JP5779192B2 - 不飽和ニトリルの製造方法 - Google Patents
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Description
アンモ酸化反応の触媒としては、複数の金属塩を混合して焼成した複合金属酸化物が多用されており、触媒に含まれる金属の種類や組成は、触媒活性や目的化合物の選択性の点で適正化が図られる。しかしながら、触媒中のMoやTeは反応中に逃散してしまって組成が設計値からずれてしまうことが知られている。その対策として、特許文献1には、少なくともMoを含有する酸化物触媒を用いて、流動床反応器内でプロパン又はイソブタンの気相接触酸化反応又は気相接触アンモ酸化反応を行うに際して、反応中に反応器内の触媒濃厚層へ粉末のモリブデン化合物を添加する方法が記載されている。添加したMoの利用率については、添加の前後で触媒を抜出し、XRFなどで触媒中のMo含量を求めることで確認されている。
[1]
Mo、V、Nb及びSbを含有する複合酸化物触媒を用いたプロパンのアンモ酸化反応による不飽和ニトリルの製造方法であって、
反応器に収容された触媒の規格化UV値及び還元率からなる群より選択される少なくとも1種の物性値を測定する工程と、
前記測定した物性値に応じて反応条件を維持又は変更する工程と、
を有し、
前記規格化UV値が、以下の式(1)で表され、前記還元率が、以下の式(2)で表される、不飽和ニトリルの製造方法。
規格化UV={(580nmの吸光度)−(400nmの吸光度)}÷{(700nmの吸光度)−(400nmの吸光度)} (1)
(式(1)中、吸光度は、可視・紫外分光光度計を用いて拡散反射法で測定し、得られた吸収及び/又は反射スペクトルの、400nm、580nm又は700nmにおける吸光度を示す。)
還元率(%)=((n 0 −n)/n 0 )×100 (2)
(式(2)中、nは触媒中の酸素以外の構成元素の原子価を満足する酸素原子の数を示し、n 0 は触媒中の酸素以外の構成元素がそれぞれの最高酸化数を有する時に必要な酸素原子の数を示す。)
[2]
前記反応条件を維持又は変更する工程において、
前記反応器中の前記触媒の追加、前記反応器中の前記触媒の削減、前記触媒の構成元素の前記反応器への添加、前記反応器内の触媒層の温度の変更及び前記反応器に供給する原料ガスの組成の変更からなる群より選択される少なくとも1種を行う、上記[1]記載の不飽和ニトリルの製造方法。
[3]
前記触媒の物性値の変動が、反応器に充填する前の触媒の物性値に対して±30%以内に維持されるように前記反応条件を維持又は変更する、上記[1]又は[2]記載の不飽和ニトリルの製造方法。
[4]
前記アンモ酸化反応の非定常状態において、前記物性値を測定し、前記反応条件を維持又は変更する、上記[1]〜[3]のいずれか記載の不飽和ニトリルの製造方法。
[5]
前記反応条件を維持又は変更する工程において、前記アンモ酸化反応が定常状態のとき、反応時の前記反応器出口の生成ガス中の酸素濃度が1.5〜6.0vol%の間で設定した目標濃度になるように、(1)前記原料ガス中のプロパンに対する酸素のモル比、(2)前記反応器の温度、及び(3)前記触媒と前記原料ガスとの接触時間からなる群より選択される少なくとも1種の条件を調整し、
前記条件(1)及び/又は(3)を調整する場合は前記反応器の温度変化が条件を調整する前の温度±5℃以内となるようにし、前記条件(2)を調整する場合は、前記反応器の温度変化が目標温度±5℃となるようにする、上記[1]〜[3]のいずれか記載の不飽和ニトリルの製造方法。
[6]
前記反応条件を維持又は変更する工程において、前記アンモ酸化反応が定常状態のとき、前記反応器の出口アンモニア量を測定し、前記出口アンモニア量の変化に応じて、原料ガス中のプロパン濃度を基準として算出される出口アンモニア濃度が0vol%を超え18vol%以下の間で設定した目標濃度になるように、(1)前記原料ガス中のプロパンに対するアンモニアのモル比、(2)前記反応器の温度、及び(3)前記触媒と前記原料ガスとの接触時間、からなる群より選択される少なくとも1種の条件を調整し、
前記条件(1)及び/又は(3)を調整する場合は、前記反応器の温度変化が条件を調整する前の温度±5℃以内となるようにし、前記条件(2)を調整する場合は、前記反応器の温度変化が目標温度±5℃となるようにする、上記[1]〜[3]のいずれか記載の不飽和ニトリルの製造方法。
[7]
前記酸素濃度が前記目標濃度より高い場合は、前記原料ガス中のプロパンに対する酸素のモル比を減少させ、前記目標濃度より低い場合は、前記原料ガス中のプロパンに対する酸素のモル比を増加させる、上記[5]記載の不飽和ニトリルの製造方法。
[8]
前記原料ガス中の酸素量を増加又は減少させる速度を、1分間当たり原料ガス中に含まれる酸素量の10%以下とする、上記[7]記載の不飽和ニトリルの製造方法。
[9]
前記出口アンモニア濃度が前記目標濃度より高い場合は、前記原料ガス中のプロパンに対するアンモニアのモル比を減少させ、前記目標濃度より低い場合は、前記原料ガス中のプロパンに対するアンモニアのモル比を増加させる、上記[6]記載の不飽和ニトリルの製造方法。
[10]
前記原料ガス中のアンモニア量を増加又は減少させる速度を、1分間当たり原料ガス中に含まれるアンモニア量の15%以下とする、上記[9]記載の不飽和ニトリルの製造方法。
[11]
前記反応器の温度変化の速度を1時間当たり10℃以下とする、上記[5]〜[10]のいずれか記載の不飽和ニトリルの製造方法。
[12]
前記複合酸化物触媒と前記原料ガスとの接触時間の変化の速度を1時間当たり1.0sec以下とする、上記[5]〜[11]のいずれか記載の不飽和ニトリルの製造方法。
プロパンのアンモ酸化反応による不飽和ニトリルの製造方法であって、
反応器に収容された触媒の規格化UV値及び還元率からなる群より選択される少なくとも1種の物性値を測定する工程と、
前記測定した物性値に応じて反応条件を維持又は変更する工程と、
を有する製造方法である。
本実施形態における不飽和ニトリルの製造方法の反応方式としては、一般的には、固定床反応、流動床反応、移動床反応などの従来の方法を採用できるが、反応器の徐熱が容易であり、触媒の抜出し及び/又は追加、触媒構成元素の添加が容易であるという観点から、流動床反応が好ましい。
本実施形態の製造方法においては、触媒の物性値を測定するために、反応器から触媒の一部を抜出す工程を含むことができる。反応器から触媒の一部を抜出し、後述する触媒の物性値を測定することにより、触媒の物性値の変化、及び反応装置の変化による適切な反応条件の変化を把握し、適切な反応条件の設定に役立てることができる。反応器から触媒を抜き出さずに触媒の物性値を測定できる場合は、本工程を行わなくともよい。反応器から触媒を抜出すタイミング、頻度は特に限定されないが、アンモ酸化反応開始時、反応中、反応終了時にそれぞれ、好ましくは3時間以内に1回以上、30日以内に1回以上、3時間以内に1回以上、より好ましくは2時間以内に1回以上、15日以内に1回以上、2時間以内に1回以上の頻度で抜出すのが好ましい。ここで、反応開始時とは、触媒を反応器に充填し始めてから定常状態の反応条件に設定されるまでの期間を示し、反応終了時とは、定常状態の反応条件からガスの流通を止め反応器の温度が下がるまでの期間を示し、反応中とは、上記以外の期間を示す。ただし、反応中においても反応条件が安定していない場合、反応条件を変更する前後等はこの限りではなく、変動の頻度や反応条件の変更の方法・変更幅を考慮してさらに触媒を抜出す頻度を高めることができ、この場合、1日以内に1回以上抜出すことが好ましい。
反応器内の触媒層の温度の測定方法は特に限定されないが、反応器内部で触媒が均一に流動している状態で、触媒層の平均的な温度を示す点において測定し、反応器内の触媒層の温度とするのが好ましい。反応器内の触媒層の温度は複数の箇所で測定し平均してもよいし、平均的な温度を示す箇所を代表して反応器内の触媒層の温度としてもよい。
(1)反応器から出したノズルに容器を接続して、(a)反応器内よりも容器内の圧力を低い状態にすることによる圧力差を利用して、反応器内の触媒を容器に移動させる方法、又は(b)反応器外から触媒抜出し用のガスを導入し、反応器から容器内にガスの流れをつけて触媒を容器内に搬送する方法、
(2)反応器の下部に容器を取り付けて、重力を利用して触媒を抜出す方法、等を用いることができる。
反応器内の圧力が大気圧以上である場合は、上記(a)圧力差を利用する方法が簡便であるため好ましい。容器内の圧力を低い状態にする方法は、一般的な方法でよく、反応器内の圧力が大気圧より十分高ければ容器内は大気圧のまま維持してもよいし、エジェクター方式でガスを流通させて容器内を減圧に導いてもよい。
いずれの方法においても、抜出した触媒の物性が変化しないように、容器内及び接続した配管内部などの触媒が触れる箇所は、あらかじめ窒素などの不活性ガスで十分に置換しておくことが好ましい。また、抜出した触媒に、過去に抜出した触媒や不純物などが混入しないように、あらかじめ容器内や配管内部などを適当なガスや不活性ガスなどで除去・洗浄しておくことが好ましい。
本実施形態の製造方法おいては、反応器に収容された触媒の規格化UV値及び還元率からなる群より選択される少なくとも1種の物性値を測定する工程を含む。上述した反応器から触媒の一部を抜出す工程を行うと、触媒の規格化UV値及び還元率からなる群より選択される少なくとも1種の物性値を容易に測定することができる傾向にある。これらの物性値を継続的にモニターすることで、反応器内の状況変化を知り、適切な反応条件に設定することができる。いずれの物性値をモニターするかは、反応の種類、反応条件、触媒の種類等によって、適当なものを選択すればよく、もちろん複数の物性を継続的にモニターしてもよいし、反応開始直後や、反応中に大きな変化があった場合に測定する項目を増やしてもよい。
不飽和ニトリル製造反応の場合、触媒の酸化還元状態が反応成績を左右するため、反応中の触媒の酸化還元状態の変化を継続的にモニタリングすることが、不飽和ニトリルの収率を長期間維持する上で重要である。触媒の酸化還元状態は、吸収及び/又は反射スペクトルによって測定され、例えば、触媒がMoとVを含む場合、MoとVの価数の状態が酸化還元状態に反映されると考えられる。本発明者らが鋭意検討した結果、特にプロパンのアンモ酸化反応に用いるMo及びVを含む触媒の場合、可視・紫外分光光度計を用いて測定される触媒の吸光度により、簡便且つ精度よく触媒の酸化還元状態を求めることができることが分かった。
規格化UV={(580nmの吸光度)−(400nmの吸光度)}÷{(700nmの吸光度)−(400nmの吸光度)} (1)
規格化UV値は、数値が大きいほど触媒が還元されており、数値が小さいほど触媒が酸化されていることを示すため、触媒の酸化還元状態の指標となる。
本実施形態における「還元率」とは、下記式(2)により表され、触媒における酸素の不足分が還元率に反映されると考えられる。吸収及び/又は反射スペクトルと同様、触媒の還元率を継続的に測定することは不飽和ニトリルの収率を長期間維持する上で重要である。
還元率(%)=((n0−n)/n0)×100 (2)
(式中、nは触媒中の酸素以外の構成元素の原子価を満足する酸素原子の数を示し、n0は触媒中の酸素以外の構成元素がそれぞれの最高酸化数を有する時に必要な酸素原子の数を示す。)
ビーカーに試料約200mgを精秤する。さらに、濃度が既知のKMnO4水溶液を過剰量添加する。さらに、精製水150mL、1:1硫酸(即ち、濃硫酸と精製水を容量比1/1で混合して得られる硫酸水溶液)2mLを添加した後、ビーカーに時計皿で蓋をし、70℃±2℃の湯浴中で1Hr攪拌し、試料を酸化させる。この時、KMnO4は過剰に存在させており、液中には未反応のKMnO4が存在するため、液色は紫色であることを確認する。酸化終了後、ろ紙にてろ過を行い、ろ液全量を回収する。濃度が既知のシュウ酸ナトリウム水溶液を、ろ液中に存在するKMnO4に対し過剰量添加し、液温が70℃となるように加熱攪拌する。液が無色透明になったことを確認し、1:1硫酸2mLを添加する。液温を70℃±2℃に保ちながら攪拌を続け、濃度が既知のKMnO4水溶液で滴定する。液色がKMnO4によりかすかな淡桃色が約30秒続くところを終点とする。全KMnO4量、全Na2C2O4量から、試料の酸化に消費されたKMnO4量を求める。この値から、(n0−n)を算出し、これに基づき還元率を求める。
本実施形態の製造方法においては、反応器から抜出した触媒の規格化UV値及び還元率に加え、触媒構成元素の濃度を測定することも好ましい態様の一つである。反応条件(温度・圧力・蒸気圧等)下で逃散しやすい元素を触媒が含んでいたり、触媒粒子間に触媒構成元素の濃度分布があり、特定の触媒構成元素の濃度を持った触媒粒子のみが反応器から飛散したり、反応器や原料ガス中の不純物が触媒に混入すること等により触媒構成元素の濃度変化がおこると、反応成績に直接的に悪影響を及ぼしたり、触媒の酸化還元状態が変化して反応成績が低下する可能性がある。従って、反応中の触媒構成元素の濃度の変化を継続的にモニタリングすることも、触媒の酸化還元状態を好ましい状態に維持する観点から好ましい。
本実施形態の製造方法においては、上記測定した物性値に応じて反応条件を維持又は変更する工程を含む。本工程においては触媒の物性値の測定結果に応じて、反応条件を維持又は変更する。本実施形態において「測定した物性値に応じて反応条件を維持又は変更する」とは、触媒の物性が好ましい値の範囲内に最適化されるように反応条件を維持又は変更することを意味する。測定した物性値が好ましい範囲内であれば、反応条件を維持し、好ましい範囲外であれば、好ましい範囲内に変化させるように反応条件を変更する。反応条件を維持又は変更することによって、触媒の物性を好ましい値に変化させるためには、反応の開始に先立って、反応条件の変更と、それに伴って生じる触媒物性の変化との関係を把握しておくのが好ましい。つまり、触媒が過還元の場合に、反応条件をどの程度酸化的にすることで元の還元率に戻せるか等、触媒の物性と反応条件とのいわゆる検量線を求めておくのが好ましい。もちろんこの検量線は、経験則に基づいて求められるものであってもよい。
吸収及び/又は反射スペクトルにより算出された規格化UV値及び/又は還元率が好ましい範囲を超えている場合、触媒が過度に還元されている又は酸化されていることが考えられる。触媒の酸化還元度を好ましい範囲に調整するためには、過度に還元又は酸化された触媒に対して、酸化又は還元処理を施すことが好ましい。
触媒が過度に還元されている場合は、(i)反応器に供給する原料ガス中の酸素濃度を適切な範囲で高めること、(ii)同原料ガス中のアンモニア濃度を適切な範囲で下げること、(iii)反応器内の触媒層の温度(以下、「反応温度」とも言う。)を適切な範囲で高め触媒の酸素の取り込み速度を速めること、(iv)原料ガスの供給量を適切な範囲で減少させること、(v)反応器へ触媒を追加すること、(vi)反応器へモリブデン化合物を添加すること等、により触媒を酸化することができる。
(iii)反応温度を低くする場合、反応温度を低くすることで反応速度が下がり、反応で消費される酸素が減少することで反応器出口の酸素濃度が増加するという、還元とは逆の影響も起こるため、その効果は酸素濃度の増加と触媒の酸素の取り込み速度低下の程度の大小で決まる。よって、反応温度を低くし、且つ供給する原料ガス中の酸素濃度を低くすることがより効果的である。(iv)原料ガスの供給量を増加させると、原料ガス中に含まれる還元性ガスであるプロパン・アンモニアの量が増加し、単位触媒量あたりの触媒への負荷が上がることで触媒を還元することができると考えられる。この際、反応圧力が増加するが、圧力を一定に保つように圧力を下げると圧力の低下により接触時間が短くなり、プロパンの転化率が低下することによって、反応器出口の酸素濃度が増加するという還元とは逆の影響も起こる。よって、反応圧力は成り行きで増加したままにすることが好ましい。また、(v)反応器から触媒を抜出すことにより(iv)の方法と同様に単位触媒量あたりの触媒への負荷が上がることで触媒を還元することができると考えられる。さらに、(vi)反応器からモリブデン化合物を抜出すことにより、触媒中の酸化されたモリブデンよりも添加したモリブデン価数が高い場合及び/又は添加したモリブデンが反応雰囲気で触媒よりも素早く酸化され高い価数が得られる場合は、添加したモリブデンと触媒が接触する及び/又は複合化することによって触媒が酸化される可能性があるため、モリブデン化合物を抜出すことも有効と考えられる。しかしながら、一度反応器に入れたモリブデン化合物は触媒粒子表面に付着したり、触媒と複合化したりする場合や、モリブデン化合物の粒子径が触媒と同等である場合等は、モリブデン化合物のみを選択的に抜出すことは困難となる傾向にある。
触媒を還元して酸化還元度を好ましい範囲に調整する方法としては、操作の簡便性、効果の大きさ、即効性、不飽和ニトリルの生産性への影響の少なさ等の観点から、酸化する場合と同様、上記(i)及び/又は(iii)の方法を採用することが特に好ましい。
触媒構成元素の濃度が好ましい範囲を超えた場合、好ましい範囲に調整するためには、反応器中に好ましい範囲を超えた触媒構成元素を含む化合物を追加又は抜出すことによって適切な濃度に戻すことができる。例えば、触媒中にMoを含む場合、反応により生成する水によりMoが逃散することが知られている。よって、反応中、経時的にMo濃度が低下していく可能性があるため、モリブデン化合物を反応器中に追加することが効果的である。添加するMo化合物の種類としては特に限定されないが、二酸化モリブデン、三酸化モリブデン、モリブデンを含む複合酸化物、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、ジモリブデン酸アンモニウム、ポリモリブデン酸アンモニウムなど酸化物やアンモニウム塩を用いることが可能である。添加したMo化合物が反応器内で分解し、Moが触媒へ移動する。Mo化合物が反応器内で分解し、Moが触媒へ供給されるが、分解しやすさの観点からは、Mo化合物としてはMoのアンモニウム塩が好ましく、特にヘプタモリブデン酸アンモニウムが好ましい。また、反応器中に、あらたにMoを含む触媒を追加することも好ましい。モリブデン化合物と触媒のどちらを追加するかは、触媒性能、反応条件、経済性などを考慮して適宜選択でき、両方を行ってもよい。
まず触媒を反応器の中に充填する。触媒は触媒ドラムなどの容器から反応器に直接搬送してもよいし、一度触媒専用のホッパーなどに貯めこんでから反応器に搬送してもよい。触媒を反応器内に搬送する方法は特に限定されないが、ガスを用いて搬送することができる。搬送に使用するガスは窒素、空気、酸素などを利用できるが、入手しやすさ、経済性、取り扱いの容易さの観点から空気を用いることが好ましい。搬送に用いる空気の温度は特に限定されず成り行きでよいが、搬送中に触媒が空気により酸化されることを防ぐため、及び配管や反応器の耐熱性の観点から、20〜300℃とすることが好ましい。反応器内には、触媒充填中にも反応器下部から空気を導入し触媒を流動させておくことが好ましい。反応器下部から導入する空気の温度は、触媒を搬送した後、反応器の温度を上昇させることができる観点、空気中で触媒が酸化されることを防ぐ観点及び反応器の耐熱性の観点から、100℃〜650℃とすることが好ましい。搬送時の触媒の温度は、触媒を搬送した後、反応器の温度を上昇させることができる観点、空気中で触媒が酸化されることを防ぐ観点から、50〜450℃となるように調整することが好ましい。触媒の搬送に要する時間は、同様の観点から、例えば触媒の温度が200℃の場合、300hr以内であることが好ましい。
非定常状態においては、反応器内の環境が大きく変動するため、触媒の酸化還元状態も大きく変動しうるため、触媒の物性値をモニターし、適正範囲に維持されるように環境を制御するのが特に有効である。あらかじめ本工程における規格化UV値、還元率の推移を、例えば小さいスケールの反応器などを用いて測定しておき、反応器に充填する前の触媒の物性値との比較だけでなく、予め測定した物性値の推移を参照して適正な範囲を決定することも好ましい。
定常状態での反応開始後、触媒の物性値を好ましい範囲に調整するために維持又は変更する反応条件としては、例えば、反応器出口の酸素濃度(以下、「出口酸素濃度」とも言う。)、反応器出口のアンモニア濃度(以下、「出口アンモニア濃度」とも言う。)、反応器内の触媒層の温度、供給ガス量、接触時間、反応圧力が挙げられる。反応器出口の酸素濃度は、1.5〜6vol%を満たすことが好ましく、2〜5vol%に保つことがより好ましく、2〜4vol%に保つことが更に好ましい。反応器出口のアンモニア濃度については、0vol%を超え18vol%以下の間で目標濃度を設定することが好ましい。出口アンモニア濃度の目標濃度は、アンモ酸化反応に供する複合酸化物触媒や、原料の組成、複合酸化物触媒の酸化還元度、反応方式(単流かリサイクルか)、反応形式(流動層か固定層か)等に応じて、不飽和ニトリルの収率及び/又は選択率が望ましい値になるように適宜設定すればよい。目標濃度は幅を持って設定することができ、出口生成ガス中のアンモニア濃度がその幅に収まるように、後述のパラメータを調整する。一般的には、出口アンモニア濃度の目標濃度を3〜16vol%の間で設定することがより好ましく、5〜13vol%で設定することが更に好ましい。出口アンモニア濃度を18vol%以下に維持することで、出口生成ガス中に含まれるアンモニアを中和する硫酸のコストを抑えることができ、出口生成ガス中にアンモニアを少しでも残存させるように(0vol%超で)反応させることでプロパンのアンモ酸化反応を適当な速度で進行させることができる。また、メカニズムは定かではないが、反応器出口の酸素濃度、アンモニア濃度を上記範囲に維持することで、長期的な反応においては触媒の酸化還元度が調整されると推定される。触媒の物性値に応じて反応条件を維持又は変更する場合はこの限りではなく、一時的に上記目標濃度から外して触媒を還元処理し、触媒の酸化還元状態が好ましい範囲に戻った後、上記目標濃度に設定してもよい。
好ましい触媒性能及び触媒寿命を得る観点、及び触媒の物性値を好ましい範囲内で維持する観点等から、下記式(3)で表される、触媒量に対する単位時間当たりのプロパンの反応量は、0.03〜0.20であることが好ましく、0.04〜0.18であることがより好ましい。
プロパン流量(kg/h)/触媒量(kg)×プロパン転化率(%)/100 (3)
触媒の物性値に応じて反応条件を維持又は変更する場合、上述の好ましい数値範囲を逸脱して調整してもよいが、爆発範囲を逸脱しない程度に調整することが好ましい。
真のアンモニア濃度=見掛けアンモニア濃度+有機酸と反応したアンモニア濃度(4)
出口アンモニア濃度=真のアンモニア濃度/原料ガス中のプロパン濃度 (5)
なお、分析方法の違いにより出口アンモニア濃度の測定値に多少のずれが生じる場合があるが、出口アンモニア濃度の変化に応じて反応条件を維持又は変更することで長期間の運転を実現し得るので、分析方法の違いによる測定値のずれは反応の制御に大きな影響をもたらさず、その分析方法における測定値の変化に応じて反応条件を調整すればよい。
本実施形態の製造方法においては、反応器出口の生成ガス中の酸素濃度が1.5〜6.0vol%の間で設定した目標濃度になるように、
(1)原料ガス中のプロパンに対する酸素のモル比(酸素/プロパン)、
(2)反応器の温度、及び
(3)複合酸化物触媒と原料ガスとの接触時間、
からなる群より選択される少なくとも1種の条件を調整するのが好ましい。
Xg=現在の触媒量−現在の触媒量/現在の接触時間×(現在の接触時間−1.0)
酸素量や反応器の温度を増加又は減少させるのと同様に、接触時間を増加又は減少させる際も所望の時間まで段階を細かく分けて変化させることが好ましい。
本実施形態の製造方法においては、反応器の出口アンモニア量を測定し、前記出口アンモニア量の変化に応じて、原料ガス中のプロパン濃度を基準として算出される出口アンモニア濃度が0vol%を超え18vol%以下の間で設定した目標濃度になるように、
(1)前記原料ガス中のプロパンに対するアンモニアのモル比、
(2)前記反応器の温度、及び
(3)前記複合酸化物触媒と前記原料ガスとの接触時間、
からなる群より選択される少なくとも1種の条件を調整するのが好ましい。
複合酸化物触媒と原料ガスとの接触時間は、流している原料ガスの量と反応器に充填した触媒量から計算によって算出することができ、具体的には、次式で決定される。
接触時間(sec・g/cc)=(W/F)×273/(273+T)×(0.1013+P)/0.1013
ここで、W、F、T及びPは次のように定義される。
W=充填触媒量(g)
F=標準状態(0℃、1.013×105Pa)での原料ガス流量(Ncc/sec)
T=反応温度(℃)
P=反応圧力(MPa)
接触時間の変化速度を1時間当たり1.0sec以下にするには、触媒量の変化速度を1時間当たり、以下の式で表されるXg以下で変更する。
Xg=現在の触媒量−現在の触媒量/現在の接触時間×(現在の接触時間−1.0)
酸素量や反応器の温度を増加又は減少させるのと同様に、接触時間を増加又は減少させる際も所望の時間まで段階を細かく分けて変化させることが好ましい。
アンモ酸化反応を停止する際は、まずプロパンとアンモニアの反応器への供給を停止する。停止の方法は特に限定されず、プロパン及びアンモニア両方の供給量を徐々に低下させてもよいし、どちらか一方を先に停止し、続いてもう一方を停止してもよい。反応器内のガスが爆発限界を超えない範囲で調整すること、及び調整のしやすさの観点から、まずプロパンとアンモニア両方の供給量を徐々に低下し、引き続きプロパンのみの供給量を徐々に低下して完全に供給停止すると同時にアンモニアの供給量を増加させて爆発範囲を避けるように調整することが好ましい。プロパンとアンモニアの供給量を好ましくは60〜90%まで、好ましくは0.1〜30hr、より好ましくは0.5〜20hrかけて低下し、次にプロパンの供給量を好ましくは2〜30hr、より好ましくは3〜20hrかけて継続して低下させながらアンモニア流量を100〜400%、好ましくは100〜350%増加させる。続いてプロパンの供給を停止後、触媒の温度を下げる。触媒の温度を下げる間もアンモニアの供給を続けることが好ましい。触媒の温度が好ましくは200℃〜400℃、より好ましくは250〜380℃まで低下したら、アンモニアの供給量を好ましくは0.3〜10hrで低下させ、アンモニアの供給も停止する。反応の停止工程においても、触媒の物性を維持することは、触媒を好ましい状態に維持して、良好な状態で反応を再開する観点で好ましい。
上記好ましい反応条件は、何らかの原因で抜出した触媒の物性値が好ましい範囲を逸脱し、その物性値を好ましい範囲に戻すために反応条件を維持又は変更する場合には、適宜変更してもよい。
(a)複合酸化物触媒
目的物の選択率及び長期流動反応を行う観点から、より好ましい複合酸化物の組成は次式により表される。
Mo1VaNbbAcXdZeOn
(式中、成分AはTe及び/又はSbを示し、成分XはW、Bi、Mnからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素を示し、成分ZはLa、Ce、Pr、Yb、Y、Sc、Sr、Baからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素を示し、a、b、c、d、nはMo1原子当たりの各元素の原子比を示し、aは0.01≦a≦1、bは0.01≦b≦1、cは0.01≦c≦1、dは0≦d≦1、eは0≦e≦1であり、nは構成金属の原子価によって決まる数である。)
複合酸化物触媒は、例えば、以下の3つの工程を経て製造される。
(1)原料を調合して原料調合液を得る工程
(2)工程(1)で得られた原料調合液を乾燥し、触媒前駆体を得る工程
(3)工程(2)で得られた触媒前駆体を焼成し、複合酸化物触媒を得る工程
ここで、「調合」とは、溶媒に、触媒構成元素の原料を溶解又は分散させることである。溶媒は水性であるのが好ましい。
MoとVの原料としては、それぞれ、ヘプタモリブデン酸アンモニウム[(NH4)6Mo7O24・4H2O]とメタバナジン酸アンモニウム[NH4VO3]を好適に用いることができる。
(工程1:原料を調合して原料調合液を得る工程)
本工程においては、Mo化合物、V化合物、成分A化合物、成分X化合物、成分Z化合物、必要によりその他原料となる成分を水に添加し、加熱して水性混合液(I)を調製する。この時、容器内は窒素雰囲気でもよい。次に、Nb化合物とジカルボン酸を水中で加熱撹拌して混合液(B0)を調製する。更に、混合液(B0)に、過酸化水素を添加し、水性混合液(II)を調製する。この時、H2O2/Nb(モル比)は0.5〜20が好ましく、1〜10がより好ましい。
水性混合液(III)の熟成とは、水性混合液(III)を所定時間静置するか撹拌することを言う。工業的に複合酸化物触媒を製造する場合、通常は噴霧乾燥機の処理スピードが律速となり、一部の水性混合液(III)が噴霧乾燥された後、全ての混合液の噴霧乾燥が終了するまでに時間を要する。この間、噴霧乾燥処理されていない混合液の熟成は継続される。従って、熟成時間には、噴霧乾燥前の熟成時間だけでなく、噴霧乾燥開始後から終了までの時間も含まれる。
熟成時間は90分以上50時間以内が好ましく、90分以上6時間以内がより好ましい。
熟成温度は、Mo成分の縮合やVの析出を防ぐ観点で、25℃以上が好ましい。また、Nbと過酸化水素を含む錯体の加水分解が起こりすぎないようにし、好ましい形態のスラリーを形成する観点で65℃以下が好ましい。 従って、熟成温度は、25℃以上65℃以下が好ましく、30℃以上60℃以下がより好ましい。
ここで、気相酸素濃度は、一般的な方法、例えば、ジルコニア式酸素濃度計を用いて測定することができる。気相酸素濃度を測定する場所は、水性混合液(III)と気相との界面近傍であることが好ましい。例えば、同一地点での気相酸素濃度の測定を1分以内に3度行い、3度の測定結果の平均値をもって気相酸素濃度とすることが好ましい。
気相酸素濃度を低減させるための希釈ガスとしては、特に限定されないが、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、水蒸気などが挙げられる。工業的には、窒素が好ましい。また、気相酸素濃度を増加させるためのガスとしては、純酸素又は高酸素濃度の空気が好ましい。
乾燥工程は、工程(1)で得られた原料調合液を乾燥し、乾燥粉体を得る工程である。乾燥は公知の方法で行うことができ、例えば、噴霧乾燥又は蒸発乾固によって行うことができる。中でも、噴霧乾燥を採用し、微小球状の乾燥粉体を得ることが好ましい。噴霧乾燥法における噴霧化は遠心方式、二流体ノズル方式、又は高圧ノズル方式によって行うことができる。乾燥熱源は、スチーム、電気ヒーターなどによって加熱された空気を用いることができる。噴霧乾燥装置の乾燥機入口温度は150〜300℃が好ましく、乾燥機出口温度は100〜160℃が好ましい。
焼成工程は、工程(2)で得られた乾燥粉体を焼成し、複合酸化物触媒を得る工程である。焼成装置としては、回転炉(ロータリーキルン)を使用することができる。焼成器の形状は特に限定されないが、管状であると、連続的な焼成を実施することができる。焼成管の形状は特に限定されないが、円筒であるのが好ましい。加熱方式は外熱式が好ましく、電気炉を好適に使用できる。焼成管の大きさ、材質等は焼成条件や製造量に応じて適当なものを選択することができるが、その内径は、好ましくは70〜2000mm、より好ましくは100〜1200mmであり、その長さは、好ましくは200〜10000mm、より好ましくは800〜8000mmである。焼成器に衝撃を与える場合、肉厚は衝撃により破損しない程度の十分な厚みを持つという観点から、2mm以上が好ましく、より好ましくは4mm以上であり、また衝撃が焼成管内部まで十分に伝わるという観点から、好ましくは100mm以下、より好ましくは50mm以下である。焼成器の材質は、耐熱性があり衝撃により破損しない強度を有するものであること以外は特に限定されず、例えばSUSを好適に使用できる。
実施例と比較例においては、アクリロニトリル収率(AN収率)は次の定義に従う。
アクリロニトリル収率(%)=(生成したアクリロニトリルのモル数)/(供給したプロパンのモル数)×100
ここで、生成したアクリロニトリルのモル数は、(株)島津製作所製熱伝導度検出器(TCD)型ガスクロマトグラフィーGC2014ATにより測定した。
(1)規格化UV値
紫外可視分光光度計(日本分光(株)製V−660)を用い、抜き出した触媒をサンプルホルダーにセットし、拡散反射法で測定し、得られた吸収及び/又は反射スペクトルの、400nm、580nm、700nmにおける吸光度から、下記式(1)を用いて規格化UV値を求めた。
規格化UV={(580nmの吸光度)−(400nmの吸光度)}÷{(700nmの吸光度)−(400nmの吸光度)} (1)
ビーカーに抜き出した触媒約200mgを精秤した。さらに、1/40規定のKMnO4水溶液を過剰量(通常24ml)添加した。さらに、精製水約150mL、1:1硫酸(即ち、濃硫酸と精製水を容量比1/1で混合して得られる硫酸水溶液)2mLを添加した後、ビーカーに時計皿で蓋をし、70℃±2℃の湯浴中で1Hr攪拌し、試料を酸化させた。この時、KMnO4は過剰に存在させており、液中には未反応のKMnO4が存在するため、液色は紫〜赤紫色であることを確認した。酸化終了後、ろ紙にてろ過を行い、ろ液全量を回収した。1/40規定のシュウ酸ナトリウム水溶液を、ろ液中に存在するKMnO4に対し過剰量(通常15ml)添加し、液温が70℃となるように加熱攪拌した。液が無色透明になることを確認し、1:1硫酸2mLを添加した。液温を70℃±2℃に保ちながら攪拌を続け、1/40規定のKMnO4水溶液で滴定した。液色がKMnO4によりかすかな淡桃色が約30秒続くところを終点とした。全KMnO4量、全Na2C2O4量から、試料の酸化に消費されたKMnO4量を求めた。この値から、(n0−n)を算出し、これに基づき還元率を求めた。
触媒の還元率は下記式(2)により算出した。
還元率(%)=((n0−n)/n0)×100 (2)
(式中:nは触媒中の酸素以外の構成元素の原子価を満足する酸素原子の数であり、n0は触媒中の酸素以外の構成元素がそれぞれの最高酸化数を有する時に必要な酸素原子の数である。)
抜き出した触媒の一部をライカイ機を用いて2時間程度ライカイし、プレス機を用いてペレット状にし、X線蛍光分析装置(RIX1000)を用いて測定した。
(ニオブ混合液の調製)
以下の方法でニオブ混合液を調製した。
水500kgにNb2O5として80.2質量%を含有するニオブ酸76.33kgとシュウ酸二水和物〔H2C2O4・2H2O〕29.02kgを混合した。仕込みのシュウ酸/ニオブのモル比は5.0、仕込みのニオブ濃度は0.532(mol−Nb/Kg−液)であった。この液を95℃で2時間加熱撹拌することによって、ニオブが溶解した混合液を得た。この混合液を静置、氷冷後、固体を吸引濾過によって濾別し、均一なニオブ混合液を得た。このニオブ混合液のシュウ酸/ニオブのモル比は下記の分析により2.70であった。
るつぼにこのニオブ混合液10gを精秤し、95℃で一夜乾燥後、600℃で1時間熱処理し、Nb2O50.7868gを得た。この結果から、ニオブ濃度は0.592(mol−Nb/Kg−液)であった。
300mLのガラスビーカーにこのニオブ混合液3gを精秤し、約80℃の熱水200mLを加え、続いて1:1硫酸10mLを加えた。得られた混合液をホットスターラー上で液温70℃に保ちながら、攪拌下、1/4規定KMnO4を用いて滴定した。KMnO4によるかすかな淡桃色が約30秒以上続く点を終点とした。シュウ酸の濃度は、滴定量から次式に従って計算した結果、1.573(mol−シュウ酸/Kg)であった。
2KMnO4+3H2SO4+5H2C2O4→K2SO4+2MnSO4+10CO2+8H2O
得られたニオブ混合液は、下記の触媒調製のニオブ混合液(B0)として用いた。
水114.6kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH4)6Mo7O24・4H2O〕を33.3kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を4.41kg、及び三酸化二アンチモン〔Sb2O3〕を6.49kg加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して水性原料液(I)を得た。
ニオブ混合液(B0)29.68kgに、H2O2として30wt%を含有する過酸化水素水を3.98kg添加し、室温で10分間攪拌混合して、水性原料液(II)を調製した。
得られた水性原料液(I)を70℃に冷却した後にSiO2として34.0wt%を含有するシリカゾル59.90kgを添加し、更に、H2O2として30wt%含有する過酸化水素水6.27kgを添加し、55℃で30分間撹拌を続けた。次に、水性原料液(II)、WO3として50.2wt%のメタタングステン酸アンモニウム水溶液2.318g、粉体シリカ14.15kgを水191.0kgに分散させた分散液を順次添加して水性混合液(III)を得た。水性混合液(III)は水性原料液(II)を添加後から2時間30分、50℃で熟成し、スラリーを得た。
得られたスラリーを、遠心式噴霧乾燥器に供給して乾燥し、微小球状の乾燥粉体を得た。乾燥機の入口空気温度は210℃、出口空気温度は120℃であった。本工程を数回繰り返し、得られた乾燥粉体を内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製円筒状焼成管に充填し、600NL/minの窒素ガス流通下、管を回転させながら、680℃で2時間焼成して複合酸化物触媒を得た。
底部に直径1/64インチの3つの穴のある穴あき円盤を備え、上部にペーパーフィルターを設けた垂直チューブ(内径41.6mm、長さ70cm)に複合酸化物触媒を50g投入した。この時の気流が流れる方向における気流長さは52mm、気流の平均線速は310m/sであった。24時間後に得られた複合酸化物触媒中には突起体が存在しなかった。
複合酸化物触媒の組成を、蛍光X線分析(Rigaku RINT1000 Cr管球 管電圧50kV 管電流50mA)により測定した。得られた複合酸化物触媒の組成はMo1.0V0.214Sb0.220Nb0.105W0.030Ce0.005On/50.0wt%−SiO2であった。
得られた複合酸化物触媒580kgを内径600mmの炭素鋼製流動床反応器に充填した。充填には、320℃の空気を用いて搬送した。搬送後の触媒の温度は210℃であった。反応器の触媒充填部底面から、上方30cmの位置に、プロパン、アンモニアを含むガスを供給するノズルを鉛直下向きに設置した。設置位置は反応器の中心、及び反応器の中心を中心とする一辺340mmの正方形の頂点(計5ヶ所)とした。反応器の触媒充填部底面に酸素を含むガスを供給するノズルを鉛直上向きに設置した。設置位置は、プロパン、アンモニアを含むガスを供給するノズルと鉛直方向に重なる位置(5ヶ所)とした。反応器の除熱には定常的に用いる冷却コイル4本、温度微調整用の冷却コイル2本を触媒濃厚層に設置した。搬送終了後、反応器に450℃の空気を導入し、12hrで反応器内の触媒層の温度を340℃まで高めた。ここでアンモニアガスの供給を開始し、アンモニア供給量を3hrで55Nm3/hrまで増加させて、さらに反応器内の触媒層の温度を高めた。アンモニアの供給量を増加させた後、空気の供給量を280Nm3/hrまで下げた。反応器内の触媒層の温度が450℃に到達した時点で、プロパンの供給を開始し、6hrかけて22.7Nm3/hrまで供給量を増加させ、同時に空気の供給量を363Nm3/hrまであげた。
その後、各ガス量・温度の調整を行い、反応器の温度440℃、反応圧力50kPaで、上側のノズルからプロパン、アンモニアを、下側のノズルから空気をプロパン:アンモニア:空気=1:1:16のモル比で接触時間2.9sec・g/ccとなるよう供給した。反応開始1日後のAN収率は53.0%であった。反応開始10日後、反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子の還元率・触媒構成元素の濃度の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表1に示すとおりであった。さらに、反応器へ導入する空気/プロパンのモル比を1下げて運転を継続した。条件変更5日経過後、同様に反応器から触媒を抜出し、物性値及び収率の測定を行ったところ、表1に示すとおりとなった。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
プロパン:アンモニア:空気=1:1:14のモル比でガスを供給したこと以外は実施例1と同様の方法により反応を行った。反応開始10日後、反応器から触媒を500g抜出し、表1に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表1に示すとおりであった。さらに、反応器へ導入する空気/プロパンのモル比を0.5上げて運転を継続した。条件変更5日経過後、同様に反応器から触媒を抜出し、物性値及び収率の測定を行ったところ、表1に示すとおりとなった。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
プロパン:アンモニア:空気=1:0.8:15のモル比でガスを供給したこと以外は実施例1と同様の方法により反応を行った。反応開始10日後、反応器から触媒を500g抜出し、表1に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表1に示すとおりであった。さらに、反応器へ導入するアンモニア/プロパンのモル比を0.15上げて運転を継続した。条件変更5日経過後、同様に反応器から触媒を抜出し、物性値及び収率の測定を行ったところ、表1に示すとおりであった。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
実施例3と同様の方法により反応を行った。反応開始10日後、反応器から触媒を500g抜出し、表1に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表1に示すとおりであった。さらに、反応器へ導入する触媒量あたりのプロパンの流量WWHを0.02下げて運転を継続した。条件変更5日経過後、同様に反応器から触媒を抜出し、物性値及び収率の測定を行ったところ、表1に示すとおりとなった。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
実施例1と同様の方法により反応を行った。反応開始10日後、反応器から触媒を500g抜出し、表1に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表1に示すとおりであった。さらに、反応器へ導入するアンモニア/プロパンのモル比を0.08上げて運転を継続した。条件変更一日経過後、同様に反応器から触媒を抜出し、物性値及び収率の測定を行ったところ、表1に示すとおりとなった。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
プロパン:アンモニア:空気=1:1:13のモル比でガスを供給したこと以外は実施例1と同様に反応を行った。反応開始10日後、反応器から触媒を500g抜出し、表1に示す物性測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表1に示すとおりであった。さらに、反応器へ導入する空気/プロパンのモル比を1上げ、かつ反応器内の触媒層の温度を2℃あげて運転を継続した。同時にヘプタモリブデン酸アンモニウムを1日に1kg反応器内に添加した。条件変更5日経過後、同様に反応器から触媒を抜出し、物性値及び収率の測定を行ったところ、表1に示すとおりとなった。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
プロパン:アンモニア:空気=1:1.05:13.5のモル比でガスを供給したこと以外は実施例1と同様の方法により反応を行った。反応開始10日後、反応器から触媒を500g抜出し、表1に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表1に示すとおりであった。さらに、反応器へ導入する空気/プロパンのモル比を0.5上げ、かつ新たに触媒20kgを反応器内に追加した。条件変更一日経過後、同様に反応器から触媒を抜出し、物性値及び収率の測定を行ったところ、表1に示すとおりとなった。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
プロパン:アンモニア:空気=1:0.9:15のモル比でガスを供給したこと以外は実施例1と同様の方法により反応を行った。反応開始10日後、反応器から触媒を500g抜出し、表1に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表1に示すとおりであった。さらに、ヘプタモリブデン酸アンモニウムを1日に0.5kgずつ反応器内に添加した。条件変更一日経過後、同様に反応器から触媒を抜出し、物性値及び収率の測定を行ったところ、触媒構成元素の濃度、AN収率は表1に示すとおりとなった。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた複合酸化物触媒580kgを内径600mmの炭素鋼製流動床反応器に充填した。充填には、320℃の空気を用いて6hrかけて搬送した。搬送後の触媒の温度は210℃であった。反応器の触媒充填部底面から、上方30cmの位置に、プロパン、アンモニアを含むガスを供給するノズルを鉛直下向きに設置した。設置位置は反応器の中心、及び反応器の中心を中心とする一辺340mmの正方形の頂点(計5ヶ所)とした。反応器の触媒充填部底面に酸素を含むガスを供給するノズルを鉛直上向きに設置した。設置位置は、プロパン、アンモニアを含むガスを供給するノズルと鉛直方向に重なる位置(5ヶ所)とした。反応器の除熱には定常的に用いる冷却コイル4本、温度微調整用の冷却コイル2本を触媒濃厚層に設置した。搬送終了後、反応器に450℃の空気を導入し、12hrで反応器内の触媒層の温度を320℃まで高めた。ここにアンモニアガスを供給開始し、アンモニア供給量を8hrで70Nm3/hrまで増加させてさらに反応器内の触媒層の温度を高めた。アンモニアの供給量を増加させた後、空気の供給量を280Nm3/hrまで下げた。反応器内の触媒層の温度が470℃になったときにプロパンの供給を開始し、6hrかけて22.7Nm3/hrまで供給量を増加させ、同時に空気の供給量を261Nm3/hrまでさげた。
その後、各ガス量・温度を実施例1と同様の条件に調整した。調整直後、反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子について表2に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表2に示すとおりであった。さらに、反応器へ導入する空気/プロパンのモル比を2上げ、反応器内の触媒層の温度を5℃上げて運転を継続した。条件変更5日経過後、同様に反応器から触媒を抜出し、物性値及び収率の測定を行ったところ、表2に示すとおりとなった。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた複合酸化物触媒580kgを内径600mmの炭素鋼製流動床反応器に充填した。充填には、360℃の空気を用いて12hrかけて搬送した。搬送後の触媒の温度は260℃であった。反応器の触媒充填部底面から、上方30cmの位置に、プロパン、アンモニアを含むガスを供給するノズルを鉛直下向きに設置した。設置位置は反応器の中心、及び反応器の中心を中心とする一辺340mmの正方形の頂点(計5ヶ所)とした。反応器の触媒充填部底面に酸素を含むガスを供給するノズルを鉛直上向きに設置した。設置位置は、プロパン、アンモニアを含むガスを供給するノズルと鉛直方向に重なる位置(5ヶ所)とした。反応器の除熱には定常的に用いる冷却コイル4本、温度微調整用の冷却コイル2本を触媒濃厚層に設置した。搬送終了後、反応器に510℃の空気を導入し、12hrで反応器内の触媒層の温度を400℃まで高めた。ここでアンモニアガスの供給を開始し、アンモニア供給量を5hrで25Nm3/hrまで増加させてさらに反応器内の触媒層の温度を高めた。アンモニアの供給量を増加させた後、空気の供給量を300Nm3/hrまで下げた。反応器内の触媒層の温度が440℃で、プロパンの供給を開始し、6hrかけて22.7Nm3/hrまで供給量を増加させ、同時に空気の供給量を386Nm3/hrまであげた。
その後、各ガス量・温度を実施例1と同様の条件に調整した。調整直後、反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子について表2に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表2に示すとおりであった。さらに、反応器へ導入する空気/プロパンのモル比を3下げて運転を継続した。条件変更5日経過後、同様に反応器から触媒を抜出し、物性値及び収率の測定を行ったところ、表2のとおりとなった。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた複合酸化物触媒580kgを内径600mmの炭素鋼製流動床反応器に充填した。充填には、320℃の空気を用いて6hrかけて搬送した。搬送後の触媒の温度は210℃であった。反応器の触媒充填部底面から、上方30cmの位置に、プロパン、アンモニアを含むガスを供給するノズルを鉛直下向きに設置した。設置位置は反応器の中心、及び反応器の中心を中心とする一辺340mmの正方形の頂点(計5ヶ所)とした。反応器の触媒充填部底面に酸素を含むガスを供給するノズルを鉛直上向きに設置した。設置位置は、プロパン、アンモニアを含むガスを供給するノズルと鉛直方向に重なる位置(5ヶ所)とした。反応器の除熱には定常的に用いる冷却コイル4本、温度微調整用の冷却コイル2本を触媒濃厚層に設置した。搬送終了後、反応器に450℃の空気を導入し、36hrで反応器内の触媒層の温度を410℃まで高めた。ここでアンモニアガスの供給を開始し、アンモニア供給量を5hrで55Nm3/hrまで増加させてさらに反応器内の触媒層の温度を高めた。アンモニアの供給量を増加させた後、空気の供給量を280Nm3/hrまで下げた。反応器内の触媒層の温度が450℃になったときにプロパンの供給を開始し、6hrかけて20Nm3/hrまで供給量を増加させ、同時に空気の供給量を329Nm3/hrまであげた。
その後、各ガス量・温度を実施例1と同様の条件に調整した。調整直後、反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子について表2に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表2に示すとおりであった。物性値の結果を確認し、条件変更は行わずに運転を継続した。5日経過後、同様に反応器から触媒を抜出し、物性値及び収率の測定を行ったところ、表2に示すとおりとなった。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた複合酸化物触媒580kgを内径600mmの炭素鋼製流動床反応器に充填した。充填には、360℃の空気を用いて12hrかけて搬送した。搬送後の触媒の温度は260℃であった。反応器の触媒充填部底面から、上方30cmの位置に、プロパン、アンモニアを含むガスを供給するノズルを鉛直下向きに設置した。設置位置は反応器の中心、及び反応器の中心を中心とする一辺340mmの正方形の頂点(計5ヶ所)とした。反応器の触媒充填部底面に酸素を含むガスを供給するノズルを鉛直上向きに設置した。設置位置は、プロパン、アンモニアを含むガスを供給するノズルと鉛直方向に重なる位置(5ヶ所)とした。反応器の除熱には定常的に用いる冷却コイル4本、温度微調整用の冷却コイル2本を触媒濃厚層に設置した。搬送終了後、反応器に500℃の空気を導入し、24hrで反応器内の触媒層の温度を400℃まで高めた。ここでアンモニアガスの供給を開始し、アンモニア供給量を5hrで25Nm3/hrまで増加させてさらに反応器内の触媒層の温度を高めた。アンモニアの供給量を増加させた後、空気の供給量を300Nm3/hrまで下げた。反応器内の触媒層の温度が440℃になったときにプロパンの供給を開始し、6hrかけて22.7Nm3/hrまで供給量を増加させ、同時に空気の供給量を386Nm3/hrまであげた。
その後、各ガス量・温度を実施例1と同様の条件に調整した。反応器から触媒を抜き出さず、触媒の物性値の測定を行わなかったところ、反応開始5日後のAN収率は表2に示すとおりとなった。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた複合酸化物触媒580kgを内径600mmの炭素鋼製流動床反応器に充填した。充填には、360℃の空気を用いて12hrかけて搬送した。搬送後の触媒の温度は260℃であった。反応器の触媒充填部底面から、上方30cmの位置に、プロパン、アンモニアを含むガスを供給するノズルを鉛直下向きに設置した。設置位置は反応器の中心、及び反応器の中心を中心とする一辺340mmの正方形の頂点(計5ヶ所)とした。反応器の触媒充填部底面に酸素を含むガスを供給するノズルを鉛直上向きに設置した。設置位置は、プロパン、アンモニアを含むガスを供給するノズルと鉛直方向に重なる位置(5ヶ所)とした。反応器の除熱には定常的に用いる冷却コイル4本、温度微調整用の冷却コイル2本を触媒濃厚層に設置した。搬送終了後、反応器に480℃の空気を導入し、12hrで反応器内の触媒層の温度を370℃まで高めた。ここでアンモニアガスの供給を開始し、アンモニア供給量を5hrで40Nm3/hrまで増加させてさらに反応器内の触媒層の温度を高めた。アンモニアの供給量を増加させた後、空気の供給量を280Nm3/hrまで下げた。反応器内の触媒層の温度が440℃になったときにプロパンの供給を開始し、6hrかけて22.7Nm3/hrまで供給量を増加させ、同時に空気の供給量を341Nm3/hrまであげた。
その後、各ガス量・温度を実施例1と同様の条件に調整した。調整直後、反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子について表2に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表2に示すとおりであった。さらに、反応器へ導入する空気/プロパンのモル比を2上げて運転を継続した。条件変更5日経過後、同様に反応器から触媒を抜出し、物性値及び収率の測定を行ったところ、規格化UV値・還元率・触媒構成元素の濃度、AN収率は表2に示すとおりとなった。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた複合酸化物触媒580kgを内径600mmの炭素鋼製流動床反応器に充填した。充填には、360℃の空気を用いて12hrかけて搬送した。搬送後の触媒の温度は260℃であった。反応器の触媒充填部底面から、上方30cmの位置に、プロパン、アンモニアを含むガスを供給するノズルを鉛直下向きに設置した。設置位置は反応器の中心、及び反応器の中心を中心とする一辺340mmの正方形の頂点(計5ヶ所)とした。反応器の触媒充填部底面に酸素を含むガスを供給するノズルを鉛直上向きに設置した。設置位置は、プロパン、アンモニアを含むガスを供給するノズルと鉛直方向に重なる位置(5ヶ所)とした。反応器の除熱には定常的に用いる冷却コイル4本、温度微調整用の冷却コイル2本を触媒濃厚層に設置した。搬送終了後、反応器に480℃の空気を導入し、12hrで反応器内の触媒層の温度を370℃まで高めた。ここでアンモニアガスの供給を開始し、アンモニア供給量を5hrで40Nm3/hrまで増加させてさらに反応器内の触媒層の温度を高めた。アンモニアの供給量を増加させた後、空気の供給量を280Nm3/hrまで下げた。反応器内の触媒層の温度が440℃のときにプロパンの供給を開始し、6hrかけて22.7Nm3/hrまで供給量を増加させ、同時に空気の供給量を350Nm3/hrまであげた。
その後、各ガス量・温度を実施例1と同様の条件に調整した。調整直後、反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子について表2に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表2に示すとおりであった。さらに、反応器へ導入する空気/プロパンのモル比を0.5下げて運転を継続した。条件変更5日経過後、同様に反応器から触媒を抜出し、物性値及び収率の測定を行ったところ、規格化UV値・還元率、AN収率・触媒構成元素の濃度は表2に示すとおりとなった。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた複合酸化物触媒580kgを内径600mmの炭素鋼製流動床反応器に充填した。充填には、360℃の空気を用いて12hrかけて搬送した。搬送後の触媒の温度は260℃であった。反応器の触媒充填部底面から、上方30cmの位置に、プロパン、アンモニアを含むガスを供給するノズルを鉛直下向きに設置した。設置位置は反応器の中心、及び反応器の中心を中心とする一辺340mmの正方形の頂点(計5ヶ所)とした。反応器の触媒充填部底面に酸素を含むガスを供給するノズルを鉛直上向きに設置した。設置位置は、プロパン、アンモニアを含むガスを供給するノズルと鉛直方向に重なる位置(5ヶ所)とした。反応器の除熱には定常的に用いる冷却コイル4本、温度微調整用の冷却コイル2本を触媒濃厚層に設置した。搬送終了後、反応器に440℃の空気を導入し、12hrで反応器内の触媒層の温度を330℃まで高めた。ここでアンモニアガスの供給を開始し、アンモニア供給量を5hrで60Nm3/hrまで増加させてさらに反応器内の触媒層の温度を高めた。アンモニアの供給量を増加させた後、空気の供給量を260Nm3/hrまで下げた。反応器内の触媒層の温度が460℃で、プロパンの供給を開始し、6hrかけて22.7Nm3/hrまで供給量を増加させ、同時に空気の供給量を318Nm3/hrまであげた。
その後、各ガス量・温度を実施例1と同様の条件に調整した。調整直後、反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子について表2に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表2に示すとおりであった。さらに、反応器へ導入するアンモニア/プロパンのモル比を0.05下げて運転を継続した。条件変更5日経過後、同様に反応器から触媒を抜出し、物性値及び収率の測定を行ったところ、表2に示すとおりとなった。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた複合酸化物触媒580kgを内径600mmの炭素鋼製流動床反応器に充填した。充填には、330℃の空気を用いて24hrかけて搬送した。搬送後の触媒の温度は240℃であった。反応器の触媒充填部底面から、上方30cmの位置に、プロパン、アンモニアを含むガスを供給するノズルを鉛直下向きに設置した。設置位置は反応器の中心、及び反応器の中心を中心とする一辺340mmの正方形の頂点(計5ヶ所)とした。反応器の触媒充填部底面に酸素を含むガスを供給するノズルを鉛直上向きに設置した。設置位置は、プロパン、アンモニアを含むガスを供給するノズルと鉛直方向に重なる位置(5ヶ所)とした。反応器の除熱には定常的に用いる冷却コイル4本、温度微調整用の冷却コイル2本を触媒濃厚層に設置した。搬送終了後、反応器に500℃の空気を導入開始し、2hr経過後、反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子について表3に示す物性値の測定を行った。導入する空気の温度を450℃に下げ、8hrかけて反応器内の触媒層の温度を320℃まで高めた。その後、実施例10と同様の条件で反応を開始した。
その後、各ガス量・温度を実施例1と同様の条件に調整した。調整終了から1日後、反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子について表3に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表3に示すとおりであった。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた複合酸化物触媒580kgを内径600mmの炭素鋼製流動床反応器に充填した。充填には、320℃の空気を用いて6hrかけて搬送した。搬送後の触媒の温度は210℃であった。反応器の触媒充填部底面から、上方30cmの位置に、プロパン、アンモニアを含むガスを供給するノズルを鉛直下向きに設置した。設置位置は反応器の中心、及び反応器の中心を中心とする一辺340mmの正方形の頂点(計5ヶ所)とした。反応器の触媒充填部底面に酸素を含むガスを供給するノズルを鉛直上向きに設置した。設置位置は、プロパン、アンモニアを含むガスを供給するノズルと鉛直方向に重なる位置(5ヶ所)とした。反応器の除熱には定常的に用いる冷却コイル4本、温度微調整用の冷却コイル2本を触媒濃厚層に設置した。搬送終了後、反応器に450℃の空気を導入開始し、8hrかけて反応器内の触媒層の温度を320℃まで高めた。ここでアンモニアガスの供給を開始し、アンモニア供給量を20分で80Nm3/hrまで増加させ、3hr経過後に反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子について表3に示す物性値の測定を行った。アンモニア供給量を50Nm3/hrに下げ、2hrかけてさらに反応器内の触媒層の温度を高めた。その後、実施例10と同様に反応を開始した。
その後、各ガス量・温度を実施例1と同様の条件に調整した。調整終了から1日後、反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子について表3に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表3に示すとおりであった。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた複合酸化物触媒580kgを内径600mmの炭素鋼製流動床反応器に充填した。充填には、320℃の空気を用いて6hrかけて搬送した。搬送後の触媒の温度は210℃であった。反応器の触媒充填部底面から、上方30cmの位置に、プロパン、アンモニアを含むガスを供給するノズルを鉛直下向きに設置した。設置位置は反応器の中心、及び反応器の中心を中心とする一辺340mmの正方形の頂点(計5ヶ所)とした。反応器の触媒充填部底面に酸素を含むガスを供給するノズルを鉛直上向きに設置した。設置位置は、プロパン、アンモニアを含むガスを供給するノズルと鉛直方向に重なる位置(5ヶ所)とした。反応器の除熱には定常的に用いる冷却コイル4本、温度微調整用の冷却コイル2本を触媒濃厚層に設置した。搬送終了後、反応器に450℃の空気を導入開始し、12hrかけて反応器内の触媒層の温度を340℃まで高めた。ここでアンモニアガスの供給を開始し、アンモニア供給量を3hrで55Nm3/hrまで増加させてさらに反応器内の触媒層の温度を高めた。アンモニアの供給量を増加させた後、空気の供給量を280m3/hrまで下げた。反応器内の触媒層の温度が460℃に到達した時点で、プロパンの供給を開始し、6hrで22.7Nm3/hrまで供給量を増加させ、同時に空気の供給量を290Nm3/hrまであげた。3hr経過後に反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子について表3に示す物性値の測定を行った。プロパン供給量を20Nm3/hrに下げ、3hrかけてさらに反応器内の触媒層の温度を高めた。その後、実施例10と同様に反応を開始した。
その後、各ガス量・温度を実施例1と同様の条件に調整した。調整終了から1日後、反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子について表3に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表3に示すとおりであった。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
途中、触媒を抜き出して物性値の測定及び反応条件の変更を行わなかったこと以外は、実施例13と同様に反応を開始した。このときのAN収率は表3に示すとおりであった。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
途中、触媒を抜き出して物性値の測定及び反応条件の変更を行わなかったこと以外は、実施例14と同様の方法により反応を開始した。このときのAN収率は表3に示すとおりであった。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
途中、触媒を抜き出して物性値の測定及び反応条件の変更を行わなかったこと以外は、実施例15と同様の方法により反応を開始した。このときのAN収率は表3に示すとおりであった。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた複合酸化物触媒35gを内径1Bのガラス製流動床反応器に充填した。反応器に460℃の空気を導入し、36hrで反応器内の触媒層の温度を320℃まで高めた。ここでアンモニアガスの供給を開始し、アンモニア供給量を5hrで30Ncc/minまで増加させてさらに反応器内の触媒層の温度を高めた。アンモニアの供給量を増加させた後、空気の供給量を180Ncc/minまで下げた。反応器内の触媒層の温度が450℃になったときにプロパンの供給を開始し、6hrかけて20Ncc/minまで供給量を増加させ、反応を開始した。その後、各ガス量・温度の調整を行い、反応器の温度440℃、反応圧力50kPaでプロパン:アンモニア:空気=1:1:15のモル比で接触時間2.9sec・g/ccとなるよう供給した。反応開始1日後のAN収率は53.0%であった。
同様に得られた複合酸化物触媒560kgを内径600mmの炭素鋼製流動床反応器に充填し、上記内径1Bのガラス製流動床反応器を用いた条件と触媒量あたりのガスの流量を同等にし、その他の条件は同様にして、反応を開始した。途中触媒の抜出及び物性値の測定は行わなかった。反応開始1日後のAN収率は52.5%であった。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
実施例10と同様の条件で反応を開始した。
(反応停止)
反応器へのプロパンの供給量を6hrで0Nm3/hrまで減少させながら、アンモニアの供給量を80Nm3/hrまで増加させた。このとき空気の供給量は350Nm3/hrであった。プロパンの供給量が0Nm3/hrになる直前に反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子について表4に示す物性値の測定を行った。空気の供給量を390Nm3/hrに増加させ、アンモニアの供給量を1hrで減少させた。その後8hrかけて反応器内の触媒層の温度を低下させながら空気の供給量を0Nm3/hrまで減少させた。
(反応再開)
実施例1と同様の条件で反応を再開した。再開10日後、32〜100μmの触媒粒子について表4に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びAN収率を表4に示す。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
実施例10と同様の条件で反応開始した。
(反応停止)
反応器へのプロパンの供給量を6hrで0Nm3/hrまで減少させながら、アンモニアの供給量を60Nm3/hrまで増加させた。このときの空気の供給量は360Nm3/hrであった。アンモニアの供給量を10分で20Nm3/hr減少させる速度で減少開始し、10分後に反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子について表4に示す物性値の測定を行った。空気の供給量を250Nm3/hrに減少させ、アンモニアの供給量を1.5hrで0Nm3/hrまで減少させた。その後8hrかけて反応器内の触媒層の温度を低下させながら空気の供給量を0Nm3/hrまで減少させた。
(反応再開)
実施例1と同様の条件で反応を再開した。再開10日後、32〜100μmの触媒粒子について表4に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びAN収率を表4に示す。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
実施例10と同様の条件で反応を開始した。
(反応停止)
途中、触媒を抜出して、物性値の測定及び反応条件の変更を行わなかったこと以外は実施例16と同様の方法により反応を停止した。
(反応再開)
実施例1と同様の条件で反応を再開した。再開10日後のAN収率を表4に示す。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
実施例10と同様の条件で反応を開始した。
(反応停止)
途中、触媒を抜出して、物性値の測定及び反応条件の変更を行わなかったこと以外は実施例17と同様の方法により反応を停止した。
(反応再開)
実施例1と同様の条件で反応を再開した。再開10日後のAN収率を表4に示す。
実施例1と同様の方法により複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた複合酸化物触媒35gを内径1Bのガラス製流動床反応器に充填した。実施例10と触媒あたりの原料ガスの流量を同等にし、その他の条件は同様にして反応を開始した。
その後、各ガス量・温度の調整を行い、反応器の温度440℃、反応圧力50kPaでプロパン:アンモニア:空気=1:1:15のモル比で接触時間2.9sec・g/ccとなるよう供給した。反応開始1日後、反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子について表5に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表5に示すとおりであった。反応器へ導入する空気/プロパンのモル比を2下げて運転を継続した。条件変更一日経過後、同様に反応器から触媒を抜出し、物性値及び収率の測定を行ったところ、表5に示すとおりとなった。
(複合酸化物触媒の調製)
組成式がMo1V0.214Nb0.105Sb0.220/50質量%−SiO2で示されるシリカ担持触媒を次のようにして製造した。
(原料調合液の調製)
水118.4kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH4)6Mo7O24・4H2O〕を34.4kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を4.55kg、三酸化二アンチモン〔Sb2O3〕を6.71kg加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して水性混合液A−1を得た。
上記ニオブ原料液30.7kgに、H2O2を30質量%含有する過酸化水素水4.12kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持しながら、攪拌混合して、水性液B−1を得た。
水性混合液A−1を70℃に冷却した後に、SiO2として34.0質量%を含有するシリカゾル59.9kgを添加した。次いで、H2O2を30質量%含有する過酸化水素水7.79kgを添加し、50℃で1時間撹拌混合した後、水性液B−1を添加した。さらに、フュームドシリカ14.1kgを191.0kgの水に分散させた液を添加して50℃で2.5時間攪拌し、原料調合液を得た。後の工程は実施例1と同様にして複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた複合酸化物触媒35gを内径1Bのガラス製流動床反応器に充填した。実施例10と触媒あたりの原料ガスの流量を同等にし、その他の条件は同様にして反応を開始した。
その後、各ガス量・温度の調整を行い、反応器の温度440℃、反応圧力50kPaでプロパン:アンモニア:空気=1:1:15のモル比で接触時間2.9sec・g/ccとなるよう供給した。反応開始1日後、反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子について表5に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表5に示すとおりであった。さらに、反応器へ導入する空気/プロパンのモル比を2下げて運転を継続した。条件変更一日経過後、同様に反応器から触媒を抜出し、物性値の測定を行ったところ、表5に示すとおりとなった。
組成式がMo1V0.214Nb0.105Sb0.220W0.03Mn0.002/50質量%−SiO2で示されるシリカ担持触媒を次のようにして製造した。
(原料調合液の調製)
水132.6kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH4)6Mo7O24・4H2O〕を33.4kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を4.42kg、三酸化二アンチモン〔Sb2O3〕を6.51kg加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して水性混合液A−1を得た。
上記ニオブ原料液29.8kgに、H2O2を30質量%含有する過酸化水素水4.00kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持しながら、攪拌混合して、水性液B−1を得た。
水性混合液A−1を70℃に冷却した後に、SiO2として34.0質量%を含有するシリカゾル66.96kgを添加した。次いで、H2O2を30質量%含有する過酸化水素水7.56kgを添加し、50℃で1時間撹拌混合した後、水性液B−1を添加した。さらに、フュームドシリカ14.1kgを198.0kgの水に分散させた液と、50質量%のWO3を含むメタタングステン酸アンモニウム2.33kgと、硝酸マンガン〔Mn(NO3)2・6H2O〕0.096kgを順次添加して50℃で2.5時間攪拌し、原料調合液を得た。後の工程は実施例1と同様にして複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた複合酸化物触媒35gを内径1Bのガラス製流動床反応器に充填した。実施例10と触媒あたりの原料ガスの流量を同等にし、その他の条件は同様にして反応を開始した。
その後、各ガス量・温度の調整を行い、反応器の温度440℃、反応圧力50kPaでプロパン:アンモニア:空気=1:1:15のモル比で接触時間2.9sec・g/ccとなるよう供給した。反応開始1日後、反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子について表5に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表5に示すとおりであった。反応器へ導入する空気/プロパンのモル比を2下げて運転を継続した。条件変更一日経過後、同様に反応器から触媒を抜出し、物性値及び収率の測定を行ったところ、表5に示すとおりとなった。
組成式がMo1V0.214Nb0.105Sb0.220B0.05/50質量%−SiO2で示されるシリカ担持触媒を次のようにして製造した。
(原料調合液の調製)
水140.1kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH4)6Mo7O24・4H2O〕を34.12kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を4.52kg、三酸化二アンチモン〔Sb2O3〕を6.66kg加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して水性混合液A−1を得た。
上記ニオブ原料液30.44kgに、H2O2を30質量%含有する過酸化水素水4.09kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持しながら、攪拌混合して、水性液B−1を得た。
水性混合液A−1を70℃に冷却した後に、SiO2として34.0質量%を含有するシリカゾル66.96kgを添加した。次いで、H2O2を30質量%含有する過酸化水素水7.73kgを添加し、50℃で1時間撹拌混合した後、水性液B−1を添加した。さらに、フュームドシリカ14.1kgを198.0kgの水に分散させた液と、ホウ酸〔H3BO3〕0.535kgを順次添加して50℃で2.5時間攪拌し、原料調合液を得た。後の工程は実施例1と同様にして複合酸化物触媒を得た。
得られた複合酸化物触媒35gを内径1Bのガラス製流動床反応器に充填した。実施例10と触媒あたりの原料ガスの流量を同等にし、その他の条件は同様にして反応を開始した。
その後、各ガス量・温度の調整を行い、反応器の温度440℃、反応圧力50kPaでプロパン:アンモニア:空気=1:1:15のモル比で接触時間2.9sec・g/ccとなるよう供給した。反応開始1日後、反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子について表5に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表5に示すとおりであった。反応器へ導入する空気/プロパンのモル比を2下げて運転を継続した。条件変更一日経過後、同様に反応器から触媒を抜出し、物性値の測定を行ったところ、表5に示すとおりとなった。
組成式がMo1V0.214Nb0.105Sb0.220Al0.01/50質量%−SiO2で示されるシリカ担持触媒を次のようにして製造した。
(原料調合液の調製)
水140.8kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH4)6Mo7O24・4H2O〕を34.4kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を4.54kg、三酸化二アンチモン〔Sb2O3〕を6.70kg加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して水性混合液A−1を得た。
上記ニオブ原料液30.6kgに、H2O2を30質量%含有する過酸化水素水4.11kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持しながら、攪拌混合して、水性液B−1を得た。
水性混合液A−1を70℃に冷却した後に、SiO2として34.0質量%を含有するシリカゾル66.96kgを添加した。次いで、H2O2を30質量%を含有する過酸化水素水7.78kgを添加し、50℃で1時間撹拌混合した後、水性液B−1を添加した。さらに、フュームドシリカ14.15kgを198.0kgの水に分散させた液と、酸化アルミニウム〔Al2O3〕0.088kgを順次添加して50℃で2.5時間攪拌し、原料調合液を得た。後の工程は実施例1と同様にして複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた複合酸化物触媒35gを内径1Bのガラス製流動床反応器に充填した。実施例10と触媒あたりの原料ガスの流量を同等にし、その他の条件は同様にして反応を開始した。
その後、各ガス量・温度の調整を行い、反応器の温度440℃、反応圧力50kPaでプロパン:アンモニア:空気=1:1:15のモル比で接触時間2.9sec・g/ccとなるよう供給した。反応開始1日後、反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子について表5に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表5のとおりであった。反応器へ導入する空気/プロパンのモル比を2下げて運転を継続した。条件変更一日経過後、同様に反応器から触媒を抜出し、物性値の測定を行ったところ、表5に示すとおりとなった。
組成式がMo1V0.214Nb0.105Sb0.220W0.03Ti0.008/50質量%−SiO2で示されるシリカ担持触媒を次のようにして製造した。
(原料調合液の調製)
水140.7kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH4)6Mo7O24・4H2O〕を34.3kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を4.54kg、三酸化二アンチモン〔Sb2O3〕を6.69kg加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して水性混合液A−1を得た。
上記ニオブ原料液30.6kgに、H2O2を30質量%含有する過酸化水素水4.11kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持しながら、攪拌混合して、水性液B−1を得た。
水性混合液A−1を70℃に冷却した後に、SiO2として34.0質量%を含有するシリカゾル66.96kgを添加した。次いで、H2O2を30質量%含有する過酸化水素水7.77kgを添加し、50℃で1時間撹拌混合した後、水性液B−1を添加した。さらに、フュームドシリカ14.15kgを198.0kgの水に分散させた液と、酸化チタン〔TiO2〕0.110kgを順次添加して50℃で2.5時間攪拌し、原料調合液を得た。後の工程は実施例1と同様にして複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた複合酸化物触媒35gを内径1Bのガラス製流動床反応器に充填した。実施例10と触媒あたりの原料ガスの流量を同等にし、その他の条件は同様にして反応を開始した。
その後、各ガス量・温度の調整を行い、反応器の温度440℃、反応圧力50kPaでプロパン:アンモニア:空気=1:1:15のモル比で接触時間2.9sec・g/ccとなるよう供給した。反応開始1日後、反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子について表5に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表5に示すとおりであった。反応器へ導入する空気/プロパンのモル比を2下げて運転を継続した。条件変更一日経過後、同様に反応器から触媒を抜出し、物性値及び収率の測定を行ったところ、表5に示すとおりとなった。
組成式がMo1V0.214Nb0.105Sb0.220Ta0.01/50質量%−SiO2で示されるシリカ担持触媒を次のようにして製造した。
(原料調合液の調製)
水135.3kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH4)6Mo7O24・4H2O〕を34.1kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を4.51kg、三酸化二アンチモン〔Sb2O3〕を6.64kg加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して水性混合液A−1を得た。
上記ニオブ原料液30.4gに、H2O2を30質量%含有する過酸化水素水4.08kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持しながら、攪拌混合して、水性液B−1を得た。
水性混合液A−1を70℃に冷却した後に、SiO2として34.0質量%を含有するシリカゾル66.96kgを添加した。次いで、H2O2を30質量%含有する過酸化水素水7.72kgを添加し、50℃で1時間撹拌混合した後、水性液B−1を添加した。さらに、フュームドシリカ14.15kgを198.0kgの水に分散させた液と、タンタル酸0.432kgを順次添加して50℃で2.5時間攪拌し、原料調合液を得た。後の工程は実施例1と同様にして複合酸化物触媒を得た。
得られた複合酸化物触媒35gを内径1Bのガラス製流動床反応器に充填した。実施例10と触媒あたりの原料ガスの流量を同等にし、その他の条件は同様にして反応を開始した。
その後、各ガス量・温度の調整を行い、反応器の温度440℃、反応圧力50kPaでプロパン:アンモニア:空気=1:1:15のモル比で接触時間2.9sec・g/ccとなるよう供給した。反応開始1日後、反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子について表5に示す物性値の測定を行った。物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表5に示すとおりであった。反応器へ導入する空気/プロパンのモル比を2下げて運転を継続した。条件変更一日経過後、同様に反応器から触媒を抜出し、物性値及び収率の測定を行ったところ、表5に示すとおりであった。
組成式がMo1V0.214Nb0.105Sb0.220Ce0.004Bi0.02/50質量%−SiO2で示されるシリカ担持触媒を次のようにして製造した。
(原料調合液の調製)
水138.0kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH4)6Mo7O24・4H2O〕を33.7kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を4.45kg、三酸化二アンチモン〔Sb2O3〕を6.56kg、硝酸セリウム〔Ce(NO3)3・6H2O〕0.299kgを加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して水性混合液A−1を得た。
上記ニオブ原料液30.0kgに、H2O2を30質量%含有する過酸化水素水4.03kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持しながら、攪拌混合して、水性液B−1を得た。
水性混合液A−1を70℃に冷却した後に、SiO2として34.0質量%を含有するシリカゾル66.96kgを添加した。次いで、H2O2を30質量%含有する過酸化水素水7.62kgを添加し、50℃で1時間撹拌混合した後、水性液B−1を添加した。さらに、フュームドシリカ14.15kgを198.0kgの水に分散させた液と、硝酸ビスマス〔Bi(NO3)2・6H2O〕1.346kgを順次添加して50℃で2.5時間攪拌し、原料調合液を得た。後の工程は実施例1と同様にして複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた複合酸化物触媒35gを内径1Bのガラス製流動床反応器に充填した。実施例10と触媒あたりの原料ガスの流量を同等にし、その他の条件は同様にして反応を開始した。
その後、各ガス量・温度の調整を行い、反応器の温度440℃、反応圧力50kPaでプロパン:アンモニア:空気=1:1:15のモル比で接触時間2.9sec・g/ccとなるよう供給した。反応開始1日後、反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子について表5に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表5に示すとおりであった。反応器へ導入する空気/プロパンのモル比を2下げて運転を継続した。条件変更一日経過後、同様に反応器から触媒を抜出し、物性値の測定を行ったところ、表5に示すとおりであった。
組成式がMo1V0.214Nb0.105Sb0.220Yb0.008/50質量%−SiO2で示されるシリカ担持触媒を次のようにして製造した。
(原料調合液の調製)
水162.8kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH4)6Mo7O24・4H2O〕を34.2kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を4.52kg、三酸化二アンチモン〔Sb2O3〕を6.67kg、硝酸イッテルビウム〔Yb(NO3)3・4H2O〕0.592kgを加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して水性混合液A−1を得た。
上記ニオブ原料液30.5kgに、H2O2を30質量%含有する過酸化水素水4.09kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持しながら、攪拌混合して、水性液B−1を得た。
水性混合液A−1を70℃に冷却した後に、SiO2として34.0質量%を含有するシリカゾル67.4kgを添加した。次いで、H2O2を30質量%含有する過酸化水素水7.74kgを添加し、50℃で1時間撹拌混合した後、水性液B−1を添加した。さらに、フュームドシリカ14.15kgを198.0kgの水に分散させた液を添加して50℃で2.5時間攪拌し、原料調合液を得た。後の工程は実施例1と同様にして複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた複合酸化物触媒35gを内径1Bのガラス製流動床反応器に充填した。実施例10と触媒あたりの原料ガスの流量を同等にし、その他の条件は同様にして反応を開始した。
その後、各ガス量・温度の調整を行い、反応器の温度440℃、反応圧力50kPaでプロパン:アンモニア:空気=1:1:15のモル比で接触時間2.9sec・g/ccとなるよう供給した。反応開始1日後、反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子について表5に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表5とおりであった。反応器へ導入する空気/プロパンのモル比を2下げて運転を継続した。条件変更一日経過後、同様に反応器から触媒を抜出し、物性値及び収率の測定を行ったところ、表5に示すとおりであった。
組成式がMo1V0.231Nb0.105Sb0.199/50質量%−SiO2で示されるシリカ担持触媒を次のようにして製造した。
(原料調合液の調製)
水189.8kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH4)6Mo7O24・4H2O〕を34.5kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を5.27kg、三酸化二アンチモン〔Sb2O3〕を6.09kg加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して水性混合液A−1を得た。
上記ニオブ原料液30.7kgに、H2O2を30質量%含有する過酸化水素水4.12kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持しながら、攪拌混合して、水性液B−1を得た。
水性混合液A−1を70℃に冷却した後に、SiO2として34.0質量%を含有するシリカゾル67.4kgを添加した。次いで、H2O2を30質量%含有する過酸化水素水7.07kgを添加し、50℃で1時間撹拌混合した後、水性液B−1を添加した。さらに、フュームドシリカ14.15kgを198.0kgの水に分散させた液を添加して50℃で2.5時間攪拌し、原料調合液を得た。後の工程は実施例1と同様にして複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた複合酸化物触媒35gを内径1Bのガラス製流動床反応器に充填した。実施例8と触媒あたりの原料ガスの流量を同等にし、その他の条件は同様にして反応を開始した。その後、各ガス量・温度の調整を行い、反応器の温度440℃、反応圧力50kPaでプロパン:アンモニア:空気=1:1:15のモル比で接触時間2.9sec・g/ccとなるよう供給した。反応開始1日後、反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子について表5に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表5の値であった。反応器へ導入する空気/プロパンのモル比を2下げて運転を継続した。条件変更一日経過後、同様に反応器から触媒を抜出し、物性値及び収率の測定を行ったところ、表5に示すとおりであった。
組成式がMo1V0.214Nb0.105Sb0.220/55質量%−SiO2で示されるシリカ担持触媒を次のようにして製造した。
(原料調合液の調製)
水148.7kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH4)6Mo7O24・4H2O〕を31.2kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を4.13kg、三酸化二アンチモン〔Sb2O3〕を6.09kg加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して水性混合液A−1を得た。
上記ニオブ原料液27.8kgに、H2O2を30質量%含有する過酸化水素水3.74kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持しながら、攪拌混合して、水性液B−1を得た。
水性混合液A−1を70℃に冷却した後に、SiO2として34.0質量%を含有するシリカゾル69.7kgを添加した。次いで、H2O2を30質量%含有する過酸化水素水7.07kgを添加し、50℃で1時間撹拌混合した後、水性液B−1を添加した。さらに、フュームドシリカ17.21kgを241.0kgの水に分散させた液を添加して50℃で2.5時間攪拌し、原料調合液を得た。後の工程は実施例1と同様にして複合酸化物触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
得られた複合酸化物触媒35gを内径1Bのガラス製流動床反応器に充填した。実施例10と触媒あたりの原料ガスの流量を同等にし、その他の条件は同様にして反応を開始した。
その後、各ガス量・温度の調整を行い、反応器の温度440℃、反応圧力50kPaでプロパン:アンモニア:空気=1:1:15のモル比で接触時間2.9sec・g/ccとなるよう供給した。反応開始1日後、反応器から触媒を500g抜出し、目開き32μmと100μmの篩いを用いて触媒粒子を篩い分け、32〜100μmの触媒粒子について表5に示す物性値の測定を行った。各物性値の測定結果及びこのときのAN収率は表5に示すとおりであった。反応器へ導入する空気/プロパンのモル比を2下げて運転を継続した。条件変更一日経過後、同様に反応器から触媒を抜出し、物性値及び収率の測定を行ったところ、表5の示すとおりであった。
Claims (12)
- Mo、V、Nb及びSbを含有する複合酸化物触媒を用いたプロパンのアンモ酸化反応による不飽和ニトリルの製造方法であって、
反応器に収容された触媒の規格化UV値及び還元率からなる群より選択される少なくとも1種の物性値を測定する工程と、
前記測定した物性値に応じて反応条件を維持又は変更する工程と、
を有し、
前記規格化UV値が、以下の式(1)で表され、前記還元率が、以下の式(2)で表される、不飽和ニトリルの製造方法。
規格化UV={(580nmの吸光度)−(400nmの吸光度)}÷{(700nmの吸光度)−(400nmの吸光度)} (1)
(式(1)中、吸光度は、可視・紫外分光光度計を用いて拡散反射法で測定し、得られた吸収及び/又は反射スペクトルの、400nm、580nm又は700nmにおける吸光度を示す。)
還元率(%)=((n 0 −n)/n 0 )×100 (2)
(式(2)中、nは触媒中の酸素以外の構成元素の原子価を満足する酸素原子の数を示し、n 0 は触媒中の酸素以外の構成元素がそれぞれの最高酸化数を有する時に必要な酸素原子の数を示す。) - 前記反応条件を維持又は変更する工程において、
前記反応器中の前記触媒の追加、前記反応器中の前記触媒の削減、前記触媒の構成元素の前記反応器への添加、前記反応器内の触媒層の温度の変更及び前記反応器に供給する原料ガスの組成の変更からなる群より選択される少なくとも1種を行う、請求項1記載の不飽和ニトリルの製造方法。 - 前記触媒の物性値の変動が、反応器に充填する前の触媒の物性値に対して±30%以内に維持されるように前記反応条件を維持又は変更する、請求項1又は2記載の不飽和ニトリルの製造方法。
- 前記アンモ酸化反応の非定常状態において、前記物性値を測定し、前記反応条件を維持又は変更する、請求項1〜3のいずれか1項記載の不飽和ニトリルの製造方法。
- 前記反応条件を維持又は変更する工程において、前記アンモ酸化反応が定常状態のとき、反応時の前記反応器出口の生成ガス中の酸素濃度が1.5〜6.0vol%の間で設定した目標濃度になるように、(1)前記原料ガス中のプロパンに対する酸素のモル比、(2)前記反応器の温度、及び(3)前記触媒と前記原料ガスとの接触時間からなる群より選択される少なくとも1種の条件を調整し、
前記条件(1)及び/又は(3)を調整する場合は前記反応器の温度変化が条件を調整する前の温度±5℃以内となるようにし、前記条件(2)を調整する場合は、前記反応器の温度変化が目標温度±5℃となるようにする、請求項1〜3のいずれか1項記載の不飽和ニトリルの製造方法。 - 前記反応条件を維持又は変更する工程において、前記アンモ酸化反応が定常状態のとき、前記反応器の出口アンモニア量を測定し、前記出口アンモニア量の変化に応じて、原料ガス中のプロパン濃度を基準として算出される出口アンモニア濃度が0vol%を超え18vol%以下の間で設定した目標濃度になるように、(1)前記原料ガス中のプロパンに対するアンモニアのモル比、(2)前記反応器の温度、及び(3)前記触媒と前記原料ガスとの接触時間、からなる群より選択される少なくとも1種の条件を調整し、
前記条件(1)及び/又は(3)を調整する場合は、前記反応器の温度変化が条件を調整する前の温度±5℃以内となるようにし、前記条件(2)を調整する場合は、前記反応器の温度変化が目標温度±5℃となるようにする、請求項1〜3のいずれか1項記載の不飽和ニトリルの製造方法。 - 前記酸素濃度が前記目標濃度より高い場合は、前記原料ガス中のプロパンに対する酸素のモル比を減少させ、前記目標濃度より低い場合は、前記原料ガス中のプロパンに対する酸素のモル比を増加させる、請求項5記載の不飽和ニトリルの製造方法。
- 前記原料ガス中の酸素量を増加又は減少させる速度を、1分間当たり原料ガス中に含まれる酸素量の10%以下とする、請求項7記載の不飽和ニトリルの製造方法。
- 前記出口アンモニア濃度が前記目標濃度より高い場合は、前記原料ガス中のプロパンに対するアンモニアのモル比を減少させ、前記目標濃度より低い場合は、前記原料ガス中のプロパンに対するアンモニアのモル比を増加させる、請求項6記載の不飽和ニトリルの製造方法。
- 前記原料ガス中のアンモニア量を増加又は減少させる速度を、1分間当たり原料ガス中に含まれるアンモニア量の15%以下とする、請求項9記載の不飽和ニトリルの製造方法。
- 前記反応器の温度変化の速度を1時間当たり10℃以下とする、請求項5〜10のいずれか1項記載の不飽和ニトリルの製造方法。
- 前記複合酸化物触媒と前記原料ガスとの接触時間の変化の速度を1時間当たり1.0sec以下とする、請求項5〜11のいずれか1項記載の不飽和ニトリルの製造方法。
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