JP5775843B2 - 複合成形レンズ用金型及び複合成形レンズの製造方法 - Google Patents

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本発明は、圧縮成形と射出成形とを連続して行う複合成形レンズ用金型及び複合成形レンズの製造方法に関するものである。
デジタルカメラやプロジェクタ、カメラ付き携帯端末装置などに用いられる光学レンズに光学性能が高く研磨など後処理が不要な圧縮成形レンズが用いられることがあるが、圧縮成形レンズは光軸方向の位置決め面や光軸出しのための外周面の形成が難しい。そのため、レンズの外周部にリング状のフランジ部を射出成形したものがあり、フランジ部を拡張してレンズ枠あるいは鏡枠を形成したものも提案されている。下記特許文献1,2には圧縮成形されたレンズの外周に鏡枠を射出成形して一体としたレンズユニットが記載されている。なお、携帯端末装置としては、例えば、携帯電話機やスマートフォン、携帯型ゲーム機、PDA(Personal・Digital・Assistants)が挙げられる。
特許第2502718号公報 特開2007−22905号公報
近年、レンズの小型化や大口径化が進み、外径寸法に比べて厚さの薄い傾向が強くなってきた。特に、凸レンズの場合、薄型化が進むとレンズの外周部は極めて薄くなって端面の幅寸法を十分に確保することが困難となる。そこで、凸レンズの外周にリング状のフランジ部を射出成形にて一体成形することになるが、凸レンズの外周部とフランジ部の接合面の密着性が十分でないと、環境温度の変化による膨張差や鏡筒への組付け時の捻れなどによって接合面が剥離してしまうことがある。
本発明は、上記問題に鑑み、圧縮成形と射出成形とを連続的に行ってレンズ部の外周部分より厚いフランジ部(枠体)を有する複合成形レンズを成形するにあたって、接合面の密着性が強化された複合成形レンズが形成されるようにすることを目的とする。
本発明による複合成形レンズ用金型は、プリフォームを上型と下型の間でプレスして光学面を有するレンズ部とレンズ部の外周を取り囲む第1鍔部とからなるレンズ体を成形した後に、第1鍔部を囲むように形成された枠部と枠部の内径側に一体に成形され第1鍔部の光軸方向に隣接する第2鍔部とからなる枠体を射出成形して一体化する複合成形レンズ用金型であって、上型及び下型の少なくとも一方は、レンズ部を圧縮成形するレンズ部用コアと、第1鍔部を圧縮成形した後にプリフォームのプレス方向と反対の方向に移動して第1鍔部の一方の面と光軸方向に隣接する第2鍔部成形空間を形成する鍔部用コアと、鍔部用コアをプレス方向に移動自在に保持するとともに枠部を形成する枠部成形空間を有する枠部用コアとからなることを特徴とする。
上型及び下型は、レンズ部用コアと鍔部用コアと枠部用コアとからなり、それぞれが独立して移動自在とすると良い。枠部成形空間は、上型及び下型に跨って形成されるようにしても良い。上型は、プリフォームをプレスする鍔部用コアの鍔部形成面がレンズ部用コアの外周端より突出するようにレンズ部用コアと鍔部用コアとが一体に形成され、鍔部形成面の内側に、光軸方向の寸法が第2鍔部の内周端の厚さ寸法より大きい円筒面が形成されるようにしても良い。また、レンズ部の少なくとも一方の光学面が、光軸方向で枠体から食み出さない形状を有すると良い。
本発明による複合成形レンズの製造方法は、プレス成形されたレンズ体と、該レンズ体を取り囲む枠体が射出成形で一体化された複合成形レンズの製造方法であって、光学素材のプリフォームを上型と下型の間に載置する第1工程と、プリフォームをプレスして光学面の外側に第1鍔部を有するレンズ体を成形する第2工程と、第1鍔部を圧縮成形した鍔部用コアをプリフォームのプレス方向と反対の方向に移動して第1鍔部の一方の面と光軸方向に隣接する第2鍔部成形空間を形成する第3工程と、第2鍔部成形空間とその外周側に形成された枠部成形空間とに溶融樹脂を射出して、第2鍔部と枠部とからなる枠体を成形する第4工程とが順次に行われることを特徴とする。
本発明によれば、圧縮成形されるレンズ体の第1の鍔部に密着接合する第2の鍔部を有する枠体を射出成形することで広い接合面が得られ、強固に一体化された複合成形レンズを作ることができる。
本発明による複合成形レンズの平面図である。 図1の断面図である。 複合成形レンズの成形手順を示すフロー図である。 本発明による複合成形レンズ用金型の断面図である 上型を下方から見たときの平面図である。 図4にてレンズ体を圧縮成形したときの図である。 図6にて鍔部用コアを戻して第2鍔部成形空間を形成したときの図である。 図7にて射出成形したときの図である。 鍔部に段差が出来ないようにしたときの複合成形レンズの断面図である。 図9のレンズを成形する金型を説明する図である。 図10にて圧縮成形したときの図である。 図11にて鍔部用コアを戻して第2鍔部成形空間を形成したときの図である。 レンズ部用コアと鍔部用コアを1つにした金型を説明する図である。 図13にて圧縮成形したときの図である。 図14にてレンズ体用コアを戻して第2鍔部成形空間を形成したときの図である。 別の実施形態での金型の説明用の断面図である。 図16にて圧縮成形したときの図である。 図17にて鍔部用コアを戻して第2鍔部成形空間を形成したときの図である。 図16の金型による複合成形レンズの断面図である。
図1及び図2に示すように、本発明による複合成形レンズ10は、プラスチックのプリフォーム30(図4参照)が圧縮成形されて形成された光学面を有するレンズ部12及びレンズ部12を囲むように形成された第1鍔部13とからなるレンズ体11と、PMMAやPCなどの樹脂が射出されて第1鍔部13を囲むように形成された枠部15と枠部15の内径側に一体に成形され第1鍔部13の光軸方向に隣接する第2鍔部16とからなる枠体14とから構成される。第2鍔部16は射出成形によって第1鍔部13に密着接合され強固に接合される。また、レンズ部12の一方の光学面17は、光軸46と平行な方向で枠体14から食み出さないように形成すると良く、成形後、平らな面に置いたときに光学面17が触れず、傷が付かない。
第1鍔部13の外周端面18はプリフォーム30が押し潰されて広がるときにトロイドの外径側のような自由曲面に形成される。プリフォーム30は外周端面18が枠部成形空間25(図6参照)に食み出すまで押し潰されようにすると良いが、枠部成形空間25の少し手前までであっても差し支えない。外周端面18は第1鍔部13と枠部15との接合面となる。なお、枠部15を射出成形するときに形成されるゲート部19は必要に応じて削除すると良い。
次に、本発明による複合成形レンズ10の製造方法を図3に示すフローを参照しながら説明するとともに、それに用いる複合成形レンズ用金型20について説明する。
図4に示すように、複合成形レンズ用金型20は上型21及び下型31からなり、下型31に載置されたプリフォーム30を(第1工程)加熱・軟化させて上型21によって光軸46と平行な方向にプレスする。上型21は、レンズ部12をプレスするレンズ部用コア22と、第1鍔部13をプレスする鍔部用コア23と、枠部15を形成する枠部成形空間25を有する枠部用コア24とからなり、レンズ部用コア22は鍔部用コア23にガイドされ、鍔部用コア23は枠部用コア24にガイドされてプリフォーム30のプレス方向に移動自在に保持される。鍔部用コア23の下面に設けられた鍔部形成面33は、レンズ部用コア22の下面に設けられたレンズ部形成面32の外周端との間に段差なく位置決めされる。
図5に示すように、上型21は、レンズ部12の一方の面に光学面を含むレンズ部形成面32、第1鍔部13を形成する鍔部形成面33、枠部成形空間25が形成された枠部用コア24が同心円状に形成され、枠部用コア24の枠部成形空間25より外周側に枠部15を形成する樹脂が射出されるゲート29が設けられる。下型31にはレンズ部12の他方の面に光学面を形成する転写面36が形成される。
図6に示すように、レンズ部用コア22と鍔部用コア23とによってプレスされたプリフォーム30は、鍔部形成面33と下型31との間で延展されて第1鍔部13の外周端面18が枠部成形空間25に僅かに食み出すまで押し潰される(第2工程)。
図7に示すように、第1鍔部13を圧縮成形した後、鍔部用コア23をプレス方向と反対の方向(矢印37で示す方向)に移動させて、鍔部形成面33を第1鍔部13の一方の面から離して光軸46と平行な方向に隣接する第2鍔部成形空間26を形成する。第2鍔部成形空間26は枠部成形空間25の内径側に形成される(第3工程)。
図8に示すように、レンズ体11が形成され第1鍔部13の上方に第2鍔部成形空間26が形成されると、上型21及び下型31が開かれることなくゲート29から溶融された樹脂が射出されて枠部15及び第2鍔部16からなる枠体14が成形される(第4工程)。これによって、圧縮成形によって形成されたレンズ体11と射出成形によって形成された枠部15は、第1鍔部13の外周端面18と枠部15とが接合される場合に比べて、格段に接合力がアップされ、環境温度の変化によるレンズ体11及び枠部15の膨張に差が生じても剥離することはなく、鏡枠等への組み込みのストレスによって分離されることもなくなる。
図2に示された複合成形レンズ10は、レンズ部12と第2鍔部16の間に段差があるが、図9に示す複合成形レンズ40のように、レンズ部42と第2鍔部44の間に段差が生じないようにすることも出来る。
図10に示すように、鍔部用コア23をレンズ部用コア22より下方に突き出して、レンズ部形成面32と鍔部形成面33の間には円筒状の段差38が形成されるように位置決めしてプリフォーム30を押圧すると、図11に示すように、圧縮成形されたレンズ体41の第1鍔部43の厚さはレンズ部42の外周端より薄く形成される。その後、鍔部用コア23を、図12に示す位置まで戻して第2鍔部成形空間26を形成してから、ゲート29より溶融した樹脂を枠部成形空間25及び第2鍔部成形空間26に射出する。第1鍔部43と第2鍔部44が重ねられた厚さがレンズ部42の外周端の厚さと同じになり、レンズ部42と第2鍔部44の間に段差が生じない。
次に、本発明による別の実施形態について説明するが、前記実施形態に記載したものと同じものには同じ符号を付して説明を省略する。
図13に示すように、複合成形レンズ用金型50は、レンズ部形成面53と鍔部形成面54を有するレンズ体用コア52と枠部用コア24とからなる上型51及び下型31とから構成される。レンズ体用コア52の下面に形成された鍔部形成面54とレンズ部形成面53の外周端との間には円筒状の段差55が設けられる。
図14に示すように、下型31に載置されたプリフォーム30(第1工程)がレンズ体用コア52によってプレスされてレンズ体61のレンズ部62と第1鍔部63とが形成される。レンズ体61はレンズ部62の外周と第1鍔部63の外周との間に光軸方向の寸法が、後で形成される第2鍔部の内周端の厚さ寸法より大きい円筒面65(図15参照)が段差55によって第1鍔部63の一方の面に隣接して形成される。第1鍔部63の外周端面64は、鍔部形成面54と下型31の間で延展され枠部成形空間25に僅かに食み出す(第2工程)。
図15に示すように、レンズ体用コア52はレンズ体61を圧縮成形した後、プレス方向と反対の方向(矢印37で示す方向)に移動され、鍔部形成面54と第1鍔部63の間に第2鍔部成形空間56が形成される(第3工程)。このときのレンズ体用コア52の移動量は、段差55が円筒面65から離れない範囲内でなければならない。段差55以上に移動させると第2鍔部成形空間56に射出された溶融樹脂がレンズ部62に生じた空間57に回り込んで、不具合が生じる。従って、第2鍔部成形空間56の光軸方向の寸法(第2鍔部の厚さ寸法)は円筒面65より小さい。なお、レンズ部用コアと鍔部用コアとを1つにしてレンズ体用コア52としたが、レンズ部用コアと鍔部用コアとを別々に作成し、その後、一体化させる方法であっても良い。
次に、前記実施形態を上型だけでなく下型にも採用した例について説明する。
図16及び図17に示すように、複合成形レンズ用金型70は、レンズ部用コア22と鍔部用コア23と枠部用コア24とからなる上型21と、レンズ部用コア72と鍔部用コア73と枠部用コア74とからなる下型71とから構成される。上型21と下型71の間でプレスされたプリフォーム30は、鍔部用コア23の鍔部形成面33と鍔部用コア73の鍔部形成面78の間で延展され、外周端面18が枠部用コア24と74とに跨って形成された枠部成形空間75に僅かに食み出すまで押し潰される(第2工程)。
図18に示すように、第1鍔部13を圧縮成形された後に、鍔部用コア23,73が矢印37,77で示す方向にそれぞれ移動して、第1鍔部13の両面の光軸46と平行な方向に隣接する第2鍔部成形空間26,76が形成される。第2鍔部成形空間26,76は外周側が枠部成形空間75に連接される(第3工程)。第2鍔部成形空間26,76が形成されると、上型21及び下型71が開かれることなくゲート29から溶融された樹脂が射出されて枠部82及び第2鍔部83,84が成形される(図19参照)(第4工程)。
図19に示すように、複合成形レンズ80は、レンズ部12と第1鍔部13とを有するレンズ体11と、枠部82及び第2鍔部83,84とからなる枠体81から構成される。第2鍔部83,84は第1鍔部13の光軸46と平行な方向の前後の面にそれぞれ隣接して射出され密着接合される。これによって第1鍔部13と第2鍔部83,84の接合は完全なものとなり、レンズ体11と枠体81は一体化する。光学面17と85は、光軸46と平行な方向で枠体81から食み出さないように形成すると良く、成形後、平らな面に置いたときに光学面17,85に傷が付き難い。レンズ体11は、プラスチックであることが好ましいが、第1鍔部13と第2鍔部83,84の接合が完全なものであるため、ガラスであっても良い。
前記実施形態は、レンズ部の外周端面と枠体とが単に接合される場合に比べて格段に接合力が強く、環境温度の変化や鏡枠等への組み込みによる外力が加わっても分離されることがない。また、前記実施形態はレンズ体が両凸面形状であったが、レンズ面の形状はこれに限らず、例えば、メニスカスレンズであっても良い。
10,40,80 複合成形レンズ
11,41,61 レンズ体
12,42,62 レンズ部
13,43,63 第1鍔部
14,81 枠体
15,82 枠部
16,44,83,84 第2鍔部
17,85 光学面
18,64 外周端面
19 ゲート部
20,50,70 複合成形レンズ用金型
21,51 上型
22,72 レンズ部用コア
23,73 鍔部用コア
24,74 枠部用コア
25,75 枠部成形空間
26,56,76 第2鍔部成形空間
29 ゲート
30 プリフォーム
31,71 下型
32,53 レンズ部形成面
33,54,78 鍔部形成面
36 転写面
38 段差
46 光軸
52 レンズ体用コア
65 円筒面

Claims (7)

  1. プリフォームを上型と下型の間でプレスして光学面を有するレンズ部と前記レンズ部の外周を取り囲む第1鍔部とからなるレンズ体を成形した後に、前記第1鍔部を囲むように形成された枠部と前記枠部の内径側に一体に成形され前記第1鍔部の光軸方向に隣接する第2鍔部とからなる枠体を射出成形して一体化する複合成形レンズ用金型であって、
    前記上型及び下型の少なくとも一方は、
    前記レンズ部を圧縮成形するレンズ部用コアと、
    前記第1鍔部を圧縮成形した後に前記プリフォームのプレス方向と反対の方向に移動して前記第1鍔部の一方の面と光軸方向に隣接する第2鍔部成形空間を形成する鍔部用コアと、
    前記鍔部用コアを前記プレス方向に移動自在に保持するとともに前記枠部を形成する枠部成形空間を有する枠部用コアとからなる複合成形レンズ用金型。
  2. 前記上型及び下型は、前記レンズ部用コアと前記鍔部用コアと前記枠部用コアとからなり、それぞれが独立して移動自在であることを特徴とする請求項1記載の複合成形レンズ用金型。
  3. 前記枠部成形空間は、前記上型及び下型に跨って形成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の複合成形レンズ用金型。
  4. 前記上型は、前記プリフォームをプレスする前記鍔部用コアの鍔部形成面が前記レンズ部用コアの外周端より突出するように前記レンズ部用コアと前記鍔部用コアとが一体に形成され、前記鍔部形成面の内側に、光軸方向の寸法が前記第2鍔部の内周端の厚さ寸法より大きい円筒面が形成されることを特徴とする請求項1記載の複合成形レンズ用金型。
  5. 前記レンズ部の少なくとも一方の光学面が、光軸方向で前記枠体から食み出さない形状を有する請求項1に記載の複合成形レンズ用金型。
  6. プレス成形されたレンズ体と、該レンズ体を取り囲む枠体が射出成形で一体化された複合成形レンズの製造方法であって、
    光学素材のプリフォームを上型と下型の間に載置する第1工程と、
    前記プリフォームをプレスして光学面の外側に第1鍔部を有する前記レンズ体を成形する第2工程と、
    前記第1鍔部を圧縮成形した鍔部用コアを前記プリフォームのプレス方向と反対の方向に移動して前記第1鍔部の一方の面と光軸方向に隣接する第2鍔部成形空間を形成する第3工程と、
    前記第2鍔部成形空間とその外周側に形成された枠部成形空間とに溶融樹脂を射出して、第2鍔部と枠部とからなる前記枠体を成形する第4工程とが順次に行われることを特徴とする複合成形レンズの製造方法。
  7. 前記レンズ体の少なくとも一方の光学面は、光軸方向で前記枠体からはみ出さない形状である請求項6に記載の複合成形レンズの製造方法。
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