JP4455081B2 - 酸化物触媒 - Google Patents

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Description

本発明は、プロパンの気相接触アンモ酸化反応によって不飽和ニトリル製造する際に、または気相接触酸化反応によって不飽和カルボン酸を製造する際に用いられる酸化物触媒に関する。
近年、プロピレンまたはイソブチレンに代わってプロパンまたはイソブタンを原料とし、気相接触アンモ酸化反応や気相接触酸化反応によって不飽和ニトリルや不飽和カルボン酸を製造する技術が着目されており、多数の酸化物触媒が提案されている。
それらの中でも特に注目されている酸化物触媒は、反応温度が低く、また不飽和ニトリルや不飽和カルボン酸の選択率が比較的高いMo−V−Te−NbまたはMo−V−Sb−Nbを含む酸化物触媒であり、これらを含む複合酸化物触媒が開示されている(例えば特許文献1〜14参照)。これらに開示された複合酸化物触媒において、最も多く含まれている金属はモリブデンである。従って、Mo−V−Te−NbまたはMo−V−Sb−Nbを含む酸化物触媒においてモリブデンは、触媒構造形成や触媒性能発現に中心的な役割を担う金属であると考えられる。
一般に、気相接触アンモ酸化反応や気相接触酸化反応では、水が反応副生成物として生成する。モリブデンを含む酸化物触媒を用いた気相接触アンモ酸化反応や気相接触酸化反応においては、モリブデンは、気相接触アンモ酸化反応や気相接触酸化反応で発生した水と化合して蒸気圧を有するモリブデン酸Mo(OH)へと変化し、このモリブデン酸はガス気流に乗って飛散し、この結果、触媒中のモリブデン量は減少していくと考えられる。(非特許文献1参照)。こうした理由から、モリブデンを含む複合酸化物触媒を用いたプロパンまたはイソブタンを原料とする気相接触アンモ酸化反応や気相接触酸化反応では、反応中にモリブデンが経時的に飛散していくために触媒が劣化し、触媒性能と生産性の低下を引き起こすという問題がある。また、飛散したモリブデンは反応器や反応ラインに固着し、汚れや閉塞を引き起こすという恐れもある。このため、モリブデンを含む複合酸化物触媒を用いて不飽和ニトリル、または不飽和カルボン酸を製造するにあたっては、反応中に飛散し失われたモリブデンを追添して、劣化した触媒の再賦活化を行ったり、反応器や反応ラインに固着したモリブデンを定期的に除去しなければならない、などという問題があった。
飛散性のモリブデンを含まない触媒として、Sb−Nb/Ta−Vを含む触媒など(特許文献9参照)が、Nb−Bi−Vを含む触媒など(特許文献10参照)が、W−Cr−Biを含む触媒など(特許文献11参照)が、Bi−Vを含む触媒など(特許文献12参照)が開示されている。また、モリブデン含有量が低い触媒として、鉄を主成分とするFe−Sb−Cr−Moを含む触媒など(特許文献13参照)が、Fe−Sb−V−Moを含む触媒など(特許文献14参照)が開示されているが、これらの触媒では500℃前後ないしはそれ以上の極めて高い反応温度を必要とするため、反応器の材質、製造コストなどの面で有利ではなく、目的生成物である不飽和ニトリル、または不飽和カルボン酸の選択率や収率も低い。
また、非特許文献2にはSbMoなる触媒が、非特許文献3にはアルミナに担持されたSbMoなる触媒が開示されている。これらの触媒はモリブデン含有量が低い触媒であるが、目的生成物であるアクリロニトリルの選択率が10%程度、またその収率は10%以下と低い。従って、モリブデン含有率を下げた複合酸化物触媒では、目的生成物である不飽和ニトリル、不飽和カルボン酸の選択率や収率などの反応成績が大きく低下するため、モリブデン含有率を下げた複合酸化物触媒は気相接触アンモ酸化反応や気相接触酸化反応には適さないという問題があった。
ところで、プロパンまたはイソブタンの気相接触アンモ酸化反応や気相接触酸化反応は発熱反応である。これらの反応の工業的実施にあたっては、反応系内の蓄熱を抑制して反応温度を均一に維持することが生産上、必要である。これらの点を考慮すると、反応方式として有利なものは除熱効率の高い流動床反応である。ところが流動床反応では、触媒流動に伴い、触媒間の衝突や触媒と反応器壁との衝突によって、触媒が磨耗し、この結果、触媒の流動性が低下するという問題がある。従って、流動床反応用触媒には磨耗に耐えうる充分な強度が求められる。そこで触媒強度を高めるため、シリカ、アルミナ、チタニア、シリカ−アルミナ、ジルコニア、珪藻土などが触媒担体として用いられる。これらの内、好ましい担体はシリカである。こうした担体に触媒を担持し、流動床反応には担持触媒として供される。
ところが、特許文献5には「一般的に触媒成分に不活性向き粒子な部分を混合すれば、触媒としての機械的強度は向上しても、一方では触媒としての活性低下が避けられないと考えられる」という記述がある。即ち、流動床反応に必要な触媒強度を賦与するために、触媒を担体に担持すると、担体が加わった分、反応に関わる触媒成分は減少することになり、担体を用いない場合に比べ、性能の低下が避けられないという問題があった。一方、性能の低下を嫌い、担体量を少なくした担持触媒では、触媒の流動性が悪く、また流動床反応に耐え得るだけの触媒強度がないために、流動床反応用触媒として不適であるという問題があった。
こうした理由から、プロパンまたはイソブタンの気相接触アンモ酸化反応や気相接触酸化反応に用いられるモリブデンを含む触媒で、モリブデンの飛散が少なく、かつ触媒担体であるシリカ量を高めた担持触媒であっても、目的生成物である不飽和ニトリル、不飽和カルボン酸の選択率などの反応成績が良好な触媒の開発が切望されていた。
特開平2−257号公報 特開平5−148212号公報 特開平6−227819号公報 特開平6−285372号公報 特開平7−144132号公報 特開平8−141401号公報 特開平9−157241号公報 特開平10−310539号公報 特開平11−246505号 特開2000−117103号 特開平10−87513号 特開昭63−295545号公報 特開2000−351760号 特開平11−2460504号
ビュッテン(J.Buiten)、Oxidation of propylen by means of SnO2−MoO3 catalysts、「ジャーナル オブ キャタリシス(Journal of catalysis)」(オランダ)、エルセビア(Elsevier)、1968年、188−199頁 ガブリエル・センチ(Centi, Gabriele)ら、Design of catalysts for propane ammoxidation to acrylonitrile、「キミーチャ エ リンダストリア(Chimica e l’Industria)」(イタリア)、ボローニャ大学、1990年、72巻、617−624 ガブリエル・センチ(Centi, Gabriele)ら、Synthesis of Acrylonitrile from Propane on V−Sb−based Mixed Oxides、「ニュー・デベロップメント・イン・」セレクティブ・オキシデーション(New Development in Selective Oxidation)」(オランダ)、エルセビア(Elsevier)、1990年、515−525頁
本発明の目的は、プロパンの気相接触アンモ酸化反応によって不飽和ニトリルを、または気相接触酸化反応によって不飽和カルボン酸を製造するにあたり、モリブデン、バナジウム、アンチモン、およびニオブを含有する複合酸化物触媒において、モリブデンの飛散が少なく、触媒担体であるシリカ量を高めた担持触媒であっても、不飽和ニトリルまたは不飽和カルボン酸の選択率が良好な複合酸化物触媒を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定組成を有する酸化物触媒は、シリカに担持した状態でも、プロパンの気相接触アンモ酸化反応や気相接触酸化反応によって生成する不飽和ニトリルまたは不飽和カルボン酸の選択率が良好であり、それに加えてモリブデンの飛散が少ないことを見いだし、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、
(1)プロパンの気相接触アンモ酸化反応による不飽和ニトリルの製造、または気相接触酸化反応による不飽和カルボン酸を製造に用いられる化学式(I)で示される成分組成を有する酸化物触媒であって、CuKα線をX線源として得られるX線回折図において、回折角(2θ)が22.1±0.3°、28.1±0.3°、36.1±0.3°および45.2±0.3°の位置、または7.8±0.3°、8.9±0.3°、22.1±0.3°、27.1±0.3°、35.2±0.3°および45.2±0.3°の位置、または7.8±0.3°、8.9±0.3°、22.1±0.3°、27.1±0.3°、28.1±0.3°、35.2±0.3°、36.1±0.3°および45.2±0.3°の位置に回折ピークをもつことを特徴とする酸化物触媒。
MoSbNb(I)
(式中、ZはW、Cr、Ti、Al、Ta、Zr、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Zn、B、Ga、In、Ge、Sn、P、Pb、Bi、Y、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。a、b、c、dおよびnはMo1原子あたりの原子比を表す。1.0≦(a+b+c)≦1.5であり、a、b、c、dは各々0.01≦a≦1.0、0.01≦b≦1.0、0.01≦c≦1.0、0≦d≦1.0であり、そしてnは構成金属の酸化状態によって決まる原子比である。)
(2)シリカ担体を含有する成分組成が化学式(I)で示される酸化物触媒であって、該シリカ担体の含有量が、該酸化物触媒とSiO換算の該シリカ担体との合計重量に対し、20〜60重量%であることを特徴とする(1)に記載の酸化物触媒。
(3)成分組成が化学式(I)で示される酸化物触媒の成分を有する原料調合液から得られる乾燥粉体を実質的に酸素を含まないガス雰囲気下、500〜700℃で焼成されて製造されることを特徴とする(1)又は(2)に記載の酸化物触媒。
(4)成分組成が式(I)で示される酸化物触媒が、ヒドロキシル基含有化合物および/またはジカルボン酸化合物を含む原料調合液を用いて製造されることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の酸化物触媒。
(5)プロパンの気相接触アンモ酸化反応によって不飽和ニトリルを製造する方法において、(1)から(4)のいずれかに記載の酸化物触媒を用いることを特徴とする不飽和ニトリルの製造方法。
(6)プロパンの気相接触酸化反応によって不飽和カルボン酸を製造する方法において、(1)から(4)のいずれかに記載の酸化物触媒を用いることを特徴とする不飽和カルボン酸の製造方法、
に関するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の酸化物触媒は、下記化学式(I)で示される成分組成を有する。
MoSbNb(I)
(式中、ZはW、Cr、Ti、Al、Ta、Zr、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Zn、B、Ga、In、Ge、Sn、P、Pb、Bi、Y、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。a、b、c、dおよびnはMo1原子あたりの原子比を表す。1.0≦(a+b+c)≦1.5であり、a、b、c、dは各々0.01≦a≦1.0、0.01≦b≦1.0、0.01≦c≦1.0、0≦d≦1.0であり、そしてnは構成金属の酸化状態によって決まる原子比である。)
(a+b+c)は1.0≦(a+b+c)≦1.5、好ましくは1.1≦(a+b+c)≦1.5である。(a+b+c)がこれらの範囲内の場合、触媒の活性またはアクリロニトリルの選択率またはアクリル酸の選択率が高い。
aは0.01≦a≦1.0、好ましくは0.2≦a≦0.8、特に好ましくは0.3≦a≦0.7である。aがこれらの範囲内の場合、触媒の活性またはアクリロニトリルの選択率またはアクリル酸の選択率が高い。
cは0.01≦c≦1.0、好ましくは0.05≦c≦0.6、特に好ましくは0.1≦c≦0.4である。cがこれらの範囲内の場合、触媒の活性またはアクリロニトリルの選択率またはアクリル酸の選択率が高い。
dは0≦d≦1.0、好ましくは0≦d≦0.2、特に好ましくは0≦d≦0.08である。dがこれらの範囲内の場合、触媒の活性またはアクリロニトリルの選択率またはアクリル酸の選択率が高い。
bについては、(a+b+c)が(1)1.1≦(a+b+c)≦1.5と(2)1.0≦(a+b+c)<1.1の二つの場合で説明する。
(1)1.1≦(a+b+c)≦1.5の場合
bは0.01≦b≦1.0、好ましくは0.10≦b≦0.8、特に好ましくは0.15≦b≦0.4である。bがこれらの範囲内の場合、触媒の活性またはアクリロニトリルの選択率またはアクリル酸の選択率が高い。
bが上記の範囲の場合、(a+b+c)は1.1≦(a+b+c)≦1.5、好ましくは1.1≦(a+b+c)≦1.25である。(a+b+c)がこれらの範囲内の場合、触媒の活性またはアクリロニトリルの選択率またはアクリル酸の選択率が高い。
また、bが上記の範囲の場合、aは0.01≦a≦1.0、好ましくは0.2≦a≦0.8、特に好ましくは0.4≦a≦0.7である。aがこれらの範囲内の場合、触媒の活性またはアクリロニトリルの選択率またはアクリル酸の選択率が高い。
また、bが上記の範囲の場合、cは0.01≦c≦1.0、好ましくは0.05≦c≦0.6、特に好ましくは0.13≦c≦0.4である。cがこれらの範囲内の場合、触媒の活性またはアクリロニトリルの選択率またはアクリル酸の選択率が高い。
また、bが上記の範囲の場合、dは0≦d≦1.0、好ましくは0≦d≦0.2、特に好ましくは0≦d≦0.08である。dがこれらの範囲内の場合、触媒の活性またはアクリロニトリルの選択率またはアクリル酸の選択率が高い。
(2)1.0≦(a+b+c)<1.1の場合
bは0.01≦b<0.22および0.23≦b≦0.5、好ましくは0.05≦b<0.22および0.23≦b≦0.45、特に好ましくは0.10≦b<0.22および0.23≦b≦0.40である。bがこれらの範囲内の場合、触媒の活性またはアクリロニトリルの選択率またはアクリル酸の選択率が高い。
bが上記の範囲の場合、aは0.01≦a≦0.98、好ましくは0.2≦a≦0.8、特に好ましくは0.3≦a≦0.7である。aがこれらの範囲内の場合、触媒の活性またはアクリロニトリルの選択率またはアクリル酸の選択率が高い。
また、bが上記の範囲の場合、cは0.01≦c≦0.98、好ましくは0.05≦c≦0.6、特に好ましくは0.13≦c≦0.4である。cがこれらの範囲内の場合、触媒の活性またはアクリロニトリルの選択率またはアクリル酸の選択率が高い。
また、bが上記の範囲の場合、dは0≦d≦0.97、好ましくは0≦d≦0.2、特に好ましくは0≦d≦0.08である。dがこれらの範囲内の場合、触媒の活性またはアクリロニトリルの選択率またはアクリル酸の選択率が高い。
Z成分としては、W、Cr、Ti、Al、Ta、Zr、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Zn、B、Ga、In、Ge、Sn、P、Pb、Bi、Y、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Zは好ましくはW、Cr、Ti、Al、Ta、Zr、Hf、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Zn、In、Ge、Sn、Pb、Y、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素である。
本発明の酸化物触媒は、CuKα線をX線源として得られるX線回折図において、回折角(2θ)が22.1±0.3°、28.1±0.3°、36.1±0.3°および45.2±0.3°の位置、または7.8±0.3°、8.9±0.3°、22.1±0.3°、27.1±0.3°、35.2±0.3°および45.2±0.3°の位置、または7.8±0.3°、8.9±0.3°、22.1±0.3°、27.1±0.3°、28.1±0.3°、35.2±0.3°、36.1±0.3°および45.2±0.3°の位置にピークを示すことが好ましい。特に、回折角(2θ)が7.8±0.3°、8.9±0.3°、22.1±0.3°、27.1±0.3°、28.1±0.3°、35.2±0.3°、36.1±0.3°および45.2±0.3°の位置にピークを示すことが好ましい。なお、本発明においては、X線回折は以下の条件下で行う。
管電圧 :40kV
管電流 :190mA
発散スリット :1°
散乱スリット :1°
受光スリット :0.3mm
スキャン速度 :5°/分
サンプリング幅 :0.02°
X線回折図において上記のような位置にピークを示す酸化物触媒は、活性および目的物の選択率が高いので特に好ましい。このような酸化物触媒の活性および目的物の選択率が高い理由は明らかではないが、このような酸化物触媒には、CuKα線をX線源として得られるX線回折図において、回折角(2θ)が22.1±0.3°、28.1±0.3°、36.1±0.3°および45.2±0.3°の位置にピークを示す酸化物;および/またはCuKα線をX線源として得られるX線回折図において、回折角(2θ)が7.8±0.3°、8.9±0.3°、22.1±0.3°、27.1±0.3°、35.2±0.3°および45.2±0.3°の位置にピークを示す酸化物が含まれており、これが酸化物触媒の性能向上に寄与しているものと推定される。本発明の酸化物触媒は、触媒としての使用に支障がない限り、CuKα線をX線源として得られるX線回折図において、上記以外の強いピークを示すものであってもよい。
以降、CuKα線をX線源として得られるX線回折図において、回折角(2θ)がx±0.3°の位置に観測されるピークをPと称する。例えば、回折角(2θ)が7.8±0.3°の位置に観測されるピークをP7.8と称する。本発明においては、P22.1の強度を100としたとき、P7.8の強度が0.5〜30、P8.9の強度が0.5〜30、P27.1の強度が3〜90、P28.1の強度が10〜300、P35.2の強度が0.5〜30、P36.1の強度が5〜50、P45.2の強度が3〜30の範囲にあることが好ましい。ピークの強度は以下のようにして求めることができる。
例として、P27.1およびP28.1の強度を求める方法につき、図1のX線回折図(実施例1で得られたアンモ酸化触媒のX線回折図)の拡大図である図2を参照しながら説明する。図2には、回折角(2θ)が約25〜30°の範囲が示されている。図2において、A1とA2それぞれ、P27.1およびP28.1の頂点を表わす。B1、B2およびB3はそれぞれ、回折角(2θ)が26.4゜±0.3゜の範囲、27.6゜±0.3゜の範囲および28.8゜±0.3゜の範囲において、X線回折図の曲線が最小の強度値を示す点を表わす。
これらの回折角(2θ)の範囲は、適切なベースライン(即ち、B1、B2およびB3を結ぶ線)を求めるために選択されたものである。本発明においては通常、X線回折図の曲線が最小の強度値を示す点は、2θ軸および強度軸を軸とする座標においてX線回折図を見たとき、X線回折図の曲線に対する接線の傾きが負から正に変化する点、またはX線回折図の曲線に対する接線の傾きが0に収束する点に相当する。C1は、P27.1の頂点A1から2θ軸に向かって下ろした垂線と、上記点B1とB2とを結ぶ線分の交点であり、C2は、P28.1の頂点A2から2θ軸に向かって下ろした垂線と、上記点B2とB3とを結ぶ線分の交点である。P27.1の強度は、このピークの頂点A1から点C1に至る線分A1C1の長さである。
またP28.1の強度は、このピークの頂点A2から点C2に至る線分A2C2の長さである。その他のピークの強度も同様に定義される。P7.8の強度は、回折角(2θ)が7.1゜±0.3゜の範囲において、X線回折図の曲線が最小の強度値を示す点と、回折角(2θ)が9.1゜±0.3゜の範囲において、X線回折図の曲線が最小の強度値を示す点とを結ぶ線分と、P7.8の頂点から2θ軸に向かって下ろした垂線との交点から、P7.8の頂点に至る線分の長さである。P8.9の強度は、回折角(2θ)が7.1゜±0.3゜の範囲において、X線回折図の曲線が最小の強度値を示す点と、回折角(2θ)が9.1゜±0.3゜の範囲において、X線回折図の曲線が最小の強度値を示す点とを結ぶ線分と、P8.9の頂点から2θ軸に向かって下ろした垂線との交点から、P8.9の頂点に至る線分の長さである。
22.1の強度は、回折角(2θ)が21.1±0.3゜の範囲において、X線回折図の曲線が最小の強度値を示す点と、回折角(2θ)が22.9±0.3゜の範囲において、X線回折図の曲線が最小の強度値を示す点とを結ぶ線分と、P22.1の頂点から2θ軸に向かって下ろした垂線との交点から、P22.1の頂点に至る線分の長さである。P35.2の強度は、回折角(2θ)が34.5±0.3゜の範囲において、X線回折図の曲線が最小の強度値を示す点と、回折角(2θ)が35.7±0.3゜の範囲において、X線回折図の曲線が最小の強度値を示す点とを結ぶ線分と、P35.2の頂点から2θ軸に向かって下ろした垂線との交点から、P35.2の頂点に至る線分の長さである。
36.1の強度は、回折角(2θ)が35.7±0.3゜の範囲において、X線回折図の曲線が最小の強度値を示す点と、回折角(2θ)が36.5±0.3゜の範囲において、X線回折図の曲線が最小の強度値を示す点とを結ぶ線分と、P36.1の頂点から2θ軸に向かって下ろした垂線との交点から、P36.1の 頂点に至る線分の長さである。P45.2の強度は、回折角(2θ)が44.5±0.3゜の範囲において、X線回折図の曲線が最小の強度値を示す点と、回折角(2θ)が45.8±0.3゜の範囲において、X線回折図の曲線が最小の強度値をす点とを結ぶ線分と、P45.2の頂点から2θ軸に向かって下ろした垂線との交点から、P45.2の頂点に至る線分の長さである。
本発明においては、下記式(II)
R=I27.1/(I27.1+I28.1) (II)
〔式中、I27.1はP27.1(回折角(2θ)が27.1±0.3°の位置に観測されるピーク)の強度を表わし、I28.1はP28.1(回折角(2θ)が28.1±0.3°の位置に観測されるピーク)の強度を表わす。〕によって定義される強度比Rが、0.01〜0.90の範囲にあることが好ましく、0.03〜0.80の範囲にあることがより好ましく、0.05〜0.70の範囲にあることが特に好ましい。
本発明の触媒を製造するための成分金属の原料は下記の化合物を用いることができる。
モリブデン原料としては、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸化物、モリブデン酸、モリブデンのオキシ塩化物、モリブデンの塩化物、モリブデンのアルコキシド等を用いることができ、好ましくはヘプタモリブデン酸アンモニウムである。
バナジウム原料としては、メタバナジン酸アンモニウム、酸化バナジウム(V)、バナジウムのオキシ塩化物、バナジウムのアルコキシド等を用いることができ、好ましくはメタバナジン酸アンモニウム、酸化バナジウム(V)である。
アンチモン原料としては、酸化アンチモン(III)、酸化アンチモン(IV)、酸化アンチモン(V)、メタアンチモン酸(III)、アンチモン酸(V)、アンチモン酸アンモニウム(V)、塩化アンチモン(III)、塩化酸化アンチモン(III)、硝酸酸化アンチモン(III)、アンチモンのアルコキシド、アンチモンの酒石酸塩等の有機酸塩、金属アンチモン等を用いることができ、好ましくは酸化アンチモン(III)である。
ニオブ原料としては、ニオブ酸、NbCl、NbCl、Nb(OC、ニオブ酸をジカルボン酸化合物溶液に溶解させて得られるニオブのジカルボン酸化合物水溶液等を例示することができる。好ましくはニオブ酸をジカルボン酸化合物水溶液に溶解させて得られるニオブのジカルボン酸化合物の水溶液である。
Z成分の原料としては、Z成分のシュウ酸塩、水酸化物、酸化物、硝酸塩、酢酸塩、アンモニウム塩、炭酸塩、アルコキシド等を用いることができる。
触媒担体であるシリカの原料としては、シリカゾル、粉体シリカ、シリカ成形体、シリカゲルなどを用いることができる。触媒調製工程の後に担体成分を生成する原料を用いることもできる。シリカの原料としてはアンモニウムイオンで安定化したシリカゾル、粉体シリカが好ましい。シリカゾル、粉体シリカは単独で用いても、シリカゾルと粉体シリカを混合して用いてもよい。
シリカの重量%は、(III)式の酸化物触媒の重量をW1、シリカ(SiO)の重量をW2として、下記の式(III)式で定義される。
シリカの重量%={W2/(W1+W2)}×100 (III)
(但し、W1は仕込み組成と仕込み金属成分の酸化数に基づいて算出された重量であるW2は、仕込み組成に基づいて算出された重量である。)。担持させるシリカ量は、好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは20〜55重量%である。シリカ担持量がこれらの範囲よりも低い場合、流動床反応用触媒として触媒強度が充分ではなく、またこれらの範囲よりも高い場合、触媒活性またはアクリロニトリルの選択率またはアクリル酸の選択率が低い。
ジカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸が好ましく、特に好ましいのはシュウ酸である。
ヒドロキシル基含有化合物は、過酸化水素または/およびモノオキシ多価カルボン酸であることが好ましいが、特に好ましくは過酸化水素である。モノオキシ多価カルボン酸としては、特開2002−159853号記載の化合物を例示することができる。
原料調合液の製造に用いるヒドロキシル基含有化合物/成分金属のモル比は好ましくは0.2〜10である。成分金属とは、成分組成が化学式(I)で示される酸化物触媒に含まれる全ての金属元素である。
ヒドロキシル基含有化合物が過酸化水素である場合を詳細に説明する。
過酸化水素/成分金属のモル比は好ましくは0.2〜10であり、より好ましくは0.4〜8であり、特に好ましくは2〜6である。
過酸化水素/成分金属のモル比とは、モリブデン、バナジウム、アンチモン、ニオブ、その他の構成元素Zの原料がそれぞれの元素の最高酸化数、すなわちモリブデンであれば6価、バナジウムであれば5価、アンチモンであれば5価、ニオブであれば5価、その他の構成元素ZであればZの最高酸化数の原料を用いていれば、原料調合液中の成分金属のモル数に対して、添加した過酸化水素のモル数の比である。ここでZの最高酸化数とは、Zがタングステンの場合は6価、クロムの場合は6価、チタンの場合は4価、アルミニウムの場合は3価、タンタルの場合は5価、ジルコニウムの場合は4価、ハフニウムの場合は4価、マンガンの場合は7価、レニウムの場合は7価、鉄の場合は3価、ルテニウムの場合は4価、コバルトの場合は3価、ロジウムの場合は4価、ニッケルの場合は3価、パラジウムの場合は4価、白金の場合は4価、亜鉛の場合は2価、ホウ素の場合は3価、ガリウムの場合は3価、インジウムの場合は3価、ゲルマニウムの場合は4価、スズの場合は4価、リンの場合は5価、鉛の場合は4価、ビスマスの場合は5価、イットリウムの場合は3価、セリウムの場合は4価、セリウムを除く希土類の場合は3価である。
一方、最高酸化数でない元素を用いた場合、添加した過酸化水素のモル数とは、実際に添加した過酸化水素のモル数から、該元素を最高酸化数にするのに必要な過酸化水素のモル数を引いた過酸化水素のモル数である。最高酸化数でない元素が複数あれば、添加した過酸化水素のモル数とは、それぞれの元素を最高酸化数にするのに必要な過酸化水素のモル数を求めその合計を、実際に添加した過酸化水素のモル数から引いた過酸化水素のモル数である。最高酸化数でない元素を最高酸化数にするのに必要な過酸化水素のモル数とは、元素Mの最高酸化数がnである場合に、(n−p)価の元素Mをqモル用いた場合は、(p×q/2)モルである。
本発明の酸化物触媒の製造方法は、原料調合工程、乾燥工程及び焼成工程の3つの工程からなる。以下に原料調合工程、乾燥工程について、具体例を挙げて説明する。原料調合液とは原料調合工程で得られ、次の乾燥工程に供する前の触媒構成元素を全て含む液である。
<原料調合工程>
ヒドロキシル基含有化合物および/またはジカルボン酸は、モリブデン原料、バナジウム原料、アンチモン原料、ニオブ原料それぞれに添加しても、これらの原料混合液に添加してもよい。
ニオブ原料として、ニオブ酸をシュウ酸水溶液に溶解させて得られるニオブ−シュウ酸水溶液を用いる場合と、該ニオブ−シュウ酸水溶液に過酸化水素水を添加したニオブ−シュウ酸−過酸化水素水溶液を用いる場合と、ニオブ−シュウ酸−過酸化水素水溶液に酸化アンチモン(III)を添加したニオブ―アンチモン−シュウ酸−過酸化水素水溶液を用いる場合とで説明する。ニオブ―アンチモン−シュウ酸−過酸化水素水溶液において、ニオブ−シュウ酸−過酸化水素水溶液に添加する酸化アンチモン(III)モル数は、成分組成MoSbNbで示されるニオブのモル数の1/2以下(c/2)とすることが好ましい。
(1)ニオブ−シュウ酸水溶液を用いる場合
ヘプタモリブデン酸アンモニウムを溶解させた水溶液に、酸化アンチモン(III)、メタバナジン酸アンモニウムを添加し、水浴中または油浴中にて80〜140℃で反応させ、モリブデン−アンチモン−バナジウム原料液を得る。ヘプタモリブデン酸アンモニウムを水に溶解させ、モリブデン水溶液を得る。得られたモリブデン−アンチモン−バナジウム原料液、モリブデン水溶液、過酸化水素水、ニオブ−シュウ酸水溶液を混合して原料調合液を製造する。該モリブデン−アンチモン−バナジウム原料液は冷却して用いてもよい。該モリブデン水溶液は用いなくてもよい。
または、ヘプタモリブデン酸アンモニウムを溶解させた水溶液に、酸化アンチモン(III)、過酸化水素水を添加し、水浴中または油浴中にて80〜140℃で反応させ、モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液を得る。ヘプタモリブデン酸アンモニウムを水に溶解させ、モリブデン水溶液を得る。メタバナジン酸アンモニウムは過酸化水素水溶液に溶解させ、バナジウム−過酸化水素水溶液を得る。得られたモリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液、モリブデン水溶液、バナジウム−過酸化水素水溶液、ニオブ−シュウ酸水溶液を混合して原料調合液を製造する。該モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液は冷却して用いてもよい。該モリブデン水溶液は用いなくてもよい。
または、ヘプタモリブデン酸アンモニウムを溶解させた水溶液に、酸化アンチモン(III)、過酸化水素水を添加し、水浴中または油浴中にて80〜140℃で反応させ、モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液を得る。ヘプタモリブデン酸アンモニウムを水に溶解させ、モリブデン水溶液を得る。得られたモリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液、モリブデン水溶液、メタバナジン酸アンモニウム、ニオブ−シュウ酸水溶液を混合して原料調合液を製造する。該モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液は冷却して用いてもよい。該モリブデン水溶液は用いなくてもよい。
(2)ニオブ−シュウ酸−過酸化水素水溶液を用いる場合
ヘプタモリブデン酸アンモニウムを溶解させた水溶液に、酸化アンチモン(III)、メタバナジン酸アンモニウムを添加し、水浴中または油浴中にて80〜140℃で反応させ、モリブデン−アンチモン−バナジウム原料液を得る。ヘプタモリブデン酸アンモニウムを水に溶解させ、モリブデン水溶液を得る。得られたモリブデン−アンチモン−バナジウム原料液、モリブデン水溶液、過酸化水素水、ニオブ−シュウ酸−過酸化水素水溶液を混合して原料調合液を製造する。該モリブデン−アンチモン−バナジウム原料液は冷却して用いてもよい。該モリブデン水溶液は用いなくてもよい。
または、ヘプタモリブデン酸アンモニウムを溶解させた水溶液に、酸化アンチモン(III)、過酸化水素水を添加し、水浴中または油浴中にて80〜140℃で反応させ、モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液を得る。ヘプタモリブデン酸アンモニウムを水に溶解させ、モリブデン水溶液を得る。メタバナジン酸アンモニウムは過酸化水素水溶液に溶解させ、バナジウム−過酸化水素水溶液を得る。得られたモリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液、モリブデン水溶液、バナジウム−過酸化水素水溶液、ニオブ−シュウ酸−過酸化水素水溶液を混合して原料調合液を製造する。該モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液は冷却して用いてもよい。該モリブデン水溶液は用いなくてもよい。
または、ヘプタモリブデン酸アンモニウムを溶解させた水溶液に、酸化アンチモン(III)、過酸化水素水を添加し、水浴中または油浴中にて80〜140℃で反応させ、モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液を得る。ヘプタモリブデン酸アンモニウムを水に溶解させ、モリブデン水溶液を得る。得られたモリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液、モリブデン水溶液、メタバナジン酸アンモニウム、ニオブ−シュウ酸−過酸化水素水溶液を混合して原料調合液を製造する。該モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液は冷却して用いてもよい。該モリブデン水溶液は用いなくてもよい。
(3)ニオブ−アンチモン−シュウ酸−過酸化水素水溶液を用いる場合
ヘプタモリブデン酸アンモニウムを溶解させた水溶液に、酸化アンチモン(III)、メタバナジン酸アンモニウムを添加し、水浴中または油浴中にて80〜140℃で反応させ、モリブデン−アンチモン−バナジウム原料液を得る。ヘプタモリブデン酸アンモニウムを水に溶解させ、モリブデン水溶液を得る。得られたモリブデン−アンチモン−バナジウム原料液、モリブデン水溶液、過酸化水素水、ニオブ―アンチモン−シュウ酸−過酸化水素水溶液を混合して原料調合液を製造する。該モリブデン−アンチモン−バナジウム原料液は冷却して用いてもよい。該モリブデン水溶液は用いなくてもよい。
または、ヘプタモリブデン酸アンモニウムを溶解させた水溶液に、酸化アンチモン(III)、過酸化水素水を添加し、水浴中または油浴中にて80〜140℃で反応させ、モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液を得る。ヘプタモリブデン酸アンモニウムを水に溶解させ、モリブデン水溶液を得る。メタバナジン酸アンモニウムは過酸化水素水溶液に溶解させ、バナジウム−過酸化水素水溶液を得る。得られたモリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液、モリブデン水溶液、バナジウム−過酸化水素水溶液、ニオブ―アンチモン−シュウ酸−過酸化水素水溶液を混合して原料調合液を製造する。該モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液は冷却して用いてもよい。該モリブデン水溶液は用いなくてもよい。
または、ヘプタモリブデン酸アンモニウムを溶解させた水溶液に、酸化アンチモン(III)、過酸化水素水を添加し、水浴中または油浴中にて80〜140℃で反応させ、モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液を得る。ヘプタモリブデン酸アンモニウムを水に溶解させ、モリブデン水溶液を得る。得られたモリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液、モリブデン水溶液、メタバナジン酸アンモニウム、ニオブ―アンチモン−シュウ酸−過酸化水素水溶液を混合して原料調合液を製造する。該モリブデン−アンチモン−過酸化水素水原料液は冷却して用いてもよい。該モリブデン水溶液は用いなくてもよい。
シリカ担持酸化物触媒を製造する場合には、上記調合順序のいずれかのステップにおいて、シリカゾル、粉体シリカを添加して原料調合液を得ることができる。シリカゾル、粉体シリカは単独で用いても、シリカゾルと粉体シリカを混合して用いてもよい。
Z成分を含む酸化物触媒を製造する場合には、上記調合順序のいずれかのステップにおいて、Z成分を含む原料を添加して原料調合液を得ることができる。
<乾燥工程>
原料調合工程で得られた触媒原料液を噴霧乾燥法または蒸発乾固法によって乾燥させ、乾燥粉体を得る。噴霧乾燥法における噴霧化は、遠心方式、二流体ノズル方式または高圧ノズル方式を採用することができる。乾燥熱源は、スチーム、電気ヒーターなどによって加熱された空気を用いることができる。このとき熱風の乾燥機入口温度は150〜300℃が好ましい。噴霧乾燥は簡便には、100℃〜300℃に加熱された鉄板上へ触媒原料液を噴霧することによって行うこともできる。蒸発乾固は、100℃〜300℃に加熱された試験管、るつぼなど、水分を蒸発させることのできる容器内へ触媒原料液を滴下することによって、簡便に行うこともできる。
<焼成工程>
乾燥工程で得られた乾燥粉体を焼成することによって酸化物触媒を得る。焼成は回転炉、トンネル炉、管状炉、流動焼成炉等を用いる。焼成は、大気雰囲気下、または実質的に酸素を含まない窒素等の不活性ガス雰囲気下または流通下で行われるが、好ましくは実質的に酸素を含まない窒素等の不活性ガス雰囲気下または流通下である。さらに好ましくは不活性ガスを流通させながら500〜700℃、特に好ましくは570〜670℃で実施することができる。焼成時間は0.5〜5時間、好ましくは1〜3時間である。不活性ガス中の酸素濃度は、ガスクロマトグラフィーまたは微量酸素分析計で測定して1000ppm以下、好ましくは100ppm以下である。焼成は反復することができる。この焼成の前に大気雰囲気下または大気流通下で200℃〜420℃、好ましくは250℃〜350℃で10分〜5時間前焼成することができる。また焼成の後に大気雰囲気下で200℃〜400℃、5分〜5時間後焼成することもできる。
このようにして製造された酸化物触媒は、プロパンを気相接触アンモ酸化させて不飽和ニトリルを製造する際の触媒として使用できる。また、プロパンを気相接触酸化させて不飽和カルボン酸を製造する際の触媒としても使用できる。好ましくは不飽和ニトリルの製造用の触媒として使用することである。
不飽和ニトリルの製造に用いる、プロパンとアンモニアの供給原料は必ずしも高純度である必要はなく、工業グレードのガスを使用することができる。
反応系に供給する酸素源として空気、酸素を富化した空気、または純酸素を用いることができる。更に、水蒸気、ヘリウム、アルゴン、炭酸ガス、窒素などを供給してもよい。
気相接触アンモ酸化の場合は、反応系に供給されるアンモニアのプロパンに対するモル比は0.1〜1.5、好ましくは0.2〜1.2である。反応系に供給される分子状酸素のプロパンに対するモル比は、0.2〜6、好ましくは0.4〜4である。
気相接触酸化の場合は、反応系に供給される分子状酸素のプロパンに対するモル比は、0.1〜10、好ましくは0.1〜5である。反応系に水蒸気の添加が好ましいが、反応系に供給される水蒸気のプロパンに対するモル比は0.1〜70、好ましくは0.5〜40である。
反応圧力は絶対圧で0.01〜1MPa、好ましくは0.02〜0.3MPaである。
反応温度は300℃〜600℃、好ましくは350℃〜470℃である。
接触時間は0.1〜30(g・s/ml)、好ましくは0.5〜10(g・s/ml)である。
反応は、固定床、流動床、移動床など従来の方式を採用できるが、反応制御の容易さから流動床が好ましい。反応は単流方式でもリサイクル方式でもよい。
本発明方法によれば、比較的低い温度にて、プロパンから良好な選択率で不飽和ニトリルや不飽和カルボン酸を製造することができる。その上、モリブデンの飛散を抑制できる。その結果、反応の選択率を維持することができ、不飽和ニトリル、不飽和カルボン酸が効率的に製造されるのみならず、反応中のモリブデンの追添作業や、飛散したモリブデンの除去作業頻度が軽減されるため、反応の運転性が著しく向上される。
以下に、本発明をプロパンのアンモ酸化反応、プロパンの酸化反応の実施例で説明する。各例において、プロパン転化率、アクリロニトリル選択率、アクリル酸選択率は、それぞれ次の定義に従う。
プロパン転化率(%)=(反応したプロパンのモル数)/(供給したプロパンのモル数)×100
アクリロニトリル選択率(%)=(生成したアクリロニトリルのモル数)/(反応したプロパンのモル数)×100
アクリル酸選択率(%)=(生成したアクリル酸のモル数)/(反応したプロパンのモル数)×100
酸化物触媒のX線回折(XRD);酸化物触媒を日本国マックサイエンス(株)製MXP−18型X線回折装置を用いるX線回折に付し、X線回折図を得た。試料の調製方法とX線回折の条件は以下の通りである。
(試料の調製)
酸化物触媒約0.5gをメノウ乳鉢にとり、メノウ乳棒を用いて2分間徒手的に粉砕した後に分級し、粒子径53μm以下の触媒粉末を得た。得られた触媒粉末を、XRD測定用の試料台の表面にある窪み(長さ20mm、幅16mmの長方形状、深さ0.2mm)に乗せ、平板状のステンレス製スパチュラを用いて押しつけて、表面を平らにした。
(測定条件)
X線回折図は以下の条件で得た。
X線源 :CuKα1+CuKα2
検出器 :シンチレーションカウンター
分光結晶 :グラファイト
管電圧 :40kV
管電流 :190mA
発散スリット :1°
散乱スリット :1°
受光スリット :0.3mm
スキャン速度 :5°/分
サンプリング幅 :0.02°
スキャン法 :2θ/θ法
回折角(2θ)の補正は、シリコン粉末について得られたX線回折データを用いてキャリブレーションすることで行った。X線回折図のスムージング処理を行ってもよい。
得られたX線回折図に関し、強度比Rを下記式(II)によって定義する。
R=I27.1/(I27.1+I28.1)・・・(II)
(式中、I27.1はP27.1(回折角(2θ)が27.1±0.3°の位置に観測されるピーク)の強度を表わし、I28.1はP28.1(回折角(2θ)が28.1±0.3°の位置に観測されるピーク)の強度を表わす。)
モリブデン飛散実験;モリブデンの飛散は、長期間の反応を行って、適宜、触媒を反応器から抜き出し、触媒中の残存モリブデン量を測定することで評価するが、本発明者らは非特許文献1に示された方法に従い、水蒸気−不活性ガス混合ガスを流通させるモリブデン飛散加速実験を行った。
(実験条件)
内径25mmのバイコールガラス流動用型反応管に、触媒50gを充填し、反応温度500℃(内温)と反応圧力6.87MPa(ゲージ圧)の条件下に、ヘリウム:水蒸気のモル比=1:3の混合ガスを、接触時間7.0(=W/F×60×273/(273+T)×((P×0.102+0.101)/0.101))(g・s/ml)となるよう、流量F(ml/min)で流通させた。
(飛散モリブデンの評価)
未反応触媒および48時間連続反応後の触媒をそれぞれ5g、日陶科学(株)製ニット−自動乳鉢ANM1000型を用いて2時間粉砕した後、塩ビ製リング(30mm錠剤成型用:外径38mm、内径31mm、厚さ5mm)を用いて錠剤に成型した(成型圧:245GPa、成型圧加圧時間:65秒)。得られた錠剤をリガク(株)製RIX3000型蛍光X線分析装置(管球:Rh)を用いて、錠剤中のモリブデンの分析を行った。モリブデンの分析は、錠剤の蛍光X線測定を行い、錠剤中のモリブデンの蛍光X線強度(スペクトル:Lα線)をFP法(Fundamental Parameter)によって、触媒中の酸化モリブデン(VI)[MoO]重量濃度として換算することによって行った。FP法による重量濃度換算は、上記リガク(株)製RIX3000型蛍光X線分析装置付属のFPソフトを用いて行った。
飛散モリブデンの評価は下記式(IV)および(V)によって定義する。
C=C0−48 (IV)
M=(C0−48)/C×100 (V)
(式中、Cは未反応触媒中のモリブデンを酸化モリブデン(VI)に換算した重量濃度、C48は反応48時間後の触媒中のモリブデンを酸化モリブデン(VI)に換算した重量濃度であり、Cは48時間の反応中に飛散したモリブデンを酸化モリブデン(VI)に換算した重量濃度であり、Mは未反応触媒中のモリブデンに対する48時間の反応中に飛散したモリブデンの割合である。)
[実施例1]
<触媒調製>
組成式がMo0.52Sb0.33Nb0.29/SiO(40重量%)で示される酸化物触媒を次のようにして調製した。
水558gにヘプタモリブデン酸アンモニウム[(NHMo24・4HO]19.2g、酸化アンチモン(III)[Sb]9.8g、30重量%過酸化水素水7.6gを添加し、油浴を用いて115℃で1時間、大気下で還流して反応させ、モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液を得た。
水101gにヘプタモリブデン酸アンモニウム16.9gを添加し、モリブデン水溶液液を得た。
水618gにメタバナジン酸アンモニウム[NHVO]12.4g、30重量%過酸化水素水31.1gを添加し、バナジウム−過酸化水素水溶液を得た。
水60.7gにNb換算で76重量%を含有するニオブ酸10.4g、シュウ酸二水和物[H・2HO]19.4gを加え、攪拌下、60℃にて加熱して溶解させた後、30℃にて冷却してニオブ−シュウ酸水溶液を得た。該ニオブ−シュウ酸水溶液に30重量%過酸化水素水13.4gを添加して、ニオブ−シュウ酸−過酸化水素水溶液を得た。
上記モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液に、該モリブデン水溶液、該バナジウム−過酸化水素水溶液、該ニオブ−シュウ酸−過酸化水素水溶液を添加したのち、続けてシリカ含有量30重量%のシリカゾルを126g添加し、空気雰囲気下、30分間撹拌して原料調合液を得た。
得られた原料調合液を遠心式噴霧乾燥器を用い、入口温度230℃と出口温度120℃の条件で乾燥して微小球状の乾燥粉体を得た。得られた乾燥粉体100gを石英容器に充填し、容器を回転させながら600(ml/min)の空気流通下、250℃で1時間前焼成後、容器を回転させながら600(ml/min)の窒素ガス流通下、600℃で2時間焼成して酸化物触媒を得た。用いた窒素ガスの酸素濃度は微量酸素分析計(306WA型、テレダインアナリティカルインスルーメント社製)を用いて測定した結果、1ppmであった。酸化物触媒の組成と主要な製法因子を表1に記載した。
得られた酸化物触媒に関し、CuKα線をX線源として得られたX線回折図を図1に示す。得られた酸化物触媒は、X線回折図において、回折角(2θ)が7.8±0.3°、8.9±0.3°、22.1±0.3°、27.1±0.3°、28.1±0.3°、35.2±0.3°、36.1±0.3°および45.2±0.3°の位置にピークを示し、R=0.43であった。
<プロパンのアンモ酸化反応試験>
酸化物触媒W=0.35gを内径4mmの固定床型反応管に充填し、反応温度T=420℃、プロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:0.95:2.59:4.39のモル比の混合ガスを流量F=2.0(ml/min)で流した。このとき圧力Pはゲージ圧で0MPaであった。接触時間は4.14(=W/F×60×273/(273+T)×((P+0.101)/0.101))(g・s/ml)である。反応ガスの分析はオンラインガスクロマトグラフィーで行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例2]
<触媒調製>
組成式がMo0.61Sb0.36Nb0.17/SiO(40重量%)で示される酸化物触媒を次のようにして調製した。
水587gにヘプタモリブデン酸アンモニウム20.2g、酸化アンチモン(III)9.5g、30重量%過酸化水素水7.3gを添加し、油浴を用いて115℃で1時間、大気下で還流して反応させ、モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液を得た。
水69.8gにヘプタモリブデン酸アンモニウム11.6gを添加し、モリブデン水溶液を得た。
水611gにメタバナジン酸アンモニウム12.9g、30重量%過酸化水素水32.1gを添加し、バナジウム−過酸化水素水溶液を得た。
水32.8gにNb換算で76重量%を含有するニオブ酸5.4g、シュウ酸二水和物10gを加え、攪拌下、60℃にて加熱して溶解させた後、30℃にて冷却してニオブ−シュウ酸水溶液を得た。該ニオブ−シュウ酸水溶液に30重量%過酸化水素水7.0gを添加して、ニオブ−シュウ酸−過酸化水素水溶液を得た。
上記モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液に、該モリブデン水溶液、該バナジウム−過酸化水素水溶液、該ニオブ−シュウ酸−過酸化水素水溶液を添加したのち、続けてシリカ含有量30重量%のシリカゾルを110g添加し、空気雰囲気下、30分間撹拌して原料調合液を得た。
得られた原料調合液を遠心式噴霧乾燥器を用い、入口温度230℃と出口温度120℃の条件で乾燥して微小球状の乾燥粉体を得た。得られた乾燥粉体100gを石英容器に充填し、容器を回転させながら600(ml/min)の空気流通下、250℃で1時間前焼成後、容器を回転させながら600(ml/min)の窒素ガス流通下、600℃で2時間焼成して酸化物触媒を得た。酸化物触媒の組成と主要な製法因子を表1に記載した。
得られた酸化物触媒は、X線回折図において、回折角(2θ)が7.8±0.3°、8.9±0.3°、22.1±0.3°、27.1±0.3°、28.1±0.3°、35.2±0.3°、36.1±0.3°および45.2±0.3°の位置にピークを示し、R=0.44であった。
<プロパンのアンモ酸化反応試験>
得られた酸化物触媒についてプロパンのアンモ酸化反応試験を、酸化物触媒W=0.35g、流量F=2.0(ml/min)にして接触時間を4.14(g・s/ml)とした以外は実施例1と同じ条件下にて行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例3]
<触媒調製>
組成式がMo0.55Sb0.37Nb0.26/SiO(40重量%)で示される酸化物触媒を次のようにして調製した。
水466gにヘプタモリブデン酸アンモニウム19.2g、酸化アンチモン(III)7.8g、30重量%過酸化水素水6.1gを添加し、油浴を用いて115℃で1時間、大気下で還流して反応させ、モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液を得た。
水38.4gにヘプタモリブデン酸アンモニウム6.4gを添加し、モリブデン水溶液を得た。
水445gにメタバナジン酸アンモニウム9.3g、30重量%過酸化水素水23.3gを添加し、バナジウム−過酸化水素水溶液を得た。
水40.4gにNb換算で76重量%を含有するニオブ酸6.6g、シュウ酸二水和物12.4gを加え、攪拌下、60℃にて加熱して溶解させた後、30℃にて冷却してニオブ−シュウ酸水溶液を得た。該ニオブ−シュウ酸水溶液に30重量%過酸化水素水8.5gを添加して、ニオブ−シュウ酸−過酸化水素水溶液を得た。
上記モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液に、該モリブデン水溶液、該バナジウム−過酸化水素水溶液、該ニオブ−シュウ酸−過酸化水素水溶液を添加したのち、続けてシリカ含有量30重量%のシリカゾルを91g添加し、空気雰囲気下、30分間撹拌して原料調合液を得た。
設定温度250℃(実温度248℃)のアルミブロックヒーター(AL−331、ソニックス社製ブロックバス)にセットした試験管の中へ、得られた原料調合液を試験管あたり8ccずつ滴下し(滴下速度4マイクロリットル/秒)、乾燥粉体を得た。
得られた原料調合液を遠心式噴霧乾燥器を用い、入口温度230℃と出口温度120℃の条件で乾燥して微小球状の乾燥粉体を得た。得られた乾燥粉体100gを石英容器に充填し、容器を回転させながら600(ml/min)の空気流通下、250℃で1時間前焼成後、容器を回転させながら600(ml/min)の窒素ガス流通下、600℃で2時間焼成して酸化物触媒を得た。酸化物触媒の組成と主要な製法因子を表1に記載した。
得られた酸化物触媒は、X線回折図において、回折角(2θ)が7.8±0.3°、8.9±0.3°、22.1±0.3°、27.1±0.3°、28.1±0.3°、35.2±0.3°、36.1±0.3°および45.2±0.3°の位置にピークを示し、R=0.66であった。
<プロパンのアンモ酸化反応試験>
得られた酸化物触媒についてプロパンのアンモ酸化反応試験を、酸化物触媒W=0.35g、流量F=2.0(ml/min)にして接触時間を4.14(g・s/ml)とした以外は実施例1と同じ条件下にて行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例4]
<触媒調製>
組成式がMo0.44Sb0.41Nb0.30/SiO(40重量%)で示される酸化物触媒を次のようにして調製した。
水484gにヘプタモリブデン酸アンモニウム20.2g、酸化アンチモン(III)8.7g、30重量%過酸化水素水6.8gを添加し、油浴を用いて115℃で1時間、大気下で還流して反応させ、モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液を得た。
水33.2gにヘプタモリブデン酸アンモニウム5.5gを添加し、モリブデン水溶液を得た。
水400gにメタバナジン酸アンモニウム7.5g、30重量%過酸化水素水18.8gを添加し、バナジウム−過酸化水素水溶液を得た。
水45.4gにNb換算で76重量%を含有するニオブ酸7.6g、シュウ酸二水和物14.5gを加え、攪拌下、60℃にて加熱して溶解させた後、30℃にて冷却してニオブ−シュウ酸水溶液を得た。該ニオブ−シュウ酸水溶液に30重量%過酸化水素水10gを添加して、ニオブ−シュウ酸−過酸化水素水溶液を得た。
上記モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液に、該モリブデン水溶液、該バナジウム−過酸化水素水溶液、該ニオブ−シュウ酸−過酸化水素水溶液を添加したのち、続けてシリカ含有量30重量%のシリカゾルを92g添加し、空気雰囲気下、30分間撹拌して原料調合液を得た。
得られた原料調合液を遠心式噴霧乾燥器を用い、入口温度230℃と出口温度120℃の条件で乾燥して微小球状の乾燥粉体を得た。得られた乾燥粉体100gを石英容器に充填し、容器を回転させながら600(ml/min)の空気流通下、250℃で1時間前焼成後、容器を回転させながら600(ml/min)の窒素ガス流通下、600℃で2時間焼成して酸化物触媒を得た。酸化物触媒の組成と主要な製法因子を表1に記載した。
得られた酸化物触媒は、X線回折図において、回折角(2θ)が7.8±0.3°、8.9±0.3°、22.1±0.3°、27.1±0.3°、28.1±0.3°、35.2±0.3°、36.1±0.3°および45.2±0.3°の位置にピークを示し、R=0.40であった。
<プロパンのアンモ酸化反応試験>
得られた酸化物触媒についてプロパンのアンモ酸化反応試験を、酸化物触媒W=0.35g、流量F=3.0(ml/min)にして接触時間を2.76(g・s/ml)とした以外は実施例1と同じ条件下にて行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例5]
<触媒調製>
組成式がMo0.59Sb0.21Nb0.26/SiO(40重量%)で示される酸化物触媒を次のようにして調製した。
水349gにヘプタモリブデン酸アンモニウム12g、酸化アンチモン(III)5.7g、30重量%過酸化水素水4.5gを添加し、油浴を用いて115℃で1時間、大気下で還流して反応させ、モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液を得た。
水126.4gにヘプタモリブデン酸アンモニウム21.1gを添加し、モリブデン水溶液を得た。
水569gにメタバナジン酸アンモニウム13g、30重量%過酸化水素水32.5gを添加し、バナジウム−過酸化水素水溶液を得た。
水46.9gにNb換算で76重量%を含有するニオブ酸8.5g、シュウ酸二水和物16gを加え、攪拌下、60℃にて加熱して溶解させた後、30℃にて冷却してニオブ−シュウ酸水溶液を得た。該ニオブ−シュウ酸水溶液に30重量%過酸化水素水11gを添加して、ニオブ−シュウ酸−過酸化水素水溶液を得た。
上記モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液に、該モリブデン水溶液、該バナジウム−過酸化水素水溶液、該ニオブ−シュウ酸−過酸化水素水溶液を添加したのち、続けてシリカ含有量30重量%のシリカゾルを109g添加し、空気雰囲気下、30分間撹拌して原料調合液を得た。
得られた原料調合液を遠心式噴霧乾燥器を用い、入口温度230℃と出口温度120℃の条件で乾燥して微小球状の乾燥粉体を得た。得られた乾燥粉体100gを石英容器に充填し、容器を回転させながら600(ml/min)の窒素ガス流通下、600℃で2時間焼成して酸化物触媒を得た。酸化物触媒の組成と主要な製法因子を表1に記載した。
得られた酸化物触媒は、X線回折図において、回折角(2θ)が7.8±0.3°、8.9±0.3°、22.1±0.3°、27.1±0.3°、28.1±0.3°、35.2±0.3°、36.1±0.3°および45.2±0.3°の位置にピークを示し、R=0.46であった。
<プロパンのアンモ酸化反応試験>
得られた酸化物触媒についてプロパンのアンモ酸化反応試験を、酸化物触媒W=0.25g、流量F=3.0(ml/min)にして接触時間を1.97(g・s/ml)とした以外は実施例1と同じ条件下にて行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例6]
<触媒調製>
組成式がMo0.52Sb0.23Nb0.26/SiO(40重量%)で示される酸化物触媒を次のようにして調製した。
水436gにヘプタモリブデン酸アンモニウム15g、酸化アンチモン(III)7.2g、30重量%過酸化水素水5.7gを添加し、油浴を用いて115℃で1時間、大気下で還流して反応させ、モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液を得た。
水137.7gにヘプタモリブデン酸アンモニウム23gを添加し、モリブデン水溶液を得た。
水630gにメタバナジン酸アンモニウム13g、30重量%過酸化水素水33gを添加し、バナジウム−過酸化水素水溶液を得た。
水57.7gにNb換算で76重量%を含有するニオブ酸9.8g、シュウ酸二水和物18.5gを加え、攪拌下、60℃にて加熱して溶解させた後、30℃にて冷却してニオブ−シュウ酸水溶液を得た。該ニオブ−シュウ酸水溶液に30重量%過酸化水素水12.8gを添加して、ニオブ−シュウ酸−過酸化水素水溶液を得た。
上記モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液に、該モリブデン水溶液、該バナジウム−過酸化水素水溶液、該ニオブ−シュウ酸−過酸化水素水溶液を添加したのち、続けてシリカ含有量30重量%のシリカゾルを124g添加し、空気雰囲気下、30分間撹拌して原料調合液を得た。
得られた原料調合液を遠心式噴霧乾燥器を用い、入口温度230℃と出口温度120℃の条件で乾燥して微小球状の乾燥粉体を得た。得られた乾燥粉体100gを石英容器に充填し、容器を回転させながら600(ml/min)の窒素ガス流通下、600℃で2時間焼成して酸化物触媒を得た。酸化物触媒の組成と主要な製法因子を表1に記載した。
得られた酸化物触媒は、X線回折図において、回折角(2θ)が7.8±0.3°、8.9±0.3°、22.1±0.3°、27.1±0.3°、28.1±0.3°、35.2±0.3°、36.1±0.3°および45.2±0.3°の位置にピークを示し、R=0.40であった。
<プロパンのアンモ酸化反応試験>
得られた酸化物触媒についてプロパンのアンモ酸化反応試験を、酸化物触媒W=0.25g、流量F=3.0(ml/min)にして接触時間を1.97(g・s/ml)とした以外は実施例1と同じ条件下にて行った。得られた結果を表1に示す。
[比較例1]
<触媒調製>
組成式がMo0.83Sb0.52Nb0.90/SiO(40重量%)で示される酸化物触媒を次のようにして調製した。
水616gにヘプタモリブデン酸アンモニウム21.2g、酸化アンチモン(III)10.3g、30重量%過酸化水素水8.0gを添加し、油浴を用いて115℃で1時間、大気下で還流して反応させ、モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液を得た。
水16.4gにヘプタモリブデン酸アンモニウム2.7gを添加し、モリブデン水溶液を得た。
水627gにメタバナジン酸アンモニウム13.1g、30重量%過酸化水素水33gを添加し、バナジウム−過酸化水素水溶液を得た。
水125.2gにNb換算で76重量%を含有するニオブ酸21.3g、シュウ酸二水和物40gを加え、攪拌下、60℃にて加熱して溶解させた後、30℃にて冷却してニオブ−シュウ酸水溶液を得た。該ニオブ−シュウ酸水溶液に30重量%過酸化水素水27.7gを添加して、ニオブ−シュウ酸−過酸化水素水溶液を得た。
上記モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液に、該モリブデン水溶液、該バナジウム−過酸化水素水溶液、該ニオブ−シュウ酸−過酸化水素水溶液を添加したのち、続けてシリカ含有量30重量%のシリカゾルを125g添加し、空気雰囲気下、30分間撹拌して原料調合液を得た。
得られた原料調合液を遠心式噴霧乾燥器を用い、入口温度230℃と出口温度120℃の条件で乾燥して微小球状の乾燥粉体を得た。得られた乾燥粉体100gを石英容器に充填し、容器を回転させながら600(ml/min)の空気流通下、250℃で1時間前焼成後、容器を回転させながら600(ml/min)の窒素ガス流通下、600℃で2時間焼成して酸化物触媒を得た。酸化物触媒の組成と主要な製法因子を表1に記載した。
得られた酸化物触媒に関し、CuKα線をX線源として得られたX線回折図を図3に示す。得られた酸化物触媒は、X線回折図において、回折角(2θ)が22.1±0.3°、27.1±0.3°、28.1±0.3°、35.2±0.3°、36.1±0.3°および45.2±0.3°の位置にピークを示したが、7.8±0.3°、8.9±0.3°にはピークを示さなかった。R=0.89であった。
<プロパンのアンモ酸化反応試験>
得られた酸化物触媒についてプロパンのアンモ酸化反応試験を、酸化物触媒W=0.35g、流量F=2.0(ml/min)にして接触時間を4.14(g・s/ml)とした以外は実施例1と同じ条件下にて行った。得られた結果を表1に示す。
[比較例2]
<触媒調製>
組成式がMo0.44Sb0.15Nb0.18/SiO(40重量%)で示される酸化物触媒を次のようにして調製した。
水291gにヘプタモリブデン酸アンモニウム10g、酸化アンチモン(III)4.8g、30重量%過酸化水素水3.8gを添加し、油浴を用いて115℃で1時間、大気下で還流して反応させ、モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液を得た。
水174.8gにヘプタモリブデン酸アンモニウム29.1gを添加し、モリブデン水溶液を得た。
水542gにメタバナジン酸アンモニウム11.4g、30重量%過酸化水素水28.5gを添加し、バナジウム−過酸化水素水溶液を得た。
水41gにNb換算で76重量%を含有するニオブ酸7g、シュウ酸二水和物13.1gを加え、攪拌下、60℃にて加熱して溶解させた後、30℃にて冷却してニオブ−シュウ酸水溶液を得た。該ニオブ−シュウ酸水溶液に30重量%過酸化水素水9gを添加して、ニオブ−シュウ酸−過酸化水素水溶液を得た。
上記モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液に、該モリブデン水溶液、該バナジウム−過酸化水素水溶液、該ニオブ−シュウ酸−過酸化水素水溶液を添加したのち、続けてシリカ含有量30重量%のシリカゾルを113g添加し、空気雰囲気下、30分間撹拌して原料調合液を得た。
得られた原料調合液を遠心式噴霧乾燥器を用い、入口温度230℃と出口温度120℃の条件で乾燥して微小球状の乾燥粉体を得た。得られた乾燥粉体100gを石英容器に充填し、容器を回転させながら600(ml/min)の空気流通下、250℃で1時間前焼成後、容器を回転させながら600(ml/min)の窒素ガス流通下、600℃で2時間焼成して酸化物触媒を得た。酸化物触媒の組成と主要な製法因子を表1に記載した。
得られた酸化物触媒は、X線回折図において、回折角(2θ)が22.1±0.3°、27.1±0.3°、28.1±0.3°、35.2±0.3°、36.1±0.3°および45.2±0.3°の位置にピークを示したが、7.8±0.3°、8.9±0.3°にはピークを示さなかった。R=0.83であった。
<プロパンのアンモ酸化反応試験>
得られた酸化物触媒についてプロパンのアンモ酸化反応試験を、酸化物触媒W=0.35g、流量F=2.0(ml/min)にして接触時間を4.14(g・s/ml)とした以外は実施例1と同じ条件下にて行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例7]
<触媒調製>
組成式がMo0.58Sb0.32Nb0.16/SiO(40重量%)で示される酸化物触媒を次のようにして調製した。
水300gにヘプタモリブデン酸アンモニウム23.2g、メタバナジン酸アンモニウム8.9g、酸化アンチモン(III)5.2gを添加し、油浴を用いて95℃で1時間、大気下で還流して反応させ、モリブデン−バナジウム−アンチモン原料液を得た。
水21gにNb換算で76重量%を含有するニオブ酸3.7g、シュウ酸二水和物7gを加え、攪拌下、60℃にて加熱して溶解させた後、30℃にて冷却してニオブ−シュウ酸水溶液を得た。該ニオブ−シュウ酸水溶液に30重量%過酸化水素水6.3g、酸化アンチモン(III)0.96gを添加して、ニオブ−アンチモン−シュウ酸−過酸化水素水溶液を得た。
上記モリブデン−バナジウム−アンチモン原料液を60℃に冷却し、シリカ含有量30重量%のシリカゾルを77g、続いて50℃に冷却して30重量%過酸化水素水6gを添加し、30分間撹拌した。引き続いて50℃にてニオブ−アンチモン−シュウ酸−過酸化水素水溶液を添加し、150分間撹拌して原料調合液を得た。これらの操作は空気雰囲気下にて行った。
得られた原料調合液を遠心式噴霧乾燥器を用い、入口温度230℃と出口温度120℃の条件で乾燥して微小球状の乾燥粉体を得た。得られた乾燥粉体100gを石英容器に充填し、容器を回転させながら600(ml/min)の窒素ガス流通下、600℃で2時間焼成して酸化物触媒を得た。酸化物触媒の組成と主要な製法因子を表1に記載した。
得られた酸化物触媒は、X線回折図において、回折角(2θ)が7.8±0.3°、8.9±0.3°、22.1±0.3°、27.1±0.3°、28.1±0.3°、35.2±0.3°、36.1±0.3°および45.2±0.3°の位置にピークを示し、R=0.27であった。
<プロパンのアンモ酸化反応試験>
得られた酸化物触媒についてプロパンのアンモ酸化反応試験を、酸化物触媒W=0.25g、流量F=3.0(ml/min)にして接触時間を1.97(g・s/ml)とした以外は実施例1と同じ条件下にて行った。得られた結果を表1に示す。
[比較例3]
<触媒調製>
組成式がMo0.68Sb0.18Nb0.09/SiO(40重量%)で示される酸化物触媒を次のようにして調製した。
水300gにヘプタモリブデン酸アンモニウム18.4g、メタバナジン酸アンモニウム8.3g、酸化アンチモン(III)2.1gを添加し、油浴を用いて95℃で1時間、大気下で還流して反応させ、モリブデン−バナジウム−アンチモン原料液を得た。
水9.6gにNb換算で76重量%を含有するニオブ酸1.6g、シュウ酸二水和物3.1gを加え、攪拌下、60℃にて加熱して溶解させた後、30℃にて冷却してニオブ−シュウ酸水溶液を得た。該ニオブ−シュウ酸水溶液に30重量%過酸化水素水3.1g、酸化アンチモン(III)0.6gを添加して、ニオブ−アンチモン−シュウ酸−過酸化水素水溶液を得た。
上記モリブデン−バナジウム−アンチモン原料液を60℃に冷却してシリカ含有量30重量%のシリカゾルを57g、続いて50℃に冷却して30重量%過酸化水素水2.5gを添加し、30分間撹拌した。引き続いて50℃にてニオブ−アンチモン−シュウ酸−過酸化水素水溶液を添加し、150分間撹拌して原料調合液を得た。これらの操作は空気雰囲気下にて行った。
得られた原料調合液を遠心式噴霧乾燥器を用い、入口温度230℃と出口温度120℃の条件で乾燥して微小球状の乾燥粉体を得た。得られた乾燥粉体100gを石英容器に充填し、容器を回転させながら600(ml/min)の窒素ガス流通下、600℃で2時間焼成して酸化物触媒を得た。酸化物触媒の組成と主要な製法因子を表1に記載した。
得られた酸化物触媒は、X線回折図において、回折角(2θ)が22.1±0.3°、28.1±0.3°、35.2±0.3°、36.1±0.3°および45.2±0.3°の位置にピークを示したが、7.8±0.3°、8.9±0.3°、27.1±0.3°にはピークを示さず、R=0であった。
<プロパンのアンモ酸化反応試験>
得られた酸化物触媒についてプロパンのアンモ酸化反応試験を、酸化物触媒W=0.35g、流量F=2.0(ml/min)にして接触時間を4.14(g・s/ml)とした以外は実施例1と同じ条件下にて行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例8]
<触媒調製>
組成式がMo0.54Sb0.37Nb0.16/SiO 24重量%)で示される酸化物触媒を、シリカ含有量30重量%のシリカゾルを37g用いた以外は実施例7の触媒調製を反復して、酸化物触媒を調製した。酸化物触媒の組成と主要な製法因子を表1に記載した。
得られた酸化物触媒は、X線回折図において、回折角(2θ)が7.8±0.3°、8.9±0.3°、22.1±0.3°、27.1±0.3°、28.1±0.3°、35.2±0.3°、36.1±0.3°および45.2±0.3°の位置にピークを示し、R=0.48であった。
<プロパンのアンモ酸化反応試験>
得られた酸化物触媒についてプロパンのアンモ酸化反応試験を、酸化物触媒W=0.25g、流量F=3.0(ml/min)にして接触時間を1.97(g・s/ml)とした以外は実施例1と同じ条件下にて行った。得られた結果を表1に示す。
[比較例4]
組成式がMo0.68Sb0.18Nb0.09/SiO 24重量%)で示される酸化物触媒を、シリカ含有量30重量%のシリカゾルを27g用いた以外は比較例3の触媒調製を反復して、酸化物触媒を調製した。酸化物触媒の組成と主要な製法因子を表1に記載した。
得られた酸化物触媒は、X線回折図において、回折角(2θ)が22.1±0.3°、28.1±0.3°、35.2±0.3°、36.1±0.3°および45.2±0.3°の位置にピークを示したが、7.8±0.3°、8.9±0.3°、27.1±0.3°にはピークを示さず、R=0であった。
<プロパンのアンモ酸化反応試験>
得られた酸化物触媒についてプロパンのアンモ酸化反応試験を、酸化物触媒W=0.35g、流量F=2.0(ml/min)にして接触時間を4.14(g・s/ml)とした以外は実施例1と同じ条件下にて行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例9]
<モリブデン飛散実験>
内径25mmのバイコールガラス流動用型反応管に、実施例5で得られた酸化物触媒50gを充填し、反応温度500℃(内温)と反応圧力6.87MPa(ゲージ圧)の条件下に、ヘリウム:水蒸気のモル比=1:3の混合ガスを、接触時間7.0(=W/F×60×273/(273+T)×((P×0.102+0.101)/0.101))(g・s/ml)となるよう、流量F(ml/min)で流通させた。
未反応触媒および48時間連続反応後の触媒をそれぞれ5g、日陶科学(株)製ニット−自動乳鉢ANM1000型を用いて2時間粉砕した後、塩ビ製リング(30mm錠剤成型用:外径38mm、内径31mm、厚さ5mm)を用いて錠剤に成型した(成型圧:245GPa、成型圧加圧時間:65秒)。得られた錠剤をリガク(株)製RIX3000型蛍光X線分析装置(管球:Rh)を用いて、錠剤中のモリブデン量の分析を行った。結果を表2に示す。
[比較例5]
組成式がMo0.3Sb0.25Nb0.15/SiO(40重量%)で示される酸化物触媒を次のように調製した。
水616.4gにヘプタモリブデン酸アンモニウム21.2g、酸化アンチモン(III)8.6g、30重量%過酸化水素水6.7gを添加し、油浴を用いて115℃で1時間、大気下で還流して反応させ、モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液を得た。
水121.7gにヘプタモリブデン酸アンモニウム20.3gを添加し、モリブデン水溶液を得た。
水391.7gにメタバナジン酸アンモニウム8.2g、30重量%過酸化水素水20.6gを添加し、バナジウム−過酸化水素水溶液を得た。
水24.1gにNb換算で76重量%を含有するニオブ酸6.2g、シュウ酸二水和物11.6gを加え、攪拌下、60℃にて加熱して溶解させた後、30℃にて冷却してニオブ−シュウ酸水溶液を得た。該ニオブ−シュウ酸水溶液に30重量%過酸化水素水8gを添加して、ニオブ−シュウ酸−過酸化水素水溶液を得た。
上記モリブデン−アンチモン−過酸化水素原料液に、該モリブデン水溶液、該バナジウム−過酸化水素水溶液、該ニオブ−シュウ酸−過酸化水素水溶液を添加したのち、続けてシリカ含有量30重量%のシリカゾルを120g添加し、空気雰囲気下、30分間撹拌して原料調合液を得た。
得られた原料調合液を遠心式噴霧乾燥器を用い、入口温度230℃と出口温度120℃の条件で乾燥して微小球状の乾燥粉体を得た。得られた乾燥粉体100gを石英容器に充填し、容器を回転させながら600(ml/min)の窒素ガス流通下、600℃で2時間焼成して酸化物触媒を得た。
<モリブデン飛散実験>得られた酸化物触媒50gを、実施例9と同じ条件下にてモリブデンの飛散実験を行った。得られた結果を表2に示す。
[実施例10]
実施例1で得られた触媒について、プロパンの酸化反応試験を行った。酸化物触媒W=0.35gを内径4mmの固定床型反応管に充填し、反応温度T=380℃、プロパン:酸素:水蒸気:ヘリウム=1:3:14:10のモル比の混合ガスを流量F=2.0(ml/min)で流した。このとき圧力Pはゲージ圧で0MPaであった。接触時間は4.14(g・s/ml)である。反応ガスの分析はオンラインガスクロマトグラフィーで行った。得られた結果を表3に示す。
[比較例6]
比較例1で得られた触媒について、プロパンの酸化反応試験を行った。酸化物触媒W=0.35gを内径4mmの固定床型反応管に充填し、反応温度T=380℃、プロパン:酸素:水蒸気:ヘリウム=1:3:14:10のモル比の混合ガスを流量F=2.0(ml/min)で流した。このとき圧力Pはゲージ圧で0MPaであった。接触時間は4.14(g・s/ml)である。反応ガスの分析はオンラインガスクロマトグラフィーで行った。得られた結果を表3に示す。
Figure 0004455081
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本発明は、不飽和ニトリルまたは不飽和カルボン酸の製造触媒として好適である。
実施例1で得られた酸化物触媒のX線回折図。 ピーク強度比の求め方を説明するための、図1のX線回折図の回折角(2θ)25〜30°の範囲の拡大図。 比較例1で得られた酸化物触媒のX線回折図。
符号の説明
A1:CuKα線をX線源として得られるX線回折図において、回折角(2θ)が27.1±0.3°の位置に観測されるピークの頂点
A2:CuKα線をX線源として得られるX線回折図において、回折角(2θ)が28.1±0.3°の位置に観測されるピークの頂点
B1:回折角(2θ)が26.4゜±0.3゜の範囲の範囲において、X線回折図の曲線が最小の強度値を示す点
B2:回折角(2θ)が27.6゜±0.3゜の範囲の範囲において、X線回折図の曲線が最小の強度値を示す点
B3:回折角(2θ)が28.8゜±0.3゜の範囲において、X線回折図の曲線が最小の強度値を示す点
C1:上記頂点A1から2θ軸に向かって下ろした垂線と、上記点B1とB2とを結ぶ線分の交点
C2:上記頂点A2から2θ軸に向かって下ろした垂線と、上記点B2とB1とを結ぶ線分の交点

Claims (6)

  1. プロパンの気相接触アンモ酸化反応による不飽和ニトリルの製造、または気相接触酸化反応による不飽和カルボン酸の製造に用いられる化学式(I)で示される成分組成を有する酸化物触媒であって、CuKα線をX線源として得られるX線回折図において、回折角(2θ)が
    22.1±0.3°、28.1±0.3°、36.1±0.3°および45.2±0.3°の位置、または7.8±0.3°、8.9±0.3°、22.1±0.3°、27.1±0.3°、35.2±0.3°および45.2±0.3°の位置、または7.8±0.3°、8.9±0.3°、22.1±0.3°、27.1±0.3°、28.1±0.3°、35.2±0.3°、36.1±0.3°および45.2±0.3°
    の位置に回折ピークをもつことを特徴とする酸化物触媒。
    MoSbNb(I)
    (式中、ZはW、Cr、Ti、Al、Ta、Zr、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Zn、B、Ga、In、Ge、Sn、P、Pb、Bi、Y、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。a、b、c、dおよびnはMo1原子あたりの原子比を表す。1.0≦(a+b+c)≦1.5であり、a、b、c、dは各々0.01≦a≦1.0、0.01≦b≦1.0、0.01≦c≦1.0、0≦d≦1.0であり、そしてnは構成金属の酸化状態によって決まる原子比である。)
  2. シリカ担体を含有する成分組成が化学式(I)で示される酸化物触媒であって、該シリカ担体の含有量が、該酸化物触媒とSiO換算の該シリカ担体との合計重量に対し、10〜60重量%であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物触媒。
  3. 成分組成が化学式(I)で示される酸化物触媒の成分を有する原料調合液から得られる乾燥粉体を実質的に酸素を含まないガス雰囲気下、500〜700℃で焼成されて製造されることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化物触媒。
  4. 成分組成が化学式(I)で示される酸化物触媒が、ヒドロキシル基含有化合物および/またはジカルボン酸化合物を含む原料調合液を用いて製造されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の酸化物触媒。
  5. プロパンの気相接触アンモ酸化反応によって不飽和ニトリルを製造する方法において、請求項1から4のいずれかに記載の酸化物触媒を用いることを特徴とする不飽和ニトリルの製造方法。
  6. プロパンの気相接触酸化反応によって不飽和カルボン酸を製造する方法において、請求項1から4のいずれかに記載の酸化物触媒を用いることを特徴とする不飽和カルボン酸の製造方法。
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