5、5同士の係合力を増大させることはできるものの、ビードコア3全体が硬化することからリム組み性が悪化するおそれが生じる。
これらの事情に鑑み、この発明ではビードワイヤ5の形状というよりむしろビードワイヤ5の横断面内における硬度分布(剛性分布)の改善を図ることにより、製造上の複雑化やリム組み性の悪化といったデメリットを回避しつつ、効果的に係合部6によるビードワイヤ5、5間の係合力を高めることに成功した。
すなわち、図2に示すように、この発明の実施形態のビードワイヤ5は、ビードワイヤ5の横断面において、該ビードワイヤ5の外輪郭形状Pと同心Gの20%相似形状Sで囲まれる中心領域Rの平均硬度に対して、該ビードワイヤ5の外輪郭形状Pと同心Gの80%相似形状Sと該外輪郭形状Pとの間の領域である外側領域Rの平均硬度を大きく設定したものである。
これによれば、ビードワイヤ5の表層部(すなわち、上記外側領域R)において、硬度を大きくしたことから、係合部6の形状の複雑化を伴うことなく従来に増して大きな係合力を発揮させることができる。また一方で、ビードワイヤ5の中心部(すなわち、上記中心領域R)では外側領域Rに対して硬度を小さく設定したから、ビードコア3全体としての硬化を抑制し得て良好なリム組み性も確保できる。また、このビードワイヤ5を適用した図1に示す空気入りタイヤ1にあっては、ビードコア3の回転剛性を高めることができ、ビード部2のさらなる耐久性の向上が確保される。
なお、この実施形態のビードワイヤ5にあっては、係合部6には複数の角部7a〜7dを設け、該角部7a〜7dの頂点位置T7a〜T7dを中心とするとともに該角部7a〜7dの頂点位置T7a〜T7dに対応する80%相似形状Sの角部の頂点位置t7a〜t7dまでの距離を半径r7a〜r7dとする円の内側の領域と、外側領域Rとの重複部分である角部領域Rの平均硬度を、中心領域の平均硬度よりもビッカース硬度で10以上大きくすることが好ましい。これによれば、上記係合部6による係合力の増大の効果をより確実なものとすることができる。
また、この実施形態のビードワイヤ5にあっては、ビードワイヤ5は、角部の角度が90度未満である鋭角角部7a、7cと、角部の角度が90度を超える鈍角角部7b、7dとを有し、鋭角角部7a、7cの平均硬度を鈍角角部7b、7dの平均硬度よりも大きくすることが好ましい。これによれば、形状的に剛性が低くなりがちな鋭角角部7a、7cの変形を抑制することができる。
さらに、この実施形態のビードワイヤ5にあっては、ビードワイヤ5の外輪郭形状Pは、相互に平行する2つの直線辺8、8を有し、これら2つの直線辺8、8の両端部間のそれぞれに係合部6、6を配設することが好ましい。これによれば、上記直線辺8、8をリムRのビードシート部分に沿って配置することができ、ビード部2とリムRとの均一な密着性を確保し得るとともに、上記ビードコア3を回転させようとする力に対して最も効率良く係合力が発揮させ得るよう係合部6を配置することができる。
なお、ビードワイヤ5の横断面形状は図2に示すものに限らず他の形状を採用しても良いことは言うまでもなく、他の例として図3に示すビードワイヤを示す。図3は、この発明による他の実施形態のビードワイヤの横断面図である。
この図に示すビードワイヤ5は、横断面形状として2つの互いに平行する直線辺8、8と、これらの両端部間にそれぞれ配置された係合部6、6を有する。一方の係合部6は、ビードワイヤ5の横断面形状の一側辺に凸状に形成されており、他方の係合部6は、他側辺に凹状に形成されている。このビードワイヤ5を用いてビードコア3を構成した場合、一のビードワイヤ5の凸状の係合部6とこれに隣接する他のビードワイヤ5の凹状の係合部6とが形状的に補完し合って係合力を発揮することとなる(図4参照)。
また、このビードワイヤ5は、図2に示したものと同様、ビードワイヤ5の横断面において、該ビードワイヤ5の外輪郭形状Pと同心Gの20%相似形状Sで囲まれる中心領域Rの平均硬度に対して、該ビードワイヤ5の外輪郭形状Pと同心Gの80%相似形状Sと該外輪郭形状Pとの間の領域である外側領域Rの平均硬度が大きくなるよう構成されている。
したがって、この実施形態のビードワイヤ5によれば、図2に示したビードワイヤ5による効果に加えて、凸状の係合部6と凹状の係合部6との係合によって、カーカスを引き抜こうとする方向に作用する力とは逆の方向に上記ビードコアを回転させようとする力が作用した場合にも係合力を発揮させることができので、図4に示すように空気入りタイヤに適用した場合、ビード部2の耐久性をより高めることが可能となる。
図5に示すのは、基本構成は図3に示すビードワイヤ5と同じものであるものの、角部9a〜9fに面取りを施したものである。これによれば、該角部9a〜9fへの応力集中を低減できるので、ビードワイヤ5の耐久性を向上させることができる。
以上、この発明によるビードワイヤ、及びこのビードワイヤを適用したビードコア及び空気入りタイヤについて説明したが、このようなビードワイヤは以下の製造方法を用いることにより、製造工程の増大等を招くことなく効率的に製造することができる。
図6、7は、この発明による実施形態に係るビードワイヤの製造工程の一部を説明するための図である。
図2に示すような本発明のビードワイヤ5は、パテンティング処理又はステルモア処理により金属組織をパーライト組織とした高炭素鋼線材10を原材料として用いることができる。高炭素鋼線材10は、横断面形状として4本以上の辺を有する正多角形又は円形のものを用いる。
ビードワイヤ5の成形は、図6に示すようなローラダイスD及び図7に示すような穴ダイスDを用いて引き抜き処理を施すことにより、高炭素鋼線材10の延伸加工と係合部6の成形とを同時に行う。これらのダイスD、Dによる引き抜き処理は複数段にて徐々に行い、少なくとも最終段のダイスには、ビードワイヤ5の最終形状と同一形状の通過穴hを有した穴ダイスDを用いる。なお、ローラダイスDに代えて全て穴ダイスDを用いても良い。最終段のダイスに穴ダイスDを用いることで、所望の横断面形状を精度良く成形することができる。また、穴ダイスはD、加工される線材10を全周から矯正するので、延伸による角部の硬化を効率良く実現することができる。
次いで、延伸加工後に400〜500℃程度で短時間加熱保持するブルーイング処理を施す。これにより、降伏応力の上昇と破断伸びの増加がもたらされる。
そして、ブルーイング処理が施されたビードワイヤに銅を含む金属メッキ(Cu−Sn合金の無電解メッキ、Cu−Znの電気メッキ等)を施す。これにより、空気入りタイヤのビード部に適用した際に、ビードコアの周囲のゴムとの接着性を高めることができる。
この製造方法によれば、対称性が高い横断面形状の原材料(高炭素鋼線材10)を異形断面に延伸加工すると同時に係合部6を成形することにより、係合部6の硬度を高めることができる。引き抜き処理では、線材10の表層部に対する応力負荷に起因して当該表層部を優先的に硬化(組織の緻密化)させることができ、対称性が高い横断面形状の原材料10を異形断面に延伸加工すれば、係合部6の加工の異方性を特に大きくして、該係合部6の硬度を高くすることができるからである。そして、延伸加工と同時に係合部6を成形することで係合部6の硬度を高めることとしたので、係合部6の硬度を高めるための別途の工程も必要とならない。なお、高炭素鋼線材10として正多角形を用いる場合は6本以上の辺を有することが好ましく、円形であることが最も好ましい。加工歪みを大きくすることができるとともに加工の異方性を大きくすることができ、係合部6の硬度をより効果的に高めることができるからである。
また、この実施形態のビードワイヤの製造方法にあっては、引き抜き処理を施すにあたり、係合部6に角部7a〜7d(図2参照)を成形することが好ましく、これによれば、角部7a〜7dは加工の異方性が大きいことから、上記角部領域Rの硬度を効果的に高めることができる。
また、この実施形態のビードワイヤの製造方法にあっては、角部として、角度が90度未満である鋭角角部7a、7cと、角部の角度が90度を超える鈍角角部7b、7dとを成形するにあたり、引き抜き処理前の炭素鋼線材10の図心から前記鋭角角部7a、7cの成形位置を、該図心から鈍角角部7b、7dの成形位置に対して大きくすることが好ましく、これによれば、鋭角角部7a、7cにおける加工歪み及び加工の異方性を鈍角角部7b、7dよりも大きくすることができるので、鋭角角部7a、7cの硬度を鈍角角部7b、7dの硬度よりも大きくでき、本発明による効果を一層効果的に発揮させることが可能となる。
さらに、この実施形態のビードワイヤの製造方法にあっては、延伸加工が、角部に面取りを有さない横断面形状に延伸する第1段階と、これに続いて角部に面取りを有する横断面形状に延伸する第2段階とを含むことが好ましく、この例では、図7に示すような穴ダイスDにて面取りを施すことができる。これによれば、ダイスを用いた面取り加工により、面取り加工部(つまり、面取りを施した角部領域R)に加工歪みを集中させることができるので、角部領域Rをより一層硬化させることができるとともに、面取りを施すにあたり製造工程が増加することがない。
しかも、この実施形態のビードワイヤの製造方法にあっては、引き抜き処理により、ビードワイヤ5の横断面外輪郭形状において相互に平行する2つの直線辺8、8を形成し、これらの2つの直線辺間の距離をHとし、これに垂直は方向における最大幅をWとしたとき、W/Hを1.1から2.0の範囲内とすることが好ましい。なぜなら、W/Hが2.0を超えると、周上での囲う応力分布の不均一性が過大となるため、ビードワイヤ5の加工性が低下したりダイスの早期摩耗等を引き起こしたりするおそれが懸念されるためであり、W/Hを1.1未満で1.0近傍にすると、引き抜き処理前後における変形程度が小さくなるとともに角部領域の異方性が小さくなることから、本発明による効果が低下するおそれがある。さらに、W/Hが1.0よりも小さくすると、空気入りタイヤに適用した場合に、回転剛性向上の効果が小さくなることが懸念されるからである。
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更することができるものであり、例えば、本発明のビードワイヤは、上述した製造方法に限らず、既知の方法によりビードワイヤを成形した後、表層部のみに熱処理を施すことにより、外側領域の平均硬度を中心領域の平均硬度よりも大きくしても良い。
次に、この発明に従う実施例1〜3のビードワイヤ、比較例1、2のビードワイヤをそれぞれ試作し、係合強度についての評価を行ったので、以下説明する。
実施例1のビードワイヤは、図2に示す横断面形状を有するものであり、ビードワイヤの横断面において、該ビードワイヤの外輪郭形状と同心の20%相似形状で囲まれる中心領域の平均硬度に対して、該ビードワイヤの外輪郭形状と同心の54%相似形状と該外輪郭形状との間の領域である外側領域の平均硬度を大きく設定したものである。実施例1のビードワイヤにおける詳細な諸元は表1に示すとおりである。
実施例2のビードワイヤは、図3に示す横断面形状を有するものであり、ビードワイヤの横断面において、該ビードワイヤの外輪郭形状と同心の20%相似形状で囲まれる中心領域の平均硬度に対して、該ビードワイヤの外輪郭形状と同心の80%相似形状と該外輪郭形状との間の領域である外側領域の平均硬度を大きく設定したものである。実施例2のビードワイヤにおける詳細な諸元は表1に示すとおりである。
比較例1のビードワイヤは、実施例1のビードワイヤと同じ横断面形状を有するものの、その横断面における硬度分布が実施例1のものとは異なるものであり、比較例2のビードワイヤは、実施例2のビードワイヤと同じ横断面形状を有するものの、その横断面における硬度分布が実施例2のものとは異なるものである。比較例1、2のビードワイヤにおける詳細な諸元は表1に示すとおりである。なお、表1中の硬度は、JIS Z2244に準拠したビッカース硬度を示したものである。
Figure 0005785401
(試験方法)
係合強度は、ビードワイヤの断面略半形状に窪みを形成した治具(図8参照)に一対のビードワイヤをセットし、両側方から一定の圧力を負荷しながら上下方向にせん断の入力(矢印F)をかける試験において負荷する力あたりの変位量を測定することにより求めた。測定結果を表2に示す。なお、表2中において比較例1の係合強度を100として指数で表している。
Figure 0005785401
この結果より明らかなように、係合部の硬度を高めることにより、係合強度を高めることが可能となった。
この発明によって、良好なリム組み性を確保しつつもビードワイヤ同士の係合力の増大を図り得るビードワイヤを提供することができるようになった。また、係合力の向上したビードワイヤを製造工程の増加を伴うことなく製造し得る方法を提供することができるようになった。
1 空気入りタイヤ
2 ビード部
3 ビードコア
4 カーカス
5 ビードワイヤ
6 係合部
7a〜7d、9a〜9f 角部
P 外輪郭形状
中心領域
外側領域
角部領域
7a〜r7d、r9a〜r9f 頂点位置間の半径

Claims (12)

  1. 空気入りタイヤのビード部に埋設されるビードコアを構成するビードワイヤであって、該ビードワイヤは、1本又は複数本のビードワイヤをリング状に巻回してビードコアを構成した状態にて、ビードコアの周方向に直交する面内において少なくとも一方向に隣り合うビードワイヤとの間で形状的に補完し合って係合する係合部を有し、
    前記ビードワイヤの横断面において、該ビードワイヤの外輪郭形状と同心の20%相似形状で囲まれる中心領域の平均硬度に対して、該ビードワイヤの外輪郭形状と同心の80%相似形状と該外輪郭形状との間の領域である外側領域の平均硬度を大きく設定し
    前記係合部には複数の角部が形成され、該角部の頂点位置を中心とするとともに該角部の頂点位置に対応する前記80%相似形状の角部の頂点位置までの距離を半径とする円の内側の領域と、前記外側領域との重複部分である角部領域の平均硬度が、前記中心領域の平均硬度よりもビッカース硬度で10以上大きいことを特徴とするビードワイヤ。
  2. 前記ビードワイヤは、前記角部の角度が90度未満である鋭角角部と、前記角部の角度が90度を超える鈍角角部とを有し、前記鋭角角部の平均硬度が前記鈍角角部の平均硬度よりも大きい、請求項に記載のビードワイヤ。
  3. 前記角部のうち、少なくとも前記鋭角角部に面取りを施した、請求項に記載のビードワイヤ。
  4. 前記ビードワイヤの外輪郭形状は、相互に平行する2つの直線辺を有し、これら2つの直線辺の両端部間のそれぞれに前記係合部を配設した、請求項1〜の何れか一項に記載のビードワイヤ。
  5. 請求項1〜の何れか一項に記載のビードワイヤを、リング状に巻回してなるビードコア。
  6. 請求項に記載のビードコアを、ビード部に埋設してなる空気入りタイヤ。
  7. 空気入りタイヤのビード部に埋設されるビードコアを構成するビードワイヤであって、1本又は複数本のビードワイヤをリング状に巻回してビードコアを構成した状態にて、ビードコアの周方向に直交する面内において少なくとも一方向に隣り合うビードワイヤとの間で形状的に補完し合って係合する係合部を有するビードワイヤを製造するにあたり、
    横断面輪郭形状が4本以上の辺を有する正多角形又は円形の高炭素鋼線材を用い、この高炭素鋼素材に引き抜き処理を施して延伸加工と前記係合部の成形とを同時に行うことにより、前記引き抜き処理されたビードワイヤの横断面において、該ビードワイヤの外輪郭形状と同心の20%相似形状で囲まれる中心領域の平均硬度に対して、該ビードワイヤの外輪郭形状と同心の80%相似形状と該外輪郭形状との間の領域である外側領域の平均硬度を大きくし
    前記引き抜き処理を施すにあたり、前記係合部に角部を成形し、
    前記角部の頂点位置を中心とするとともに該角部の頂点位置に対応する前記80%相似形状の角部の頂点位置までの距離を半径とする円の内側の領域と、前記外側領域との重複部分である角部領域の平均硬度が、前記中心領域の平均硬度よりもビッカース硬度で10以上大きくしたことを特徴とするビードワイヤの製造方法。
  8. 前記角部として、角度が90度未満である鋭角角部と、前記角部の角度が90度を超える鈍角角部とを成形するにあたり、前記引き抜き処理前の前記炭素鋼線材の図心から前記鋭角角部の成形位置を、該図心から前記鈍角角部の成形位置に対して大きくする、請求項に記載のビードワイヤの製造方法。
  9. 前記延伸加工は、高炭素鋼線材を延伸する段階と、これに続いて少なくとも前記鋭角角部に面取りを有する横断面形状に延伸する段階とを含む、請求項に記載のビードワイヤの製造方法。
  10. 前記引き抜き処理は複数段に分けて行い、少なくともビードワイヤの最終形状を決定する段には穴ダイスを用いる、請求項の何れか一項に記載のビードワイヤの製造方法。
  11. 前記穴ダイスを用いて、前記角部のうち少なくとも前記鋭角角部に面取り加工を行う、請求項1に記載のビードワイヤの製造方法。
  12. 前記引き抜き処理により、ビードワイヤの横断面外輪郭形状において相互に平行する2つの直線辺を形成し、これらの2つの直線辺間の距離をHとし、これに垂直な方向における最大幅をWとしたとき、W/Hを1.1から2.0の範囲内とする、請求項〜1の何れか一項に記載のビードワイヤの製造方法。
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