JP2008229515A - メタクリル酸製造用触媒の製造方法 - Google Patents

メタクリル酸製造用触媒の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 優れた反応活性を有することは勿論、充分に高いメタクリル酸選択性をも発揮するメタクリル酸製造用触媒の製造方法を提供する。
【解決手段】 リン、モリブデンおよびセシウムを少なくとも必須とする組成の複合酸化物前駆体の原料を溶媒中で混合して溶解又は懸濁させ、アンモニウム根を存在させた状態で80〜200℃で1〜24時間加熱処理した後、濃縮乾固して得られた複合酸化物前駆体粉末(I)に、一般式PaMobcSbdCuefgで示されるケギン型ヘテロポリ酸の部分中和塩であって、該ヘテロポリ酸の原料を溶媒中に混合し、溶解又は懸濁させ、アンモニウム根を存在させた状態で80〜200℃で1〜24時間加熱処理した後、濃縮乾固して得た乾固物を不活性ガス中で400〜500℃で焼成し、粉砕して得られたケギン型ヘテロポリ酸粉末(II)を混合し、この混合物を成形した後、不活性ガス中で400〜500℃で焼成する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、酸化によるメタクリル酸の製造に用いられる触媒を製造する方法、および該方法により得られた触媒により例えばメタクロレインを分子状酸素で気相接触酸化してメタクリル酸を製造するメタクリル酸の製造方法に関する。
メタクリル酸の製造方法としては、メタクロレインを気相接触酸化する方法、イソ酪酸の酸化脱水素する方法、イソブチルアルデヒドを酸化する方法、イソブチレンまたはtert−ブタノールを酸化しメタクロレインを経由してメタクリル酸とする方法、イソブタンを直接酸化しメタクロレインを経由してメタクリル酸とする方法等が知られている。
従来から、このようなメタクリル酸を得るための酸化反応においては、モリブデンおよびリンを主成分とするヘテロポリ酸またはその塩のような構造を有する触媒が有効であることが知られている。そして、その触媒組成に関しては、バナジウムによるモリブデンの一部置換や、銅、アンチモン、ヒ素などの助触媒成分の添加などの改良が、また、その調製法に関しては、環状アミンの使用等の改良がなされており、一部はメタクロレインの酸化によるメタクリル酸の工業的製造に実用化されている。
しかしながら、従来の触媒は、既に実用化されているメタクロレインの酸化においても、反応収率(活性と選択性)の点で必ずしも充分に満足しうるものではなかった。例えば、アクロレインからアクリル酸を製造する触媒と比べ、メタクロレインの酸化触媒は、反応の選択性が悪いばかりでなく、反応活性と寿命も悪く、従って大量の触媒が必要となり、設備費用と触媒コストの負担が大きいのが現状であった。また、イソブタンやイソ酪酸などを原料とする場合も、触媒の性能が充分でないため、未だ工業化は実現されていない。
そこで、本発明者らは、先に、より高い反応活性および選択性を有するメタクリル酸の製造用触媒として、リン、モリブデン、バナジウム、アンチモン、銅を必須とする特定組成のヘテロポリ酸部分中和塩であって、特定の調製法で得ることによりケギン型とした触媒を提案した(特許文献1)。
特開平9−24277号公報
しかしながら、特許文献1に記載の触媒は、優れた反応活性を発現するものであったが、メタクリル酸選択性の点では未だ充分とは言えず、さらなる改良が求められていた。
そこで、本発明の課題は、優れた反応活性を有することは勿論、充分に高いメタクリル酸選択性をも発揮するメタクリル酸製造用触媒の製造方法と、前記触媒を用いたメタクリル酸の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、焼成前の複合酸化物前駆体に対し、特許文献1に記載の方法で得られたケギン型ヘテロポリ酸を種晶として添加し、これを混合、成形したのちに特定条件で焼成すると、種晶を添加しない場合と比べて格段にメタクリル酸選択性が向上することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の構成からなるものである。
(1)リン、モリブデンおよびセシウムを少なくとも必須とする組成の複合酸化物前駆体を焼成して触媒を得るにあたり、前記複合酸化物前駆体の原料を溶媒中で混合して溶解または懸濁させ、アンモニウム根を存在させた状態で80〜200℃の温度で1〜24時間加熱処理した後、濃縮乾固して得られた複合酸化物前駆体粉末(I)に、一般式PaMobcSbdCuefg(式中、P、Mo、V、Sb、Cu、Oはそれぞれリン、モリブデン、バナジウム、アンチモン、銅および酸素を表し、Xはルビジウム、セシウムおよびタリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を表し、また添字a、b、c、d、e、fおよびgは各元素の原子比を表し、b=12としたとき、a、c、d、e、fはそれぞれ0(ゼロ)を含まない3以下の値をとり、gは他の元素の原子価および原子比によって決まる値を表す。)で示されるケギン型ヘテロポリ酸の部分中和塩であって、該ヘテロポリ酸の原料を溶媒中に混合して溶解または懸濁させ、アンモニウム根を存在させた状態で80〜200℃の温度で1〜24時間加熱処理した後、濃縮乾固して得た乾固物を不活性ガス中で400〜500℃の温度で焼成し、粉砕して得られたケギン型ヘテロポリ酸粉末(II)を混合し、得られた混合物を成形した後、成形体を不活性ガス中で400〜500℃の温度で焼成する、ことを特徴とするメタクリル酸製造用触媒の製造方法。
(2)前記ケギン型へテロポリ酸粉末(II)の添加量は、前記複合酸化物前駆体粉末(I)100重量部に対して0.5〜30重量部とする、前記(1)記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法。
(3)前記複合酸化物前駆体の必須成分であるリン、モリブデンおよびセシウムは、原子比で、リン:モリブデン:セシウム=0.1〜2:6〜10:0.1〜2の比率である、前記(1)または(2)記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法。
(4)メタクロレイン、イソ酪酸、イソブチルアルデヒド、イソブチレン、tert−ブタノールおよびイソブタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の原料を、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法で得られた触媒の存在下で酸化してメタクリル酸を得る、ことを特徴とするメタクリル酸の製造方法。
(5)原料としてメタクロレインを含有する原料ガスを分子状酸素で気相接触酸化する、前記(4)記載のことを特徴とするメタクリル酸の製造方法。
(6)前記原料ガスのメタクロレイン濃度は1〜10モル%であり、メタクロレインに対する酸素のモル比を1〜5とし、原料ガスの空間速度を500〜5000h-1とし、反応温度を250〜350℃とする、前記(5)記載のメタクリル酸の製造方法。
本発明によれば、酸化よるメタクリル酸の製造において反応活性に優れ、かつ充分に高いメタクリル酸選択性を発揮するメタクリル酸製造用触媒を容易に提供することができる。これにより、例えばメタクロレインを分子状酸素で気相接触酸化してメタクリル酸を高い生産性で効率よく製造することができる、という効果が得られる。
(メタクリル酸製造用触媒の製造方法)
本発明の触媒の製造方法は、リン、モリブデンおよびセシウムを少なくとも必須とする組成の複合酸化物前駆体を焼成して触媒を得る方法であり、複合酸化物前駆体粉末(I)にケギン型ヘテロポリ酸粉末(II)を混合して成形し、特定条件で焼成するものである。
複合酸化物前駆体粉末(I)は、リン、モリブデンおよびセシウムを少なくとも必須とする前記複合酸化物前駆体の原料を、水や有機溶剤などの溶媒中で混合して溶解または懸濁させ、アンモニウム根を存在させた状態で80〜200℃の温度で1〜24時間加熱処理した後、濃縮乾固することで得られる。
複合酸化物前駆体粉末(I)は、リンモリブデン酸のセシウムよる部分中和塩を基本的な構造とする。複合酸化物前駆体の必須成分であるリン、モリブデンおよびセシウムは、原子比で、リン:モリブデン:セシウム=0.1〜2:6〜10:0.1〜2の比率であるのが好ましく、より具体的には、選択性の観点からは、リン:モリブデン:セシウム=1:8:1の比率がよい。
複合酸化物前駆体の原料としては、各元素の酸化物、硝酸塩、炭酸塩、アンモニウム塩、水酸化物、ハロゲン化物などを組み合わせて使用することができる。例えば、リン原料としては、オルトリン酸、リン酸水素ニナトリウム、リン酸アンモニウム等が使用でき、モリブデン原料としては、パラモリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブデン、塩化モリブデン等が使用でき、セシウム原料としては、硝酸セシウム、炭酸セシウム、硫酸セシウム、塩化セシウム、過塩素酸セシウム等が使用できる。また、これら必須元素のほかに、従来からへテロポリ酸に用いられている公知の元素、例えば、バナジウム、アンチモン、銅、ヒ素、銀、鉄、コバルト、ランタン、セリウム等を任意に併用することもできる。なお、本発明においては、これら原料を溶媒中で混合して80〜200℃で加熱処理する段階で、アンモニウム根が存在していることが必要である。よって、複合酸化物前駆体の原料としてアンモニウム塩を含まないもののみを選択する場合には、別途アンモニア等の添加が必要になる。
複合酸化物前駆体原料は、水や有機溶剤などの溶媒中で混合して溶解または懸濁させ、アンモニウム根を存在させた状態で、80〜200℃、好ましくは100〜180℃の温度で、1〜24時間、好ましくは10〜20時間加熱処理した後、濃縮乾固して、複合酸化物前駆体粉末(I)とする。加熱処理の温度が80℃未満であるか、加熱時間が1時間未満であると、反応の進行が不充分で、メタクリル酸選択率の低い触媒が得られることとなる。一方、加熱処理の温度が200℃を超えるか、加熱時間が24時間を超えると、それに見合った効果は得られず、経済的に不利となる。なお、複合酸化物前駆体原料のうち、水溶性の原料はあらかじめ別に水に溶解して用いてもよいが、粉体のまま仕込んでも問題ない。
ケギン型ヘテロポリ酸粉末(II)は、一般式PaMobcSbdCuefg(式中、P、Mo、V、Sb、Cu、Oはそれぞれリン、モリブデン、バナジウム、アンチモン、銅および酸素を表し、Xはルビジウム、セシウムおよびタリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を表し、また添字a、b、c、d、e、fおよびgは各元素の原子比を表し、b=12としたとき、a、c、d、e、fはそれぞれ0(ゼロ)を含まない3以下の値をとり、gは他の元素の原子価および原子比によって決まる値を表す。)で示されるケギン型ヘテロポリ酸の部分中和塩の原料を、水や有機溶剤などの溶媒中に混合して溶解または懸濁させ、アンモニウム根を存在させた状態で、80〜200℃の温度で1〜24時間加熱処理した後、濃縮乾固して得た乾固物を不活性ガス中で400〜500℃の温度で焼成し、粉砕して得られる。このようなケギン型ヘテロポリ酸粉末(II)の基本的な構造は、リンモリブデン酸のルビジウム、セシウム、タリウムによる部分中和塩であり、さらに必須成分として、バナジウム、アンチモンおよび銅を含むものである。
ケギン型ヘテロポリ酸の部分中和塩の原料としては、前述した複合酸化物前駆体原料と同様、各元素の酸化物、硝酸塩、炭酸塩、アンモニウム塩、水酸化物、ハロゲン化物などを組み合わせて使用することができる。例えば、リン原料、モリブデン原料、セシウム原料としては、前述と同様のものが使用でき、バナジウム原料としては、メタバナジン酸アンモニウム、五酸化バナジウム、塩化バナジウム等が使用でき、アンチモン原料としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が使用でき、銅原料としては、硝酸銅、硫酸銅、水酸化第二銅、炭酸銅、酢酸第二銅、塩化第二銅等が使用できる。また、これら必須元素のほかに、従来からへテロポリ酸に用いられている公知の元素、例えば、ヒ素、銀、鉄、コバルト、ランタン、セシウム等を任意に併用することもできる。なお、本発明においては、これら原料を溶媒中で混合して80〜200℃で加熱処理する段階で、アンモニウム根が存在していることが必要である。よって、ヘテロポリ酸の部分中和塩の原料としてアンモニウム塩を含まないもののみを選択する場合には、別途アンモニア等の添加が必要になる。
ヘテロポリ酸の部分中和塩原料は、水や有機溶剤などの溶媒中で混合して溶解または懸濁させ、アンモニウム根を存在させた状態で、80〜200℃の温度で1〜24時間加熱処理した後、濃縮乾固して、乾固物とするのであるが、このときの加熱処理や原料の仕込み等に関しては、複合酸化物前駆体原料から粉末(I)を得る場合と同様である。
次いで、この乾固物は、窒素などの不活性ガス中で400〜500℃の温度で焼成し、粉砕されて、ケギン型へテロポリ酸粉末(II)となる。前述した加熱処理の後に濃縮乾固して得られた乾固物のP:Moの比は、通常、1:8である。この乾固物は、窒素などの不活性ガス中で、180〜350℃程度に加熱すると、P:Moの比が1:12のいわゆるケギン型ヘテロポリ酸の塩に変化する。ただし、この段階で乾固物は、アンモニウム根を含んで調製されているので、ヘテロポリ酸のX成分(ルビジウム、セシウムなど)とアンモニウムとの混合塩になっており、このままでは固体酸の性質がなく活性が低いので、活性化する必要がある。よって、前記乾固物は、濃縮乾固に次いで、窒素などの不活性ガス中で、400〜500℃、好ましくは420〜450℃の温度で焼成される。これにより、ケギン型のヘテロポリ酸になるとともに、ほぼ全てのアンモニウム成分が脱離してプロトン酸となり、高活性を発現する。空気中で焼成した場合は、400℃以上ではヘテロポリ酸の分解や焼結が起って活性が低くなり、一方、400℃未満ではアンモニウム根が多く残るために、やはり活性が低くなる。なお、不活性ガス中で焼成した後、空気中で400℃未満の温度で焼成することは差し支えない。
前記ケギン型へテロポリ酸粉末(II)の添加量は、前記複合酸化物前駆体粉末(I)100重量部に対して0.5〜30重量部とするのが好ましく、より好ましくは1〜20重量部とすることがよい。ケギン型へテロポリ酸粉末(II)の添加量が少なすぎると、メタクリル酸選択率の向上効果が不充分となる傾向があり、一方、多すぎると、反応活性(転化率)が低下するおそれがある。
前記複合酸化物前駆体粉末(I)と前記ケギン型ヘテロポリ酸粉末(II)との混合物を成形するに際しては、必要に応じて、成形助剤として水などを添加してもよい。成形方法等には特に制限はなく、公知の方法を採用すればよい。
前記複合酸化物前駆体粉末(I)と前記ケギン型ヘテロポリ酸粉末(II)とを混合、成形した後、焼成するに際しては、窒素などの不活性ガス中で、400〜500℃、好ましくは420〜450℃の温度で行なう。これにより、ケギン型のヘテロポリ酸からなり、メタクロレイン等の酸化に優れた触媒性能(転化率、選択率)を発揮する触媒が得られる。
本発明の触媒の製造方法で得られた触媒は、メタクロレインの酸化をはじめ種々の原料の酸化によるメタクリル酸の製造に用いられる。その使用に当たっては、触媒単独で用いることもできるし、アルミナ、シリカ、シリコンカーバイドなどの担体に担持または希釈混合した形で用いることもできる。
(メタクリル酸の製造方法)
本発明のメタクリル酸の製造方法は、メタクロレイン、イソ酪酸、イソブチルアルデヒド、イソブチレン、tert−ブタノールおよびイソブタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の原料を、前述した本発明のメタクリル酸製造用触媒の製造方法で得られた触媒の存在下で酸化してメタクリル酸にするものである。
本発明のメタクリル酸の製造方法のなかでも、原料としてメタクロレインを含有する原料ガスを分子状酸素で気相接触酸化する態様が、収率の点で好ましい。以下、この態様にについて説明する。この場合、原料ガスのメタクロレイン濃度は1〜10モル%であり、メタクロレインに対する酸素のモル比を1〜5とし、原料ガスの空間速度を500〜5000h-1とし、反応温度を250〜350℃とすることが好ましい。ここで、使用されるメタクロレインは、必ずしも純粋のメタクロレインである必要はなく、イソブチレンやtert−ブタノールを気相接触酸化して得られたメタクロレイン含有ガスを用いてもよいし、液相法で得られたメタクロレインを気化して用いてもよい。また、酸素源は、純粋な酸素でもよいが、工業的には空気が使用される。その他の希釈ガスとしては、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、水蒸気などを用いることができる。反応圧力は、通常、常圧付近または若干の加圧下で行われる。
次に、本発明のメタクリル酸の製造方法において、イソブタンを原料としてメタクリル酸を製造する態様についても説明する。この場合、イソブタンは直接酸化され、メタクロレインを経由してメタクリル酸となる。原料ガスは、1〜85モル%の濃度でイソブタンを含有するものであり、酸素源としては、純酸素、酸素富化空気、空気などが用いられる。イソブタンに対する酸素のモル比は約0.05〜4が適当である。反応ガス中には水蒸気を約3〜30モル%の範囲で含有させることが望ましい。原料ガス中には窒素、二酸化炭素、一酸化炭素などが希釈ガスとして含まれていてもよい。この反応では活性をそれほど高くないので、未反応イソブタンおよび必要に応じて酸素は回収して再循環される。副生メタクロレインは再循環するか別の反応器に導き、メタクリル酸まで酸化する。空間速度は約400〜5000h-1、反応温度は約270〜400℃が好ましい。反応圧力は、通常、常圧または加圧で行われる。
本発明のメタクリル酸の製造方法には、メタクロレインやイソブタンを原料とする態様のほかに、イソ酪酸の酸化脱水素によるメタクリル酸の製造、イソブチルアルデヒドの酸化によるメタクリル酸の製造、イソブチレンからのメタクリル酸の製造なども含まれる。これらの場合には、前述したメタクロレインの酸化と同様の反応条件が採用できる。
以下、実施例をあげて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
以下の実施例、比較例で得られた触媒の物性は、下記の方法で測定した。
<結晶子径(Å)>
粉末X線回折測定を行ない、2θ=26.39°のピークにつきシェラーの式により算出した。
<BET比表面積(m2/g)>
比表面積測定装置(マウンテック製「Macsorb Model−1201」)を用いて窒素吸着法により求めた。
(実施例1)
40℃に加熱したイオン交換水224gに、硝酸セシウム[CsNO3]38.2g、硝酸銅[Cu(NO3)2・3H2O]10.2g、リン酸水溶液[85%−H3PO4]24.2g、硝酸[70%−HNO3]25.2gを溶解し、これをA液とした。40℃に加熱したイオン交換水330gにモリブデン酸アンモニウム[(NH4)6Mo724・4H2O]297gを溶解し、メタバナジン酸アンモニウム[NH4VO3]8.19gを懸濁させ、これをB液とした。撹拌しているB液に、A液を滴下した。得られた懸濁液に、三酸化アンチモン[Sb23]10.2gを添加した。得られた懸濁液を密封容器中で、120℃で17時間加熱撹拌した。得られた混合液をステンレス製バットにとり、電気炉中120℃で蒸発乾固して、複合酸化物前駆体粉末(I)を得た。得られた粉末(I)をX線回折およびリートベルト解析により分析した結果、粉末(I)のP:Mo比は1:8であった。
40℃に加熱したイオン交換水224gに、硝酸セシウム[CsNO3]38.2g、硝酸銅[Cu(NO3)2・3H2O]10.2g、リン酸水溶液[85%−H3PO4]24.2g、硝酸[70%−HNO3]25.2gを溶解し、これをA液とした。40℃に加熱したイオン交換水330gにモリブデン酸アンモニウム[(NH4)6Mo724・4H2O]297gを溶解し、メタバナジン酸アンモニウム[NH4VO3]8.19gを懸濁させ、これをB液とした。撹拌しているB液に、A液を滴下した。得られた懸濁液に、三酸化アンチモン[Sb23]10.2gを添加した。得られた懸濁液を密封容器中で、120℃で17時間加熱撹拌した。得られた懸濁液をステンレス製バットにとり電気炉中で120℃で蒸発乾固した。得られた乾固物をX線回折およびリートベルト解析により分析した結果、該乾固物のP:Moの比は1:8であった。この乾固物を窒素気流中、435℃で3時間焼成し、さらに空気気流中、390℃で3時間焼成した後、1000μm以下に粉砕して、ケギン型ヘテロポリ酸粉末(II)を得た。このケギン型ヘテロポリ酸粉末(II)の酸素を除く組成はP1.5Mo120.5Sb0.5Cu0.3Cs1.4であった。なお、この粉末(II)がケギン型構造を有していることは、X線回折および赤外線吸収スペクトルによる分析で明らかであった。
前記粉末(I)100重量部に前記粉末(II)1重量部を混合し、得られた混合物に成形助剤として水を加えて混練し、直径5mm、高さ5mmの円柱上に押し出し成形した。この成形体を、90℃で乾燥後、さらに、320℃で3時間焼成した。これを窒素気流中、435℃で3時間焼成し、さらに空気気流中、390℃で3時間焼成して、触媒(1)を得た。
触媒(1)は、結晶子径が4.07Åであり、BET比表面積が11.8m2/gであった。触媒(1)をX線回折により分析した結果、ケギン型構造であることがわかった。
次に、内径15mmのガラス製反応管を3本用意し、各反応管に、それぞれ、触媒(1)9gずつを充填し、メタクロレイン4モル%、酸素12モル%、水蒸気17モル%、残りが窒素からなる組成の原料ガスを、空間速度(STP基準)670h-1で各反応管に通じ、270℃、290℃および310℃の3通りの温度でメタクロレインの酸化反応を行い、メタクリル酸の製造を行なった。反応が定常状態に達した時点で、反応管の入口ガスと出口ガスを採取して、それぞれガスクロマトグラフにて、入口ガスのメタクロレインのモル濃度(X)、出口ガスのメタクロレインのモル濃度(X’)およびメタクリル酸のモル濃度(Y’)を測定した。そして、下式に基づき、メタクロレイン転化率およびメタクリル酸選択率を算出し、結果を表1に示した。また、各反応温度における転化率および選択率を、横軸に転化率、縦軸に選択率となるグラフにプロットし、メタクロレイン転化率が90%であるときのメタクリル酸選択率を算出し、表1に併せて示した。
メタクロレイン転化率(%)=〔(X−X’)/X〕ラ100
メタクリル酸選択率(%)=〔Y’/(X−X’)〕ラ100
(実施例2)
実施例1において用いた粉末(II)の量を1重量部から10重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、触媒(2)を得た。
触媒(2)は、結晶子径が4.07Åであり、BET比表面積が10.4m2/gであった。触媒(2)をX線回折により分析した結果、ケギン型構造であることがわかった。
次に、触媒(1)に代えて触媒(2)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、メタクロレインの酸化反応を行い、メタクリル酸の製造を行なった。そして、実施例1と同様に、メタクロレイン転化率、メタクリル酸選択率およびメタクロレイン転化率が90%であるときのメタクリル酸選択率を算出し、表1に示した。
(実施例3)
実施例1において用いた粉末(II)の量を1重量部から20重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、触媒(3)を得た。
触媒(3)は、結晶子径が4.07Åであり、BET比表面積が8.3m2/gであった。触媒(3)をX線回折により分析した結果、ケギン型構造であることがわかった。
次に、触媒(1)に代えて触媒(3)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、メタクロレインの酸化反応を行い、メタクリル酸の製造を行なった。そして、実施例1と同様に、メタクロレイン転化率、メタクリル酸選択率およびメタクロレイン転化率が90%であるときのメタクリル酸選択率を算出し、表1に示した。
(比較例1)
実施例1において用いた粉末(II)を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、触媒(c1)を得た。
触媒(c1)は、結晶子径が3.81Åであり、BET比表面積が11.7m2/gであった。触媒(c1)をX線回折により分析した結果、ケギン型構造であることがわかった。
次に、触媒(1)に代えて触媒(C1)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、メタクロレインの酸化反応を行い、メタクリル酸の製造を行なった。そして、実施例1と同様に、メタクロレイン転化率、メタクリル酸選択率およびメタクロレイン転化率が90%であるときのメタクリル酸選択率を算出し、表1に示した。
Figure 2008229515

Claims (6)

  1. リン、モリブデンおよびセシウムを少なくとも必須とする組成の複合酸化物前駆体を焼成して触媒を得るにあたり、
    前記複合酸化物前駆体の原料を溶媒中で混合して溶解または懸濁させ、アンモニウム根を存在させた状態で80〜200℃の温度で1〜24時間加熱処理した後、濃縮乾固して得られた複合酸化物前駆体粉末(I)に、
    一般式PaMobcSbdCuefg(式中、P、Mo、V、Sb、Cu、Oはそれぞれリン、モリブデン、バナジウム、アンチモン、銅および酸素を表し、Xはルビジウム、セシウムおよびタリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を表し、また添字a、b、c、d、e、fおよびgは各元素の原子比を表し、b=12としたとき、a、c、d、e、fはそれぞれ0(ゼロ)を含まない3以下の値をとり、gは他の元素の原子価および原子比によって決まる値を表す。)で示されるケギン型ヘテロポリ酸の部分中和塩であって、該ヘテロポリ酸の原料を溶媒中に混合して溶解または懸濁させ、アンモニウム根を存在させた状態で80〜200℃の温度で1〜24時間加熱処理した後、濃縮乾固して得た乾固物を不活性ガス中で400〜500℃の温度で焼成し、粉砕して得られたケギン型ヘテロポリ酸粉末(II)を混合し、
    得られた混合物を成形した後、成形体を不活性ガス中で400〜500℃の温度で焼成する、ことを特徴とするメタクリル酸製造用触媒の製造方法。
  2. 前記ケギン型へテロポリ酸粉末(II)の添加量は、前記複合酸化物前駆体粉末(I)100重量部に対して0.5〜30重量部とする、請求項1記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法。
  3. 前記複合酸化物前駆体の必須成分であるリン、モリブデンおよびセシウムは、原子比で、リン:モリブデン:セシウム=0.1〜2:6〜10:0.1〜2の比率である、請求項1または2記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法。
  4. メタクロレイン、イソ酪酸、イソブチルアルデヒド、イソブチレン、tert−ブタノールおよびイソブタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の原料を、請求項1〜3のいずれかに記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法で得られた触媒の存在下で酸化してメタクリル酸を得る、ことを特徴とするメタクリル酸の製造方法。
  5. 原料としてメタクロレインを含有する原料ガスを分子状酸素で気相接触酸化する、請求項4記載のことを特徴とするメタクリル酸の製造方法。
  6. 前記原料ガスのメタクロレイン濃度は1〜10モル%であり、メタクロレインに対する酸素のモル比を1〜5とし、原料ガスの空間速度を500〜5000h-1とし、反応温度を250〜350℃とする、請求項5記載のメタクリル酸の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011173114A (ja) * 2010-01-28 2011-09-08 Mitsubishi Rayon Co Ltd メタクリル酸製造用触媒およびその製造方法、ならびにメタクリル酸の製造方法
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CN114471644A (zh) * 2020-10-27 2022-05-13 中国石油化工股份有限公司 一种多孔杂多酸催化剂及其制备方法和应用

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