JP3316881B2 - メタクリル酸製造用触媒の製造方法 - Google Patents

メタクリル酸製造用触媒の製造方法

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JP3316881B2
JP3316881B2 JP24040092A JP24040092A JP3316881B2 JP 3316881 B2 JP3316881 B2 JP 3316881B2 JP 24040092 A JP24040092 A JP 24040092A JP 24040092 A JP24040092 A JP 24040092A JP 3316881 B2 JP3316881 B2 JP 3316881B2
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    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は気相接触酸化によるメタ
クリル酸の製造に用いられるヘテロポリ酸系触媒の製造
方法に関する。詳しくはメタクロレイン、イソブタン等
を分子状酸素で気相接触酸化してメタクリル酸を製造す
るために用いられるヘテロポリ酸系触媒の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】メタクロレインを気相接触酸化してメタ
クリル酸を製造するための触媒は種々提案されており
(特開昭50−101316号、特開昭50−1425
10号、特開昭59−4445号等)、既にその一部は
工業的規模の生産に用いられている。またイソ酪酸の酸
化脱水素(特開昭57−72936号等)、イソブチル
アルデヒドの酸化(特開昭57−144238号等)に
よりメタクリル酸を製造するための触媒も良く知られて
いる。
【0003】更に、イソブチレン又は第三級ブタノール
を酸化してメタクリル酸、メタクロレインを作るための
触媒(特開昭55−127328号)、最近ではイソブ
タンを直接酸化してメタクリル酸、メタクロレインを得
るための触媒(特開平2−42032号,特開平3−6
3139号等)も提案されている。
【0004】これらの反応に用いられる触媒としては、
モリブデン及びリンを主成分とするヘテロポリ酸及び又
はその塩の構造を有し、又バナジウムによるモリブデン
の一部置換、銅、アンチモン、ヒ素等の助触媒成分の添
加が有効であることが知られている。
【0005】調製法に関しては、カルボン酸等の添加
(特開昭51−136615号)、ピリジン類の添加
(特開昭57−177347号)、キノリン類の添加
(特開昭60−209258号)、硝酸アンモニウムの
添加(特開昭57−165040号)等各種添加物の使
用、硝酸根を含まない原料を使用し80℃以上の温度で
スラリーを熟成する方法(特開昭59−12758
号)、また不活性ガス雰囲気焼成(特開昭57−165
040号)、アンモニア及び水蒸気雰囲気焼成(特開昭
58−61833号)等の焼成法など種々の改良がなさ
れてきている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の知られている触媒系の問題点は、既に実用化されてい
るメタクロレインの酸化においても反応収率(活性と選
択性)と触媒寿命の両者を満足させる点で必ずしも十分
でないことである。例えばアクロレインからアクリル酸
を製造するためのMo−V系複合酸化物触媒に比べ、反
応の選択性が悪いばかりでなく反応活性と寿命も悪く、
従って大量の触媒が必要となり設備費用と触媒コストの
負担が大きいのが現状である。イソブタン、イソ酪酸な
どを原料とする場合も未だに工業化できていないのは触
媒の性能が十分でないことが大きな理由の一つである。
本発明の課題は現状の触媒を改良して、より高い反応活
性、選択性と、長い触媒寿命を合わせもつ触媒を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を達成するために、ヘテロポリ酸系の触媒の改良につい
て鋭意検討した結果、特定の方法で調製した触媒が上記
の目的を達成することを見い出し本発明に到達したもの
である。
【0008】すなわち本発明は、一般式 PaMobVcAsdXeYfOg (式中、P、Mo、V、As、Oはそれぞれリン、モリ
ブデン、バナジウム、ヒ素及び酸素を表し、Xはカリウ
ム、ルビジウム、セシウム及びタリウムからなる群より
選ばれた少なくとも一種の元素を表し、Yは銅、銀、ビ
スマス、鉄、コバルト、アンチモン、ランタン及びセリ
ウムからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を表
し、また添字a、b、c、d、e、f及びgは各元素の
原子比を表し、b=12としたとき、a、c及びeは0
(ゼロ)を含まない3以下の値、d及びfは0(ゼロ)
を含む3以下の値、gは他の元素の原子価及び原子比に
よって決まる値である)で示され、実質的にアンモニウ
ム根及び硫酸根を含有しないヘテロポリ酸の部分中和塩
からなるメタクリル酸製造用触媒を製造する際に、全て
の触媒原料を水に溶解又は懸濁させた溶液のpHが3〜
9の範囲になるようにアンモニウム根及び硫酸根を存在
させ、該溶液を濃縮乾燥して得られる固体を不活性ガス
雰囲気下に400〜500℃で焼成することを特徴とす
るメタクリル酸製造用触媒の製造方法である。
【0009】本発明の触媒の基本的な構造は、従来から
よく知られているリンモリブデン酸のカリウム、ルビジ
ウム、セシウム、タリウムによる部分中和塩であるが、
更に必須成分としてバナジウムを含んでいる。ヒ素はメ
タクリル酸選択性の向上に有効であり、この目的のため
に添加することが推奨される。またY元素も反応活性や
選択性の向上に効果があり含まれている方が望ましい。
中でも銅を選択した場合はその効果が大きい。
【0010】これらの元素の組み合わせについては既に
公知であるが、触媒の性能についてはその組成と共に原
料、添加物、焼成法などの調製法によるところが大き
く、本発明の特定の調製条件を採用することにより更に
高性能な触媒となる。
【0011】本発明の一つの要件は、触媒前駆体を調製
する水溶液、懸濁物の段階でアンモニウム根及び硫酸根
を含んでいることである。このことは調製原料としてア
ンモニウム及び硫酸根を含むものを用いることにより容
易に達成できる。
【0012】モリブデン及びアンモニウムの原料として
モリブデン酸アンモニウムを用いることが好ましい。酸
化モリブデン、リンモリブデン酸等を用いる場合にはア
ンモニウム根が所定の範囲に入るようにアンモニア等を
添加する必要がある。バナジウム原料としてはメタバナ
ジン酸アンモニウム、五酸化バナジウム等が使用でき
る。リン及びヒ素はリン酸、ヒ酸を用いるのが一般的で
あるがリン酸アンモニウム、ヒ酸アンモニウム又はリン
酸銅など他の必須成分との塩等の形で用いてもよい。硫
酸根はカリウム等のX成分及び/又は銅等のY成分の硫
酸塩の形で導入することが便利である。もちろん硫酸、
硫酸アンモニウムなどを添加することもできる。硫酸根
が原料の何れかに存在すれば、他のX成分及びY成分は
硝酸塩、塩化物、炭酸塩、水酸化物、燐酸塩等を用いる
こともできる。
【0013】これらの原料をそれぞれ水に溶解または懸
濁し混合した液は、通常、懸濁液となっている。この溶
液はそのpHが約3〜9の範囲にあることが必要であ
り、この溶液を蒸発乾固して得た固体は、P:Moの比
が1:9のいわゆるドーソン型のヘテロポリ酸の塩が主
成分となっている。アンモニウム塩を用いないか、硫酸
根が多すぎて溶液のpHが3より小さくなると蒸発乾固
の段階からP:Moの比が1:12のいわゆるケギン構
造の塩となっており、この場合は本発明のような活性の
高い触媒が得られない。アンモニウム根が相対的に多過
ぎるなどpHが9より大きい場合には、前駆体のポリ酸
の形成が難しくやはり活性が低下する。アンモニウム
根、硫酸根はモリブデン12モルに対して、それぞれ6
〜18モル、0.1〜3モル存在させることが好まし
い。
【0014】一般に用いられる硝酸塩などに比べ、なぜ
硫酸塩を用いた方が高性能な触媒が得られるのかその理
由ははっきりしないが、懸濁液中の結晶粒子径がより小
さくなる傾向が観測されている。
【0015】また次に述べる焼成工程において硫酸アン
モニウムなどの成分が揮散する際の細孔形成に有利であ
ると考えられる。更に、成形の際、メトキシセルロー
ス、ポリビニルアルコール等の有機成形助材を添加する
場合、硝酸アンモニウムが共存すると焼成時に大きな発
熱を伴う恐れがあるが、硫酸アンモニウム共存の場合は
このような問題が無いことでも有利である。
【0016】この溶液を約80℃〜250℃の温度で1
時間以上、より好ましくは密閉加圧容器を用いて約11
0℃〜200℃の温度で加熱処理をする方が好ましい。
加熱処理を行わないか、加熱温度が約80℃以下の場合
は、メタクリリ酸への転化率が低い触媒になる。また2
50℃以上にしてもそれに見合った効果は得られない。
処理時間は特に制限されないが、通常、1〜24時間で
ある。この段階で何らかの固液の反応が進行し最終的に
得られた触媒の活性がより高くなる。
【0017】懸濁液はろ過して固形分を分離してもよい
が、通常は約100〜150℃の温度で濃縮乾燥する。
得られる固体は、アンモニウム根と硫酸根とを含んでい
るが、アンモニウムの一部はドーソン型ヘテロポリ酸の
塩を形成している。また硫酸根の存在状態については不
明であるが少なくともその一部は硫酸アンモニウムを形
成していると推定される。乾燥後の固体はこのままでは
殆ど活性がないので焼成して活性化する必要がある。焼
成の段階で、約200〜300℃の間でドーソン型から
ケギン型への結晶転移が起こり、また370℃までに遊
離の硫酸アンモニウム等の成分が除去されるが、これだ
けではまだ活性が低い。急激な焼成による触媒活性及び
強度への悪影響を避けるために、不活性ガス雰囲気中で
焼成して活性化する前に、予め約350〜370℃まで
の温度で徐々に焼成するのが好ましい。
【0018】活性化は不活性ガス雰囲気中で約400〜
500℃、好ましくは約420〜450℃の温度で約1
〜10時間焼成して行われる。通常行われているように
空気中で焼成した場合は、400℃以上ではヘテロポリ
酸の分解、焼結が起こって活性が低くなり、400℃以
下ではアンモニウム根および硫酸根が多く残ってしまう
ためにやはり活性が低い。不活性ガス中で400℃以上
の温度で焼成することによりヘテロポリ酸の構造を破壊
すること無く実質的に全てのアンモニウム根及び硫酸根
を取り除くことが出来る。不活性ガス雰囲気中で焼成
後、空気中で約400℃以下で焼成しても良い。
【0019】特開昭54−144311号及び特開昭5
7−11895号には、触媒調製原料として硫酸塩を用
い、硫酸根又はイオウ成分を触媒成分として含むものが
開示されているが、焼成後の触媒にイオウ分を含んでい
る点で本発明とは明らかに異なるものである。
【0020】不活性ガス中で焼成したものはやや還元状
態になっているので、更に空気中で約400℃以下の温
度で焼成し再酸化して反応に用いてもよい。
【0021】本発明の触媒はメタクロレイの酸化をはじ
め種々の反応に用いられるが、使用に当たっては触媒単
味、或いはアルミナ、シリカ、シリコンカーバイド等の
担体に担持又は希釈混合した形で用いられ、固定床の場
合は円柱状、球状、リング状等に成形して用いられる。
流動床、移動床等の反応形式で用いることもできる。
【0022】本発明で得られる触媒を用いて、メタクロ
レインを気相で接触酸化してメタクリル酸を製造する場
合、使用される原料としては必ずしも純粋のメタクロレ
インである必要はなく、イソブチレンやターシャリーブ
タノールを気相接触酸化して得られたメタクロレイン含
有ガスでも、また液相法で得られたメタクロレインを気
化したものでもよい。酸素源は純粋な酸素でもよいが、
工業的には空気が使用される。
【0023】その他の希釈ガスとしては、窒素、二酸化
炭素、一酸化炭素、水蒸気等を用いることができる。反
応原料ガス中のメタクロレイン濃度は約1〜10%、メ
タクロレインに対する酸素の比は約1〜5程度が用いら
れる。原料ガスの空間速度は約500〜5000h-1
範囲、反応温度は約260〜340℃程度が好ましい。
反応圧力は通常、常圧付近又は若干の加圧下で行なわれ
る。
【0024】また本発明で得られる触媒を用いて、イソ
ブタンを直接酸化してメタクリル酸、メタクロレインを
製造する場合は、原料ガス中のイソブタン濃度は約15
%以上の高濃度の方がよい。酸素源としては、純酸素、
酸素富化空気、空気などが用いられる。イソブタンに対
する酸素の比は約0.2〜2程度が適当である。
【0025】反応ガス中には水蒸気を約3〜30%の範
囲で含有させることが望ましい。原料ガス中には窒素、
二酸化炭素、一酸化炭素などが希釈ガスとして含まれて
いてもよい。この反応では転化率をそれほど高くできな
いので、未反応イソブタン及び場合により酸素は回収し
て再循環される。
【0026】副生メタクロレンは再循環するか別の反応
器に導きメタクリル酸まで酸化する。空間速度は約30
0〜3000h-1、反応温度は約270〜340℃程度
が好ましい。反応圧力は、通常、常圧又は加圧下で行な
われる。
【0027】本発明で得られる触媒は、イソ酪酸の酸化
脱水素、イソブチルアルデヒドの酸化によるメタクリル
酸の製造にも用いることができる。またイソブチレンか
ら一段でメタクリル酸を製造する際にも用いることが可
能である。これらの反応では、メタクロレイの酸化と同
様な反応条件が採用できる。
【0028】
【発明の効果】本発明の触媒はメタクリル酸の製造にお
いて、高い反応活性、選択性及び長い触媒寿命を有して
いる。
【0029】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明を更に具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。転化率、及び選択率の定義は下記の
通りである。 転化率(%)=〔(反応した原料の炭素原子モル数)×
100〕÷(供給した原料の炭素原子モル数) 選択率(%)=〔(生成した生成物の炭素原子モル数)
×100〕÷(反応した原料の炭素原子モル数)
【0030】実施例1 イオン交換水330mlにモリブデン酸アンモニウム
((NH4 6 Mo7 24・4H2 O)296.5g及
びメタバナジン酸アンモニウム(NH4 VO3 )8.1
9gを溶解した液に、85%リン酸(H3 PO4 )2
4.2g,60%ヒ酸水溶液(H3 AsO4 )13.3
g,50%硫酸セシウム水溶液(Cs2 SO 4 )70.
3g及び硫酸銅(CuSO4 ・5H2 O)10.5gを
イオン交換水225ml溶解したものを加え、混合し
た。得られたスラリー中にはMo12モルあたりアンモ
ニウム根10.8モル,硫酸根1モルが含まれおり、p
Hは約6.0であった。
【0031】このスラリーをロータリーエバポレーター
で濃縮し、電気炉中120℃で乾燥した。この段階の乾
固物は、X線回折では2θ(CuKα)が9.6゜、1
1.1゜、12.4゜、15.5゜、19.1゜、2
0.7゜、22.7゜、25.9゜、27.6゜等にピ
ークをもち、いわゆるドーソン型のヘテロポリ酸塩の構
造をしている。
【0032】これを粉砕し,水を加えて金型で直径5m
m、長さ7mm程度に押し出し成形し,次いで空気中3
20℃で5時間焼成した。このものはX線回折で10.
5゜、18.4゜、23.8゜、26.1゜、30.2
゜等にピークをもち、いわゆるケギン型のヘテロポリ酸
塩になっていた。
【0033】更にこれを窒素気流中、450℃で5時間
焼成後、空気中390℃で3時間焼成した。X線回折の
結果、この触媒はケギン型ヘテロポリ酸塩の構造であっ
た。またアンモニウム根及び硫酸根を分析した結果いず
れも検出限界(0.01重量%)以下であった。この触
媒の組成はP1.5 Mo120.5 As0.4 Cs1.4 Cu
0.3 (ただし、酸素、水素を除く)である。
【0034】この触媒9mlを内径15mmのガラス製
反応管に充填し、メタクロレイン4モル%、酸素12モ
ル%、水蒸気16モル%、残りが窒素からなる組成の原
料ガスを、空間速度(STP基準)670h-1で反応管
を通し、反応温度280℃で活性試験を行った。その結
果メタクロレイン転化率84.5%、メタクリル酸選択
率87.0%であった。
【0035】比較例1 硫酸セシウム水溶液の代わりに硝酸セシウム(CsNO
3 )38.2g及び硫酸銅の代わりに硝酸銅(CuNO
3 ・3H2 O)10.2gを用いた他は実施例1と同様
にして同じ組成の触媒を調製した。この触媒のX線回折
は実施例1と同じであった。実施例1と同様の活性試験
では、メタクロレイン転化率70.3%、メタクリル酸
選択率88.2%であった。硫酸塩でなく硝酸塩を用い
た場合は活性が低いことがわかる。
【0036】実施例2 パラモリブデン酸アンモニウム296.5gをイオン交
換水330mlに溶解したものに、別に85%リン酸2
4.2g、60%ヒ酸水溶液13.3g、硫酸銅10.
5g、50%硫酸セシウム水溶液70.3gをイオン交
換水225mlに溶解したものを混合、沈澱析出し、更
に五酸化バナジウム6.38gを加え、このスラリーを
1リットルのオートクレーブに移し、120℃で5時間
加熱撹拌処理を行った。このスラリー中にはモリブデン
12モルに対しアンモニウム根10.3モル、硫酸根1
モルを含んでおり、pHは約5.8であった。このスラ
リーを120℃で5時間乾燥し、その後は実施例1と同
じ方法で実施例1と同じ組成の触媒を調製した。実施例
1と同様の活性試験の結果は、メタクロレイン転化率9
3.4%、メタクリル酸選択率83.9%であった。
【0037】比較例2 85%リン酸21.0gとし、硫酸銅の代わりにリン酸
銅(Cu3 (PO4 2 ・3H2 O)6.05g、硫酸
セシウムの代わりに炭酸セシウム(Cs2 CO 3 )3
1.3gを用いた他は実施例2と同様にして実施例1と
同じ組成の触媒を調製した。実施例1と同様の活性試験
の結果は、メタクロレイン転化率78.3%、メタクリ
ル酸選択率86.4%であった。実施例2と比較して活
性が低いことがわかる。
【0038】実施例3 パラモリブデン酸アンモニウム296.5gをイオン交
換水330mlに溶解したものに、別に85%リン酸2
4.2g、硫酸銅3.5g、50%硫酸セシウム水溶液
90.4g及び98%硫酸(H2 SO4 )7.0gをイ
オン交換水225mlに溶解したものを混合し、更に五
酸化バナジウム12.8gを加え、このスラリーを1リ
ットルのオートクレーブに移し、120℃で5時間加熱
撹拌処理を行った。このスラリー中にはモリブデン12
モルに対してアンモニウム根10.3モル、硫酸根1.
45モルを含んでおり、pHは約5.3であった。この
後は実施例2と同様にして、P1.5 Mo121.0 Cs
1.8 Cu0.1 の組成の触媒を調製した。実施例1と同様
の活性試験の結果は、メタクロレイン転化率86.4
%、メタクリル酸選択率81.0%であった。
【0039】比較例3 実施例3の触媒調製の途中、成形したものを窒素気流中
で焼成することなしに空気中360℃で焼成して触媒と
した。この触媒の赤外分光の結果、アンモニウム根が残
存していることがわかった。またイオウ分の定量分析結
果は0.6重量%であった。実施例1と同様の活性試験
の結果は、メタクロレイン転化率76.2%、メタクリ
ル酸選択率79.8%であった。実施例3と比較して、
不活性ガス雰囲気下における焼成を行わないと、活性、
選択性共に低い。
【0040】比較例4 リンモリブデン酸(H3 PMo1240・30H2 O)1
18.2g、85%リン酸8.65gをイオン交換水5
00mlに加え更に五酸化バナジウム(V2 5 )4.
54gを加え、100℃で5時間リフラックスし均一な
溶液を得た。これに硝酸銅1.2gを加え溶解し、更に
硝酸セシウム17.5g及び硫酸アンモニウム((NH
4 2 SO4 )9.9gをイオン交換水150mlに溶
解したものを加えてスラリーとした。このスラリー中に
はMo12モルに対しアンモニウム根3モル、硫酸根
1.5モルを含んでおり、pHは約2.0であった。
【0041】このスラリーをロータリーエバポレーター
をを用いて濃縮し、120℃で乾燥した。このものはX
線回折、赤外分光によりケギン型ヘテロポリ酸の塩であ
った。これを窒素気流中435℃で5時間焼成したの
ち、グラファイトを加えて打錠成形した。更に空気中3
80℃で3時間焼成し触媒とした。触媒組成は実施例3
と同じである。実施例1と同様の活性試験の結果は、メ
タクロレイン転化率73.8%、メタクリル酸選択率7
6.8%であった。スラリーのpHが低いと、活性、選
択性共に低い。
【0042】実施例4 実施例2の触媒を用い寿命試験を行った。反応条件は実
施例1と同様であるが、長期運転の反応温度は300℃
とし、活性試験の時だけ280℃で行った。その結果、
試験開始後200日後の反応成績は、メタクロレイン転
化率92.3%、メタクリル酸選択率84.2%であっ
た。
【0043】比較例5 比較例3の触媒を用い実施例4と同様の寿命試験を行っ
た。200日後の反応成績は、メタクロレイン転化率7
0.6%、メタクリル酸選択率79.2%であり、実施
例4に比べ活性低下が大きい。
【0044】実施例5 実施例2の触媒を用い、イソブタンの酸化反応を行っ
た。触媒9gを内径15mmのガラス製反応管に充填し、
イソブタン42モル%、酸素33モル%、水蒸気12モ
ル%、残りが窒素からなる原料ガスを空間速度(STP
基準)600h-1で供給した。反応圧力1.5気圧とし
た。反応温度300℃とし反応開始15時間後に分析し
たところ、イソブタン転化率10.1%、メタクリル酸
選択率50.6%、メタクロレイン選択率13.2%で
あった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宇井 利明 愛媛県新居浜市惣開町5番1号 住友化 学工業株式会社内 (72)発明者 山本 哲也 愛媛県新居浜市惣開町5番1号 住友化 学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−63139(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 21/00 - 37/36 C07B 61/00 C07C 57/05

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 PaMobVcAsdXeYfOg (式中、P、Mo、V、As、Oはそれぞれリン、モリ
    ブデン、バナジウム、ヒ素及び酸素を表し、Xはカリウ
    ム、ルビジウム、セシウム及びタリウムからなる群より
    選ばれた少なくとも一種の元素を表し、Yは銅、銀、ビ
    スマス、鉄、コバルト、アンチモン、ランタン及びセリ
    ウムからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を表
    し、また添字a、b、c、d、e、f及びgは各元素の
    原子比を表し、b=12としたとき、a、c及びeは0
    (ゼロ)を含まない3以下の値、d及びfは0(ゼロ)
    を含む3以下の値、gは他の元素の原子価及び原子比に
    よって決まる値である)で示され、実質的にアンモニウ
    ム根及び硫酸根を含有しないヘテロポリ酸の部分中和塩
    からなるメタクリル酸製造用触媒を製造する際に、全て
    の触媒原料を水に溶解又は懸濁させた溶液のpHが3〜
    9の範囲になるようにアンモニウム根及び硫酸根を存在
    させ、該溶液を濃縮乾燥して得られる固体を不活性ガス
    雰囲気下に400〜500℃で焼成することを特徴とす
    るメタクリル酸製造用触媒の製造方法。
  2. 【請求項2】 全ての触媒原料を水に溶解又は懸濁させ
    た溶液を80〜250℃で飽和水蒸気存在下に1〜24
    時間加熱処理することを特徴とする請求項1記載のメタ
    クリル酸製造用触媒の製造方法。
  3. 【請求項3】 触媒原料を水に溶解又は懸濁させた溶液
    中のアンモニウム根、硫酸根の量が、モリブデン12モ
    ルに対してそれぞれ6〜18モル、0.1〜3モルであ
    る請求項1記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法。
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