JP5777755B2 - ポリイミド粉末艶消し剤を組み込んだポリイミドフィルム及びその製造 - Google Patents

ポリイミド粉末艶消し剤を組み込んだポリイミドフィルム及びその製造 Download PDF

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Description

1.発明の分野
本発明は、ポリイミド粉末を含む艶消し剤、該ポリイミド粉末艶消し剤を組み込んだポリイミドフィルム、及びその製造方法に関する。
2.関連技術の説明
ポリイミドフィルムは電子製品に広く使用されている。ポリイミドフィルムは、表面平坦性が高いことから、視野を不快にする光反射を引き起こす場合があり、長時間の使用により眼精疲労を引き起こす。この作用は、反射光が閲覧者にとって一層重要となり得る着色フィルムにおいて増強される場合がある。
ポリイミドフィルムの光沢を低下させるために、いくつかのアプローチでは、艶消し剤をポリイミドフィルムに組み込んでその表面粗さを増大し、その結果入射光を錯乱することができる。従来の艶消し剤としては、無機及び有機化合物が挙げられる。
艶消し剤として使用される無機化合物の例としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン等が挙げられる。しかし、無機粒子は比較的高い誘電率を有し、これはフィルムの絶縁特性を低くする場合がある。
艶消し剤として使用される有機化合物の例としては、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エポキシ樹脂等が挙げられる。しかし、有機化合物は250℃(これはポリイミドフィルムの製造で化学変換が起こる温度に近い)を超える温度に耐えることができない。結果として、ポリイミドフィルムの製造に有機化合物を使用すると、亀裂若しくは開口のような欠陥を生じるか、又は不均等な溶融による不均一な色の斑点を形成する場合がある。
従って、所望の特性及び低光沢を有し、少なくとも上記の問題に対処するポリイミドフィルムが必要とされている。
本出願では、互いに積み重なった少なくとも2つのポリイミド層を包含する多層ポリイミドフィルムを記載し、このポリイミド層のそれぞれが、ジアミン成分と二無水物成分とをほぼ等しいモル比で反応させて形成されるポリイミドベースポリマーを含有し、ポリイミド層の少なくとも1つがポリイミドベースポリマー中に分散したポリイミド粉末を更に含み、このポリイミド粉末が、それが組み込まれているポリイミド層の総質量を基にして約20質量%〜約50質量%の質量比を有する。その結果形成された多層ポリイミドフィルムは、60°の光沢度が約5以下である外表面を少なくとも1つ有する。
別の実施形態において、本出願は、互いに積み重なった第1層及び第2層を包含する2層ポリイミドフィルムを記載する。
第1層はポリイミドベースポリマー及び該ポリイミドベースポリマー中に分散したポリイミド粉末を含有し、このポリイミド粉末は、第1層の総質量の約20〜約50質量%の質量比を有する。第2層はポリイミドベースポリマー及び該ポリイミドベースポリマー中に分散したポリイミド粉末を含有し、このポリイミド粉末は、第2層の総質量の約20質量%以下の質量比を有する。更に、第1層及び第2層のうち少なくとも1つは、着色顔料を更に含む。
更に別の実施形態において、本出願は、第1層、第2層及び第3層を包含し、第2のポリイミド層が第1層と第3層の間に挟まれている、3層ポリイミドフィルムを記載する。
各層はポリイミドベースポリマーを含有し、第1層及び第3層はそれぞれ、層の総質量の約20質量%〜約50質量%の質量比を有するポリイミド粉末を含有する。加えて、3層のうち少なくとも1つは、着色顔料を更に含有する。
1つの実施形態に従って調製されたポリイミド粉末の粒径分布をプロットしたグラフである。 ポリイミド粉末艶消し剤を組み込んだ2層ポリイミドフィルムを示す模式図である。 ポリイミド粉末艶消し剤を組み込んだ3層ポリイミドフィルムを示す模式図である。
本出願は、フィルムの主要分子構造を形成するポリイミドベースポリマー、及び該ポリイミドベースポリマー中に分散したポリイミド粉末を包含する、低光沢ポリイミドフィルムを記載する。
いくつかの実施形態において、前記ポリイミドフィルムは単層構造を有することができる。他の実施形態において、前記ポリイミドフィルムは多層構造を有することができる。
ポリイミドベースポリマーは、ジアミン成分と二無水物成分とを反応させることにより得られ、ジアミンモノマーと二無水物モノマーとのモル比は、ほぼ1:1に等しい。1つ以上のジアミン成分が1つ以上の二無水物成分と反応してポリイミドベースポリマーを形成することができる。
ジアミン成分の例としては、限定されるものではないが、フェニレンジアミン(PDA)、2−(4−アミノフェニル)−5−アミノベンズイミダゾール(PBOA)、3,4’−オキシジアニリン(3,4’−ODA)、4,4’−オキシジアニリン(4,4’−ODA)、p−フェニレンジアミン(p−PDA)、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)等が挙げられる。二無水物成分の例としては、限定されるものではないが、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、2,2’−ビス[4−(3,4’−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物(BPADA)等が挙げられる。
ポリイミド粉末を艶消し剤としてポリイミドベースポリマーに添加することで、ポリイミドフィルムの表面に不均一な微細構造を形成すること、及び/又はポリイミドフィルムに光散乱構造を形成することができる。これにより、入射光が効果的に錯乱されて光沢を低下させることができる。
艶消し剤として使用されるポリイミド粉末は、約0.5μm〜約15μmの平均粒度又は粒径を有することができる。より具体的には、ポリイミド粉末の平均粒径は、約0.7μm、1μm、2μm、3μm、5μm、7μm、10μm、11μm、12μm、13μm、又は上記の値の間の任意の中間値であることができる。例えば、ポリイミド粉末は、2μm〜10μmのような、約1μm〜約12μmの平均粒径を有することができる。
いくつかの実施形態において、ポリイミド粉末の添加量は、ポリイミドフィルムの総質量の約5質量%〜約10質量%の質量比を有することができる。例えば、ポリイミド粉末の質量比は約5.5質量%、6質量%、7質量%、8質量%、9質量%、10質量%、又は上記の値の間の任意の中間値であることができる。
ポリイミド粉末の添加量及び平均粒径は、フィルムの所望の用途及び/又は所望の約60°の観察角度における光沢度(「60°の光沢度」とも呼ばれる)に従って選択できる。例えば、60°の光沢度が約25である必要がある場合、ポリイミド粉末は、平均粒径がより小さい(例えば1μm)ときにはより多く、平均粒径がより大きい(例えば12μm)ときにはより少ない量で組み込むことができる。
いくつかの実施形態において、ポリイミドフィルムは、60°で約50以下の光沢度を有することができる。例えば、フィルムの60°の光沢度は、約1〜約50、例えば約1、5、10、20、25、30、35、40、45、50、又は上記の値の間の任意の中間値であることができる。
ポリイミド粉末は、ジアミン成分と二無水物成分とを反応させることによって得ることができる。1つ以上のジアミン成分が1つ以上の二無水物成分と反応することで、ポリイミド粉末を形成することができる。ジアミン成分の例としては、限定されるものではないが、4,4’−ODA、TFMB、PDA、PBOA、3,4’−ODA又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。二無水物成分の例としては、限定されるものではないが、PMDA、BPDA、BPADA、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
この低光沢ポリイミドフィルムは、透明で、低光沢の曇った外観を有することができる。いくつかの実施形態において、ポリイミドフィルムは、赤色、青色、黒色、黄色等の着色フィルムであることもできる。着色顔料をポリイミドフィルムに組み込んで所望の色を作ることができる。顔料の量は、フィルムの質量の約2〜約10質量%とすることができる。
顔料は、炭素微粒子によって形成される黒色顔料、クロムブラック顔料、チタンブラック顔料等であることができる。着色顔料の例としては、カーボンブラック、チタンブラック、ボーンブラック、シアニンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、グラファイト、四三酸化鉄、鉄黒、アニリンブラック等が挙げられ、これらは単独で、又は組み合わせて使用することができる。
一実施形態において、カーボンブラック、チタンブラック又はこれらの組み合わせを組み込むことによって、遮蔽率がより高い黒色ポリイミドフィルムを形成できる。異なる実施形態においては、約0.1μm〜約1.5μmの平均粒径を有するカーボンブラック顔料も使用できる。
黒色ポリイミドフィルムが、10μmを超える平均粒径又は10質量%を超える量のポリイミド粉末艶消し剤を組み込むことによって形成された場合、黒色の深度の低下が観察される可能性、及び/又は白点の存在によりフィルムが白化する可能性がある。更に、大量生産においてフィルムの黒色が不安定となり、色が不均一なフィルムを生じる可能性がある。
上記の問題を緩和する試みで、60°で約50以下の光沢度を有する黒色ポリイミドフィルムの一実施形態は、約80質量%〜約93質量%のポリイミドベースポリマー、約2質量%〜約10質量%の黒色顔料、及び約5質量%〜約10質量%の約2μm〜約10μmの平均粒径を有するポリイミド粉末を組み込むことができる。
ポリイミドフィルムは、ジアミン及び二無水物を包含するモノマーの縮合重合によって得ることができる。ジアミン対二無水物のモル比はほぼ1:1に等しく、例えば、0.90:1.10又は0.98:1.02である。
ジアミン成分と二無水物成分を、最初に溶媒の存在下で反応させて、ポリアミド酸溶液を得ることができる。溶媒は比較的低い沸点(例えば、約225℃未満)を有する非プロトン性極性溶媒とすることができ、その結果、比較的低温で溶媒を除去することができる。適切な溶媒の例としては、限定されるものではないが、ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)等が挙げられる。
続いて、ポリイミド粉末艶消し剤、脱水剤、及び触媒をポリアミド酸溶液に組み込み、これを撹拌して均一な前駆体溶液液を得ることができる。脱水剤の例としては、限定されるものではないが、脂肪族酸無水物(例えば、無水酢酸及び無水プロピオン酸)、並びに芳香族酸無水物(例えば、無水安息香酸及び無水フタル酸)が挙げられ、これらは単独で、又は組み合わせて使用することができる。一実施形態において、好ましい脱水剤は無水酢酸とすることができ、その量はポリアミド酸1当量当たり約2〜約3モルであることができる。
触媒の例としては、限定されるものではないが、複素環式第三級アミン(例えば、ピコリン、ピリジン、ルチジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、イミダゾール、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン等)、脂肪族第三級アミン(例えば、トリエチルアミン(TEA)、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエチレンジアミン、及びジN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA))、及び芳香族第三級アミン(例えば、ジメチルアニリン)が挙げられ、これらは単独で、又は組み合わせて使用することができる。
一実施形態において、好ましい触媒は、ピコリン(例えば、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン)である。ポリアミド酸−脱水剤−触媒のモル比は、約1:2:1であることができ、すなわち、1モルのポリアミド酸に対して約2モルの脱水剤及び約1モルの触媒を使用する。必要であれば、カーボンブラックのような着色顔料を上記の工程のいずれかで添加することができる。顔料は、縮合重合の開始時にジアミン及び無水物成分と混合することができ、又は艶消し剤、脱水剤又は触媒を組み込んだ後に添加することができる。
ポリイミドフィルムに所望の特性を付与するために、その他の添加剤もポリアミド酸含有溶液に組み込むことができる。例えば、好適な添加剤としては、限定されるものではないが、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤及び補強剤が挙げられ、これらは単独で、又は組み合わせて使用することができる。
前駆体溶液の層を、続いて、ガラス又はステンレス板支持体上に被覆することができる。被覆層を焼成して低光沢ポリイミドフィルムを形成することができ、これはその後ガラス板支持体から剥離することができる。焼成の適切な温度範囲は約90℃〜約350℃である。形成されたポリイミドフィルムは、約3μm〜約150μmの厚さ、例えば約3μm〜75μm、例えば約5μm〜約50μmの厚さを有することができる。
ポリイミド粉末艶消し剤は、ジアミンモノマーと二無水物モノマーの縮合重合によって得ることができる。安定した、かつ所望の粒径を得るために、ジアミン対二無水物のモル比は、約1:0.950〜1:0.995であることができる。
上記のモル比のジアミン及び二無水物(例えば、4,4’−ODA及びPMDA)成分を、溶媒中で均一に混合して反応溶液を形成することができる。適切な溶媒としては、DMAC、DMF等が挙げられる。ジアミン及び二無水物を含有するモノマーの総量は、反応溶液の総質量の約2質量%〜約20質量%とすることができる。一実施形態では、上記モノマーの質量比は、反応溶液の総質量の約5質量%〜約15質量%とすることができる。
続いて、脱水剤及び触媒を反応溶液に組み込むことができ、これを撹拌して反応混合物溶を得る。ポリイミド粉末を調製するための脱水剤及び触媒は、ポリイミドフィルムの製造に使用されるものと同様とすることができる。
この反応混合物を加熱して、艶消し剤を形成するポリイミドの沈殿を得ることができる。続いて、このポリイミドの沈殿をすすぎ、濾過及び乾燥することができる。
その卓越した耐熱性のおかげで、ポリイミド粉末艶消し剤は、250℃〜500℃の温度範囲下での化学変換中に安定な特性を維持することができる。結果として、ポリイミドフィルムの製造中に色の斑点によって誘発される不均一な色の欠陥を防ぐことができる。無機艶消し剤と比べて、ポリイミド粉末艶消し剤は、良好な着色を与え、フィルムの誘電率を下げることにより高い絶縁特性を与えることができ、そのため絶縁要求が高い用途に特に適している。
いくつかの実施形態において、低光沢ポリイミドフィルムは、互いに積み重なった複数のポリイミド層を包含する多層を有することができる。使用するジアミン及び二無水物モノマーは、使用する層間で同じでも異なっていてもよい。多層ポリイミドフィルムとしては、例えば、2層、3層、又はそれ以上が挙げられる。多層フィルムは、多層フィルムの少なくとも1つの最外面において、60°で約5以下の光沢度を有する。
多層フィルムにおいて、各層はポリイミドベースポリマーを包含し、少なくとも1つの層が、ポリイミド粉末をポリイミドベースポリマー中に分散した艶消し剤として包含する。好ましくは、艶消し剤を包含する層は、多層フィルムの最外層である。
ポリイミド粉末は、層の総質量の約20〜約50質量%の質量比を有することができる。ポリイミド粉末の量は、それが組み込まれている層の質量を基準にして定義される。いくつかの実施形態において、ポリイミド粉末の質量比は、20、21、24、25、30、35、40、45、47、49、50質量%、又は上記の値の間の任意の中間値とすることができる。
例えば、多層フィルムが互いに積み重なった第1層及び第2層を含有する場合、第1層中のポリイミド粉末は約20〜50質量%の質量比を有してもよく、第2層はポリイミド粉末を有さなくてもよく、又は第2層の総質量の約20質量%未満の質量比のポリイミド粉末を含有してもよい。
多層ポリイミドフィルムの特定の実施形態において、ポリイミド層の少なくとも1つは着色顔料を更に包含してもよい。着色顔料は、前述のようなもの、例えば、カーボンブラックであってもよい。一実施形態において、1つの層に組み込まれる着色原料は、その層の総質量の約4〜約9質量%の質量比を有することができる。例えば、着色顔料の質量比は4、4.1、4.3、4.5、5、5.5、6、6.5、7、8、8.5、8.8、8.9、9質量%、又は上記の値の間の任意の中間値とすることができる。
一実施例では、2層ポリイミドフィルムを製造することができ、該フィルムは互いに積み重なったポリイミドベースポリマーを含有する第1層及び第2層を包含する。第1層及び第2層の1つ又は両方が、カーボンブラックのような着色顔料を包含できる。更に、多層ポリイミドフィルムの第1層及び第2層のうちの1つ、例えば第1層が、その層の総質量の約20〜約50質量%のポリイミド粉末を更に包含できる。
例えば、ポリイミド粉末の質量比は、20、21、24、25、30、35、40、45、47、49、50質量%、又は上記の値の間の任意の中間値とすることができる。第2層はポリイミド粉末を含有しないか又は第1層よりも少ない量のポリイミド粉末を含有してもよい。いくつかの実施形態において、第2層に組み込まれるポリイミド粉末の量は、第2層の総質量の約20質量%以下、例えば、19、18、17、15、10、8、5、3、2、1、0.5、0.1質量%、又は上記の値の間の任意の中間値とすることができる。
別の実施形態において、3層ポリイミドフィルムを製造することができ、該フィルムは互いに積み重なった第1層、第2層及び第3層を包含し、第2層が第1層と第3層の間に挟まれている。3層ポリイミドフィルムの各層はポリイミドベースポリマーを包含し、3つの層の少なくとも1つが、カーボンブラックのような着色顔料を包含する。
更に、第1層及び第3層の1つ又は両方が、その層の総質量の約20〜約50質量%の量のポリイミド粉末を更に包含できる。第2層はポリイミド粉末を含有しないか、又は3層ポリイミドフィルムの機械的特性(例えば、過度に低い伸び率)に影響しない、少量のポリイミド粉末を含有してもよい。
ポリイミド粉末艶消し剤及び低光沢フィルムの製造の実施例を以下に記載する。
ポリイミド粉末の調製
粒径は、艶消し剤として適用されるポリイミド粉末の消光効果を決定できる。従来方法によって調製されたポリイミド粉末は、粒径分布が広いために有効な艶消し剤として使用することができない。本明細書に記載の製造方法のいくつかの実施形態は、特定のモル比のモノマー及び固形分を適用して、ポリイミド粉末の平均粒径を正確に制御することができる。
[実施例1−1]
約570gのDMAC溶媒を、3つ口フラスコに添加することができる。続いて、約14.35gの4,4’−ODA及び約14.86gのPMDAを、前記DMAC溶媒に組み込み、反応溶液に完全に溶解するまで撹拌することができる。4,4’−ODAとPMDAとのモル比は約1:0.950であることができ、モノマーの総質量比は、反応溶液の質量の約5質量%であることができる。
続いて、約3.17gの3−ピコリンを反応溶液に添加することができ、この溶液を連続撹拌し、約170℃で18時間加熱して、ポリイミドの沈殿を形成する。沈殿物を水及びエタノールですすぎ、真空濾過を経て、その後、焼成オーブン内で1時間、約160℃で加熱することでポリイミド粉末を得ることができる。
[実施例1−2]
適用量が約540gのDMAC、約28.70gの4,4’−ODA、約29.72gのPMDA、及び約6.34gの3−ピコリンを包含することを除いて、実施例1−1と同様にして、ポリイミド粉末を調製することができる。従って、モノマーの総質量比は、反応溶液の質量の約10質量%とすることができる。
[実施例1−3]
適用量が約510gのDMAC、約43.05gの4,4’−ODA、約44.58gのPMDA、及び約9.51gの3−ピコリンを包含することを除いて、実施例1−1と同様にして、ポリイミド粉末を調製することができる。従って、モノマーの総質量比は、反応溶液の質量の約15質量%とすることができる。
[実施例1−4]
適用量が約15.41gのPMDA、及び約3.29gの3−ピコリンを包含することを除いて、実施例1−1と同様にして、ポリイミド粉末を調製することができる。従って、4,4’−ODA対PMDAのモル比は約1:0.985であることができ、モノマーの総質量比は、反応溶液の質量の約5質量%とすることができる。
[実施例1−5]
適用量が約540gのDMAC、約28.70gの4,4’−ODA、約30.81gのPMDA、及び約6.57gの3−ピコリンを包含することを除いて、実施例1−4と同様にして、ポリイミド粉末を調製することができる。従って、モノマーの総質量比は、反応溶液の質量の約10質量%とすることができる。
[実施例1−6]
適用量が約510gのDMAC、約43.05gの4,4’−ODA、約46.22gのPMDA、及び約9.86gの3−ピコリンを包含することを除いて、実施例1−4と同様にして、ポリイミド粉末を調製することができる。従って、モノマーの総質量比は、反応溶液の質量の約15質量%とすることができる。
[実施例1−7]
適用量が約15.57gのPMDA、及び約3.32gの3−ピコリンを包含することを除いて、実施例1−1と同様にして、ポリイミド粉末を調製することができる。従って、4,4’−ODA対PMDAのモル比は約1:0.995であることができ、モノマーの総質量比は、反応溶液の質量の約5質量%とすることができる。
[実施例1−8]
適用量が約540gのDMAC、約28.70gの4,4’−ODA、約31.14gのPMDA、及び約6.64gの3−ピコリンを包含することを除いて、実施例1−7と同様にして、ポリイミド粉末を調製することができる。従って、モノマーの総質量比は、反応溶液の質量の約10質量%とすることができる。
[実施例1−9]
適用量が約510gのDMAC、約43.05gの4,4’−ODA、約46.70gのPMDA、及び約9.96gの3−ピコリンを包含することを除いて、実施例1−7と同様にして、ポリイミド粉末を調製することができる。従って、モノマーの総質量比は、反応溶液の質量の約15質量%とすることができる。
[比較例1−1]
適用量が約570gのDMAC、約14.35gの4,4’−ODA、約14.08gのPMDA、及び約6.01gの3−ピコリンを包含することを除いて、実施例1−1と同様にして、ポリイミド粉末を調製することができる。4,4’−ODA対PMDAのモル比は約1:0.900であることができ、モノマーの総質量比は、反応溶液の質量の約5質量%とすることができる。
[比較例1−2]
適用量が約510gのDMAC、約43.05gの4,4’−ODA、約42.23gのPMDA、及び約18.02gの3−ピコリンを包含することを除いて、比較例1−1と同様にして、ポリイミド粉末を調製することができる。従って、モノマーの総質量比は、反応溶液の質量の約15質量%とすることができる。
[比較例1−3]
適用量が約576gのDMAC、約11.48gの4,4’−ODA、約11.89gのPMDA、及び約5.07gの3−ピコリンを包含することを除いて、実施例1−1と同様にして、ポリイミド粉末を調製することができる。従って、4,4’−ODA対PMDAのモル比は約1:0.950であり、モノマーの総質量比は、反応溶液の質量の約4質量%とすることができる。
[比較例1−4]
適用量が約504gのDMAC、約45.93gの4,4’−ODA、約47.56gのPMDA、及び約20.29gの3−ピコリンを包含することを除いて、比較例1−3と同様にして、ポリイミド粉末を調製することができる。従って、モノマーの総質量比は、反応溶液の質量の約16質量%とすることができる。
[比較例1−5]
適用量が約576gのDMAC、約11.48gの4,4’−ODA、約12.45gのPMDA、及び約5.31gの3−ピコリンを包含することを除いて、実施例1−1と同様にして、ポリイミド粉末を調製することができる。従って、4,4’−ODA対PMDAのモル比は約1:0.995であり、モノマーの質量比は、反応溶液の質量の約4質量%とすることができる。
[比較例1−6]
適用量が約504gのDMAC、約45.93gの4,4’−ODA、約49.81gのPMDA、及び約21.25gの3−ピコリンを包含することを除いて、比較例1−5と同様にして、ポリイミド粉末を調製することができる。従って、モノマーの総質量比は、反応溶液の質量の約16質量%とすることができる。
[比較例1−7]
適用量が約570gのDMAC、約14.35gの4,4’−ODA、約15.65gのPMDA、及び約6.67gの3−ピコリンを包含することを除いて、実施例1−1と同様にして、ポリイミド粉末を調製することができる。従って、4,4’−ODA対PMDAのモル比は約1:1であり、モノマーの総質量比は、反応溶液の質量の約5質量%とすることができる。
[比較例1−8]
適用量が約510gのDMAC、約43.05gの4,4’−ODA、約46.95gのPMDA、及び約20.02gの3−ピコリンを包含することを除いて、比較例1−7と同様にして、ポリイミド粉末を調製することができる。従って、モノマーの総質量比は、反応溶液の質量の約15質量%とすることができる。反応溶液を連続撹拌し、約170℃で18時間加熱することができるが、ポリイミドの沈殿は形成できない。換言すれば、ポリイミド粉末はまったく形成できない。
ポリイミド粉末の試験
上記の実施例及び比較例で得られたポリイミド粉末を、粒径分布を測定するために試験することができる。
粒子径分布測定装置(HoribaLA−950、Horiba,Instrumentsより販売)を使用して、粒径を測定することができる。ポリイミド粉末をフローキャリアのDMAC中に分散し、粉砕機により分散することができる。ポリイミド粉末で測定された粒径を、SEMによって確認することができる。結果を下の表1に示す。
Figure 0005777755
表1において、「固形分」は反応溶液中のモノマーの質量百分率を意味し、「D50」は中央粒径、すなわち、累積分布率が50%に達する粒径(D50値を超える粒径の粒子が粒子の50%存在し、D50値よりも小さい粒子が50%存在する)であり、「D90」は累積分布率が90%に達する粒径(D90値を超える粒径の粒子が90%存在する)であって、大きな粉末の粒子を表す指標として使用され、「有効粒径(S)」は、S=B/(A+B+C)×100%と定義され、式中Aはポリイミド粉末中の粒径が2μm未満の粒子のパーセンテージであり、Bは、ポリイミド粉末中の粒径が2〜10μmの粒子のパーセンテージであり、Cはポリイミド粉末中の粒径が10μmを超える粒子のパーセンテージである。
図1は、ポリイミド粉末中の粒径分布をプロットしたグラフである。
図1及び表1を参照すると、4,4’−ODA対PMDAのモル比が約0.95〜約0.995であって、モノマー固形分が反応溶液の約5質量%〜約15質量%の質量比である実施例1−1〜1−9において、ポリイミド粉末のD50値は約2.7μm〜約4.9μmであり、D90値は約5.9μm〜約7.3μmであり、有効粒径(S)は70%超である。
対照的に、モル比が0.95未満又は0.995超であって、固形分が5質量%又は15質量%である比較例1−1、1−2、1−7及び1−8では、有効粒径(S)が70%に達することができないか、又は粒子の形成すらできていない。更に、モル比が0.95〜0.995の範囲内であり、固形分が5質量%未満又は15質量%超のいずれかである比較例1−3〜1−6では、有効粒径(S)は依然として70%に達することができない。
従って、ジアミン対二無水物のモル比を約1:0.95〜約1:0.995、固形分を約5質量%〜約15質量%に制御することで、70%又はそれ以上もの高い有効粒径(S)を得ることができる。
単層黒色ポリイミドフィルムの調製
工程1.ポリイミド粉末の調製
約14.35gの4,4’−ODA、約14.86gのPMDA、及び約570gのDMACを、3つ口フラスコ内で混合して反応溶液を得ることができる。4,4’−ODA対PMDAのモル比は約1:0.950であり、モノマーの総質量比は、反応溶液の約5質量%であることができる。
続いて、約3.35gの3−ピコリンを反応溶液に添加することができ、この溶液を連続撹拌し、170℃の温度で18時間加熱して、ポリイミドの沈殿を形成する。この沈殿物を水及びエタノールですすぎ、真空濾過を経て、その後、約160℃で1時間加熱することで、約26.7gのポリイミド粉末を得ることができる。
工程2.カーボンブラックスラリーの調製
約500gのカーボンブラック(Regal−R400、CABOTCompanyから販売)及び約4,000gのDMACを混合し、約15分間攪拌することができる。その後、混合物を粉砕機で処理し、カーボンブラックスラリーを得ることができる。
工程3.黒色ポリアミド酸(PAA)溶液の調製
約45gのカーボンブラックスラリー、約833gのポリアミド酸溶液(固形分が18質量%で、4,4’−ODA、パラフェニレンジアミン(p−PDA)及びPMDAの重合から生成し、粘度が約150,000cpsである)、及び溶媒として約122gのDMACを均一に混合して、質量が約1,000g、固形分が約15.49質量%の黒色PAA溶液を得ることができる。
工程4.黒色ポリイミドフィルムの調製
[実施例3−1]
工程1で得られたポリイミド粉末(粒径約2.1μm)約0.37g、工程3で得られた黒色PAA溶液約49.83g、及び約15.2gのDMACをフラスコに入れ、1〜2時間撹拌して、低光沢黒色PAA溶液を得ることができる。
この低光沢黒色PAA溶液をガラス板支持体上に被覆し、オーブン内で焼成することができる。焼成条件を90℃の温度で30分間に設定して大部分の溶媒を除去し、その後170℃〜350℃で4時間かけて単層低光沢黒色ポリイミドフィルムを形成することができる。ガラス板支持体から剥離したフィルムは、平均粒径が約2.1μmのポリイミド粉末を5質量%含有することができる。
[実施例3−2]
モノマー4,4’−ODA及びPMDAの固形分が約15質量%であり、ポリイミド粉末の平均粒径が約5.5μmであることを除いて、実施例3−1と同様にしてフィルムを調製する。
[実施例3−3]
モノマー4,4’−ODA及びPMDAの固形分が約15質量%であり、4,4’−ODA対PMDAのモル比が約1:0.995であり、ポリイミド粉末の平均粒径が約8.6μmであることを除いて、実施例3−1と同様にしてフィルムを調製することができる。
[実施例3−4]
ポリイミド粉末の添加量が約0.78gであることを除いて、実施例3−1と同様にしてフィルムを調製することができる。従って、低光沢黒色ポリイミドフィルムは、平均粒径が約2.1μmのポリイミド粉末を約10質量%含有することができる。
[実施例3−5]
ポリイミド粉末の添加量が約0.78gであることを除いて、実施例3−2と同様にしてフィルムを調製することができる。ポリイミド粉末は、約5.5μmの平均粒径を有する。
[実施例3−6]
ポリイミド粉末の添加量が約0.78gであることを除いて、実施例3−3と同様にしてフィルムを調製することができる。ポリイミド粉末は、約8.6μmの平均粒径を有する。
[比較例3−1]
粒径が約2.1μmのポリイミド粉末の添加量が約0.008gであることを除いて、実施例3−1と同様にしてフィルムを調製することができる。従って、低光沢黒色ポリイミドフィルムは、ポリイミド粉末を約1質量%含有する。
[比較例3−2]
モノマー4,4’−ODA及びPMDAの固形分が約15質量%であり、ポリイミド粉末の平均粒径が約5.5μmであることを除いて、実施例3−1と同様にしてフィルムを調製することができる。
[比較例3−3]
モノマー4,4’−ODA及びPMDAの固形分が約15質量%であり、4,4’−ODA対PMDAのモル比が約1:0.995であり、ポリイミド粉末の平均粒径が約8.6μmであることを除いて、比較例3−1と同様にしてフィルムを調製することができる。
[比較例3−4]
ポリイミド粉末を添加しないことを除いて、実施例3−1と同様にしてフィルムを調製することができる。
[比較例3−5]
ポリイミド粉末を添加せず、粒径が約5.2μmのSiO2粉末(GRACE Companyから商品名「P405」で販売)0.37gを艶消し剤として使用することを除いて、実施例3−7と同様にしてフィルムを作製することができる。
[比較例3−6]
ポリイミド粉末を添加せず、粒径が約5.4μmのAl23粉末(Denka Companyから商品名「ASFP−20」で販売)0.37gを艶消し剤として使用することを除いて、実施例3−7と同様にしてフィルムを作製することができる。
黒色ポリイミドフィルムの光学的特性の試験
上記の実施例及び比較例に従って調製した黒色ポリイミドフィルムの60°の光沢度及び全透過性を測定することができ、その結果を表2に示す。
黒色ポリイミドフィルムの光学的特性
Figure 0005777755
日本電色PG−1Mの名称で販売されている光沢計を使用して60°の光沢度を測定することができ、この値は3〜6回の測定値の平均として得ることができる。日本電色NDH2000の名称で販売されているヘーズメータを用いて、全透過性を測定することができ、この値は3〜6回の測定値の平均として得ることができる。
表2に示すように、艶消し剤を添加せずに形成された黒色ポリイミドフィルム(例えば、比較例3−4)と比較して、ポリイミド粉末艶消し剤を組み込んだ低光沢黒色ポリイミドフィルムは、より低い60°の光沢度を有することができ、高い遮蔽率(すなわち、全透過性の0.1%未満)を示すことができる。
特に、実施例3−1〜3−6に示すように、60°の光沢度は、5質量%以上のポリイミド粉末を組み込んだときに50未満に低下し得る。60°の光沢度は、より多くのポリイミド粉末が添加されるにつれて低下し得る。比較例3−5及び3−6で使用した従来の艶消し剤と比較して、ポリイミド粉末を艶消し剤として使用することで、同等又はそれ以上の消光効果を得ることができる。
ポリイミド粉末の添加量が5質量%未満の場合(比較例1−3がこれに該当する)、フィルムの60°の光沢度は、ポリイミド粉末の平均粒径が2μm〜10μmであっても、なお100を超える。更に、ポリイミド粉末の量が5質量%未満の場合、フィルムの60°の光沢度は、平均粒径が10μmを超える場合でも、100を超える(表には示されていない)。
過度に小さい粒径のポリイミド粉末(例えば、0.5μm未満)を使用すると、フィルムの表面粗さが低減される場合があり、その結果入射光の錯乱が不十分になる場合がある。所望の60°の光沢度を得るために、より大量のポリイミド粉末を使用した場合、粉末粒子の分散が低減される可能性があり、及び/又はフィルムの特性が影響を受ける可能性すらある。
他方、過度に大きい粒径のポリイミド粉末は、特にフィルムが薄い(例えば、厚さ80μm未満)場合に、フィルム表面を粗くする場合があり、これは表面均一性に影響を与える場合がある。更に、ポリイミド粉末の粒子が大きいほど、容易に脱着し、その後の処理を汚染する可能性がある。
低光沢ポリイミドフィルムの調製
[実施例5−1]
約6.1gのポリイミド粉末(粒径約5μm)及び約160.6gのDMACをフラスコ内で混合することができる。固形分18質量%のPAA酸溶液(4,4’−ODA、p−PDA及びPMDAから重合、粘度約150,000cps)約333.3gを添加し、総質量が約500gでモノマーの固形分が約13.2質量%のPAA溶液が得られるまで連続撹拌する。このPAA溶液60gをガラス板支持体上に被覆し、オーブン内で焼成することができる。
焼成条件としては、約90℃で30分間の加熱で大部分の溶媒を除去することが挙げられ、その後170℃〜350℃で4時間かけて、約10質量%のポリイミド粉末を含有する単層低光沢ポリイミドフィルムを形成することができる。
[比較例5−1]
ポリイミド粉末を添加せず、粒径が約5.4μmのAl23粉末(Denka Companyから商品名「ASFP−20」で販売)約10質量%を艶消し剤として組み込むことを除いて、実施例5−1と同様にしてフィルムを作製することができる。
[比較例5−2]
ポリイミド粉末を添加せず、粒径が約5.2μmのSiO2粉末(GRACE Companyから商品名「P405」で販売)約10質量%を艶消し剤として組み込むことを除いて、実施例5−1と同様にしてフィルムを作製することができる。
[比較例5−3]
ポリイミド粉末を添加せず、粒径が約5μmのTiO2粉末(Sigma Aldrich Companyから販売)約10質量%を艶消し剤として組み込むことを除いて、実施例5−1と同様にしてフィルムを作製することができる。
ポリイミドフィルムの誘電率の測定
ASTM D150−95標準試験を使用して、上記の実施例及び比較例に従って作製されたポリイミドフィルムの誘電率を測定することができる。インピーダンスアナライザーAgilent4294A(クリップタイプ6034G)を使用して、各フィルムの誘電率を測定することができ、3回の測定の平均とすることができる。結果を表3に示す。
低光沢ポリイミドフィルムの誘電率の試験結果
Figure 0005777755
表3に示すように、適量のポリイミド粉末を組み込むことで、従来の無機艶消し剤と比べて、誘電率が低く、絶縁特性に優れ、そのため絶縁要求の高い用途に特に適するフィルムを形成することができる。
多層黒色ポリイミドフィルムの調製
[実施例6−1]
工程1:ポリイミド艶消し粉末の調製。
約470gのDMAC溶媒を、3つ口フラスコに添加することができる。続いて、約14.35gの4,4’−ODA及び約15.65gのPMDAを、前記DMAC溶媒に組み込み、反応溶液に完全に溶解するまで撹拌することができる。
4,4’−ODAとPMDAのモル比は約1:1であることができ、モノマーの総質量比は、反応溶液の質量の約6質量%とすることができる。約500gの反応溶液を連続撹拌し、約160℃まで2℃/分で徐々に加熱し、160℃で3時間加熱して、ポリイミドの沈殿を形成する。この沈殿物をDMAC及びエタノールですすぎ、真空濾過を経て、その後、焼成オーブン内で1時間、約160℃で加熱することでポリイミド粉末を得ることができる。
工程2:ポリアミド酸(PAA)溶液の調製
黒色2層ポリイミドフィルムを作製すると考えた場合、フィルムの2つのポリイミド層のために2種類の黒色PAA溶液をそれぞれ調製することができる。第1の黒色PAA溶液に関しては、固形分18質量%のポリアミド酸溶液を、4,4’−ODAとPMDA(モル比1:1)の重合により形成することができる。更に、約4gのカーボンブラック(SB4A、Degussa Companyより販売)、約20gの前記工程1で調製したポリイミド粉末、及び約144gのDMACを混合し、60分間撹拌した後、粉砕機で処理することができる。続いて、得られた混合物を約496gのポリアミド酸溶液と均一に混合して、第1の黒色PAA溶液を得ることができる。
第2のPAA溶液に関しては、固形分が18質量%の類似のポリアミド酸溶液を、4,4’−ODAとPMDA(モル比1:1)の重合により形成することができる。更に、約4gのカーボンブラック(SB4A、Degussa Companyより販売)及び約24gのDMACを混合し、60分間撹拌した後、粉砕機で処理することができる。得られた混合物を約593gのポリアミド酸溶液と均一に混合して、第2の黒色PAA溶液を得ることができる。
工程3:多層ポリイミドフィルムの調製
第2の黒色PAA溶液をガラス板支持体上に被覆し、約80℃の温度で30分間焼成して大部分の溶媒を除去する。続いて、第1の黒色PAA溶液を第2層の上に被覆し、約80℃の温度で30分間焼成して大部分の溶媒を除去し、次いで350℃で4時間かけて2層ポリイミドフィルムを形成する。2層ポリイミドフィルムの全厚は約13μmで、第1層の厚さは4μmであり、第2層の厚さは9μmである。
[実施例6−2]
第1の黒色PAA溶液が約4gのカーボンブラック(SB4A)、約30gのポリイミド粉末、約204gのDMAC、及び約407gのポリアミド酸溶液を含有することを除いて、実施例6−1と同様にして2層フィルムを調製できる。
[実施例6−3]
第1の黒色PAA溶液が約4gのカーボンブラック(SB4A)、約50gのポリイミド粉末、約324gのDMAC、及び約284gのポリアミド酸溶液を含有することを除いて、実施例6−1と同様にして2層フィルムを調製できる。
[実施例6−4]
実施例6−1で得られた2層構造を基にして、3層フィルムを作製することができる。より具体的には、実施例6−1で得られた2層構造をガラス板支持体から剥離した後、第1層がガラス板支持体と接触した状態で、第2層が一番上になるように配置することができる。続いて、第1の黒色PAA溶液を第2層の上に被覆して、第3層を形成する。この構造を約80℃の温度で30分間焼成して大部分の溶媒を除去し、その後350℃で4時間かけて3層ポリイミドフィルムを形成する。
この3層構造において、第1層及び第3層は組成が同じであり、第2層はこの第1層と第3層の間に挟まれている。更に、3層ポリイミドフィルムの全厚は13μmであり、第1、第2及び第3層の厚さはそれぞれ4μm、5μm及び4μmである。
[実施例6−5]
第1の黒色PAA溶液が約4gのカーボンブラック(SB4A)、約50gのポリイミド粉末、約324gのDMAC、及び約284gのポリアミド酸溶液を含有することを除いて、実施例6−4と同様にして3層フィルムを調製することができる。
[実施例6−6]
第1の黒色PAA溶液が約6gのカーボンブラック(SB4A)、約20gのポリイミド粉末、約156gのDMAC、及び約457gのポリアミド酸溶液を含有することを除いて、実施例6−1と同様にして2層フィルムを調製することができる。更に、第2の黒色PAA溶液は、約6gのカーボンブラック(SB4A)、約36gのDMAC、及び約580gのポリアミド酸溶液を含有する。
[実施例6−7]
工程1:ポリイミド粉末の調製
ポリイミド粉末は、実施例6−1と同様にして調製することができる。
工程2:ポリアミド酸(PAA)溶液の調製
第1の黒色PAA溶液は、実施例6−1と同様にして調製することができる。
第2の黒色PAA溶液は、組み込まれた成分が約4gのカーボンブラック(SB4A)、約3gのポリイミド粉末、約42gのDMAC、及び約574gのポリアミド酸溶液を包含することを除いて、実施例6−1と同様にして調製することができる。
工程3:多層ポリイミドフィルムの調製
第2の黒色PAA溶液をガラス板支持体上に被覆し、約80℃の温度で30分間焼成して大部分の溶媒を除去し、続いて370℃で4時間かけて第2層を形成する。第2層を支持体から剥離し、反転して、それまで板支持体と接触していた面を表にする。
続いて、第1の黒色PAA溶液を第2層の上に被覆し、約80℃の温度で30分間焼成して大部分の溶媒を除去し、次いで370℃で4時間焼成して、2層ポリイミドフィルムを形成する。更に、3層ポリイミドフィルムの全厚は13μmであり、第1層及び第2層の厚さはそれぞれ4μm及び9μmである。
[実施例6−8]
第2の黒色PAA溶液が約4gのカーボンブラック(SB4A)、約10gのポリイミド粉末、約84gのDMAC、及び約531gのポリアミド酸溶液を含有することを除いて、実施例6−7と同様にして2層フィルムを調製することができる。
[実施例6−9]
第2の黒色PAA溶液が約4gのカーボンブラック(SB4A)、約20gのポリイミド粉末、約144gのDMAC、及び約469gのポリアミド酸溶液を含有することを除いて、実施例6−7と同様にして2層フィルムを調製することができる。
[実施例6−10]
第2の黒色PAA溶液が約4gのカーボンブラック(SB4A)、約30gのポリイミド粉末、約204gのDMAC、及び約407gのポリアミド酸溶液を含有することを除いて、実施例6−7と同様にして2層フィルムを調製することができる。
[実施例6−11]
第1の黒色PAA溶液が約4gのカーボンブラック(SB4A)、約50gのポリイミド粉末、約324gのDMAC、及び約284gのポリアミド酸溶液を含有することを除いて、実施例6−9と同様にして2層フィルムを調製することができる。
[実施例6−12]
第2の黒色PAA溶液がポリアミド酸のみを含有し、カーボンブラックが組み込まれないことを除いて、実施例6−3と同様にして2層フィルムを調製することができる。
[実施例6−13]
第1の黒色PAA溶液が約50gのポリイミド粉末、約300gのDMAC、及び約309gのポリアミド酸溶液を含有し、カーボンブラックが組み込まれないことを除いて、実施例6−3と同様にして2層フィルムを調製することができる。
[比較例6−1]
第1の黒色PAA溶液が約4gのカーボンブラック(SB4A)、約15gのポリイミド粉末、約114gのDMAC、及び約500gのポリアミド酸溶液を含有することを除いて、実施例6−1と同様にして2層フィルムを調製することができる。
[比較例6−2]
第1の黒色PAA溶液が約4gのカーボンブラック(SB4A)、約60gのポリイミド粉末、約384gのDMAC、及び約222gのポリアミド酸溶液を含有することを除いて、実施例6−1と同様にして2層フィルムを調製することができる。
[比較例6−3]
第1の黒色PAA溶液が約10gのカーボンブラック(SB4A)、約20gのポリイミド粉末、約180gのDMAC、及び約432gのポリアミド酸溶液を含有することを除いて、実施例6−1と同様にして2層フィルムを調製することができる。更に、第2の黒色PAA溶液は、約10gのカーボンブラック(SB4A)、約60gのDMAC、及び約556gのポリアミド酸溶液を含有する。
[比較例6−4]
第1及び第2の黒色PAA溶液がそれぞれ約4gのカーボンブラック(SB4A)、約24gのDMAC、及び約593gのポリアミド酸溶液を含有することを除いて、実施例6−1と同様にして2層フィルムを調製することができる。
[比較例6−5]
第1及び第2の黒色PAA溶液がそれぞれ約4gのカーボンブラック(SB4A)、約30gのポリイミド粉末、約204gのDMAC、及び約407gのポリアミド酸溶液を含有することを除いて、実施例6−7と同様にして2層フィルムを調製することができる。
[比較例6−6]
第1の黒色PAA溶液が約4gのカーボンブラック(SB4A)、約50gのポリイミド粉末、約324gのDMAC、及び約284gのポリアミド酸溶液を含有することを除いて、比較例6−5と同様にして2層フィルムを調製することができる。
[比較例6−7]
固形分が18質量%のポリアミド酸溶液約407gを、4,4’−ODAとPMDA(モル比1:1)の重合により形成することができる。更に、約4gのカーボンブラック(SB4A)、約30gのポリイミド粉末及び約144gのDMACを合わせて混合し、約60分間攪拌することができる。粉砕機で処理した後、得られた混合物を約407gのポリアミド酸溶液と均一に混合して、黒色PAA溶液を得ることができる。
黒色PAA溶液をガラス板支持体上に被覆し、約80℃の温度で30分間焼成して大部分の溶媒を除去し、続いて370℃で4時間かけて単層ポリイミドフィルムを形成する。
[比較例6−8]
第1の黒色PAA溶液が約4gのカーボンブラック(SB4A)、約60gのポリイミド粉末、約384gのDMAC、及び約222gのポリアミド酸溶液を含有することを除いて、実施例6−4と同様にして3層フィルムを調製することができる。
[比較例6−9]
第1の黒色PAA溶液が約4gのカーボンブラック(SB4A)、約384gのDMAC、及び約593gのポリアミド酸溶液を含有することを除いて、実施例6−4と同様にして3層フィルムを調製することができる。更に、第2の黒色PAA溶液は、約4gのカーボンブラック(SB4A)、約50gのポリイミド粉末、及び約324gのDMAC、及び約284gのポリアミド酸溶液を含有する。
多層ポリイミドフィルムのフィルム特性の試験
60°の光沢度(GU)は、光沢計(Micro Tri Gloss−BYK Gardner)を用いて測定する。全透過性(TT)は、日本電色NDH2000ヘーズメータを用いて測定する。伸びは、ASTM D288に基づいて、万能材料試験機(Hounsfield H10ks)を用いて測定する。表面抵抗性は、Agilent4339Bに16008B抵抗セルを用いて測定する。試験結果を表4に示す。
[0001]
多層ポリイミドフィルムの特性
Figure 0005777755
表4において、「D」は艶消し剤(すなわち、ポリイミド粉末)を意味し、「C」はカーボンブラックを意味し、「X」は層がないことを意味し、「表面A」は、多層フィルムの最外面で、製造プロセスの間に外側に露出していて板支持体2と接触していない面を表し(図2は、板支持体2上に形成された2層フィルム1の例を示し、図3は、板支持体2上に形成された3層フィルム1’の例を示す)、「表面B」は、多層フィルムの最外面で、製造プロセスの間に板支持体2と接触している面を表す(図2及び図3参照)。
表4によると、実施例6−1〜6−13の多層フィルムは、低光沢度(5未満)、低い光透過率(0.2%未満)、良好な伸び率(30%超)及び良好な絶縁性などの所望のフィルム特性を示す。実施例6−4及び6−5において、第1層及び第3層が20〜50質量%のポリイミド粉末を含有する場合、表面A及び表面Bのいずれの光沢度も5未満である。
ポリイミド粉末の比率が低すぎる場合(例えば、比較例6−1における15質量%)、所望の光沢度を得ることができない。ポリイミド粉末の比率が高すぎる場合(例えば、比較例6−2、6−5〜6−8)、伸び率などの機械的特性が低下する。
カーボンブラックもフィルムの導電性に影響する場合があり、層中のカーボンブラックの比率が高すぎる場合(例えば、比較例6−3)、所望の絶縁特性を得ることができない。
金属層を有するポリイミドフィルムの調製
[実施例7−1]
固形分が18質量%のポリアミド酸溶液を、4,4’−ODAとPMDA(モル比1:1)の重合により形成することができる。更に、約4gのカーボンブラック(SB4A)、約10gのポリイミド粉末及び約84gのDMACを合わせて混合し、約60分間攪拌することができる。粉砕機で処理した後、この混合物を約519gのポリアミド酸溶液と均一に混合して、黒色PAA溶液を得ることができる。
黒色PAA溶液をガラス板支持体上に被覆し、約80℃の温度で30分間焼成して溶媒を除去し、続いて370℃で4時間かけて単層ポリイミドフィルム(10%のポリイミド粉末を含有する)を形成する。
黒色ポリイミドフィルムをガラス板支持体から剥離し、剥離前にガラス板支持体と接触していた表面上に厚さ約70nmのアルミニウム層を形成する。この金属層は、約10-6torrの真空下での熱蒸発によって形成できる。
[実施例7−2]
アルミニウム層を厚さ約70nmの銀層に置き換えることを除いて、実施例7−1と同様にして、フィルムを調製することができる。
[実施例7−3]
単層ポリイミドフィルムを実施例6−2の2層ポリイミドフィルムに置き換えることを除いて、実施例7−2と同様にして、フィルムを調製することができる。
[比較例7−1]
黒色PAA溶液が約4gのカーボンブラック(SB4A)、約10gのポリイミド粉末、約84gのDMAC、及び約519gのポリアミド酸溶液を含有することを除いて、比較例6−7と同様にして単層フィルムを調製することができる。
電磁干渉(EMI)遮蔽効果の測定
EMI遮蔽の効果を、HPネットワーク/スペクトラム/インピーダンス/アナライザーを用いて、ASTM4935に基づいて検出する。500MHz〜2GHzの平均結果が得られる。結果を表5に示す。
Figure 0005777755
表5において、「C.E.」は比較例を意味し、「D」は艶消し剤(すなわち、ポリイミド粉末)を意味し、「C」はカーボンブラックを意味し、「X」は層がないことを意味する。
表5は、多層ポリイミドフィルムが更に金属層を包含し、500MHz〜2GHzの周波数において約30〜50dBのEMI遮蔽を与えることができることを示す。従って、本明細書に記載の多層ポリイミドフィルムの用途は、フレキシブルPCBの製造におけるEMI遮蔽を包含することができる。更に、ポリイミドフィルムは、低光沢及び低光透過率(<0.2%)を有することができ、良好な機械的特性及び絶縁性を有することができる。
本明細書に記載の実施形態及び実施例は、消光効果が強化され、高い絶縁性及び良好な耐熱性を有するポリイミド粉末を製造することができる。このポリイミド粉末を、カーボンブラック顔料(例えば、約2〜10質量%の量で)と共に使用して、高い遮蔽特性、低光沢、強化された絶縁性及び耐熱性を有する黒色ポリイミドフィルムを製造してもよい。
ポリイミドフィルムの用途の例としては、限定されるものではないが、フレキシブルプリント基板(FPC)、リジッドプリント基板、フレキシブル−リジッドプリント基板、LCD、LED、太陽電池、TFT−LCD、OLED、携帯通信装置、デジタルカメラ、ノートパソコン、電子ブック、タブレットPC等が挙げられる。
フィルム、ポリイミド粉末艶消し剤及び関連製造方法の実現を、特定の実施形態に関して記載した。これらの実施形態は例示であり、限定的なものではないことを意図している。多数の変形、変更、追加、及び改良が可能である。これら及び他の変形、変更、追加、及び改良は、以下の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲内に含まれ得る。

Claims (12)

  1. 互いに積み重なった少なくとも2つのポリイミド層を含む多層ポリイミドフィルムであって、
    前記ポリイミド層のそれぞれが、ジアミンと二無水物成分とをほぼ等しいモル比で反応させて形成されるポリイミドベースポリマーを含有し、ポリイミド層の少なくとも1つがそのポリイミドベースポリマー中に分散したポリイミド粉末を更に含有し、このポリイミド粉末が、それが組み込まれているポリイミド層の総質量を基にして2〜50質量%の質量比を有し、2μm〜10μmの平均粒径を有し、
    該ポリイミド粉末がジアミンと二無水物のモル比が1:0.950〜1:0.995のジアミンと二無水物モノマーから得られ、
    前記多層ポリイミドフィルムが60°の光沢度が5以下である外表面を少なくとも1つ有することを特徴とする、
    多層ポリイミドフィルム。
  2. 前記ポリイミド層の少なくとも1つが着色顔料を更に含有することを特徴とする、請求項1に記載の多層ポリイミドフィルム。
  3. 前記着色顔料がポリイミド層の質量の4〜9質量%の質量比を有することを特徴とする、請求項2に記載の多層ポリイミドフィルム。
  4. 前記着色顔料がカーボンブラックであることを特徴とする、請求項2に記載の多層ポリイミドフィルム。
  5. 前記ポリイミド粉末が、オキシジアニリン(ODA)とピロメリット酸二無水物(PMDA)の反応から得られることを特徴とする、請求項1に記載の多層ポリイミドフィルム。
  6. 請求項1に記載の多層ポリイミドフィルム、及び該多層ポリイミドフィルムの外面に配置された金属層を含むことを特徴とする、電磁干渉(EMI)遮蔽構造。
  7. 2層ポリイミドフィルムであって、
    ポリイミドベースポリマー及び該ポリイミドベースポリマー中に分散したポリイミド粉末を含有し、該ポリイミド粉末が第1層の総質量の2〜50質量%の質量比を有する、第1層、及び、
    第1層の表面上に積み重なった第2層であって、ポリイミドベースポリマー及び該ポリイミドベースポリマー中に分散したポリイミド粉末を含有し、該ポリイミド粉末が第2層の総質量の20質量%以下の質量比を有する、第2層、を含み、
    第1層及び第2層のうち少なくとも1つが着色顔料を更に包含し、該第1層と該第2層の該ポリイミド粉末が2μm〜10μmの平均粒径を有し、ジアミンと二無水物のモル比が1:0.950〜1:0.995のジアミンと二無水物モノマーから得られることを特徴とする、
    2層ポリイミドフィルム。
  8. 前記着色顔料がカーボンブラックであることを特徴とする、請求項に記載の2層ポリイミドフィルム。
  9. 前記着色顔料が層の質量の4〜9質量%の質量比を有することを特徴とする、請求項に記載の2層ポリイミドフィルム。
  10. 第1層、第2層及び第3層を含む3層ポリイミドフィルムであって、第2のポリイミド層が第1層と第3層の間に挟まれており、各層がポリイミドベースポリマーを含有し、第1層及び第3層がそれぞれ層の総質量の20質量%〜50質量%の質量比を有するポリイミド粉末を更に含有し、3つの層の少なくとも1つが着色顔料を含有し、該第1層と該第3層の該ポリイミド粉末が2μm〜10μmの平均粒径を有し、ジアミンと二無水物のモル比が1:0.950〜1:0.995のジアミンと二無水物モノマーから得られることを特徴とする、3層ポリイミドフィルム。
  11. 前記着色顔料がカーボンブラックであることを特徴とする、請求項1に記載の3層ポリイミドフィルム。
  12. 前記着色顔料が層の質量の4〜9質量%の質量比を有することを特徴とする、請求項1に記載の3層ポリイミドフィルム。
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