JP5761940B2 - アクリロニトリルの製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、グリセロールからアクリロニトリルを製造する手法が記載されている。
特許文献1に記載のバイオマス由来のグリセリンを原料とした製造方法は化石資源の消費を伴わないものの、グリセリンからアクリロニトリルへの収率が十分でない。上記事情に鑑み、本発明は、化石資源由来のプロピレンやプロパンを原料とせず、高収率でアクリロニトリルを製造する方法を提供することを目的とする。
以下の工程(1)及び(2)を有するアクリロニトリルの製造方法;
(1)グリセリンを脱水してアクロレインを得る工程、
(2)少なくともモリブデンを含有し、斜方晶又は三方晶の結晶構造を有する触媒を用い、得られたアクロレインを300〜400℃でアンモ酸化する工程、
前記触媒は、下記式(I)又は式(II)で表される組成を有し、
前記結晶構造が斜方晶である場合、前記触媒は、CuKα線をX線源として得られるX線回折図において、2θ=6.5°、7.9°、9.0°、12.7°、22.2°、27.3°、28.3°の位置に回折ピークを示し、
前記結晶構造が三方晶である場合、前記触媒は、前記X線回折図において、2θ=8.2°±0.2°、9.6°±0.2°、22.2°±0.2°、26.8°±0.2°、30.1°±0.2°、45.3°±0.2°の位置に回折ピークを示す:
Mo 1 V a Z b O n (I)
(式(I)中、Zは、Te、Sb、Nb、W、Ce、Ta、Ti、P、Bi、Cuからなる群から選択される少なくとも1種以上の金属元素を示し、a、bは、それぞれMo1原子あたりのV、Zの原子比を示し、0<a≦1、0<b≦1であり、nは構成金属の酸化状態によって決まる酸素の原子比を示す。)
Mo 1 V a Nb b Z c O n (II)
(式(II)中、Zは、Te、Sb、W、Ce、Ta、Ti、P、Bi、Cuからなる群から選択される少なくとも1種以上の金属元素を示し、a、b、cは、それぞれMo1原子あたりのV、Nb、Zの原子比を示し、0<a≦1、0≦b≦1、0≦c≦1であり、nは構成金属の酸化状態によって決まる酸素の原子比を示す。)。
以下の工程(1)及び(2)を有するアクリロニトリルの製造方法である;
(1)グリセリンを脱水してアクロレインを得る工程、
(2)得られたアクロレインを300〜400℃でアンモ酸化する工程。
工程(1)は、グリセリンを脱水してアクロレインを得る工程(以下、単に「脱水工程」とも言う。)である。本工程においては、例えば、グリセリンを適切な触媒に接触させることにより、グリセリンを脱水し、アクロレインを生成させることができる。反応器に供給する原料の態様は、反応方式、触媒の種類等に応じて適宜設定すればよく、例えば、気体又は液体のグリセリン、グリセリン水溶液、グリセリン水溶液を気化したものが挙げられる。
工程(2)は、工程(1)で得られたアクロレインを300〜400℃でアンモ酸化する工程(以下、単に「アンモ酸化工程」とも言う。)である。本工程においては、例えば、脱水工程で得られたアクロレインを触媒の存在下でアンモニア及び酸素と接触させ、アクリロニトリルに転換する。脱水工程の反応生成物を精製した後、アンモ酸化工程に供してもよい。脱水工程においては多量に水が排出されるので、脱水工程とアンモ酸化工程の間に、水をアクロレインと分離する水分離塔を設けることも可能である。
Mo1VaZbOn (I)
(式(I)中、Zは、Te、Sb、Nb、W、Ce、Ta、Ti、P、Bi、Cuからなる群から選択される少なくとも1種以上の金属元素を示し、a、bは、それぞれMo1原子あたりのV、Zの原子比を示し、0<a≦1、0<b≦1であり、nは構成金属の酸化状態によって決まる酸素の原子比を示す。)
で表される組成を有し、結晶系が斜方晶又は三方晶である触媒を用いることができる。
Mo1VaNbbZcOn (II)
(式(II)中、Zは、Te、Sb、W、Ce、Ta、Ti、P、Bi、Cuからなる群から選択される少なくとも1種以上の金属元素を示し、a、b、cは、それぞれMo1原子あたりのV、Nb、Zの原子比を示し、0<a≦1、0≦b≦1、0≦c≦1であり、nは構成金属の酸化状態によって決まる酸素の原子比を示す。)
で表される組成を有する触媒がより好ましい。
式(II)において、Mo1原子当たりの原子比a、b、cは、それぞれ、0.1〜0.4、0.02〜0.2、0.1〜0.4であることが好ましい。
Nbは結晶の耐熱性能を高めることで、触媒寿命を長くする効果がある。同様の効果はW、Ce、Taを成分Zとして用いた場合にも期待できる。
(A−1)原料調合液を調製する工程
(A−2)前記原料調合液を加熱して結晶を生成させる工程
(A−3)前記加熱により生成した結晶に、Zを含むスラリー及び/又は溶液を接触させる工程
以下、各工程について説明する。
原料調合工程においては、水等の溶媒に、Mo、Vの原料を溶解、混合又は分散させて、原料調合液を得る。原料の溶解手順、混合手順又は分散手順としては特に限定されない。原料を同じ溶媒中で溶解、混合又は分散させてもよく、或いは原料を個別に溶媒中に溶解、混合又は分散させた後に両者を混合してもよい。また、必要に応じて加熱及び/又は攪拌してもよい。このようにして得られる原料調合液は均一な溶液であるか、若しくはスラリーである。
工程(A−2)は、前記原料調合液を加熱して結晶を生成させる工程であり、主に以下の(A−2−1)水熱合成工程、(A−2−2)精製工程、(A−2−3)焼成工程に別けられる。
(A−2−1)水熱合成工程
工程(A−1)で得られた原料調合液を110〜450℃に加熱し、1〜150時間程度保持すると、水熱合成反応が進行して、Mo及びVを含有する結晶性の固体が生成する。目的とする結晶性固体の純度及び収率を高くするという観点から、水熱合成反応の好ましい反応温度は110〜250℃である。また、加熱時間が短かすぎる場合には結晶の生成が見られない場合があり、時間が長すぎると不純物の生成が増大する傾向にあるため、好ましい反応時間は10〜120時間である。反応が十分に進行したことは、X線回折(XRD)により確認することができる。オートクレーブの条件を200℃で4日間にしても、250℃で1日間にしても同じ構造を有する結晶性固体が析出する。
結晶系が斜方晶であることは、2θ=6.5°、7.9°、9.0°、12.7°、22.2°、27.3°、28.3°の位置に主たる回折ピークを示すことによって確認することができる。
以下にX線回折の測定条件を示す。
X線源 :CuKα1+CuKα2
検出器 :シンチレーションカウンター
管電圧 :40kV
管電流 :200mA
発散スリット :1°
散乱スリット :1°
受光スリット :0.15mm
スキャン速度 :4°/min
サンプリング幅 :0.02°
スキャン方法 :2θ/θ法
次に、オートクレーブを室温まで冷却した後、結晶性固体をろ別する。このとき、水溶性ジカルボン酸で結晶性固体を精製してもよい。ジカルボン酸としては、シュウ酸、酒石酸等を好適に用いることができる。具体的な手順の一例としては、得られた結晶性固体1gに対して1〜10g程度のシュウ酸を、シュウ酸1gにつき25mL程度の水で溶解し、その中に結晶性固体を入れて攪拌する。このとき、シュウ酸水溶液は40〜80℃程度に加熱してもよい。その後、ろ過を行い、得られた結晶を30〜200℃で、常圧若しくは減圧下で乾燥させる。
工程(A−2−3)は、前記結晶を不活性ガス雰囲気下、200〜800℃で焼成する工程である。結晶性固体を乾燥した後、結晶を後述する(A−3)接触工程にそのまま供してもよいが、接触工程の前に結晶性固体を焼成する工程を行うことが好ましい。接触工程前に結晶性固体を焼成しておくと、結晶性固体のより高い結晶化が促進される傾向にある。焼成は、回転炉、固定炉等で行うことが可能である。空気雰囲気下でも焼成することは可能であるが、結晶性固体中の金属の還元率を調整したい場合は、不活性ガス雰囲気で焼成することが好ましい。焼成温度は、200℃〜800℃が好ましい。十分に焼成するためには、数十分〜1日程度焼成するのが好ましく、1時間〜16時間がより好ましい。
工程(A−3)は、前記加熱により生成した結晶に、Zを含むスラリー及び/又は溶液を接触させる工程である。
工程(A−3)においては、結晶性固体を粉砕した後、これを、Z源を含むスラリー及び/又は溶液に接触させる。結晶性固体の粉砕には、メノウ鉢、乳鉢等を使用することができる。なお、本明細書中「接触」とは、固体と液体とが接触状態にあること言い、特に、固体の細孔に液体を入り込ませることを意味する。
ZがSbの場合、Z源の例としては、酸化アンチモン(III)、酸化アンチモン(IV)、酸化アンチモン(V)、メタアンチモン酸(III)、アンチモン酸(V)、アンチモン酸アンモニウム(V)、塩化アンチモン(III)、塩化酸化アンチモン(III)、硝酸酸化アンチモン(III)、アンチモンのアルコキシド、アンチモンの酒石酸塩等の有機酸塩等が挙げられ、中でも、塩酸水溶液への溶解性の観点から、酸化アンチモン(III)が好ましい。
ZがNbの場合、Z源の例としては、ニオブ酸、NbCl5、NbCl3、Nb(OC2H5)5が挙げられ、中でも、溶解性の観点から、ニオブ酸をジカルボン酸化合物溶液に溶解させて得られるニオブのジカルボン酸化合物の水溶液が好ましい。
ZがWの場合、Z源の例としては、酸化タングステン、酸化タングステン(III)、酸化タングステン(IV)、酸化タングステン(VI)、メタタングステン酸アンモニウム、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸のアンモニウム塩、アルカリ金属塩が挙げられる。上記の中でも、メタタングステン酸アンモニウムが好ましい。
ZがCeの場合、Z源の例としては、硝酸セリウム六水和物等の硝酸塩、塩化セリウム7水和物、セリウムの硫酸塩及び炭酸塩が挙げられる。
ZがTaの場合、Z源の例としては、タンタル酸、酸化タンタル、タンタルのアルコキシド、ほう化タンタル、五塩化タンタル、五臭化タンタル、五フッ化タンタルが挙げられる。
ZがTiの場合、Z源の例としては、四塩化チタン、ほう化チタン、フッ化チタン、水酸化チタン、よう化チタン、酸化チタン(IV)硫酸塩水和物が挙げられる。
ZがPの場合、Z源の例としては、リン酸、リン酸二水素アンモニウムが挙げられる。
ZがBiの場合、Z源の例としては、硝酸ビスマス、クエン酸ビスマス、酢酸ビスマス、塩化ビスマス、炭酸酸化ビスマス、次炭酸ビスマス、五フッ化ビスマスが挙げられる。
ZがCuの場合、Z源の例としては、塩化第一銅(I)、塩化第二銅(II)、塩化第二銅アンモニウム(II)、オレイン酸第二銅(II)、クエン酸第二銅(II)、酢酸第二銅(II)、シュウ酸第二銅(II)、酒石酸第二銅(II)、硝酸第二銅(II)、硫酸銅(II)が挙げられる。
(B−1)原料を調合する工程
(B−2)工程(B−1)で得られた原料調合液を乾燥し、触媒前駆体を得る工程
(B−3)工程(B−2)で得られた触媒前駆体を焼成し、アンモ酸化用触媒を得る工程
上記式(II)で表される触媒を例にとって、噴霧乾燥法による触媒の調製法を説明する。
モリブデン(Mo)の原料としては、ヘプタモリブデン酸アンモニウム・4水和物に代表されるようなモリブデンを含有するイソポリ酸、三酸化モリブデン、二酸化モリブデン、リンモリブデン酸アンモニウム、ケイモリブデン酸アンモニウム等の一連のヘテロポリ酸類、及びこれらのアルカリ金属塩等が挙げられ、中でも、ヘプタモリブデン酸アンモニウム・4水和物を好適に用いることができる。
ZがSbの場合、Z源の例としては、酸化アンチモン(III)、酸化アンチモン(IV)、酸化アンチモン(V)、メタアンチモン酸(III)、アンチモン酸(V)、アンチモン酸アンモニウム(V)、塩化アンチモン(III)、塩化酸化アンチモン(III)、硝酸酸化アンチモン(III)、アンチモンのアルコキシド、アンチモンの酒石酸塩等の有機酸塩等が挙げられ、中でも、塩酸水溶液への溶解性の観点から、酸化アンチモン(III)が好ましい。
ZがWの場合、Z源の例としては、酸化タングステン、酸化タングステン(III)、酸化タングステン(IV)、酸化タングステン(VI)、メタタングステン酸アンモニウム、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸のアンモニウム塩、アルカリ金属塩が挙げられる。上記の中でも、メタタングステン酸アンモニウムが好ましい。
ZがCeの場合、Z源の例としては、硝酸セリウム六水和物等の硝酸塩、塩化セリウム7水和物、セリウムの硫酸塩及び炭酸塩が挙げられる。
ZがTaの場合、Z源の例としては、タンタル酸、酸化タンタル、タンタルのアルコキシド、ほう化タンタル、五塩化タンタル、五臭化タンタル、五フッ化タンタルが挙げられる。
ZがTiの場合、Z源の例としては、四塩化チタン、ほう化チタン、フッ化チタン、水酸化チタン、よう化チタン、酸化チタン(IV)硫酸塩水和物が挙げられる。
ZがPの場合、Z源の例としては、リン酸、リン酸二水素アンモニウムが挙げられる。
ZがBiの場合、Z源の例としては、硝酸ビスマス、クエン酸ビスマス、酢酸ビスマス、塩化ビスマス、炭酸酸化ビスマス、次炭酸ビスマス、五フッ化ビスマスが挙げられる。
ZがCuの場合、Z源の例としては、塩化第一銅(I)、塩化第二銅(II)、塩化第二銅アンモニウム(II)、オレイン酸第二銅(II)、クエン酸第二銅(II)、酢酸第二銅(II)、シュウ酸第二銅(II)、酒石酸第二銅(II)、硝酸第二銅(II)、硫酸銅(II)が挙げられる。
熟成温度は、Mo成分の縮合やVの析出を防ぐ観点で、25℃以上が好ましい。また、Nbと過酸化水素を含む錯体の加水分解が起こりすぎないようにし、好ましい形態のスラリーを形成する観点で65℃以下が好ましい。上記観点から、熟成温度は、25℃以上65℃以下が好ましく、30℃以上60℃以下がより好ましい。
熟成時の容器内雰囲気は、十分な酸素濃度を有することが好ましい。酸素が十分でないと、水性混合液(う)の実質的な変化が生じにくくなる可能性がある。従って、容器内の気相部酸素濃度は1vol%以上であることがより好ましい。
気相酸素濃度は、一般的な方法、例えば、ジルコニア式酸素濃度計を用いて測定することができる。気相酸素濃度を測定する場所は、水性混合液(う)と気相との界面近傍であることが好ましい。例えば、同一地点での気相酸素濃度の測定を1分以内に3度行い、3度の測定結果の平均値をもって気相酸素濃度とすることが好ましい。
気相酸素濃度を低減させるための希釈ガスは特に限定されないが、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、水蒸気等が挙げられ、工業的には、窒素が好ましい。また、気相酸素濃度を増加させるためのガスとしては、純酸素または高酸素濃度の空気が好ましい。
原料調合工程で得られたスラリーを乾燥することによって、乾燥粉体を得る。乾燥は公知の方法で行うことができ、例えば、噴霧乾燥又は蒸発乾固によって行うことができる。噴霧乾燥を採用し、微小球状の乾燥触媒前駆体を得ることが好ましい。噴霧乾燥法における噴霧化は遠心方式、二流体ノズル方式、又は高圧ノズル方式によって行うことができる。乾燥熱源は、スチーム、電気ヒーターなどによって加熱された空気を用いることができる。噴霧乾燥装置の乾燥機入口温度は150〜300℃が好ましい。乾燥機出口温度は100〜160℃が好ましい。
乾燥工程で得られた乾燥粉体を焼成に供することによって複合酸化物触媒を得る。焼成装置は、回転炉(ロータリーキルン)を使用することができる。焼成器の形状は特に限定されないが、管状であると、連続的な焼成を実施することができる。焼成管の形状は特に限定されないが、円筒であるのが好ましい。加熱方式は外熱式が好ましく、電気炉を好適に使用できる。焼成管の大きさ、材質等は焼成条件や製造量に応じて適当なものを選択することができるが、好ましくは内径70〜2000mm、より好ましくは100〜1200mmである。焼成管の長さは、好ましくは200〜10000mm、より好ましくは800〜8000mmである。焼成器に衝撃を与える場合、肉厚は衝撃により破損しない程度の十分な厚みを持つという観点から2mm以上が好ましく、より好ましくは4mm以上であり、また衝撃が焼成管内部まで十分に伝わるという観点から、好ましくは100mm以下、より好ましくは50mm以下である。材質は耐熱性があり衝撃により破損しない強度を持つものである以外は特に限定されず、SUSを好適に使用できる。
低温処理に要する時間、すなわち触媒前駆体及び/又は酸化物触媒の温度を低下させた後、昇温して焼成温度にするまでに要する時間は、焼成器の大きさ、肉厚、材質、触媒生産量、連続的に触媒前駆体及び/又は酸化物触媒を焼成する一連の期間、固着速度・固着量等により適宜調整することが可能である。例えば、内径500mm、長さ4500mm、肉厚20mmのSUS製焼成管を使用する場合においては、連続的に触媒を焼成する一連の期間中に好ましくは30日以内、より好ましくは15日以内、更に好ましくは3日以内、特に好ましくは2日以内である。
例えば、内径500mm、長さ4500mm、肉厚20mmのSUS製の焼成管を有する回転炉により6rpmで回転しながら35kg/hrの速度で触媒前駆体を供給し、本焼成温度が645℃である場合、温度を400℃まで低下させた後、昇温して645℃にする工程を1日程度で行うことができる。1年間連続的に焼成する場合、このような低温処理を1ヶ月に1回の頻度で実施することで、安定して酸化物層温度を維持しながら焼成することができる。
以下にX線回折の測定条件を示す。
X線源 :CuKα1+CuKα2
検出器 :シンチレーションカウンター
管電圧 :40kV
管電流 :200mA
発散スリット :1°
散乱スリット :1°
受光スリット :0.15mm
スキャン速度 :4°/min
サンプリング幅 :0.02°
スキャン方法 :2θ/θ法
シリカ担持ヘテロポリ酸の脱水反応用触媒を次のようにして調製した。
ケイタングストモリブデン酸(H4SiW11MoO40・nH2O)30gを水40gに撹拌溶解させた。得られたヘテロポリ酸水溶液を多孔性粉末シリカ(キャリアクトQ−10、富士シリシア製、細孔径10nm、細孔容積1.0cc/g)70gに含浸させ、50℃に設定された乾燥機内で12時間乾燥することにより脱水反応用触媒を得た。
MFI型ゼオライト(SiO2/Al2O3=400)の脱水反応用触媒を次のようにして調製した。
非凝集ゼオライト(MFI型ZSM−5、SiO2/Al2O3モル比=400、平均粒子径3.0μm、ゼオライトの凝集割合10%以下)20gを、大気下700℃で2時間マッフル炉にて静置焼成して、物理吸着水を十分に除去することにより脱水反応用触媒を得た。
Mo−V系複合酸化物の脱水反応用触媒を次のようにして製造した。
ヘプタモリブデン酸アンモニウム・4水和物10.6gを蒸留水100mLに溶解させた(溶液(ア))。また、溶液(ア)とは別にオキシ硫酸バナジウム・n水和物3.77gを蒸留水100mLに溶解させた(溶液(イ))。次に、溶液(イ)を溶液(ア)に加え、30分程度攪拌した。得られた原料調合液に2mol/Lの硫酸水溶液を加え、pHを3.3に調整した。得られた調合液を、1000cc/minの窒素で10分間バブリングし、調合液中の溶存酸素を系内から追い出した後、テフロン(登録商標)ボトルが内包されたオートクレーブに移した。次に、175℃で一日放置した後、室温まで冷却して結晶性固体を得た。この結晶性固体を60℃に加熱した10質量%のシュウ酸水溶液100mL中で、30分攪拌した。残存した固体を窒素下、450℃で2時間焼成を行った。前記操作を繰り返し実施することで脱水反応用触媒10gを得た。
まず、以下の方法でニオブ混合液(B0)を調製した。
水10kgにNb2O5として80.0質量%を含有するニオブ酸0.765kgとシュウ酸二水和物〔H2C2O4・2H2O〕2.633kgを混合した。仕込みのシュウ酸/ニオブのモル比は5.0、仕込みのニオブ濃度は0.50(mol−Nb/Kg−液)であった。この液を95℃で2時間加熱撹拌することによって、ニオブが溶解した混合液を得た。この混合液を静置、氷冷後、固体を吸引濾過によって濾別し、均一なニオブ混合液を得た。このニオブ混合液のシュウ酸/ニオブのモル比は下記の分析により2.71であった。
るつぼにこのニオブ混合液10gを精秤し、95℃で一夜乾燥後、600℃で1時間熱処理し、Nb2O50.771gを得た。この結果から、ニオブ濃度は0.580(mol−Nb/Kg−液)であった。
300mLのガラスビーカーにこのニオブ混合液3gを精秤し、約80℃の熱水200mLを加え、続いて1:1硫酸10mLを加えた。得られた混合液をホットスターラー上で液温70℃に保ちながら、攪拌下、1/4規定KMnO4を用いて滴定した。KMnO4によるかすかな淡桃色が約30秒以上続く点を終点とした。シュウ酸の濃度は、滴定量から次式に従って計算した結果、1.570(mol−シュウ酸/Kg)であった。
2KMnO4+3H2SO4+5H2C2O4→K2SO4+2MnSO4+10CO2+8H2O
次に、Mo−V−Nb−Sb−W−Ce系アンモ酸化用触媒を次のようにして製造した。
水1.902kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH4)6Mo7O24・4H2O〕を427.1g、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を59.4g、硝酸セリウム6水和物5.25g及び三酸化二アンチモン〔Sb2O3〕を84.6g加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して水性原料液(I)を得た。
ニオブ混合液(B0)408.0gに、H2O2として30質量%を含有する過酸化水素水を54.9g添加し、室温で10分間攪拌混合して、水性原料液(II)を調製した。
得られた水性原料液(I)を70℃に冷却した後にSiO2として34.0質量%を含有するシリカゾル787.9gを添加し、更に、H2O2として30質量%含有する過酸化水素水98.7gを添加し、55℃で30分間撹拌を続けた。次に、水性原料液(II)、WO3として50質量%のメタタングステン酸アンモニウム水溶液33.7g、粉体シリカ202.1gを水2.728kgに分散させた分散液を順次添加して水性混合液(III)を得た。水性混合液(III)は水性原料液(II)を添加後から2時間30分、50℃で熟成し、スラリーを得た。
得られたスラリーを、遠心式噴霧乾燥器に供給して乾燥し、微小球状の乾燥粉体を得た。乾燥機の入口温度は210℃、出口温度は120℃であった。
得られた乾燥粉体480gを直径3インチのSUS製焼成管に充填し、5.0NL/minの窒素ガス流通下、管を回転させながら、680℃で2時間焼成してアンモ酸化用触媒を得た。
得られたアンモ酸化用触媒の結晶構造を以下の手法で同定した。X線回折の測定装置としてはRIGAKU RINT2500VHF/PCを用いた。
X線源 :CuKα1+CuKα2
検出器 :シンチレーションカウンター
管電圧 :40kV
管電流 :200mA
発散スリット :1°
散乱スリット :1°
受光スリット :0.15mm
スキャン速度 :4°/min
サンプリング幅 :0.02°
スキャン方法 :2θ/θ法
得られたアンモ酸化用触媒は2θ=6.5°、7.9°、9.0°、12.7°、22.2°、27.3°、28.3°の位置にピークを有し、斜方晶を含むことを確認した。
Mo−V系アンモ酸化用触媒を次のようにして製造した。
ヘプタモリブデン酸アンモニウム・4水和物10.6gを蒸留水100mLに溶解させた(溶液(ウ))。また、溶液(ウ)とは別にオキシ硫酸バナジウム・n水和物3.77gを蒸留水100mLに溶解させた(溶液(エ))。次に、溶液(エ)を溶液(ウ)に加え、30分程度攪拌した。得られた原料調合液に2mol/Lの硫酸水溶液を加え、pHを3.3に調整した。得られた調合液を、1000cc/minの窒素で10分間バブリングし、調合液中の溶存酸素を系内から追い出した後、テフロン(登録商標)ボトルが内包されたオートクレーブに移した。次に、175℃で一日放置した後、室温まで冷却して結晶性固体を得た。この結晶性固体を60℃に加熱した10質量%のシュウ酸水溶液100mL中で、30分攪拌した。残存した固体を窒素下、450℃で2時間焼成を行った。前記操作を繰り返し実施することでアンモ酸化用触媒10gを得た。
アンモ酸化用触媒調製例1と同様の手法でX線回折測定を実施し、得られたアンモ酸化用触媒は2θ=6.5°、7.9°、9.0°、12.7°、22.2°、27.3°、28.3°の位置にピークを有する斜方晶であることを確認した。
Mo−V系アンモ酸化用触媒を次のようにして製造した。
上記アンモ酸化用触媒調製例2で得られた原料調合液に2mol/Lの硫酸水溶液を加え、pHを2.1に調整した。得られた調合液を、1000cc/minの窒素で10分間バブリングし、調合液中の溶存酸素を系内から追い出した後、テフロン(登録商標)ボトルが内包されたオートクレーブに移した。次に、175℃で一日放置した後、室温まで冷却して結晶性固体を得た。この結晶性固体を60℃に加熱した10質量%のシュウ酸水溶液100mL中で、30分攪拌した。残存した固体を窒素下、450℃で2時間焼成を行った。前記操作を繰り返し実施することでアンモ酸化用触媒10gを得た。
アンモ酸化用触媒調製例1と同様の手法でX線回折測定を実施し、得られたアンモ酸化用触媒は2θ=8.1°、9.6°、12.5°、22.2°、26.7°、30.1°、45.1°の位置にピークを有する三方晶であることを確認した。
酢酸銅(II)・5水和物253gを水2700g中に溶かし、溶液(オ)を製造した。ヘプタモリブデン酸アンモニウム・4水和物860g、メタバナジン酸アンモニウム172g及びパラタングステン酸アンモニウム・5水和物115gを95℃で水5500g中に順次溶かし、溶液(カ)を製造した。引き続き溶液(オ)を一度で撹拌して溶液(カ)に入れ、かつ水性混合物を出口温度110℃で噴霧乾燥した。得られた粉末を粉末1kg当り水0.15kgと配合した。得られた湿潤粉末を空気雰囲気下のロータリーキルン内で、2.2℃/minの昇温速度で400℃まで加熱し、続いて400℃で6時間焼成し、焼成により得られた粉末を0.1〜50μmの粒子直径に分級した。
得られた分級粉末を回転ドラム内で直径4〜5mmを有する非多孔質の表面粗面性のステアタイトビーズ上にステアタイトビーズ200g当り粉末50gの量で同時に水18gを加えて塗布した。続いて粉末の被膜を、空気を用いて110℃で乾燥することによりアンモ酸化用触媒を得た。
アンモ酸化用触媒調製例1と同様の手法でX線回折測定を実施し、得られたアンモ酸化用触媒が斜方晶、三方晶のいずれも含まないことを確認した。
脱水反応用触媒調製例1で得られた脱水反応用触媒4.0gを内径10mmの固定床型反応管に充填し、反応温度280℃、原料混合ガス中のグリセリン濃度4.0vol%となるようにグリセリン100%液を気化させ、グリセリン:水:ヘリウム=4:30:66の原料混合ガスを流量F=34(mL/min)で流した。この時の圧力はゲージ圧で0.1kg/cm2であり、接触時間は4.0秒であった。反応ガスを水の入った捕集瓶で捕集し、ガスクロマトグラフィーによって分析したところ、グリセリン転化率100%、アクロレイン収率50.9%であった。
脱水反応用固定床型反応管とアンモ酸化用固定床型反応管を連結し、アンモ酸化用触媒調製例1で得られたアンモ酸化用触媒1.0gを内径10mm固定床型反応管に充填した。アンモ酸化用の固定床型反応管には、脱水反応用反応管から導かれる反応ガスに加えて、アンモニア0.75mL/min、酸素0.95mL/min、He3.5mL/minを導入した。反応温度は340℃とした。この時の圧力はゲージ圧で0.05kg/cm2であった。反応ガスの分析をガスクロマトグラフィーによって行ったところ、アクロレインからのアクリロニトリル収率は95.1%であった。
脱水反応用触媒調製例1で得られた脱水反応用触媒4.0gを内径10mmの固定床型反応管に充填し、反応温度280℃、原料混合ガス中のグリセリン濃度4.0vol%となるようにグリセリン100%液を気化させ、グリセリン:水:ヘリウム=4:30:66の原料混合ガスを流量F=34(mL/min)で流した。この時の圧力はゲージ圧で0.1kg/cm2であり、接触時間は4.0秒であった。反応ガスを水の入った捕集瓶で捕集し、ガスクロマトグラフィーによって分析したところ、グリセリン転化率100%、アクロレイン収率50.7%であった。
脱水反応用固定床型反応管とアンモ酸化用固定床型反応管を連結し、アンモ酸化用触媒調製例2で得られたアンモ酸化用触媒0.5gを内径10mm固定床型反応管に充填した。アンモ酸化用の固定床型反応管には、脱水反応用反応管から導かれる反応ガスに加えて、アンモニア0.75mL/min、酸素0.95mL/min、He3.5mL/minを導入した。反応温度は330℃とした。この時の圧力はゲージ圧で0.05kg/cm2であった。反応ガスの分析をガスクロマトグラフィーによって行ったところ、アクロレインからのアクリロニトリル収率は93.1%であった。
脱水反応用触媒調製例1で得られた脱水反応用触媒4.0gを内径10mmの固定床型反応管に充填し、反応温度280℃、原料混合ガス中のグリセリン濃度4.0vol%となるようにグリセリン100%液を気化させ、グリセリン:水:ヘリウム=4:30:66の原料混合ガスを流量F=34(mL/min)で流した。この時の圧力はゲージ圧で0.1kg/cm2であり、接触時間は4.0秒であった。反応ガスを水の入った捕集瓶で捕集し、ガスクロマトグラフィーによって分析したところ、グリセリン転化率100%、アクロレイン収率50.8%であった。
脱水反応用固定床型反応管とアンモ酸化用固定床型反応管を連結し、アンモ酸化用触媒調製例3で得られたアンモ酸化用触媒0.5gを内径10mm固定床型反応管に充填した。アンモ酸化用の固定床型反応管には、脱水反応用反応管から導かれる反応ガスに加えて、アンモニア0.75mL/min、酸素0.95mL/min、He3.5mL/minを導入した。反応温度は340℃とした。この時の圧力はゲージ圧で0.05kg/cm2であった。反応ガスの分析をガスクロマトグラフィーによって行ったところ、アクロレインからのアクリロニトリル収率は94.1%であった。
脱水反応用触媒調製例1で得られた脱水反応用触媒4.0gを内径10mmの固定床型反応管に充填し、反応温度280℃、原料混合ガス中のグリセリン濃度4.0vol%となるようにグリセリン100%液を気化させ、グリセリン:水:ヘリウム=4:30:66の原料混合ガスを流量F=34(mL/min)で流した。この時の圧力はゲージ圧で0.1kg/cm2であり、接触時間は4.0秒であった。反応ガスを水の入った捕集瓶で捕集し、ガスクロマトグラフィーによって分析したところ、グリセリン転化率100%、アクロレイン収率50.8%であった。
脱水反応用固定床型反応管とアンモ酸化用固定床型反応管を連結し、アンモ酸化用触媒調製例4で得られたアンモ酸化用触媒0.5gを内径10mm固定床型反応管に充填した。アンモ酸化用の固定床型反応管には、脱水反応用反応管から導かれる反応ガスに加えて、アンモニア0.75mL/min、酸素0.95mL/min、He3.5mL/minを導入した。反応温度は380℃とした。この時の圧力はゲージ圧で0.05kg/cm2であった。反応ガスの分析をガスクロマトグラフィーによって行ったところ、アクロレインからのアクリロニトリル収率は78.7%であった。
脱水反応用触媒調製例1で得られた脱水反応用触媒4.0gを内径10mmの固定床型反応管に充填し、反応温度280℃、原料混合ガス中のグリセリン濃度4.0vol%となるようにグリセリン100%液を気化させ、グリセリン:水:ヘリウム=4:30:66の原料混合ガスを流量F=34(mL/min)で流した。この時の圧力はゲージ圧で0.1kg/cm2であり、接触時間は4.0秒であった。反応ガスを水の入った捕集瓶で捕集し、ガスクロマトグラフィーによって分析したところ、グリセリン転化率100%、アクロレイン収率50.7%であった。
脱水反応用固定床型反応管とアンモ酸化用固定床型反応管を連結し、アンモ酸化用触媒調製例4で得られたアンモ酸化用触媒0.5gを内径10mm固定床型反応管に充填した。アンモ酸化用の固定床型反応管には、脱水反応用反応管から導かれる反応ガスに加えて、アンモニア0.75mL/min、酸素0.95mL/min、He3.5mL/minを導入した。反応温度は420℃とした。この時の圧力はゲージ圧で0.05kg/cm2であった。反応ガスの分析をガスクロマトグラフィーによって行ったところ、アクロレインからのアクリロニトリル収率は63.9%であった。
脱水反応用触媒調製例2で得られた脱水反応用触媒4.0gを内径10mmの固定床型反応管に充填し、反応温度280℃、原料混合ガス中のグリセリン濃度4.0vol%となるようにグリセリン100%液を気化させ、グリセリン:水:ヘリウム=4:30:66の原料混合ガスを流量F=34(mL/min)で流した。この時の圧力はゲージ圧で0.1kg/cm2であり、接触時間は4.0秒であった。反応ガスを水の入った捕集瓶で捕集し、ガスクロマトグラフィーによって分析したところ、グリセリン転化率100%、アクロレイン収率40.7%であった。
脱水反応用固定床型反応管とアンモ酸化用固定床型反応管を連結し、アンモ酸化用触媒調製例1で得られたアンモ酸化用触媒0.5gを内径10mm固定床型反応管に充填した。アンモ酸化用の固定床型反応管には、脱水反応用反応管から導かれる反応ガスに加えて、アンモニア0.75mL/min、酸素0.95mL/min、He3.5mL/minを導入した。反応温度は340℃とした。この時の圧力はゲージ圧で0.05kg/cm2であった。反応ガスの分析をガスクロマトグラフィーによって行ったところ、アクロレインからのアクリロニトリル収率は91.9%であった。
脱水反応用触媒調製例3で得られた脱水反応用触媒4.0gを内径10mmの固定床型反応管に充填し、反応温度280℃、原料混合ガス中のグリセリン濃度4.0vol%となるようにグリセリン100%液を気化させ、グリセリン:水:ヘリウム=4:30:66の原料混合ガスを流量F=34(mL/min)で流した。この時の圧力はゲージ圧で0.1kg/cm2であり、接触時間は4.0秒であった。反応ガスを水の入った捕集瓶で捕集し、ガスクロマトグラフィーによって分析したところ、グリセリン転化率100%、アクロレイン収率19.7%であった。
脱水反応用固定床型反応管とアンモ酸化用固定床型反応管を連結し、アンモ酸化用触媒調製例1で得られたアンモ酸化用触媒0.5gを内径10mm固定床型反応管に充填した。アンモ酸化用の固定床型反応管には、脱水反応用反応管から導かれる反応ガスに加えて、アンモニア0.75mL/min、酸素0.95mL/min、He3.5mL/minを導入した。反応温度は340℃とした。この時の圧力はゲージ圧で0.05kg/cm2であった。反応ガスの分析をガスクロマトグラフィーによって行ったところ、アクロレインからのアクリロニトリル収率は92.4%であった。
Claims (1)
- 以下の工程(1)及び(2)を有するアクリロニトリルの製造方法;
(1)グリセリンを脱水してアクロレインを得る工程、
(2)少なくともモリブデンを含有し、斜方晶又は三方晶の結晶構造を有する触媒を用い、得られたアクロレインを300〜400℃でアンモ酸化する工程、
前記触媒は、下記式(I)又は式(II)で表される組成を有し、
前記結晶構造が斜方晶である場合、前記触媒は、CuKα線をX線源として得られるX線回折図において、2θ=6.5°、7.9°、9.0°、12.7°、22.2°、27.3°、28.3°の位置に回折ピークを示し、
前記結晶構造が三方晶である場合、前記触媒は、前記X線回折図において、2θ=8.2°±0.2°、9.6°±0.2°、22.2°±0.2°、26.8°±0.2°、30.1°±0.2°、45.3°±0.2°の位置に回折ピークを示す:
Mo 1 V a Z b O n (I)
(式(I)中、Zは、Te、Sb、Nb、W、Ce、Ta、Ti、P、Bi、Cuからなる群から選択される少なくとも1種以上の金属元素を示し、a、bは、それぞれMo1原子あたりのV、Zの原子比を示し、0<a≦1、0<b≦1であり、nは構成金属の酸化状態によって決まる酸素の原子比を示す。)
Mo 1 V a Nb b Z c O n (II)
(式(II)中、Zは、Te、Sb、W、Ce、Ta、Ti、P、Bi、Cuからなる群から選択される少なくとも1種以上の金属元素を示し、a、b、cは、それぞれMo1原子あたりのV、Nb、Zの原子比を示し、0<a≦1、0≦b≦1、0≦c≦1であり、nは構成金属の酸化状態によって決まる酸素の原子比を示す。)。
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